JP2022148123A - シート用パッド部品 - Google Patents

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Naoto Ishii
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【課題】着座感を損なうことなく着座者の荷重による空気流通空間の潰れを抑制でき、かつ、構成部材同士を容易に固定することができるシート用パッド部品を提供する。【解決手段】シート用パッド部品は、第1のウレタン部材と第2のウレタン部材を備えている。第1のウレタン部材は通気孔13を有する。第1のウレタン部材と第2のウレタン部材の間には、通気孔13に連通する空気流通空間14が設けられている。第1のウレタン部材、若しくは、第2のウレタン部材の空気流通空間14に臨む面のうちの、着座者の荷重の入力方向に沿って延在する空間囲み面の外側には、第1のウレタン部材と第2のウレタン部材を相互に固定する掛け止め部が設けられている。空間囲み面と掛け止め部の表面には、第1のウレタン部材と第2のウレタン部材の他の部位よりも硬い繊維補強層23,24が設けられている。【選択図】図3

Description

本発明は、車両用シート等の座や背凭れに用いられるシート用パッド部品に関するものである。
車両用シートとして、乗員の接触部の通気性を高めるために、座面や背凭れに通気孔を設け、その通気孔を通して空気の吹き出しや吸い込みを行うものが知られている。
この種のシートに用いられるパッド部品は、空気の吹き出しや吸い込みに用いるファンと、座や背凭れの表皮との間を接続するために、パッド材の内部に空気の流通する通路が設けられている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載の車両用パッド部品は、ウレタン製のベース部材の表皮部側に凹形状の窪み部が設けられ、複数の空気通路を持つを通風部材(通風シート)がベース部材の窪み部内に配置されている。通風部材は、ベース部材に設けられた空気通路を通して送風用のファンに接続されている。この車両用パッド部品は、通風部材がシートの表皮の直下に配置されるいるため、シートに着座した着座者の接触部の広い範囲に空気を吹き出すことができる。
特許第6652199号公報
特許文献1に記載のシート用パッド部品は、通風部材がシート表皮の直下に配置されているため、通風部材が着座者の荷重を受けて通風部材内の通路が潰されることが懸念される。このため、通風部材は荷重によって潰れにくいある程度硬い部材とする必要があるが、その場合、シートに着座する利用者が硬さや異物感を感じ、利用者の着座感を損ねる原因となり易い。
また、特許文献1に記載のシート用パッド部品は、ウレタン製のベース部材の窪み部内に別体の通風部材が接着剤によって固定されるため、構成部材同士の固定作業が煩雑になり、この点の改善が望まれている。
そこで本発明は、着座感を損なうことなく着座者の荷重による空気流通空間の潰れを抑制でき、かつ、構成部材同士を容易に固定することができるシート用パッド部品を提供しようとするものである。
本発明に係るシート用パッド部品は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係るシート用パッド部品は、着座者の荷重を受ける表皮側の第1のウレタン部材(例えば、実施形態のウレタンシート10)と、前記第1のウレタン部材に入力された着座者の荷重を受け止める第2のウレタン部材(例えば、実施形態のベースウレタンパッド11)と、を備え、前記第1のウレタン部材は、表皮側への空気の吹き出し、若しくは、表皮側からの空気の吸い込みを行う通気孔(例えば、実施形態の通気孔13)を有し、前記第1のウレタン部材と前記第2のウレタン部材の間には、前記通気孔に連通する空気流通空間(例えば、実施形態の空気流通空間14)が設けられ、前記第1のウレタン部材、若しくは、前記第2のウレタン部材の前記空気流通空間に臨む面のうちの、前記着座者の荷重の入力方向に沿って延在する空間囲み面(例えば、実施形態の後面18b、及び、前面19f)の外側には、前記第1のウレタン部材と前記第2のウレタン部材を相互に固定する掛け止め部(例えば、実施形態の係止突部21f,21r、及び、窪み部22f,22r)が設けられ、前記空間囲み面と前記掛け止め部の表面には、前記第1のウレタン部材と前記第2のウレタン部材の他の部位よりも硬い繊維補強層(例えば、実施形態の繊維補強層23,24)が設けられていることを特徴とする。
上記の構成により、着座者の荷重の入力方向に沿って延在する第1のウレタン部材、若しくは、第2のウレタン部材の空間囲み面が繊維補強層によって補強されるとともに、空間囲み面の外側に位置される掛け止め部も繊維補強層によって補強される。このため、第1のウレタン部材の表皮側から着座者の荷重が入力されると、その荷重は空間囲み面の繊維補強層と掛け止め部の繊維補強層によって受け止められる。繊維補強層はウレタン部材の他の部位よりも硬いため、空気流通空間の潰れを抑制することができる。しかも、本構成の場合、繊維補強層によって硬化するのはウレタン部材の一部の表面のみであるため、着座者の着座感を損なうことがない。また、掛け止め部の表面に、硬度が高く滑り性が良好な繊維補強層が配置されているため、第1のウレタン部材と第2のウレタン部材の組付け時における掛け止め作業性が良好になる。
前記掛け止め部は、前記第1のウレタン部材に設けられた凸部(例えば、実施形態の前壁18の先端面18a及び前面18f、後壁19の先端面19a及び後面19r)と、前記第2のウレタン部材に設けられて前記凸部と嵌合する凹部(例えば、実施形態の前壁18と後壁19と接触する領域)と、から成り、前記繊維補強層は、前記第1のウレタン部材の前記凸部の先端面(例えば、実施形態の先端面18a,19a)と、当該先端面に連なる側面(例えば、実施形態の前面18f,後面19r)とに設けられるとともに、前記第2のウレタン部材の前記凹部のうちの前記先端面と前記側面とに接する面に設けられるようにしても良い。
この場合、第1のウレタン部材側の凸部と第2のウレタン部材側の凹部の両方の接触面に繊維補強層が設けられているため、空気流通空間の外側部分の硬度をより高め、空気流通空間の潰れをより抑制することができる。また、凸部と凹部の表面の硬度が繊維補強層によって高められるため、凸部と凹部を嵌め合うときの作業性を良好にすることができ、かつ、嵌め合い強度も高めることができる。
前記繊維補強層は、前記第1のウレタン部材のうちの、前記通気孔の周縁部の前記空気流通空間に臨む側の面に設けられるようにしても良い。
この場合、通気孔の空気流通空間に臨む側の周縁部の硬度が繊維補強層によって高められるため、通気孔を通過する空気の圧力を受けて、通気孔の周縁部が当該通気孔を狭めるように変形するのを抑制することができる。
前記第1のウレタン部材に設けられる前記繊維補強層は、当該第1のウレタン部材のウレタン樹脂が含浸した短繊維を備え、前記第2のウレタン部材に設けられる前記繊維補強層は、当該第2のウレタン部材のウレタン樹脂が含浸した短繊維を備えるようにしても良い。
この場合、第1のウレタン部材や第2ウレタン部材の製造時には、ウレタン樹脂を充填する成形型内の繊維補強層の配置される部位に、使用する短繊維を予め堆積させておく。この状態で成形型内にウレタン樹脂を充填し、そのウレタン樹脂を成形型内で硬化させると、ウレタン樹脂が短繊維に含浸して硬化し、繊維補強層がウレタン部品の本体部と一体化される。このようにして製造することにより、接着剤を用いることなく、繊維補強層をウレタン部品の本体部に容易に固定することが可能になる。
本発明に係るシート用パッド部品は、第1のウレタン部材、若しくは、第2のウレタン部材の空間囲み面と、空間囲み面の外側に位置される掛け止め部の表面が硬い繊維補強層によって補強されるため、着座感を損なうことなく着座者の荷重による空気流通空間の潰れを抑制することができる。
また、本発明に係るシート用パッド部品は、掛け止め部の表面に設けられた繊維補強層によって掛け止め部の硬度を高め、かつ、滑り性を良好にすることができるため、構成部材である第1のウレタン部材と第2のウレタン部材を容易に固定することができる。
第1実施形態のパッド部品の平面図。 第1実施形態のパッド部品の図1のII-II線に沿う断面図。 第1実施形態のパッド部品の図2のIII部の拡大図。 第2実施形態のパッド部品の図3と同様の断面図。 第3実施形態のパッド部品の図3と同様の断面図。 第4実施形態のパッド部品の図3と同様の断面図。 第5実施形態のパッド部品の図3と同様の断面図。 第6実施形態のパッド部品の図3と同様の断面図。
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態では、他の実施形態と同一部分に共通符号を付し、重複する説明を省略するものとする。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態のシート用パッド部品1(以下、「パッド部品1」と称する。)の平面図である。本実施形態のパッド部品1は、車両用シートのシートクッション(座)に用いられる。ただし、パッド部品1の用途は、車両用シートのシートクッションに限定されるものではなく、車両用シートのシートバックや車両用以外のシートのパッド部品であっても良い。
図2は、パッド部品1の図1のII-II線に沿う断面図である。
本実施形態のパッド部品1は、第1のウレタン部材であるウレタンシート10と、第2のウレタン部材であるベースウレタンパッド11と、を備えている。ベースウレタンパッド11は、シートクッションの上面の一部を除く主要部を構成する。ベースウレタンパッド11の上面の前端部側から後部寄りの中央領域にかけては、ウレタンシート10を配置するための窪み形状部が設けられている。ウレタンシート10の厚み(上下方向の厚み)は、ベースウレタンパッド11の窪み形状部の窪み部分を補完する程度の薄い厚みとされている。以下では、ベースウレタンパッド11の窪み形状部をシート配置面12と称することがある。
ウレタンシート10は、ベースウレタンパッド11のシート配置面12に設置され、着座者がシートに着座した際に、着座者の荷重を上面側から受ける。ベースウレタンパッド11は、ウレタンシート10に入力された着座者の荷重を下方において受け止める。ベースウレタンパッド11とウレタンシート10は、相互に組付けられた状態において、これらの外側が、空気の流通が可能な図示しない表皮材によって覆われる。
ウレタンシート10には、表皮側への空気の吹き出しを行う通気孔13が形成されている。通気孔13は、ウレタンシート10を上下に貫通している。本実施形態では、通気孔13は、図1に示すようにシート幅方向に沿うように長孔状に形成されている。通気孔13の下方には、ウレタンシート10とベースウレタンパッド11とに囲まれた空気流通空間14が形成されている。通気孔13は、上面視における開口面積が空気流通空間14の上面視における面積よりも小さく、空気流通空間14の上方において空気流通空間14と連通している。空気流通空間14は、図示しないモータの駆動によって空気を送給する送風ファン15に、接続通路16を介して接続されている。
なお、本実施形態では、空気流通空間14は送風ファン15に接続されているが、送風ファン15に代えて吸引ファンに接続するようにしても良い。この場合には、空気流通空間14に連通する通気孔13では、表皮側からの空気の吸い込みが行われるようになる。また、通気孔13の形状は、長孔形状に限定されるものではなく、円形状の孔やその他の形状であっても良い。
図3は、図2のII部を拡大して示した図である。
図3に示すように、ベースウレタンパッド11のシート配置面12には、空気流通空間14よりも前後幅が広く、シート幅方向に広がる凹溝17が形成されている。
これに対し、ウレタンシート10の下面20のうちの、通気孔13の前方位置と後方位置には、下方に向かって突出する前壁18と後壁19とが突設されている。前壁18と後壁19はいずれもシート幅方向に沿って長尺に延びている。前壁18と後壁19は、ベースウレタンパッド11の凹溝17内に配置され、凹溝17の底面17aとともに空気流通空間14を形成する。より詳細には、前壁18と後壁19は、これらの下方の各先端面18a,19aが凹溝17の底面17aに密に当接することにより、ウレタンシート10の下面20の前壁18と後壁19に挟まれた領域20aと、凹溝17の底面17aとともに空間部を形成し、その空間部が空気流通空間14とされている。
空気流通空間14の臨む前壁18の後面18rと後壁19の前面19fは、着座者の荷重の入力方向(上下方向)に沿って延在し、空気流通空間14を囲む空間囲み面を構成している。
前壁18の前面18fの先端部(下端)寄り部分には、前方側に楔状に膨出する係止突部21fが形成されている。これに対し、凹溝17の前側の内壁面17ifには、前方側に楔状に窪む窪み部22fが形成されている。窪み部22fには、前壁18の係止突部21fが嵌合可能とされている。
また、後壁19の後面19rの先端部(下端)寄り部分には、後方側に楔状に膨出する係止突部21rが形成されている。これに対し、凹溝17の後側の内壁面17irには、後方側に楔状に窪む窪み部22rが形成されている。窪み部22rには、後壁19の係止突部21rが嵌合可能とされている。
相互に嵌合される前側の係止突部21fと窪み部22f、後側の係止突部21rと窪み部22rは、ウレタンシート10(第1のウレタン部材)とベースウレタンパッド11(第2のウレタン部材)を相互に固定する掛け止め部の一部を構成している。なお、本実施形態では、前側の係止突部21fに連なる前壁18の前面18fの残余の領域(上側領域)と先端面18aとは、凹溝17側の対応する領域(当接する領域)とともに、前側の掛け止め部の残余の部分を構成している。同様に、後側の係止突部21rに連なる後壁19の後面19rの残余の領域(上側領域)と先端面19aとは、凹溝17側の対応する領域(当接する領域)とともに、後側の掛け止め部の残余の部分を構成している。
上記のように構成される前側の掛け止め部は、空間囲み面である前壁18の後面18rの外側に位置されており、後側の掛け止め部は、空間囲み面である後壁19の前面19fの外側に位置されている。
ここで、ウレタンシート10の前壁18の前面18f(係止突部21fの表面も含む)、後面18r、先端面18aと、下面20のうちの前壁18の前面18f及び後面18rの各上端部に連なる一部には、繊維補強層23が設けられている。繊維補強層23は、ウレタンシート10の後壁19の前面19f、後面19r(係止突部21rの表面も含む)、先端面19aと、下面20のうちの後壁19の前面19f及び後面19rの各上端部に連なる一部にも同様に設けられている。繊維補強層23は、カーボンやガラス等の短繊維の層にウレタンが含浸し、その状態でウレタンが硬化した構造とされている。ウレタンシート10の繊維補強層23は、ウレタンシート10を形成するウレタン樹脂が含侵した短繊維を備えている。
また、同様の繊維補強層24は、ベースウレタンパッド11の凹溝17内の、ウレタンシート10側の前壁18及び後壁19と接する面にも設けられている。繊維補強層24はさらに、シート配置面12のうちの前後の内壁面17if,17irの上端部に連なる一部にも連続して設けられている。ベースウレタンパッド11の繊維補強層24は、ベースウレタンパッド11を形成するウレタン樹脂が含侵した短繊維を備えている。
繊維補強層23,24は、ウレタンシート10やベースウレタンパッド11の他の部分(繊維補強層23,24以外の部分)に比較して硬く、ウレタンシート10に外力が加わったときには他の部分よりも変形しにくくなる。
なお、繊維補強層23,24は、ウレタンシート10やベースウレタンパッド11の凹凸嵌合部以外の接触部に適宜設けるようにしても良い。
なお、本実施形態では、ウレタンシート10の前壁18の先端面18aと、係止突部21fを含む前面18fは、前側の掛け止め部の凸部を構成している。そして、ベースウレタンパッド11の凹溝17のうちの、ウレタンシート10の先端面18aや前面18fと接触する領域は前記凸部と嵌合する前側の掛け止め部の凹部を構成している。
また、ウレタンシート10の後壁19の先端面19aと、係止突部21rを含む後面19rは、後側の掛け止め部の凸部を構成している。そして、ベースウレタンパッド11の凹溝17のうちの、ウレタンシート10の先端面19aや後面19rと接触する領域は凸部と嵌合する後側の掛け止め部の凹部を構成している。
以上のように構成されたパッド部品1は、ウレタンシート10がベースウレタンパッド11のシート配置面12上に載置され、ウレタンシート10の前壁18と後壁19がベースウレタンパッド11の凹溝17に押し入れられる。このとき、前壁18と後壁19の係止突部21f,21rが凹溝17の窪み部22f,22rに嵌合され、それによってウレタンシート10がベースウレタンパッド11上に固定される。こうしてウレタンシート10がベースウレタンパッド11に固定されると、ベースウレタンパッド11とウレタンシート10の間に空気流通空間14が形成され、ウレタンシート10の通気孔13が空気流通空間14と連通することになる。
本実施形態のパッド部品1は、着座者の荷重(着座荷重)の入力方向に沿って延在するウレタンシート10の前壁18の後面18rと後壁19の前面19f(空間囲い面)が繊維補強層23によって補強され、さらにこれらの外側に位置される掛け止め部(係止突部21f,21r及び窪み部22f,22rとその周辺部)が繊維補強層23,24によって補強されている。このため、ウレタンシート10の上方から着座荷重が入力されると、その着座荷重は空気流通空間14を囲む前壁18の後面18rと後壁19の前面19fの繊維補強層23と、これらの外側の掛け止め部の表面の繊維補強層23,24によって受け止められる。繊維補強層23,24は、ウレタンシート10やベースウレタンパッド11の他の部分よりも高い硬度となっているため、着座荷重による空気流通空間14の潰れを抑制することができる。
また、本実施形態のパッド部品1では、繊維補強層23,24によって硬度が硬くなるのはウレタンシート10やベースウレタンパッド11の一部の表面のみであるため、利用者が硬さや違和感を感じることがない。したがって、本実施形態のパッド部品1を採用した場合には、利用者の着座感を損なうことなく、着座荷重による空気流通空間14の潰れを抑制することができる。
また、本実施形態のパッド部品1は、ウレタンシート10とベースウレタンパッド11の掛け止め部の表面に、硬度が高く滑り性が良好な繊維補強層23,24が配置されるため、ウレタンシート10とベースウレタンパッド11の組付け時における掛け止め作業性が良好になる。したがって、本実施形態のパッド部品1を採用した場合には、構成部材であるウレタンシート10とベースウレタンパッド11を容易に固定することができる。
さらに、本実施形態のパッド部品1は、掛け止め部のウレタンシート10側の凸部を構成する前壁18及び後壁19の先端面18a,19aと側面(前面18f、後面19r)に繊維補強層23が設けられ、掛け止め部のベースウレタンパッド11側の凹部を構成する部位に繊維補強層24が設けられている。このため、空気流通空間14の外側部分の硬度を二層の繊維補強層23,24によって高め、荷重入力時における空気流通空間14の潰れをより抑制することができる。
また、本実施形態のパッド部品1では、ウレタンシート10とベースウレタンパッド11の掛け止め部の表面の硬度が繊維補強層23,24によって夫々高められるため、掛け止め部を嵌め合わせるときの作業性を良好にすることができるとともに、嵌め合い強度も高めることができる。
また、本実施形態のパッド部品1の場合、ウレタンシート10に設けられる繊維補強層23は、ウレタンシート10の本体部を形成するウレタン樹脂が含侵した短繊維を備え、ベースウレタンパッド11に設けられる繊維補強層24は、ベースウレタンパッド11の本体部を形成するウレタン樹脂が含侵した短繊維を備えている。このため、ウレタンシート10やベースウレタンパッド11の製造時には、ウレタン樹脂を充填する成形型内の繊維補強層23,24の配置される部位に、使用する短繊維を予め堆積させておき、その状態で成形型内にウレタン樹脂を充填し、そのウレタン樹脂を成形型内で硬化させることができる。このとき、ウレタン樹脂は堆積した短繊維に含浸して硬化し、繊維補強層23,24がウレタンシート10やベースウレタンパッド11の本体部と一体化される。このようにして製造することにより、接着剤を用いることなく、繊維補強層23,24をウレタンシート10やベースウレタンパッド11の本体部に容易に固定することができる。
<第2実施形態>
図4は、本実施形態のパッド部品101の第1実施形態の図3と同様の断面図である。
本実施形態のパッド部品101は、ベースウレタンパッド111のシート配置面12に、ウレタンシート110の下面20とともに空気流通空間14を造形するための凹溝26が形成されている。凹溝26は、シート幅方向に沿って広がっている。シート配置面12のうちの凹溝26の前方側には、凹溝26と略平行に前側嵌合溝27が形成されている。シート配置面12のうちの凹溝26の後方側には、凹溝26と略平行に後側嵌合溝28が形成されている。凹溝26と前側嵌合溝27の間には、これらの溝の間を仕切る前隔壁29が配置されている。凹溝26と後側嵌合溝28の間には、これらの溝の間を仕切る後隔壁30が配置されている。
一方、ウレタンシート110には、空気流通空間14に連通する通気孔13が形成されるとともに、下面の通気孔13よりも前方位置と通気孔13よりも後方位置とに前係合壁31と後係合壁32が夫々下方に向かって突設されている。前係合壁31の前面31fの下端寄り部分には、前方側に楔状に突出する係止突部121fが形成されている。同様に後係合壁32の後面32rの下端寄り部分には、後方側に楔状に突出する係止突部121rが形成されている。前係合壁31は、ベースウレタンパッド111側の前側嵌合溝27に嵌合され、後係合壁32は、ベースウレタンパッド111側の後側嵌合溝28に嵌合される。
ベースウレタンパッド111の前側嵌合溝27は、前係合壁31の外形に略沿う形状に形成され、前側の内壁面27ifには、前係合壁31の係止突部121fが嵌合される楔状の窪み部122fが形成されている。また、ベースウレタンパッド111の後側嵌合溝28は、後係合壁32の外形に略沿う形状に形成され、後側の内壁面28irには、後係合壁32の係止突部121rが嵌合される楔状の窪み部122rが形成されている。
本実施形態では、ウレタンシート110の前係合壁31の前面31f(係止突部121fの表面も含む)、後面31r、先端面31aと、下面20のうちの前係合壁31の前面31f及び後面31rの各上端部に連なる一部に、繊維補強層23が設けられている。繊維補強層23は、ウレタンシート110の後係合壁32の前面32f、後面32r(係止突部121rの表面も含む)、先端面32aと、下面20のうちの後係合壁32の前面32f及び後面32rの各上端部に連なる一部にも同様に設けられている。
同様の繊維補強層24は、ベースウレタンパッド111の前側嵌合溝27と後側嵌合溝28の各内面(前係合壁31及び後係合壁32と接する面)と、前隔壁29の後面29r及び頂部面29tと、後隔壁30の前面30f及び頂部面30tと、に設けられている。繊維補強層24は、さらに、シート配置面12のうちの前側嵌合溝27の前側の内壁面27ifの上端部に連なる部分と、後側嵌合溝28の後側の内壁面28ifの上端部に連なる部分にも設けられている。
なお、繊維補強層23,24は、ウレタンシート110とベースウレタンパッド111の凹凸嵌合部以外の部分に適宜設けるようにしても良い。
本実施形態では、ベースウレタンパッド111の前隔壁29の後面29rと後隔壁30の前面30fが、着座者の荷重の入力方向(上下方向)に沿って延在し、空気流通空間14を囲む空間囲み面を構成している。繊維補強層24は、空間囲み面を構成する前隔壁29の後面29rと後隔壁30の前面30fに一体に設けられている。
また、本実施形態の場合、ウレタンシート110の前係合壁31とベースウレタンパッド111の前側嵌合溝27は前側の掛け止め部を構成し、ウレタンシート110の後係合壁32とベースウレタンパッド111の後側嵌合溝28は後の掛け止め部を構成している。したがって、ウレタンシート110とベースウレタンパッド111の前側の掛け止め部は、空間囲み面である前隔壁29の後面29rの外側に位置されており、後側の掛け止め部は、空間囲み面である後隔壁30の前面30fの外側に位置されている。
以上のように構成されたパッド部品101は、ウレタンシート110がベースウレタンパッド111のシート配置面12上に載置され、ウレタンシート110の前係合壁31と後係合壁32がベースウレタンパッド111の前嵌合溝27と後嵌合溝28に押し入れられる。このとき、前係合壁31の係止突部121fは、前嵌合溝27の窪み部122fに嵌合され、後係合壁32の係止突部121rは、後嵌合溝28の窪み部122rに嵌合され、それによってウレタンシート110がベースウレタンパッド111に固定される。このとき、ベースウレタンパッド111側の前隔壁29と後隔壁30の各頂部面29t,30tは、ウレタンシート110の下面20に当接する。こうしてウレタンシート110がベースウレタンパッド111に固定されると、ベースウレタンパッド111とウレタンシート110の間に空気流通空間14が形成され、ウレタンシート110の通気孔13が空気流通空間14と連通する。
本実施形態のパッド部品101は、着座者の荷重(着座荷重)の入力方向に沿って延在するベースウレタンパッド111の前隔壁29の後面29rと後隔壁30の前面30f(空間囲い面)が繊維補強層24によって補強され、さらにこれらの外側に位置される掛け止め部(前係合壁31及び前側嵌合溝27、後係合壁32及び後側嵌合溝28)が繊維補強層23,24によって補強されている。このため、ウレタンシート110の上方から着座荷重が入力されると、その着座荷重は空気流通空間14を囲む前隔壁29の後面29rと後隔壁30の前面30fの繊維補強層24と、これらの外側の掛け止め部の表面の繊維補強層23,24によって受け止められる。したがって、本実施形態のパッド部品101は、繊維補強層23,24の機能により、着座荷重による空気流通空間14の潰れを抑制することができる。
また、本実施形態のパッド部品101の場合も、繊維補強層23,24によって硬度が硬くなるのはウレタンシート110やベースウレタンパッド111の一部の表面のみであるため、利用者が硬さや違和感を感じることがない。したがって、利用者の着座感を損なうことなく、着座荷重による空気流通空間14の潰れを抑制することができる。
さらに、本実施形態のパッド部品101の場合も、掛け止め部の表面に、硬度が高く滑り性が良好な繊維補強層23,24が配置されるため、ウレタンシート110とベースウレタンパッド111の組付け時における掛け止め作業性が良好になる。繊維補強層23,24によって掛け止め部の嵌め合い強度も高めることができる。
また、本実施形態のパッド部品101は、掛け止め部のウレタンシート110側の凸部を構成する前係合壁31及び後係合壁32の先端面31a,32aと側面とに繊維補強層23が設けられ、掛け止め部のベースウレタンパッド111側の凹部を構成する前側嵌合溝27及び後側嵌合溝28に繊維補強層24が設けられている。このため、空気流通空間14の外側部分の硬度を二層の繊維補強層23,24によって高め、荷重入力時における空気流通空間14の潰れをより抑制することができる。
さらに、本実施形態のパッド部品101は、前側の掛け止め部に隣接して前隔壁29が配置され、その前隔壁29の後面29rと頂部面29tに繊維補強層23が設けられている。また、後側の掛け止め部に隣接して後隔壁30が配置され、その後隔壁30の前面30fと頂部面30tに繊維補強層23が設けられている。このため、本実施形態のパッド部品101は、第1実施形態のものに比較して荷重入力時における空気流通空間14の潰れをより抑制することができる。
また、本実施形態のパッド部品101の場合、ウレタンシート110に設けられる繊維補強層23は、ウレタンシート110の本体部を形成するウレタン樹脂が含侵した短繊維を備え、ベースウレタンパッド111に設けられる繊維補強層24は、ベースウレタンパッド111の本体部を形成するウレタン樹脂が含侵した短繊維を備えている。このため、繊維補強層23,24をウレタンシート110やベースウレタンパッド111の本体部に容易に固定することができる。
<第3実施形態>
図5は、本実施形態のパッド部品201の第1実施形態の図3と同様の断面図である。
本実施形態のパッド部品201は、基本的な構成は第2実施形態のものとほぼ同様である。本実施形態のパッド部品201では、以下の点のみが第2実施形態のものと異なっている。
ウレタンシート110の前係合壁31の後面31rの下部領域には、後方側に楔状に膨出する係止突部121rが形成され、ベースウレタンパッド111の前側嵌合溝27の後側の内壁面27irには、係止突部121rと嵌合される楔状の窪み部122rが形成形成されている。また、ウレタンシート110の後係合壁32の前面32fの下部領域には、前方側に楔状に膨出する係止突部121fが形成され、ベースウレタンパッド111の後側嵌合溝28の前側の内壁面28ifには、係止突部121fと嵌合される楔状の窪み部122fが形成形成されている。
本実施形態のパッド部品201は、基本構成は第2実施形態と同様であるため、前述した第2実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。
ただし、本実施形態のパッド部品201は、ウレタンシート110側の前係合壁31と後係合壁32が前後の係止突部121f,121rでベースウレタンパッド111側の対応する窪み部122f,122に嵌合されるため、ウレタンシート110とベースウレタンパッド111の掛け止め強度をより高めることができる。
<第4実施形態>
図6は、第4実施形態のパッド部品301の第1実施形態の図3と同様の断面図である。
本実施形態のパッド部品301は、基本構成は第1実施形態のものとほぼ同様であるが、ウレタンシート10における繊維補強層23の配置される部位が第1実施形態のものと異なっている。
即ち、本実施形態では、繊維補強層23は、ウレタンシート10の前壁18及び後壁19の前面18f,19f、後面18r,19r、先端面18a,19aだけでなく、ウレタンシート10の下面20の全域に配置されている。これにより、通気孔13の空気流通空間14に臨む側の周縁部は、硬い繊維補強層23によって覆われている。
本実施形態のパッド部品301は、第1実施形態と同様の効果を得ることができるうえ、通気孔13の空気流通空間14に臨む側の周縁部の硬度が繊維補強層23によって高められるため、通気孔13の周縁部が変形しにくい。したがって、本構成を採用した場合には、通気孔13を通過する空気の圧力を受けて通気孔13の周縁部が当該通気孔13を狭めるように変形するのを抑制することができる。
<第5,第6実施形態>
図7は、第5実施形態のパッド部品401の第1実施形態の図3と同様の断面図であり、図8は、第6実施形態のパッド部品501の第1実施形態の図3と同様の断面図である。
第5実施形態のパッド部品401は、図4に示す第2実施形態のパッド部品101とほぼ同様の構成とされており、第6実施形態のパッド部品501は、図5に示す第3実施形態のパッド部品201とほぼ同様の構成とされている。ただし、第5実施形態のパッド部品401と第6実施形態のパッド部品401,501は、繊維補強層23がウレタンシート10の下面20の全域に配置されている点で、第2実施形態のものや第3実施形態のものと異なっている。
第5実施形態のパッド部品401は、第2実施形態のパッド部品101と同様の効果を得ることができるうえ、通気孔13を通過する空気の圧力を受けて通気孔13の周縁部が当該通気孔13を狭めるように変形するのを抑制することができる。
また、第6実施形態のパッド部品501は、第3実施形態のパッド部品201と同様の効果を得ることができるうえ、通気孔13を通過する空気の圧力を受けて通気孔13の周縁部が当該通気孔13を狭めるように変形するのを抑制することができる。
第4~第5実施形態のようにウレタンシートの下面全域に繊維補強層を設ける場合には、例えば、以下のようにしてウレタンシートを製造することができる。
成形型の上部側は通過性を有する金型によって構成する。この金型の天井面となる側に短繊維の層(ウレタンシートの下面の繊維補強層となる短繊維の層)がくるように金型の内面(天井面)に短繊維を積層し、その状態で短繊維を圧縮して金型に仮固定する。次に、この状態で金型内にウレタン樹脂を充填し、金型の内部でウレタン樹脂を発泡される。この過程で短繊維の層にウレタン樹脂が含侵し、ウレタンシートの本体部の表面に繊維補強層が形成される。
このとき、金型内でウレタンの発泡が進むと、発生するガスや内部の空気が上方に移動し、そのガスや空気は短繊維の層を通過して金型から外部に良好に排出される。こうしてウレタンシートが製造されると、製造時にガスや空気の滞留が生じないため、ウレタンシートを薄肉にしてもウレタンシートの表面外観は良好になる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
1,101,201,301,401,501…パッド部品(シート用パッド部品)
10,110…ウレタンシート(第1のウレタン部材)
11,111…ベースウレタンパッド(第2のウレタン部材)
13…通気孔
14…空気流通空間
18b…後面(空間囲み面)
19f…前壁(空間囲み面)
21f,21r…係止突部(掛け止め部)
22f,22r…窪み部(掛け止め部)
23,24…繊維補強層
27…前側嵌合溝(掛け止め部)
28…後側嵌合溝(掛け止め部)
29r…後面(空間囲み面)
30f…前面(空間囲み面)
31…前係合壁(掛け止め部)
32…後係合壁(掛け止め部)

Claims (4)

  1. 着座者の荷重を受ける表皮側の第1のウレタン部材と、
    前記第1のウレタン部材に入力された着座者の荷重を受け止める第2のウレタン部材と、を備え、
    前記第1のウレタン部材は、表皮側への空気の吹き出し、若しくは、表皮側からの空気の吸い込みを行う通気孔を有し、
    前記第1のウレタン部材と前記第2のウレタン部材の間には、前記通気孔に連通する空気流通空間が設けられ、
    前記第1のウレタン部材、若しくは、前記第2のウレタン部材の前記空気流通空間に臨む面のうちの、前記着座者の荷重の入力方向に沿って延在する空間囲み面の外側には、前記第1のウレタン部材と前記第2のウレタン部材を相互に固定する掛け止め部が設けられ、
    前記空間囲み面と前記掛け止め部の表面には、前記第1のウレタン部材と前記第2のウレタン部材の他の部位よりも硬い繊維補強層が設けられていることを特徴とするシート用パッド部品。
  2. 前記掛け止め部は、前記第1のウレタン部材に設けられた凸部と、前記第2のウレタン部材に設けられて前記凸部と嵌合する凹部と、から成り、
    前記繊維補強層は、前記第1のウレタン部材の前記凸部の先端面と、当該先端面に連なる側面とに設けられるとともに、前記第2のウレタン部材の前記凹部のうちの前記先端面と前記側面とに接する面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート用パッド部品。
  3. 前記繊維補強層は、前記第1のウレタン部材のうちの、前記通気孔の周縁部の前記空気流通空間に臨む側の面に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のシート用パッド部品。
  4. 前記第1のウレタン部材に設けられる前記繊維補強層は、当該第1のウレタン部材のウレタン樹脂が含浸した短繊維を備え、
    前記第2のウレタン部材に設けられる前記繊維補強層は、当該第2のウレタン部材のウレタン樹脂が含浸した短繊維を備えていることをとする請求項1~3のいずれか1項に記載のシート用パッド部品。
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