JP2022150396A - 炭素繊維強化樹脂複合体及びその製造方法 - Google Patents

炭素繊維強化樹脂複合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、軽量で、不快音を抑制でき、加工も行いやすい炭素繊維強化樹脂複合体を提供することにある。【解決手段】炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有し、該熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部が該炭素繊維と溶融固着し、該炭素繊維混率が25~75質量%であり、密度が0.35~0.8g/cm3であり、フラジール通気度が1.0cm3/cm2・s以上であり、曲げ弾性率が6GPa以上である炭素繊維強化樹脂複合体、及び該炭素繊維強化樹脂複合体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、炭素繊維強化樹脂複合体及びその製造法に関する。
炭素繊維とマトリックス樹脂を複合化してなる炭素繊維強化樹脂複合体(Carbon Fiber Reinforced Plastic、「CFRP」と記す場合がある)は、金属材料に匹敵する強度・弾性率を有しつつ、金属材料よりも比重が小さいため、部材の軽量化を図ることができ、また、発錆の問題もなく、酸やアルカリにも強いという性質を有していることから、電子機器材料、電気機器材料、土木材料、建築材料、自動車材料、航空機材料、各種製造業で使用されるロボット、ロール等の製造部品等での利用が拡大されている。
最も一般的な炭素繊維強化樹脂複合体は、連続炭素繊維からなる長繊維織布、開繊織物や一方向性(UD)シートと熱硬化性樹脂とを複合させたプリプレグを積層一体化した複合体であるが、力学的性を発現させるための積層の設計が難しい、均質材料ではない、成形加工時間が長い、高価である等の課題があった。
これらの課題を解決する方法として、不連続の短繊維状炭素繊維と熱可塑性樹脂繊維を含有する不織布状プリプレグからなる炭素繊維強化樹脂複合体が提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。炭素繊維不織布と熱可塑性樹脂が使用されることによって、設計を行いやすく、長期間の保存が可能で、成形加工時間の短縮が可能となる。また、製造工程から発生した残材(残糸、布帛等)、プリプレグ及び炭素繊維強化樹脂複合体の端材や退役廃棄材からリサイクルされた不連続の炭素繊維を安価な材料として活用することができる。
不織布状プリプレグの製造方法としては、湿式製法、乾式パルプ製法及び乾式製法(カード法)がある。上記カード法による方法(カーディング)では、短繊維を梳り、構成される繊維が長手方向に配向する傾向にある。繊維が配向したカードウェブをそのまま利用したもの、あるいはクロスラッパーにより、幅方向に交互に折りたたみながら積層し、ニードルパンチにより繊維交絡されたもの、熱処理により熱可塑性樹脂を溶融したもの等がある。
これらの不織布状プリプレグからなる炭素繊維強化樹脂複合体は、該複合体内のボイドや空隙を最小化し、高密度化により炭素繊維と樹脂との密着性を上げることによって、力学的特性を向上させ、金属材料への置き換えを意図したものである。
しかしながら、当該方法ではさらなる軽量化が難しい。また、炭素繊維強化樹脂複合体に打撃を与えたときに発生する高音域の音は、該炭素繊維強化樹脂複合体を用いた構造物やその使用部位近隣で不快音となり、別途防音材等を併用する必要がある。金属材料以外、例えばガラス繊維強化樹脂複合体からの置き換えには、力学的強度が過剰の場合があり、また、炭素繊維強化樹脂複合体は高強度であるがゆえに、硬く切削等の加工が難しいという問題が残る。
特表2013-519546号公報 特許第5309563号公報 国際公開第2014/021366号パンフレット
本発明の課題は、軽量で、不快音を抑制でき、加工も行いやすい炭素繊維強化樹脂複合体を提供することにある。
前記の課題を解決するため鋭意研究を行った結果、以下の炭素繊維強化樹脂複合体及び製造法を発明するに至った。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
(1)炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有し、該熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部が該炭素繊維と溶融固着し、該炭素繊維混率が25~75質量%であり、密度が0.35~0.8g/cmであり、フラジール通気度が1.0cm/cm・s以上であり、曲げ弾性率が6GPa以上である炭素繊維強化樹脂複合体。
(2)(1)記載の炭素繊維強化樹脂複合体の製造方法において、加圧又は非加圧状態において、該熱可塑性樹脂繊維の融点を超える温度で、炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する不織布状プリプレグを加熱し、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の少なくとも一部を溶融させた後、加圧状態で冷却し、熱可塑性樹脂を固化する成形工程を有し、該成形工程における冷却開始温度が熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の温度であることを特徴とする炭素繊維強化樹脂複合体の製造方法。
本発明によれば、軽量で、不快音を抑制でき、加工も行いやすい炭素繊維強化樹脂複合体を提供できる。
炭素繊維は、前駆体繊維の種類によって、PAN(ポリアクリロニトリル)系、ピッチ(等方ピッチ、異方ピッチ)系、フェノール系、レーヨン系などが工業化されている。本発明で用いられる炭素繊維は用途目的に応じて選択できる。炭素繊維強化樹脂複合体の力学的特性を発現させるには、引張弾性率200GPa以上の中弾性タイプの炭素繊維が好ましい。
また、CFRPの製造工程から発生するプリプレグやCFRPの工程端材や不良部分、退役廃材を原料にして、常圧溶解法、亜臨界分解法、超臨界分解法、電解法、熱分解法、過熱水蒸気法等の再生処理方法によりマトリックス樹脂(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を指す)を除去することで得られるリサイクル炭素繊維を利用することも可能である。
CFRPは、軽量である上に、比強度や比剛性が高いため、ゴルフシャフト、テニスラケット、釣り竿などに利用されている。また、最近では、翼や胴体などの大型航空機の主要構造部材にも使用されていて、市場規模が拡大している。この市場規模の拡大に伴い、製造工程廃棄されるCFRPの量も増大している。例えば、航空機の場合、安全性が非常に重要であるため、特に品質基準が非常に厳しく、CFRPの歩留まりは50~60%と言われる。すなわち、トリミングのため、廃棄される部位も少なくない。また、型に合わせて切断されたプリプレグ、期限切れの未硬化状態、半硬化状態又は硬化状態のプリプレグも、廃棄されるCFRPの一種であり、同様に大量に廃棄されている。かかる状況からリサイクルされた炭素繊維を積極的に利用することは、環境負荷の軽減の観点からも好ましい。また、上記リサイクルに供される材料からリサイクルされた炭素繊維は不連続状態となり、不織布としての用途にも適している。
本発明では、炭素繊維強化樹脂複合体を製造するために不織布状プリプレグを用いることが好ましく、低密度で高目付の不織布を用いることで、不織布状プリプレグの積層枚数を減らし、炭素繊維強化樹脂複合体の密度を調整しやすい。低密度で高目付の不織布を得る方法としては、乾式法(カード法)によりカードウェブを作製し、クロスラップにより積層した後、ニードルパンチ法により、繊維間を交絡させた極低密度のフェルト状の不織布状プリプレグを用いる方法が好ましい。
本発明で使用可能な炭素繊維の繊維径は5~20μmであることが好ましく、5~15μmであることがより好ましい。炭素繊維の繊維径は5μmより小さいと、開繊が著しく不十分となり、またカード装置内に繊維が滞留してしまい、安定してカードウェブを得られない場合がある。20μmより大きいと、カードウェブの目付ムラが大きくなる場合がある。また、炭素繊維の繊維長は25~100mmであることが好ましく、25~75mmであることがより好ましい。炭素繊維の繊維長が25mmより短いと、カード装置上から落綿しやすく、安定してカードウェブを得られない場合がある。100mmより長いと、カード装置内に繊維が滞留しやすく、ネップが多発する場合がある。
熱可塑性樹脂繊維の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、ゴム補強ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ABS樹脂(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合合成樹脂)等のスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂;ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル等のポリエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド等のエンジニアリング樹脂;熱可塑性エポキシ樹脂などが例示される。これらの熱可塑性樹脂は、1種を使用しても良いし、2種以上を使用しても良い。2種以上を使用する例としては、ポリカーボネート/ABS、ポリフェニレンエーテル/ポリアミド、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル/ポリブチレンテレフタレート等のブレンド系ポリマー類が挙げられる。熱可塑性樹脂は、これらに限定されるものではなく、本発明の製造方法の工程に適合する熱可塑性樹脂は全て対象となりうる。力学的特性の観点から、ポリアミドが好ましく、耐熱性の観点から、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトンが好ましく、経済性の観点から、ポリプロピレンが好ましい。
また、複数の熱可塑性樹脂を用いた複合繊維も好ましい材料であり、表面が低融点化されているポリエステル系芯鞘繊維、ポリオレフィン系芯鞘繊維、未延伸ポリエステル繊維等を使用することもできる。
熱可塑性樹脂繊維の繊維径は3~20μmであることが好ましく、5~15μmであることがより好ましい。熱可塑性樹脂繊維の繊維径は3μmより小さいと、カード装置内に繊維が滞留してしまい、安定してカードウェブを得られない場合がある。20μmより大きいと、カードウェブの目付ムラが大きくなる場合がある。また、繊維長は25~100mmであることが好ましく、25~75mmであることがより好ましい。熱可塑性樹脂繊維の繊維長が25mmより短いと、カード装置上から落綿して、安定してカードウェブを得られない場合がある。100mmより長いと、カード装置内に滞留しやすく、ネップが多発する場合がある。
本発明において、炭素繊維混率は、不織布状プリプレグに対して、25~75質量%であることが好ましく、35~60質量%であることがより好ましい。炭素繊維混率が25質量%未満の場合、炭素繊維強化樹脂複合体の力学的物性が不足する場合がある。また、炭素繊維混率が75質量%を超えると、炭素繊維に対する熱可塑性樹脂量が少なくなり、炭素繊維間のマトリックス樹脂としての連続性や炭素繊維との密着性が不足し、炭素繊維強化樹脂複合体の力学特性が著しく低下する場合がある。
本発明において、炭素繊維、熱可塑性樹脂繊維とも少量であれば、上記の繊維長、繊維径の好ましい範囲に含まれない繊維が混合することも可能であるが、これらの含有量が、炭素繊維強化樹脂複合体の性能を阻害する範囲であってはならない。
また、本発明において、熱可塑性樹脂繊維と炭素繊維との表面改質効果があるサイジング剤などをスプレー、塗布又は含浸加工することもできる。また、他の天然繊維、合成繊維、無機繊維などを混合することも可能であるが、これらの含有量が、炭素繊維強化樹脂複合体の性能を阻害する範囲であってはならない。
本発明の炭素繊維強化樹脂複合体の密度は、0.35~0.8g/cmであり、より好ましくは0.4~0.7g/cmである。0.35g/cmより小さいと、力学的強度が劣るため好ましくない。また、0.8g/cmより大きいと、力学的強度は大きくなるが、フラジール通気度が小さくなる。その結果、炭素繊維強化樹脂複合体に打撃を与えたときに「カンカン」といった高音域の不快音を発生する。すなわち、本発明の炭素繊維強化樹脂複合体のフラジール通気度は、1.0cm/cm・s以上であり、より好ましくは3.0cm/cm・s以上である。また、フラジール通気度の上限値は特に限定されないが、好ましくは30cm/cm・s以下である。フラジール通気度が1.0cm/cm・s未満の場合、上記のように不快音を発するため、好ましくない。本発明の炭素繊維強化樹脂複合体において、密度及びフラジール通気度を制御して、一定レベルに保つことにより、かかる不快音を抑制することができる。
本発明の炭素繊維強化樹脂複合体の曲げ弾性率は、6GPa以上であり、より好ましくは7GPa以上である。曲げ弾性率が6GPa未満である場合、力学的強度が不足し、強化材としては好ましくない。
次に製造法について説明する。材料をブレンダーで混綿し、カード機にて炭素繊維と熱可塑性繊維からなるカードウェブを作製する。当該方法により得られるカードウェブの目付は、好ましくは10~35g/mである。クロスラッパーを用い、得られたウェブを複数枚積層し、ニードルパンチ処理を行い100~1000g/mの不織布状プリプレグを作製する。不織布状プリプレグの密度は、好ましくは0.0045~0.01g/cmである。不織布状プリプレグの密度が0.01g/cmを超えると、ニードルパンチ処理で炭素繊維が折れ、著しく発塵し、工程を汚染する場合がある。また、炭素繊維強化樹脂複合体の力学的強度が低下する場合がある。該密度が0.0045g/cmより低いと、不織布状プリプレグの力学的強度が弱く、破断が発生しやすくなり、繊維の脱落が発生する場合があり好ましくない。
上記方法によって得られた不織布状プリプレグを、単層又は複数層積層し、加熱、加圧、冷却することにより炭素繊維強化樹脂複合体に成形することができる。
以下、上記不織布状プリプレグを用い、本発明の炭素繊維強化樹脂複合体の製造方法について詳細に説明する。
本発明の炭素繊維強化樹脂複合体の製造方法は、加圧又は非加圧状態において、該熱可塑性樹脂繊維の融点を超える温度で、炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する不織布状プリプレグを加熱し、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の少なくとも一部を溶融させた後、加圧状態で冷却し、熱可塑性樹脂を固化する成形工程を有する。そして、この成形工程における冷却開始温度が熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の温度であることを特徴とする。
加熱及び冷却の方法としては、加熱した上下の金型間に、単層又は複数層の不織布状プリプレグを挿入し一定時間の加熱処理を行った後、同圧力状態のもと冷却する方法(ヒートアンドクール法)、加熱加圧後、一旦徐圧して非加圧状態とし、熱可塑性樹脂の融点より低温に冷却された上下の金型間に挿入して冷却プレスを行う方法(コールドプレス法)などが例示される。
金属又はあるいはポリテトラフルオロエチレン等の表面加工した平面状又は凹凸を有する雄雌の一組の金型を有する加圧装置の金型間に不織布状プリプレグを単層又は複数層静置し、金型の間隔を調整することで炭素繊維強化樹脂複合体を製造することができる。本発明の炭素繊維強化樹脂複合体の密度を実現するために、金型間に所望する密度となるような一定の厚みを有する間隔版(スペーサー)を配置して、不織布状プリプレグが潰れ過ぎないように間隔を保持しつつ、加圧することができる。
加圧装置は単段プレスでもよいし、複数のプレス装置を備えた多段プレス装置を用いてもよい。
加熱温度は、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の融点より20℃以上高く、熱可塑性樹脂の分解温度を超えない温度で行うことが好ましい。
加圧状態で加熱し、加圧状態を継続したまま冷却固化する方法をヒートアンドクール法と呼び、当該方法においては、冷却開始温度は必然的に熱可塑性樹脂のガラス転移点温度(Tg)以上となるため好ましい。一例を挙げると、熱可塑性樹脂がナイロン6である場合、Tgは50℃である。
非加圧状態で加熱した後、加圧状態で冷却する方法をコールドプレス法と呼び、当該方法においては、冷却開始温度は熱可塑性樹脂のTg以上の温度とする。Tg未満の温度で冷却した場合、溶融した熱可塑性樹脂の冷却固化が、加圧面で先行し、急速に進むため、得られた炭素繊維強化樹脂複合体の表面に樹脂が集まってフィルム化し、通気性を阻害する。また、場所ごとに樹脂が偏在化して、樹脂の少ない場所では、炭素繊維の毛羽が表面に露出し、こすれた場合や切削等の加工を行った場合、炭素繊維の脱落が発生するため、好ましくない。
冷却は、熱可塑性樹脂が固化し、炭素繊維強化樹脂複合体が変形しない温度まで行うとよい。
プレス時の圧力は0.1MPa以上であればよく、使用するスペーサーが変形しない圧力で行う。
本発明において、融点及びTgは、JIS K 7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている示差走査熱測定(DSC)により測定されたものである。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例において記載の部や百分率は断りのない限り、全て質量によるものである。実施例及び比較例で得られた炭素繊維強化樹脂複合体の物性の測定及び評価を行い、本発明の有効性の確認を行った。
(実施例1~7、比較例1~4)
PAN系炭素繊維(東レ社製T-700、繊維径7μm、繊維長51mm)、熱可塑性樹脂繊維としてナイロン6繊維(台湾錦隆化学製、繊度1.5デニール、繊維長51mm)を用い、ブレンダーで混綿した後、ローラーカード機でカーディングすることにより、配向性のある25g/mのカードウェブを得た。クロスラッパーにて積層した後、ニードルパンチ法にて繊維を交絡させ、目付500g/mの不織布状プリプレグを得た。
該不織布状プレプリグを2枚積層し、非加圧状態で260℃の雰囲気中、3分間加熱し、予め60℃に加熱し、所望の密度にするために間隔版を配置したプレス装置にて、0.5MPaの圧力でプレスを開始し、3分間冷却行うことで、炭素繊維強化樹脂複合体を得た。
(比較例5)
間隔版を用いず、8MPaの圧力で加圧する以外は実施例1と同様の方法で炭素繊維強化樹脂複合体を得た。
(比較例6)
PAN系炭素繊維をガラス繊維(巨石集団社製、繊維径11μm、繊維長50mm)とする以外は比較例5と同じ方法でガラス繊維強化樹脂複合体を得た。
(実施例8)
冷却開始温度を50℃(6ナイロンのTg)とする以外は実施例1と同様の方法で炭素繊維強化樹脂複合体を得た。
(比較例7)
冷却開始温度を40℃とする以外は実施例1と同様の方法で炭素繊維強化樹脂複合体を得た。
(実施例9)
加熱加圧方法として、予め260℃に加熱した状態から、0.5MPaで3分間加熱し、加圧状態を保持したまま、50℃まで冷却する以外は、実施例1と同じ方法で炭素繊維強化樹脂複合体を得た。
(実施例10)
該不織布状プリプレグの枚数を1枚とする以外は、実施例1と同様の方法で炭素繊維強化樹脂複合体を得た。
以上、実施例、比較例で用いた繊維の配合(質量%)、加熱温度、冷却開始温度、間隔版の厚みを表1に示す。
上記実施例及び各比較例で得られた炭素繊維強化樹脂複合体を以下の方法で物性の測定及び評価を行い、物性及び評価結果を表2に示した。なお、本発明において、特に記載のない限り、物性及び評価は、25℃、50%RHの条件で行った。
<目付>
炭素繊維強化樹脂複合体を20×25cmの大きさにカットし、5枚の質量を平均し、単位面積当たりの質量(目付)を求めた。単位はg/mである。
<厚み>
上記の目付を測定した炭素繊維強化樹脂複合体について、1枚当たり4か所の厚みをマイクロメーターで測定し、各5枚の平均値を求めた。単位はmmである。
<密度>
上記目付を厚みで除し、密度を求めた。単位はg/cmである。
<曲げ弾性率>
JIS K 7074:1988による3点曲げ法により、炭素繊維強化複合材料の曲げ弾性率を測定することで評価を行った。単位はGPaである。比較例6のガラス繊維強化樹脂複合体の曲げ弾性率を基準として、下記基準により、良否を判断した。なお、◎及び○を「良」とした。
「各実施例又は比較例の曲げ弾性率-比較例6の曲げ弾性率」が、
1GPa以上:◎
0GPa以上、1GPa未満:○
0GPa未満:×
<通気性>
通気性はJIS L 1096:2010に規定される通気性A法(フラジール形法)に準じて、通気性試験機(装置名:KES-F8-AP1、カトーテック(株)製)でフラジール通気度を測定して評価した。単位はcm/cm・sである。なお、◎及び○を「良」とした。
フラジール通気度
3.0cm/cm・s以上:◎
1.0cm/cm・s以上、3.0cm/cm・s未満:○
1.0cm/cm・s未満:×
<反射音>
人差し指の爪で物をはじく要領で、炭素繊維強化樹脂複合体の表面をはじいた際、「カンカン」と高温域の音が鳴るものを×、「ボコボコ」と比較的低音域の音が鳴るものを◎、その中間音のものを○として評価した。◎及び○を良とした。
<表面性>
炭素繊維強化樹脂複合体の表面を目視で観察し、炭素繊維と溶融した熱可塑性樹脂繊維が均一に一体となっているものを◎、やや不均一な部分が見られるが概ね均一なものを○、部分ごとにまだら模様になっているものを×として評価した。◎及び○を良とした。
<加工性>
炭素繊維強化樹脂複合体を20×25cmの大きさにカットし、定規をあて、カッターナイフでカットしたときの状況で評価を行った。大きな力を加えず簡単にカットできるものを◎、カットは容易であるが断面から少量の繊維の脱落が観察されるものを○、カット時に断面から繊維の脱落が多く、毛羽が多く見られるものを△、複数回のカッターナイフにてカットが必要なもの、又は、カッターナイフでカットできないものを×として評価した。◎及び○を良とした。
<摩擦耐性>
炭素繊維強化樹脂複合体の表面を人差し指で擦り、繊維脱落、毛羽立ちの有無で評価を行った。炭素繊維の脱落が見られないものを◎、少量の脱落が見られるが表面に毛羽が見られないものは○、脱落が見られ表面に毛羽が観察されるものは△、脱落、毛羽が多いものを×として評価した。◎及び○を良とした。
以上の評価の結果を表2に示す。
Figure 2022150396000001
Figure 2022150396000002
本発明により、電子機器材料、電気機器材料、土木材料、建築材料、自動車材料、航空機材料、各種製造業で使用されるロボット、ロール等の製造部品に利用可能な炭素繊維強化樹脂複合体を提供することができ、特に、自動車の内装や外装材料として利用することができる、軽量化され、不快音が抑制され、加工性に優れた炭素繊維強化樹脂複合体を提供することができる。

Claims (2)

  1. 炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有し、該熱可塑性樹脂繊維の少なくとも一部が該炭素繊維と溶融固着し、該炭素繊維混率が25~75質量%であり、密度が0.35~0.8g/cmであり、フラジール通気度が1.0cm/cm・s以上であり、曲げ弾性率が6GPa以上である炭素繊維強化樹脂複合体。
  2. 請求項1記載の炭素繊維強化樹脂複合体の製造方法において、加圧又は非加圧状態において、該熱可塑性樹脂繊維の融点を超える温度で、炭素繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含有する不織布状プリプレグを加熱し、熱可塑性樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂の少なくとも一部を溶融させた後、加圧状態で冷却し、熱可塑性樹脂を固化する成形工程を有し、該成形工程における冷却開始温度が熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の温度であることを特徴とする炭素繊維強化樹脂複合体の製造方法。
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