JP2022119701A - 感光性組成物、感光性組成物の製造方法、膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置 - Google Patents

感光性組成物、感光性組成物の製造方法、膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置 Download PDF

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翔一 中村
Shoichi Nakamura
和也 尾田
Kazuya Oda
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Abstract

【課題】保管後の感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法で画素を形成した際に、画素間の残渣の発生や画素の剥がれを抑制することができる感光性組成物およびその製造方法を提供する。また、感光性組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供する。【解決手段】顔料と、重合性化合物と、光重合開始剤と、ポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物と、を含む、感光性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、顔料を含む感光性組成物及びその製造方法に関する。また、本発明は、感光性組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に関する。
近年、デジタルカメラ、カメラ付き携帯電話等の普及から、電荷結合素子(CCD)イメージセンサなどの固体撮像素子の需要が大きく伸びている。ディスプレイや光学素子のキーデバイスとしてカラーフィルタが使用されている。
カラーフィルタは、色材を含む感光性組成物を用いて製造されている。例えば、特許文献1には、キサンテン系色素と、ポリエチレンイミンと、バインダー樹脂とを含むカラーフィルタ用着色組成物に関する発明が記載されている。
特開2013-041145号公報
本発明者の検討によれば、色材として顔料を用いた感光性組成物において、ポリエチレンイミンなどのアミン価の高い化合物を含有させることで、感光性組成物の保管中における顔料の凝集などを抑制でき、保存安定性を向上できることが分かった。本発明者がこのような感光性組成物についてさらに検討を進めたところ、保管後の感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法で画素を形成した際に、画素間の残渣の抑制や、画素剥がれなどについて、更なる改善の余地があることが分かった。
よって、本発明の目的は、保管後の感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法で画素を形成した際に、画素間の残渣の発生や画素の剥がれを抑制することができる感光性組成物およびその製造方法を提供することにある。また、本発明は、感光性組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することにある。
本発明者が、顔料と、重合性化合物と、光重合開始剤と、ポリアルキレンイミンなどのアミン価の高い化合物とを含む感光性組成物について検討を進めたところ、このような感光性組成物は、保管時にポリアルキレンイミンなどのアミン価の高い化合物と重合性化合物などとが反応して重合性化合物が高分子量化し、感光性組成物中の重合性化合物の割合が経時的に減少するため、保管後の感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法で画素を形成した際に、画素間に残渣が発生したり、画素の剥がれが発生し易くなったと考えた。本発明者が上記感光性組成物について更に検討を進めたところ、酸無水物を更に添加することにより、感光性組成物中でポリアルキレンイミンなどのアミン価の高い化合物と酸無水物とが反応してポリアルキレンイミンなどのアミン価の高い化合物の活性を低下させて保管時におけるポリアルキレンイミンなどのアミン価の高い化合物と重合性化合物との反応を抑制でき、保管後の感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法で画素を形成した際においても、画素間の残渣の発生や画素の剥がれを抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。よって、本発明は以下を提供する。
<1> 顔料と、
重合性化合物と、
光重合開始剤と、
ポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物と、
を含む、
感光性組成物。
<2> 上記ポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物の重量平均分子量が5000以下である、<1>に記載の感光性組成物。
<3> 顔料と、
重合性化合物と、
光重合開始剤と、
1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物と酸無水物との反応物と、
を含む、
感光性組成物。
<4> 上記1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物がポリアルキレンイミンである、<3>に記載の感光性組成物。
<5> 上記ポリアルキレンイミンがポリエチレンイミンである、<1>又は<4>に記載の感光性組成物。
<6> 上記酸無水物の分子量が300以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<7> 上記酸無水物は炭素数20以下の化合物である、<1>~<6>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<8> 上記酸無水物はカルボン酸無水物である、<1>~<7>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<9> 上記顔料は、フタロシアニン顔料を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の感光性組成物。
<10> <1>に記載の感光性組成物の製造方法であって、
溶剤中で顔料とポリアルキレンイミンとを分散して分散液を調製する工程と、
上記分散液と、酸無水物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを混合する工程とを、
含む、感光性組成物の製造方法。
<11> <3>に記載の感光性組成物の製造方法であって、
溶剤中で、顔料と、1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物とを分散して分散液を調製する工程と、
上記分散液と、酸無水物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを混合する工程とを、
含む、感光性組成物の製造方法。
<12> <1>~<9>のいずれか1つに記載の感光性組成物を用いて得られる膜。
<13> <12>に記載の膜を有する光学フィルタ。
<14> <12>に記載の膜を有する固体撮像素子。
<15> <12>に記載の膜を有する画像表示装置。
本発明によれば、保管後の感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法で画素を形成した際に、画素間の残渣の発生や画素の剥がれを抑制することができる感光性組成物およびその製造方法を提供するができる。また、本発明は、感光性組成物を用いた膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。
本明細書において、「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
本明細書において、構造式中のMeはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、Buはブチル基を表し、Prはプロピル基を表し、Phはフェニル基を表す。
本明細書において、重量平均分子量および数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値である。
本明細書において、近赤外線とは、波長700~2500nmの光をいう。
本明細書において、全固形分とは、組成物の全成分から溶剤を除いた成分の総質量をいう。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい色材を意味する。例えば、顔料は、23℃の水100gおよび23℃のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100gに対する溶解度がいずれも0.1g以下であることが好ましく、0.01g以下であることがより好ましい。
本明細書において、染料とは、溶剤に対して溶解しやすい色材を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
<感光性組成物>
本発明の感光性組成物の第1の態様は、
顔料と、
重合性化合物と、
光重合開始剤と、
ポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物と、
を含む、ことを特徴とする。
また、本発明の感光性組成物の第2の態様は、
顔料と、
重合性化合物と、
光重合開始剤と、
1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物と酸無水物との反応物と、
を含む、ことを特徴とする。
本発明の感光性組成物によれば、保管後の感光性組成物を用いてフォトリソグラフィ法で画素を形成した際に、画素間の残渣の発生や画素の剥がれを抑制することができる。
本発明の感光性組成物は、光学フィルタ用の感光性組成物として好ましく用いられる。光学フィルタとしては、カラーフィルタ、近赤外線透過フィルタ、近赤外線カットフィルタなどが挙げられ、カラーフィルタであることが好ましい。また、本発明の感光性組成物は、固体撮像素子用として好ましく用いられる。より詳しくは、固体撮像素子用に用いられる光学フィルタ用の感光性組成物として好ましく用いられ、固体撮像素子用に用いられるカラーフィルタの着色画素形成用の感光性組成物としてより好ましく用いられる。
カラーフィルタとしては、特定の波長の光を透過させる着色画素を有するフィルタが挙げられる。着色画素としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素、黄色画素などが挙げられ、緑色画素またはシアン色画素であることが好ましく、緑色画素であることがより好ましい。カラーフィルタの着色画素は、有彩色顔料を含む感光性組成物を用いて形成することができる。
近赤外線カットフィルタの極大吸収波長は、波長700~1800nmの範囲に存在することが好ましく、波長700~1300nmの範囲に存在することがより好ましく、波長700~1000nmの範囲に存在することが更に好ましい。また、近赤外線カットフィルタの波長400~650nmの全範囲での透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、波長700~1800nmの範囲の少なくとも1点での透過率は20%以下であることが好ましい。また、近赤外線カットフィルタの極大吸収波長における吸光度Amaxと、波長550nmにおける吸光度A550との比(吸光度Amax/吸光度A550)は、20~500であることが好ましく、50~500であることがより好ましく、70~450であることが更に好ましく、100~400であることが特に好ましい。近赤外線カットフィルタは、近赤外線吸収顔料を含む感光性組成物を用いて形成することができる。
近赤外線透過フィルタは、近赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタである。近赤外線透過フィルタは、可視光と近赤外線のいずれも透過させるフィルタ(透明膜)であってもよく、可視光の少なくとも一部を遮光し、近赤外線の少なくとも一部を透過させるフィルタであってもよい。近赤外線透過フィルタとしては、波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1300nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である分光特性を満たしているフィルタなどが好ましく挙げられる。近赤外線透過フィルタは、以下の(1)~(5)のいずれかの分光特性を満たしているフィルタであることが好ましい。
(1):波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長800~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(2):波長400~750nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長900~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(3):波長400~830nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1000~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(4):波長400~950nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
(5):波長400~1050nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1200~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)であるフィルタ。
本発明の感光性組成物は、遮光膜などにも用いることができる。
本発明の感光性組成物の固形分濃度は、5~30質量%であることが好ましい。下限は、7.5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上限は、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましい。
以下、本発明の感光性組成物に用いられる各成分について説明する。
<<色材>>
本発明の感光性組成物は色材を含む。本発明では、色材として顔料を含むものが用いられる。顔料としては、白色顔料、黒色顔料、有彩色顔料、近赤外線吸収顔料が挙げられる。なお、本明細書において、白色顔料には純白色のみならず、白に近い明るい灰色(例えば灰白色、薄灰色など)の顔料などが含まれる。
感光性組成物をカラーフィルタ用として用いる場合には、顔料として有彩色顔料が用いられる。有彩色顔料は1種のみであってもよく、2種以上含んでいてもよい。また、感光性組成物を近赤外線カットフィルタ形成用として用いる場合には、顔料として近赤外線吸収顔料が用いられる。近赤外線吸収顔料は1種のみであってもよく、2種以上含んでいてもよい。また、感光性組成物から近赤外線透過フィルタ用の画素を形成する場合には、顔料として、2種以上の有彩色顔料を組み合わせて用いたり、黒色顔料が用いられる。
顔料の平均一次粒子径は、1~200nmが好ましい。下限は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。上限は、180nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。顔料の平均一次粒子径が上記範囲であれば、感光性組成物中における顔料の分散安定性が良好である。なお、本発明において、顔料の一次粒子径は、顔料の一次粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた写真から求めることができる。具体的には、顔料の一次粒子の投影面積を求め、それに対応する円相当径を顔料の一次粒子径として算出する。また、本発明における平均一次粒子径は、400個の顔料の一次粒子についての一次粒子径の算術平均値とする。また、顔料の一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
本発明で用いられる顔料は、フタロシアニン顔料、アゾメチン顔料、アゾ顔料、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料、プテリジン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料およびピロロピロール顔料から選ばれる少なくとも1種を含むものであることが好ましく、フタロシアニン顔料、ジケトピロロピロール顔料及びピロロピロール顔料から選ばれる少なくとも1種を含むものであることがより好ましく、本発明の効果がより顕著に奏されるという理由からフタロシアニン顔料を含むものであることが更に好ましい。また、フタロシアニン顔料は、中心金属を有するフタロシアニン顔料(金属フタロシアニン顔料ともいう)であることが好ましい。金属フタロシアニン顔料としては、銅フタロシアニン顔料、亜鉛フタロシアニン顔料およびアルミニウムフタロシアニン顔料などが挙げられ、銅フタロシアニン顔料または亜鉛フタロシアニン顔料であることが好ましく、亜鉛フタロシアニン顔料であることがより好ましい。また、金属フタロシアニン顔料はハロゲン化フタロシアニン顔料であることが好ましく、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料またはハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であることがより好ましく、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料であることが更に好ましい。
ここで、ハロゲン化フタロシアニン顔料とは、ハロゲン原子を置換基として有するフタロシアニン顔料のことである。また、銅フタロシアニン顔料とは、銅原子を中心金属として有するフタロシアニン顔料のことである。また、亜鉛フタロシアニン顔料とは、亜鉛原子を中心金属として有するフタロシアニン顔料のことである。また、アルミニウムフタロシアニン顔料とは、アルミニウム原子を中心金属として有するフタロシアニン顔料のことである。
金属フタロシアニン顔料の具体例としては、C.I.Pigment Green7,36,58,59,62,63等の緑色顔料、C.I.Pigment Blue15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6等の青色顔料が挙げられる。
以下、本発明で用いられる顔料についてさらに詳しく説明する。
(有彩色顔料)
有彩色顔料としては、特に限定されず、公知の有彩色顔料を用いることができる。有彩色顔料としては、波長400~700nmの範囲に極大吸収波長を有する顔料が挙げられる。例えば、黄色顔料、オレンジ色顔料、赤色顔料、緑色顔料、紫色顔料、青色顔料などが挙げられる。これらの具体例としては、例えば、以下が挙げられる。
C.I.Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232,233,234,235,236等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,269,270,272,279,291,294,295,296,297等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63,64,65,66等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42,60,61等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87,88等(以上、青色顔料)。
また、緑色顔料として、1分子中のハロゲン原子数が平均10~14個であり、臭素原子数が平均8~12個であり、塩素原子数が平均2~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物が挙げられる。また、緑色顔料として中国特許出願第106909027号明細書に記載の化合物、国際公開第2012/102395号に記載のリン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物、特開2019-008014号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2018-180023号公報に記載のフタロシアニン化合物、特開2019-038958号公報に記載の化合物、特開2020-070426号公報に記載のアルミニウムフタロシアニン化合物、特開2020-076995号公報に記載のコアシェル型色素などを用いることもできる。
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン顔料を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落番号0022~0030、特開2011-157478号公報の段落番号0047に記載の化合物が挙げられる。
また、黄色顔料として、下記構造のアゾバルビツール酸ニッケル錯体を用いることもできる。
Figure 2022119701000001
また、黄色顔料として、特開2017-201003号公報に記載の化合物、特開2017-197719号公報に記載の化合物、特開2017-171912号公報の段落番号0011~0062、0137~0276に記載の化合物、特開2017-171913号公報の段落番号0010~0062、0138~0295に記載の化合物、特開2017-171914号公報の段落番号0011~0062、0139~0190に記載の化合物、特開2017-171915号公報の段落番号0010~0065、0142~0222に記載の化合物、特開2013-054339号公報の段落番号0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-026228号公報の段落番号0013~0058に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062644号公報に記載のイソインドリン化合物、特開2018-203798号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-062578号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6432076号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-155881号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-111757号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2018-040835号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2017-197640号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2016-145282号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-085565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2014-021139号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209614号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-209435号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-181015号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-061622号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2013-032486号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2012-226110号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074987号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-081565号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074986号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-074985号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-050420号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2008-031281号公報に記載のキノフタロン化合物、特公昭48-032765号公報に記載のキノフタロン化合物、特開2019-008014号公報に記載のキノフタロン化合物、特許第6607427号公報に記載のキノフタロン化合物、韓国公開特許第10-2014-0034963号公報に記載の化合物、特開2017-095706号公報に記載の化合物、台湾特許出願公開第201920495号公報に記載の化合物、特許第6607427号公報に記載の化合物、特開2020-033525号公報に記載の化合物、特開2020-033524号公報に記載の化合物、特開2020-033523号公報に記載の化合物、特開2020-033522号公報に記載の化合物、特開2020-033521号公報に記載の化合物、国際公開第2020/045200号に記載の化合物、国際公開第2020/045199号に記載の化合物、国際公開第2020/045197号に記載の化合物、特開2020-093994号公報に記載のアゾ化合物、特開2020-083982号公報に記載のペリレン化合物、国際公開第2020/105346号に記載のペリレン化合物、特表2020-517791号公報に記載のキノフタロン化合物、下記式(QP1)で表される化合物、下記式(QP2)で表される化合物を用いることもできる。また、これらの化合物を多量体化したものも、色価向上の観点から好ましく用いられる。
Figure 2022119701000002
式(QP1)中、X~X16は各々独立に水素原子又はハロゲン原子を表し、Zは炭素数1~3のアルキレン基を表す。式(QP1)で表される化合物の具体例としては、特許第6443711号公報の段落番号0016に記載されている化合物が挙げられる。
Figure 2022119701000003
式(QP2)中、Y~Yは、それぞれ独立にハロゲン原子を示す。n、mは0~6の整数、pは0~5の整数を表す。(n+m)は1以上である。式(QP2)で表される化合物の具体例としては、特許6432077号公報の段落番号0047~0048に記載されている化合物が挙げられる。
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つの臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号の段落番号0016~0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物、特開2020-085947号公報に記載の臭素化ジケトピロロピロール化合物、特開2012-229344号公報に記載のナフトールアゾ化合物、特許第6516119号公報に記載の赤色顔料、特許第6525101号公報に記載の赤色顔料、特開2020-090632号公報の段落番号0229に記載の臭素化ジケトピロロピロール化合物、韓国公開特許第10-2019-0140741号公報に記載のアントラキノン化合物、韓国公開特許第10-2019-0140744号公報に記載のアントラキノン化合物、特開2020-079396号公報に記載のペリレン化合物、特開2020-066702号公報の段落番号0025~0041に記載のジケトピロロピロール化合物などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子または窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。
各種顔料が有していることが好ましい回折角については、特許第6561862号公報、特許第6413872号公報、特許第6281345号公報、特開2020-026503号公報、特開2020-033526号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、ピロロピロール顔料としては結晶格子面のうち(±1±1±1)の8個の面の中でX線回折パターンにおける最大ピークに対応する面方向の結晶子サイズが140Å以下であるものを用いることも好ましい。また、ピロロピロール顔料の物性については、特開2020-097744号公報の段落番号0028~0073に記載の通り設定することも好ましい。
有彩色顔料は、2種以上組み合わせて用いてもよい。例えば、本発明の感光性組成物をカラーフィルタの緑色画素形成用として用いる場合には、緑色顔料と黄色顔料とを併用することが好ましい。緑色顔料としては、C.I.Pigment Green7,36,58,59,63であることが好ましく、C.I.Pigment Green58であることがより好ましい。黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow129,138,139,150,185,215,215,231,233であることが好ましく、C.I.Pigment Yellow185であることがより好ましい。
また、有彩色顔料を2種以上組み合わせて用いる場合、2種以上の有彩色顔料の組み合わせで黒色を形成していてもよい。そのような組み合わせとしては、例えば以下の(1)~(7)の態様が挙げられる。感光性組成物中に有彩色顔料を2種以上含み、かつ、2種以上の有彩色顔料の組み合わせで黒色を呈している場合においては、本発明の感光性組成物は、近赤外線透過フィルタ形成用の感光性組成物として好ましく用いることができる。
(1)赤色顔料と青色顔料とを含有する態様。
(2)赤色顔料と青色顔料と黄色顔料とを含有する態様。
(3)赤色顔料と青色顔料と黄色顔料と紫色顔料とを含有する態様。
(4)赤色顔料と青色顔料と黄色顔料と紫色顔料と緑色顔料とを含有する態様。
(5)赤色顔料と青色顔料と黄色顔料と緑色顔料とを含有する態様。
(6)赤色顔料と青色顔料と緑色顔料とを含有する態様。
(7)黄色顔料と紫色顔料とを含有する態様。
(白色顔料)
白色顔料としては、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛などが挙げられる。白色顔料は、チタン原子を有する粒子が好ましく、酸化チタンがより好ましい。また、白色顔料は、波長589nmの光に対する屈折率が2.10以上の粒子であることが好ましい。前述の屈折率は、2.10~3.00であることが好ましく、2.50~2.75であることがより好ましい。
また、白色顔料は「酸化チタン 物性と応用技術 清野学著 13~45ページ 1991年6月25日発行、技報堂出版発行」に記載の酸化チタンを用いることもできる。
白色顔料は、単一の無機物からなるものだけでなく、他の素材と複合させた粒子を用いてもよい。例えば、内部に空孔や他の素材を有する粒子、コア粒子に無機粒子を多数付着させた粒子、ポリマー粒子からなるコア粒子と無機ナノ微粒子からなるシェル層とからなるコアおよびシェル複合粒子を用いることが好ましい。上記ポリマー粒子からなるコア粒子と無機ナノ微粒子からなるシェル層とからなるコアおよびシェル複合粒子としては、例えば、特開2015-047520号公報の段落番号0012~0042の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
白色顔料は、中空無機粒子を用いることもできる。中空無機粒子とは、内部に空洞を有する構造の無機粒子であり、外殻に包囲された空洞を有する無機粒子のことを言う。中空無機粒子としては、特開2011-075786号公報、国際公開第2013/061621号、特開2015-164881号公報などに記載された中空無機粒子が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
(黒色顔料)
黒色顔料としては特に限定されず、公知のものを用いることができる。無機黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、グラファイト等が挙げられ、カーボンブラック、チタンブラックが好ましく、チタンブラックがより好ましい。チタンブラックとは、チタン原子を含有する黒色粒子であり、低次酸化チタンや酸窒化チタンが好ましい。チタンブラックは、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は、酸化ジルコニウムでチタンブラックの表面を被覆することが可能である。また、特開2007-302836号公報に表されるような撥水性物質での処理も可能である。無機黒色顔料の具体例としては、C.I.Pigment Black1,7等が挙げられる。チタンブラックは、個々の粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径のいずれもが小さいことが好ましい。具体的には、平均一次粒子径が10~45nmであることが好ましい。チタンブラックは、分散物として用いることもできる。例えば、チタンブラック粒子とシリカ粒子とを含み、分散物中のSi原子とTi原子との含有比が0.20~0.50の範囲に調整された分散物などが挙げられる。上記分散物については、特開2012-169556号公報の段落0020~0105の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。チタンブラックの市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M-C、13R-N、13M-T(商品名:三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)などが挙げられる。
有機黒色顔料としては、ビスベンゾフラノン化合物、アゾメチン化合物、ペリレン化合物、アゾ化合物などが挙げられる。ビスベンゾフラノン化合物としては、特表2010-534726号公報、特表2012-515233号公報、特表2012-515234号公報などに記載の化合物が挙げられ、例えば、BASF社製の「Irgaphor Black」として入手可能である。ペリレン化合物としては、特開2017-226821号公報の段落番号0016~0020に記載の化合物、C.I.Pigment Black31,32などが挙げられる。
(近赤外線吸収顔料)
近赤外線吸収顔料は、有機顔料であることが好ましい。また、近赤外線吸収顔料は、波長700nmを超え1400nm以下の範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。また、近赤外線吸収顔料の極大吸収波長は、1200nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましく、950nm以下であることが更に好ましい。また、近赤外線吸収顔料は、波長550nmにおける吸光度A550と極大吸収波長における吸光度Amaxとの比であるA550/Amaxが0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることがより好ましく、0.03以下であることが更に好ましく、0.02以下であることが特に好ましい。下限は、特に限定はないが、例えば、0.0001以上とすることができ、0.0005以上とすることもできる。上述の吸光度の比が上記範囲であれば、可視透明性および近赤外線遮蔽性に優れた近赤外線吸収顔料とすることができる。なお、本発明において、近赤外線吸収顔料の極大吸収波長および各波長における吸光度の値は、近赤外線吸収顔料を含む感光性組成物を用いて形成した膜の吸収スペクトルから求めた値である。
近赤外線吸収顔料としては、特に限定はないが、ピロロピロール化合物、リレン化合物、オキソノール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、クロコニウム化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、ピリリウム化合物、アズレニウム化合物、インジゴ化合物およびピロメテン化合物が挙げられ、ピロロピロール化合物、スクアリリウム化合物、シアニン化合物、フタロシアニン化合物およびナフタロシアニン化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ピロロピロール化合物またはスクアリリウム化合物であることが更に好ましく、ピロロピロール化合物であることが特に好ましい。
本発明の感光性組成物は色材として、染料を用いることもできる。染料としては特に制限はなく、公知の染料が使用できる。染料としては、有彩色染料、黒色染料、近赤外線吸収染料などが挙げられる。
本発明の感光性組成物は色材として、特開2012-158649号公報に記載のチアゾール化合物、特開2011-184493号公報に記載のアゾ化合物、特開2011-145540号公報に記載のアゾ化合物、韓国公開特許第10-2020-0028160号公報に記載されたトリアリールメタン染料ポリマー、特開2020-117638号公報に記載のキサンテン化合物、国際公開第2020/174991号に記載のフタロシアニン化合物、特開2020-160279号公報に記載のイソインドリン化合物又はそれらの塩を用いることができる。
感光性組成物の全固形分中における色材の含有量は30~80質量%であることが好ましい。下限は40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、55質量%以上であることがより一層好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。上限は75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
感光性組成物の全固形分中における顔料の含有量は30~80質量%であることが好ましい。下限は40質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましく、55質量%以上であることがより一層好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。上限は75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
また、顔料中におけるフタロシアニン顔料の含有量は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。上限は100質量%以下とすることもでき、90質量%以下とすることもでき、80質量%以下とすることもできる。
また、顔料中における有彩色顔料の含有量は、30~100質量%であることが好ましく、40~100質量%であることがより好ましく、50~100質量%であることが更に好ましい。
感光性組成物の全固形分中における染料の含有量は50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、30質量%以下であることが更に好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。また、感光性組成物中における染料の含有量は、顔料100質量部に対して100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることが更に好ましい。
本発明の感光性組成物は染料を実質的に含有しないことも好ましい。なお、本明細書において、染料を実質的に含有しない場合とは、感光性組成物の全固形分中における染料の含有量が0.1質量%以下であることを意味し、0.01質量%以下であることが好ましく、染料を含有しないことがより好ましい。
<<重合性化合物>>
本発明の感光性組成物は重合性化合物を含有する。重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
重合性化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。重合性化合物の分子量は、100~3000が好ましい。上限は、2000以下がより好ましく、1500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
重合性化合物は、エチレン性不飽和結合含有基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和結合含有基を3~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性化合物は、3~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落番号0095~0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落番号0254~0257、特開2013-253224号公報の段落番号0034~0038、特開2012-208494号公報の段落番号0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、およびこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコールおよび/またはプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(以上、大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
また、重合性化合物には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることもできる。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
また、重合性化合物には、酸基を有する化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性化合物を用いることで、現像時に未露光部の重合性化合物が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する重合性化合物としては、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1~40mgKOH/gであり、より好ましくは5~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
また、重合性化合物には、カプロラクトン構造を有する化合物を用いることもできる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物の市販品としては、KAYARAD DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120(以上、日本化薬(株)製)などが挙げられる。
また、重合性化合物には、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基および/またはプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物がさらに好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えば、エチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494(サートマー社製)、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
また、重合性化合物には、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物は、2官能の重合性化合物であることが好ましい。フルオレン骨格を有する重合性化合物としては、下記式(Fr)で表される部分構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2022119701000004
式中波線は、結合手を表し、Rf1およびRf2はそれぞれ独立して置換基を表し、mおよびnはそれぞれ独立して0~5の整数を表す。mが2以上の場合、m個のRf1は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよく、m個のRf1のうち2個のRf1同士が結合して環を形成していてもよい。nが2以上の場合、n個のRf2は同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよく、n個のRf2のうち2個のRf2同士が結合して環を形成していてもよい。Rf1およびRf2が表す置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、-ORf11、-CORf12、-COORf13、-OCORf14、-NRf15f16、-NHCORf17、-CONRf18f19、-NHCONRf20f21、-NHCOORf22、-SRf23、-SOf24、-SOORf25、-NHSOf26または-SONRf27f28が挙げられる。Rf11~Rf28は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表す。
フルオレン骨格を有する重合性化合物の具体例としては下記構造の化合物が挙げられる。また、フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
Figure 2022119701000005
重合性化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
感光性組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量は0.1~50質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上であることが更に好ましい。上限は、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、25質量%以下が更に好ましい。重合性化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計が上記範囲となることが好ましい。
<<光重合開始剤>>
本発明の感光性組成物は光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物および3-アリール置換クマリン化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、および、アシルホスフィン化合物から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物であることが更に好ましい。また、光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111に記載された化合物、特許第6301489号公報に記載された化合物、MATERIAL STAGE 37~60p,vol.19,No.3,2019に記載されたパーオキサイド系光重合開始剤、国際公開第2018/221177号に記載の光重合開始剤、国際公開第2018/110179号に記載の光重合開始剤、特開2019-043864号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-044030号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-167313号公報に記載の過酸化物系開始剤、特開2020-055992号公報に記載のオキサゾリジン基を有するアミノアセトフェノン系開始剤、特開2013-190459号公報に記載のオキシム系光重合開始剤、特開2020-172619号公報に記載の重合体などが挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 2959、Irgacure 127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 369E、Irgacure 379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、Omnirad 819、Omnirad TPO(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 819、Irgacure TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロヘキシル-プロパン-1,2-ジオン-2-(O-アセチルオキシム)などが挙げられる。市販品としては、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304、TR-PBG-327(トロンリー社製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
光重合開始剤としては、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物、特許第6636081号公報に記載の化合物、韓国公開特許第10-2016-0109444号公報に記載の化合物が挙げられる。
光重合開始剤としては、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
光重合開始剤としては、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
光重合開始剤としては、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落番号0031~0047、特開2014-137466号公報の段落番号0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許4223071号公報の段落番号0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
光重合開始剤としては、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されているOE-01~OE-75が挙げられる。
光重合開始剤としては、カルバゾール骨格にヒドロキシ基を有する置換基が結合したオキシム化合物を用いることもできる。このような光重合開始剤としては国際公開第2019/088055号に記載された化合物などが挙げられる。
光重合開始剤としては、芳香族環に電子求引性基が導入された芳香族環基ArOX1を有するオキシム化合物(以下、オキシム化合物OXともいう)を用いることもできる。上記芳香族環基ArOX1が有する電子求引性基としては、アシル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基が挙げられ、アシル基およびニトロ基が好ましく、アシル基であることがより好ましく、ベンゾイル基であることが更に好ましい。ベンゾイル基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、アルケニル基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アシル基またはアミノ基であることが好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基またはアミノ基であることがより好ましく、アルコキシ基、アルキルスルファニル基またはアミノ基であることが更に好ましい。
オキシム化合物OXは、式(OX1)で表される化合物および式(OX2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、式(OX2)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2022119701000006
式中、RX1は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミノ基、ホスフィノイル基、カルバモイル基またはスルファモイル基を表し、
X2は、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロ環基、ヘテロ環オキシ基、アルキルスルファニル基、アリールスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシルオキシ基またはアミノ基を表し、
X3~RX14は、それぞれ独立して水素原子または置換基を表す;
ただし、RX10~RX14のうち少なくとも一つは、電子求引性基である。
電子求引性基としては、アシル基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基が挙げられ、アシル基およびニトロ基が好ましく、アシル基であることがより好ましく、ベンゾイル基であることが更に好ましい。
上記式において、RX12が電子求引性基であり、RX10、RX11、RX13、RX14は水素原子であることが好ましい。
オキシム化合物OXの具体例としては、特許第4600600号公報の段落番号0083~0105に記載の化合物が挙げられる。
本発明において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2022119701000007
Figure 2022119701000008
Figure 2022119701000009
オキシム化合物は、波長350~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1000~300000であることがより好ましく、2000~300000であることが更に好ましく、5000~200000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、感光性組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落番号0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落番号0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)および化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落番号0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落番号0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落番号0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)、特許第6469669号公報に記載されているオキシムエステル光開始剤などが挙げられる。
感光性組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有量は0.1~20質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。上限は、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下が更に好ましい。光重合開始剤は、1種単独であってもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合は、それらの合計が上記範囲にあることが好ましい。
<<特定反応物>>
本発明の感光性組成物は、ポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物、または、1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物と酸無水物との反応物を含有する。
以下、ポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物を反応物Aともいう。また、1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物と酸無水物との反応物を反応物Bともいう。また、反応物Aと反応物Bとを合わせて特定反応物ともいう。また、1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物をアミン化合物bともいう。また、反応物Aに係るポリアルキレンイミンと、反応物Bに係るアミン化合物b(1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物)を合わせて特定アミン化合物ともいう。
ここで、ポリアルキレンイミンとは、アルキレンイミンを開環重合したポリマーのことである。ポリアルキレンイミンは、1級アミノ基と、2級アミノ基と、3級アミノ基とをそれぞれ含む分岐構造を有するポリマーであることが好ましい。アルキレンイミンの炭素数は2~6が好ましく、2~4がより好ましく、2または3であることが更に好ましく、2であることが特に好ましい。アルキレンイミンの具体例としては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミンなどが挙げられ、エチレンイミンまたはプロピレンイミンであることが好ましく、エチレンイミンであることがより好ましい。
反応物Aに係るポリアルキレンイミンの分子量は、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、250以上であることが更に好ましい。上限は、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましく、10000以下であることが更に好ましく、2000以下であることが特に好ましい。なお、ポリアルキレンイミンの分子量の値について、構造式から分子量が計算できる場合は、ポリアルキレンイミンの分子量は構造式から計算した値である。一方、ポリアルキレンイミンの分子量が構造式から計算できない、あるいは、計算が困難な場合には、沸点上昇法で測定した数平均分子量の値を用いる。また、沸点上昇法でも測定できない、あるいは、測定が困難な場合は、粘度法で測定した数平均分子量の値を用いる。また、粘度法でも測定できない、あるいは、粘度法での測定が困難な場合は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値での数平均分子量の値を用いる。
ポリアルキレンイミンのアミン価は2.7mmol/g以上であることが好ましく、5mmol/g以上であることがより好ましく、10mmol/g以上であることが更に好ましく、15mmol/g以上であることが特に好ましい。なお、ポリアルキレンイミンのアミン価は、後述する実施例に記載の方法により算出した値である。
ポリアルキレンイミンは、ポリエチレンイミンであることが好ましい。また、ポリエチレンイミンは、1級アミノ基を、1級アミノ基と2級アミノ基と3級アミノ基との合計に対して10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むことがより好ましく、30モル%以上含むことが更に好ましい。ポリエチレンイミンの市販品としては、エポミンSP-003、SP-006、SP-012、SP-018、SP-200、P-1000(以上、(株)日本触媒製)などが挙げられる。
反応物Bに係るアミン化合物bの分子量は、100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましく、250以上であることが更に好ましい。上限は、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましく、10000以下であることが更に好ましく、2000以下であることが特に好ましい。なお、アミン化合物bの分子量の値について、構造式から分子量が計算できる場合は、アミン化合物bの分子量は構造式から計算した値である。一方、アミン化合物bの分子量が構造式から計算できない、あるいは、計算が困難な場合には、沸点上昇法で測定した数平均分子量の値を用いる。また、沸点上昇法でも測定できない、あるいは、測定が困難な場合は、粘度法で測定した数平均分子量の値を用いる。また、粘度法でも測定できない、あるいは、粘度法での測定が困難な場合は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値での数平均分子量の値を用いる。
アミン化合物bのアミン価は2.7mmol/g以上であり、5mmol/g以上であることが好ましく、10mmol/g以上であることがより好ましく、15mmol/g以上であることが更に好ましい。なお、アミン化合物bのアミン価は、後述する実施例に記載の方法により算出した。
アミン化合物bに含まれるアミノ基の数は3個以上であり、4個以上であることが好ましく、6個以上であることがより好ましく、10個以上であることが更に好ましい。
アミン化合物bは、1級アミノ基を有する化合物であることが好ましく、1級アミノ基と、3級アミノ基とをそれぞれ含む化合物であることがより好ましく、1級アミノ基と2級アミノ基と3級アミノ基とをそれぞれ含む化合物であることが更に好ましい。
また、アミン化合物bが有するアミノ基は、環状アミノ基であってもよい。環状アミノ基は、ピペリジノ基等のような脂肪族環状アミノ基であってもよく、ピリジル基等のような芳香族環状アミノ基であってもよい。環状アミノ基は、5員環又は6員環構造を有する環状アミノ基であることが好ましく、6員環構造を有する環状アミノ基であることがより好ましく、6員環構造を有する脂肪族環状アミノ基であることが更に好ましい。環状アミノ基は、ヒンダードアミン構造を有することが好ましく、6員環のヒンダードアミン構造を有することが特に好ましい。ヒンダードアミン構造としては、環状アミノ基の窒素原子に隣接する環構造における2つの炭素原子にアルキル基等の置換基を有することが好ましい。ヒンダードアミン構造を有する環状アミノ基としては、例えば、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル基、2,2,6,6-テトラメチルピペリジル基、1,2,6,6-トリメチルピペリジル基、2,6-ジメチルピペリジル基、1-メチル-2,6-ジ(t-ブチル)ピペリジル基、2,6-ジ(t-ブチル)ピペリジル基、1,2,2,5,5-ペンタメチルピロリジル基、2,2,5,5-テトラメチルピロリジル基等が挙げられる。なかでも、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル基、又は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジル基が好ましく、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル基がより好ましい。
アミン化合物bは、ポリアルキレンイミンであることが好ましく、ポリエチレンイミンであることがより好ましい。また、ポリエチレンイミンは、1級アミノ基を、1級アミノ基と2級アミノ基と3級アミノ基との合計に対して10モル%以上含むことが好ましく、20モル%以上含むことがより好ましく、30モル%以上含むことが更に好ましい。
また、アミン化合物bは、環状アミノ基を有する化合物であってもよい。このような化合物としては、以下に示す構造の化合物などが挙げられる。また、市販品としては、アデカスタブLA-52、LA-57、LA-63P、LA-68(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
Figure 2022119701000010
また、アミン化合物bとしては、アミノ基を側鎖に有する樹脂を用いることもできる。また、アミン化合物bとしては、以下に示す構造の化合物を用いることもできる。
Figure 2022119701000011
特定反応物における酸無水物としては、カルボン酸無水物及びスルホン酸無水物が挙げられ、カルボン酸無水物であることが好ましい。また、カルボン酸無水物としては、脂肪族カルボン酸無水物および芳香族カルボン酸無水物が挙げられ、脂肪族カルボン酸無水物であることが好ましい。
酸無水物の分子量は300以下であることが好ましく、80~300であることがより好ましい。
酸無水物は、炭素数20以下の化合物であることが好ましく、ポリアルキレンイミンやアミン化合物bとの反応性と、酸無水物の耐熱性を高い水準で両立できるという理由から炭素数5~15の化合物であることがより好ましい。
酸無水物の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水イソ酪酸、無水酪酸、無水2-メチル酪酸、ピバル酸無水物、無水イソ吉草酸、無水吉草酸、無水2-メチル吉草酸、無水3-メチル吉草酸、無水4-メチル吉草酸、無水ヘキサン酸、無水2-メチルヘキサン酸、無水3-メチルヘキサン酸、無水4-メチルヘキサン酸、無水5-メチルヘキサン酸、無水ヘプタン酸、無水2-メチルヘプタン酸、無水3-メチルヘプタン酸、無水4-メチルヘプタン酸、無水5-メチルヘプタン酸、無水6-メチルヘプタン酸、3-フェニルプロピオン酸無水物、無水フェニル酢酸、無水メタクリル酸、無水アクリル酸、無水トリクロロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸などの脂肪族カルボン酸無水物;
無水安息香酸、無水フタル酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、無水ナフタル酸などの芳香族カルボン酸無水物;
2-スルホ安息香酸無水物などのスルホカルボン酸無水物が挙げられる。
酸無水物の市販品としては、リカシッドMH、リカシッドHNA-100、リカシッドOSA、リカシッドDDSA(以上、新日本理化(株)製)などが挙げられる。
特定反応物は、式(1)~(3)のいずれかで表される構造を含む化合物であることが好ましい。式中(1)~(3)中、*は結合手を表し、Rは2価の連結基を表し、Mは水素原子または対イオンを表す。対イオンとしては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。Rの炭素数は2~20が好ましく、2~15がより好ましく、2~10がさらに好ましく、2~6が特に好ましい。Rは炭化水素基を含む基であることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましい。炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよいが、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。また、脂肪族炭化水素基は飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐および環状のいずれでもよい。炭化水素基の具体例としては、アルキレン基、アルケニレン基およびアリーレン基が挙げられ、アルキレン基およびアルケニレン基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐および環状のいずれでもよい。Rが表す2価の基は環構造を有していてもよい。
Figure 2022119701000012
特定反応物の重量平均分子量は現像残渣の発生を抑制できるという理由から5000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。下限は100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましい。
また、特定反応物が上記反応物Aである場合、反応物Aの重量平均分子量は現像残渣の発生を抑制できるという理由から5000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましい。下限は100以上であることが好ましく、200以上であることがより好ましい。
反応物Aを得るためのポリアルキレンイミンと酸無水物との混合割合は、ポリアルキレンイミンの100質量部に対して、酸無水物1~50質量部であることが好ましい。下限は3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、7質量部以上であることが更に好ましい。上限は40質量部以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、25質量部以下であることが更に好ましい。
反応物Bを得るためのアミン化合物bと酸無水物との混合割合は、アミン化合物bの100質量部に対して、酸無水物1~50質量部であることが好ましい。下限は3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、7質量部以上であることが更に好ましい。上限は40質量部以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。
本発明の感光性組成物は、酸無水物と反応していない特定アミン化合物を含んでいてもよい。また、本発明の感光性組成物は、特定アミン化合物と反応していない酸無水物を含んでいてもよい。また、酸無水物と反応していない特定アミン化合物を含む場合は、感光性組成物中の酸無水物の含有量は、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることが更に好ましく、0.001質量%以下であることが特に好ましい。
本発明の感光性組成物の全固形分中における特定アミン化合物と酸無水物と特定反応物との合計の含有量は、1~20質量部であることが好ましい。下限は1.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、2.5質量%以上であることが更に好ましい。上限は15質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましい。
また、特定アミン化合物と酸無水物と特定反応物との合計の含有量は、顔料100質量部に対して1~50質量部であることが好ましい。下限は3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、7質量部以上であることが更に好ましい。上限は35質量部以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量部以下であることが更に好ましい。
<<樹脂>>
本発明の感光性組成物は、樹脂を含有することが好ましい。樹脂は、例えば、顔料などを感光性組成物中で分散させる用途やバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000~2000000が好ましい。上限は、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。下限は、4000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリルアミド樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、シロキサン樹脂などが挙げられる。また、特開2017-206689号公報の段落番号0041~0060に記載の樹脂、特開2018-010856号公報の段落番号0022~0071に記載の樹脂、特開2017-057265号公報に記載の樹脂、特開2017-032685号公報に記載の樹脂、特開2017-075248号公報に記載の樹脂、特開2017-066240号公報に記載の樹脂、特開2017-173787号公報に記載の樹脂、特開2016-222891号公報に記載のブロックポリイソシアネート樹脂、特開2020-122052号公報に記載された樹脂、特開2020-111656号公報に記載された樹脂、特開2020-139021号公報に記載された樹脂、特開2017-138503号公報に記載の主鎖に環構造を有する構成単位と側鎖にビフェニル基を有する構成単位とを含む樹脂を用いることもできる。
本発明の感光性組成物は、酸基を有する樹脂を含むことが好ましい。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸基を有する樹脂は、例えば、アルカリ可溶性樹脂として用いることができる。
酸基を有する樹脂は、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5~70モル%含むことがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の下限は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
酸基を有する樹脂は、下記式(ED1)で示される化合物および/または下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)を含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
Figure 2022119701000013
式(ED1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
Figure 2022119701000014
式(ED2)中、Rは、水素原子または炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の詳細については、特開2010-168539号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-029760号公報の段落番号0317の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本発明で用いられる樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
Figure 2022119701000015
式(X)中、Rは、水素原子またはメチル基を表し、Rは炭素数2~10のアルキレン基を表し、Rは、水素原子またはベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
酸基を有する樹脂については、特開2012-208494号公報の段落番号0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落番号0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落番号0076~0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は、特開2010-002457号公報の段落番号0107~0111に記載の樹脂、特開2020-046655号公報の段落番号0095~0098に記載の樹脂を用いることもできる。
酸基を有する樹脂の酸価は、5~200mgKOH/gが好ましい。上限は150mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以下であることがより好ましく、80mgKOH/g以下であることが更に好ましい。下限は10mgKOH/g以上であることが好ましく、15mgKOH/g以上であることがより好ましく、20mgKOH/g以上であることが更に好ましい。酸基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3000~35000であることが好ましい。上限は25000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましく、15000以下であることが更に好ましい。下限は、4000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、7000以上であることが更に好ましい。
本発明の感光性組成物は、塩基性基を有する樹脂を用いることもできる。塩基性基を有する樹脂は、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましく、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位と塩基性基を含まない繰り返し単位とを有する共重合体であることがより好ましく、塩基性基を側鎖に有する繰り返し単位と、塩基性基を含まない繰り返し単位とを有するブロック共重合体であることが更に好ましい。塩基性基を有する樹脂は分散剤として用いることもできる。塩基性基を有する樹脂のアミン価は、5~300mgKOH/gが好ましい。下限は、10mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。上限は、200mgKOH/g以下が好ましく、100mgKOH/g以下がより好ましい。塩基性基を有する樹脂としては、特開2014-219665号公報の段落番号0063~0112に記載されたブロック共重合体(B)、特開2018-156021号公報の段落番号0046~0076に記載されたブロック共重合体A1が挙げられる。
塩基性基を有する樹脂の市販品としては、DISPERBYK-161、162、163、164、166、167、168、174、182、183、184、185、2000、2001、2050、2150、2163、2164、BYK-LPN6919、BYK-LPN21116(以上、ビックケミー社製)、SOLSPERSE11200、13240、13650、13940、24000、26000、28000、32000、32500、32550、32600、33000、34750、35100、35200、37500,38500,39000,53095、56000、7100(以上、日本ルーブリゾール社製)、Efka PX 4300、4330、4046、4060、4080(以上、BASF社製)等が挙げられる。
本発明の感光性組成物は、酸基を有するグラフト樹脂(以下、酸性グラフト樹脂ともいう)を含むことが好ましい。酸性グラフト樹脂は分散剤として好ましく用いることができる。ここで、グラフト樹脂とは、グラフト鎖を有する繰り返し単位を含む樹脂を意味する。また、グラフト鎖とは、繰り返し単位の主鎖から枝分かれして伸びるポリマー鎖のことを意味する。
グラフト鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリスチレン構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造およびポリアミド構造から選ばれる少なくとも1種の構造を含むポリマー鎖であることが好ましく、ポリエステル構造、ポリエーテル構造およびポリ(メタ)アクリル構造から選ばれる少なくとも1種の構造を含むポリマー鎖であることがより好ましい。
グラフト鎖の末端構造としては、特に限定されない。水素原子であってもよく、置換基であってもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、ヒドロキシ基、アミノ基等が挙げられる。なかでも、顔料などの分散性向上の観点から、立体反発効果を有する基が好ましく、炭素数5~24のアルキル基又はアルコキシ基が好ましい。アルキル基およびアルコキシ基は、直鎖、分岐、及び、環状のいずれでもよく、直鎖または分岐が好ましい。
グラフト鎖の重量平均分子量は、500~10000であることが好ましい。上限は、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましい。下限は800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。なお、本明細書において、グラフト鎖の重量平均分子量は、グラフト鎖を有する繰り返し単位の重合に用いた原料モノマーの重量平均分子量から算出した値である。例えば、グラフト鎖を有する繰り返し単位は、マクロモノマーを重合することで形成できる。ここで、マクロモノマーとは、ポリマー末端に重合性基が導入された高分子化合物を意味する。また、原料モノマーの重量平均分子量の値は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)法により測定したポリスチレン換算値を用いる。
酸性グラフト樹脂が有する酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸性グラフト樹脂の酸価は、20~150mgKOH/gが好ましい。上限は120mgKOH/g以下であることが好ましく、100mgKOH/g以下であることがより好ましく、80mgKOH/g以下であることが更に好ましい。下限は25mgKOH/g以上であることが好ましく、30mgKOH/g以上であることがより好ましく、35mgKOH/g以上であることが更に好ましい。
酸性グラフト樹脂の重量平均分子量は、3000~35000であることが好ましい。上限は25000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましく、15000以下であることが更に好ましい。下限は、4000以上であることが好ましく、6000以上であることがより好ましく、7000以上であることが更に好ましい。
酸性グラフト樹脂としては、グラフト鎖を有する繰り返し単位と酸基を有する繰り返し単位とを含む樹脂、下記の式(Ac-2)で表される繰り返し単位を有する樹脂などが挙げられる。酸性グラフト樹脂は、さらに重合性基を有する繰り返し単位などの他の繰り返し単位を含んでいてもよい。重合性基としては、エチレン性不飽和結合含有基および環状エーテル基などが挙げられる。エチレン性不飽和結合含有基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。
酸性グラフト樹脂が、グラフト鎖を有する繰り返し単位と、酸基を有する繰り返し単位とを含む樹脂である場合、酸性グラフト樹脂は、酸性グラフト樹脂の全繰り返し単位中にグラフト鎖を有する繰り返し単位を1モル%以上含むことが好ましく、2モル%以上含有することがより好ましく、3モル%以上含有することが更に好ましい。上限は、90モル%とすることもでき、80モル%以下とすることもでき、70モル%以下とすることもでき、60モル%以下とすることもでき、50モル%以下とすることもできる。また、酸性グラフト樹脂は、酸性グラフト樹脂の全繰り返し単位中に酸基を有する繰り返し単位を1モル%以上含むことが好ましく、2モル%以上含有することがより好ましく、3モル%以上含有することが更に好ましい。上限は、90モル%とすることもでき、80モル%以下とすることもでき、70モル%以下とすることもでき、60モル%以下とすることもでき、50モル%以下とすることもできる。
次に、式(Ac-2)で表される繰り返し単位について説明する。
Figure 2022119701000016
式(Ac-2)中、Ar10は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L11は、-COO-または-CONH-を表し、L12は3価の連結基を表し、P10はポリマー鎖を表す。
式(Ac-2)においてAr10が表す芳香族カルボキシル基を含む基としては、芳香族トリカルボン酸無水物から由来する構造、芳香族テトラカルボン酸無水物から由来する構造などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸無水物および芳香族テトラカルボン酸無水物としては、下記構造の化合物が挙げられる。
Figure 2022119701000017
上記式中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、下記式(Q-1)で表される基または下記式(Q-2)で表される基を表す。
Figure 2022119701000018
Ar10が表す芳香族カルボキシル基を含む基は、重合性基を有していてもよい。重合性基は、エチレン性不飽和結合含有基および環状エーテル基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合含有基であることがより好ましい。Ar10が表す芳香族カルボキシル基を含む基の具体例としては、式(Ar-11)で表される基、式(Ar-12)で表される基、式(Ar-13)で表される基などが挙げられる。
Figure 2022119701000019
式(Ar-11)中、n1は1~4の整数を表し、1または2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(Ar-12)中、n2は1~8の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
式(Ar-13)中、n3およびn4はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、1または2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ただし、n3およびn4の少なくとも一方は1以上の整数である。
式(Ar-13)中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、上記式(Q-1)で表される基または上記式(Q-2)で表される基を表す。
式(Ar-11)~(Ar-13)中、*1はL11との結合位置を表す。
式(Ac-2)においてL11は、-COO-であることが好ましい。
式(Ac-2)においてL12が表す3価の連結基としては、炭化水素基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-およびこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。L12が表す3価の連結基は、式(L12-1)で表される基であることが好ましく、式(L12-2)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2022119701000020
式(L12-1)中、L12bは3価の連結基を表し、XはSを表し、*1は式(Ac-2)のL11との結合位置を表し、*2は式(Ac-2)のP10との結合位置を表す。L12bが表す3価の連結基としては、炭化水素基;炭化水素基と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられ、炭化水素基または炭化水素基と-O-とを組み合わせた基であることが好ましい。
式(L12-2)中、L12cは3価の連結基を表し、XはSを表し、*1は式(Ac-2)のL11との結合位置を表し、*2は式(Ac-2)のP10との結合位置を表す。L12cが表す3価の連結基としては、炭化水素基;炭化水素基と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-および-S-から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられ、炭化水素基であることが好ましい。
式(Ac-2)のP10が表すポリマー鎖は、ポリエステル構造、ポリエーテル構造、ポリ(メタ)アクリル構造、ポリスチレン構造、ポリウレタン構造、ポリウレア構造およびポリアミド構造から選ばれる少なくとも1種の構造を含むポリマー鎖が挙げられ、ポリエステル構造、ポリエーテル構造およびポリ(メタ)アクリル構造から選ばれる少なくとも1種の構造を含むポリマー鎖であることが好ましい。P10が表すポリマー鎖の重量平均分子量は、500~10000であることが好ましい。上限は、5000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましい。下限は800以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。
10が表すポリマー鎖は、重合性基を含んでいてもよい。重合性基としては、エチレン性不飽和結合含有基および環状エーテル基が挙げられる。P10を構成する全繰り返し単位中における重合性基を含む繰り返し単位の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、90質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることが更に好ましい。
10が表すポリマー鎖は、酸基を含む繰り返し単位を含むことも好ましい。酸基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられる。P10を構成する全繰り返し単位中における酸基を含む繰り返し単位の割合は、1~30質量%であることが好ましく、2~20質量%であることがより好ましく、3~10質量%であることが更に好ましい。
また、酸性グラフト樹脂として、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン樹脂を用いることもできる。ポリイミン樹脂としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。
酸性グラフト樹脂の具体例としては、後述する実施例に記載の樹脂B-1~B-5などが挙げられる。また、酸性グラフト樹脂としては、特開2012-255128号公報の段落番号0025~0094に記載された樹脂、特開2012-255128号公報の段落番号0102~0166に記載されたポリイミン樹脂を用いることもできる。
本発明の感光性組成物は、分散剤としての樹脂を含むことが好ましい。分散剤としては、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシル基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40~105mgKOH/gが好ましく、50~105mgKOH/gがより好ましく、60~105mgKOH/gがさらに好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落番号0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
また、分散剤として、上述したブロック共重合体や酸性グラフト樹脂などの樹脂を用いることもできる。
また、分散剤には、特許第6432077号公報の段落番号0219~0221に記載されたブロック共重合体(EB-1)~(EB-9)、特開2018-087939号公報に記載された樹脂、国際公開第2016/104803号に記載のポリエステル側鎖を有するポリエチレンイミン、国際公開第2019/125940号に記載のブロック共重合体、特開2020-066687号公報に記載のアクリルアミド構造単位を有するブロックポリマー、特開2020-066688号公報に記載のアクリルアミド構造単位を有するブロックポリマー、国際公開第2016/104803号に記載の分散剤、特開2019-095548号公報に記載の樹脂などを用いることもできる。
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、ビックケミー社製のBYKシリーズ、DISPERBYKシリーズ、日本ルーブリゾール(株)製のSOLSPERSEシリーズ、BASF社製のEfkaシリーズなどが挙げられる。また、特開2014-130338号公報の段落番号0041~0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
感光性組成物の全固形分中における樹脂の含有量は、5~40質量%であることが好ましい。下限は、10質量%以上が好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
また、感光性組成物の全固形分中における酸基を有する樹脂の含有量は、5~40質量%であることが好ましい。下限は、10質量%以上が好ましい。上限は、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
また、分散剤としての樹脂の含有量は、顔料100質量部に対して10~60質量部であることが好ましい。下限は、15質量部以上が好ましく、20質量部以上がより好ましい。上限は、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましい。
<<顔料誘導体>>
本発明の感光性組成物は、顔料誘導体を含有することができる。顔料誘導体としては、色素骨格に酸基または塩基性基が結合した構造を有する化合物が挙げられる。
顔料誘導体を構成する色素骨格としては、キノリン色素骨格、ベンゾイミダゾロン色素骨格、ベンゾイソインドール色素骨格、ベンゾチアゾール色素骨格、イミニウム色素骨格、スクアリリウム色素骨格、クロコニウム色素骨格、オキソノール色素骨格、ピロロピロール色素骨格、ジケトピロロピロール色素骨格、アゾ色素骨格、アゾメチン色素骨格、フタロシアニン色素骨格、ナフタロシアニン色素骨格、アントラキノン色素骨格、キナクリドン色素骨格、ジオキサジン色素骨格、ペリノン色素骨格、ペリレン色素骨格、チオインジゴ色素骨格、イソインドリン色素骨格、イソインドリノン色素骨格、キノフタロン色素骨格、イミニウム色素骨格、ジチオール色素骨格、トリアリールメタン色素骨格、ピロメテン色素骨格等が挙げられる。
酸基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、ボロン酸基、カルボン酸アミド基、スルホンアミド基、イミド酸基及びこれらの塩等が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、アルカリ金属イオン(Li、Na、Kなど)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。カルボン酸アミド基としては、-NHCORX1で表される基が好ましい。スルホンアミド基としては、-NHSOX2で表される基が好ましい。イミド酸基としては、-SONHSOX3、-CONHSOX4、-CONHCORX5または-SONHCORX6で表される基が好ましく、-SONHSOX3がより好ましい。RX1~RX6は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。RX1~RX6が表すアルキル基及びアリール基は、置換基を有してもよい。置換基としてはハロゲン原子であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
塩基性基としては、アミノ基、ピリジニル基およびその塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基が挙げられる。塩を構成する原子または原子団としては、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオンなどが挙げられる。
顔料誘導体は、可視透明性に優れた顔料誘導体(以下、透明顔料誘導体ともいう)を用いることもできる。透明顔料誘導体の400~700nmの波長領域におけるモル吸光係数の最大値(εmax)は3000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることがさらに好ましい。εmaxの下限は、例えば1L・mol-1・cm-1以上であり、10L・mol-1・cm-1以上でもよい。
顔料誘導体の具体例としては、後述する実施例に記載の化合物、特開昭56-118462号公報に記載の化合物、特開昭63-264674号公報に記載の化合物、特開平01-217077号公報に記載の化合物、特開平03-009961号公報に記載の化合物、特開平03-026767号公報に記載の化合物、特開平03-153780号公報に記載の化合物、特開平03-045662号公報に記載の化合物、特開平04-285669号公報に記載の化合物、特開平06-145546号公報に記載の化合物、特開平06-212088号公報に記載の化合物、特開平06-240158号公報に記載の化合物、特開平10-030063号公報に記載の化合物、特開平10-195326号公報に記載の化合物、国際公開第2011/024896号の段落番号0086~0098に記載の化合物、国際公開第2012/102399号の段落番号0063~0094に記載の化合物、国際公開第2017/038252号の段落番号0082に記載の化合物、特開2015-151530号公報の段落番号0171に記載の化合物、特開2011-252065号公報の段落番号0162~0183に記載の化合物、特開2003-081972号公報に記載の化合物、特許第5299151号公報に記載の化合物、特開2015-172732号公報に記載の化合物、特開2014-199308号公報に記載の化合物、特開2014-085562号公報に記載の化合物、特開2014-035351号公報に記載の化合物、特開2008-081565号公報に記載の化合物、特開2019-109512号公報に記載の化合物、特開2019-133154号公報に記載の化合物、国際公開第2020/002106号に記載のチオール連結基を有するジケトピロロピロール化合物、特開2020-160279号公報に記載のイソインドリン化合物又はそれらの塩が挙げられる。
顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対して、1~30質量部が好ましく、3~20質量部がより好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合はそれらの合計量が上記範囲であることが好ましい。
<<環状エーテル基を有する化合物>>
本発明の感光性組成物は、環状エーテル基を有する化合物を含有することができる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。環状エーテル基を有する化合物は、エポキシ基を有する化合物(以下、エポキシ化合物ともいう)であることが好ましい。エポキシ化合物としては、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、エポキシ基を2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ化合物はエポキシ基を1分子内に1~100個有する化合物であることが好ましい。エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。エポキシ化合物に含まれるエポキシ基の下限は、2個以上が好ましい。エポキシ化合物としては、特開2013-011869号公報の段落番号0034~0036、特開2014-043556号公報の段落番号0147~0156、特開2014-089408号公報の段落番号0085~0092に記載された化合物、特開2017-179172号公報に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
エポキシ化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)でもよい。エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、200~100000が好ましく、500~50000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10000以下がさらに好ましく、5000以下が特に好ましく、3000以下が一層好ましい。
環状エーテル基を有する化合物の市販品としては、例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、G-01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。
感光性組成物の全固形分中における環状エーテル基を有する化合物の含有量は、0.1~20質量%が好ましい。下限は、例えば0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。上限は、例えば、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。環状エーテル基を有する化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<硬化促進剤>>
本発明の感光性組成物は、硬化促進剤を含有することができる。硬化促進剤としては、チオール化合物、メチロール化合物、アミン化合物、ホスホニウム塩化合物、アミジン塩化合物、アミド化合物、塩基発生剤、イソシアネート化合物、アルコキシシラン化合物、オニウム塩化合物などが挙げられる。硬化促進剤の具体例としては、国際公開第2018/056189号の段落番号0094~0097に記載の化合物、特開2015-034963号公報の段落番号0246~0253に記載の化合物、特開2013-041165号公報の段落番号0186~0251に記載の化合物、特開2014-055114号公報に記載のイオン性化合物、特開2012-150180号公報の段落番号0071~0080に記載の化合物、特開2011-253054号公報に記載のアルコキシシラン化合物、特許第5765059号公報の段落番号0085~0092に記載の化合物、特開2017-036379号公報に記載のカルボキシル基含有エポキシ硬化剤などが挙げられる。感光性組成物の全固形分中における硬化促進剤の含有量は0.3~8.9質量%が好ましく、0.8~6.4質量%がより好ましい。
<<界面活性剤>>
本発明の感光性組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤はシリコーン系界面活性剤またはフッ素系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落番号0238~0245に記載された界面活性剤を参照することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3~40質量%が好適であり、より好ましくは5~30質量%であり、特に好ましくは7~25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、感光性組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落番号0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落番号0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落番号0117~0132に記載の界面活性剤、特開2020-008634号公報に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF-171、F-172、F-173、F-176、F-177、F-141、F-142、F-143、F-144、F-437、F-475、F-477、F-479、F-482、F-554、F-555-A、F-556、F-557、F-558、F-559、F-560、F-561、F-565、F-563、F-568、F-575、F-780、EXP、MFS-330、R-01、R-40、R-40-LM、R-41、R-41-LM、RS-43、R-43、TF-1956、RS-90、R-94、RS-72-K、DS-21(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)、フタージェント208G、215M、245F、601AD、601ADH2、602A、610FM、710FL、710FM、710FS、FTX-218(以上、(株)NEOS製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えば、メガファックDS-21が挙げられる。
フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基またはフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報に記載されたフッ素系界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。また、特開2010-032698号公報の段落番号0016~0037に記載されたフッ素含有界面活性剤や、下記化合物も本発明で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
Figure 2022119701000021
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3000~50000であり、例えば、14000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和結合含有基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落番号0050~0090および段落番号0289~0295に記載された化合物、DIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落番号0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
また、国際公開第2020/084854号に記載の界面活性剤を、炭素数6以上のパーフルオロアルキル基を有する界面活性剤の代替として用いることも、環境規制の観点から好ましい。
また、式(fi-1)で表される含フッ素イミド塩化合物を界面活性剤として用いることも好ましい。
Figure 2022119701000022
式(fi-1)中、mは1または2を表し、nは1~4の整数を表し、aは1または2を表し、Xa+はa価の金属イオン、第1級アンモニウムイオン、第2級アンモニウムイオン、第3級アンモニウムイオン、第4級アンモニウムイオンまたはNH を表す。
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(富士フイルム和光純薬(株)製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、SH8400、SH8400 FLUID、FZ-2122、67 Additive、74 Additive、M Additive、SF 8419 OIL(以上、ダウ・東レ(株)製)、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6000、KF-6001、KF-6002、KF-6003(以上、信越化学工業(株)製)、BYK-307、BYK-322、BYK-323、BYK-330、BYK-333、BYK-3760、BYK-UV3510(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
また、シリコーン系界面活性剤には下記構造の化合物を用いることもできる。
Figure 2022119701000023
感光性組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005~3.0質量%がより好ましい。界面活性剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<溶剤>>
本発明の感光性組成物は、溶剤を含有することができる。溶剤の種類は、各成分の溶解性や感光性組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はない。溶剤は、有機溶剤であることが好ましい。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落番号0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤も好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、2-ペンタノン、3-ペンタノン、4-ヘプタノン、シクロヘキサノン、2-メチルシクロヘキサノン、3-メチルシクロヘキサノン、4-メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、プロピレングリコールジアセテート、3-メトキシブタノール、メチルエチルケトン、ガンマブチロラクトン、スルホラン、アニソール、1,4-ジアセトキシブタン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、二酢酸ブタン-1,3-ジイル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジアセトンアルコール(別名としてダイアセトンアルコール、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン)、2-メトキシプロピルアセテート、2-メトキシ-1-プロパノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。ただし有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
本発明においては、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤の金属含有量は、例えば、10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの有機溶剤を用いてもよく、そのような有機溶剤は,例えば、東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレンまたはナイロンが好ましい。
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
感光性組成物中における溶剤の含有量は、10~95質量%であることが好ましい。上限は、92.5質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。下限は、塗布性の観点から20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、75質量%以上であることがより一層好ましく、80質量%以上であることが更に一層好ましい。
また、本発明の感光性組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本発明において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、感光性組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることが更に好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えば、ベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、感光性組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として感光性組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば、重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、またはこれらの化合物を混ぜて作製した感光性組成物の段階などのいずれの段階でも可能である。
<<シランカップリング剤>>
本発明の感光性組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。本明細書において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基およびエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-603)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-502)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-503)等がある。また、シランカップリング剤の具体例については、特開2009-288703号公報の段落番号0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落番号0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
感光性組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。シランカップリング剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<紫外線吸収剤>>
本発明の感光性組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などが挙げられる。このような化合物の具体例としては、特開2009-217221号公報の段落番号0038~0052、特開2012-208374号公報の段落番号0052~0072、特開2013-068814号公報の段落番号0317~0334、特開2016-162946号公報の段落番号0061~0080に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、UV-503(大東化学(株)製)、BASF社製のTinuvinシリーズ、Uvinul(ユビナール)シリーズ、住化ケムテックス(株)製のSumisorbシリーズなどが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落番号0049~0059に記載された化合物、国際公開第2016/181987号の段落番号0059~0076に記載された化合物、国際公開第2020/137819号に記載されたチオアリール基置換ベンゾトリアゾール型紫外線吸収剤を用いることもできる。感光性組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01~10質量%が好ましく、0.01~5質量%がより好ましい。紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<酸化防止剤>>
本発明の感光性組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。
フェノール系酸化防止剤は、下記式(A-1)で表される構造を含む化合物であることが好ましく、式(A-1)で表される構造を一分子中に2個以上含む化合物であることがより好ましい。一分子中における式(A-1)で表される構造の数の上限は、8個以下であることが好ましく、6個以下であることがより好ましい。
Figure 2022119701000024
式中R~Rは、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、R~Rの少なくとも一つは、炭素数1以上の炭化水素基を表し、波線は酸化防止剤における他の原子または原子団との結合手を表す。
式(A-1)において、R~Rが表す置換基としては、後述の置換基Tにて説明する基が挙げられる。式(A-1)において、R~Rの少なくとも一つは、炭素数1以上の炭化水素基を表す。炭化水素基の炭素数は、1~30であることが好ましく、1~20であることがより好ましく、1~10であることが更に好ましく、1~5であることが特に好ましい。上記炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であることが好ましく、飽和脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。また、脂肪族炭化水素基としては、直鎖、分岐、環状の脂肪族炭化水素基のいずれであってもよいが、分岐の脂肪族炭化水素基であることが好ましい。具体的には、炭化水素基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基であることが好ましく、分岐のアルキル基であることがより好ましい。炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。置換基としては、後述の置換基Tにて説明する基が挙げられる。
式(A-1)において、RおよびRの少なくとも一方が、炭素数1以上の炭化水素基であることが好ましく、RおよびRが炭素数1以上の炭化水素基であることがより好ましく、RおよびRが炭素数1以上の炭化水素基であり、かつ、RおよびRの少なくとも一方が分岐アルキル基であることが更に好ましく、RおよびRの一方が分岐アルキル基で、他方が直鎖アルキル基または分岐アルキル基であることがより一層好ましく、RおよびRの一方が分岐アルキル基で、他方が直鎖アルキル基であることが特に好ましく、RおよびRの一方がtert-ブチル基で、他方がメチル基であることが最も好ましい。
置換基Tとしては、以下に示す基が挙げられる。
(置換基T)
アルキル基(好ましくは炭素数1~30のアルキル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2~30のアルケニル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数2~30のアルキニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6~30のアリール基)、アミノ基(好ましくは炭素数0~30のアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~30のアルコキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6~30のアリールオキシ基)、ヘテロアリールオキシ基、アシル基(好ましくは炭素数1~30のアシル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2~30のアルコキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7~30のアリールオキシカルボニル基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2~30のアシルオキシ基)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2~30のアシルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2~30のアルコキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7~30のアリールオキシカルボニルアミノ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0~30のスルファモイル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1~30のカルバモイル基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1~30のアルキルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6~30のアリールチオ基)、ヘテロアリールチオ基(好ましくは炭素数1~30)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1~30)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6~30)、ヘテロアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1~30)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1~30)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6~30)、ヘテロアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1~30)、ウレイド基(好ましくは炭素数1~30)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1~30)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、アルキルスルフィノ基、アリールスルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロアリール基(好ましくは炭素数1~30)、テトラヒドロフラニル基。これらの基は、さらに置換可能な基である場合、さらに置換基を有してもよい。さらなる置換基としては、上述した置換基Tで説明した基が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、式(A-2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2022119701000025
式中R~Rは、それぞれ独立して水素原子または置換基を表し、R~Rの少なくとも一つは、炭素数1以上の炭化水素基を表す;Lはn価の基を表し、nは1以上の整数を表す。
式(A-2)において、R~Rが表す置換基としては、上述の置換基Tにて説明した基が挙げられる。式(A-2)において、R~Rの少なくとも一つは、炭素数1以上の炭化水素基を表す。炭化水素基の好ましい範囲は上述した範囲と同様である。式(A-2)において、RおよびRの少なくとも一方が、炭素数1以上の炭化水素基であることが好ましく、RおよびRが炭素数1以上の炭化水素基であることがより好ましく、RおよびRが炭素数1以上の炭化水素基であり、かつ、RおよびRの少なくとも一方が分岐アルキル基であることが更に好ましく、RおよびRの一方が分岐アルキル基で、他方が直鎖アルキル基または分岐アルキル基であることがより一層好ましく、RおよびRの一方が分岐アルキル基で、他方が直鎖アルキル基であることが特に好ましく、RおよびRの一方がtert-ブチル基で、他方がメチル基であることが最も好ましい。
が表すn価の基としては、炭化水素基、複素環基、-O-、-S-、-NR-、-CO-、-COO-、-OCO-、-SO-もしくはこれらの組み合わせからなる基が挙げられる。Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基としては、環状であってもよく、非環状であってもよい。また。脂肪族炭化水素基としては、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。炭化水素基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては上記の置換基Tが挙げられる。また、環状の脂肪族炭化水素基、および、芳香族炭化水素基は、単環であってもよく、縮合環であってもよい。
複素環基としては、単環であってもよく、縮合環であってもよい。複素環基を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などが挙げられる。
n価の基の具体例としては、下記の構造単位または以下の構造単位が2以上組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい)が挙げられる。Rは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。以下において、*は連結手を表す。
Figure 2022119701000026
式(A-2)において、nは1以上の整数を表し、1~8の整数であることが好ましく、2~6の整数であることがより好ましく、2~4の整数であることが更に好ましい。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、下記化合物が挙げられる。また、フェノール系酸化防止剤は、市販品を用いることもできる。市販品として入手できる代表例としては、アデカスタブAO-20、30、40、50、60、70、80(以上(株)ADEKA製)などが挙げられる。また、フェノール系酸化防止剤には、メチルヒドロキノンなどの2価フェノール化合物を用いることもできる。
Figure 2022119701000027
Figure 2022119701000028
酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。また、酸化防止剤は、韓国公開特許第10-2019-0059371号公報に記載の化合物を用いることもできる。
また、酸化防止剤には、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤を用いることもできる。ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、アデカスタブLA-52、LA-57、LA-63P、LA-68(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。リン系酸化防止剤としては、亜リン酸エステル化合物などが挙げられる。市販品としては、アデカスタブPEP-8、PEP-36、HP-10、2112、1178、TPP(以上、(株)ADEKA製)、Irgafos168(BASF社製)などが挙げられる。イオウ系酸化防止剤としては、チオエーテル化合物などが挙げられる。市販品としては、アデカスタブAO-412S、AO-503、AO-26(以上、(株)ADEKA製)、Irganox PS 802 FL(BASF社製)などが挙げられる。
酸化防止剤は、耐熱性や耐光性に優れた膜を形成することができるという理由からフェノール系酸化防止剤であることが好ましい。
感光性組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01~20質量%であることが好ましく、0.3~15質量%であることがより好ましい。酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<重合禁止剤>>
本発明の感光性組成物は重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。感光性組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001~5質量%が好ましい。重合禁止剤は、1種類のみでもよく、2種類以上でもよい。2種類以上の場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
<<その他成分>>
本発明において、感光性組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落番号0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落番号0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落番号0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本発明の感光性組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。
本発明の感光性組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落番号0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落番号0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落番号0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落番号0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落番号0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落番号0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落番号0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落番号0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落番号0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落番号0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落番号0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落番号0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落番号0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落番号0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
本発明の感光性組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性良化に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果も得られる。上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、Bi等が挙げられる。また、本発明の感光性組成物は、顔料などと結合または配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。感光性組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
本発明の感光性組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。ここで、「実質的に含まない」とは、テレフタル酸エステルの含有量が、感光性組成物の全量中、1000質量ppb以下であることを意味し、100質量ppb以下であることがより好ましく、ゼロであることが特に好ましい。
環境規制の観点から、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用が規制されることがある。本発明の感光性組成物において、上記した化合物の含有率を小さくする場合、パーフルオロアルキルスルホン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルスルホン酸)及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルカルボン酸)及びその塩の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.01ppb~1,000ppbの範囲であることが好ましく、0.05ppb~500ppbの範囲であることがより好ましく、0.1ppb~300ppbの範囲であることが更に好ましい。本発明の感光性組成物は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まなくてもよい。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩の代替となりうる化合物、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の代替となりうる化合物を用いることで、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まない感光性組成物を選択してもよい。規制化合物の代替となりうる化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル基の炭素数の違いによって規制対象から除外された化合物が挙げられる。ただし、上記した内容は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用を妨げるものではない。本発明の感光性組成物は、許容される最大の範囲内で、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を含んでもよい。
<<収容容器>>
感光性組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料や感光性組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、容器内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、感光性組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。
<感光性組成物の調製方法>
本発明の感光性組成物は、前述の成分を混合して調製できる。感光性組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解および/または分散して感光性組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液または分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して感光性組成物を調製してもよい。
本発明の感光性組成物の製造方法の第1の態様は、溶剤中で顔料とポリアルキレンイミンとを分散して分散液を調製する工程(第1の工程)と、
上記分散液と、酸無水物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを混合する工程(第2の工程)とを、
含むことが好ましい。
また、本発明の感光性組成物の製造方法の第2の態様は、溶剤中で顔料と1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物(アミン化合物b)とを分散して分散液を調製する工程(第1の工程)と、
上記分散液と、酸無水物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを混合する工程(第2の工程)とを、
含むことが好ましい。
第1の態様の感光性組成物の製造方法によれば、上記第2の工程時に、分散液中に含まれるポリアルキレンイミンと酸無水物とが反応してポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物が生成される。
第2の態様の感光性組成物の製造方法によれば、上記第2の工程時に、分散液中に含まれるアミン化合物bと酸無水物とが反応してアミン化合物bと酸無水物との反応物が生成される。アミン化合物bとしては、上述した素材が挙げられる。
第1の態様の感光性組成物の製造方法において、上記第1の工程時におけるポリアルキレンイミンと顔料の割合は、顔料100質量部に対してポリアルキレンイミンが1~30質量部であることが好ましい。上限は、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。下限は、2質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることが更に好ましい。また、上記第1の工程は、更に樹脂(分散剤)を添加して行うことが好ましい。すなわち、分散液は、溶剤中で顔料とポリアルキレンイミンと樹脂とを分散して調製することが好ましい。樹脂(分散剤)としては、酸基を有する樹脂であることが好ましく、酸基を有するグラフト樹脂であることがより好ましい。また、樹脂と顔料の割合は、顔料100質量部に対して樹脂が10~100質量部であることが好ましい。上限は、70質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましい。下限は、15質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることが更に好ましい。また、上記第1の工程は、更に顔料誘導体を添加して行ってもよい。
第1の態様の感光性組成物の製造方法において、第2の工程時における酸無水物の添加量は、ポリアルキレンイミン100質量部に対して1~50質量部であることが好ましい。上限は、40質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましい。下限は、3質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。
第2の態様の感光性組成物の製造方法において、上記第1の工程時におけるアミン化合物bと顔料の割合は、顔料100質量部に対してアミン化合物bが1~30質量部であることが好ましい。上限は、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。下限は、1.5質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることが更に好ましい。また、第2の態様の感光性組成物の製造方法においても上記第1の工程は、更に樹脂(分散剤)を添加して行うことが好ましい。すなわち、分散液は、溶剤中で顔料とアミン化合物bと樹脂とを分散して調製することが好ましい。樹脂(分散剤)としては、酸基を有する樹脂であることが好ましく、酸基を有するグラフト樹脂であることがより好ましい。また、樹脂と顔料の割合は、顔料100質量部に対して樹脂が 10~100質量部であることが好ましい。上限は、70質量部以下であることが好ましく、50質量部以下であることがより好ましい。下限は、15質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることが更に好ましい。また、上記第1の工程は、更に顔料誘導体を添加して行ってもよい。
第2の態様の感光性組成物の製造方法において、第2の工程時における酸無水物の添加量は、アミン化合物b100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましい。上限は、5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましい。下限は、0.3質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることが更に好ましい。
第1の態様の感光性組成物の製造方法および第2の態様の感光性組成物の製造方法において、第2の工程時に、必要に応じて、更に、樹脂、界面活性剤、シランカップリング剤、溶剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤などの上述した素材を添加してもよい。
感光性組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、感光性組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)およびナイロンが好ましい。
フィルタの孔径は、0.01~7.0μmが好ましく、0.01~3.0μmがより好ましく、0.05~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NXEY、DFA4201NAEY、DFA4201J006Pなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)および株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
<膜>
本発明の膜は、上述した本発明の感光性組成物から得られる膜である。本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
本発明の膜は、カラーフィルタ、近赤外線透過フィルタ、近赤外線カットフィルタ、ブラックマトリクス、遮光膜などに用いることができる。本発明の膜は、カラーフィルタの着色画素として好ましく用いることができる。着色画素としては、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素、黄色画素などが挙げられ、緑色画素またはシアン色画素であることが好ましく、緑色画素であることがより好ましい。
本発明の膜をカラーフィルタの緑色画素として用いる場合、本発明の膜の光透過率が50%となる波長は、470~520nmの波長範囲に存在することが好ましく、475~520nmの波長範囲に存在することがより好ましく、480~520nmの波長範囲に存在することが更に好ましい。なかでも、光透過率が50%となる波長が、470~520nmの波長範囲と、575~625nmの波長範囲のそれぞれに存在することが好ましい。この態様において、光透過率が50%となる短波長側の波長は、475~520nmの波長範囲に存在することが好ましく、480~520nmの波長範囲に存在することがより好ましい。また、光透過率が50%となる長波長側の波長は、580~620nmの波長範囲に存在することが好ましく、585~615nmの波長範囲に存在することがより好ましい。このような分光特性を有する膜は、緑色画素として好ましく用いられる。
本発明の膜を近赤外線カットフィルタとして用いる場合、本発明の膜の極大吸収波長は、波長700~1800nmの範囲に存在することが好ましく、波長700~1300nmの範囲に存在することがより好ましく、波長700~1100nmの範囲に存在することが更に好ましい。また、膜の波長400~650nmの全範囲での透過率は70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。また、膜の波長700~1800nmの範囲の少なくとも1点での透過率は20%以下であることが好ましい。また、極大吸収波長における吸光度Amaxと、波長550nmにおける吸光度A550との比(吸光度Amax/吸光度A550)は、20~500であることが好ましく、50~500であることがより好ましく、70~450であることが更に好ましく、100~400であることが特に好ましい。
本発明の膜を近赤外線透過フィルタとして用いる場合、本発明の膜は、以下の(i1)~(i5)のいずれかの分光特性を有することが好ましい。
(i1):波長400~640nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長800~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である膜。このような分光特性を有する膜は、波長400~640nmの範囲の光を遮光して、波長750nmを超える光を透過させることができる。
(i2):波長400~750nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長900~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である膜。このような分光特性を有する膜は、波長400~750nmの範囲の光を遮光して、波長850nmを超える光を透過させることができる。
(i3):波長400~830nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1000~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である膜。このような分光特性を有する膜は、波長400~830nmの範囲の光を遮光して、波長950nmを超える光を透過させることができる。
(i4):波長400~950nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1100~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である膜。このような分光特性を有する膜は、波長400~950nmの範囲の光を遮光して、波長1050nmを超える光を透過させることができる。
(i5):波長400~1050nmの範囲における透過率の最大値が20%以下(好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下)であり、波長1200~1500nmの範囲における透過率の最小値が70%以上(好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上)である膜。このような分光特性を有する膜は、波長400~1050nmの範囲の光を遮光して、波長1150nmを超える光を透過させることができる。
<膜の製造方法>
次に、本発明の膜の製造方法について説明する。本発明の膜は、本発明の感光性組成物を塗布する工程を経て製造できる。膜の製造方法においては、更にパターン(画素)を形成する工程を含むことが好ましい。パターン(画素)の形成方法としては、フォトリソグラフィ法であることが好ましい。
フォトリソグラフィ法によるパターン形成は、本発明の感光性組成物を用いて支持体上に感光性組成物層を形成する工程と、感光性組成物層をパターン状に露光する工程と、感光性組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、感光性組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、および、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
感光性組成物層を形成する工程では、本発明の感光性組成物を用いて、支持体上に感光性組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下地層が設けられていてもよい。下地層の表面接触角は、ジヨードメタンで測定した際に20~70°であることが好ましい。また、水で測定した際に30~80°であることが好ましい。
感光性組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(例えば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えば、オンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、感光性組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
支持体上に形成した感光性組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10~300秒が好ましく、40~250秒がより好ましく、80~220秒がさらに好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
次に、感光性組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、感光性組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。
照射量(露光量)は、例えば、0.03~2.5J/cmが好ましく、0.05~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば、酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、または、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、または、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、通常1000W/m~100000W/m(例えば、5000W/m、15000W/m、または、35000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10000W/m、酸素濃度35体積%で照度20000W/mなどとすることができる。
次に、感光性組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。感光性組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の感光性組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液の温度は、例えば、20~30℃が好ましい。現像時間は、20~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、さらに新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ-[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面および安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001~10質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。また、現像液は、さらに界面活性剤を含有していてもよい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の感光性組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の感光性組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば、100~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
<光学フィルタ>
本発明の光学フィルタは、上述した本発明の膜を有する。光学フィルタの種類としては、カラーフィルタ、近赤外線カットフィルタおよび近赤外線透過フィルタなどが挙げられ、カラーフィルタであることが好ましい。カラーフィルタは、その画素として本発明の膜を有することが好ましく、着色画素として本発明の膜を有することがより好ましく、緑色画素として本発明の膜を有することが更に好ましい。
光学フィルタにおいて本発明の膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上がさらに好ましい。
光学フィルタに含まれる画素の幅は0.4~10.0μmであることが好ましい。下限は、0.4μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましく、0.6μm以上であることが更に好ましい。上限は、5.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以下であることがより好ましく、1.0μm以下であることが更に好ましく、0.8μm以下であることがより一層好ましい。また、画素のヤング率は0.5~20GPaであることが好ましく、2.5~15GPaがより好ましい。
光学フィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが好ましい。具体的には、画素の体積抵抗値は10Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
光学フィルタにおいては、本発明の膜の表面に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01~10μmが好ましく、0.1~5μmがより好ましい。保護層の形成方法としては、保護層形成用の組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al、Mo、SiO、Siなどが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂と、SiOと、Siを含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂とフッ素樹脂を含むことが好ましい。
保護層は、必要に応じて、有機・無機微粒子、特定波長の光(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機・無機微粒子の例としては、例えば、高分子微粒子(例えば、シリコーン樹脂微粒子、ポリスチレン微粒子、メラミン樹脂微粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の光の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全質量に対して0.1~70質量%が好ましく、1~60質量%がさらに好ましい。
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落番号0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
光学フィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。
<固体撮像素子>
本発明の固体撮像素子は、上述した本発明の膜を有する。本発明の固体撮像素子の構成としては、本発明の膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオードおよびポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオードおよび転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面およびフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各画素に対して低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号に記載の装置が挙げられる。また、特開2019-211559号公報の中で示しているように固体撮像素子の構造内に紫外線吸収層を設けて耐光性を改良してもよい。本発明の固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、上述した本発明の膜を有する。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法での重量平均分子量および数平均分子量の測定条件>
カラムの種類:TOSOH TSKgel Super HZM-Hと、TOSOH TSKgel Super HZ4000と、TOSOH TSKgel Super HZ2000とを連結したカラム
展開溶媒:テトラヒドロフラン
カラム温度:40℃
流量(サンプル注入量):1.0μL(サンプル濃度:0.1質量%)
装置名:東ソー製 HLC-8220GPC
検出器:RI(屈折率)検出器
検量線ベース樹脂:ポリスチレン樹脂
<アミン価の測定方法>
アミン価は、以下の方法で算出した。
測定サンプルを酢酸に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業製)を用いて、得られた溶液を0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、以下の式によりアミン価を算出した。
B=Vs×0.1×f/w
B:アミン価(mmol/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/L過塩素酸/酢酸溶液の力価
w:測定サンプルの重量(g)(固形分換算)
<分散液の製造>
下記表に記載の素材を下記表に示す配合量で混合した混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.1mm径)を用いて3時間混合および分散して、分散液を調製した。その後、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、圧力2000kg/cmおよび流量500g/minの条件の下、分散処理を行なった。この分散処理を全10回まで繰り返して、分散液を得た。下記表の配合量の欄に記載の数値の単位は質量部である。
Figure 2022119701000029
Figure 2022119701000030
Figure 2022119701000031
上記表中の略語で示す素材の詳細は下記の通りである。
(顔料)
PG7: C.I.Pigment Green7(ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、緑色顔料)
PG36: C.I.Pigment Green36(ハロゲン化銅フタロシアニン顔料、緑色顔料)
PG58: C.I.Pigment Green58(ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、緑色顔料)
PG59: C.I.Pigment Green59(ハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、緑色顔料)
PG63: C.I.Pigment Green63(ハロゲン化アルミニウムフタロシアニン顔料、緑色顔料)
PY129: C.I.Pigment Yellow129(アゾメチン顔料、黄色顔料)
PY138: C.I.Pigment Yellow138(キノフタロン顔料、黄色顔料)
PY139: C.I.Pigment Yellow139(イソインドリン顔料、黄色顔料)
PY150: C.I.Pigment Yellow150(アゾ顔料、黄色顔料)
PY185: C.I.Pigment Yellow185(イソインドリン顔料、黄色顔料)
PY215: C.I.Pigment Yellow215(プテリジン顔料、黄色顔料)
PY231: C.I.Pigment Yellow231(黄色顔料)
PY233: C.I.Pigment Yellow233(黄色顔料)
PR254: C.I.Pigment Red254(赤色顔料)
PB15:6 : C.I.Pigment Blue15:6(青色顔料)
PV23: C.I.Pigment Violet23(紫色顔料)
(分散助剤)
Syn-1: 下記構造の化合物(ヒンダードアミン化合物、アデカスタブLA-52、(株)ADEKA製)
Syn-2: 下記構造の化合物(ヒンダードアミン化合物、アデカスタブLA-57、(株)ADEKA製)
Syn-3: 下記構造の化合物(ヒンダードアミン化合物、アデカスタブLA-63P、(株)ADEKA製)
Syn-4: 下記構造の化合物(ヒンダードアミン化合物、アデカスタブLA-68、(株)ADEKA製)
Syn-5: ポリエチレンイミン(エポミンSP-003、(株)日本触媒製)
Syn-6: ポリエチレンイミン(エポミンSP-006、(株)日本触媒製)
Syn-7: ポリエチレンイミン(エポミンSP-012、(株)日本触媒製)
Syn-8: ポリエチレンイミン(エポミンSP-018、(株)日本触媒製)
Syn-9: 下記構造の化合物
Syn-10: 下記構造の化合物
Syn-11: 下記構造の化合物
Syn-12: 下記構造の化合物
Syn-13: ポリエチレンイミン(エポミンSP-200、(株)日本触媒製)
Syn-14: ポリエチレンイミン(エポミンP-1000、(株)日本触媒製)
Figure 2022119701000032
Figure 2022119701000033
以下の表にSyn-1~Syn-14の物性値を記す。なお、Syn-5、Syn-6、Syn-7、Syn-8、Syn-13、Syn-14の各物性値はカタログ値である。このうち、Syn-5、Syn-6、Syn-7、Syn-8、Syn-13の分子量の値は沸点上昇法で測定した数平均分子量の値(カタログ値)である。また、Syn-14の分子量の値は粘度法で測定した数平均分子量の値(カタログ値)である。また、Syn-3、Syn-4、Syn-12の分子量の値はGPC法で測定した数平均分子量の値である。Syn-1、Syn-2、Syn-9、Syn-10、Syn-11の分子量の値は構造式からの計算値である。
Figure 2022119701000034
(顔料誘導体)
YSyn-1:下記構造の化合物
Figure 2022119701000035
YSyn-2:下記構造の化合物
Figure 2022119701000036
(分散剤)
B-1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。酸基を有する樹脂、重量平均分子量18000、酸価82.1mgKOH/g)
Figure 2022119701000037
B-2:下記表に記載の樹脂(酸基を有する樹脂、重量平均分子量8000、酸価37mgKOH/g、C=C価0.22mmol/g)
Figure 2022119701000038
上記表に記載した各構成単位は以下である。
Figure 2022119701000039
Figure 2022119701000040
Figure 2022119701000041
B-3:下記構造の樹脂((鎖に付記した数値はモル比であり、側鎖に付記した数値は繰り返し単位の数である。酸基を有する樹脂、重量平均分子量23000、酸価67mgKOH/g)
Figure 2022119701000042
(溶剤)
S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S-2:ジアセトンアルコール
S-3:アニソール
S-4:プロピレングルコールモノメチルエーテル
S-5:シクロヘキサノン
S-6:シクロペンタノン
S-7:4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン
<感光性組成物の製造>
下記表に記載の各素材を下記表に示す配合量で混合し、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して各感光性組成物を製造した。下記表の配合量の欄に記載の数値の単位は質量部である。
なお、実施例1~85の感光性組成物においては、製造時にGreen分散液1~30、Yellow分散液9、Red分散液1またはBlue分散液1~7に含まれる分散助剤Syn-1~Syn-14(ポリアルキレンイミン、または、1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物)の少なくとも一部と、酸無水物A-1~A-7とが反応し、実施例1~85の感光性組成物にはこれらの反応物が含まれている。上記反応物は段落0108に記載の式(1)~式(3)で表される構造の少なくとも1つを有している。また、実施例57、58の感光性組成物においては、上記反応物の重量平均分子量は5000を超えており、他の実施例においては、上記反応物の重量平均分子量は5000以下である。
Figure 2022119701000043
Figure 2022119701000044
Figure 2022119701000045
Figure 2022119701000046
Figure 2022119701000047
Figure 2022119701000048
上記感光性組成物の処方を示す表中の略語で示す素材のうち、分散液以外の詳細は下記の通りである。分散液は上述した分散液を用いた。
(重合性モノマー)
M-1:下記構造の化合物
Figure 2022119701000049
M-2:下記構造の化合物の混合物(左側化合物(6官能の(メタ)アクリレート化合物)と右側化合物(5官能の(メタ)アクリレート化合物)とのモル比が7:3の混合物)
Figure 2022119701000050
M-3:下記構造の化合物
Figure 2022119701000051
M-4:下記構造の化合物
Figure 2022119701000052
(バインダー)
B-2、B-3:上述した分散剤B-2、B-3と同じ樹脂
C-1:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。重量平均分子量11000)
Figure 2022119701000053
C-2:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。重量平均分子量14000)
Figure 2022119701000054
C-3:下記構造の樹脂(主鎖に付記した数値はモル比である。重量平均分子量21000)
Figure 2022119701000055
C-4:以下の方法で合成した樹脂C-4
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸15質量部、スチレン15質量部、ベンジルメタクリレート5質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート15質量部、2-エチルヘキシルメタクリレート23質量部、N-フェニルマレイミド12質量部、こはく酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)15質量部及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)6質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂C-4を得た。得られた樹脂C-4の重量平均分子量は12200、酸価は137mgKOH/gであった。
C-5:以下の方法で合成した樹脂C-5
冷却管と攪拌機を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部を仕込んで窒素置換した。80℃に加熱して、同温度で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート100質量部、メタクリル酸7質量部、スチレン15質量部、ベンジルメタクリレート10質量部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート20質量部、2-エチルヘキシルメタクリレート28質量部、N-フェニルマレイミド15質量部、こはく酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)5質量部及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)4質量部の混合溶液を1時間かけて滴下し、この温度を保持して2時間重合した。その後、反応溶液の温度を100℃に昇温させ、さらに1時間重合することにより、樹脂C-5を得た。得られた樹脂C-5の重量平均分子量は18500、酸価は59mgKOH/gであった。
(光重合開始剤)
I-1:Irgacure OXE02(BASF社製、オキシム化合物)
I-2~I-5:下記構造の化合物
Figure 2022119701000056
(密着剤)
AD-1:下記構造の化合物(シランカップリング剤)
Figure 2022119701000057
(界面活性剤)
W-1:KF-6001(シリコーン系界面活性剤、信越化学工業(株)製)
(重合禁止剤)
Q-1:p-メトキシフェノール
(酸無水物)
A-1:無水コハク酸
A-2:無水イタコン酸
A-3:テトラヒドロ無水フタル酸
A-4:リカシッドMH(新日本理化(株)製、下記構造の化合物)
Figure 2022119701000058
A-5:リカシッドHNA-100(新日本理化(株)製、下記構造の化合物の混合物)
Figure 2022119701000059
A-6:リカシッドOSA(新日本理化(株)製、下記構造の化合物)
Figure 2022119701000060
A-7:リカシッドDDSA(新日本理化(株)製、下記構造の化合物)
Figure 2022119701000061
(添加剤)
ADI-1:アデカスタブAO-60(フェノール系酸化防止剤、(株)ADEKA製)
ADI-2:アデカスタブAO-80(フェノール系酸化防止剤、(株)ADEKA製)
ADI-3:メチルヒドロキノン
ADI-4:Irgafos168(亜リン酸トリス(2,4-t-ブチルフェニル)、リン酸系酸化防止剤、BASF社製)

ADI-5:Irganox PS 802 FL(チオエーテル化合物、イオウ系酸化防止剤、BASF社製)
(溶剤)
S-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<残渣および剥がれの評価>
各感光性組成物を、45℃の恒温槽に3日間保管した。
8インチ(20.32cm)シリコンウエハに、下地層用組成物(CT-4000L、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)をポストベーク後に厚さが0.1μmになるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて220℃で300秒間加熱して下地層を形成し、下地層付シリコンウエハ(支持体)を得た。
次いで、上記保管後の感光性組成物をポストベーク後の膜厚が0.5μmになるようにスピンコート法で下地層付シリコンウエハ上に塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、365nmの波長の光を1000mJ/cmの露光量で1.0μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、露光された塗布膜が形成されているシリコンウエハをCD-2000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)の60%希釈液を用いて23℃で60秒間パドル現像を行った。さらに、200℃のホットプレートを用いて300秒間加熱処理(ポストベーク)を行いパターン(画素)を形成した。
画素が形成されたシリコンウエハについて、走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率10000倍)で観察し、下記評価基準に従って残渣および剥がれを評価した。評価結果を下の表に示す。
-現像残渣の評価基準-
5:画素間に、残渣がまったく確認されなかった
4:画素の壁面付近にのみ、残渣が僅かに確認された
3:画素の壁面付近にのみ、残渣が確認された
2:画素間及び壁面に、残渣が確認された
1:画素間が残渣で埋まっていた
-剥がれの評価基準-
5:剥がれがあった画素数が、作成した画素数の0.01%未満であった
4:剥がれがあった画素数が、作成した画素数の0.01%以上0.1%未満であった
3:剥がれがあった画素数が、作成した画素数の0.1%以上1%未満であった
2:剥がれがあった画素数が、作成した画素数の1%以上10%未満であった
1:剥がれがあった画素数が、作成した画素数の10%以上であった
Figure 2022119701000062
上記表に示すように、実施例の感光性組成物は、経時後の感光性組成物を用いた場合であっても、残渣および剥がれの抑制された膜を形成することができた。実施例の感光性組成物から得られた膜は、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置に好適に使用できる。
実施例1において、界面活性剤を除いた場合も同様の結果が得られる。実施例1において、重合禁止剤を除いた場合も同様の結果が得られる。

Claims (15)

  1. 顔料と、
    重合性化合物と、
    光重合開始剤と、
    ポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物と、
    を含む、
    感光性組成物。
  2. 前記ポリアルキレンイミンと酸無水物との反応物の重量平均分子量が5000以下である、請求項1に記載の感光性組成物。
  3. 顔料と、
    重合性化合物と、
    光重合開始剤と、
    1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物と酸無水物との反応物と、
    を含む、
    感光性組成物。
  4. 前記1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物がポリアルキレンイミンである、請求項3に記載の感光性組成物。
  5. 前記ポリアルキレンイミンがポリエチレンイミンである、請求項1又は4に記載の感光性組成物。
  6. 前記酸無水物の分子量が300以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  7. 前記酸無水物は炭素数20以下の化合物である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  8. 前記酸無水物はカルボン酸無水物である、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  9. 前記顔料は、フタロシアニン顔料を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  10. 請求項1に記載の感光性組成物の製造方法であって、
    溶剤中で顔料とポリアルキレンイミンとを分散して分散液を調製する工程と、
    前記分散液と、酸無水物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを混合する工程とを、
    含む、感光性組成物の製造方法。
  11. 請求項3に記載の感光性組成物の製造方法であって、
    溶剤中で、顔料と、1分子中にアミノ基を3個以上有し、アミン価が2.7mmol/g以上の化合物とを分散して分散液を調製する工程と、
    前記分散液と、酸無水物と、重合性化合物と、光重合開始剤とを混合する工程とを、
    含む、感光性組成物の製造方法。
  12. 請求項1~9のいずれか1項に記載の感光性組成物を用いて得られる膜。
  13. 請求項12に記載の膜を有する光学フィルタ。
  14. 請求項12に記載の膜を有する固体撮像素子。
  15. 請求項12に記載の膜を有する画像表示装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024190446A1 (ja) * 2023-03-13 2024-09-19 富士フイルム株式会社 樹脂組成物、膜、光学フィルタ、固体撮像素子および画像表示装置

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