JP2022130950A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
【課題】減磁耐力を維持しつつトルク性能の低下を抑制できる回転電機を提供する。【解決手段】ティース66Aは、コアバックから径方向内側に延びる基部63aと、周方向の両側に突出するアンブレラ部63bを有する。一対の第1マグネット41a、41bは、極を構成し、軸方向に見てd軸を中心として線対称に配置され、一対の第1マグネット41a、41bのうち、d軸よりも周方向一方側に位置する第1マグネット41aは、第1位置P1を極中心として集束するラジアル配向で磁化され、d軸よりも周方向他方側に位置する第1マグネット41bは、第2位置P2を極中心として集束するラジアル配向で磁化される。第1位置P1は、d軸よりも周方向他方側に位置し、第2位置P2は、d軸よりも周方向一方側に位置し、第1位置P1と第2位置P2との周方向の距離は、第1位置P1および第2位置P2の径方向の位置における基部63aの周方向の寸法よりも短い。【選択図】図4
Description
本発明は、回転電機に関する。
ロータコアとロータコアに設けられた穴に配置された永久磁石とを備える回転電機が知られている。例えば、特許文献1には、3つの永久磁石が∇形状に配置された回転電機が記載されている。
上記の回転電機のロータ構造においては、磁石の幅を大きくするとともに、厚さを小さくすることでトルク性能が向上する。この場合には、反磁界の影響とコイル起磁力による影響を受けるため減磁が生じる。特許文献2には、径方向内側に凸となる円弧磁石を備えることで、減磁を抑えつつトルク性能を向上させた回転電機が記載されている。
特許文献2に開示された回転電機においては、径方向内側の円弧磁石の極中心位置が磁極中心となるd軸から大きく外れているため、ステータにおいてd軸に位置するティースに向かう磁束が低減してトルク性能が低下する可能性がある。磁化方向をパラレル配向で、磁石形状を円弧形状にすることでトルク性能が向上するが、磁石端部で反磁界の影響を受けやすくなり減磁する可能性がある。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、減磁耐力を維持しつつトルク性能の低下を抑制できる回転電機を提供することを目的とする。
本発明の回転電機の一つの態様は、中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータの径方向外側に位置するステータと、を備え、前記ロータは、収容穴を有するロータコアと、前記収容穴の内部に収容されたマグネットと、を有し、前記ステータは、前記ロータコアを囲む環状のコアバック、および前記コアバックから径方向内側に延び周方向に間隔を空けて並んで配置された複数のティースを有するステータコアと、前記ステータコアに取り付けられた複数のコイルと、を有し、前記複数のマグネットは、周方向に互いに間隔を空けて配置され、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びる一対の第1マグネットと、前記一対の第1マグネットの径方向内端部よりも径方向外側において前記一対の第1マグネット同士の間の周方向位置に配置された第2マグネットと、を含み、前記ティースは、前記コアバックから径方向内側に延びる基部と、前記基部の径方向内側の端部に設けられ前記基部よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部と、を有し、前記一対の第1マグネットは、極を構成し、軸方向に見てd軸を中心として線対称に配置され、前記一対の第1マグネットのうち、前記d軸よりも周方向一方側に位置する前記第1マグネットは、当該第1マグネットよりも径方向外側に位置する第1位置を極中心として集束するラジアル配向で磁化され、前記d軸よりも周方向他方側に位置する前記第1マグネットは、当該第1マグネットよりも径方向外側に位置する第2位置を極中心として集束するラジアル配向で磁化され、前記第1位置は、前記d軸よりも周方向他方側に位置し、前記第2位置は、前記d軸よりも周方向一方側に位置し、前記第1位置と前記第2位置との周方向の距離は、前記第1位置および前記第2位置の径方向の位置における前記基部の周方向の寸法よりも短い。
本発明の一つの態様によれば、回転電機において減磁耐力を維持しつつトルク性能を向上できる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る回転電機について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
各図に適宜示すZ軸方向は、正の側を「上側」とし、負の側を「下側」とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸Jは、Z軸方向と平行であり、上下方向に延びる仮想線である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向、すなわち上下方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。各図に適宜示す矢印θは、周方向を示している。矢印θは、上側から見て中心軸Jを中心として時計回りの向きを向いている。以下の説明では、或る対象を基準として周方向のうち矢印θが向かう側、すなわち上側から見て時計回りに進む側を「周方向一方側」と呼び、或る対象を基準として周方向のうち矢印θが向かう側と逆側、すなわち上側から見て反時計回りに進む側を「周方向他方側」と呼ぶ。
なお、上下方向、上側、および下側とは、単に各部の配置関係等を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図1に示すように、第1実施形態の回転電機1は、インナーロータ型の回転電機である。
本実施形態において回転電機1は、三相交流式の回転電機である。回転電機1は、例えば、三相交流の電源が供給されることで駆動される三相モータである。回転電機1は、ハウジング2と、ロータ10と、ステータ60と、ベアリングホルダ4と、ベアリング5a,5bと、を備える。
本実施形態において回転電機1は、三相交流式の回転電機である。回転電機1は、例えば、三相交流の電源が供給されることで駆動される三相モータである。回転電機1は、ハウジング2と、ロータ10と、ステータ60と、ベアリングホルダ4と、ベアリング5a,5bと、を備える。
ハウジング2は、ロータ10、ステータ60、ベアリングホルダ4、およびベアリング5a,5bを内部に収容している。ハウジング2の底部は、ベアリング5bを保持している。ベアリングホルダ4は、ベアリング5aを保持している。ベアリング5a,5bは、例えば、ボールベアリングである。
ステータ60は、ロータ10の径方向外側に位置する。ステータ60は、ステータコア61と、インシュレータ64と、複数のコイル65と、を有する。ステータコア61は、コアバック62と、複数のティース63と、を有する。コアバック62は、後述するロータコア20の径方向外側に位置する。図2に示すように、コアバック62は、ロータコア20を囲む環状である。コアバック62は、例えば、中心軸Jを中心とする円環状である。
複数のティース63は、コアバック62から径方向内側に延びている。複数のティース63は、周方向に間隔を空けて並んで配置されている。複数のティース63は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。ティース63は、例えば、48個設けられている。つまり、回転電機1のスロット67の数は、例えば、48である。図3に示すように、複数のティース63は、基部63aと、アンブレラ部63bと、をそれぞれ有する。
基部63aは、コアバック62から径方向内側に延びている。基部63aの周方向の寸法は、例えば、径方向の全体に亘って同じである。なお、基部63aの周方向の寸法は、例えば、径方向内側に向かうに従って小さくなっていてもよい。
アンブレラ部63bは、基部63aの径方向内側の端部に設けられている。アンブレラ部63bは、基部63aよりも周方向の両側に突出している。アンブレラ部63bの周方向の寸法は、基部63aの径方向内側の端部における周方向の寸法よりも大きい。アンブレラ部63bの径方向内側の面は、周方向に沿った曲面である。アンブレラ部63bの径方向内側の面は、軸方向に見て、中心軸Jを中心とする円弧状に延びている。アンブレラ部63bの径方向内側の面は、後述するロータコア20の外周面と径方向に隙間を介して対向している。周方向に隣り合うティース63同士において、アンブレラ部63b同士は、周方向に隙間を介して並んで配置されている。
複数のコイル65は、ステータコア61に取り付けられている。図1に示すように、複数のコイル65は、例えば、インシュレータ64を介してティース63に取り付けられている。本実施形態においてコイル65は、分布巻きされている。つまり、各コイル65は、複数のティース63に跨って巻き回されている。本実施形態においてコイル65は、全節巻きされている。つまり、コイル65が差し込まれるステータ60のスロット同士の周方向ピッチが、ステータ60に三相交流電源が供給された際に生じる磁極の周方向ピッチと等しい。回転電機1の極数は、例えば、8である。つまり、回転電機1は、例えば、8極48スロットの回転電機である。このように、本実施形態の回転電機1においては、極数をNとしたとき、スロット数がN×6となる。なお、図2~図4においては、コイル65およびインシュレータ64の図示を省略している。
ロータ10は、中心軸Jを中心として回転可能である。図2に示すように、ロータ10は、シャフト11と、ロータコア20と、複数のマグネット40と、を有する。シャフト11は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。図1に示すように、シャフト11は、ベアリング5a,5bによって中心軸J回りに回転可能に支持されている。
ロータコア20は、磁性体である。ロータコア20は、シャフト11の外周面に固定されている。ロータコア20は、ロータコア20を軸方向に貫通する貫通孔21を有する。図2に示すように、貫通孔21は、軸方向に見て、中心軸Jを中心とする円形状である。貫通孔21には、シャフト11が通されている。シャフト11は、例えば圧入等により、貫通孔21内に固定されている。図示は省略するが、ロータコア20は、例えば、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されて構成されている。
ロータコア20は、複数の収容穴30を有する。複数の収容穴30は、例えば、ロータコア20を軸方向に貫通している。複数の収容穴30の内部には、複数のマグネット40がそれぞれ収容されている。収容穴30内におけるマグネット40の固定方法は、特に限定されない。複数の収容穴30は、一対の第1収容穴31a,31bと、第2収容穴32と、を含む。
複数のマグネット40の種類は、特に限定されない。マグネット40は、例えば、ネオジム磁石であってもよいし、フェライト磁石であってもよい。複数のマグネット40は、一対の第1マグネット41a,41bと、第2マグネット42と、を含む。一対の第1マグネット41a,41bと、第2マグネット42とは極を構成する。
本実施形態において一対の第1収容穴31a,31bと一対の第1マグネット41a,41bと第2収容穴32と第2マグネット42とは、周方向に間隔を空けて複数ずつ設けられている。一対の第1収容穴31a,31bと一対の第1マグネット41a,41bと第2収容穴32と第2マグネット42とは、例えば、8つずつ設けられている。
ロータ10は、一対の第1収容穴31a,31bと一対の第1マグネット41a,41bと第2収容穴32と第2マグネット42とを1つずつ含む磁極部70を複数有する。磁極部70は、例えば、8つ設けられている。複数の磁極部70は、例えば、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。複数の磁極部70は、ロータコア20の外周面における磁極がN極の磁極部70Nと、ロータコア20の外周面における磁極がS極の磁極部70Sと、を複数ずつ含む。磁極部70Nと磁極部70Sとは、例えば、4つずつ設けられている。4つの磁極部70Nと4つの磁極部70Sとは、周方向に沿って交互に配置されている。各磁極部70の構成は、ロータコア20の外周面の磁極が異なる点および周方向位置が異なる点を除いて、同様の構成である。
図3に示すように、磁極部70において、一対の第1収容穴31a,31bは、軸方向に見て、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。第1収容穴31aは、例えば、第1収容穴31bの周方向一方側(+θ側)に位置する。第1収容穴31a,31bは、例えば、軸方向に見て、径方向内側に凸となる円弧状に湾曲する。一対の第1収容穴31a,31bは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、第1収容穴31aと第1収容穴31bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。第1収容穴31aは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向一方側に位置する。第1収容穴31bは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向他方側(-θ側)に位置する。第1収容穴31a,31bの径方向外側の端部は、ロータコア20の径方向外周縁部に位置する。
第1収容穴31aと第1収容穴31bとは、例えば、軸方向に見て、d軸を構成する図3に示す磁極中心線IL1を周方向に挟んで間隔をあけて配置されている。第1収容穴31aの径方向内側の端部と、第1収容穴31bの径方向内側の端部との間には、ロータコア20の一部がリブとして、磁極中心線IL1上に径方向に沿って延びている。第1収容穴31aと第1収容穴31bとは、例えば、軸方向に見て、上記リブにて周方向に分離されたC字状(C型)である。
本実施形態によれば、回転時の遠心力によりマグネット40の径方向外側のロータコア20に大きな負荷が加わるが、リブによりマグネット40の径方向外側のロータコア20と、マグネット40の径方向内側のロータコア20とが繋がっているため、ロータコア20の負荷を小さくできる。
磁極中心線IL1は、磁極部70の周方向中心と中心軸Jとを通り、径方向に延びる仮想線である。第1収容穴31aと第1収容穴31bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1を中心として線対称に配置されている。以下、磁極中心線IL1に対して線対称である点を除いて第1収容穴31aと同様の構成については、第1収容穴31bについての説明を省略する場合がある。
第1収容穴31aは、第1曲線部31cと、内端部31dと、外端部31eと、を有する。第1曲線部31cは、軸方向に見て、第1収容穴31aが延びる方向に曲線状に延びている。第1曲線部31cは、例えば、軸方向に見て円弧形状である。内端部31dは、第1曲線部31cの径方向内側の端部に繋がっている。内端部31dは、第1収容穴31aの径方向内側の端部である。外端部31eは、第1曲線部31cの径方向外側の端部に繋がっている。外端部31eは、第1収容穴31aの径方向外側の端部である。第1収容穴31bは、第1曲線部31fと、内端部31gと、外端部31hと、を有する。
第2収容穴32は、一対の第1収容穴31a,31bの径方向外側の端部同士の周方向の間に位置する。つまり、本実施形態において第2収容穴32は、外端部31eと外端部31hとの周方向の間に位置する。第2収容穴32は、軸方向に見て、曲率中心が第2収容穴32の径方向外側で磁極中心線IL1上に位置する円弧状である。一対の第1収容穴31a,31bと第2収容穴32とは、例えば、軸方向に見て、∇形状に沿って配置されている。
なお、以下の本明細書において「或る対象が或る方向と直交する方向に延びる」とは、或る対象が、或る方向と厳密に直交する方向に延びる場合に加えて、或る対象が、或る方向と略直交する方向に延びる場合も含む。「或る方向と略直交する方向」とは、例えば、製造時の公差等によって、或る方向と厳密に直交する方向に対して数度[°]程度の範囲内で傾いた方向を含む。
軸方向に見て、第2収容穴32の周方向の中心には、例えば、磁極中心線IL1が通っている。つまり、第2収容穴32の周方向中心の周方向位置は、例えば、磁極部70の周方向中心の周方向位置と一致している。第2収容穴32の軸方向に見た形状は、例えば、磁極中心線IL1に対して線対称な形状である。第2収容穴32は、ロータコア20の径方向外周縁部に位置する。
第2収容穴32は、第2曲線部32aと、一端部32bと、他端部32cと、を有する。第2曲線部32aは、軸方向に見て、第2収容穴32が延びる方向に曲線状に延びている。第2曲線部32aは、例えば、軸方向に見て円弧形状である。一端部32bは、第2曲線部32aの周方向一方側(+θ側)の端部に繋がっている。一端部32bは、第2収容穴32の周方向一方側の端部である。一端部32bは、第1収容穴31aにおける外端部31eの周方向他方側(-θ側)に間隔を空けて配置されている。他端部32cは、第2曲線部32aの周方向他方側(-θ側)の端部に繋がっている。他端部32cは、第2収容穴32の周方向他方側の端部である。他端部32cは、第1収容穴31bにおける外端部31hの周方向一方側に間隔を空けて配置されている。
一対の第1マグネット41a,41bは、一対の第1収容穴31a,31bの内部にそれぞれ収容されている。第1マグネット41aは、第1収容穴31aの内部に収容されている。第1マグネット41bは、第1収容穴31bの内部に収容されている。一対の第1マグネット41a,41bは、例えば、軸方向に見て円弧形状である。図示は省略するが、第1マグネット41a,41bは、例えば、第1収容穴31a,31b内の軸方向の全体に亘って設けられている。一対の第1マグネット41a,41bは、周方向に互いに間隔を空けて配置されている。第1マグネット41aは、例えば、第1マグネット41bの周方向一方側(+θ側)に位置する。
第1マグネット41aは、軸方向に見て第1収容穴31aに沿って延びている。第1マグネット41bは、軸方向に見て第1収容穴31bに沿って延びている。第1マグネット41a,41bは、軸方向に見て、径方向内側に凸となる円弧状にそれぞれ湾曲している。一対の第1マグネット41a,41bは、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びている。つまり、第1マグネット41aと第1マグネット41bとの間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなっている。
第1マグネット41aは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向一方側(+θ側)に位置する。第1マグネット41bは、例えば、径方向内側から径方向外側に向かうに従って、周方向他方側(-θ側)に位置する。第1マグネット41aと第1マグネット41bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1を周方向に挟んで配置されている。第1マグネット41aと第1マグネット41bとは、例えば、軸方向に見て、磁極中心線IL1に対して線対称に配置されている。第1マグネット41aと第1マグネット41bとは、例えば、軸方向に見て、上述したリブにて周方向に分離されたC字状(C型)である。以下、磁極中心線IL1に対して線対称である点を除いて第1マグネット41aと同様の構成については、第1マグネット41bについての説明を省略する場合がある。
第1マグネット41aは、第1収容穴31a内に嵌め合わされている。より詳細には、第1マグネット41aは、第1曲線部31c内に嵌め合わされている。軸方向に見て、第1マグネット41aの延伸方向の両端部は、第1収容穴31aの延伸方向の両端部からそれぞれ離れて配置されている。軸方向に見て、第1マグネット41aが延びる方向において第1マグネット41aの両側には、内端部31dと外端部31eとがそれぞれ隣接して配置されている。
ここで、本実施形態において内端部31dは、第1フラックスバリア部51aを構成している。外端部31eは、第1フラックスバリア部51bを構成している。つまり、ロータコア20は、軸方向に見て、第1マグネット41aが延びる方向において第1マグネット41aを挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部51a,51bを有する。ロータコア20は、軸方向に見て、第1マグネット41bが延びる方向において第1マグネット41bを挟んで配置された一対の第1フラックスバリア部51c,51dを有する。
このように、ロータコア20は、軸方向に見て、各第1マグネット41a,41bが延びる方向において各第1マグネット41a,41bのそれぞれを挟んで一対ずつ配置された第1フラックスバリア部51a,51b,51c,51dを有する。第1フラックスバリア部51a,51b,51c,51d、後述する第2フラックスバリア部52a,52bは、磁束の流れを抑制できる部分である。すなわち、各フラックスバリア部には、磁束が通りにくい。各フラックスバリア部は、磁束の流れを抑制できるならば、特に限定されず、空隙部を含んでもよいし、樹脂部等の非磁性部を含んでもよい。
第2マグネット42は、第2収容穴32の内部に収容されている。第2マグネット42は、一対の第1マグネット41a,41bの径方向内端部よりも径方向外側において一対の第1マグネット41a,41b同士の間の周方向位置に配置されている。第2マグネット42は、軸方向に見て第2収容穴32に沿って延びている。第2マグネット42は、軸方向に見て径方向内側に凸となる円弧状に湾曲している。第2マグネット42の曲率中心は、軸方向に見て、第2マグネット42の径方向外側で磁極中心線IL1上に位置している。一対の第1マグネット41a,41bと第2マグネット42とは、例えば、軸方向に見て、∇形状に沿って配置されている。
なお、本明細書において「第2マグネットが一対の第1マグネット同士の間の周方向位置に配置されている」とは、第2マグネットの周方向位置が一対の第1マグネット同士の間の周方向位置に含まれていればよく、第1マグネットに対する第2マグネットの径方向位置は特に限定されない。
第2マグネット42は、第2収容穴32内に嵌め合わされている。より詳細には、第2マグネット42は、第2曲線部32a内に嵌め合わされている。第2マグネット42の軸方向に見た形状は、例えば、磁極中心線IL1に対して線対称な形状である。図示は省略するが、第2マグネット42は、例えば、第2収容穴32内の軸方向の全体に亘って設けられている。第2マグネット42の径方向内側部分は、例えば、一対の第1マグネット41a,41bの径方向外端部同士の周方向の間に位置する。第2マグネット42の径方向外側部分は、例えば、一対の第1マグネット41a,41bよりも径方向外側に位置する。
軸方向に見て、第2マグネット42の延伸方向の両端部は、第2収容穴32の延伸方向の両端部からそれぞれ離れて配置されている。軸方向に見て、第2マグネット42が延びる方向において第2マグネット42の両側には、一端部32bと他端部32cとがそれぞれ隣接して配置されている。ここで、本実施形態において一端部32bは、第2フラックスバリア部52aを構成している。他端部32cは、第2フラックスバリア部52bを構成している。つまり、ロータコア20は、軸方向に見て、第2マグネット42が延びる方向において第2マグネット42挟んで配置された一対の第2フラックスバリア部52a,52bを有する。一対の第2フラックスバリア部52a,52bおよび第2マグネット42は、第1マグネット41aを挟む一対の第1フラックスバリア部51a,51bのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51bと、第1マグネット41bを挟む一対の第1フラックスバリア部51c,51dのうち径方向外側に位置する第1フラックスバリア部51dとの周方向の間に位置する。
第1マグネット41aの磁極は、軸方向に見て第1マグネット41aが延びる方向と直交する方向に沿って配置されている。第1マグネット41aの磁極は、径方向外側と径方向内側とに配置されている。第1マグネット41bの磁極は、軸方向に見て第1マグネット41bが延びる方向と直交する方向に沿って配置されている。第1マグネット41bの磁極は、径方向外側と径方向内側とに配置されている。第2マグネット42の磁極は、径方向に沿って配置されている。第2マグネット42の磁極は、径方向外側と径方向内側とに配置されている。
第1マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と、第1マグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と、第2マグネット42の磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、互いに同じである。第1マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と、第1マグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と、第2マグネット42の磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、互いに同じである。
図3に示すように、磁極部70Nにおいて、第1マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と、第1マグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と、第2マグネット42の磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、例えば、N極である。磁極部70Nにおいて、第1マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と、第1マグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と、第2マグネット42の磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、例えば、S極である。
図示は省略するが、磁極部70Sにおいては、磁極部70Nに対して、各マグネット40の磁極が反転して配置されている。つまり、磁極部70Sにおいて、第1マグネット41aの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と、第1マグネット41bの磁極のうち径方向外側に位置する磁極と、第2マグネット42の磁極のうち径方向外側に位置する磁極とは、例えば、S極である。磁極部70Sにおいて、第1マグネット41aの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と、第1マグネット41bの磁極のうち径方向内側に位置する磁極と、第2マグネット42の磁極のうち径方向内側に位置する磁極とは、例えば、N極である。
第2マグネット42の周方向中心が或る1つのティース63の周方向中心と同じ周方向位置に配置された或る状態(以下では、単に「或る状態」と称する)において、周方向中心が第2マグネット42の周方向中心と同じ周方向に位置に配置されたティース63を、ティース66Aと呼ぶ。図2~図3は、当該或る状態の一例を示している。つまり、図2~図3に示す或る状態において、ティース66Aが「或る1つのティース」に相当する。図2~図3に示す或る状態において、軸方向に見て、ティース66Aの周方向中心には、磁極中心線IL1が通る。また、本明細書において「或る状態」は、「ティース66Aの周方向の中心位置がd軸である磁極中心線IL1と一致している」状態である。
図2~図3に示す或る状態において、ティース66Aの周方向一方側(+θ側)に隣り合うティース63をティース66Bと呼ぶ。ティース66Aの周方向他方側(-θ側)に隣り合うティース63をティース66Cと呼ぶ。ティース66Bの周方向一方側に隣り合うティース63をティース66Dと呼ぶ。ティース66Cの周方向他方側に隣り合うティース63をティース66Eと呼ぶ。
一対の第1マグネット41a,41bは、ラジアル配向で磁化されている。図4に示すように、第1マグネット41aは、第1マグネット41aよりも径方向外側に位置する第1位置P1を極中心として集束する。軸方向に見て、第1位置P1は、第1マグネット41aの曲率中心である。従って、第1マグネット41aは、磁束が第1マグネット41aの径方向に流れる向きのラジアル配向で磁化されている。第1位置P1は、d軸を構成する磁極中心線IL1よりも周方向他方側に位置する。つまり、磁極中心線IL1よりも周方向一方側に位置する第1マグネット41aの極中心は、磁極中心線IL1よりも周方向他方側に位置する。
第1マグネット41bは、第1マグネット41bよりも径方向外側に位置する第2位置P2を極中心として集束する。軸方向に見て、第2位置P2は、第1マグネット41bの曲率中心である。従って、第1マグネット41bは、磁束が第1マグネット41bの径方向に流れる向きのラジアル配向で磁化されている。第2位置P2は、d軸を構成する磁極中心線IL1よりも周方向一方側に位置する。つまり、磁極中心線IL1よりも周方向他方側に位置する第1マグネット41bの極中心は、磁極中心線IL1よりも周方向一方側に位置する。
一対の第1マグネット41a,41bの極中心が磁極中心線IL1上にある場合、および一対の第1マグネット41a,41bと周方向で同じ側にある場合、一対の第1マグネット41a,41bのうち磁極中心線IL1から遠い側の端部からの磁束漏れが多くなり減磁によりトルク性能が低下する。本実施形態によれば、一対の第1マグネット41a,41bの極中心が磁極中心線IL1に対して各第1マグネット41a,41bと周方向で逆側にあることで、一対の第1マグネット41a,41bのうち磁極中心線IL1から遠い側の端部からの磁束漏れを抑制できる。本実施形態によれば、一対の第1マグネット41a,41bの極中心が各第1マグネット41a,41bと周方向で逆側にあることで、第2マグネット42の磁力を増やす方向に作用させてパーミアンス係数を向上させることでトルク性能を向上できる。
極中心である第1位置P1と第2位置P2との周方向の距離W1は、第1位置P1および第2位置P2の径方向の位置におけるティース66Aの基部63aの周方向の寸法W2よりも短い。従って、第1位置P1および第2位置P2は、軸方向に見て或る状態で基部63aと重なる。第1位置P1と第2位置P2との周方向の距離W1が、基部63aの周方向の寸法W2よりも長い場合、極中心である第1位置P1および第2位置P2が、或る状態の基部63aに対して周方向外側に位置する。
つまり、第1位置P1は、或る状態の基部63aよりも周方向他方側に位置し、第2位置P2は、或る状態の基部63aよりも周方向一方側に位置することになる。極中心である第1位置P1および第2位置P2が、或る状態の基部63aに対して周方向外側に位置した場合、一対の第1マグネット41a,41bからティース66Aに向かう磁束が減ることで、リラクタンストルクが低下する。本実施形態によれば、極中心である第1位置P1および第2位置P2は、軸方向に見て或る状態で基部63aと重なることで、減磁を抑制してトルク性能を向上できる。
例えば、8極48スロットの回転電機1の場合、上述した第1位置P1の周方向の位置は、磁極中心線IL1に対して周方向他方側に0.5°以上、2.5°以下であることが好ましい。上述した第2位置P2の周方向の位置は、磁極中心線IL1に対して周方向一方側に0.5°以上、2.5°以下であることが好ましい。
極中心である第1位置P1および第2位置P2の径方向の位置は、アンブレラ部63bよりも径方向外側で、ティース66Aの径方向の中央よりも径方向内側である。第1位置P1および第2位置P2の径方向の位置が、アンブレラ部63bの径方向内側端部の位置またはアンブレラ部63bより径方向内側となる向きに第1マグネット41a,41bを配置すると、第1マグネット41a,41bと第2マグネット42との間の磁路が狭くなることでq軸磁束が低下しトルク性能が低下する。第1位置P1および第2位置P2の径方向の位置が、ティース66Aの径方向の中央よりも径方向外側となる向きに第1マグネット41a,41bを配置すると、一対の第1マグネット41a,41bのうち磁極中心線IL1から遠い側の端部からの磁束漏れが多くなり減磁によりトルク性能が低下する。
本実施形態によれば、第1位置P1および第2位置P2の径方向の位置がアンブレラ部63bよりも径方向外側であることで、第1マグネット41a,41bと第2マグネット42との間で磁束が通りやすくなり、q軸磁束が低下しトルク性能が低下することを抑制できる。本実施形態によれば、第1位置P1および第2位置P2の径方向の位置がティース66Aの径方向の中央よりも径方向内側であることで、磁束漏れによる減磁を抑制してトルク性能を向上できる。
ステータコア61の内径をRとし、ティース66Aの径方向の寸法をLとし、第1位置P1および第2位置P2の中心軸からの径方向の距離をPとすると、0.1×L+R≦P≦0.4×L+Rの関係を満足する。本実施形態によれば、第1位置P1および第2位置P2の位置が0.1×L+R≦P≦0.4×L+Rの関係を満足することで、q軸磁束の低下による駆動トルクの低下、および磁束漏れによる減磁を抑制してトルク性能を向上できる。
図5のトルク-進角特性に示されるように、軸方向に見て径方向内側に凸となる円弧状に湾曲しラジアル配向されたC型磁石を用いた場合には、パラレル配向された平板磁石と比較して大きなトルクが得ることができる。
以上のように、本実施形態によれば、ラジアル配向で磁化された一対の第1マグネット41a,41bの極中心である第1位置P1、第2位置P2が、磁極中心線IL1に対して各第1マグネット41a,41bと周方向で逆側に配置され、第1位置P1と第2位置P2との周方向の距離W1が第1位置P1および第2位置P2の径方向の位置における基部63aの周方向の寸法W2よりも短いことで、減磁耐力を維持しつつトルク性能を向上できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
上記実施形態では、第1マグネット41a,41bの曲率中心と、ラジアル配向の極中心とが一致する構成を例示したが、この構成に限定されない。ラジアル配向の極中心が上述した構成を満足すれば、第1マグネット41a,41bの曲率中心と一致しない構成であってもよい。
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。この場合、回転電機は、三相交流式の発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、例えば、車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。回転電機の極数およびスロット数は、特に限定されない。回転電機においてコイルはどのような巻き方で構成されていてもよい。以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
1…回転電機、 10…ロータ、 20…ロータコア、 30…収容穴、 40…マグネット、 41a,41b…第1マグネット、 42…第2マグネット、 51a,51b,51c,51d…第1フラックスバリア部、 52a,52b…第2フラックスバリア部、 60…ステータ、 61…ステータコア、 62…コアバック、 63,66A,66B,66C,66D,66E…ティース、 63a…基部、 63b…アンブレラ部、 65…コイル、 67…スロット、 70、70N、70S…磁極部、 IL1…磁極中心線(d軸)、 J…中心軸、 P1…第1位置、 P2…第2位置
Claims (6)
- 中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータの径方向外側に位置するステータと、
を備え、
前記ロータは、
収容穴を有するロータコアと、
前記収容穴の内部に収容されたマグネットと、
を有し、
前記ステータは、
前記ロータコアを囲む環状のコアバック、および前記コアバックから径方向内側に延び周方向に間隔を空けて並んで配置された複数のティースを有するステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられた複数のコイルと、
を有し、
前記複数のマグネットは、
周方向に互いに間隔を空けて配置され、軸方向に見て径方向内側から径方向外側に向かうに従って互いに周方向に離れる方向に延びる一対の第1マグネットと、
前記一対の第1マグネットの径方向内端部よりも径方向外側において前記一対の第1マグネット同士の間の周方向位置に配置された第2マグネットと、
を含み、
前記ティースは、
前記コアバックから径方向内側に延びる基部と、
前記基部の径方向内側の端部に設けられ前記基部よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部と、
を有し、
前記一対の第1マグネットは、極を構成し、軸方向に見てd軸を中心として線対称に配置され、
前記一対の第1マグネットのうち、前記d軸よりも周方向一方側に位置する前記第1マグネットは、当該第1マグネットよりも径方向外側に位置する第1位置を極中心として集束するラジアル配向で磁化され、
前記d軸よりも周方向他方側に位置する前記第1マグネットは、当該第1マグネットよりも径方向外側に位置する第2位置を極中心として集束するラジアル配向で磁化され、
前記第1位置は、前記d軸よりも周方向他方側に位置し、
前記第2位置は、前記d軸よりも周方向一方側に位置し、
前記第1位置と前記第2位置との周方向の距離は、前記第1位置および前記第2位置の径方向の位置における前記基部の周方向の寸法よりも短い、回転電機。 - 前記第1位置および前記第2位置の径方向の位置は、前記アンブレラ部よりも径方向外側で、前記ティースの径方向の中央よりも径方向内側である、
請求項1記載の回転電機。 - 前記ステータコアの内径をRとし、
前記ティースの径方向の寸法をLとし、
前記第1位置および前記第2位置の前記中心軸からの径方向の距離をPとすると、
0.1×L+R≦P≦0.4×L+R
の関係を満足する、
請求項2記載の回転電機。 - 前記第1位置の周方向の位置は、前記d軸から周方向他方側に0.5°以上、2.5°以下の位置であり、
前記第2位置の周方向の位置は、前記d軸から周方向一方側に0.5°以上、2.5°以下の位置である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の回転電機。 - 前記極の数は8であり、
前記ティースの数は48である、
請求項4記載の回転電機。 - 前記一対の第1マグネットは、軸方向に見て前記第1位置および前記第2位置をそれぞれ曲率中心として径方向内側に凸となる円弧状に湾曲する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の回転電機。
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