JP2022129243A - 眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラム - Google Patents
眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】被検眼の断層画像と正面画像との位置関係を対応付けることができる眼科装置を提供する。【解決手段】被検眼の所定部位の正面画像を撮影する正面撮影部と、測定光を用いて前記被検眼の断層画像を撮影する断層撮影部と、正面撮影部の合焦光学系の情報を取得する取得部と、測定光の偏向位置及び振り幅を制御する制御部とを備え、制御部は、合焦光学系の情報を用いて、測定光の偏向位置及び振り幅の少なくとも一方を決定する、眼科装置。【選択図】図7
Description
本発明は、眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラムに関する。
眼科装置の一例として、被検眼の眼底の2次元正面画像を取得するための装置(眼底カメラ装置)が実用化されている。また、眼科装置の他の一例として、低コヒーレンス光による光干渉断層法(OCT:Optical Coherence Tomography)を利用して、被検眼の断層画像を取得するための装置(OCT装置)が実用化されている。さらに、特許文献1では、眼底カメラ光学系を用いて被検眼のカラーの眼底正面画像を取得し、OCT光学系を用いて眼底の断面画像を取得することが可能な、眼底カメラとOCT装置とを組み合わせた複合型の撮影装置が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、眼底カメラ光学系とOCT光学系とにより得られた画像は各々独立して取得される。そのため、特許文献1に記載された技術では、眼底カメラ光学系とOCT光学系とにより得られた互いの画像の位置関係を対応付けることが困難であった。
そこで、本発明の一実施態様では、被検眼の断層画像と正面画像との位置関係を対応付けることができる眼科撮影装置、眼科装置の制御方法、及びプログラムを提供する。
本発明の一実施態様に係る眼科装置は、被検眼の所定部位の正面画像を撮影する正面撮影部と、測定光を用いて前記被検眼の断層画像を撮影する断層撮影部と、前記正面撮影部の合焦光学系の情報を取得する取得部と、前記測定光の偏向位置及び振り幅を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記情報を用いて、前記偏向位置及び前記振り幅の少なくとも一方を決定する、眼科装置。
本発明の一実施態様によれば、被検眼の断層画像と正面画像との位置関係を対応付けることができる。
以下、本発明を実施するための例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施例で説明する寸法、材料、形状、及び構成要素の相対的な位置等は任意であり、本発明が適用される装置の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、図面において、同一であるか又は機能的に類似している要素を示すために図面間で同じ参照符号を用いる。なお、以下の説明では、被検眼の視線方向に略一致する方向をZ方向とする。また、Z方向に対して垂直な面をXY平面とし、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向とする。
(実施例1)
本発明の実施例1に係る眼科装置は、2次元の眼底正面画像を撮影する正面撮影部(眼底撮影系)と、光干渉に基づく情報を用い被検眼の眼底の3次元の断層画像を撮影する断層撮影部(OCT光学系)とを備える。本実施例に係る眼科装置は、眼底撮影系のフォーカスレンズの位置情報に基づいて、OCT光学系のスキャナの走査角度を補正する。以下、図1乃至図7を参照して、本実施例に係る眼科装置及びその制御方法について説明する。
本発明の実施例1に係る眼科装置は、2次元の眼底正面画像を撮影する正面撮影部(眼底撮影系)と、光干渉に基づく情報を用い被検眼の眼底の3次元の断層画像を撮影する断層撮影部(OCT光学系)とを備える。本実施例に係る眼科装置は、眼底撮影系のフォーカスレンズの位置情報に基づいて、OCT光学系のスキャナの走査角度を補正する。以下、図1乃至図7を参照して、本実施例に係る眼科装置及びその制御方法について説明する。
<構成>
図1は、本実施例に係る眼科装置の概略的な構成例及び眼科装置に含まれる各種光学系を示す。本実施例に係る眼科装置には、光学ヘッド部100、分光器200、制御部300、表示部310、及び入力部340が設けられている。以下、光学ヘッド部100、分光器200、及び制御部300の構成を順に説明する。
図1は、本実施例に係る眼科装置の概略的な構成例及び眼科装置に含まれる各種光学系を示す。本実施例に係る眼科装置には、光学ヘッド部100、分光器200、制御部300、表示部310、及び入力部340が設けられている。以下、光学ヘッド部100、分光器200、及び制御部300の構成を順に説明する。
<光学ヘッド部100及び分光器200の構成>
光学ヘッド部100は、被検眼Eの前眼部Eaの画像や、被検眼Eの眼底Efの2次元正面画像及び断層画像を撮影するための測定光学系で構成されている。以下、光学ヘッド部100内に配置される各種光学系について説明する。
光学ヘッド部100は、被検眼Eの前眼部Eaの画像や、被検眼Eの眼底Efの2次元正面画像及び断層画像を撮影するための測定光学系で構成されている。以下、光学ヘッド部100内に配置される各種光学系について説明する。
光学ヘッド部100では、被検眼Eに対向して対物レンズ101が設置される。対物レンズ101の光軸L1上には、光路分離部の一例として機能する第1ダイクロイックミラー102及び第2ダイクロイックミラー103が配置される。これらダイクロイックミラーによって、対物レンズ101からの光路が、前眼部観察系の光路(光軸L2)、眼底撮影系の光路(光軸L3)、及びOCT光学系の光路(光軸L5)に、波長帯域ごとに分岐される。
第2ダイクロイックミラー103の反射方向の光軸L2上には、レンズ120、プリズム121、絞り122、レンズ123、及びイメージセンサ124が配置される。イメージセンサ124は、赤外域の感度を持つモノクロのセンサである。光軸L2上に配置されるこれらの光学部材等によって前眼部Eaの観察を行うための前眼部観察系が構成される。また、対物レンズ101の近くに前眼部観察用光源125が配置される。前眼部観察用光源125は、赤外光を用いて被検眼Eの前眼部を照明する。
イメージセンサ124は、制御部300に接続される。制御部300は、イメージセンサ124により出力された信号に基づいて前眼観察画像を生成し、前眼観察画像を表示部310に出力したり、記憶部302に記憶させたりすることができる。
第2ダイクロイックミラー103の透過方向の光軸L3上には、穴あきミラー131、撮影絞り132、フォーカスレンズ133、結像レンズ134、第3ダイクロイックミラー135、及びイメージセンサ136が配置される。穴あきミラー131は中央部に開口を有する。フォーカスレンズ133は、制御部300により制御される不図示のモータ等の駆動部によって光軸L3上で移動することができる。制御部300は、駆動部を制御してフォーカスレンズ133を光軸方向に移動させることにより、眼底撮影系の光路を通る光のフォーカスを調整することができる。
光軸L3上の光路は、第3ダイクロイックミラー135によって、イメージセンサ136へ至る光路及び固視灯137へ至る光路に、波長帯域ごとに分岐される。イメージセンサ136は、第3ダイクロイックミラー135の透過方向に配置され、可視光と赤外光とに感度を有する、観察用の動画撮影と静止画撮影を兼ねた眼底正面画像用のセンサである。固視灯137は、第3ダイクロイックミラー135の反射方向に配置され、可視光を発生して被検者の固視を促す。また、眼底撮影系の光路には、眼底撮影に必要な光束をカットするための不図示の絞り等のその他の光学部材が設けられてもよい。
穴あきミラー131の反射方向の光軸L4上には、角膜バッフル140、リレーレンズ141、フォーカス指標ユニット142、レンズ143、及びリングスリット144がこの順で配置される。角膜バッフル140は、中心に遮光点を有する。リングスリット144は、リング状のスリット開口を有する。
フォーカス指標ユニット142は、フォーカスレンズ133を用いたフォーカス合わせの指標を提供する光学部材であり、本実施例では、指標の一例として、スプリット輝線を照射する。本実施例に係るフォーカス指標ユニット142は、フォーカスレンズ133と連動して光軸L4に沿って移動可能なスプリット指標部材を有する。また、スプリット指標部材は、制御部300により制御される不図示のモータ等の駆動部によって、光軸L4の光路に対して挿抜されることができるように構成されている。
フォーカス指標ユニット142によって照射されたスプリット輝線は、リレーレンズ141を通って、穴あきミラー131で第2ダイクロイックミラー103の側に反射される。穴あきミラー131で反射されたスプリット輝線は、第2ダイクロイックミラー103、第1ダイクロイックミラー102、及び対物レンズ101を介して被検眼Eの眼底Efに投影される。制御部300は、眼底部観察画像からスプリット輝線の位置を検出することによってフォーカスのずれ量を算出することができる。
また、光軸L4上には、遮光点を有する遮光部材としての水晶体バッフル145、及び赤外光を透過し可視光を反射する特性を有するダイクロイックミラー146が配置されている。ダイクロイックミラー146の反射方向には、コンデンサレンズ147及び白色LED光源148が配置される。白色LED光源148は、可視光を発する白色LEDが複数個配置された撮影用光源である。ダイクロイックミラー146の透過方向には、コンデンサレンズ149及び赤外LED光源150が配置される。赤外LED光源150は、赤外の定常光を発する赤外LEDが複数個配置された観察光源である。なお、白色LED光源148及び赤外LED光源150は、制御部300によって駆動を制御される。
対物レンズ101、ダイクロイックミラー146、これらの間の光学部材、及びコンデンサレンズ147,149により、眼底Efを照明する照明光学系が構成される。照明光学系を介して、白色LED光源148、又は赤外LED光源150からの光により被検眼Eの眼底Efを照明することができる。
第1ダイクロイックミラー102の反射方向の光軸L5上には、レンズ151、ミラー152、OCTXスキャナ153-1、OCTYスキャナ153-2、フォーカスレンズ154、及びレンズ155が配置される。OCTXスキャナ153-1とOCTYスキャナ153-2は、例えば、ガルバノミラー等の偏向手段より構成され、測定光を被検眼Eの眼底Ef上で走査する走査部として機能する。さらに、OCTXスキャナ153-1とOCTYスキャナ153-2とは、その中心位置付近が、被検眼Eの瞳の位置と、光学的な共役関係となっている。なお、図1において、OCTXスキャナ153-1と、OCTYスキャナ153-2との間の光路は紙面内において構成されているが、実際は紙面垂直方向に構成されている。また、測定光を走査する走査部は、一枚で2次元方向に光を偏向することができるMEMSミラー等を用いて構成されてもよい。
本実施例では、OCTXスキャナ153-1は、測定光をX方向に走査することができ、OCTYスキャナ153-2は、測定光をX方向に直交するY方向に走査することができる。なお、本実施例では、X方向を主走査方向、Y方向を副走査方向とし、3Dスキャンを行う例について述べるが、走査方向はこれに限られない。3Dスキャンやラスタースキャンにおける主走査方向と副走査方向は互いに交差する方向であればよく、例えば、Y方向を主走査方向、X方向を副走査方向としてもよい。また、互いに交差する、X方向及びY方向の成分を有する斜め方向を主走査方向及び副走査方向としてもよい。また、スキャンパターンは3Dスキャンに限られず、例えば、ラジアルスキャンや、クロススキャン、サークルスキャン、ラスタースキャン等であってもよい。
フォーカスレンズ154は、制御部300により制御される不図示のモータ等の駆動部によって光軸L5上で移動することができる。制御部300は、駆動部を制御してフォーカスレンズ154を光軸方向に移動させることにより、OCT干渉系の光路を通る測定光のフォーカスを調整することができる。
測定光のフォーカス調整は、光源として作用する光ファイバー156-2のファイバー端から出射する測定光を眼底Ef上に結像するように行われる。ここで、光ファイバー156-2のファイバー端は被検眼Eの眼底Efと光学的な共役関係を有する。フォーカス調整部として機能するフォーカスレンズ154は、測定光の光源となるファイバー端と、走査部として機能するOCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2との間に配置されている。このため、フォーカスレンズ154を用いたフォーカス調整によって、ファイバー端から出射された測定光の像を被検眼Eの眼底Efに結像させることができ、且つ、眼底Efからの戻り光を光ファイバー156-2に効率良く戻すことができる。
次に、測定光源157からの光路と、参照光学系、分光器200の構成について説明する。測定光源157は、測定光路(OCT干渉系の光路)に入射させる測定光を得るための光を発する光源である。本実施例では、測定光源157として、代表的な低コヒーレント光源であるSLD(Super Luminescent Diode)を用いる。測定光源157より出射される光の中心波長は880nm、波長幅は約60nmである。ここで、波長幅は、得られる断層画像の光軸方向の分解能に影響するため、重要なパラメータである。また、光源の種類は、ここではSLDを選択したが、低コヒーレント光が出射できればよく、ASE(Amplified Spontaneous Emission)等を用いることもできる。測定光の中心波長は、例えば、眼を測定することを鑑みて、近赤外光を用いることができる。また、OCT干渉系の光路(光軸L5)、前眼観察光路(光軸L2)、及び眼底撮影系の光路(光軸L3)の各光路で使用される波長について、ある程度波長差を設ける必要がある。本実施例では、これらの観点から、SLDの波長として上記の波長を選択した。
測定光源157から出射された光は、光ファイバー156-1を介して光カプラー156に導かれる。光カプラー156に導かれた光は、該光カプラー156により光ファイバー156-2側に向かう測定光と、光ファイバー156-3側に向かう参照光とに分割される。ここで、光カプラー156は、測定光源157からの光を測定光と参照光に分割する分割器の一例として機能する。また、光ファイバー156-1~4は、光カプラー156に接続されて一体化しているシングルモードの光ファイバーである。
本実施例では、OCT光学系における測定光は、光ファイバー156-2のファイバー端を光源として出射される。測定光は上述したOCT光学系の光路を通じ、撮影対象である被検眼Eの眼底Efに照射され、網膜による反射や散乱により同じ光路を通じて再び光カプラー156に到達する。
一方、参照光は、光ファイバー156-3、レンズ158、及び測定光と参照光との分散を合わせるために挿入された分散補償用ガラス159を介して参照ミラー160に到達し、反射される。参照ミラー160に反射された参照光は同じ光路を戻り、再び光カプラー156に到達する。
再度光カプラー156に至った参照光と測定光(戻り光)とは、光カプラー156によって合波される。ここで、測定光の光路長と参照光の光路長とがほぼ同一となったときに、この合波によって各々の光による干渉を生じる。参照ミラー160は、制御部300により制御される不図示のモータ等の駆動部によって参照光の光軸方向に位置を調整可能に保持される。このような駆動部を用いることにより、参照光の光路長を、被検眼Eによって変わる測定光の光路長に対して合わせることが可能である。得られた干渉光は、光ファイバー156-4を介して分光器200に導かれる。
分光器200には、レンズ201、回折格子202、レンズ203、及びラインセンサ204が設けられている。光ファイバー156-4から出射された干渉光は、レンズ201を介して略平行光となった後、回折格子202で分光され、レンズ203によってラインセンサ204上に結像される。ラインセンサ204における各素子は、受光した光に応じた信号(干渉信号)を制御部300に出力する。制御部300は、後述する取得部304によりラインセンサ204から出力された信号を取得し、処理部305により所定のタイミングにてサンプリングし、所定の信号処理を施して断層画像を生成することができる。
なお、測定光源157、光カプラー156、光ファイバー156-1~4、レンズ158、分散補償用ガラス159、参照ミラー160、及び分光器200によってマイケルソン干渉計が構成されている。本実施例では、干渉計としてマイケルソン干渉計を用いているが、マッハツェンダー干渉計を用いてもよい。
光学ヘッド部100には、ヘッド駆動部170が更に設けられている。ヘッド駆動部170には、制御部300により制御される不図示の3つのモータが含まれている。制御部300は、ヘッド駆動部170の駆動を制御することで、光学ヘッド部100を3次元(X、Y、Z)方向に移動させることができる。これにより、制御部300は、被検眼Eに対して光学ヘッド部100のアライメントを行うことができる。
<制御部300の構成>
次に、図2を参照して、制御部300の概略的な構成について説明する。制御部300は、光学ヘッド部100、分光器200、及び表示部310に接続されており、これらの制御を行うことができる。また、制御部300は、入力部340に接続されており、操作者による入力部340の操作に応じて、操作者からの指示を受けることができる。制御部300には、撮影制御部301、記憶部302、取得部304、及び処理部305が設けられている。
次に、図2を参照して、制御部300の概略的な構成について説明する。制御部300は、光学ヘッド部100、分光器200、及び表示部310に接続されており、これらの制御を行うことができる。また、制御部300は、入力部340に接続されており、操作者による入力部340の操作に応じて、操作者からの指示を受けることができる。制御部300には、撮影制御部301、記憶部302、取得部304、及び処理部305が設けられている。
撮影制御部301は、光学ヘッド部100、記憶部302、処理部305、及び入力部340と情報をやり取りすることができる。撮影制御部301は、入力部340からの入力信号、光学ヘッド部100や処理部305からの信号、及び記憶部302に記憶された情報等に基づいて、光学ヘッド部100の各部の制御を行うことができる。
また、撮影制御部301は、フォーカス指標ユニット142を駆動させることで眼底観察画像に示されるスプリット輝線に基づいて、フォーカスのずれ量を算出し、ずれ量に基づいて被検眼Eの視度情報を取得することができる。なお、フォーカスのずれ量の算出方法及び視度情報の取得方法は公知の任意の方法を用いてよい。
取得部304は、光学ヘッド部100のイメージセンサ124及びイメージセンサ136から出力される信号を取得することができる。また、取得部304は、分光器200のラインセンサ204から出力される干渉信号を取得することができる。
処理部305は、イメージセンサ124から取得された信号に基づいて前眼観察画像を生成することができる。また、処理部305は、イメージセンサ136から取得された信号に基づいて眼底正面画像を生成することができる。さらに、処理部305は、ラインセンサ204から取得された干渉信号に基づいて断層画像を生成することができる。なお、処理部305による各種画像の生成方法は、公知の任意の方法を用いてよい。以下、制御部300による光学ヘッド部100の具体的な制御について説明する。
前眼観察画像撮影において、撮影制御部301は、前眼部観察用光源125を発光させる。イメージセンサ124は、被検眼Eの前眼部Eaから反射された光を受光し、受光した光に基づく信号を制御部300に出力する。取得部304は、イメージセンサ124から出力された信号を取得し、処理部305は取得された信号に基づいて前眼観察画像を生成する。生成された前眼観察画像は、記憶部302に記憶されることができる。また、生成された前眼観察画像は、出力制御部303により表示部310に表示させることができる。
眼底カメラによる赤外光を用いた眼底観察画像撮影においては、撮影制御部301は、赤外LED光源150を発光させる。イメージセンサ136は、被検眼Eの眼底Efで反射された赤外光を受光し、受光した赤外光に基づく信号を制御部300に出力する。取得部304は、イメージセンサ136から出力された信号を取得し、処理部305は取得された信号に基づいて眼底観察画像を生成する。
また、撮影制御部301は、フォーカス指標ユニット142を駆動させ、処理部305は眼底観察画像に示されるスプリット輝線に基づいて、被検眼Eの視度情報を取得する。撮影制御部301は、取得した視度情報に基づいて、フォーカスレンズ133を駆動させる。また、さらに広い視度範囲にフォーカスを合わせる場合には、撮影制御部301は、不図示の駆動部を用いて、視度補正レンズ138を光軸L3上に挿抜し、視度情報に基づいてフォーカスレンズ133を駆動させてフォーカスを調整することができる。
生成された眼底観察画像は、眼底観察及び後述する被検眼Eのトラッキングに用いることができる。生成された眼底観察画像は、出力制御部303により表示部310に表示させることができる。また、生成された眼底観察画像は、記憶部302に記憶されることができる。
眼底カメラによる眼底画像撮影においては、撮影制御部301は、フォーカスレンズ133を用いてフォーカスを調整する。具体的には、眼底観察画像撮影において赤外光を用いて取得された被検眼Eの視度情報に光源の波長の違いによる収差分補正をかけた視度情報を算出する。撮影制御部301は、算出した視度情報に基づいて、フォーカスレンズ133の位置を変更する。その後、撮影制御部301は、白色LED光源148から可視光を発光させる。イメージセンサ136は、被検眼Eの眼底Efで反射された可視光を受光し、受光した光に基づく信号を制御部300に出力する。取得部304は、イメージセンサ136から出力された信号を取得し、処理部305は、イメージセンサ136から取得された信号に基づいて眼底正面画像を生成する。
断層画像撮影においては、撮影制御部301は、フォーカス指標ユニット142を用いて取得した視度情報に光源の波長の違いによる収差分補正をかけた視度情報に基づき、フォーカスレンズ154を駆動させる。また、撮影制御部301は、眼底観察画像を用いて得た操作者の指示に応じた撮影範囲及びフォーカスレンズ133の位置情報に基づいて、OCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2による偏向方向及び偏向幅を含む走査情報を算出する。撮影制御部301は、算出した走査情報をOCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2に送り、測定光にて被検眼Eの眼底Ef上を走査する。
ラインセンサ204は、受光した測定光の戻り光に基づく干渉信号を制御部300に出力する。取得部304はラインセンサ204から出力された干渉信号を取得し、処理部305はラインセンサ204から取得された信号をフーリエ変換し、変換されたデータを輝度又は濃度情報に変換することによって被検眼Eの深さ方向(Z方向)の断層画像を取得する。以下、このようなスキャン方式で被検眼Eの一点における深さ方向の画像(情報)を取得することをAスキャンと呼び、得られる断層画像をAスキャン画像と呼ぶ。
なお、処理部305の断層画像の画像処理に要する時間は20マイクロ秒以下である。本実施例では、ラインセンサ204のデータは20マイクロ秒ごとに送信されるため、処理部305が画像処理を行っている間にラインセンサ204で次のデータを取得すれば、Aスキャンを20マイクロ秒ごとに行うことができる。なお、これらの処理に係る時間は当該時間に限られず、所望の構成に応じて変更されてよい。
制御部300は、Aスキャンを行う測定光を、眼底Ef上の所定の横断方向に走査部で走査することによって、複数のAスキャン画像を取得することができる。処理部305は、複数のAスキャン画像と走査情報から、所定の横断方向に沿った断層画像を構成することができる。例えば、X方向に走査すればXZ面における断層画像が得られ、Y方向に走査すればYZ面における断層画像が得られる。このように測定光を被検眼E上で所定の横断方向(主走査方向)に走査するスキャン方式をBスキャンと呼び、得られる断層画像をBスキャン画像と呼ぶ。
さらに、被検眼E上の撮影範囲に対して、走査部によって走査位置を所定の方向(副走査方向)に移動させながら、主走査方向の走査を繰り返すことで、複数のBスキャン画像を取得することができる。例えば、撮影制御部301により、走査位置をY方向において移動させながら、XZ面のBスキャンを繰り返すことで、XYZ空間の3次元情報を得ることができる。得られた複数のBスキャン画像を用いて構成されるデータを3次元データと呼ぶ。処理部305は、この3次元データから被検眼Eの3次元の断層画像を生成することができる。このようなスキャン方式をCスキャンと呼び、得られる3次元の断層画像をCスキャン画像と呼ぶ。また、処理部305は、3次元情報の少なくとも一部の深度範囲における情報を投影又は積算することにより、眼底EfのEn-Face画像(正面画像)を取得することもできる。
記憶部302は、制御部300での処理に必要な各種の情報等を予め記憶している。また、記憶部302は、処理部305により生成された被検眼Eの前眼観察画像、眼底赤外観察画像、眼底画像、断層画像であるBスキャン画像、3次元データ、及びOCT眼底正面画像等の各種画像を記憶する。さらに、記憶部302は、検査を複数回実行する一連の制御手順を定義した検査シーケンスや、画像の解析結果、画像取得時の撮像条件、被検眼Eに関する患者情報等を記憶する。また、記憶部302は、上述した、前部観察画像撮影、眼底カメラによる眼底赤外観察画像撮影及び眼底画像撮影、断層画像撮影を制御する際の各種プログラムや各構成部を実行するためのプログラムを記憶することもできる。記憶部302は、例えば、光学ディスクやメモリ等の任意の記憶媒体によって構成されてよい。
出力制御部303は、ディスプレイ等の表示部310に接続されており、記憶部302に記憶された前眼観察画像、眼底赤外観察画像、眼底画像、断層画像であるBスキャン画像、3次元データ、及びEn-Face画像を表示する。表示部310の表示例を図3に示す。
なお、制御部300は、例えば汎用のコンピュータを用いて構成されてよい。また、制御部300は、眼科装置の専用のコンピュータを用いて構成されてもよい。制御部300は、不図示のプロセッサ、及び光学ディスクやROM(Read Only Memory)等のメモリを含む記憶媒体を備えている。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等であってよい。なお、プロセッサは、CPUやMPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等であってもよい。制御部300の記憶部302以外の各構成要素は、CPUやMPU、GPU等のプロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールにより構成されてよい。また、当該各構成要素は、ASIC等の特定の機能を果たす回路や独立した装置等によって構成されてもよい。
表示部310は、任意のモニタを用いて構成され、出力制御部303の制御に従い、各種画像や患者情報等を表示する。入力部340は、マウスやキーボード等の任意の入力装置を含む。なお、本実施例では、制御部300、表示部310、及び入力部340等を別個に設けているが、これらの一部又は全部を一体的に構成してもよい。例えば、タッチパネルを用いて、表示部310及び入力部340を構成してもよい。
<検査の動作フロー>
次に、本実施例に係る検査の動作フローについて、図3を用いて説明する。図3は、本実施例に係る画面表示の一例を示す。まず、操作者は、マウス等の入力部340を用いて図3に示す測定画面1000中でカーソル1002を移動させ、左右眼切り替えボタン1001で左右眼を選択し、Scan Modeボタン1501からスキャンモードを選択する。
次に、本実施例に係る検査の動作フローについて、図3を用いて説明する。図3は、本実施例に係る画面表示の一例を示す。まず、操作者は、マウス等の入力部340を用いて図3に示す測定画面1000中でカーソル1002を移動させ、左右眼切り替えボタン1001で左右眼を選択し、Scan Modeボタン1501からスキャンモードを選択する。
スキャンモードとしては、例えば、Macula3Dモード、Glaucoma3Dモード、Disc3Dモード、OCTAモード、眼底撮影モード、及び眼底蛍光撮影モード等がある。なお、スキャンモードを切り替えるとそれぞれのスキャンモードに最適な走査パターン及び固視位置が設定される。OCTの走査パターンとしては、例えば3Dスキャン、ラジアルスキャン、クロススキャン、サークルスキャン、及びラスタースキャン等がある。本実施例では、走査パターンとして3Dスキャンを選択した場合について説明する。
スキャンモード等の設定の後、操作者が入力部340を用いてStartボタン1004を押すことで、撮影制御部301によりフォーカス調整、アライメント調整、及びコヒーレンスゲート調整が自動的に行われ、撮影する準備が行われる。ここで、アライメント調整は、被検眼Eに対して光学ヘッド部100をZ軸方向及びXY方向に移動させて、光学ヘッド部100を測定に適切な位置に配置するための調整である。フォーカス調整は、眼底Efに対する合焦調整を行うために、フォーカスレンズ133,154を光軸方向に移動させる調整である。コヒーレンスゲート調整は、断層画像の深さ方向の撮影範囲に関する調整であり、断層像を断層画像表示画面の所望の位置で観察するために、参照ミラー160を光軸方向に移動させる調整である。なお、これらの自動調整は公知の任意の方法を用いて行われてよい。なお、各種調整時には、例えば、前眼観察画像1101、眼底観察画像1201、及び断層画像1301がプレビュー動画像として、測定画面1000に表示されてよい。
また、アライメントを微調整する際には、操作者が、前眼観察画像1101を見ながらスライダ1103や不図示の操作ボタン等を操作して、被検眼Eに対して光学ヘッド部100をZ軸方向及びXY位置に移動させる。これにより、被検眼Eに対する光学ヘッドのアライメントを微調整することができる。フォーカスを微調整する際には、操作者が、眼底観察画像1201及び断層画像1301の明るさ等を見ながらスライダ1203を操作して、フォーカスレンズ133,154を移動させることで、フォーカスを微調整することができる。コヒーレンスゲートの位置を微調整する場合には、操作者が、断層画像1301を見ながらスライダ1302を操作して、参照ミラー160を移動させることで、コヒーレンスゲートの位置を微調整することができる。
また、操作者は、入力部340を用いて、眼底観察画像1201上に重畳表示されている枠1202のサイズ及び位置を調整することで、OCT撮影に関するスキャンエリア(撮影範囲)を指定することができる。それらの設定後、操作者が入力部340を用いてCaptureボタン1003を押すことで、撮影が行われる。OCTの撮影が開始されると、撮影制御部301が、設定された撮影範囲に基づいて、OCTXスキャナ153-1及びOCTY153-2により測定光を走査し3Dスキャンを行う。また、撮影制御部301が、眼底撮影系を用いて被検眼Eの眼底正面画像の撮影を行う。
<眼底トラッキング方法>
次に、撮影範囲を被検眼Eの眼底Efの移動に追従させる処理である眼底トラッキング処理の詳細について説明する。被検眼Eの眼底Efの移動は、例えば、公知の固視微動等の被検眼Eの動きや被検者の動きにより生じる。本実施例に係る眼底トラッキング処理では、制御部300は、まず、追尾用参照画像を取得する。具体的には、撮影制御部301は、OCT光学系を用いて断層画像の撮影を開始する直前に、光学ヘッド部100を制御して、眼底正面画像の撮影を行う。取得部304は、イメージセンサ136から出力された信号を取得し、処理部305は取得した信号に基づいて眼底正面画像を生成し、追尾用参照画像として記憶部302に記憶させる。その後、撮影制御部301は、断層画像の撮影を開始し、OCT光学系によるBスキャン及びCスキャンを行いながら、以降の処理を並列に行う。
次に、撮影範囲を被検眼Eの眼底Efの移動に追従させる処理である眼底トラッキング処理の詳細について説明する。被検眼Eの眼底Efの移動は、例えば、公知の固視微動等の被検眼Eの動きや被検者の動きにより生じる。本実施例に係る眼底トラッキング処理では、制御部300は、まず、追尾用参照画像を取得する。具体的には、撮影制御部301は、OCT光学系を用いて断層画像の撮影を開始する直前に、光学ヘッド部100を制御して、眼底正面画像の撮影を行う。取得部304は、イメージセンサ136から出力された信号を取得し、処理部305は取得した信号に基づいて眼底正面画像を生成し、追尾用参照画像として記憶部302に記憶させる。その後、撮影制御部301は、断層画像の撮影を開始し、OCT光学系によるBスキャン及びCスキャンを行いながら、以降の処理を並列に行う。
まず、撮影制御部301が光学ヘッド部100を同様に制御し、処理部305が追尾用対象画像(眼底正面画像)を生成する。次に、撮影制御部301は、生成された追尾用対象画像と、記憶部302に記憶されている追尾用参照画像との位置ずれを算出し、これら画像を取得する間で生じた眼底Efの移動量を取得する。移動量の取得後、撮影制御部301は、取得された眼底Efの移動量に基づいて、OCTの走査部であるOCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2による測定光の照射位置(走査位置)の補正制御を行う。
ここで、移動量の算出方法について、より具体的に説明する。まず、2つの異なる時間に撮影された第1及び第2眼底正面画像が得られている場合、第1眼底正面画像を参照画像とし、第2眼底正面画像を対象画像とする。撮影制御部301は、参照画像中にROI(Region Of Interest)1(第1注目領域)を設定して、ROI1の参照画像中の位置を記憶する。ここで、ROI1は、例えば、参照画像内に存在する血管等の強いコントラストを有する特徴部を含む領域とすることができる。次に、撮影制御部301は、対象画像内でROI1と一番高い相関のある領域であるROI2(第2注目領域)を探索する。なお、ROI2の探索方法は、公知の任意の方法を用いてよく、例えば、テンプレートマッチング等を用いてよい。撮影制御部301は、ROI1の参照画像中の位置とROI2の対象画像中の位置の相対差分を算出する。撮影制御部301は、算出した相対差分を、2つの異なる時間の間に被検眼Eの眼底Efが移動した量である、被検眼Eの動きを示す変位情報として取得することができる。
ここで、図4を参照して、以上に述べた眼底トラッキング処理を詳細に説明する。図4に示す眼底正面画像401(参照画像)と眼底正面画像402(対象画像)は、異なる時間に撮影された同じ被検眼Eの眼底正面画像である。まず、撮影制御部301は、眼底正面画像401上において、ROI403を設定する。ROI403には、特徴部として、例えば、血管の分岐部が含まれている。また、撮影制御部301は、後から撮影された眼底正面画像402上を探索し、ROI403と最も相関の高いROI404を検索する。
ここで、眼底正面画像の座標系でROI403の位置を位置(x1、y1)、ROI404の位置を位置(x2、y2)とすると、撮影制御部301は、これら座標より2つの画像の移動量(dx、dy)として、例えば(x2-x1、y2-y1)を算出する。撮影制御部301は、算出した移動量(dx、dy)を用いて、OCT光学系における眼底Ef上での測定光の走査位置を補正する。
なお、本実施例では、コントラストに着目してROIを設定し、相関関数を用いてROIの探索を行うこととしている。しかしながら、上述した眼底トラッキング処理の手法は一例である。そのため、眼底トラッキング処理としては、眼底Ef、又は被検眼Eの動きを検出するための公知の任意の手法を用いることができる。例えば、オプティカルフロー手法のように画像の移動量を算出できる手法を用いることができる。さらに、眼底正面画像についての平行移動の量の算出だけに限らず、例えば参照眼底正面画像に2つ以上のROIを設定して、それぞれの移動量の算出結果から眼底Efの回転量も算出してもよい。この場合には、撮影制御部301は、移動量に加えて回転量も被検眼Eの動きを示す変位情報として用いて、測定光の走査位置の補正を行うことができる。
<フォーカス調整>
次に、図5(a)及び図5(b)を参照して、眼底カメラによる眼底撮影系の光路(光軸L3)におけるフォーカス光学系の詳細について説明する。図5(a)及び図5(b)は、本実施例に係る眼底撮影系の一例を示す。図5(a)及び図5(b)は、それぞれ、近視眼及び遠視眼の撮影の際に、眼底Efに対してフォーカスを合焦状態にした場合の、眼底Efからイメージセンサ136の有効領域の両端に達する光束を示す。また、図5(a)及び図5(b)を参照すると、近視眼と遠視眼では、眼底Efに対してフォーカスを合焦状態にする場合、フォーカスレンズ133の位置が異なることが分かる。なお、前述の通り、眼科撮影系のフォーカス調整では、光軸L3上のフォーカスレンズ133の位置を光軸方向に移動させることで、フォーカスを調整することができる。
次に、図5(a)及び図5(b)を参照して、眼底カメラによる眼底撮影系の光路(光軸L3)におけるフォーカス光学系の詳細について説明する。図5(a)及び図5(b)は、本実施例に係る眼底撮影系の一例を示す。図5(a)及び図5(b)は、それぞれ、近視眼及び遠視眼の撮影の際に、眼底Efに対してフォーカスを合焦状態にした場合の、眼底Efからイメージセンサ136の有効領域の両端に達する光束を示す。また、図5(a)及び図5(b)を参照すると、近視眼と遠視眼では、眼底Efに対してフォーカスを合焦状態にする場合、フォーカスレンズ133の位置が異なることが分かる。なお、前述の通り、眼科撮影系のフォーカス調整では、光軸L3上のフォーカスレンズ133の位置を光軸方向に移動させることで、フォーカスを調整することができる。
図5(a)及び図5(b)において、撮影画角θa,θbは、それぞれイメージセンサ136の有効領域の両端に達する2つの光束の間の開き角である。図5(a)及び図5(b)において、当該開き角は、θa<θbの大小関係になっている。このように、眼底撮影系では、イメージセンサ136の一定の有効領域に対して、フォーカスレンズ133の位置が変化すると、フォーカスレンズ133の位置に応じて対物レンズ101を通過する光束の位置が変化し、被検眼Eに対する撮影画角θが変化する。そのため、図5(a)及び図5(b)に示されるように、近視眼よりも遠視眼の方が大きい撮影画角で撮影されることになる。
一方、OCT光学系におけるフォーカス調整の場合には、フォーカス調整と撮影画角との関係は独立である。具体的には、図1のOCT干渉系の光路(光軸L5)に示す通り、フォーカスレンズ154は、測定光の光源となる光ファイバー156-2のファイバー端と、走査部として機能するOCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2との間に配置される。そのため、走査角度にフォーカスレンズ154のフォーカス調整状態が影響することはない。
これらのことから、フォーカス調整と撮影画角との関係について、眼底撮影系とOCT光学系とでは違いが生じる。具体的には、ある視度の被検眼Eに対して眼底正面画像と断層画像の撮影位置及び範囲が一致していたとしても、異なる視度の被検眼Eに対しては、眼底正面画像と断層画像の撮影位置及び範囲にずれが生じることになり、不適切な検査になってしまう。このため、図3に示す測定画面1000において、眼底観察画像1201上で枠1202のサイズ及び位置の調整によりOCTのスキャンエリアを指定する際に、操作者の意図とは異なるスキャンエリアが指定されてしまう。また、眼底トラッキング処理においては、前述の眼底正面画像から取得した画像の移動量(dx、dy)が、被検眼Eの視度に応じた眼底撮影系のフォーカス状態により変化するために、誤った眼底追尾処理になってしまう。
<補正方法>
次に、図6を参照して、本実施例に係るフォーカス調整と撮影画角との関係の補正方法について説明する。本実施例においては、眼底撮影系における合焦光学系の変化に応じて、OCT光学系の光路中のOCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2の走査角度を所定の補正係数を用いて制御することにより、眼底正面画像と断層画像のずれを補正する。
次に、図6を参照して、本実施例に係るフォーカス調整と撮影画角との関係の補正方法について説明する。本実施例においては、眼底撮影系における合焦光学系の変化に応じて、OCT光学系の光路中のOCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2の走査角度を所定の補正係数を用いて制御することにより、眼底正面画像と断層画像のずれを補正する。
図6は、眼底撮影系のフォーカスレンズ133のレンズ位置P(横軸)と補正係数k(縦軸)の関係を示すグラフである。レンズ位置Pは、撮影制御部301においてフォーカスレンズ133を駆動させる不図示の駆動部と組み合わせられるエンコーダ等の位置情報から取得されることができる。補正係数kは、OCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2の走査角度の基準値に乗じることで用いられる。例えば、走査角度の基準値をθとすると、補正後の走査角度はkθとなる。
図6におけるレンズ位置P0は、標準視度(0Diopter)に対応している。なお以下において、レンズ位置Pについて、イメージセンサ136側を-とし、対物レンズ101側を+とする。ここで、走査角度の基準値であるθは、関数C(P)=kに対応する補正係数kについてk0=1となるように、あらかじめ決定されることができる。なお、走査角度の基準値であるθの決定方法は、計算シミュレーションに基づいてもよいし、製品ごとに工場出荷時にキャリブレーションが実行されてもよい。
また、眼底撮影系においてフォーカス調整と撮影画角との関係の変化率はほぼ一定である。そのため、図6に示すように、関数C(P)は略線形であり、レンズ位置Pに補正係数kが比例するような一次関数で線形近似できる。一次関数式の決定方法は、計算シミュレーションに基づいてもよいし、製品ごとに工場出荷時にキャリブレーションが実行されてもよい。
次に、図7を参照して、本実施例に係るOCT光学系において測定光の偏向位置及び振り幅に関連する走査角度の補正処理の流れについて説明する。図7は、本実施例に係る補正方法のフローチャートの一例である。
まず、ステップS701において、入力部340を用いた操作者の指示に応じて、被検眼Eの眼底Efにフォーカスが合焦状態となるように、フォーカスレンズ133が移動される。なお、上述のように、撮影制御部301が自動でフォーカスレンズ133を移動してもよい。
次に、ステップS702において、撮影制御部301は、フォーカスレンズ133のレンズ位置Pの位置情報P1を取得する。なお、位置情報P1は、上述したエンコーダ等から取得されてよい。
ステップS703では、撮影制御部301は、関数C(P)に従い補正係数k1を算出する。なお、関数C(P)は、記憶部302に予め記憶されていてよい。また、記憶部302は、関数C(P)について、レンズ位置Pに応じた補正係数kの補正テーブルとして記憶してもよい。
その後、ステップS704において、撮影制御部301は、補正係数k1を用いて、設定されていたOCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2の走査角度を補正する。以上の補正により、撮影制御部301は、眼底撮影系のフォーカスレンズ133の位置に関わらず、眼底撮影系の撮影画角とOCT光学系の撮影画角とが常に対応するように、これらの撮影画角を制御することができる。
これにより、断層画像と眼底正面画像との位置関係を対応付けられるため、眼底正面画像を用いてOCTのスキャンエリアを指定する際に、撮影者の意図通りにスキャンエリアを指定することができる。また、眼底トラッキング処理においては、眼底正面画像から取得した画像の移動量(dx、dy)に対して、OCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2の走査角度が適切に対応するため、精度の高い眼底追尾処理を行うことができる。
上記のように、本実施例に係る眼科装置は、被検眼Eの眼底Ef(所定部位)の正面画像を撮影する正面撮影部の一例として機能する眼底撮影系と、測定光を用いて被検眼Eの断層画像を撮影する断層撮影部の一例として機能するOCT光学系とを備える。また、眼科装置は、眼底撮影系の合焦光学系の情報を取得する取得部と、測定光の偏向位置及び振り幅を制御する制御部とを備える。ここで、撮影制御部301は、当該取得部及び制御部の一例として機能する。また、撮影制御部301は、眼底撮影系の合焦光学系の情報を用いて、測定光の偏向位置及び振り幅の少なくとも一方を決定する。
また、本実施例において、眼底撮影系は、眼底カメラの光学系を含む。撮影制御部301は、眼底正面画像に基づく操作者からの指示に応じた断層画像の撮影範囲と、合焦光学系の情報とを用いて、測定光の偏向位置及び振り幅の少なくとも一方を決定することができる。なお、合焦光学系は、合焦部材の一例として機能するフォーカスレンズ133を含み、合焦光学系の情報はフォーカスレンズ133の位置を示す情報を含む。また、眼底撮影系の光路及びOCT光学系の光路は共通する光路を含み、眼底撮影系の光路及びOCT光学系の光路は、眼底撮影系の合焦光学系の前段において、共通する光路から分岐する。ここで、眼底撮影系の合焦光学系の前段とは、眼底撮影系において合焦光学系よりも対物レンズ101側の位置をいう。
このような構成を有することから、本実施例に係る眼科装置では、正面撮影部と断層撮影部とが独立に構成されていても、各々で取得された断層画像と正面画像との位置関係を対応付けることができる。このため、眼底正面画像を用いてOCTのスキャンエリアを指定する際に、撮影者の意図通りにスキャンエリアを指定することができる。
また、撮影制御部301は、異なる時間に撮影された複数の正面画像に基づいて、被検眼の動きを示す情報を算出し、合焦光学系の情報と、被検眼Eの動きを示す情報とを用いて、測定光の偏向位置及び振り幅の少なくとも一方を決定できる。この場合には、断層画像と眼底正面画像との位置関係を対応付けられているため、眼底トラッキング処理において、精度の高い眼底追尾処理を行うことができる。
なお、本実施例では、正面撮影部によって撮影する被検眼Eの所定部位を眼底Efとしたが、正面撮影部によって撮影される所定部位はこれに限られない。例えば、正面撮影部によって前眼部Eaの正面画像を撮影してもよい。この場合には、撮影制御部301は、例えば被検眼Eの前眼部Eaの断層画像を撮影する際の測定光の偏向位置及び振り幅の制御に、正面撮影部によって撮影された正面画像に基づく操作者からの指示を用いることができる。
また、本実施例では、眼底撮影系の合焦光学系の情報として、フォーカスレンズ133の位置を示す情報を取得し、測定光の偏向位置及び振り幅の制御に用いた。これに対し、合焦光学系にはフォーカスレンズ133以外に、例えばズームレンズ等の撮影倍率を変更するための変倍部材が含まれてもよい。図8は、実施例1の変形例に係る眼科装置の概略的な構成例を示すものであり、眼底撮影系に、ズームレンズを含むズーム光学系139が設けられている。
図8に示すように、眼底撮影系にズーム光学系139が設けられる場合には、ズーム光学系139の位置に応じてもフォーカス状態が変化することがある。このため、撮影制御部301は、合焦光学系の情報として、フォーカスレンズ133と同様に、ズーム光学系139の位置を示す情報を測定光の走査角度の補正に用いることもできる。なお、この場合も、走査角度の基準値であるθやフォーカス調整と撮影画角との関係の変化率に関する関数は、計算シミュレーションに基づいてもよいし、製品ごとに工場出荷時にキャリブレーションが実行されてもよい。
(実施例2)
<視度補正レンズ>
次に、図9及び図10を参照して、本発明の実施例2に係る眼科装置及びその制御方法について説明する。本実施例においては、眼底撮影系に視度補正レンズ138を挿抜制御する点のみが実施例1と異なる。なお、本実施例に係る眼科装置の構成は、実施例1に係る眼科装置の構成と同様であるため、同じ参照符号を用いて説明を省略する。以下、実施例1に係る眼科装置と本実施例に係る眼科装置との相違点を中心に説明する。
<視度補正レンズ>
次に、図9及び図10を参照して、本発明の実施例2に係る眼科装置及びその制御方法について説明する。本実施例においては、眼底撮影系に視度補正レンズ138を挿抜制御する点のみが実施例1と異なる。なお、本実施例に係る眼科装置の構成は、実施例1に係る眼科装置の構成と同様であるため、同じ参照符号を用いて説明を省略する。以下、実施例1に係る眼科装置と本実施例に係る眼科装置との相違点を中心に説明する。
前述の通り、さらに広い視度範囲にフォーカスを合わせる場合は、不図示の駆動部を用いて、光軸L3上に視度補正レンズ138を挿抜する。具体的には、操作者が入力部340を操作することで撮影制御部301に指示が送られ、撮影制御部301は受け取った指示に応じて視度補正レンズ138を所定の位置へ挿入又は所定の位置から抜去する。また、撮影制御部301は、不図示のフォトインタラプタ等の検出部を用いて、視度補正レンズ138の挿抜状態を検出する。なお、視度補正レンズ138としては、視度範囲をさらに拡大するために、遠視用レンズ及び近視用レンズとして複数のレンズを用いてもよい。この場合には、入力部340の操作、及び挿抜状態の検知手段はそれぞれのレンズを識別可能に構成することができる。
ここで、視度補正レンズ138の挿抜でも眼底撮影系の光路に変化が生じる。すなわち、フォーカスレンズ133が同じ位置にあっても、視度補正レンズ138が有る場合と無い場合とで光路が異なる。例えば、遠視用レンズを挿入した場合は、眼底撮影系の撮影画角が大きくなり、近視用レンズを挿入した場合は眼底撮影系の撮影画角が小さくなる。
図9は、本実施例に係る眼底撮影系のフォーカスレンズ133のレンズ位置P(横軸)と補正係数k(縦軸)の関係を、視度補正レンズの挿抜状態別に示すグラフである。図9において、関数C(P)は視度補正レンズ138が無い状態、関数C+(P)は遠視用の視度補正レンズ138を挿入した状態、関数C-(P)は近視用の視度補正レンズ138を挿入した状態を示す。いずれの関数も略線形であるため、レンズ位置Pに補正係数kが比例するような一次関数で線形近似できる。
これらの関数のいずれが適用されるかは、前述の挿抜状態の検知手段の情報によって切り替えることができる。一例として、撮影制御部301は、フォーカスレンズ133が位置P1にあって、遠視用レンズが挿入されている条件では、関数C+(P)を適用し、補正係数k1+を算出する。一方、近視用レンズが挿入されている条件では、撮影制御部301は、関数C-(P)を適用し、補正係数k1-を算出する。
次に、図10を参照して、本実施例に係るOCT光学系において測定光の偏向位置及び振り幅に関連する走査角度の補正処理の流れについて説明する。図10は、本実施例に係る補正方法のフローチャートの一例を表している。
ステップS1001及びステップS1002は、実施例1に係るステップS701及びステップS702と同様であるため、説明を省略する。ステップS1003では、撮影制御部301は、不図示のフォトインタラプタ等の検出部を用いて、視度補正レンズ138の挿抜状態を検出する。
ステップS1004では、撮影制御部301は、視度補正レンズ138の検出結果に応じて、関数C(P),C+(P),C-(P)のいずれかを選択する。具体的には、撮影制御部301は、視度補正レンズ138がない状態では関数C(P)を選択し、遠視用の視度補正レンズ138が挿入された状態では関数C+(P)を選択し、近視用の視度補正レンズ138が挿入された状態では関数C-(P)を選択する。
ステップS1005では、撮影制御部301は、選択した関数に従い、補正係数k1,k1+,k1-のいずれかを算出する。具体的には、撮影制御部301は、関数C(P)を選択した場合は補正係数k1を算出し、関数C+(P)を選択した場合は補正係数k1+を算出し、関数C-(P)を選択した場合は補正係数k1-を算出する。
その後、ステップS1004において、撮影制御部301は、算出した補正係数を用いてOCTXスキャナ153-1及びOCTYスキャナ153-2の走査角度を補正する。以上の補正により、撮影制御部301は、視度補正レンズ138の挿抜状態に対応付けて、適切に走査角度を決定することができる。
上記のように、本実施例に係る眼科装置では、眼科撮影系の合焦光学系は、合焦光学系の合焦範囲を拡張する挿抜可能な補正部材の一例として機能する視度補正レンズ138を含む。また、眼底撮影系の合焦光学系の情報は、視度補正レンズ138の位置を示す情報を含む。本実施例の場合も、正面撮影部と断層撮影部とが独立に構成されていても、各々で取得された断層画像と正面画像との位置関係を対応付けることができる。このため、眼底正面画像を用いてOCTのスキャンエリアを指定する際に、撮影者の意図通りにスキャンエリアを指定することができる。また、撮影制御部301は、視度補正レンズ138の挿抜状態に対応付けて、適切に走査角度を決定することができる。
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
以上、実施例を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではない。本発明の趣旨に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、上述の各実施例及び変形例は、本発明の趣旨に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
100:光学ヘッド、301:撮影制御部(取得部、制御部)
Claims (11)
- 被検眼の所定部位の正面画像を撮影する正面撮影部と、
測定光を用いて前記被検眼の断層画像を撮影する断層撮影部と、
前記正面撮影部の合焦光学系の情報を取得する取得部と、
前記測定光の偏向位置及び振り幅を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記情報を用いて、前記偏向位置及び前記振り幅の少なくとも一方を決定する、眼科装置。 - 前記正面撮影部は眼底カメラの光学系を含む、請求項1に記載の眼科装置。
- 前記制御部は、前記正面画像に基づく操作者からの指示に応じた前記断層画像の撮影範囲と、前記情報とを用いて、前記偏向位置及び前記振り幅の少なくとも一方を決定する、請求項1又は2に記載の眼科装置。
- 前記合焦光学系は、合焦部材を含み、
前記情報は前記合焦部材の位置を示す情報を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 前記合焦光学系は、前記合焦光学系の合焦範囲を拡張する挿抜可能な補正部材を含み、
前記情報は、前記補正部材の位置を示す情報を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 前記合焦光学系は、撮影倍率を変更する変倍部材を含み、
前記情報は、前記変倍部材の位置を示す情報を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 前記制御部は、
異なる時間に撮影された複数の前記正面画像に基づいて、前記被検眼の動きを示す情報を算出し、
前記合焦光学系の情報と、前記被検眼の動きを示す情報とを用いて、前記偏向位置及び前記振り幅の少なくとも一方を決定する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 前記所定部位は眼底である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の眼科装置。
- 前記正面撮影部の光路及び前記断層撮影部の光路は共通する光路を含み、
前記正面撮影部の光路及び前記断層撮影部の光路は、前記合焦光学系の前段において、前記共通する光路から分岐する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の眼科装置。 - 被検眼の所定部位の正面画像を撮影する正面撮影部と、測定光を用いて前記被検眼の断層画像を撮影する断層撮影部とを備える眼科装置の制御方法であって、
前記正面撮影部の合焦光学系の情報を取得することと、
前記情報を用いて、前記測定光の偏向位置及び振り幅の少なくとも一方を決定することと、
を含む、眼科装置の制御方法。 - 眼科装置のコンピュータによって実行されると、該眼科装置に請求項10に記載の制御方法の各工程を実行させる、プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021027873A JP2022129243A (ja) | 2021-02-24 | 2021-02-24 | 眼科装置、眼科装置の制御方法、及びプログラム |
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