JP2022129046A - 三次元造形装置および三次元造形物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】三次元造形物の材料となる造形用粉末を保温して造形用粉末に電子ビームを照射した際の粉末材料の飛散を防止するとともにメンテナンス作業が容易な三次元造形装置を得ること。【解決手段】三次元造形装置1は、三次元造形物Oが造形される造形ボックス36と、造形ボックス36の内部に設けられて造形ボックス36の高さ方向に移動可能な昇降ステージ35と、昇降ステージ35の上方に設けられて三次元造形物Oを造形する造形用粉末Aが供給されるベースプレート31と、昇降ステージ35とベースプレート31との間に配置されてベースプレート31を支持する支持用粉末層39と、を備える。支持用粉末層39は、第1の粉末と、第1の粉末とは異なる第2の粉末と、を含む2種類以上の粉末から構成されている。【選択図】図1
Description
本開示は、粉末材料を選択的に溶融凝固させる処理を繰り返すことによって三次元の造形物を製造する三次元造形装置および三次元造形物の製造方法に関する。
従来、電子ビームを照射することにより溶融固化させることができる金属粉末材料を電子ビームの照射によって選択的に固化させる工程を繰り返すことにより三次元造形物を製造する三次元造形装置が用いられている。電子ビームを使用した三次元造形装置においては、金属粉末材料に電子ビームを照射した際に、帯電した金属粉末材料同士のクーロン力による反発によって金属粉末材料が飛散してしまう。このため、金属粉末材料に対して電子ビームを照射する際には、金属粉末材料の帯電を抑制することが必要である。
金属粉末材料への帯電を防止するためには、金属粉末材料に対して電子ビームを照射する前に、金属粉末材料を予備加熱して金属粉末材料の電気抵抗値を下げる必要がある。予備加熱において金属粉末材料をあらかじめ決められた温度に維持するためには、ベースプレートに対する保温性が重要である。
特許文献1には、三次元の造形物を造形する土台であるスタートプレートが、構築タンク内において、上下方向に移動可能な構築プラットフォーム上に配置された断熱材代わりの粉末材料の上に設置されることが記載されている。
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術のように、スタートプレート上に供給された三次元の造形物の造形用の粉末材料およびスタートプレートを電子ビームで加熱すると、スタートプレートを支持している断熱材代わりの粉末材料が徐々に焼結して強固に結合するとともに高温になることによって熱膨張する。
この結果、断熱材代わりの粉末材料の仮焼結が徐々に進行することによって、断熱材代わりの粉末材料のスタートプレートに対する断熱性が次第に低下してしまう、という問題があった。すなわち、上記特許文献1に記載の技術は、粉末材料に電子ビームを照射した際の粉末材料の飛散を防止する観点で改良の余地がある。
また、造形物の造形中における長時間の加熱によって、スタートプレートの周囲の粉末材料と構築タンクとが固着し、メンテナンス作業の負荷が増大する、という問題があった。
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、三次元造形物の材料となる造形用粉末を保温して造形用粉末に電子ビームを照射した際の粉末材料の飛散を防止するとともにメンテナンス作業が容易な三次元造形装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる三次元造形装置は、電子ビームの照射領域に供給された第1の粉末である造形用粉末を電子ビームの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物を造形する三次元造形装置である。三次元造形装置は、三次元造形物が造形される造形ボックスと、造形ボックスの内部に設けられて造形ボックスの高さ方向に移動可能な昇降ステージと、昇降ステージの上方に設けられて三次元造形物を造形する造形用粉末が供給されるベースプレートと、昇降ステージとベースプレートとの間に配置されてベースプレートを支持する支持用粉末層と、を備える。支持用粉末層は、第1の粉末と、第1の粉末とは異なる第2の粉末と、を含む2種類以上の粉末から構成されている。
本開示によれば、三次元造形物の材料となる造形用粉末を保温して造形用粉末に電子ビームを照射した際の粉末材料の飛散を防止するとともにメンテナンス作業が容易な三次元造形装置が得られる、という効果を奏する。
以下に、実施の形態にかかる三次元造形装置および三次元造形物の製造方法を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法が行われる三次元造形装置1の構成の一例を示す模式図である。図1は、三次元造形装置1を側面から見た状態を示している。
図1は、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法が行われる三次元造形装置1の構成の一例を示す模式図である。図1は、三次元造形装置1を側面から見た状態を示している。
三次元造形装置1は、後述する照射領域37に造形用粉末Aを供給した後に、造形用粉末Aを敷き均す。そして、三次元造形装置1は、造形用粉末Aに対して電子ビームBを照射することにより造形用粉末Aを溶融させ、その後、溶融した造形用粉末Aを凝固させる。三次元造形装置1は、これらの動作を繰り返して行うことによって、溶融固化した造形用粉末Aが堆積された三次元物体である三次元造形物Oの造形を行う。すなわち、三次元造形装置1は、電子ビームBの照射領域37に供給された造形用粉末Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物Oを製造する。
本実施の形態1にかかる三次元造形装置1は、電子ビーム出射部2と、造形部3と、制御部4と、を備える。なお、以下の説明において、上下方向は、電子ビーム出射部2から電子ビームBが出射される方向に平行な方向であり、鉛直方向に対応する。
電子ビーム出射部2は、電子ビームBを出射して、造形部3に配置された造形用粉末Aに対して電子ビームBを照射する。電子ビーム出射部2から出射された電子ビームBは、照射領域37に敷き均された造形用粉末Aに照射される。電子ビームBが造形用粉末Aに照射されることにより、造形用粉末Aは溶融し、その後、凝固する。また、電子ビーム出射部2は、三次元造形物Oの造形を行う前に造形用粉末Aに対して電子ビームBを照射し、造形用粉末Aの予備的な加熱を行う。造形用粉末Aの予備的な加熱は、例えば三次元造形物Oの造形時よりもエネルギーの低い電子ビームBが造形用粉末Aに対して照射される。
電子ビーム出射部2は、電子銃部21と、収束コイル22と、偏向コイル23と、を備える。電子銃部21と収束コイル22と偏向コイル23とは、例えば、電子ビーム出射部2の筐体であって筒状を呈するコラム24の内部に設置される。
電子銃部21は、制御部4と電気的に接続されている。電子銃部21は、制御部4から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に基づいて作動する。電子銃部21は、電子ビームBを出射する。電子銃部21は、例えば、電子銃部21の下方に向けて電子ビームBを出射する。本実施の形態1では、電子銃部21は、電子銃部21の下方に向けて鉛直方向下向きに電子ビームBを出射するものとする。
収束コイル22は、制御部4と電気的に接続されている。収束コイル22は、電子ビームBを収束させる。偏向コイル23は、制御部4と電気的に接続されている。偏向コイル23は、制御部4から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に基づいて作動する。偏向コイル23は、制御信号に基づいて電子ビームBの照射位置を調整する。偏向コイル23は、電子ビームBの電磁的なビーム偏向を行う。したがって、偏向コイル23は、機械的なビーム偏向と比べて、電子ビームBの照射時における走査速度を高速なものとすることができる。
制御部4は、三次元造形装置1の装置全体の制御を行う電子制御ユニットである。制御部4は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含むコンピュータにより実現される。制御部4は、後述する昇降ステージ35を昇降させる制御である昇降ステージ35の昇降制御、後述するシャッター42を開閉させる制御であるシャッター42の開閉制御、後述するスキージ33を作動させる制御であるスキージ33の作動制御、電子ビームBの出射の制御である電子ビームBの出射制御、および偏向コイル23を作動させる制御である偏向コイル23の作動制御を実行する。
制御部4は、昇降ステージ35の昇降制御として、後述する昇降機32に制御信号を送信することにより、昇降機32を作動させる。昇降機32の作動によって、昇降ステージ35の上下位置が調整される。制御部4は、後述するベースプレート31上へ所望の粉末供給量の造形用粉末Aが供給されるように、シャッター42に対して制御信号を送信して、シャッター42の開閉を作動させる。シャッター42の開閉によって、所望の粉末供給量の造形用粉末Aが、照射領域37および照射領域37の周辺を含むベースプレート31上へ供給される。制御部4は、スキージ33の作動制御として、電子ビームBの出射前にスキージ33を作動させる。スキージ33の作動によって、ベースプレート31上に配置された造形用粉末Aが均される。制御部4は、電子ビームBの出射制御として、電子銃部21に制御信号を送信する。制御部4から電子銃部21に送信された制御信号に基づいて、電子銃部21から電子ビームBが出射される。
制御部4は、偏向コイル23の作動制御として、偏向コイル23に制御信号を送信する。制御部4から偏向コイル23に送信された制御信号に基づいて、電子ビームBの照射位置が制御される。例えば、制御部4には、造形すべき物体の三次元CAD(Computer-Aided Design)データが入力される。制御部4は、入力された三次元CADデータに基づいて、造形すべき三次元造形物Oを二次元においてスライスしたときのデータである二次元のスライスデータを生成する。スライスデータは、例えば、造形すべき三次元造形物Oの水平断面のデータである。スライスデータは、上下方向における位置に対応した多数のデータの集合体である。制御部4は、スライスデータに基づいて、造形用粉末Aに対して電子ビームBを照射する領域である照射領域37を決定する。照射領域37は、造形用粉末Aに対して電子ビームBが照射されて三次元造形物Oが形成される造形領域といえる。そして、制御部4は、決定した照射領域37に対応して、偏向コイル23に制御信号を送信する。
造形部3は、所望の三次元造形物Oが造形される部位である。造形部3は、チャンバ30内に造形用粉末Aが配置される。造形部3は、チャンバ30の内部に、ベースプレート31と、昇降機32と、スキージ33と、ホッパ34と、昇降ステージ35と、造形ボックス36と、輻射シールド38と、シャッター42と、を備える。チャンバ30内は、真空またはほぼ真空な状態である。
ベースプレート31は、造形ボックス36の内部において昇降ステージ35の上方に配置され、造形用粉末Aが供給され、また造形用粉末Aおよび造形される三次元造形物Oを支持する。三次元造形物Oは、ベースプレート31上で造形される。ベースプレート31は、例えば矩形状の板状体である。ベースプレート31は、矩形状の板状体の他に、円状の板状体であってもよい。ベースプレート31は、電子ビーム出射部2から出射される電子ビームBの出射方向の延長線上に配置されている。本実施の形態1では、電子ビーム出射部2から出射される電子ビームBの出射方向は、電子銃部21から鉛直方向下向きの方向である。ベースプレート31は、例えば、面内方向が水平方向と平行とされて設けられる。ベースプレート31は、ベースプレート31の下方に設置されている昇降ステージ35に、支持用粉末層39を介して支持されている。ベースプレート31は、昇降ステージ35と共に上下方向に移動する。
昇降機32は、ベースプレート31の下方に設置され、ベースプレート31を支持するとともにベースプレート31を昇降させる。昇降機32は、制御部4と電気的に接続されている。昇降機32は、制御部4から送信される制御信号を受信し、受信した制御信号に基づいて作動する。昇降機32は、昇降ステージ35と共にベースプレート31を上下方向に移動させることにより、上下方向におけるベースプレート31の位置を調節することができる。
例えば、昇降機32は、三次元造形装置1における三次元造形物Oの造形の初期において昇降ステージ35と共にベースプレート31を上方へ移動させる。昇降機32は、ベースプレート31上における造形用粉末Aの溶融および凝固によって造形用粉末Aが積層されるごとに、ベースプレート31を降下させる。昇降機32は、ベースプレート31を昇降できる構造のものであれば、構造は特に制限されない。
造形ボックス36は、三次元造形物が造形される領域であり、例えば、角筒状に形成されている。造形ボックス36の角筒状の軸方向は、ベースプレート31の移動方向、すなわち上下方向と平行とされている。角筒状の軸方向と垂直な面における造形ボックス36の断面形状は、ベースプレート31の外形形状と相似な形状である、矩形形状である。角筒状の軸方向と垂直な面は、水平方向と平行な面である。したがって、角筒状の軸方向と垂直な面における造形ボックス36の断面は、水平断面である。
昇降ステージ35の面内方向における外形形状は、造形ボックス36の水平断面の内側形状に対応している。つまり、造形ボックス36の内側形状が水平断面で矩形である場合、昇降ステージ35の外形形状も矩形である。これにより、造形ボックス36に供給される粉末は、昇降ステージ35の下方へ漏れ落ちにくくなる。また、粉末が昇降ステージ35の下方へ漏れ落ちることを抑制するために、昇降ステージ35の外縁部にシール部材40を設ける。なお、造形ボックス36の水平断面の内側形状の形状は、矩形に限定されない。造形ボックス36の形状は、水平断面円形の円筒状であってもよい。
シール部材40は、昇降ステージ35と造形ボックス36との間を埋めるように配置されている。昇降ステージ35と造形ボックス36との間にシール部材40を備えることによって、支持用粉末層39を構成する粉末が昇降ステージ35よりも下方に落下および侵入することを防止することができる。シール部材40は、電子ビームBにより受けた熱が伝わることによる高温下にも耐えるための耐熱性と、上下動する昇降ステージ35と造形ボックス36の側面との摺動に耐えるための柔軟性と、を有する必要がある。シール部材40には、例えば、編組パッキン、金属パッキン、積層パッキンおよび黒鉛パッキンなどのシール材を用いることができる。シール部材40を構成する材料としては、炭化繊維およびアラミド繊維などの有機繊維、炭素繊維および金属繊維などの無機繊維を適宜用いることができる。
スキージ33は、ベースプレート31の上に配される造形用粉末Aをベースプレート31上において敷き均す。スキージ33は、例えば、棒状の部材または板状の部材が用いられる。スキージ33は、これらの部材を水平方向に移動させることにより、造形用粉末Aの表面を敷き均す。スキージ33は、図示しないアクチュエータおよび機構により移動させられる。なお、造形用粉末Aを敷き均す機構としては、スキージ33以外の機構を用いることができる。
ホッパ34は、チャンバ30の内部においてあらかじめ決められた高さに支持され、造形用粉末Aを収容する収容タンクである。ホッパ34は、造形用粉末Aが収納される粉末収納部341と、ホッパ34の下部、すなわち粉末収納部341の下部に形成されて造形用粉末Aをホッパ34の外部に排出する排出口342と、を有する。排出口342から排出された造形用粉末Aは、ベースプレート31上へ供給される。または、排出口342から排出された造形用粉末Aは、スキージ33によってベースプレート31上へ供給される。なお、ホッパ34とシャッター42とにより、ベースプレート31の上に造形用粉末Aを供給してする粉末供給部が構成される。
輻射シールド38は、チャンバ30の内部においてあらかじめ決められた高さに支持され、ベースプレート31上において電子ビームBが照射される領域である照射領域37の全体を覆うように設けられている。輻射シールド38は、上面視において照射領域37の全体を覆って設けられており、照射領域37の面方向において照射領域37の全体を含むように設けられている。照射領域37の面方向は、水平方向に平行な方向であり、電子ビームBの進行方向に垂直な面に平行な方向である。
輻射シールド38は、下底部分が開放されて内部が中空とされた四角錐台形状を有する。輻射シールド38は、電子ビームBが通る中空部である中空部381を有する。輻射シールド38は、四角錐台形状の下底部分および上底部分が水平方向に平行とされて配置されている。輻射シールド38の形状は、水平断面円形の円筒状であってもよい。
輻射シールド38の外形形状および中空部381は、側面視において下方へ向かうほど幅が広がる台形状、すなわち照射領域37に近いほど幅が広がる台形状を有し、側面視において下方へ向かうほど水平方向に平行な方向の断面積が大きくなっている。また、輻射シールド38が設置される高さは、スキージ33の移動を妨げない範囲であれば、特に限定されない。
輻射シールド38は、電子ビーム出射部2と対向する開口部383が上端面382に設けられている。そして、輻射シールド38は、電子ビームBが通る中空部381が上端から下端にわたって内部に形成されているため、電子ビーム出射部2から照射領域37への電子ビームBの照射が輻射シールド38に妨げられることはない。
造形用粉末Aは、固化して三次元造形物Oを構成する粉末状の材料である。造形用粉末Aは、電子ビーム出射部2から出射された電子ビームBが照射されることで溶融凝固または焼結する。造形用粉末Aとしては、例えば金属粉末が用いられる。具体的には、金属粉末に用いられる金属としては、チタン、ニッケル、コバルト、鉄、銅、アルミニウム、およびこれらの金属を含む合金が多く利用されるが、これらに限定されない。上記に示した金属粉末のなかでも、造形用粉末Aとして銅またはアルミニウムといった、金属において相対的に固着しやすい金属の粉末を用いる場合、後述する本実施の形態1における効果がより有効である。
造形用粉末Aは、ホッパ34の排出口342からつまりなく排出され、また、スキージ33で均一に敷き均されるために、流動性の高い粉末が好ましい。このため、造形用粉末Aとしては、球状に近い形状の粒子を使用することが好ましい。また、造形用粉末Aの粒径は、電子ビームで確実に固化させることができ、かつ表面精度の高い三次元造形物Oを得るために、一般的には20マイクロメートル以上、150マイクロメートル以下程度の粒径の粉末が用いられることが多い。本実施の形態1における造形用粉末Aには、50マイクロメートル以上、100マイクロメートル以下程度の粒径を有する粉末を用いることとする。ただし、造形用粉末Aに使用可能な粉末の粒形は、これに限定されるものではない。
造形用粉末Aには、三次元造形物Oの所望の特性を得るために、不純物の少ない組成が求められる。例えば、造形用粉末Aの表面の酸化が過度に進行した場合、三次元造形物Oの機械的特性として脆くなる、また、ボイドが増える、などの悪影響が懸念される。したがって、造形用粉末Aは、酸化が抑制された清浄な表面となるように、高温高湿を避けるなどの製造上および保管上の配慮が行われる。
支持用粉末層39は、昇降ステージ35とベースプレート31との間、すなわち昇降ステージ35の上に配置され、ベースプレート31を支持するために設けられる。支持用粉末層39は、第1の粉末である造形用粉末Aと、造形用粉末Aとは異なる第2の粉末Zとが混合されて構成されている。すなわち、支持用粉末層39は、造形用粉末Aと第2の粉末Zとが混合された混合粉末層である。上下方向において、支持用粉末層39の最表面は、ベースプレート31の最表面と同等の位置か、ベースプレート31の最表面より下方の位置に配置されている。ここでの、支持用粉末層39の最表面は、上下方向における、支持用粉末層39の上面を意味する。また、ここでのベースプレート31の最表面は、ベースプレート31の上面を意味する。
三次元造形物Oの造形の際には、支持用粉末層39の最表面の上には、造形用粉末Aが敷き均された造形用粉末層A’が形成される。さらに、三次元造形物Oの造形中には、造形用粉末Aがスキージ33によって照射領域37に薄く敷き均され、電子ビームBによって造形用粉末Aの予熱と固化とが行われる。
もしも、支持用粉末層39の最表面がベースプレート31の最表面より上方に突出していると、スキージ33で造形用粉末Aを敷き均す際に、第2の粉末Zがスキージ33の動作に干渉するため、照射領域37への造形用粉末Aの粉末供給を安定して行うことができない。また、支持用粉末層39の粉末が照射領域37に供給されてしまうおそれがある。
図2は、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法における支持用粉末層39における粉末の状態を示す模式図である。支持用粉末層39は、第1の粉末である造形用粉末Aと、第2の粉末Zと、から構成されている。実施の形態1における支持用粉末層39において、第2の粉末Zは、造形用粉末Aからなる粉体の中に点在するように分布している。すなわち、図2においては、実施の形態1における支持用粉末層39において、第2の粉末Zの添加量が、第2の粉末Zが互いに接触しない程度の添加量である場合を示している。
実施の形態1における支持用粉末層39において、造形用粉末Aの体積と第2の粉末Zの体積との合計に対する、第2の粉末Zの体積が占める割合は、10%以上、65%以下である。この場合、支持用粉末層39において第2の粉末Z同士が互いに結合せず流動しやすい状態にすることが可能となる。第2の粉末Zの体積が占める割合が10%を下回ると、支持用粉末層39において第2の粉末Z同士が互いに結合せず流動しやすい状態になるという効果が得られない。また、第2の粉末Zの体積が占める割合が65%よりも多く混合するためには、後述の実施の形態2の方法が好ましい。
第2の粉末Zには、造形用粉末Aとの結合のしにくさ、小さい熱伝導率、造形時に変質しない耐熱性、および小さい熱膨張率であることが求められる。本実施の形態1における造形用粉末Aが金属粉末であることを考慮すると、造形用粉末Aと比較して上記の諸特性を満足する材料として、セラミックスが好適である。第2の粉末Zの材料として例えば、ジルコニア、コージライト、ステアタイト、フォルステライト、ムライト、イットリア、サーメット、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、マコール、窒化ボロン、マセライト、石英などが考えられるが、これに限定されるものではない。
第2の粉末Zの形状は、造形中の長時間の加熱による支持用粉末層39の粉末と造形ボックス36との固着を抑制する流動性を維持するために、球状または球状に近い形状が好ましい。造形中における支持用粉末層39の粉末の流動性を向上させることにより、造形中の長時間の加熱による支持用粉末層39の粉末と造形ボックス36との固着を抑制することができる。したがって、造形用粉末Aも真球度の高い粉末が用いられることが多いことと合わせて、球状または球状に近い形状を有する第2の粉末Zと上述した造形用粉末Aとにより、造形中の長時間の加熱による支持用粉末層39の粉末と造形ボックス36との固着を抑制する流動性を維持して、造形中に長時間加熱されても造形ボックス36に固着のしにくい支持用粉末層39を得ることができる。
第2の粉末Zの粒径は、造形用粉末Aの粒径より大きな粒径とすることができる。本実施の形態1で示した造形用粉末Aの粒径は、前述の通り50マイクロメートル以上、100マイクロメートル以下程度とされる。この場合、第2の粉末Zの粒径は、0.5ミリメートル以上、10.0ミリメートルとすることができる。第2の粉末Zの粒径を造形用粉末Aより大きくすることにより、造形用粉末Aの固着を抑えることができる。すなわち、ベースプレート31の断熱性を維持する効果、支持用粉末層39と造形ボックス36の固着を抑制する効果が得られる。加えて、三次元造形物Oの造形後に、支持用粉末層39を構成する造形用粉末Aと第2の粉末Zとをふるい分けて再利用することを容易にする効果も得ることができる。
さらに、造形ボックス36の側面と昇降ステージ35との間隙の寸法に比べて、第2の粉末Zの粒径の方が大きいことが好ましい。第2の粉末Zの粒径を上記隙間の寸法よりも大きくすることによって、摺動する造形ボックス36の側面と昇降ステージ35との間に第2の粉末Zが侵入することによって造形ボックス36の側面と昇降ステージ35との摺動性が損なわれることを、防止できる。
つぎに、上述した構成を有する実施の形態1にかかる三次元造形装置1を用いた三次元造形物Oの製造方法について説明する。三次元造形物Oの製造方法の概要について説明する。図3は、実施の形態1にかかる三次元造形装置1の動作の手順を示すフローチャートである。
まず、ステップS10において、造形用粉末Aの供給工程が行われる。造形用粉末Aの供給工程では、制御部4は、ベースプレート31上へ所望の粉末供給量の造形用粉末Aが供給されるように、シャッター42に対して制御信号を送信して、シャッター42の開閉制御を行う。これにより、所望の粉末供給量の造形用粉末Aが、照射領域37および照射領域37の周辺を含むベースプレート31上へ供給される。
つぎに、ステップS20において、予備加熱工程が行われる。予備加熱工程では、三次元造形物Oの造形を行う前に電子ビーム出射部2が、ベースプレート31上の照射領域37に配置された造形用粉末Aに対して電子ビームBを照射し、照射領域37に配置された造形用粉末Aの表面をあらかじめ決められた温度に昇温させる造形用粉末Aの予備的な加熱である予備加熱を行う。これにより、ベースプレート31上の照射領域37に配置された造形用粉末Aの表面をあらかじめ決められた昇温温度に維持することができる。あらかじめ決められた昇温温度は、照射領域37に配置された造形用粉末Aに電子ビームBが照射されても造形用粉末Aの飛散が生じない温度である。
つぎに、ステップS30において、電子ビームBの照射工程が行われる。電子ビームBの照射工程では、制御部4は、造形用粉末Aを溶融凝固させるための電子ビームBを電子ビーム出射部2から出射させて、照射領域37に配置された造形用粉末Aに対して電子ビームBを照射させる。
照射領域37に配置された造形用粉末Aに電子ビームBが照射されると、電子ビームBが照射された造形用粉末Aが昇温して溶融するとともに、電子ビームBが照射された造形用粉末Aからベースプレート31の上方に向かって熱輻射が発生する。ここで、輻射シールド38は、照射領域37の全体の領域を上方から覆うように設けられているため、ベースプレート31の上方に向かう熱輻射の大部分を回収し昇温する。
輻射シールド38の表面が昇温すると、昇温した輻射シールド38の表面からは、ベースプレート31に配置された造形用粉末Aの表面に向かって熱輻射が発生する。そして、照射領域37に配置された造形用粉末Aを含む、ベースプレート31上に配置された造形用粉末Aは、昇温した輻射シールド38からの熱輻射によって昇温し、保温される。これにより、ベースプレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない造形用粉末Aは、昇温した輻射シールド38からの熱輻射によって昇温し、保温される。電子ビームBが照射されていない造形用粉末Aは、昇温し、保温されることによって、造形用粉末Aへの電荷の蓄積が緩和され、帯電が抑制される。造形用粉末Aが保温される温度は、造形用粉末Aの融点未満の温度である。
また、照射領域37において電子ビームBが照射されて昇温した造形用粉末Aからは、電子ビームBが照射されていない造形用粉末Aへの熱移動が発生する。これにより、ベースプレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない造形用粉末Aは、電子ビームBが照射されて昇温した照射領域37の造形用粉末Aからの熱移動によっても昇温し、保温される。造形用粉末Aが保温される温度は、造形用粉末Aの融点未満の温度である。
つぎに、ステップS40において、制御部4は、三次元造形物Oの造形が完了したか否かを判定する。三次元造形物Oの造形が完了したと判定された場合は、ステップS40においてYesとなり、制御部4は、一連の三次元造形物Oの造形の制御処理を終了する。三次元造形物Oの造形が完了していないと判定された場合は、ステップS40においてNoとなり、制御部4は、ステップS10に戻り、三次元造形物Oの造形の制御処理を継続する。
つぎに、本実施の形態1において、支持用粉末層39を設けてベースプレート31をセッティングする手順について説明する。具体的に、以下では、電子ビームBの照射領域37に供給された造形用粉末Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返す前の、ベースプレート31のセッティング工程の手順について説明する。
図4は、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示すフローチャートである。図5は、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第1の模式図である。図6は、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第2の模式図である。図7は、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第3の模式図である。図8は、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第4の模式図である。なお、図5から図8においては、三次元造形装置1における造形ボックス36の周辺の構成について注目して示している。
あらかじめ、支持用粉末層39における造形用粉末Aの体積と第2の粉末Zの体積とが所望の割合となるよう定量された第1の粉末である造形用粉末Aと第2の粉末Zとが、均一になるように混合される。造形用粉末Aと第2の粉末Zとを混合する装置は、例えば、容器回転型の混合機、容器を固定してスクリューを用いる混合機、容器を固定して振動を用いる混合機などのうちから適宜選択することができる。
ステップS110において、昇降ステージ35が、図5に示すように上下方向においてあらかじめ決められた位置に配置される。具体的に、制御部4が昇降機32に制御信号を送信することにより、昇降機32を作動させる。昇降機32の作動によって、昇降ステージ35の上下位置があらかじめ決められた位置に調整される。図5では、ベースプレート31と支持用粉末層39とが配置される前の初期状態であり、昇降ステージ35があらかじめ決められた上下位置に配置された状態が示されている。
つぎに、ステップS120において、混合された造形用粉末Aと第2の粉末Zとが、図6に示すように造形ボックス36内の昇降ステージ35上に流し込まれる。具体的に、造形用粉末Aと第2の粉末Zとが混合された混合粉末が、上下方向における混合粉末の表面の位置が造形ボックス36の上面よりも低いあらかじめ決められた位置とされて流し込まれて詰められる。
これにより、造形用粉末Aと第2の粉末Zとが混合された混合粉末層である支持用粉末層39が、造形ボックス36内の昇降ステージ35上に設けられる。図6では、造形ボックス36の内部における昇降ステージ35の上の空間に混合粉末が流し込まれた後の状態を示している。このように、ベースプレート31を設置する前に、あらかじめ支持用粉末層39が設けられる。すなわち、ステップS120は、造形ボックス36の内部における昇降ステージ35の上の空間に第1の粉末である造形用粉末Aと第2の粉末Zとを含む混合粉末を詰めることにより支持用粉末層39を形成する工程である。
つぎに、ステップS130において、ベースプレート31が、図7に示すように支持用粉末層39の上に載置される。具体的に、ベースプレート31が、ベースプレート31と昇降ステージ35とが平行となるように、支持用粉末層39の上に載置される。このとき、ベースプレート31の自重によって支持用粉末層39が流動し、ベースプレート31が一定程度、沈み込む。
ここで、上下方向において、ベースプレート31の最表面の位置は、支持用粉末層39の最表面と同一、または支持用粉末層39の最表面より上方でなければならない。もしも、支持用粉末層39の最表面がベースプレート31の最表面より上方に突出していると、スキージ33で造形用粉末Aを敷き均す際に、支持用粉末層39がスキージ33の動作に干渉し、照射領域37への造形用粉末Aの供給を安定して行うことができない。また、支持用粉末層39の粉末が照射領域37に供給されてしまうおそれがある。
また、この段階において、ベースプレート31の上面が水平となるように、ベースプレート31の傾きが調整されることが好ましい。また、ベースプレート31が傾かないように、ベースプレート31の底面を支持する不図示のピンが昇降ステージ35の上面に設けられてもよい。図7においては、支持用粉末層39の上に、ベースプレート31が載置された状態を示している。
つぎに、ステップS140において、造形用粉末層A’が、形成される。具体的に、不図示のスキージ33の動作によって造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末Aが供給されることにより、造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末層A’が設けられる。ここで、造形ボックス36内の空き空間は、造形ボックス36内における、造形ボックス36の内側面とベースプレート31との間の支持用粉末層39の上の空間である。図8では、造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末層A’が設けられた状態を示している。これにより、電子ビームBの照射領域37に供給された造形用粉末Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返す前のセッティングが完了する。
上述したように、本実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法においては、造形ボックス36内の昇降ステージ35とベースプレート31との間に支持用粉末層39を設けており、支持用粉末層39が造形用粉末Aと第2の粉末Zとから構成されているので、以下の効果を得ることができる。
造形用粉末Aのみによって構成された支持用粉末層が昇降ステージ35とベースプレート31との間に配置される場合、三次元造形物Oの造形中にベースプレート31およびベースプレート31上に配置された造形用粉末Aを電子ビームBで加熱すると、ベースプレート31の下部でベースプレート31を支持している支持用粉末層の温度が上昇し、造形用粉末Aの融点未満の高温になる。また、造形中に支持用粉末層の造形用粉末Aが高温になった場合、支持用粉末層の造形用粉末Aが徐々に焼結して強固に結合するとともに高温になることによって熱膨張する。この結果、支持用粉末層の造形用粉末Aの仮焼結が徐々に進行することによって支持用粉末層の断熱性が次第に低下する。すなわち、支持用粉末層によるベースプレート31に対する保温性が、次第に低下する。
また、造形中における長時間の加熱によって、ベースプレート31の周囲の造形用粉末Aが造形ボックス36に固着する、という問題が生じる。ベースプレート31の周囲の造形用粉末Aが造形ボックス36に固着した場合には、造形用粉末Aを造形ボックス36から剥がさなければならず、メンテナンス作業の負荷が増大する。
一方、三次元造形物Oの造形中にベースプレート31およびベースプレート31上に配置された造形用粉末Aを電子ビームBで加熱すると、ベースプレート31の下部でベースプレート31を支持している支持用粉末層39の温度が上昇し、造形用粉末Aの融点未満かつ第2の粉末Zの融点未満の高温になる。また、支持用粉末層39の造形用粉末Aと第2の粉末Zとは、高温になることによって熱膨張する。
第2の粉末Zは、造形中に高温になった場合における造形用粉末Aとの結合のし易さの程度が、造形中に高温になった場合における造形用粉末Aと造形用粉末Aとの結合のし易さの程度よりも低い。すなわち、造形中に昇温した第2の粉末Zは、造形中に昇温した造形用粉末Aに比べて、造形中に昇温した造形用粉末Aと結合し難い。
ここで、造形用粉末Aのみによって構成された支持用粉末層の保温性について説明する。造形用粉末Aのみによって構成された支持用粉末層の場合、造形前の段階では、造形用粉末Aが、互いに接触した状態となっている。このため、造形用粉末Aのみによって構成された支持用粉末層の場合は、造形前の段階では、造形用粉末Aと造形用粉末Aとの接触部の熱抵抗が大きい状態、すなわち保温性が良好な状態となっている。しかしながら、造形中に支持用粉末層が高温になると、造形用粉末A同士が、互いに焼結し、金属結合によって強固に結合され、造形用粉末A間の保温性が大きく損なわれる。
これに対して、第2の粉末Zと造形用粉末Aとから構成される支持用粉末層39の場合、造形中に支持用粉末層39が高温になっても、第2の粉末Zと造形用粉末Aとは焼結しづらく、互いに接触した状態のまま維持される。このため、支持用粉末層39は、造形中に高温になっても、保温性が維持される。
すなわち、第2の粉末Zと造形用粉末Aとから構成される支持用粉末層39は、造形用粉末Aのみによって構成された支持用粉末層に比べて、造形中に高温になった場合の保温性が高い。これにより、支持用粉末層39は、造形中に高温になった場合でも、断熱性が次第に低下することが防止され、支持用粉末層39によるベースプレート31に対する保温性の低下が防止される。
また、第2の粉末Zは、熱伝導率が造形用粉末Aの熱伝導率よりも小さい。これにより、三次元造形装置1は、昇降ステージ35とベースプレート31との間に配置される支持用粉末層が造形用粉末Aのみによって構成されている場合と比べて、ベースプレート31から支持用粉末層39に伝わった熱が造形ボックス36および昇降ステージ35などの周囲の構成部に伝わり難くなる。すなわち、支持用粉末層39は、支持用粉末層が造形用粉末Aのみによって構成されている場合と比べて、断熱性が向上する。
すなわち、支持用粉末層39は、第2の粉末Zの材料そのものの熱伝導率の低さにより、支持用粉末層が造形用粉末Aのみによって構成されている場合と比べて、断熱性が向上する。第2の粉末Zに用いられるセラミックスの熱伝導率は、造形用粉末Aに用いられる金属の熱伝導率に対して、非常に小さい。例えば、造形用粉末Aに用いられる金属材料であるアルミニウムの熱伝導率および銅の熱伝導率に対して、第2の粉末Zの材料として用いられるセラミックスの熱伝導率は、およそ1/100である。このように、支持用粉末層39は、支持用粉末層39に用いられる材料そのものの熱伝導率の低さを利用して、断熱性を向上させることができる。
また、第2の粉末Zは、造形中に高温になった場合における変質しない耐熱性を有する。このため、第2の粉末Zは、造形中に昇温しても温度上昇による変質に起因した断熱材としての機能の特性が変化しない。
また、限られた空間に配された粉末が熱膨張すると、粉末には圧縮力が発生する。造形中に高温になった場合、粉末同士の焼結がこの圧縮力に起因して、より一層進行し、粉末の保温性が損なわれる。すなわち、造形用粉末Aのみによって構成された支持用粉末層は、造形中に高温になった場合、熱膨張して、造形用粉末Aに圧縮力が発生する。そして、造形用粉末A同士の焼結が、この圧縮力に起因して、より一層進行し、支持用粉末層の保温性が損なわれる。
これに対して、支持用粉末層39は、第2の粉末Zの熱膨張係数が造形用粉末Aの熱膨張係数より小さいので、造形中に高温になった場合に発生する上述の圧縮力が軽減され、焼結の進行を抑えることができる。これにより、支持用粉末層39は、造形中に高温になっても、焼結の進行が抑えられるため、保温性が維持される。したがって、支持用粉末層39では、第2の粉末Zの熱膨張率の小ささが、造形中に高温になった場合の支持用粉末層39の保温性の維持に寄与し、支持用粉末層39によるベースプレート31に対する保温性の低下が防止される。
また、第2の粉末Zは、造形中に高温になった場合における熱膨張率が、造形中に高温になった場合における造形用粉末Aの熱膨張率よりも小さい。このため、造形中における長時間の加熱によって支持用粉末層39の粉末が造形ボックス36に固着することを抑制することができる。
上述した第2の粉末Zと造形用粉末Aとから構成される支持用粉末層39を用いることにより、三次元造形装置1では、造形用粉末Aのみによって構成された支持用粉末層が昇降ステージ35とベースプレート31との間に配置される場合と比べて、造形中において支持用粉末層39の断熱性が次第に低下することが防止され、支持用粉末層39によるベースプレート31に対する保温性の低下が防止される。
これにより、三次元造形装置1は、造形用粉末Aのみによって構成された支持用粉末層が昇降ステージ35とベースプレート31との間に配置される場合と比べて、ベースプレート31に対する保温性を向上させて、ベースプレート31上に配置された造形用粉末Aに対して予備加熱を行う場合に造形用粉末Aの表面をあらかじめ決められた温度に維持することができる。造形用粉末Aが保温される温度は、造形用粉末Aの融点未満の温度である。
これにより、三次元造形装置1では、ベースプレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない造形用粉末Aを、電子ビームBを照射しても造形用粉末Aの飛散が生じない温度に昇温させて保温することができ、ベースプレート31上に配置されて電子ビームBが照射されていない造形用粉末Aの帯電を抑制することができる。このため、三次元造形装置1では、昇温し、保温された造形用粉末Aに電子ビームBを照射して造形用粉末Aを溶融凝固させる際の、造形用粉末Aの飛散の発生を抑制することができる。
すなわち、三次元造形装置1は、照射領域37に配置された造形用粉末Aの表面を予備加熱により昇温し、かつ電子ビームBが照射されても造形用粉末Aの飛散が生じない温度に容易に維持することができる。そして、この効果は、造形処理が繰り返される場合、すなわち電子ビームBの照射領域37に供給された造形用粉末Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返す場合においても、変わらずに得られる。
また、支持用粉末層39を用いる三次元造形装置1では、造形中に高温になった場合における第2の粉末Zの熱膨張率が造形中に高温になった場合における造形用粉末Aの熱膨張率よりも小さい。このため、造形中に支持用粉末層39の粉末が造形ボックス36に押し付けられて密着する度合いが低減され、造形中における長時間の加熱によって支持用粉末層39の粉末が造形ボックス36に固着することを抑制することができる。これにより、造形ボックス36に固着した支持用粉末層39の粉末をはがす作業が不要であり、メンテナンス作業の負荷が増大することがない。
また、第2の粉末Zの形状が、球状または球状に近い形状として、造形中における支持用粉末層39の粉末の流動性を向上させることにより、造形中の長時間の加熱による支持用粉末層39の粉末と造形ボックス36との固着を抑制することができる。
これにより、三次元造形装置1の清掃およびメンテナンスが容易となる。また、支持用粉末層39の粉末を有効に再利用することができるため、支持用粉末層39の造形用粉末Aの使用量を削減できる。また、三次元造形装置1の清掃およびメンテナンスが容易となるため、造形前のベースプレート31の設置作業を簡便化できる。
一方、支持用粉末層が造形用粉末Aのみによって構成されている場合、造形中に支持用粉末層が高温になった場合、昇降ステージ35を昇降ステージ35の下部で支持している支持用粉末層が徐々に焼結して強固に結合するとともに高温になることによって熱膨張する。この結果、造形用粉末Aの仮焼結が徐々に進行することによって支持用粉末層の断熱性が次第に低下する。すなわち、支持用粉末層によるベースプレート31に対する保温性が、次第に低下する。また、造形中の長時間の加熱により、支持用粉末層の造形用粉末Aの造形ボックス36への固着が生じる。
なお、本実施の形態1では、支持用粉末層39が、第1の粉末である造形用粉末Aと、第1の粉末とは異なる第2の粉末Zとから構成される場合について説明しているが、第2の粉末Zが互いに異なる2種類以上の粉末であってもよい。すなわち、支持用粉末層39が、第1の粉末である造形用粉末Aと、第1の粉末とは異なる第2の粉末と、を含む2種類以上の粉末から構成されてもよい。この場合、第1の粉末とは異なる第2の粉末は、上述した第2の粉末Zの条件を満たす、互いに異なる2種類以上の粉末であればよい。この場合も、本実施の形態1における効果を得ることができる。
上述したように、実施の形態1によれば、三次元造形物Oの材料となるベースプレート31上の造形用粉末Aを支持用粉末層39を用いて保温して、ベースプレート31上の造形用粉末Aに電子ビームBを照射した際の造形用粉末Aの飛散を防止するとともに、メンテナンス作業が容易な三次元造形装置が得られる。
実施の形態2.
実施の形態2では、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1において、造形ボックス36の内部における昇降ステージ35の上の空間に第2の粉末Zを先に充填した後に、造形用粉末Aを第2の粉末Zのすき間に流し込むことによって、支持用粉末層39を形成する方法について説明する。
実施の形態2では、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1において、造形ボックス36の内部における昇降ステージ35の上の空間に第2の粉末Zを先に充填した後に、造形用粉末Aを第2の粉末Zのすき間に流し込むことによって、支持用粉末層39を形成する方法について説明する。
以下、本実施の形態2において、支持用粉末層39を設けてベースプレート31をセッティングする手順について説明する。具体的に、以下では、電子ビームBの照射領域37に供給された造形用粉末Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返す前の、ベースプレート31のセッティング工程の手順について説明する。
図9は、実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示すフローチャートである。図10は、実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第1の模式図である。図11は、実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第2の模式図である。図12は、実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第3の模式図である。図13は、実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第4の模式図である。図14は、実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第5の模式図である。なお、図10から図14においては、三次元造形装置1における造形ボックス36の周辺の構成について注目して示している。
実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法では、上述した実施の形態1の場合と異なり、支持用粉末層39を構成する造形用粉末Aと第2の粉末Zとはあらかじめ混合されない。
ステップS210において、昇降ステージ35が、図10に示すように上下方向においてあらかじめ決められた位置に配置される。図10では、ベースプレート31と支持用粉末層39とが配置される前の初期状態であり、昇降ステージ35があらかじめ決められた上下位置に配置された状態が示されている。
つぎに、ステップS220において、第2の粉末Zが、図11に示すように造形ボックス36内の昇降ステージ35上の空間に流し込まれる。具体的に、第2の粉末Zのみが、上下方向における第2の粉末Zの表面の位置が造形ボックス36の上面よりも低いあらかじめ決められた位置とされて流し込まれて詰められる。これにより、造形ボックス36の内部における昇降ステージ35の上に第2の粉末Zの層が形成される。第2の粉末Zは、あらかじめ、支持用粉末層39における造形用粉末Aの体積と第2の粉末Zの体積とが所望の割合となるよう定量されている。この段階で、第2の粉末Zが、実施の形態1の場合よりも造形ボックス36内に密に充填される。図11では、造形ボックス36の内部における昇降ステージ35の上の空間に第2の粉末Zのみが流し込まれた後の状態を示している。
つぎに、ステップS230において、造形用粉末Aが、造形ボックス36内の昇降ステージ35上に流し込まれる。具体的に、あらかじめ造形ボックス36内に充填された第2の粉末Zの層の上から、造形用粉末Aが流し込まれる。これにより、造形用粉末Aが、あらかじめ充填された第2の粉末Zのすき間を埋めるように第2の粉末Zの中に流れ込み、支持用粉末層39を形成することができる。図12では、あらかじめ充填された第2の粉末Zの層の中に造形用粉末Aが流れ込んで支持用粉末層39が設けられた状態を示している。このように、ベースプレート31を設置する前に、あらかじめ支持用粉末層39が設けられる。
すなわち、ステップS220およびステップS230は、造形ボックス36の内部における昇降ステージ35の上に第2の粉末Zを詰めた後に、造形ボックス36の内部に詰められた第2の粉末Zに第1の粉末である造形用粉末Aを流し込むことにより支持用粉末層39を形成する工程である。
つぎに、ステップS240において、ベースプレート31が、図13に示すように支持用粉末層39の上に載置される。具体的に、ベースプレート31が、ベースプレート31と昇降ステージ35とが平行となるように、支持用粉末層39の上に載置される。このとき、ベースプレート31の自重によって支持用粉末層39が流動し、ベースプレート31が一定程度、沈み込む。
ここで、上下方向において、ベースプレート31の最表面の位置は、支持用粉末層39の最表面と同一、または支持用粉末層39の最表面より上方でなければならない。また、この段階において、ベースプレート31の上面が水平となるように、ベースプレート31の傾きが調整されることが好ましい。また、ベースプレート31が傾かないように、ベースプレート31の底面を支持する不図示のピンが昇降ステージ35の上面に設けられてもよい。図13においては、支持用粉末層39の上に、ベースプレート31が載置された状態を示している。
つぎに、ステップS250において、造形用粉末層A’が、形成される。具体的に、不図示のスキージ33の動作によって造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末Aが供給されることにより、造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末層A’が設けられる。図14では、造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末層A’が設けられた状態を示している。これにより、電子ビームBの照射領域37に供給された造形用粉末Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返す前のセッティングが完了する。
図15は、実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法における支持用粉末層39における粉末の状態を示す模式図である。本実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法においては、先に第2の粉末Zが造形ボックス36内に充填された後に、第2の粉末Zの層に造形用粉末Aが流し込まれることによって支持用粉末層39が形成される。このため、実施の形態1においては支持用粉末層39の第2の粉末Zが造形用粉末Aからなる粉体の中に点在するように分布していたのに対して、実施の形態2における支持用粉末層39の第2の粉末Zは、およそ最密充填に近い程度に充填された状態となる。
この場合、支持用粉末層39において、造形用粉末Aの体積と第2の粉末Zの体積との合計に対する、第2の粉末Zの体積が占める割合は、50%以上、75%以下である。この場合、第2の粉末Z同士が互いに接触するため、支持用粉末層39が良好な流動性を得るためには、第2の粉末Z同士の接触抵抗の小ささが重要である。
そして、第2の粉末Z同士の接触抵抗を小さくするためには、第2の粉末Zの硬度は、大きい方が好ましい。具体的には、第2の粉末Z同士の接触抵抗を小さくするためには、第2の粉末Zのビッカース硬度が1000HV以上であることが好ましい。第2の粉末Zのビッカース硬度を1000HV以上とすることにより、造形中の長時間の加熱による支持用粉末層39の粉末と造形ボックス36との固着を抑制する流動性を維持して、造形中に長時間加熱されても造形ボックス36に固着のしにくい支持用粉末層39を得ることができる。
このように実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法では、第2の粉末Zの特性が支持用粉末層39の流動性に大きく影響を与える。したがって、第2の粉末Zの特性を適正に制御することにより、造形中の長時間の加熱による造形用粉末Aの造形ボックス36との固着のし易さによらず、支持用粉末層39の断熱性を維持しながら、造形中に長時間加熱されても造形ボックス36と固着し難い支持用粉末層39を得ることができる。
上述したように、本実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法によれば、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法によれば、あらかじめ第2の粉末Zを造形ボックス36内の昇降ステージ35上の空間に充填した後に、造形用粉末Aを第2の粉末Zの層の中に流し込んで支持用粉末層39を形成するため、支持用粉末層39における第2の粉末Zの割合を増やすことができる。これにより、固着しやすい造形用粉末Aを支持用粉末層39に用いた場合にも、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法と同様の効果が得られる。
実施の形態3.
実施の形態3では、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1において、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法および実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法とのうちのいずれかの方法で支持用粉末層39を設け、さらに支持用粉末層39の最表層に帯電防止シート41を配置する場合について説明する。以下、本実施の形態3において、支持用粉末層39を設けてベースプレート31をセッティングする手順について説明する。
実施の形態3では、上述した実施の形態1にかかる三次元造形装置1において、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法および実施の形態2にかかる三次元造形物の製造方法とのうちのいずれかの方法で支持用粉末層39を設け、さらに支持用粉末層39の最表層に帯電防止シート41を配置する場合について説明する。以下、本実施の形態3において、支持用粉末層39を設けてベースプレート31をセッティングする手順について説明する。
図16は、実施の形態3にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示すフローチャートである。図17は、実施の形態3にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第1の模式図である。図18は、実施の形態3にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第2の模式図である。図19は、実施の形態3にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第3の模式図である。図20は、実施の形態3にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第4の模式図である。図21は、実施の形態3にかかる三次元造形物の製造方法におけるベースプレートの設置手順を示す第5の模式図である。なお、図17から図21においては、三次元造形装置1における造形ボックス36の周辺の構成について注目して示している。
ステップS310において、上述したステップS110およびステップS210と同様に、昇降ステージ35が、図17に示すように上下方向においてあらかじめ決められた位置に配置される。図17では、ベースプレート31と支持用粉末層39とが配置される前の初期状態であり、昇降ステージ35があらかじめ決められた上下位置に配置された状態が示されている。
つぎに、ステップS320において、上述したステップS120と同様に、混合された造形用粉末Aと第2の粉末Zとが、図18に示すように造形ボックス36内の昇降ステージ35上に流し込まれる。これにより、造形用粉末Aと第2の粉末Zとが混合された混合粉末層である支持用粉末層39が、造形ボックス36内の昇降ステージ35上に設けられる。図18では、造形ボックス36の内部における昇降ステージ35の上の空間に混合粉末が流し込まれた後の状態を示している。このように、ベースプレート31を設置する前に、あらかじめ支持用粉末層39が設けられる。
なお、ここではステップS320において、上述した実施の形態1と同様の方法で支持用粉末層39が形成される場合について示しているが、上述した実施の形態2と同様の方法で支持用粉末層39が形成されてもよい。
つぎに、ステップS330において、上述したステップS130およびステップS240と同様に、ベースプレート31が、図19に示すように支持用粉末層39の上に載置される。図19においては、支持用粉末層39の上に、ベースプレート31が載置された状態を示している。
つぎに、ステップS340において、図20に示すように、支持用粉末層39の露出面上に帯電防止シート41が載置される。具体的に、上面視において、支持用粉末層39の上面のうちベースプレート31から露出している領域上に、帯電防止シート41が載置される。すなわち、帯電防止シート41は、造形ボックス36内の空き空間における支持用粉末層39上に配置される。ここで、造形ボックス36内の空き空間は、造形ボックス36内における、造形ボックス36の内側面とベースプレート31との間の支持用粉末層39の上の空間である。
つぎに、ステップS350において、図21に示すように、造形用粉末層A’が、形成される。具体的に、不図示のスキージ33の動作によって造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末Aが供給されることにより、造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末層A’が設けられる。ここで、造形ボックス36内の空き空間は、造形ボックス36内における、造形ボックス36の内側面とベースプレート31との間の帯電防止シート41の上の空間である。図21では、造形ボックス36内の空き空間に造形用粉末層A’が設けられた状態を示している。これにより、電子ビームBの照射領域37に供給された造形用粉末Aを電子ビームBの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返す前のセッティングが完了する。
帯電防止シート41は、第2の粉末Zが、電子ビームBの影響によって帯電することを防止するために設けられる帯電防止部である。第2の粉末Zがセラミックスである場合、セラミックスは帯電し易いため、第2の粉末Zが帯電し易くなる。造形用粉末層A’と支持用粉末層39との間に帯電防止シート41を設けることによって、支持用粉末層39の第2の粉末Zが帯電することに起因して造形用粉末層A’および造形用粉末層A’上に配置される造形用粉末Aが帯電することを防止することができる。これにより、造形用粉末層A’上に配置される造形用粉末Aおよびベースプレート31上に配置される造形用粉末Aの帯電を防止する効果をより確実に得ることができる。
帯電防止シート41は、造形ボックス36の内側面内部の形状に沿った外形形状と、ベースプレート31の面内方向におけるベースプレート31の外形形状に沿った開口部と、を有する枠状を呈する。すなわち、帯電防止シート41は、造形ボックス36の内側面内部の形状に沿った外形を有し、ベースプレート31の外形形状に沿った開口部が形成されている。帯電防止シート41は、ベースプレート31の外形形状が矩形である場合は、ロ字状の形状とされる。帯電防止シート41は、ベースプレート31の外形形状が円形である場合は、ドーナツ状の形状とされる。帯電防止シート41は、導電性に優れた材料が望まれることから、金属製または炭素製の板状の材料を用いることができる。
上述したように、本実施の形態3にかかる三次元造形物の製造方法によれば、実施の形態1にかかる三次元造形物の製造方法と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態3にかかる三次元造形物の製造方法によれば、ベースプレート31から露出した支持用粉末層39の最表層上に帯電防止シート41を備えるので、造形用粉末層A’上に配置される造形用粉末Aおよびベースプレート31上に配置される造形用粉末Aの帯電を防止する効果をより確実に得ることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 三次元造形装置、2 電子ビーム出射部、3 造形部、4 制御部、21 電子銃部、22 収束コイル、23 偏向コイル、24 コラム、30 チャンバ、31 ベースプレート、32 昇降機、33 スキージ、34 ホッパ、35 昇降ステージ、36 造形ボックス、37 照射領域、38 輻射シールド、39 支持用粉末層、40 シール部材、41 帯電防止シート、42 シャッター、341 粉末収納部、342 排出口、381 中空部、382 上端面、383 開口部、A 造形用粉末、A’ 造形用粉末層、B 電子ビーム、O 三次元造形物、Z 第2の粉末。
Claims (14)
- 電子ビームの照射領域に供給された第1の粉末である造形用粉末を前記電子ビームの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物を造形する三次元造形装置であって、
前記三次元造形物が造形される造形ボックスと、
前記造形ボックスの内部に設けられて前記造形ボックスの高さ方向に移動可能な昇降ステージと、
前記昇降ステージの上方に設けられて前記三次元造形物を造形する前記造形用粉末が供給されるベースプレートと、
前記昇降ステージと前記ベースプレートとの間に配置されて前記ベースプレートを支持する支持用粉末層と、
を備え、
前記支持用粉末層が、前記第1の粉末と、前記第1の粉末とは異なる第2の粉末と、を含む2種類以上の粉末から構成されていること、
を特徴とする三次元造形装置。 - 前記ベースプレートの上に前記第1の粉末を供給する粉末供給部と、
前記ベースプレートの上に供給された前記第1の粉末を前記ベースプレートの上において敷き均すスキージと、
を備え、
前記造形ボックスの高さ方向における前記支持用粉末層の上面の位置が、前記ベースプレートの上面と同じ位置であるか、前記ベースプレートの上面より下方の位置であること、
を特徴とする請求項1に記載の三次元造形装置。 - 前記第1の粉末が、金属材料の粉末であり、
前記第2の粉末が、セラミックスの粉末であること、
を特徴とする請求項1または2に記載の三次元造形装置。 - 前記第2の粉末の形状が、球状であること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の三次元造形装置。 - 前記第2の粉末の粒径が、前記第1の粉末の粒径よりも大きいこと、
を特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の三次元造形装置。 - 前記支持用粉末層の上面における前記ベースプレートから露出している領域に帯電防止部を備えること、
を特徴とする請求項1から5のいずれか1つに記載の三次元造形装置。 - 三次元造形物が造形される造形ボックスと、前記造形ボックスの内部に設けられて前記造形ボックスの高さ方向に移動可能な昇降ステージと、前記昇降ステージの上方に設けられて前記三次元造形物を造形する第1の粉末である造形用粉末が供給されるベースプレートと、前記昇降ステージと前記ベースプレートとの間に配置されて前記ベースプレートを支持する支持用粉末層とを備え、前記ベースプレートにおける電子ビームの照射領域に供給された前記第1の粉末を前記電子ビームの照射によって選択的に固化させる処理を繰り返すことにより三次元造形物を造形する三次元造形装置における三次元造形物の製造方法であって、
前記第1の粉末を前記照射領域に供給する供給工程と、
前記照射領域に供給された前記第1の粉末に前記電子ビームを照射して、前記照射領域に供給された前記第1の粉末の表面をあらかじめ決められた温度に昇温させる予備加熱工程と、
前記照射領域に供給された前記第1の粉末に前記電子ビームを照射する照射工程と、
を含み、
前記支持用粉末層が、前記第1の粉末と、前記第1の粉末とは異なる第2の粉末と、を含む2種類以上の粉末から構成されていること、
を特徴とする三次元造形物の製造方法。 - 前記供給工程では、前記ベースプレートの上に供給された前記第1の粉末をスキージによって前記ベースプレートの上において敷き均し、
前記造形ボックスの高さ方向における前記支持用粉末層の上面の位置が、前記ベースプレートの上面と同じ位置であるか、前記ベースプレートの上面より下方の位置であること、
を特徴とする請求項7に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記第1の粉末が、金属材料の粉末であり、
前記第2の粉末が、セラミックスの粉末であること、
を特徴とする請求項7または8に記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記第2の粉末の形状が、球状であること、
を特徴とする請求項7から9のいずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記第2の粉末の粒径が、前記第1の粉末の粒径よりも大きいこと、
を特徴とする請求項7から10のいずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記支持用粉末層の上面における前記ベースプレートから露出している領域に帯電防止部を配置すること、
を特徴とする請求項7から11のいずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記造形ボックスの内部における前記昇降ステージの上に前記第1の粉末と前記第2の粉末とを含む混合粉末を詰めることにより前記支持用粉末層を形成する工程を有すること、
を特徴とする請求項7から12のいずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。 - 前記造形ボックスの内部における前記昇降ステージの上に前記第2の粉末を詰めた後に、前記造形ボックスの内部に詰められた前記第2の粉末に前記第1の粉末を流し込むことにより前記支持用粉末層を形成する工程を有すること、
を特徴とする請求項7から12のいずれか1つに記載の三次元造形物の製造方法。
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