JP2022120623A - 欠陥検査装置及び欠陥検査方法 - Google Patents

欠陥検査装置及び欠陥検査方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022120623000001
【課題】パターンのサイズや形状に基づいてリサイズ量が異なる参照画像データを生成できる欠陥検査装置を提供する。
【解決手段】実施形態によれば、欠陥検査装置は、試料300の撮像機構10と、撮像機構が撮像した試料の画像データに基づいて検査画像を生成する画像取得回路213と、設計データから展開画像を生成する展開回路211と、展開画像からパターンのクラス分類を行い、分類されたクラス毎に設定されたリサイズ量に基づいて展開画像のリサイズ処理を実行するリサイズ処理回路215を含み、リサイズ処理後の展開画像を用いて参照画像を生成する参照画像生成回路212と、検査画像と参照画像とを比較する比較回路214とを含む。
【選択図】図4

Description

本発明は、試料上に形成されたパターンの欠陥検査をするための欠陥検査装置及び欠陥検査方法に関する。
半導体デバイスの製造工程では、露光装置(「ステッパ―」または「スキャナー」とも呼ばれる)を用いた縮小露光により、回路パターンが半導体基板上に転写される。露光装置では、回路パターンを半導体基板(以下、「ウェハ」とも表記する)上に転写するために、原画パターン(以下、単に「パターン」とも表記する)が形成されたマスク(「レチクル」とも呼ばれる)が用いられる。
例えば、最先端のデバイスでは、数nmの線幅の回路パターンの形成が要求される。回路パターンの微細化に伴い、マスクにおける原画パターンも微細化している。このため、マスクの欠陥検査装置には、微細な原画パターンに対応した高い欠陥検出性能が求められる。
欠陥検査方式には、欠陥検査装置において撮像された画像に基づく検査画像と、設計データに基づく参照画像とを比較するD-DB(Die to Database)方式と、マスク上に形成された同一パターンからなる複数の領域同士を比較するD-D(Die to Die)方式とがある。
マスク上に形成されているパターンは、パターン形成(描画)プロセスに起因して寸法がシフトする場合がある。D-DB方式の場合、寸法シフトが発生すると、検査画像のパターンのエッジ位置が、参照画像と一致しなくなる。参照画像と検査画像との間に位置ずれが生じると、位置ずれ箇所が擬似欠陥として検出される場合がある。
寸法シフトに対応するため、参照画像を作成する際、設計データに基づいて生成された2値または多値の展開画像に対して、パターンのエッジ位置を移動させるリサイズ処理及びパターンのコーナー部分を丸めるコーナー丸め処理等の補正が施される。
例えば、特許文献1には、展開画像において、各画素の近傍に存在する隣接図形の距離からリサイズ処理におけるリサイズ量を求める技術が開示されている。
特開2006-208340
検査画像におけるパターンの寸法シフトは、パターンのサイズ及び形状にも依存する。このため、各種パターンに対して一律のリサイズ処理を行うと、全てのパターンに対して参照画像と検査画像とを一致させることは難しい。
本発明はこうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、欠陥検査装置において、パターンのサイズや形状に基づいてリサイズ量が異なる参照画像データを生成できる欠陥検査装置及び欠陥検査方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様によれば、欠陥検査装置は、試料の撮像機構と、撮像機構が撮像した試料の画像データに基づいて検査画像を生成する画像取得回路と、設計データから展開画像を生成する展開回路と、展開画像からパターンのクラス分類を行い、分類されたクラス毎に設定されたリサイズ量に基づいて展開画像のリサイズ処理を実行するリサイズ処理回路を含み、リサイズ処理後の展開画像を用いて参照画像を生成する参照画像生成回路と、検査画像と参照画像とを比較する比較回路とを備える。
本発明の第1の態様によれば、リサイズ処理回路は、リサイズ量に基づいてリサイズ量マップを作成し、リサイズ量マップのスムージング処理を実行し、スムージング処理後のリサイズ量マップの膨張処理を実行し、膨張処理後のリサイズ量マップに基づいて、リサイズ処理を実行することが好ましい。
本発明の第1の態様によれば、リサイズ処理回路は、リサイズ処理後のリサイズ量マップからリサイズ処理に適用されたリサイズ量の減算処理を実行することが好ましい。
本発明の第1の態様によれば、リサイズ処理回路は、減算処理後のリサイズ量マップにおけるリサイズ量が予め設定された閾値以下になるまで、膨張処理とリサイズ処理と減算処理とを繰り返すことが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、欠陥検査方法は、試料を撮像して検査画像を生成する工程と、設計データから展開画像を生成する工程と、展開画像からパターンのクラス分類を行う工程と、分類されたクラス毎にリサイズ量を設定し、リサイズ量マップを作成する工程と、リサイズ量マップに基づいて、リサイズ処理を実行する工程と、リサイズ処理後の展開画像に基づいて参照画像を生成する工程と、検査画像と参照画像とを比較して検査を行う工程とを備える。
本発明の第2の態様によれば、リサイズ量マップを作成する工程は、リサイズ量に基づいてリサイズ量マップを作成する工程と、リサイズ量マップのスムージング処理を実行する工程と、スムージング処理後のリサイズ量マップの膨張処理を実行する工程と、膨張処理後のリサイズ量マップに基づいて、リサイズ処理を実行する工程とを含むことが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、欠陥検査方法は、リサイズ処理後のリサイズ量マップからリサイズ処理に適用されたリサイズ量を減算する工程を更に備えることが好ましい。
本発明の第2の態様によれば、欠陥検査方法は、減算後のリサイズ量マップにおけるリサイズ量が予め設定された閾値以下になるまで、膨張処理とリサイズ処理と減算とを繰り返すことが好ましい。
本発明の欠陥検査装置及び欠陥検査方法によれば、欠陥検査装置において、パターンのサイズや形状に基づいてリサイズ量が異なる参照画像データを生成できる。
図1は、一実施形態に係る欠陥検査装置の全体構成を示す図である。 図2は、一実施形態に係る欠陥検査装置における検査工程のフローチャートである。 図3は、一実施形態に係る欠陥検査装置における実画輪郭位置の一例を示す図である。 図4は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるリサイズ処理のフローチャートである。 図5は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるクラスAに対応するラインパターンのエッジ上の注目画素を示す図である。 図6は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるクラスBに対応するラインパターンのエッジ上の注目画素を示す図である。 図7は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるクラスCに対応するラインパターンのエッジ上の注目画素を示す図である。 図8は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるクラスDに対応するラインパターンのエッジ上の注目画素を示す図である。 図9は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるリサイズ量マップの一例である。 図10は、一実施形態に係る欠陥検査装置における隣接画素MAX処理の一例を示す図である。 図11は、一実施形態に係る欠陥検査装置における隣接画素MAX処理後のリサイズ量マップの一例である。 図12は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるフィルタ処理後のリサイズ量マップの一例である。 図13は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるX方向の膨張処理を説明するための概念図である。 図14は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるX方向の膨張処理の一例を示す図である。 図15は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるY方向の膨張処理を説明するための概念図である。 図16は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるY方向の膨張処理の一例を示す図である。 図17は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるリサイズ処理の一例を示す図である。 図18は、一実施形態に係る欠陥検査装置におけるリサイズ量マップの膨張処理とリサイズ処理と減算処理との繰り返しの一例を示す図である。 図19は、一実施形態に係る欠陥検査装置における展開画像の輪郭点の抽出の一例を示す図である。
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。実施形態は、発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示している。図面は模式的または概念的なものであり、各図面の寸法及び比率等は必ずしも現実のものと同一とは限らない。本発明の技術的思想は、構成要素の形状、構造、配置等によって特定されるものではない。
以下では、試料の欠陥検査装置として、走査型電子顕微鏡(以下、「SEM(Scanning Electron Microscope)」と表記する)を用いて測定対象パターンの電子線画像(以下、「SEM画像」とも表記する)を撮像する欠陥検査装置について説明する。なお、欠陥検査装置は、光学顕微鏡を用いてパターンの光学画像を撮像してもよいし、受光素子を用いて、試料を反射または透過した光の光学画像を撮像してもよい。また、本実施形態では、検査対象となる試料がマスクである場合について説明するが、試料は、ウェハ、または液晶表示装置などに使用される基板等、表面にパターンが設けられている試料であればよい。
1.欠陥検査装置の全体構成
まず、欠陥検査装置の全体構成の一例について、図1を用いて説明する。図1は、欠陥検査装置1の全体構成を示す図である。
図1に示すように、欠陥検査装置1は、撮像機構10と制御機構20とを含む。
撮像機構10は、試料室11及び鏡筒12を含む。鏡筒12は、試料室11の上に設置されている。例えば、鏡筒12は、試料室11に対し垂直に延伸する円筒形状を有している。試料室11及び鏡筒12は、互いに接する面が開口している。試料室11と鏡筒12とにより形成される空間は、ターボ分子ポンプ等を用いて真空(減圧)状態に保持される。
試料室11内には、ステージ13、ステージ駆動機構14、及び検出器15が設けられている。
ステージ13の上には、試料(マスク)300が載置される。ステージ13は、ステージ13の表面に平行なX方向、及びステージ13の表面に平行であり且つX方向と交差するY方向に移動可能である。また、ステージ13は、ステージ13の表面に垂直なZ方向に移動可能であってもよいし、Z方向を回転軸として、XY平面上で回転軸周りに回転可能であってもよい。
ステージ駆動機構14は、ステージ13を、X方向及びY方向に移動させるための駆動機構を有する。なお、ステージ駆動機構14は、例えば、ステージ13をZ方向に移動させる機構を有していてもよいし、Z方向を回転軸として、ステージ13をXY平面上で回転軸周りに回転させる機構を有していてもよい。
検出器15は、試料から放出された二次電子または反射電子等を検出する。検出器15は、検出した二次電子または反射電子等の信号、すなわちSEM画像のデータを、画像取得回路213に送信する。
鏡筒12内には、SEMの構成要素である電子銃16及び電子光学系17が設けられている。
電子銃16は、試料室11に向かって電子線を射出するように設置されている。
電子光学系17は、電子銃16から射出された電子線を、試料300の所定の位置に収束させて照射する。例えば、電子光学系17は、複数の集束レンズ101及び102と、複数の走査コイル103及び104と、対物レンズ105とを含む。電子銃16から射出された電子線は、加速された後に集束レンズ101及び102、並びに対物レンズ105によって、ステージ13上に載置された試料300の表面に電子スポットとして集束する。走査コイル103及び104は、試料300上における電子スポットの位置を制御する。
制御機構20は、制御回路21、記憶装置22、表示装置23、入力装置24、及び通信装置25を含む。
制御回路21は、欠陥検査装置1の全体を制御する。より具体的には、制御回路21は、撮像機構10を制御してSEM画像を取得する。また、制御回路21は、制御機構20を制御して、生成した参照画像と検査画像とを比較し、欠陥を検出する。すなわち、制御回路21は、欠陥検査を実行するためのプロセッサである。例えば、制御回路21は、図示せぬCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)を含む。例えば、CPUは、非一時的な記憶媒体としてのROMあるいは記憶装置22に格納されたプログラムをRAMに展開する。そして、制御回路21は、RAMに展開されたプログラムをCPUにより解釈及び実行して、欠陥検査装置1を制御する。なお、制御回路21は、例えば、マイクロプロセッサなどのCPUデバイスであってもよいし、パーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置であってもよい。また、制御回路21は、少なくとも一部の機能が、特定用途集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Alley)、または、グラフィック処理ユニット(GPU:Graphics Processing Unit)等の他の集積回路によって担われる専用回路(専用プロセッサ)を含んでいてもよい。
制御回路21は、展開回路211、参照画像生成回路212、画像取得回路213、及び比較回路214を含む。なお、これらは、CPU、ASIC、FPGA、または、GPUなどの集積回路が実行するプログラムによって構成されてもよいし、それらの集積回路が備えるハードウェアまたはファームウェアによって構成されてもよいし、それらの集積回路によって制御される個別の回路によって構成されてもよい。以下では、制御回路21が、実行するプログラムによって、展開回路211、参照画像生成回路212、画像取得回路213、及び比較回路214の機能を実現する場合について説明する。
展開回路211は、例えば、記憶装置22に保持されている設計データを図形毎のデータに展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、展開回路211は、設計データを、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして、2値または多値(例えば8bit)の画像(以下、「CAD画」または「展開画像」とも表記する)に展開する。展開回路211は、展開画像の画素毎に図形が占める占有率を演算する。このようにして、演算された各画素内の図形占有率が画素値である。例えば、展開画像が8ビットの階調データで表される場合、各画素の画素値は、0~255の階調値で表される。画素値が0の場合、図形占有率は、0%であり、画素値が255の場合、図形占有率は、100%である。
参照画像生成回路212は、展開画像のリサイズ処理及びコーナー丸め処理を行う。そして、参照画像生成回路212は、リサイズ処理及びコーナー丸め処理後の展開画像から輪郭を抽出して参照画像(輪郭画像)を生成する。参照画像生成回路212は、生成した参照画像を比較回路214及び記憶装置22に送信する。参照画像生成回路212は、リサイズ処理回路215及びコーナー丸め処理回路216を含む。
リサイズ処理回路215は、リサイズ処理を実行する。より具体的には、本実施形態のリサイズ処理回路215は、パターンのクラス分類を行い、各パターン(エッジ)を含む画素に、クラス分類に応じたリサイズ量を付与する。リサイズ処理回路215は、各画素におけるリサイズ量を表すリサイズ量マップを生成する。そして、リサイズ処理回路215は、リサイズ量マップに基づいて、展開画像のパターンのエッジ位置を移動させる。
コーナー丸め処理回路216は、リサイズ処理後の各パターンのコーナー部分を丸めるコーナー丸め処理を実行する。
画像取得回路213は、撮像機構10の検出器15からSEM画像のデータを取得する。画像取得回路213は、SEM画像から輪郭を抽出して検査画像(輪郭画像)を生成する。
比較回路214は、検査画像と参照画像とのアライメントを行い、参照画像に対する検査画像のシフト量を算出する。また比較回路214は、例えば、試料300面内におけるシフト量のばらつき等から検査画像の歪み量を測定し、歪み係数を算出する。比較回路214は、シフト量及び歪み係数を考慮した適切なアルゴリズムを用いて、検査画像と参照画像とを比較する。比較回路214は、検査画像と参照画像の誤差が予め設定された値を超えた場合には、対応する試料300の座標位置に欠陥があると判定する。
記憶装置22は、欠陥検査に関するデータ及びプログラムを記憶する。例えば、記憶装置22は、設計データ221、検査条件のパラメータ情報222、及び検査データ223等を記憶する。より具体的には、例えば、検査条件のパラメータ情報222には、撮像機構10の撮像条件、参照画像生成条件(リサイズ処理のクラス分類情報等)、及び欠陥検出条件等が含まれる。また、検査データ223には、画像データ(展開画像、参照画像、SEM画像、及び検査画像)、並びに検出された欠陥に関するデータ(座標及びサイズ等)が含まれる。また、記憶装置22は、非一時的な記憶媒体として、欠陥検査プログラム224を記憶する。欠陥検査プログラム224は、制御回路21に欠陥検査を実行させるためのプログラムである。
なお、記憶装置22は、外部ストレージとして、磁気ディスク記憶装置(HDD:Hard Disk Drive)またはソリッドステートドライブ(SSD)等の各種記憶装置を含んでいてもよい。更に、記憶装置22は、例えば、非一時的な記憶媒体としてCD(Compact Disc)またはDVD(Digital Versatile Disc)等に記憶されたプログラムを読み込むためのドライブを含んでいてもよい。
表示装置23は、例えば、表示画面(例えば、LCD(Liquid Crystal Display)またはEL(Electroluminescence)ディスプレイ等)等を含む。表示装置23は、制御回路21の制御により、例えば、欠陥検出結果を表示する。
入力装置24は、キーボード、マウス、タッチパネル、またはボタンスイッチなどの入力装置である。
通信装置25は、外部装置との間でデータの送受信を行うために、ネットワークに接続するための装置である。通信には、各種の通信規格が用いられ得る。例えば、通信装置25は、外部装置から設計データを受信し、欠陥検査の結果等を外部装置に送信する。
2.検査工程の全体の流れ
次に、検査工程の全体の流れの一例について、図2を用いて説明する。図2は、検査工程のフローチャートである。
図2に示すように、検査工程は、大まかに、検査画像取得工程(ステップS1)と、参照画像生成工程(ステップS2)と、比較工程(ステップS3)とを含む。
2.1 検査画像取得工程
まず、ステップS1の検査画像取得工程の一例について説明する。画像取得回路213は、撮像機構10から、試料300のSEM画像を取得する(ステップS11)。
次に、画像取得回路213は、取得したSEM画像のノイズを除去するため、フィルタ処理を実行する(ステップS12)。
次に、画像取得回路213は、フィルタ処理後のSEM画像からパターンの輪郭を抽出し(ステップS13)、検査画像(輪郭画像)を生成する。より具体的には、画像取得回路213は、実画(検査画像)として、SEM画像毎に、当該SEM画像内の各図形パターンの複数の輪郭位置(実画輪郭位置)を抽出する。
以下、画像取得回路213における実画輪郭位置の抽出の一例について説明する。図3は、実画輪郭位置の一例を示す図である。
画像取得回路213は、例えばソーベルフィルタ等の微分フィルタを用いてX方向及びY方向に各画素を微分する微分フィルタ処理を行い、X方向及びY方向の1次微分値を合成する。そして合成後の1次微分値を用いたプロファイルのピーク位置を輪郭線(実画輪郭線)上の輪郭位置として抽出する。図3の例では、実画輪郭線が通る複数の画素(輪郭画素)において、それぞれ1点ずつ輪郭位置を抽出した場合を示している。輪郭位置は、各輪郭画素内においてサブ画素単位で抽出される。図3の例では、画素内の座標(x,y)は輪郭位置を示している。また、角度θは、複数の輪郭位置を所定の関数でフィッティングして近似する輪郭線の各輪郭位置での法線方向の角度を示している。法線方向の角度θは、例えば、X軸に対する右回りの角度で定義される。得られた各実画輪郭位置の情報(実画輪郭線データ)は、記憶装置22に格納される。なお、本例では、ソーベルフィルタを用いた場合について説明したが、輪郭抽出フィルタは、ソーベルフィルタに限定されない。
画像取得回路213は、生成した検査画像を比較回路214及び記憶装置22に送信する。
2.2 参照画像取得工程
次に、参照画像取得工程の一例について説明する。例えば、欠陥検査装置1は、通信装置25を介して、設計データを取得する(ステップS21)。取得された設計データは、例えば、記憶装置22に記憶される。
展開回路211は、記憶装置22に記憶された設計データを読み出す。そして、展開回路211は、展開処理を実行し、設計データを、例えば8bitの画像データ(展開画像)に展開(変換)する(ステップS22)。展開画像の各画素は、その画素を設計データの図形が画素に占める占有率に相当する値を持つ。例えば8bitの画像データの場合、設計図形の占有率が0%の場合の画素値は0であり、占有率が100%の場合の画素値は255である。展開回路211は、展開画像を参照画像生成回路212及び記憶装置22に送信する。
リサイズ処理回路215は、展開画像のリサイズ処理を実行する(ステップS23)。リサイズ処理の詳細については、後述する。
次に、コーナー丸め処理回路216は、リサイズ処理された各パターンのコーナー部分の丸め処理を行う(ステップS24)。
参照画像生成回路212は、リサイズ処理及びコーナー丸め処理が施された展開画像からパターンの輪郭を抽出し(ステップS25)、参照画像(輪郭画像)を生成する。参照画像生成回路212は、生成した参照画像を比較回路214及び記憶装置22に送信する。
2.3 比較工程
次に、比較工程の一例について説明する。まず、比較回路214は、検査画像と参照画像とを用いてアライメントを実行し(ステップS31)、検査画像内のパターンと、参照画像内のパターンとの位置合わせを行う。例えば、実画(検査画像)の各輪郭線位置と参照画像の対応する輪郭線位置の相対ベクトルを求め、その平均値をアライメントシフト量とする。このとき、比較回路214は、参照画像に対する検査画像のアライメントシフト量を算出する。
次に、比較回路214は、検査画像の歪み量を測定し(ステップS32)、歪み係数を算出する。例えば、ステージ移動精度あるいは試料300の歪み等により、設計データに基づく座標情報と、撮像された画像から算出されたパターンの座標との間に位置ずれが生じる場合がある。比較回路214は、例えば、試料300面内における局所的なアライメントシフト量の分布等から検査画像の歪み量を測定し、歪み係数を算出する。
例えば、座標(x,y)の歪み量は、歪み量をdx、dyとする次の式で歪みを表される。ここで、a~a、b~bを歪み係数とする。各歪み係数は検査画像の各輪郭点と、参照画像の対応する輪郭点の相対ベクトルを(dx、dy)として最小二乗法などの最適化手法で算出することができる。
dx(x,y)=a+ax+ay+axy
dy(x,y)=b+bx+by+bxy
算出された歪み係数によって各輪郭点における歪み量を算出できるので、後述のステップS33においてアライメントシフト量とともに検査画像と参照画像との相対ベクトル計算に用いられる。
次に、比較回路214は、検査画像と参照画像とを比較する(ステップS33)。比較回路214は、比較した結果に基づいて、欠陥を検出する。換言すれば、比較回路214は、検査画像と参照画像とを比較する比較工程として、アライメントシフト量を用いて、検査画像の各輪郭線(実画輪郭線)と参照画像の対応する輪郭線(参照画輪郭線)とを比較する。例えば、比較回路214は、複数の実画輪郭位置の各実画輪郭位置と、それぞれ対応する参照輪郭位置との間でのアライメントシフト量を考慮した欠陥位置ずれベクトルの大きさ(距離)が判定閾値を超えた場合に欠陥と判定する。比較結果は、記憶装置22またはモニタ23に出力される。
制御回路21は、欠陥検査の結果を、記憶装置22に保存した後、例えば、表示装置23に表示してもよく、通信装置25を介して外部装置(例えば、レビュー装置等)に出力してもよい。
3.リサイズ処理
次に、リサイズ処理の一例について説明する。図4は、リサイズ処理のフローチャートである。図4に示すように、リサイズ処理回路215は、ステップS101~S108を実行する。各ステップの詳細について説明する。
[ステップS101]
まず、リサイズ処理回路215は、展開画像の各図形のクラス分類を行う。すなわち、リサイズ処理回路215は、パターンエッジを含む各画素を、複数のクラスに分類する。展開画像における図形のエッジは、階調値が0の画素と、階調値が0より大きい画素の境界にあると考えることができる。ここでは、階調値が0より大きく、階調値が0の画素と隣接する画素をエッジ画素とする。
ここで、クラス分類の一例について説明する。例えば、本実施形態では、図5~図8に示すように、注目画素を4つのクラスA~Dに分類する。なお、クラスの個数及び各クラスの定義は、任意に設定可能である。図5~図8は、クラスA~Dにそれぞれ対応するラインパターンのエッジ上の注目画素を示している。なお、図5~図8の例では、パターンの紙面右側のエッジに注目画素が設けられている場合を示しているが、パターンの左側及び上下のエッジについては、図5~図8を90°、180°、270°と回転させることにより対応させることができる。
以下の説明では、ラインパターンのエッジ上に設けられた注目画素から向かい合う別のパターンのエッジまでの距離をL1とする。注目画素からパターン内の対向するエッジまでの距離をL2とする。注目画素が配置されたエッジから一方のエッジ端部(角部)までの距離をL3とする。注目画素が配置されたエッジから他方のエッジ端部(角部)までの距離をL4とする。
図5に示すように、クラスAには、X方向に延伸するラインパターンにおいて、注目画素における距離L1が閾値th1以下であり(L1≦th1)、且つ注目画素を含むエッジ幅(ラインパターンのライン幅)(L3+L4)が閾値th2以下である((L3+L4)≦th2)場合が含まれる。閾値th1は、注目画素を含むパターンエッジと向かい合う別のパターンのエッジまでの距離L1に対して予め設定された閾値である。閾値th2は、注目画素を含むパターンのライン幅に対して予め設定された閾値である。
クラスAを示す論理演算式は、(L1≦th1)∧((L3+L4)≦th2)である。ここで“∧”は、論理積を示す。
図6に示すように、クラスBには、クラスAは含まれず、X方向に延伸するラインパターンにおいて、注目画素から対向するエッジまでの距離(ラインパターンのライン長)(L2)が閾値th3以上であり(L2≧th3)、且つ注目画素を含むエッジ幅(ラインパターンのライン幅)(L3+L4)が閾値th2以下である((L3+L4)≦th2)場合が含まれる。閾値th3は、注目画素を含むパターンのライン長に対して予め設定された閾値である。
クラスBを示す論理演算式は、(!A)∧(L2≧th3)∧((L3+L4)≦th2)である。ここで“!”は、論理演算の否定を示す。
図7に示すように、クラスCには、クラスA及びBは含まれず、Y方向に延伸するラインパターンにおいて、注目画素から対向するエッジまでの距離(この場合、ラインパターンのライン幅)(L2)が予め設定された閾値th2以下である(L2≦th2)場合が含まれる。
クラスCを示す論理演算式は、(!A)∧(!B)∧(L2≦th2)である。
図8に示すように、クラスDは、クラスA~Cを含まない場合である。従って、クラスDを示す論理演算式は、(!A)∧(!B)∧(!C)である。
[ステップS102]
次に、リサイズ処理回路215は、図形のクラス分類の結果に従って、クラスに対応したリサイズ量を各エッジ(展開画像の各画素)に付与する。そして、リサイズ処理回路215は、各画素のリサイズ量を示すリサイズ量マップを作成する。図9は、リサイズ量マップの一例である。
図9に示すように、例えば、4つのパターンP1~P4のエッジを含む各画素に対して、クラス分類に基づくリサイズ量が付与されている。例えば、クラスAに分類される画素には、リサイズ量100が付与される。クラスBに分類される画素には、リサイズ量75が付与される。クラスCに分類される画素には、リサイズ量50が付与される。クラスDに分類される画素には、リサイズ量25が付与される。以下の説明では、リサイズ量が100の場合に、エッジが1画素分移動する、と定義する。なお、各クラスのリサイズ量は、任意に設定可能である。
例えば、パターンP1の下側のエッジを含む各画素は、パターンP2と向かい合いクラスAに分類されるため、リサイズ量100が付与される。パターンP1の上側のエッジを含む各画素は、クラスBに分類されるため、リサイズ量75が付与される。また、パターンP1の左右のエッジを含む各画素は、クラスCに分類されるため、リサイズ量50が付与される。
例えば、パターンP2の左側のパターンP3と向かい合うエッジを含む画素は、クラスAに分類されるため、リサイズ量100が付与される。パターンP2の左右のエッジを含む他の画素は、クラスBに分類されるため、リサイズ量75が付与される。また、パターンP2の上下のエッジを含む各画素は、クラスCに分類されるため、リサイズ量50が付与される。パターンP3も同様である。
例えば、パターンP4は、パターンP1~P3と比較して大きなサイズのパターンを示している。パターンP4のエッジを含む各画素は、クラスDに分類されるため、リサイズ量25が付与される。
[ステップS103]
次に、リサイズ処理回路215は、リサイズ量マップにおいて、隣接画素MAX処理を実行する。ここで、隣接画素MAX処理について、図10を用いて説明する。図10は、隣接画素MAX処理の一例を示す図である。以下、3×3のリサイズ量マップにおいて各画素の座標は、紙面左下から紙面右上に向かって、(x,y)=(1,1)~(3,3)で表示されている。
図10に示すように、隣接画素MAX処理は、リサイズ量として1以上が設定されている画素において、その上下左右に隣接する画素のリサイズ量が、対象画素のリサイズ量よりも大きい場合に、対象画素のリサイズ量を隣接する画素のリサイズ量に置き換える処理である。隣接画素MAX処理は、予め設定された回数繰り返し実行される。より具体的には、例えば、3×3のリサイズ量マップにおいて、座標(1,1)、(2,1)、及び(2,2)の画素のリサイズ量を50とし、座標(2,3)の画素のリサイズ量を100とする。このような場合において、1回目の隣接画素MAX処理が適用されると、座標(2,2)の画素のリサイズ量が50から100に置き換えられる。次に、2回目の隣接画素MAX処理が適用されると、座標(2,1)の画素のリサイズ量が100に置き換えられる。
例えば、図9で説明したリサイズ量マップに、隣接画素MAX処理を1回適用すると、図11に示すように、パターンP1~P3において、リサイズ量100及び75となる領域(画素)が1画素分、拡大している。
[ステップS104]
次に、リサイズ処理回路215は、リサイズ量のスムージング処理(フィルタ処理)を行う。スムージング処理は、不連続なリサイズ量によってリサイズ処理後の形状に段差が生じることを防いでいる。ここで、リサイズ量のスムージング処理の一例について説明する。
リサイズ処理回路215は、まず、式(1)の重み関数(ガウス関数)を適用した式(2)の演算を行い、注目画素の座標(x,y)を中心とする予め設定された一定範囲において、範囲内の各画素の座標(x’,y’)におけるリサイズ量のn乗と注目画素からの距離のガウス関数の積の和を求める。なお、nは、エッジを強調するための先鋭化係数であり、任意に設定可能である。
Figure 2022120623000002
Figure 2022120623000003
ここで、g(ξ、η)は重み関数、sは重み関数のσ(標準偏差)、Rはスムージング処理前のリサイズ量をそれぞれ表す。
次に、リサイズ処理回路215は、式(3)の演算を行い、上記範囲でエッジがある画素のガウス関数の和を求める。
Figure 2022120623000004
ここで、Eは、画素(x,y)がエッジを含むか否かを表しており、エッジを含む場合E(x,y)=1とされ、エッジを含まない場合E(x,y)=0とされる。
次に、リサイズ処理回路215は、式(4)の演算を行い、スムージング処理後のリサイズ量R2を算出する。式(4)では、式(2)で求めたa(x,y)を式(3)で求めたb(x,y)で割ることによって規格化を行い、範囲内のエッジ数の粗密の影響を低減している。なお、式(4)では、演算結果と処理前のリサイズ量の大きい方の値とすることにより、スムージング処理後のリサイズ量R2がスムージング処理前のリサイズ量Rよりも小さくならないようにしている。
Figure 2022120623000005
例えば、図11で説明したリサイズ量マップに、スムージング処理を適用すると、図12に示すように、パターンP1~P3において、隣接画素間のリサイズ量の変化量が抑えられる(リサイズ量の変化が滑らかになる)。
[ステップS105]
次に、リサイズ処理回路215は、エッジ以外の隣接画素にリサイズ量を膨張する。膨張処理は、リサイズ量として1以上が設定されている画素の隣接画素のうち、リサイズ量が0である画素にリサイズ量を付与し、リサイズ量が付与されている画素を増加(膨張)させる処理であり、エッジ位置が画素と画素の中間に位置する際にリサイズ処理が行われなくなることを防ぐ効果がある。膨張処理は、X方向及びY方向に対してそれぞれ行われる。なお、膨張処理は、予め設定された回数繰り返し実行されてもよい。
まず、X方向の膨張処理の一例について、図13及び図14を用いて説明する。図13は、X方向の膨張処理を説明するための概念図である。図14は、X方向の膨張処理の一例を示す図である。
図13に示すように、例えば、リサイズ量0の注目画素を中心とした3×3のリサイズ量マップにおいて、座標(1,1)の画素のリサイズ量をaとし、座標(1,2)の画素のリサイズ量をbとし、座標(1,3)の画素のリサイズ量をcとする。例えば、X方向の膨張処理後の注目画素のリサイズ量をdとすると、dには、0.7a、b、及び0.7cの最大値が設定される。ここで、座標(1,1)及び(1,2)の画素は、座標(2,2)の注目画素に対して斜めの位置に配置されているため、X方向における注目画素からの距離を考慮してa及びcをそれぞれ0.7倍としている。
図14に示すように、例えば、座標(1,1)の画素のリサイズ量が50であり、座標(1,2)の画素のリサイズ量が150であり、座標(1,3)の画素のリサイズ量が120であり、他の画素のリサイズ量が0である状態で、X方向の膨張処理を実行する。座標(2,2)の画素に着目すると、座標(1,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、50×0.7=35となる。座標(1,2)の画素によるリサイズ量の設定値は、150となる。また、座標(1,3)の画素によるリサイズ量の設定値は、120×0.7=84となる。従って、座標(2,2)の画素のリサイズ量として最大値の150が付与される。また、座標(2,1)の画素に着目すると、座標(1,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、50となる。座標(1,2)の画素によるリサイズ量の設定値は、150×0.7=105となる。従って、座標(2,1)の画素のリサイズ量として最大値の105が付与される。また、座標(2,3)の画素に着目すると、座標(1,2)の画素によるリサイズ量の設定値は、150×0.7=105となる。座標(1,3)の画素によるリサイズ量の設定値は、120となる。従って、座標(2,3)の画素のリサイズ量として最大値の120が付与される。ここで、例えば座標(2,1)のリサイズ量計算には図示されていない座標(1,0)のリサイズ量が参照されるが、ここでは省略している。
次に、Y方向の膨張処理の一例について、図15及び図16を用いて説明する。図15は、Y方向の膨張処理を説明するための概念図である。図16は、Y方向の膨張処理の一例を示す図である。
図15に示すように、例えば、リサイズ量0の注目画素を中心とした3×3のリサイズ量マップにおいて、座標(1,1)の画素のリサイズ量をαとし、座標(2,1)の画素のリサイズ量をβとし、座標(3,1)の画素のリサイズ量をγとする。例えば、Y方向の膨張処理後の注目画素のリサイズ量をδとすると、X方向の膨張処理と同様に、δには、0.7α、β、及び0.7γの最大値が設定される。
図16に示すように、例えば、座標(1,1)の画素のリサイズ量が180であり、座標(2,1)の画素のリサイズ量が30であり、座標(3,1)の画素のリサイズ量が80であり、他の画素のリサイズ量が0である状態で、Y方向の膨張処理を実行する。座標(2,2)の画素に着目すると、座標(1,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、180×0.7=126となる。座標(2,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、30となる。また、座標(3,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、80×0.7=56となる。従って、座標(2,2)の画素のリサイズ量として最大値の126が付与される。また、座標(1,2)の画素に着目すると、座標(1,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、180となる。座標(2,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、30×0.7=21となる。従って、座標(1,2)の画素のリサイズ量として最大値の180が付与される。また、座標(3,2)の画素に着目すると、座標(2,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、30×0.7=21となる。座標(3,1)の画素によるリサイズ量の設定値は、80となる。従って、座標(3,2)の画素のリサイズ量として最大値の80が付与される。X方向の場合と同様に、図示していない座標のリサイズ量への参照は省略している。
X方向のリサイズ量とY方向のリサイズ量は、膨張処理後はX方向及びY方向の2種類のリサイズ量マップとして格納される。
[ステップS106]
次に、リサイズ処理回路215は、リサイズ量マップに基づいて、1画素単位でリサイズ処理を実行する。1画素単位のリサイズ処理とは、例えば、エッジ位置を1画素分だけ移動させるリサイズ量を100と定義した場合、1回のリサイズ処理の上限をリサイズ量100としたリサイズ処理である。ここで、1画素単位のリサイズ処理について、図17を用いて説明する。図17は、リサイズ処理の一例を示す図である。図17において、パターンは設計データ上のパターン(図形)を可視化しているもので、展開画像自体は図形の占有率に相当する階調値を持っている。従って、展開画像の階調値の合計はその領域の図形の面積に比例する。図17では図形を膨張させる方向にリサイズ処理を行っているが、図形を収縮させる場合は図形を予め階調反転させてからリサイズ処理を行い、処理後に再度反転させると好適である。
図17に示すように、パターンエッジを含む注目画素を中心とした3×3の展開画像において、ソーベルフィルタを用いて注目画素における輪郭の法線方向を求める。より具体的には、リサイズ処理回路215は、展開画像に対して、ソーベルフィルタのX方向及びY方向のカーネルとの畳み込み演算をそれぞれ行う。そして、リサイズ処理回路215は、注目画素において、X方向に対する演算値及びY方向に対する演算値を合成して得られた輪郭ベクトルの法線角度θを算出する。例えば、ソーベルフィルタ処理後のX方向の値をFx、Y方向の値をFyとすると、θ=atan(Fy/Fx)という式で表される。
次に、リサイズ処理回路215は、3×3の展開画像の画素値(階調値)の合計(すなわち3×3画素の総面積)が同じであり、ソーベルフィルタで求めた輪郭ベクトルと境界線が垂直となる半平面を形成する。
次に、リサイズ処理回路215は、注目画素において、半平面をリサイズ量の方向に最大1画素分以下のリサイズ量(本例では、リサイズ量100以下)だけ移動させる。すなわち、リサイズ処理回路215は、リサイズ量に応じて、注目画素の画素値を補正し、1画素単位のリサイズ処理を実行する。リサイズ量は後述する膨張処理の結果として、X方向及びY方向の2つの成分を持っている。図におけるリサイズ量は、X方向のリサイズ量をRx、Y方向のリサイズ量をRyとすると、(Rx・cosθ,Ry・sinθ)というベクトルで表される。
[ステップS107]
次に、リサイズ処理回路215は、リサイズ量マップにおいて、1画素分のリサイズ量(本例では100)を減算する。
[ステップS108]
各画素のリサイズ量が予め設定された閾値以下(例えば0)である場合(ステップS108_Yes)、リサイズ処理は終了する。他方で、リサイズ量が予め設定された閾値(例えば0)より大きい画素が残っている場合(ステップS108_No)、リサイズ処理回路215は、ステップS105に進み、再度膨張処理を実行する。リサイズ処理回路215は、各画素のリサイズ量が予め設定された閾値以下(例えば0)になるまで、膨張処理、リサイズ処理、及びリサイズ量の減算処理(ステップS105~S108)を繰り返す。
膨張処理、リサイズ処理、及びリサイズ量の減算処理の繰り返しの一例を、図18を用いて説明する。図18は、リサイズ量マップのX方向の膨張処理とリサイズ処理と減算処理との繰り返しの一例を示す図である。ここでは省略されているが、リサイズ量マップはY方向についても図16に示したような膨張処理が行われ、1画素単位のリサイズ処理後には後述のように減算処理が行われる。
図18に示すように、例えば、3×3のリサイズ量マップにおいて、座標(2,1)の画素のリサイズ量が250であり、座標(2,2)の画素のリサイズ量が200であり、座標(2,3)の画素のリサイズ量が100であり、他の画素のリサイズ量が0であるとする。
この状態において、リサイズ処理回路215は、膨張処理(ステップS105)を実行する。この結果、座標(1,1)及び(3,1)の画素にリサイズ量250が付与される。座標(1,2)及び(3,2)の画素にリサイズ量200が付与される。座標(1,3)及び(3,3)の画素にリサイズ量140が付与される。
次に、リサイズ処理回路215は、最大リサイズ量100の1画素単位のリサイズ処理(ステップS106)及びリサイズ量の減算処理(ステップS107)を実行する。この結果、座標(1,1)、(2,1)、及び(3,1)の画素のリサイズ量は150となる。座標(1,2)、(2,2)、及び(3,2)の画素のリサイズ量は100となる。座標(1,3)及び(3,3)の画素のリサイズ量は40となる。座標(2,3)の画素のリサイズ量は0となる。
この状態ではリサイズ量が1以上の画素が残っているため(ステップS108_No)、リサイズ処理回路215は、処理を繰り返し、再度膨張処理(ステップS105)を実行する。この結果、座標(2,3)の画素にリサイズ量70が付与される。
次に、リサイズ処理回路215は、最大リサイズ量100の1画素単位のリサイズ処理(ステップS106)及びリサイズ量の減算処理(ステップS107)を実行する。この結果、座標(1,1)、(2,1)、及び(3,1)の画素のリサイズ量は50となる。他の座標の画素のリサイズ量は0となる。
リサイズ処理回路215は、リサイズ量が1以上の画素が残っているため(ステップS108_No)、各画素のリサイズ量が0になるまで処理を繰り返す。
4.輪郭点の抽出
次に、展開画像における輪郭点の抽出の一例について、図19を用いて説明する。
図19は、展開画像における輪郭点の抽出の一例を示す図である。図19において、パターンは設計データ上のパターン(図形)を可視化しているもので、展開画像自体は図形の占有率に相当する階調値を持っている。従って、展開画像の階調値の合計はその領域の図形の面積に比例する。
図19に示すように、図17と同様にして、ソーベルフィルタを用いて注目画素の輪郭ベクトルが求められ、これに対応する半平面が形成される。そして、半平面の境界線上のX方向及びY方向の中点となる位置に、輪郭点が設定される。輪郭位置は、各輪郭画素内においてサブ画素単位で設定される。図3の例と同様に、画素内の座標(x,y)として示すと好適である。
5.本実施形態に係る効果
本実施形態に係る構成であれば、欠陥検査装置は、参照画像の生成において、パターンのサイズや形状及び配置に基づいてパターンをクラス分類し、クラス毎に異なるリサイズ量を設定できる。このため、欠陥検査装置は、パターンのサイズや形状に基づいてリサイズ量が異なる参照画像データを生成できる。これにより、寸法シフトが生じている検査画像と参照画像とのずれを低減できる。従って、欠陥検査による擬似欠陥の抽出を低減でき、欠陥検査の信頼性を向上できる。
6.変形例等
上述の実施形態では、リサイズ量のスムージング処理にガウス関数を用いる場合について説明したが、他の平滑化フィルタを用いてもよい。また、輪郭ベクトルの算出にソーベルフィルタを用いた場合について説明したが、他の輪郭抽出フィルタを用いてもよい。
上述の実施形態では、欠陥検査装置において参照画像を生成する場合について説明したが、参照画像の生成方法は、欠陥検査装置に限定されない。データに基づいて参照画像を生成する装置、例えば、測定装置等、他の装置に適用されてもよい。
上述の実施形態において、パターンのクラス分類に、機械学習等を利用してもよい。すなわち、AI(artificial intelligence)がパターンを学習して、クラス分類の演算条件を設定してもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1…欠陥検査装置、10…撮像機構、11…試料室、12…鏡筒、13…ステージ、14…ステージ駆動機構、15…検出器、16…電子銃、17…電子光学系、20…制御機構、21…制御回路、22…記憶装置、23…表示装置、24…入力装置、25…通信装置、101、102…集束レンズ、103、104…走査コイル、105…対物レンズ、211…展開回路、212…参照画像生成回路、213…画像取得回路、214…比較回路、215…リサイズ処理回路、216…コーナー丸め処理回路、221…設計データ、222…パラメータ情報、223…検査データ、224…欠陥検査プログラム、300…試料

Claims (8)

  1. 試料の撮像機構と、
    前記撮像機構が撮像した前記試料の画像データに基づいて検査画像を生成する画像取得回路と、
    設計データから展開画像を生成する展開回路と、
    前記展開画像からパターンのクラス分類を行い、分類されたクラス毎に設定されたリサイズ量に基づいて前記展開画像のリサイズ処理を実行するリサイズ処理回路を含み、前記リサイズ処理後の前記展開画像を用いて参照画像を生成する参照画像生成回路と、
    前記検査画像と前記参照画像とを比較する比較回路と
    を備える、欠陥検査装置。
  2. 前記リサイズ処理回路は、
    前記リサイズ量に基づいてリサイズ量マップを作成し、
    前記リサイズ量マップのスムージング処理を実行し、
    前記スムージング処理後の前記リサイズ量マップの膨張処理を実行し、
    前記膨張処理後の前記リサイズ量マップに基づいて、前記リサイズ処理を実行する
    請求項1に記載の欠陥検査装置。
  3. 前記リサイズ処理回路は、前記リサイズ処理後の前記リサイズ量マップから前記リサイズ処理に適用されたリサイズ量の減算処理を実行する
    請求項2に記載の欠陥検査装置。
  4. 前記リサイズ処理回路は、減算処理後の前記リサイズ量マップにおけるリサイズ量が予め設定された閾値以下になるまで、前記膨張処理と前記リサイズ処理と前記減算処理とを繰り返す、
    請求項3に記載の欠陥検査装置。
  5. 試料を撮像して検査画像を生成する工程と、
    設計データから展開画像を生成する工程と、
    前記展開画像からパターンのクラス分類を行う工程と、
    分類されたクラス毎にリサイズ量を設定し、リサイズ量マップを作成する工程と、
    前記リサイズ量マップに基づいて、リサイズ処理を実行する工程と、
    前記リサイズ処理後の前記展開画像に基づいて参照画像を生成する工程と、
    前記検査画像と前記参照画像とを比較して検査を行う工程と
    を備える欠陥検査方法。
  6. 前記リサイズ量マップを作成する工程は、
    前記リサイズ量に基づいて前記リサイズ量マップを作成する工程と、
    前記リサイズ量マップのスムージング処理を実行する工程と、
    前記スムージング処理後の前記リサイズ量マップの膨張処理を実行する工程と、
    前記膨張処理後の前記リサイズ量マップに基づいて、前記リサイズ処理を実行する工程と
    を含む、
    請求項5に記載の欠陥検査方法。
  7. 前記リサイズ処理後の前記リサイズ量マップから前記リサイズ処理に適用されたリサイズ量を減算する工程を更に備える、
    請求項6に記載の欠陥検査方法。
  8. 前記減算後の前記リサイズ量マップにおけるリサイズ量が予め設定された閾値以下になるまで、前記膨張処理と前記リサイズ処理と前記減算とを繰り返す、
    請求項7に記載の欠陥検査方法。
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