JP2022132958A - 真空バルブ - Google Patents
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Abstract
【課題】アーク放電により生じる金属蒸気の絶縁容器やベローズへの付着を抑制するとともに、部品の小型化や部品点数の削減を図ることが可能な真空バルブを提供する。【解決手段】真空バルブは、絶縁材で筒状に構成され、筒軸方向の両端に開口部をそれぞれ有する絶縁容器と、絶縁容器にそれぞれ収容され、互いの接点部を接離可能な第1の電極および第2の電極と、開口部にそれぞれ接合され、絶縁容器を閉塞する封着金具と、第1の電極と連続し、第1の電極および第2の電極の各々の接点部を取り囲む筒部とを備える。【選択図】 図1
Description
本発明の実施形態は、真空バルブに関する。
例えば、ビル、工場、病院などには、電力の配送電系統における電路の保護、電力の制御、設備の監視などを図るために金属閉鎖形スイッチギヤ(以下、単にスイッチギヤという)が備えられている。スイッチギヤは、金属容器(筐体)によって外部から隔てられた空間に主回路導体、電力ケーブル、接地装置、変流器、真空遮断器、真空断路器などを収容して構成されている。真空遮断器および真空断路器は、絶縁容器内に配置された電極を導電状態または絶縁状態に適宜切り換えて電流を遮断する真空バルブ(真空開閉装置とも称される)を有している。導電状態は一対の電極の接点が接触(閉極)した状態であり、絶縁状態はこれら接点が分離(開極)した状態である。絶縁状態には、接点が接触して電極間が閉じることで形成される回路の遮断状態や断路状態が含まれる。
真空バルブにおいて負荷電流を遮断すると、電極間にアーク放電が発生する。その際、電極の接点が溶融蒸発し、その金属蒸気が絶縁容器の内面に付着すると、絶縁容器の耐電圧性能が低下を招く。このような金属蒸気の付着を抑えるための方策として、例えば電極を覆うアークシールドを絶縁容器の内面に設けることが挙げられる。また、可動電極の通電軸を進退可能に支持するベローズを金属蒸気から保護するべく、ベローズを覆うベローズカバーが設けられる場合もある。
その一方で、真空バルブを低コスト化するためには、部品の小型化や部品点数の削減を図る必要がある。したがって、アーク放電により生じる金属蒸気の絶縁容器やベローズへの付着を抑制するとともに、部品の小型化や部品点数の削減を図ることが求められている。
実施形態の真空バルブは、絶縁容器と、第1の電極および第2の電極と、封着金具と、筒部とを備える。前記絶縁容器は、絶縁材で筒状に構成され、筒軸方向の両端に開口部をそれぞれ有する。前記第1の電極および前記第2の電極は、前記絶縁容器にそれぞれ収容され、互いの接点部を接離可能である。前記封着金具は、前記開口部にそれぞれ接合され、前記絶縁容器を閉塞する。前記筒部は、前記第1の電極と連続し、前記第1の電極および前記第2の電極の各々の前記接点部を取り囲む。
以下、実施形態に係る真空バルブについて、図1から図6を参照して説明する。真空バルブ(真空開閉装置とも称される)は、例えば電力の配送電系統における電路の保護、電力の制御、設備の監視などを目的に設置される金属閉鎖形スイッチギヤの真空断路器などに備えられ、電流(一例として負荷電流)を遮断するスイッチとして利用される。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の真空バルブ1の構成を概略的に示す図であって、後述する筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。なお、以下の説明においては、図1に矢印UPで示す方向を上、その反対方向を下としてそれぞれ規定する。これらの方向は、真空バルブが実装された状態での方向と一致しているかどうかは問わない。
図1は、第1の実施形態の真空バルブ1の構成を概略的に示す図であって、後述する筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。なお、以下の説明においては、図1に矢印UPで示す方向を上、その反対方向を下としてそれぞれ規定する。これらの方向は、真空バルブが実装された状態での方向と一致しているかどうかは問わない。
図1に示すように、真空バルブ1は、絶縁容器2と、封着金具3と、通電軸4と、電極5とを備えている。
絶縁容器2は、絶縁材で筒状に構成され、軸方向の両端に開口部20(第1の開口部21および第2の開口部22)をそれぞれ有している。軸方向は、絶縁容器2の筒軸(軸心C)に沿った方向である。絶縁材としては、アルミナ(Al2O3)等のセラミック、ガラスなどを適用できるが、これらに限定されない。開口部20は、封着金具3で閉塞されている。具体的には、第1の開口部21が第1の封着金具31で閉塞され、第2の開口部22が第2の封着金具32で閉塞されている。封着金具3は、アルミニウムやステンレス鋼(SUS)などの金属材料で形成可能である。ただし、素材はこれらに限定されない。封着金具3は、例えば略円板状をなし、周縁部が絶縁容器2の軸方向の端部に接合され、軸心Cと同軸状に配置されている。
通電軸4は、導電材、例えば銅(無酸素銅)などで形成可能である。ただし、素材はこれらに限定されない。通電軸4は、絶縁容器2の軸心Cと同軸状に一対をなして配置された第1の通電軸41および第2の通電軸42により構成されている。
第1の通電軸41は、電極5(具体的には後述する第1の電極51)から第1の封着金具31へ向けて伸び、第1の封着金具31の孔部33から絶縁容器2の外部へ突出している。孔部33は、第1の封着金具31の中心部を貫通している。第1の通電軸41は、後述する第1の接点部71とともに軸方向へ進退する。したがって、第1の通電軸41と孔部33との間には、孔部33において第1の通電軸41の変位(軸方向への進退)を許容する空隙Sが形成されている。換言すれば、第1の通電軸41の軸径は、孔部33の孔径よりも小さい。第1の通電軸41には、第1の通電軸41を軸方向へ進退可能に支持するベローズ6が取り付けられている。
ベローズ6は、軸方向へ伸縮可能な蛇腹状に構成され、封着金具3(第1の封着金具31、第2の封着金具32)とともに、絶縁容器2の内部23を気密に保つ。絶縁容器2の内部23の圧力は、1×10-3~1×10-6Pa程度であることが好ましい。ベローズ6の一端61は、第1の封着金具31に接合されている。ベローズ6の他端62は、第1の通電軸41に接合されている。
第2の通電軸42は、電極5(具体的には後述する第2の電極52)から第2の封着金具32へ向けて伸び、第2の封着金具32の孔部34から絶縁容器2の外部へ突出している。孔部34は、第2の封着金具32の中心部を貫通している。第2の通電軸42は、孔部34において第2の封着金具32と接合され、第2の封着金具32、端的には真空バルブ1における位置が固定されている。
電極5は、通電軸4に接続され、封着金具3で閉塞された絶縁容器2に収容されている。電極5は、導電材、例えば銅(無酸素銅)などで形成可能である。ただし、素材はこれらに限定されない。電極5は、一対をなす可動電極51と固定電極52を含んで構成されている。本実施形態においては、可動電極51が第1の電極、固定電極52が第2の電極にそれぞれ相当する。可動電極51は、第1の通電軸41に接続され、固定電極52に対して接離可能に変位(本実施形態では上下動)する。固定電極52は、第2の通電軸42に支持され、絶縁容器2に対して位置が変動(変位)しない。
可動電極51および固定電極52は、接点部7をそれぞれ有し、これらの接点部7を接離させる。接点部7は、一対をなす第1の接点部71と第2の接点部72を含んで構成されている。第1の接点部71は、固定電極52と接離する可動電極51の電気的な接続端部に相当する。第2の接点部72は、可動電極51と接離する固定電極52の電気的な接続端部に相当する。
第1の接点部71と第2の接点部72は、対向配置され、固定電極52に対して可動電極51が変位することで接離する。接点部71,72の接離により、可動電極51と固定電極52との間が導電状態と絶縁状態に遷移される。導電状態は接点部71,72が接触(閉極)した状態であり、絶縁状態は接点部71,72が分離(開極)した状態である。絶縁状態には、接点部71,72が接触して電極51,52間が閉じることで形成される回路の断路状態が含まれる。
第1の接点部71を含む可動電極51および第2の接点部72を含む固定電極52は、適切な遮断性能や耐電圧性能を満たす所望の素材、例えば銅クロム(CuCr)で形成されている。銅クロムの組成は特に限定されないが、一例として銅(Cu)が75%から65%程度、クロム(Cr)が25%から35%程度、好ましくは銅(Cu)が75%程度、クロム(Cr)が25%程度である場合を想定する。ただし、可動電極51および固定電極52の素材はこれに限定されず、例えばAgWC、あるいはCuCrTeなどの合金とすることも可能である。
本実施形態において、第2の電極である固定電極52は平板型の電極とされている。図1に示す例によれば、固定電極52は、第2の接点部72を含む平坦の円板状に構成されている。換言すれば、固定電極52は、第2の通電軸42の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。固定電極52の厚みおよび第2の通電軸42の長さは、いずれも軸方向における距離(寸法)である。
これに対し、真空バルブ1は、第1の電極である可動電極51と連続する筒部8を備えている。筒部8は、第1の接点部71と第2の接点部72を取り囲む部材である。本実施形態では、可動電極51が筒部8を備えて構成されている。換言すれば、筒部8は、可動電極51の一部として構成されている。
図1に示すように、可動電極51は、底部81と周壁部82とを備える有底の筒状(例えばカップ状)の形態となっている。底部81と周壁部82は、上述した可動電極51と同一素材、例えばCuCrやAgWCで形成されればよい。ただし、底部81と周壁部82とは、異なる素材で形成可能である。例えば、底部81はCuCrやAgWCなどで形成され、周壁部82はこれらの素材と比べて低コストであるCuやSUSなどで形成されていてもよい。
底部81は、第1の接点部71を含む平坦の円板状に構成されている。換言すれば、底部81は、第1の通電軸41の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。また、底部81は、全体に亘って貫通孔や開口などを持たない中実とされている。底部81の厚みおよび第1の通電軸41の長さは、いずれも軸方向における距離(寸法)である。底部81の厚みは、可動電極51を固定電極52に対して変位させて接点部71,72の接離を繰り返した場合であっても、その影響による変形を抑え得る厚さであればよい。
周壁部82は、底部81の周縁から上側へ全周に亘って起立している。底部81における上側は、軸方向における固定電極52側に相当する。周壁部82は、第1の接点部71と第2の接点部72を取り囲むように起立している。したがって、図1に示す例では、周壁部82は筒部8を兼ねており、可動電極51の一部として構成されている。周壁部82の厚みは、後述するようなアーク放電が発生した際に溶融して破損しない厚さであればよい。周壁部82の厚みは、外径と内径の寸法差である。
周壁部82の内壁面821と固定電極52の第2の接点部72の外周面721との面間距離(図1に示す距離L11)は、ギャップ長(図1に示す距離X)以上とされている。ギャップ長は、可動電極51の第1の接点部71と固定電極52の第2の接点部72とが分離(開極)し、電極51,52が絶縁状態に遷移した際の接点部71,72の最大離間距離(以下、ギャップ長Xという)である。ギャップ長Xは、例えば真空バルブ1の定格電圧に応じて異なり、定格電圧が低いほど狭く、高いほど広い。本実施形態では、ギャップ長Xが5mm~35mm程度である場合を想定するが、この範囲に限定されない。
別の捉え方をすれば、底部81と固定電極52との曲率半径の差は、ギャップ長X以上とされている。かかる曲率半径の差は、内壁面821と外周面721との面間距離L11に相当する。これにより、軸心Cと同軸状に配置された状態において、底部81は、固定電極52よりも一回り大きく、軸方向の可動電極51側(図1においては下側)からみて固定電極52を遮蔽している。
また、周壁部82の起立端822の位置は、軸方向において固定電極52の端部521の位置を超えている。起立端822は、周壁部82の起立方向の先端部である。固定電極52の端部521は、固定電極52における軸方向において可動電極51とは反対側の端部(図1に示す例では上端部)である。すなわち、周壁部82は、起立端822が軸方向において固定電極52の端部521を超える高さで起立している。換言すれば、周壁部82の高さ、つまり底部81から軸方向に延びる距離(図1に示す距離L12)は、ギャップ長Xよりも大寸である。
上述したように、本実施形態において、真空バルブ1は、可動電極51と連続する筒部8を備えている。具体的には、可動電極51が底部81と周壁部82とを備える有底の筒状(カップ状)の形態をなしている。したがって、本実施形態によれば、次のような作用効果を奏する。
例えば、真空バルブ1において負荷電流を遮断した際、電極51,52間に発生したアーク放電によって接点部71,72が溶融蒸発した場合であっても、その飛散を周壁部82で抑制できる。すなわち、周壁部82が第1の接点部71と第2の接点部72を取り囲むように起立しているため、アーク放電時に発生した金属蒸気を周壁部82で受け止めることができる。これにより、金属蒸気が周壁部82の内側にとどめられ、周壁部82の外周側への金属蒸気の飛散が抑制される。その結果、金属蒸気(金属溶融物)が絶縁容器2の内周面24に付着することを抑制でき、絶縁容器2の絶縁性能を適切に維持可能となる。
本実施形態によれば、絶縁容器2の内周面に設けられた従来のアークシールドのような軸方向に幅広の部材ではなく、筒部8、つまり周壁部82で金属蒸気の飛散を抑制できる。すなわち、筒部8を兼ねる周壁部82は、可動電極51と連続し、可動電極51の一部として構成されているため、アーク放電を生じさせる接点部71,72に従来のアークシールドよりも近づけて配置することができる。したがって、筒部8(周壁部82)は、従来のアークシールドより小型であっても同等の金属蒸気の飛散抑制効果が得らえる。筒部8を備えることで従来のアークシールドを省略可能な分だけ、部品点数も削減させることができる。
また、アーク放電時、発生した金属蒸気を周壁部82で受け止めるとともに、底部81でも受け止めることができる。したがって、金属蒸気が底部81の外側(図1においては下側)へ飛散することも抑制できる。底部81の外側は、ベローズ6の配置側に相当する。このため、本実施形態によれば、アーク放電時に発生した金属蒸気(金属溶融物)のベローズ6への付着を抑制する従来のようなベローズカバーも省略可能である。したがって、アークシールドに加えてベローズカバーの分も部品点数を削減できる。
このように本実施形態に係る真空バルブ1によれば、アーク放電により生じる金属蒸気の絶縁容器2やベローズ6への付着を抑制するとともに、部品の小型化や部品点数の削減を図ることが可能となる。
ここで、アーク放電時の金属蒸気の飛散抑制を図るための筒部(底部および周壁部)の形態、その周辺部材(可動電極および固定電極)の形態は、上述した第1の実施形態に限定されない。例えば、後述する第2から第6の実施形態であっても、第1の実施形態と同等の作用効果を奏することができる。以下、これら第2から第6の実施形態について説明する。なお、これら第2から第6の実施形態に係る真空バルブの基本的な構成は、第1の実施形態に係る真空バルブ1(図1)と同様である。したがって、以下では、かかる真空バルブの基本的な構成についての説明は省略し、第2から第6の実施形態の特徴である第1の実施形態との相違点について詳述する。その際、第1の実施形態と同一もしくは類似の構成部材については、同一の参照符号を用いる。
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係る真空バルブ1bの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。第1の実施形態では、可動電極51に連続して筒部8が備えられている。これに対し、第2の実施形態では、図2に示すように固定電極52bに連続して筒部8bが備えられている。すなわち、第2の実施形態においては、固定電極52bが第1の電極、可動電極51bが第2の電極にそれぞれ相当する。
図2は、第2の実施形態に係る真空バルブ1bの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。第1の実施形態では、可動電極51に連続して筒部8が備えられている。これに対し、第2の実施形態では、図2に示すように固定電極52bに連続して筒部8bが備えられている。すなわち、第2の実施形態においては、固定電極52bが第1の電極、可動電極51bが第2の電極にそれぞれ相当する。
本実施形態において、第2の電極である可動電極51bは平板型の電極とされている。図2に示す例によれば、可動電極51bは、第1の接点部71bを含む平坦の円板状に構成されている。換言すれば、可動電極51bは、第1の通電軸41の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。可動電極51bの厚みは、軸方向における距離(寸法)である。
これに対し、真空バルブ1は、第1の電極である固定電極52bと連続する筒部8bを備えている。筒部8bは、第1の接点部71と第2の接点部72を取り囲む部材である。本実施形態では、固定電極52bが筒部8bを備えて構成されている。換言すれば、筒部8bは、固定電極52bの一部として構成されている。
すなわち、図2に示すように、固定電極52bは、底部81bと周壁部82bとを備える有底の筒状(例えばカップ状)の形態となっている。底部81bと周壁部82bは、第1の実施形態の固定電極52と同一素材、例えばCuCrやAgWCで形成されればよい。ただし、底部81bと周壁部82bとは、異なる素材で形成可能であることは第1の実施形態と同様である。例えば、底部81bはCuCrやAgWCなどで形成され、周壁部82bはこれらの素材と比べて低コストであるCuやSUSなどで形成されていてもよい。
底部81bは、第2の接点部72bを含む平坦の円板状に構成されている。換言すれば、底部81bは、第2の通電軸42の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。また、底部81bは、全体に亘って貫通孔や開口などを持たない中実とされている。底部81bの厚みは、軸方向における距離(寸法)であり、接点部71b,72bの接離を繰り返した際の影響による変形を抑え得る厚さであればよい。
周壁部82bは、底部81bの周縁から下側へ全周に亘って起立している。底部81bにおける下側は、軸方向における可動電極51b側に相当する。周壁部82bは、第1の接点部71bと第2の接点部72bを取り囲むように起立している。したがって、図2に示す例では、周壁部82bは筒部8bを兼ねており、固定電極52bの一部として構成されている。周壁部82bの厚みは、後述するようなアーク放電が発生した際に溶融して破損しない厚さであればよい。周壁部82bの厚みは、外径と内径の寸法差である。
周壁部82bの内壁面821bと可動電極51bの第1の接点部71bの外周面711との面間距離(図2に示す距離L21)は、ギャップ長(図2に示す距離X)以上とされている。ギャップ長Xは、第1の実施形態と同様に、電極51b,52bが絶縁状態に遷移した際の接点部71b,72bの最大離間距離である。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、ギャップ長Xが5mm~35mm程度である場合を想定するが、この範囲に限定されない。
別の捉え方をすれば、底部81bと可動電極51bとの曲率半径の差は、ギャップ長X以上とされている。かかる曲率半径の差は、内壁面821bと外周面711との面間距離L21に相当する。これにより、軸心Cと同軸状に配置された状態において、底部81bは、可動電極51bよりも一回り大きく、軸方向の固定電極52b側(図2においては上側)からみて可動電極51bを遮蔽している。
また、周壁部82bの起立端822bの位置は、軸方向において可動電極51bの端部511の位置を超えている。起立端822bは、周壁部82bの起立方向の先端部である。可動電極51bの端部511は、可動電極51bにおける軸方向において固定電極52bとは反対側の端部(図2に示す例では下端部)である。すなわち、周壁部82bは、起立端822bが軸方向において可動電極51bの端部511を超える高さで起立している。換言すれば、周壁部82bの高さ、つまり底部81bから軸方向に延びる距離(図2に示す距離L22)は、ギャップ長Xよりも大寸である。
なお、本実施形態では、アーク放電時、発生した金属蒸気を周壁部82bで受け止めるとともに、底部81bでも受け止めることができる。したがって、金属蒸気が底部81bの外側(図2においては上側)へ飛散することも抑制できる。ただし、底部81bの外側は、第2の通電軸42の配置側、つまりベローズ6の配置側とは反対側に相当する。このため、本実施形態に係る真空バルブ1bは、図2に示すように、ベローズカバー9を備えている。ベローズカバー9は、ベローズ6を覆うようにベローズ6の他端62に設けられている。これにより、アーク放電時に発生する金属蒸気(金属溶融物)をベローズカバー9で受け止めることができ、金属蒸気のベローズ6への付着を抑制できる。
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態に係る真空バルブ1cの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。第1の実施形態(図1)および第2の実施形態(図2)では電極5が平板電極とされ、可動電極51自体もしくは固定電極52b自体がそれぞれ有底の筒状(カップ状)とされている。これに対し、第3の実施形態では、電極5、つまり可動電極51cおよび固定電極52cがいずれも縦磁界電極とされている。縦磁界電極は、電流を電極内で回転させることで縦磁界、縦方向(つまり軸方向)の磁界を発生させる。電極5のうち、可動電極51cには、筒部8cとして有底の筒状部材(以下、カップ部材という)10が連続されている。すなわち、第3の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、可動電極51cが第1の電極、固定電極52cが第2の電極にそれぞれ相当する。カップ部材10は、アーク放電時に発生する金属蒸気を受け止め、飛散を抑制するための部材である(後述する第4および第5の実施形態においても同様)。
図3は、第3の実施形態に係る真空バルブ1cの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。第1の実施形態(図1)および第2の実施形態(図2)では電極5が平板電極とされ、可動電極51自体もしくは固定電極52b自体がそれぞれ有底の筒状(カップ状)とされている。これに対し、第3の実施形態では、電極5、つまり可動電極51cおよび固定電極52cがいずれも縦磁界電極とされている。縦磁界電極は、電流を電極内で回転させることで縦磁界、縦方向(つまり軸方向)の磁界を発生させる。電極5のうち、可動電極51cには、筒部8cとして有底の筒状部材(以下、カップ部材という)10が連続されている。すなわち、第3の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、可動電極51cが第1の電極、固定電極52cが第2の電極にそれぞれ相当する。カップ部材10は、アーク放電時に発生する金属蒸気を受け止め、飛散を抑制するための部材である(後述する第4および第5の実施形態においても同様)。
図3に示すように、可動電極51cおよび固定電極52cは、縦磁界電極として構成され、有底の筒状(カップ状)の形態となっている。
固定電極52cは、底部53と周壁部54とを備える有底の筒状体をなし、該筒状体の開口部分が第2の接点部72cで閉塞された形態となっている。
底部53は、平坦の円板状に構成されている。換言すれば、底部53は、第2の通電軸42の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。また、底部53は、全体に亘って貫通孔や開口などを持たない中実とされている。
周壁部54は、底部53の周縁から下側へ全周に亘って起立している。底部53における下側は、軸方向における可動電極51c側に相当する。周壁部54には、軸方向に連続する切れ目(図示省略)が螺旋状に形成されている。切れ目以外のコイル状の部位が通電することで、周壁部54は縦方向の磁界を発生させる。
第2の接点部72cは、周壁部54の厚み(外径と内径の寸法差)の分だけ、曲率半径が底部53の曲率半径より大きな平坦の円板状に構成されている。第2の接点部72cは、周壁部54の起立端で囲まれた開口部分を閉塞するように、底部53と対向して配置されている。
可動電極51cは、底部55と周壁部56とを備える有底の筒状体をなし、該筒状体の開口部分がカップ部材10で閉塞された形態となっている。
底部55は、平坦の円板状に構成されている。換言すれば、底部55は、第1の通電軸41の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。また、底部55は、全体に亘って貫通孔や開口などを持たない中実とされている。
周壁部56は、底部55の周縁から上側へ全周に亘って起立している。底部55における上側は、軸方向における固定電極52c側に相当する。周壁部56には、軸方向に連続する切れ目(図示省略)が螺旋状に形成されている。切れ目以外のコイル状の部位が通電することで、周壁部56は縦方向の磁界を発生させる。
カップ部材10は、底部11と周壁部12とを備える有底の筒状の形態をなし、可動電極51cと電気的に連続している。すなわち、カップ部材10は、可動電極51cとともに固定電極52cに対して接離可能に変位(本実施形態では上下動)する。したがって、カップ部材10は、可動電極51cの一部として機能する。底部11と周壁部12は、可動電極51cおよび固定電極52cと同一素材、例えばCuCrやAgWCで形成されればよい。ただし、底部11と周壁部12とは、異なる素材で形成可能である。例えば、底部11はCuCrやAgWCなどで形成され、周壁部12はこれらの素材と比べて低コストであるCuやSUSなどで形成されていてもよい。
底部11は、第1の接点部71cを含む平坦の円板状、換言すれば第1の通電軸41の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなし、周壁部56の起立端で囲まれた開口部分を閉塞するように、底部55と対向して配置されている。すなわち、底部11は、可動電極51cと隣接して配置されている。また、底部11は、全体に亘って貫通孔や開口などを持たない中実とされている。底部11の厚みは、軸方向における距離(寸法)であり、接点部71c,72cの接離を繰り返した際の影響による変形を抑え得る厚さであればよい。
周壁部12は、底部11の周縁から上側へ全周に亘って起立している。底部11における上側は、軸方向における固定電極52c側に相当する。周壁部12は、第1の接点部71cと第2の接点部72cを取り囲むように起立している。したがって、図3に示す例では、周壁部12は筒部8cを兼ねており、可動電極51cの一部として構成されている。周壁部12の厚み(外径と内径の寸法差)は、アーク放電が発生した際に溶融して破損しない厚さであればよい。
周壁部12の内壁面121と固定電極52cの第2の接点部72cの外周面721cとの面間距離(図3に示す距離L31)は、ギャップ長(図3に示す距離X)以上とされている。ギャップ長Xは、第1の実施形態と同様に、電極51c,52cが絶縁状態に遷移した際の接点部71c,72cの最大離間距離である。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、ギャップ長Xが5mm~35mm程度である場合を想定するが、この範囲に限定されない。
別の捉え方をすれば、底部11と固定電極52cとの曲率半径の差は、ギャップ長X以上とされている。かかる曲率半径の差は、内壁面121と外周面721cとの面間距離L31に相当する。これにより、軸方向の可動電極51c側(図3においては下側)からみて、底部11は、固定電極52cよりも一回り大きく、固定電極52cを遮蔽している。
また、周壁部12の起立端122の位置は、軸方向において固定電極52cの端部521cの位置を超えている。起立端122は、周壁部12の起立方向の先端部である。固定電極52cの端部521cは、固定電極52cにおける軸方向において可動電極51cとは反対側の端部(図3に示す例では上端部)であり、端的には底部53の端部である。すなわち、周壁部12は、起立端122が軸方向において固定電極52cの端部521cを超える高さで起立している。換言すれば、周壁部12の高さ、つまり底部11から軸方向に延びる距離(図3に示す距離L32)は、ギャップ長Xよりも大寸である。
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態に係る真空バルブ1dの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。第4の実施形態において、電極5、つまり可動電極51dおよび固定電極52dは、いずれもスパイラル電極とされている。電極5のうち、可動電極51dには、筒部8dとして有底の筒状部材(以下、カップ部材という)13が連続されている。すなわち、第4の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、可動電極51dが第1の電極、固定電極52dが第2の電極にそれぞれ相当する。
図4は、第4の実施形態に係る真空バルブ1dの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。第4の実施形態において、電極5、つまり可動電極51dおよび固定電極52dは、いずれもスパイラル電極とされている。電極5のうち、可動電極51dには、筒部8dとして有底の筒状部材(以下、カップ部材という)13が連続されている。すなわち、第4の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、可動電極51dが第1の電極、固定電極52dが第2の電極にそれぞれ相当する。
図4に示すように、可動電極51dおよび固定電極52dは、スパイラル電極として構成され、有底の筒状(カップ状)の形態となっている。
可動電極51dは、第1の接点部71dを含む平坦の円板状に構成されている。換言すれば、可動電極51dは、第1の通電軸41の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。可動電極51dの厚みは、軸方向における距離(寸法)である。可動電極51dは、外周部から延びた複数のスリット(図示省略)を有している。これにより、可動電極51dは、かかる複数のスリットによって規定されたスリット以外の箇所である複数の腕部(図示省略)を有する渦巻き状の形状となっている。
固定電極52dは、第2の接点部72dを含む平坦の円板状に構成されている。換言すれば、固定電極52dは、第2の通電軸42の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。固定電極52dの厚みは、軸方向における距離(寸法)である。固定電極52dは、外周部から延びた複数のスリット(図示省略)を有している。これにより、固定電極52dは、かかる複数のスリットによって規定されたスリット以外の箇所である複数の腕部(図示省略)を有する渦巻き状の形状となっている。
カップ部材13は、底部14と周壁部15とを備える有底の筒状の形態をなし、可動電極51dと電気的に連続している。すなわち、カップ部材13は、可動電極51dとともに固定電極52dに対して接離可能に変位(本実施形態では上下動)する。したがって、カップ部材13は、可動電極51dの一部として機能する。なお、可動電極51dと通電軸41との電気的な接続に支障を来さなければ、カップ部材13は、可動電極51dと物理的に連続していればよく、電気的に接続されていなくともよい。底部14と周壁部15は、可動電極51dおよび固定電極52dと同一素材、例えばCuCrやAgWCで形成されればよい。ただし、底部14と周壁部15とは、異なる素材で形成可能である。例えば、底部14はCuCrやAgWCなどで形成され、周壁部15はこれらの素材と比べて低コストであるCuやSUSなどで形成されていてもよい。
底部14は、平坦の円板状、換言すれば第1の通電軸41の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなし、可動電極51dと第1の通電軸41との間に介在している。すなわち、底部14は、軸方向において、可動電極51dの背面側に隣接して配置されている。可動電極51dの背面側は、可動電極51dにおける軸方向において固定電極52dとは反対側(図4においては下側)である。このように底部14を可動電極51dの背面側に密着して配置することで、カップ部材13で可動電極51dを補強できる。このため、接点部71d,72dの接離を繰り返した場合であっても、その際の衝撃による可動電極51dの変形を抑制できる。また、底部14は、全体に亘って貫通孔や開口などを持たない中実とされている。底部14の厚みは、軸方向における距離(寸法)であり、接点部71d,72dの接離を繰り返した際の影響による変形を抑え得る厚さであればよい。
周壁部15は、底部14の周縁から上側へ全周に亘って起立している。底部14における上側は、軸方向における固定電極52d側に相当する。周壁部15は、第1の接点部71dと第2の接点部72dを取り囲むように起立している。したがって、図4に示す例では、周壁部15は筒部8dを兼ねており、可動電極51dの一部として構成されている。周壁部15の厚み(外径と内径の寸法差)は、アーク放電が発生した際に溶融して破損しない厚さであればよい。
周壁部15の内壁面151と固定電極52dの第2の接点部72dの外周面721dとの面間距離(図4に示す距離L41)は、ギャップ長(図4に示す距離X)以上とされている。ギャップ長Xは、第1の実施形態と同様に、電極51d,52dが絶縁状態に遷移した際の接点部71d,72dの最大離間距離である。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、ギャップ長Xが5mm~35mm程度である場合を想定するが、この範囲に限定されない。
別の捉え方をすれば、底部14と固定電極52dとの曲率半径の差は、ギャップ長X以上とされている。かかる曲率半径の差は、内壁面151と外周面721dとの面間距離L41に相当する。これにより、軸方向の可動電極51d側(図4においては下側)からみて、底部14は、固定電極52dよりも一回り大きく、固定電極52dを遮蔽している。
また、周壁部15の起立端152の位置は、軸方向において固定電極52dの端部521dの位置を超えている。起立端152は、周壁部15の起立方向の先端部である。固定電極52dの端部521dは、固定電極52dにおける軸方向において可動電極51dとは反対側の端部(図4に示す例では上端部)である。すなわち、周壁部15は、起立端152が軸方向において固定電極52dの端部521dを超える高さで起立している。換言すれば、周壁部15の高さ、つまり底部14から軸方向に延びる距離(図4に示す距離L42)は、ギャップ長Xよりも大寸である。
(第5の実施形態)
図5は、第5の実施形態に係る真空バルブ1eの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。第5の実施形態において、一対の電極5のうち、可動電極51eは縦磁界電極であり、固定電極52eは第1の実施形態(図1)の固定電極52と同様の平板電極である。可動電極51eには、筒部8eとして有底の筒状部材(以下、カップ部材という)16が連続されている。すなわち、第5の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、可動電極51eが第1の電極、固定電極52eが第2の電極にそれぞれ相当する。
図5は、第5の実施形態に係る真空バルブ1eの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。第5の実施形態において、一対の電極5のうち、可動電極51eは縦磁界電極であり、固定電極52eは第1の実施形態(図1)の固定電極52と同様の平板電極である。可動電極51eには、筒部8eとして有底の筒状部材(以下、カップ部材という)16が連続されている。すなわち、第5の実施形態においては、第1の実施形態と同様に、可動電極51eが第1の電極、固定電極52eが第2の電極にそれぞれ相当する。
固定電極52eは、第2の接点部72eを含む平坦の円板状に構成されている。換言すれば、固定電極52eは、第2の通電軸42の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなしている。固定電極52eの厚みは、軸方向における距離(寸法)である。
可動電極51eは、底部57と周壁部58とを備える有底の筒状体をなし、該筒状体の開口部分がカップ部材16で閉塞された形態となっている。
底部57および周壁部58は、第3の実施形態の可動電極51cにおける底部55および周壁部56と同様の形態をなしている。ただし、底部57は、後述するカップ部材16の底部17とほぼ同一の差渡し寸法の円板状に構成されている。
底部57および周壁部58は、第3の実施形態の可動電極51cにおける底部55および周壁部56と同様の形態をなしている。ただし、底部57は、後述するカップ部材16の底部17とほぼ同一の差渡し寸法の円板状に構成されている。
また、可動電極51eは、底部57および周壁部58に加えて、磁性体部59を備えている。磁性体部59は、底部57と周壁部58とにより構成される筒状体において、底部57から上側へ周壁部58とほぼ同一高さで起立している。底部57における上側は、軸方向における可動電極51e側に相当する。磁性体部59の起立位置は、周壁部58よりも内側で、周壁部58に近接した位置である。
カップ部材16は、底部17と周壁部18とを備える有底の筒状の形態をなし、可動電極51eと電気的に連続している。すなわち、カップ部材16は、可動電極51eとともに固定電極52eに対して接離可能に変位(本実施形態では上下動)する。したがって、カップ部材16は、可動電極51eの一部として機能する。底部17と周壁部18は、可動電極51eおよび固定電極52eと同一素材、例えばCuCrやAgWCで形成されればよい。ただし、底部17と周壁部18とは、異なる素材で形成可能である。例えば、底部17はCuCrやAgWCなどで形成され、周壁部18はこれらの素材と比べて低コストであるCuやSUSなどで形成されていてもよい。
底部17は、第1の接点部71eを含む平坦の円板状、換言すれば第1の通電軸41の長さに対して十分に厚みが小さな扁平形態をなし、周壁部58の起立端で囲まれた開口部分をちょうど閉塞するように、底部57と対向して配置されている。すなわち、底部17は、可動電極51eと隣接して配置されている。また、底部17は、全体に亘って貫通孔や開口などを持たない中実とされている。底部17の厚みは、軸方向における距離(寸法)であり、接点部71e,72eの接離を繰り返した際の影響による変形を抑え得る厚さであればよい。
周壁部18は、底部17の周縁から上側へ全周に亘って起立している。底部17における上側は、軸方向における固定電極52e側に相当する。周壁部18は、第1の接点部71eと第2の接点部72eを取り囲むように起立している。したがって、図5に示す例では、周壁部18は筒部8eを兼ねており、可動電極51eの一部として構成されている。周壁部18の厚み(外径と内径の寸法差)は、アーク放電が発生した際に溶融して破損しない厚さであればよい。
周壁部18の内壁面181と固定電極52eの第2の接点部72eの外周面721eとの面間距離(図5に示す距離L51)は、ギャップ長(図5に示す距離X)以上とされている。ギャップ長Xは、第1の実施形態と同様に、電極51e,52eが絶縁状態に遷移した際の接点部71e,72eの最大離間距離である。本実施形態では、第1の実施形態と同様に、ギャップ長Xが5mm~35mm程度である場合を想定するが、この範囲に限定されない。
別の捉え方をすれば、底部17と固定電極52eとの曲率半径の差は、ギャップ長X以上とされている。かかる曲率半径の差は、内壁面181と外周面721eとの面間距離L51に相当する。これにより、軸方向の可動電極51e側(図5においては下側)からみて、底部17は、固定電極52eよりも一回り大きく、固定電極52eを遮蔽している。
また、周壁部18の起立端182の位置は、軸方向において固定電極52eの端部521eの位置を超えている。起立端182は、周壁部18の起立方向の先端部である。固定電極52eの端部521eは、固定電極52eにおける軸方向において可動電極51eとは反対側の端部(図5に示す例では上端部)である。すなわち、周壁部18は、起立端182が軸方向において固定電極52eの端部521eを超える高さで起立している。換言すれば、周壁部18の高さ、つまり底部17から軸方向に延びる距離(図5に示す距離L52)は、ギャップ長Xよりも大寸である。
本実施形態では、第3の実施形態と比べて底部57を拡張し、磁性体部59を周壁部58の内側に近接して配置することで、周壁部58で発生する縦方向の磁界と磁性体部59で発生する磁界とが重畳する。これにより、アーク放電時に発生する金属蒸気は、第3の実施形態と比べて径方向の外側により広がって飛散する。このように金属蒸気が広がって飛散した場合であっても、本実施形態によれば、カップ部材16の底部17だけでなく、周壁部18でもかかる金属蒸気を受け止めることができる。すなわち、本実施形態では、第3の実施形態よりも、アーク放電をカップ部材16の周壁部18まで広げて発生させることが可能となる。したがって、カップ部材16がアーク放電から受ける単位面積あたりのエネルギーを第3の実施形態のカップ部材10よりも小さくできる。その結果、より大電流を遮断可能となる。
(第6の実施形態)
図6は、第6の実施形態に係る真空バルブ1fの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。
例えば、第1の実施形態のように、可動電極51が有底の筒状(カップ状)である場合、導電状態において周壁部82の起立端822に電界が集中しやすくなる。仮に、起立端822に電界が集中すると、例えば起立端822と固定電極52や第2の通電軸42との間で絶縁破壊が発生しやすくなる。第6の実施形態は、このような起立端を介した絶縁破壊を抑制可能とする実施形態である。
図6は、第6の実施形態に係る真空バルブ1fの構成を概略的に示す図であって、筒軸(軸心C)を含む一平面での断面図である。
例えば、第1の実施形態のように、可動電極51が有底の筒状(カップ状)である場合、導電状態において周壁部82の起立端822に電界が集中しやすくなる。仮に、起立端822に電界が集中すると、例えば起立端822と固定電極52や第2の通電軸42との間で絶縁破壊が発生しやすくなる。第6の実施形態は、このような起立端を介した絶縁破壊を抑制可能とする実施形態である。
図6に示す例は、第6の実施形態の一例であり、図1に示す第1の実施形態の変形例に相当する。図6に示すように、可動電極51の周壁部82の起立端823は、全周に亘って外側へ湾曲して折り返されている。外側は、周壁部82を拡径する側(拡径方向)に相当する。すなわち、周壁部82は、起立端823に所定の折り返し部83を有している。折り返し部83は、周壁部82の起立方向とは逆向きに折り返して起立端823を形成する。この場合、折り返し部83は、起立端823が所定の曲率で湾曲するように、周壁部82を起立方向とは逆向きに折り返している。
このように、周壁部82が折り返し部83を有し、起立端823を所定の曲率で湾曲させることで、起立方向に沿った単なる終端である第1の実施形態の起立端822のように電界が集中することを回避できる。すなわち、湾曲する起立端823によれば、起立端822よりも電界を湾曲に沿って分散させ、固定電極52や第2の通電軸42との間の電界強度(電位勾配)を緩和させることができる。したがって、本実施形態によれば、起立端823を介した絶縁破壊を抑制可能となる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、上述した各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1,1b,1c,1d,1e,1f…真空バルブ、2…絶縁容器、3,31,32…封着金具、4,41,42…通電軸、5…電極、6…ベローズ、7…接点部、8,8b,8c…筒部、9…ベローズカバー、10,13,16…カップ部材、11,14,17…底部、12,15,18…周壁部、20,21,22…開口部、51,51b,51c,51d,51e…可動電極、52,52b,52c,52d,52e…固定電極、53,55,57…底部、54,56,58…周壁部、59…磁性体部、71,71b,71c,71d,71e…第1の接点部、72,72b,72c,72d,72e…第2の接点部、81,81b…底部、82,82b…周壁部、83…折り返し部、121,151,181…内壁面、122,152,182…起立端、511,521,521c,521d,521e…端部、711,721,721c,721d,721e…外周面、821,821b…内壁面、822,822b,823…起立端、C…軸心、L11,L21,L31,L41,L51…面間距離、L12,L22,L32,L42,L52…周壁部の高さ、S…空隙。
Claims (7)
- 絶縁材で筒状に構成され、筒軸方向の両端に開口部をそれぞれ有する絶縁容器と、
前記絶縁容器にそれぞれ収容され、互いの接点部を接離可能な第1の電極および第2の電極と、
前記開口部にそれぞれ接合され、前記絶縁容器を閉塞する封着金具と、
前記第1の電極と連続し、前記第1の電極および前記第2の電極の各々の前記接点部を取り囲む筒部と、を備える
真空バルブ。 - 前記第1の電極は、前記接点部を含む底部と、前記底部の周縁から前記筒軸方向における前記第2の電極側へ全周に亘って起立する周壁部とを備える有底の筒状をなし、
前記周壁部は、前記筒部を兼ねる
請求項1に記載の真空バルブ。 - 前記筒部は、前記第1の電極に隣接して配置された底部と、前記底部の周縁から前記筒軸方向における前記第2の電極側へ起立する周壁部とを備える有底の筒状をなす
請求項1に記載の真空バルブ。 - 前記周壁部の内壁面と前記第2の電極の前記接点部の外周面との面間距離は、前記第1の電極および前記第2の電極の各々の前記接点部の最大離間距離以上である
請求項2または3に記載の真空バルブ。 - 前記周壁部の起立端の位置は、前記第2の電極における前記筒軸方向において前記第1の電極とは反対側の端部の位置を超える
請求項2または3に記載の真空バルブ。 - 前記周壁部の起立端は、全周に亘って外側へ湾曲して折り返されている。
請求項2から5のいずれか一項に記載の真空バルブ。 - 前記底部と前記周壁部とは、異なる素材で形成される
請求項3から6のいずれか一項に記載の真空バルブ。
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