JP2022144467A - 車両用駆動装置 - Google Patents

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大樹 須山
Daiki Suyama
光彦 加藤
Mitsuhiko Kato
智晴 鈴木
Tomoharu Suzuki
博貴 ▲高▼柳
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Abstract

【課題】ハイブリッド車両用の車両用駆動装置の小型化を図り易くする。【解決手段】入力部材INと第1ロータ10とを駆動連結する第1伝達系1と、第1ロータ10と出力部材OUTとを駆動連結する第2伝達系2と、第2ロータ20と出力部材OUTとを駆動連結する第3伝達系3と、第1伝達系1における動力伝達を断接する第1係合装置CL1と、第2伝達系2における動力伝達を断接する第2係合装置CL2とを備え、入力部材INと第1係合装置CL1とが、第1軸A1上に配置され、第1回転電機MG1と第2係合装置CL2とが、第2軸A2上に配置され、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の軸方向Lの配置領域が、第1ロータ10の軸方向Lの配置領域と重複せず、第1係合装置CL1と第2係合装置CL2との軸方向Lの配置領域が重複している。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、第1回転電機と、第2回転電機と、これらの間を駆動連結する複数のギヤとを備えた車両用駆動装置に関する。
特許第5593117号公報には、発電機となる第1回転電機(GE)の回転軸(2)と同じ軸上に、車輪の動力源となる第2回転電機(MOT)と、第1の係合装置(CL3)と、第2の係合装置(CL4)とを備え、内燃機関(ENG)と第1回転電機(GE)とが増速機(10A)を介して駆動連結され、車輪に駆動連結される出力用差動歯車機構(45)と第2回転電機(MOT)とがカウンタギヤ機構(40)を介して駆動連結される構造のハイブリッド車両用の車両用駆動装置が開示されている(例えば図11)。尚、背景技術において括弧内に付す符号は、当該文献のものである。この車両用駆動装置は、内燃機関の動力により第1回転電機に発電させ、その電力で第2回転電機を駆動して出力部材を介して車輪を駆動するシリーズハイブリッド駆動、内燃機関、第1回転電機及び第2回転電機の駆動力により出力部材を介して車輪を駆動するパラレルハイブリッド駆動が可能である。
第1回転電機(GE)の回転軸(2)と、内燃機関(ENG)からの入力軸(1)と、カウンタギヤ機構(40)のカウンタ軸(3)とは、互いに平行な別軸である。また、第1の係合装置(CL3)及び第2の係合装置(CL4)は、第1回転電機(GE)及び第2回転電機(MOT)のロータの内周部に配置されている。
特許第5593117号公報
上記の構造では、回転電機のロータの内周部に例えばクラッチなどの係合装置を備えるため、回転電機の径が大きくなり易く、その結果、車両用駆動装置が径方向に大型化し易い。車両用駆動装置が径方向に大きくなることを抑制するために、回転電機の径を小さくしようとすると、必要な駆動力を得るために回転電機の軸方向の長さが長くなり易く、車両用駆動装置が軸方向に大型化し易い。また、回転電機の径を小さくするために2つの係合装置を回転電機に対して軸方向の外側に配置すると、車両用駆動装置が軸方向に更に大型化し易い。
上記背景に鑑みて、ハイブリッド車両用の車両用駆動装置の小型化を図り易くすることができる技術の提供が望まれる。
上記に鑑みた車両用駆動装置は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、車輪に駆動連結される出力部材と、第1ロータを備えた第1回転電機と、第2ロータを備えた第2回転電機と、前記入力部材と前記第1ロータとを駆動連結する第1伝達系と、前記第1ロータと前記出力部材とを駆動連結する第2伝達系と、前記第2ロータと前記出力部材とを駆動連結する第3伝達系と、前記第1伝達系における動力伝達を断接する第1係合装置と、前記第2伝達系における動力伝達を断接する第2係合装置と、を備え、前記入力部材と前記第1係合装置とが、第1軸上に配置され、前記第1回転電機と前記第2係合装置とが、前記第1軸と平行な別軸である第2軸上に配置され、前記第1軸及び前記第2軸に沿う方向を軸方向として、前記第1係合装置及び前記第2係合装置のそれぞれの前記軸方向の配置領域が、前記第1ロータの前記軸方向の配置領域と重複せず、前記第1係合装置と前記第2係合装置との前記軸方向の配置領域が重複している。
本構成によれば、シリーズハイブリッドモードとパラレルハイブリッドモードとの双方を実行可能なハイブリッド車両用の駆動装置を実現することができる。また、第1係合装置の軸方向の配置領域及び第2係合装置の軸方向の配置領域は、第1ロータの軸方向の配置領域と重複していない。このため、例えば、第1ロータの径方向の内側に、第1係合装置及び第2係合装置の少なくとも一方が配置された場合に比べて、第1ロータ及び第2ロータの小径化を図り易い。また、本実施形態では、この場合において、第1係合装置と第2係合装置とが互いに別軸に配置されており、さらに、第1係合装置の軸方向Lの配置領域と第2係合装置の軸方向の配置領域とが重複している。このため、両配置領域が重複してない場合に比べて、車両用駆動装置の軸方向の寸法の小型化を図り易い。このように、本構成によれば、ハイブリッド車両用の車両用駆動装置の小型化を図り易い。
車両用駆動装置のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する非限定的且つ例示的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
車両用駆動装置のスケルトン図 車両用駆動装置の模式的断面図 車両用駆動装置の軸方向視の模式的平面図 車両用駆動装置の他の構成例(第2車両用駆動装置)のスケルトン図 車両用駆動装置の他の構成例(第3車両用駆動装置)のスケルトン図 車両用駆動装置の他の構成例(第3車両用駆動装置)の模式的断面図
以下、車両用駆動装置の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明における各部材についての方向は、それらが車両用駆動装置に組み付けられた状態での方向を表す。また、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態を含む概念である。
また、本明細書では、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力(トルクと同義)を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が1つ又は2つ以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材(例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等)が含まれ、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置(例えば、摩擦係合装置、噛み合い式係合装置等)が含まれていてもよい。
また、本明細書では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線に直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの部材の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを意味する。また、本明細書では、2つの部材の配置に関して、「軸方向の配置領域が重複する」とは、一方の部材の軸方向の配置領域内に、他方の部材の軸方向の配置領域の少なくとも一部が含まれることを意味する。
図1、図2に示すように、車両用駆動装置100は、内燃機関EGに駆動連結される入力部材INと、車輪Wに駆動連結される出力部材OUTと、第1ロータ10を備えた第1回転電機MG1と、第2ロータ20を備えた第2回転電機MG2と、複数のギヤ機構とを備えている。本実施形態では、一対の車輪Wに対応して、一対の出力部材OUTが備えられている。図2に示すように、これらはケースCSに収容されている。尚、入力部材INの一部は、ケースCSの外部に露出している。
車両用駆動装置100は、入力部材INと出力部材OUTとの間に3つの駆動力の伝達系を備えている。第1伝達系1は、入力部材INと第1ロータ10とを駆動連結する伝達系である。第2伝達系2は、第1ロータ10と出力部材OUTとを駆動連結する伝達系である。第3伝達系3は、第2ロータ20と出力部材OUTとを駆動連結する伝達系である。第1伝達系1、第2伝達系2、第3伝達系3は、それぞれの動力伝達経路の一部又は全部が、他の伝達系の動力伝達経路と重複していてもよい。尚、第1伝達系1には、第1伝達系1における動力伝達を断接する第1係合装置CL1が備えられており、第2伝達系2には、第2伝達系2における動力伝達を断接する第2係合装置CL2が備えられている。
図1及び図2に示すように、入力部材INと第1係合装置CL1とは第1軸A1上に配置されている。第1回転電機MG1と第2回転電機MG2と第2係合装置CL2とは、第1軸A1と平行な別軸である第2軸A2上に配置されている。ここで、本明細書では、第1軸A1及び第2軸A2に沿う方向(平行な方向)を、車両用駆動装置100の「軸方向L」とし、その一方側を「軸方向第1側L1」、他方側を「軸方向第2側L2」とする。ここでは、入力部材INが内燃機関EGに接続される側を「軸方向第2側L2」とする。また、第1軸A1及び第2軸A2のそれぞれに直交する方向を、各軸を基準とした「径方向」と称する。尚、どの軸を基準とするかを区別する必要がない場合やどの軸を基準とするかが明らかである場合には、単に「径方向」と称する場合がある。上記の「軸方向L」及び「径方向」の定義は、第1軸A1及び第2軸A2に平行な別軸がさらに存在する場合も同様である。
詳細は後述するが、本実施形態では、図1及び図2に示すように、第2軸A2上には、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって、第1回転電機MG1,第2回転電機MG2、第2係合装置CL2が記載の順に並んで配置されている。また、図2に示すように、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、ケースCSが軸方向第1側L1に突出するように拡大された空間に配置されており、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2は、第2回転電機MG2よりも軸方向第2側L2に配置されている。従って、図2に示すように、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2のそれぞれの軸方向Lの配置領域は、第1ロータ10及び第2ロータ20の双方の軸方向Lの配置領域と重複していない。一方で、第1係合装置CL1と第2係合装置CL2との軸方向Lの配置領域は重複している、詳細は後述するが、これにより、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の径方向の小径化を図り易く、また、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法の小型化を図り易い。
本実施形態では、車両用駆動装置100が備える複数のギヤ機構には、カウンタギヤ機構CGと、出力用差動歯車機構DFとが含まれる。しかし、車両用駆動装置100は、これらのギヤ機構を備えることなく、複数のギヤ等の組み合わせによって、入力部材INと第1ロータ10とが駆動連結され、第1ロータ10と出力部材OUTとが起動連結され、第2ロータ20と出力部材OUTとが駆動連結される構成であってもよい。
カウンタギヤ機構CGは、第1カウンタギヤ61(第1ギヤG1)及び第1カウンタギヤ61と一体的に回転する第2カウンタギヤ62(第2ギヤG2)を備えている。カウンタギヤ機構CGは、第1軸A1及び第2軸A2と平行な別軸である第3軸A3上に配置されている。出力用差動歯車機構DFは、第2カウンタギヤ62に噛合う差動入力ギヤ71(第3ギヤをG3)備え、差動入力ギヤ71の回転を一対の出力部材OUTに分配する。出力用差動歯車機構DFは、第1軸A1、第2軸A2、及び第3軸A3と平行な別軸である第4軸A4上に配置されている。第2回転電機MG2が配置される第2軸A2には、第2ロータ20と一体的に回転する第2ロータギヤ25(第4ギヤG4)が配置されている。第1軸A1には、第2ロータギヤ25(第4ギヤG4)と第1カウンタギヤ61(第1ギヤG1)との双方に噛み合うアイドラギヤ4が配置されている。
第2軸A2に配置された第2回転電機MG2(第2ロータ20)と、第3軸A3に配置されたカウンタギヤ機構CG(第1カウンタギヤ61)との間で動力を伝達するアイドラギヤ4が、既存の第1軸A1上に配置されることで、車両用駆動装置100の軸数を増加させることがない。よって、車両用駆動装置100の大型化を抑制することができる。
尚、本実施形態では、図3に示すように、車両に搭載された状態で、第2軸A2は、第1軸A1よりも下方に配置されている。第2軸A2には、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2が配置されるため、図2に示すように、他の軸に比べて軸方向Lの寸法が長くなる傾向がある。第2軸A2を第1軸A1よりも下方に配置することにより、車両用駆動装置100の下部に比べて、上部を小型化し易くなる。その結果、車両用駆動装置100の上方に車両の他の部材を配置し易くなり、車両用駆動装置100を車両に搭載し易くすることができる。当然ながら、車両に充分に車両用駆動装置100の搭載空間が確保できるような場合には、第2軸A2が第1軸A1より下方に配置されなくてもよい。
上述したように、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを有している。そのため、第1回転電機MG1及びダウ2回転電機MG2は、それぞれ蓄電装置(不図示)と電気的に接続されている。この蓄電装置としては、バッテリやキャパシタ等の公知の各種の蓄電装置を用いることができる。
第1回転電機MG1は、内燃機関EGのトルクにより発電を行い、蓄電装置を充電し、或いは第2回転電機MG2を駆動するための電力を供給するジェネレータとして機能する。ただし、第1回転電機MG1は、車両の高速走行時や内燃機関EGの始動時等には、力行して駆動力(「トルク」と同義)を発生するモータとして機能する場合もある。内燃機関EGは、燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機(ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン等)である。第2回転電機MG2は、主に車両を走行させるための駆動力を発生するモータとして機能する。ただし、車両の減速時等には、第2回転電機MG2は、車両の慣性力を電気エネルギとして回生するジェネレータとして機能する場合もある。
第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2は、インナーロータ型の回転電機である。第1回転電機MG1は、第1ステータ12と、第1ロータ10とを備えている。第1ステータ12は、非回転部材(ここでは、ケースCS)に固定され、第1ロータ10は、第1ステータ12の径方向内側に回転可能に配置されている。第1ロータ10の径方向内側には第1ロータ10と一体的に回転する第1ロータ軸11が配置されている。同様に、第2回転電機MG2は、第2ステータ22と、第2ロータ20とを備えている。第2ステータ
22は、非回転部材(ここでは、ケースCS)に固定され、第2ロータ20は、第2ステータ22の径方向内側に回転可能に配置されている。第2ロータ20の径方向内側には第2ロータ20と一体的に回転する第2ロータ軸21が配置されている。
上述したように、第1伝達系では、入力部材INと第1ロータ10とが駆動連結される。換言すれば、第1ロータ10と一体的に回転する第1ロータ軸11が入力部材と駆動連結される。入力部材INは、第1軸A1上において軸方向Lに沿って延在するように形成されている。図2に示すように、入力部材INは、ケースCSから軸方向第2側L2に突出するように、ケースCSを軸方向Lに貫通している。入力部材INは、内燃機関EGに対して軸方向第1側L1に配置されている。入力部材INは、ダンパ装置DPを介して内燃機関EGの出力軸EOUT(クランクシャフト等)に駆動連結されている。ダンパ装置DPは、伝達されるトルクの変動を減衰する装置である。例えば、ダンパ装置DPには、出力側から過大なトルクが入力される等した場合に、出力部材OUTから内燃機関EGまでの動力伝達経路に過大な負荷が作用することを制限するためのトルクリミッタが設けられていると好適である。
第1軸A1に配置された入力部材INと、第2軸A2に配置された第1ロータ10とを駆動連結するため、第1軸A1には、入力ギヤ5(第5ギヤG5)が配置されている。また、第2軸A2には、第1ロータ10と一体的に回転する第1ロータギヤ15(第6ギヤG6)が配置されている。具体的には、第1ロータギヤ15は、第1ロータ10と一体的に回転する第1ロータ軸11に連結されている。第1軸A1に配置される入力ギヤ5は、第1係合装置CL1を介して入力部材INと選択的に連結される。入力ギヤ5と第1ロータギヤ15とは噛み合っており、入力部材INと入力ギヤ5とが第1係合装置CL1を介して連結されると、入力部材INからの動力が第1ロータ10に伝達される。従って、入力ギヤ5、第1係合装置CL1、第1ロータギヤ15、及び第1ロータ軸11は、入力部材INと第1ロータ10とを駆動連結する第1伝達系1に含まれる。
第1軸A1上に配置された入力ギヤ5(第5ギヤG5)と、第2軸A2上に配置された第1ロータギヤ15(第6ギヤG6)とが噛み合うことにより、入力ギヤ5と第1ロータギヤ15との間に他のギヤが配置されて動力が伝達される場合に比べて、第1軸A1と第2軸A2との軸間距離を短くし易い。従って、車両用駆動装置100が径方向に大型化することを抑制することができる。但し、当該他のギヤを介して入力ギヤ5と第1ロータギヤ15とが駆動連結される形態を妨げるものではない。
尚、第1係合装置CL1が解放状態の場合には、入力ギヤ5が入力部材INに連結されず、入力ギヤ5には内燃機関EGからの動力が伝達されない。このため、内燃機関EGと第1ロータ10との間の駆動力の伝達は行われない。
本実施形態では、第1係合装置CL1は、噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。例えば、第1係合装置CL1は、ソレノイド等のアクチュエータによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成されている。具体的には、第1係合装置CL1は、アクチュエータによって軸方向Lに沿って移動するように構成された第1噛合い部材DS1(ドグスリーブ)と、第1噛合い部材DS1が係合される一対の第1被噛合い部材DT1とを有している。第1係合装置CL1は、第1噛合い部材DS1の軸方向Lの位置に応じて係合状態と解放状態とが切り替わる。ここでは、一対の第1被噛合い部材DT1のうち、一方は入力部材INと一体的に回転するように連結され、他方は入力ギヤ5と一体的に回転するように連結されている。第1係合装置CL1は、第1噛合い部材DS1が一対の第1被噛合い部材DT1の双方に係合することで係合状態となり、第1噛合い部材DS1が一対の第1噛合い部材DS1の少なくとも一方から離間することで解放状態となる。
出力部材OUTには、出力用差動歯車機構DFを介して動力が伝達される。出力用差動歯車機構DFは、差動入力ギヤ71(第3ギヤG3)の回転を一対の出力部材OUTに分配する。出力用差動歯車機構DFは、差動入力ギヤ71に加えて、差動ケースに支持された一対の差動ピニオンギヤ72と、一対のサイドギヤ73とを備えている。ここでは、一対の差動ピニオンギヤ72、及び一対のサイドギヤ73は、いずれも傘歯車である。差動ケースは、差動入力ギヤ71と一体的に回転する中空の部材であり、その内部に、一対の差動ピニオンギヤ72と、一対のサイドギヤ73とが収容されている。本実施形態では、一対のサイドギヤ73のそれぞれが、出力用差動歯車機構DFの一部であると共に、出力部材OUTにも相当する。
一対の差動ピニオンギヤ72は、第4軸A4を基準とした径方向に沿って互いに間隔を空けて対向するように配置されている。一対の差動ピニオンギヤ72のそれぞれは、差動ケースと一体的に回転するように支持されたピニオンシャフトに取り付けられ、ピニオンシャフトを中心として回転(自転)可能、かつ、第4軸A4を中心として回転(公転)可能である。
一対のサイドギヤ73は、出力用差動歯車機構DFにおける駆動力の分配後の回転要素である。一対のサイドギヤ73は、互いに軸方向Lに間隔を空けて、一対のピニオンシャフトを挟んで対向するように配置されている。それぞれのサイドギヤ73は、双方の差動ピニオンギヤ72と噛み合っている。そして、一対のサイドギヤ73のそれぞれは、一対の出力軸80と一体的に回転するように連結されている。
一対の出力軸80は、出力用差動歯車機構DFから軸方向Lの両側に突出するように形成されている。具体的には、軸方向第1側L1の出力軸80は、その軸方向第1側L1の端部がケースCSを軸方向Lに貫通してケースCSの外部に露出するように配置され、軸方向第2側L2の出力軸80は、その軸方向第2側L2の端部がケースCSを軸方向Lに貫通してケースCSの外部に露出するように配置されている。即ち、軸方向第1側L1の出力軸80は、軸方向第1側L1のサイドギヤ73から軸方向第1側L1に突出するように、当該サイドギヤ73と一体的に連結されている。また、軸方向第2側L2の出力軸80は、軸方向第2側L2のサイドギヤ73から軸方向第2側L2に突出するように、当該サイドギヤ73と一体的に連結されている。そして、一対の出力軸80のそれぞれは、車輪Wに駆動連結されている。尚、一対の出力軸80のそれぞれを出力部材OUTと考えても良い。
上述したように、カウンタギヤ機構CGは、第1カウンタギヤ61(第1ギヤG1)及び第1カウンタギヤ61と一体的に回転する第2カウンタギヤ62(第2ギヤG2)を備えて構成されている。第1カウンタギヤ61は第2カウンタギヤ62に対して軸方向第1側L1に配置されている。第2カウンタギヤ62は第1カウンタギヤ61よりも小径のギヤである。そして、カウンタギヤ機構CGにおいて第2回転電機MG2の側から伝達された回転が減速されて出力用差動歯車機構DFへ伝達される。
上述したように、第1カウンタギヤ61は、アイドラギヤ4を介して第2ロータ軸21に連結された第2ロータギヤ25に駆動連結されている。第1カウンタギヤ61と一体的に回転する第2カウンタギヤ62は、差動入力ギヤ71に噛み合っている。従って、第2ロータ20と出力部材OUTとの間は、第2ロータギヤ25、アイドラギヤ4、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFを介して動力が伝達される。従って、第2ロータ20と出力部材OUTとを駆動連結する第3伝達系3には、第2ロータ軸21、第2ロータギヤ25、アイドラギヤ4、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFが含まれる。
第2係合装置CL2は、係合状態において、第1ロータ軸11と第2ロータ軸21とを連結する。第1ロータ軸11と第2ロータ軸21とが連結されることにより、内燃機関EG及び第1回転電機MG1の側からの動力と、第2回転電機MG2の側からの動力とを合わせて出力用差動歯車機構DFに伝達することができる。第1ロータ10からの動力は、第2ロータ軸21、第2ロータギヤ25、アイドラギヤ4、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFを介して出力部材OUTに伝達される。従って、第1ロータ10と出力部材OUTとを駆動連結する第2伝達系2には、第1ロータ軸11、第2係合装置CL2、第2ロータ軸21、第2ロータギヤ25、アイドラギヤ4、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFが含まれる。
第2係合装置CL2も、噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。第2係合装置CL2も、例えばソレノイド等のアクチュエータによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成されている。具体的には、第2係合装置CL2は、アクチュエータによって軸方向Lに沿って移動するように構成された第2噛合い部材DS2(ドグスリーブ)と、第2噛合い部材DS2が係合される一対の第2被噛合い部材DT2とを有している。第2係合装置CL2は、第2噛合い部材DS2の軸方向Lの位置に応じて係合状態と解放状態とが切り替わる。ここでは、一対の第2被噛合い部材DT2のうち、一方は第1ロータ軸11と一体的に回転するように連結され、他方は第2ロータ軸21と一体的に回転するように連結されている。第2係合装置CL2は、第2噛合い部材DS2が一対の第2被噛合い部材DT2の双方に係合することで係合状態となり、第2噛合い部材DS2が一対の第2被噛合い部材DT2の少なくとも一方から離間することで解放状態となる。
上述したように、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2は共に噛み合い式の係合装置である。本実施形態では、第1噛合い部材DS1の軸方向Lの移動範囲と第2噛合い部材DS2の軸方向Lの移動範囲との軸方向Lの配置領域が重複している。尚、軸方向Lの移動範囲とは、噛合い部材(第1噛合い部材DS1、第2噛合い部材DS2)が最も軸方向第1側L1にある状態における当該噛合い部材の軸方向第1側L1の端部の位置から、当該噛合い部材が最も軸方向第2側L2にある状態における当該噛合い部材の軸方向第2側L2の端部の位置までの範囲をいう。本実施形態では、第1噛合い部材DS1の軸方向Lの移動範囲の全域と一対の第1被噛合い部材DT1の軸方向Lの配置領域の全域とを合わせた領域が、第1係合装置CL1の軸方向Lの配置領域である。また、第2噛合い部材DS2の軸方向Lの移動範囲の全域と一対の第2被噛合い部材DT2の軸方向Lの配置領域の全域とを合わせた領域が、第2係合装置CL2の軸方向Lの配置領域である。
このように、第1噛合い部材DS1の軸方向Lの移動範囲と第2噛合い部材DS2の軸方向Lの移動範囲との軸方向Lの配置領域が重複していることにより、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法の小型化が図り易い。
車両用駆動装置100は、内燃機関EG、第1回転電機MG1、第2回転電機MG2、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2の作動状態によって、例えば、下記の表1に例示するような複数の動作モードにより駆動されることができる。尚、表1の第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の欄における「〇」は対象の係合装置が係合状態であることを示し、内燃機関EG、第1回転電機MG1、第2回転電機MG2の欄における「○」は対象の動力源が動力を出力している状態であることを示す。また、第1回転電機MG1の欄における「●」は伝達される動力によって発電している状態であることを示す。第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の欄における「×」は対象の係合装置が解放状態であることを示す。そして、内燃機関EG、第1回転電機MG1、第2回転電機MG2の欄における「×」は対象の動力源が動力を出力しておらず、回転電機が発電もしていない状態を示す。
Figure 2022144467000002
例えば、蓄電装置に十分な電力が蓄えられており、車両の発進時等で高トルクが要求されないような場合には、第2回転電機MG2のみが動力源として駆動される第1EVモードが選択される。この時、内燃機関EG及び第1回転電機MG1は停止状態であり、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2は解放状態に制御される。第2回転電機MG2の動力が第3伝達系3を介して出力用差動歯車機構DFに伝達されて車輪Wが駆動される。尚、第1係合装置CL1は、係合状態であってもよい。
蓄電装置に十分な電力が蓄えられており、第1EVモードよりも高いトルクが要求される場合には、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2が動力源として駆動される第2EVモードを選択することができる。この時、内燃機関EGは停止状態であり、第1回転電機MG1は第2回転電機MG2と共に駆動される。第1係合装置CL1は解放状態に制御され、第2係合装置CL2が係合されることで第1回転電機MG1の動力が第2伝達系2を介して出力用差動歯車機構DFに伝達されると共に、第2回転電機MG2の動力が第3伝達系3を介して出力用差動歯車機構DFに伝達されて車輪Wが駆動される。
蓄電装置に蓄えられた電力量が十分でない場合等には、内燃機関EGの動力によって第1回転電機MG1に発電させると共に、発電された電力を用いて第2回転電機MG2を駆動するいわゆるシリーズハイブリッドモード(第1HVモード)が選択される。内燃機関EGは駆動され、第1係合装置CL1が係合されることで、第1伝達系1を介して内燃機関EGの動力が第1回転電機MG1に伝達され、第1回転電機MG1に発電させる。第2係合装置CL2は解放状態に制御され、第2伝達系2が遮断されることで、内燃機関EG及び第1回転電機MG1の動力は出力用差動歯車機構DFには伝達されない。一方、第2回転電機MG2の動力は、第3伝達系3を介して出力用差動歯車機構DF及び車輪Wに伝達される。
第1ハイブリッドモードよりも高いトルクが要求される場合、第2回転電機MG2の動力に加えて内燃機関EGの動力も出力用差動歯車機構DFに伝達して車輪Wを駆動するいわゆるパラレルハイブリッドモード(第2HVモード)が選択可能である。内燃機関EGは駆動され、第1係合装置CL1が係合されることで、第1伝達系1を介して内燃機関EGの動力が第1回転電機MG1に伝達され、第1回転電機MG1に発電させる。さらに、第2係合装置CL2が係合されることで、第2伝達系2を介して内燃機関EGからの動力を出力用差動歯車機構DFに伝達することができる。内燃機関EGからの動力が第2伝達系2を介して出力用差動歯車機構DFに伝達されると共に、第2回転電機MG2の動力が第3伝達系3を介して出力用差動歯車機構DFに伝達されて車輪Wが駆動される。
第2ハイブリッドモードにおける上記の状態では、第2回転電機MG2が力行し(表中の「○」)、第1回転電機MG1が発電している(表中の「●」)。しかし、第1回転電機MG1は、力行も発電(回生)もしていなくてもよい(表中の「×」)。また、このモードでは、蓄電装置に蓄えられた電力量及び必要駆動力に応じて、第1回転電機MG1が駆動力を出力(力行)するように制御されても良い(表中の「○」)。この時、第2回転電機MG2は力行していても良いし(表中の「○」)、停止していても良い(表中の「×」)。第2回転電機MG2が力行している場合、内燃機関EG、第1回転電機MG1、第2回転電機MG2の動力が、出力用差動歯車機構DFに伝達されて車輪Wが駆動される。第2回転電機MG2が停止している場合、内燃機関EG、第1回転電機MG1の動力が、出力用差動歯車機構DFに伝達されて車輪Wが駆動される。
また、第2回転電機MG2を停止させ、第2係合装置CL2を解放状態として、出力用差動歯車機構DFへ動力を伝達させない状態で、第1係合装置CL1を係合し、内燃機関EGを駆動してその動力により第1回転電機MG1に発電させることで、車両を停止させた状態で蓄電装置を充電する充電モードが実現できる。
このように、本実施形態によれば、シリーズハイブリッドモードとパラレルハイブリッドモードとの双方を実行可能なハイブリッド車両用の駆動装置を実現することができる。また、上述したように、第1係合装置CL1の軸方向Lの配置領域及び第2係合装置CL2の軸方向Lの配置領域は、第1ロータ10及び第2ロータ20の何れの軸方向Lの配置領域とも重複していない。このため、例えば、第1ロータ10の径方向の内側及び第2ロータ20の径方向の内側の少なくとも一方に、第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の少なくとも一方が配置された場合に比べて、第1ロータ10及び第2ロータ20の小径化を図り易い。また、本実施形態では、この場合において、第1係合装置CL1と第2係合装置CL2とが互いに別軸に配置されており、さらに、第1係合装置CL1の軸方向Lの配置領域と第2係合装置CL2の軸方向Lの配置領域とが重複している。このため、両配置領域が重複してない場合に比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法の小型化を図り易い。
また、図3を参照して上述したように、車両に搭載された状態で、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2が配置される第2軸A2は、入力部材INが配置される第1軸A1よりも下方に配置されている。2つの回転電機が配置される第2軸A2は、図2の断面図に示すように、他の軸に比べて軸方向Lの寸法が長くなる傾向がある。第2軸A2を、他の軸、特に第1軸A1よりも下方に配置することにより、車両用駆動装置100の下部に比べて上部の小型化を図り易くなる。車両用駆動装置100の重心が下方に位置するため、車両用駆動装置100の振動を抑え易く、また、車両用駆動装置100の上部において、車両内の空間を確保し易くなる。つまり、車両用駆動装置100の上部の周辺に車両の他の部材を配置し易くなる。例えば、図3に示すように、軸方向視で、カウンタギヤ機構CGや、アイドラギヤ4、入力ギヤ5等と重複する位置に、サイドフレームSFなどの車体の構造物を配置することも可能である。
以上、図1から図3を参照して、本実施形態に係る車両用駆動装置100について説明したが、車両用駆動装置100の構成は、図1に示すような構成に限定されるものではない。図4は、図1に示す例とは動力伝達経路の構成が異なる車両用駆動装置100(第2車両用駆動装置100B)のスケルトン図を例示している。
図1に示した車両用駆動装置100では、第1回転電機MG1に対して軸方向第2側L2に第2回転電機MG2が配置されていた。図4に示すように、第2車両用駆動装置100Bでは、第1回転電機MG1に対して軸方向第1側L1に第2回転電機MG2が配置されている。つまり、第2回転電機MG2は、第2軸A2において最も軸方向第1側L1に配置され、第2ロータ軸21は、中空構造の第1ロータ軸11の径方向内側を通って、軸方向第2側L2へ延びている。アイドラギヤ4に噛み合う第2ロータギヤ25は、第2軸A2において最も軸方向第2側L2に配置されている。第1ロータ10と第2ロータ20との動力伝達を断接する第2係合装置CL2及び入力ギヤ5と噛み合う第1ロータギヤ15は、第1ロータ10と第2ロータギヤ25との軸方向Lの間に配置されている。このように、第2軸A2上には、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって、第2回転電機MG2、第1回転電機MG1、第1ロータギヤ15、第2係合装置CL2、第2ロータギヤ25が、記載の順に配置されている。
これに伴い、第1軸A1においても、入力ギヤ5とアイドラギヤ4との軸方向Lの位置関係が入れ替わっている。図1に示した車両用駆動装置100では、入力ギヤ5に対して軸方向第1側L1にアイドラギヤ4が配置されていたが、図4に示すように、第2車両用駆動装置100Bでは、第2軸A2において最も軸方向第2側L2に配置された第2ロータギヤ25と噛み合うように、入力ギヤ5に対して軸方向第2側L2にアイドラギヤ4が配置されている。入力部材INと入力ギヤ5との間の動力伝達を断接する第1係合装置CL1は、アイドラギヤ4と入力ギヤ5との軸方向Lの間に配置されている。即ち、第1軸A1上には、軸方向第1側L1から軸方向第2側L2に向かって、入力ギヤ5、第1係合装置CL1、アイドラギヤ4が記載の順に配置されている。
これに伴い、第3軸A3においても、第1カウンタギヤ61と第2カウンタギヤ62との軸方向Lの配置位置が、入れ替わっている。図1に示した車両用駆動装置100では、第1カウンタギヤ61に対して軸方向第2側L2に第2カウンタギヤ62が配置されていたが、図4に示すように、第2車両用駆動装置100Bでは、第1カウンタギヤ61に対して軸方向第1側L1に第2カウンタギヤ62が配置されている。これに伴い、第4軸A4に配置される出力用差動歯車機構DFも、第2車両用駆動装置100Bでは、図1に示した車両用駆動装置100によりも軸方向第1側L1に配置されている。
図1及び図2に示した車両用駆動装置100と同様に、第2車両用駆動装置100Bにおいても、入力部材INと第1ロータ10とを駆動連結する第1伝達系1には、入力ギヤ5、第1係合装置CL1、第1ロータギヤ15、及び第1ロータ軸11が含まれる。また、同様に、第1ロータ10と出力部材OUTとを駆動連結する第2伝達系2には、第1ロータ軸11、第2係合装置CL2、第2ロータ軸21、第2ロータギヤ25、アイドラギヤ4、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFが含まれる。また、同様に、第2ロータ20と出力部材OUTとを駆動連結する第3伝達系3には、第2ロータ軸21、第2ロータギヤ25、アイドラギヤ4、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFが含まれる。
第2車両用駆動装置100Bにおいても、第1伝達系1に第1係合装置CL1が含まれ、第2伝達系2に第2係合装置CL2が含まれている。また、第1軸A1上に配置される第1係合装置CL1と、第2軸A2上に配置される第2係合装置CL2とは、図4に示すように、それぞれの軸方向Lの配置領域が、第1ロータ10及び第2ロータ20の何れの軸方向Lの配置領域とも重複していない。また、断面図は、省略しているが、図4のスケルトン図からも明らかなように、第2車両用駆動装置100Bにおいても、第1係合装置CL1と第2係合装置CL2との軸方向Lの配置領域が重複するように、両係合装置が配置されている。従って、第2車両用駆動装置100Bにおいても、図1~図3を参照して説明した車両用駆動装置100と同様の作用効果を奏することが可能である。
以上、図1から図4を参照して、第1回転電機MG1と第2回転電機MG2とが同軸配置された車両用駆動装置100について説明したが、第1回転電機MG1と第2回転電機MG2とは、互いに平行な別軸に配置されていてもよい。図5は、そのような車両用駆動装置100(第3車両用駆動装置100C)のスケルトン図を例示しており、図6は、その模式的断面図を例示している。
図1から図4を参照して上述した車両用駆動装置100と同様に、第3車両用駆動装置100Cも、内燃機関EGに駆動連結される入力部材INと、車輪Wに駆動連結される出力部材OUTと、第1ロータ10を備えた第1回転電機MG1と、第2ロータ20を備えた第2回転電機MG2と、複数のギヤ機構とを備えている。第3車両用駆動装置100Cは、複数のギヤ機構として、少なくともカウンタギヤ機構CGと、出力用差動歯車機構DFとを備えている。上述した実施形態と同様に、出力用差動歯車機構DFのサイドギヤ73が出力部材OUTに相当する。また、上記と同様に、複数のギヤ機構により、第1伝達系1、第2伝達系2、第3伝達系3が形成されている。また、第1伝達系1には、第1伝達系1における動力伝達を断接する第1係合装置CL1が備えられており、第2伝達系2には、第2伝達系2における動力伝達を断接する第2係合装置CL2が備えられている。
図5及び図6に示すように、第3車両用駆動装置100Cは、第1係合装置CL1を駆動する第1駆動装置7Aと、第2係合装置CL2を駆動する第2駆動装置7Bとを備えている。そして、第1駆動装置7Aは、回転自在に支持された第1シフトドラム41と、第1シフトドラム41の回転運動を直線運動に変換して第1係合装置CL1に伝達する第1カム機構47とを備えている。同様に、第2駆動装置7Bは、回転自在に支持された第2シフトドラム42と、第2シフトドラム42の回転運動を直線運動に変換して第2係合装置CL2に伝達する第2カム機構48とを備えている。第1シフトドラム41と第2シフトドラム42とは、同軸に配置されていると共に、ドラム駆動軸49を介して一体的に回転するように連結されている。また、車両用駆動装置100は、ドラム駆動軸49を駆動するドラム駆動源6を備えている。
本実施形態では、第1駆動装置7Aと第2駆動装置7Bとが共通の1つのクラッチ駆動装置7として構成されている。また、本実施形態では、第1シフトドラム41と第2シフトドラム42とは、それぞれを構成する部材を一部共用するように構成されている。そして、第1シフトドラム41と第2シフトドラム42は、共通する1本のドラム駆動軸49を介して一体的に回転する。
図5及び図6に示すように、入力部材INと第1係合装置CL1とは第1軸A1上に配置されている。また、第1回転電機MG1と第2係合装置CL2とは、第1軸A1と平行な別軸である第2軸A2上に配置されている。また、カウンタギヤ機構CGは、第1軸A1、第2軸A2に平行な別軸である第3軸A3上に配置され、出力用差動歯車機構DFは、第1軸A1、第2軸A2、第3軸A3に平行な別軸である第4軸A4上に配置されている。そして、第2回転電機MG2は、第1軸A1、第2軸A2、第3軸A3及び第4軸A4と平行な別軸である第5軸A5上に配置されている。
第3車両用駆動装置100Cは、これらの他に、入力ギヤ5(第5ギヤG5)、第1ロータギヤ15(第6ギヤG6)、第2ロータギヤ25(第4ギヤG4)、第1回転電機出力ギヤ19、カウンタ駆動ギヤ35を備えている。尚、第3車両用駆動装置100Cは、カウンタギヤ機構CG及び出力用差動歯車機構DFを備えることなく、複数のギヤ等の組み合わせによって、入力部材INと第1ロータ10とが駆動連結され、第1ロータ10と出力部材OUTとが起動連結され、第2ロータ20と出力部材OUTとが駆動連結される構成であってもよい。
第1実施形態及び第2実施形態と同様に、第1伝達系では、入力部材INと第1ロータ10とが駆動連結される。換言すれば、第1ロータ10と一体的に回転する第1ロータ軸11が入力部材と駆動連結される。入力部材INは、第1軸A1上において軸方向Lに沿って延在するように形成されている。入力部材INは、内燃機関EGに対して軸方向第1側L1に配置されている。入力部材INは、ダンパ装置DPを介して内燃機関EGの出力軸EOUT(クランクシャフト等)に駆動連結されている。
第1軸A1に配置された入力部材INと、第2軸A2に配置された第1ロータ10とを駆動連結するため、第1軸A1には、入力ギヤ5(第5ギヤG5)が配置されている。また、第3軸A3には、第1ロータ10と一体的に回転する第1ロータギヤ15(第6ギヤG6)が配置されている。具体的には、第1ロータギヤ15は、第1ロータ10と一体的に回転する第1ロータ軸11に連結されている。第1軸A1に配置される入力ギヤ5は、第1係合装置CL1を介して入力部材INと選択的に連結される。入力ギヤ5と第1ロータギヤ15とは噛み合っており、入力部材INと入力ギヤ5とが第1係合装置CL1を介して連結されると、入力部材INからの動力が第1ロータ10に伝達される。従って、入力ギヤ5、第1係合装置CL1、第1ロータギヤ15、及び第1ロータ軸11は、入力部材INと第1ロータ10とを駆動連結する第1伝達系1に含まれる。
尚、第1係合装置CL1が解放状態の場合には、入力ギヤ5が入力部材INに連結されず、入力ギヤ5には内燃機関EGからの動力が伝達されない。このため、内燃機関EGと第1ロータ10との間の駆動力の伝達は行われない。
第3実施形態でも、第1係合装置CL1は、噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。第1係合装置CL1は、第1駆動装置7Aによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成されている。具体的には、第1係合装置CL1は、第1駆動装置7Aによって軸方向Lに沿って移動するように構成された第1噛合い部材DS1(ドグスリーブ)と、第1噛合い部材DS1が係合される一対の第1被噛合い部材DT1とを有している。第1係合装置CL1は、第1噛合い部材DS1の軸方向Lの位置に応じて係合状態と解放状態とが切り替わる。ここでは、一対の第1被噛合い部材DT1のうち、一方は入力部材INと一体的に回転するように連結され、他方は入力ギヤ5と一体的に回転するように連結されている。第1係合装置CL1は、第1噛合い部材DS1が一対の第1被噛合い部材DT1の双方に係合することで係合状態となり、第1噛合い部材DS1が一対の第1噛合い部材DS1の少なくとも一方から離間することで解放状態となる。
出力用差動歯車機構DFは、差動入力ギヤ71(第3ギヤG3)の回転を一対の出力部材OUTに分配する。出力用差動歯車機構DFは、差動入力ギヤ71に加えて、差動ケースに支持された一対の差動ピニオンギヤ72と、一対のサイドギヤ73とを備えている。ここでは、一対の差動ピニオンギヤ72、及び一対のサイドギヤ73は、いずれも傘歯車である。差動ケースは、差動入力ギヤ71と一体的に回転する中空の部材であり、その内部に、一対の差動ピニオンギヤ72と、一対のサイドギヤ73とが収容されている。上述したように、一対のサイドギヤ73のそれぞれが、出力用差動歯車機構DFの一部であると共に、出力部材OUTにも相当する。尚、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、一対の出力軸80のそれぞれを出力部材OUTと考えても良い。
上述したように、第2回転電機MG2は、第5軸A5に配置されている。第4軸A4に配置された出力部材OUTと、第5軸A5に配置された第2ロータ20とを駆動連結するため、第5軸A5には、第2ロータギヤ25(第4ギヤG4)が配置されている。第2ロータギヤ25は、第2ロータ20と一体的に回転する第2ロータ軸21に連結されている。第2ロータギヤ25は、第3軸A3に配置されたカウンタギヤ機構CGを介して、出力用差動歯車機構DFと駆動連結されている。従って、第2ロータ軸21、第2ロータギヤ25、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFは、第2ロータ20と出力部材OUTとを駆動連結する第2伝達系2に含まれる。
カウンタギヤ機構CGは、第1カウンタギヤ61(第1ギヤG1)及び第1カウンタギヤ61と一体的に回転する第2カウンタギヤ62(第2ギヤG2)を備えて構成されている。第1カウンタギヤ61は第2カウンタギヤ62に対して軸方向第2側L2に配置されている。第2カウンタギヤ62は第1カウンタギヤ61よりも小径のギヤである。カウンタギヤ機構CGにおいて第2回転電機MG2の側から伝達された回転が減速されて出力用差動歯車機構DFへ伝達される。
第1カウンタギヤ61は、第1軸A1に配置されたカウンタ駆動ギヤ35を介して、第2軸A2に配置された第1回転電機出力ギヤ19に駆動連結されている。また、第1回転電機出力ギヤ19は、第2係合装置CL2を介して第1ロータ軸11に駆動連結されている。カウンタギヤ機構CGは、出力部材OUTと第2ロータ20とを駆動連結しており、第1ロータ軸11が連結された第1ロータ10と、出力部材OUTとは、第2係合装置CL2を介して駆動連結されている。
第2係合装置CL2は、係合状態において、第1ロータ軸11とカウンタギヤ機構CGとを連結する。第1ロータ軸11とカウンタギヤ機構CGとが連結されることにより、内燃機関EG及び第1回転電機MG1の側からの動力と、第2回転電機MG2の側からの動力とを合わせて出力用差動歯車機構DFに伝達することができる。第1ロータ10からの動力は、第1回転電機出力ギヤ19、カウンタ駆動ギヤ35、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFを介して出力部材OUTに伝達される。従って、第1ロータ10と出力部材OUTとを駆動連結する第2伝達系2には、第1ロータ軸11、第2係合装置CL2、第1回転電機出力ギヤ19、カウンタ駆動ギヤ35、カウンタギヤ機構CG、出力用差動歯車機構DFが含まれる。
第2係合装置CL2も、噛み合い式係合装置(ドグクラッチ)である。第2係合装置CL2は、第2駆動装置7Bによって係合状態と解放状態とを切り替え可能に構成されている。具体的には、第2係合装置CL2は、第2駆動装置7Bによって軸方向Lに沿って移動するように構成された第2噛合い部材DS2(ドグスリーブ)と、第2噛合い部材DS2が係合される一対の第2被噛合い部材DT2とを有している。第2係合装置CL2は、第2噛合い部材DS2の軸方向Lの位置に応じて係合状態と解放状態とが切り替わる。ここでは、一対の第2被噛合い部材DT2のうち、一方は第1ロータ軸11と一体的に回転するように連結され、他方は第1回転電機出力ギヤ19と一体的に回転するように連結されている。第2係合装置CL2は、第2噛合い部材DS2が一対の第2被噛合い部材DT2の双方に係合することで係合状態となり、第2噛合い部材DS2が一対の第2被噛合い部材DT2の少なくとも一方から離間することで解放状態となる。
第3車両用駆動装置100Cも、内燃機関EG、第1回転電機MG1、第2回転電機MG2、第1係合装置CL1、第2係合装置CL2の作動状態によって、例えば上記の表1に例示するような複数の動作モードにより駆動されることができる。
ここでは、第1駆動装置7Aと第2駆動装置7Bとが共通の1つのクラッチ駆動装置7として構成され、第1シフトドラム41と第2シフトドラム42とが、それぞれを構成する部材を一部共用するように構成されている。第1シフトドラム41と第2シフトドラム42は、共通する1本のドラム駆動軸49を介して一体的に回転する。
第1シフトドラム41、第2シフトドラム42、ドラム駆動軸49は、第1軸A1~第5軸A5と平行な別軸であるドラム回転軸A0に配置され、このドラム回転軸A0を回転軸心として回転する。第1シフトドラム41及び第2シフトドラム42は、ドラム回転軸A0を中心とする円筒状に形成されている。ドラム駆動軸49は、第1シフトドラム41及び第2シフトドラム42を一体的に回転するように連結する軸部材であり、ドラム回転軸A0に沿って延在するように形成されている。ドラム駆動源6としては、種々のモータを採用可能であり、例えば、複数相の交流電力で駆動される交流回転電機を採用することができる。より具体的には、ドラム駆動源6としては、サーボモータやステッピングモータが好適に用いられる。
図5に示すように、ドラム駆動軸49とドラム駆動源6とは、減速機50を介して連結されている。減速機50は、第1減速ギヤ51と第1減速ギヤ51よりも大径の第2減速ギヤ52とを備えている。第1減速ギヤ51は、ドラム回転軸A0と平行な別軸に配置されると共に、ドラム駆動源6の回転軸に連結されている。第2減速ギヤ52は、第1減速ギヤ51と噛み合うと共にドラム回転軸A0に配置され、ドラム駆動軸49に連結されている。第1シフトドラム41と第2シフトドラム42とは、一体的に回転するように連結されており、ドラム駆動源6は2つのドラムを駆動する。即ち、ドラム駆動源6は、2つのドラムを駆動するために、大きい駆動力が必要であるが、このような減速機50を備えることにより、ドラム駆動源6の小型化を図り易い。
図5及び図6に示すように、第1カム機構47は、第1カム案内路43と、第1カムフォロア45とを備えている。また、第2カム機構48は、第2カム案内路44と、第2カムフォロア46とを備えている。
第1カム案内路43は、第1シフトドラム41の回転方向に沿って設けられている。ここでは、第1カム案内路43は、第1シフトドラム41の外周面において周方向に沿って連続的に形成された溝状に構成されている。第1カム案内路43は、第1シフトドラム41の回転に応じて位相が変化するように形成されている。ここで、第1カム案内路43の「位相」とは、第1シフトドラム41の回転軸心に沿う方向(ここでは、軸方向L)における第1カム案内路43の位置である。第1カムフォロア45は、第1カム案内路43の位相の変化に応じて直線運動を行う。第1カムフォロア45は、特定の径方向に沿って延在するように形成されており、その一部が第1カム案内路43における溝部内に位置するように配置されている。
第1カムフォロア45が第1カム案内路43の位相に応じて軸方向Lに沿って直線運動を行うことで、第1係合装置CL1を駆動することができる。第1カムフォロア45は、不図示のシフトフォークに連結され、シフトフォークを介して第1噛合い部材DS1(ドグスリーブ)に連結されている。第1カムフォロア45が軸方向Lに沿って直線運動することによって、第1係合装置CL1の係合状態が切り替えられる。
同様に、第2カム案内路44は、第2シフトドラム42の回転方向に沿って設けられている。第2カム案内路44は、第2シフトドラム42の外周面において周方向に沿って連続的に形成された溝部により構成されている。第2カム案内路44は、第2シフトドラム42の回転に応じて位相が変化するように形成されている。ここで、第2カム案内路44の「位相」とは、第2シフトドラム42の回転軸心に沿う方向(ここでは、軸方向L)における第2カム案内路44の位置である。第2カムフォロア46は、第2カム案内路44の位相の変化に応じて直線運動を行う。第2カムフォロア46は、特定の径方向に沿って延在するように形成されており、その一部が第2カム案内路44における溝部内に位置するように配置されている。
第2カムフォロア46が第2カム案内路44の位相に応じて軸方向Lに沿って直線運動を行うことで、第2係合装置CL2を駆動することができる。第2カムフォロア46は、不図示のシフトフォークに連結され、シフトフォークを介して第2噛合い部材DS2(ドグスリーブ)に連結されている。第2カムフォロア46が軸方向Lに沿って直線運動することによって、第2係合装置CL2の係合状態が切り替えられる。
尚、第1カム案内路43及び第2カム案内路44の形状は溝状には限定されず、例えば、第1シフトドラム41及び第2シフトドラム42の外周面において周方向に沿って連続的に形成された凸状に形成されていても良い。また、第1カム案内路43及び第2カム案内路44が第1シフトドラム41及び第2シフトドラム42の軸方向Lの端面あるいは内周面に形成されていても良い。
上述したように、第1カム機構47と第2カム機構48とは、ドラム駆動軸49の回転に応じて第1係合装置CL1及び第2係合装置CL2の係合状態を切り替える。具体的には、第1カム機構47と第2カム機構48とは、ドラム駆動軸49回りの回転方向の一方側である回転方向第1側に向けて回転することに応じて、第1モード、第2モード、第3モード、第4モードの4つの動作モードに状態遷移する。
第1モードは、第1係合装置CL1を解放状態とし、且つ、第2係合装置CL2を係合状態とする動作モードである。この動作モードでは、表1を参照して上述したように、内燃機関EGと出力部材OUTとの間の駆動力の伝達を遮断し、第1回転電機MG1及び第2回転電機MG2の双方の駆動力を出力部材に伝達する、いわゆる2モータEVモード(第2EVモード)が実現可能である。
第2モードは、第1係合装置CL1を解放状態とし、且つ、第2係合装置CL2を解放状態とする動作モードである。この動作モードでは、表1を参照して上述したように、内燃機関EG及び第1回転電機MG1と、出力部材OUTとの間の駆動力の伝達を遮断し、第2回転電機MG2の駆動力を出力部材OUTに伝達する、いわゆる1モータEVモード(第1EVモード)が実現可能である。
第3モードは、第1係合装置CL1を係合状態とし、且つ、第2係合装置CL2を解放状態とする動作モードである。この動作モードでは、表1を参照して上述したように、内燃機関EG及び第1回転電機MG1と出力部材OUTとの間の駆動力の伝達を遮断した状態で内燃機関EGの駆動力を第1回転電機MG1に伝達して第1回転電機MG1に発電を行わせると共に、第2回転電機MG2の駆動力を出力部材OUTに伝達する、いわゆるシリーズハイブリッドモード(第1HVモード)が実現可能である。
第4モードは、第1係合装置CL1を係合状態とし、且つ、第2係合装置CL2を係合状態とする動作モードである。この動作モードでは、表1を参照して上述したように、内燃機関、第1回転電機、及び第2回転電機の駆動力を出力部材に伝達する、いわゆるパラレルハイブリッドモード(第2HVモード)が実現可能である。
第1カム機構47と第2カム機構48とは、回転方向第1側に向けて回転することに応じて、第1モード、第2モード、第3モード、第4モードの順に状態遷移する。また、第1カム機構47と第2カム機構48とは、回転方向第2側に向けて回転することに応じて、第4モード、第3モード、第2モード、第1モードの順に状態遷移する。
このように、第3実施形態においても、シリーズハイブリッドモードとパラレルハイブリッドモードとの双方を実行可能なハイブリッド車両用の駆動装置を実現することができる。また、第1軸A1に配置される第1係合装置CL1の軸方向Lの配置領域は、第2軸A2に配置される第1ロータ10及び第5軸A5に配置される第2ロータ20の何れの軸方向Lの配置領域とも重複していない(図6参照)。同様に、第2軸A2に配置される第2係合装置CL2の軸方向Lの配置領域も、第2軸A2に配置される第1ロータ10及び第5軸A5に配置される第2ロータ20の何れの軸方向Lの配置領域とも重複していない(図6参照)。特に、共に第2軸A2に配置される第2係合装置CL2の軸方向Lの配置領域と、第1ロータ10の軸方向Lの配置領域とが重複していない。従って、例えば第1ロータ10の径方向の内側に第2係合装置CL2が配置されるような構成に比べて、第1ロータ10の小型化を図り易い。また、第3実施形態においても、互いに別軸に配置された第1係合装置CL1と第2係合装置CL2とは、それぞれの軸方向Lの配置領域が重複している。このため、両配置領域が重複してない場合に比べて、車両用駆動装置100の軸方向Lの寸法の小型化を図り易い。
尚、ここでは、第1駆動装置7Aと第2駆動装置7Bとが共通の1つのクラッチ駆動装置7として構成されている形態を例示した。また、第1シフトドラム41と第2シフトドラム42とが、それぞれを構成する部材を一部共用して構成されている形態を例示した。しかし、第1駆動装置7Aと第2駆動装置7Bとは独立した部材により構成されていてもよい。尚、この場合においても、第1シフトドラム41と第2シフトドラム42は、ドラム駆動軸49を介して一体的に回転する。例えば、ドラム駆動軸49が、一体的に回転する第1ドラム駆動軸と第2ドラム駆動軸とを備え、第1ドラム駆動軸が減速機50と第1シフトドラム41とを連結し、第2ドラム駆動軸が第1シフトドラム41と第2シフトドラム42とを連結する構成であってもよい。
1:第1伝達系、2:第2伝達系、3:第3伝達系、4:アイドラギヤ、10:第1ロータ、20:第2ロータ、100:車両用駆動装置、100B:第2車両用駆動装置(車両用駆動装置)、100C:第3車両用駆動装置(車両用駆動装置)、A1:第1軸、A2:第2軸、A3:第3軸、A4:第4軸、CG:カウンタギヤ機構、CL1:第1係合装置、CL2:第2係合装置、DF:出力用差動歯車機構、DS1:第1噛合い部材、DS2:第2噛合い部材、EG:内燃機関、G1:第1ギヤ、G2:第2ギヤ、G3:第3ギヤ、G4:第4ギヤ、G5:第5ギヤ、G6:第6ギヤ、HV:第1、HV:第2、IN:入力部材、L:軸方向、MG1:第1回転電機、MG2:第2回転電機、OUT:出力部材、W:車輪

Claims (5)

  1. 内燃機関に駆動連結される入力部材と、
    車輪に駆動連結される出力部材と、
    第1ロータを備えた第1回転電機と、
    第2ロータを備えた第2回転電機と、
    前記入力部材と前記第1ロータとを駆動連結する第1伝達系と、
    前記第1ロータと前記出力部材とを駆動連結する第2伝達系と、
    前記第2ロータと前記出力部材とを駆動連結する第3伝達系と、
    前記第1伝達系における動力伝達を断接する第1係合装置と、
    前記第2伝達系における動力伝達を断接する第2係合装置と、を備え、
    前記入力部材と前記第1係合装置とが、第1軸上に配置され、
    前記第1回転電機と前記第2係合装置とが、前記第1軸と平行な別軸である第2軸上に配置され、
    前記第1軸及び前記第2軸に沿う方向を軸方向として、
    前記第1係合装置及び前記第2係合装置のそれぞれの前記軸方向の配置領域が、前記第1ロータの前記軸方向の配置領域と重複せず、前記第1係合装置と前記第2係合装置との前記軸方向の配置領域が重複している、車両用駆動装置。
  2. 第1ギヤ及び前記第1ギヤと一体的に回転する第2ギヤを備えたカウンタギヤ機構と、
    前記第2ギヤに噛合う第3ギヤを備えて前記第3ギヤの回転を一対の前記出力部材に分配する出力用差動歯車機構と、をさらに備え、
    前記カウンタギヤ機構は、前記第1軸及び前記第2軸と平行な別軸である第3軸上に配置され、
    前記出力用差動歯車機構は、前記第1軸、前記第2軸、及び前記第3軸と平行な別軸である第4軸上に配置され、
    前記第2ロータと一体的に回転する第4ギヤが、前記第2軸上に配置され、
    前記第4ギヤと前記第1ギヤとの双方に噛み合うアイドラギヤが、前記第1軸上に配置されている、請求項1に記載の車両用駆動装置。
  3. 前記第2回転電機が前記第2軸上に配置され、
    車両に搭載された状態で、前記第2軸は、前記第1軸よりも下方に配置され、
    前記第1係合装置及び前記第2係合装置のそれぞれの前記軸方向の配置領域が、前記第1ロータ及び前記第2ロータの双方の前記軸方向の配置領域と重複していない、請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
  4. 前記第1係合装置を介して前記入力部材と選択的に連結される第5ギヤが、前記第1軸上に配置され、
    前記第1ロータと一体的に回転する第6ギヤが、前記第2軸上に配置され、
    前記第5ギヤと前記第6ギヤとが噛み合っている、請求項1から3の何れか一項に記載の車両用駆動装置。
  5. 前記第1係合装置は、第1噛合い部材の前記軸方向の位置に応じて係合状態と解放状態とが切り替わる噛み合い式の係合装置であり、
    前記第2係合装置は、第2噛合い部材の前記軸方向の位置に応じて係合状態と解放状態とが切り替わる噛み合い式の係合装置であり、
    前記第1噛合い部材の前記軸方向の移動範囲と前記第2噛合い部材の前記軸方向の移動範囲との前記軸方向の配置領域が重複している、請求項1から4の何れか一項に記載の車両用駆動装置。
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