JP2022126318A - アンテナ - Google Patents

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Norimasa Fukazawa
潤 白髪
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Abstract

【課題】高周波帯域の信号の伝送損失の小さいアンテナを提供すること。【解決手段】本発明のアンテナは、平滑面を有する絶縁性基材と、前記絶縁性基材の前記平滑面の外側に設けられ、所定のパターンを有する少なくとも1つの金属層とを備え、前記金属層は、前記絶縁性基材側に位置し、金属粒子を含有する金属粒子層と、該金属粒子層の前記絶縁性基材と反対側に位置し、前記金属粒子層に接触する金属めっき層とを有し、該金属めっき層の前記金属粒子層と反対側の面の最大高さ粗さRzが、5μm以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、アンテナに関する。
例えば、特許文献1には、導電板を立体形状に折り曲げてなるアンテナエレメント(アンテナパターン)と、このアンテナエレメントをインサート部品として樹脂で射出成形された基体とを備えるチップアンテナが開示されている。
しかしながら、送受信されるデータの大容量化等に伴って、高周波帯域の電波が利用されるようになっており、通信時のアンテナ内での伝送損失を低減することが求められている。
特開2012-74835号公報
本発明者らの検討によれば、アンテナエレメントを構成する金属層の表面形状(表面性状)も、高周波帯域の信号の伝送損失に大きく影響を及ぼすことが判明した。
そこで、本発明の目的は、表面の平滑性に優れる金属層を有し、高周波帯域の信号の伝送損失の小さいアンテナを提供することにある。
本発明は、下記(1)~(18)に関する。
(1) 本発明のアンテナは、平滑面を有する絶縁性基材と、
前記絶縁性基材の前記平滑面の外側に設けられ、所定のパターンを有する少なくとも1つの金属層とを備え、
前記金属層は、前記絶縁性基材側に位置し、金属粒子を含有する金属粒子層と、該金属粒子層の前記絶縁性基材と反対側に位置し、前記金属粒子層に接触する金属めっき層とを有し、
該金属めっき層の前記金属粒子層と反対側の面の最大高さ粗さRzが、5μm以下であることを特徴とする。
(2) 本発明のアンテナでは、前記金属めっき層が、無電解めっきによる層、電解めっきによる層および無電解めっきと電解めっきとによる層なる群から選択される1つ以上であることが好ましい。
(3) 本発明のアンテナでは、前記金属粒子が、銀粒子であることが好ましい。
(4) 本発明のアンテナでは、前記金属層の厚さ方向に沿った断面において、その厚さ方向と直交する方向の長さの厚さ方向に沿った変化率が、15%以下であることが好ましい。
(5) 本発明のアンテナでは、前記金属層を厚さ方向から見た形状が、線状または矩形状であることが好ましい。
(6) 本発明のアンテナは、さらに、前記絶縁性基材と前記金属層との間に、前記絶縁性基材と前記金属層とに接触して設けられ、反応性官能基を有するプライマー層を備えることが好ましい。
(7) 本発明のアンテナでは、前記金属粒子が、前記プライマー層の前記反応性官能基と反応し得る反応性官能基を有する高分子分散剤で被覆されていることが好ましい。
(8) 本発明のアンテナでは、前記高分子分散剤の前記反応性官能基が、塩基性窒素原子含有基であることが好ましい。
(9) 本発明のアンテナでは、前記高分子分散剤が、ポリアルキレンイミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
(10) 本発明のアンテナでは、前記プライマー層の前記反応性官能基が、ケト基、アセトアセチル基、エポキシ基、カルボキシル基、N-アルキロール基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基およびアリル基からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。
(11) 本発明のアンテナでは、前記絶縁性基材の前記平滑面の最大高さ粗さRzが、5μm以下であることが好ましい。
(12) 本発明のアンテナでは、前記絶縁性基材は、ポリフェニレンスルフィドを含有することが好ましい。
(13) 本発明のアンテナでは、前記絶縁性基材が、前記平滑面を少なくとも一方の面に有する平板であることが好ましい。
(14) 本発明のアンテナでは、前記絶縁性基材の可視光領域の波長を有する光の透過率が、80%以上であることが好ましい。
(15) 本発明のアンテナでは、前記絶縁性基材のヘイズが、10%以下であることが好ましい。
(16) 本発明のアンテナでは、前記少なくとも1つの金属層は、互いに絶縁層を介して積層された複数の前記金属層を含むことが好ましい。
(17) 本発明のアンテナでは、前記絶縁性基材が、前記平滑面を複数有する多面体であることが好ましい。
(18) 本発明のアンテナでは、前記金属層の一部が、受信部、送信部または接続配線を構成していることが好ましい。
本発明によれば、高周波帯域の信号の伝送損失の小さいアンテナを提供することができる。
本発明のアンテナの第1実施形態を示す平面図である。 図1中のA-A線断面図である。 本発明のアンテナの第2実施形態を示す斜視図である。
以下、本発明のアンテナについて、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のアンテナは、平滑面を有する絶縁性基材と、絶縁性基材の平滑面の外側に設けられ、所定のパターンを有する少なくとも1つの金属層(例えば、受信部および/または送信部として機能するアンテナパターン、接続配線等)とを備えている。また、金属層は、絶縁性基材側に位置し、金属粒子を含有する金属粒子層と、この金属粒子層の絶縁性基材と反対側に位置し、金属粒子層に接触する金属めっき層とを有している。
そして、本発明では、金属めっき層の上面(金属粒子層と反対側の面)の最大高さ粗さRzが、5μm以下である。かかる平滑性の高い表面を有する金属層であれば、高周波帯域の信号の伝送損失を十分に低減することができる。
絶縁性基材の構成材料(絶縁材料)としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、アクリル樹脂をグラフト共重合化した塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ウレタン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、セルロースナノファイバー、シリコン、シリコンカーバイド、窒化ガリウム、サファイア、セラミックス、ガラス、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、アルミナ等が挙げられる。
前記絶縁性基材の中でも、PPSを含有する基材が好ましい。PPSは、耐熱性が高く、化学的にも安定なため、使用環境での劣化が少なく、電気特性(低誘電率および低誘電正接)にも優れるため、かかる基材を使用することにより、高周波帯域の信号の伝送損失がより小さい、安定したアンテナを得易い。なお、PPSを含有する基材は、無機フィラーとしてガラス繊維を含有してもよい。
また、絶縁性基材として、熱硬化性樹脂および無機充填材を含有する樹脂基材を好適に用いることもできる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
一方、無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ珪酸ガラス等が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂および無機充填剤は、それぞれ、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
絶縁性基材の形態としては、フレキシブル材、リジッド材、リジッドフレキシブル材のいずれでもよい。絶縁性基材には、フィルム状、シート状または板状に成形された材料を用いてもよいし、上記樹脂の溶液、溶融液または分散液から、任意の立体形状に成形された材料を用いてもよい。
また、絶縁性基材は、金属等の導電層上に、上記樹脂等の樹脂層を形成した基材を用いてもよい。
ここで、絶縁性基材の表面(平滑面)の平滑性は、混合するフィラーの種類や基材の製造方法に依存し、絶縁性基材が成形基材の場合には、基材を成形する成形型の表面の平滑性に依存する。
また、本発明における平滑面とは、薬品処理、サンドブラスト処理のような表面粗化処理が施されず、十分に高い平滑性を有する表面を意味する。
絶縁性基材の平滑面の算術平均粗さRaは、0.1μm以下であることが好ましく、0.075μm以下であることがより好ましく、0.05μm以下であることがさらに好ましい。平滑面の算術平均粗さRaの下限は、通常、0.01μmである。
また、絶縁性基材の平滑面の最大高さ粗さRzは、5μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがより好ましく、1.5μm以下であることがさらに好ましい。平滑面の最大高さ粗さRzの下限は、通常、0.5μmである。
平滑面の算術平均粗さRaおよび最大高さ粗さRzを、それぞれ、上記範囲とすることにより、金属層(金属めっき層)の上面の平滑性を十分に高め易い。
なお、算術平均粗さRaおよび最大高さ粗さRzは、それぞれ、JIS B 0601:2013に規定される値である。
なお、後述するように、金属粒子層の不要部分を除去する際に電磁波を用いる場合、絶縁性基材の耐熱性、機械的強度、絶縁性等が目的とする使用環境に適合する範囲で、絶縁性基材(絶縁材料)は、電磁波を吸収可能な電磁波吸収剤を含有してもよい。
かかる電磁波吸収剤としては、グラファイトまたはカーボン、シアニン化合物、フタロシアニン化合物、ジチオール金属錯体、ナフトキノン化合物、ジインモニウム化合物、アゾ化合物のような顔料、色素等が挙げられる。
電磁波吸収剤は、使用する電磁波の波長に併せて適宜選択すればよい。また、電磁波吸収剤は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
絶縁性基材が電磁波吸収剤を含有すれば、電磁波が絶縁性基材の表面で吸収されるので、金属粒子層を除去し易くなるので好ましい。
金属粒子層は、金属粒子を含有する層であり、金属めっき層をめっきにより形成する際に、めっき下地層となる層である。
金属粒子を構成する金属材料としては、例えば、銀、金、白金、パラジウム、ルテニウム、スズ、銅、ニッケル、鉄、コバルト、チタン、インジウム、イリジウム等が挙げられる。かかる金属粒子は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
また、金属粒子層を無電解めっきのめっき下地層として使用する場合、めっき触媒としての活性が高いこと、金属粒子層を電解めっきのめっき下地層として使用する場合、電気抵抗値が十分に低いこと、大気下で保存しても表面が酸化され難いこと、比較的安価であること等から、金属粒子としては銀粒子が好ましい。
2種以上の金属粒子を併用する場合、主たる金属粒子と組み合わされる他の金属粒子の割合は、金属粒子層を形成可能であり、金属めっき層を問題なく形成できれば、特に限定されない。
なお、めっき析出の均一性を安定化させる観点からは、主たる金属粒子100質量部に対して、他の金属粒子の割合は、5質量部以下であることが好ましく、2質量部以下であることがより好ましい。
金属粒子層を形成する方法としては、例えば、絶縁性基材の平滑面側に、金属粒子分散液を塗工する方法が挙げられる。
金属粒子分散液の絶縁性基材への塗工方法は、金属粒子層を良好に形成し得れば、特に限定されず、使用する絶縁性基材の形状、サイズ、柔軟性の程度等によって適宜選択すればよい。
具体的な塗工方法としては、例えば、グラビア法、オフセット法、フレキソ法、パッド印刷法、グラビアオフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、インクジェット法、ダイコーター法、スピンコーター法、バーコーター法、ディップコーター法等が挙げられる。
また、フィルム状、シート状または板状の絶縁性基材の両側に、金属粒子分散液を塗工する方法は、金属粒子層を良好に形成し得れば、特に限定されず、上記で列挙した塗工方法から適宜選択すればよい。
この際、金属粒子層は、絶縁性基材の両側に同時に形成してもよいし、絶縁性基材の一方側に形成した後、他方側に形成してもよい。
さらに、絶縁性基材が立体形状の成形体(多面体)である場合、成形体のサイズ、形状等に応じて、上記で列挙した塗工方法から適宜選択すればよいが、スプレーコーター法、インクジェット法、ディップコーター法等を好適に使用することができる。
絶縁性基材の平滑面に、直接、金属粒子層を形成する場合、金属粒子分散液の塗工性を向上させる目的、金属粒子層の絶縁性基材への密着性を向上させる目的等で、金属粒子分散液を塗工する前に、平滑面の濡れ性を向上させる処理を行ってもよい。
かかる処理としては、平滑面の粗度が大きくなって、ファインピッチパターンの形成性や、粗面による伝送損失が問題とならない限りは、特に限定されない。
具体的な処理としては、例えば、UV処理、気相オゾン処理、液相オゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。これらの処理は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
金属粒子分散液を絶縁性基材の平滑面に塗工した後、塗工膜を乾燥することにより、金属粒子分散液に含まれる分散媒が揮発し、絶縁性基材の平滑面に金属粒子が固定される。
乾燥の温度および時間は、使用する絶縁性基材の耐熱温度、選択する工程、生産性等に応じて、適宜設定すればよく、20~350℃程度の温度で、1~200分間程度の時間とすることが好ましい。
後述するように、金属めっき層を無電解めっきにより形成する場合、乾燥の温度を20~300℃程度とすることが好ましく、無電解めっきによる析出性を高くし得ることから、20~250℃程度とすることがより好ましい。また、金属めっき層を電解めっきにより形成する場合、乾燥の温度を80~350℃程度とすることが好ましく、100~300℃程度とすることがより好ましい。
金属粒子層には、必要に応じて、金属めっき層との密着性を向上させる目的で、さらにエージングまたはアニーリングを行ってもよい。
エージングまたはアニーリングの温度および時間は、使用する絶縁性基材の耐熱温度、選択する工程、生産性等に応じて、適宜設定すればよい。
後述するように、金属めっき層を無電解めっきにより形成する場合、金属粒子層を形成した絶縁性基材を、60~200℃程度の温度で、30分間~2週間程度の時間で加熱することが好ましい。また、金属めっき層を電解めっきにより形成する場合、金属粒子層を形成した絶縁性基材を、80~250℃程度の温度で、5分間~1時間程度の時間で加熱することが好ましい。
なお、金属粒子層が形成された絶縁性基材は、室温~60℃程度の温度で保存しても、特に問題なく、金属めっき層を形成するのに使用することができる。
このような乾燥、エージングまたはアニーリングでは、送風を行ってもよいし、送風を行わなくてもよい。また、乾燥、エージングまたはアニーリングは、大気中で行ってもよいし、窒素、アルゴンのような不活性ガスの置換雰囲気下または気流下で行ってもよく、真空(減圧)下で行ってもよい。
乾燥、エージングまたはアニーリングは、絶縁性基材が、枚葉のフィルム、シート、板、または立体形状の成形体の場合、塗工場所での自然乾燥の他、送風、定温乾燥器のような乾燥器内で行うことができる。
また、絶縁性基材がロールフィルムまたはロールシートの場合、ロールから長尺のフィルムまたはシートを引き出し、塗工工程に続けて、設置された非加熱または加熱空間内を、連続的に通過させることにより、乾燥を行うことができる。この際の乾燥の加熱には、例えば、オーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、マイクロウェーブ、光照射(フラッシュ照射装置)等を使用することができる。これらの加熱装置は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
金属粒子層の厚さは、金属めっき層のより優れためっき下地層とすることができるため、10~500nm程度であることが好ましい。
なお、金属めっき層を無電解めっきにより形成する場合、金属粒子層の厚さは、10~500nm程度であることが好ましく、材料コストを低減する観点から、10~150nm程度であることがより好ましい。
また、金属めっき層を電解めっきにより形成する場合、金属粒子層の厚さは、50~500nm程度であることが好ましく、電解めっきをより効率よく実施するための導電性を確保し、材料コストを低減する観点から、60~250nm程度であることがより好ましい。
金属粒子層では、金属めっき層を電解めっきにより形成する場合、金属粒子同士が密着、接合することにより導電性が高くなっていることが好ましい。また、金属粒子同士の間の空隙が、金属めっき層を構成するめっき金属によって充填されていてもよい。金属粒子同士の間の空隙がめっき金属によって充填されると、絶縁性基材と金属層との密着性が向上する。
金属粒子層を形成するのに使用する金属粒子分散液は、金属粒子が分散媒中に分散した状態である。
金属粒子の形状としては、金属粒子層を良好に形成することができれば、特に限定されず、例えば、球状、レンズ状、多面体状、平板状、ロッド状、ワイヤー状等が挙げられる。これらの金属粒子は、単一形状の1種を単独で使用することも、形状が異なる2種以上を併用することもできる。
金属粒子の形状が球状、多面体状等である場合、その平均粒子径は、1~20,000nm程度であることが好ましい。
また、微細なパターンを有する金属層を形成する場合、金属粒子層の均質性がより高まり、後述する電磁波による除去効率もより向上し得ることから、その平均粒子径は、1~200nm程度であることがより好ましく、1~50nm程度であることがさらに好ましい。
なお、ナノメートルサイズの粒子に関する「平均粒子径」は、金属粒子を適切な分散媒に分散させ、動的光散乱法により測定した体積平均値である。この測定には、ナノ粒子径測定装置(マイクロトラック社製、「ナノトラックUPA-150」)を使用することができる。
一方、金属粒子の形状がレンズ状、ロッド状、ワイヤー状等である場合、その短径が1~200nm程度であることが好ましく、2~100nm程度であることがより好ましく、5~50nm程度であることがさらに好ましい。
また、金属粒子分散液中の金属粒子の粒子径分布は、単峰性であってもよく、多峰性であってもよい。後者の場合、金属粒子として、上記平均粒子径を有する粒子の複数種を混合した混合粒子を使用することができる。
金属粒子分散液に使用可能な分散媒としては、水性媒体、有機溶剤が挙げられる。
前記水性媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水、及び、前記水と混和する有機溶剤との混合物が挙げられる。
前記の水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなアルコール溶剤、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールのようなアルキレングリコール溶剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなポリアルキレングリコール溶剤、N-メチル-2-ピロリドンのようなラクタム溶剤等が挙げられる。
一方、有機溶剤を単独で使用する場合の有機溶剤としては、例えば、アルコール化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。
アルコール化合物またはエーテル化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、sec-ブタノール、tert-ブタノール、ヘプタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ステアリルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、テルピネオール、ターピネオール、ジヒドロターピネオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、グリセリン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
ケトン化合物としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
また、エステル化合物としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、3―メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-ブチルアセテート等が挙げられる。
さらに、その他の有機溶剤として、トルエン等の炭化水素化合物(特に、炭素原子数8以上の炭化水素化合物)が挙げられる。
炭素原子数8以上の炭化水素化合物としては、例えば、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、シクロオクタン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ドデシルベンゼン、テトラリン、トリメチルベンゼンシクロヘキサン等の非極性化合物が挙げられる。
また、これらの炭化水素化合物は、必要に応じて、他の化合物と組み合わせて使用することができる。
さらに、これらの炭化水素化合物は、混合物であるミネラルスピリット、ソルベントナフサ等と併用することもできる。
分散媒は、金属粒子が安定して分散し、絶縁性基材または絶縁性基材上に形成されたプライマー層上に、金属粒子層を良好に形成することができれば、特に限定されない。
また、上記分散媒は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
金属粒子分散液中の金属粒子の含有量は、上記塗工方法に応じて最適な塗工適性が得られる粘度となるように調整されるが、0.5~90質量%程度であることが好ましく、1~60質量%程度であることがより好ましく、2~10質量%程度であることがさらに好ましい。
金属粒子分散液は、金属粒子が凝集、融合、沈殿することなく、長期間の分散安定性を保つことが好ましい。
このため、金属粒子分散液には、金属粒子を分散させるための分散剤を添加することが好ましい。
かかる分散剤としては、金属粒子に配位する官能基を有する分散剤が好ましく、例えば、カルボキシル基、アミノ基、シアノ基、アセトアセチル基、リン原子含有基、チオール基、チオシアナト基、グリシナト基等の官能基を有する分散剤が挙げられる。
分散剤には、低分子量または高分子量の分散剤を使用することができ、金属粒子を分散する分散媒、金属粒子分散液を塗工する絶縁性基材の種類等、目的に応じて適宜選択すればよい。
分散剤としては、例えば、ドデカンチオール、1-オクタンチオール、トリフェニルホスフィン、ドデシルアミン、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン、ミリスチン酸、オクタン酸、ステアリン酸のような脂肪酸、コール酸、グリシルジン酸、アビンチン酸のようなカルボキシル基を有する多環式炭化水素化合物等が挙げられる。
ここで、後述するプライマー層上に金属粒子層を形成する場合、これらの2つの層の密着性が良好になることから、分散剤は、プライマー層が有する反応性官能基と反応し得る反応性官能基を有することが好ましい
分散剤の反応性官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルキロールアミド基、ケト基、カルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、オキセタン環、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(ブロック化)イソシアネート基、(アルコキシ)シリル基等が挙げられる。また、反応性官能基を有する分散剤には、シルセスキオキサン化合物を使用することもできる。
特に、プライマー層と金属粒子層との密着性を特に向上し得ることから、分散剤の反応性官能基は、塩基性窒素原子含有基が好ましい。この塩基性窒素原子含有基としては、例えば、イミノ基、1級アミノ基、2級アミノ基等が挙げられる。
塩基性窒素原子含有基は、分散剤1分子中に1つまたは2つ以上存在してもよい。
分散剤中に2つ以上の塩基性窒素原子含有基が存在することで、塩基性窒素原子含有基の一部は、金属粒子との相互作用により、金属粒子の分散安定性に寄与し、残りの塩基性窒素原子含有基は、絶縁性基材との密着性向上に寄与する。
また、プライマー層が反応性官能基を有する場合、分散剤中の塩基性窒素原子含有基は、この反応性官能基との間で結合が形成でき、絶縁性基材上への金属粒子層(金属層)の密着性をより一層向上することができる。
分散剤は、金属粒子分散液の安定性、塗工性を高め、絶縁性基材上に良好な密着性を有する金属粒子層を形成する観点から、高分子分散剤が好ましい。また、上記効果がより発揮され易くなることから、高分子分散剤は、金属粒子を被覆していることが好ましい。
かかる高分子分散剤としては、ポリアルキレンイミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。かかる高分子分散剤を使用すれば、金属粒子分散液の安定性がより向上する。
ポリアルキレンイミンとしては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン等が挙げられる。
また、ポリアルキレンイミン誘導体としては、ポリエチレンイミンとポリオキシアルキレンとが直鎖状に結合した化合物、ポリエチレンイミンからなる主鎖にポリオキシアルキレンがグラフトした化合物等が挙げられる。
これらの化合物の具体例としては、例えば、ポリエチレンイミンとポリオキシエチレンとのブロック共重合体、ポリエチレンイミンの主鎖中に存在するイミノ基の一部にエチレンオキサイドを付加反応させて、ポリオキシエチレン構造を導入した重合体、ポリアルキレンイミンが有するアミノ基と、ポリオキシエチレングリコールが有する水酸基と、エポキシ樹脂が有するエポキシ基とを反応させて得られた重合体等が挙げられる。
ポリアルキレンイミンの市販品としては、株式会社日本触媒製の「エポミン(登録商標)PAOシリーズ」の「PAO2006W」、「PAO306」、「PAO318」、「PAO718」等が挙げられる。
また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、3,000~30,000程度であることが好ましい。
分散剤の使用量は、金属粒子100質量部に対して、0.01~50質量部程度であることが好ましい。
また、絶縁性基材またはプライマー層上に、良好な密着性を示す金属粒子層を形成し得ることから、分散剤の使用量は、金属粒子100質量部に対して、0.1~10質量部程度であることが好ましい。
さらに、金属粒子層のめっき性および導電性を向上し得ることから、分散剤の使用量は、金属粒子100質量部に対して、0.1~5質量部程度であることが好ましい。
金属粒子分散液の調製方法としては、特に限定されないが、例えば、低真空ガス中において、蒸発法のような気相法を用いて製造した金属粒子を、分散媒に分散させる方法、液相で金属化合物を還元して、直接、金属粒子を含む分散液を調製する方法等が挙げられる。
気相法および液相法のいずれにおいても、適宜、必要に応じて、分散媒の交換または添加により、製造時の金属粒子分散液と塗工時の金属粒子分散液とにおける分散媒の組成を変更してもよい。
中でも、金属粒子分散液の安定性、製造工程の簡便さ等の観点から、金属粒子分散液の調製方法としては、液相法が特に好適に使用される。液相法では、例えば、高分子分散剤の存在下で、金属イオンを還元することによって、金属粒子を製造することができる。
金属粒子分散液には、必要に応じて、界面活性剤、レベリング剤、粘度調整剤、成膜助剤、消泡剤、防腐剤等の有機化合物を添加してもよい。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体のようなノニオン系界面活性剤、脂肪酸塩(例えば、オレイン酸ナトリウム等)、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルホネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム塩のようなアニオン系界面活性剤、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩のようなカチオン系界面活性剤等が挙げられる。
レベリング剤としては、例えば、シリコーン系化合物、アセチレンジオール系化合物、フッ素系化合物等が挙げられる。
粘度調整剤としては、例えば、アルカリ性への調整によって増粘可能なアクリル重合体、合成ゴムラテックス、分子が会合することによって増粘可能なウレタン樹脂、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、水添加ヒマシ油、アマイドワックス、酸化ポリエチレン、金属石鹸、ジベンジリデンソルビトール等が挙げられる。
成膜助剤としては、例えば、ジオクチルスルホコハク酸エステルソーダ塩のようなアニオン系界面活性剤、ソルビタンモノオレエートのような疎水性ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル変性シロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤、ノニオン系界面活性剤、ポリエーテル,高級アルコール、ポリマー系界面活性剤等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、イソチアゾリン系防腐剤、トリアジン系防腐剤、イミダゾール系防腐剤、ピリジン系防腐剤、アゾール系防腐剤、ピリチオン系防腐剤等が挙げられる。
本発明のアンテナでは、さらに、絶縁性基材と金属粒子層(金属層)との間に、絶縁性基材と金属粒子層(金属層)とに接触して設けられ、反応性官能基を有するプライマー層を備えることが好ましい。かかるプライマー層を設けることにより、絶縁性基材に対する金属粒子層の密着性をより一層向上させ得る。
プライマー層は、絶縁性基材の平滑面の一部または全部にプライマー液を塗工し、プライマー液中に含まれる水性媒体、有機溶剤等の液状媒体を除去することにより形成することができる。
ここで、プライマー液とは、絶縁性基材に対する金属粒子層の密着性を向上させる目的で使用され、後述する樹脂材料を溶剤に溶解または分散媒に分散させた液状組成物である。
プライマー液の絶縁性基材へ塗工方法は、プライマー層を良好に形成し得れば、特に限定されず、使用する絶縁性基材の形状、サイズ、柔軟性の程度等によって適宜選択すればよい。
具体的な塗工方法としては、例えば、グラビア法、オフセット法、フレキソ法、パッド印刷法、グラビアオフセット法、凸版法、凸版反転法、スクリーン法、マイクロコンタクト法、リバース法、エアドクターコーター法、ブレードコーター法、エアナイフコーター法、スクイズコーター法、含浸コーター法、トランスファーロールコーター法、キスコーター法、キャストコーター法、スプレーコーター法、インクジェット法、ダイコーター法、スピンコーター法、バーコーター法、ディップコーター法等が挙げられる。
また、フィルム状、シート状または板状の絶縁性基材の両面に、プライマー液を塗工する方法は、プライマー層を良好に形成し得れば、特に限定されず、上記で列挙した塗工方法から適宜選択すればよい。
この際、プライマー層は、絶縁性基材の両面に同時形成してもよいし、絶縁性基材の一方の面に形成した後、他方の面に形成してもよい。
さらに、絶縁性基材が立体形状の成形体の場合、成形体のサイズ、形状等に応じて、上記で列挙した塗工方法から適宜選択すればよいが、スプレーコーター法、インクジェット法、ディップコーター法等を好適に使用することができる。
絶縁性基材は、プライマー液の塗工性を向上させる目的等で、プライマー液を塗工する前に、平滑面の濡れ性を向上させる処理を行ってもよい。かかる処理には、上述した絶縁性基材上に、直接、金属粒子層を形成する場合と同様の処理を使用することができる。
プライマー液から溶媒を除去する方法としては、例えば、乾燥機を使用して、溶媒を揮発させる方法が一般的である。
乾燥温度としては、溶媒を揮発させることが可能で、かつ絶縁性基材に悪影響を与えない範囲の温度(室温以上)に設定すればよい。具体的な乾燥温度は、20~350℃程度であることが好ましく、60~300℃程度であることがより好ましい。
また、乾燥時間は、1~200分間程度であることが好ましく、1~60分間程度であることがより好ましい。
かかる乾燥では、送風を行ってもよいし、送風を行わなくてもよい。また、乾燥は、大気中で行ってもよいし、窒素、アルゴンのような置換雰囲気または気流下で行ってもよく、真空(減圧)下で行ってもよい。
乾燥は、絶縁性基材が、枚葉のフィルム、シート、板、または立体形状の成形体の場合、塗工場所での自然乾燥の他、送風、定温乾燥器のような乾燥器内で行うことができる。 また、絶縁性基材がロールフィルムまたはロールシートの場合、ロールから長尺のフィルムまたはシートを引き出し、塗工工程に続けて、設置された非加熱または加熱空間内を、連続的に通過させることにより、乾燥を行うことができる。この際の乾燥の加熱には、例えば、オーブン、熱風式乾燥炉、赤外線乾燥炉、レーザー照射、マイクロウェーブ、光照射(フラッシュ照射装置)等を用いることができる。これらの加熱装置は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
プライマー層の厚さは、本発明のアンテナの仕様、用途等によって適宜選択すればよい。絶縁性基材と金属粒子層との密着性をより向上し得ることから、プライマー層の厚さは、10nm~30μm程度であることが好ましく、10nm~10μm程度であることがより好ましく、10nm~5μm程度であることがさらに好ましい。
プライマー層は、反応性官能基を有する樹脂で構成されることが好ましい。金属粒子の分散剤が反応性官能基を有する場合、プライマー層の反応性官能基は、分散剤の反応性官能基と反応し得ることが好ましい。
プライマー層の反応性官能基としては、ケト基、アセトアセチル基、エポキシ基、カルボキシル基、N-アルキロール基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基およびアリル基からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。これらの反応性官能基をプライマー層が有することにより、絶縁性基材に対する金属粒子層の密着性をさらに向上させることができる。また、プライマー層を構成する樹脂には、シルセスキオキサン化合物を使用することもできる。
プライマー層の反応性官能基の具体例としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルキロールアミド基、カルボキシル基、無水カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、オキセタン環、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、(ブロック化)イソシアネート基、(アルコキシ)シリル基等が挙げられる。
特に、分散剤の反応性官能基が、塩基性窒素原子含有基である場合、絶縁性基材に対する金属粒子層の密着性をより向上し得ることから、プライマー層の反応性官能基としては、カルボキシル基、カルボニル基、アセトアセチル基、エポキシ基、脂環エポキシ基、アルキロールアミド基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基が好ましい。
プライマー層を構成する樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとし、アクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノールのようなブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネートポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
なお、上記コア・シェル型複合樹脂は、例えば、ウレタン樹脂存在下でアクリル単量体を重合することにより得られる。
中でも、絶縁性基材に対する金属粒子層の密着性をより向上し得ることから、加熱により還元性化合物を生成する樹脂を使用することが好ましい。
還元性化合物としては、例えば、フェノール化合物、芳香族アミン化合物、硫黄化合物、リン酸化合物、アルデヒド化合物等が挙げられ、フェノール化合物、アルデヒド化合物が好ましい。
この場合、プライマー層を形成する際の加熱乾燥により、ホルムアルデヒド、フェノール等の還元性化合物が生成される。
かかる樹脂の具体例としては、例えば、N-アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしN-アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、尿素-ホルムアルデヒド-メタノール縮合物、尿素-メラミン-ホルムアルデヒド-メタノール縮合物、ポリN-アルコキシメチロール(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリルアミドのホルムアルデヒド付加物、加熱によりホルムアルデヒドを生成する樹脂(例えば、メラミン樹脂)、加熱によりフェノール化合物を生成する樹脂(例えば、フェノール樹脂、フェノールブロックイソシアネート)等が挙げられる。
中でも、密着性をより向上させる観点から、ウレタン樹脂をシェルとし、N-アルキロール(メタ)アクリルアミドを含む単量体を重合した樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、メラミン樹脂、フェノールブロックイソシアネートが好ましい。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリルアミド」とは、「メタクリルアミド」および「アクリルアミド」の一方または双方を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは、「メタクリル酸」および「アクリル酸」の一方または双方を意味する。
加熱により還元性化合物を生成する官能基を有する単量体としては、例えば、N-アルキロールビニル単量体が挙げられる。
その具体例としては、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ペントキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エタノール(メタ)アクリルアミド、N-プロパノール(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
また、加熱により還元性化合物を生成する樹脂を製造する際には、加熱により還元性化合物を生成する官能基を有する単量体等とともに、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのような他の単量体を共重合することもできる。
ブロックイソシアネートを使用する場合、イソシアネート基同士の間で自己反応してウレトジオン結合が形成されるか、イソシアネート基と他の成分の官能基とが結合を形成することにより、プライマー層が形成される。
この結合は、金属粒子分散液を塗工する前に形成されてもよいし、金属粒子分散液を塗工した後の加熱により形成されてもよい。
ブロックイソシアネートとしては、イソシアネート基がブロック化剤によって封鎖された官能基を有する化合物が挙げられる。
ブロックイソシアネートは、その分子1モルあたり、上記官能基を350~600g程度で有することが好ましい。
上記官能基は、密着性向上の観点から、ブロックイソシアネート1分子中に、1~10個含まれることが好ましく、2~5個含まれることがより好ましい。
また、ブロックイソシアネートの数平均分子量は、密着性向上の観点から、1,500~5,000程度であることが好ましく、1,500~3,000程度であることがより好ましい。
さらに、ブロックイソシアネートとしては、密着性をさらに向上する観点から、芳香環を有することが好ましい。かかる芳香環としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
ブロックイソシアネートは、イソシアネート化合物が有するイソシアネート基の一部または全部と、ブロック化剤とを反応させることにより製造することができる。
イソシアネート化合物としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートのような芳香環を有するポリイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートのような脂肪族ポリイソシアネート化合物または脂環式構造を有するポリイソシアネート化合物、あるいはこれらのビュレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等が挙げられる。
また、イソシアネート化合物としては、上記ポリイソシアネート化合物と、水酸基またはアミノ基を有する化合物等とを反応させて得られる化合物も挙げられる。
ブロックイソシアネートに芳香環を導入する場合、芳香環を有するポリイソシアネート化合物を使用することが好ましく、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体を使用することがより好ましい。
ブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾールのようなフェノール化合物、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタムのようなラクタム化合物、ホルムアミドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムのようなオキシム化合物、2-ヒドロキシピリジン、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、n-ブタノール、イソブタノール、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、アセトアニリド、酢酸アミド、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジフェニルアニリン、アニリン、カルバゾール、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1H-ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等が挙げられる。
中でも、70~200℃程度の温度で加熱することにより解離して、イソシアネート基を生成可能なブロック化剤が好ましく、110~180℃程度の温度で加熱することにより解離して、イソシアネート基を生成可能なブロック化剤がより好ましい。
具体的なブロック化剤としては、フェノール化合物、ラクタム化合物、オキシム化合物が好ましく、加熱により脱離する際に還元性化合物に変換されることから、フェノール化合物が特に好ましい。
ブロックイソシアネートの製造方法としては、例えば、予め製造されたイソシアネート化合物と、ブロック化剤とを混合して反応させる方法、イソシアネート化合物の製造に用いる原料とともに、ブロック化剤を混合して反応させる方法等が挙げられる。
より具体的には、ブロックイソシアネートは、ポリイソシアネート化合物と、水酸基またはアミノ基を有する化合物とを反応させることにより、末端にイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を製造した後、このイソシアネート化合物とブロック化剤とを混合して反応させることにより効率よく製造することができる。
プライマー層を構成する樹脂に占めるブロックイソシアネートの割合は、50~100質量%程度であることが好ましく、70~100質量%程度であることがより好ましい。
メラミン樹脂としては、例えば、メラミン1モルに対してホルムアルデヒドが1~6モル程度で付加したモノまたはポリメチロールメラミン、トリメトキシメチロールメラミン、トリブトキシメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミンのような(ポリ)メチロールメラミンのエーテル化物(エーテル化度は任意)、尿素-メラミン-ホルムアルデヒド-メタノール縮合物等が挙げられる。
上述したような加熱により還元性化合物を生成する樹脂を用いるのに代えて、還元性化合物が添加された樹脂を使用してもよい。
この場合、添加する還元性化合物としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、ビタミンC、ビタミンE、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、亜硫酸塩、次亜燐酸、次亜燐酸塩、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、フェノール等が挙げられる。
なお、最終的にプライマー層中に残留する低分子量成分、イオン性化合物等により電気特性が低下するのを防止または抑制する観点から、還元性化合物を添加した樹脂を使用することよりも、加熱により還元性化合物を生成する樹脂を使用することが好ましい。
プライマー層を形成するのに使用するプライマー液は、塗工性、成膜性等を向上させる観点から、プライマー液中に上記樹脂を1~70質量%程度で含有することが好ましく、1~20質量%程度で含有することがより好ましい。
また、プライマー液に使用可能な溶媒としては、有機溶剤、水性媒体が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
一方、水性媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、またはこれらの混合物が挙げられる。
水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブのようなアルコール溶剤、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールのようなアルキレングリコール溶剤、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなポリアルキレングリコール溶剤、N-メチル-2-ピロリドンのようなラクタム溶剤等が挙げられる。
また、プライマー層を構成する樹脂は、必要に応じて、例えば、アルコキシシリル基、シラノール基、水酸基、アミノ基のような架橋反応に寄与する官能基を有していてもよい。
これらの官能基の架橋により形成される架橋構造は、金属粒子粒子層を形成する前に形成されてもよいし、金属粒子層を形成した後に形成してもよい。
後者の場合、金属めっき層を形成する前に、プライマー層に架橋構造を形成しておいてもよく、金属めっき層を形成した後に、例えば、エージングすることにより、プライマー層に架橋構造を形成してもよい。
プライマー液には、必要に応じて、架橋剤の他、pH調整剤、皮膜形成助剤、レベリング剤、増粘剤、撥水剤、消泡剤等を添加してもよい。
架橋剤としては、例えば、金属キレート化合物、ポリアミン化合物、アジリジン化合物、金属塩化合物、イソシアネート化合物のような25~100℃程度の比較的低温で反応して架橋構造を形成する熱架橋剤、メラミン系化合物、エポキシ系化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ブロックイソシアネート化合物のような100℃以上の比較的高温で反応して架橋構造を形成する熱架橋剤、光架橋剤等が挙げられる。
架橋剤の使用量は、種類によって異なるものの、絶縁性基材に対する金属粒子層の密着性を向上させる観点から、プライマー液に含まれる樹脂の合計100質量部に対して、0.01~60質量部程度であることが好ましく、0.1~10質量部程度であることがより好ましく、0.1~5質量部程度であることがさらに好ましい。
架橋剤を使用する場合、架橋構造は、金属粒子層を形成する前に形成されてもよいし、金属粒子層を形成した後に形成してもよい。
後者の場合、金属めっき層を形成する前に、プライマー層に架橋構造を形成しておいてもよく、金属めっき層を形成した後に、例えば、エージングすることにより、プライマー層に架橋構造を形成してもよい。
プライマー層上に、金属粒子層を形成する方法は、絶縁性基材上に、直接、金属粒子層を形成する方法と同様である。
プライマー層は、絶縁性基材と同様に、プライマー層の耐熱性、機械的強度、絶縁性、密着性等が目的とする使用環境に適合する範囲で、顔料、色素等の電磁波を吸収する電磁波吸収剤を含有してもよい。
また、プライマー層は、絶縁性基材と同様に、金属粒子分散液の塗工性を向上させる目的、金属粒子層のプライマー層への密着性を向上させる目的等で、金属粒子分散液を塗工する前に、プライマー層の表面(絶縁性基材と反対側の面)の濡れ性を向上させる処理を行ってもよい。
金属層は、所定のパターンに形成され、金属粒子層上に金属めっき層が設けられた構成となっている。
金属めっき層は、無電解めっきによる層、電解めっきによる層および無電解めっきと電解めっきとによる層からなる群から選択される1つ以上であることが好ましい。例えば、金属めっき層の一部を無電解めっき層とし、残りを電解めっき層とすることができる。かかる構成によれば、金属層の機能に応じて、金属めっき層の構成を選択することができる。
金属めっき層を無電解めっき層とする場合、金属粒子層は、触媒シードとして使用される。また、金属めっき層は、無電解めっき層のみで厚膜化してもよいし、無電解めっき層を導電性シードとして、さらに電解めっき層を形成してもよく、金属粒子層を導電シードとして、電解めっき層を形成することにより、金属めっき層を厚膜化してもよい。
金属めっき層を無電解めっき層とする場合、めっき金属としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、コバルト、コバルト-タングステン、コバルトータングステン-ホウ素、スズ等が挙げられる。
金属めっき層(金属層)をアンテナパターンとする場合、上記金属の中でも、電気抵抗値が低いことから、銅を用いることが好ましい。
また、上述したように、無電解めっき層上に電解めっき層を行うことにより、金属めっき層を形成することもできる。無電解めっき層と電解めっき層とを組み合わせることにより、めっき析出速度を大きくすることができるため、金属めっき層の製造効率が高くなり有利である。
無電解めっき層と電解めっき層とを組み合わせて金属めっき層を形成する場合、無電解めっき層の析出金属と電解めっき層の析出金属とは、同じであっても、異なっていてもよい。
無電解めっき層と電解めっき層との組み合わせとしては、例えば、無電解銅めっき層と電解銅めっき層との組み合わせ、無電解ニッケルめっき層と電解銅めっき層との組み合わせ、無電解ニッケルめっき層と電解ニッケルめっき層との組み合わせ、無電解コバルトめっき層と電解銅めっき層との組み合わせ等が挙げられる。
金属めっき層(金属層)をアンテナパターンとする場合、電解めっき層を構成する主金属としては、電気抵抗値が低いことから、銅を用いることが好ましく、無電解ニッケル層、無電解コバルト層等と組み合わせると、銅の絶縁性基材への拡散を抑制できることから、アンテナの長期信頼性を向上させることができる。
無電解めっき層と電解めっき層とを組み合わせて金属めっき層を形成する場合、無電解めっき層の厚さは、必要に応じて適宜設定されるが、電解めっき層を適切に形成するための導電性を確保する観点から、0.1~2μm程度であることが好ましく、生産性を向上させる観点から、0.15~1μm程度であることがより好ましい。
金属めっき層を電解めっき層とする場合、めっき金属としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、亜鉛、スズ、金、銀、ロジウム、パラジウム、白金等が挙げられる。
金属めっき層(金属層)をアンテナパターンとする場合、上記金属の中でも、安価で電気抵抗値が低いことから、銅が好ましい。電解銅めっき層は、硫酸銅浴を用いる硫酸銅めっきにより良好に形成することができる。
金属めっき層(金属層)の上面の最大高さ粗さRzは、5μm以下である。かかる金属層は、その上面の平滑性がより高いと判断することができる。なお、金属めっき層の上面の最大高さ粗さRzの下限値は、通常、1μmである。
金属層の厚さ方向に沿った断面において、その底辺の長さに対する頂辺の長さの変化率(厚さ方向と直交する方向の長さの厚さ方向に沿った変化率)は、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、7.5%以下であることがさらに好ましい。前記金属層のパターン形成をサブトラクティブ法で行う場合には、変化率が大きくなる傾向があり、セミアディティブ法を用いてパターン化すると、変化率を小さくすることができる。特に変化率を小さくする必要が有る場合には、後述する、金属粒子層を導電シードとして用いるセミアディティブ法を用いることが好ましい。この場合、金属層の厚さ方向に沿った断面がより矩形に近い形状であると判断することができる。かかる形状の金属層であれば、高周波帯域の信号の伝送損失をより小さくすることができる。なお、上記変化率の下限値は、1%である。
また、角部を有するパターン形状に金属層を形成する場合、その角部の丸みはできる限り小さいことが好ましい。かかる形状により、アンテナの特性および信号の品質をより向上させることができる。また、特性インピーダンス(Z)と差動インピーダンス(Zdiff)とを制御し易くなる。
金属めっき層の側面の最大高さ粗さRzも、特に限定されないが、5μm以下であることが好ましい。なお、金属めっき層の側面の最大高さ粗さRzの下限値は、通常、1μmである。
金属層の側面の平滑性は、レジスト層の壁面をガイドにして、金属めっき層を形成するセミアディティブ法を用いることにより向上することができ、後述する、金属めっき層を構成する金属と異なる金属の金属粒子層を導電シードとして用いるセミアディティブ法によれば、さらに、金属層の側面の平滑性を向上させることができる。
金属層の下面(絶縁性基材側の面)も、絶縁性基材の平滑面の性状を反映して、その平滑性が高い。
すなわち、本発明における金属層は、上面(天面)、下面(底面)および2つの側面のいずれも高い平滑性を有することができる。これにより、高周波帯域の信号の伝送損失を特に小さくすることができる。
かかる各面の平滑性が高い金属層は、金属粒子層と金属めっき層とで構成することで形成し易い。なお、金属層の具体的な形成方法は、後に詳述する。
また、本発明によれば、絶縁性基材と金属層との間に、磁性を有する材料(例えば、ニッケル等)による層を設けなくても、これらの間に高い密着性も得られる。したがって、磁性を有する材料による悪影響を排除して、高周波帯域の信号の伝送損失を十分に小さくすることができる。
次に、本発明のアンテナの具体的な態様について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のアンテナの第1実施形態を示す平面図、図2は、図1中のA-A線断面図である。
なお、以下の説明では、図2中の上側を「上」または「上方」と言い、下側を「下」または「下方」と言う。
図1に示すアンテナ1は、ミリ波用のフェーズドアレイアンテナであり、例えば、ミクロセル(スモールセル)基地局に配置されて通信に使用される。
アンテナ1は、絶縁性基材2と、絶縁性基材2の上面にアレイ状(マトリクス状)に設けられた複数のパッチアンテナ31と、絶縁性基材2の厚さ方向に貫通するとともに、パッチアンテナ31に電気的に接続されたスルーホール32と、絶縁性基材2の下面に設けられた2つの絶縁層21、22と、絶縁層22の下面に実装された半導体素子4と、スルーホール32と半導体素子4とを電気的に接続する配線33と、入出力用の配線34と、グランドに接続するための配線35とを有している。
本実施形態では、各パッチアンテナ(受信部および/または送信部)31および接続配線(スルーホール32、配線33~35)のそれぞれが金属層で構成されている。また、配線33と配線34および配線35とが互いに絶縁層22を介して積層されている。
また、接続配線として、ブラインドビアホールを含んでいてもよい。
また、本実施形態では、絶縁性基材2および絶縁層21、22は、それぞれ、上面および下面に平滑面を有する平板で構成されている。このため、アンテナ1は、高周波帯域の信号の伝送損失が十分に小さくなっている。なお、絶縁性基材2は、その上面のみに平滑面を有していてもよい。
各パッチアンテナ31は、その厚さ方向から見た形状が正方形状(矩形状)に形成され、配線33の図中水平方向に延設された部分および配線34、35は、それぞれ、その厚さ方向から見た形状が線状(帯状)に形成されている。かかるパターン形状の角部は、上述したように、丸みが十分に小さくなっており、特性の向上に寄与している。
半導体素子4は、アンテナ1が送受信する信号を処理する回路(特に、大規模集積回路)を有している。
絶縁層21、22の構成材料は、絶縁性基材2の構成材料と同じであっても、異なっていてもよい。後者の場合、絶縁性基材2の構成材料より安価な材料を絶縁層21、22の構成材料として使用することにより、アンテナ1の製造コストを低減することができる。
本実施形態のアンテナ1において、可視光領域(400~800nm)の波長を有する光の透過率は、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。なお、上記透過率の上限は、通常、95%である。
また、絶縁性基材2のヘイズは、10%以下であることが好ましく、7.5%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。なお、上記ヘイズの下限は、通常、1%である。
絶縁性基材2が上記範囲の光の透過率およびヘイズを有していれば、例えば、アンテナ1を窓ガラス等に貼着しても、遮光されるのを抑制することができる。
図1に示すアンテナ1の金属層は、フォトリソグラフィー法を利用した加工法により形成することが好ましく、セミアディティブ法またはサブトラクティブ法を利用した加工法により形成することがより好ましく、セミアディティブ法を利用した加工法により形成することがさらに好ましい。
かかる方法によれば、金属層の断面における形状をより矩形に近づけることができ、さらに、金属粒子層を導電シードとして用いるセミアディティブ法を用いることで、金属層の上面および2つの側面の平滑性をより高めることができる。
また、かかる方法によれば、微細で寸法精度の高い金属層をより簡便に形成することもできる。
以下、セミアディティブ法を利用した加工法による金属層の形成方法の一例について説明する。
[1A]まず、絶縁性基材2を準備する。
[2A]次に、絶縁性基材2(平滑面)上に、上述したようにして、プライマー層を形成する。
[3A]次に、プライマー層上に、上述したようにして、金属粒子層(好ましくは、銀粒子層)を形成する。
[4A]次に、金属粒子層上に、パターン形成用の感光性樹脂層を形成する。
感光性樹脂層の形成方法としては、特に限定されず、例えば、金属粒子層上に液状のレジストを塗工、乾燥する方法、フィルム状のレジストを、ラミネーターを用いて金属粒子層上に加熱圧着する方法等が挙げられる。
金属粒子層の表面には、感光性樹脂層を形成する前に、感光性樹脂層との密着性を向上すること等を目的として、酸性またはアルカリ性の洗浄液による洗浄処理、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理、気相オゾン処理、液相オゾン処理、表面処理剤による処理等を行ってもよい。これらの処理は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
表面処理剤による処理としては、例えば、トリアゾール系化合物、シランカップリング剤および有機酸からなる防錆剤を使用する処理(特開平7-258870号公報参照)、有機酸、ベンゾトリアゾール系防錆剤およびシランカップリング剤を使用する処理(特開2000-286546号公報参照)、含窒素複素環(トリアゾール、チアジアゾール等)とシリル基(トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等)とが、チオエーテル(スルフィド)結合等を有する有機基を介して結合された構造の物質を使用する処理(特開2002-363189号公報参照)、トリアジン環とアミノ基とを有するシラン化合物を使用する処理(WO2013/186941号公報参照)、ホルミルイミダゾール化合物とアミノプロピルシラン化合物とを反応させて得られるイミダゾールシラン化合物を使用する処理(特開2015-214743号公報参照)、アゾールシラン化合物を使用する処理(特開2016-134454号公報参照)、1分子中にアミノ基および芳香環を有する芳香族化合物と2以上のカルボキシル基とを有する多塩基酸、およびハロゲン化物イオンを含有する溶液を使用する処理(特開2017-203073号公報参照)、トリアゾールシラン化合物を含有する表面処理剤を使用する処理(特開2018-16865号公報参照)等が挙げられる。
[5A]次に、感光性樹脂層を、目的とする金属層のパターンに対応する部分が、除去されたパターンとなるように加工する。
この加工は、感光性樹脂層に、フォトマスクを介してまたはダイレクト露光機を使用して活性光(活性エネルギー線)を露光した後、現像液を接触させることにより不要部分を除去することで行うことができる。なお、露光量は、必要に応じて適宜設定すればよい。
現像液には、0.3~2質量%程度の炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液のような希薄アルカリ水溶液等を使用することができる。希薄アルカリ水溶液には、界面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を添加してもよい。
また、現像液の接触は、感光性樹脂層を有する絶縁性基材を、現像液に浸漬するか、現像液をスプレー等で噴霧することにより行うことができる。
現像後、パターン化された感光性樹脂層には、さらに、プラズマによるデスカム処理、レジスト残渣除去剤を使用する処理により、レジスト残渣を除去してもよい。これにより、パターン化された感光性樹脂層と金属粒子層との境界部分に生じた裾引き部分、金属粒子層の表面に残存したレジスト付着物等を除去することができる。
感光性樹脂層の形成には、例えば、レジストインキ、液体レジスト、ドライフィルムレジスト等を使用することができる。なお、使用するレジストは、目的とするパターンの解像度、使用する露光機の種類、後工程のめっき処理で用いる薬液の種類、pH等によって適宜選択される。
レジストインキの市販品としては、例えば、太陽インキ製造株式会社製の「めっきレジストMA-830」、「エッチングレジストX-87」、NAZDAR社製の「エッチングレジスト」、「めっきレジスト」、互応化学工業株式会社製の「エッチングレジスト PLAS FINE PER」シリーズ、「めっきレジスト PLAS FINE PPR」シリーズ等が挙げられる。
また、電着レジストの市販品としては、例えば、ダウ・ケミカル・カンパニー社製の「イーグルシリーズ」、「ペパーシリーズ」等が挙げられる。
さらに、ドライフィルムの市販品としては、例えば、日立化成株式会社製の「フォテック」シリーズ、ニッコーマテリアルズ株式会社製の「ALPHO」シリーズ、旭化成株式会社製の「サンフォート」シリーズ、デュポン社製の「リストン」シリーズ等が挙げられる。
次工程で使用するめっき液が中性~酸性のめっき液である場合、ドライフィルムレジストの使用が簡便であることから好ましく、特に微細なパターンを形成する場合、セミアディティブ法用のドライフィルムの使用が好ましい。
かかる目的で使用するドライフィルムレジストの市販品としては、例えば、ニッコーマテリアルズ株式会社製の「ALFO LDF500」、「NIT2700」、旭化成株式会社製の「サンフォート UFG―258」、日立化成株式会社製の「RDシリーズ(RD-2015、1225)」、「RYシリーズ(RY-5319、5325)」、デュポン社製の「PlateMasterシリーズ(PM200、300)」等が挙げられる。
また、次工程で使用するめっき液がアルカリ性のめっき液(例えば、無電解銅めっき液等)である場合、溶剤溶解剥離タイプのレジストの使用、またはレジストが剥離しないpH、温度領域でのアルカリ剥離タイプのレジストの使用が好ましい。
[6A]次に、パターン化された感光性樹脂層から露出する金属粒子層上に、上述したようにして、金属めっき層を形成する。
[7A]次に、パターン化された感光性樹脂層に剥離液を接触させることにより、金属粒子層から剥離する。
この剥離液には、市販品、もしくは1.5~3質量%程度の水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム水溶液(温度:45~60℃程度)等を使用することができる。
剥離液の接触は、パターン化された感光性樹脂層を有する絶縁性基材を、剥離液に浸漬するか、剥離液をスプレー等で噴霧することにより行うことができる。
[8A]次に、金属めっき層をマスクとして、金属粒子層にエッチング液を接触させることにより、金属粒子層の不要部分(金属めっき層直下を除く、金属めっき層から露出する部分)を除去する。これにより、金属粒子層と金属めっき層とで構成され、所定のパターンを有する金属層が形成され、アンテナ1が得られる。
このエッチング液には、金属粒子層を選択的にエッチングし、金属めっき層をエッチングし難い液剤を使用することが好ましい。ここで、金属粒子層を構成する金属粒子としては、銀粒子が好ましいことから、銀を溶解する速度の速いエッチング液を選択することが好ましい。
かかるエッチング液としては、例えば、希硝酸、カルボン酸と過酸化水素との混合物、アンモニア水と過酸化水素との混合物、塩酸、塩酸と硝酸との混合物、硫酸と硝酸との混合物、硫酸と硝酸と有機酸(例えば、酢酸等)との混合物、リン酸と硝酸と有機酸(例えば、酢酸等)との混合物等が挙げられる。
金属めっき層(金属層)をアンテナパターンとする場合、金属めっき層を構成する金属としては、銅が好ましい。
したがって、金属粒子層を構成する金属粒子として銀粒子を使用し、金属めっき層を構成する金属として銅を使用する場合、金属粒子層の不要部分を除去する際、銅をできるだけ溶解せず、銀を効率よく溶解し得るエッチング液を選択することが好ましい。
かかるエッチング液としては、カルボン酸と過酸化水素との混合物が好適である。
カルボン酸としては、例えば、酢酸、蟻酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸、ピルビン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、アジピン酸、アミノ酸等が挙げられる。これらのカルボン酸は、1種単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
中でも、エッチング液としての製造、取り扱いが容易であることから、カルボン酸としては、主に酢酸を使用することが好ましい。
エッチング液として、カルボン酸と過酸化水素との混合物を使用すると、過酸化水素がカルボン酸と反応することにより、過カルボン酸(ぺルオキシカルボン酸)が生成すると考えられる。生成した過カルボン酸は、金属めっき層を構成する銅の溶解を抑制しつつ、金属粒子層を構成する銀を優先的に溶解するものと推測される。
上記混合物において、カルボン酸と過酸化水素との混合割合は、金属めっき層の溶解を抑制できることから、カルボン酸1モルに対して、過酸化水素を2~100モル程度とすることが好ましく、2~50モル程度とすることがより好ましい。
カルボン酸と過酸化水素との混合物は、水で希釈して水溶液とすることが好ましい。また、かかる水溶液中のカルボン酸と過酸化水素との混合物(合計で)の含有量は、エッチング液の温度上昇の影響を抑制し得ることから、2~65質量%程度であることが好ましく、2~30質量%程度であることがより好ましい。
希釈に使用する水としては、例えば、イオン交換水、純水、超純水のようなイオン性物質や不純物を除去した水が好ましい。
エッチング液には、金属めっき層を保護して、溶解を抑制するための保護剤をさらに添加してもよい。
金属めっき層を電解銅めっき層とする場合、保護剤としては、アゾール化合物、ポリアルキレングリコール等を使用することが好ましい。
アゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキソゾール、チアゾール、セレナゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、オキサトリアゾール、チアトリアゾール等が挙げられる。
アゾール化合物の具体例としては、例えば、2-メチルベンゾイミダゾール、アミノトリアゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、4-アミノベンゾトリアゾール、1-ビスアミノメチルベンゾトリアゾール、アミノテトラゾール、フェニルテトラゾール、2-フェニルチアゾール、ベンゾチアゾール等が挙げられる。これらのアゾール化合物は、1種を単独で用使用することも、2種以上を併用することもできる。
エッチング液がアゾール化合物を含有する場合、そのエッチング液中の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.001~2質量%程度であることが好ましく、0.01~0.2質量%程度であることがより好ましい。
ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。中でも、ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコールが好ましい。
また、ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、200~20,000程度であることが好ましい。
エッチング液がポリアルキレングリコールを含有する場合、そのエッチング液中の濃度(含有量)は、特に限定されないが、0.001~2質量%程度であることが好ましく、0.01~1質量%程度であることがより好ましい。
エッチング液には、pHの変動を抑制するため、有機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の添加剤を、必要に応じて添加してもよい。
エッチング液の接触は、金属粒子層を有する絶縁性基材を、エッチング液に浸漬するか、エッチング液をスプレー等で噴霧することによって行うことができる。
エッチング装置を使用して、金属粒子層を除去する場合、例えば、エッチング液の全成分を所定の組成になるように調製した後、エッチング装置に供給してもよく、エッチング液の各成分を個別にエッチング装置に供給し、装置内で各成分を混合して、所定の組成になるように調製してもよい。
エッチング液の温度は、10~35℃程度であることが好ましく、特に、過酸化水素を含有するエッチング液を使用する場合、過酸化水素の分解を抑制できることから、30℃以下であることが好ましい。
金属粒子層を構成する金属粒子として銀粒子を使用する場合、金属粒子層の不要部分(露出部分)を、エッチング液で除去した後、エッチング液中に溶解した銀成分がアンテナ1上に付着、残留するのを防ぐ目的等で、水洗以外に、さらに洗浄操作を行ってもよい。
洗浄操作には、酸化銀、硫化銀、塩化銀を溶解するが、銀を殆ど溶解しない洗浄液を用いることが好ましい。洗浄液の具体例としては、例えば、チオ硫酸塩またはトリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンを含有する水溶液、メルカプトカルボン酸またはその塩を含有する水溶液等が挙げられる。
チオ硫酸塩としては、例えば、チオ硫酸アンモニウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム等が挙げられる。
また、トリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンとしては、例えば、トリス(3-ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(3-ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3-ヒドロキシプロピル)ホスフィン等が挙げられる。
これらのチオ硫酸塩またはトリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンは、それぞれ1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
チオ硫酸塩を含有する水溶液を使用する場合、その濃度(含有量)は、工程時間、使用する洗浄装置の特性等によって、適宜設定すればよく、特に限定されないが、0.1~40質量%程度であることが好ましく、洗浄効率、連続使用時の洗浄液の安定性の観点から、1~30質量%程度であることがより好ましい。
また、トリス(3-ヒドロキシアルキル)ホスフィンを含有する水溶液を使用する場合、その濃度(含有量)は、工程時間、使用する洗浄装置の特性等によって、適宜設定すればよく、特に限定されないが、0.1~50質量%程度であることが好ましく、洗浄効率、連続使用時の洗浄液の安定性の観点から、1~40質量%程度であることがより好ましい。
メルカプトカルボン酸としては、例えば、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、システイン、N-アセチルシステイン等が挙げられる。
また、メルカプトカルボン酸の塩としては、例えば、上記で例示した化合物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。
メルカプトカルボン酸またはその塩を含有する水溶液を用いる場合、その濃度(含有量)は、0.1~20質量%程度であることが好ましく、洗浄効率、大量に処理する場合のプロセスコストの観点から、0.5~15質量%程度であることがより好ましい。
洗浄操作の方法としては、例えば、アンテナ1を、洗浄液に浸漬する方法、スプレー等で洗浄液を噴霧する方法等が挙げられる。
洗浄液の温度は、室温(25℃)とすることができるが、外気温に影響を受けずに安定的に洗浄操作を行い得ることから、例えば、30℃程度に調整することが好ましい。
また、金属粒子層の不要部分のエッチング液による除去操作と洗浄操作とは、必要に応じて、繰り返して行うことができる。
また、エッチング液により金属粒子層の不要部分を除去した後、アンテナ1の金属層から露出する部分には、その絶縁性を、さらに向上させる目的で、必要に応じて、洗浄操作を行ってもよい。
この洗浄操作には、例えば、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムの水溶液に、過マンガン酸カリウムまたは過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液を好適に使用することができる。
アルカリ性過マンガン酸溶液による洗浄は、20~60℃程度の温度に調整したアルカリ性過マンガン酸溶液に、アンテナ1を浸漬する方法、アンテナ1にスプレー等でアルカリ性過マンガン酸溶液を噴霧する方法等が挙げられる。
アンテナ1は、アルカリ性過マンガン酸溶液の濡れ性をよくし、洗浄効率を向上させる目的で、洗浄操作の前に、アルコール性水酸基を有する水溶性の有機溶媒に接触させる処理を行ってもよい。
かかる有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で使用することも、2種以上を併用することもできる。
アルカリ性過マンガン酸溶液の濃度は、適宜設定すればよく、特に限定されないが、0.1~10質量%程度の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液100質量部に、過マンガン酸カリウムまたは過マンガン酸ナトリウムを0.1~10質量部程度で溶解させて調整されることが好ましく、洗浄効率の観点から、1~6質量%程度の水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液100質量部に、過マンガン酸カリウムまたは過マンガン酸ナトリウムを1~6質量部程度で溶解させて調整されることがより好ましい。
アルカリ性過マンガン酸溶液を使用した洗浄操作を行う場合、洗浄操作の後に、洗浄したアンテナ1を、中和または還元作用を有する液剤を使用して処理することが好ましい。
かかる液剤としては、例えば、0.5~15質量%程度の希硫酸または有機酸を含有する水溶液等が挙げられる。なお、有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、アスコルビン酸、メチオニン等が挙げられる。
アルカリ性過マンガン酸溶液による洗浄操作は、エッチング液中に溶解した銀成分がアンテナ1上に付着、残留するのを防ぐ目的で行う洗浄操作の後に行ってもよいし、エッチング液中に溶解した銀成分がアンテナ1に付着、残留するのを防ぐ目的の洗浄操作に代えて、アルカリ性過マンガン酸溶液による洗浄操作のみを行ってもよい。
次に、サブトラクティブ法を利用した加工法による金属層の形成方法の一例について説明する。
[1A’]まず、絶縁性基材2を準備する。
[2A’]次に、絶縁性基材2(平滑面)上に、上記[2A]と同様にして、プライマー層を形成する。
[3A’]次に、プライマー層上に、上記[3A]と同様にして、金属粒子層(好ましくは、銀粒子層)を形成する。
[4A’]次に、金属粒子層上の全体に、金属めっき層を形成する。
[5A’]次に、金属めっき層上に、上記[4A]と同様にして、パターン形成用の感光性樹脂層を形成する。
[6A’]次に、金属めっき層上に、感光性樹脂層を、目的とする金属層のパターンと同じパターンになるように加工する。
[7A’]次に、パターン化された感光性樹脂層から露出する不要部分の金属層にエッチング液を接触させることにより除去する。
この不要部分を除去する工程では、金属めっき層と金属粒子層とを同時に除去してもよいし、金属めっき層を除去した後に、金属粒子層を段階的に除去してもよい。
これにより、金属粒子層と金属めっき層とで構成され、所定のパターンを有する金属層が形成される。
サブトラクティブ法により金属層を除去する際に用いるエッチング剤としては、必要に応じて、公知慣用のエッチング剤を用いることができ、塩化鉄エッチング液、塩化銅エッチング液、アルカリエッチング液等を好適に用いることができる。
[8A’]次に、上記[7A]と同様にして、感光性樹脂層に剥離液を接触させることにより、金属めっき層から感光性樹脂層を剥離する。これにより、アンテナ1が得られる。
<第2実施形態>
図3は、本発明のアンテナの第2実施形態を示す斜視図である。
アンテナ10は、立方体形状の絶縁性基材20と、絶縁性基材20の6つの面に設けられたアンテナパターン(受信部および/または送信部)30とを有している。
かかるアンテナ10は、図示しない回路基板に実装された状態、すなわち、アンテナパターン30の接続端子301と回路基板に設けられた配線とを電気的に接続した状態で使用される。
本実施形態では、絶縁性基材20は、複数(6つ)の平滑面を有する多面体で構成されている。このため、アンテナ10は、高周波帯域の信号の伝送損失が十分に小さくなっている。
なお、絶縁性基材20は、中実であっても、中空であってもよい。ただし、絶縁性基材20が中空であれば、絶縁性基材20の電気特性(低誘電率、低誘電正接)をより向上させることができる、
また、アンテナパターン30は、直線を複数個所で屈曲させたようなミアンダ形状をなす金属層である。
図3に示すアンテナ10の金属層は、金属粒子層へ電磁波を照射する加工、金属粒子層を機械的に切削する加工等により形成することができる。
中でも、パターンの解像度の高さ、立体形状(多面体)への適応の容易さ、生産性が高いことから、金属粒子層へ電磁波を照射する加工であることが好ましい。
かかる方法によれば、微細で寸法精度の高い金属層をより簡便に形成することもできる。
なお、金属粒子層へ電磁波を照射する加工の中でも、照射エネルギーが高く、金属粒子層を除去し易く、工業的使用の簡便さから、レーザーを照射する加工がより好ましい。
以下、金属粒子層へレーザーを照射する加工による金属層の形成方法の一例について説明する。
[1B]まず、絶縁性基材2を準備する。
[2B]次に、絶縁性基材2(平滑面)上に、上述したようにして、プライマー層を形成する。
[3B]次に、プライマー層上に、上述したようにして、金属粒子層(好ましくは、銀粒子層)を形成する。
[4B]次に、金属粒子層を、目的とする金属層のパターンとなるように、レーザー照射により加工する。
レーザーとしては、例えば、赤外線レーザー、可視光レーザー、紫外線レーザーを使用することができ、連続発振レーザーであっても、パルスレーザーであってもよい。
赤外線レーザーとしては、例えば、炭酸ガス(CO)レーザー、Nd:YAGレーザー、Er:YAGレーザー、Yb:YAGレーザー、Tm:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、Nd:ガラスレーザー、Nd:YVOレーザー、Crフォルステライトレーザー、チタンサファイアレーザー、アレキサンドライトレーザー等が挙げられる。
可視光レーザーとしては、例えば、ガラスレーザー、ルビーレーザー、銅蒸気レーザー、色素レーザー、各種赤外線レーザーの第二高調波等が挙げられる。
また、紫外線レーザーとしては、例えば、窒素レーザー、エキシマーレーザー、各種赤外線レーザーの第三、第四高調波等が挙げられる。
なお、各種波長の半導体レーザー、半導体レーザーの高調波を、目的に応じて選択してもよい。
金属粒子層を除去するレーザーは、目的のパターン形状に沿ってレーザーを照射するために、ガルバノスキャナー、光ファイバー等を使用して、金属粒子層上に、高速でレーザー照射部を移動させ得る走査系を有することが好ましい。
かかる走査系は、レーザー発振機とガルバノスキャナー、光ファイバー等とを組み合わせることにより作製してもよいし、市販のレーザー加工機、レーザーマーカー等を使用するようにしてもよい。
上記各種レーザーの中でも、炭酸ガス(CO)レーザー、Nd:YAGレーザー、Er:YAGレーザー、Yb:YAGレーザー、Tm:YAGレーザー、Nd:YLF
レーザー、Nd:ガラスレーザー、Nd:YVOレーザー、半導体レーザーが好ましい。これらのレーザーは、レーザー加工機、レーザーマーカー等として、システムが市販されているので、工業的利用に適している。
金属粒子層の不要部分に、レーザーを移動(走査)させつつ照射することにより除去する。これにより、パターン化された金属粒子層が形成される。
また、金属粒子層の不要部分を除去する際には、レーザーを照射した金属粒子層の直下のプライマー層の表面、または、プライマー層および絶縁性基材の平滑面を同時に除去してもよい。
[5B]次に、パターン化された金属粒子層上に、上述したようにして、金属めっき層を形成する。これにより、金属粒子層と金属めっき層とで構成され、所定のパターンを有する金属層が形成され、アンテナ10が得られる。
以上、本発明のアンテナについて説明したが、本発明は、上述した実施形態の構成に限定されない。
例えば、本発明のアンテナは、上述した実施形態に構成において、他の任意の目的の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてよい。
次に、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.各材料の準備
1-1.プライマー液(1)の調製
ノボラック樹脂(DIC株式会社製、「PHENOLITE TD-2131」、水酸基当量104g/当量)35質量部と、エポキシ樹脂(DIC株式会社製、「EPICLON 850-S」;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ基当量188g/当量)64質量部と、トリアジン環を有するシランカップリング剤(四国化成株式会社製、「VD-5」)1質量部とを混合した後、メチルエチルケトンで不揮発分が2質量%となるように希釈および混合することにより、プライマー液(1)を調製した。
1-2.プライマー液(2)の調製
温度計、窒素ガス導入管、撹拌機を備えた反応容器中で窒素ガスを導入しながら、テレフタル酸830質量部と、イソフタル酸830質量部と、1,6-ヘキサンジオール685質量部と、ネオペンチルグリコール604質量部と、ジブチル錫オキサイド0.5質量部とを仕込み、180~230℃で酸価が1以下になるまで230℃で15時間重縮合反応を行い、水酸基価55.9、酸価0.2のポリエステルポリオールを得た。
このポリエステルポリオール1000質量部を減圧下100℃で脱水し、80℃まで冷却した後、メチルエチルケトン883質量部を加え十分撹拌、溶解し、2,2-ジメチロールプロピオン酸80質量部を加え、次いでイソホロンジイソシアネート244質量部を加えて70℃で8時間反応させた。
前記反応終了後、40℃まで冷却し、トリエチルアミン60質量部加えて中和した後、水4700質量部と混合し透明な反応生成物を得た。
得られた反応生成物から、40~60℃の減圧下でメチルエチルケトンを除去し、次いで、水を混合することで、不揮発分10質量%、重量平均分子量50000のプライマー液(2)を得た。
1-3.銀粒子分散液の調製
まず、エチレングリコール45質量部とイオン交換水55質量部とを混合して、混合液を得た。
次いで、この混合液に、分散剤としてポリエチレンイミンにポリオキシエチレンが付加した化合物を使用して、平均粒子径30nmの銀粒子を分散させた。これにより、銀粒子と分散剤とを含有する分散体を調製した。
その後、得られた分散体に、イオン交換水、エタノールおよび界面活性剤を添加して、5質量%の銀粒子分散液を調製した。
1-4.銀用エッチング液の調製
水47.4質量部に、酢酸2.6質量部を加え、さらに、35質量%過酸化水素水50質量部を加えた、これにより、銀用エッチング液を調製した。
この銀用エッチング液において、過酸化水素とカルボン酸とのモル比(過酸化水素/カルボン酸)は13.6であり、過酸化水素とカルボン酸との合計での含有量は11.2質量%であった。
1-5.銅用エッチング液の調製
イオン交換水に、硫酸37.5g/L、および過酸化水素13.5g/Lの割合で混合し、銅用エッチング液を調製した。
1-6.ポリフェニレンスルフィド(PPS)基材の作製
まず、リニア型ポリフェニレンスルフィド(ASTM D1238-86によるMFR:600g/10分)100質量部と、チョップドガラス繊維(旭ファイバーグラス株式会社製、「FT562」;繊維状無機充填剤)58.8質量部と、エチレン-メタクリル酸共重合体亜鉛イオンタイプ(三井デュポンケミカル株式会社製、「ハイミラン1855」)8.4質量部と、モンタン酸複合エステルワックス(クラリアントジャパン株式会社製、「リコルブWE40」)0.8質量部とを均一に混合した。
その後、35mmφの2軸押出機を用いて290~330℃で溶融混錬し、ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を得た。
次いで、得られたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物を射出成形機で成形することにより、50mm×105mm×2mmのサイズの平板状のPPS基材を作製した。
なお、PPS基材の表面および裏面は、それぞれ算術平均粗さRaが0.2μm、かつ最大高さ粗さRzが3.5μmの平滑面であった。
2.積層体の製造
(実施例1)サブトラクティブ法による伝送特性評価用TEGパターン形成
まず、平板状の絶縁性基材として、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、「カプトン 200EN-Y」;厚さ:50μm)を準備した。なお、ポリイミドフィルムの表面および裏面は、それぞれ最大高さ粗さRzが1.3μmの平滑面であった。
次いで、このポリイミドフィルムの表面(平滑面)に、前記1-1で調製したプライマー液(1)を、卓上型小型コーター(RKプリントコートインストルメント社製、「Kプリンティングプローファー」)を使用して、乾燥後の厚さが150nmとなるように塗工した。
その後、熱風乾燥機を使用して、160℃で5分間乾燥することにより、ポリイミドフィルム上にプライマー層を形成した。
次に、プライマー層上に、前記1-3で調製した銀粒子分散液を、上記と同様の卓上型小型コーターを使用して、乾燥後の銀粒子層の厚さが100nmとなるように塗工し、その後、銀粒子分散液を、熱風乾燥機を使用して、180℃で5分間乾燥することにより、プライマー層上に銀粒子層(厚さ:100nm)を形成した。
このフィルムを裏返して、前記と同様にポリイミドフィルムの裏面(平滑面)に、プライマー液を塗工し、熱風乾燥機を使用して、160で5分間乾燥することにより、ポリイミドフィルムの裏面にも、厚さ150nmのプライマー層を形成した。
さらに、銀粒子分散液を、上記と同様にして塗工し、180℃で5分間乾燥することによって乾燥後の銀粒子層の厚さが100nmの銀粒子層を形成した。
このようにして、ポリイミドフィルムの両面に、プライマー層および銀粒子層を形成したフィルムを250℃で焼成した。
次に、両面の銀粒子層をカソードに設置し、含リン銅をアノードとして、硫酸銅を含有する電解銅めっき液(硫酸銅:70g/L、硫酸:200g/L、塩素イオン:50mg/L、添加剤(奥野製薬工業株式会社製、「トップルチナSF」))を使用して、電流密度2.5A/dmで24分間、電解銅めっきを行った。これにより、銀粒子層上に、電解銅めっき層(厚さ:12μm)を形成した。
次に、伝送特性評価用TEGパターンの裏面への接続位置に、レーザーを用いて、フィルム両面を貫通するスルーホールを形成した。ブラックホールプロセス(マクダーミッド社製)を用いて、形成したスルーホール表面を導電化した後、6μm厚の電解銅めっきを行い、基材両面を電気的に接続した。次に、両面の電解銅めっき層上に、ドライフィルムレジスト(デュポン社製、「リストンFXR20」;レジスト膜厚:20μm)を、ロールラミネーターを使用して、100℃で圧着した。
その後、ダイレクト露光デジタルイメージング装置(オルボッテク社製、「Nuvogo1000R」)を使用して、表面のレジスト上に、インピーダンス50Ω、10cm長の伝送線パターン、およびグラウンド接続パッドパターンを露光し、裏面のレジスト上に、グラウンドパターンを露光した。
次いで、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液を使用して、現像を行うことにより、電解銅めっき層上に伝送特性評価用TEGパターンを保護するレジストパターン(パターン化された感光性樹脂層)を形成した。
次に、レジストパターンが形成されたポリイミドフィルムを45℃に設定した塩化第二鉄エッチング液を用い、スプレー式のエッチングマシンで、金属層(電解銅めっき層および銀粒子層)の不要部分を除去した。これにより、銀粒子層と電解銅めっき層とで構成される伝送特性評価用TEGパターンの金属層を形成した。
その後、伝送特性評価用TEGパターンの金属層が形成されたポリイミドフィルムを、50℃に設定した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した。これにより、レジストパターンを剥離して、アンテナパターンを有する積層体を得た。
(実施例2)パッチ配列パターン形成
実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムの両面に、プライマー層および銀粒子層を形成したフィルムを250℃で焼成した、
次に、表面の銀粒子層上に、ドライフィルムレジスト(日立化成株式会社製、「フォテックRD-1225」;レジスト膜厚:25μm)を、ロールラミネーターを使用して、100℃で圧着した。
次に、ダイレクト露光デジタルイメージング装置(オルボッテク社製、「Nuvogo1000R」)を使用して、レジスト上に3.4mm角の正方形パターンを5.36mmピッチで縦横に配列させたパッチ配列パターン、および給電部となるベタパターンを露光した。
次いで、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液を使用して、現像を行うことにより、銀粒子層上に給電部のベタパターンおよびパッチ配列パターンに対応する部分が除去されたレジストパターン(パターン化された感光性樹脂層)を形成した。これにより、ポリイミドフィルム上の銀粒子層の一部を、給電部のベタパターンおよびパッチ配列パターンで露出させた。
次に、ベタパターンで露出した銀粒子層をカソードに設置し、含リン銅をアノードとして、硫酸銅を含有する電解銅めっき液(硫酸銅:70g/L、硫酸:200g/L、塩素イオン:50mg/L、添加剤(奥野製薬工業株式会社製、「トップルチナSF」))を使用して、電流密度2.5A/dmで20分間、電解銅めっきを行った。これにより、銀粒子層上に、電解銅めっき層(厚さ:10μm)を形成した。
次に、電解銅めっき層が形成されたポリイミドフィルムを、50℃に設定した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した。これにより、レジストパターンを剥離した。
次に、レジストパターンが剥離されたポリイミドフィルムを、前記1-4で調製した銀用エッチング液に25℃で30秒間浸漬した。これにより、銀粒子層の不要部分を除去して、銀粒子層と電解銅めっき層とで構成されるパッチ配列パターンの金属層を形成して、積層体を得た。
なお、金属層における幅の厚さ方向に沿った変化率は、4.5%であった。
(実施例3)パッチ配列パターン形成
ポリイミドフィルムに代えて、前記1-6で作製したPPS基材を使用した以外は、実施例2と同様にして、PPS基材上に、銀粒子層と電解銅めっき層とで構成されるパッチ配列パターンの金属層を形成して、アンテナパターンを有する積層体を得た。
前述したように、PPS基材の表面の最大高さ粗さRzは、3.5μmであり、電解銅めっき層の表面は、PPS基材の表面の平滑性を反映した光沢面(平滑面)であった。
(実施例4)透明基材上でのパッチ配列パターン形成
まず、透明基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、「ルミラー100U-483」;以下、「PET基材」と略記する。)を準備した。そして、このPET基材の表面に、前記1-2で調製したプライマー液(2)を、バーコーターを用いて、その乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗工した。次いで、熱風乾燥機を用いて80℃で5分間乾燥することによって、PET基材の表面にプライマー層を形成した。
次に、前記プライマー層の表面に、前記1-3で調製した銀粒子分散液を、乾燥後の銀粒子層の厚さが30nmとなるように塗工し、その後、銀粒子分散液を、熱風乾燥機を使用して、80℃で5分間乾燥することにより、プライマー層上に銀粒子層(厚さ:30nm)を形成した。
次に、得られた銀粒子層に、無電解銅めっきプロセス(奥野製薬工業株式会社製、「MOONカッパー」)を用いて、45℃で10分間処理することによって、厚さ200nmの無電解銅めっき層を形成した。
次いで、この無電解銅めっき層をカソード側に設定し、含リン銅をアノード側に設定し、硫酸銅を含有する電解めっき液を用いて、電流密度2.5A/dmで4分間、電解めっきを行うことによって、無電解銅めっき層の表面に、電解銅めっき層(厚さ:2μm)を形成した。
なお、電解めっき液としては、硫酸銅70g/L、硫酸200g/L、塩素イオン50mg/L、添加剤(奥野製薬工業株式会社製、「トップルチナSF」)5ml/Lを用いた。
次に、電解銅めっき層上に、ドライフィルムレジスト(デュポン社製、「リストンFXR20」;レジスト膜厚:20μm)を、ロールラミネーターを使用して、100℃で圧着した。
次に、ダイレクト露光デジタルイメージング装置(オルボッテク社製、「Nuvogo1000R」)を使用して、レジスト上に3.4mm角の正方形パターンを5.36mmピッチで縦横に配列させたパッチ配列パターンを露光した。
次いで、1質量%の炭酸ナトリウム水溶液を使用して、現像を行うことにより、電解銅めっき層上にパッチパターンを保護するレジストパターン(パターン化された感光性樹脂層)を形成した。
次に、パッチパターンが形成されたPET基材を、実施例1と同様にして、金属層(電解銅めっき層、無電解銅めっき層および銀粒子層)の不要部分を除去し、続いて、レジストパターンを剥離することにより、アンテナパターンを有する積層体を得た。
金属層が除去されたPET基材の400nm~800nmにおける光透過率を、光ファイバーを用いた分光測定システム((OCEAN OPTICS社製、バランス重水素ハロゲン光源―分光器「OCEAN FX」)を用いて測定したところ、86%以上の透過率を示し、高い透明性を保持していることを確認した。
(比較例1)伝送特性評価用TEGパターン形成
銀粒子を塗工したポリイミドフィルムに代えて、市販の銅箔ラミネートポリイミドFCCL(R-F775)を用いた以外は、実施例1と同様にして、伝送特性評価用TEGパターンの金属層を有する積層体を得た。なお、ラミネートされた銅箔をエッチングにより除去したポリイミドフィルムの表面および裏面は、それぞれ最大高さ粗さRzが7.0μmの粗面であった。
なお、金属層における幅の厚さ方向に沿った変化率は、16%であった。
(比較例2)
前記1-6で作製したPPS基材の表面をフッ酸(62%硝酸:720mL/L、酸性フッ化アンモン:120g/L)により粗化処理した。粗化処理したPPS基材の表面の最大高さ粗さRzは、62.7μmであった。
この粗化処理したPPS基材に、無電解銅めっきプロセス(奥野製薬工業株式会社製、「MOONカッパー」)を用いて、45℃で10分間処理することによって、厚さ200nmの無電解銅めっき層を形成した。
次に、無電解銅めっき層上に、ドライフィルムレジスト(日立化成株式会社製、「フォテックRD-1225」;レジスト膜厚:25μm)を、ロールラミネーターを使用して、100℃で圧着した。
これ以降は、実施例2と同様にして、給電部のベタパターンおよびパッチ配列パターンで露出させたレジストパターン(パターン化された感光性樹脂層)を形成し、ベタパターンの無電解銅めっき層をカソードとして、硫酸銅を含有する電解銅めっき液(硫酸銅:70g/L、硫酸:200g/L、塩素イオン:50mg/L、添加剤(奥野製薬工業株式会社製、「トップルチナSF」))を使用して、電流密度2.5A/dmで20分間、電解銅めっきを行った。
次に、電解銅めっきを実施した基材を、50℃に設定した3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬した。これにより、レジストパターンを剥離した。次に、レジストパターンが剥離されたPPS基材を、前記1-5で調製した銅用エッチング液に、35℃で1.5分浸漬して、パッチパターン部以外の無電解銅めっき層を除去した。
これにより、無電解銅めっき層上に、電解銅めっき層(厚さ:10μm)を形成した、パッチ配列パターンの金属めっき層を得た。
なお、金属めっき層の表面は、粗化処理したPPS基材の表面の粗度を反映した梨地面(粗面)であった。
(比較例3)
比較例2と同様にして、前記1-6で作製したPPS基材上に無電解銅めっき膜を形成した後、無電解銅めっき層をカソードとして、硫酸銅を含有する電解銅めっき液(硫酸銅:70g/L、硫酸:200g/L、塩素イオン:50mg/L、添加剤(奥野製薬工業株式会社製「トップルチナSF))を使用して、電流密度2.5A/dmで20分間、電解銅めっきを行い、前面に10μmの電解銅めっき層を形成した。
これ以降は、実施例3と同様にして、PPS基材上に、無電解銅めっき層と電解銅めっき層とで構成されるパッチ配列パターンの金属層を形成して、アンテナパターンを有する積層体を得た。
なお、金属めっき層の表面は、粗化処理したPPS基材の表面の粗度を反映した梨地面(粗面)であった。
3.測定
3-1.表面粗さ
各実施例および比較例で得られた積層体の金属層または金属めっき層について、その上面および側面の表面粗さ(算術平均粗さRaおよび最大高さ粗さRz)を、JIS B 0601:2013の規定に従って測定した。
3-2.幅の変化率(寸法変化率)
実施例2および比較例2、3で得られた積層体の金属層について、その厚さ方向に沿った断面の電子顕微鏡写真を撮影した。そして、底辺の長さに対する長辺の長さの変化率を計算した。
3-3.伝送損失
実施例1および比較例1で得られた伝送特性評価用TEGパターンの金属層を有する積層体を135℃で2h乾燥処理し、PNA-Xマイクロ波ネットワークアナライザ(キーサイト・テクノロジーズ社製)を用いて伝送特性評価を実施した。
これらの測定結果を、以下の表1に示す。
Figure 2022126318000001
表1に示すように、平滑面上に形成された実施例1の金属層は、高周波帯域の信号の伝送損失が小さいことが判った。これに対して、粗面上に形成された比較例1の金属層は、高周波帯域の信号の伝送損失が大きかった。
Figure 2022126318000002
表2に示すように、表面粗さの小さい表面上に形成された実施例3の金属層は、金属層表面の表面粗さも小さいことが判った。これに対して、粗面上に形成された比較例2、3の金属層は、表面粗さが大きいことがわかった。
1 アンテナ
2 絶縁性基材
21、22 絶縁層
31 パッチアンテナ
32 スルーホール
33、34、35 配線
4 半導体素子
10 アンテナ
20 絶縁性基材
30 アンテナパターン
301 接続端子

Claims (18)

  1. 平滑面を有する絶縁性基材と、
    前記絶縁性基材の前記平滑面の外側に設けられ、所定のパターンを有する少なくとも1つの金属層とを備え、
    前記金属層は、前記絶縁性基材側に位置し、金属粒子を含有する金属粒子層と、該金属粒子層の前記絶縁性基材と反対側に位置し、前記金属粒子層に接触する金属めっき層とを有し、
    該金属めっき層の前記金属粒子層と反対側の面の最大高さ粗さRzが、5μm以下であることを特徴とするアンテナ。
  2. 前記金属めっき層が、無電解めっきによる層、電解めっきによる層および無電解めっきと電解めっきとによる層なる群から選択される1つ以上である請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記金属粒子が、銀粒子である請求項1または2に記載のアンテナ。
  4. 前記金属層の厚さ方向に沿った断面において、その厚さ方向と直交する方向の長さの厚さ方向に沿った変化率が、15%以下である請求項1~3のいずれか1項に記載のアンテナ。
  5. 前記金属層を厚さ方向から見た形状が、線状または矩形状である請求項1~4のいずれか1項に記載のアンテナ。
  6. さらに、前記絶縁性基材と前記金属層との間に、前記絶縁性基材と前記金属層とに接触して設けられ、反応性官能基を有するプライマー層を備える請求項1~5のいずれか1項に記載のアンテナ。
  7. 前記金属粒子が、前記プライマー層の前記反応性官能基と反応し得る反応性官能基を有する高分子分散剤で被覆されている請求項6に記載のアンテナ。
  8. 前記高分子分散剤の前記反応性官能基が、塩基性窒素原子含有基である請求項7に記載のアンテナ。
  9. 前記高分子分散剤が、ポリアルキレンイミンおよびその誘導体からなる群から選ばれる1種以上である請求項7または8に記載のアンテナ。
  10. 前記プライマー層の前記反応性官能基が、ケト基、アセトアセチル基、エポキシ基、カルボキシル基、N-アルキロール基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基およびアリル基からなる群から選ばれる1種以上である請求項6~9のいずれか1項に記載のアンテナ。
  11. 前記絶縁性基材の前記平滑面の最大高さ粗さRzが、5μm以下である請求項1~10のいずれか1項に記載のアンテナ。
  12. 前記絶縁性基材は、ポリフェニレンスルフィドを含有する請求項1~11のいずれか1項に記載のアンテナ。
  13. 前記絶縁性基材が、前記平滑面を少なくとも一方の面に有する平板である請求項1~12のいずれか1項に記載のアンテナ。
  14. 前記絶縁性基材の可視光領域の波長を有する光の透過率が、80%以上である請求項12に記載のアンテナ。
  15. 前記絶縁性基材のヘイズが、10%以下である請求項13または14に記載のアンテナ。
  16. 前記金属層を複数有し、
    前記金属層同士が互いに絶縁層を介して積層されている請求項13~15のいずれか1項に記載のアンテナ。
  17. 前記絶縁性基材が、前記平滑面を複数有する多面体である請求項1~12のいずれか1項に記載のアンテナ。
  18. 前記金属層の一部が、受信部、送信部または接続配線を構成している請求項1~17のいずれか1項に記載のアンテナ。
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