JP2022137427A - 生体用吸引具 - Google Patents

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さおり 川島
Saori Kawashima
秀剛 中村
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Abstract

Figure 2022137427000001
【課題】細胞を1個ずつ拾い上げることを可能にした生体用吸引具を提供する。
【解決手段】生体用吸引具100は、内針7と外針8で二重構造となる二重針と、二重針の内心先端から細胞溶解液を送る第1電気浸透流ポンプ1と、細胞溶解液によって溶解された細胞を含む懸濁液を二重針の外針先端から吸引する第2電気浸透流ポンプ3と、二重針、第1電気浸透流ポンプ1、第2電気浸透流ポンプ3を接続するコネクター9と、を有するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体内の局所に溶解液を送り、溶解した懸濁液を吸引する生体用吸引具に関するものである。
生体内に腫瘍が出来た場合、現在は「外科的手術/化学療法による薬剤/放射線療法」などで除去を行っている。外科的手術の場合、開腹・開胸などメスで皮膚や筋肉を切開後に腫瘍を取り除く。脳腫瘍の場合には硬膜の切開を必要とする。あるいは、近年は腹腔鏡手術具の発展が著しく、皮膚に小さい穴を開けるだけでファイバーを挿入し、腫瘍を取り除くことも可能となっている。化学療法については、DDS(ドラッグデリバリーシステム)や標的分子薬の研究がなされ、服薬や静脈投与であっても極力腫瘍のみに効果をもたらし縮小させるという開発が進められている。放射線療法は定位放射線療法などピンポイントで生体内の腫瘍にのみ効果をもたらし縮小させるという手法も用いられている。
しかしながら、腫瘍、特にがんはこのような医療技術の発展努力にもかかわらず、患者数は世界的に増加傾向で、今のところ減少する気配はなく再発するケースも多い。理由としては、腫瘍を上述の手法で取り除いても「転移」といわれる現象によって新たな部位に腫瘍が生じてしまい、他の臓器や骨に癒着し、血管を張り巡らせ出血するリスクを高めるため、外科的手術では取り除けない場所に生じる場合や、それを取り除くために更に毒性の強い抗がん剤を用いなければならないからである。こうなると、いたちごっこが始まり、きりがなく、最終的にはその毒性によって生体が弱って亡くなってしまうか、もしくは腫瘍の張りの痛みに耐えられず麻薬を用いて亡くなることが多い。
また、医療現場では、注射針から少しずつ抗がん剤を含んだ薬液等を投与する点滴も採用されている。点滴においては、輸液容器から点滴用のチューブを伝って流れる輸液に、三方活栓を介してシリンジポンプから薬液を混入させる手法が採られている。シリンジポンプは、薬液の流量を任意に設定することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-213057号公報
腫瘍は細胞の塊なので、細胞を溶解する薬剤を導入すれば小さくできる可能性があるが、当然そのような薬剤は腫瘍以外の正常な細胞も溶解してしまう可能性があり、毒性があること、また溶解した細胞液自身が毒性となる場合も想定される。
また、現状の一般的なシリンジポンプによる薬液投与は、ポンプ自身のサイズが大きいため、患者のすぐ脇に置くことができない。そのため、ポンプから点滴チューブまでの距離が長くなり、チューブ内の気泡抜きをする時間や手間がかかると共に、内圧を安定させることが難しい、という課題も発生してしまう。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、生体内の局所に細胞溶解液を注入した後、短時間で懸濁液(薬剤、細胞溶解液、細胞溶解液で溶解された細胞などを含む)を吸引できる生体用吸引具を提供することを目的としている。
本発明に係る生体用吸引具は、内針と外針で二重構造となる二重針と、二重針の内針先端から細胞溶解液を送る第1電気浸透流ポンプと、細胞溶解液によって溶解された細胞を含む懸濁液を二重針の外針先端から吸引する第2電気浸透流ポンプと、二重針、第1電気浸透流ポンプ、第2電気浸透流ポンプを接続するコネクターと、を有するものである。
本発明に係る生体用吸引具は、第1電気浸透流ポンプとコネクターとを連結する第1チューブと、第2電気浸透流ポンプとコネクターとを連結する第2チューブとを、更に有する構成にできる。
本発明に係る生体用吸引具は、細胞溶解液が貯留されている第1リザーバーを第1チューブに接続した構成にできる。
本発明に係る生体用吸引具は、懸濁液を貯留する第2リザーバーを第2チューブに設け、第2リザーバーに、第2リザーバーに貯留された懸濁液を回収する陰圧発生装置を着脱自在に接続した構成にできる。
本発明に係る生体用吸引具は、陰圧発生装置が、第2リザーバーに設けられた回収ポートを介して第2チューブに接続されている構成にできる。
本発明に係る生体用吸引具は、生体内の局所に存在する特定の細胞(がん細胞など)をターゲットとしてピンポイントで狙い撃ちでき、特定の細胞を溶解させた上で回収することが可能になる。そのため、本発明に係る生体用吸引具によれば、転移によって新たな部位に腫瘍が生じたとしても、それを取り除く効果を期待できる。また、本発明に係る生体用吸引具では、毒性の強い抗がん剤などを用いても主に病巣となる局所にのみ薬剤を注入し、そのほとんどを細胞溶解液と一緒に回収してしまうため生体が弱らない効果を期待できる。
本発明に係る生体用吸引具によれば、第1電気浸透流ポンプとコネクターとを連結する第1チューブと、第2電気浸透流ポンプとコネクターとを連結する第2チューブとを、更に有する構成にできるので、第1電気浸透流ポンプ及び第2電気浸透流ポンプを容易に交換することができる。
本発明に係る生体用吸引具によれば、細胞溶解液が貯留されている第1リザーバーを第1チューブに接続した構成にできるので、第1リザーバーと第1電気浸透流ポンプの組み合わせバリエーションが増え、生体用吸引具の使用形態の自由度が高まる。
本発明に係る生体用吸引具によれば、懸濁液を貯留する第2リザーバーを第2チューブに設け、第2リザーバーに、第2リザーバーに貯留された懸濁液を回収する陰圧発生装置を着脱自在に接続した構成にできるので、吸引した懸濁液を簡易に回収することができる。
本発明に係る生体用吸引具によれば、陰圧発生装置は、第2リザーバーに設けられた回収ポートを介して第2チューブに接続されている構成にできるので、複雑な構成にすることなく、懸濁液を回収することができる。
本発明の実施の形態に係る生体用吸引具の外観構成を概略的に示す外観構成図である。 本発明の実施の形態に係る生体用吸引具の内部構成を概略的に示す透視構成図である。 本発明の実施の形態に係る生体用吸引具の作用を補足的に説明する説明図である。 本発明の実施の形態に係る生体用吸引具の内針及び外針の構成の一例を概略的に示す構成図である。 本発明の実施の形態に係る生体用吸引具の全体構成の一例を概略的に示す構成図である。
図1は、本発明の実施の形態に係る生体用吸引具100の外観構成を概略的に示す外観構成図である。図2は、生体用吸引具100の内部構成を概略的に示す透視構成図である。図3は、生体用吸引具100の作用を補足的に説明する説明図である。図4は、生体用吸引具100の内針及び外針の構成の一例を概略的に示す構成図である。図5は、生体用吸引具100の全体構成の一例を概略的に示す構成図である。図1~図5に基づいて、生体用吸引具100の構成・作用について説明する。なお、生体用吸引具100は、図示する構成に限定されるものではない。
生体用吸引具100は、生体内の局所に向けて、内針と外針で二重構造となる二重針を刺すように構成されている。生体用吸引具100は、二重針の内心先端から細胞溶解液を送る電気浸透流ポンプ(第1電気浸透流ポンプ)を有している。生体用吸引具100は、二重針の内心先端から送られた細胞溶解液によって溶解された細胞を含む懸濁液を二重針の外針先端から吸引するもう1つの電気浸透流ポンプ(第2電気浸透流ポンプ)を有している。生体用吸引具100は、二重針、2つの電気浸透流ポンプを接続するコネクターを有している。2つの電気浸透流ポンプは、チューブを介してコネクターに接続されている。
また、生体用吸引具100は、細胞溶解液が貯留されている細胞溶解液リザーバー(第1リザーバー)を有している。生体用吸引具100は、懸濁液を貯留する吸引懸濁液リザーバー(第2リザーバー)を有している。さらに、生体用吸引具100は、吸引懸濁液リザーバーに貯留された懸濁液を回収するシリンジを有している。このシリンジは、吸引懸濁液リザーバーに設けられた回収ポートを介してもう1つの電気浸透流ポンプとコネクターとを接続しているチューブに接続されている。
生体用吸引具100の構成を説明する前に、細胞溶解液と懸濁液について説明する。
<細胞溶解液>
生体用吸引具100で使用する細胞溶解液の一つは、界面活性剤を含んで構成されており、細胞を形成しているタンパク質を可溶化するものである。界面活性剤を用いることで、細胞膜の物理的破壊に比べて、簡易かつ安定的な細胞溶解が実現できる。界面活性剤は、細胞周囲の脂質バリアを破壊する。また他にも細胞溶解液として消化酵素を使用することができる。ただし、細胞溶解液を特に限定するものではなく、ターゲットとする生体内の局所に存在する細胞に応じて適宜選定可能である。
<懸濁液>
生体用吸引具100で吸引する懸濁液は、細胞溶解液によって溶解された細胞を含む液である。また、懸濁液には、生体成分や、吐出された細胞溶解液も含まれている。
<生体用吸引具100の構成>
図1に示すように生体用吸引具100は、第1電気浸透流ポンプ1、第1リザーバー2、第2電気浸透流ポンプ3、第2リザーバー4、回収ポート5、シリンジ6、内針7、外針8、及び、コネクター9を有している。また、生体用吸引具100の全体的な構成の一例を図5に示している。
(第1電気浸透流ポンプ1)
第1電気浸透流ポンプ1は、細胞溶解液の吐出用に使用されるものであり、第1リザーバー2に貯留されている細胞溶解液を送りだす機能を有している。第1電気浸透流ポンプ1は、駆動手段自体が小型であり、消費電力性に優れているという特性を有している。第1電気浸透流ポンプ1を用いることによって、細胞溶解液の濃度を大幅に濃縮することができ、数十μL~数mLの容量の第1リザーバー2を使用することが可能になる。第1電気浸透流ポンプ1は、第1チューブ11を介してコネクター9の第1分岐口9Aに接続されている。
ここで、電気浸透流ポンプについて説明する。
セラミックなどの絶縁体を用いて多孔質部材(固体)を作製する。その多孔質部材に、超純水など水素イオン濃度が高い水溶液(液体)をしみこませると、多孔質部材(固体)と水溶液(液体)の界面に電気二重層が形成される。形成された電気二重層に対して電極を用いて電圧をかける。そうすると、電気二重層を形成している水溶液側の界面のイオン(水素イオン)が電気的にマイナスの電極側に引っ張られ、それに伴い液体が移動する。この現象を「電気浸透流」と呼ぶ。この電気浸透流を利用したものが電気浸透流ポンプ(EOポンプ)である。第1電気浸透流ポンプ1も、この現象を利用した電気浸透流ポンプである。また、後述する第2電気浸透流ポンプ3も同様である。
(第1リザーバー2)
第1リザーバー2は、第1電気浸透流ポンプ1により送り出される細胞溶解液を貯留する細胞溶解液リザーバーとして機能するものである。第1リザーバー2は、第1電気浸透流ポンプ1を用いることによって、数十μL~数mLの容量とすることができる。第1リザーバー2及び第1電気浸透流ポンプ1の小型化を実現できるため、例えば図1及び図2に示すように、第1リザーバー2と第1電気浸透流ポンプ1を一体型の構成とすることができる。
(第2電気浸透流ポンプ3)
第2電気浸透流ポンプ3は、細胞溶解液によって溶解された細胞を含む懸濁液の吸引用に使用されるものである。第2電気浸透流ポンプ3も第1電気浸透流ポンプ1と同様に、駆動手段自体が小型であり、消費電力性に優れているという特性を有している。第2電気浸透流ポンプ3は、第2チューブ12を介してコネクター9の第2分岐口9Bに接続されている。第2
(第2リザーバー4)
第2リザーバー4は、第2電気浸透流ポンプ3により吸引される懸濁液を貯留する吸引懸濁液リザーバーとして機能するものである。第2リザーバー4は、第2電気浸透流ポンプ3を用いることによって、第1リザーバー2と同様の容量にすることができるが、送り出される細胞溶解液よりも懸濁液の量の方が多くなる場合を想定し、第1リザーバー2よりも容量を大きくしておくとよい。第2リザーバー4は、例えば図1及び図2に示すように、第2電気浸透流ポンプ3の上流側に第2電気浸透流ポンプ3とは別構成として設置することができる。
(回収ポート5)
回収ポート5は、第2リザーバー4に設けられており、吸引懸濁液回収ポートとして機能するものである。具体的には、回収ポート5はシリンジ6の接続口となり、シリンジ6によって吸引される懸濁液の通過口となるものである。なお、回収ポート5とは、シリンジ6が接続可能な構成を有していればよく、例えば第2リザーバー4に形成された開口部で構成したり、図1及び図2に示すような第2リザーバー4に形成された開口部に設置された接続サポート部材のようなもので構成したりするこができる。
(シリンジ6)
シリンジ6は、第2電気浸透流ポンプ3により吸引され、第2リザーバー4に貯留されている懸濁液を回収ポート5を介して回収する機能を有している。シリンジ6の先端部は、第2リザーバー4に形成されている回収ポート5に着脱自在に接続されている。シリンジ6は、円筒状の本体部と、本体部の内部を押出可能に設けられているプランジャーと、を有している。本体部の一端に設けられている先端部は、回収ポート5に着脱自在に接続される。プランジャーが引かれると懸濁液が回収ポート5を介して本体部に回収される仕組みとなっている。
(内針7)
内針7は、中空の筒状部材で構成され、細胞溶解液を生体内の局所に向けて吐出する細胞溶解液吐出用内針としての機能を有している。内針7の先端は、細胞溶解液を生体内の局所に向けて吐出する際の吐出口として機能する。内針7の先端は、外針8の先端と同じ位置、もしくは外針8の先端よりも突き出ている。内針7の基端(先端とは反対側端部)は、コネクター9の第3分岐口9Cに接続される。内針7の先端は、鋭角となっている。また、図2に示すように、内針7はコネクター9を介して第1チューブ11に連結されている。そのため、第1電気浸透流ポンプ1から送られた細胞溶解液が内針7に流れるようになっている。
(外針8)
外針8は、中空の筒状部材で構成され、懸濁液を吸引する懸濁液吸引用外針としての機能を有している。外針8の先端は、生体内の局所から懸濁液を吸引にする際の吸引口として機能する。外針8の先端は、内針7の先端と同じ位置、もしくは内針7の先端よりも内部に位置している。外針8の基端(先端とは反対側端部)は、内針7の基端とともにコネクター9の第3分岐口9Cに接続される。外針8の先端は、鋭角となっている。また、図2に示すように、外針8はコネクター9を介して第2チューブ12に連結されている。そのため、第2電気浸透流ポンプ3により吸引された懸濁液が外針8に流れるようになっている。
(二重針)
図4では、(a)が内針7と外針8とで構成される二重針の平面図を、(b)が二重針の先端部分を拡大して示す拡大平面図を、(c)が二重針の側面図を、(d)が二重針の先端部分を拡大して示す拡大側面図、それぞれ示している。図4に基づいて、二重針について更に詳しく説明する。内針7の先端の傾斜している面を内針先端傾斜面7Aと称し、外針8の先端の傾斜している面を外針先端傾斜面8Aと称するものとする。
図4に示すように、内針7と外針8とで二重針を構成している。内針7の外周側に外針8が設けられ、二重構成になっている。細胞溶解液は、内針7の基端から内針7の内部を通って、内針7の先端から吐出される。懸濁液は、外針8の先端から吸引され、外針8の内部、詳しくは内針7の外周と外針8の内周との間を通って、外針8の基端から第2チューブ12に導入される。また、外針8と内針7の間から第2電気浸透流ポンプ3の入り口までの容積を、急激な引圧を起こすために低容量化している。低容量化とは、10μL~1mLの範囲の容量を意味している。
図4(a)及び(b)に示すように、内針先端傾斜面7Aと外針先端傾斜面6Aが異なる方向を向くように二重針が構成されている。例えば、図4(b)に示すように、内針先端傾斜面7Aが紙面下側を向き、外針先端傾斜面8Aが紙面手前側を向くようにして、二重針を構成するとよい。また、図4(c)及び(d)に示すように、内針7の先端部が、外針先端傾斜面8Aから露出するように二重針が構成されている。
(コネクター9)
コネクター9は、3つの分岐口(第1分岐口9A、第2分岐口9B、第3分岐口9C)を有しており、二重針と、第1電気浸透流ポンプ1と、第2電気浸透流ポンプ3と、を接続する機能を有している。第1分岐口9Aには、第1チューブ11を介して第1電気浸透流ポンプ1が接続される。第2分岐口9Bには、第2チューブ12を介して第2電気浸透流ポンプ3が接続される。第3分岐口9Cには、二重針の基端が接続される。ただし、細胞溶解液と懸濁液が混ざらないように、第1チューブ11と内針7とが連通する連通路と、第2チューブ12と外針8とが連通する連通路と、コネクター9の内部で分離されている。
(第1チューブ11)
第1チューブ11は、第1電気浸透流ポンプ1とコネクター9とを着脱自在に接続するものである。図1及び図2に示すように、第1チューブ11の一端に接続部11Aを設け、第1リザーバー2と第1電気浸透流ポンプ1を一体的に着脱可能に構成してもよい。また、第1チューブ11の他端(コネクター9側)に、第1接続サポート13Aを設け、第1チューブ11とコネクター9の接続をサポート可能にしておくとよい。第1接続サポート13Aを設けることで、可撓性を有する第1チューブ11のコネクター9への接続が容易となる。
(第2チューブ12)
第2チューブ12は、第2電気浸透流ポンプ3とコネクター9とを着脱自在に接続するものである。図1及び図2に示すように、第2チューブ12の一端に連結部11Bを設け、第2リザーバー4に着脱可能に構成してもよい。また、第2チューブ12の他端(コネクター9側)に、第2接続サポート13Bを設け、第2チューブ12とコネクター9の接続をサポート可能にしておくとよい。第2接続サポート13Bを設けることで、可撓性を有する第2チューブ12のコネクター9への接続が容易となる。
(第3チューブ14)
第3チューブ14は、外針8とコネクター9とを着脱自在に接続するものである。図1及び図2に示すように、第3チューブ14の他端(コネクター9側)に、第3接続サポート13Cを設け、第3チューブ14とコネクター9の接続をサポート可能にしておくとよい。第3接続サポート13Cを設けることで、可撓性を有する第3チューブ13のコネクター9への接続が容易となる。
(その他の構成)
コネクター9は、図1及び図2に示すようなT字形状の構成としてもよいが、特に形状を限定するものではない。
第2電気浸透流ポンプ3と第2リザーバー4とがセパレート形状となっている場合を例に示しているが、第1電気浸透流ポンプ1と第1リザーバー2のように一体形状となっていてもよい。反対に、第1電気浸透流ポンプ1と第1リザーバー2をセパレート形状としてもよい。
二重針を構成する内針7及び外針8は、径を特に限定するものではないが、生体内の局所に向けて穿刺されるので、極細であるとよい。なお、内針7と外針8は、内針7の外周と外針8の内周との間にすき間ができればよく、それぞれの径の大きさや比率などを特に限定するものではない。また、二重針の他端(コネクター9側)に、第3接続サポート13Cを設け、二重針とコネクター9の接続をサポート可能にしておくとよい。
また、第1チューブ11と接続部11Aの接続などの接続部分については、液漏れがしないような接続方法で接続すればよい。例えば、螺合や嵌合、ロック機構などを用いた接続などの任意の接続方法を用いることができる。
シリンジ6は、陰圧発生装置の一例であり、モータなどを備え、吸引機能を有する陰圧装置であれば特に種類を限定するものではない。また、シリンジ6は、一般に普及されているタイプのものでよく、大きさや形状、容量などを特に限定するものではない。
また、図3で説明しているように、第1チューブ11の内壁と内針7の外壁とを接着剤などで隙間なく固定しておくとよい。同様に、第3チューブ14の内壁と外針8の外壁とを接着剤などで隙間なく固定しておくとよい。こうすることで、液漏れを防止することができる。また、第1接続サポート13A、第2接続サポート13B、第3接続サポート13Cのスクリューを、コネクター9の第1分岐口9A、第2分岐口9B、第3分岐口9Cのそれぞれに締めこむことで、先端のフェルールも締まり、第2チューブ12内を流れてくる液は、内針7の外側かつ外針8の内側を通り、二重針の先端方向のみに流れることになる。
<生体用吸引具100の作用>
(細胞溶解液の送液工程)
まず、回収したい細胞、例えばがん細胞を溶解できる細胞溶解液を第1リザーバー2に貯留する。細胞溶解液が貯留された第1リザーバー2を第1電気浸透流ポンプ1に取り付ける。なお、第1電気浸透流ポンプ1と第1リザーバー2が一体のものであれば、第1リザーバー2を第1電気浸透流ポンプ1に取り付ける手順を省略できる。次に、第1リザーバー2をコネクター9に取り付ける。このとき、第1チューブ11及び接続部11Aを介して第1リザーバー2をコネクター9に取り付ければよい。
次に、二重針をコネクター9に取り付ける。この状態で、細胞溶解液を生体内の局所に送ることが可能になる。二重針の先端を患者の皮膚から生体内の局所に向けて穿刺し、第1電気浸透流ポンプ1を駆動させ、第1チューブ11及び内針7を介して細胞溶解液を生体内の局所に送る。ここまでが、細胞溶解液の送液工程である。
(懸濁液の回収工程)
懸濁液を回収する際には、懸濁液を回収する第2リザーバー4を第2電気浸透流ポンプ3に取り付ける。なお、第2電気浸透流ポンプ3と第2リザーバー4が一体のものであれば、第2リザーバー4を第2電気浸透流ポンプ3に取り付ける手順を省略できる。次に、第2リザーバー4をコネクター9に取り付ける。この状態で、生体内の局所から懸濁液を回収することが可能になる。第2電気浸透流ポンプ3を駆動させ、生体内の局所に穿刺されている二重針の先端から懸濁液を吸引する。なお、細胞溶解後に懸濁液が血液とともに生体内を回らないようにするために、細胞溶解液を注入後、短時間(例えば1秒~30秒)で懸濁液を回収するとよい。このようにしておけば、生体に低侵襲な治療を行うことが可能となる。
外針8に吸引された懸濁液は、コネクター9及び第2チューブ12を介して第2リザーバー4に貯留される。このとき、第2リザーバー4には回収ポート5を介してシリンジ6が取り付けられている。シリンジ6のプランジャーが操作されることで、第2リザーバー4に貯留されている懸濁液がシリンジ6に回収されることになる。なお、シリンジ6は、最初から取り付けられていてもよいが、懸濁液を回収する際に取り付けるようにしてもよい。また、シリンジ6を取り外して、懸濁液を廃棄すればよい。ここまでが、懸濁液の回収工程である。
<生体用吸引具100の効果>
生体用吸引具100の効果について説明する。生体用吸引具100は、生体内の局所に存在する特定の細胞(がん細胞など)をターゲットとしてピンポイントで狙い撃ちでき、特定の細胞を溶解させた上で回収することが可能になる。そのため、生体用吸引具100によれば、転移によって新たな部位に腫瘍が生じたとしても、それを取り除く効果を期待できる。また、そのために、毒性の強い抗がん剤などを用いても、生体を弱らせてしまうことを避けるという効果も期待できる。
生体用吸引具100は、細胞溶解後の懸濁液を迅速に回収することが可能なため、懸濁液が血液に乗って生体内を回らないようにできる。そのため、生体用吸引具100によれば、生体に低侵襲な治療を行うことを実現できる。また、生体用吸引具100は、2つの電気浸透流ポンプ及びコネクター9を有しているため、装置全体として小型化を実現できるものとなっている。
生体用吸引具100によれば、細胞溶解液が貯留されている第1リザーバー2を第1チューブ11に接続した構成にできるので、第1リザーバー2と第1電気浸透流ポンプ1の組み合わせバリエーションを増やすことができる。例えば、第1リザーバー2と第1電気浸透流ポンプ1を一体構成にしたり、別構成にしたりなどのバリエーションが考えられる。その結果、生体用吸引具100の使用する際の形態の自由度が高まる。
生体用吸引具100は、懸濁液を貯留する第2リザーバー4を第2チューブ12に設け、第2リザーバー4に、第2リザーバー4に貯留された懸濁液を回収するシリンジ6を着脱自在に接続した構成にできる。そのため、生体用吸引具100によれば、シリンジ6を用いることで、吸引した懸濁液を簡易に回収することができる。
生体用吸引具100は、シリンジ6が、第2リザーバー4に設けられた回収ポート5を介して第2チューブ12に接続されている構成にできる。そのため、生体用吸引具100によれば、複雑な構成にすることなく、つまりシリンジ6を接続するだけで懸濁液を回収することができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。示した数値についても特に限定するものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。
1 :第1電気浸透流ポンプ
2 :第1リザーバー
3 :第2電気浸透流ポンプ
4 :第2リザーバー
5 :回収ポート
6 :シリンジ
7 :内針
7A :内針先端傾斜面
8 :外針
8A :外針先端傾斜面
9 :コネクター
9A :第1分岐口
9B :第2分岐口
9C :第3分岐口
11 :第1チューブ
11A :接続部
11B :連結部
12 :第2チューブ
13A :第1接続サポート
13B :第2接続サポート
13C :第3接続サポート
14 :第3チューブ
100 :生体用吸引具

Claims (5)

  1. 内針と外針で二重構造となる二重針と、
    前記二重針の内心先端から細胞溶解液を送る第1電気浸透流ポンプと、
    前記細胞溶解液によって溶解された細胞を含む懸濁液を前記二重針の外針先端から吸引する第2電気浸透流ポンプと、
    前記二重針、前記第1電気浸透流ポンプ、前記第2電気浸透流ポンプを接続するコネクターと、を有する
    生体用吸引具。
  2. 前記第1電気浸透流ポンプと前記コネクターとを連結する第1チューブと、
    前記第2電気浸透流ポンプと前記コネクターとを連結する第2チューブと、更に有する
    請求項1に記載の生体用吸引具。
  3. 前記細胞溶解液が貯留されている第1リザーバーを前記第1チューブに接続した
    請求項2に記載の生体用吸引具。
  4. 懸濁液を貯留する第2リザーバーを前記第2チューブに設け、
    前記第2リザーバーに、前記第2リザーバーに貯留された懸濁液を回収する陰圧発生装置を着脱自在に接続した
    請求項2又は3に記載の生体用吸引具。
  5. 前記陰圧発生装置は、
    前記第2リザーバーに設けられた回収ポートを介して前記第2チューブに接続されている
    請求項4に記載の生体用吸引具。
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