JP2022123274A - 腸溶性硬質カプセル - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、冷ゲル法によって成型可能な、腸溶性特性を有する硬質カプセル皮膜からなる硬質カプセル、硬質カプセルの調製液、硬質カプセル調製液の調製方法、及び硬質カプセルの調製方法を提供することを課題とする。【解決手段】腸溶性メタクリル酸コポリマーと、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーと、ポリビニルアルコールと、ゲル化剤とを含むカプセル調製液により、冷ゲル法によって成型可能な、腸溶性特性を有する硬質カプセルを調製する。【選択図】なし

Description

本発明は、腸溶性硬質カプセル、腸溶性硬質カプセル調製液、腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法、及び腸溶性硬質カプセルの調製方法に関する。
「腸溶性」とは、経口投与される製剤の剤形の一つであり、一般に、胃内では溶解しにくい製剤上の特性を意味する。また、前記製剤は、腸に移行してからは溶解しやすいという特性を有する。腸溶性製剤は、強酸性環境下である胃内では薬物活性成分を放出せず、腸内に該製剤が移動してから薬物活性成分を放出する。このため、腸溶性製剤は、主として、胃酸又は胃内酵素から薬物活性成分を保護する目的や、胃から小腸に製剤が移動する時間を利用して持続的に薬物活性成分を放出する目的で使用される。
医薬製剤分野において、「腸溶性」は、日本(第17局方、6.10溶出試験法、4.3腸溶製剤の項)、米国(US Pharmacopeia Monograph<711>Dissolution 7, Delayed-Release Dosage Formsの項)、欧州(European Pharmacopeia, 2.9.3、Delayed-release dosage formsの項)のPharmacopeiaにおいてほぼ同様に定義されている。特に、37℃、酸性(約pH 1.2、塩酸希釈液)環境下で、2時間、実質的に不溶と言えるレベルの耐酸性を要求する点については、日本、欧州及び米国で一致している。他方、腸内における溶出特性には、特に、時間的規定はない。放出ターゲット部位が小腸、結腸、大腸であるか、薬物放出特性が即放的であるか、徐放的であるかなどによって要求される溶出特性はさまざまである。
ここで、製剤剤形が硬質カプセルである場合、内容物を充填した非腸溶硬質カプセルに、錠剤と同様の腸溶性ポリマーのコーティングを施す方法(コーティング法)により、腸溶性硬質カプセル剤を調製すること、場合によっては、浸漬ピンからの離形前の非腸溶空カプセルに、浸漬法により、腸溶コーティングを施す方法が従前より行われている(特許文献1、2)。
さらに、硬質カプセル皮膜自体を腸溶性とする試みもなされている。このような従来技術としては、例えば、軟水性の腸溶性ポリマーを含む水溶性誘導体を得るために、腸溶性ポリマーのほぼすべての酸基(特にカルボキシル基)を塩化(salifying)する、あるいは、非塩化ポリマーを塩基性中和剤で少なくとも部分的に中和して水に溶解すること、あるいは、非塩化のエマルジョン分散液を利用すること(特許文献3)、及び射出成形など、ポリマーの可溶化を必要としない代替技術を用いること(特許文献4)等がなされている。
特表2013-500293号公報 特表2016-531984号公報 特表2015-515962号公報 特表2004-522746号公報
しかしながら、一般的に、特許文献1、及び2に示されるコーティング法による腸溶性硬質カプセル製剤の調製は、表面をコーティングする前に、内容物を充填してキャップとボディを嵌め合わせ、嵌合部をシールする必要があるため、調製プロセスが複雑である。また、調製プロセスが複雑になったことによる作業の負担は、硬質カプセルの製造者ではなく、内容物を充填するメーカー側が担うことになる。このような事情から、硬質カプセルの皮膜そのものが腸溶性であることが望まれる。
硬質カプセルは、通常、ディッピング(浸漬)法において調製される。具体的には、浸漬法は、カプセル皮膜ポリマー材料を溶解して水溶液とし、該ポリマー水溶液に成型ピン(一般的にはステンレス鋼製の成型ピン)を浸漬し、該成型ピンを浸漬液から引き上げ、成型ピンを反転させ、そして成型ピンの表面に付着した前記ポリマー水溶液を乾燥させて、厚さ100μm程度の皮膜を形成させる。次いで、乾燥したカプセル皮膜を、成型ピンから取り外し、所望の長さに切断したのち、内容物を充填し、キャップとボディを組み立て、硬質カプセルの表面に印字し、硬質カプセルを包装する。
特許文献3に記載の硬質カプセルの組成は、熱ゲル法により被膜形成が可能であるが、熱ゲル法は、一般的に設備コストが高く調製工程が複雑であり、乾燥温度が高くエネルギー効率が悪いといった課題がある。
また、特許文献4に記載の硬質カプセル調製液は、射出成型用であり浸漬法により硬質カプセルを調製することはできない。また、射出成型された硬質カプセルは、冷ゲル法により調製されたカプセルとは皮膜の厚みが異なるため、浸漬法で調製された硬質カプセルに対応するカプセル充填装置によりカプセルに内容物を充填することができないという課題がある。
本発明は、冷ゲル法によって成型可能な、腸溶性特性を有する硬質カプセル皮膜からなる硬質カプセル、硬質カプセルの調製液、硬質カプセル調製液の調製方法、及び硬質カプセルの調製方法を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、腸溶性メタクリル酸コポリマーと、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーと、ポリビニルアルコールと、ゲル化剤とを含むカプセル調製液により、冷ゲル法によって成型可能な、腸溶性特性を有する硬質カプセルを調製可能であることを見出した。
本発明は、以下の実施形態を含む。
項1.第1成分、第2成分、第3成分、及び第4成分を含む皮膜からなる腸溶性硬質カプセルであって、第1成分は、腸溶性メタクリル酸コポリマーであり、第2成分は、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーであり、第3成分は、ポリビニルアルコールであり、及び第4成分は、ゲル化剤である、腸溶性硬質カプセル。
項2.前記腸溶性メタクリル酸コポリマーが、メタクリル酸とメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーよりなる群から選択される少なくとも一種である、項1に記載の腸溶性硬質カプセル。
項3.前記腸溶性メタクリル酸コポリマーが、メタクリル酸40~60質量%とアクリル酸エチル60~40質量%とからなるコポリマーであることを特徴とする、項1又は2に記載の腸溶性硬質カプセル。
項4.前記水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーが、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルとのコポリマーである、項1~3のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項5.さらに1カプセルあたりの皮膜の質量を100質量%とした場合に1~10質量%の水分を含む、項1~4のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項6.さらに、第5成分として薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤を含み、前記塩基性中和剤の含有量は、1カプセルあたりの皮膜に含まれる第1成分の中和前のカルボキシル基のモル数を100モル%とした時に、0.5モル%以上、10モル%以下の前記第1成分のカルボキシル基を中和する量である、項1~5のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項7.前記塩基性中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種である、項6に記載の腸溶性硬質カプセル。
項8.さらに第6成分としてゲル化補助剤を含む、項1~7のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項9.前記ゲル化剤が、ジェランガムであり、ゲル化補助剤が乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、および硝酸カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種の水溶性カルシウム塩である、項8に記載の腸溶性硬質カプセル。
項10.前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100質量%とした場合における第1成分の割合をα質量%、第2成分の割合をβ質量%、及び第3成分の割合をγ質量%とした場合に、αが50~80の範囲である、項1~9のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項11.前記βが10~40の範囲である、項10に記載の腸溶性硬質カプセル。
項12.前記γが5~40の範囲である、項10又は11に記載の腸溶性硬質カプセル。
項13.前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する第4成分の含有量の比が5以下である、項1~12のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項14.前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する第5成分の含有量の比が5以下である、項8~13に記載の腸溶性硬質カプセル。
項15.前記第1成分の少なくとも一部が前記塩基性中和剤との塩を形成している、項6~14のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項16.可塑剤及び/もしくは遮光剤をさらに含む、項1~14のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項17.前記皮膜の厚みが50~250μmである、項1~16のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項18.前記皮膜の25℃、相対湿度22%における弾性率が1GPa~5GPaである、項1~17のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項19.前記皮膜の25℃、相対湿度22%における破断伸び率が2%~30%である、項1~18のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項20.pH1.2を有する溶液を用いた溶出試験において、2時間後の前記腸溶性硬質カプセルの溶出率が、25%以下である、項1~19のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項21.前記溶出試験における腸溶性硬質カプセルの溶出率が、10%以下である、項20に記載の腸溶性硬質カプセル。
項22.第i成分、第ii成分、第iii成分、第iv成分、及び溶媒を含む腸溶性硬質カプセル調製液であって、第i成分は、腸溶性メタクリル酸コポリマーであり、第ii成分は、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーであり、第iii成分は、ポリビニルアルコールであり、第iv成分はゲル化剤であり、及び腸溶性硬質カプセル調製液。
項23.さらに、第v成分は、薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤を含み、第i成分の一部が、第v成分によって部分中和されている、項22に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項24.前記塩基性中和剤の含有量は、1カプセルあたりの皮膜に含まれる第1成分の中和前のカルボキシル基のモル数を100モル%とした時に、0.5モル%以上、10モル%以下の前記第1成分のカルボキシル基を中和する量である、項23に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項25.前記第i成分が、コロイド粒子として分散されている、項22~24のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項26.前記腸溶性メタクリル酸コポリマーが、メタクリル酸とメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーよりなる群から選択される少なくとも一種である、項21~24のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項27.前記水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーが、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルとのコポリマーである、項22~26のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項28.前記第ii成分が、コロイド粒子として分散されている、項22~27のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項29.前記塩基性中和剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種である、項22~28のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項30.さらに第vi成分としてゲル化補助剤を含む、項22~29のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項31.前記ゲル化剤が、ジェランガムであり、ゲル化補助剤が乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、および硝酸カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種の水溶性カルシウム塩である、項30に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項32.前記皮膜に含まれる第i成分、第ii成分、及び第iii成分の質量の合計を100質量%とした場合における第1成分の割合をα’質量%、第2成分の割合をβ’質量%、第3成分の割合をγ’質量%とした場合に、α’が50~80の範囲である、項21~30のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
項33.前記β’が10~40の範囲である、項32に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項34.前記γ’が5~40の範囲である、項32又は33に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項35.前記皮膜に含まれる第i成分、第ii成分及び第iii成分の質量の合計を100とした場合に、前記合計に対する第iv成分の含有量の比が5以下である、項22~34のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項36.
前記皮膜に含まれる第i成分、第ii成分及び第iii成分の質量の合計を100とした場合に、前記合計に対する第v成分の含有量の比が5以下である、項22~35のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項37.腸溶性硬質カプセル調製液を100質量%としたときに、前記第i成分、第ii成分及び第iii成分の合計量が10~30質量%である、項22~36のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項38.粘度が、100~10,000mPa・sである、項22~37のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
項39.第v成分により部分中和された第i成分、第ii成分、第iii成分、及び第iv成分を混合することを含む、腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法であって、第i成分は、腸溶性メタクリル酸コポリマーであり、第ii成分は、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーであり、第iii成分は、ポリビニルアルコールであり、第iv成分は、ゲル化剤であり、及び第v成分は、薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤である、前記調製方法。
項40.前記腸溶性メタクリル酸コポリマーが、メタクリル酸とメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーよりなる群から選択される少なくとも一種である、項37に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
項41.前記水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーが、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルとのコポリマーである、項37又は38に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
項42.前記塩基性中和剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種である、項39~41のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
項43.前記第v成分により部分中和された第i成分、第ii成分、第iii成分、及び第iv成分の混合が下記工程AからDにより行われる、項39~42のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法:工程A:第iii成分を80℃~90℃の水性溶媒に溶解する工程、工程B:第iii成分の溶解液に第i成分を添加する工程、工程C:工程Bで得られた溶液に、第v成分を添加する工程、工程D:工程Cで得られた溶液に第ii成分と第iv成分を添加する工程。
項44.前記第v成分により部分中和された第i成分、第ii成分、第iii成分、及び第iv成分の混合が下記工程により行われる、項39~41のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法:工程A’:第i成分を第vで部分中和した部分中和液を準備する工程、工程B’:工程A’で準備した部分中和液と、第iii成分と、第ii成分と第iv成分とを混合する工程。
項45.前記塩基性中和剤の含有量は、前記1カプセルあたりの皮膜に含まれる第i成分の中和前のカルボキシル基のモル数を100モル%とした時に、0.5モル%以上、10モル%以下の前記第i成分のカルボキシル基を中和する量である、項43又は44に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
項46.前記腸溶性硬質カプセル調製液の粘度が、100~10,000mPa・sである、項39~45のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
項47.下記工程を含む、腸溶性硬質カプセルの調製方法:項22~38のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の中に、前記腸溶性硬質カプセル調製液の温度よりも低い表面温度を有するモールドピンを浸漬する第1工程;及び前記腸溶性硬質カプセル調製液からモールドピンを引き上げて、モールドピンに付着した腸溶性硬質カプセル調製液を乾燥させる第2工程。
項48.前記腸溶性硬質カプセル調製液の温度が、50~60℃である、項47に記載の腸溶性硬質カプセルの調製方法。
項49.前記調製液に浸漬する前のモールドピンの表面温度が、5~40℃である、項47又は48に記載の腸溶性硬質カプセルの調製方法。
項50.モールドピンに付着した腸溶性硬質カプセル調製液を乾燥する温度が、40℃未満である、項47~49のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセルの調製方法。
本発明は、冷ゲル法によって成型可能な、腸溶性特性を有する硬質カプセル皮膜からなる硬質カプセルを提供できる。また、当該硬質カプセルは、従来使用されているカプセル充填装置を使用して内容物を充填することができる。
1.用語及び材料の説明
はじめに、本明細書、及び特許請求の範囲等で使用される用語及び材料について説明する。本開示に関する用語及び材料は、特に記載がない限り、本項の説明に従う。
本開示において、「硬質カプセル」とは、製造されたカプセル皮膜に内容物を充填するための空のカプセルである。通常、硬質カプセルは、キャップ部とボディ部とからなり、ハードカプセル、又はツーピースカプセルとも呼ばれる。本開示における「硬質カプセル」は、ヒト又は動物の対象への経口投与を意図した、市販されている従来の硬質カプセルと同一又は類似の形状を付与することができる。
なお、本開示に係る「硬質カプセル」には、2枚のフィルムの間に内容物を充填し、フィルム同士を接着して製造するソフトカプセル、内容物を皮膜溶液と共に凝固液に滴下して製造するシームレスカプセル、及び基材の析出やエマルジョン化によって内部に有効成分を取り込ませて調製するマイクロカプセルは含まれない。
また、本開示では、空の硬質カプセルを単に硬質カプセルもしくはカプセルと呼び、内容物を充填したものを「硬質カプセル製剤」と呼ぶ。
本開示において、「腸溶性硬質カプセル」とは、カプセル本体の皮膜自体が下記条件に適合する「腸溶性」の特性を有する硬質カプセルをいう。
すなわち、「腸溶性」とは、少なくとも下記(i)の条件を満たす特性をいう。
(i)第17改正日本薬局方(以下、単に「第17局方」ということがある)に記載の溶出試験において、被験対象を37℃±0.5℃の第1液中に2時間浸漬したときの内容物の溶出率が25%以下であり、好ましくは10%以下である。好ましくは、第1液のpHは約1.2である。第1液は、例えば塩化ナトリウム2.0gに塩酸7.0ml及び水を加えて1000mlとすることで調製することができる。
「腸溶性」とは、好ましくは上記(i)の条件に加え、下記(ii)の条件も満たす。(ii)前記溶出試験において、被験対象を37℃±0.5℃の第2液中に浸漬したときに内容物が溶出される。好ましくは、第2液のpHは約6.8である。第2液は、例えば、リン酸二水素カリウム3.40g及び無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かし、1000mLとしたリン酸塩緩衝液1容量に水1容量を加えて調製することができる。
ここで、第2液中での内容物の溶出率を測定する時間に制限はない。例えば、腸に到達後、比較的速やかに溶出することが求められる場合には、第2液に被験対象を浸漬してから、30分後の溶出率が、50%、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。また、例えば、第2液に被験対象を浸漬してから、45分後の溶出率が、75%以上、好ましくは80%より好ましくは90%以上である。さらに、例えば、第2液に被験対象を浸漬してから、1時間後の溶出率が、75%以上、好ましくは80%、より好ましくは90%以上である。
溶出試験は、第17局方に定められた溶出試験法(第17局方、6.10-1.2パドル法(パドル回転数50回転/分)、及び、同図6.10-2aに対応するシンカー使用)に従い試験することができる。
溶出試験に使用する内容物は、それ自身が試験溶液中で速やかに溶解される内容物であって、公知の方法によって定量できるものである限り制限されない。例えば、アセトアミノフェンを挙げることができる。
「メタクリル酸コポリマー」は、「メタアクリレートコポリマー」ともいう。メタクリル酸コポリマーは、骨格にメタクリル酸モノマー単位を含むポリマーである。
より好ましくは、メタクリル酸コポリマーは、アニオン性基であるメタクリル酸モノマー単位と、中性であるアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルモノマー単位から構成される。アクリル酸又はメタクリル酸とエステル結合するアルキルとしては、炭素数1~4のアルキル、好ましくは炭素数1~3のアルキルを挙げることができる。アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルとして、より具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
メタクリル酸コポリマーは、腸溶性であることが好ましい。より好ましくは、腸溶性メタクリル酸コポリマーとして、下記メタクリル酸(式(I))と、メタクリル酸メチル(式(II))及びアクリル酸メチル(式(III))とのコポリマー(共重合体)、又はメタクリル酸(式(I))と、アクリル酸エチル(式(IV))とのコポリマー(共重合体)を挙げることができる。
Figure 2022123274000001
コポリマーを形成するモノマーの総数(総単位数、もしくは、総基数)を100とした場合に、メタクリル酸モノマー単位を少なくとも5%、好ましくは5~70%、特に8~60%含有、より好ましくは、30~60%含有することが好ましい。なお、各モノマー単位の分子量を用いて、容易に、各モノマー単位の比率を質量%に換算できる。
好ましいメタクリル酸コポリマーとしては、メタクリル酸(分子量86.04)40~60質量%と、メタクリル酸メチル(分子量100.05)60~40質量%、もしくはアクリル酸エチル(分子量100.05)60~40質量%とからなるポリマーである(例えば、EUDRAGIT(登録商標)L100又はEUDRAGIT(登録商標)L100-55等)。EUDRAGIT(登録商標)L100-55が特に適しており、これはメタクリル酸50質量%とアクリル酸エチル50質量%とからなるコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)L30D-55は、EUDRAGIT(登録商標)L100-55をおよそ30質量%含有する水性分散液である。これらの、メタクリル酸コポリマーは、pHが概ね5.5以上で溶解するように設定されている。
他の好ましい例としては、メタクリル酸5~15質量%、メタクリル酸メチル10~35質量%と、アクリル酸メチル(分子量86.04)50~70質量%とからなるポリマーである。より具体的には、EUDRAGIT(登録商標)FSであり、これはメタクリル酸10質量%、メタクリル酸メチル25質量%、及び、アクリル酸メチル65質量%からなるコポリマーである。EUDRAGIT(登録商標)FS30Dは、EUDRAGIT(登録商標)FSをおよそ30質量%含有する分散液である。このメタクリル酸コポリマーは、pHが概ね7以上で溶解するように設定されており、よりpHの高い環境である、大腸送達を意図した場合に用いられることがある。
上記腸溶性メタクリル酸コポリマーは、一般的には、乳化重合プロセスによって、モノマーレベルから水溶液中で共重合過程を経て、非常に小さなコロイド状粒子を含む水性エマルジョンが先に製造される。したがって、固体ポリマー成分の塩基性中和剤による中和による溶解工程を経由しなくても、平均粒径1μm未満の非常に微細なコロイド粒子の水性分散液が得られる。
EUDRGITリーズ(Evonik社)L30D-55同等の水分散液、同等の商品化されたメタクリル酸コポリマーとしては、Kollicoatシリーズ(BASF社)MAE30D/DP、ポリキッドシリーズ(三洋化成社)PA-30も挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。なお、これらの水分散液(水性エマルジョン)は、通常、0.3%未満の残留モノマー及び、その製造過程及び安定化のために、微量のポリソルベート80及びラウリル硫酸ナトリウムを含むが、本開示に係る硬質カプセル皮膜、及び硬質カプセル調製液に対する不可避的に含まれる不純物として許容されうる。
メタクリル酸コポリマーは、薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤により、完全に又は部分的に中和されていてもよい。メタクリル酸コポリマーに含まれるカルボキシル基が中和により塩を形成し得る。前記塩基性中和剤として、好ましくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
「(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー」とは、実質的に中性の(メタ)アクリル酸コポリマーであり、主としてメタクリル酸もしくはアクリル酸のアルキルエステル中性モノマー単位から構成される。アクリル酸又はメタクリル酸とエステル結合するアルキルとしては、炭素数1~4のアルキル、好ましくは炭素数1~3のアルキルを挙げることができる。アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルとして、より具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、及びアクリル酸ブチルからなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。実質的に中性であるためには、中性モノマーの割合は、例えば95質量%超、98質量%超、99質量%超、又は100質量%である。但し、ポリマー中のイオン性基の存在を完全に排除するものではなく、イオン性基、特にアニオン性基の含分が5質量%未満、好ましくは2質量%未満、好ましくは1質量%未満のメタクリル酸コポリマーが、含まれていても良い。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーは、好ましくは水不溶性である。
より好ましくは、メタクリル酸メチル(分子量100.05)20~40質量%、アクリル酸エチル(分子量100.05)60~80質量%から成るコポリマーである(EUDRAGIT(登録商標)NE又はEUDRAGIT(登録商標)NMのタイプ)が適している。中でも、EUDRAGIT(登録商標)NEが適しており、これはアクリル酸エチル70質量%と、メタクリル酸メチル30質量%とからなるコポリマーである。いずれの場合も、メタクリル酸(分子量86.04)を5質量%未満、好ましくは2質量%未満、好ましくは1質量%未満含みうる。
これらの、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーは、そのガラス転移温度が100℃未満、あるいは、造膜温度(Minimum Film-forming Temperture、MFT)が、50℃未満であり、特に腸溶性メタクリル酸コポリマーのコロイド粒子を含む分散液を乾燥させて皮膜化した場合に、粒子間の融着を促して、透明かつ割れにくい乾燥皮膜を得る効果がある。また、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーは、適度な添加量においては、耐酸性を損ねることがないという利点を有する。
上記、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーも、乳化重合プロセスによって、モノマーレベルから水溶液中で共重合過程を経て、非常に小さなコロイド状粒子を含む水性エマルジョンを先に製造できる。したがって、固体ポリマー成分の塩基性中和剤による中和による溶解工程を経由しなくても、平均粒径1μm未満の非常に微細なコロイド粒子の水性分散液が得られる。
「ポリビニルアルコール」(PVA)は、ポリ酢酸ビニルをけん化して得られる重合物であり、通常、けん化度が97%以上で下記式(1)で表される完全けん化物と、けん化度が78~96%で下記式(2)で表される部分けん化物とがある。本開示では、上記完全けん化物及び部分けん化物のいずれも使用することができる。特に制限されるものではないが、けん化度、n/(n+m)が、78~90%、特に87~90%程度の部分けん化物が好ましく用いられる。
Figure 2022123274000002
(式中、n及びmは任意の整数を意味する)
PVAの平均重合度(n)は、フィルム形成能を発揮し得る範囲であればよく、特に制限されるものではないが、通常は400~3300、特に1000~3000程度であることが好ましい。なお、上記平均重合度とけん化度から、係るPVAの重量平均分子量を算出すると約18000~約200000になるが、特にこれに制限されるものではない。PVAの添加により、腸溶性を維持しながら、カプセル皮膜に適度な機械強度(弾性率と割れにくさ)をもたらすことができる。
なお、本開示において、PVA及びPVA共重合体を併用してもよい。PVA共重合体としては、前述するPVAに重合性ビニル単量体を共重合させて得られるPVA共重合体を挙げることができる。
PVA共重合体として好ましくは、前述する部分けん化PVAを骨格として、アクリル酸とメチルメタクリレートを共重合化した高分子共重合体である。商業的に入手可能なPVA共重合体として、POVACOAT(登録商標)シリーズ(日新化成株式会社)を例示することができる。
本明細書において、メタクリル酸コポリマー、(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー、及びポリビニルアルコールをまとめて「ポリマー固形成分」ということがある。
「薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤」として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種を例示できる。薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤は、本明細書において、単に「塩基性中和剤」と呼ぶことがある。
「ゲル化剤」は、ポリマー固形成分をゲル化できる限り制限されない。ゲル化剤として、例えは、ガムをあげることができる。ガムとして、好ましくはジェランガムを例示できる。
「ゲル化補助剤」は、ゲル化剤のゲル化を補助できる限り制限されない。例えば、乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、および硝酸カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種の水溶性カルシウム塩を例示できる。
2.腸溶性硬質カプセル
本明細書に開示されるある実施態様は、腸溶性硬質カプセルに関する。
具体的には、第1成分、第2成分、第3成分、及び第4成分を含む皮膜からなる腸溶性硬質カプセルに関する。第1成分は、メタクリル酸コポリマーであり、好ましくは、腸溶性メタクリル酸コポリマーである。第2成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーであり、好ましくは水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーである。第3成分は、ポリビニルアルコールある。第4成分は、ゲル化剤であり、好ましくはジェランガムである。
皮膜は、第5成分として薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤を含んでいてもよい。
また、皮膜は、第6成分としてゲル化補助剤を含んでいてもよい。
さらに、皮膜は、薬学的及び食品添加物として許容される可塑剤、界面活性剤(乳化剤)、結合剤(PVAを除く)、コーティング剤等を含んでいてもよい。また、溶解性、特に、中性pH領域での溶出特性を制御するための徐放化剤、溶解補助剤、可溶化剤等を含んでいても良い。医薬品添加物として許容される上記添加物としては、例えば、医薬品添加物辞典、2016年版(日本医薬品添加剤協会 編集、薬事日報社)に、前記用途別に記載されているものを使用することができるがこれらに限定されるものではない。なお、これら添加物は、複数の用途に重複して分類される場合もある。
可塑剤は、上記医薬品添加物辞典で示される具体的物質に必ずしも限定されず、医薬品又は食品組成物に使用でき、カプセル皮膜に添加して柔軟性を付与しうるものであれば特に制限されないが、適当な物質は、一般に分子量(Mw)が100~20,000であり、かつ1分子中に1つ又は複数の親水基、例えばヒドロキシル基、エステル基、又はアミノ基を有するものである。例えば、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ポリエステル、エポキシ化ダイズ油、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジエステル、カオリン、クエン酸トリエチル、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、ゴマ油、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、D-ソルビトール、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トウモロコシデンプン由来糖アルコール液、トリアセチン、濃グリセリン、ヒマシ油、フィトステロール、フタル酸ジエチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリソルベート80、マクロゴールミリスチン酸イソプロピル、綿実油・ダイズ油混合物、モノステアリン酸グリセリン、リノール酸イソプロピル、各種分子量のポリエチレングリコール(マクロゴール400、600、1500、4000、6000)、などを挙げることができる。
界面活性剤(あるいは、乳化剤ともいう)は、可溶化剤、懸濁化剤、乳化剤、分散剤、溶解補助剤、安定化剤などとして用いられる。具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムポリオキシエチレン(40)モノステアレート(ステアリン酸ポリオキシル40*)、ソルビタンセスキオレエート(セスキオレイン酸ソルビタン*)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80*)、グリセリルモノステアレート(モノステアリン酸グリセリン*)、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ラウロマクロゴール*)などが挙げられる。(*:日本薬局方中の表記)。この他にも、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、ジオレイン酸ポリエチレングリコール、プロピレングリコール脂肪酸エステル(モノステアリン酸プロオレイングリコール)、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレンノニフェニルエーテル、などが挙げられる。
本開示に係る腸溶性硬質カプセル皮膜には、さらに、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、遮光剤、結合剤等を含んでいてもよい。金属封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸、酢酸、ホウ酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リン酸、酒石酸、又はこれらの塩、メタホスフェート、ジヒドロキシエチルグリシン、レシチン、β-シクロデキストリン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
滑沢剤としては、医薬品又は食品組成物に使用できるものであれば特に制限されない。例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、カルナバロウ、でんぷん、ショ糖脂肪酸エステル、軽質無水ケイ酸、マクロゴール、タルク、水素添加植物油等を挙げることができる。
金属封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸、酢酸、ホウ酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リン酸、酒石酸、又はこれらの塩、メタホスフェート、ジヒドロキシエチルグリシン、レシチン、β-シクロデキストリン、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
着色剤、遮光剤としては、医薬品又は食品組成物に使用できるものであれば特に制限されない。着色剤としては、例えばアセンヤクタンニン末、ウコン抽出液、塩化メチルロザニリン、黄酸化鉄、黄色三二酸化鉄、オパスプレーK-1-24904、オレンジエッセンス、褐色酸化鉄、カーボンブラック、カラメル、カルミン、カロチン液、β-カロテン、感光素201号、カンゾウエキス、金箔、クマザサエキス、黒酸化鉄、軽質無水ケイ酸、ケッケツ、酸化亜鉛、酸化チタン、三二酸化鉄、ジスアゾイエロー、食用青色1号及びそのアルミニウムレーキ、食用青色2号及びそのアルミニウムレーキ、食用黄色4号及びそのアルミニウムレーキ、食用黄色5号及びそのアルミニウムレーキ、食用緑色3号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色2号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色3号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色102号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色104号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色105号及びそのアルミニウムレーキ、食用赤色106号及びそのアルミニウムレーキ、水酸化ナトリウム、タルク、銅クロロフィンナトリウム、銅クロロフィル、ハダカムギ緑茶エキス末、ハダカムギ緑茶抽出エキス、フェノールレッド、フルオレセインナトリウム、d-ボルネオール、マラカイトグリーン、ミリスチン酸オクチルドデシル、メチレンブルー、薬用炭、酪酸リボフラビン、リボフラビン、緑茶末、リン酸マンガンアンモニウム、リン酸リボフラビンナトリウム、ローズ油、ウコン色素、クロロフィル、カルミン酸色素、食用赤色40号及びそのアルミニウムレーキ、水溶性アナトー、鉄クロロフィリンナトリウム、デュナリエラカロテン、トウガラシ色素、ニンジンカロテン、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム、パーム油カロテン、ビートレッド、ブドウ果皮色素、ブラックカーラント色素、ベニコウジ色素、ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色素、マリーゴールド色素、リボフラビンリン酸エステルナトリウム、アカネ色素、アルカネット色素、アルミニウム、イモカロテン、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、カカオ色素、カカオ炭末色素、カキ色素、カニ色素、カロブ色素、魚鱗箔、銀、クサギ色素、クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素、クーロー色素、クロロフィン、コウリャン色素、骨炭色素、ササ色素、シアナット色素、シコン色素、シタン色素、植物炭末色素、スオウ色素、スピルリナ色素、タマネギ色素、タマリンド色素、トウモロコシ色素、トマト色素、ピーナッツ色素、ファフィア色素、ペカンナッツ色素、ベニコウジ黄色素、ベニノキ末色素、ヘマトコッカス藻色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ムラサキヤマイモ色素、油煙色素、ラック色素、ルチン、エンジュ抽出物、ソバ全草抽出物、ログウッド色素、アカキャベツ色素、アカゴメ色素、アカダイコン色素、アズキ色素、アマチャ抽出物、イカスミ色素、ウグイスカグラ色素、エルダーベリー色素、オリーブ茶、カウベリー色素、グースベリー色素、クランベリー色素、サーモンベリー色素、ストロベリー色素、ダークスィートチェリー色素、チェリー色素、チンブルベリー色素、デュベリー色素、パイナップル果汁、ハクルベリー色素、ブドウ果汁色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、プラム色素、ブルーベリー色素、ベリー果汁、ボイセンベリー色素、ホワートルベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、レモン果汁、ローガンベリー色素、クロレラ末、ココア、サフラン色素、シソ色素、チコリ色素、ノリ色素、ハイビスカス色素、麦芽抽出物、パプリカ粉末、アカビートジュース、ニンジンジュースなどを挙げることができる。
遮光剤としては、例えば酸化チタン、カルシウム化合物、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用緑色3号アルミニウムレーキ、食用赤色2号アルミニウムレーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色102号アルミニウムレーキ、食用赤色104号アルミニウムレーキ、食用赤色105号アルミニウムレーキ、食用赤色106号アルミニウムレーキ、食用赤色40号アルミニウムレーキを挙げることができる。
医薬用硬質カプセルにおいては、内容物の紫外線等による劣化を防止するため、遮光剤として特に、酸化チタン及びもしくは、カルシウム化合物を添加する場合がある。カルシウム含有化合物とは、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウムなどの無機カルシウム塩、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、ドロマイトやハイドロキシアパタイト等のカルシウム錯体、その他のカルシウム元素を含む化合物が挙げられる。
本実施態様における腸溶性硬質カプセルは、前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100質量%とし、第1成分の割合をα質量%、第2成分の割合をβ質量%、及び第3成分の割合をγ質量%とした場合に、αは50~80の範囲、βは10~40の範囲、及びγは5~40の範囲とすることができる。好ましくは、αは55~70の範囲、βは20~37の範囲、γは8~25の範囲とすることができる。より好ましくは、αは60~65の範囲、βは20~30の範囲、γは10~15の範囲とすることができる。
第4成分は、前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する第4成分の含有量の比が5以下となるように添加することができる。前記第4成分の含有量の比は、好ましくは0.05から5の範囲、より好ましくは0.2から1の範囲とすることができる。
皮膜が第6成分を含む場合には、前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する第6成分の含有量の比が5以下となるように添加することができる。前記第6成分の含有量の比は、好ましくは0.05から5の範囲、より好ましくは0.2から1の範囲とすることができる。
皮膜は、さらに、可塑剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、遮光剤及び残留水分を含むことができる。前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する可塑剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、及び遮光剤の含有量の比が、合計で、0.00001から20となるように皮膜に添加することができる。好ましくは前記含有量の比は、合計で、0.05から20の範囲、より好ましくは1から18の範囲、さらに好ましくは3から15の範囲とすることができる。皮膜が遮光剤を含む場合、少なくとも第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、遮光剤のみの含有量比は、2から10の範囲、好ましくは3から6の範囲とすることができる。皮膜が可塑剤を含む場合、可塑剤のみの含有量比は0.00001から20の範囲、好ましくは2から17の範囲、より好ましくは5から12の範囲とすることができる。皮膜が界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、又は着色剤を含む場合、これらの成単独での含有量の比は、0.00001から5の範囲とすることができる。前記好ましい範囲の上限値および下限値は、適宜組み合わせることができる。
本開示に係るカプセル皮膜中は、第1成分の少なくとも部分的な中和による塩の存在、及び、それに伴う他の皮膜成分の中和物の存在を許容しうる。前記塩として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも一種の塩を挙げることができる。好ましくは、当該塩として、ナトリウム(Na)塩、及びカリウム(K)塩よりなる群から選択される少なくとも一種の塩を挙げることができる。特に好ましいのは、Na塩である。これらの塩は塩基性中和剤としてカプセル被膜に添加されうる。カプセル被膜の塩基性中和剤の含有量は、中和される第1成分中のカルボキシル基のモル数に応じて決定することができる。
具体的には、第1成分中のカルボキシル基が、Naなどの金属イオンにより中和され、-COONaなどの基として固体皮膜中に安定に存在しうる。これら中和されたカルボキシル基の割合は、例えば、第1成分であるメタクリル酸コポリマーに含まれる中和前のカルボキシル残基のモル数(基数)を100%としたときに、10%以下であることが好ましく、8%以下であることがより好ましく、5%以下であることがさらに好ましい。また、中和されたカルボキシル基の割合は、0.5%以上であることが好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましく、3%以上がさらにより好ましい。これを中和度と称する(中和度の詳細な定義は、後述する)。過剰な塩の存在は、皮膜が割れやすくなったり、塩析による皮膜の劣化、水の過剰な浸透による崩壊を起こしうるので好ましくない。他方、適度な塩の存在は、第1成分を含むカプセル皮膜の水による浸透、膨潤を助ける。カプセル皮膜の膨潤は、キャップとボディの隙間を密着せしめ、溶出をより完全に防ぐ効果がある。また、中和度が低すぎると被膜強度が低下し、高すぎるとゲル化不良を起こす。このためには、中和度は1~8%であることが好ましく、2~6%であることがより好ましい。
言い換えると、前記皮膜に含まれる前記第1成分における塩を形成したカルボキシル基と塩を形成していないカルボキシル基のモル数の合計を100モル%とした場合、塩を形成したカルボキシル基の含有量は、0.5モル%以上、好ましくは1モル%以上、より好ましくは2モル%以上、さらに好ましくは3モル%以上である。また、前記塩を形成したカルボキシル基の含有量は10モル%以下、好ましくは8モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
言い換えると、カプセル皮膜に含まれる塩がNa塩である場合、その水酸化物(NaOH質量)に換算して、皮膜重量に対して、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは、0.2質量%である。他方、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。
皮膜は、割れにくさを維持するため、2~10質量%の残留含有水分を含むことが好ましい。適量の含有水分は、カプセルの溶解性にほとんど影響を及ぼすことなく、可塑剤として機能する。含有水分量は、カプセル保存時の環境湿度にも依存するが、相対湿度20~60%程度の範囲では、ほぼ環境湿度に比例して可逆的に変化する。本開示においては、カプセル皮膜の含有水分値は、室温で一定の相対湿度43%に数日間保管(調湿)した後の飽和値を用いる。
調湿後の含有水分量は、以下のようにして乾燥減量法によって測定できる 。
<乾燥減量法によるカプセル皮膜中の含有水分量の測定方法>
デシケーターに、炭酸カリウム飽和塩を入れて恒湿状態とした雰囲気中に試料(硬質カプセル、又はフィルム)を入れ密閉し、25℃で1週間調湿する。なお、調湿には、以下の飽和塩(水溶液)を用いる。すなわち、酢酸カリウム飽和塩、炭酸カリウム飽和塩、硝酸アンモニウム飽和塩の存在下では、それぞれ、相対湿度約22%、43%、60%の雰囲気を作成することができる。調湿後の試料の質量(湿質量)を測定した後、次いで当該試料を105℃で2時間加熱乾燥し、再度試料の質量(乾燥質量)を測定する。乾燥前の質量(湿質量)と乾燥後の質量(乾燥質量)の差から、下式に従って、105℃で2時間加熱乾燥することによって減少する水分量の割合(含水率)を算出し、これを含有水分量(質量%)とする。
Figure 2022123274000003
室温、43%相対湿度における含有水分量として、上記含水率が、少なくとも2%以上であることが好ましく、3%以上であることがより好ましく、4%以上であることがさらに好ましい。2%未満では、割れやすくなる。他方、含有水分量が高すぎると、長期間保存した場合に、内部に充填した薬物と反応を起こす場合があるので、10%以下であることが好ましく、8%以下とするのがより好ましく、6%以下とすることがさらに好ましい。
本開示に係る腸溶性硬質カプセルは、ヒト又は動物の対象への経口投与を意図した、市販されている従来の硬質カプセルと同一又は類似の形状及び機械的強度(硬さと割れにくさ)を有することが望ましい。参考とすべき市販の硬質カプセルとは、ゼラチンもしくは、HPMC(ヒプロメロース)カプセルである。したがって、そのカプセルの皮膜の厚みは、50μm以上、好ましくは60μm以上であり、さらに好ましくは70μm以上である。他方上限は、250μm以下であり、好ましくは200μm以下であり、さらに好ましくは150μm以下である。特に、70~150μmの範囲が、市販の充填機でそのまま使用することに適している。係る厚みにおいて、市販の硬質カプセル皮膜として同等の機械的強度を有することが必要である。機械的強度は、短冊状に調製した皮膜を用いて、高分子フィルムに通常適用される「引張強度試験」によって評価できる(Aqueous Polymeric Coating For Pharmaceutical Dosage Forms, 4th edition, CRC Press、2017、Chapter 4)。
硬質カプセルの皮膜の機械強度を評価する場合、被験皮膜の厚みをそろえて比較することが重要である。このため、硬質カプセルの各成分組成に依存する皮膜の機械強度は、硬質カプセル調製液の各成分組成と同一成分組成である調製液を用いて、キャスト法によりフィルムを作製し、当該キャストフィルムを用いて評価することができる。
キャストフィルムは、室温に保持したガラス面上又はPETフィルム上に金属性のアプリケーターを設置し、50℃~60℃の調製液を流しこみ一定速度で移動させ100μmの均一なフィルムを作製する。その後、室温~30℃で10時間程度の乾燥を行う。
100μmの均一な膜厚のフィルムを得るため、ギャップが0.4mm~1.5mmのアプリケーターを適宜使い分けてもよい。
作製したフィルムは、例えば、5mm×75mmのダンベル形状(JIS K-7161-2-1BAで規定)にカットした後、例えば、小型卓上試験機(島津製作所EZ-LX)を用いて引張試験を行うことができる。具体的には、フィルムの両端をホルダーにセット(ギャップ長60mm)し、引張速度、10mm/minで引張、フィルムの伸びとフィルム内に生じる応力(引張応力)-伸び率(ひずみ)曲線を示す。図5に、代表的な伸び-引張応力試験結果を示す。図中における低応力時の弾性変形領域の傾きから、硬さの指標である弾性率をもとめ、破断点における伸び率を破断伸び率(%)を求めることができる(Aqueous Polymeric Coating For Pharmaceutical Dosage Forms, 4th edition, CRC Press、2017、Chapter 4)。
前記機械的強度が、通常の使用条件(温度5~30℃程度、相対湿度20~60%程度)の環境下で維持されることが望ましい。例えば、作製したフィルムを、25℃、相対湿度22%(酢酸カリウム飽和塩を使用)の条件の調湿下で1週間以上調湿した後、引張試験を実施し機械的強度を評価することができる。引張試験は、25℃、相対湿度22%の温湿度環境下で行うことが好ましい。あるいは、作製したフィルムを、25℃、相対湿度60%(硝酸アンモニウム飽和塩を使用)の条件の調湿下で1週間以上調湿した後、引張試験を実施し機械的強度を評価する。引張試験は、調湿条件と同じ温湿度環境下で行うことが好ましい。
硬さの指標である弾性率(ヤング率)は、1~5GPaであることが好ましく、2~4GPaであることがより望ましい。引張試験で評価される割れにくさの指標である破断伸び率は、2~30%程度であることが好ましく、3~30%程度であることがより好ましい。通常、本開示に係る腸溶性硬質カプセル皮膜の硬さと割れにくさは、この範囲でトレードオフの関係にあることが多い。コーティング皮膜や軟カプセル皮膜では、より柔らかく、破断伸び率が大きい場合が多い。例えば、破断伸び率が30%を超えるような皮膜は、通常は柔らかすぎて、自立した硬質カプセル皮膜としては適さないことが多い。他方、破断伸び率が2%を下回ると、通常のハンドリングにおいても顕著に割れやすくなる。
前述のように、カプセル皮膜中に数%程度存在する水分は、通常可塑剤として機械的強度、特に割れ性、に影響しうる。相対湿度が低い使用・保存条件下では、含有水分量が減少し、例えば2~3%程度になると割れやすくなる、すなわち破断伸び率が低下する傾向がある。他方、高湿度側では、含有水分量が増加し、弾性率が低下する傾向がある。結局、低湿度側で破断伸び率が問題となり、高湿度側で弾性率が問題となるが、本開示では、特に、比較的低湿度の22%相対湿度、温度25℃の環境下で調湿及び引張試験を行い、破断伸び率が2~30%である皮膜を得ることができる。また、比較的高湿度の60%相対湿度、温度25℃の環境下で調湿及び引張試験を行い、その弾性率が1~5GPaである皮膜を得ることができる。結果、本開示に係る腸溶性硬質カプセルの硬度は、室内条件における、ほとんどの相対湿度、温度範囲で、1~5Gpa範囲の弾性率、及び、3~30%の破断伸び率が得られる。より好ましくは、弾性率は2~5GPa、破断伸び率は3~10%の範囲とすることである。
3.腸溶性硬質カプセル調製液及びその調製方法
3-1.調製液の組成
本明細書に開示される別の実施態様は、上記2.に記載の腸溶性硬質カプセルを調製するための調製液に関する。本開示に係る硬質腸溶性カプセルは、本態様調製液を乾燥して溶媒を除去して得られる皮膜からなる。したがって、上記2.の用語の説明は、個々に援用される。
具体的には、第i成分、第ii成分、第iii成分、第iv成分、及び溶媒を含む腸溶性硬質カプセルの調製液ある。第i成分は、メタクリル酸コポリマーであり、好ましくは、腸溶性メタクリル酸コポリマーである。第ii成分は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーであり、好ましくは水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーである。第iii成分は、ポリビニルアルコールある。第iv成分は、ゲル化剤であり、好ましくはジェランガムである。
調製液は、第v成分として薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤を含んでいてもよい。
また、調製液は、第vi成分としてゲル化補助剤を含んでいてもよい。
ここで、調製液に用いる溶媒は、水を主成分とする水性溶媒であり、水性溶媒として、水と;エタノール及び無水エタノールから選択される少なくとも一種との混合溶媒、または水を用いることができる。本開示における調製液の調製中、あるいは、浸漬工程においては、このエタノールはほとんどが蒸発するため、浸漬中の調製液としては、実際上、水分の含有量が80質量%であり、さらに好ましくは90質量%以上である。不可避的に含まれる不純物を除き、実質的に100%の精製水を用いることができる。
以下では少なくとも一部が中和溶解された場合も含め「中和液」もしくは「部分中和液」と称する。この「中和液」には、未溶解の微小粒子が分散状態で含まれている懸濁液であっても良い。当該塩基性中和剤としては、薬学的又は食品添加物として許容される化合物である限り、制限されない。当該塩基性中和剤として、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。好ましくは、ナトリウム塩及びアンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも一種である。より好ましくは、当該塩基性中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。さらに好ましくは、塩基性中和剤は、水酸化ナトリウムであり、場合によっては、アンモニア及び炭酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種である。
塩基性中和剤が、アンモニアである場合は、皮膜形成後、アンモニアを揮発させて、皮膜中の塩をできるだけ除去することが望ましい。
第i成分の中和に必要な塩基性中和剤の量は、以下のように定義できる。
メタクリル酸コポリマーを完全に中和するためには、メタクリル酸コポリマーに含まれるカルボキシル基の1モルに対して、第v成分である塩基性中和剤に由来する陽イオンが等価以上となるように添加することで達成される。なお、塩基性中和剤に由来する陽イオンが2価以上の場合には、1/価数で置き換える。塩基性中和剤に由来する陽イオンが腸溶性ポリマーに含まれるカルボキシル基とほぼ等価量となるように溶媒に溶解した場合を完全中和という。等価である陽イオンのモル数、すなわち「当量(等モル量)」は、例えば、メタクリル酸コポリマーに含まれる中和前のカルボキシル残基のモル数(基数)を100%中和によって封鎖しうる量の陽イオンのモル数である。
具体的には、目的とするメタクリル酸コポリマー1gを中和するために必要なKOH(分子量56.10)の質量、(KOH)mg/gとして規定(KOH当量)することができる。また、中和度は、完全中和に必要な塩基性中和剤の当量に対する、実際に添加された塩基性中和剤の質量の割合で定義される。塩基性中和剤が水酸化ナトリウムNaOH(分子量40.00)、及び水酸化カルシウムCa(OH)(分子量74.09)、アンモニアNH(分子量17.03)、炭酸アンモニウム(NHCO(分子量96.09)である場合の当量は、下式
Figure 2022123274000004
で換算して得られる。
通常、完全中和に必要な塩基性中和剤の当量(中和当量)は、メーカーによって、カルボキシル基の置換度の許容範囲として、±10~20%程度の幅を持って表示されうる。より正確な中和当量は、一般的な滴定法によって決定できる。
例えば、第i成分がEvonik社製Eudragit,L30D55、L100-55及びL100である場合、そのKOH当量は、301.2mg/gとされ、塩基性中和剤が水酸化ナトリウムである場合は、214.8mg/gとなる。また、アンモニアである場合には、91.4mg/gとなる。第i成分がEvonik社製Eudragit, FS30Dである場合、そのKOH当量は、56.7mg/g、塩基性中和剤が水酸化ナトリウムである場合は、40.4mg/g、アンモニアである場合には、17.2mg/gとなる。
中和度とは、中和当量に相当する塩基性中和剤の量に対して、実際に添加した塩基性中和剤の質量比で定義される。中和度は、同時に、カルボキシル基のモル数のうち中和して封鎖されたカルボキシル基のモル数と等しい:
Figure 2022123274000005
例えば、メタクリル酸コポリマーL30D55、Γ(g)に対して、Ε(g)のNaOHを用いた場合、その中和度は、Ε/(0.2418×Γ)×100(%)、となる。あるいは、に対して、Ε(g)のNaOHを用いた場合、その中和度は、Ε/(0.065×Γ)×100(%)、となる。
第i成分であるメタクリル酸ポリマーの場合、乳化重合プロセスによって、モノマーレベルから水溶液中で共重合過程を経て、その径が0.01μm程度より大きく1μ未満の非常に小さなコロイド状粒子が生成された酸性の分散液(水性エマルジョン)が直接得られる。この場合は、塩基性中和剤による中和による溶解工程を経由しなくても、平均粒径1μm未満の非常に微細なコロイド粒子の分散液として提供される。具体的には、前述のEvonik社のL30D55等、が挙げられる。L30D-55のコロイド分散液のpHは約2.5である。
なお、溶液中で乳化重合で合成されたのち乾燥して、固形微粒子化された腸溶性メタクリル酸コポリマー粉末(具体的には、Evonik社、L100-55等がある)は、水に再分散させ、塩基性中和剤で部分的に中和して微粒子化した水分散液を得ることもできる。その場合は、中和度が2~20%程度でも十分微粒子化された水分散液が得られる。
本実施態様における腸溶性硬質カプセルの調製液は、前記調製液に含まれる第i成分、第ii成分、及び第iii成分の質量の合計を100質量%とし、第i成分の割合をα’質量%、第ii成分の割合をβ’質量%、及び第iii成分の割合をγ’質量%とした場合に、α’は50~80の範囲、β’は10~40の範囲、及びγ’は5~40の範囲とすることができる。好ましくは、α’は55~70の範囲、β’は20~37の範囲、γ’は8~25’の範囲とすることができる。より好ましくは、α’は60~65の範囲、βは20~30の範囲、γ’は10~15の範囲とすることができる。
第iv成分は、前記調製液に含まれる第i成分、第ii成分、及び第iii成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する第iv成分の含有量の比が5以下となるように添加することができる。前記第iv成分の含有量の比は、好ましくは0.05から5の範囲、より好ましくは0.2から1の範囲とすることができる。
調製液が第vi成分を含む場合には、前記調製液に含まれる第i成分、第ii成分、及び第ii成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する第vi成分の含有量の比が5以下となるように添加することができる。前記第vi成分の含有量の比は、好ましくは0.05から5の範囲、より好ましくは0.2から1の範囲とすることができる。
第i成分が第v成分によって部分中和されている場合の塩基性中和剤のモル数、質量%の説明は、上記2.の説明をここに援用する。
調製液は、さらに、可塑剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、及び遮光剤等を含むことができる。前記調製液に含まれる第i成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する可塑剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、及び遮光剤の含有量の比が、合計で、0.00001から20となるよう調製液に添加することができる。好ましくは前記含有量の比は、合計で、0.05から20の範囲、より好ましくは1から18の範囲、さらに好ましくは3から15の範囲とすることができる。調製液が遮光剤を含む場合、少なくとも第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、遮光剤のみの含有量比は、2から10の範囲、好ましくは3から6の範囲とすることができる。調製液が可塑剤を含む場合、可塑剤のみの含有量比は0.00001から20の範囲、好ましくは2から17の範囲、より好ましくは5から12の範囲とすることができる。調製液が界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、又は着色剤を含む場合、これらの成単独での含有量の比は、0.00001から5の範囲とすることができる。前記好ましい範囲の上限値および下限値は、適宜組み合わせることができる。
また、調製液に含まれる前記第i成分、第ii成分、及び第iii成分を合わせたポリマー固形分含有量は、硬質カプセル調製液を調製できる限り制限されない。例えば、調製液を100質量%としたときに、ポリマー固形分合計量10~30質量%程度とすることが好ましい。より好ましくは13~25質量%である。可塑剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、及び遮光剤等を含む場合には、調製液を100質量%としたときに、可塑剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、及び遮光剤等の含有濃度の合計濃度が、0.00001から20質量%となるよう調製液に添加することができる。好ましくは前記含有量の比は、合計で、0.05から20質量%の範囲、より好ましくは1から18質量%の範囲、さらに好ましくは3から15質量%の範囲とすることができる。調製液が遮光剤を含む場合、少なくとも第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100質量%とした場合、遮光剤のみの含有量比は、2から10質量%の範囲、好ましくは3から6質量%の範囲とすることができる。調製液が可塑剤を含む場合、可塑剤のみの含有量比は0.00001から20質量%の範囲、好ましくは2から17質量%の範囲、より好ましくは5から12質量%の範囲とすることができる。調製液が界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、又は着色剤を含む場合、これらの成単独での含有量の比は、0.00001から5質量%の範囲とすることができる。前記好ましい範囲の上限値および下限値は、適宜組み合わせることができる。
通常、これら、第i~vi成分以外に溶解もしくは分散された固形分は、カプセル皮膜中にほぼそのままの成分比を保って存在する。この他に、皮膜中には、溶媒中の水分が一部残存しうるのは、前述のとおりである。
3-2.カプセル調製液の調製方法
本明細書に開示されるある実施態様は、上記3-1.で述べた腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法に関する。上記3-1.で使用された用語の説明は、ここに援用される。
調製液の調製方法は、第v成分により部分中和された第i成分、第ii成分、第iii成分、及び第iv成分を混合することを含む。
第v成分により部分中和された第i成分、第ii成分、第iii成分、及び第iv成分の混合は、これらが混合した状態になる限り制限されない。例えば、本実施形態は、いくつかの調製例を含む。
(1)調製例1
調製例1は、はじめに第iii成分であるPVAを溶解し、そこへ第i成分を添加しさらに第v成分を添加して第i成分の部分中和を行うことを含む。すなわち、調製例1は、下記工程Aから工程Dを含む:
工程A:第iii成分を80℃~90℃の水性溶媒に溶解する工程、
工程B:第iii成分の溶解液に第i成分を添加する工程、
工程C:工程Bで得られた溶液に、第v成分を添加する工程、
工程D:工程Cで得られた溶液に第ii成分と第iv成分を添加する工程。
より具体的には、工程Aは第iii成分であるPVAを水性溶媒に溶解する工程である。PVAは冷水に溶けにくいため、冷水分散後80℃~90℃に加温して溶解することが好ましい。溶解時間はPVAが溶ける限り制限されない。例えば、30分~120分程度である。可塑剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、及び遮光剤等を添加する場合には、この工程で添加することができる。
工程Bでは、工程Aで溶解したPVA溶液に第i成分であるメタクリル酸コポリマーを添加する。このとき、液温は工程Aと同様の温度で維持されていることが好ましい。第i成分は、市販のメタクリル酸コポリマー分散液として添加することができる。第i成分添加した後、5分~60分程度混合することが好ましい。
工程Cでは、第v成分である塩基性中和剤を添加する。このとき、液温は工程Aと同様の温度で維持されていることが好ましい。第v成分添加した後、5分~60分程度混合することが好ましい。
工程Dでは、工程Cで得られた溶液に第ii成分と第iv成分を添加する。このとき、液温は工程Aと同様の温度で維持されていることが好ましい。第ii成分は、市販の(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー分散液として添加することができる。ここで、少なくとも一部を中和していない第i成分に第iv成分を添加すると、第iv成分が凝集する場合がある。このため、少なくとも第iv成分は、第i成分を第v成分で中和した後に添加することが好ましい。第ii成分の添加のタイミングは制限されない。したがって、第ii成分は、工程Aから工程Dのいずれかで添加してもよい。この場合も、液温は、80℃~90℃で維持されていることが好ましい。第ii成分と第iv成分を添加した後、30分~120分程度混合することが好ましい。また、ゲル化補助剤である第vi成分を添加する場合には、工程Dにおいて、または工程Dの後に添加することが好ましい。
(2)調製例2
調製例2は、はじめに第i成分を第vで部分中和した部分中和液を調製し、そこへ第iii成分、第ii成分及び第iv成分を添加することを含む。すなわち、調製例2は、下記工程A’及び工程B’を含む:
工程A’:第i成分を第vで部分中和した部分中和液を準備する工程、
工程B’:工程A’で準備した部分中和液と、第iii成分と、第ii成分と第iv成分とを混合する工程。
より具体的には、工程A’は、第i成分であるメタクリル酸コポリマーを部分中和し、部分中和液を準備する工程である。部分中和液は、購入しても良く調製してもよい。部分中和液を調製する場合、例えば水性溶媒に、市販のメタクリル酸コポリマー分散液を添加し、第v成分を添加して混合することにより調製することができる。
工程B’では、工程A’において準備した部分中和液に第iii成分を分散し80℃~90℃に加温し、第iii成分を溶解する。溶解時間はPVAが溶ける限り制限されない。例えば、30分~120分程度である。可塑剤、界面活性剤、結合剤、滑沢剤、金属封鎖剤、着色剤、及び遮光剤等を添加する場合には、この工程で添加することができる。
続いて、第iii成分の溶解液に第ii成分と第iv成分を添加する。このとき、液温は80℃~90℃で維持されていることが好ましい。第ii成分は、市販の(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー分散液として添加することができる。第ii成分と第iv成分を添加した後、30分~120分程度混合することが好ましい。ここで、少なくとも一部を中和していない第i成分に第iv成分を添加すると、第iv成分が凝集する場合がある。このため、少なくとも第iv成分は、第i成分を第v成分で中和した後に添加することが好ましい。第ii成分の添加のタイミングは制限されない。したがって、部分中和液に第iii成分を溶解する際に、第i成分を第v成分に加えてもよい。この場合も、液温は、80℃~90℃で維持されていることが好ましい。
調製例1及び調製例2のすべての工程において、撹拌を継続して行うことが望ましい。例えば、円筒状容器で調製工程を実施する場合、プロペラ状の撹拌翼を1~数百rpmで回転させて、撹拌することが好ましい。
さらに、調製例1または調製例2の終了後にカプセル調製液を50℃から60℃、好ましくは52℃~57℃に降温する工程を行ってもよい。
50℃から60℃における調製液の粘度は、浸漬法により硬質カプセルを調製できる限り制限されないが、例えば、100~10,000mPa・s程度とすることができる。調製液の粘度は、単一円筒型回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計、B型粘度計)を使用して測定することができる。例えば、粘度は、1Lビーカーでカプセル調製液を調製(液量は600ml)した後、55℃に維持した調製液に、M3ロータ(測定範囲 0~10,000mPa・s)を入れ、ロータ回転数、12 r.p.m.、測定時間50秒で測定することができる。
4.腸溶性硬質カプセルの調製方法
本明細書に開示されるある実施態様は、腸溶性硬質カプセルの調製方法に関する。本開示によれば、他の硬質カプセルを調製するカプセル調製機を使用して、腸溶性硬質カプセルを調製することができる。本開示に係る腸溶性硬質カプセルは、浸漬法、中でも「コールドピン浸漬法」によって形成されることを特徴とする。「コールドピン浸漬法」は、浸漬時の成型ピンの表面温度が、カプセル調製液の温度よりも低いことを特徴とする。
腸溶性硬質カプセルの調製(成型)方法は、本開示に係る腸溶性硬質カプセル調製液を使用してカプセルを調製する工程を含む限り、特に制限されない。腸溶性硬質カプセルは、一般には、腸溶性硬質カプセル調製液中に、カプセルの鋳型となるモールドピン(カプセル成型用ピン)を浸漬させ、引き上げたときに付着してくる皮膜を硬化、乾燥させることで所望のカプセル形状と厚みを得る(ディッピング法)。具体的には、腸溶性硬質カプセルの調製方法は、上記の方法により腸溶性硬質カプセル調製液を調製するか、腸溶性硬質カプセル調製液を購入する等によって準備する工程と、係る腸溶性硬質カプセル調製液にモールドピンを浸漬した後、これを引き上げ、モールドピンを上下反転させ、モールドピンに付着した溶液を乾燥する調製工程によって製造される。
より具体的には、本開示で用いる腸溶性硬質カプセルは下記の成型工程を経て製造することができる。
(1)腸溶性硬質カプセル調製液に、モールドピンを浸漬する工程(浸漬工程)、
(2)腸溶性硬質カプセル調製液調製液(浸漬液)からモールドピンを引き上げて、モールドピンの外表面に付着した腸溶性硬質カプセル調製液を乾燥する工程(乾燥工程)、
(3)乾燥したカプセルフィルム(皮膜)をカプセル成型用ピンから脱離する工程(脱離工程)。
ここで、腸溶性硬質カプセル調製液は、モールドピンを浸漬するときに、液温が50℃~60℃であることが好ましい。
これに対し、浸漬時のモールドピンの表面温度は、腸溶性硬質カプセル調製液の液温よりも低いことが好ましい。例えば、20℃~30℃の範囲であり、より好ましくは20~28℃の範囲である。
乾燥工程(2)は、特に制限されるものではないが、室温(20~30℃)で行うことができる。通常、室温の空気を送風することによって行なわれる。
斯くして調製されるカプセル皮膜は、所定の長さに切断調整された後、ボディ部とキャップ部を一対に嵌合した状態又は嵌合しない状態で、腸溶性硬質カプセルとして提供することができる。
腸溶性硬質カプセルの皮膜厚みは、通常、50~250μmの範囲とされる。特に、カプセルの側壁部分の厚みは、現在市販されているカプセルでは、75~150μm、より好ましくは、80~120μmとするのが通常である。腸溶性硬質カプセルのサイズとしては、00号、0号、1号、2号、3号、4号、5号等があるが、本開示ではいずれのサイズの腸溶性硬質カプセルも調製することができる。
5.腸溶性硬質カプセル製剤
本開示に係る腸溶性硬質カプセルには、一般食品、保健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品)、医薬部外品、医薬品等の充填物が充填され得る。充填物として例えば、植物(単細胞緑藻類を含む)に由来する成分(生の植物、一部乾燥された微生物、又は完全乾燥された植物、植物加工品、植物抽出物等)、微生物(細菌、酵母、ミドリムシ等)又は前記微生物に由来する成分(生の微生物、一部乾燥された微生物、又は完全乾燥された微生物、微生物加工品、微生物抽出物等)、滋養強壮保健剤、解熱鎮痛消炎剤、向精神剤、抗不安剤、抗うつ剤、催眠鎮静剤、鎮痙剤、中枢神経作用剤、脳代謝改善剤、脳循環改善剤、抗てんかん剤、交感神経興奮剤、胃腸剤、制酸剤、抗潰瘍剤、鎮咳去痰剤、鎮吐剤、呼吸促進剤、気管支拡張剤、抗アレルギー剤、歯科口腔用剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、高脂血症用剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、抗リウマチ剤、骨格筋弛緩剤、鎮けい剤、ホルモン剤、アルカロイド系麻薬、サルファ剤、痛風治療剤、血液凝固阻止剤、抗悪性腫瘍剤等の有効成分、又は前記有効成分を含む組成物を挙げることができる。なお、これらの充填物は、特に制限されず公知のものを広く挙げることができる。これらの成分は単独又は他の成分との合剤として使用することができる。充填物は、固形、粉末、顆粒、粉砕物、液体、ジェル等のいずれの形態であってもよい。また、これらの成分は、投与対象者の状態、年齢等に応じて適宜、定められた公知の適量が充填される。
滋養強壮保健剤には、例えばビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(酢酸d-α-トコフェロールなど)、ビタミンB1( ジベンゾイルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩など)、ビタミンB2(酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシンなど)、ビタミンC(アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウムなど)、ビタミンB12(酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミンなど)のビタミン、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル、タンパク、アミノ酸、オリゴ糖、生薬などが含まれる。
解熱鎮痛消炎剤としては、例えばアスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、塩酸ジフェンヒドラミン、dl-マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジヒドロコデイン、ノスカピン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、無水カフェイン、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、トルフェナム酸、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、サリチルアミド、アミノピリン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコローム、ペンタゾシンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
特に、腸溶性硬質カプセルを適用することで有用性が高いのは、胃で溶解した場合、胃に対して副作用を有する恐れがある場合である。あるいは、酸に不安定で胃内で溶解せずに腸内で吸収される必要性がある場合である。すなわち、胃酸により有効成分の効能が低下し得る製剤は、本開示に係る腸溶性硬質カプセル製剤によって、胃酸から有効成分を保護して、効果的に胃を通過させ、腸に送達させることができ、特に有用である。
例えば、アスピリンは例えば裸顆粒で多量に投与すると、胃潰瘍様の症状を引き起こす副作用を有することが知られており、腸溶性硬質カプセルの適用が望まれる代表的薬物の一つである。
他方、酸に不安定な薬効成分の例としては、プロトンポンプインヒビター(PPI)として知られる、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、エソメプラゾールマグネシウム水和物、などが挙げられる。PPIは、血流に乗って壁細胞へ達し、壁細胞の分泌細管において高濃度の水素イオンに接して活性化される。ところがPPIは酸性環境下で極めて不安定な薬剤であり、壁細胞に到達する前に酸にさらされると十分な効果が発揮できなくなる。このため、PPIの強い酸分泌抑制力を発揮するために、通常、腸溶性製剤化する。
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬と呼ばれる抗うつ薬の一つであるデュロキセチンも、やはり、酸に弱いので、腸溶製剤化が望ましい原薬の例である。
本開示に係る腸溶性硬質カプセルには、一般食品、保健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品、特定保健用食品)として、フコイダン、ヘム鉄、ポリフェノール類、ペプチド類やアミノ酸類(例えば、ローヤルゼリー、オルニチン、シトルリン、アミノレブリン酸、黒酢、又は、疎水性のアミノ酸であるメチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシンなど)、タンパク質類(ラクトフェリンなどの乳タンパク、コラーゲン、プラセンタ、など)、糖タンパク質類、酵素発酵食品類(ナットウキナーゼなど)、補酵素類(コエンザイムQ10など)、ビタミン類(βカロテンなど)、ミネラル類、生微生物類(ミドリムシ、クロレラ、酵母、乳酸菌、ビフィズス菌など)、植物抽出物(生薬、ハーブ類、例えば、ウコンエキス、人参エキス、梅エキス、イチョウ葉エキス、ブルーベリーエキス、甜茶エキスなど)、プロポリス等の天然有機物、又はこれらの任意の組合せを充填することができる。但し、これらに限定されるものではない。
係る内容物の腸溶性硬質カプセル内への充填は、それ自体公知のカプセル充填機、例えば全自動カプセル充填機(型式名:LIQFILsuper80/150、クオリカプス(株)社製)、カプセル充填・シール機(型式名:LIQFILsuperFS、クオリカプス(株)社製)等を用いて実施することができる。こうして得られる硬質カプセルのボディ部とキャップ部は、内容物をボディ部に充填したのち、該ボディ部にキャップ部を被覆して両者を嵌合させることによりボディ部とキャップ部を接合させる。次いで必要に応じて充填済みカプセルは、継ぎ目を永久に封止するための適切な技術を使用することによって不正開封防止にされ得る。典型的に、シーリング又はバンディング(以下、シーリングと称する)技術が使用され得、ここで、これらの技術はカプセルの分野の当業者に周知である。具体的な例としては、キャップ部の端縁部を中心とした一定幅でボディ部の表面とキャップ部の表面にボディ部とキャップ部との円周方向に、ポリマー溶液のシール剤(以下、シール調製液ともいう)を1回~複数回、好ましくは1~2回塗布することにより嵌合部を封緘して腸溶性硬質カプセル製剤とすることができる。ポリマー溶液は、カプセル皮膜に使用される腸溶性ポリマーの希釈水溶液、あるいは、水/エタノール又は水/イソプロパノール溶剤に溶解した液を用いることができる。また、希釈水溶液、あるいは、水/エタノール又は水/イソプロパノール溶剤に溶解した液を用いる場合、前述のような塩基性中和剤で部分的に中和溶解して用いることもできる。
シール調製液に含まれるポリマーは、該シールを適用する腸溶性硬質カプセル皮膜に含まれるのと同じ腸溶性ポリマーからなることが好ましい。
シール調製液に含まれるポリマーは、該シールを適用する腸溶性硬質カプセル皮膜に含まれるのと同じ腸溶性ポリマーもしくは非イオン性水溶性セルロース化合物(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)含むことが好ましい。カプセル皮膜との密着性に優れると共に、不必要な添加剤成分が、該カプセル製剤に含まれることを防ぐことにもなる。また、この場合、非イオン性水溶性セルロース化合物の粘度値は、100mPa・sであってもよい。
カプセル封緘時、シール調製液は、一般に室温あるいは加温下で使用することができる。硬質カプセルの液漏れ防止という観点から、好ましくは約23~45℃、さらに好ましくは約23~35℃、最も好ましくは約25~35℃の温度範囲内にあるシール調製液を用いることが望ましい。なお、シール調製液の温度調節は、パネルヒーター、温水ヒーター等のそれ自体公知の方法で実施することができるが、例えば循環式温水ヒーターあるいは前記一体型カプセル充填シール機のシールパンユニットを循環式温水ヒーター型に改造したもの等で調節するのが、温度幅が微妙に調節できるので好ましい。
こうして得られる本開示に係る腸溶性硬質カプセル製剤は、ヒト又は動物の体内に投与及び摂取されたときに、胃内では耐酸性を示し、主に腸に移行してカプセル皮膜が溶解し内容物が放出されるように設計されている。このため、胃内での放出が好ましくない医薬品や食品を充填した製剤として好適である。
本開示において、腸溶性機能を強化するため、さらなる薬物送達制御機能、あるいは、気体や水分の透過性を制御するため、カプセル皮膜は、追加の1つ又はそれ以上のポリマー層で外部からコーティングされていてもよい。
特に記載されない限り、機能的ポリマー層は、コーティングされたカプセル皮膜へ特定の機械的又は化学的特性を付与する機能的ポリマーを含有する層を意味する。機能的ポリマーは、薬学的固体投薬形態をコーティングするために従来使用されている腸溶性ポリマー及び/又は結腸放出性ポリマー(即ち、被験体の結腸領域においてコーティングされた投薬形態を崩壊させるために使用されるポリマー)等である。
6.硬質カプセル製剤
本開示に係る腸溶性硬質カプセルを用いた新規な応用例として、酸性条件で溶解可能な硬質カプセルの内部に本開示に係る腸溶性硬質カプセルを内包することを特徴とする硬質カプセル製剤が挙げられる。酸性条件で溶解可能な硬質カプセルとしては、ゼラチンカプセル及びヒプロメロースカプセル、あるいは、プルランカプセルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、ヒプロメロース硬質カプセルでは、水溶性セルロースの表示粘度(粘度グレード)値として、3~15mPa・sのものが用いられている(特開平08-208458号公報、2001-506692号公報、特開2010-270039号公報、特開2011-500871号公報)。これらにおいては、皮膜中のほぼ100%(ゲル化剤、ゲル化助剤、遮光剤、着色料等、0~5質量%程度及び、0~10質量%程度の残留水分を含む場合がある)が水溶性セルロース、特にHPMCである。本開示に係る腸溶性硬質カプセルに予め有効成分Bを充填しておき、酸性条件で溶解可能な硬質カプセルの内部に、薬効成分A及び該充填済腸溶性硬質カプセルを、充填する。このような二重カプセル製剤は、胃において有効成分Aを放出させ、腸に達してから薬効成分Bを放出させるような、複数部位に選択的かつ異なる薬効成分の送達を可能にする。有効成分A及び有効成分Bは、上記5.に記載の有効成分を挙げることができる。
以下に実施例を示して本発明についてより詳細に説明する。しかし、本発明は実施例に限定して解釈されるものではない。
I.使用材料
実施例に用いた材料は下記の通りである。
(1)メタクリル酸コポリマー
Evonik Industries AG社、EUDRAGIT(登録商標)シリーズのL30D55及びFS30Dを使用した。いずれも固形分含有量30質量%の水分散液である。また、L30D55を乾燥微粉末化したL10055については、精製水中に分散させて撹拌したのち、NaOH(10%水溶液)を所定の中和度となるように添加した。これにより、L30D-55のコロイド粒子よりはやや粗いものの、微粒子化された水分散液が得られた。
(2)(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー
Evonik Industries AG社、Eudragit(登録商標)シリーズのNE30Dを使用した。固形分含有量30質量%の水分散液として供される。
(3)ポリビニルアルコール及びゲル化剤
日本合成化学工業株式会社のゴーセノール(登録商標)シリーズEG48P及び富士フィルム和光純薬株式会社のポリビニルアルコール3500部分けん化型を使用した。EG48Pのけん化度は、86.5~89.0%であり、推定重合度は2500であり、ポリビニルアルコール3500部分けん化型のけん化度は、86.0~90.0%であり、推定重合度は3100~3900である。ゲル化剤はジェランガム(ケルコゲル)三栄源エフ・エフ・アイ株式会社を購入した。
(4)その他
水酸化ナトリウム(粒状 試薬特級)は和光純薬工業株式会社から購入した。酸化チタン(タイペークA-100)は石原産業株式会社から購入した。
II.測定及び試験方法
1.カプセルの溶出試験
本開示においては、原則、第17改正日本薬局方における溶出試験を適用した。但し、日本薬局方は、空の硬質カプセル自体の溶解性を規定しているわけではないので、本開示では、速溶性のアセトアミノフェンの溶出を評価することによって、カプセル自体の溶解性(溶出特性)を評価した。1カプセルあたり、アセトアミノフェン40 mg、乳糖140 mg、デンプングリコール酸ナトリウム20 mg(以下、「アセトアミノフェン混合末」という)を充填し、得られた腸溶性硬カプセル製剤を日本薬局方に定められた溶出試験法(第17局方、6.10-1.2パドル法(パドル回転数50回転/分)、及び、同図6.10-2aに対応するシンカー使用)に従い試験し、アセトアミノフェンの溶出率の時間変化を測定した。溶出試験にはDistek社製バス型溶出試験器Model 2100を用いた。同容量のアセトアミノフェンを別途、全量、溶出試験器バス内の溶液に溶解させたときの244 nmにおける吸光度を100 %とし、カプセルからのアセトアミノフェンの溶出に伴って上昇する溶出試験器バス内の溶液の244 nmにおける吸光度から溶出率を求めた。なお、ここで第1液、第2液、及び緩衝液として、下記の水溶液を使用した。いずれもバス内の溶液の温度は37℃とした。
第1液:塩化ナトリウム2.0 gに塩酸7.0 mL及び水を加えて溶かし1000 mLに調整した(pHは、約1.2、以下酸性溶液と称することがある。)。
第2液:リン酸二水素カリウム3.40g及び無水リン酸水素二ナトリウム3.55gを水に溶かし、1000 mLとしたリン酸塩緩衝液1容量に水1容量を加えて調製した(pHは、約6.8、以下中性溶液と称することがある)。
緩衝液:クエン酸水和物3.378g及び無水リン酸水素二ナトリウム2.535gを水に溶かし、1000mLとして調製した。(pHは、約4、以下、単に緩衝液と称することがある)。
2.水分含量(含水率)
<乾燥減量法によるカプセル皮膜中の含水率の測定方法>
デシケーターに、炭酸カリウム飽和水溶液を入れて恒湿状態とした雰囲気中に試料(硬質カプセル、又はフィルム)を入れ密閉し、25℃で1週間調湿した。なお、調湿には、以下の飽和塩(水溶液)を用いた。すなわち、酢酸カリウム飽和塩、炭酸カリウム飽和塩、硝酸アンモニウム飽和塩の存在下で、それぞれ、相対湿度約22%、43%、60%の雰囲気を作成した。調湿後の試料の質量(湿質量)を測定した後、次いで当該試料を105℃で2時間加熱乾燥し、再度試料の質量(乾燥質量)を測定した。乾燥前の質量(湿質量)と乾燥後の質量(乾燥質量)の差から、下式にしたがって、105℃で2時間加熱乾燥することによって減少する水分量の割合(含水率)を算出し、含有水分量(質量%)とした。
Figure 2022123274000006
3.カプセル皮膜の機械強度(弾性率と破断伸び率の測定)
硬質カプセルの皮膜の機械強度を評価する場合、被験皮膜の厚みをそろえて比較することが重要である。このため、硬質カプセルの各成分組成に依存する皮膜の機械強度は、ディッピング法によって成形された硬質カプセルのかわりに、硬質カプセル調製液の各成分組成と同一成分組成である調製液を用いて、キャスト法によりフィルムを作製し、当該キャストフィルムを用いて評価した。当該フィルムは、厚みの均一性、評価の再現性に優れており、かつカプセル皮膜としての機械強度をよく反映するものである。
キャストフィルムは、室温に保持したガラス面上又はPETフィルム上に金属性のアプリケーターを設置し、50℃~60℃の調製液を流しこみ一定速度で移動させ100μmの均一なフィルムを作製した。その後、室温~30℃で10時間程度の乾燥を行った。
100 μmの均一な膜厚のフィルムを得るため、ギャップが0.4 mm~1.5 mmのアプリケーターを適宜使い分けた。
作製したフィルムは、5mm × 75mmのダンベル形状(JIS K-7161-2-1BAで規定) にカットした後、小型卓上試験機(島津製作所EZ-LX)を用いて引張試験を行った。フィルムの両端をホルダーにセット(ギャップ長60 mm)し、引張速度、10 mm/minで引張、フィルムの伸びとフィルム内に生じる応力(引張応力)-伸び率(ひずみ)曲線を求めた。低応力時の弾性変形領域の傾きから、硬さの指標である弾性率をもとめ、破断点における伸び率を破断伸び率(%)とした。
前述の含有水分量の測定と同様の飽和塩を用い、25℃、相対湿度22%の条件の調湿下で1週間以上調湿した後、引張試験を実施し機械的強度を評価した。引張試験は、それぞれの調湿条件と同じ温湿度で行った。
III.調製液の調製方法
以下手順にしたがって、カプセル調製液を調製した。操作はすべて溶液を撹枠しながら行った。以下においては、第i成分(腸溶性メタクリル酸コポリマー)、第ii成分(水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー)、及び第iii成分(ポリビニルアルコール)の固形分をポリマー固形分と称する。また、全溶液質量は、溶媒である精製水、ポリマー固形分、第iv成分(ゲル化剤)、塩基性中和剤、その他の固形分(遮光剤)合計質量となる。ポリマー固形分濃度とは、前記ポリマー固形分合計質量の全溶液質量に対する比率(質量%)をいう。
a.メタクリル酸コポリマーの水分散液(固形分濃度30質量%)、(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマー分散液(固形分濃度30質量%)及び遮光剤である酸化チタンの分散液(濃度22質量%)の水分量を考慮し、カプセル調製工程完了後のポリマー固形分濃度(第i成分、第ii成分、および第iii成分の合計)が、所定濃度(19.2%程度)となる量の室温の精製水を用意した。
b.上記a.において準備した水に、室温にてPVA3500と酸化チタンを添加し、スリーワンモーターで撹拌しながら約85℃まで昇温させた。温度を維持しながら、メタクリル酸コポリマー分散液を所定量上記に投入し、その後塩基性中和剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を投入し、部分中和液を調製した。NaOHは、メタクリル酸コポリマーのカルボキシル基の約4%を部分中和するのに相当する分量を用いた。すなわち、メタクリル酸コポリマーの固形分1 gに対する、NaOHの中和当量214.8 mgであるので、本実施例では、メタクリル酸コポリマーの固形分1 gに対して、中和等量の約4%にあたる8.3 mgのNaOHを加えた。この場合の中和度は、約3.9%となる。部分中和後の溶液(部分中和液)のpHは、概ね4~6の範囲にある。
c.上記b.で調製した部分中和液の液温を約85℃に維持しながら、この部分中和溶液に(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーを投入し、さらにスリーワンモーターで十分撹拌した。その後、さらに液温を約85℃に維持しながら、ポリマー固形分100質量%に対して0.52質量%となるようにジェランガムを投入し、だまができないように均一に分散させ懸濁液を調製し、脱泡した。
d.上記c.で調製した溶液の温度を52℃~57℃まで降温した。
溶液の粘度は、ブルックフィールド粘度計による測定で、ほぼ500~5,000 mPa・sの範囲となった。なお、最終的な全固形分濃度は、粘度がこの範囲になるよう、温純水の追加、蒸発による微調整を行った。また、上記すべての工程で、スリーワンモーターによる撹拌は、100~1,000 rpmで行った。
IV.カプセルの成形
上記III.で調製されたカプセル調製液を用いて、コールドピン浸漬法によりサイズ2号の硬質カプセルを調製した。保持温度T5は、約55℃で、ほぼ一定温度に保ったカプセル調製液中に、室温(25℃程度)に放置したモールドピン(サイズ2号)を数秒間浸漬させたのち、大気中に引き上げた。カプセル調製液が付着した成型ピンを上下反転させ、室内雰囲気温度で2~10時間以上乾燥させた。筒状のカプセル側面の膜厚は、約100 μmとなるようモールドピンの浸漬時間、引き上げ速度などを適宜調整した。その後、モールドピンから、カプセル部分を引き抜き、筒状部分の長さが所定の長さとなるようにカットした。以上の操作を、キャップ及びボディそれぞれで行った。
調製されたカプセルの組成、及びカプセル調製液の調製に使用した成分の組成を、表1に示す。
V.性能評価
調製した硬質カプセル又はフィルムの性能評価を行った。結果を表1に示す。
得られた硬質カプセルについて、上記II.1.にしたがって第1液及び第2液における溶出試験を行った。カプセルを第1液に浸漬後2時間後の溶出率は、7.3%であり、酸性溶液に対する難溶性が示された。一方カプセルを第2液に浸漬後30分後の溶出率は、100%であった。中性溶液に対しては易溶性であることが示された。
さらに、pH4.0における2時間後の溶出率は、13.8%であり、胃液と十二指腸液が混じり合った場合でも、溶出耐性を示すことが確認された。
上記II.2.にしたがって含水率を測定した結果、相対湿度60%における含有水分量は4.76%、相対湿度22%における含有水分量は2.74%であった。
また、上記II.3.にしたがって、上記III.の方法により調製したフィルムの弾性率、破断伸び率を測定した。弾性率は1.9GPa、伸び率は5.5%であった。
Figure 2022123274000007

Claims (50)

  1. 第1成分、第2成分、第3成分、及び第4成分を含む皮膜からなる腸溶性硬質カプセルであって、
    第1成分は、腸溶性メタクリル酸コポリマーであり、
    第2成分は、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーであり、
    第3成分は、ポリビニルアルコールであり、及び
    第4成分は、ゲル化剤である、
    腸溶性硬質カプセル。
  2. 前記腸溶性メタクリル酸コポリマーが、メタクリル酸とメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーよりなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の腸溶性硬質カプセル。
  3. 前記腸溶性メタクリル酸コポリマーが、メタクリル酸40~60質量%とアクリル酸エチル60~40質量%とからなるコポリマーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の腸溶性硬質カプセル。
  4. 前記水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーが、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルとのコポリマーである、請求項1~3のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  5. さらに1カプセルあたりの皮膜の質量を100質量%とした場合に1~10質量%の水分を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  6. さらに、第5成分として薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤を含み、前記塩基性中和剤の含有量は、1カプセルあたりの皮膜に含まれる第1成分の中和前のカルボキシル基のモル数を100モル%とした時に、0.5モル%以上、10モル%以下の前記第1成分のカルボキシル基を中和する量である、請求項1~5のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  7. 前記塩基性中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種である、請求項6に記載の腸溶性硬質カプセル。
  8. さらに第6成分としてゲル化補助剤を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  9. 前記ゲル化剤が、ジェランガムであり、ゲル化補助剤が乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、および硝酸カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種の水溶性カルシウム塩である、請求項8に記載の腸溶性硬質カプセル。
  10. 前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100質量%とした場合における第1成分の割合をα質量%、第2成分の割合をβ質量%、及び第3成分の割合をγ質量%とした場合に、αが50~80の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  11. 前記βが10~40の範囲である、請求項10に記載の腸溶性硬質カプセル。
  12. 前記γが5~40の範囲である、請求項10又は11に記載の腸溶性硬質カプセル。
  13. 前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する第4成分の含有量の比が5以下である、請求項1~12のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  14. 前記皮膜に含まれる第1成分、第2成分、及び第3成分の質量の合計を100とした場合、前記合計に対する第5成分の含有量の比が5以下である、請求項8~13のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  15. 前記第1成分の少なくとも一部が前記塩基性中和剤との塩を形成している、請求項6~14のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  16. 可塑剤及び/もしくは遮光剤をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  17. 前記皮膜の厚みが50~250μmである、請求項1~16のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  18. 前記皮膜の25℃、相対湿度22%における弾性率が1GPa~5GPaである、請求項1~17のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  19. 前記皮膜の25℃、相対湿度22%における破断伸び率が2%~30%である、請求項1~18のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  20. pH1.2を有する溶液を用いた溶出試験において、2時間後の前記腸溶性硬質カプセルの溶出率が、25%以下である、請求項1~19のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  21. 前記溶出試験における腸溶性硬質カプセルの溶出率が、10%以下である、請求項20に記載の腸溶性硬質カプセル。
  22. 第i成分、第ii成分、第iii成分、第iv成分、及び溶媒を含む腸溶性硬質カプセル調製液であって、
    第i成分は、腸溶性メタクリル酸コポリマーであり、
    第ii成分は、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーであり、
    第iii成分は、ポリビニルアルコールであり、
    第iv成分はゲル化剤であり、及び
    腸溶性硬質カプセル調製液。
  23. さらに、第v成分は、薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤を含み、
    第i成分の一部が、第v成分によって部分中和されている、請求項22に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  24. 前記塩基性中和剤の含有量は、1カプセルあたりの皮膜に含まれる第i成分の中和前のカルボキシル基のモル数を100モル%とした時に、0.5モル%以上、10モル%以下の前記第i成分のカルボキシル基を中和する量である、請求項23に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  25. 前記第i成分が、コロイド粒子として分散されている、請求項22~24のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  26. 前記腸溶性メタクリル酸コポリマーが、メタクリル酸とメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーよりなる群から選択される少なくとも一種である、請求項21~24のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  27. 前記水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーが、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルとのコポリマーである、請求項22~26のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  28. 前記第ii成分が、コロイド粒子として分散されている、請求項22~27のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  29. 前記塩基性中和剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種である、請求項22~28のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  30. さらに第vi成分としてゲル化補助剤を含む、請求項22~29のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  31. 前記ゲル化剤が、ジェランガムであり、ゲル化補助剤が乳酸カルシウム、酢酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、および硝酸カルシウムよりなる群から選択される少なくとも1種の水溶性カルシウム塩である、請求項30に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  32. 前記皮膜に含まれる第i成分、第ii成分、及び第iii成分の質量の合計を100質量%とした場合における第1成分の割合をα’質量%、第2成分の割合をβ’質量%、第3成分の割合をγ’質量%とした場合に、α’が50~80の範囲である、請求項21~30のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル。
  33. 前記β’が10~40の範囲である、請求項32に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  34. 前記γ’が5~40の範囲である、請求項32又は33に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  35. 前記皮膜に含まれる第i成分、第ii成分及び第iii成分の質量の合計を100とした場合に、前記合計に対する第iv成分の含有量の比が5以下である、請求項22~34のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  36. 前記皮膜に含まれる第i成分、第ii成分及び第iii成分の質量の合計を100とした場合に、前記合計に対する第v成分の含有量の比が5以下である、請求項22~35のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  37. 腸溶性硬質カプセル調製液を100質量%としたときに、前記第i成分、第ii成分及び第iii成分の合計量が10~30質量%である、請求項22~36のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  38. 粘度が、100~10,000mPa・sである、請求項22~37のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液。
  39. 第v成分により部分中和された第i成分、第ii成分、第iii成分、及び第iv成分を混合することを含む、腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法であって、
    第i成分は、腸溶性メタクリル酸コポリマーであり、
    第ii成分は、水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーであり、
    第iii成分は、ポリビニルアルコールであり、
    第iv成分は、ゲル化剤であり、及び
    第v成分は、薬学的又は食品添加物として許容される塩基性中和剤である、
    前記調製方法。
  40. 前記腸溶性メタクリル酸コポリマーが、メタクリル酸とメタクリル酸メチル及びアクリル酸メチルとのコポリマー、及びメタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーよりなる群から選択される少なくとも一種である、請求項37に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
  41. 前記水不溶性(メタ)アクリル酸アルキルエステルコポリマーが、メタクリル酸メチルとアクリル酸エチルとのコポリマーである、請求項37又は38に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
  42. 前記塩基性中和剤が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア及び炭酸アンモニウムよりなる群から選択される少なくとも一種である、請求項39~41のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
  43. 前記第v成分により部分中和された第i成分、第ii成分、第iii成分、及び第iv成分の混合が下記工程AからDにより行われる、請求項39~42のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法:
    工程A:第iii成分を80℃~90℃の水性溶媒に溶解する工程、
    工程B:第iii成分の溶解液に第i成分を添加する工程、
    工程C:工程Bで得られた溶液に、第v成分を添加する工程、
    工程D:工程Cで得られた溶液に第ii成分と第iv成分を添加する工程。
  44. 前記第v成分により部分中和された第i成分、第ii成分、第iii成分、及び第iv成分の混合が下記工程により行われる、請求項39~41のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法:
    工程A’:第i成分を第vで部分中和した部分中和液を準備する工程、
    工程B’:工程A’で準備した部分中和液と、第iii成分と、第ii成分と第iv成分とを混合する工程。
  45. 前記塩基性中和剤の含有量は、前記1カプセルあたりの皮膜に含まれる第i成分の中和前のカルボキシル基のモル数を100モル%とした時に、0.5モル%以上、10モル%以下の前記第i成分のカルボキシル基を中和する量である、請求項43又は44に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
  46. 前記腸溶性硬質カプセル調製液の粘度が、100~10,000mPa・sである、請求項39~45のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の調製方法。
  47. 下記工程を含む、腸溶性硬質カプセルの調製方法:
    請求項22~38のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセル調製液の中に、前記腸溶性硬質カプセル調製液の温度よりも低い表面温度を有するモールドピンを浸漬する第1工程;及び
    前記腸溶性硬質カプセル調製液からモールドピンを引き上げて、モールドピンに付着した腸溶性硬質カプセル調製液を乾燥させる第2工程。
  48. 前記腸溶性硬質カプセル調製液の温度が、50~60℃である、請求項47に記載の腸溶性硬質カプセルの調製方法。
  49. 前記調製液に浸漬する前のモールドピンの表面温度が、5~40℃である、請求項47又は48に記載の腸溶性硬質カプセルの調製方法。
  50. モールドピンに付着した腸溶性硬質カプセル調製液を乾燥する温度が、40℃未満である、請求項47~49のいずれか一項に記載の腸溶性硬質カプセルの調製方法。
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