JP2022118893A - 車両の制動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動制動制御が実行される制動制御装置において、装置の一部不調が発生した際でも、その実行が可能なものを提供する。【解決手段】本発明の第1制御部EC1は、自動制動制御において、第2制御部EC2が故障している場合、前輪連絡弁VRfを開弁させ前輪分離弁VMfを閉弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように電動シリンダYCを制御する。また、第2制御部EC2は、自動制動制御において、第1制御部EC1が故障している場合、補給弁VHを閉弁させ後輪連絡弁VRrを開弁させ後輪分離弁VMrを開弁させた状態で、前輪調圧弁VIf、VOfを制御せずに、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように電動シリンダYCを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように後輪調圧弁VIr、VOrを制御する。【選択図】図1
Description
本開示は、車両の制動制御装置に関する。
特許文献1は、マスタシリンダとサーボ圧発生装置と調圧装置とを備えた車両用制動装置を開示している。サーボ圧発生装置は、運転者によるブレーキペダル操作に依らずにサーボ圧を発生可能である。マスタシリンダはサーボ圧に基づいて動作し、サーボ圧に応じたマスタ圧のブレーキ液を調圧装置に出力する。調圧装置はマスタシリンダから出力されたブレーキ液を各ホイールシリンダに分配する。調圧装置は各ホイールシリンダに供給するブレーキ液の圧力を個別に調圧可能であり、従来より知られているアンチロック(ABS)制御を実行可能である。
近年、特許文献1に記載されるような、自動制動制御を備える制動制御装置が普及し始めている。この様な制動制御装置では、装置の一部に不調が生じた場合であっても、自動制動制御が継続されて制動力が得られることが望ましい。さらに、自動制動中に制動力および車両安定性が確保されることが望ましい。
本発明の目的は、自動制動制御が実行される車両の制動制御装置において、装置の一部に不調が発生した状態でも、自動制動制御が実行可能な制動制御装置を提供することである。
本発明の車両の制動制御装置は、制動操作部材が操作されていない状態で車両を自動的に制動する自動制動制御を実行可能な車両の制動制御装置であって、下記の態様に共通の構成(以下「共通構成」という)として、マスタピストンの位置に応じて各々がリザーバと液圧的に接続される後輪液圧室とが内部に形成されているマスタシリンダと、前記後輪液圧室と前記リザーバとを接続する液路に設けられている補給弁と、左右の前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室との間に配置され、前記前輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な前輪調圧弁と、左右の後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室との間に配置され、前記後輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な後輪調圧弁と、電気モータによって駆動されてフルードを供給可能な電動シリンダと、左右の前記前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室を接続する前輪接続路において前記前輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する前輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の前輪連絡弁と、左右の前記後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室を接続する後輪接続路において前記後輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する後輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の後輪連絡弁と、前記前輪接続路において前記前輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の前輪分離弁と、前記後輪接続路において前記後輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の後輪分離弁と、を備える。
(第1態様)
本発明の第1態様にかかる車両の制動制御装置は、上記共通構成において、前記電動シリンダと前記前輪連絡弁と前記前輪分離弁とを制御する第1制御部と、前記電動シリンダと前記補給弁と前記前輪調圧弁と前記後輪調圧弁と前記後輪連絡弁と後輪分離弁とを制御する第2制御部と、を備えている。
本発明の第1態様にかかる車両の制動制御装置は、上記共通構成において、前記電動シリンダと前記前輪連絡弁と前記前輪分離弁とを制御する第1制御部と、前記電動シリンダと前記補給弁と前記前輪調圧弁と前記後輪調圧弁と前記後輪連絡弁と後輪分離弁とを制御する第2制御部と、を備えている。
前記第1制御部は、前記自動制動制御において、前記第2制御部が故障している場合、前記前輪連絡弁を開弁させ前記前輪分離弁を閉弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御する(第1ABS制御)。
前記後輪液圧室は、前記前輪液圧室よりも前記制動操作部材側に位置し、前記第2制御部は、前記自動制動制御において、前記第1制御部が故障している場合、前記補給弁を閉弁させ前記後輪連絡弁を開弁させ前記後輪分離弁を開弁させた状態で、前記前輪調圧弁を制御せずに、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように前記後輪調圧弁を制御する(第2ABS制御)。第1態様にかかる車輪の制動制御装置は、第1ABS制御及び第2ABS制御の少なくとも一方を実行可能に構成されている。
前記後輪液圧室は、前記前輪液圧室よりも前記制動操作部材側に位置し、前記第2制御部は、前記自動制動制御において、前記第1制御部が故障している場合、前記補給弁を閉弁させ前記後輪連絡弁を開弁させ前記後輪分離弁を開弁させた状態で、前記前輪調圧弁を制御せずに、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように前記後輪調圧弁を制御する(第2ABS制御)。第1態様にかかる車輪の制動制御装置は、第1ABS制御及び第2ABS制御の少なくとも一方を実行可能に構成されている。
(第1態様の効果)
第1ABS制御によれば、左右前輪のうち一方がロックすることは許容されることで、より大きい制動力を得ることが可能となる。これにより車両がスプリット路面を走行中の場合でも、大きい制動力を得ることが可能となる。また、後輪には液圧が発生しないため、いずれの車輪もロックせずに車両安定性が保たれる。つまり、第1ABS制御によれば、第2制御部が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
第1ABS制御によれば、左右前輪のうち一方がロックすることは許容されることで、より大きい制動力を得ることが可能となる。これにより車両がスプリット路面を走行中の場合でも、大きい制動力を得ることが可能となる。また、後輪には液圧が発生しないため、いずれの車輪もロックせずに車両安定性が保たれる。つまり、第1ABS制御によれば、第2制御部が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
第2ABS制御によれば、前輪は第1ABS制御同様、一方の車輪のロックが許容されるため大きい制動力を発生させることができる。また、後輪は、両輪ともにロックしないように制動力が制御されるため車両安定性は維持される。つまり、第2ABS制御によれば、第1制御部が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
(第2態様)
本発明の第2態様にかかる車両の制動制御装置は、上記共通構成において、前記電動シリンダと前記前輪調圧弁と前記前輪連絡弁と前記前輪分離弁とを制御する第1制御部と、前記電動シリンダと前記補給弁と前記後輪調圧弁と前記後輪連絡弁と前記後輪分離弁とを制御する第2制御部と、を備えている。
本発明の第2態様にかかる車両の制動制御装置は、上記共通構成において、前記電動シリンダと前記前輪調圧弁と前記前輪連絡弁と前記前輪分離弁とを制御する第1制御部と、前記電動シリンダと前記補給弁と前記後輪調圧弁と前記後輪連絡弁と前記後輪分離弁とを制御する第2制御部と、を備えている。
前記第1制御部は、前記自動制動制御において、前記第2制御部が故障している場合、前記前輪連絡弁を開弁させ前記前輪分離弁を閉弁させた状態で、左右の前輪がいずれもロックしないように前記前輪調圧弁を制御する(第3ABS制御)。
前記後輪液圧室は、前記前輪液圧室よりも前記制動操作部材側に位置し、前記第2制御部は、前記自動制動制御において、前記第1制御部が故障している場合、前記補給弁を閉弁させ前記後輪連絡弁を開弁させ前記後輪分離弁を開弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように前記後輪調圧弁を制御する(第4ABS制御)。第2態様にかかる車両の制動制御装置は、第3ABS制御及び第4ABS制御の少なくとも一方を実行可能に構成されている。
前記後輪液圧室は、前記前輪液圧室よりも前記制動操作部材側に位置し、前記第2制御部は、前記自動制動制御において、前記第1制御部が故障している場合、前記補給弁を閉弁させ前記後輪連絡弁を開弁させ前記後輪分離弁を開弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように前記後輪調圧弁を制御する(第4ABS制御)。第2態様にかかる車両の制動制御装置は、第3ABS制御及び第4ABS制御の少なくとも一方を実行可能に構成されている。
(第2態様の効果)
第3ABS制御によれば、前輪分離弁が閉弁され、前輪連絡弁が開弁されている。前輪系統では、前輪調圧弁を用いた減圧制御が実行可能である。つまり、前輪については、通常同様にホイールシリンダの液圧を調整でき、適切な制動力を発生させることができる。また、後輪には制動力が発生しないため、ロックが発生せず、車両安定性は維持される。したがって、第3ABS制御によれば、第2制御部が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
第3ABS制御によれば、前輪分離弁が閉弁され、前輪連絡弁が開弁されている。前輪系統では、前輪調圧弁を用いた減圧制御が実行可能である。つまり、前輪については、通常同様にホイールシリンダの液圧を調整でき、適切な制動力を発生させることができる。また、後輪には制動力が発生しないため、ロックが発生せず、車両安定性は維持される。したがって、第3ABS制御によれば、第2制御部が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
第4ABS制御によれば、左右前輪のうち一方がロックすることは許容されることで、より大きい制動力を得ることが可能となる。また、後輪については、左右後輪のいずれもがロックしないように制御されるため、車両安定性は維持される。したがって、第4ABS制御によれば、第1制御部が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の車両の制動制御装置を具体化した一例である制動制御装置SCを説明する。参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するためのものである。図面に記載されている装置の構成、各種処理等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。以下の説明において、「CW」等の如く、同一記号を付された構成部材、要素、信号等は同一機能のものである。2つの制動系統に係る記号の末尾に付された添字「f」、「r」は、車両の前後輪において、それが何れに関するものであるかを示す包括記号であり、「f」は前輪制動系統BKf、「r」は後輪制動系統BKrを示す。添字「f」、「r」が省略された場合には、その記号は総称を表す。例えば、「Rm」は液圧室を表す。前輪と後輪とで同名称の要素については、「前輪、後輪要素名」と略称する場合がある。同様に、第1と第2とで同名称の要素については、「第1、第2要素名」又は単に「要素名」と略称する場合がある。
図1を参照して、制動制御装置SCの概略構成を説明する。なお、車両には制動制御装置SCの他に、回転部材KT、ホイールシリンダCW、及び、車輪速度センサVWが設けられている。
回転部材KTは車両の車輪WHに設けられている。回転部材KTを挟み込むようにブレーキキャリパが配置されている。
ブレーキキャリパには、ホイールシリンダCWが設けられている。ホイールシリンダCW内の制動液BFの圧力(制動液圧)Pwが増加されることによって、摩擦部材(例えば、ブレーキパッド)が、回転部材KTに押し付けられる。回転部材KTと車輪WHとは、一体となって回転するよう固定されているため、このときに生じる摩擦力によって、車輪WHに制動トルクTqが発生される。制動トルクTqによって、車輪WHに制動力(摩擦制動力)が発生される。
車輪速度センサVWは、車両の車輪の速度を検出するセンサである。各種センサによって検出されたデータは、制動制御装置SCの制動コントローラECUに送信される。
制動制御装置SCは、制動操作部材BP、制動操作量センサBA、マスタシリンダCM、リザーバ、ストロークシミュレータSS、シミュレータ弁VS、補給弁VH、流体ユニットHU、及び、制動コントローラECUを備える。
制動操作部材BPは、例えばブレーキペダルであり、運転者が車両を減速するために操作する部材である。制動操作部材BPが操作されることによって、車輪WHの制動トルクTqが調整され、車輪WHに制動力が発生される。制動操作部材BPはマスタシリンダCMに機械的に接続されている。
制動操作量センサBAは、制動操作部材BPの操作量を検出するセンサである。検出された操作量は制動コントローラECUに送信される。
マスタシリンダCMはタンデム型の周知のマスタシリンダである。マスタシリンダCM内には、第2ピストンPG及び第1ピストンPH(「マスタピストン」に相当する)が設けられている。2つのピストンによって、マスタシリンダCM内に2つの液圧室Rmf、Rmrが形成されている。2つの液圧室は、前輪液圧室Rmfと後輪液圧室Rmrである。前輪液圧室Rmfは、マスタシリンダCMの底面(制動操作部材BPから離れた側の面)、内周面、及び、第1ピストンPHによって区画された液圧室である。後輪液圧室Rmrは、マスタシリンダCMの内周面、第1ピストンPH、及び、第2ピストンPGによって区画された液圧室である。後輪液圧室Rmrは、前輪液圧室Rmfよりも制動操作部材BP側に位置する(配置されている)。換言すると、後輪液圧室Rmrは、制動操作部材BPに対して前輪液圧室Rmfよりも近い位置に配置されている。さらに換言すると、制動操作部材BPから見て前輪液圧室Rmfが後輪液圧室Rmrよりもシリンダの奥側に配置されている。制動操作部材BPが操作されていない場合、第2ピストンPG(特に、端面Mp)は、マスタシリンダCM底面の反対側の端面(制動操作部材BPに近い側の面)Mcに圧縮ばね(図示せず)によって押し付けられている。第2ピストンPGの端面Mpは、マスタシリンダCMの端面Mcに当接している。このときの第2ピストンPGと第1ピストンPHの位置を「初期位置」と称す。後述する補給弁VHが開弁状態の場合、マスタシリンダCMの前輪液圧室Rmfと後輪液圧室Rmrは夫々リザーバRVと液圧的に接続される。
運転者によって制動操作部材BPが操作されると、マスタシリンダCM内の第1、第2ピストンPH、PGが、初期位置から前進方向Haに押される。これに伴い液圧室Rmf、Rmrは、リザーバRVと液圧的に遮断される。第2ピストンPGの前進方向Haの移動によって、端面Mpは端面Mcから離れ始める。制動操作部材BPの操作が増加されると、ピストンPG、PHは前進方向Haに移動される。これに伴い液圧室Rmの体積は減少し、制動液(作動流体)BFは、マスタシリンダCMから排出される。制動操作部材BPの操作が減少されると、ピストンPG、PHは後退方向Hb(初期位置に向けて)に移動し、液圧室Rmの体積は増加し、制動液BFはマスタシリンダCMに向けて戻される。
前輪液圧室Rmfは、前輪接続流体路HSf(単に、「前輪接続路」ともいう)を介して、前輪ホイールシリンダCWfに接続されている。後輪液圧室Rmrは、後輪接続流体路HSr(単に、「後輪接続路」ともいう)を介して後輪ホイールシリンダCWrに接続されている。
リザーバ(「大気圧リザーバ」ともいう)RVは、内部に制動液BFが貯蔵されている。リザーバRVの内部は、仕切り板Skによって、2つの液溜め部に区画されている。第1液溜め部Rvfは、前輪補給路HHfを介して、前輪液圧室Rmfに接続される。後輪液圧室Rmrは、後輪補給路HHrを介して、後輪液溜め部Rvrに接続される。リザーバRV内に制動液BFが満たされた状態では、制動液BFの液面は、仕切り板Skの高さよりも上にある。このため、制動液BFは、仕切り板Skを超えて、2つの液溜め部Rvf、Rvrの間を自由に移動することができる。一方、リザーバRV内の制動液BFの量が減少し、制動液BFの液面が仕切り板Skの高さよりも低くなると、2つの液溜め部Rvf、Rvrは、夫々、独立した液溜めとなる。後輪補給路HHrには、ノーマルオープン型の補給弁VHが設けられている。補給弁VHの詳細については後述する。
ストロークシミュレータ(以下「シミュレータ」とも称す)SSはシミュレータ弁VSを介してマスタシリンダCMの前輪液圧室に接続されている。シミュレータSSは、シミュレータ弁VSが開弁している場合、制動操作部材BPに操作力Fpを発生させる。シミュレータSSの内部には、シミュレータピストン及び弾性体(例えば、圧縮ばね)が備えられる。制動液BFが、前輪液圧室RmfからシミュレータSS内に移動されると、流入する制動液BFによってシミュレータピストンが押される。シミュレータピストンには、弾性体によって制動液BFの流入を阻止する方向に力が加えられるため、制動操作部材BPが操作される場合に、その操作変位Spに応じた操作力Fpが発生される。
シミュレータ弁VSは、ノーマルクローズ型の電磁弁(オン・オフ弁)である。シミュレータ弁VSは、通電状態で開弁し、非通電状態で開弁する。制動制御装置SCが起動されると、シミュレータ弁VSが開弁され、マスタシリンダCMはシミュレータSSに液圧的に接続される。シミュレータSSは、後輪液圧室Rmrに接続されてもよい。この場合、シミュレータ弁VSは、後輪制動系統BKrに設けられればよい。
補給弁VHは、後輪液溜め部Rvrと後輪液圧室Rmrとを接続する後輪補給路HHrに設けられている。補給弁VHは、ノーマルオープン型の電磁弁(オン・オフ弁)である。補給弁VHは、通電状態で閉弁し、非通電状態で開弁する。常用制動中、及び、正常に自動制動制御が実行されている場合には、補給弁VHには通電が行われず、開弁状態にされている。
流体ユニットHUは、前輪分離弁VMf、後輪分離弁VMr、前輪マスタ圧センサPMf、後輪マスタ圧センサPMr、前輪連絡弁VRf、後輪連絡弁VRr、前輪調整液圧センサPPf、後輪調整液圧センサPPr、前輪インレット弁(「前輪調圧弁」に相当する)VIf、後輪インレット弁(「後輪調圧弁」に相当する)VIr、前輪アウトレット弁(「前輪調圧弁」に相当する)VOf、後輪アウトレット弁(「後輪調圧弁」に相当する)VOr、及び、電動シリンダYCを備える。なお、前輪インレット弁VIf及び前輪アウトレット弁VOfは「前輪調圧弁VIf、VOf」とも称し、後輪インレット弁VIr及び後輪アウトレット弁VOrは「後輪調圧弁VIr、VOr」とも称する。
前輪分離弁VMfは前輪接続路HSfに設けられている。後輪分離弁VMrは、後輪接続路HSrに設けられている。前輪、後輪分離弁VMf、VMrは、ノーマルオープン型の電磁弁(オン・オフ弁)である。制動制御装置SCの起動時に、前輪、後輪分離弁VMf、VMrは閉弁され、マスタシリンダCMとホイールシリンダCWf、CWrとは液圧的に遮断される。前輪、後輪分離弁VMf、VMrが閉状態である場合、マスタシリンダCMとホイールシリンダCWf、CWrとは液圧的に遮断される。
マスタ圧センサPMf、PMrは前輪、後輪分離弁VMf、VMrよりもマスタシリンダCM側に設けられている。マスタ圧センサは、前輪、後輪液圧室Rmf、Rmrの液圧(前輪、後輪マスタシリンダ液圧)Pmf、Pmrを検出する。マスタ圧センサPM(=PMf、PMr)は操作量センサBAに相当し、マスタシリンダ液圧Pmは操作量Baに相当する。なお、前輪、後輪マスタシリンダ液圧Pmf、Pmrは、実質的には同一である。そのため前輪、後輪マスタ圧センサPMf、PMrのうちの何れか一方は省略されてもよい。
(電動シリンダYC)
電動シリンダYCは、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrに制動液BFを供給する。電動シリンダYCは、電動加圧ユニットともいえる。
電動シリンダYCは、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrに制動液BFを供給する。電動シリンダYCは、電動加圧ユニットともいえる。
電動シリンダYCは、電気モータMT、減速機GS、回転・直動変換機構(例えば、ねじ機構であり、単に、「変換機構」ともいう)NJ、調圧ピストンPC、及び、調圧シリンダCCを備える。
電気モータMTは、2系統の巻線組(第1、第2モータコイル)CL1、CL2を含んで構成される。電気モータMTの回転動力が、減速機GSによって、減速されて、回転・直動変換機構(ねじ機構)NJに伝達される。例えば、小径歯車が、電気モータMTの出力軸に固定される。小径歯車が、大径歯車にかみ合わされ、その回転軸がねじ機構(変換機構)NJのボルト部材Ojに固定される。ねじ機構NJは、ボルト部材Oj、及び、ナット部材Mjで構成される。ねじ機構NJにて、減速機GSの回転動力が、調圧ピストンPCの直線動力に変換される。ねじ機構NJのナット部材Mjによって調圧ピストンPCが押されることによって、調圧ピストンPCの直線動力に変換される。ねじ機構NJとして、台形ねじ等の「滑りねじ」が採用される。また、ねじ機構NJとして、ボールねじ等の「転がりねじ」が採用され得る。
調圧ピストンPCは、調圧シリンダCCの内孔に挿入されている。「調圧シリンダCCの内周面、底面」、及び、「調圧ピストンPCの端面」によって液圧室Rc(「調圧室」という)が形成されている。調圧室Rcは、前輪、後輪連絡路HRf、HRrを介して、前輪、後輪接続路HSf、HSrに接続される。調圧ピストンPCが移動されることによって、調圧室Rcの体積が変化する。前輪、後輪連絡弁VRf、VRrが開弁され、前輪、後輪分離弁VMf、VMrが閉弁されている場合、制動液BFは、前輪液圧室Rmfと後輪液圧室Rmrには流入せず、前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrに向けて供給される。
電気モータMTが正転方向に回転駆動されると、調圧室Rcの体積が減少し、調整液圧Pp(即ち、制動液圧Pw)が増加される。電気モータMTが逆転方向に回転駆動されると、調圧室Rcの体積が増加し、制動液BFが前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrから調圧シリンダCCに戻される。これによって、調整液圧Pp(=Pw)が減少される。なお、調圧室Rc内には、戻しばね(弾性体)が設けられ、電気モータMTへの通電が停止している場合には、調圧ピストンPCは戻しばねの付勢力によって、初期位置に戻される。また、調圧室Rcは、逆止弁を介して減圧路HGに接続される。
常用制動、或いは、自動制動が開始されると、電気モータMTが駆動される。このとき、電磁弁VS、VRf、VRrは開弁され、電磁弁VMf、VMrは閉弁されている。電気モータMTの回転開始によって、電動シリンダYCが制動液BFを吐出する。
前輪接続路HSfには、前輪調整液圧Ppfを検出するように、前輪調整液圧センサPPfが設けられている。後輪接続路HSrには、後輪調整液圧Pprを検出するように、後輪調整液圧センサPPrが設けられている。前輪、後輪接続路HSf、HSrにおいて、分岐部Bbf、Bbrから下部(ホイールシリンダCWに近い側)の構成は同じである。
アンチロックブレーキ制御等の各車輪WHで個別に制動液圧Pwを制御できるよう、インレット弁VI(=VIf、VIr)、及び、アウトレット弁VO(=VOf、VOr)が設けられる。ノーマルオープン型のインレット弁VI(=VIf、VIr)が、接続路HS(=HSf、HSr)に設けられる。インレット弁VIの下部Bgf、Bgr(即ち、インレット弁VIとホイールシリンダCWとの間)と、リザーバVRとは、前輪、後輪減圧路HGf、HGrを介して接続される。減圧路HG(=HGf、HGr)には、ノーマルクローズ型のアウトレット弁VO(=VOf、VOr)が設けられている。電磁弁VI、VOを制御することによって、制動液圧Pw(即ち、制動トルクTq)が、各車輪WHで独立に調整可能である。
制動コントローラECUは、電気モータMT、及び、電磁弁VM、VR、VS、VI、VO、VHを制御する。制動コントローラECUは、電子制御ユニットであって、単に、「コントローラ」ともいう。コントローラECUは、マイクロプロセッサMP等が実装された電気回路基板と、マイクロプロセッサMPにプログラムされた制御アルゴリズムとを含む。制動コントローラECUは、車載通信バスBSを介して、他システム(運転支援装置等)のコントローラ(運転支援コントローラECJ等)とネットワーク接続されている。
運転支援装置は、距離センサDS、及び、運転支援コントローラECJにて構成される。車両には、自車両の周辺(例えば、前方、後方)に存在する物体(例えば、他車両、固定物、人、自転車)と、自車両との間の距離(相対距離)Dsを検出するよう、距離センサDSが設けられる。距離センサDSとして、カメラ、レーダ(ミリ波レーダ、レーザレーダ)、超音波センサ等が採用される。相対距離Dsは、運転支援コントローラECJに入力される。コントローラECJでは、相対距離Dsに基づいて、要求減速度Gsが演算される。要求減速度Gsは、自車両の周辺に存在する障害物との衝突を回避(又は、衝突時の被害を軽減)する自動制動制御を実行するための、車両減速度の目標値である。例えば、要求減速度Gsは、相対距離Ds、及び、相対距離Dsに応じて演算された相対速度Vsのうちの少なくとも1つに基づいて演算される。要求減速度Gsは、通信バスBSを介して、制動コントローラECUに送信される。
制動コントローラECUは、各種信号(Gs、Ba、Pp、Vw等)に基づいて、電気モータMT、及び、電磁弁(VM等)を制御可能である。具体的には、マイクロプロセッサMP内の制御アルゴリズムに基づいて、電気モータMTを制御するためのモータ駆動信号Mtが演算される。同様に、電磁弁VM、VR、VS、VH、VI、VOを制御するための電磁弁駆動信号Vm、Vr、Vs、Vh、Vi、Voが演算される。そして、これら駆動信号(Mt、Vm等)に基づいて、電気モータ及び複数の電磁弁が駆動される。
常用制動では、制動制御装置SCの作動が適正である場合には、制動操作部材BPの操作特性がシミュレータSSによって形成される。常用制動とは、制動操作部材BPの操作に応じた制動であって、アンチロック制御(アンチスキッド制御とも呼ばれる)が実行されていない制動である。
制動コントローラECUは自動制動制御の一種であるアンチロック制御(以下、ABS制御と称す)を実行可能である。ABS制御は、制動時に車輪のロックを防止するための自動制動制御である。ABS制御の詳細は後述する。
(第1実施形態:電気モータMT及びコントローラECU等の構成)
図2を参照して、冗長性を考慮した、電気モータMT及びコントローラECU等の構成について説明する。
図2を参照して、冗長性を考慮した、電気モータMT及びコントローラECU等の構成について説明する。
電気モータMTには、2系統の巻線組(第1、第2モータコイル)CL1、CL2が含まれる。例えば、電気モータMTとして、3相ブラシレスモータが採用される。ブラシレスモータMTには、モータのロータ位置(回転角)Kaを検出する回転角センサKAが設けられる。ブラシレスモータMTの第1、第2モータコイルCL1、CL2には、3相(U相、V相、W相)の巻線組(モータコイル)が、夫々、形成される。即ち、電気モータMTには、2系統の3相モータコイル(第1、第2モータコイル)CL1、CL2が設けられている。回転角(実際値)Kaに基づいて、2つの3相モータコイルCL1、CL2の通電方向(即ち、励磁方向)が、順次切り替えられ、ブラシレスモータMTが回転駆動される。なお、電気モータMTの冗長性を確保するため、回転角センサKAにも、2組の検出部が採用され得る。
実際の回転角Kaは、公知の方法(例えば、120度通電を行い誘起電圧のゼロクロスを検出する方法、中性点電位を利用する方法、dq回転座標モデルの推定誘起電圧を利用する方法、αβ固定座標モデルに対して拡張カルマンフィルタを適用する方法、状態オブザーバを利用した方法)によって推定可能である。従って、回転角Kaが推定演算される場合には、回転角センサKAは省略されてもよい。
コントローラECUは、2つの制御部(第1、第2制御部)EC1、EC2を備える。第1制御部EC1は、第1マイクロプロセッサMP1、及び、第1駆動回路DR1を含む。第2制御部EC2は、第2マイクロプロセッサMP2、及び、第2駆動回路DR2を含む。第1、第2マイクロプロセッサMP1、MP2には、電気モータMT、及び、電磁弁(UA、VM等)を制御する制御アルゴリズムがプログラムされている。第1マイクロプロセッサMP1と第2マイクロプロセッサMP2との間では、信号(検出値、演算値等)が共有されている。第1、第2マイクロプロセッサMP1、MP2での演算結果に基づいて、第1、第2駆動回路DR1、DR2が制御される。第1、第2駆動回路DR1、DR2には、スイッチング素子(MOS-FET、IGBT等のパワー半導体デバイス)によって電気回路が形成されている。第1、第2駆動回路DR1、DR2によって、電気モータMT、及び、電磁弁(VM等)に通電が行われ、それらが駆動される。このように、コントローラECU(=MP+DR)、及び、電気モータMTは、電気的に二重化されている。
(装置構成のまとめ)
本実施形態の制動制御装置(SC)は、制動操作部材(BP)が操作されていない状態で車両を自動的に制動する自動制動制御を実行可能な車両の制動制御装置であって、マスタピストン(PH、PG)の位置に応じて各々がリザーバ(RV)と液圧的に接続される前輪液圧室(Rmf)と後輪液圧室(Rmr)とが内部に形成されているマスタシリンダ(CM)と、後輪液圧室(Rmf)とリザーバ(RV)とを接続する液路(HHr)に設けられている補給弁(VH)と、左右の前輪ホイールシリンダ(CWf)と前輪液圧室(Rmf)との間に配置され、前輪ホイールシリンダ(CWf)の圧力を調圧可能な前輪調圧弁(VIf、VOf)と、左右の後輪ホイールシリンダ(CWr)と後輪液圧室(Rmr)との間に配置され、後輪ホイールシリンダ(CWr)の圧力を調圧可能な後輪調圧弁(VIr、VOr)と、電気モータ(MT)によって駆動されてフルードを供給可能な電動シリンダ(YC)と、左右の前輪ホイールシリンダ(CWf)と前輪液圧室(Rmf)を接続する前輪接続路(HSf)において前輪調圧弁(VIf、VOf)よりもマスタシリンダ(CM)側の部分と電動シリンダ(YC)とを接続する前輪連絡路(HRf)に設けられたノーマルクローズ型の前輪連絡弁(VRf)と、左右の後輪ホイールシリンダ(CWr)と後輪液圧室(Rmr)を接続する後輪接続路(HSr)において後輪調圧弁(VIr、VOr)よりもマスタシリンダ(CM)側の部分と電動シリンダ(YC)とを接続する後輪連絡路(HRr)に設けられたノーマルクローズ型の後輪連絡弁(VRr)と、前輪接続路(HSf)において前輪連絡路(HRf)との接続部分よりもマスタシリンダ(CM)側に設けられているノーマルオープン型の前輪分離弁(VMf)と、後輪接続路(HSr)において後輪連絡路(HRr)との接続部分よりもマスタシリンダ(CM)側に設けられているノーマルオープン型の後輪分離弁(VMr)と、制動コントローラ(ECU)と、を備えている。
本実施形態の制動制御装置(SC)は、制動操作部材(BP)が操作されていない状態で車両を自動的に制動する自動制動制御を実行可能な車両の制動制御装置であって、マスタピストン(PH、PG)の位置に応じて各々がリザーバ(RV)と液圧的に接続される前輪液圧室(Rmf)と後輪液圧室(Rmr)とが内部に形成されているマスタシリンダ(CM)と、後輪液圧室(Rmf)とリザーバ(RV)とを接続する液路(HHr)に設けられている補給弁(VH)と、左右の前輪ホイールシリンダ(CWf)と前輪液圧室(Rmf)との間に配置され、前輪ホイールシリンダ(CWf)の圧力を調圧可能な前輪調圧弁(VIf、VOf)と、左右の後輪ホイールシリンダ(CWr)と後輪液圧室(Rmr)との間に配置され、後輪ホイールシリンダ(CWr)の圧力を調圧可能な後輪調圧弁(VIr、VOr)と、電気モータ(MT)によって駆動されてフルードを供給可能な電動シリンダ(YC)と、左右の前輪ホイールシリンダ(CWf)と前輪液圧室(Rmf)を接続する前輪接続路(HSf)において前輪調圧弁(VIf、VOf)よりもマスタシリンダ(CM)側の部分と電動シリンダ(YC)とを接続する前輪連絡路(HRf)に設けられたノーマルクローズ型の前輪連絡弁(VRf)と、左右の後輪ホイールシリンダ(CWr)と後輪液圧室(Rmr)を接続する後輪接続路(HSr)において後輪調圧弁(VIr、VOr)よりもマスタシリンダ(CM)側の部分と電動シリンダ(YC)とを接続する後輪連絡路(HRr)に設けられたノーマルクローズ型の後輪連絡弁(VRr)と、前輪接続路(HSf)において前輪連絡路(HRf)との接続部分よりもマスタシリンダ(CM)側に設けられているノーマルオープン型の前輪分離弁(VMf)と、後輪接続路(HSr)において後輪連絡路(HRr)との接続部分よりもマスタシリンダ(CM)側に設けられているノーマルオープン型の後輪分離弁(VMr)と、制動コントローラ(ECU)と、を備えている。
<第1実施形態>
第1実施形態の第1制御部EC1(即ち、第1駆動回路DR1)は、第1モータコイル(2系統のうちの第1系統のモータコイル)CL1、前輪分離弁VMf、前輪連絡弁VRf、及び、シミュレータ弁VSを制御可能に構成されている。つまり、第1制御部EC1は、電動シリンダYCと前輪連絡弁VRfと前輪分離弁VMfとシミュレータ弁VSとを制御する。
第1実施形態の第1制御部EC1(即ち、第1駆動回路DR1)は、第1モータコイル(2系統のうちの第1系統のモータコイル)CL1、前輪分離弁VMf、前輪連絡弁VRf、及び、シミュレータ弁VSを制御可能に構成されている。つまり、第1制御部EC1は、電動シリンダYCと前輪連絡弁VRfと前輪分離弁VMfとシミュレータ弁VSとを制御する。
第1実施形態の第2制御部EC2(即ち、第2駆動回路DR2)は、第2モータコイル(2系統のうちの第2系統のモータコイル)CL2、後輪分離弁VMr、後輪連絡弁VRr、補給弁VH、前輪、後輪インレット弁VIf、VIr、前輪、後輪アウトレット弁VOf、VOrを制御可能に構成されている。つまり、第2制御部EC2は、電動シリンダYCと補給弁VHと前輪調圧弁VIf、VOfと後輪調圧弁VIr、VOrと後輪連絡弁VRrと後輪分離弁VMrとを制御する。
(コントローラECUの作動)
図3を参照して、コントローラECUについて、制動操作部材BPが操作されずに自動制動制御が実行される場合における、作動の適正時/不調時について説明する。
図3を参照して、コントローラECUについて、制動操作部材BPが操作されずに自動制動制御が実行される場合における、作動の適正時/不調時について説明する。
図3(a)を参照して、第1、第2制御部EC1、EC2が共に適正に作動する場合について説明する。
第1制御部EC1は、第1モータコイルCL1、前輪分離弁VMf、前輪連絡弁VRf、及び、シミュレータ弁VSを通電する。第2制御部EC2は、第2モータコイル(2系統のうちの第2系統のモータコイル)CL2、後輪分離弁VMr、及び後輪連絡弁VRrに通電し、補給弁VHには通電しない。前輪、後輪インレット弁VIf、VIr及び前輪、後輪アウトレット弁VOf、VOrはABS制御時に駆動され得る。
第1、第2モータコイルCL1、CL2への通電によって、電気モータMTが回転駆動される。前輪、後輪分離弁VMf、VMrが閉弁され、マスタシリンダCMと前輪、後輪ホイールシリンダCWf、CWrとは、液圧的に遮断される。前輪、後輪連絡弁VRf、VRrが開弁され、前輪、後輪制動液圧Pwf、Pwrが、前輪、後輪調整液圧Ppf、Pprによって調節される(即ち、「Pw=Pp」)。シミュレータ弁VSが開弁されているため、運転者が制動操作部材BPを操作した場合にはシミュレータSSによって操作力Fpが発生される。なお、第1、第2制御部EC1、EC2が正常の場合には、第1、第2モータコイルCL1、CL2のうちの何れか一方によって、電気モータMTが駆動されてもよい。
図3(b)を参照して、第1制御部EC1は正常であるが、第2制御部EC2が不調である場合について説明する。第2制御部EC2が不調である場合、第2モータコイルCL2、後輪分離弁VMr、後輪連絡弁VRr、補給弁VH、前輪、後輪インレット弁VIf、VIr、及び、前輪、後輪アウトレット弁VOf、VOrへの通電が行われない。従って、後輪分離弁VMrは開弁、後輪連絡弁VRrは閉弁、補給弁VHは開弁、前輪、後輪インレット弁VIf、VIrは開弁、前輪、後輪アウトレット弁VOf、VOrは閉弁した状態となる。
適正作動する第1制御部EC1は、第1モータコイルCL1、前輪分離弁VMf、及び、後輪連絡弁VRrに通電し、シミュレータ弁VSには通電しない。電気モータMTは、第1モータコイルCL1によって駆動される。前輪分離弁VMfが閉弁され、前輪連絡弁VRfが開弁されているため、前輪調整液圧Ppfに調節された制動液BFは、前輪ホイールシリンダCWfに供給される(即ち、「Pwf=Ppf」)。このとき、後輪連絡弁VRrは閉弁されているため、後輪調整液圧Pprは増加されない。従って、自動制動制御は、前輪制動液圧Pwfのみによって行われる。
自動制動制御の液圧サーボ制御では、第2制御部EC2が不調になった場合には、後輪制動液圧Pwrに応じた制動力の不足分を補償するよう、要求減速度Gsに応じた目標液圧Ptが、第1制御部EC1と第2制御部EC2の両方が正常である場合に比較して、より大きくなるように演算されることが好適である。これにより、第2制御部EC2の不調時の車両減速度の不足分が、適正に補償され得る。
自動制動制御中に、運転者が制動操作部材BPを操作した場合に、シミュレータ弁が閉弁していると制動装置の諸元(マスタシリンダCM、ホイールシリンダCWの受圧面積、回転部材KTの有効制動半径、流体路、ブレーキキャリパ、摩擦材の剛性等)によっては、操作力Fpに対して操作変位Spが小さくなり過ぎること(「短ストローク」という)が生じ得る。この短ストローク(操作変位Spに対する操作力Fpが過大になること)を回避するよう、制動操作部材BPが操作されていない自動制動制御の実行中であっても、シミュレータ弁VSに通電が行われ、シミュレータ弁VSが開弁されて、前輪液圧室RmfとシミュレータSSとが連通状態にされてもよい。
図3(c)を参照して、第2制御部EC2は正常であるが、第1制御部EC1が不調である場合について説明する。この場合、第1制御部EC1は不調であるため、第1モータコイルCL1、前輪分離弁VMf、前輪連絡弁VRf、及び、シミュレータ弁VSには通電されない。従って、前輪分離弁VMfは開弁状態であり、前輪連絡弁VRfとシミュレータ弁VSは閉弁状態である。
適正作動する第2制御部EC2は、第2モータコイルCL2と、後輪連絡弁VRrと、補給弁VHとに通電し、後輪分離弁VMrには通電しない。電気モータMTは、第2モータコイルCL2によって駆動される。後輪分離弁VMと後輪連絡弁VRrが開弁されている。後輪調整液圧Pprに調節された制動液BFは、後輪液圧室Rmr、及び、後輪ホイールシリンダCWrに供給される(即ち、「Pmr=Pwr=Ppr」)。第2ピストンPGの端面Mpは端面Mcに当接し、第2ピストンPGは、後退方向Hbには移動されない。補給弁VHが閉弁されているため後輪液圧室RmrからリザーバRVへ制動液BFが排出されることはなく、後輪液圧室Rmrの液圧Pmrによって第1ピストンPHはHa方向に力を受けHa方向に移動し、前輪液圧室RmfはリザーバRVと液圧的に遮断され、前輪液圧室Rmfの液圧Pmfが上昇する。前輪液圧室Rmfの液圧Pmfと後輪液圧室Rmrの液圧Pmrは一致し、前輪制動液圧Pwfは、後輪調整液圧Pprによって調節される(即ち、「Pmf=Pwf=Ppr」)。つまり、第1制御部EC1に係る構成要素(DR1等)が不調である場合であっても、第2制御部EC2によって、前輪も自動制動制御(即ち、液圧サーボ制御)の実行が継続され得る。
(ABS制御の概要)
図4を参照して、第1実施形態におけるABS制御を説明する。上述したように、制御コントローラECUには、各種センサからデータを受信する。制御コントローラECUは、受信したデータを基に、ABS制御の要否を判断する。ABS制御の実行が必要と判断された場合、図4に示すABS制御を実行する。第1実施形態のコントローラECUは、通常ABS制御、第1ABS制御、第2ABS制御を実行可能に構成されている。第1ABS制御は第2制御部EC2が故障時に実行される。第2ABS制御は第1制御部EC1が故障時に実行される。
図4を参照して、第1実施形態におけるABS制御を説明する。上述したように、制御コントローラECUには、各種センサからデータを受信する。制御コントローラECUは、受信したデータを基に、ABS制御の要否を判断する。ABS制御の実行が必要と判断された場合、図4に示すABS制御を実行する。第1実施形態のコントローラECUは、通常ABS制御、第1ABS制御、第2ABS制御を実行可能に構成されている。第1ABS制御は第2制御部EC2が故障時に実行される。第2ABS制御は第1制御部EC1が故障時に実行される。
(通常ABS制御)
コントローラECUは、自動ブレーキ中であるか否か判断する(S1)。コントローラECUは自動ブレーキ中ではないと判断した場合(S1:No)、ABS制御は実行しない。コントローラECUは自動ブレーキ中であると判断した場合(S1:Yes)、第1制御部EC1が故障しているか否か判断する(S2)。第1制御部EC1が故障していないと判断された場合(S2:No)、コントローラECUは第2制御部EC2が故障しているか否か判断する(S3)。第2制御部EC2が故障していないと判断された場合(S3:No)、コントローラECUは各種センサによって検出された情報を基に、通常ABS制御を実行する(S4)。詳細には、コントローラECUは、4輪のうち少なくとも1つの車輪のスリップ量またはスリップ率が夫々に対応する閾値を超えた場合に、通常ABS制御を実行する。通常ABS制御が実行されると(S4)、第2制御部EC2はいずれも車輪もロックしないように各輪に対応した電磁弁VIf,Vof,VIr,Vorを制御する。
コントローラECUは、自動ブレーキ中であるか否か判断する(S1)。コントローラECUは自動ブレーキ中ではないと判断した場合(S1:No)、ABS制御は実行しない。コントローラECUは自動ブレーキ中であると判断した場合(S1:Yes)、第1制御部EC1が故障しているか否か判断する(S2)。第1制御部EC1が故障していないと判断された場合(S2:No)、コントローラECUは第2制御部EC2が故障しているか否か判断する(S3)。第2制御部EC2が故障していないと判断された場合(S3:No)、コントローラECUは各種センサによって検出された情報を基に、通常ABS制御を実行する(S4)。詳細には、コントローラECUは、4輪のうち少なくとも1つの車輪のスリップ量またはスリップ率が夫々に対応する閾値を超えた場合に、通常ABS制御を実行する。通常ABS制御が実行されると(S4)、第2制御部EC2はいずれも車輪もロックしないように各輪に対応した電磁弁VIf,Vof,VIr,Vorを制御する。
(第1ABS制御)
第1制御部EC1が正常であり(S2:No)、第2制御部EC2が故障していると判断された場合(S3:Yes)、第1制御部EC1は第1ABS制御を実行する(S8)。第1ABS制御では第1制御部EC1は、左右前輪の少なくとも一方がロックしないように(すなわち左右前輪の両方ともがロックする状態にならないように)電気モータMTを制御し、電動シリンダの出力圧Pwfを調整する。すなわち、第1ABS制御では、左右前輪のうち一方の車輪がロックすることが許容される。設定された目標制動力を基に、第1制御部EC1は電気モータMTを制御し、電動シリンダ装置にブレーキ液を吐出させる。
第1制御部EC1が正常であり(S2:No)、第2制御部EC2が故障していると判断された場合(S3:Yes)、第1制御部EC1は第1ABS制御を実行する(S8)。第1ABS制御では第1制御部EC1は、左右前輪の少なくとも一方がロックしないように(すなわち左右前輪の両方ともがロックする状態にならないように)電気モータMTを制御し、電動シリンダの出力圧Pwfを調整する。すなわち、第1ABS制御では、左右前輪のうち一方の車輪がロックすることが許容される。設定された目標制動力を基に、第1制御部EC1は電気モータMTを制御し、電動シリンダ装置にブレーキ液を吐出させる。
このように、第1制御部EC1は、自動制動制御において、第2制御部EC2が故障している場合、第1ABS制御として、前輪連絡弁VRfを開弁させ前輪分離弁VMfを閉弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように電動シリンダYCを制御する。
(第1ABS制御の効果)
車両が走行する路面がスプリット路面である場合がある。スプリット路面を車両が走行している場合、車両の左右輪のうち一方が低μ路面上に位置し、他方が高μ路面上に位置することがある。この場合、低μ路面上の車輪の方がロックしやすい。この場合において、低μ路面上の車輪をロックさせないように電動シリンダYCで左右前輪ともホイール圧を減圧すると、高μ路面上の車輪の制動力も減少する。これに伴い車両に付与される総制動力も減少する。
車両が走行する路面がスプリット路面である場合がある。スプリット路面を車両が走行している場合、車両の左右輪のうち一方が低μ路面上に位置し、他方が高μ路面上に位置することがある。この場合、低μ路面上の車輪の方がロックしやすい。この場合において、低μ路面上の車輪をロックさせないように電動シリンダYCで左右前輪ともホイール圧を減圧すると、高μ路面上の車輪の制動力も減少する。これに伴い車両に付与される総制動力も減少する。
第1ABS制御では、左右前輪のうち一方がロックすることは許容されることで、より大きい制動力を得ることが可能となる。これにより車両がスプリット路面を走行中の場合でも、大きい制動力を得ることが可能となる。また、後輪には液圧が発生しないため、いずれの車輪もロックせずに車両安定性が保たれる。
第1制御部EC1が故障していて(S2:Yes)且つ第2制御部EC2も故障していると判断された場合(S4:Yes)、処理は終了される(リターン)。
(第2ABS制御)
第1制御部EC1が故障していると判断された場合(S2:Yes)、第2制御部EC2が故障しているか否か判断する(S4)。第2制御部EC2が故障していないと判断した場合(S5:No)、第2制御部EC2は第2ABS制御を実行する(S6、S7)。第2ABS制御では、第2制御部EC2は、各種センサが検出した情報を基に、左右前輪の両方ともがロックすることを防ぐように、電気モータMTを制御して電動シリンダYCの出力圧Pwr(=Pwf)を調整する。すなわち、第2ABS制御では、左右前輪のうち一方の車輪がロックすることは許容される。第2制御部EC2は左右後輪がいずれもロックしないように、後輪インレット弁VIrと後輪アウトレット弁VOrを制御する(S7)。第2ABS制御では、第2制御部EC2は前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfを制御しない。
第1制御部EC1が故障していると判断された場合(S2:Yes)、第2制御部EC2が故障しているか否か判断する(S4)。第2制御部EC2が故障していないと判断した場合(S5:No)、第2制御部EC2は第2ABS制御を実行する(S6、S7)。第2ABS制御では、第2制御部EC2は、各種センサが検出した情報を基に、左右前輪の両方ともがロックすることを防ぐように、電気モータMTを制御して電動シリンダYCの出力圧Pwr(=Pwf)を調整する。すなわち、第2ABS制御では、左右前輪のうち一方の車輪がロックすることは許容される。第2制御部EC2は左右後輪がいずれもロックしないように、後輪インレット弁VIrと後輪アウトレット弁VOrを制御する(S7)。第2ABS制御では、第2制御部EC2は前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfを制御しない。
このように、第2制御部EC2は、自動制動制御において、第1制御部EC1が故障している場合、第2ABS制御として、補給弁VHを閉弁させ後輪連絡弁VRrを開弁させ後輪分離弁VMrを開弁させた状態で、前輪調圧弁VIf、VOfを制御せずに、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように電動シリンダYCを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように後輪調圧弁VIr、VOrを制御する。
(第2ABS制御の効果)
第2ABS制御によれば、前輪は第1ABS制御同様、一方の車輪のロックが許容されるため高い制動力を発生させることができる。また、後輪は、両輪ともにロックしないように制動力が制御されるため車両安定性は維持される。なお、後輪側の液圧制御は、各後輪ホイールシリンダCWrの独立制御に限らず、両方の後輪の制動力を相対的に低μ路面側の制動力(相対的に小さい方の制動力)に合わせるように制御してもよい。
第2ABS制御によれば、前輪は第1ABS制御同様、一方の車輪のロックが許容されるため高い制動力を発生させることができる。また、後輪は、両輪ともにロックしないように制動力が制御されるため車両安定性は維持される。なお、後輪側の液圧制御は、各後輪ホイールシリンダCWrの独立制御に限らず、両方の後輪の制動力を相対的に低μ路面側の制動力(相対的に小さい方の制動力)に合わせるように制御してもよい。
(第2ABS制御で電磁弁VIf、VOfを制御しない理由)
第2制御部EC2が正常であるため、前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとは制御可能である。しかし上述のように、第2ABS制御では第2制御部EC2は前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfを制御しない。第1制御部EC1が故障している場合、前輪連絡弁VRfは制御不能であり、閉弁状態である。そのため、前輪系統は液密な状態である。この状態で前輪アウトレット弁VOfを開弁させ、前輪ホイール圧を減圧した場合、前輪系統のフルードはリザーバRVに流出し、前輪系統のフルードが減少する。前輪系統のフルードが減少して第1ピストンPHが前進しきると、電動シリンダを作動させたとしても、前輪ホイール圧を増圧できない。したがって、前輪系統のフルードが減少することを防止するために、前輪アウトレット弁VOfは開弁されない。前輪アウトレット弁VOfが開弁されないことで、前輪系統のフルード不足を防止することが可能である。このように、ノーマルオープン型のインレット弁VIfとノーマルクローズ型のアウトレット弁VOfが制御されないことで、前輪系統の液量が保持される。インレット弁VIfがノーマルクローズ型である場合や、アウトレット弁VOfがノーマルオープン型である場合は、インレット弁VIfとアウトレット弁VOfは夫々、前輪系統の液量を保持するために制御されてもよい。
第2制御部EC2が正常であるため、前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとは制御可能である。しかし上述のように、第2ABS制御では第2制御部EC2は前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfを制御しない。第1制御部EC1が故障している場合、前輪連絡弁VRfは制御不能であり、閉弁状態である。そのため、前輪系統は液密な状態である。この状態で前輪アウトレット弁VOfを開弁させ、前輪ホイール圧を減圧した場合、前輪系統のフルードはリザーバRVに流出し、前輪系統のフルードが減少する。前輪系統のフルードが減少して第1ピストンPHが前進しきると、電動シリンダを作動させたとしても、前輪ホイール圧を増圧できない。したがって、前輪系統のフルードが減少することを防止するために、前輪アウトレット弁VOfは開弁されない。前輪アウトレット弁VOfが開弁されないことで、前輪系統のフルード不足を防止することが可能である。このように、ノーマルオープン型のインレット弁VIfとノーマルクローズ型のアウトレット弁VOfが制御されないことで、前輪系統の液量が保持される。インレット弁VIfがノーマルクローズ型である場合や、アウトレット弁VOfがノーマルオープン型である場合は、インレット弁VIfとアウトレット弁VOfは夫々、前輪系統の液量を保持するために制御されてもよい。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、第1制御部EC1と第2制御部EC2の状態に応じて、通常ABS制御と、第1ABS制御と、第2ABS制御とが選択的に実行される。これにより、第1制御部EC及びと第2制御部EC2のうち一方が故障した場合であっても、少なくとも前輪の自動制動制御を継続して実行することができる。また、第1ABS制御又は第2ABS制御が実行されても、左右後輪のいずれもがロックしないため、車両の安定性も保たれる。つまり、第1実施形態によれば、第1制御部EC1及び第2制御部EC2のうち一方が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
第1実施形態では、第1制御部EC1と第2制御部EC2の状態に応じて、通常ABS制御と、第1ABS制御と、第2ABS制御とが選択的に実行される。これにより、第1制御部EC及びと第2制御部EC2のうち一方が故障した場合であっても、少なくとも前輪の自動制動制御を継続して実行することができる。また、第1ABS制御又は第2ABS制御が実行されても、左右後輪のいずれもがロックしないため、車両の安定性も保たれる。つまり、第1実施形態によれば、第1制御部EC1及び第2制御部EC2のうち一方が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
<第2実施形態>
図5~図7を参照して、第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1、第2制御部EC1、EC2が制御可能な電磁弁が第1実施形態と異なる。主にこの相違点を基に説明する。
図5~図7を参照して、第2実施形態を説明する。第2実施形態は、第1、第2制御部EC1、EC2が制御可能な電磁弁が第1実施形態と異なる。主にこの相違点を基に説明する。
第2実施形態では、図5に示すように、第1制御部EC1(即ち、第1駆動回路DR1)は、第1モータコイル(2系統のうちの第1系統のモータコイル)CL1、前輪分離弁VMf、前輪連絡弁VRf、及び、シミュレータ弁VS、前輪インレット弁VIf、前輪アウトレット弁VOfを制御可能に構成されている。つまり、第1制御部EC1は、電動シリンダYCと前輪調圧弁VIf、VOfと前輪連絡弁VRfと前輪分離弁VMfとシミュレータ弁VSとを制御する。
第2制御部EC2(即ち、第2駆動回路DR2)は、第2モータコイル(2系統のうちの第2系統のモータコイル)CL2、後輪分離弁VMr、後輪連絡弁VRr、補給弁VH、後輪インレット弁VIr、後輪アウトレット弁VOr、を制御可能に構成されている。つまり、第2制御部EC2は、電動シリンダYCと補給弁VHと後輪調圧弁VIr、VOrと後輪連絡弁VRrと後輪分離弁VMrとを制御する。前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとが、第2制御部EC2ではなく第1制御部EC1によって制御される点が、第1実施形態と異なる。
図6(a)を参照して、第1、第2制御部EC1、EC2が共に適正に作動する場合について説明する。第1制御部EC1は、第1モータコイルCL1、前輪分離弁VMf、前輪連絡弁VRf、及び、シミュレータ弁VSに通電する。第2制御部ECは、第2モータコイルCL2、後輪分離弁VMr、後輪連絡弁VRrに通電し、補給弁VHには通電しない。第1モータコイルCL1と第2モータコイルCL2への通電に応じて、電気モータMTが回転駆動される。前輪分離弁VMfと後輪分離弁VMrとが閉弁されることで、マスタシリンダCMと前輪ホイールシリンダCWfと後輪ホイールシリンダCWrとは、液圧的に遮断される。前輪連絡弁VRfと後輪連絡弁VRrとが開弁される。この状態で、電動シリンダYCが吐出したブレーキ液は、前輪ホイールシリンダCWfと後輪ホイールシリンダCWrに供給可能である。前輪、後輪制動液圧Pwf、Pwrが、対応する前輪、後輪調整液圧Ppf、Pprによって調節される(即ち、「Pw=Pp」)。運転者が制動操作部材BPを操作した場合には、シミュレータ弁VSが開弁されているため、シミュレータSSによって操作力Fpが発生される。なお、第1、第2制御部EC1、EC2が正常の場合には、第1、第2モータコイルCL1、CL2のうちの何れか一方によって、電気モータMTが駆動されてもよい。
図6(b)を参照して、第1制御部EC1は適正に作動するが、第2制御部EC2が不調である場合について説明する。第2制御部EC2は不調であるため、第2モータコイルCL2、後輪分離弁VMr、後輪連絡弁VRr、補給弁VH、後輪インレット弁VIr、後輪アウトレット弁VOrには通電されない。後輪分離弁VMrと補給弁VHとは開弁状態であり、後輪連絡弁VRrは閉弁状態である。
適正作動する第1制御部EC1は、第1モータコイルCL1と、前輪分離弁VMfと、前輪連絡弁VRfへ通電し、シミュレータ弁VSには通電しない。電気モータMTは、第1モータコイルCL1によって駆動される。前輪分離弁VMfが閉弁され、前輪連絡弁VRfが開弁されているため、前輪調整液圧Ppfに調節された制動液BFは、前輪ホイールシリンダCWfに供給される(即ち、「Pwf=Ppf」)。後輪連絡弁VRrが閉弁されているため、後輪調整液圧Pprは増加されない。従って、自動制動制御は、前輪制動液圧Pwfのみによって行われる。
自動制動制御の液圧サーボ制御では、第2制御部EC2が不調である場合には、後輪制動液圧Pwrに応じた制動力の不足分を補償するよう、要求減速度Gsに応じた目標液圧Ptが、第2制御部EC2の正常作動時に比較して、より大きくなるように演算されることが好適である。これにより、第2制御部EC2の不調時の車両減速度の不足分が、適正に補償され得る。
図6(c)を参照して、第2制御部EC2は適正に作動するが、第1制御部EC1が不調である場合について説明する。第1制御部EC1は不調であるため、第1モータコイルCL1、前輪分離弁VMf、前輪連絡弁VRf、及び、シミュレータ弁VSには通電されない。従って、前輪分離弁VMfは開弁状態であり、前輪連絡弁VRfとシミュレータ弁VSとは閉弁状態である。前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfには通電されない。
適正作動する第2制御部EC2は、第2モータコイルCL2と後輪連絡弁VRrと補給弁VHに通電し、後輪分離弁VMrには通電しない。電気モータMTは、第2モータコイルCL2によって駆動される。後輪分離弁VMrと後輪連絡弁VRrが開弁されている。後輪調整液圧Pprに調節された制動液BFは、後輪液圧室Rmr、及び、後輪ホイールシリンダCWrに供給される(即ち、「Pmr=Pwr=Ppr」)。第2ピストンPGの端面Mpは端面Mcに当接し、第2ピストンPGは、後退方向Hbには移動されない。補給弁VHが閉弁されているため、後輪液圧室Rmrの液圧Pmrは、前輪液圧室Rmfの液圧Pmfと一致し、前輪制動液圧Pwfは、後輪調整液圧Pprによって調節される(即ち、「Pmf=Pwf=Ppr」)。つまり、第1制御部EC1に係る構成要素(DR1等)が不調である場合でも、第2制御部EC2によって、前輪の自動制動制御(即ち、液圧サーボ制御)の実行が継続され得る。
自動制動制御中に、運転者が制動操作部材BPを操作した場合に、シミュレータ弁が閉弁していると制動装置の諸元(マスタシリンダCM、ホイールシリンダCWの受圧面積、回転部材KTの有効制動半径、流体路、ブレーキキャリパ、摩擦材の剛性等)によっては、操作力Fpに対して操作変位Spが小さくなり過ぎること(「短ストローク」という)が生じ得る。この短ストローク(操作変位Spに対する操作力Fpが過大になること)を回避するよう、制動操作部材BPが操作されていない自動制動制御の実行中であっても、シミュレータ弁VSに通電が行われ、シミュレータ弁VSが開弁されて、前輪液圧室RmfとシミュレータSSとが連通状態にされてもよい。
図7を参照して、第2実施形態におけるABS制御を説明する。第1実施形態と同様に、ABS制御の実行が必要と判断された場合、図7に示すABS制御を実行する。第2実施形態のコントローラECUは、通常ABS制御、第3ABS制御、第4ABS制御を実行可能に構成されている。
(通常ABS制御)
コントローラECUは、自動ブレーキ中であるか否か判断する(S11)。コントローラECUは自動ブレーキ中ではないと判断した場合(S11:No)、ABS制御を実行しない。コントローラECUは自動ブレーキ中であると判断した場合(S11:Yes)、第1制御部EC1が故障しているか否か判断する(S12)。第1制御部EC1が故障していないと判断された場合(S12:No)、コントローラECUは第2制御部EC2が故障しているか否か判断する(S13)。第2制御部EC2が故障していないと判断された場合(S13:No)、コントローラECUは各種センサによって検出された情報を基に、通常ABS制御を実行する(S14)。コントローラECUは4輪のうち少なくとも1つの車輪のスリップ量またはスリップ率が夫々に対応する閾値を超えた場合に、通常ABS制御を実行する。詳細にはコントローラECUは、左右前輪がいずれもロックしないように第1制御部EC1は前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとを制御し、左右後輪がいずれもロックしないように第2制御部EC2が後輪インレット弁VIrと後輪アウトレット弁VOrとを制御する。
コントローラECUは、自動ブレーキ中であるか否か判断する(S11)。コントローラECUは自動ブレーキ中ではないと判断した場合(S11:No)、ABS制御を実行しない。コントローラECUは自動ブレーキ中であると判断した場合(S11:Yes)、第1制御部EC1が故障しているか否か判断する(S12)。第1制御部EC1が故障していないと判断された場合(S12:No)、コントローラECUは第2制御部EC2が故障しているか否か判断する(S13)。第2制御部EC2が故障していないと判断された場合(S13:No)、コントローラECUは各種センサによって検出された情報を基に、通常ABS制御を実行する(S14)。コントローラECUは4輪のうち少なくとも1つの車輪のスリップ量またはスリップ率が夫々に対応する閾値を超えた場合に、通常ABS制御を実行する。詳細にはコントローラECUは、左右前輪がいずれもロックしないように第1制御部EC1は前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとを制御し、左右後輪がいずれもロックしないように第2制御部EC2が後輪インレット弁VIrと後輪アウトレット弁VOrとを制御する。
(第3ABS制御)
第1制御部EC1が正常であり(S12:No)、第2制御部EC2が故障していると判断された場合(S13:Yes)、第1制御部EC1は第3ABS制御を実行する(S15)。第3ABS制御では第1制御部EC1は、左右前輪がいずれもロックしないように前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとを制御する(S18)。第3ABS制御では第1制御部EC1は、前輪分離弁VMfを閉弁し、前輪連絡弁VRfを開弁している。
第1制御部EC1が正常であり(S12:No)、第2制御部EC2が故障していると判断された場合(S13:Yes)、第1制御部EC1は第3ABS制御を実行する(S15)。第3ABS制御では第1制御部EC1は、左右前輪がいずれもロックしないように前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとを制御する(S18)。第3ABS制御では第1制御部EC1は、前輪分離弁VMfを閉弁し、前輪連絡弁VRfを開弁している。
このように、第1制御部EC1は、自動制動制御において、第2制御部EC2が故障している場合、第3ABS制御として、前輪連絡弁VRfを開弁させ前輪分離弁VMfを閉弁させた状態で、左右の前輪がいずれもロックしないように前輪調圧弁VIf、VOfを制御する。
(第3ABS制御の効果)
前輪分離弁VMfが閉弁され、前輪連絡弁VRfが開弁されている。そのため、前輪アウトレット弁VOfを開弁させてホイールシリンダのフルードをリザーバに流入させても、電動シリンダはリザーバから吸入したフルードを前輪系統に供給できる。したがって、前輪系統内でフルードを循環させることができる。したがって前輪系統では、前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとを用いた減圧制御が実行可能である。つまり、前輪については、通常同様にホイールシリンダの液圧を調整でき、適切な制動力を発生させることができる。また、後輪には制動力が発生しないため、ロックが発生せず、車両安定性は維持される。したがって、この構成によれば、第2制御部EC2が故障しても自動制動制御を継続することができる。
前輪分離弁VMfが閉弁され、前輪連絡弁VRfが開弁されている。そのため、前輪アウトレット弁VOfを開弁させてホイールシリンダのフルードをリザーバに流入させても、電動シリンダはリザーバから吸入したフルードを前輪系統に供給できる。したがって、前輪系統内でフルードを循環させることができる。したがって前輪系統では、前輪インレット弁VIfと前輪アウトレット弁VOfとを用いた減圧制御が実行可能である。つまり、前輪については、通常同様にホイールシリンダの液圧を調整でき、適切な制動力を発生させることができる。また、後輪には制動力が発生しないため、ロックが発生せず、車両安定性は維持される。したがって、この構成によれば、第2制御部EC2が故障しても自動制動制御を継続することができる。
(第4ABS制御)
第1制御部EC1が故障していると判断された場合(S12:Yes)、第2制御部EC2が故障しているか否か判断される(S15)。第2制御部EC2が故障していないと判断された場合(S15:No)、第2制御部EC2は第4ABS制御を実行する(S16、S17)。詳細には、第2制御部EC2は各種センサが検出した情報を基に、左右前輪のうち少なくとも一方がロックしないように(左右前輪の両方ともがロックすることを防ぐように)電気モータMTを駆動する(S17)。すなわち、第4ABS制御では、左右前輪のうち一方の車輪がロックすることは許容される。第2制御部EC2は電気モータMTを制御し、電動シリンダ装置の出力圧を調整する。第2制御部EC2は、各種センサが検出した情報を基に、左右後輪のいずれもがロックしないように後輪インレット弁VIrと後輪アウトレット弁VOrとを制御する(S18)。
第1制御部EC1が故障していると判断された場合(S12:Yes)、第2制御部EC2が故障しているか否か判断される(S15)。第2制御部EC2が故障していないと判断された場合(S15:No)、第2制御部EC2は第4ABS制御を実行する(S16、S17)。詳細には、第2制御部EC2は各種センサが検出した情報を基に、左右前輪のうち少なくとも一方がロックしないように(左右前輪の両方ともがロックすることを防ぐように)電気モータMTを駆動する(S17)。すなわち、第4ABS制御では、左右前輪のうち一方の車輪がロックすることは許容される。第2制御部EC2は電気モータMTを制御し、電動シリンダ装置の出力圧を調整する。第2制御部EC2は、各種センサが検出した情報を基に、左右後輪のいずれもがロックしないように後輪インレット弁VIrと後輪アウトレット弁VOrとを制御する(S18)。
このように、第2制御部EC2は、自動制動制御において、第1制御部EC1が故障している場合、第4ABS制御として、補給弁VHを閉弁させ後輪連絡弁VRrを開弁させ後輪分離弁VMrを開弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように電動シリンダYCを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように後輪調圧弁VIr、VOrを制御する。なお、後輪側の液圧制御は、各後輪ホイールシリンダCWrの独立制御に限らず、両方の後輪の制動力を相対的に低μ路面側の制動力(相対的に小さい方の制動力)に合わせるように制御してもよい。
(第4ABS制御の効果)
車両がスプリット路面を走行している場合、高μ路面上n車輪よりも低μ路面上の車輪の方がロックしやすい。この場合、低μ路面上の車輪をロックさせないように左右前輪ともホイール圧を減圧すると、高μ路面上の車輪の制動力も減少する。これに伴い車両に付与される総制動力も減少する。第4ABS制御では、左右前輪のうち一方がロックすることは許容されることで、より大きい制動力を得ることが可能となる。このように、車両がスプリット路面を走行中の場合でも、大きい制動力を得ることが可能となる。また、後輪については、左右後輪のいずれもがロックしないように制御されるため、車両安定性は維持される。したがって、第4ABS制御によれば、第1制御部EC1が故障しても自動制動制御を継続することができる。
車両がスプリット路面を走行している場合、高μ路面上n車輪よりも低μ路面上の車輪の方がロックしやすい。この場合、低μ路面上の車輪をロックさせないように左右前輪ともホイール圧を減圧すると、高μ路面上の車輪の制動力も減少する。これに伴い車両に付与される総制動力も減少する。第4ABS制御では、左右前輪のうち一方がロックすることは許容されることで、より大きい制動力を得ることが可能となる。このように、車両がスプリット路面を走行中の場合でも、大きい制動力を得ることが可能となる。また、後輪については、左右後輪のいずれもがロックしないように制御されるため、車両安定性は維持される。したがって、第4ABS制御によれば、第1制御部EC1が故障しても自動制動制御を継続することができる。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、第1制御部EC1と第2制御部EC2の状態に応じて、通常ABS制御と、第3ABS制御と、第4ABS制御とが選択的に実行される。これにより、上記したように、第1制御部EC1及び第2制御部EC2のうち一方が故障した場合であっても、少なくとも前輪の自動制動制御を継続して実行することができる。また、第3ABS制御又は第4ABS制御が実行されても、左右後輪のいずれもがロックしないため、車両の安定性も保たれる。つまり、第2実施形態によれば、第1制御部EC1及び第2制御部EC2のうち一方が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
第2実施形態では、第1制御部EC1と第2制御部EC2の状態に応じて、通常ABS制御と、第3ABS制御と、第4ABS制御とが選択的に実行される。これにより、上記したように、第1制御部EC1及び第2制御部EC2のうち一方が故障した場合であっても、少なくとも前輪の自動制動制御を継続して実行することができる。また、第3ABS制御又は第4ABS制御が実行されても、左右後輪のいずれもがロックしないため、車両の安定性も保たれる。つまり、第2実施形態によれば、第1制御部EC1及び第2制御部EC2のうち一方が故障しても、自動制動中における適切な制動力及び車両安定性の確保が可能となり、自動制動制御が実行可能となる。
<その他>
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、第1実施形態において、第1ABS制御及び第2ABS制御の一方が別の制御に置き換えられてもよい。つまり、第1実施形態において、コントローラECUは、第1ABS制御及び第2ABS制御の少なくとも一方を実行可能に構成されていればよい。同様に、第2実施形態において、第3ABS制御及び第4ABS制御の一方が別の制御に置き換えられてもよい。つまり、第2実施形態において、コントローラECUは、第3ABS制御及び第4ABS制御の少なくとも一方を実行可能に構成されていればよい。
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、第1実施形態において、第1ABS制御及び第2ABS制御の一方が別の制御に置き換えられてもよい。つまり、第1実施形態において、コントローラECUは、第1ABS制御及び第2ABS制御の少なくとも一方を実行可能に構成されていればよい。同様に、第2実施形態において、第3ABS制御及び第4ABS制御の一方が別の制御に置き換えられてもよい。つまり、第2実施形態において、コントローラECUは、第3ABS制御及び第4ABS制御の少なくとも一方を実行可能に構成されていればよい。
SC…制動制御装置、BP…制動操作部材、RV…リザーバ、Rvf、Rvr…前輪、後輪液溜め部、CM…マスタシリンダ、Rmf、Rmr…前輪、後輪液圧室(前輪、後輪マスタシリンダ室)、SS…ストロークシミュレータ、CWf、CWr…前輪、後輪ホイールシリンダ、YC…電動シリンダ、ECJ…運転支援コントローラ、ECU…制動コントローラ(電子制御ユニット)、EC1、EC2…第1、第2制御部、MT…電気モータ、CL1、CL2…第1、第2モータコイル、UAf、UAr…前輪、後輪調圧弁、UA1、UA2…第1、第2調圧弁、VIf、VIr…前輪、後輪インレット弁、VOf、VOr…前輪、後輪アウトレット弁、VMf、VMr…前輪、後輪分離弁(マスタ弁)、VRf、VRr…前輪、後輪連絡弁、VS…シミュレータ弁、VH…補給弁、HSf、HSr…前輪、後輪接続路、HRf、HRr…前輪、後輪連絡路、HHf、HHr…前輪、後輪補給路。
Claims (6)
- 制動操作部材が操作されていない状態で車両を自動的に制動する自動制動制御を実行可能な車両の制動制御装置であって、
マスタピストンの位置に応じて各々がリザーバと液圧的に接続される前輪液圧室と後輪液圧室とが内部に形成されているマスタシリンダと、
前記後輪液圧室と前記リザーバとを接続する液路に設けられている補給弁と、
左右の前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室との間に配置され、前記前輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な前輪調圧弁と、
左右の後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室との間に配置され、前記後輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な後輪調圧弁と、
電気モータによって駆動されてフルードを供給可能な電動シリンダと、
左右の前記前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室を接続する前輪接続路において前記前輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する前輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の前輪連絡弁と、
左右の前記後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室を接続する後輪接続路において前記後輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する後輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の後輪連絡弁と、
前記前輪接続路において前記前輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の前輪分離弁と、
前記後輪接続路において前記後輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の後輪分離弁と、
前記電動シリンダと前記前輪連絡弁と前記前輪分離弁とを制御する第1制御部と、
前記電動シリンダと前記補給弁と前記前輪調圧弁と前記後輪調圧弁と前記後輪連絡弁と後輪分離弁とを制御する第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記自動制動制御において、前記第2制御部が故障している場合、前記前輪連絡弁を開弁させ前記前輪分離弁を閉弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御する、
車両の制動制御装置。 - 前記後輪液圧室は、前記前輪液圧室よりも前記制動操作部材側に位置し、
前記第2制御部は、前記自動制動制御において、前記第1制御部が故障している場合、前記補給弁を閉弁させ前記後輪連絡弁を開弁させ前記後輪分離弁を開弁させた状態で、前記前輪調圧弁を制御せずに、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように前記後輪調圧弁を制御する、
請求項1に記載の車両の制動制御装置。 - 制動操作部材が操作されていない状態で車両を自動的に制動する自動制動制御を実行可能な車両の制動制御装置であって、
マスタピストンの位置に応じて各々がリザーバと液圧的に接続され前輪液圧室と後輪液圧室とが内部に形成されており、前記後輪液圧室が前記前輪液圧室よりも前記制動操作部材側に位置するマスタシリンダと、
前記後輪液圧室と前記リザーバとを接続する液路に設けられている補給弁と、
左右の前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室との間に配置され、前記前輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な前輪調圧弁と、
左右の後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室との間に配置され、前記後輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な後輪調圧弁と、
電気モータによって駆動されてフルードを供給可能な電動シリンダと、
左右の前記前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室を接続する前輪接続路において前記前輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する前輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の前輪連絡弁と、
左右の前記後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室を接続する後輪接続路において前記後輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する後輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の後輪連絡弁と、
前記前輪接続路において前記前輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の前輪分離弁と、
前記後輪接続路において前記後輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の後輪分離弁と、
前記電動シリンダと前記前輪連絡弁と前記前輪分離弁とを制御する第1制御部と、
前記電動シリンダと前記補給弁と前記前輪調圧弁と前記後輪調圧弁と前記後輪連絡弁と後輪分離弁とを制御する第2制御部と、
を備え、
前記第2制御部は、前記自動制動制御において、前記第1制御部が故障している場合、前記補給弁を閉弁させ前記後輪連絡弁を開弁させ前記後輪分離弁を開弁させた状態で、前記前輪調圧弁を制御せずに、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように前記後輪調圧弁を制御する、
車両の制動制御装置。 - 制動操作部材が操作されていない状態で車両を自動的に制動する自動制動制御を実行可能な車両の制動制御装置であって、
マスタピストンの位置に応じて各々がリザーバと液圧的に接続される前輪液圧室と後輪液圧室とが内部に形成されているマスタシリンダと、
前記後輪液圧室と前記リザーバとを接続する液路に設けられている補給弁と、
左右の前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室との間に配置され、前記前輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な前輪調圧弁と、
左右の後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室との間に配置され、前記後輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な後輪調圧弁と、
電気モータによって駆動されてフルードを供給可能な電動シリンダと、
左右の前記前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室を接続する前輪接続路において前記前輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する前輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の前輪連絡弁と、
左右の前記後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室を接続する後輪接続路において前記後輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する後輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の後輪連絡弁と、
前記前輪接続路において前記前輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の前輪分離弁と、
前記後輪接続路において前記後輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の後輪分離弁と、
前記電動シリンダと前記前輪調圧弁と前記前輪連絡弁と前記前輪分離弁とを制御する第1制御部と、
前記電動シリンダと前記補給弁と前記後輪調圧弁と前記後輪連絡弁と前記後輪分離弁とを制御する第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記自動制動制御において、前記第2制御部が故障している場合、前記前輪連絡弁を開弁させ前記前輪分離弁を閉弁させた状態で、左右の前輪がいずれもロックしないように前記前輪調圧弁を制御する、
車両の制動制御装置。 - 前記後輪液圧室は、前記前輪液圧室よりも前記制動操作部材側に位置し、
前記第2制御部は、前記自動制動制御において、前記第1制御部が故障している場合、前記補給弁を閉弁させ前記後輪連絡弁を開弁させ前記後輪分離弁を開弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように前記後輪調圧弁を制御する、
請求項4に記載の車両の制動制御装置。 - 制動操作部材が操作されていない状態で車両を自動的に制動する自動制動制御を実行可能な車両の制動制御装置であって、
マスタピストンの位置に応じて各々がリザーバと液圧的に接続される前輪液圧室と後輪液圧室とが内部に形成されており、前記後輪液圧室が前記前輪液圧室よりも前記制動操作部材側に位置するマスタシリンダと、
前記後輪液圧室と前記リザーバとを接続する液路に設けられている補給弁と、
左右の前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室との間に配置され、前記前輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な前輪調圧弁と、
左右の後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室との間に配置され、前記後輪ホイールシリンダの圧力を調圧可能な後輪調圧弁と、
電気モータによって駆動されてフルードを供給可能な電動シリンダと、
左右の前記前輪ホイールシリンダと前記前輪液圧室を接続する前輪接続路において前記前輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する前輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の前輪連絡弁と、
左右の前記後輪ホイールシリンダと前記後輪液圧室を接続する後輪接続路において前記後輪調圧弁よりも前記マスタシリンダ側の部分と前記電動シリンダとを接続する後輪連絡路に設けられたノーマルクローズ型の後輪連絡弁と、
前記前輪接続路において前記前輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の前輪分離弁と、
前記後輪接続路において前記後輪連絡路との接続部分よりも前記マスタシリンダ側に設けられているノーマルオープン型の後輪分離弁と、
前記電動シリンダと前記前輪調圧弁と前記前輪連絡弁と前記前輪分離弁とを制御する第1制御部と、
前記電動シリンダと前記補給弁と前記後輪調圧弁と前記後輪連絡弁と前記後輪分離弁とを制御する第2制御部と、
を備え、
前記第2制御部は、前記自動制動制御において、前記第1制御部が故障している場合、前記補給弁を閉弁させ前記後輪連絡弁を開弁させ前記後輪分離弁を開弁させた状態で、左右の前輪のうち一方のロックを許容し他方のロックを許容しないように前記電動シリンダを制御し、且つ左右の後輪がいずれもロックしないように前記後輪調圧弁を制御する、
車両の制動制御装置。
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JP2021015707A JP2022118893A (ja) | 2021-02-03 | 2021-02-03 | 車両の制動制御装置 |
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2021
- 2021-02-03 JP JP2021015707A patent/JP2022118893A/ja active Pending
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