JP2022142596A - 検出装置及び検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、検出精度の向上を図ることができる検出装置及び検出方法を提供することを目的とする。【解決手段】検出装置1は、第一感応部15H、第一電荷蓄積部11H、第一電位制御部12H及び第一電荷流通部14Hを有する高感度検出部10Hと、第一感応部15Hよりも低感度に感応する第二感応部15L、第二電荷蓄積部11L、第二電位制御部12L及び第二電荷流通部14Lを有する低感度検出部10Lと、第一感応部15Hが感応した化学現象に応じて変化した半導体基板19のPウェル領域133の表面電位と、第二感応部15Lが感応した化学現象に応じて変化した半導体基板19のPウェル領域133の表面電位との差によって発生する電荷を移送する電荷移送部13と、電荷移送部13で移送された電荷の量を検出する電荷量検出部とを備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、測定対象物の化学現象を電気信号に変換して検出する検出装置及び検出方法に関する。
イオン感応性電界効果トランジスタ(Ion Sensitive Field Effect Transistor:ISFET)は、溶液中のイオン濃度測定やガス濃度測定、DNAの配列分析などにしばしば使われる。その際、被検液に電位をかけるために、ISFETと共に参照電極が用いられる。しかしながら、一般的な参照電極である銀/塩化銀(Ag/AgCl)電極はサイズが非常に大きい。
白金(Pt)や金(Au)などが用いられた金属擬似参照電極は、蒸着などの方法で半導体基板上に成膜できるため、サイズを小さくすることができる。しかしながら、このような金属擬似参照電極は、液体に対して電位が不安定であるため、ISFETの参照電極としては不適であるという問題を有している。
この不安定な電位を解消するために、ISFETを2つ使用し、差動増幅回路に組み込んだ化学センサが知られている(例えば非特許文献1)。また、ISFETの検出信号は非常に小さい。このため、この検出信号を検出回路で検出するためには、この検出信号を増幅させる必要がある。アンプノイズを含むことなく信号増幅させる技術として、電荷結合素子(Charge-Coupled Device:CCD)回路を応用した化学センサが知られている(例えば特許文献1及び2)。
特開平10-332423号公報 特開2018-109654号公報
IEEE TRANSACTIONS ON ELECTRON DEVICES, VOL. 36, NO. 3, MARCH 1989
しかしながら、従来の技術は、検出精度が十分でないという問題を有している。
本発明の目的は、検出精度の向上を図ることができる検出装置及び検出方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の一態様による検出装置は、半導体基板に配置されて測定対象物の化学現象に感応する第一感応部、前記第一感応部に容量的に接続されて電荷を蓄積する第一電荷蓄積部、前記第一電荷蓄積部の電位を制御する第一電位制御部、及び前記第一電荷蓄積部に電荷を流通させる第一電荷流通部を有する第一検出部と、前記半導体基板に配置されて測定対象物の化学現象に前記第一感応部よりも低感度に感応する第二感応部、前記第二感応部に容量的に接続されて電荷を蓄積する第二電荷蓄積部、前記第二電荷蓄積部の電位を制御する第二電位制御部、及び前記第二電荷蓄積部に電荷を流通させる第二電荷流通部を有する第二検出部と、前記第一感応部が感応した前記化学現象に応じて変化して前記第一検出部に容量的に接続されている前記半導体基板の部分の表面電位と、前記第二感応部が感応した前記化学現象に応じて変化して前記第二検出部に容量的に接続されている前記半導体基板の部分の表面電位との差によって発生する電荷を移送する電荷移送部と、前記電荷移送部で移送された電荷の量を検出する電荷量検出部とを備える。
また、上記目的を達成するために、本発明の一態様による検出方法は、半導体基板に配置されて測定対象物の化学現象に感応する感応部、前記感応部に容量的に接続されて電荷を蓄積する電荷蓄積部及び前記電荷蓄積部に電荷を流通させる電荷流通部を備える検出装置の検出方法であって、電界効果トランジスタ型キャパシタを有する前記電荷流通部の閾値電圧を調節して前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量を所望の量に調整し、前記電荷蓄積部の前記電荷量を前記所望の量に調整した後に、前記感応部で感応された前記化学現象に応じて前記電荷蓄積部が配置された前記半導体基板の部分の表面電位の変化に基づいて前記測定対象物の検出対象量を検出する。
本発明の一態様によれば、検出精度の向上を図ることができる。
本発明の一実施形態による検出装置の概略構成を示す平面を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態による検出装置の概略構成を説明する図であって図1中に示すA-A線で切断した検出装置の断面を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態による検出装置の概略構成を説明する図であって図1中に示すB-B線で切断した検出装置の断面を模式的に示す図である。 本発明の一実施形態による検出装置の等価回路を示す図である。 本発明の一実施形態による検出装置における閾値電圧の調節について説明する図であって、高感度検出部の閾値電圧及び低感度検出部の閾値電圧の関係を示す図である。 本発明の一実施形態による検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態による検出装置の測定動作時の電荷移送部での電荷の移送を制御するためのタイミングチャートの一例を示す図である。 本発明の一実施形態による検出装置での1回の動作サイクルの一例を説明する図(その1)である。 本発明の一実施形態による検出装置での差動動作を説明する図である。 本発明の一実施形態による検出装置での1回の動作サイクルの一例を説明する図(その2)である。 本発明の一実施形態による検出装置での累積動作サイクルにおける複数回の動作サイクルの一例を説明する図である。
本発明の一実施形態による検出装置について図1から図11を用いて説明する。以下、本実施形態による検出装置の一例として、P型を有するウェル領域(以下、「Pウェル領域」と略記する)が用いられた検出装置を例にとって説明する。しかしながら、本実施形態による検出装置は、必ずしもPウェル領域に限定されず、N型のウェル領域やPウェル領域及びN型のウェル領域が混在した構成を有していてもよい。まず、本実施形態による検出装置1の概略構成について図1から図4を用いて説明する。
<検出装置の構成>
図1は、本実施形態による検出装置1の平面を模式的に示す図である。図1では理解を容易にするため、感応部や配線が透過された状態で図示され、さらに絶縁膜を含む一部の構成の図示が省略されている。図2は、図1中に示すA-A線で切断した検出装置1の断面であって、電荷移送部13が形成された領域を切断した断面図である。図3は、図1中に示すB-B線で切断した検出装置1の断面であって、低感度検出部10Lが形成された領域を切断した断面図である。
図1に示すように、検出装置1は、P型の半導体基板19と、半導体基板19に並んで配置された高感度検出部(第一検出部の一例)10H及び低感度検出部(第二検出部の一例)10Lを備えている。高感度検出部10Hは、半導体基板19に配置されて測定対象物80(図1では不図示、図2及び図3参照)の化学現象に感応する第一感応部15Hを有している。低感度検出部10Lは、半導体基板19に配置されて測定対象物80の化学現象に感応する第二感応部15Lを有している。第一感応部15H及び第二感応部15Lは、化学センサを含む。化学現象に感応する第一感応部15H及び第二感応部15Lとして、例えばpHセンサ、バイオセンサ又はガスセンサなどの化学センサが列挙される。
高感度検出部10Hは、第一感応部15Hに容量的に接続されて電荷を蓄積する第一電荷蓄積部11Hと、第一電荷蓄積部11Hの電位を制御する第一電位制御部12Hと、第一電荷蓄積部11Hに電荷を流通させる第一電荷流通部14Hとを有している。低感度検出部10Lは、第二感応部15Lに容量的に接続されて電荷を蓄積する第二電荷蓄積部11Lと、第二電荷蓄積部11Lの電位を制御する第二電位制御部12Lと、第二電荷蓄積部11Lに電荷を流通させる第二電荷流通部14Lとを有している。
検出装置1は、第一感応部15Hが感応した化学現象に応じて変化して高感度検出部10Hに容量的に接続されている半導体基板19の部分の表面電位と、第二感応部15Lが感応した化学現象に応じて変化して低感度検出部10Lに容量的に接続されている半導体基板19の部分の表面電位との差によって発生する電荷を移送する電荷移送部13を備えている。ここで、「容量的に接続される」とは、導体同士が絶縁性を保ったまま接続された状態をいう。本実施形態の一態様として、導体同士が絶縁膜を介して接続された状態を示しているがこれに限定されるものではない。また、詳細は後述するが、高感度検出部10Hに容量的に接続されている半導体基板19の部分は、半導体基板19に形成されたPウェル領域133の一部であって第一電荷蓄積部11Hに対向する部分である。詳細は後述するが、低感度検出部10Lに容量的に接続されている半導体基板19の部分は、半導体基板19に形成されたPウェル領域133の一部であって第二電荷蓄積部11Lに対向する部分である。
検出装置1は、電荷移送部13で移送された電荷の量を検出する電荷量検出部16を備えている。電荷量検出部16は、半導体基板19に形成されたリセットトランジスタTrのソースS及びドレインDに接続されている。また、電荷量検出部16は、ソースフォロワ回路構成を有しているが、図1では、リセットトランジスタTrとの接続関係を示すために四角枠によって模式的に図示されている。電荷量検出部16及びリセットトランジスタTrの詳細は後述する。
詳細は後述するが、第一感応部15H及び第一電荷蓄積部11Hは、第一感応部15Hに接続されたプラグ675H、プラグ675Hに電気的に接続された中間配線674Hなどを有する配線部67Hと、配線部67Hに接続されて第一電位制御部12Hに設けられたPウェル領域121Ha(図1では不図示、図4参照)と、Pウェル領域121Haに形成された不純物拡散領域121Hbとを介して容量的に接続されている。同様に、第二感応部15L及び第二電荷蓄積部11Lは、第二感応部15Lに接続されたプラグ675L、プラグ675Lに電気的に接続された中間配線674Lなどを有する配線部67Lと、配線部67Lに接続されて第一電位制御部12Hに設けられたPウェル領域121La(図1では不図示、図3参照)と、Pウェル領域121Laに形成された不純物拡散領域121Lbとを介して容量的に接続されている。
図1に示すように、電荷移送部13は、高感度検出部10H及び低感度検出部10Lと交差して配置されている。第一電位制御部12H、第二電位制御部12L及び電荷移送部13などの各構成要素が形成される半導体基板19の表面(以下、「素子形成面」と称する場合がある)を直交する方向に見て、第一電位制御部12H及び第一電荷流通部14Hは電荷移送部13を挟んで配置され、第二電位制御部12L及び第二電荷流通部14Lは電荷移送部13を挟んで配置されている。
第一電荷蓄積部11Hの一端部側の領域であって第一電位制御部12Hが設けられた領域に配置される領域は第一領域111Haである。第一電荷蓄積部11Hの中央部分の領域であって電荷移送部13と重なる領域は第二領域111Hbである。第一電荷蓄積部11Hの他端部側の領域であって第一電荷流通部14Hが設けられた領域に配置される領域は第三領域111Hcである。第二電荷蓄積部11Lの一端部側の領域であって第二電位制御部12Lが設けられた領域に配置される領域は第一領域111Laである。第二電荷蓄積部11Lの中央部分の領域であって電荷移送部13と重なる領域は第二領域111Lbである。第二電荷蓄積部11Lの他端部側の領域であって第二電荷流通部14Lが設けられた領域に配置される領域は第三領域111Lcである。第一領域111Haは、第三領域111Hcよりも面積が大きい方形状を有している。また、第一領域111La及び第二領域111Lbは、第三領域111Lcよりも面積が大きい方形状を有している。しかしながら、第一領域111Ha、第一領域111La及び第二領域111Lbは、方形状に限られず、他の形状を有していてもよい。以下、半導体基板19の素子形成面を直交する方向に見ることを「平面視」と称する場合がある。
第一電位制御部12Hは、平面視で第一電荷蓄積部11Hの第一領域111Haの連続する二辺の周囲に配置されて半導体基板19に設けられた不純物拡散領域121Hbを有している。不純物拡散領域121Hbには、配線部67Hが接続されている。これにより、第一感応部15Hで感応された測定対象物の化学現象に応じた電圧が配線部67Hを介して第一電位制御部12Hに印加される。また、第一電荷流通部14Hは、平面視で第一電荷蓄積部11Hの第三領域111Hcの両側の一方に配置されたソースSと、当該両側の他方に配置されたドレインDと、第三領域Hc、ソースS及びドレインDの三方に配置されて半導体基板19に設けられた不純物拡散領域141Hbとを有している。第一電荷流通部14HのソースS及びドレインDは、不純物拡散領域141Hbに形成されている。詳細は後述するが、第一電荷流通部14Hは、不純物拡散領域141Hbによって第一電荷蓄積部11Hとの間で電荷を流通させるようになっている。
第二電位制御部12Lは、平面視で第二電荷蓄積部11Lの第一領域111Laの連続する二辺の周囲に配置されて半導体基板19に設けられた不純物拡散領域121Lbを有している。不純物拡散領域121Lbには、配線部67Lが接続されている。これにより、第二感応部15Lで感応された測定対象物の化学現象に応じた電圧が配線部67Lを介して第二電位制御部12Lに印加される。また、第二電荷流通部14Lは、平面視で第二電荷蓄積部11Lの第三領域111Lcの両側の一方に配置されたソースSと、当該両側の他方に配置されたドレインDと、第三領域Lc、ソースS及びドレインDの三方に配置されて半導体基板19に設けられた不純物拡散領域141Lbとを有している。第二電荷流通部14LのソースS及びドレインDは、不純物拡散領域141Lbに形成されている。詳細は後述するが、第二電荷流通部14Lは、不純物拡散領域141Lbによって第二電荷蓄積部11Lとの間で電荷を流通させるようになっている。
図1に示すように、電荷移送部13は、Pウェル領域133と、Pウェル領域133に形成された不純物拡散領域134と、Pウェル領域133に対向して配置された対向電極131とを有している。不純物拡散領域134には、配線部61が接続されている。Pウェル領域133と第一電荷蓄積部11Hの第二領域11Hbとが対向する領域には、第一電荷蓄積部11Hに対応させて設けられた第一電位変化キャパシタC11Hが形成されている。Pウェル領域133と第二電荷蓄積部11Lの第二領域11Lbとが対向する領域には、第二電荷蓄積部11Lに対応させて設けられた第二電位変化キャパシタC11Lが形成されている。Pウェル領域133と対向電極131とが対向する領域には、対向電極131に対応させて設けられた移送量調節キャパシタC131が形成されている。第一電位変化キャパシタC11H、第二電位変化キャパシタC11L及び移送量調節キャパシタC131の詳細は後述する。
また、電荷移送部13は、Pウェル領域133に形成されたソースS及びドレインDと、ソースS及びドレインDの間であってPウェル領域133に対向して配置されたゲートGとを有するリセットトランジスタTrを有している。ソースSには、配線部63が接続され、ドレインDには、配線部65が接続されている。
電荷量検出部16は、配線部63,65を介してリセットトランジスタTrのソースS及びドレインDに電気的に接続されている。詳細は後述するが、電荷移送部13は、第一電荷蓄積部11H、第二電荷蓄積部11L及び対向電極131に印加される電圧に応じて配線部61から不純物拡散領域134に入力される電荷(本実施形態では電子)をソースSに移送する。第一電荷蓄積部11Hに対向するPウェル領域133の領域には、第一感応部15Hでの検出結果に応じた電荷(本実施形態では電子)が蓄積されている。また、第二電荷蓄積部11Lに対向するPウェル領域133の領域には、第二感応部15Lでの検出結果に応じた電荷(本実施形態では電子)が蓄積されている。
第一感応部15Hは、第二感応部15Lよりも高感度となるように構成されている。このため、第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lには、同一の測定対象物に対して異なる量の電荷が蓄積される。これにより、第一電荷蓄積部11Hに対向するPウェル領域133の表面電位と、第二電荷蓄積部11Lに対向するPウェル領域133の表面電位とが異なる。このため、電荷移送部13において不純物拡散領域134からソースSに移送される電荷は、第一感応部15H及び第二感応部15Lでの検出結果が反映され、かつ当該検出結果に含まれる電圧ばらつきが相殺された量(詳細は後述する)となる。電荷量検出部16は、ソースSに移送されて第一感応部15H及び第二感応部15Lでの検出結果が反映された電荷の量(以下、「電荷量」と称する場合がある)を検出する。電荷移送部13は、第一感応部15H及び第二感応部15Lのそれぞれにおける化学現象の感応に対して電荷を複数回、移送する。このように、検出装置1は、1つの測定対象物に対する第一感応部15H及び第二感応部15Lでの感応に対して電荷の移送を複数回、累積して実行できるように構成された累積型化学センサである。
図1に示すように、検出装置1は、不純物拡散領域121Hb,121Lb、不純物拡散領域141Hb,141Lb、Pウェル領域133、不純物拡散領域134、第一電荷流通部14H、第二電荷流通部14L及びリセットトランジスタTrのそれぞれのソースS及びドレインDの周囲に形成された素子分離層196を備えている。第一電位制御部12H、第二電位制御部12L、電荷移送部13、第一電荷流通部141H及び第二電荷流通部14Lは、素子分離層196によって電気的に分離されている。
図2及び図3に示すように、検出装置1は、P型の半導体基板19上にエピタキシャル成長されたP型結晶シリコン層191を備えている。図2及び図3では、P型結晶シリコン層が「P-epi」と表記されている。以下、検出装置1の説明に当たり、半導体基板19側を「下」とし、第一感応部15H及び第二感応部15L側を「上」として表現する場合がある。この「上」及び「下」は、説明の便宜のための規定であり、検出装置1自体の上下を規定していない。
P型結晶シリコン層191は、半導体基板19と同一の導電型を有し、Pウェル領域や不純物拡散領域が形成される領域である。このため、P型結晶シリコン層191は、半導体基板19上に形成されているものの、半導体基板19の一部と看做される。
図2に示すように、検出装置1は、P型結晶シリコン層191に形成されてN型を有するディープNウェル領域199を備えている。図2及び図3では、ディープNウェル領域が「Deep NW」と表記されている。電荷移送部13は、ディープNウェル領域199に形成されたPウェル領域133を有している。図2及び図3では、Pウェル領域が「PW」と表記されている。ディープNウェル領域199は、Pウェル領域133よりも深い位置でPウェル領域133の下部を囲んで形成されている。ディープNウェル領域199がPウェル領域133の下部を囲んで形成されることにより、検出装置1は、例えば電荷移送部13が電荷を移送する際にPウェル領域133に印加される電圧に基づいて、半導体基板19にリーク電流が流れることを防止できる。
図2に示すように、電荷移送部13は、Pウェル領域133の所定の箇所に形成されてN型を有する不純物拡散領域134を有している。また、電荷移送部13は、Pウェル領域133の所定の箇所に形成されたソースS及びドレインDを有している。不純物拡散領域134及びソースSは、平面視で第一電荷蓄積部11H、第二電荷蓄積部11L及び対向電極131を挟んで配置されている(図1参照)。
図2及び図3に示すように、検出装置1は、所定形状に形成された絶縁膜17を有している。絶縁膜17は、不純物拡散領域134、リセットトランジスタTrのソースS及びドレインD(図2参照)、第二電位制御部12Lに設けられた不純物拡散領域121Lb及び第二電荷流通部14Lに設けられた不純物拡散領域141Lb(図3参照)などを開口した形状を有している。絶縁膜17は、例えば熱酸化で形成された酸化膜であってもよく、例えば二酸化シリコン(SiO)や酸窒化シリコン(SiON)などで形成されていてもよい。検出装置1は、熱酸化で形成された絶縁膜17を備えることにより、第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lでの電荷保持特性の向上を図ることができる。
図2に示すように、電荷移送部13は、絶縁膜17上に形成された対向電極131を有している。絶縁膜17は、半導体基板19上に形成されて所定の形状を有している。対向電極131は、例えばポリシリコンで形成されている。対向電極131は、絶縁膜17の一部の領域である第三絶縁部172に接触して配置されている。対向電極131とPウェル領域133との間に挟まれた第三絶縁部172が移送量調節キャパシタC131の誘電膜として機能する。移送量調節キャパシタC131は、対向電極131と、対向電極131に対向するPウェル領域133の対向部分と、第三絶縁部172とによって構成される。つまり、対向電極131は、移送量調節キャパシタC131の一方の電極となり、Pウェル領域133の当該対向部分は、移送量調節キャパシタC131の他方の電極となる。
第一電荷蓄積部11Hの第二領域111HbとPウェル領域133との間に配置された絶縁膜17の一部が第一絶縁部171Hbとなる。第一電位変化キャパシタC11Hは、第二領域111Hbと、第二領域111Hbに対向するPウェル領域133の対向部分と、第一絶縁部171Hbとによって構成される。つまり、第二領域111Hbは、第一電位変化キャパシタC11Hの一方の電極となり、Pウェル領域133の当該対向部分は、第一電位変化キャパシタC11Hの他方の電極となる。また、第一絶縁部171Hbは、第一電位変化キャパシタC11Hの誘電膜として機能する。
第二電荷蓄積部11Lの第二領域111LbとPウェル領域133との間に配置された絶縁膜17の一部が第二絶縁部171Lbとなる。第二電位変化キャパシタC11Lは、第二領域111Lbと、第二領域111Lbに対向するPウェル領域133の対向部分と、第二絶縁部171Lbとによって構成される。つまり、第二領域111Lbは、第二電位変化キャパシタC11Lの一方の電極となり、Pウェル領域133の当該対向部分は、第二電位変化キャパシタC11Lの他方の電極となる。また、第二絶縁部171Lbは、第二電位変化キャパシタC11Lの誘電膜として機能する。
図2に示すように、電荷移送部13は、絶縁膜17上に形成されたゲートGと、平面視でゲートGの両側に配置されたソースS及びドレインDを有するリセットトランジスタTrを有している。ゲートGは、例えばポリシリコンで形成されている。ソースS及びドレインDはそれぞれ、例えばn型の不純物拡散領域で形成されている。絶縁膜17のうち、ゲートGと、ゲートGに対向するPウェル領域133の対向部分との間に挟まれた部分がリセットトランジスタTrのゲート絶縁膜173となる。
本実施形態では、第一絶縁部171Hb、第二絶縁部171Lb、第三絶縁部172及びゲート絶縁膜173は、絶縁膜17の一部であるため、同一の材料で形成されている。また、本実施形態では、第一絶縁部171Hb、第二絶縁部171Lb、第三絶縁部172及びゲート絶縁膜173は、同一の膜厚を有している。しかしながら、第一絶縁部171Hb、第二絶縁部171Lb、第三絶縁部172及びゲート絶縁膜173を形成するための材料や膜厚は、同一に限られず、異なっていてもよい。
図2及び図3に示すように、検出装置1は、第一電荷蓄積部11H、第二電荷蓄積部11L、第一電位制御部12H、第二電位制御部12L、電荷移送部13、第一電荷流通部14H及び第二電荷流通部14Lを覆って半導体基板19の上方に形成された層間絶縁膜60を備えている。層間絶縁膜60は、第一感応部15H及び第二感応部15Lの下方に形成された下部絶縁領域601と、第一感応部15H及び第二感応部15Lの上方に形成された上部絶縁領域602とを有している。下部絶縁領域601には、導電性材料で形成された配線部61~65(図2参照)、配線部66H(図4参照)、配線部66L(図3参照)、配線部67H(図1参照)及び配線部67L(図3参照)が埋め込まれて配置されている。上部絶縁領域602には、第一感応部15H及び第二感応部15Lの一部を露出する開口部が形成されている。
配線部61は、不純物拡散領域134に電気的に接続して配置されている。配線部61は、一方の端部が不純物拡散領域134に接触して形成されたプラグ611と、プラグ611の他方の端部に接触して形成された中間配線612とを有している。また、配線部61は、一方の端部が中間配線612に接触して形成されたプラグ613と、プラグ613の他方の端部に接触して形成された中間配線614とを有している。中間配線614には、下部絶縁領域601内に形成された配線(不図示)が接続されている。電荷移送部13に設けられた不純物拡散領域134には、この配線及び配線部61を介して所定レベルの電圧が印加できるようになっている。
配線部62は、対向電極131に電気的に接続して配置されている。配線部62は、一方の端部が対向電極131に接触して形成されたプラグ621と、プラグ621の他方の端部に接触して形成された中間配線622とを有している。また、配線部62は、一方の端部が中間配線622に接触して形成されたプラグ623と、プラグ623の他方の端部に接触して形成された中間配線624とを有している。中間配線624には、下部絶縁領域601内に形成された配線(不図示)が接続されている。対向電極131、すなわち移送量調節キャパシタC131には、この配線及び配線部62を介して所定レベルの電圧が印加できるようになっている。
配線部63は、リセットトランジスタTrのソースSに電気的に接続して配置されている。配線部63は、一方の端部がソースSに接触して形成されたプラグ631と、プラグ631の他方の端部に接触して形成された中間配線632とを有している。また、配線部63は、一方の端部が中間配線632に接触して形成されたプラグ633と、プラグ633の他方の端部に接触して形成された中間配線634とを有している。中間配線634には、下部絶縁領域601内に形成された配線(不図示)が接続されている。
配線部64は、リセットトランジスタTrのドレインDに電気的に接続して配置されている。配線部64は、一方の端部がドレインDに接触して形成されたプラグ641と、プラグ641の他方の端部に接触して形成された中間配線652とを有している。また、配線部65は、一方の端部が中間配線652に接触して形成されたプラグ643と、プラグ653の他方の端部に接触して形成された中間配線654とを有している。中間配線654には、下部絶縁領域601内に形成された配線(不図示)が接続されている。
配線部65は、リセットトランジスタTrのゲートGに電気的に接続して配置されている。配線部65は、一方の端部がゲートGに接触して形成されたプラグ651と、プラグ651の他方の端部に接触して形成された中間配線652とを有している。また、配線部65は、一方の端部が中間配線652に接触して形成されたプラグ653と、プラグ653の他方の端部に接触して形成された中間配線654とを有している。中間配線654には、下部絶縁領域601内に形成された配線(不図示)が接続されている。
リセットトランジスタTrのソースSには、下部絶縁領域601内に形成された配線及び配線部64を介して電荷量検出部16(図1参照)に接続されている。同様に、リセットトランジスタTrのドレインDには、下部絶縁領域601内に形成された配線及び配線部65を介して電荷量検出部16に接続されている。電荷量検出部16は、ドレインDに所定の電圧レベルの電圧を印加した上で、ソースSに蓄積された電荷の量を検出するように構成されている。検出装置1は、電荷量検出部16で検出された電荷量に基づいて、第一感応部15H及び第二感応部15Lに配置された測定対象物の検出対象量(例えばイオン濃度など)を検出するようになっている。このように、リセットトランジスタTrのソースSは、トランジスタのソースの他に、電荷移送部13が移送した電荷を蓄積するフローティングディフュージョンとしての機能を発揮するようになっている。
また、リセットトランジスタTrがリセット動作を実行する場合には、リセットトランジスタTrのゲートGには、下部絶縁領域601内に形成された配線及び配線部65を介してリセットトランジスタTrがオン状態となる電圧レベルの電圧が印加される。リセットトランジスタTrがオン状態の際にドレインDに所定の電圧が印加されると、フローティングディフュージョン(すなわちソースS)に蓄積されている電荷が電荷量検出部16に抜ける。これにより、フローティングディフュージョン内の電荷が除去される。
電荷移送部13は、第一感応部15H及び第二感応部15Lのそれぞれで感応された化学現象に応じて半導体基板19の表面電位が変化する第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2(複数の変化領域の一例)を有している。電荷移送部13は、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2に電荷を供給する電荷供給領域(供給領域の一例)APRを有している。また、電荷移送部13は、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2から移送された電荷を蓄積する電荷蓄積領域(蓄積領域の一例)ALRを有している。また、電荷移送部13は、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2から電荷蓄積領域ALRに移送する電荷の量を調節する電荷移送調節領域(移送調節領域の一例)TARを有している。電荷量検出部16は、電荷蓄積領域ALRに蓄積された電荷の量を検出する。さらに、電荷移送部13は、電荷蓄積領域ALRに蓄積された電荷を除去する電荷除去領域(除去領域の一例)RJRを有している。検出装置1は、電荷蓄積領域ALRに蓄積された電荷の量を電荷量検出部16によって検出した後に、電荷除去領域RJRに設けられたリセットトランジスタTrによって電荷蓄積領域ALRに蓄積された電荷を除去するようになっている。
電荷供給領域APRは、不純物拡散領域134のうち絶縁膜17から露出し且つ電流が流れる領域である。第一電位変化領域SFR1は、第一電荷蓄積部11Hの第二領域111Hbの下方に配置されたPウェル領域133のうちの電流が流れる領域である。第二電位変化領域SFR2は、第二電荷蓄積部11Lの第二領域111Lbの下方に配置されたPウェル領域133のうちの電流が流れる領域である。電荷移送調節領域TARは、対向電極131側の第二電荷蓄積部11Lの側壁と、リセットトランジスタTrのゲートG側の対向電極131の側壁との間の下方に配置されたPウェル領域133のうちの電流が流れる領域である。電荷蓄積領域ALRは、リセットトランジスタTrのソースSのうち絶縁膜17から露出し且つ電流が流れる領域である。電荷除去領域RJRは、リセットトランジスタTrのゲートGの下方に配置されたPウェル領域133及びリセットトランジスタTrのドレインDのうちの電流が流れる領域である。電荷供給領域APR、第一電位変化領域SFR1、第二電位変化領域SFR2、電荷移送調節領域TAR、電荷蓄積領域ALR及び電荷除去領域RJRのそれぞれの「電流が流れる領域」は、換言すると電荷の供給に寄与する領域である。
電荷移送部13は、第一電位変化領域SFR1に対応させて第一電位変化キャパシタC11Hを有している。第一電位変化領域SFR1は、第一電位変化キャパシタC11Hの他方の電極の一部を構成している。電荷移送部13は、第二電位変化領域SFR2に対応させて第二電位変化キャパシタC11Lを有している。第二電位変化領域SFR2は、第二電位変化キャパシタC11Lの他方の電極の一部を構成している。電荷移送部13は、電荷移送調節領域TARに対応させて移送量調節キャパシタC131を有している。電荷移送調節領域TARは、移送量調節キャパシタC131の他方の電極の一部を構成している。
電荷移送部13は、電荷蓄積領域ALRに対応させてリセットトランジスタTrのソースSを有している。上述のとおり、電荷量検出部16は、リセットトランジスタTrのソースSに蓄積された電荷の量を検出する。このため、電荷量検出部16は、電荷蓄積領域ALRに蓄積された電荷の量を検出するように構成されている。
詳細は後述するが、検出装置1は、電圧が印加された電荷供給領域APRに流入される電荷を第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2に引き込むようになっている。第一電位変化領域SFR1は、第一感応部15Hの出力電圧に応じて第一電位変化領域SFR1のチャネル部のポテンシャル井戸の電位を変化させる役割をもつ。第二電位変化領域SFR2は、第二感応部15Lの出力電圧に応じて第二電位変化領域SFR2のチャネル部のポテンシャル井戸の電位を変化させる役割をもつ。第一感応部15Hの出力電圧は、測定対象物の化学現象に第一感応部15Hが感応することに基づいて変化する。同様に、第二感応部15Lの出力電圧は、測定対象物の化学現象に第二感応部15Lが感応することに基づいて変化する。本実施形態では、同一の測定対象物に対し、第一感応部15Hの出力電圧が第二感応部15Lの出力電圧よりも低くなるように、高感度検出部10H及び低感度検出部10Lのそれぞれの閾値電圧が調節されている。
このため、電荷供給領域APRを調節することで、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2に流れ込んだ電荷は、第一電位変化領域SFR1の表面電位によりすりきられて、第二電位変化領域SFR2にのみ電荷が蓄積される。電荷移送調節領域TARを調節することで、第二電位変化領域SFR2に蓄積された電荷は、電荷蓄積領域ALRのフローティングディフュージョン部として機能するリセットトランジスタTrのソースSに蓄積される。検出装置1は、電荷量検出部16によってソースSに蓄積された電荷を検出する。検出装置1は、リセットトランジスタTrのソースSに蓄積された電荷を検出した後に、リセットトランジスタTrのゲート電圧を調整することで、ソースSに蓄積された電荷を排出してリセットする。
ここで、電荷移送部13の延在する方向に交差する方向に高感度検出部10H及び低感度検出部10Lを切断した切断面の断面構成について図3を用いて具体的に説明する。高感度検出部10H及び低感度検出部10Lは、同様の当該断面構成を有している。このため、高感度検出部10H及び低感度検出部10Lの当該断面構成に関し、図1に示すB-B線で切断した低感度検出部10Lの断面構成を例にとって説明する。
図3に示すように、低感度検出部10Lは、P型結晶シリコン層191に形成されてN型を有するディープNウェル領域197L,198Lを備えている。第二電位制御部12Lは、ディープNウェル領域197Lに形成されたPウェル領域121Laを有している。ディープNウェル領域197Lは、Pウェル領域121Laよりも深い位置でPウェル領域121Laの下部を囲んで形成されている。
第二電荷流通部14Lは、ディープNウェル領域198Lに形成されたPウェル領域141Laを有している。ディープNウェル領域198Lは、Pウェル領域141Laよりも深い位置でPウェル領域141Laの下部を囲んで形成されている。
ディープNウェル領域197LがPウェル領域121Laの下部を囲んで形成され、ディープNウェル領域198LがPウェル領域141Laの下部を囲んで形成されている。これにより、低感度検出部10Lは例えば、第二電荷蓄積部11Lに電荷を注入又は第二電荷蓄積部11Lから電荷を放出する際にPウェル領域121La,141Laに印加される電圧に基づいて、半導体基板19にリーク電流が流れることを防止できる。
Pウェル領域121LaとPウェル領域141Laとの間には、Pウェル領域133が形成されている。Pウェル領域121Laの上部及びPウェル領域141Laの上部と、Pウェル領域133の上部との間には、素子分離層196が形成されている。検出装置1は、素子分離層196の下方であってPウェル領域121Laの側壁の下部の周囲に形成されてN型を有するウェル領域(以下、「Nウェル領域」と略記する)193Lを備えている。低感度検出部10Lは、素子分離層196の下方であってPウェル領域141Laの側壁の下部の周囲に形成されたNウェル領域193Lを備えている。低感度検出部10Lは、素子分離層196の下方であってPウェル領域133の側壁の下部の周囲に形成されたNウェル領域195Lを備えている。
低感度検出部10Lは、Nウェル領域195Lを囲んで形成されたPウェル領域194Lを有している。Pウェル領域194Lは、Pウェル領域121La及びPウェル領域133の間において、Nウェル領域193L及びNウェル領域195Lの間に配置されている。Pウェル領域194Lは、Pウェル領域141La及びPウェル領域133の間において、Nウェル領域193L及びNウェル領域195Lの間に配置されている。このように、Pウェル領域121La及びPウェル領域133の間には、素子分離層196及びNウェル領域193L,195Lが配置されている。これにより、低感度検出部10Lは、Pウェル領域121La及びPウェル領域133が直接接触することを防止するようになっている。また、Pウェル領域141La及びPウェル領域133の間には、素子分離層196及びNウェル領域193L,195Lが配置されている。これにより、低感度検出部10Lは、Pウェル領域141La及びPウェル領域133が直接接触することを防止するようになっている。
Pウェル領域121Laは、Nウェル領域193L及びディープNウェル領域197LによってP型結晶シリコン層191と分離されている。Pウェル領域141Laは、Nウェル領域193L及びディープNウェル領域198LによってP型結晶シリコン層191と分離されている。Pウェル領域133は、Nウェル領域195L及びディープNウェル領域199LによってP型結晶シリコン層191と分離されている。
図3に示すように、第二電位制御部12Lは、Pウェル領域121Laの所定の箇所に形成されてP型を有する不純物拡散領域121Lbを有している。Pウェル領域121La及び不純物拡散領域121Lbは、半導体基板19に形成された部分である。このため、第二電位制御部12Lは、半導体基板19に形成された部分を少なくとも有している。図示は省略するが、第一電位制御部12Hは、Pウェル領域121Laと同様の構成のPウェル領域121Ha(図4参照)と、Pウェル領域121Haの所定の箇所に形成されてP側を有する不純物拡散領域121Hb(図1参照)を有している。このため、第一電位制御部12Hは、半導体基板19に形成された部分を少なくとも有している。
第二電位制御部12Lは、第二電荷蓄積部11Lの第一領域111Laと、第一領域111Laに対向するPウェル領域121Laの対向部分と、第一領域111La及び当該対向部分に挟まれた絶縁膜17の一部である制御絶縁膜171Laとによって構成された第二電位制御キャパシタC12Lを有している。第一領域111Laは第二電位制御キャパシタC12Lの一方の電極となり、Pウェル領域121Laの当該対向部分は第二電位制御キャパシタC12Lの他方の電極となり、制御絶縁膜171Laは第二電位制御キャパシタC12Lの誘電膜となる。
図2及び図3に示すように、第二電荷蓄積部11Lは、絶縁膜17に接触されて形成されている。絶縁膜17に接触していない第二電荷蓄積部11Lの外表面は、層間絶縁膜60の下部絶縁領域601に接触している。すなわち、第二電荷蓄積部11Lの外表面は、絶縁体によって囲まれている。これにより、第二電荷蓄積部11Lは、第一電位制御部12H、第二電位制御部12L、電荷移送部13、第一電荷流通部14H及び第二電荷流通部14Lに対して電気的なフローティング状態となるように配置されている。
図2に示すように、第一電荷蓄積部11Hは、絶縁膜17に接触されて形成されている。絶縁膜17に接触していない第一電荷蓄積部11Hの外表面は、層間絶縁膜60の下部絶縁領域601に接触している。すなわち、第一電荷蓄積部11Hの外表面は、絶縁体によって囲まれている。これにより、第一電荷蓄積部11Hは、第一電位制御部12H、第二電位制御部12L、電荷移送部13、第一電荷流通部14H及び第二電荷流通部14Lに対して電気的なフローティング状態となるように配置されている。
第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lはそれぞれ、例えばポリシリコンで形成されている。第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lはそれぞれ、少なくとも一部に電荷(本実施形態では電子)を保持するように構成されている。すなわち、第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lはそれぞれ、全体に電荷を蓄積するように構成されていてもよく、一部に電荷を蓄積するように構成されていてもよい。第一電荷蓄積部11Hは、第一電荷流通部14Hに設けられたPウェル領域141Ha(図4参照)を介して注入される電荷を保持するように構成されている。第二電荷蓄積部11Lは、第二電荷流通部14Lに設けられたPウェル領域141La(図3参照)を介して注入される電荷を保持するように構成されている。
図3に示すように、第二電荷蓄積部11Lは、Pウェル領域121La及びPウェル領域141Laに亘って絶縁膜17上に形成されている。絶縁膜17は、不純物拡散領域121Lb,141Lbを開口し、且つPウェル領域121La,141Laを覆う形状を有している。
第二電荷流通部14Lは、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lを有している。図1に示すように、第二電荷流通部14Lは、平面視で第二電荷蓄積部11Lの第三領域111Lcの両側の一方に配置されたソースSと、当該両側の他方に配置されたドレインDとを有している。第二電荷流通部14Lに設けられたソースS及びドレインDは、Pウェル領域141Laに形成されている。第二電荷蓄積部11Lの第三領域111Lcは、絶縁膜17の一部を挟んでPウェル領域141Laと対向して配置されている。詳細は後述するが、絶縁膜17の当該一部は、第二電荷流通部14L及び第二電荷蓄積部11Lとの間で電荷を流通させる際に、電荷を通過させるトンネル絶縁膜171Lcとなる。トンネル絶縁膜171Lcは、第三領域111LcとPウェル領域141Laに接触して形成されている。つまり、第二電荷流通部14Lは、半導体基板19及び第三領域111Lc(第二電荷蓄積部11Lの一部の一例)に挟まれ且つ接触して形成されたトンネル絶縁膜171Lc(第二絶縁膜の一例)を有している。
このように、第二電荷流通部14Lは、トンネル絶縁膜171Lcと、ソースSと、ドレインDと、トンネル絶縁膜171Lcを挟んでPウェル領域141Laに対向して配置され、平面視でソースS及びドレインDに間に配置された第三領域111Lcとを有している。第二電荷蓄積部11Lには、第二電位制御部12Lを介して電圧を印加することができる。このため、第三領域111Lcにも第二電位制御部12Lを介して電圧を印加することができる。したがって、第三領域111Lcはゲート電極として機能することができ、トンネル絶縁膜171Lcはゲート絶縁膜として機能することができる。このように、第二電荷流通部14Lは、ソースS、ドレインD、ゲート電極としての第三領域111Lc及びゲート絶縁膜としてのトンネル絶縁膜171Lcを有しているため、電界効果型トランジスタの構造を有している。
また、第二電荷流通部14Lは、第三領域111Lcと、第三領域111Lcに対向するPウェル領域141Laの対向部分と、トンネル絶縁膜171Lcとによってキャパシタの構造を有している。より具体的には、第三領域111Lcは当該キャパシタの一方の電極となり、Pウェル領域141Laの当該対向部分は当該キャパシタの他方の電極となり、トンネル絶縁膜171Lcは当該キャパシタの誘電膜となる。このように、第二電荷流通部14Lは、電界効果トランジスタとキャパシタの両方の構造を兼ね備えた電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lを有する。詳細は後述するが、第二電荷流通部14Lは、低感度検出部10Lの閾値電圧の調節動作時には電界効果トランジスタとして機能し、測定対象物の検出対象量(例えば水素イオン濃度)の検出動作時にはキャパシタとして機能する。
図3に示すように、第二電荷流通部14Lは、Pウェル領域141Laの所定の箇所に形成されてP型を有する不純物拡散領域141Lbを有している。不純物拡散領域141Lbには、配線部66L(詳細は後述する)が接続されている。このため、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lには、配線部66L及び不純物拡散領域141Lbを介してPウェル領域141Laに所定の電圧が印加される。
詳細な説明は省略するが、第一電荷流通部14Hも第二電荷流通部14Lと同様の構成を有している。すなわち、第一電荷流通部14Hは、電界効果トランジスタ型キャパシタC14H(図4参照)を有している。
トンネル絶縁膜171Lcは、所定電圧の印加に伴って電荷が流通可能な膜厚に形成されている。トンネル絶縁膜171Lcは、Pウェル領域141La上に配置されている。トンネル絶縁膜171Lcは、膜厚が6nm以上15nm未満(例えば12nm)の領域を少なくとも一部に有している。本実施形態では、トンネル絶縁膜171Lcは、例えば膜厚が6nm以上15nm未満の領域を全体に有している。トンネル絶縁膜171Lcは、6nm以上15nm未満の範囲内の膜厚を全体に有し、表面に凹凸形状を有していてもよい。また、トンネル絶縁膜171Lcは、例えば6nm以上15nm未満の範囲内で一定の膜厚(例えば6nmで一定の膜厚)を有し、表面に平坦な形状を有していてもよい。トンネル絶縁膜171Lcが6nmより薄い膜厚を有していると、トンネル絶縁膜171Lcにおいてダイレクトトンネリングが発生しやすく、第二電荷蓄積部11Lの電荷保持特性(リテンション特性)が悪化する。一方、トンネル絶縁膜171Lcが15nmより厚い膜厚を有していると、第二電荷蓄積部11Lへの電荷の注入及び第二電荷蓄積部11Lからの電荷の放出が低速になる。したがって、低感度検出部10Lは、トンネル絶縁膜171Lcが6nm以上15nm未満の膜厚の領域を全体に有していることにより、電荷保持特性の向上と、第二電荷蓄積部11LとPウェル領域141Laとの間の電荷の注入速度及び放出速度の向上とを図ることができる。
第二電荷蓄積部11Lと第二電位制御部12Lとの間には第二絶縁部171Lbが存在し、第二電位制御部12Lと第二電荷流通部14Lとの間にはトンネル絶縁膜171Lcが存在している。このため、第二電荷流通部14Lから第二電荷蓄積部11Lに注入された電荷は、第二電荷蓄積部11L内に閉じ込められる。第二電荷蓄積部11Lに閉じ込められる電荷量を調整することで、低感度検出部10Lの閾値電圧を任意の値に調整することができる。すなわち、第二電荷蓄積部11Lに閉じ込められる電荷量を調整することで、電荷移送部13の電荷移送量を任意の値に調節することができる。
低感度検出部10Lの閾値電圧は、より具体的には、電荷移送部13に設けられた第二電位変化領域SFR2の閾値電圧である。第二電位変化領域SFR2の閾値電圧は、第二感応部15Lが検出対象物から検出した検出対象の量(本例では水素イオン濃度)に基づく電圧が印加されていない状態での電圧である。換言すると、第二電位変化領域SFR2の閾値電圧は、当該検出対象の量に基づく電圧が印加されていない状態での第二電位変化領域SFR2のチャネル部分のポテンシャル井戸(詳細は後述する)の深さに相当する。
本実施形態では、制御絶縁膜171La、第二絶縁部171Lb及びトンネル絶縁膜171Lcは、絶縁膜17の一部であるため、同一の材料で形成されている。しかしながら、制御絶縁膜171La、第二絶縁部171Lb及びトンネル絶縁膜171Lcを形成するための材料は、同一に限られず、異なっていてもよい。
制御絶縁膜171La及び第二絶縁部171Lbは、例えば6nm以上15nm未満(例えば12nm)の膜厚を有している。制御絶縁膜171La及び第二絶縁部171Lbは、例えばトンネル絶縁膜171Lcと同じ膜厚を有している。制御絶縁膜171La及び第二絶縁部171Lbは、トンネル絶縁膜171Lcと同じ膜厚を有しているが、制御絶縁膜171La及び第二絶縁部171Lbには電荷が通過できるだけの電圧が印加されない。このため、低感度検出部10Lは、第二電荷流通部14LにおけるPウェル領域141La以外での第二電荷蓄積部11LとPウェル領域との間における電荷の流通を防止して第二電荷蓄積部11Lの電荷保持特性の向上を図ることができる。
図3に示すように、層間絶縁膜60の下部絶縁領域601に埋め込まれて形成された配線部67Lは、第二電位制御部12Lと第二感応部15Lとを接続して配置されている。配線部67Lは、不純物拡散領域121Lb及び第二感応部15Lに設けられた導電部151L(詳細は後述する)に電気的に接続して配置されている。配線部67Lは、一方の端部が不純物拡散領域121Lbに接触して形成されたプラグ671Lと、プラグ671Lの他方の端部に接触して形成された中間配線672Lとを有している。また、配線部67Lは、一方の端部が中間配線672Lに接触して形成されたプラグ673Lと、プラグ673Lの他方の端部に接触して形成された中間配線674Lとを有している。配線部67Lは、一方の端部が中間配線674Lに接触して形成されたプラグ675Lを有している。プラグ675Lの他方の端部は、第二感応部15Lに設けられた導電部151Lに接続されている。
層間絶縁膜60の下部絶縁領域601に埋め込まれて形成された配線部66Lは、第二電荷流通部14Lに設けられた不純物拡散領域141Lbに電気的に接続して配置されている。配線部66Lは、一方の端部が不純物拡散領域141Lbに接触して形成されたプラグ661Lと、プラグ661Lの他方の端部に接触して形成された中間配線662Lとを有している。また、配線部66Lは、一方の端部が中間配線662Lに接触して形成されたプラグ663Lと、プラグ663Lの他方の端部に接触して形成された中間配線664Lとを有している。中間配線664Lには、下部絶縁領域601内に形成された配線(不図示)が接続されている。第二電荷流通部14Lに設けられた不純物拡散領域141Lbには、この配線及び配線部66Lを介して所定レベルの電圧が印加できるようになっている。
詳細は後述するが、第二電位制御部12Lは、配線部67Lから印加される電圧を用いて第二電荷蓄積部11Lの電位を制御する。当該電圧は、不純物拡散領域121Lb及びPウェル領域121Laから第二電荷蓄積部11Lに印加される。不純物拡散領域121Lbに印加された電圧がPウェル領域121Laに効率よく伝わるように、Pウェル領域121La及び不純物拡散領域121Lbは、互いに同一の導電性を有している。これにより、低感度検出部10Lは、配線部67Lから印加される電圧をPウェル領域121Laから効率よく第二電荷蓄積部11Lに印加できる。
高感度検出部10Hは、低感度検出部10Lと同様の構成を有している。このため、高感度検出部10Hに設けられた第一電荷流通部14Hは、低感度検出部10Lに設けられた第二電荷流通部14Lと同様に、電界効果トランジスタ型キャパシタC14H(図4参照)を有している。
図1に示すように、第一電荷流通部14Hは、平面視で第一電荷蓄積部11Hの第三領域111Hcの両側の一方に配置されたソースSと、当該両側の他方に配置されたドレインDとを有している。第一電荷流通部14Hに設けられたソースS及びドレインDは、Pウェル領域141Ha(図4参照)に形成されている。第一電荷蓄積部11Hの第三領域111Hcは、絶縁膜17の一部を挟んでPウェル領域141Haと対向して配置されている。詳細は後述するが、絶縁膜17の当該一部は、第一電荷流通部14H及び第一電荷蓄積部11Hとの間で電荷を流通させる際に、電荷を通過させるトンネル絶縁膜171Hc(図4参照)となる。トンネル絶縁膜171Hcは、第三領域111HcとPウェル領域141Haに接触して形成されている。つまり、第一電荷流通部14Hは、半導体基板19及び第三領域111Hc(第一電荷蓄積部11Hの一部の一例)に挟まれ且つ接触して形成されたトンネル絶縁膜171Hc(第一絶縁膜の一例)を有している。
このように、第一電荷流通部14Hは、トンネル絶縁膜171Hcと、ソースSと、ドレインDと、トンネル絶縁膜171Hcを挟んでPウェル領域141Haに対向して配置され、平面視でソースS及びドレインDに間に配置された第三領域111Hcとを有している。第一電荷蓄積部11Hには、第一電位制御部12Hを介して電圧を印加することができる。このため、第三領域111Hcにも第一電位制御部12Hを介して電圧を印加することができる。したがって、第三領域111Hcはゲート電極として機能することができ、トンネル絶縁膜171Hcはゲート絶縁膜として機能することができる。このように、第一電荷流通部14Hは、ソースS、ドレインD、ゲート電極としての第三領域111Hc及びゲート絶縁膜としてのトンネル絶縁膜171Hcを有しているため、電界効果型トランジスタの構造を有している。
また、第一電荷流通部14Hは、第三領域111Hcと、第三領域111Hcに対向するPウェル領域141Haの対向部分と、トンネル絶縁膜171Hcとによってキャパシタの構造を有している。より具体的には、第三領域111Hcは当該キャパシタの一方の電極となり、Pウェル領域141Haの当該対向部分は当該キャパシタの他方の電極となり、トンネル絶縁膜171Hcは当該キャパシタの誘電膜となる。このように、第一電荷流通部14Hは、電界効果トランジスタとキャパシタの両方の構造を兼ね備えた電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hを有する。
トンネル絶縁膜171Hcは、所定電圧の印加に伴って電荷が流通可能な膜厚に形成されている。トンネル絶縁膜171Hcは、Pウェル領域141Ha上に配置されている。トンネル絶縁膜171Hcは、膜厚が6nm以上15nm未満の領域を少なくとも一部に有している。本実施形態では、トンネル絶縁膜171Hcは、例えば膜厚が6nm以上15nm未満の領域を全体に有している。トンネル絶縁膜171Hcは、トンネル絶縁膜171Lcと同様の形状を有していてもよい。これにより、高感度検出部10Hは、電荷保持特性の向上と、第一電荷蓄積部11HとPウェル領域141Haとの間の電荷の注入速度及び放出速度の向上とを図ることができる。
図2及び図3に示すように、層間絶縁膜60は、半導体基板19上に形成された第一電荷蓄積部11H、第二電荷蓄積部11L、第一電位制御部12H、第二電位制御部12L、電荷移送部13、第一電荷流通部14H及び第二電荷流通部14Lの各構成要素、当該構成要素が形成された半導体基板19の表面(すなわち素子形成面)を覆って形成されている。これにより、半導体基板19上に形成された第一電荷蓄積部11H、第二電荷蓄積部11L、第一電位制御部12H、第二電位制御部12L、電荷移送部13、第一電荷流通部14H及び第二電荷流通部14Lの各構成要素並びに半導体基板19の素子形成面などを保護する保護膜としての機能を発揮する。
図2及び図3に示すように、低感度検出部10Lに備えられた第二感応部15Lは、第二電荷蓄積部11L及び電荷移送部13の上方に配置されている。第二感応部15Lは、第二電位制御部12Lに電気的に接続された導電部151Lと、導電部151Lの一方の面側に形成されて測定対象物が接触される感応膜152Lとを有している。感応膜152Lの一部は、層間絶縁膜60の上部絶縁領域602から露出されている。これにより、低感度検出部10Lは、感応膜152Lに直接接触させた状態で測定対象物80を保持することができる。
図2及び図3では図示が省略されているが、高感度検出部10Hに備えられた第一感応部15H(図1参照)は、第一電荷蓄積部11H及び電荷移送部13の上方に配置されている。第一感応部15Hは、第一電位制御部12Hに電気的に接続された導電部151H(図4参照)と、導電部151Hの一方の面側に形成されて測定対象物が接触される感応膜152H(図4参照)とを有している。感応膜152Hの一部は、層間絶縁膜60の上部絶縁領域602から露出されている。これにより、高感度検出部10Hは、感応膜152Hに直接接触させた状態で測定対象物80を保持することができる。
第一感応部15Hは、第二感応部15Lよりも高感度に形成されている。例えば、感応膜152H及び感応膜152Lを形成する材料自体を異ならせたり材料の組成比を異ならせたりすることによって第一感応部15H及び第二感応部15Lの互いの感度が異ならされている。本実施形態では、第一感応部15Hに設けられた感応膜152Hは、例えばTaで形成され、第二感応部15Lに設けられた感応膜152Lは、例えばAlで形成されている。感応膜152H及び感応膜152Lは、これらの材料に限られず、測定対象物に対する感度が異なれば、絶縁感応膜や有機感応膜、抗体膜など、化学的な量に感応して、電位が変化する膜であればいかなる膜であってもよい。
検出装置1は、感応膜152Lに接触させた状態で保持する測定対象物80に接触させて参照電圧が印加される金属擬似参照電極81を備えている。金属擬似参照電極81は、例えば白金又は金で形成されている。
第一感応部15H、第二感応部15L及び金属擬似参照電極81は、測定対象物80に同時に浸漬可能に設けられている。このため、第一感応部15H及び第二感応部15Lには、金属擬似参照電極81から被検試料を介して同じ参照電圧が印加される。測定対象物80の測定範囲内において、電荷移送部13の第一電位変化領域SFR1での表面電位が電荷移送部13の第二電位変化領域SFR2での表面電位よりも常に低くなるように、第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lのそれぞれに蓄積される電荷量が調整されている。これにより、測定対象物80の測定範囲内において、第一電位変化領域SFR1での表面電位は、測定対象物80の検出対象物(例えば水素イオン濃度)が反映され、且つ当該検出対象物が反映された第二電位変化領域SFR2での表面電位よりも常に低くなる。
感応膜152H及び感応膜152Lによる分析対象は限定されない。検出装置1が例えば水素イオン濃度を測定する場合、感応膜152H及び感応膜152Lを形成するための材料は、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化錫又は二酸化ケイ素などが適しているが、これに限定されない。
図1に示すように、高感度検出部10Hは、第一電荷蓄積部11Hへの電圧の印加を遮断する第一遮断部18Hを有している。第一遮断部18Hは、スイッチである。第一遮断部18Hは、例えばMOSトランジスタで構成されている。高感度検出部10Hは、高感度検出部10Hの閾値電圧を調節する際に第一電荷蓄積部11Hに印加される電圧が入力される第一入力端子82Hを有している。第一遮断部18Hは、配線部67Hの中間配線674Hと第一入力端子82Hとの間に接続されている。
低感度検出部10Lは、第二電荷蓄積部11Lへの電圧の印加を遮断する第二遮断部18Lを有している。第二遮断部18Lは、スイッチである。第二遮断部18Lは、例えばMOSトランジスタで構成されている。低感度検出部10Lは、低感度検出部10Lの閾値電圧を調節する際に第二電荷蓄積部11Lに印加される電圧が入力される第二入力端子82Lを有している。第二遮断部18Lは、配線部67Lの中間配線674Lと第二入力端子82Lとの間に接続されている。
このため、検出装置1は、金属擬似参照電極81から電圧を印加しなくても、第一遮断部18Hを導通状態とすることにより、第一入力端子82Hから入力される電圧を第一遮断部18H及び配線部67Hを介して第一電位制御部12Hに設けられた不純物拡散領域121Lbに印加できる。これにより、第一電位制御部12Hは、第一感応部15Hに配置された化学物質を介さずに第一電荷蓄積部11Hの電位を制御できる。また、検出装置1は、金属擬似参照電極81から電圧を印加しなくても、第二遮断部18Lを導通状態とすることにより、第二入力端子82Lから入力される電圧を第二遮断部18L及び配線部67Hを介して第二電位制御部12Lに設けられた不純物拡散領域121Lbに印加できる。これにより、第二電位制御部12Lは、第二感応部15Lに配置された化学物質を介さずに第二電荷蓄積部11Lの電位を制御できる。
このため、検出装置1は、第一感応部15H及び第二感応部15Lに配置された測定対象物80の検出対象物を検出する場合には、第一遮断部18H及び第二遮断部18Lを非導通状態にした上で、金属擬似参照電極81から測定対象物80に電圧を印加する。これにより、検出装置1は、測定対象物80の検出対象物を検出することができる。一方、検出装置1は、高感度検出部10Hの閾値電圧を調節する場合には、第一遮断部18Hを導通状態にした上で第一入力端子82Hから電圧を印加する。また、検出装置1は、低感度検出部10Lの閾値電圧を調節する場合には、第二遮断部18Lを導通状態にした上で第二入力端子82Lから電圧を印加する。これにより、検出装置1は、測定対象物80に対する金属擬似参照電極81の電位の不安定性の影響を受けずに、高感度検出部10H及び低感度検出部10Lの閾値電圧を調節できる。
本実施形態では、電荷移送部13の上方において第二感応部15Lに設けられた導電部151Lと配線部67Lとが接続され、半導体基板19の周縁部において配線部67Lと第二電位制御部12Lに設けられた不純物拡散領域121Lbとが接続されている。第二感応部15Lは、配線部67Lによって不純物拡散領域121Lbに電気的に接続されている。不純物拡散領域121Lbは、導電型が同一のPウェル領域121Laに形成されているので、Pウェル領域121Laと接続されている。Pウェル領域121Laは、絶縁膜17の一部である制御絶縁膜171Laを挟んで第二電荷蓄積部11Lの第一領域111Laと対向して配置されている。このため、Pウェル領域121Laは、第二電荷蓄積部11Lと容量的に接続されているので、第二電荷蓄積部11Lは、第二感応部15Lに容量的に接続される。
また、本実施形態では、電荷移送部13の上方において第一感応部15Hに設けられた導電部151Hと配線部67Hとが接続され、半導体基板19の周縁部において配線部67Hと第一電位制御部12Hに設けられた不純物拡散領域121Hbとが接続されている。第一感応部15Hは、配線部67Hによって不純物拡散領域121Hbに電気的に接続されている。不純物拡散領域121Hbは、導電型が同一のPウェル領域121Haに形成されているので、Pウェル領域121Haと接続されている。Pウェル領域121Haは、絶縁膜17の一部である制御絶縁膜171Haを挟んで第一電荷蓄積部11Hの第一領域111Haと対向して配置されている。このため、Pウェル領域121Haは、第一電荷蓄積部11Hと容量的に接続されているので、第一電荷蓄積部11Hは、第一感応部15Hに容量的に接続される。
図1から図3では、1つの検出装置1が図示されているが、本実施形態では、複数個の検出装置1が1つの半導体基板19に集積して形成されてもよい。また、図示は省略するが、電荷量検出部16、第一遮断部18H、第二遮断部18L、第一入力端子82H及び第二入力端子82Lは、高感度検出部10H及び低感度検出部10Lが配置された場所から離れて半導体基板19に形成されている。
(検出装置の等価回路)
次に、本実施形態による検出装置1の等価回路について電荷量検出部16の回路構成を含めて図4を用いて説明する。
上述のとおり、第一感応部15H、第二感応部15L及び金属擬似参照電極81は、測定対象物80に同時に浸漬可能に設けられている。このため、図4では、金属擬似参照電極81が1つであることを示すために、第二感応部15Lに配置された金属擬似参照電極81が破線で表されている。
検出装置1の高感度検出部10Hに設けられた第一電位制御部12Hは、リセットトランジスタTrと異なり、Pウェル領域121Haをチャネルとして不純物拡散領域121Hbから他の不純物拡散領域に電流を流さない。このため、第一電位制御部12Hは、リセットトランジスタTrとは機能が異なる。しかしながら、第一電位制御部12Hは、Pウェル領域121Haと、Pウェル領域121Haに形成された不純物拡散領域121Hbとを有している。Pウェル領域121Haの上方には、制御絶縁膜171Haを介して第一電荷蓄積部11Hが配置されている。このため、第一電位制御部12Hは、リセットトランジスタTrのPウェル領域133、ソースS、ゲート絶縁膜173及びゲートGと類似の構造を有している。このため、図4に示すように、第一電位制御部12Hは、電界効果トランジスタ(FET)と類似の回路記号で表すことができる。また、低感度検出部10Lに設けられた第二電位制御部12Lは、第一電位制御部12Hと同様の理由により、FETと類似の回路記号で表すことができる。
第一電位制御部12Hに設けられたPウェル領域121Haと、Pウェル領域121Haの下部側に設けられたNウェル領域193H及びディープNウェル領域197Hとは、PN接合されている。しかしながら、図4では、Pウェル領域121Haと、Nウェル領域193H及びディープNウェル領域197Hとの間に形成されるPN接合部の図示が省略されている。
第一電荷流通部14Hは、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hを有し、電界効果トランジスタとキャパシタの両方の構造を兼ね備えている。このため、図4に示すように、第一電荷流通部14Hは、FETと類似の回路記号で表すことができる。第一電荷流通部14HのソースSには、電圧入力端子68Hsが接続されている。第一電荷流通部14HのドレインDには、電圧入力端子68Hdが接続されている。第一電荷流通部14HのPウェル領域141Haには、不純物拡散領域141Hbを介して電圧入力端子68Hgが接続されている。
図4に示すように、第一電荷蓄積部11Hは、第一電位制御部12H及び第一電荷流通部14Hに亘って設けられている。第一電荷蓄積部11Hの第一領域111Haは、第一電位制御部12HのPウェル領域121Haに対向して配置されている。第一領域111Ha及びPウェル領域121Haの間には、絶縁膜17の一部である制御絶縁膜171Haが挟まれて配置されている。これにより、第一電位制御部12Hは、第一領域111Ha、Pウェル領域121Ha及び制御絶縁膜171Haによって構成された第一電位制御キャパシタC12Hを有する。
第一電荷蓄積部11Hの第三領域111Hcは、第一電荷流通部14HのPウェル領域141Haに対向して配置されている。第三領域111Hc及びPウェル領域141Haの間には、絶縁膜17の一部であるトンネル絶縁膜171Hcが挟まれて配置されている。これにより、第一電荷流通部14Hは、第三領域111Hc、Pウェル領域141Ha及びトンネル絶縁膜171Hcによって構成された電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hを有する。
第二電位制御部12Lに設けられたPウェル領域121Laと、Pウェル領域121Laの下部側に設けられたNウェル領域193L及びディープNウェル領域197Lとは、PN接合されている。しかしながら、図4では、Pウェル領域121Laと、Nウェル領域193L及びディープNウェル領域197Lとの間に形成されるPN接合部の図示が省略されている。
第二電荷流通部14Lは、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lを有し、電界効果トランジスタとキャパシタの両方の構造を兼ね備えている。このため、図4に示すように、第二電荷流通部14Lは、第一電荷流通部14Hと同様に、FETと類似の回路記号で表すことができる。第二電荷流通部14LのソースSには、電圧入力端子68Lsが接続されている。第二電荷流通部14LのドレインDには、電圧入力端子68Ldが接続されている。第二電荷流通部14LのPウェル領域141Laには、不純物拡散領域141Lbを介して電圧入力端子68Lgが接続されている。
図4に示すように、第二電荷蓄積部11Lは、第二電位制御部12L及び第二電荷流通部14Lに亘って設けられている。第二電荷蓄積部11Lの第一領域111Laは、第二電位制御部12LのPウェル領域121Laに対向して配置されている。第一領域111La及びPウェル領域121Laの間には、絶縁膜17の一部である制御絶縁膜171Laが挟まれて配置されている。これにより、第二電位制御部12Lは、第一領域111La、Pウェル領域121La及び制御絶縁膜171Laによって構成された第二電位制御キャパシタC12Lを有する。
第二電荷蓄積部11Lの第三領域111Lcは、第二電荷流通部14LのPウェル領域141Laに対向して配置されている。第三領域111Lc及びPウェル領域141Laの間には、絶縁膜17の一部であるトンネル絶縁膜171Lcが挟まれて配置されている。これにより、第二電荷流通部14Lは、第三領域111Lc、Pウェル領域141La及びトンネル絶縁膜171Lcによって構成された電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lを有する。
電荷移送部13に設けられた第一電位変化キャパシタC11H、第二電位変化キャパシタC11L及び移送量調節キャパシタC131の他方の電極は、Pウェル領域133の一部で構成されている。このため、図4に示すように、検出装置1の等価回路において、第一電位変化キャパシタC11H、第二電位変化キャパシタC11L及び移送量調節キャパシタC131の他方の電極は、配線部61に接続された共通の直線で表すことができる。
リセットトランジスタTrに設けられたソースSは、N型を有する不純物拡散領域で構成されている。このため、Pウェル領域133でそれぞれ構成された第一電位変化キャパシタC11H、第二電位変化キャパシタC11L及び移送量調節キャパシタC131のそれぞれの他方の電極と、ソースSとは、PN接合されている。しかしながら、図4では、移送量調節キャパシタC131の他方の電極とソースSとの間に形成されるPN接合部の図示が省略されている。リセットトランジスタTrのソースSは、電荷移送部13が移送した電荷を蓄積するフローティングディフュージョンとしての機能を発揮するようになっている。このため、図4では、リセットトランジスタTrのソースSのフローティングディフュージョンとしての機能をキャパシタFDとして表されている。半導体基板19は、素子形成面と反対側の面が例えばグランドに接続されている。このため、キャパシタFDは、リセットトランジスタTrのソースSとグランドとの間に配置された状態で表すことができる。
図4に示すように、電荷量検出部16は、例えばソースフォロワ回路を構成している。より具体的には、電荷量検出部16は、リセットトランジスタTrのソースS及びドレインDに接続されたソースフォロワトランジスタ161と、ソースフォロワトランジスタ161に接続された選択トランジスタ162とを有している。ソースフォロワトランジスタ161及び選択トランジスタ162は、例えばN型のMOSFETで構成されている。ソースフォロワトランジスタ161のゲートGは、リセットトランジスタTrのソースSに接続されている。ソースフォロワトランジスタ161のドレインDは、リセットトランジスタTrのドレインDに接続されている。ソースフォロワトランジスタ161のドレインD及びリセットトランジスタTrのドレインDには、電圧Vddが入力される。ソースフォロワトランジスタ161のソースSは、選択トランジスタ162のドレインDに接続されている。選択トランジスタ162のソースSは、電荷量検出部16で検出された検出電圧Voutが出力される出力端子となる。選択トランジスタ162のゲートGには、第一感応部15H及び第二感応部15Lでの感応結果に基づく検出電圧の検出動作を実行する際に電荷量検出部16を選択するための選択信号が入力される。
ソースフォロワトランジスタ161は、ゲートGに印加された電圧からソース・ゲート間電圧Vgsを引いた電圧をソースSに出力する。このため、ソースフォロワトランジスタ161は、リセットトランジスタTrのソースSに蓄積された電荷に基づく電圧をソースSから出力できる。選択トランジスタ162がオン状態の場合、ソースフォロワトランジスタ161のソースSから出力された電圧が検出電圧Voutとして電荷量検出部16から出力される。このように、電荷量検出部16は、電荷移送部13で移送された電荷に基づく電圧を検出電圧Voutとして出力できる。
ここで、検出装置1の各部に形成されるキャパシタの容量値の関係について説明する。
第一電位制御キャパシタC12H(第一電位制御部12Hにおける容量の一例)及び第一電荷蓄積部11Hに対応させて設けられた第一電位変化キャパシタC11Hを合成した直列合成容量CcH1は、第一感応部15Hにおける容量(以下、「第一感応容量」と称する場合がある)CmHよりも小さくてもよい。すなわち、直列合成容量CcH1及び第一感応容量CmHの参照符号を直列合成容量CcH1及び第一感応容量CmHの容量値としても用いると、検出装置1は、以下の式(1)の関係を満たしているとよい。
CmH>>CcH1 ・・・(1)
同様に、第二電位制御キャパシタC12L(第二電位制御部12Lにおける容量の一例)及び第二電荷蓄積部11Lに対応させて設けられた第二電位変化キャパシタC11Lを合成した直列合成容量CcL1は、第二感応部15Lにおける容量(以下、「第二感応容量」と称する場合がある)CmLよりも小さくてもよい。すなわち、直列合成容量CcL及び第二感応容量CmLの参照符号を直列合成容量CcL1及び第二感応容量CmLの容量値としても用いると、検出装置1は、以下の式(2)の関係を満たしているとよい。
CmL>>CcL1 ・・・(2)
式(1)の関係を満たしている検出装置1は、直列合成容量CcH1が第一感応容量CmHよりも大きい構成と比較して、第一感応部15Hで検出された検出対象量(例えば水素イオン濃度など)が反映された動作電圧を、第一電位変化キャパシタC11Hへ効率よく伝えられるという効果が得られる。また、式(2)の関係を満たしている検出装置1は、直列合成容量CcL1が第二感応容量CmLよりも大きい構成と比較して、第二感応部15Lで検出された検出対象量(例えば水素イオン濃度など)が反映された動作電圧を、第二電位変化キャパシタC11Lへ効率よく伝えられるという効果が得られる。これにより、検出装置1は、検出感度を向上することが可能となる。
第一電位制御キャパシタC12Hは、第一電位変化キャパシタC11Hの容量よりも大きく、第二電位制御キャパシタC12Lは、第二電位変化キャパシタC11Lの容量よりも大きくてもよい。すなわち、検出装置1は、以下の式(3)及び式(4)の関係を満たしているとよい。
C12H>>C11H ・・・(3)
C12L>>C11L ・・・(4)
式(3)の関係を満たしている検出装置1は、第一電位制御キャパシタC12Hが第一電位変化キャパシタC11Hの容量よりも小さい構成と比較して、第一感応部15Hで検出された検出対象量(例えば水素イオン濃度など)が反映された動作電圧を、第一電位変化キャパシタC11Hへ効率よく伝えられるという効果が得られる。また、式(4)の関係を満たしている検出装置1は、第二電位制御キャパシタC12Lが第二電位変化キャパシタC11Lの容量よりも小さい構成と比較して、第二感応部15Lで検出された検出対象量(例えば水素イオン濃度など)が反映された動作電圧を、第二電位変化キャパシタC11Lへ効率よく伝えられるという効果が得られる。これにより、検出装置1は、検出感度を向上することが可能となる。
第一電位制御キャパシタC12H及び電界効果トランジスタ型キャパシタC14H(第一電荷流通部14Hにおける容量の一例)を合成した直列合成容量CcH2は、第一感応容量CmHよりも小さくてよい。また、第二電位制御キャパシタC12L及び電界効果トランジスタ型キャパシタC14L(第一電荷流通部14Hにおける容量の一例)を合成した直列合成容量CcL2は、第二感応容量CmLよりも小さくてよい。すなわち、検出装置1は、以下の式(5)及び式(6)の関係を満たしているとよい。
CmH>>CcH2 ・・・(5)
CmL>>CcL2 ・・・(6)
式(5)の関係を満たしている検出装置1は、直列合成容量CcH2が第一感応容量CmHよりも大きい構成と比較して、第一感応部15Hで検出された検出対象量(例えば水素イオン濃度など)が反映された動作電圧を、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hへ効率よく伝えられるという効果が得られる。また、式(6)の関係を満たしている検出装置1は、直列合成容量CcL2が第二感応容量CmLよりも大きい構成と比較して、第二感応部15Lで検出された検出対象量(例えば水素イオン濃度など)が反映された動作電圧を、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lへ効率よく伝えられるという効果が得られる。これにより、検出装置1は、検出感度を向上することが可能となる。
第一電位制御キャパシタC12Hは、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hよりも大きく、第二電位制御キャパシタC12Lは、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lよりも大きくてもよい。すなわち、検出装置1は、以下の式(7)及び式(8)の関係を満たしているとよい。
C12H>C14H ・・・(7)
C12L>C14L ・・・(8)
電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hが第一電位制御キャパシタC12Hよりも大きい成と比較して、検出装置1は、第一電位制御部12Hに入力される電圧を第一電荷流通部14Hに効率よく伝えられるという効果が得られる。その結果、検出装置1は、高感度検出部10Hの閾値電圧の調節の効率を向上することが可能となる。また、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lが第二電位制御キャパシタC12Lよりも大きい成と比較して、検出装置1は、第二電位制御部12Lに入力される電圧を第二電荷流通部14Lに効率よく伝えられるという効果が得られる。その結果、検出装置1は、低感度検出部10Lの閾値電圧の調節の効率を向上することが可能となる。
<検出装置の動作>
次に、本実施形態による検出装置1の動作について水素イオン濃度の検出動作を例にとって、図1から図4を参照しつつ図5から図11を用いて説明する。まず、検出装置1による測定対象物の検出原理について説明する。
(検出装置の検出原理)
検出装置1では、測定対象物80を第一感応部15H及び第二感応部15L上に配置し、金属擬似参照電極81から測定対象物80を介して第一感応部15H及び第二感応部15Lに参照電圧が入力される。これにより、感応膜152H及び感応膜152Lのそれぞれの界面の感応基、例えばヒドロキシ基は解離し、電気化学的に平衡状態となる。この際、測定対象物80の濃度に応じた電位が第一感応部15H及び第二感応部15Lの界面で発生する。感応膜152Hは、感応膜152Lよりも高感度の膜である。このため、測定対象物80の測定範囲内において感応膜152Hは、感応膜152Lと比較して、最小の水素イオン濃度に対して界面に発生する電位と、最大の水素イオン濃度に対して界面に発生する電位との差が大きくなる。
測定対象物80の水素イオン濃度に応じて界面電圧が変化するため、金属擬似参照電極81から入力される参照電圧の電圧値が同じであっても、配線部67H及び第一電位制御部12Hを介して第一電荷蓄積部11Hに印加される電圧の電圧値は、測定対象物80の濃度に応じて変化する。同様に、配線部67L及び第二電位制御部12Lを介して第二電荷蓄積部11Lに印加される電圧の電圧値は、測定対象物80の濃度に応じて変化する。このため、第一電位変化キャパシタC11H及び第二電位変化キャパシタC11Lに印加される電圧の電圧値が測定対象物80の濃度に応じて変化する。
検出装置1では、測定対象物80の水素イオン濃度によらず、電荷移送部13の第一電位変化領域SFR1での表面電位が電荷移送部13の第二電位変化領域SFR2での表面電位よりも常に低くなるように高感度検出部10H及び低感度検出部10Lの閾値電圧が調節される。図5は、測定対象物の水素イオン濃度、高感度検出部10H及び低感度検出部10Lの閾値電圧及び第一電位変化キャパシタC11H及び第二電位変化キャパシタC11Lでの表面電位の関係を示す図である。高感度検出部10Hの閾値電圧は、例えば測定対象物に対して化学的に安定な参照電極(金属擬似参照電極81とは異なる一般的な電極)を使用し、「測定対象物→第一感応部15H→第一電位制御部12H→第一電荷蓄積部11H→第一電荷流通部14H」という経路で電圧を印加した場合に第一電荷流通部14Hにおいて測定される閾値電圧である。同様に、低感度検出部10Lの閾値電圧は、例えば銀/塩化銀(Ag/AgCl)で形成された参照電極を使用し、「測定対象物→第二感応部15L→第二電位制御部12L→第二電荷蓄積部11L→第二電荷流通部14L」という経路で電圧を印加した場合に第二電荷流通部14Lにおいて測定される閾値電圧である。第一電位変化キャパシタC11Hでの表面電位は、電荷移送部13の第一電位変化領域SFR1での表面電位であり、第二電位変化キャパシタC11Lでの表面電位は、電荷移送部13の第二電位変化領域SFR2での表面電位である。
図5(a)は、測定対象物の水素イオン濃度と、高感度検出部10H及び低感度検出部10Lの閾値電圧との関係を示すグラフである。図5(a)中の「CTH」は測定対象物の水素イオン濃度に対する高感度検出部10Hの閾値電圧特性を示し、図5(a)中の「CTL」は測定対象物の水素イオン濃度に対する低感度検出部10Lの閾値電圧特性を示している。図5(a)中に示すグラフの横軸は水素イオン濃度[pH]を表し、図5(a)中に示すグラフの縦軸は閾値電圧Vthを表している。図5(b)中の「CVH」は測定対象物の水素イオン濃度に対する電荷移送部13の第一電位変化領域SFR1での表面電位特性を示している。図5(b)中の「CVL」は測定対象物の水素イオン濃度に対する電荷移送部13の第二電位変化領域SFR2での表面電位特性を示している。閾値電圧特性を示し、図5(b)中の「CTL」は測定対象物の水素イオン濃度に対する低感度検出部10Lの閾値電圧特性を示している。図5(b)中に示すグラフの横軸は水素イオン濃度[pH]を表し、図5(b)中に示すグラフの縦軸は表面電位Φsを表している。
第一感応部15Hは、低感度検出部10Lよりも測定対象物の水素イオン濃度に対して感度が高く構成されている。このため、図5(a)に示すように、高感度検出部10Hの閾値電圧特性CTHは、低感度検出部10Lの閾値電圧特性CTLよりも水素イオン濃度の測定範囲内における傾きが大きくなっている。さらに、高感度検出部10Hの閾値電圧が当該測定範囲内において低感度検出部10Lの閾値電圧よりも高くなるように、高感度検出部10Hの閾値電圧特性CTH及び低感度検出部10Lの閾値電圧特性CTLが設定されている。高感度検出部10Hの閾値電圧は、第一電荷蓄積部11Hに蓄積される電荷量によって調整され、低感度検出部10Lの閾値電圧は、第二電荷蓄積部11Lに蓄積される電荷量によって調整されている。検出装置1では、第一感応部15H及び第二感応部15Lのそれぞれの感度、測定対象物80の水素イオン濃度の測定範囲に基づいて、水素イオン濃度がpH7における高感度検出部10Hの閾値電圧Vth1及び低感度検出部10Lの閾値電圧Vth2の電圧差Vcorが設定される。これにより、測定対象物80の水素イオン濃度の測定範囲内において、高感度検出部10Hの閾値電圧は、低感度検出部10Lの閾値電圧よりも常に高くなる。
図5(a)に示す閾値電圧特性のように、高感度検出部10Hの閾値電圧特性CTH及び低感度検出部10Lの閾値電圧特性CTLが設定されると、電荷移送部13の第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2での表面電位特性は、図5(b)に示す特性のようになる。すなわち、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2でのそれぞれの表面電位特性は、水素イオン濃度pH7において表面電位の差が電圧差Vcorとなり、且つ測定対象物の水素イオン濃度の測定範囲内において互いに交差しない。これにより、当該測定範囲内において、第一電位変化領域SFR1の表面電位は、第二電位変化領域SFR2での表面電位よりも常に低くなる。
このように、高感度検出部10H及び低感度検出部10Lの閾値電圧が調節された検出装置1では、第一電位変化キャパシタC11H及び第二電位変化キャパシタC11Lに電圧が印加された状態で、電荷移送部13で移送される電荷(すなわち電荷移送部13に流れる電流)を電圧に変換して直読することにより、測定対象物80の濃度を検出することができる。
(検出装置の動作)
図6は、本実施形態による検出装置1の動作(すなわち、検出装置1の検出方法)の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、本実施形態による検出装置1の検出方法は、半導体基板に配置されて測定対象物の化学現象に感応する感応部、前記感応部に容量的に接続されて電荷を蓄積する電荷蓄積部及び前記電荷蓄積部に電荷を流通させる電荷流通部を備える検出装置の検出方法である。より具体的には、検出装置1の検出方法は、半導体基板19に配置されて測定対象物80の化学現象に感応する第一感応部15H、第一感応部15Hに容量的に接続されて電荷を蓄積する第一電荷蓄積部11H及び第一電荷蓄積部11Hに電荷を流通させる第一電荷流通部14Hと、半導体基板19に配置されて測定対象物80の化学現象に感応する第二感応部15L、第二感応部15Lに容量的に接続されて電荷を蓄積する第二電荷蓄積部11L及び第二電荷蓄積部11Lに電荷を流通させる第二電荷流通部14Lとを備える検出装置の検出方法である。
検出装置1の検出方法は、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hを有する第一電荷流通部14Hの閾値電圧を調節して第一電荷蓄積部11Hに蓄積される電荷量を所望の量に調節する。次に、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lを有する第二電荷流通部14Lの閾値電圧を調節して第二電荷蓄積部11Lに蓄積される電荷量を所望の量に調整する。次に、第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lの電荷量を所望の量にそれぞれ調整した後に、第一感応部15H及び第二感応部15Lで感応された化学現象に応じて第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lが配置された半導体基板19のPウェル領域133(半導体基板の部分の一例)の表面電位の変化に基づいて測定対象物80の検出対象量(本例では水素イオン濃度)を検出する。以下、検出装置1の動作(検出装置1の検出方法)についてより具体的に説明する。
(ステップS11)
図6に示すように、ステップS11において検出装置1は、第一電荷蓄積部11Hに電荷(本実施形態では電子)を注入又は第一電荷蓄積部11Hから電荷を放出し、第一電荷流通部14Hの閾値電圧を調節し、ステップS13の処理に移行する。
ステップS11において、第一電荷蓄積部11Hに電荷を注入して高感度検出部10Hをエンハンスメント状態にする場合には、第一感応部15Hからではなく、第一遮断部18Hを導通状態にして第一入力端子82Hから正の電圧レベルのパルス信号が入力される。具体的には、第一入力端子82Hには正の電圧レベルのパルス信号が入力される。電圧入力端子68Hs、電圧入力端子68Hd及び電圧入力端子68Hgには、負の電圧レベルのパルス信号が入力される。さらに、参照電極(不図示)、配線部61、配線部63及び配線部64への電圧の入力が遮断される。ステップS11から後述するステップS21までの処理では、金属擬似参照電極81ではなく、例えば測定対象物に対して化学的に安定な参照電極(金属擬似参照電極81とは異なる一般的な電極)が用いられる。
これにより、第一電位制御部12Hに設けられたPウェル領域121Haには、第一遮断部18H、配線部67H及び不純物拡散領域121Hbを介して正の電圧レベルのパルス電圧が印加される。さらに、高感度検出部10Hをエンハンスメント状態にする場合には、第一電荷流通部14Hに設けられたPウェル領域141Haには、ソースS、ドレインD及び不純物拡散領域141Lbを介して負の電圧レベルのパルス電圧が印加される。その結果、トンネル絶縁膜171Lcにおいてファウラーノルドハイム型のトンネル伝導(FNトンネル)が発生し、図4中に下向きの直線矢印で示すように、電子eが第一電荷流通部14Hに設けられたPウェル領域141Haからトンネル絶縁膜171Hcを通って第一電荷蓄積部11Hに注入される。式(7)に示すように、第一電位制御部12Hの第一電位制御キャパシタC12Hは、第一電荷流通部14Hの電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hよりも大きい容量値を有している。第一電位制御キャパシタC12Hが電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hより小さい構成と比較して、検出装置1は、第一電位制御キャパシタC12Hに入力される電圧が、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lへ効率よく伝えられるという効果が得られる。その結果、検出装置1は、高感度検出部10Hの閾値電圧の調節の効率を向上することが可能となる。
ステップS11において、第一電荷蓄積部11Hから電荷を放出して高感度検出部10Hをディプレッション状態にする場合にも、第一感応部15Hからではなく、第一遮断部18Hを導通状態にして第一入力端子82Hから負の電圧レベルのパルス信号が入力される。具体的には、第一入力端子82Hには負の電圧レベルのパルス信号が入力される。電圧入力端子68Hs、電圧入力端子68Hd及び電圧入力端子68Lgには、正の電圧レベルのパルス信号が入力される。さらに、参照電極(不図示)、配線部61、配線部63及び配線部64への電圧の入力が遮断される。
これにより、第一電荷流通部14Hに設けられたPウェル領域141Haには、ソースS、ドレインD及び不純物拡散領域141Hbを介して正の電圧レベルのパルス電圧が印加される。その結果、トンネル絶縁膜171HcにおいてFNトンネルが発生し、図4中に上向きの直線矢印で示すように、電子eが第一電荷蓄積部11Hからトンネル絶縁膜171Hcを通って第一電荷流通部14Hに設けられたPウェル領域141Haに放出される。
このように、第一電位制御部12HのPウェル領域121Haと、第一電荷流通部14HのPウェル領域141Haに印加する電圧を制御することで、トンネル絶縁膜171Hcを介して第一電荷蓄積部11Hに電荷を注入したり第一電荷蓄積部11Hから電荷を放出したりすることができる。第一電荷蓄積部11Hに蓄積された電荷量によって高感度検出部10Hの閾値電圧、すなわち電荷移送部13における電荷移送量(電流量)を任意に調節することができる。
高感度検出部10Hの閾値電圧は、第一電位制御部12H及び第一電荷流通部14Hに印加するパルス電圧の振幅だけでなく、パルス電圧の印加時間を変えて調節することもできる。
(ステップS13)
図6に示すように、ステップS13において検出装置1は、標準溶液に対する出力を検出し、ステップS15の処理に移行する。第一電荷蓄積部11Hへの電荷の流通は、上述のとおり、第一電位制御部12Hと第一電荷流通部14Hとの間に電位を印加することにより、第一電荷流通部14Hを電荷の通り道として、電荷を流通させる。一般的に、電荷蓄積部内の電荷量は、電荷移送部の電位変化領域での閾値電圧を測定することによって確認される。電荷移送部の電位変化領域での閾値電圧が所望値よりも高ければ電荷量が多く、当該閾値電圧が所望値よりも低ければ電荷量が小さいことを意味する。しかしながら、本実施形態による検出装置1では、電荷移送部13の第一電位変化領域SFR1は、電界効果トランジスタ構造ではなく、閾値電圧を評価できる構造を有していない。そこで、本実施形態による検出装置1では、電界効果トランジスタ構造を有する第一電荷流通部14Hにおいて閾値電圧を評価することにより、電荷移送部13と重なり、第一電位変化領域SFR1に対応する第一電荷蓄積部11Hの第二領域111Hbでの電荷量が調整される。
第一感応部15Hに設けられた感応膜152Hの測定対象物80の水素イオン濃度に対する感度、第二感応部15Lに設けられた感応膜152Lの測定対象物80の水素イオン濃度に対する感度及び測定対象物80の測定範囲に基づいて、校正用の標準溶液における第一電荷流通部14Hでの閾値電圧が予め設定される。
ステップS11の処理によって、第一電荷蓄積部11Hには所定量の電荷が蓄積されているので、第一電荷蓄積部11Hの第三領域111Hcは所定の電位となっている。そこで、ステップS13では、第一遮断部18Hは非導通状態に設定され、「参照電極→標準溶液→第一感応部15H→第一電位制御部12H→第一電荷蓄積部11H→第一電荷流通部14H」という経路で電圧を印加される。このように高感度検出部10Hに電圧が印加されている際に、第一電荷流通部14HのソースS及びドレインDに所定の電圧が印加されて、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hの電流-電圧特性が取得される。第一電荷流通部14Hの閾値電圧が予め設定された閾値電圧に一致しているか否かが、取得された電界効果トランジスタ型キャパシタC14Hの電流-電圧特性に基づいて確認される。このようにして、ステップS13では、標準溶液に対する第一電荷流通部14Hの出力が検出される。
(ステップS15)
図6に示すように、ステップS15において検出装置1は、ステップS13での検出結果が所望の出力値であったか否かを判定し、所望の出力値であった場合には(YES)、ステップS17の処理に移行し、所望の出力値でなかった場合には(NO)、ステップS11の処理に戻る。所望の出力値は、標準溶液に対して予め設定された第一電荷流通部14Hでの閾値電圧である。このため、ステップS13における検出結果が所望の出力値である場合には、高感度検出部10Hの閾値電圧が所望の値に設定されたことを示すため、検出装置1は次のステップS17の処理に移行する。
一方、ステップS13における検出結果が所望の出力値でない場合には、高感度検出部10Hの閾値電圧が所望の値に設定されていないことを示すため、検出装置1は第一電荷蓄積部11Hに蓄積された電荷の量を調節するためにステップS11の処理に戻る。例えば、検出結果が所望の出力値よりも大きい場合には、高感度検出部10Hの閾値電圧が所望の値よりも高い判定し、検出結果が所望の出力値よりも小さい場合には、高感度検出部10Hの閾値電圧が所望の値よりも低いと判定する。ステップS15において検出結果が所望の出力値よりも大きいと判定された場合には、次のステップS11では、検出装置1は、第一電荷蓄積部11Hに電荷を注入して閾値電圧が低くなるように動作する。一方、ステップS15において検出結果が所望の出力値よりも大きいと判定された場合には、次のステップS11では、検出装置1は、第一電荷蓄積部11Hから電荷を放出して閾値電圧が高くなるように動作する。このように、検出装置1は、高感度検出部10Hの閾値電圧が所望の値になるまで、ステップS11からステップS15の処理を繰り返し実行する。
(ステップS17)
図6に示すように、ステップS17において検出装置1は、第二電荷蓄積部11Lに電荷(本実施形態では電子)を注入又は第二電荷蓄積部11Lから電荷を放出し、低感度検出部10Lの閾値電圧を調節し、ステップS19の処理に移行する。
ステップS17において、第二電荷蓄積部11Lに電荷を注入して低感度検出部10Lをエンハンスメント状態にする場合には、第二感応部15Lからではなく、第二遮断部18Lを導通状態にして第二入力端子82Lから正の電圧レベルのパルス信号が入力される。具体的には、第二入力端子82Lには正の電圧レベルのパルス信号が入力される。電圧入力端子68Ls、電圧入力端子68Ld及び電圧入力端子68Lgには、負の電圧レベルのパルス信号が入力される。さらに、金属擬似参照電極81、配線部61、配線部63及び配線部64への電圧の入力が遮断される。
これにより、第二電位制御部12Lに設けられたPウェル領域121Laには、第二遮断部18L、配線部67L及び不純物拡散領域121Lbを介して正の電圧レベルのパルス電圧が印加される。さらに、低感度検出部10Lをエンハンスメント状態にする場合には、第二電荷流通部14Lに設けられたPウェル領域141Laには、ソースS、ドレインD及び不純物拡散領域141Lbを介して負の電圧レベルのパルス電圧が印加される。その結果、トンネル絶縁膜171Lcにおいてファウラーノルドハイム型のトンネル伝導(FNトンネル)が発生し、図4中に下向きの直線矢印で示すように、電子eが第二電荷流通部14Lに設けられたPウェル領域141Laからトンネル絶縁膜171Lcを通って第一電荷蓄積部11Hに注入される。式(8)に示すように、第二電位制御部12Lの第二電位制御キャパシタC12Lは、第二電荷流通部14Lの電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lよりも大きい容量値を有している。第二電位制御キャパシタC12Lが電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lより小さい構成と比較して、検出装置1は、第二電位制御キャパシタC12Lに入力される電圧が、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lへ効率よく伝えられるという効果が得られる。その結果、検出装置1は、低感度検出部10Lの閾値電圧の調節の効率を向上することが可能となる。
ステップS17において、第二電荷蓄積部11Lから電荷を放出して低感度検出部10Lをディプレッション状態にする場合にも、第二感応部15Lからではなく、第二遮断部18Lを導通状態にして第二入力端子82Lから負の電圧レベルのパルス信号が入力される。具体的には、第二入力端子82Lには負の電圧レベルのパルス信号が入力される。電圧入力端子68Ls、電圧入力端子68Ld及び電圧入力端子68Lgには、正の電圧レベルのパルス信号が入力される。さらに、参照電極(不図示)、配線部61、配線部63及び配線部64への電圧の入力が遮断される。
これにより、第一電荷流通部14Hに設けられたPウェル領域141Haには、ソースS、ドレインD及び不純物拡散領域141Hbを介して正の電圧レベルのパルス電圧が印加される。その結果、トンネル絶縁膜171HcにおいてFNトンネルが発生し、図4中に上向きの直線矢印で示すように、電子eが第一電荷蓄積部11Hからトンネル絶縁膜171Hcを通って第一電荷流通部14Hに設けられたPウェル領域141Haに放出される。
このように、第二電位制御部12LのPウェル領域121Laと、第二電荷流通部14LのPウェル領域141Laに印加する電圧を制御することで、トンネル絶縁膜171Lcを介して第二電荷蓄積部11Lに電荷を注入したり第二電荷蓄積部11Lから電荷を放出したりすることができる。第二電荷蓄積部11Lに蓄積された電荷量によって低感度検出部10Lの閾値電圧、すなわち電荷移送部13における電荷移送量(電流量)を任意に調節することができる。
低感度検出部10Lの閾値電圧は、第二電位制御部12L及び第二電荷流通部14Lに印加するパルス電圧の振幅だけでなく、パルス電圧の印加時間を変えて調節することもできる。
(ステップS19)
図6に示すように、ステップS19において検出装置1は、標準溶液に対する出力を検出し、ステップS21の処理に移行する。ステップS21では、ステップS13と同様に、電界効果トランジスタ構造を有する第二電荷流通部14Lにおいて閾値電圧を評価することにより、電荷移送部13と重なり、第二電位変化領域SFR2に対応する第二電荷蓄積部11Lの第二領域111Lbでの電荷量が調整される。
第一感応部15Hに設けられた感応膜152Hの測定対象物80の水素イオン濃度に対する感度、第二感応部15Lに設けられた感応膜152Lの測定対象物80の水素イオン濃度に対する感度及び測定対象物80の測定範囲に基づいて、校正用の標準溶液における第二電荷流通部14Lでの閾値電圧が予め設定される。校正用の標準溶液における第二電荷流通部14Lでの閾値電圧は、これらの条件に加えて、例えば測定範囲の中央の水素イオン濃度において、予め設定された第一電荷流通部14Hの閾値電圧よりも電圧差Vcorだけ高くなるように予め設定される。これにより、上述のとおり、測定対象物80の水素イオン濃度測定範囲内において、第一電位変化領域SFR1の表面電位は、第二電位変化領域SFR2での表面電位よりも常に低くなる。
ステップS17の処理によって、第二電荷蓄積部11Lには所定量の電荷が蓄積されているので、第二電荷蓄積部11Lの第三領域111Lcは所定の電位となっている。そこで、ステップS17では、第二遮断部18Lは非導通状態に設定され、「参照電極→標準溶液→第二感応部15L→第二電位制御部12L→第二電荷蓄積部11L→第二電荷流通部14L」という経路で電圧を印加される。このように低感度検出部10Lに電圧が印加されている際に、第二電荷流通部14LのソースS及びドレインDに所定の電圧が印加されて、電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lの電流-電圧特性が取得される。第二電荷流通部14Lの閾値電圧が予め設定された閾値電圧に一致しているか否かが、取得された電界効果トランジスタ型キャパシタC14Lの電流-電圧特性に基づいて確認される。このようにして、ステップS19では、標準溶液に対する第二電荷流通部14Lの出力が検出される。
(ステップS21)
図6に示すように、ステップS21において検出装置1は、ステップS17での検出結果が所望の出力値であったか否かを判定し、所望の出力値であった場合には(YES)、ステップS23の処理に移行し、所望の出力値でなかった場合には(NO)、ステップS17の処理に戻る。所望の出力値は、標準溶液に対して予め設定された第二電荷流通部14Lでの閾値電圧である。このため、ステップS19における検出結果が所望の出力値である場合には、低感度検出部10Lの閾値電圧が所望の値に設定されたことを示すため、検出装置1は次のステップS23の処理に移行する。
一方、ステップS19における検出結果が所望の出力値でない場合には、低感度検出部10Lの閾値電圧が所望の値に設定されていないことを示すため、検出装置1は第二電荷蓄積部11Lに蓄積された電荷の量を調節するためにステップS17の処理に戻る。ステップS21において低感度検出部10Lの閾値電圧が所望の値であるか否かの判定方法は、ステップS15における高感度検出部10Hに対する判定方法と同様であるため、説明は省略する。また、低感度検出部10Lの閾値電圧が所望の値でない場合にステップS21に続いて実行されるステップS17の処理は、ステップS15に引き続いて実行されるステップS11の処理と同様であるため、説明は省略する。検出装置1は、低感度検出部10Lの閾値電圧が所望の値になるまで、ステップS17からステップS21の処理を繰り返し実行する。
検出装置1は、標準溶液に対して第一電荷流通部14H及び第二電荷流通部14Lの閾値電圧を調節することで、第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11L以外の箇所に存在する外乱蓄積電荷の補正だけでなく、電荷移送部13の製造ばらつきも含めて補正することができる。
また、ステップS11からステップS21までの処理によって、検出装置1が半導体ウェハの面内のどの位置に形成されていても、高感度検出部10Hの閾値電圧を同一の値に調節でき、かつ低感度検出部10Lの閾値電圧を同一の値に調節できる。さらに、ステップS11からステップS21までの処理によって、1つの半導体ウェハに形成された複数の検出装置1のそれぞれの高感度検出部10Hの閾値電圧を同一の値に調節でき、かつ低感度検出部10Lの閾値電圧を同一の値に調節できる。これにより、検出装置1が半導体ウェハのいずれの位置に形成されていても、同一の測定対象物に対して同一の電荷量の電荷を電荷移送部13で移送できる。同様に、1つの半導体ウェハに形成された複数の検出装置1は互いに、同一の測定対象物に対して同一の電荷量の電荷を電荷移送部13で移送できる。
このように、本実施形態による検出装置1は、ステップS11からステップS15の動作を繰り返し、その後にステップS17からステップS21の動作を繰り返すことによって高感度検出部10H及び低感度検出部10Lのそれぞれの閾値電圧を調節できる。これにより、後述するステップS23における測定対象物の測定処理において、電荷移送のための第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lの電圧調整やソフトウェアによる補正を必要としない。これにより、検出装置1は、測定対象物の測定処理において電荷移送のための電圧調整や補正を必要とする装置と比較して、面積を大幅に縮小でき且つデータ処理にかかる負担を大幅に低減できる。
ステップS11からステップS21までの処理は、検出装置1の出荷前のテスト時に実行されてもよいし、検出装置1の使用者が測定対象物の測定前に調整してもよい。ステップS11からステップS21までの処理が検出装置1の出荷前のテスト時に実行される場合、閾値電圧調節プロセスが不要であるため、昇圧回路を備える必要がなく、検出装置1の小型化を図ることができる。
(ステップS23)
図6に示すように、ステップS23において検出装置1は、測定対象物を測定する。ここで、検出装置1による測定対象物の測定動作について図1から図4を参照しつつ、図7から図11を用いて説明する。図7は、検出装置1の測定動作時の電荷移送部13での電荷の移送を制御するためのタイミングチャートの一例を示す図である。図7中に示す「Vap」は、電荷供給領域APRに印加される電圧の電圧波形を示し、図7中に示す「Vsf1」は、第一電位変化領域SFR1に印加される電圧の電圧波形を示し、図7中に示す「Vsf2」は、第二電位変化領域SFR2に印加される電圧の電圧波形を示している。図7中に示す「Vta」は、電荷移送調節領域TARに印加される電圧の電圧波形を示している。図7中に示す「Vg」は、リセットトランジスタTrのゲートGに印加される電圧の電圧波形を示し、図7中に示す「Vd」は、リセットトランジスタTrのドレインDに印加される電圧の電圧波形を示している。図7中に示す「V0」は、各電圧の基準電圧(本実施形態では0V)を示している。図7では、左から右に向かって時の経過が表されている。
図8及び図10は、検出装置1での1回の動作サイクルの一例を説明する図である。図9は、電荷移送部13での電圧差分動作を説明する図である。図11は、検出装置1での累積動作サイクルの一例を説明する図である。図8(a)から図8(c)、図10(a)から図10(c)及び図11には、電荷移送部13に設けられた電荷供給領域APR、電荷供給調節領域AAR、電位変化領域SFR、電荷移送調節領域TAR、電荷蓄積領域ALR及び電荷除去領域RJRの電位及び電荷の移送状態が模式的に図示されている。図8(a)から図8(c)及び図10(a)から図10(c)は、この順に時の経過が表されている。図9(a)は、従来の電荷移送部での問題点を説明する図であり、図9(b)は、本実施形態における電荷移送部13での差分動作による作用・効果を説明する図である。
電荷供給領域APRはn型の不純物拡散領域134で構成され、第一電位変化領域SFR1、第二電位変化領域SFR2及び電荷移送調節領域TARは主にPウェル領域133で構成され、電荷蓄積領域ALRは主にソースSで構成され、電荷除去領域RJRは主にPウェル領域133で構成されている。
第一感応部15H及び第二感応部15Lに測定対象物80が滴下された後に金属擬似参照電極81から参照電圧が入力されると、測定対象物80、第一感応部15H、配線部67H及び第一電位制御部12Hの不純物拡散領域121Hbを介してPウェル領域121Haに電圧が印加される。同様に、当該参照電圧が入力されると、測定対象物80、第二感応部15L、配線部67L及び第二電位制御部12Lの不純物拡散領域121Lbを介してPウェル領域121Laに電圧が印加される。これにより、第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lのそれぞれの電位が変化するので、図7に示すように、期間T1において、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2のそれぞれの電位が変化する。すなわち、図8(a)に示すように、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2のそれぞれのチャネル部分のポテンシャル井戸の深さが変化する。上述のとおり、検出装置1では、高感度検出部10Hの閾値電圧は、低感度検出部10Lの閾値電圧よりも常に高くなるように設定されているので、第一電位変化領域SFR1の電位VF1は、第二電位変化領域SFR2の電位VF2よりも低くなる。また、この時にPウェル領域121Ha及びPウェル領域121Laに印加される電圧には、化学現象によって測定対象物80から検出される検出対象の量(本例では水素イオン濃度)が反映されている。このため、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2のそれぞれの電位は、測定対象物80から検出された対象物の量に応じて異なる。
また、図7に示すように、期間T1において、電荷移送部13に設けられた不純物拡散領域134には、電圧レベルが高レベルVHの正の供給電圧Vapが印加される。また、期間T1において、電荷移送部13に設けられた対向電極131には、負の電圧レベルVLの移送調節電圧Vtaが印加される。さらに、期間T1において、電荷移送部13に設けられたリセットトランジスタTrのゲートGには、電圧レベルが基準電圧V0と同じゲート電圧Vgが印加され、リセットトランジスタTrのドレインには、電圧レベルが高レベルの正の電圧Vdd(図4参照)のドレイン電圧Vdが印加される。期間T1において、供給電圧Vapは、移送調節電圧Vtaよりも高い値に設定される。
このため、図8(a)に示すように、電荷移送部13は例えば、「ドレインDに対応する電荷除去領域RJR=電荷供給領域APR>電荷蓄積領域ALR>第二電位変化領域SFR2>第一電位変化領域SFR1>電荷移送調節領域TAR=ゲートGに対応する電荷除去領域RJR」という電位の高低関係を有する。第一電位変化領域SFR1は、第一感応部15Hから電圧が印加される前と比較して、測定対象物80から検出された対象物の量が多いほど第一電位変化領域SFR1の電位が高くなる。このため、第一電位変化領域SFR1のポテンシャル井戸は、測定対象物80から検出された対象物の量が多いほど深くなる。同様に、第二電位変化領域SFR2は、第二感応部15Lから電圧が印加される前と比較して、測定対象物80から検出された対象物の量が多いほど第二電位変化領域SFR2の電位が高くなる。このため、第二電位変化領域SFR2のポテンシャル井戸は、測定対象物80から検出された対象物の量が多いほどが深くなる。第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2のそれぞれの電位が高い(すなわちポテンシャル井戸が深い)方が電位変化領域SFRで溜め込める電荷量が多くなる。
図7に示すように、期間T1の次の期間T2において、電荷移送部13に設けられた不純物拡散領域134に電圧レベルが低レベルの正の供給電圧Vapが印加される。期間T2において、不純物拡散領域134以外の各構成要素には、期間T1と同様の電圧が印加される。これにより、図8(b)に示すように、電荷供給領域APRの電位が低下し、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2に電荷(本実施形態では電子e)が流れ込む。このとき、電荷移送調節領域TARの電位は、第一電位変化領域SFR1の電位より低くしておく。こうすることで、供給される電子eは、第一電位変化領域SFR1を超えて第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2に流れ込むが、電荷移送調節領域TARを越えて流れることはない。
図7に示すように、期間T2の次の期間T3において、電荷移送部13に設けられた不純物拡散領域134に電圧レベルが高レベルの正の供給電圧Vapが印加される。期間T3において、不純物拡散領域134以外の各構成要素には、期間T2と同様の電圧が印加される。これにより、図8(c)に示すように、電荷供給領域APRの電位が高くなり、第一電位変化領域SFR1に流れ込んだ電子eが引き抜かれる。このとき、第一電位変化領域SFR1の電位ですりきられた電子eが第二電位変化領域SFR2のポテンシャル井戸に残される。第二電位変化領域SFR2に残された電子eの量(電荷量)には、水素イオン濃度が反映されている。
ここで、検出装置1の電荷移送部13での電圧差分の作用・効果について図9を用いて説明する。図9(a)に示すように、従来の累積型化学センサは、電荷移送部の電位変化領域SFRに電荷を蓄積する。感応部から入力される電圧に外乱などが含まれていない場合には、図9(a)中の左側に示すように、電位変化領域SFRの電位は電位Vsfとなる。一方、感応部から入力される電圧に外乱などに基づくオフセット電圧Vσが含まれていると、図9(a)中の右側に示すように、電位変化領域SFRの電位は電位Vva(=Vsf+Vσ)となる。感応部から入力される電圧に外乱などが含まれている場合、従来の累積型化学センサの電荷移送部は、電位Vvaに基づいて蓄積された電荷を移送するため、従来の累積型化学センサによる最終的な検出結果にはオフセット電圧Vσに基づく誤差が含まれる。
一方、本実施形態による検出装置1は、上述のとおり、第一電位変化領域SFR1の電位によって電荷をすり切る構成を有している。第一感応部15H及び第二感応部15Lから入力される電圧に外乱などが含まれていない場合には、図9(b)中の左側に示すように、第一電位変化領域SFR1の電位は電位Vsf1となり、第二電位変化領域SFR2の電位は電位Vsf2となる。電荷が第一電位変化領域SFR1の電位Vsf1によってすり切られることにより、第二電位変化領域SFR2には、電位Vsf1及び電位Vsf2の差分の電位(電位Vsf1及び電位Vsf2の電位差(=Vsf2-Vsf1))に基づく電荷が蓄積される。
上述のとおり、検出装置1では、第一感応部15H、第二感応部15L及び金属擬似参照電極81は、測定対象物80に同時に浸漬可能に設けられている。このため、第一感応部15H及び第二感応部15Lから入力されるそれぞれの電圧に外乱が含まれていたとしても、この外乱に基づいて第一感応部15Hの出力電圧に重畳するオフセット電圧と、第二感応部15Lの出力電圧に重畳するオフセット電圧Vσは、ほぼ同じ大きさになる。
このため、図9(b)中の右側に示すように、第一電位変化領域SFR1の電位は、電位Vva1(=Vsf1+Vσ)となり、第二電位変化領域SFR2の電位は、電位Vva2(=Vsf2+Vσ)となる。この場合に、電荷が第一電位変化領域SFR1の電位Vva1によってすり切られることにより、第二電位変化領域SFR2には、電位Vva1及び電位Vva2の差分の電位(電位Vva1及び電位Vva2の電位差に基づく電荷が蓄積される。すなわち、第二電位変化領域SFR2には、以下の式(9)に示すように、外乱に基づくオフセット電圧Vσが生じていない場合と同じ電位差に基づく電荷が蓄積される。
Vva2-Vva1=(Vsf2+Vσ)-(Vsf1+Vσ)
=Vsf2-Vsf1 ・・・(9)
このため、第一感応部15H及び第二感応部15Lから入力される電圧に外乱などに基づくオフセット電圧が重畳していたとしても、検出装置1は、このオフセット電圧が除去された電位に基づいて、第二電位変化領域SFR2に電荷を蓄積できる。これにより、検出装置1は、測定対象物80の水素イオン濃度に基づく電圧を検出できるので、検出精度の向上を図ることができる。
また、第一感応部15H及び第二感応部15Lは、測定対象物80に対する感度が異なっているため、第一電位変化領域SFR1の電位と第二電位変化領域SFR2の電位との差分の電位(電位差)は、測定対象物80の水素イオン濃度に応じて異なる値となる。このため、検出装置1は、第二電位変化領域SFR2に蓄積された電荷に基づいて、測定対象物80の水素イオン濃度を検出できる。
図7に戻って、期間T3の次の期間T4において、電荷移送部13に設けられた対向電極131には、電圧レベルが高レベルの正の移送調節電圧Vtaが印加される。期間T4において、対向電極131以外の各構成要素には、期間T3と同様の電圧が印加される。これにより、図10(a)に示すように、電荷移送調節領域TARの電位が上昇し、第二電位変化領域SFR2に蓄積された電子eが電荷蓄積領域ALRに移送される。
図7に示すように、期間T4の次の期間T5において、電荷移送部13に設けられた対向電極131には、期間T1から期間T3における電圧レベルと同じ電圧レベルの移送調節電圧Vtaが印加される。期間T5において、電荷移送部13に設けられた不純物拡散領域134、対向電極131、リセットトランジスタTrのゲートG及びドレインDには、期間T4と同様の電圧が印加される。さらに、期間T5において、電荷量検出部16に設けられた選択トランジスタ162(図4参照)が選択されてオン状態(導通状態)となる。これにより、図10(b)に示すように、電荷蓄積領域ALRに蓄積された電子eに基づく電圧が、電荷量検出部16に設けられたソースフォロワトランジスタ161(図4参照)及び選択トランジスタ162によって検出され、検出電圧Voutとして電荷量検出部16から出力される。
図7に示すように、期間T5の次の期間T6において、電荷移送部13に設けられたリセットトランジスタTrのゲートGには、電圧レベルが高レベルの正のゲート電圧Vgが印加される。期間T6において、ゲートG以外の各構成要素には、期間T5と同様の電圧が印加される。これにより、図10(c)に示すように、電荷除去領域RJRの電位が上昇し、電荷蓄積領域ALRに蓄積された電子eがリセットトランジスタTrのドレインDを介して外部に排出される。こうして、検出装置1は、測定対象物80の測定を終了する。
次に、検出装置1での累積動作について図11を用いて説明する。検出装置1は、図7、図8及び図10を用いて説明したように、期間T1から期間T4までの1回目の電荷移送及び電荷蓄積の動作を実行する。
図11に示すように、期間T4の次の期間T5において検出装置1は、前回までに電荷蓄積領域ALRに蓄積した電荷を残したまま、第二電位変化領域SFR2に蓄積された電荷を電荷蓄積領域ALRに蓄積する。各回の電荷移送動作において電荷蓄積領域ALRに移送される電子eの量は、ほぼ同じ(検出装置1の設計上は同一)である。このため、1回の電荷移送動作によって蓄積される電子eの量に累積回数を乗算した量の電子eが電荷蓄積領域ALRに蓄積される。
ところで、検出装置1に設けられた電荷移送部13の閾値電圧がばらつくと、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2のポテンシャル井戸に溜まる電荷がばらついてしまうので、検出装置1は、測定対象物を正確に定量評価することが困難になる。
しかしながら、本実施形態による検出装置1は、第一電位変化領域SFR1及び第二電位変化領域SFR2のポテンシャル井戸に溜まる電荷のばらつきを防止するために、ステップS11からステップS21の処理において、第一電荷蓄積部11H及び第二電荷蓄積部11Lに蓄積される電荷を調節して電荷移送部13の閾値電圧のばらつきを抑制するようになっている。これにより、検出装置1は、測定対象物から検出される検出対象(例えば水素イオン濃度)を定量評価するための補正処理を実行する補正回路が不要となり、小型化を図ることができ、データ処理量を抑制することができる。
また、本実施形態による検出装置1は、第一電位変化領域SFR1の電位と第二電位変化領域SFR2の電位との差分の電位に基づく電荷によって、測定対象物の検出対象量(例えば水素イオン濃度)を検出する。これにより、検出装置1は、第一電位変化領域SFR1の電位及び第二電位変化領域SFR2の電位に外乱に基づくオフセット電圧が生じていたとしても、当該オフセット電圧を除去して測定対象物の検出対象量(例えば水素イオン濃度)を検出できる。これにより、検出装置1は、検出精度の向上を図ることができる。
また、検出装置1は、電荷移送部13の閾値電圧を調節することによって電荷蓄積領域ALRにおいて蓄積できる電荷量を超えた電荷が電荷移送部13において移送されることを防止できる。
上述のとおり、検出装置1は、累積動作が可能に構成されている。ここで、電荷蓄積領域ALRの容量をCfdとし、電荷移送部13において1回の動作で移送される電荷をQsigとすると、n回の電荷移送動作で電荷量検出部16から出力される検出電圧Voutは、以下の式(10)で表すことができる。
Vout=n×Qsig/Cfd ・・・(10)
式(10)に示すように、検出電圧Voutは、移送動作の回数を増やすことによって大きくなる。このため、検出装置1は、第一感応部15H及び第二感応部15Lに配置された測定対象物の検出感度の向上を図ることができる。また、累積動作を実行できないISFETは、25℃の測定環境において59mV/pHが理論限界と考えられているが、検出装置1は、累積動作が可能であるため、この理論限界を突破することができる。
また、1回の電荷移送動作において電荷量検出部16から出力される検出電圧Voutに対応する出力信号をS0とすると、n回の電荷移送動作において電荷量検出部16から出力される検出電圧Voutに対応する出力信号Snは、以下の式(11)で表すことができる。
Sn=n×S0 ・・・(11)
また、n回の電荷移送動作の各回のノイズをN0とすると、n回の電荷移送動作において電荷量検出部16から出力される検出電圧Voutに重畳されるノイズNは、以下の式(12)で表すことができる。
N=√(n×N0) ・・・(12)
さらに、式(11)及び式(12)より、S/N比は、以下の式(13)で表すことができる。
S/N =Sn/N
=(n×S0)/(√(n×N0)
=√n×S0/N0 ・・・(13)
式(13)に示すように、検出装置1は、n回の電荷移送動作を実行することによって、1回の電荷移送動作に対してS/N比を√n倍改善することができる。
以上説明したように、本実施形態による検出装置1は、半導体基板19に配置されて測定対象物の化学現象に感応する第一感応部15H、第一感応部15Hに容量的に接続されて電荷を蓄積する第一電荷蓄積部11H、第一電荷蓄積部11Hの電位を制御する第一電位制御部12H、及び第一電荷蓄積部11Hに電荷を流通させる第一電荷流通部14Hを有する高感度検出部10Hと、半導体基板19に配置されて測定対象物の化学現象に第一感応部15Hよりも低感度に感応する第二感応部15L、第二感応部15Lに容量的に接続されて電荷を蓄積する第二電荷蓄積部11L、第二電荷蓄積部11Lの電位を制御する第二電位制御部12L、及び第二電荷蓄積部11Lに電荷を流通させる第二電荷流通部14Lを有する低感度検出部10Lと、第一感応部15Hが感応した化学現象に応じて変化して高感度検出部10Hに容量的に接続されている半導体基板19のPウェル領域133の表面電位と、第二感応部15Lが感応した化学現象に応じて変化して低感度検出部10Lに容量的に接続されている半導体基板19のPウェル領域133の表面電位との差によって発生する電荷を移送する電荷移送部13と、電荷移送部13で移送された電荷の量を検出する電荷量検出部とを備えている。
これにより、検出装置1は、検出精度の向上を図ることができる。また、検出装置1は、移送電荷量のばらつきを補正するための処理を不要とすることにより、移送電荷量のばらつきを補正するための補正回路が不要となる。さらに、検出装置1は、参照電極として白金や金で形成できる金属擬似参照電極を用いることができる。これにより、検出装置1は、小型化を図ることができる。さらに、検出装置1は、移送電荷量のばらつきの補正処理が不要になるため、データ処理量の低減を図ることができる。
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
上記実施形態による検出装置1では、第一電位変化領域SFR1が電荷供給領域APR側に配置され、第二電位変化領域SFR2が電荷移送調節領域TAR側に配置されているが、本発明はこれに限られない。例えば、電荷供給領域APR側に配置された変化領域が電荷移送調節領域TAR側に配置された変化領域よりも電位が低くなるように閾値電圧が設定されていれば、第一電位変化領域及び第二電位変化領域SFR2は、上記実施形態とは逆に配置されていてもよい。
上記第1実施形態による検出装置では、第一感応部及び第二感応部は、測定対象物の化学現象に感応する感応膜を有しているが、本発明はこれに限られない。
第一及感応部及び第二感応部は、物理現象に感応する感応膜を有していてもよい。この場合、第一感応部及び第二感応部として、例えば磁気センサ、圧力センサ、歪センサ又は温度センサなどの物理センサが列挙される。
また、第一感応部及び第二可能部は、測定対象物の物理現象又は化学現象に感応して電圧を出力(すなわち電位が変化)する構成要素であれば、膜の形状に限られず他の形状を有していてもよい。すなわち、感応部は、感応膜ではなく、測定対象物の物理現象又は化学現象に感応する感応部材を有していてもよい。
上記実施形態による検出装置では、第一感応部及び第二感応部と第一電荷蓄積部及び第二電荷蓄積部とが半導体基板の一方の面側、すなわち同じ側に配置されているが、本発明は、これに限られない。検出装置では、第一感応部及び第二感応部は、半導体基板の他方の面、すなわち半導体基板の一方の面とは反対側である裏面側に配置されていてもよい。つまり、第一感応部及び第二感応部並びに第一電荷蓄積部及び第二電荷蓄積部は、半導体基板を挟んで配置されていてもよい。この場合、第一感応部及び第二感応部は、半導体基板の他方の面側(裏面側)からウェル領域(上記実施形態におけるPウェル領域121Ha,121Laに対応する)に電気的に接続される。検出装置は、第一感応部及び第二感応部とウェル領域とを接続させるために種々の接続形態を有することができる。
例えば、検出装置は、半導体基板に形成されたウェル領域(上記実施形態におけるPウェル領域121Ha,121Laに対応する)と、当該ウェル領域から当該半導体基板の他方の面まで形成された穴部と、当該穴部に埋め込まれたプラグや当該プラグに接続された中間配線などで構成された導電部材とを有する。第一感応部及び第二感応部が当該他方の面側に露出した当該導電部材に電気的に接続されてもよい。これにより、第一感応部及び第二感応部と対向電極層とが電気的に接続される。
また例えば、検出装置は、半導体基板に形成されたウェル領域(上記実施形態におけるPウェル領域121Ha,121Laに対応する)と、当該ウェル領域から当該半導体基板の他方の面まで形成された穴部とを有する。半導体基板の他方の面側(裏面側)に配置された第一感応部及び第二感応部のそれぞれの一部が当該ウェル領域に接触した状態で当該穴部に配置されてもよい。これにより、第一感応部及び第二感応部とウェル領域とが電気的に接続される。またこの場合、被検試料は、当該穴部に配置されてもよい。
上記実施形態による検出装置におけるウェル領域などの各領域及び半導体基板の導電型は、一例であり、P型及びN型は逆転されていてもよく、あるいは適宜異なる組み合わせであってもよい。
本発明の技術的範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の技術的範囲は、請求項により画される発明の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、全ての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画され得る。
1 検出装置
10H 高感度検出部
10L 低感度検出部
11H 第一電荷蓄積部
11Hb,11Lb 第二領域
11L 第二電荷蓄積部
12H 第一電位制御部
12L 第二電位制御部
13 電荷移送部
14H 第一電荷流通部
14L 第二電荷流通部
15H 第一感応部
15L 第二感応部
16 電荷量検出部
17 絶縁膜
18H 第一遮断部
18L 第二遮断部
19 半導体基板
60 層間絶縁膜
61,62,63,64,65,66H,66L,67H,67L 配線部
68Hd,68Hg,68Hs,68Ld,68Lg,68Ls 電圧入力端子
80 測定対象物
81 金属擬似参照電極
82H 第一入力端子
82L 第二入力端子
111Ha,111La 第一領域
111Hb,111Lb 第二領域
111Hc,111Lc 第三領域
121Ha,121La,133,141La,141Ha,141Ha,141La,194L Pウェル領域
121Hb,121Lb,134,141Hb,141Hb,141Lb 不純物拡散領域
131 対向電極
141H 第一電荷流通部
151H,151L 導電部
152H,152L 感応膜
161 ソースフォロワトランジスタ
162 選択トランジスタ
171Ha,171La 制御絶縁膜
171Hb 第一絶縁部
171Hc,171Lc トンネル絶縁膜
171Lb 第二絶縁部
172 第三絶縁部
173 ゲート絶縁膜
191 P型結晶シリコン層
193H,193L,195L Nウェル領域
196 素子分離層
197H,197L,198L,199,
199L ディープNウェル領域
601 下部絶縁領域
602 上部絶縁領域
611,613,621,623,631,633,641,643,651,653,661L,663L,671L,673L,675H,675L プラグ
612,614,622,624,632,634,652,654,662L,664L,672L,674H,674L 中間配線
AAR 電荷供給調節領域
ALR 電荷蓄積領域
APR 電荷供給領域
C11H 第一電位変化キャパシタ
C11L 第二電位変化キャパシタ
C12H 第一電位制御キャパシタ
C12L 第二電位制御キャパシタ
C14H,C14L 電界効果トランジスタ型キャパシタ
C131 移送量調節キャパシタ
D ドレイン
FD キャパシタ
G ゲート
Hc,Lc 第三領域
RJR 電荷除去領域
S ソース
SFR 電位変化領域
SFR1 第一電位変化領域
SFR2 第二電位変化領域
TAR 電荷移送調節領域
Tr リセットトランジスタ

Claims (15)

  1. 半導体基板に配置されて測定対象物の化学現象に感応する第一感応部、
    前記第一感応部に容量的に接続されて電荷を蓄積する第一電荷蓄積部、
    前記第一電荷蓄積部の電位を制御する第一電位制御部、及び
    前記第一電荷蓄積部に電荷を流通させる第一電荷流通部
    を有する第一検出部と、
    前記半導体基板に配置されて測定対象物の化学現象に前記第一感応部よりも低感度に感応する第二感応部、
    前記第二感応部に容量的に接続されて電荷を蓄積する第二電荷蓄積部、
    前記第二電荷蓄積部の電位を制御する第二電位制御部、及び
    前記第二電荷蓄積部に電荷を流通させる第二電荷流通部
    を有する第二検出部と、
    前記第一感応部が感応した前記化学現象に応じて変化して前記第一検出部に容量的に接続されている前記半導体基板の部分の表面電位と、前記第二感応部が感応した前記化学現象に応じて変化して前記第二検出部に容量的に接続されている前記半導体基板の部分の表面電位との差によって発生する電荷を移送する電荷移送部と、
    前記電荷移送部で移送された電荷の量を検出する電荷量検出部と
    を備える検出装置。
  2. 前記第一電荷流通部及び前記第二電荷流通部のそれぞれは、電界効果トランジスタ型キャパシタを有している
    請求項1に記載の検出装置。
  3. 前記第一電位制御部は、前記半導体基板に形成された部分を少なくとも有して前記第一感応部に接続され、
    前記第二電位制御部は、前記半導体基板に形成された部分を少なくとも有して前記第二感応部に接続されている
    請求項1又は2に記載の検出装置。
  4. 前記第一電位制御部は、前記第一感応部に配置された化学物質を介さずに前記第一電荷蓄積部の電位を制御でき、
    前記第二電位制御部は、前記第二感応部に配置された化学物質を介さずに前記第二電荷蓄積部の電位を制御できる
    請求項1から3までのいずれか一項に記載の検出装置。
  5. 前記第一検出部は、前記第一電荷蓄積部への電圧の印加を遮断する第一遮断部を有し、
    前記第二検出部は、前記第二電荷蓄積部への電圧の印加を遮断する第二遮断部を有する
    請求項4に記載の検出装置。
  6. 前記第一遮断部及び前記第二遮断部のそれぞれは、スイッチである
    請求項5に記載の検出装置。
  7. 前記電荷移送部は、
    前記第一感応部及び前記第二感応部のそれぞれで感応された前記化学現象に応じて前記半導体基板の表面電位が変化する複数の変化領域と、
    前記複数の変化領域に電荷を供給する供給領域と、
    前記複数の変化領域から移送された電荷を蓄積する蓄積領域と、
    前記複数の変化領域から前記蓄積領域に移送する電荷の量を調節する移送調節領域と
    を有し、
    前記電荷量検出部は、前記蓄積領域に蓄積された電荷の量を検出する
    請求項1から6までのいずれか一項に記載の検出装置。
  8. 前記電荷移送部は、前記蓄積領域に蓄積された電荷を除去する除去領域を有する
    請求項7に記載の検出装置。
  9. 前記電荷移送部は、前記第一感応部及び前記第二感応部のそれぞれにおける前記化学現象の感応に対して電荷を複数回、移送する
    請求項7又は8に記載の検出装置。
  10. 前記第一電位制御部における容量及び前記第一電荷蓄積部に対応させて設けられた第一電位変化キャパシタの容量を合成した直列合成容量は、前記第一感応部における容量よりも小さく、
    前記第二電位制御部における容量及び前記第二電荷蓄積部に対応させて設けられた第二電位変化キャパシタの容量を合成した直列合成容量は、前記第二感応部における容量よりも小さい
    請求項1から9までのいずれか一項に記載の検出装置。
  11. 前記第一電位制御部における容量は、前記第一電位変化キャパシタの容量よりも大きく、
    前記第二電位制御部における容量は、前記第二電位変化キャパシタの容量よりも大きい
    請求項10に記載の検出装置。
  12. 前記第一電位制御部における容量及び前記第一電荷流通部における容量を合成した直列合成容量は、前記第一感応部における容量よりも小さく、
    前記第二電位制御部における容量及び前記第二電荷流通部における容量を合成した直列合成容量は、前記第二感応部における容量よりも小さい
    請求項1から11までのいずれか一項に記載の検出装置。
  13. 前記第一電位制御部における容量は、前記第一電荷流通部における容量よりも大きく、
    前記第二電位制御部における容量は、前記第二電荷流通部における容量よりも大きい
    請求項12に記載の検出装置。
  14. 前記第一電荷流通部は、前記半導体基板及び前記第一電荷蓄積部の一部に挟まれ且つ接触して形成された第一絶縁膜を有し、
    前記第二電荷流通部は、前記半導体基板及び前記第二電荷蓄積部の一部に挟まれ且つ接触して形成された第二絶縁膜を有し、
    前記第一絶縁膜及び前記第二絶縁膜のそれぞれは、膜厚が6nm以上15nm未満の領域を少なくとも一部に有している
    請求項1から13までのいずれか一項に記載の検出装置。
  15. 半導体基板に配置されて測定対象物の化学現象に感応する感応部、前記感応部に容量的に接続されて電荷を蓄積する電荷蓄積部及び前記電荷蓄積部に電荷を流通させる電荷流通部を備える検出装置の検出方法であって、
    電界効果トランジスタ型キャパシタを有する前記電荷流通部の閾値電圧を調節して前記電荷蓄積部に蓄積される電荷量を所望の量に調整し、
    前記電荷蓄積部の前記電荷量を前記所望の量に調整した後に、前記感応部で感応された前記化学現象に応じて前記電荷蓄積部が配置された前記半導体基板の部分の表面電位の変化に基づいて前記測定対象物の検出対象量を検出する
    検出方法。
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