JP2022149864A - 樹脂保持器 - Google Patents

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Takushi Sato
武仁 櫻井
Takehito Sakurai
吉稀 竹田
Yoshiki Takeda
紘平 酒井
Kohei Sakai
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Abstract

【課題】深溝玉軸受の軸方向側面から突出することなく、且つ樹脂保持器に加わる最大荷重の範囲内で疲労限度U以上の強度を有する樹脂保持器を提供する。【解決手段】冠型樹脂保持器5におけるボール4を保持するポケット部5aにおける軸線方向断面積が最小である部分の軸線方向の厚みtは、冠型樹脂保持器5に所定の最大荷重Fを加えた場合に前記軸線方向断面積が最小である部分に生じる応力が冠型樹脂保持器5の疲労限度U未満となり且つ深溝玉軸受1の軸方向の幅Bの内側の範囲に冠型樹脂保持器5が位置するように設定される。【選択図】図1

Description

本発明は樹脂保持器に関する。
従来、射出成形によって製造された深溝玉軸受用の樹脂保持器が知られている。前記樹脂保持器は、例えば、対応する環状のキャビティが形成された成形金型を用いて射出成形により形成される。キャビティに注入された溶融樹脂は、キャビティ内での移動によって分離、合流が生じる。キャビティ内の溶融樹脂は、合流した状態で相互に接合されて固化することでウエルド部が形成される。
一方、樹脂保持器によって転動体を保持している深溝玉軸受は、転動体の公転速度と樹脂保持器の公転速度との差により転動体の保持器に対する相対運動(転動体の進み遅れ)が生じる。転動体と樹脂保持器との相対運動によって、樹脂保持器のポケット部は、深溝玉軸受の回転中に転動体が衝突を繰り返す。樹脂保持器は、転動体との衝突によって弾性変形を繰り返す。つまり、樹脂保持器には、転動体との衝突により繰り返し応力が発生する。樹脂保持器では、繰り返し応力がウエルド部に集中するので、疲労寿命に影響を与える点で不利であった。そこで、ウエルド部の接合強度を向上させて樹脂保持器の疲労寿命の与える影響を抑制した樹脂保持器が知られている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
特開2020-026856号公報
特許文献1に記載の樹脂保持器を成形するための金型は、キャビティに接続される樹脂溜まり部の開口面積がキャビティに接続される樹脂射出ゲートの開口面積よりも大きくなるように構成されている。これにより、キャビティに充填された溶融樹脂は、樹脂溜まり部に滞留することなく円滑に流入する。その結果、ウエルド部が形成された後にキャビティ内で溶融樹脂の対流が生じ、ウエルド部の変形によって溶融樹脂同士の接触面積が増大する。よって、比較的高い溶融粘度の樹脂材料を用いた場合でも、樹脂保持器のウエルド部の強度を向上することができる。しかし、特許文献1に記載の技術では、キャビティ内でのウエルド部の変形状態が把握できない。つまり、樹脂保持器は、ウエルド部の強度が疲労限度以上であるのか明確でない。このため、樹脂保持器は、樹脂保持器に加わる最大荷重の範囲内で樹脂保持器が疲労限度以上の強度を有するように必要以上に大きな安全率に基づいて設計されている点で不利であった。
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、深溝玉軸受の軸方向側面から突出することなく、且つ樹脂保持器に加わる最大荷重の範囲内で疲労限度以上の強度を有する樹脂保持器を提供することを目的とする。
即ち、第一の発明は、深溝玉軸受の複数の転動体を等間隔で保持する樹脂保持器である。前記樹脂保持器における前記転動体を保持するポケット部における軸線方向断面積が最小である部分の前記軸線方向の幅は、前記樹脂保持器に所定の最大荷重を加えた場合に前記軸線方向断面積が最小である部分に生じる応力が前記樹脂保持器の疲労限度未満となり且つ前記深溝玉軸受の軸方向の幅の内側の範囲に前記樹脂保持器が位置するように、式(1)から算出される範囲に含まれる。
Figure 2022149864000002

F:前記樹脂保持器に加わる最大荷重、U:前記樹脂保持器を構成する樹脂の疲労限度、α:前記樹脂保持器のウエルド部による疲労限度の低下率、Da:転動体の直径、t:前記最小断面積の前記軸方向の厚み、B:前記深溝玉軸受の軸方向の幅。
第二の発明は、前記樹脂保持器を形成する樹脂がポリアミド合成樹脂である。
第三の発明は、前記樹脂保持器を形成する樹脂が繊維強化樹脂を含む。
第四の発明は、前記樹脂保持器を構成する樹脂の疲労限度の前記ウエルド部によって低下する割合を示す低下率が0.6以上0.8以下である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、第一の発明は、樹脂保持器において最も大きな応力が発生すると考えられるポケット部の軸線方向断面積が最小である部分の形状が式(1)を満たすように定められる。深溝玉軸受に組み込まれた前記樹脂保持器は、深溝玉軸受の内輪及び外輪に接触しない径方向の幅を有し、且つ想定される前記樹脂保持器の最大荷重が前記樹脂保持器に加わった場合に前記軸線方向断面積が最小である部分に生じる応力が前記樹脂保持器を構成する樹脂の疲労限度未満になる軸方向の厚みを有する。また、式(1)には、ウエルド部によって低下する疲労限度の低下率が含まれている。よって、前記樹脂保持器の前記軸線方向断面積が最小である部分に生じる応力は、前記軸線方向断面積が最小である部分にウエルド部が存在していても前記樹脂保持器を構成する樹脂の疲労限度未満である。更に、深溝玉軸受に組み込まれた前樹脂保持器は、内輪及び外輪の軸方向側面から突出しない厚みを有している。これにより、深溝玉軸受の軸方向側面から突出することなく、且つ樹脂保持器に加わる最大荷重の範囲内で疲労限度以上の強度を有することができる。
第二及び第三の発明は、冠型樹脂保持器を強靭性、衝撃性及び柔軟性に優れたポリアミド合成樹脂で構成し、またはグラスファイバ(GF)、カーボンファイバ(CF)等を含有させた繊維強化樹脂とすることで、冠型樹脂保持器の疲労限度が向上する。これにより、冠型樹脂保持器は、深溝玉軸受の軸方向側面から突出することなく、且つ樹脂保持器に加わる最大荷重の範囲内で疲労限度以上の強度を有するために必要な軸線方向の厚みの範囲を拡大することができる。
第四の発明は、前記樹脂保持器のウエルド部による疲労限度の低下率を考慮することで、前記軸線方向断面積が最小である部分がウエルド部を有していても、想定される保持器の最大荷重が前記樹脂保持器に加わった場合に前記ウエルド部に生じる応力が前記樹脂保持器を形成する樹脂の疲労限度未満になる。これにより、冠型樹脂保持器は、深溝玉軸受の軸方向側面から突出することなく、且つ樹脂保持器に加わる最大荷重の範囲内で疲労限度以上の強度を有することができる。
図1は、深溝玉軸受の断面図を示す。 図2は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器の側面図を示す。 図3は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器に対する転動体の進みと遅れによる負荷状態についての模式図を示す。 図4は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器において所定条件下での負荷と転動体径の関係を表すグラフを示す。 図5は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器の疲労試験の模式図を示す。 図6は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器の径方向の厚みと転動体径の関係を表すグラフを示す。
図1と図2とを用いて、本発明に係る深溝玉軸受の一実施形態である深溝玉軸受1について説明する。図1は、深溝玉軸受の断面図である。図2は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器の側面図である。
図1と図2とに示すように、深溝玉軸受1は、内輪2と、外輪3と、内輪2と外輪3との間に転動自在に介在する複数のボール4と、ボール4を収容する冠型樹脂保持器5とを備える。なお、以下において、軸線方向とは、深溝玉軸受1の軸線Pに沿った方向を表す。また、径方向とは、深溝玉軸受1の軸線Pに垂直な方向を示す。
内輪2は、ボール4を案内する径方向内側の軌道輪である。内輪2は、外周面にボール4が転動するための環状の内輪軌道面2aを有している。内輪軌道面2aは、軸方向断面に見て円弧上の断面を有する溝である。
外輪3は、ボール4を案内する径方向外側の軌道輪である。外輪3は、内輪2の外径よりも大きい内径を有する。外輪3は、内周面にボール4が転動するための環状の外輪軌道面3aを有している。外輪軌道面3aは、軸方向断面に見て円弧上の断面を有する溝である。外輪3は、内輪2と同じ軸線Pに位置している。また、外輪3は、径方向に見て外輪軌道面3aが内輪軌道面2aと重なるように位置している。
転動体である複数のボール4は、球形の転動体である。複数のボール4の表面の曲率は、内輪軌道面2a及び外輪軌道面3aの曲率と略同一である。ボール4は、内輪2と外輪3との間であって内輪2と外輪3との周方向に並んで位置している。複数のボール4は、内輪軌道面2aに接している。また、複数のボール4は、外輪軌道面3aに接している。つまり、複数のボール4は、内輪軌道面2aと外輪軌道面3aとに挟まれている。複数のボール4は、内輪軌道面2aと外輪軌道面3aとを転動する。これにより、複数のボール4は、内輪2に対して外輪3を相対回転可能に支持している。
樹脂保持器である冠型樹脂保持器5は、複数のボール4を保持する部材である。冠型樹脂保持器5は、ポリアミド合成樹脂であるポリアミド46(PA46)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド9T(PA9T)等から構成されている。なお、補強材として、合成樹脂の中にグラスファイバ(GF)、カーボンファイバ(CF)等が含まれていてもよい。冠型樹脂保持器5は、円筒形状に形成されている。冠型樹脂保持器5は、ボール4を独立して保持する複数のポケット部5aを有している。複数のポケット部5aは、冠型樹脂保持器5の周方向に等間隔で並んで位置している。ポケット部5aは、軸線方向の一側端部から他側端部に向かって凹む球面状の凹部である。ポケット部5aの曲率は、ボール4の曲率よりも小さい。つまり、ポケット部5aは、ボール4よりも大きい半径の球面から構成されている。これにより、冠型樹脂保持器5は、ポケット部5a内にボール4が位置する場合、ボール4の表面とポケット部5aの表面との間に隙間が生じる。
図2に示すように、冠型樹脂保持器5は、軸線方向一側に延びる一対の爪部5bを複数のポケット部5a毎に有している。一対の爪部5bにおけるポケット部5a側の側面は、ポケット部5aの球面に連続する球面を有している。また、ポケット部5aの球面部分と爪部5bとの球面部分とは同一の曲率を有している。これにより、爪部5bは、ポケット部5aの球面部分の一部を構成している。一対の爪部5bの先端同士の最小間隔は、ポケット部5aにおける冠型樹脂保持器5の周方向の最大幅よりも小さい。つまり、一対の爪部5bは、ポケット部5a内に位置するボール4の軸線方向への移動量を制限している。これより、冠型樹脂保持器5は、一対の爪部5bによってポケット部5a内にボール4を保持可能且つポケット部5a内でボール4が転動可能である。また、冠型樹脂保持器5は、ボール4とポケット部5aとの隙間の範囲内でボール4をポケット部5a内で移動可能に保持する。
図1と図2に示すように、このように構成される深溝玉軸受1は、外輪3と内輪2とが複数のボール4を介して相対回転可能に構成されている。複数のボール4は、内輪2と外輪3との間で冠型樹脂保持器5によって一定の間隔で保持されている。深溝玉軸受1は、外輪3と内輪2とが相対回転すると、複数のボール4が冠型樹脂保持器5のポケット部5aに保持された状態で内輪軌道面2a上と外輪軌道面3a上とを転動する。複数のボール4は、ポケット部5a内で自転しながら冠型樹脂保持器5とともに深溝玉軸受1の周方向に公転する。冠型樹脂保持器5は、ボール4とポケット部5aとの隙間分だけ径方向に移動しつつ複数のボール4とともに公転する。
次に、図3と図4とを用いて、冠型樹脂保持器5のポケット部5aに対するボール4の進みと遅れとについて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器に対する転動体の進みと遅れによる負荷状態についての模式図である。図4は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器において所定条件下での負荷と転動体径の関係を表すグラフである。
図3に示すように、深溝玉軸受1にラジアル荷重とアキシアル荷重とが加わる際、ボール4の公転速度は、内輪軌道面2aまたは外輪軌道面3aとボール4との間にかかる荷重方向と深溝玉軸受1の軸線Pに垂直な方向との角度である接触角によって変動する。一方、冠型樹脂保持器5の公転速度は、一定である。従って、深溝玉軸受1は、接触角の変動によって冠型樹脂保持器5よりも早く公転方向にボール4が移動する(進む)状態と冠型樹脂保持器5よりも遅く公転方向にボール4が移動する(遅れる)状態とが発生する。ボール4の公転速度が冠型樹脂保持器5の公転速度よりも遅い場合、冠型樹脂保持器5がボール4を公転方向に押圧する。ボール4の公転速度が冠型樹脂保持器5の公転速度よりも早い場合、ボール4が冠型樹脂保持器5を公転方向に押圧する。これにより、冠型樹脂保持器5には、公転中に圧縮荷重と引っ張り荷重とが変動しながら発生する(黒塗矢印参照)。また、冠型樹脂保持器5は、軸線方向断面積が最小であるポケット部5aの底部分の断面に最大圧縮応力と最大引っ張り応力とが発生する。
図4に示すように、深溝玉軸受1は、例えば以下の使用条件でトランスミッションに使用される場合、冠型樹脂保持器5に加わる荷重を測定結果に基づいて式(2)によって算出できる。式(2)に示すように、冠型樹脂保持器5に加わる最大荷重Fは、ボール4の直径Daを変数とする一次関数で近似可能である。式(2)に示すように、冠型樹脂保持器5に加わる所定の最大荷重Fは、深溝玉軸受1の用途及び使用条件とのボールの直径Daから算出される。
Figure 2022149864000003

F:冠型樹脂保持器5に加わる最大荷重、Da:ボール4の直径。
ミスアライメント量:2/1000mm/mm、ラジアル荷重:0.165Cr、アキシアル荷重0.07Ca、回転速度:オイル潤滑時の最大許容回転速度、潤滑油:トランスミッションオイル。
次に、図5を用いて、冠型樹脂保持器5において、冠型樹脂保持器5のウエルド部Wによる疲労限度Uの低下率αについて説明する。図5は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器の疲労試験の模式図である。ウエルド部Wは、金型内で先端部が冷却され粘度が増大した溶融樹脂同士が合流することで生じる筋状の接合部をいう。
図5に示すように、冠型樹脂保持器5の疲労試験は、一対の半円状の冶具Jによって冠型樹脂保持器5の内周面をそれぞれ径方向外方に所定の力を所定のサイクルで加える(黒塗矢印参照)。冠型樹脂保持器5には、径方向外方の引っ張り荷重が繰り返し付加される。この際、冠型樹脂保持器5は、一方の冶具Jと他方の冶具Jとの隙間にウエルド部Wが位置した状態で疲労試験が行われる。よって、冠型樹脂保持器5は、ウエルド部Wに最も大きい引っ張り荷重が付加される。これにより、冠型樹脂保持器5は、疲労試験によってウエルド部Wにおける疲労限度Uwが推定される。加えて、ウエルド部Wを有さない非強化ダンベル試験片を用いて冠型樹脂保持器5の樹脂材料についての疲労限度Uを推定する。
冠型樹脂保持器5の疲労限度Uおいてウエルド部Wによる低下率αは、前記非強化ダンベル試験片の疲労限度Uに対する冠型樹脂保持器5のウエルド部Wにおける疲労限度Uwの比率から算出する。ウエルド部Wによる疲労限度Uの低下率αは、例えば前記非強化ダンベル試験片の疲労限度U、冠型樹脂保持器5のウエルド部Wにおける疲労限度Uwとした場合、ウエルド部Wによる疲労限度Uの低下率αは、Uw/Uで表すことができる。例えば、ウエルド部Wによる疲労限度Uの低下率α=0.63の場合、冠型樹脂保持器5のウエルド部Wにおける疲労限度Uwは、ウエルド部Wによって冠型樹脂保持器5の樹脂材料の疲労限度Uの63%に低下する。ウエルド部Wによる疲労限度Uの低下率αは、冠型樹脂保持器5に用いる材料によって異なり、一例として0.6~0.8の間で変動する。
次に、図6を用いて、冠型樹脂保持器5における樹脂材料の疲労限度Uと形状の関係について説明する。図6は、本発明の実施形態に係る冠型樹脂保持器の径方向の厚みと転動体径の関係を表すグラフである。
図6に示すように、冠型樹脂保持器5は、冠型樹脂保持器5に生じる最大応力値が冠型樹脂保持器5の樹脂材料における疲労限度Uの6割から8割未満であれば、ウエルド部Wを有していても疲労破壊しない。従って、冠型樹脂保持器5において、ウエルド部Wを有し、且つ軸線方向断面積が最小であるポケット部5aの底部分は、式(3)を満たすことで所定の最大荷重Fが加わっても疲労破壊しない。
Figure 2022149864000004

F:冠型樹脂保持器5に加わる最大荷重、U:冠型樹脂保持器5を形成する樹脂の疲労限度U、α:冠型樹脂保持器5のウエルド部Wによる疲労限度Uの低下率α、S:冠型樹脂保持器5の軸線方向断面積が最小である部分の断面積。
また、冠型樹脂保持器5において軸線方向断面積が最小であるポケット部5aの底部分の断面積S(以下、「ポケット底断面積S」と記す)は、式(4)によって算出できる。
Figure 2022149864000005

S:冠型樹脂保持器5の軸線方向断面積が最小である部分の断面積、h:冠型樹脂保持器5の径方向の厚み、t:ポケット部5aの底部分の軸線方向の厚み。
冠型樹脂保持器5は、内輪2及び外輪3の軸線Pと冠型樹脂保持器5の軸線Pとが一致するように内輪2と外輪3との間に位置している。また、冠型樹脂保持器5は、内輪2及び外輪3に対して相対回転可能な状態で複数のボール4を保持している。つまり、深溝玉軸受1は、常に内輪2及び外輪3と冠型樹脂保持器5とが離隔している(図1参照)。従って、冠型樹脂保持器5の径方向の厚みhは、ボール4とポケット部5aとの隙間分だけ径方向に移動しても内輪2及び外輪3に接触しない範囲に含まれる。
また、深溝玉軸受1は、ボール4の直径Daに応じて内輪2と外輪3とにおける径方向の間隔が定められている。同様に、冠型樹脂保持器5は、保持するボール4の直径Daに応じて径方向の厚みhが定められている。径方向の厚みhは、ボール4の直径Daに比例する。径方向の厚みhは、式(3)によって算出される。
Figure 2022149864000006

h:冠型樹脂保持器5の径方向の厚み、Da:ボール4の直径Da。
冠型樹脂保持器5のポケット底断面積Sは、式(4)と式(5)とに基づいてポケット部5aの底部分の軸線方向の厚みtとボール4の直径Daとから示される式(6)によって算出される。なお、冠型樹脂保持器5のケット部5aの底部分は、球面である。よって、ポケット部5aの底部分の軸線方向の厚みtは、最も薄い厚みを厚みtとする。

Figure 2022149864000007
以上より、冠型樹脂保持器5の軸線方向の厚みtは、式(3)と式(6)とから冠型樹脂保持器5に加わる最大荷重Fとボール4の直径Daと冠型樹脂保持器5を形成する樹脂の疲労限度Uとによって示される。冠型樹脂保持器5は、軸線方向の厚みtが式(7)を満たすことでウエルド部Wを有していても疲労破壊を起こさない。
Figure 2022149864000008
一方、深溝玉軸受1において、冠型樹脂保持器5は、内輪2及び外輪3の軸方向側面から突出していない。つまり、冠型樹脂保持器5においてポケット部5aの底部分の軸線方向の厚みtは、深溝玉軸受1の軸方向中心を基準として、ボール4の半径と内輪2及び外輪3の軸方向幅Bの1/2との差よりも小さい。従って、冠型樹脂保持器5における軸線方向の厚みtは、式(8)に示す関係を満たすことで、内輪2及び外輪3の軸方向幅Bの内側の範囲に位置する。
Figure 2022149864000009
冠型樹脂保持器5は、式(7)及び式(8)に基づいて導き出される式(1)を満たすように軸線方向の厚みtを設定することで、内輪2及び外輪3の軸方向側面から突出せず、且つ最大荷重Fが加わった場合でも疲労破壊が生じない。
Figure 2022149864000010
本実施形態における冠型樹脂保持器5において、最大応力が発生すると考えられるポケット底断面積Sの軸線方向の厚みtが式(1)を満たすように定められる。深溝玉軸受1に組み込まれた冠型樹脂保持器5は、内輪2及び外輪3に接触しない径方向の厚みhを有し、且つ想定される冠型樹脂保持器5の最大荷重Fが前記樹脂保持器に加わった場合にポケット底断面積Sに生じる応力が冠型樹脂保持器5を構成する樹脂の疲労限度U未満になる軸方向の厚みを有する。更に、深溝玉軸受1に組み込まれた冠型樹脂保持器5は、ポケット部5aの底部分が内輪2及び外輪3の軸方向側面とボール4との軸方向の間に位置する。つまり、冠型樹脂保持器5は、内輪2と外輪3とで囲まれる深溝玉軸受1の体積内に含まれる。このように、式(1)は、深溝玉軸受1の軸方向幅B、ボール4の直径Da及び冠型樹脂保持器5の許容荷重(最大荷重F)から冠型樹脂保持器5が機能を満たすために必要な軸線方向の厚みtの範囲を算出する。これにより、冠型樹脂保持器5は、内輪2及び外輪3の軸方向側面から突出することなく、且つ冠型樹脂保持器5に加わる最大荷重Fの範囲内で疲労限度U以上の強度を有することができる。
また、冠型樹脂保持器5を強靭性、衝撃性及び柔軟性に優れたポリアミド合成樹脂で構成し、またはグラスファイバ(GF)、カーボンファイバ(CF)等を含有させることで、冠型樹脂保持器5の疲労限度Uが向上する。これにより、冠型樹脂保持器5は、内輪2及び外輪3の軸方向側面から突出することなく、且つ冠型樹脂保持器5に加わる最大荷重Fの範囲内で疲労限度U以上の強度を有するために必要な軸線方向の厚みtの範囲を拡大することができる。
また、冠型樹脂保持器5のウエルド部Wによる疲労限度Uの低下率αを考慮することで、冠型樹脂保持器5において最大応力が生じるポケット部5aの底部分にウエルド部Wが位置していても、想定される冠型樹脂保持器5の最大荷重Fが冠型樹脂保持器5に加わった場合に生じる応力が冠型樹脂保持器5を形成する樹脂の疲労限度U未満になる。これにより、冠型樹脂保持器5は、内輪2及び外輪3の軸方向側面から突出することなく、且つ冠型樹脂保持器5に加わる最大荷重Fの範囲内で疲労限度U以上の強度を有することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
また、本実施形態において、深溝玉軸受1について説明しているが、複数の転動体を有するすべての軸受に適用することができる。同様に、本実施形態において、冠型樹脂保持器5について説明しているが、転動体を保持する樹脂保持器に適用することができる。
また、本実施形態において、冠型樹脂保持器5は、ポリアミド合成樹脂によって構成されているがこれに限定されない。冠型樹脂保持器は、合成樹脂によって構成されていればよい。
1 深溝玉軸受
2 内輪
2a 内輪軌道面
3 外輪
3a 外輪軌道面
4 ボール
5 冠型樹脂保持器
5a ポケット部
F 冠型樹脂保持器に加わる最大荷重
U 冠型樹脂保持器を構成する樹脂の疲労限度U
α 冠型樹脂保持器のウエルド部Wによる疲労限度Uの低下率α
Da ボールの直径
t ポケット部の底部分の軸線方向の厚み
B 深溝玉軸受の軸方向幅
S 冠型樹脂保持器の軸線方向断面積が最小である部分の断面積
h 冠型樹脂保持器の径方向の厚み

Claims (4)

  1. 深溝玉軸受の複数の転動体を等間隔で保持する樹脂保持器であって、
    前記転動体を保持するポケット部における軸線方向断面積が最小である部分の前記軸線方向の最も薄い厚みは、
    前記樹脂保持器に所定の最大荷重を加えた場合に、前記軸線方向断面積が最小である部分に生じる応力が前記樹脂保持器の疲労限度未満となり且つ前記深溝玉軸受の軸方向の幅の内側の範囲に前記樹脂保持器が位置するように、式(1)から算出される範囲に含まれる、
    樹脂保持器。
    Figure 2022149864000011

    F:前記樹脂保持器に加わる最大荷重、U:前記樹脂保持器を構成する樹脂の疲労限度U、α:樹脂保持器を構成する樹脂の疲労限度が樹脂の接合部であるウエルド部によって低下する割合を示す低下率、Da:転動体の直径、t:前記最小断面積の前記軸方向の厚み、B:前記深溝玉軸受の軸方向の幅
  2. 請求項1に記載の樹脂保持器であって、
    前記樹脂保持器を形成する樹脂は、ポリアミド合成樹脂である、
    樹脂保持器。
  3. 請求項1または2に記載の樹脂保持器であって、
    前記樹脂保持器を形成する樹脂は、繊維強化樹脂を含む、
    樹脂保持器。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の樹脂保持器であって、
    前記樹脂保持器を構成する樹脂の疲労限度の前記ウエルド部によって低下する割合を示す低下率が0.6以上0.8以下である、
    樹脂保持器。
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