JP2022147906A - クロック信号生成装置、制御プログラム及び制御方法 - Google Patents

クロック信号生成装置、制御プログラム及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】衛星信号の遅延等が推定時刻に与える影響を考慮した高精度な時刻同期クロック信号を生成できるクロック信号生成装置等を提供すること。【解決手段】クロック信号生成装置10は位相比較回路110と処理回路120と発振回路150とを含む。位相比較回路110は、PPS信号PPSQとクロック信号CLKの位相比較を行い、位相差信号PHを出力する。処理回路120は、位相差信号PHに基づいて周波数調整信号LPQを出力する。発振回路150は、周波数調整信号LPQに対応する周波数のクロック信号CLKを生成する。処理回路120は、GNSS受信器200からの捕捉衛星情報ISATとPPS出力情報IPPSに基づいてPPS信号PPSQの確度誤差を推定し、その確度誤差に基づいて位相差信号PHを補正する。【選択図】 図3

Description

本発明は、クロック信号生成装置、制御プログラム及び制御方法等に関する。
特許文献1には、GPS受信器が出力する1PPSと、水晶発振器が出力するクロック信号とをPLLにより同期させることで、高精度なタイミング信号を出力するタイミング信号発生装置が開示されている。このタイミング信号発生装置は、GPSの測位精度指標値と各衛星の受信感度に基づいて、PLLの同期とホールドオーバーを切り替えることで、タイミング信号の時刻精度を維持する。
特開2016-173326号公報
GNSS受信器は、GNSS衛星から受信した衛星信号に基づいてUTC時刻を推定し、UTCと同期するタイミングにPPS信号を出力するが、その推定時刻は、電離層又はマルチパスによる衛星信号の遅延等、様々な要因によって誤差を生じる。特許文献1では、衛星信号の遅延等が推定時刻に与える影響を的確に把握していないので、時刻精度の低下を正確に判定できないおそれがある。
本開示の一態様は、PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する位相比較回路と、前記位相差信号に基づいて周波数調整信号を出力する処理回路と、前記周波数調整信号に対応する周波数の前記クロック信号を生成する発振回路と、を含み、前記処理回路は、GNSS受信器からの捕捉衛星情報とPPS出力情報に基づいて前記PPS信号の確度誤差を推定し、前記確度誤差に基づいて前記位相差信号を補正するクロック信号生成装置に関係する。
また本開示の他の態様は、PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する位相比較回路と、周波数調整信号に対応する周波数の前記クロック信号を生成する発振回路と、を含むクロック信号生成装置の制御プログラムであって、GNSS受信器から捕捉衛星情報とPPS出力情報を取得するステップと、前記捕捉衛星情報と前記PPS出力情報に基づいて前記PPS信号の確度誤差を推定するステップと、前記確度誤差に基づいて前記位相差信号を補正するステップと、補正された前記位相差信号に基づいて前記周波数調整信号を出力するステップと、をコンピューターに実行させる制御プログラムに関係する。
また本開示の更に他の態様は、PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する位相比較回路と、周波数調整信号に対応する周波数の前記クロック信号を生成する発振回路と、を含むクロック信号生成装置の制御方法であって、GNSS受信器から捕捉衛星情報とPPS出力情報を取得するステップと、前記捕捉衛星情報と前記PPS出力情報に基づいて前記PPS信号の確度誤差を推定するステップと、前記確度誤差に基づいて前記位相差信号を補正するステップと、補正された前記位相差信号に基づいて前記周波数調整信号を出力するステップと、を含む制御方法に関係する。
GNSS受信器が出力するPPS信号に同期したクロック信号を生成する手法の原理的な説明図。 マルチパスによる衛星信号受信タイミングの誤差の説明図。 本実施形態におけるクロック信号生成装置の第1構成例。 PPSタイミングの確度誤差と精度誤差を説明する図。 クロック信号生成装置10が行う処理のフローチャート。 GNSS受信器がPPS信号のバイアス値を算出する手法の説明図。 確度補正部が行う確度補正の説明図。 精度誤差のランク分けを示す表。 精度補正部による時定数制御の波形例。 クロック信号生成装置の第2構成例。 ホールドオーバー判定部の動作を説明する図。 ホールドオーバー判定部の動作を説明する図。
以下、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが必須構成要件であるとは限らない。
1.時刻同期クロック信号のタイミング誤差について
図1は、GNSS受信器が出力するPPS信号に同期したクロック信号を生成する手法の原理的な説明図である。なお、GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。
図1に示すように、GNSS受信器200がGNSS衛星SAT1~SAT4を捕捉しているとし、iが1以上の整数であるとする。GNSS衛星SATiが衛星信号を送信した時刻をtuとする。この時刻tuは、GNSS衛星SATiの内部時計の時刻である。GNSS受信器200は、GNSS衛星SATiの衛星信号から、時刻tuを取得する。また、衛星のエフェメリス情報からGNSS衛星SATiの位置(xi,yi,zi)を求める。またGNSS受信器200は、GNSS衛星SATiからの衛星信号を受信した時刻tiを求める。この時刻tiは、GNSS受信器200の内部時計における時刻である。
GNSS受信器200は、時刻tuと時刻tiから、GNSS衛星SATiとGNSS衛星SATiの距離(ti-tu)×cを求める。cは光速である。GNSS受信器200は、距離(ti-tu)×cを用いて測位処理を行うことでGNSS受信器200の位置(x,y,z)とバイアス値Δtiとを推定する。各パラメーターの関係は、図1の式F1により示される。
バイアス値は、基準時刻とGNSS受信器200の内部時計との時間差を意味しており、Δtiは、各GNSS衛星SATiについて推定されたバイアス値を示す。基準時刻は例えばUTCであり、UTCはCoordinated Universal Timeの略である。GNSS受信器200は、バイアス値Δtiを用いてGNSS受信器200の内部時計の時間差の真値を推定し、その時間差を補正したタイミングでPPS信号PPSQを出力することで、推定基準時刻に対応したタイミングのPPS信号PPSQを出力する。
同期回路210は、PPS信号PPSQに位相同期したクロック信号CLKを生成することで、基準時刻に時刻同期したクロック信号CLK及び1PPSを出力する。
仮に各パラメーター及び測位処理に全く誤差がないと仮定した場合、バイアス値Δtiはゼロとなり、GNSS受信器200の内部時計は基準時刻を示し、GNSS受信器200は基準時刻に対応した正確なタイミングのPPS信号PPSQを出力する。また同期回路210は、基準時刻に正確に時刻同期したクロック信号CLKと1PPSを出力する。しかし、衛星内部時計の誤差、電離層遅延による衛星信号受信タイミングの誤差、GNSS受信機内部の発振器に起因するクロック誤差、マルチパスによる衛星信号受信タイミングの誤差、又は測位処理の演算誤差等の様々な誤差によって、バイアス値Δtiはゼロでない値をとり得る。このため、バイアス値Δtiから推定されたPPS信号のバイアス値にも誤差が含まれ、GNSS受信器200が出力するPPS信号PPSQにタイミング誤差が生じる。そして、PPS信号PPSQのタイミング誤差の影響を受けて、クロック信号CLKの時刻同期精度が低下することになる。
図2に、誤差要因の一例として、マルチパスによる衛星信号受信タイミングの誤差の説明図を示す。
マルチパスとは、GNSS衛星SATiからGNSS受信器200に衛星信号が直接的に到達する経路以外に、建築物又は地形等により衛星信号が間接的に到達する経路が発生することである。図2において、実線矢印は直接波を示し、破線矢印は間接波を示す。図2には、直接波が建築物により遮られ、建築物により反射された間接波がGNSS受信器200のアンテナに到達する例を示している。
間接波の経路は直接波の経路より長いため、間接波がGNSS受信器200に受信される時刻ti’は、直接波がGNSS受信器200に受信される時刻tiより遅い。この間接波の受信時刻ti’から求められた衛星信号伝搬距離(ti’-tu)×cは、直接波の経路の衛星信号伝搬距離(ti-tu)×cよりも長くなっており、それが測位の誤差要因となる。また、図1の式F1において、riは、衛星と受信機の位置情報から算出されており、衛星信号伝搬距離(ti’-tu)×cが有する誤差は、バイアス値Δtiの誤差要因となることが分かる。
例えば、都市部のように建築物が密集した環境、或いは山間部のように地形による反射が起きやすい環境において、マルチパスによるバイアス誤差が発生しやすい。そのような環境においては、マルチパスの影響によってクロック信号CLKの時刻同期精度が低下するおそれがある。いわゆるオープンスカイの環境においてはマルチパスの影響を受けにくいが、ITS等の発達によって非オープンスカイの環境においても時刻同期クロック信号が必要な状況が増加しており、マルチパスが生じやすい非オープンスカイ環境において時刻同期クロック信号の精度向上が望まれる。なお、ITSは、Intelligent Transport Systemsの略である。
2.第1構成例
図3は、本実施形態におけるクロック信号生成装置10の第1構成例である。クロック信号生成装置10は、位相比較回路110と処理回路120と発振回路150と分周回路160とを含む。またクロック信号生成装置10はGNSS受信器200を更に含んでもよい。
GNSS受信器200は、GNSS衛星からの衛星信号を受信し、その衛星信号に基づいて測位を行う。GNSSは、一例としてはGPSであるが、QZSS、GLONASS又はGalileo等の衛星測位システムであってよい。GPSはGlobal Positioning Systemの略であり、QZSSはQuasi-Zenith Satellite Systemの略であり、GLONASSはGLObal NAvigation Satellite Systemの略である。GNSS受信器200は、測位により得られる時刻情報に基づいてPPS信号PPSQを出力する。PPS信号PPSQは基準信号又は時刻パルスとも呼ばれ、1秒間隔で出力されるパルス信号である。またGNSS受信器200は、測位処理において求めた内部パラメーターである捕捉衛星情報ISAT及びPPS出力情報IPPSを出力する。
捕捉衛星情報ISATは、GNSS受信器200が捕捉しているGNSS衛星に関するパラメーターである。捕捉衛星情報ISATは、測位処理の過程で算出される内部パラメーターであり、具体的には、各GNSS衛星信号を用いて算出したバイアス値と、GNSS受信器200のクロックドリフト値である。バイアス値は、上述したように、基準時刻とGNSS受信器200の内部時計との時間差である。クロックドリフト値は、GNSS受信器200が衛星信号を受信する際に用いるクロック信号の周波数ドリフトである。GNSS受信器200が受信した衛星信号の受信周波数をfrとし、GNSS衛星が送信する衛星信号の搬送波周波数をfcとし、ドップラー周波数をfdopとし、クロックドリフト値をdとしたとき、GNSS受信器200は下式(1)によりクロックドリフト値dを算出する。ドップラー周波数をfdopは、GNSS衛星の速度とGNSS受信器200の速度によって決まる周波数である。
Figure 2022147906000002
PPS出力情報IPPSは、PPS信号のタイミングに関するパラメーターである。具体的には、PPS出力情報IPPSは、PPS信号のバイアス値である。PPS信号のバイアス値は、上述したように、GNSS受信器200により捕捉されている複数のGNSS衛星のバイアス値から算出される。GNSS受信器200は、例えば複数のGNSS衛星のバイアス値を平均し、その平均値をPPS信号のバイアス値とする。
位相比較回路110、処理回路120、発振回路150及び分周回路160は、PLL回路を構成する。このPLL回路は、PPS信号PPSQに位相同期したクロック信号CLKを生成する。以下、PLL回路がデジタルPLL回路である例を説明するが、PLL回路はアナログPLL回路であってもよい。
分周回路160は、発振回路150が出力したクロック信号CLKの周波数をfとしたとき、クロック信号CLKの周波数を1/fに分周することで、PPS信号PPSQと同じ周波数の分周クロック信号DCLKを出力する。また分周回路160は、クロック信号CLKの周波数を1/fに分周することで、PPS信号PPSQ2を出力する。PPS信号PPSQ2は、分周クロック信号DCLKであってもよい。
位相比較回路110は、PPS信号PPSQと分周クロック信号DCLKの位相を比較し、その結果を位相差信号PHとして出力する。位相比較回路110は、例えばTDCであり、PPS信号PPSQと分周クロック信号DCLKの時間差をデジタル値に変換し、そのデジタル値を位相差信号PHとして出力する。なお、TDCは、Time Digital Convertorの略である。
処理回路120は、位相差信号PH、捕捉衛星情報ISAT及びPPS出力情報IPPSに基づいて、発振回路150の発振周波数を調整する周波数調整信号LPQを出力する。処理回路120は、捕捉衛星情報ISAT及びPPS出力情報IPPSに基づいて、クロック信号CLKの時刻同期に関する確度補正及び精度補正を行う。具体的には、処理回路120は、確度補正部121と精度補正部122と位相補正部130とローパスフィルター140とを含む。
確度補正部121は、PPSタイミングの確度誤差を推定し、その確度誤差に基づいて、クロック信号CLKの位相を補正する位相補正値ΔPHを出力する。位相補正部130は、位相差信号PHと位相補正値ΔPHを加算し、補正後位相差信号PHCを出力する。位相補正部130は、例えば加算器である。
精度補正部122は、PPSタイミングの精度誤差を算出し、その精度誤差に基づいてPLL回路の時定数を制御する制御信号CNTを出力する。ローパスフィルター140は、制御信号CNTにより指示される時定数で、補正後位相差信号PHCに対するローパスフィルター処理を行い、その結果を周波数調整信号LPQとして出力する。ローパスフィルター140はデジタルフィルターであり、デジタル値の周波数調整信号LPQを出力する。なお、確度誤差と精度誤差について、及び処理回路120の各部の詳細については、図4以降で説明する。
発振回路150は、周波数調整信号LPQに応じた発振周波数で発振することで、周波数調整信号LPQに応じた周波数のクロック信号CLKを生成する。発振回路150として様々なタイプのデジタル制御発振器を採用できるが、一例としては、発振回路150はD/A変換回路と電圧制御発振器で構成される。D/A変換回路は、周波数調整信号LPQをD/A変換して周波数調整電圧を出力し、電圧制御発振器は、周波数調整電圧に応じた発振周波数で発振する。
なお、上記では処理回路120がデジタル値の周波数調整信号を出力するが、処理回路120がアナログ信号の周波数調整信号を出力してもよい。例えば、上記において発振回路150に含まれるとしたD/A変換回路と電圧制御発振器のうちD/A変換回路が処理回路120に含まれてもよい。この場合、D/A変換回路が出力する周波数調整電圧が、処理回路120が出力する周波数調整信号に相当することになる。或いは、PLL回路がアナログPLL回路である場合、ローパスフィルター140は抵抗とキャパシター等で構成されるアナログフィルターであり、ローパスフィルター140がアナログ信号の周波数調整信号を出力してもよい。
クロック信号生成装置10のハードウェア構成は種々可能であるが、一例としては、処理回路120はCPU又はマイクロコンピューター等のプロセッサーにより構成され、位相比較回路と発振回路150と分周回路160が1又は複数の集積回路装置により構成される。この場合、確度補正部121と精度補正部122と位相補正部130とローパスフィルター140の処理が記述された制御プログラムを不図示のメモリーが記憶しており、プロセッサーは、不図示のメモリーに記憶された制御プログラムを実行することで、確度補正部121と精度補正部122と位相補正部130とローパスフィルター140の処理を実現する。或いは、確度補正部121と精度補正部122がプロセッサーにより構成され、位相比較回路110と位相補正部130とローパスフィルター140と発振回路150と分周回路160とが1又は複数の集積回路装置により構成されてもよい。
図4と図5は、PPSタイミングの確度誤差と精度誤差を説明する図である。PPSタイミングは、PPS信号のパルスのタイミングであり、確度誤差と精度誤差の「誤差」とは、UTCタイミングに対するPPSタイミングの誤差である。なお、ここでは基準時刻をUTCとするが、これに限定されるものではない。
図4上段に、PPSタイミングの出現率分布を示す。COPSは、オープンスカイ環境で取得される出現率分布を示し、CMLPはマルチパス環境で取得される出現率分布を示す。横軸に付した「UTC」は真のUTCタイミングを示し、各出現率分布から推定されるUTCタイミングを推定UTCタイミングと呼ぶこととする。推定UTCタイミングは、例えば出現率分布のピークに対応したタイミングである。
PPSタイミングの誤差は時間的に変動することから、その出現率分布はある程度の幅を有しており、その幅が精度誤差である。出現率分布の幅は、例えば出現率分布の標準偏差である。図4ではオープンスカイ環境における出現率分布COPSの精度誤差を示しているが、同様にマルチパス環境における出現率分布CMLPの精度誤差を定義できる。
オープンスカイ環境における出現率分布COPSは、おおよそ真のUTCタイミング付近に分布すると想定されるので、出現率分布COPSから推定される推定UTCタイミングは真のUTCタイミングに近いと想定される。一方、マルチパス環境における出現率分布CMLPは、マルチパスの影響によって、真のUTCタイミングから離れたところに分布すると想定される。即ち、出現率分布CMLPから推定される推定UTCタイミングと真のUTCタイミングとの差が、オープンスカイ環境よりも大きいと想定される。このような、推定UTCタイミングと真のUTCタイミングとの差が確度誤差である。なお、ここではマルチパス環境を例に確度誤差を説明しているが、環境に関わらず確度誤差は存在している。
図4下段に、PPSタイミング誤差の時間変化を示す。ここでは、マルチパスにより一時的に確度誤差が大きくなる波形例を示している。縦軸の「0」は、PPSタイミング誤差ゼロ、即ち真のUTCタイミングを示す。
PPSタイミングが真のUTCタイミングから離れて変動しているとき、そのPPSタイミングの変動の中心と真のUTCタイミングとの差が確度誤差に対応する。そして、UTCタイミングから離れて変動するPPSタイミングの、その変動の大きさが精度誤差に対応する。
以下、クロック信号生成装置10が行う処理の詳細を説明する。図5は、クロック信号生成装置10が行う処理のフローチャートである。
ステップS1において、GNSS受信器200は、衛星信号に基づいて測位処理を行う。ステップS2において、GNSS受信器200は、測位処理の結果に基づいてPPSタイミングを演算し、PPS信号PPSQを生成する。ステップS3において、GNSS受信器200は、生成したPPS信号PPSQを出力する。またGNSS受信器200は、測位処理において得られた捕捉衛星情報ISAT及びPPS出力情報IPPSを出力する。
ステップS4において、確度補正部121は、捕捉衛星情報ISAT及びPPS出力情報IPPSに基づいてPPSタイミングの確度誤差を推定し、その確度誤差に対応する位相補正値を出力する。ステップS5において、位相補正部130は、位相補正値に基づいて位相差信号PHを補正することで、確度誤差の補正を行う。図6と図7を用いて確度補正の詳細を説明する。
図6は、GNSS受信器200がPPS信号のバイアス値を算出する手法の説明図である。ここではGNSS受信器200が7つのGNSS衛星を捕捉しており、その各GNSS衛星のバイアス値Δt1~Δt7が得られたとする。GNSS受信器200は、バイアス値Δt1~Δt7の平均値を求め、その平均値をPPS信号のバイアス値Δtppsとする。このバイアス値Δtppsは、GNSS受信器200が推定した推定UTCタイミングに相当する。
バイアス値Δt5とΔt6のように、マルチパス等の影響によって真のUTCタイミングから大きく離れたバイアス値が存在する場合、バイアス値Δt1~Δt7の平均値であるPPS信号のバイアス値Δtppsの誤差、即ち推定UTCタイミングの誤差が大きくなる。GNSS受信器200は、バイアス値Δtppsに対応したタイミングでPPS信号PPSQを出力するので、本実施形態の確度補正を行うことなくPPS信号PPSQとクロック信号CLKを位相同期させた場合、クロック信号CLKの時刻同期精度が低下する。
なお、GNSS受信器200は、捕捉したGNSS衛星のバイアス値Δt1~Δt7のうち一部を取捨選択し、選択したバイアス値からPPS信号のバイアス値を算出してもよい。その場合、GNSS受信器200は、捕捉したGNSS衛星のバイアス値Δt1~Δt7を全て捕捉衛星情報ISATとして出力する。
図7は、確度補正部121が行う確度補正の説明図である。確度補正部121は、GNSS衛星のバイアス値Δt1~Δt7から統計値Δtstを求める。この統計値Δtstは、確度補正部121が推定した推定UTCタイミングに相当する。統計値Δtstは、GNSS受信器200がPPS信号のバイアス値Δtppsを求めるときの統計処理とは異なる統計処理で算出された値である。図7には、統計値がバイアス値Δt1~Δt7の中央値である例を示すが、統計値は中央値に限定されず、例えば最頻値であってもよい。図7の例ではバイアス値Δt3が中央値なので、統計値はΔtst=Δt3である。
確度補正部121は、統計値ΔtstとPPS信号のバイアス値Δtppsに基づいて確度誤差Δtkeを推定する。具体的には、確度補正部121は、確度誤差をΔtke=Δtpps-Δtstにより推定する。確度補正部121は、推定した確度誤差Δtkeを、位相比較回路110における位相差に換算し、その位相差を位相補正値ΔPHとして出力する。ここでは、確度誤差Δtkeが正の値であるとき、負の位相補正値ΔPHに換算されるとする。位相補正部130が位相差信号PHに位相補正値ΔPHを加算することで、確度誤差Δtkeに対応する位相差が位相差信号PHから減算される。これにより、補正後位相差信号PHCは、統計値Δtstに対応したタイミングのPPS信号と、分周クロック信号DCLKとの位相比較結果と等価になる。即ち、クロック信号CLKが、確度補正部121が推定した推定UTCタイミングに同期されることと、等価になる。
図7に示すように、中央値又は最頻値である統計値Δtstは、真のUTCタイミング付近にあるバイアス値から選ばれる可能性が高いので、マルチパスの影響を受けたバイアス値Δt5とΔt6の影響を受けにくい。このため、確度補正部121が推定した推定UTCタイミングは真のUTCタイミング付近にある可能性が高いので、確度補正により位相同期タイミングを補正することで、位相同期タイミングが真のUTCタイミングに近くなり、高精度に時刻同期したクロック信号CLKが得られる。
図5のステップS6において、精度補正部122は、捕捉衛星情報ISAT及びPPS出力情報IPPSに基づいてPPSタイミングの精度誤差を推定する。ステップS7において、精度補正部122は、推定した精度誤差を、予め設定された複数のランクのうちいずれのランクに該当するかを判定し、その判定結果のランクに対応した時定数を指示する制御信号CNTを出力する。ステップS8において、ローパスフィルター140は、ローパスフィルター処理の時定数を、制御信号CNTにより指示された時定数に設定する。これにより、PLL回路の時定数が、精度誤差のランクに応じた時定数に制御される。以降、再びステップS1に戻り、ステップS1~S8が実行される。図8と図9を用いて精度補正の詳細を説明する。
図8は、精度誤差のランク分けを示す表である。精度補正部122は、精度誤差としてバイアス観測誤差Δerrorの標準偏差σを求め、その標準偏差σに応じてローパスフィルター140の時定数を設定する。
精度補正部122は、下式(2)によりバイアス観測誤差Δerrorを求める。(k)は、k番目のPPSパルスを演算する際に得られた結果であることを示す。tdriftは、PPSタイミングのドリフトであり、上式(1)のクロックドリフト値dに対応する。
Figure 2022147906000003
精度補正部122は、下式(3)によりバイアス観測誤差Δerrorの標準偏差σを求める。nは、標準偏差σの演算に用いられるΔerrorの総数である。即ち、所定の期間中にバイアス観測誤差Δerrorがn個求まるとしたとき、精度補正部122は、そのn個のバイアス観測誤差Δerrorから標準偏差σを求める。Δerrorの上にバーを付した記号は、j=k+1~k+nまでのn個のΔerror(j)の平均値を示す。
Figure 2022147906000004
図8に示すように、標準偏差σの閾値σ1、σ2が、例えば不図示のレジスター等に予め設定される。精度補正部122は、ローパスフィルター140の時定数を、標準偏差がσ≦σ1のときT1に設定し、標準偏差がσ1<σ≦σ2のときT2に設定し、標準偏差がσ2<σのときT3に設定する。T3>T2>T1である。
図9は、精度補正部122による時定数制御の波形例である。上式(2)と(3)により、所定間隔でバイアス観測誤差Δerrorの標準偏差σが得られる。例えば、精度補正部122は、1PPSタイミング毎に標準偏差σを求める。精度補正部122は、σ≦σ1からσ1<σ≦σ2に変化したとき、時定数をT1からT2に変化させ、σ1<σ≦σ2からσ≦σ1に変化したとき、時定数をT2からT1に変化させる。
精度誤差である標準偏差σが大きいほどPPSタイミングの時間変動が大きくなるが、ローパスフィルター140の時定数が長く設定されることで、PLL回路による同期がPPSタイミングの時間変動に影響されにくくなる。これにより、PPSタイミングの精度誤差が大きい状況であっても、高精度に時刻同期したクロック信号CLKが得られる。
以上の本実施形態では、クロック信号生成装置10は位相比較回路110と処理回路120と発振回路150とを含む。位相比較回路110は、PPS信号PPSQとクロック信号CLKの位相比較を行い、位相差信号PHを出力する。処理回路120は、位相差信号PHに基づいて周波数調整信号LPQを出力する。発振回路150は、周波数調整信号LPQに対応する周波数のクロック信号CLKを生成する。処理回路120は、GNSS受信器200からの捕捉衛星情報ISATとPPS出力情報IPPSに基づいてPPS信号PPSQの確度誤差を推定し、その確度誤差に基づいて位相差信号PHを補正する。
捕捉衛星情報ISATはGNSS受信器200においてUTCタイミングの推定に用いられていることから、処理回路120は、捕捉衛星情報ISATを用いてUTCタイミングを推定し直すことが可能である。処理回路120は、その推定し直したUTCタイミングとPPS出力情報IPPSに基づいて、PPS信号PPSQの確度誤差を推定できる。その確度誤差により位相差信号PHが補正されることで、クロック信号CLKを、推定し直したUTCタイミングに同期させることが可能になる。これにより、マルチパス等の影響によりPPS信号PPSQの確度誤差が大きい場合であっても、高精度に時刻同期したクロック信号CLKが得られる。
また本実施形態では、捕捉衛星情報ISATは、複数の衛星のバイアス値Δt1~Δt7を含む。PPS出力情報IPPSは、PPS信号PPSQのバイアス値Δtppsを含む。
バイアス値は、UTCとGNSS受信器200の内部時刻との時間差を示している。このことから、処理回路120は、複数のGNSS衛星のバイアス値Δt1~Δt7を用いることで、UTCタイミングを推定できる。そして、処理回路120は、推定UTCタイミングとPPS信号PPSQのバイアス値Δtppsから、PPS信号PPSQの確度誤差を推定できる。
また本実施形態では、処理回路120は、複数の衛星のバイアス値Δt1~Δt7から求めた統計値Δtstと、PPS信号のバイアス値Δtppsとの差分を、確度誤差Δtkeとして求める。
本実施形態によれば、処理回路120が、複数のGNSS衛星のバイアス値Δt1~Δt7から統計値Δtstを求めることで、UTCタイミングを推定できる。UTCタイミングに対するPPSタイミングの誤差が確度誤差なので、処理回路120が、推定UTCタイミングとPPS信号のバイアス値Δtppsとの差分を求めることで、確度誤差を推定できる。
また本実施形態では、統計値は、中央値又は最頻値である。
図6で説明したように、バイアス値Δt1~Δt7のうち一部のバイアス値がマルチパス等の影響で大きな値である場合、それ以外の多数のバイアス値は小さな値であり、真のUTCタイミング付近に存在すると考えられる。このため、バイアス値Δt1~Δt7の中央値又は最頻値によりUTCタイミングを推定することで、真のUTCタイミングに近い推定UTCタイミングが得られる。
また本実施形態では、処理回路120は、確度誤差Δtkeにより補正された位相差信号PHCのローパスフィルター処理を行い、周波数調整信号LPQを出力する。
本実施形態によれば、位相比較回路110、処理回路120及び発振回路150を含むPLL回路が構成され、このPLL回路がPPS信号PPSQとクロック信号CLKを位相同期させることで、時刻同期したクロック信号CLKを生成する。そして、処理回路120が確度補正を行うことで、PPS信号PPSQの確度誤差が時刻同期に与える影響を低減できる。
また本実施形態では、処理回路120は、捕捉衛星情報ISATとPPS出力情報IPPSに基づいてPPS信号PPSQの精度誤差を推定し、その精度誤差に基づいてローパスフィルター処理の時定数を設定する。
図4下段等で説明したように、PPS信号PPSQの精度誤差は、PPSタイミング誤差の時間変動を示している。ローパスフィルター処理の時定数を制御することでPLL回路の時定数を制御することが可能であり、ローパスフィルター処理の時定数が大きいほどPLL回路がPPS信号PPSQに追従しにくくなる。本実施形態によれば、処理回路120が精度誤差に応じてPLL回路の時定数を制御できることで、精度誤差に応じてPPS信号PPSQへの追従性を制御できる。
また本実施形態では、処理回路120は、精度誤差が第1範囲に属するとき、時定数を第1時定数に設定する。処理回路120は、精度誤差が、第1範囲より大きい第2範囲に属するとき、時定数を、第1時定数より長い第2時定数に設定する。なお、図8の例では、精度誤差が標準偏差σであり、第1範囲がσ≦σ1であり、第1時定数がT1であり、第2範囲がσ1<σ≦σ2であり、第2時定数がT2である。
本実施形態によれば、精度誤差が大きいほどローパスフィルター処理の時定数が大きくなるので、精度誤差が大きいほどPLL回路がPPS信号PPSQに追従しにくくなる。これにより、PPSタイミング誤差の時間変動が大きい場合であっても、その時間変動が時刻同期の精度に与える影響が低減されるので、高精度に時刻同期したクロック信号CLKが得られる。
また本実施形態の手法は、以下の制御プログラムとして実施可能である。即ち、制御プログラムは、クロック信号生成装置10の制御プログラムである。クロック信号生成装置10は、PPS信号PPSQとクロック信号CLKの位相比較を行うことで位相差信号PHを出力する位相比較回路110と、周波数調整信号LPQに対応する周波数のクロック信号CLKを生成する発振回路150と、を含む。制御プログラムは、GNSS受信器200から捕捉衛星情報ISATとPPS出力情報IPPSを取得するステップと、捕捉衛星情報ISATとPPS出力情報IPPSに基づいてPPS信号PPSQの確度誤差Δtkeを推定するステップと、確度誤差Δtkeに基づいて位相差信号PHを補正するステップと、補正された位相差信号PHCに基づいて周波数調整信号LPQを出力するステップと、をコンピューターに実行させる。
また本実施形態の手法は、以下の制御方法として実施可能である。即ち、制御方法は、クロック信号生成装置10の制御方法である。クロック信号生成装置10は、PPS信号PPSQとクロック信号CLKの位相比較を行うことで位相差信号PHを出力する位相比較回路110と、周波数調整信号LPQに対応する周波数のクロック信号CLKを生成する発振回路150と、を含む。制御方法は、GNSS受信器200から捕捉衛星情報ISATとPPS出力情報IPPSを取得するステップと、捕捉衛星情報ISATとPPS出力情報IPPSに基づいてPPS信号PPSQの確度誤差Δtkeを推定するステップと、確度誤差Δtkeに基づいて位相差信号PHを補正するステップと、補正された位相差信号PHCに基づいて周波数調整信号LPQを出力するステップと、を含む。
3.第2構成例
図10は、クロック信号生成装置10の第2構成例である。第2構成例では、処理回路120が、ホールドオーバー判定部123とホールドオーバー処理部170と確度補正部121と精度補正部122と位相補正部130とローパスフィルター140とを含む。なお、既に説明した構成要素には同一の符号を付し、その構成要素についての説明を適宜に省略する。
ホールドオーバー判定部123は、PLL回路をホールドオーバー遷移させるか否かを判定し、その結果をホールドオーバー信号HOLDとして出力する。具体的には、ホールドオーバー判定部123は、捕捉衛星情報ISATであるGNSS衛星のバイアス値と、確度補正部121が求めた統計値Δtstとに基づいて、上記判定を行う。
ホールドオーバー処理部170は、ホールドオーバー信号HOLDに基づいて選択した周波数調整信号HDQを、発振回路150に出力する。ホールドオーバー処理部170は、PLL同期を指示するホールドオーバー信号HOLDが入力されたとき、ローパスフィルター140が出力する周波数調整信号LPQを選択し、周波数調整信号HDQとして出力する。ホールドオーバー処理部170は、ホールドオーバーを指示するホールドオーバー信号HOLDが入力されたとき、ホールドオーバー用の周波数調整信号を選択し、周波数調整信号HDQとして出力する。例えば、ホールドオーバー処理部170は、PLL同期からホールドオーバーに切り替わる直前にローパスフィルター140が出力している周波数調整信号LPQを保持し、その保持した周波数調整信号LPQをホールドオーバー用の周波数調整信号とする。或いは、ホールドオーバー処理部170は、上記保持した周波数調整信号LPQを初期値として、エージング等による自走発振周波数の時間変化を考慮した補正処理を行うことで、ホールドオーバー用の周波数調整信号を生成してもよい。
図11と図12は、ホールドオーバー判定部123の動作を説明する図である。図11と図12に示すように、ホールドオーバー判定部123は、統計値Δtstを中心とする所定範囲RA内にバイアス値が入るGNSS衛星の数を求める。その衛星数をNraとし、GNSS受信器200により捕捉されたGNSS衛星の総数をNとする。ホールドオーバー判定部123は、図11に示すように(Nra/N)×100%≧50%であるとき、PLL回路の同期を維持すると判定し、図12に示すように(Nra/N)×100%<50%であるとき、PLL回路をホールドオーバー遷移させると判定する。
統計値Δtstは、確度補正部121がバイアス値の中央値又は最頻値を求めることで推定した推定UTCタイミングである。図11に示すように、マルチパスの影響を受けたGNSS衛星が少数であり、直接波が受信されるGNSS衛星が支配的である場合、推定UTCタイミング付近にバイアス値の多くが集まる。この場合、バイアス値の中央値又は最頻値が真のUTCタイミング付近にある可能性が高い。一方、図12に示すように、マルチパスの影響を受けたGNSS衛星が多数あり、直接波が受信されるGNSS衛星が支配的でない場合、推定UTCタイミング付近に存在するバイアス値が少ない。この場合、バイアス値の中央値又は最頻値が真のUTCタイミング付近にない可能性がある。このため、ホールドオーバー判定部123は、(Nra/N)×100%<50%の条件を満たし、推定UTCタイミング付近に存在するバイアス値が少ないと判定した場合には、推定UTCタイミングの信頼性が低いと判断し、PLL回路をホールドオーバー遷移させる。
以上の本実施形態では、処理回路120は、統計値Δtstを中心とする所定範囲RA内にバイアス値が属する衛星の数が、捕捉衛星数の所定割合未満であるとき、ホールドオーバー処理を行う。
本実施形態によれば、統計値Δtstを中心とする所定範囲RA内にバイアス値が属する衛星の数が、捕捉衛星数の所定割合未満であるとき、マルチパスの影響を受けたGNSS衛星が多数あり、直接波が受信されるGNSS衛星が支配的でないと判断できる。このようなPPS信号PPSQの信頼性が低い場合に、処理回路120がPLL回路をホールドオーバー遷移させることで、クロック信号CLKがPPS信号PPSQに同期しなくなるので、信頼性が低いPPS信号PPSQにクロック信号CLKが同期しなくなる。
以上に説明した本実施形態のクロック信号生成装置は、位相比較回路と処理回路と発振回路とを含む。位相比較回路は、PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する。処理回路は、位相差信号に基づいて周波数調整信号を出力する。発振回路は、周波数調整信号に対応する周波数のクロック信号を生成する。処理回路は、GNSS受信器からの捕捉衛星情報とPPS出力情報に基づいてPPS信号の確度誤差を推定し、確度誤差に基づいて位相差信号を補正する。
捕捉衛星情報はGNSS受信器においてUTCタイミングの推定に用いられていることから、処理回路は、捕捉衛星情報を用いてUTCタイミングを推定し直すことが可能である。処理回路は、その推定し直したUTCタイミングとPPS出力情報に基づいて、PPS信号の確度誤差を推定できる。その確度誤差により位相差信号が補正されることで、クロック信号を、推定し直したUTCタイミングに同期させることが可能になる。これにより、マルチパス等の影響によりPPS信号の確度誤差が大きい場合であっても、高精度に時刻同期したクロック信号が得られる。
また本実施形態では、捕捉衛星情報は、複数の衛星のバイアス値を含んでもよい。PPS出力情報は、PPS信号のバイアス値を含んでもよい。
バイアス値は、UTCとGNSS受信器の内部時刻との時間差を示している。このことから、処理回路は、複数の衛星のバイアス値を用いることで、UTCタイミングを推定できる。そして、処理回路は、推定UTCタイミングとPPS信号のバイアス値から、PPS信号の確度誤差を推定できる。
また本実施形態では、処理回路は、複数の衛星のバイアス値から求めた統計値と、PPS信号のバイアス値との差分を、確度誤差として求めてもよい。
本実施形態によれば、処理回路が、複数の衛星のバイアス値から統計値を求めることで、UTCタイミングを推定できる。UTCタイミングに対するPPSタイミングの誤差が確度誤差なので、処理回路が、推定UTCタイミングとPPS信号のバイアス値との差分を求めることで、確度誤差を推定できる。
また本実施形態では、統計値は、中央値又は最頻値であってもよい。
衛星のバイアス値のうち一部のバイアス値がマルチパス等の影響で大きな値である場合、それ以外の多数のバイアス値は小さな値であり、真のUTCタイミング付近に存在すると考えられる。このため、バイアス値の中央値又は最頻値によりUTCタイミングを推定することで、真のUTCタイミングに近い推定UTCタイミングが得られる。
また本実施形態では、処理回路は、統計値を中心とする所定範囲内にバイアス値が属する衛星の数が、捕捉衛星数の所定割合未満であるとき、ホールドオーバー処理を行ってもよい。
本実施形態によれば、統計値を中心とする所定範囲内にバイアス値が属する衛星の数が、捕捉衛星数の所定割合未満であるとき、マルチパスの影響を受けたGNSS衛星が多数あり、直接波が受信されるGNSS衛星が支配的でないと判断できる。このようなPPS信号の信頼性が低い場合に、処理回路がPLL回路をホールドオーバー遷移させることで、クロック信号がPPS信号に同期しなくなるので、信頼性が低いPPS信号にクロック信号が同期しなくなる。
また本実施形態では、処理回路は、確度誤差に基づいて補正された位相差信号のローパスフィルター処理を行い、周波数調整信号を出力してもよい。
本実施形態によれば、位相比較回路、処理回路及び発振回路を含むPLL回路が構成され、このPLL回路がPPS信号とクロック信号を位相同期させることで、時刻同期したクロック信号を生成する。そして、処理回路が確度補正を行うことで、PPS信号の確度誤差が時刻同期に与える影響を低減できる。
また本実施形態では、処理回路は、捕捉衛星情報とPPS出力情報に基づいてPPS信号の精度誤差を推定し、精度誤差に基づいてローパスフィルター処理の時定数を設定してもよい。
PPS信号の精度誤差は、PPSタイミング誤差の時間変動を示している。ローパスフィルター処理の時定数を制御することでPLL回路の時定数を制御することが可能であり、ローパスフィルター処理の時定数が大きいほどPLL回路がPPS信号に追従しにくくなる。本実施形態によれば、処理回路が精度誤差に応じてPLL回路の時定数を制御できることで、精度誤差に応じてPPS信号への追従性を制御できる。
また本実施形態では、処理回路は、精度誤差が第1範囲に属するとき、時定数を第1時定数に設定してもよい。処理回路は、精度誤差が、第1範囲より大きい第2範囲に属するとき、時定数を、第1時定数より長い第2時定数に設定してもよい。
本実施形態によれば、精度誤差が大きいほどローパスフィルター処理の時定数が大きくなるので、精度誤差が大きいほどPLL回路がPPS信号に追従しにくくなる。これにより、PPSタイミング誤差の時間変動が大きい場合であっても、その時間変動が時刻同期の精度に与える影響が低減されるので、高精度に時刻同期したクロック信号が得られる。
また本実施形態のクロック信号生成装置は、捕捉衛星情報とPPS出力情報を出力するGNSS受信器を含んでもよい。
また本実施形態の制御プログラムは、クロック信号生成装置の制御プログラムである。クロック信号生成装置は位相比較回路と発振回路とを含む。位相比較回路は、PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する。発振回路は、周波数調整信号に対応する周波数のクロック信号を生成する。制御プログラムは、GNSS受信器から捕捉衛星情報とPPS出力情報を取得するステップと、捕捉衛星情報とPPS出力情報に基づいてPPS信号の確度誤差を推定するステップと、確度誤差に基づいて位相差信号を補正するステップと、補正された位相差信号に基づいて周波数調整信号を出力するステップと、をコンピューターに実行させる。
また本実施形態の制御方法は、クロック信号生成装置の制御方法である。クロック信号生成装置は位相比較回路と発振回路とを含む。位相比較回路は、PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する。発振回路は、周波数調整信号に対応する周波数のクロック信号を生成する。制御方法は、GNSS受信器から捕捉衛星情報とPPS出力情報を取得するステップと、捕捉衛星情報とPPS出力情報に基づいてPPS信号の確度誤差を推定するステップと、確度誤差に基づいて位相差信号を補正するステップと、補正された位相差信号に基づいて周波数調整信号を出力するステップと、を含む。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本開示の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本開示の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本開示の範囲に含まれる。またGNSS受信器、位相比較回路、処理回路、発振回路、分周回路及びクロック信号生成装置等の構成及び動作等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
10…クロック信号生成装置、110…位相比較回路、120…処理回路、121…確度補正部、122…精度補正部、123…ホールドオーバー判定部、130…位相補正部、140…ローパスフィルター、150…発振回路、160…分周回路、170…ホールドオーバー処理部、200…GNSS受信器、210…PLL回路、CLK…クロック信号、IPPS…PPS出力情報、ISAT…捕捉衛星情報、LPQ…周波数調整信号、PH…位相差信号、PPSQ…PPS信号、RA…所定範囲、SAT1~SAT4…GNSS衛星、Δt1~Δt7…GNSS衛星のバイアス値、Δtke…確度誤差、Δtpps…PPS信号のバイアス値、Δtst…統計値、σ…標準偏差

Claims (11)

  1. PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する位相比較回路と、
    前記位相差信号に基づいて周波数調整信号を出力する処理回路と、
    前記周波数調整信号に対応する周波数の前記クロック信号を生成する発振回路と、
    を含み、
    前記処理回路は、
    GNSS受信器からの捕捉衛星情報とPPS出力情報に基づいて前記PPS信号の確度誤差を推定し、前記確度誤差に基づいて前記位相差信号を補正する特徴とするクロック信号生成装置。
  2. 請求項1に記載のクロック信号生成装置において、
    前記捕捉衛星情報は、複数の衛星のバイアス値を含み、
    前記PPS出力情報は、前記PPS信号のバイアス値を含むことを特徴とするクロック信号生成装置。
  3. 請求項2に記載のクロック信号生成装置において、
    前記処理回路は、
    前記複数の衛星のバイアス値から求めた統計値と、前記PPS信号のバイアス値との差分を、前記確度誤差として求めることを特徴とするクロック信号生成装置。
  4. 請求項3に記載のクロック信号生成装置において、
    前記統計値は、中央値又は最頻値であることを特徴とするクロック信号生成装置。
  5. 請求項3又は4に記載のクロック信号生成装置において、
    前記処理回路は、
    前記統計値を中心とする所定範囲内にバイアス値が属する衛星の数が、捕捉衛星数の所定割合未満であるとき、ホールドオーバー処理を行うことを特徴とするクロック信号生成装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記処理回路は、
    前記確度誤差に基づいて補正された前記位相差信号のローパスフィルター処理を行い、前記周波数調整信号を出力することを特徴とするクロック信号生成装置。
  7. 請求項6に記載のクロック信号生成装置において、
    前記処理回路は、
    前記捕捉衛星情報と前記PPS出力情報に基づいて前記PPS信号の精度誤差を推定し、前記精度誤差に基づいて前記ローパスフィルター処理の時定数を設定することを特徴とするクロック信号生成装置。
  8. 請求項7に記載の回路装置において、
    前記処理回路は、
    前記精度誤差が第1範囲に属するとき、前記時定数を第1時定数に設定し、
    前記精度誤差が、前記第1範囲より大きい第2範囲に属するとき、前記時定数を、前記第1時定数より長い第2時定数に設定することを特徴とするクロック信号生成装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載のクロック信号生成装置において、
    前記捕捉衛星情報と前記PPS出力情報を出力する前記GNSS受信器を含むことを特徴とするクロック信号生成装置。
  10. PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する位相比較回路と、周波数調整信号に対応する周波数の前記クロック信号を生成する発振回路と、を含むクロック信号生成装置の制御プログラムであって、
    GNSS受信器から捕捉衛星情報とPPS出力情報を取得するステップと、
    前記捕捉衛星情報と前記PPS出力情報に基づいて前記PPS信号の確度誤差を推定するステップと、
    前記確度誤差に基づいて前記位相差信号を補正するステップと、
    補正された前記位相差信号に基づいて前記周波数調整信号を出力するステップと、
    をコンピューターに実行させることを特徴とする制御プログラム。
  11. PPS信号とクロック信号の位相比較を行い、位相差信号を出力する位相比較回路と、周波数調整信号に対応する周波数の前記クロック信号を生成する発振回路と、を含むクロック信号生成装置の制御方法であって、
    GNSS受信器から捕捉衛星情報とPPS出力情報を取得するステップと、
    前記捕捉衛星情報と前記PPS出力情報に基づいて前記PPS信号の確度誤差を推定するステップと、
    前記確度誤差に基づいて前記位相差信号を補正するステップと、
    補正された前記位相差信号に基づいて前記周波数調整信号を出力するステップと、
    を含むことを特徴とする制御方法。
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