JP2022135888A - 水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】帯電防止性に優れ、易接着層中の帯電防止剤が、易接着層に接触する他の物品やフィルム自体の背面に移行することを抑制し、水系フレキソインキ等との密着性に優れた易接着層を有する、易接着性ポリエステルフィルムを提供すること。【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を有し、前記易接着層が、イオン伝導型帯電防止剤、ポリエステル系樹脂及びポリカーボネートウレタン樹脂を含む組成物が硬化されてなり、易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であり、前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて50℃、1kg/cm2加圧下で3日間保持した後、前記易接着層表面に接触していた前記の他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1014Ω/sq以上である水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。【選択図】なし
Description
本発明は、量産性に優れ、隠蔽性や白色度を有しており、易接着性及び帯電防止性に優れた空洞含有ポリエステルフィルムに関するものであり、より詳しくは、帯電防止剤が他の物品や背面への移行を低減し、特に水系フレキソインキ密着性に優れた情報記録材料や印刷材料として好適な水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムに関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械的性質、電気的性質、寸法安定性等の優れた特性を有することから、ラベル、タグ、ICカード、磁気記録材料、包装材料、電気絶縁材料、感光材料、製図材料、写真材料等多くの印刷分野の基材フィルムとして使用されている。
特にラベル用途として使用される場合、易接着層とは反対面に隠蔽性を高くするために無機蒸着を施したり、容器等に貼り付けるための粘着加工が施されたり、シリコーン等の離型剤を施すことで離型台紙(セパレータ)としても使用される。
特にラベル用途として使用される場合、易接着層とは反対面に隠蔽性を高くするために無機蒸着を施したり、容器等に貼り付けるための粘着加工が施されたり、シリコーン等の離型剤を施すことで離型台紙(セパレータ)としても使用される。
しかし、これらの用途においてポリエステルフィルムは絶縁性が高く、各種工程走行中の静電気により埃の吸着によるインキ抜けや、摩擦帯電によるフィルム同士の吸着によるサバキ不良など、しばしば印刷時等におけるトラブルを招くことがある。
そこで、ポリエステルフィルムの表面に易接着帯電防止性を付与する方法の一つとして、ポリエステルフィルムの表面に各種樹脂を塗布し、易接着性能と帯電防止性能を有する塗布層を設ける方法が知られている。
従来の各種インキ密着性タイプのポリエステル系被覆フィルムにおいても、基材ポリエステルフィルムの表面に、特定の樹脂からなる被覆層を設けた方法が多く見られる(例えば、特許文献1参照)。前記被覆層の構成樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及びアクリル等を、単一あるいは2 種以上混合したもの、また前記樹脂と特定の架橋剤(メラミン、イソシアネート等)とを混合したものなどが挙げられる。
また、帯電防止性能を得る手段として一軸方向に延伸されたポリエステル系積層フィルムにおいても、高分子帯電防止剤と添加剤を混合することで得られることなども挙げられる(特許文献2、3参照)。
帯電防止機能を付与させるためには極性基を付与した帯電防止剤が用いられる。中でもイオン電導型帯電防止剤において極性の高さから、表面固有抵抗値を下げる効果としてカチオン系帯電防止剤やアニオン系帯電防止剤が用いられることが知られている。しかしながら極性基が高く、親水性が高い帯電防止剤を用いた場合、上記ポリエステル樹脂やポリウレタン系樹脂と混合する場合に、その極性種差(官能基)からイオン吸着(相互作用)によるゲル化を引き起こすことがあり塗液にできない問題もある。
更にかかる従来技術では、特に夏場のフィルムロール状態や断裁シート保管時や陸送、海上輸送などで運搬する場合などにおいて、高温かつ高湿下の屋内の温湿度下によってフィルム表面やその塗布層に含まれる成分がや背面へ移行することがあった。これは、通常の温度・湿度環境下では背面移行は発生しにくいが、ある温湿度域を超え更に大気中水分量が増えると、塗膜成分が軟化することで、背面に移行すると考えられる。この現象は、塗布層の機能を低下させる他、特に帯電防止剤成分が背面に移行した場合、次工程で蒸着加工を行った場合の蒸着抜け(ピンホール)や、外観不良によるハジキ現象や、離型層付与した場合は硬化不良による剥離性不良などの不具合が生じてしまう。つまり、印刷インキ等の密着性と帯電防止機能を備えた易接着層がポリエステルフィルムにおいて背面への移行性を抑制することは非常に困難であった。これを回避するには巻きロール圧力低下や保管時の温湿度管理が有効であるが完全に回避できるものではなく、生産性の悪化に繋がることが問題であった。
ある温度域とは、例えば夏場の海上輸送されるコンテナ内部の温度及び湿度データは輸送業界からも開示されている。コンテナ内部は密閉されているが、温度は最大でも40℃程度まで上昇する。更に湿度に対しては梱包材に使用される段ボール紙等に含まれる水分が蒸発することで最大湿度は80%まで上昇する。したがって、過酷な環境下でも品質変化を起こしにくい易接着性ポリエステルフィルムを提供するためには50℃環境下、更には60℃且つ湿度90%での耐湿熱条件下での評価条件のもとで塗布層中の成分が接触した他の物品やフィルム自体の背面に移行することを抑制することが望ましい。
情報記録材料やラベル用途に用いられる場合、各種印刷方法と使用されるインキが選定される。一般的にはアクリルモノマー樹脂に光反応触媒により架橋するUVインキを用いられるが、臭気性や環境負荷への影響から水系フレキソインキが用いられるようになってきた。
水系フレキソインキは、一般的に顔料、顔料分散樹脂、水、保湿剤成分、およびバインダー樹脂により構成される。このうちバインダー樹脂は、印刷物の塗膜耐性(耐水性、耐擦性、密着性、スクラッチ性など)を向上させる目的で添加され、優れた塗膜物性、インキ物性及び印刷適性を両立できる事から、樹脂微粒子分散体が多く使用されている。このような水系フレキソインキは、これまで主に紙やダンボールなどの基材を対象として開発されてきたが、近年、省エネ、低コスト、環境負荷低減の観点から、低温乾燥条件下で、ポリエチレンテレフタレートなどの非極性フィルム基材に対し、優れた密着性が求められている。
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、易接着層表面の帯電防止性に優れ、易接着層中の帯電防止剤が、易接着層に接触する他のフィルムやセパレーター紙、粘着剤面、もしくは易接着性ポリエステルフィルム自体の背面(裏面)に移行することを抑制し、印刷等で使用される紫外線(UV)硬化型インキや水系フレキソインキ等との密着性に優れた易接着層を有する、易接着性ポリエステルフィルムを提供することにある。
即ち、本発明は、以下の構成よりなる。
1. ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を有し、前記易接着層が、イオン伝導型帯電防止剤、ポリエステル系樹脂及びポリカーボネートウレタン樹脂を含む組成物が硬化されてなり、易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であり、前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて50℃、1kg/cm2加圧下で3日間保持した後、前記易接着層表面に接触していた前記の他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1014Ω/sq以上である水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
2. 前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で3日間保持した後の前記易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であり、前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で2日間保持した後の前記易接着層表面と接触していた他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以上である上記第1に記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
3. 前記組成物に含まれる固形分総和を100質量%としたときに、前記イオン電導型帯電防止剤の固形分が1~8質量%である上記第1又は第2に記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
4. 前記組成物に含まれる固形分総和を100質量%としたときに、架橋剤を固形分として0~50質量%含む上記第1~第3のいずれかに記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
1. ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を有し、前記易接着層が、イオン伝導型帯電防止剤、ポリエステル系樹脂及びポリカーボネートウレタン樹脂を含む組成物が硬化されてなり、易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であり、前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて50℃、1kg/cm2加圧下で3日間保持した後、前記易接着層表面に接触していた前記の他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1014Ω/sq以上である水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
2. 前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で3日間保持した後の前記易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であり、前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で2日間保持した後の前記易接着層表面と接触していた他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以上である上記第1に記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
3. 前記組成物に含まれる固形分総和を100質量%としたときに、前記イオン電導型帯電防止剤の固形分が1~8質量%である上記第1又は第2に記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
4. 前記組成物に含まれる固形分総和を100質量%としたときに、架橋剤を固形分として0~50質量%含む上記第1~第3のいずれかに記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
本発明の易接着性ポリエステルフィルムは、帯電防止性に優れ、高温高湿下でも易接着層中に含まれる帯電防止剤が他の物品もしくは背面に移行することを抑制し、UV硬化型インキや水系フレキソインキとの易接着性に優れる。
(ポリエステルフィルム基材)
本発明においてポリエステルフィルム基材を構成するポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのほか、前記のようなポリエステル樹脂のジオール成分又はジカルボン酸成分の一部を以下のような共重合成分に置き換えた共重合ポリエステル樹脂であり、例えば、共重合成分として、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを挙げることができる。
本発明においてポリエステルフィルム基材を構成するポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどのほか、前記のようなポリエステル樹脂のジオール成分又はジカルボン酸成分の一部を以下のような共重合成分に置き換えた共重合ポリエステル樹脂であり、例えば、共重合成分として、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ポリアルキレングリコールなどのジオール成分や、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、5-ナトリウムイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸成分などを挙げることができる。
本発明においてポリエステルフィルム基材のために好適に用いられるポリエステル樹脂は、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレートから選ばれるものである。これらのポリエステル樹脂の中でも、物性とコストのバランスからポリエチレンテレフタレートが最も好ましい。また、これらのポリエステル樹脂から構成されたポリエステルフィルム基材は二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましく、耐薬品性、耐熱性、機械的強度などを向上させることができる。
ポリエステル樹脂の製造の際に用いられる重縮合のための触媒としては特に限定されないが、三酸化アンチモンが安価で、かつ優れた触媒活性をもつ触媒であるため好適である。また、ゲルマニウム化合物、又はチタン化合物を用いることも好ましい。さらに好ましい重縮合触媒としては、アルミニウム及び/又はその化合物とフェノール系化合物を含有する触媒、アルミニウム及び/又はその化合物とリン化合物を含有する触媒、リン化合物のアルミニウム塩を含有する触媒が挙げられる。
合成紙を製造する場合の主原料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などが用いられているが、特に、ポリエチレンテレフタレートを代表とするポリエステル系樹脂は、その優れた機械的特性、熱的特性などから、広範囲な用途に展開されている。
紙と類似した機能を有するフィルムを得る方法としては、一般的に、微細な空洞をフィルム内部に多量に含有させる方法や、平坦なフィルムにサンドブラスト処理やケミカルエッチング処理、マット化処理などの表面処理を行うことで粗面化する方法などが挙げられる。これらの中で、前者の微細な空洞をフィルム内部に多量に含有させる方法は、紙のような隠蔽性や白色度が得られるだけでなく、フィルム自体を軽量化できるため、面積辺りのコストを抑えられる点や、適度な柔軟性やクッション性が得られるため、印刷時における画像鮮明性が優れる点などのメリットから、数多く採用されている。
微細な空洞をフィルム内部に発現させる方法としては、一般的に、ポリエステル系樹脂中に非相溶な熱可塑性樹脂(以下非相溶樹脂と呼ぶ)を混合し、ポリエステル系樹脂中に該非相溶樹脂を分散させたシートを得、少なくとも1軸方向に延伸することにより、ポリエステル系樹脂と非相溶樹脂間での界面剥離によって、空洞を発現させる方法が挙げられる。ポリエステル系樹脂に対して、空洞を発現させるための非相溶樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂やポリスチレン系樹脂が好ましく利用されている。
本発明におけるポリエステルフィルム基材は、強度、腰、寸法安定性など実用性の点から、二軸配向ポリエステルフィルムであることが特に好ましい。
ポリエステルフィルム基材の層構成は単層構成でも積層構成でも構わないが、A層/B層/A層の積層構造であり、A層に無機粒子を含有し、B層には微細空洞を含有する積層構成とすることは好ましい形態である。表面層であるA層に無機粒子を含有する層を配置することによって、フィルムの滑り性すなわちハンドリング性や隠蔽性を改善することが可能であり、微細空洞を内層であるB層だけに含有させることによって、好ましい白色外観が得られるほか、フィルムのクッション性発現しつつフィルム表面の強度も確保することが可能になる。ここで積層構成を形成する方法は特に限定されないが、共押出しによって行なうことが製造時の安定性や加工コストの観点から好ましい。
また、本発明におけるポリエステルフィルム基材は、単層構造でもよいし、複層構造でもよいが、その一部の層もしくは全部の層が不透明であることが好ましい。白色空洞含有ポリエステルフィルムの不透明度を示す光学濃度は、0.3以上であることが好ましく、より好ましくは0.3~4.0であり、特に好ましくは、0.5~3.0である。光学濃度が0.3以上であると、白色空洞含有ポリエステルフィルムの易接着層表面に印刷を施した場合に印刷効果が鮮明となり好ましい。また、光学濃度が4.0以下であると、より優れた印刷効果が期待できて好ましい。
上記範囲内の光学濃度を得る方法は特に限定されないが、ポリエステル樹脂中に無機粒子、あるいは当該ポリエステル樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂を含有させることにより達成することができる。これらの含有量は特に限定されないが、無機粒子の場合は生成ポリエステルに対し5~35質量%が好ましく、特に好ましくは8~25質量%である。一方、非相溶性の熱可塑性樹脂を含有させる場合は、ポリエステルに対し5~35質量%が好ましく、特に好ましくは8~28質量%である。また、無機粒子と、ポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を併用する場合には、ポリエステルフィルム基材に対して、その合計量が40質量%以下とすることが、フィルム強度、腰、製膜安定性の点から好ましい。
使用する無機粒子は特に限定されないが、平均粒径が0.1~4.0μmの無機粒子が好ましく、特に好ましくは0.3~1.5μmの無機粒子である。具体的には、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫化亜鉛などの白色顔料が好ましく、これらを混合しても良い。さらに、フィルム中に一般的に含有されている無機粒子、例えばシリカ、アルミナ、タルク、カオリン、クレー、リン酸カルシウム、雲母、ヘクトライト、ジルコニア、酸化タングステン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸カルシウムなどを併用しても良い。
さらに、本発明の易接着性ポリエステルフィルムは、その見掛け密度が0.3~1.3g/cm3である易接着性微細空洞含有ポリエステルフィルムであることが好ましい。
また、その空洞積層数密度が、クッション性と表面剥離強度の両立の点で、0.20個/μm以上、好ましくは0.25個/μm以上、より好ましくは0.30個/μm以上である易接着性白色空洞含有ポリエステルフィルムも好ましい。その結果、得られる易接着性白色空洞含有ポリエステルフィルムは、印刷鮮明性や印刷時の加工特性に優れる。ここで、空洞積層数密度(個/μm) は、式:フィルム厚み方向の空洞数(個)/フィルム厚み(μm)で定義される。当該空洞積層数密度の上限は、空洞発現効率の点から0.80個/μmが好ましく、0.55個/μmがより好ましい。同密度を上記の範囲に調節する方法としては、非相溶の熱可塑性樹脂の添加量や種類、粘度などを調節するほか、押出機のスクリュー形状の変更や、溶融樹脂流路へのスタティックミキサー設置などの方法が用いられるが、この限りではない。
これらの易接着性白色空洞含有ポリエステルフィルムは、フィルム中に含有する微細空洞がマトリックスであるポリエステルとの界面において光散乱を起こすことにより不透明度が一段と向上し、前記無機粒子の添加を減らすことができるので、特に有用である。さらに、微細空洞を含有せしめることにより、基材フィルム自体を軽量化できるため、取扱いが容易になるとともに、原料コストダウンや輸送コストダウンなど経済的効果も大きなものとなる。
この様な、易接着性白色空洞含有ポリエステルフィルムを得る方法としては、マトリックスである熱可塑性ポリエステル樹脂に対し、前述の如きポリエステル樹脂に非相溶な熱可塑性樹脂を混練りし、ポリエステル樹脂中に非相溶樹脂を微粒子状に分散させたシートを少なくとも一軸方向に延伸することにより、前記非相溶樹脂微粒子の周囲に空洞を発生させる方法など、既に開示されている公知の方法を用いることができる。
また、得られた水系フレキソインキ易接着性白色空洞含有ポリエステルフィルムの厚みは、5~300μmであることが好ましい。特に、その空洞積層数密度が0.20個/μm以上である白色積層ポリエステルフィルムの厚みは、20~300μm が好ましく、さらに好ましくは40~250μmである。
印刷材料等に用いた場合の求められる白色性とは、カラー値で表すことができる。特にカラーL値は明度を表す尺度であり、数値が高いほうが白くなる。更にカラーb値は数値が高いと黄色味が強く、数値が低いと青味が強くなる。つまり、L値が高く、b値が低いことが白色性が高いということになり、目視による白味が強いということになる。印刷時の鮮明性が良化することになる。
(易接着層)
本発明の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムは、帯電防止剤の背面移行性、UVインキ、水系フレキソインキへの密着性を向上させるために、その少なくとも片面に、イオン伝導型帯電防止剤、ポリカーボネートウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂を含有する組成物が硬化されて形成されている易接着層が積層されていることが好ましい。前記の易接着層は、カチオン系帯電防止剤もしくはアニオン系帯電防止剤、ポリカーボネートウレタン樹脂やポリエステル樹脂が硬化されて形成されていると考えられるが、その硬化された後の化学構造そのものを表現することが困難であるため、カチオン系もしくはアニオン系帯電防止剤、ポリカーボネートウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂を含有する組成物が硬化されて形成されていると表現している。易接着層は、ポリエステルフィルム基材の両面に設けてもよく、ポリエステルフィルム基材の片面のみに設け、他方の面には異種の樹脂被覆層を設けてもよい。
本発明の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムは、帯電防止剤の背面移行性、UVインキ、水系フレキソインキへの密着性を向上させるために、その少なくとも片面に、イオン伝導型帯電防止剤、ポリカーボネートウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂を含有する組成物が硬化されて形成されている易接着層が積層されていることが好ましい。前記の易接着層は、カチオン系帯電防止剤もしくはアニオン系帯電防止剤、ポリカーボネートウレタン樹脂やポリエステル樹脂が硬化されて形成されていると考えられるが、その硬化された後の化学構造そのものを表現することが困難であるため、カチオン系もしくはアニオン系帯電防止剤、ポリカーボネートウレタン樹脂、及びポリエステル樹脂を含有する組成物が硬化されて形成されていると表現している。易接着層は、ポリエステルフィルム基材の両面に設けてもよく、ポリエステルフィルム基材の片面のみに設け、他方の面には異種の樹脂被覆層を設けてもよい。
本発明において、水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下である帯電防止性を有することが好ましい。易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であると、濡れ性が良く水系フレキソインキの印刷品位が良好となり好ましい。またフィルム同士が帯電吸着すると搬送送り時にサバキ不良や重送送りといった現象を防止することができて好ましい。易接着層表面の表面固有抵抗値は、より好ましくは5.0×1012Ω/sq以下であり、更に好ましくは1.0×1012Ω/sq以下である。一方、表面固有抵抗値が1.0×108Ω/sq以上であると極性が高くなりすぎず各種インキ等と易接着性が良好であり好ましい。更に好ましくは5.0×108Ω/sq以上であり、特に好ましくは1.0×109Ω/sq以上である。
本発明においては、水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて50℃、1kg/cm2加圧下で3日間保持した後に、当該易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であることが好ましい。前記のような特性を有することにより、例えば、ロール状に巻き上げられた易接着性ポリエステルフィルムの易接着層中に存在する帯電防止剤が接触している反対面に移行(裏移り)しづらく、易接着層の帯電防止性が保持されやすいことを意味している。前記の特定条件での接触処理をした後の易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であると、耐久性のある帯電防止性が得られて好ましい。前記の特定条件での接触処理をした後の易接着層表面の表面固有抵抗値は、より好ましくは5.0×1012Ω/sq以下であり、更に好ましくは1.0×1012Ω/sq以下である。一方、前記の特定条件での接触処理をした後の表面固有抵抗値が1.0×108Ω/sq以上であると極性が高くなりすぎず各種インキ等と易接着性が良好であり好ましい。更に好ましくは5.0×108Ω/sq以上であり、特に好ましくは1.0×109Ω/sq以上である。
本発明においては、前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて50℃、1kg/cm2加圧下で3日間保持した後、前記易接着層表面に接触していた前記の他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1014Ω/sq以上であることが好ましい。前記のような特性を有することにより、例えば、ロール状に巻き上げられた水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの易接着層中に存在する帯電防止剤が接触している反対面に移行(裏移り)しづらく、水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの易接着層の帯電防止性が保持されやすいことを意味している。前記の特定条件での接触処理をした後の他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値は、1.0×1014Ω/sq以上であることがより好ましく、5.0×1014Ω/sq以上であることが更に好ましい。
本発明においては、水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で3日間保持した後の易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であることが好ましい。前記のような湿熱環境では、易接着層中の帯電防止剤が他面に移行し易いと考えられるところ、前記の湿熱環境下での接着処理した後も易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であることは、例えば、ロール状に巻き上げられた易接着性ポリエステルフィルムが湿熱環境下で放置されても、易接着層中に存在する帯電防止剤が接触している反対面に移行(裏移り)しづらく、水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの帯電防止性が保持されやすいことを意味している。前記湿熱環境での接触処理の後の易接着層表面の表面固有抵抗値は、1.0×1013Ω/sq以下であることがより好ましく、9.0×1012Ω/sq以下であることが更に好ましい。一方、前記の湿熱条件での接触処理をした後の表面固有抵抗値が1.0×108Ω/sq以上であると極性が高くなりすぎず各種インキ等と易接着性が良好であり好ましい。更に好ましくは5.0×108Ω/sq以上である。
本発明においては、水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で2日間保持した後の前記易接着層表面と接触していた他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以上であることが好ましい。前記のような湿熱環境では、易接着層中の帯電防止剤が他面に移行し易いと考えられるところ、前記の湿熱環境下での接着処理した後も易接着層表面に接触していた他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以上であることは、例えば、ロール状に巻き上げられた易接着性ポリエステルフィルムが湿熱環境下で放置されても、易接着層中に存在する帯電防止剤が接触している反対面に移行(裏移り)しづらく、水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの帯電防止性が保持されやすいことを意味している。更に好ましくは、水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で3日間保持した後の前記易接着層表面と接触していた他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以上であることである。
なお、本発明において、帯電防止剤の移行の評価をするに当たり、本発明の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの易接着層に他のポリエステルフィルムを接触させるのは、本発明のポリエステルフィルムの両表面に易接着層を有する場合も想定され、その場合に本発明の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム同士を重ねると正確な評価がしづらいためであり、後述の様にこの場合の他のポリエステルフィルムは易接着層を有しないものを用いている。
以下、易接着層の構成成分について詳説する。
(イオン伝導型帯電防止剤)
帯電防止剤として接触した他の物品やフィルム自体の背面への移行性を抑制できるものが好ましい。例えば官能基がソルビタン型、エーテル型、エステル型、ソルビトール型、グルコース型等のノニオン系、第4級アンモニウム塩型、第4級アンモニウム樹脂型、イミダゾリン型、アーコベル型、ソロミンA型等のカチオン系、アルキルサルフェート型、アルキルホスフェート型、リン酸エステル塩型、硫酸エステル塩型等のアニオン系およびベタイン型、アミノ酸型、アミノ硫酸エステル型等の両性系の界面活性剤タイプまたはポリマータイプ等が挙げられる。
(イオン伝導型帯電防止剤)
帯電防止剤として接触した他の物品やフィルム自体の背面への移行性を抑制できるものが好ましい。例えば官能基がソルビタン型、エーテル型、エステル型、ソルビトール型、グルコース型等のノニオン系、第4級アンモニウム塩型、第4級アンモニウム樹脂型、イミダゾリン型、アーコベル型、ソロミンA型等のカチオン系、アルキルサルフェート型、アルキルホスフェート型、リン酸エステル塩型、硫酸エステル塩型等のアニオン系およびベタイン型、アミノ酸型、アミノ硫酸エステル型等の両性系の界面活性剤タイプまたはポリマータイプ等が挙げられる。
上記帯電防止剤において、4級アンモニウム塩基の対イオンとしては、アニオン性化合物であれば特に限定されるものではないが、好ましくはハロゲンイオン、モノもしくはポリハロゲン化アルキルイオン、ナイトレートイオン、サルフェートイオン、アルキルサルフェートイオン、スルホネートイオンまたはアルキルスルホネートイオンから適宜選択できるが、好ましくは表面固有抵抗値の安定性、塗液安定性、インキ密着性と、帯電防止剤の他の物品や背面への移行性を抑制させるにはエトサルフェート塩が好ましい。
更にポリエチレンイミン、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、ポリアルキレンポリアミンジシアノジアミドアンモニウム縮合物、ポリビニルピリジウムハライド、(メタ)アクリル酸アルキル4級アンモニウム塩、(メタ)アクリルアミドアルキル4級アンモニウム塩、ω-クロロ-ポリ(オキシエチレン-ポリメチレン-アルキル4級アンモニウム塩)、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウム塩、ポリスチレン系カチオン性ポリマー、ポリ(メタ)アクリル系カチオン性ポリマー(メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、塩化トリメチルアミノエチルメタクリレートなど)、ポリビニルピリジン系ポリマー、環状インテグラル型ポリマー、直線状インテグラル型ポリマー、ペンダント型に4級アンモニウムイオン基を2個以上有する芳香族ビニル単量体の重合体、主鎖にピロリジウム環を有するポリマーなどが挙げられる。これらのポリマーはホモポリマーであっても共重合体であっても構わない。これらのポリマーを製造するには、共重合可能な公知の単量体を使用し得る。塗液混合性、易接着層表面の帯電防止剤成分の存在量を制御する上で、直鎖アルキル基を有する帯電防止剤であることが好ましく、さらに、直鎖アルキル基を有し、かつ4級アンモニウム塩基を有する帯電防止剤であることが好ましい。
そのため、直鎖アルキル基を有し、かつ4級アンモニウム塩基を有する帯電防止剤において、アルキル鎖の炭素数は、10~25個であることが好ましく、12~19個があることがより好ましく、14~18個であることが特に好ましい。同分子間の相互作用や、分子長による背面移行性の抑制を鑑みた場合、前記範囲にすることが好ましい。
直鎖アルキル基を有する4級アンモニウム塩基の分子量は200以上が好ましく700以下が好ましい。より好ましくは400以上600以下が好ましい。分子量が200以下となる場合は表面固有抵抗値は発現しやすいが、背面移行を抑制することができない。分子量が700以上となると表面固有抵抗値が発現しにくくまた、塗液調合時に樹脂官能基と相互作用による凝集が発生しやすくなる。
また、窒素元素を有するカチオン系帯電防止剤の分子構造において、直鎖アルキル鎖と4級アンモニウム塩基の間には、少なくとも1個程度のアミド結合やウレタン結合などを含んでいても構わない。
(ポリカーボネートウレタン樹脂)
本発明におけるポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂は、少なくともポリカーボネートポリオール成分とポリイソシアネート成分に由来するウレタン結合部分構造を有することが好ましく、さらに必要に応じて鎖延長剤を含むものである。さらに分岐構造を有するポリイソシアネートを、分子鎖を構成する前記のようないずれかの原料成分の末端官能基数が3個以上存在することによって、合成、重合された後に枝分かれ上の分子鎖構造を形成することによって好適に導入されるものである。
本発明におけるポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂は、少なくともポリカーボネートポリオール成分とポリイソシアネート成分に由来するウレタン結合部分構造を有することが好ましく、さらに必要に応じて鎖延長剤を含むものである。さらに分岐構造を有するポリイソシアネートを、分子鎖を構成する前記のようないずれかの原料成分の末端官能基数が3個以上存在することによって、合成、重合された後に枝分かれ上の分子鎖構造を形成することによって好適に導入されるものである。
本発明におけるポリカーボネートウレタン樹脂、且つ分岐構造を有する場合のウレタン樹脂は、その分岐構造によって、分子鎖中の末端官能基数の下限は好ましくは3個であり、さらに好ましくは4個である。3個以上であると、水付着時のブロッキング耐性を向上できて好ましい。本発明におけるポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂は、その分岐構造によって、分子鎖中の末端官能基数の上限は好ましくは6個である。6個以下であると、樹脂を水溶液中に安定して分散できて好ましい。
本発明におけるポリカーボネートウレタン樹脂を合成、重合するために用いるポリカーボネートポリオール成分には、耐熱、耐加水分解性に優れる脂肪族系ポリカーボネートポリオールを含有することが好ましい。脂肪族系ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族系ポリカーボネートジオール、脂肪族系ポリカーボネートトリオールなどが挙げられるが、好適には脂肪族系ポリカーボネートジオールを用いることができる。本発明におけるポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂を合成、重合するために用いる脂肪族系ポリカーボネートジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどのジオール類の1種または2種以上と、例えば、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲンなどのカーボネート類とを反応させることにより得られる脂肪族系ポリカーボネートジオールなどが挙げられる。
本発明における前記のポリカーボネートポリオールの数平均分子量としては、好ましくは1000~3000である。より好ましくは1200~2900、最も好ましくは1500~2800である。1000以上であると、インキ密着性を向上でき好ましい。3000以下であると、帯電防止剤の背面移行性を抑制できて好ましい。
本発明におけるポリカーボネートウレタン樹脂の合成、重合に用いるポリイソシアネートとしては、例えば、キシリレンジイソシアネート等の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート及び4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネート、および2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類、あるいはこれらの化合物を単一あるいは複数でトリメチロールプロパン等とあらかじめ付加させたポリイソシアネート類が挙げられる。前記の芳香族脂肪族ジイソシアネート類、脂環式ジイソシアネート類、または、脂肪族ジイソシアネート類等を使用した場合、黄変の問題がなく好ましい。また、強硬な塗膜になり過ぎず、帯電防止剤による表面固有抵抗値を得るのに良好となり好ましい。
鎖延長剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール及び1,6-ヘキサンジオール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、およびピペラジン等のジアミン類、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミン等のアミノアルコール類、チオジエチレングルコール等のチオジグリコール類、あるいは水が挙げられる。
ウレタン樹脂中に分岐構造を形成させるためには、例えば、前記のポリカーボネートポリオール成分、ポリイソシアネート、鎖延長剤を適切な温度、時間を設けて反応させたのち、3官能以上の水酸基あるいはイソシアネート基を有する化合物を添加し、さらに反応を進行させる方法が好ましく採用され得る。
3官能以上の水酸基を有する化合物の具体例としては、カプロラクトントリオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、ヘキサントリオール、1,2,3-ヘキサントリオール、1,2,3-ペンタントリオール、1,3,4-ヘキサントリオール、1,3,4-ペンタントリオール、1,3,5-ヘキサントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、ポリエーテルトリオールなどが挙げられる。前記のポリエーテルトリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等のアルコール、ジエチレントリアミン等のような、活性水素を3個有する化合物の1種又は2種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アミレンオキシド、グリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、t-ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のモノマーの1種又は2種以上を付加重合することによって得られる化合物が挙げられる。
3官能以上のイソシアネート基を有する化合物の具体例としては、1分子中に少なくとも3個以上のイソシアネート(NCO)基を有するポリイソシアネート化合物であればよい。本発明において3官能以上のイソシアネート化合物は、2個のイソシアネート基を有する、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等のイソシアネートモノマーを変性したビュレット体、ヌレート体、およびアダクト体等が挙げられる。
芳香族ジイソシアネートは、例えば1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、および4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートは、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートは、例えばキシリレンジイソシアネート、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートは、例えば3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI、イソホロンジイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、および1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
ビュレット体とは、イソシアネートモノマーが自己縮合して形成したビュレット結合を有する自己縮合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体などが挙げられる。
ヌレート体とは、イソシアネートモノマーの3量体であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、イソホロンジイソシアネートの3量体、トリレンジイソシアネートの3量体などが挙げられる。
アダクト体とは、上記イソシアネートモノマーと3官能以上の低分子活性水素含有化合物とを反応させてなる、3官能以上のイソシアネート化合物をいい、例えば、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、などが挙げられる。
芳香族ジイソシアネートは、例えば1,3-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、および4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートは、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ジイソシアネートは、例えばキシリレンジイソシアネート、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、および1,3-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートは、例えば3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:IPDI、イソホロンジイソシアネート)、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、および1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
ビュレット体とは、イソシアネートモノマーが自己縮合して形成したビュレット結合を有する自己縮合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット体などが挙げられる。
ヌレート体とは、イソシアネートモノマーの3量体であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体、イソホロンジイソシアネートの3量体、トリレンジイソシアネートの3量体などが挙げられる。
アダクト体とは、上記イソシアネートモノマーと3官能以上の低分子活性水素含有化合物とを反応させてなる、3官能以上のイソシアネート化合物をいい、例えば、トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアネートとを反応させた化合物、トリメチロールプロパンとイソホロンジイソシアネートとを反応させた化合物、などが挙げられる。
3官能以上の官能基数を有する鎖延長剤としては、上記鎖延長剤の説明中のトリメチロールプロパン、およびペンタエリスリトール等の3官能以上の水酸基を有するアルコール類などが該当する。
本発明における易接着層は、水系の塗布液を用い後述のインラインコート法により設けることが好ましい。そのため、本発明のウレタン樹脂は水溶性又は水分散性を持つことが望ましい。なお、前記の「水溶性又は水分散性」とは、水、または水溶性の有機溶剤を50質量%未満含む水溶液に対して分散することを意味する。
ウレタン樹脂に水分散性を付与させるためには、ウレタン分子骨格中にスルホン酸(塩)基又はカルボン酸(塩)基を導入(共重合)することができる。耐湿性を維持するために、弱酸性であるカルボン酸(塩)基を導入するのが好適でありカチオン系帯電防止剤との相互作用(ゲル化)も抑制できて好まし。更に、ポリオキシアルキレン基などのノニオン性基を導入することもできる。
ウレタン樹脂にカルボン酸(塩)基を導入するためには、例えば、ポリオール成分として、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸などのカルボン酸基を有するポリオール化合物を共重合成分として導入し、塩形成剤により中和する。塩形成剤の具体例としては、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリ-n-ブチルアミンなどのトリアルキルアミン類、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリンなどのN-アルキルモルホリン類、N-ジメチルエタノールアミン、N-ジエチルエタノールアミンなどのN-ジアルキルアルカノールアミン類が挙げられる。これらは単独で使用できるし、2種以上併用することもできる。
水分散性を付与するために、カルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物を共重合成分として用いる場合は、ウレタン樹脂中のカルボン酸(塩)基を有するポリオール化合物の組成モル比は、ウレタン樹脂の全ポリイソシアネート成分を100モル%としたときに、3~60モル%であることが好ましく、5~40モル%であることが好ましい。前記組成モル比が3モル%以上の場合は、水分散性が得られて好ましい。また、前記組成モル比が60モル%以下の場合は、耐水性が保たれ耐湿熱性が得られて好ましい。
本発明におけるウレタン樹脂は、強硬性向上のため末端にブロックイソシアネート構造を有してもよい。
(架橋剤)
本発明において、易接着層形成用組成物に架橋剤としてブロックイソシアネートを添加しても良い。3官能以上のブロックイソシアネートがさらに好ましく、4官能以上のブロックイソシアネートが特に好ましい。これらにより易接着層表面の帯電防止性の制御及び、帯電防止剤の背面移行性を抑制させることが可能である。
本発明において、易接着層形成用組成物に架橋剤としてブロックイソシアネートを添加しても良い。3官能以上のブロックイソシアネートがさらに好ましく、4官能以上のブロックイソシアネートが特に好ましい。これらにより易接着層表面の帯電防止性の制御及び、帯電防止剤の背面移行性を抑制させることが可能である。
本発明におけるブロックイソシアネートは、水溶性、または、水分散性を付与するために前駆体であるポリイソシアネートに親水基を導入することができる。親水基としては、(1)ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩やジアルキルアミノアルキルアミンの四級アンモニウム塩など、(2)スルホン酸塩、カルボン酸塩、リン酸塩など、(3)アルキル基で片末端封鎖されたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。親水性部位を導入した場合は(1)カチオン性、(2)アニオン性、(3)ノニオン性となる。なかでも、他の水溶性樹脂はアニオン性のものが多いため、容易に相溶できるアニオン性やノニオン性が好ましい。また、アニオン性は他の樹脂との相溶性に優れ、ノニオン性はイオン性の親水基をもたないため、耐湿熱性を向上させるためにも好ましい。
アニオン性の親水基としては、ポリイソシアネートに導入するための水酸基、親水性を付与するためのカルボン酸基を有するものが好ましい。例えば、グリコール酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、オキシ酪酸、オキシ吉草酸、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸、カルボン酸基を有するポリカプロラクトンが挙げられる。カルボン酸基を中和するには、有機アミン化合物が好ましい。例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミンなどの炭素数1から20の直鎖状、分岐状の1,2または3級アミン、モルホリン、N-アルキルモルホリン、ピリジンなどの環状アミン、モノイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの水酸基含有アミンなどが挙げられる。
ノニオン性の親水基としては、アルキル基で片末端封鎖されたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイドおよび/またはプロピレンオキサイドの繰り返し単位が3~50が好ましく、より好ましくは、5~30である。繰り返し単位が小さい場合は、樹脂との相溶性が悪くなり、ヘイズが上昇し、大きい場合は、高温高湿下の接着性が低下する場合がある。本発明のブロックイソシアネートは水分散性向上のために、ノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性界面活性剤を添加することができる。例えばポリエチレングリコール、多価アルコール脂肪酸エステル等のノニオン系、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルリン酸塩等のアニオン系、アルキルアミン塩、アルキルベタイン等のカチオン系、カルボン酸アミン塩、スルホン酸アミン塩、硫酸エステル塩等の界面活性剤などが挙げられる。
また、水以外にも水溶性の有機溶剤を含有することができる。例えば、反応に使用した有機溶剤やそれを除去し、別の有機溶剤を添加することもできる。
密着性を向上させる手段として他の開示させている化合物が適用添加可能である。易接着層の密着耐久性を向上させるために他の架橋剤であっても、高温高湿下での密着性を更に向上させることが可能になる。具体的な架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、オキサゾリン系、カルボジイミド系等が挙げられる。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用することができる。
(ポリエステル樹脂)
本発明における易接着層を形成するのに用いるポリエステル樹脂は、直鎖上のものであってもよいが、より好ましくは、ジカルボン酸と、分岐構造を有するジオールとを構成成分とするポリエステル樹脂であることが好ましい。ここで言うジカルボン酸は、その主成分がテレフタル酸、イソフタル酸又は2,6-ナフタレンジカルボン酸である他アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が、挙げられる。また、分岐したグリコールとは枝分かれしたアルキル基を有するジオールであって、例えば、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-n-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-n-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-n-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジ-n-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、及び2,2-ジ-n-ヘキシル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。
本発明における易接着層を形成するのに用いるポリエステル樹脂は、直鎖上のものであってもよいが、より好ましくは、ジカルボン酸と、分岐構造を有するジオールとを構成成分とするポリエステル樹脂であることが好ましい。ここで言うジカルボン酸は、その主成分がテレフタル酸、イソフタル酸又は2,6-ナフタレンジカルボン酸である他アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が、挙げられる。また、分岐したグリコールとは枝分かれしたアルキル基を有するジオールであって、例えば、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-イソプロピル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-2-n-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-n-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-n-ヘキシル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジ-n-ブチル-1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、及び2,2-ジ-n-ヘキシル-1,3-プロパンジオールなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、上記のより好ましい態様である分岐したグリコール成分は全グリコール成分の中に、好ましくは10モル%以上の割合で、さらに好ましくは20モル%以上の割合で含有されるものと言える。10モル%以上であると、結晶性が高くなり過ぎず、易接着層の接着性が良好となり好ましい。全グリコール成分の中のグリコール成分上限は、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは70質量%である。80モル%以下であると、副生成物であるオリゴマー濃度が抑制され、易接着層の透明性が良好であり好ましい。上記化合物以外のグリコール成分としてはエチレングリコールが最も好ましい。少量であれば、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,4-シクロヘキサンジメタノールなどを用いても良い。
上記ポリエステル樹脂の構成成分としてのジカルボン酸としては、テレフタル酸又はイソフタル酸であるのが最も好ましい。上記ジカルボン酸の他に、共重合ポリエステル系樹脂に水分散性を付与させるため、5-スルホイソフタル酸等を1~10モル%の値囲で共重合させるのが好ましく、例えば、スルホテレフタル酸、5-スルホイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等を挙げることができる。ナフタレン骨格を有するジカルボン酸を含有するポリエステル樹脂を使用してもよいが、UVインキへの密着性の低下を抑制するために、その量的割合は全カルボン酸成分中で5モル%以下であることが好ましく、使用しなくともよい。
上記ポリエステル樹脂の構成成分として、ポリエステル樹脂としての特性が損なわれない程度にトリオールやトリカルボン酸を含まれても構わない。
上記ポリエステル樹脂は、カルボキシル基以外の極性基を含有してもよい。例えば、スルホン酸金属塩基、リン酸基等が挙げられるが、これらは1種又は2種以上有することができる。スルホン酸金属塩基を導入する方法としては、5-スルホイソフタル酸、4-スルホナフタレン-2,7-ジカルボン酸、5-〔4-スルホフェノキシ〕イソフタル酸等の金属塩又は2-スルホ-1,4-ブタンジオール、2,5-ジメチル-3-スルホ-2,5-ヘキサンジオール等の金属塩等のスルホン酸金属塩基を含有するジカルボン酸又はグリコールをポリカルボン酸成分またはポリオール成分の合計の10モル%以下、好ましくは7モル%以下、更に好ましくは5モル%以下の範囲で使用する方法が挙げられる。10モル%を超えると樹脂自体の耐加水分解性、塗膜の耐水性が低下する傾向にある。
塗布液中の樹脂固形分濃度とは、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂及び架橋剤の固形分濃度の総和を意味する。塗布液中の樹脂固形分濃度は5~17%で調整することが望まし。樹脂固形分濃度が5%以上であると乾燥、硬化後の易接着層厚みが薄くなり過ぎず、UV硬化型インキ等各種易接着性が良好となり好ましい。一方、樹脂固形分濃度が17%以下であると、架橋剤を含有させたときの十分な架橋性を得ることができ、帯電防止剤の他の物品や背面へ移行を抑制でき、ブロッキング現象も抑制できて好ましい。
易接着層を形成するための組成物中に含まれる固形分総和を100質量%としたときに、イオン電導型帯電防止剤が1~8質量%含まれることが望ましい。規定範囲を満足すると帯電防止性能を得ることができる。更に加温、耐湿熱処理後の他の物品もしくは背面への帯電防止成分が移行しないことから好ましい範囲である。
ポリエステル樹脂、ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂及び架橋剤の3種の固形分質量の合計を100質量%とするとき、ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂の含有率が5~50質量%であることが好ましい。前記範囲を満足すると各種材料やUVインキとの親和性が良く密着性が達成でき好ましい。上記規定範囲であれば易接着性に優れ帯電防止性能を有し且つ耐湿熱下においても帯電防止剤が他の物品や背面への移行性を抑制でき好ましい。
ポリエステル樹脂、ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂及び架橋剤の3種の固形分質量の合計を100質量%とするとき、架橋剤の含有率上限が50質量%であることが好ましい。前記範囲を満足することで易接着層の架橋性が高くなりUVインキ等との親和性が良好になるほか帯電防止性が発現しやすく好ましい。更に耐湿処理における易接着層の強度が保たれ、帯電防止剤が他の物品や背面への移行性を抑制できて好ましい。
ポリエステル樹脂、ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂及び架橋剤3種の固形分質量の合計を100質量%とするとき、ポリエステル樹脂含有率が10~70質量%であることが好ましい。前記範囲を満足することで、各種材料やUVインキとの親和性が良く密着性が達成できる。特にポリエステルフィルム基材との密着性が向上して好ましい。また、カチオン系帯電防止剤を用いた場合、相互作用による塗液のゲル化を抑制できて好ましい。
(添加剤)
本発明における易接着層中には、本発明の効果を阻害しない範囲において公知の添加剤、例えば界面活性剤、Ph調整剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の粒子、帯電防止剤、核剤等を添加しても良い。
本発明における易接着層中には、本発明の効果を阻害しない範囲において公知の添加剤、例えば界面活性剤、Ph調整剤、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の粒子、帯電防止剤、核剤等を添加しても良い。
前記の界面活性剤は可溶化剤、分散剤、消泡剤、濡れ性助剤等の効果を期待して用いられることがある。界面活性剤の親水性部分がイオン性(カチオン性、アニオン性、両性)のものと非イオン性の物に分けられる。水系塗材とした場合に、基材として用いられるポリエステルフィルムは表面エネルギーが低く濡れ性に乏しいことから用いられる。したがって、水系塗材の表面張力調整、濡れ性助剤として用いられることが多い。特に限定されるものではないが、かる界面活性剤としては塗布液の表面張力を50dyne/cm以下、好ましくは40dyne/cm以下に降下でき、ポリエステルフィルムヘの濡れを促進するものが好ましく、例えばアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩 、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、モノアルキル硫酸塩、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、モノアルキルリン酸塩 、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルカルボキシベタイン 、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルモノグリセリルエーテル などがあげられ、中でもポリエーテル変性シリコーンが好ましい。
界面活性剤の添加量は塗布液中の固形分質量の総和を100質量%としたときに、0.1質量%以上1.0質量%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.2質量%から0.8質量%の範囲である。0.1質量%以上であると、界面活性剤としての濡れ性効果が得られて好ましい。また1.0質量%以下であると、易接着性が良好に保たれて好ましい。
前記の添加剤でpH調整剤を用いる場合もある。このpHを調整する酸としては塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸や蓚酸、蟻酸、クエン酸、酢酸等の有機酸が用いられ、アルカリ調整では炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホスフィン酸ナトリウム等があげられる。水系塗材での調整では中性程度が好ましくpH5~9の範囲であり好ましくはpH6~8.5に調整することが更に好ましい。pH5以下ではコーティングマシンを腐食させる恐れがあるほか、架橋剤としてブロックイソシアネートを選択した場合のブロック剤乖離促進効果が低下する。またpHが9以上となると樹脂バインダーとして用いるポリエステル樹脂等が加水分解を起こしてしまい接着性や耐久性を損なうので好ましくない。
易接着層面の光沢度を低下させるために、易接着層中に不活性粒子を含有させてもよい。
易接着層には、表面に滑り性やマット性、インキ吸収性などを付与するために、滑剤粒子を含むこともできる。粒子は、無機粒子であっても、有機粒子であってもよく、特に限定されるものではないが、(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられるが、易接着層に適度な滑り性を与えるために、シリカが特に好ましく使用される。
前記の不活性粒子の平均粒子径は、0.1~2.4μmが好ましく、さらに好ましくは0.3~2.0μmである。不活性粒子の平均粒子径が0.04μm以下であると、フィルム表面の光沢度が上昇する可能性がある。逆に、2.4μmを越えると、粒子が易接着層から脱落し、フィルム走行時などの各種工程で粉落ちの原因になる傾向がある。
なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡などを用いた顕微鏡による形態観察の結果、決定することができる。具体的には、これらの顕微鏡観察において任意に選んだ20個分の粒子の直径の平均値を採用する。そして、本発明の目的を満たすものであれば、粒子の形状は特に限定されるものでなく、球状粒子、不定形の球状でない粒子を使用できる。不定形の粒子の粒子径は円相当径として計算することができる。円相当径は、観察された粒子の面積をπで除し、平方根を算出し2倍した値である。
易接着層面の光沢度を上昇させたい場合には、易接着層中に粒子を含有させないことも好ましい。
(水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの製造)
本発明の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば前述の組成からなる混合物を溶融させシート状に押出し成形して未延伸フィルムとした後、この未延伸フィルムを延伸するという一般的な方法を用いることができる。
本発明の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えば前述の組成からなる混合物を溶融させシート状に押出し成形して未延伸フィルムとした後、この未延伸フィルムを延伸するという一般的な方法を用いることができる。
本発明の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムは、フィルム原料を溶融、押出し成形する工程で、ポリエステル樹脂中にポリエステル樹脂と非相溶な熱可塑性樹脂を分散させてもよい。本発明の実施例では、ポリエステル樹脂およびポリエステル樹脂と非相溶な熱可塑性樹脂はペレット形状で供給されているものを用いたが、これに限定されるものではない。
フィルム状に溶融成形するため押出機に投入する原料は、目的の組成に応じてこれらの樹脂をペレット混合して準備する。しかしながら、本発明のポリエステルフィルム原料として、ポリエステル樹脂とポリオレフィン系樹脂を用いた場合、樹脂の比重が両者で大きく異なるため、一度混合したペレットが押出機に供給される過程で偏析しないような工夫を加えることが好ましい。偏析を防ぐための好適な方法として、事前に原料樹脂の一部または全部を組み合わせて混練りペレタイズし、マスターバッチペレットとする方法が挙げられる。本発明の実施例ではこの方法を用いたが、本発明の効果を妨げない限り特に限定されるものではない。
また、これらのポリエステル樹脂と、ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂の混合系の押出しにおいては、溶融状態で混合して微分散させた後も、樹脂の界面エネルギーを減少させようという働きから再凝集する性質がある。これは未延伸フィルムを押出成形する際に空洞発現剤を粗分散化させ、求める物性発現の妨げとなる現象である。
これを防ぐため、前記のような混合系のフィルムを成形する際には、より混合効果の高い二軸押出機を用いて、空洞発現剤をあらかじめ微分散させておくことが好ましい。また、これが困難な場合には、補助的な手段として、押出機から静的混合器を介して、原料樹脂をフィードブロックまたはダイスに供給することも好ましい。ここで用いる静的混合器としては、スタティックミキサーやオリフィス等を用いることができる。ただし、これらの方法を採用した場合には、メルトライン中で熱劣化した樹脂を滞留させることもあり、注意が必要である。
なお、ポリエステル樹脂中で一旦微粒子状に分散した非相溶樹脂は、低せん断の溶融状態下で、非相溶樹脂の再凝集が時間とともに進行する傾向があるので、押出機からダイスに至るメルトライン中の滞留時間を減少させることが根本的な解決方法である。本発明において、メルトライン中での滞留時間を30分以下とすることが好ましく、15分以下とすることがより好ましい。
上記の様にして得た未延伸フィルムを延伸、配向処理する条件は、フィルムの物性と密接に関係する。以下では、最も一般的な逐次二軸延伸方法、特に未延伸フィルムを長手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸、配向条件を説明する。
縦延伸工程では、80~120℃に加熱したロールで長手方向に2.5~5.0倍に延伸して、一軸延伸フィルムを得る。熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。次いで一軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向に(Tm-10℃)以下の温度で2.5~5.0倍に延伸する。但し、Tmはポリエステルの融点を意味する。
また、上記の二軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、(Tm-60℃)~Tmの範囲で行うのが好ましい。
易接着層はフィルムの製造後、もしくは製造工程において設けることができる。特に、生産性の点からフィルム製造工程の任意の段階、すなわち未延伸あるいは一軸延伸後のPETフィルムの少なくとも片面に、塗布液を塗布し、易接着層を形成することが好ましい。
この塗布液をポリエステルフィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗工することができる。
本発明において易接着層の厚みは、0.001~2.00μmの範囲で適宜設定することができるが、加工性と接着性とを両立させるには0.01~1.00μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.02~0.80μm、さらに好ましくは0.05~0.50μmである。易接着層の厚みが0.001μm以上であると、密着性が良好であり好ましい。易接着層の厚みが2.00μm以下であると、帯電防止剤の他の物品や背面移行を抑制でき好ましい。
次に、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。まず、以下に本発明で用いた評価方法について説明する。
(1)帯電防止性 表面固有抵抗値
フィルムを5.00cm四方の正方形に3枚切り出して試料とした。表面固有抵抗値を表面抵抗測定器(日東精工アナリック製ハイレスタMCP-HT800)を使用し、印加電圧500V、23℃・65%湿度下でJIS K6911準拠にて各3枚ずつ測定し平均値とした。
フィルムを5.00cm四方の正方形に3枚切り出して試料とした。表面固有抵抗値を表面抵抗測定器(日東精工アナリック製ハイレスタMCP-HT800)を使用し、印加電圧500V、23℃・65%湿度下でJIS K6911準拠にて各3枚ずつ測定し平均値とした。
(2)50℃加圧環境下での易接着層面と他面移行性評価
フィルムを5.00cm四方の正方形に3枚切り出して試料とした。これを東洋紡株式会社製ポリエステルフィルムE5001(厚み50μm)と前記試料の易接着層表面とを重ね合わせ、ヤマト科学株式会社製ドライオーブンDVS602を使用し、50℃下で1kg/cm2加圧下で3日間保持した。試料の易接着層表面及び接触させた東洋紡ポリエステルフィルムE5001表面の表面固有抵抗値を表面抵抗測定器(日東精工アナリック製ハイレスタMCP-HT800)を使用し、印加電圧500V、23℃・65%湿度下でJIS K6911準拠にて各3枚ずつ測定し平均値を算出した。
試料の易接着層面については、
〇 : 1.0×1013Ω/sq以下
× : 1.0×1013Ω/sqを超える
E5001の接触させた表面については、
〇 : 1,0×1014Ω/sq以上
× : 1.0×1014Ω/sq未満
と評価した。
フィルムを5.00cm四方の正方形に3枚切り出して試料とした。これを東洋紡株式会社製ポリエステルフィルムE5001(厚み50μm)と前記試料の易接着層表面とを重ね合わせ、ヤマト科学株式会社製ドライオーブンDVS602を使用し、50℃下で1kg/cm2加圧下で3日間保持した。試料の易接着層表面及び接触させた東洋紡ポリエステルフィルムE5001表面の表面固有抵抗値を表面抵抗測定器(日東精工アナリック製ハイレスタMCP-HT800)を使用し、印加電圧500V、23℃・65%湿度下でJIS K6911準拠にて各3枚ずつ測定し平均値を算出した。
試料の易接着層面については、
〇 : 1.0×1013Ω/sq以下
× : 1.0×1013Ω/sqを超える
E5001の接触させた表面については、
〇 : 1,0×1014Ω/sq以上
× : 1.0×1014Ω/sq未満
と評価した。
(3)耐湿熱環境加圧下での易接着層面と他面移行性評価
フィルムを5cm四方の正方形に3枚切り出して試料とした。これを東洋紡株式会社製ポリエステルフィルムE5001(厚み50μm)と前記試料の易接着層表面とを重ね合わせ、ヤマト科学株式会社製恒温恒湿器IG400を使用し、60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で2日間保持したものと、3日間保持したものを用意した。試料の易接着層及び接触させた東洋紡ポリエステルフィルムE5001表面の表面固有抵抗値を表面抵抗測定器(日東精工アナリック製ハイレスタMCP-HT800)を使用し、印加電圧500V、23℃・65%湿度下でJIS K6911準拠にて各3枚ずつ測定し平均値を算出した。
試料の易接着層面については、3日間重ね合わせて保持したものについて測定し、
〇 : 1.0×1013Ω/sq以下
× : 1.0×1013Ω/sqを超える
E5001の接触させた表面については、2日間重ね合わせたもの、3日間重ね合わせたものの両者について測定し、
〇 : 3日間重ね合わせたものが1.0×1014Ω/sq以上
△ : 3日間重ね合わせたものが1.0×1014Ω/sq未満で、且つ、 2日間重ね合わせたものが1.0×1013Ω/sq以上
× : 2日間重ね合わせたものが1.0×1013Ω/sq未満
と評価した
フィルムを5cm四方の正方形に3枚切り出して試料とした。これを東洋紡株式会社製ポリエステルフィルムE5001(厚み50μm)と前記試料の易接着層表面とを重ね合わせ、ヤマト科学株式会社製恒温恒湿器IG400を使用し、60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で2日間保持したものと、3日間保持したものを用意した。試料の易接着層及び接触させた東洋紡ポリエステルフィルムE5001表面の表面固有抵抗値を表面抵抗測定器(日東精工アナリック製ハイレスタMCP-HT800)を使用し、印加電圧500V、23℃・65%湿度下でJIS K6911準拠にて各3枚ずつ測定し平均値を算出した。
試料の易接着層面については、3日間重ね合わせて保持したものについて測定し、
〇 : 1.0×1013Ω/sq以下
× : 1.0×1013Ω/sqを超える
E5001の接触させた表面については、2日間重ね合わせたもの、3日間重ね合わせたものの両者について測定し、
〇 : 3日間重ね合わせたものが1.0×1014Ω/sq以上
△ : 3日間重ね合わせたものが1.0×1014Ω/sq未満で、且つ、 2日間重ね合わせたものが1.0×1013Ω/sq以上
× : 2日間重ね合わせたものが1.0×1013Ω/sq未満
と評価した
(4)UVインキとの密着性
易接着性ポリエステルフィルムの易接着層上に、UVインキ[T&K TOKA(株)製、商品名「BEST CURE UV161藍S」]を用いて、印刷機[(株)明製作所製、商品名「RIテスター」]にて印刷を施し、次いで、インキ層を塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて40mJ/cm2の紫外線を照射し、紫外線硬化型インキを硬化させた。次いで、ニチバン製セロハン粘着テープ(CT405AP-24)を用い、幅24mm、長さ50mmを切り出し、インキ層表面に空気が混入しないようハンディゴムローラーで完全に付着させる。その後、垂直にセロハン粘着テープを引き剥がして、24mm×50mmの領域において、印刷層の残存した面積を観察し、下記の基準で判断した。
○:印刷層の残存面積が全体の99%以上で合格とした。
△:印刷層の残存面積が全体の90%以上、99%未満で合格とした。
×:印刷層の残存面積が全体の90%未満で不合格とした。
易接着性ポリエステルフィルムの易接着層上に、UVインキ[T&K TOKA(株)製、商品名「BEST CURE UV161藍S」]を用いて、印刷機[(株)明製作所製、商品名「RIテスター」]にて印刷を施し、次いで、インキ層を塗布したフィルムに高圧水銀灯を用いて40mJ/cm2の紫外線を照射し、紫外線硬化型インキを硬化させた。次いで、ニチバン製セロハン粘着テープ(CT405AP-24)を用い、幅24mm、長さ50mmを切り出し、インキ層表面に空気が混入しないようハンディゴムローラーで完全に付着させる。その後、垂直にセロハン粘着テープを引き剥がして、24mm×50mmの領域において、印刷層の残存した面積を観察し、下記の基準で判断した。
○:印刷層の残存面積が全体の99%以上で合格とした。
△:印刷層の残存面積が全体の90%以上、99%未満で合格とした。
×:印刷層の残存面積が全体の90%未満で不合格とした。
(5)水系フレキソインキとの密着性
易接着性ポリエステルフィルムの易接着層上に、表刷り用水性フレキソインキ[大日精化工業(株)製、商品名「ハイドリックFCG」]を用いて、印刷機[松尾産業(株)製、商品名「Kプリンティングプルーファー」]150線金属プレートを用い印刷を施し、次いで、インキ層をドライヤーオーブン100℃、30秒加熱し硬化させた。次いで、ニチバン製セロハン粘着テープ(CT405AP-24)を用い、幅24mm、長さ50mmを切り出し、インキ層表面に空気が混入しないようハンディゴムローラーで完全に付着させる。その後、垂直にセロハン粘着テープを引き剥がして、24mm×50mmの領域において、印刷層の残存した面積を観察し、下記の基準で判断した。
○:印刷層の残存面積が全体の99%以上で合格とした。
△:印刷層の残存面積が全体の90%以上、99%未満で合格とした。
×:印刷層の残存面積が全体の90%未満で不合格とした。
易接着性ポリエステルフィルムの易接着層上に、表刷り用水性フレキソインキ[大日精化工業(株)製、商品名「ハイドリックFCG」]を用いて、印刷機[松尾産業(株)製、商品名「Kプリンティングプルーファー」]150線金属プレートを用い印刷を施し、次いで、インキ層をドライヤーオーブン100℃、30秒加熱し硬化させた。次いで、ニチバン製セロハン粘着テープ(CT405AP-24)を用い、幅24mm、長さ50mmを切り出し、インキ層表面に空気が混入しないようハンディゴムローラーで完全に付着させる。その後、垂直にセロハン粘着テープを引き剥がして、24mm×50mmの領域において、印刷層の残存した面積を観察し、下記の基準で判断した。
○:印刷層の残存面積が全体の99%以上で合格とした。
△:印刷層の残存面積が全体の90%以上、99%未満で合格とした。
×:印刷層の残存面積が全体の90%未満で不合格とした。
(カチオン系帯電防止剤A-1)
N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン116gと炭素数17のステアリン酸285gを用いて100℃ 、窒素雰囲気下で10時間エステル化反応を行い、4級化溶媒としてテトラヒドロフランを加え、対象アミンにジメチル硫酸を規定量投入し、70℃、10時間程度反応させた。反応後、減圧で溶媒を留去した後、イソプロパノールを加えて、所望の固形分濃度に調節して、4級アンモニウムエトサルフェート塩を有するカチオン系帯電防止剤(A-1)のイソプロパノール溶液を得た。
N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン116gと炭素数17のステアリン酸285gを用いて100℃ 、窒素雰囲気下で10時間エステル化反応を行い、4級化溶媒としてテトラヒドロフランを加え、対象アミンにジメチル硫酸を規定量投入し、70℃、10時間程度反応させた。反応後、減圧で溶媒を留去した後、イソプロパノールを加えて、所望の固形分濃度に調節して、4級アンモニウムエトサルフェート塩を有するカチオン系帯電防止剤(A-1)のイソプロパノール溶液を得た。
(カチオン系帯電防止剤A-2)
ジメチルアミノエタノール89gと炭素数14のミリスチン酸228gを用いて、その他A-1を同様の処理を行い、第4級アンモニウムエトサルフェート塩を有するカチオン系帯電防止剤(A-2)溶液を得た。
ジメチルアミノエタノール89gと炭素数14のミリスチン酸228gを用いて、その他A-1を同様の処理を行い、第4級アンモニウムエトサルフェート塩を有するカチオン系帯電防止剤(A-2)溶液を得た。
(カチオン系帯電防止剤A-3)
ジメチルアミノエタノール89gと炭素数23のトリコシル酸354gを用い200℃ 、窒素雰囲気下で10時間エステル化反応を行い、4級化溶媒としてテトラヒドロフランを加え、対象アミンにジメチル硫酸を規定量投入、70℃、10時間程度反応させた。その他A-1と同様の処理を行い、4級アンモニウムエトサルフェート塩を有するカチオン系帯電防止剤(A-3)のイソプロパノール溶液を得た。
ジメチルアミノエタノール89gと炭素数23のトリコシル酸354gを用い200℃ 、窒素雰囲気下で10時間エステル化反応を行い、4級化溶媒としてテトラヒドロフランを加え、対象アミンにジメチル硫酸を規定量投入、70℃、10時間程度反応させた。その他A-1と同様の処理を行い、4級アンモニウムエトサルフェート塩を有するカチオン系帯電防止剤(A-3)のイソプロパノール溶液を得た。
(アニオン系帯電防止剤A-4)
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(松本油脂製薬株式会社製TB702)を使用した。
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩(松本油脂製薬株式会社製TB702)を使用した。
(4級カチオン塩素系帯電防止剤A-5)
ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(第一工業製薬(株)社製 カチオーゲン(登録商標)TML)を使用した。
ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(第一工業製薬(株)社製 カチオーゲン(登録商標)TML)を使用した。
(ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート22質量部、数平均分子量700のポリエチレングリコールモノメチルエーテル20質量部、数平均分子量2100のポリヘキサメチレンカーボネートジオール53質量部、ネオペンチルグリコール5質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA、3官能)16質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において1時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム7質量部を滴下した。この反応液を40℃にまで降温した後、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、水分散性ウレタン樹脂(B-1)の固形分35質量%の溶液を調製した。
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート22質量部、数平均分子量700のポリエチレングリコールモノメチルエーテル20質量部、数平均分子量2100のポリヘキサメチレンカーボネートジオール53質量部、ネオペンチルグリコール5質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA、3官能)16質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において1時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム7質量部を滴下した。この反応液を40℃にまで降温した後、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、水分散性ウレタン樹脂(B-1)の固形分35質量%の溶液を調製した。
(ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-2の重合)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート25質量部、ジメチロールプロパン酸5質量部、数平均分子量2600のポリヘキサメチレンカーボネートジオール52質量部、ネオペンチルグリコール6質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA、3官能)18質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において1時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム8質量部を滴下した。この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン5.17質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、水分散性ウレタン樹脂(B-2)の固形分35質量%の溶液を調製した。
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート25質量部、ジメチロールプロパン酸5質量部、数平均分子量2600のポリヘキサメチレンカーボネートジオール52質量部、ネオペンチルグリコール6質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA、3官能)18質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において1時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム8質量部を滴下した。この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン5.17質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、水分散性ウレタン樹脂(B-2)の固形分35質量%の溶液を調製した。
(ポリカーボネートポリオール成分を含有しないウレタン樹脂B-3の重合)
テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、およびネオペンチルグリコールを構成成分とする分子量5000のポリエステルポリオール75質量部、水添m-キシリレンジイソシアネート30質量部、エチレングリコール7質量部、およびジメチロールプロピオン酸6質量部及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン5.17質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、水分散性ウレタン樹脂(B-3)の固形分35質量%の溶液を調製した。
テレフタル酸、イソフタル酸、エチレングリコール、およびネオペンチルグリコールを構成成分とする分子量5000のポリエステルポリオール75質量部、水添m-キシリレンジイソシアネート30質量部、エチレングリコール7質量部、およびジメチロールプロピオン酸6質量部及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン5.17質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min-1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、水分散性ウレタン樹脂(B-3)の固形分35質量%の溶液を調製した。
(ポリエステル構造を有するポリウレタンブロックイソシアネート(B-4)の調製)
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とマレイン酸とのポリエステル(分子量2000)200質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6質量部を添加し、100℃で2時間反応を行った。次いで系の温度を一旦50℃まで下げ、30%重亜硫酸ナトリウム水溶液73質量部を添加し、45℃で60分間攪拌を行った後、水718質量部で希釈し、ブロックポリイソシアネート(B-4)の固形分20.0質量%の水分散液を得た。当該ブロックイソシアネート架橋剤の官能基数は2、NCO当量は1300である。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物とマレイン酸とのポリエステル(分子量2000)200質量部に、ヘキサメチレンジイソシアネート33.6質量部を添加し、100℃で2時間反応を行った。次いで系の温度を一旦50℃まで下げ、30%重亜硫酸ナトリウム水溶液73質量部を添加し、45℃で60分間攪拌を行った後、水718質量部で希釈し、ブロックポリイソシアネート(B-4)の固形分20.0質量%の水分散液を得た。当該ブロックイソシアネート架橋剤の官能基数は2、NCO当量は1300である。
(ブロックイソシアネート架橋剤C-1の重合)
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA)66.04質量部、N-メチルピロリドン17.50質量部に3,5-ジメチルピラゾール(解離温度:120℃、沸点:218℃)95質量部を滴下し、窒素雰囲気下、70℃で1時間保持した。その後、ジメチロールプロパン酸30質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認後、N,N-ジメチルエタノールアミン5.59質量部、水132.5質量部を加え、ブロックポリイソシアネート(C-1)の固形分40質量%の水分散液を得た。当該ブロックイソシアネート架橋剤の官能基数は4、NCO当量は280である。
撹拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA)66.04質量部、N-メチルピロリドン17.50質量部に3,5-ジメチルピラゾール(解離温度:120℃、沸点:218℃)95質量部を滴下し、窒素雰囲気下、70℃で1時間保持した。その後、ジメチロールプロパン酸30質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認後、N,N-ジメチルエタノールアミン5.59質量部、水132.5質量部を加え、ブロックポリイソシアネート(C-1)の固形分40質量%の水分散液を得た。当該ブロックイソシアネート架橋剤の官能基数は4、NCO当量は280である。
(ブロックイソシアネート架橋剤C-2の重合)
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA)100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、水210質量部を加えオキシムブロックイソシアネート架橋剤(C-2)の固形分40質量%の水分散液を得た。当該ブロックイソシアネート架橋剤の官能基数は3、NCO当量は170である。
攪拌機、温度計、還流冷却管を備えたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネートを原料としたイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート化合物(旭化成ケミカルズ製、デュラネートTPA)100質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55質量部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(平均分子量750)30質量部を仕込み、窒素雰囲気下、70℃で4時間保持した。その後、反応液温度を50℃に下げ、メチルエチルケトオキシム47質量部を滴下した。反応液の赤外スペクトルを測定し、イソシアネート基の吸収が消失したことを確認し、水210質量部を加えオキシムブロックイソシアネート架橋剤(C-2)の固形分40質量%の水分散液を得た。当該ブロックイソシアネート架橋剤の官能基数は3、NCO当量は170である。
(ポリエステル樹脂D-1の重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル-5-ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ネオペンチルグリコール185質量部、エチレングリコール188質量部、およびテトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(D-1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(D-1)は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂(D-1)の還元粘度を測定したところ,0.40dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は65℃であった。
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル-5-ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ネオペンチルグリコール185質量部、エチレングリコール188質量部、およびテトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(D-1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(D-1)は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂(D-1)の還元粘度を測定したところ,0.40dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は65℃であった。
(ポリエステル水分散体Dw-1の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、共重合ポリエステル樹脂(D-1)25質量部、エチレングリコールn-ブチルエーテル10質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水65質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分25質量%の乳白色のポリエステル水分散体(Dw-1)を作製した。
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、共重合ポリエステル樹脂(D-1)25質量部、エチレングリコールn-ブチルエーテル10質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水65質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分25質量%の乳白色のポリエステル水分散体(Dw-1)を作製した。
(ポリエステル樹脂D-2の重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル-5-ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ジエチレングリコール233.5質量部、エチレングリコール136.6質量部、およびテトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(D-2)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(D-2)は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂(D-2)の還元粘度を測定したところ,0.70dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は40℃であった。
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチル-5-ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、ジエチレングリコール233.5質量部、エチレングリコール136.6質量部、およびテトラ-n-ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(D-2)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(D-2)は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂(D-2)の還元粘度を測定したところ,0.70dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は40℃であった。
(ポリエステル水分散体Dw-2の調整)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、共重合ポリエステル樹脂(D-2)25質量部、エチレングリコールn-ブチルエーテル10質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水65質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分25質量%の乳白色のポリエステル水分散体(Dw-2)を作製した。
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、共重合ポリエステル樹脂(D-2)25質量部、エチレングリコールn-ブチルエーテル10質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水65質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分25質量%の乳白色のポリエステル水分散体(Dw-2)を作製した。
(実施例1)
塗布層を構成する化合物の塗布液中の固形分は以下のとおりである。
塗布層中に含まれる固形分の総和を100質量%とする。
・カチオン系帯電防止剤A-1:6.2質量%
・ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1:22.8質量%
・ブロックイソシアネート架橋剤C-1:22.8質量%
・ポリエステル樹脂D-1:45.4質量%
・シリコーン系界面活性剤:0.4質量%
・pH調整剤(炭酸水素ナトリウム):2.4質量%
ウレタン樹脂(B-1)/架橋剤(C-1)/ポリエステル樹脂(D-1)の固形分質量比が25/25/50である。
塗布層を構成する化合物の塗布液中の固形分は以下のとおりである。
塗布層中に含まれる固形分の総和を100質量%とする。
・カチオン系帯電防止剤A-1:6.2質量%
・ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1:22.8質量%
・ブロックイソシアネート架橋剤C-1:22.8質量%
・ポリエステル樹脂D-1:45.4質量%
・シリコーン系界面活性剤:0.4質量%
・pH調整剤(炭酸水素ナトリウム):2.4質量%
ウレタン樹脂(B-1)/架橋剤(C-1)/ポリエステル樹脂(D-1)の固形分質量比が25/25/50である。
(1)白色空洞含有ポリエステルフィルムの製造(F-1)
(マスターペレットの調製)
溶融粘度(ηO)が1,300ポイズのポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製、DX820)60質量%、溶融粘度(ηS)が3,900ポイズのポリスチレン樹脂(日本ポリスチ社製、G797N)20質量%、および溶融粘度が2,000ポイズのポリプロピレン樹脂(グランドポリマー社製、J104WC)20質量%をペレット混合したものを285℃に温調したベント式二軸押出機に供給し、予備混練りした。この溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断して空洞発現剤マスターペレット(M1)を調製した。
(マスターペレットの調製)
溶融粘度(ηO)が1,300ポイズのポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製、DX820)60質量%、溶融粘度(ηS)が3,900ポイズのポリスチレン樹脂(日本ポリスチ社製、G797N)20質量%、および溶融粘度が2,000ポイズのポリプロピレン樹脂(グランドポリマー社製、J104WC)20質量%をペレット混合したものを285℃に温調したベント式二軸押出機に供給し、予備混練りした。この溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練機に供給、混練りして押出し、得られたストランドを冷却、切断して空洞発現剤マスターペレット(M1)を調製した。
また、公知の方法で製造した固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂50質量%に平均粒径0.3μmのアナターゼ型二酸化チタン粒子(富士チタン社製、TA-300)50質量%を混合したものをベント式2軸押出し機に供給して予備混練りした。この溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練り機に供給し、混練して押出した。得られたストランドを冷却し、切断して二酸化チタン含有マスターペレット(M2)を調製した。
(フィルム原料の調製)
140℃で8時間の真空乾燥を施した固有粘度0.62dl/gの前記ポリエチレンテレフタレート樹脂81質量%と90℃で4時間の真空乾燥を施した上記マスターペレット(M1)9質量%、及び上記マスターペレット(M2)10質量%をペレット混合して、フィルム原料(G1)とした。
140℃で8時間の真空乾燥を施した固有粘度0.62dl/gの前記ポリエチレンテレフタレート樹脂81質量%と90℃で4時間の真空乾燥を施した上記マスターペレット(M1)9質量%、及び上記マスターペレット(M2)10質量%をペレット混合して、フィルム原料(G1)とした。
(未延伸フィルムの作製)
前記のフィルム原料(G1)を285℃に温調したB層用押出機に、フィルム原料(G1)に用いたものと同じポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%および上記マスターペレット(M2)30質量%を混合したものを、290℃に温調したA層用押出機にそれぞれ別に供給した。B層用押出機より吐出される溶融樹脂はオリフィスを介し、またA層用押出機より吐出される樹脂はスタティックミキサーを介してフィードブックに導き、フィルム原料(G1)からなる層(B層)とポリエチレンテレフタレート樹脂とマスターペレット(M2)からなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。
前記のフィルム原料(G1)を285℃に温調したB層用押出機に、フィルム原料(G1)に用いたものと同じポリエチレンテレフタレート樹脂70質量%および上記マスターペレット(M2)30質量%を混合したものを、290℃に温調したA層用押出機にそれぞれ別に供給した。B層用押出機より吐出される溶融樹脂はオリフィスを介し、またA層用押出機より吐出される樹脂はスタティックミキサーを介してフィードブックに導き、フィルム原料(G1)からなる層(B層)とポリエチレンテレフタレート樹脂とマスターペレット(M2)からなる層(A層)をA層/B層/A層の順に積層した。
この溶融樹脂を、25℃に調温した冷却ロール上にTダイよりシート状に共押出し、静電印加法にて密着固化させ、厚み510μmの未延伸フィルムを作製した。なお、各押出機の吐出量は、各層の厚み比が1対8対1になるよう調整した。このとき溶融樹脂がメルトラインに滞留する時間はおよそ12分、Tダイより受けるせん断速度は約150/秒であった。
(二軸延伸フィルムの作製)
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール:2m/分、高速ロール:6.8m/分)間で3.4倍に縦延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力:20W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムの片面に、前記の塗布構成を用い、リバースグラビアコート法によりWET塗工量が7g/m2になるように塗布した後、テンターに導き、乾燥しつつ150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して220℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ50μmの易接着性ポリエステルフィルムを得た。本フィルムは白色度に優れ、空洞の発現により見かけ密度は1.10g/cm3、光学濃度は0.8であり、乾燥後の塗布層厚み0.12g/m2の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のニップロール(低速ロール:2m/分、高速ロール:6.8m/分)間で3.4倍に縦延伸した。このとき、フィルムの補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒータ(定格出力:20W/cm)をフィルムの両面に対向してフィルム面から1cmの位置に設置し加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムの片面に、前記の塗布構成を用い、リバースグラビアコート法によりWET塗工量が7g/m2になるように塗布した後、テンターに導き、乾燥しつつ150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して220℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ50μmの易接着性ポリエステルフィルムを得た。本フィルムは白色度に優れ、空洞の発現により見かけ密度は1.10g/cm3、光学濃度は0.8であり、乾燥後の塗布層厚み0.12g/m2の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(実施例2~26)
表1の塗布層構成に変更した以外は実施例1と同様に易接着性ポリエステルフィルムを得た。
表1の塗布層構成に変更した以外は実施例1と同様に易接着性ポリエステルフィルムを得た。
(実施例27)
塗布層を構成する化合物の塗布液中の固形分は以下のとおりである。
塗布層中に含まれる固形分の総和を100質量%とする。
・コロイダルシリカ粒子(E-1)(平均粒子径:450nm):48.8質量%
・カチオン系帯電防止剤A-1:2.1質量%
・ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1:12.2質量%
・ブロックイソシアネート架橋剤C-1:12.2質量%
・ポリエステル樹脂D-1:24.4質量%
・シリコーン系界面活性剤:0.1質量%
・pH調整剤(炭酸水素ナトリウム):0.2質量%
ウレタン樹脂(B-1)/架橋剤(C-1)/ポリエステル樹脂(D-1)の質量比が25/25/50/である。
上記塗布層の構成とし、WET塗工量を10g/m2に変更した以外は実施例1と同様に、乾燥後の塗布層厚み0.55g/m2の易接着性ポリエステルフィルムを得た。なお塗布層表面の60度正反射におけるグロス値は9.0のマット感のある塗布層を得た。
塗布層を構成する化合物の塗布液中の固形分は以下のとおりである。
塗布層中に含まれる固形分の総和を100質量%とする。
・コロイダルシリカ粒子(E-1)(平均粒子径:450nm):48.8質量%
・カチオン系帯電防止剤A-1:2.1質量%
・ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1:12.2質量%
・ブロックイソシアネート架橋剤C-1:12.2質量%
・ポリエステル樹脂D-1:24.4質量%
・シリコーン系界面活性剤:0.1質量%
・pH調整剤(炭酸水素ナトリウム):0.2質量%
ウレタン樹脂(B-1)/架橋剤(C-1)/ポリエステル樹脂(D-1)の質量比が25/25/50/である。
上記塗布層の構成とし、WET塗工量を10g/m2に変更した以外は実施例1と同様に、乾燥後の塗布層厚み0.55g/m2の易接着性ポリエステルフィルムを得た。なお塗布層表面の60度正反射におけるグロス値は9.0のマット感のある塗布層を得た。
(実施例28)
塗布層を構成する化合物の塗布液中の固形分は以下のとおりである。
塗布層中に含まれる固形分の総和を100質量%とする。
・ベンゾクアナミン粒子(E-2)(平均粒子径:1.2μm):38.3質量%
・カチオン系帯電防止剤A-1:2.1質量%
・ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1:14.8質量%
・ブロックイソシアネート架橋剤C-1:14.8質量%
・ポリエステル樹脂D-1:29.6質量%
・シリコーン系界面活性剤:0.1質量%
・pH調整剤(炭酸水素ナトリウム):0.3質量%
ウレタン樹脂(B-1)/架橋剤(C-1)/ポリエステル樹脂(D-1)の質量比が25/25/50/である。
上記塗布層の構成とし、WET塗工量を12g/m2に変更した以外は実施例1と同様に、乾燥後塗布層厚み0.93g/m2の易接着性ポリエステルフィルムを得た。なお塗布層表面の60度正反射におけるグロス値は14.0のマット感のある塗布層を得た。
塗布層を構成する化合物の塗布液中の固形分は以下のとおりである。
塗布層中に含まれる固形分の総和を100質量%とする。
・ベンゾクアナミン粒子(E-2)(平均粒子径:1.2μm):38.3質量%
・カチオン系帯電防止剤A-1:2.1質量%
・ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1:14.8質量%
・ブロックイソシアネート架橋剤C-1:14.8質量%
・ポリエステル樹脂D-1:29.6質量%
・シリコーン系界面活性剤:0.1質量%
・pH調整剤(炭酸水素ナトリウム):0.3質量%
ウレタン樹脂(B-1)/架橋剤(C-1)/ポリエステル樹脂(D-1)の質量比が25/25/50/である。
上記塗布層の構成とし、WET塗工量を12g/m2に変更した以外は実施例1と同様に、乾燥後塗布層厚み0.93g/m2の易接着性ポリエステルフィルムを得た。なお塗布層表面の60度正反射におけるグロス値は14.0のマット感のある塗布層を得た。
(実施例29)
表1の塗布層構成に変更した以外は実施例27と同様に水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを得た。
表1の塗布層構成に変更した以外は実施例27と同様に水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを得た。
(実施例30)
表1の塗布層構成に変更した以外は実施例28と同様に水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを得た。
表1の塗布層構成に変更した以外は実施例28と同様に水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを得た。
(実施例31)
塗布層を構成する化合物の塗布液中の固形分は以下のとおりである。
塗布層中に含まれる固形分の総和を100質量%とする。
・コロイダルシリカ粒子E-3(平均粒子径:100nm):1.6質量%
・カチオン系帯電防止剤A-1:6.2質量%
・ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1:25.3質量%
・ブロックイソシアネート架橋剤C-2:10.8質量%
・ポリエステル樹脂D-1:54.2質量%
・シリコーン系界面活性剤:0.4質量%
・pH調整剤:1.6質量%(炭酸水素ナトリウム)
ウレタン樹脂(B-1)/架橋剤(C-2)/ポリエステル樹脂(D-1)の質量比が28/12/60/である。
塗布層を構成する化合物の塗布液中の固形分は以下のとおりである。
塗布層中に含まれる固形分の総和を100質量%とする。
・コロイダルシリカ粒子E-3(平均粒子径:100nm):1.6質量%
・カチオン系帯電防止剤A-1:6.2質量%
・ポリカーボネート構造を有するウレタン樹脂B-1:25.3質量%
・ブロックイソシアネート架橋剤C-2:10.8質量%
・ポリエステル樹脂D-1:54.2質量%
・シリコーン系界面活性剤:0.4質量%
・pH調整剤:1.6質量%(炭酸水素ナトリウム)
ウレタン樹脂(B-1)/架橋剤(C-2)/ポリエステル樹脂(D-1)の質量比が28/12/60/である。
(2)実質的に粒子を含まないポリエステルフィルムの製造(F-2)
フィルム原料ポリマーとして、固有粘度(溶媒:フェノール/テトラクロロエタン=60/40)が0.62dl/gで、かつ粒子を実質上含有していないPET樹脂ペレットを、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。次いで前記の固形分による塗布液組成を用いリバースグラビアコート法によりWET塗工量が7g/m2になるように塗布した後、テンターに導き、乾燥しつつ150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して220℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、フィルム厚さ50μmの易接着性ポリエステルフィルムを得た。本フィルムは透明性に優れ、見かけ比重は1.42g/cm3であり、全光線透過率は91%であり乾燥後の塗布層厚み0.12g/m2の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを得た。
フィルム原料ポリマーとして、固有粘度(溶媒:フェノール/テトラクロロエタン=60/40)が0.62dl/gで、かつ粒子を実質上含有していないPET樹脂ペレットを、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。次いで前記の固形分による塗布液組成を用いリバースグラビアコート法によりWET塗工量が7g/m2になるように塗布した後、テンターに導き、乾燥しつつ150℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して220℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、フィルム厚さ50μmの易接着性ポリエステルフィルムを得た。本フィルムは透明性に優れ、見かけ比重は1.42g/cm3であり、全光線透過率は91%であり乾燥後の塗布層厚み0.12g/m2の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1~7)
表1の塗布層構成に変更した以外は実施例1同様にポリエステルフィルムを得た。
表1の塗布層構成に変更した以外は実施例1同様にポリエステルフィルムを得た。
本発明の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムによれば、量産性に優れ、ラベルやステッカーなどが提供でき、これらは耐湿熱環境保存下の使用においても帯電防止性に優れ、易接着層表面品質の変化が少ない水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルムを提供することができる。
Claims (4)
- ポリエステルフィルムの少なくとも一方の面に易接着層を有し、前記易接着層が、イオン伝導型帯電防止剤、ポリエステル系樹脂及びポリカーボネートウレタン樹脂を含む組成物が硬化されてなり、易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であり、前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて50℃、1kg/cm2加圧下で3日間保持した後、前記易接着層表面に接触していた前記の他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1014Ω/sq以上である水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
- 前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で3日間保持した後の前記易接着層表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以下であり、前記易接着層表面に他のポリエステルフィルムを接触させて60℃、90%温湿度下で1kg/cm2加圧下で2日間保持した後の前記易接着層表面と接触していた他のポリエステルフィルムの当該表面の表面固有抵抗値が1.0×1013Ω/sq以上である請求項1に記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
- 前記組成物に含まれる固形分総和を100質量%としたときに、前記イオン電導型帯電防止剤の固形分が1~8質量%である請求項1又は2に記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
- 前記組成物に含まれる固形分総和を100質量%としたときに、架橋剤を固形分として0~50質量%含む請求項1~3のいずれかに記載の水系フレキソインキ易接着性ポリエステルフィルム。
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- 2021-09-21 JP JP2021153305A patent/JP2022135888A/ja active Pending
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