JP2022127298A - 直列4気筒エンジンの排気通路構造 - Google Patents

直列4気筒エンジンの排気通路構造 Download PDF

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Abstract

【課題】排気干渉に起因する排気圧力の増大を抑制可能な直列4気筒エンジンの排気通路構造を提供する。【解決手段】第1気筒、第3気筒、第4気筒、及び第2気筒の順で燃焼が行われる直列4気筒エンジンに適用された排気通路構造は、第1~第4排気枝通路と最終排気集合部と仕切壁と連通路とを備える。第1~第4排気枝通路は、第1~第4気筒にそれぞれ接続されている。最終排気集合部において、第1~第4気筒からの排気が1つに集まる。排気集合通路は、第1~第4排気枝通路と最終排気集合部との間に介在している。仕切壁は、第2排気枝通路と第3排気枝通路との間に位置する通路壁から最終排気集合部に向けて延びるように形成され、排気集合通路を第1及び第2気筒の側の第1排気集合部と第3及び第4気筒の側の第2排気集合部とに分割している。そして、連通路は、仕切壁を貫通するように形成され、第1排気集合部と第2排気集合部とを連通している。【選択図】図1

Description

この発明は、直列4気筒エンジンの排気通路構造に関する。
特許文献1には、直列4気筒エンジンのシリンダヘッド構造が開示されている。このシリンダヘッド構造は、直列に配置される4つの気筒のうちの内側の2つの燃焼室に繋がる2つの第1排気ポートと、当該4つの気筒のうちの外側の2つの燃焼室に繋がる2つの第2排気ポートと、当該2つの第1排気ポートと当該2つの第2排気ポートとを1つに集合する排気集合部とを備えている。また、このシリンダヘッド構造は、上記2つの第1排気ポート間に配置され、上記排気集合部の出口方向に延設された仕切壁を備えている。
特開2015-121180号公報
特許文献1に記載のシリンダヘッド構造における仕切壁は、直列に並んだ第1~第4気筒のうちの第2及び第3気筒にそれぞれ接続された第2及び第3排気枝通路の間に位置する通路壁から最終排気集合部(第1~第4気筒からの排気が1つに集まる部位)に向けて延びるように形成されている。
ここで、第1気筒、第3気筒、第4気筒、及び第2気筒の順で燃焼が行われる直列4気筒エンジンでは、第3気筒と第4気筒とは、燃焼順序と物理的な位置関係の双方において隣り合う。このため、当該直列4気筒エンジンに対して特許文献1に記載のシリンダヘッド構造が採用されると、上記仕切壁を備えていても、第3気筒からの排気と第4気筒からの排気とが干渉し、排気圧力が増大するおそれがある。このことは、第2気筒と第1気筒との関係についても同様である。
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、排気干渉に起因する排気圧力の増大を抑制できるようにした直列4気筒エンジンの排気通路構造を提供することを目的とする。
本発明に係る直列4気筒エンジンの排気通路構造は、直列に並んだ第1~第4気筒を含み、第1気筒、第3気筒、第4気筒、及び第2気筒の順で燃焼が行われる直列4気筒エンジンに適用されている。
この排気通路構造は、第1~第4排気枝通路と、最終排気集合部と、仕切壁と、連通路とを備える。第1~第4排気枝通路は、第1~第4気筒にそれぞれ接続されている。最終排気集合部は、第1~第4気筒からの排気が1つに集まる部位である。排気集合通路は、第1~第4排気枝通路と最終排気集合部との間に介在している。仕切壁は、第2排気枝通路と第3排気枝通路との間に位置する通路壁から最終排気集合部に向けて延びるように形成され、排気集合通路を第1及び第2気筒の側の第1排気集合部と第3及び第4気筒の側の第2排気集合部とに分割している。
そして、連通路は、仕切壁を貫通するように形成され、第1排気集合部と第2排気集合部とを連通している。
第1~第4排気枝通路、排気集合通路、及び最終排気集合部は、直列4気筒エンジンのシリンダヘッドの内部においてシリンダヘッドと一体的に形成されていてもよい。
連通路は、直列4気筒エンジンの気筒軸線方向に沿った直線と気筒列方向に沿った直線とを含む平面の法線方向の長さよりも、気筒軸線方向の長さが大きい断面形状を有してもよい。
連通路は、直列4気筒エンジンの気筒軸線方向に沿った直線と気筒列方向に沿った直線とを含む平面の法線方向に沿って排気流れの下流側に向かうにつれ、気筒軸線方向の長さが次第に大きくなる断面形状を有してもよい。
連通路は、仕切壁における排気流れの下流端よりも上流端に近い位置に形成されていてもよい。
上述したように、本発明に係る排気通路構造が備える仕切壁は、連通路を有している。このため、第2排気集合部において第3気筒からの排気と第4気筒からの排気とが合流した際に、連通路を利用して、仕切壁の先端(排気流れの下流端)よりも上流に位置する排気を、第2気筒の側(第1排気集合部の側)に逃がすことができる。このため、第3気筒からの排気と第4気筒からの排気との間での排気干渉による排気圧力の増大を抑制できる。このことは、第2気筒からの排気と第1気筒からの排気との関係についても同様である。
実施の形態に係る排気通路構造が適用されたシリンダヘッドの排気側の構成を示す図である。 図1に示す排気マニホールド部周りの構成を表した斜視図である。 実施の形態に係る直列4気筒エンジンの排気行程及び排気弁のバルブタイミングについて説明するための図である。 第3気筒及び第4気筒のそれぞれからの排気の流れを説明するための図である。 図1に示す連通路の設置による排気圧力の増大抑制効果を説明するための図である。 実施の形態の変形例に係る各連通路の断面形状を説明するための図である。
以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、この発明が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、この発明に必ずしも必須のものではない。
1.排気通路構造
図1は、実施の形態に係る排気通路構造が適用されたシリンダヘッド10の排気側の構成を示す図である。図1は、気筒軸線方向D1(図2参照)からシリンダヘッド10の内部構造を見た図に相当する。
シリンダヘッド10は、直列に並んだ4つの気筒12、すなわち、第1~第4気筒12#1~#4(以下、単に「気筒12#1~12#4」とも称する)を有する直列4気筒エンジンの構成要素である。この直列4気筒エンジンでは、気筒12#1、12#3、12#4、及び12#2の順で燃焼が行われる。
本実施形態の4気筒エンジンは、一例として、自然吸気の火花点火式エンジンである。ただし、本発明に係る「排気通路構造」は、過給エンジンに適用されてもよいし、圧縮着火式エンジンに適用されてもよい。なお、図1中の符号14は、シリンダヘッド10をシリンダブロック(図示省略)と締結するためのボルト孔(計10か所)である。
本実施形態の4気筒エンジンは、排気マニホールド部20を含む排気通路を備えている。排気マニホールド部20は、シリンダヘッド10の内部においてシリンダヘッド10と一体的に形成されている。すなわち、シリンダヘッド10は、排気マニホールド一体型である。なお、図1では、シリンダヘッド10における吸気側の構成の図示は省略されている。
以下の説明では、図1とともに図2が参照される。図2は、図1に示す排気マニホールド部20周りの構成を表した斜視図である。図2では、後述の仕切壁28及び連通路32の具体的な形状の一例を示すために、排気マニホールド部20における気筒12#1及び12#2の側が断面によって表されている。
図1に示すように、排気マニホールド部20は、第1~第4排気枝通路22#1~22#4(以下、単に「排気枝通路22#1~22#4」とも称する)と、最終排気集合部24と、排気集合通路26とを備えている。なお、最終排気集合部24には、排気管(図示省略)が接続されている。そして、当該排気管において最終排気集合部24に近接した部位には、排気浄化触媒(例えば、三元触媒)が設けられている。最終排気集合部24がシリンダヘッド10の内部に形成されていることにより、排気浄化触媒を出来るだけ排気ポート(排気弁)に近づけた構成を実現し易くなる。その結果、冷間時に排気浄化触媒が暖まり易くなる。
排気枝通路22#1~22#4(排気ポートを含む)は、それぞれ、気筒12#1~12#4に接続されている。最終排気集合部24は、気筒12#1~12#4からの排気が1つに集まる部位に相当する。排気集合通路26は、排気枝通路22#1~22#4と、最終排気集合部24との間に介在する部位に相当する。換言すると、排気枝通路22#1~22#4は、排気集合通路26から気筒12#1~12#4に向けてそれぞれ分岐した部位に相当する。
1-1.仕切壁
また、排気マニホールド部20は、排気集合通路26内に設けられた仕切壁28を備える。図1及び2に示すように、仕切壁28は、排気枝通路22#2と排気枝通路22#3との間に位置する通路壁30#23から最終排気集合部24に向けて延びるように形成されている。
より詳細には、気筒軸線方向D1から排気マニホールド部20を見たとき、仕切壁28は、気筒12#1~12#4におけるそれぞれの隣接気筒間に位置する通路壁30(30#12、30#23、及び30#34)における排気流れの下流端位置30aに対し、最終排気集合部24に向けて延びるように形成されている。付け加えると、仕切壁28は、#2気筒及び#3気筒からそれぞれ排出される排気の流れに沿った方向に延びるように形成されている。
仕切壁28の存在により、排気集合通路26は、気筒12#1及び12#2側の第1排気集合部26#12と気筒12#3及び12#4側の第2排気集合部26#34とに分割(区画)されている。
仕切壁28における排気流れの下流端28aの位置は、例えば、最終排気集合部24の下流端からの距離X1によって特定される。この距離X1は、例えば、本排気通路構造が適用される直列4気筒エンジンの特性(例えば、排気量、最高出力、回転速度、及び、吸排気弁の開閉時期)に応じて適切に決定される。
1-2.連通路
さらに、排気マニホールド部20は連通路32を備える。連通路32は、仕切壁28を貫通するように形成されており、第1排気集合部26#12と第2排気集合部26#34とを連通している。
より詳細には、第1排気集合部26#12側を流れる排気と第2排気集合部26#34側を流れる排気とは、仕切壁28の先端(排気流れの下流端)28aと最終排気集合部24との間に位置する排気集合通路26の部位26aにおいて合流(集合)可能である。連通路32は、当該部位26aよりも排気流れの上流側において、追加的に第1排気集合部26#12と第2排気集合部26#34とを連通可能としている。
連通路32(連通路32を構成する孔)の形状、大きさ、位置、及び数は、特に限定されるものではない。すなわち、これらは、例えば、本排気通路構造が適用される直列4気筒エンジンの特性(例えば、排気量、最高出力、回転速度、及び、吸排気弁の開閉時期)に応じて適切に決定されてもよい。
より具体的には、上述の連通路32(孔)の位置は、例えば、連通路32に対して排気流れの下流側に位置する仕切壁28の柱部28bの長さ(換言すると、下流端28aから連通路32までの距離)X2に基づいて決定されてもよい。また、連通路32を構成する孔の形状(連通路32の断面形状)は、図2に示す一例のように四角形ベースであってもよいし、あるいは、円形又は三角形ベース(例えば、図6参照)等であってもよい。
また、図2に示すような四角形ベースの例では、連通路32(孔)の幅X3、高さX4、及び、四隅の角Rの大きさは、上記特性に応じて適切に決定されてもよい。幅X3は、気筒軸線方向D1に沿った直線と気筒列方向D2に沿った直線とを含む平面の法線方向D3の長さであり、高さX4は、気筒軸線方向D1の長さである。
ここで、排気マニホールド部20において仕切壁28を設けることができるスペースは限られており、このため、連通路32(孔)についても、限られたスペース内で形成されることが要求される。図2に示す一例では、連通路32は、幅X3よりも高さX4が大きい断面形状を有する。これにより、同じ断面積の連通路32(孔)を形成する際に、上記とは逆に幅X3を高さX4よりも大きくなるように連通路を形成する例と比べて、仕切壁28の柱部28bの太さを大きく確保できる。すなわち、柱部28bの強度をより十分に確保しつつ、連通路32を形成できる。
また、図1から分かるように、連通路32は、仕切壁28における排気流れの下流端28aよりも上流端28cに近い位置に形成されている。これにより、同じ大きさの連通路32(孔)を形成する際に、上記とは逆に上流端28cよりも下流端28aに近い位置に連通路を形成する例と比べて、仕切壁28の柱部28bの太さ(上記の長さX2)を大きく確保できる。すなわち、柱部28bの強度をより十分に確保しつつ、連通路32を形成できる。
なお、図1に示すように、排気マニホールド部20は、平面Yを中心に面対称となるように形成されている。ここでいう平面Yは、気筒列方向D2における気筒12#2と気筒12#3との中間に位置し、かつ気筒列方向D2と直交する平面である。これにより、排気通路構造を簡素化することができ、また、製造コストを削減できる。しかしながら、排気マニホールド部20は、必ずしも厳密に面対称となるように形成されていなくてもよい。
(ウォータジャケット)
また、シリンダヘッド10の内部には、図2に示すように、排気マニホールド部20を冷却するためのウォータジャケット40が形成されている。ウォータジャケット40は、気筒軸線方向D1の上下から排気マニホールド部20(例えば、主に最終排気集合部24及び排気集合通路26)を挟むように配置された上側ウォータジャケット40aと下側ウォータジャケット40bとを含む。これらの上側ウォータジャケット40aと下側ウォータジャケット40bとは、排気マニホールド部20を含むシリンダヘッド10を構成する金属部材(ウォータジャケット40の周囲の壁部(仕切壁28を含む))を介して繋がっている。これにより、当該金属部材を介して排気の熱を効果的に冷却水に伝達できる。このため、排気マニホールド部20の冷却性能が向上する。その結果、高負荷時にウォータジャケット40による排気マニホールド部20の冷却能力を高めた際に、排気温度が下がり易くなる。このことは、燃料増量の抑制による理論空燃比での運転領域の拡大に繋がる。
2.効果(主に、連通路を有する仕切壁の効果)
図3は、実施の形態に係る直列4気筒エンジンの排気行程及び排気弁のバルブタイミングについて説明するための図(バルブリフトカーブ)である。上述のように、本実施形態の直列4気筒エンジンの燃焼順序(点火順序)は、気筒12#1、気筒12#3、気筒12#4、及び気筒12#2の順(すなわち、#1→#3→#4→#2)である。
一般的には、各気筒の排気弁は、図3に示すように爆発下死点よりも前に開き(EVO)、排気上死点付近において閉じる(EVC)。そして、直列4気筒エンジンにおける爆発間隔は、クランク角で180°である。このため、ある気筒の排気弁が閉じる前に、燃焼順序が次の気筒の排気弁が開き始める。すなわち、燃焼順序が隣り合う気筒間では、排気弁が開くクランク角期間がオーバーラップする。気筒12#3(#3気筒)と気筒12#4(#4気筒)とを例に挙げると、#3気筒の排気弁が閉じる前に、燃焼順序が1つ後の#4気筒の排気弁が開き始める。排気弁が開くと、気筒内の高圧の排気が排気マニホールド部20に流入する(排出される)。
2-1.#1気筒と#3気筒との関係(#4気筒と#2気筒との関係)
ここでは、燃焼順序が隣り合う#1気筒の排気と#3気筒の排気との関係を例に挙げて説明するが、以下の点は、燃焼順序が隣り合う#4気筒の排気と#2気筒の排気との関係にも当てはまる。
第1気筒からの排気行程中に第3気筒からの排気が開始された場合には、#1気筒からの排気は第1排気集合部26#12を通って最終排気集合部24に向かう。一方、#3気筒からの排気は、基本的には、仕切壁28によって第1排気集合部26#12と仕切られた第2排気集合部26#34を通って最終排気集合部24に向かう。このように、仕切壁28の設置により、#1気筒からの排気と#3気筒からの排気との間の排気干渉を抑制できる。その結果、排気損失が低減する。
ここで、本実施形態の仕切壁28は連通路32を備えている。連通路32を通過する排気の量は、仕切壁28の両側の集合通路間、すなわち、第1排気集合部26#12と第2排気集合部26#34との間での排気圧力の差で決まる。しかしながら、排気集合部26#12及び26#34のそれぞれに排気残留ガスが存在する。このため、ここで説明する#1気筒の排気と#3気筒の排気との関係においては、連通路32を通過する排気の量は基本的に少ない。そして、燃焼順序が先の#1気筒の排気残留ガスが減少するにつれて、#3気筒の排気のうちで連通路32を通過する排気の量が徐々に増えることになる。
2-2.#3気筒と#4気筒との関係(#2気筒と#1気筒との関係)
ここでは、図4及び図5を参照しつつ燃焼順序が隣り合う#3気筒の排気と#4気筒の排気との関係を例に挙げて説明するが、以下の点は、燃焼順序が隣り合う#2気筒の排気と#1気筒の排気との関係にも当てはまる。
図4は、#3気筒及び#4気筒のそれぞれからの排気の流れを説明するための図である。図5は、図1に示す連通路32の設置による排気圧力の増大抑制効果を説明するための図である。図5の縦軸の排気圧力は、図4中の圧力計測点P(すなわち、#3気筒からの排気と#4気筒からの排気との合流位置)における排気圧力に相当する。
まず、クランク軸の回転に対する圧力計測点Pの排気圧力の基本的な変化について説明する。図5に示すように、当該排気圧力は、#3気筒からの排気の排出に伴い、大きく上昇して最大値に達した後に徐々に低下していく。そして、当該排気圧力は、次の#4気筒からの排気の排出に伴い、再び上昇する。
ここで、連通路32を有しない仕切壁の比較例(仕切壁のみ)の課題について説明する。#3気筒と#4気筒とは、燃焼順序が隣り合うだけでなく、物理的にも隣り合っている。このため、#3気筒の排気行程が開始すると、図4中に示す矢印A1のように、#3気筒からの排気は、排気枝通路22#3及び(仕切壁28によって第1排気集合部26#12と仕切られた)第2排気集合部26#34を介して最終排気集合部24に向かうように流れる。そして、次の第4気筒からの排気についても、矢印A2によって示されるように、排気枝通路22#4及び第2排気集合部26#34を介して最終排気集合部24に向かうように流れる。この際、連通路32を有しない比較例では、#4気筒からの排気は、排気行程後期にある#3気筒側の排気(残留ガス)と干渉する。その結果、図5中に破線(仕切壁のみ)で示すように、#4気筒からの排気が到達した際の圧力計測点Pの排気圧力の最大値が、#3気筒からの排気による最大値と比べて高くなってしまう。
これに対し、連通路32を有する仕切壁28によれば、第2排気集合部26#34において#4気筒からの排気が#3気筒側の排気(残留ガス)と合流した際に、矢印A3によって示されるように、#3気筒側の排気は、連通路32を介して第1排気集合部26#12に流れるように#4気筒からの排気によって押し出される。これにより、#3気筒の排気行程後期の残留排気ガスによって#4気筒の排気が受ける干渉が軽減される。その結果、図5中に実線(連通路あり)で示すように、#4気筒からの排気が到達した際の圧力計測点Pの排気圧力の最大値の上昇が抑制される。
以上説明したように、本実施形態の排気マニホールド部20が備える仕切壁28は、連通路32を有している。このため、第2排気集合部26#34において#3気筒からの排気と#4気筒からの排気とが合流した際に、連通路32を利用して、仕切壁28の先端(下流端28a)よりも上流に位置する排気を、#2気筒の側(第1排気集合部26#12の側)に逃がすことができる。このため、#3気筒からの排気と#4気筒からの排気との間での排気干渉による排気圧力の増大を抑制できる。これにより、仕切壁のみの比較例と比べて、排気損失をより低減できる。そして、このことは、直列4気筒エンジンの体積効率の向上に繋がる。
付け加えると、仕切壁28を備える排気通路構造によれば、次のような効果も期待できる。すなわち、排気浄化触媒の取り付け方向に向くように仕切壁28を配置することにより、排気浄化触媒の取り付け位置に起因する当該触媒への排気のガス当たりの偏りを少なくする効果が期待できる。また、排気通路構造が備える仕切壁28が連通路32を有することにより、次のような効果も期待できる。すなわち、連通路32を構成する孔の形状、大きさ、及び位置の調整により、排気浄化触媒の取り付け位置に起因する当該触媒への排気のガス当たりの偏りを少なくする効果が、連通路32を有しない仕切壁の比較例と比べてより多く期待できる。
3.連通路の断面形状の他の例
上述した図2に示す例における連通路32は、一例として四角形をベースとして、上記法線方向D3の長さ(幅X3)よりも気筒軸線方向D1の長さ(高さX4)が大きい断面形状を有する。しかしながら、本発明に係る「連通路」の断面形状は、上述の例に代え、例えば、次のようなものであってもよい。
図6(A)~図6(D)は、それぞれ、実施の形態の変形例に係る連通路50、52、54、及び56の断面形状を説明するための図である。これらの図は、気筒列方向D2(図2参照)から連通路50等を見た図である。以下の説明では、便宜上、各例の仕切壁を図2に示す例と同様に仕切壁28と称している。
以下の各例の連通路52等は、何れも、上記法線方向D3に沿って排気流れの下流側に向かうにつれ、気筒軸線方向D1の長さが次第に大きくなる断面形状Zを有している。
より詳細には、図6(A)に示す例における連通路50は、二等辺三角形状の断面を有している。図6(B)及び図6(C)に示す例における連通路52及び54は、それぞれ、気筒軸線方向D1における紙面上側及び紙面下側の辺が法線方向D3と平行となっている。また、図6(D)に示す例における連通路56は、台形形状の断面を有している。なお、ここで説明される該断面形状Zを有する連通路の形状例は、上述の連通路50等に限られず、任意に変形できる。
図6(A)~図6(D)に例示されるように断面形状Zを有する連通路50等によれば、#3気筒(又は#2気筒)の排気行程後期において#4気筒(又は#1気筒)からの排気が#3気筒(又は#2気筒)の排気と合流する際に、排気流れの下流側に向かうにつれ、開口が大きくなるので#3気筒(又は#2気筒)の排気が連通路50等を介して#3気筒(又は#3気筒)側に逃げ易くなる。換言すると、#4気筒(又は#1気筒)からの排気が#3気筒(又は#2気筒)の排気の方に押し寄せた際に、排気流れの下流側に向かうにつれ、連通路50等を利用して排気圧力が次第に解放されていく(排気流れの下流側に向かうにつれ、排気圧力が次第に低下していく)。このため、図2に示す例の連通路32(すなわち、連通路50等とは異なり、法線方向D3に沿って排気流れの下流側に向かうにつれて気筒軸線方向D1の長さが変化しない連通路の例)と比べて、#3気筒(又は#2気筒)の排気行程後期における連通路50等の周りでの排気流れの乱れを低減できる。
4.排気マニホールド部の他の構成例
上述した実施の形態では、シリンダヘッド10の内部においてシリンダヘッド10と一体的に形成された排気マニホールド部20が例示された。しかしながら、本発明に係る排気通路構造は、第1~第4気筒の排気枝通路の一部(すなわち、シリンダヘッドに形成される排気ポート以外の部位)、排気集合通路、及び最終排気集合部を含む別体の排気マニホールド部をシリンダヘッドの外部に備えるものであってもよい。
10 シリンダヘッド
12#1~12#4 第1~第4気筒(#1気筒~#4気筒)
20 排気マニホールド部
22#1~22#4 第1~第4排気枝通路
24 最終排気集合部
26 排気集合通路
26#12 排気集合通路の第1排気集合部
26#34 排気集合通路の第2排気集合部
28 仕切壁
28a 仕切壁の下流端
28b 仕切壁の柱部
28c 仕切壁の上流端
30 通路壁
32、50、52、54、56 連通路

Claims (5)

  1. 直列に並んだ第1~第4気筒を含み、前記第1気筒、前記第3気筒、前記第4気筒、及び前記第2気筒の順で燃焼が行われる直列4気筒エンジンの排気通路構造であって、
    前記第1~第4気筒にそれぞれ接続された第1~第4排気枝通路と、
    前記第1~第4気筒からの排気が1つに集まる最終排気集合部と、
    前記第1~第4排気枝通路と前記最終排気集合部との間に介在する排気集合通路と、
    前記第2排気枝通路と前記第3排気枝通路との間に位置する通路壁から前記最終排気集合部に向けて延びるように形成され、前記排気集合通路を前記第1及び第2気筒の側の第1排気集合部と前記第3及び第4気筒の側の第2排気集合部とに分割する仕切壁と、
    前記仕切壁を貫通するように形成され、前記第1排気集合部と前記第2排気集合部とを連通する連通路と、
    を備えることを特徴とする直列4気筒エンジンの排気通路構造。
  2. 前記第1~第4排気枝通路、前記排気集合通路、及び前記最終排気集合部は、前記直列4気筒エンジンのシリンダヘッドの内部において前記シリンダヘッドと一体的に形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の直列4気筒エンジンの排気通路構造。
  3. 前記連通路は、前記直列4気筒エンジンの気筒軸線方向に沿った直線と気筒列方向に沿った直線とを含む平面の法線方向の長さよりも、前記気筒軸線方向の長さが大きい断面形状を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の直列4気筒エンジンの排気通路構造。
  4. 前記連通路は、前記直列4気筒エンジンの気筒軸線方向に沿った直線と気筒列方向に沿った直線とを含む平面の法線方向に沿って排気流れの下流側に向かうにつれ、前記気筒軸線方向の長さが次第に大きくなる断面形状を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の直列4気筒エンジンの排気通路構造。
  5. 前記連通路は、前記仕切壁における排気流れの下流端よりも上流端に近い位置に形成されている
    ことを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載の直列4気筒エンジンの排気通路構造。
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