JP2022128432A - 編織物積層マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】 装着時に息苦しくなく軽快でありながら、空気中を浮遊する飛沫核等の微粒子が付着しにくいマスクを提供する。【解決手段】 放電性繊維を経糸または緯糸に含み、好ましくは目開30μm~550μmおよび/または目開き率20%~50%の平織、朱子織または綾織構造を有する放電性編織物2を最外層に備え、当該放電性編織物より内側の層として複合不織布フィルタ3,4,6を備えた編織物積層マスク1である。マスク本体9の側縁に放電性編織物のみからなる摘まみ部8を備え、顔が接する層上に、マスクを経由した吸気の流入領域を画定するように医療用のサージカルテープ7を配置すれば、医療従事者用に特に好適なものとなる。【選択図】 図2

Description

本発明は、編織物積層マスク、特に微粒子が付着しにくい編織物積層マスクに関するものである。
ウィルス感染して呼吸器疾患がある患者が医療現場で咳をした際、マスクの隙間から噴きこぼれたウィルスを含む飛沫は、空気中で水分が蒸発し微小な飛沫核となって空中を浮遊し、近隣で作業する医療従事者のマスク外表面に呼吸を通じて集中するか、またはマスクと顔と隙間から侵入する。
飛沫核が医療従事者の呼吸器に侵入することを防止するため、従来、医療従事者の装着するマスクとしてN95マスクが知られているが、息苦しいうえ、顔への密着性を保証するため、頬から後頭部にかけてゴム紐をかけることが多く、圧迫感があるにもかかわらず、フィットテスト時の密着性が常に保証されているとは限らない。またマスクを一時的に外す必要が生じたときにゴム紐を外すことは大変煩わしい作業になる。
衛生マスクの内側において、鼻と口の周りを覆うように粘着材を配置し、顔に直接貼り付けて密着性を高める提案がある(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4等)。
特開平11-128378号公報 特開平10-248948号公報 実全平03-075758号公報 実全昭56-133847号公報 意匠登録1676946号公報 特開2015-29568号公報 特開2005-245835号公報 国際公開第2018/003831号パンフレット
上記N95マスク、または、粘着材を配したマスクのいずれを使用した場合も、飛沫核は医療従事者の呼吸を通じてマスク外表面に付着することになる。したがって、マスクに触れること自体にウィルスへの接触感染リスクがあり、医療従事者はマスクを一旦装着すると作業が終了し廃棄するまでマスクに一切触れることができず、喉が乾いたときの水分補給や、聴覚障がい者との会話がしづらいという問題がある。
以上のような問題点に鑑み、本出願人は、衛生マスクの内側において、鼻と口の周りを覆うように医療用のサージカルテープを配したうえで、マスク本体の側縁に摘まみ部を設け、廃棄時や顔から一時的に剥がす必要がある時に、摘まみ部を指で摘まんで一部剥がすことで、ウィルスが付着している危険性が高いマスク外表面に極力触れないで済むようにする意匠提案をしている(特許文献5)。
しかしながら、そもそも飛沫核等の空気中を浮遊する微粒子を積極的に付着させる(捕捉する)ことに主眼をおいた検討はあっても(特許文献6)、付着しにくいようにする観点での検討は少ない。
本出願人は、放電性繊維が縞状または格子状に織り込まれた放電性生地を外側に配置し、マスク表面の帯電を防止し、これにより、マスク表面に埃塵や花粉等の付着を防止する提案をしている(特許文献7)。ここでの放電性生地は、「ニット地」なる表現から明らかなように、実質的には「編物」の表面にミシンで縞状または格子状に放電性繊維よりなる糸目を縫い付けたものである。
本出願人は、他にも、目開き長を20nm程度の微細なメッシュ状生地でできた静電防止フィルタと同じ材料を最外層に用いる提案をしている(特許文献8)。しかしながら、ここでいう「静電防止フィルタ」は、実質的にはポリエステル系繊維による布帛の表面に、放電性カーボンによるカーボン糸を糸目として縫い付けたものである。
上記現状に鑑み、本発明は、空気中を浮遊する飛沫核等の微粒子が付着しにくいマスクを提供する。
上記目的を達成するためになされた本発明の1つの側面は、布帛組織を構成する地糸(編糸または織糸)に放電性繊維を含む放電性編織物を最外層に備えた編織物積層マスクである。斯かる構成であると、空気中を浮遊する飛沫核等の微粒子が最外層に付着しにくくなり、より内側のメッシュ層または不織布層に侵入・付着する微粒子の絶対量を減らすことができる。
本明細書において「編織物積層マスク」とは、編物および/または織物を少なくとも1枚以上積層したマスクである。ここで、編物には、放電性編物が含まれ、織物には、放電性織物が含まれる。
本明細書において「放電性編織物」は、放電性編物と放電性織物との総称である。
本明細書において「積層」とは、吸気が全ての編織物を通過しうるように構成されていることを意味する。したがって、編織物とその他の材料とが、縫い合わせ、溶着等の手段により固定されている必要は必ずしもなく、重なりあっているだけでもよい。
本明細書において「最外層」とは、マスクの通常使用時に最も外側に位置する生地層を意味する。最外層は、縫い合わせ、溶着等の手段により内側の層と物理的に一体化していることは必須ではなく、例えば、不織布フィルタを収容するポケットの外側生地の全表面または一部の表面を構成していてもよい。
放電性編織物が、縮緬、クレープおよびオーガンジーから選択される平織の放電性織物であって、地糸に帯電防止剤を含む組成物がコーティングされているものであることが好ましい。斯かる構成であると、コストを低減しながらも安っぽさを感じさせず、一般用途にも商品展開が可能になり、微粒子が付着しにくい機能性も維持することができる。
上記編織物積層マスクは、上記放電性編織物が、放電性織物であって、目開30μm~550μmおよび/または目開き率20%~50%の平織、朱子織または綾織構造を有するものであることが好ましい。斯かる構成であると、装着時に息苦しくなく軽快でありながら、空気中を浮遊する帯電粒子や飛沫核等の微粒子が、放電性編織物の目開きをすり抜けにくく、また付着・蓄積しにくくすることができる。
上記編織物積層マスクは、上記不織布シートが、目付にして15g/m~50g/mの範囲内の不織布を少なくとも3枚重ね合わせたナイロン製のシートまたはポリエステル製のシートであることが好ましい。斯かる構成であると、マスク装着時に息苦しくなく軽快でありながら、微粒子捕集効率を飛躍的に向上できる。
上記編織物積層マスクは、マスク本体の側縁に放電性編織物のみからなる摘まみ部を備えたものであることが好ましい。斯かる構成であると、花粉、粉塵、飛沫核等の摘まみ部への付着量まで減らすことができ、マスクの一時的な着脱が衛生的かつ簡便に行えるようになる。
上記編織物積層マスクは、最も内側の層上に、顔に接着する医療用のサージカルテープを配置したものであると、耳掛け紐が不要になり、頬から後頭部にかけてゴム紐をかける必要もなくなり、肌から剥がす際も角質層を傷つけにくいため、快適なマスクとなる。
上記編織物積層マスクは、上記放電性編織物が、炭素繊維を含む糸とナイロン糸又はポリエステル糸との平織構造を有する放電性織物であることが好ましい。斯かる構成であると、通気性が高く、空気中を浮遊する帯電粒子を放電することができる。
上記編織物積層マスクは、さらに、当該放電性編織物より内側の層としてスパンボンド繊維層の間にスパンボンド繊維より細い繊維の層を挟んだ構造を有する複合不織布フィルタを備えたものであることが好ましい。斯かる構成であると、通気性の低下を抑制しながら、放電性編織物の目開きをすり抜けた微粒子の捕集効率やウィルス飛沫核の捕集効率を飛躍的に向上できる。
上記編織物積層マスクは、医療用のサージカルテープが、マスクを経由して鼻または口に入る吸気の流入経路を画定するように配置されたものとすることで、従来のN95マスクに匹敵する微粒子捕集性能を生かしつつ、装着感が軽快なマスクとすることができ、医療従事者用に特に好適なものとなる。
本発明によれば、飛沫核、花粉等の微粒子が付着しにくい編織物積層マスクを得ることができる。
本発明に係る編織物積層マスクの一実施形態を示す写真。 図1の編織物積層マスクの積層構造を示すA-A断面図。 炭素繊維とポリエステル糸との平織構造のパターン例を示す写真。 放電性編織物層を両側だけはみ出した状態で一体化した写真。 プリーツの形成機による形成工程を示す写真。 不織布マスクの撮影動画の連続キャプチャー写真。 編織物積層マスクの撮影動画の連続キャプチャー写真。 本発明に係る編織物積層マスクの他の実施形態の最内層側(上)と最外層側(下)の写真。
本発明を実施するための形態について以下に適宜図面を参照して説明する。
図1に示す本発明の編織物積層マスク1は、図2に示すように、マスク外表面を構成する最外層から、放電性編織物層2/第1の不織布フィルタ層3/第2の不織布フィルタ層4/鼻形状に適合するための成型ワイヤー5/第3の不織布フィルタ層6/医療用のサージカルテープ層7の順に積層された構造を有する。
放電性編織物層2は、布帛組織を構成する地糸(編物または織物の経糸もしくは緯糸。本明細書において、編糸または織糸とも称する)に放電性繊維を含む放電性編織物で構成されている。放電性編織物は、好ましくは、静電気を有する粒子を放電させ、または他のメッシュ層、部材と接触することによってそれ自体が静電気を帯びないように静電気を逃がす性質を有するメッシュである。地糸に放電性繊維を含んでいることにより、メッシュの目が粗い場合も布帛における放電性繊維の密度が増加して、静電気を逃がす性質を高めることができる。放電性繊維としては、金属繊維;炭素繊維;金属、カーボンブラック等の導電性物質を芯鞘繊維の芯部に配合した繊維;アルキレンオキサイド単位を有する親水性のポリマーを芯鞘繊維の芯部に配合した繊維;アルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタイン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、リン酸エステル、ポリエチレングリコールエステル、ポリオール、第4級アンモニウム化合物、ポリシロキサン、ポリオールアミン、塩化ポリビニル誘導体、複素環式添加剤等の帯電防止剤を含む組成物がコーティングされたポリプロピレン、ナイロンまたはポリエステル、レーヨン、アクリル繊維(但し、コーティングは繊維または布のいずれに対して行ってもよい。)等が挙げられる。導電性物質としては、カーボンナノファイバー、グラファイト、金属、導電性セラミック等が挙げられる。なお、導電性繊維は、放電性繊維の性質を備えていることが一般的であり、本明細書においては、放電性繊維の下位概念に相当する。
放電性編織物層2は、厚みが、通常0.05mm以上0.5mm以下のものを採用することができる。ここで厚みは、試験片の中心付近5点の厚さを厚みゲージで測定して得られた値の平均値である。
放電性編織物に含まれる放電性繊維の割合(混繊率)は、編織物を構成する繊維の総重量に占める割合で0.01重量%~100重量%である。放電性を高める観点から、好ましい下限は、3重量%以上、より好ましい下限は、5重量%以上、さらに好ましい下限は、30重量%以上、特に好ましい下限は、50重量%以上とすることができる。混繊率は、繊度測定器を用いて得られる値である。
放電性編織物層2は、目付にして30~450g/mの範囲のものであることが好ましい。十分な捕集性能の観点から、目付の好ましい下限は、40g/m、より好ましい下限は、50g/mである。通気性や圧力損失低減、コスト、装着時の重量感の観点から、目付の好ましい上限は、200g/m、より好ましい上限は、150g/mである。ここで目付は、JIS L 1096「織物及び編物の生地試験方法」に準じて測定される値である。
放電性編織物は、放電性編物である場合、緯編系では、平編、ゴム編、パール編、両面編、これらの変形組織等、経編系では、トリコット編、シングルラッセル編、ダブルラッセル編、ミラニーズ編、これらの変形組織等を挙げることができる。
放電性編織物は、放電性織物である場合、平織、朱子織、綾織または綟り織構造のいずれを有するものであってもよいが、なかでも通気性に優れていることから平織構造を有するものであることが好ましい。平織構造を有するものとしては、特に限定されず、FK-1107中シボチリメン(マスダ社製)等の縮緬;金巾;ブロード;ローン;ギンガム;羽二重;タフタ;ポプリン;モスリン;オックスフォード;ME-60Nメロンアムンゼン(マスダ社製)等のクレープ;デシン;ボイル;トロピカル;ポーラ;ファイユ;シフォン;ジョーゼット;オーガンジー等の生地を使用することができる。
平織構造は、非放電性繊維を地糸に含む場合、図3(a)に示すように放電性繊維を含む緯糸12と非放電性繊維を含む経糸14とを交互に上下に交叉させる織り方、図3(b)に示すように、緯糸として放電性繊維を含む糸12と非放電性繊維を含む糸13とを交互に織り込み、経糸として非放電性繊維を含む糸14を使用した織り方のいずれであってもよい。
非放電性繊維を含む糸13、14は、ポリプロピレン糸、ナイロン糸およびポリエステル糸からなる群より選択される1種または2種以上であってもよいが、編織物積層マスクの製造工程で放電性編織物と不織布フィルタとを溶着する場合は、不織布フィルタに使用する材料と同一の材料を選択することが好ましい。
非放電性繊維を含む糸13、14は、食品グレードでない従来公知のポリプロピレン糸、ナイロン糸、ポリエステル糸、レーヨン糸およびアクリル糸のほか、米国食品医薬品局(FDA)が指定する間接食品添加物:ポリマー(indirect food additives: polymer)のtitle21,part177.1500(ナイロンについて)、および、title21, part 177.1630(ポリエステルについて)を満たすグレードを採用することもできる。放電性編織物は、欧州連合食品接触材料規則(EC) No 1935/2004を満たすグレードであることが好ましい。
放電性編織物は、放電性織物である場合、目開30μm~550μmおよび/または目開き率20%~50%を有することが好ましい。目開が30μm未満であると、通気性が低下し圧力損失が高まり、息苦しさを感じる場合があり、550μmを超えると、目開きをすり抜ける微粒子が増えてしまい、微粒子の侵入抑制機能が発揮されない場合がある。目開のより好ましい上限は、120μmである。同様に、目開き率が20%未満であると、通気性が低下し圧力損失が高まり、息苦しさを感じる場合があり、50%を超えると、目開きをすり抜ける微粒子が増えてしまい、微粒子の侵入抑制機能が発揮されない場合がある。目開き率のより好ましい上限は、45%、より好ましい下限は、23%である。
放電性編織物は、放電性織物である場合、例えば、メッシュ(経糸/緯糸)が56/64(/cm)~200/104(/cm)の範囲となるように構成することができる。
放電性編織物は、非放電性繊維を含む糸について糸径が30μm~250μmであることが好ましく、放電性繊維を含む糸について糸径が40μm~150μmであることが好ましいが特に限定されるものではない。
図1に示す本発明の編織物積層マスク1は、放電性編織物層2の側から見て、吸気が流入するマスク本体9の左側縁下端と右側縁上端に放電性編織物からなる摘まみ部8を備えている。本実施形態における摘まみ部8は、不織布フィルタ層3,4,6の左右両側から放電性編織物がはみ出るように大きめに裁断して、不織布フィルタ層3,4,6と縫い合わせて図4のように一体化したのち、余り幅22の一部を裁断し、折り返して2枚重ねとして縫い合わせることで作成している。
第1、第2および第3の不織布フィルタ層3,4,6は、不織布フィルタで構成されている。不織布フィルタは、目付にして15g/m~50g/mの範囲内の不織布を少なくとも3枚重ね合わせた構造を有する。目付が上記範囲内であると、十分な捕集性能を確保しつつ通気性や圧力損失を低減する観点から、好適なものとなる。それぞれの不織布の目付量は、同じであってもよいし、異なっていてもよいが、目付の合計は、十分な捕集性能の観点から、好ましい下限は、45g/mであり、通気性や圧力損失低減の観点から、好ましい上限は、100g/mである。ここで目付は、JIS L 1913「一般不織布試験方法」の6.2に準じて測定される値である。
第1、第2および第3の不織布フィルタ3,4,6は、厚みが、0.05mm以上1.0mm以下であることが好ましい。ここで厚みは、JIS L 1913「一般不織布試験方法」の6.1に準じて測定される値である。
不織布としては、ケミカルボンド不織布、サーマルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、スパンレース不織布等の短繊維不織布;スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布、SMMS不織布等の長繊維不織布、またはこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
一実施形態において、不織布は、スパンボンド繊維層の間にメルトブロー法で得られたスパンボンド繊維より細い繊維の層を挟んだ構造[SMS構造]を有する複合不織布フィルタである。かかる複合不織布フィルタとしては、例えば、プレシゼCC5020、プレシゼCA1050(旭化成社製)等を採用することができる。
不織布の材料としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ナイロン又はポリエステル等が挙げられる。
図1に示す本発明の編織物積層マスク1は、第3の不織布フィルタ層6上に、医療用のサージカルテープ層7を配置したものである。医療用のサージカルテープの隣り合う辺の間に隙間があると、テープ層7を顔に接着した際、第3の不織布フィルタ層6と顔との間に隙間が生じることになり、吸気の大部分がマスクを経由せずにその隙間から流入してしまう現象が起きる。これを極力防いでマスクを経由して鼻または口に入る吸気の流入領域を画定し、好ましくは限定するために、医療用のサージカルテープ層7は、第3の不織布フィルタ層6上の四辺に隙間なく配置することが望ましい。
医療用のサージカルテープ層7は、両面に粘着剤層を有しており、一面は第3の不織布フィルタ層6上に接着している。粘着剤の材料としては、顔から剥がしたときに顔の角質層が剥離しにくいシリコン系粘着剤が好ましく、本実施形態では、ニトムズ社製優肌絆の両面テープ版を採用している。
上記実施形態において、編織物積層マスクは、医療用のサージカルテープ層を設ける代わりに、耳掛け紐や後頭部に掛けるバンドを備えていないものとしたが、耳掛け紐や後頭部に掛けるバンドをマスク本体の側縁等に備えていてもよい。
(製造例1 編織物積層マスクの製造方法)
幅118cmのロール状のポリエステル不織布(プレシゼCC5020;目付:20g/m2)および幅118cmのロール状のポリエステル不織布(プレシゼCA1050;目付:40g/m2)を幅17cm×長さ13cmに裁断して、不織布フィルタ(1)および(2)を得た。顔に接する側から不織布フィルタ(1)、不織布フィルタ(1)上で長さ方向に沿って鼻あて部分と口元部分にワイヤーを置き、ついで不織布フィルタ(2)、不織布フィルタ(1)の順に重ねた。ワイヤーが動かないようにするため、ワイヤーの周囲を取り囲むようにエンボス状に各層を超音波溶着した。最後に、プリーツマスク折ラッパSSM-CL-2020「テープガイド付き」を備え付けた芯貼り機(HP220FS,HASHIMA社製)を用いて、ワイヤーの入っていない領域に図5(a)(b)(c)(d)に示す手順で幅方向に3つプリーツを作って幅9cm×長さ13cmの不織布フィルタを得た。
次に幅118cmのロール状のカーボン/ポリエステルメッシュ(CARBOTEX PES/CF50/27、SEFAR社製)を幅17cm×長さ14.5cmに裁断し、上記プリーツ形成機を用いて、図5(a)(b)(c)(d)に示す手順と同様の手順で幅方向に3つプリーツを作って幅9cm×長さ14.5cmのプリーツ形成カーボンメッシュ(3)を得た。
不織布フィルタとプリーツ形成カーボンメッシュ(3)とを重ね合わせて、重なり部分の四辺を超音波溶着することにより、長さ方向に沿って左右に0.75mm分のカーボン/ポリエステルメッシュの余り幅を持った複合メッシュを得た。
余り幅部分については、幅方向に1cmを残して不織布フィルタと長さが揃う位置に切り込みを入れてから、切れ込みを含む残存部分が幅方向2cm×長さ方向に0.75mmになるように切り落とし、切れ込み部分を顔に接する側に折り返してアイロンで癖をつけてからミシンで縫い合わせて摘まみ部を形成した。
以上の工程により摘まみ部形成マスクを得た。
最後に、摘まみ部形成マスクの顔が接する不織布フィルタ(1)上の四辺に、シリコン系粘着剤を使用した医療用のサージカルテープ(優肌絆、ニトムズ社製、両面テープタイプ)を隙間なく貼り付けて編織物積層マスクを得た。
(試験例1-微粒子捕集効率(PFE)試験-不織布フィルタ2枚重ね)
ASTM F 2299に準拠して、クリーンな環境に維持された試験チャンバー中に、真球状ポリスチレン系標準粒子(粒径約0.3μm、NANOSPHERE SIZE STANDARDS 3300A、Thermo Fisher Scientific社製)を連続安定供給し、流量28.3L/分で吸引しながら、不織布フィルタ(1)と不織布フィルタ(2)とを重ね合わせた試験片であるフィルタ材(面積49.0cm)の前後(上流側、下流側)の粒子数を計測し、微粒子捕集効率(PFE)を測定した。
捕集効率は、PFE(%)=(1-下流側粒子数/上流側粒子数)×100で計算した。試行回数は5回とした。結果を表1に示す。
Figure 2022128432000002
表1から、不織布フィルタ(1)と不織布フィルタ(2)とを2枚重ね合わせただけ(目付量合計で60g/m2)では、ASTM F2100の基準を満たす十分な微粒子捕集性能(≧95%)が得られないことがわかった。
(試験例2-微粒子捕集効率(PFE)試験-不織布フィルタ3枚重ね)
不織布フィルタ(1)で不織布フィルタ(2)を挟んだ構造として、試験例1と同様の方法で微粒子捕集効率(PFE)試験を行った。試行回数は5回とした。結果を表2に示す。
Figure 2022128432000003
表2から、不織布フィルタ(1)で不織布フィルタ(2)を挟んだ3枚重ね構造(目付量合計で80g/m2)とすると、微粒子捕集性能が格段に向上し、ASTM F2100のレベル3基準を満たすことがわかった。
(試験例3-微粒子捕集効率(PFE)試験-不織布フィルタ3枚重ね)
不織布フィルタ(1)を3枚重ねにして試験例1と同様の方法で微粒子捕集効率(PFE)試験を行った。その結果、目付量合計は試験例1と同等の60g/m2であっても、微粒子捕集性能は試験例2と遜色ないものであることがわかった。
(試験例4-ウィルス飛沫捕集効率(VFE)試験)
ASTM F 2101-14を準用して、上部にネブライザを備えたガラス製チャンバーと、チャンバー下端に配置された6段構成のアンダーセンサンプラと、アンダーセンサンプラの最下段から吸引する定流量吸引ポンプとを備えた、細菌ろ過効率(BFE)試験と同一構成の試験装置を使用した。VFE試験では、アンダーセンサンプラの上部とチャンバーとの間にサンプル(不織布フィルタ(1)で不織布フィルタ(2)を挟んだ3枚重ねの不織布フィルタ)を挟み込み、送液ポンプによりネブライザに導入されたウィルス(バクテリオファージφX174 ATCC 13706-B1)懸濁液を圧縮空気によりエアロゾル(粒子径3.0μm)化し、アンダーセンサンプラの最下部から定流量吸引ポンプにより引き込むことで、流量28.3L/分に調整されたガラス製チャンバー内を移動させ、サンプルを通過させ、アンダーセンサンプラ中にセットされた大腸菌を含む寒天培地入りのシャーレで捕集した。サンプルをセットせずに試験した場合(コントロール試験)とセットした場合のプラーク数を数え、計算式によってVFE(%)を算出した。試行回数は3回とした。結果を表3に示す。
VFE(%)=(A-B)/A×100
(ここで、A:コントロール試験のプラーク数;B:サンプル有りのプラーク数)
Figure 2022128432000004
表3から、不織布フィルタ単体でもウィルス飛沫捕集効率はASTM F2100のBFE試験レベル1で要求される性能に肩を並べており、別の見方をすれば不織布フィルタがウィルスを付着しやすい性質を有していることが裏付けられた。
(試験例5-圧力損失試験)
ASTM F2100 MIL-M-36954Cに準拠して、放電性編織物(目開30μm)と不織布フィルタ(1)で不織布フィルタ(2)を挟んだ3枚重ねの不織布フィルタとを積層した編織物積層マスクを試料ホルダ(直径25mm)に取り付け、吸引ポンプを調節して流量が8L/分となるようにし、この時の圧力損失を差圧計で測定した。試行回数は5回とした。結果を表4に示す。
Figure 2022128432000005
表4から、本発明に係る編織物積層マスクは、目開きが最も小さい目開30μmの放電性編織物を使用した場合であっても、ASTM F2100で要求される息苦しさがない性能水準(<4.0 mmH2O/cm2)を満たしていることが分かった。
(試験例6-マスク近辺を浮遊する微粒子の挙動の撮影)
比較対照としての不織布フィルタ(1)で不織布フィルタ(2)を挟んだ3枚重ねの不織布マスクと、当該不織布マスクの最外層に導電生地を備えた編織物積層マスク(目開:105μm、目開き率:40%)とをそれぞれマネキンに着用させ、マスク近辺を浮遊するハウスダスト微粒子がどのような挙動をするか比較撮影を行った。結果を図6および図7に示す。
図6に示すように、マスクから比較的離れた位置にあるハウスダスト微粒子Aが空気の流れに沿って画面右に向かう一方、比較的に近い位置にあるハウスダスト微粒子Bが、空気の流れに逆らって画面右下方向に向かって異常に速くマスクに接近した。この動きは、帯電したハウスダストが反対電荷をもつ不織布マスクに吸着されることを示すものと考えられる。
図7に示すように、マスクに比較的近い位置にあるハウスダスト微粒子C、Dが、マスクに引きつけられることなく、マスク近辺の空気の流れに沿って画面奥に向かって通過していった。これは、帯電したハウスダストの動きが、最も目開が大きい編織物積層マスクを用いた場合も、編織物積層マスクの性状に影響されていないことを示すものと考えられる。
(製造例2 編織物積層マスクの製造方法)
製造例1に記載の手順で幅方向に3つプリーツを作って幅9cm×長さ13cmの不織布フィルタを得た。
なお不織布フィルタの最内層の四隅には、縦方向の切り込みを入れ、耳紐の両端部を左側上下、右側上下にそれぞれ挿入し、超音波エンボス溶着により仮止めし、耳掛け部を形成した。
次に幅150cmのロール状のクレープ生地(ME-60Nメロンアムンゼン、マスダ社製)を幅17cm×長さ13cmに裁断し、上記製造例1に記載の手順で幅方向に3つプリーツを作って幅9cm×長さ13cmのプリーツ形成クレープ生地を得た。
不織布フィルタとプリーツ形成クレープ生地とを重ね合わせて、重なり部分の四辺を耳紐端部にかかるようにミシン縫いすることにより、図8に示すような複合メッシュの編織物積層マスクを得た。
なお、本発明の実施の形態は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、また、上記実施形態に説明される構成のすべてが本発明の必須要件であるとは限らない。本発明は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当該技術的範囲に属する限り種々の改変等の形態を採り得る。例えば、本明細書で「溶着し」とした箇所は、「縫い合わせ」に置き換え可能であり、「縫い合わせ」とした箇所は、「溶着し」に置き換え可能である。摘まみ部8の位置は、マスク本体9の両側縁としたが、一方の側縁(例えば利き手側)の下端のみでもよい。摘まみ部8は、マスク本体とは別に、放電性編織物層2と同一または異なる材料で作成しておき、いわゆるブランドタグを付ける要領でマスク本体9に縫い付けてもよい。放電性編織物としては、布帛組織を構成する地糸に放電性繊維を含むものである限り、編織物の表面にさらに放電性繊維よりなる糸目を(例えば縞状または格子状に)縫い付けたものを排除するものではない。
本発明の編織物積層マスクによれば、例えば、医療現場等でウィルスへの接触感染リスクを極力下げた状態でのマスクの一時的な一部着脱を容易にし、快適性を増大させ、なおかつ吸気による汚染の可能性があるマスク本体の外表面に触れることがなく衛生的であることから、産業上の利用可能性は大である。
1 編織物積層マスク
2 放電性編織物層
3 第1の不織布フィルタ層
4 第2の不織布フィルタ層
5 ワイヤー
6 第3の不織布フィルタ層
7 医療用のサージカルテープ層
8 摘まみ部
9 マスク本体
22 余り幅

Claims (9)

  1. 布帛組織を構成する地糸に放電性繊維を含む放電性編織物を最外層に備えた編織物積層マスク。
  2. 放電性編織物が、縮緬、クレープおよびオーガンジーから選択される平織の放電性織物であって、地糸に帯電防止剤を含む組成物がコーティングされている請求項1に記載の編織物積層マスク。
  3. 放電性編織物が、放電性織物であって、目開30μm~550μmおよび/または目開き率20%~50%の平織、朱子織または綾織構造を有する請求項1または請求項2に記載の編織物積層マスク。
  4. 前記放電性編織物より内側に、目付にして15g/m~50g/mの範囲内の不織布フィルタを少なくとも3枚重ね合わせた構造を有する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の編織物積層マスク。
  5. マスク本体の側縁に放電性編織物のみからなる摘まみ部を備えた請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の編織物積層マスク。
  6. 最も内側の層上に、顔に接着する医療用のサージカルテープを配置した請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の編織物積層マスク。
  7. 前記放電性編織物が、炭素繊維を含む糸とナイロン糸又はポリエステル糸との平織構造を有する放電性織物である請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の編織物積層マスク。
  8. 前記不織布フィルタが、スパンボンド繊維層の間にスパンボンド繊維より細い繊維の層を挟んだ構造を有する複合不織布フィルタである請求項4に記載の編織物積層マスク。
  9. 前記医療用のサージカルテープが、マスクを経由した吸気の流入経路を画定するように配置されている、医療従事者用の請求項6に記載の編織物積層マスク。

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