JP2022118806A - 植物寄生シストセンチュウ類の卵及び幼虫を不活化させるための不活化用の剤及び不活化方法、並びに当該不活化用の剤を含む農業資材 - Google Patents

植物寄生シストセンチュウ類の卵及び幼虫を不活化させるための不活化用の剤及び不活化方法、並びに当該不活化用の剤を含む農業資材 Download PDF

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Abstract

【課題】 シストセンチュウ類の生活環における特定の形態、すなわち卵及び幼虫を選択的に不活化させることができる、アミノ酸及び/又はアミノ酸派生物質を含む不活化用の剤を提供する。【解決手段】 不活化用の剤は、アミノ酸及びアミノ酸派生物質の一方若しくは両方、又はそれらの水溶液を含むものである。本発明に係る不活化用の剤が効果を発揮するシストセンチュウ類は、特に、ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモシロシストセンチュウ、ダイズシストセンチュウからなる群より選択される少なくとも1種である。【選択図】 図4

Description

本発明は、植物に寄生して生長を妨げるシストセンチュウ類を防除するための剤及び方法に関し、より具体的には、アミノ酸及び/又はその派生物質をシストセンチュウ類のシスト内外の卵及び/又は幼虫に、直接的又は間接的に接触させることによって、卵及び/又は幼虫を不活化させるための剤及び方法に関する。
シストセンチュウ類は、男爵薯、メークインなどのジャガイモや、大豆などを栽培する際に大きな問題となる病虫害の一種である。シストセンチュウ類は、生活環の中で耐久体である「シスト」を形成するため、一旦発生すると根絶することが困難であることが知られている。
シストセンチュウ類の一種であるジャガイモシストセンチュウへの対策として、従来、例えばキタアカリやとうやなどの強力な抵抗性品種の育成が進められているものの、ジャガイモシロシストセンチュウの抵抗性品種は、抵抗性の程度が高くなく、利用できる品種も限られている。また、これらの抵抗性品種の普及は十分に進んでいない。生食用品種の7割にあたる男爵薯及びメークインは、ジャガイモシストセンチュウ及びジャガイモシロシストセンチュウに対して抵抗性を持たない品種である。現実的な対策として、効果は完全ではないものの農薬の施用が行われている。しかし、農薬には毒性があり、人体や環境に悪影響を及ぼしたり土壌を痛めたりする場合があるとともに、高価である。したがって、これらのシストセンチュウ類の防除効果が大きいとともに、環境や人体に与えるリスクが低く、低コストの防除用の資材が求められている。
一部のアミノ酸にセンチュウ類による作物の被害を抑制する効果があることは知られている。そのうちメチオニンは、自然界に存在するアミノ酸の一種であり、医薬品、サプリメント、家畜飼料などにも用いられている安全性の高い物質である。メチオニンを用いたセンチュウ抑制に関して、特許文献1~特許文献3に記載される技術が提案されている。これらの特許文献には、メチオニンがセンチュウ類に対してどのようなメカニズムで影響を与えるかということ(作用機序)については開示されていない。特許文献2及び特許文献3において提案されている技術は、メチオニン及びアミノ酸を単独で施用するのではなく、殺虫効果が確認されている他の物質と併用するものであり、メチオニン及びアミノ酸のみの使用では殺虫効果が十分ではないことも開示されている。また、特許文献1にも記載されているように、多量のメチオニンを施用すると作物の生長が阻害されるおそれがある。さらに、これらの特許文献において提案されている技術は、ネコブセンチュウに対する効果が実施例において証明されているが、他のシストセンチュウ類に対する効果は開示されていない。特許文献3には、ジャガイモシストセンチュウに関する記載はあるものの、実施例として挙げられているのはネコブセンチュウのみであり、同様に他のシストセンチュウ類への効果は開示されていない。
メチオニン等のアミノ酸を単独で土壌に施用した場合にセンチュウを抑制できることについては、これまでほとんど研究が行われていない。非特許文献1においては、メチオニン単独でもサツマイモネコブセンチュウを抑制する効果があることは認められているものの、圃場試験では効果が不安定であること、キタネグサレセンチュウでは効果が判然としないことなどが報告されており、他のシストセンチュウ類への効果はもとより、シストセンチュウ類に対する作用機序についても開示されていない。
メチオニン単独施用によるジャガイモシストセンチュウへの効果に関しては、非特許文献2が報告されている。また、非特許文献2の実験の具体的方法及び評価方法は、非特許文献3及び非特許文献4に記載されている。非特許文献2においては、シスト着生数、正常な幼虫数及び卵数の変化を調べることによって、メチオニンがジャガイモシストセンチュウのシスト及び幼虫そのものに与える影響を検討している。具体的には、次のように実験が行われた。まず、土を詰めたポットにジャガイモを植え付け、その3日後(根が生長した段階)に、孵化したばかりの幼虫を5,000頭接種し、そこにメチオニン水溶液を添加した。3週間後、ジャガイモをポットから取り出し、新たなゼオライト土壌に移植した後に、ジャガイモの根から発生したメス成虫又はオス成虫の数を数えた。この実験によって、宿主内におけるジャガイモシストセンチュウに対するメチオニンの効果についての実験が行われている。また、この文献では、ゼオライト土壌から抽出した50個のシストを根抽出液と接触させる孵化実験も行われている。また、メチオニン単独施用によるジャガイモシストセンチュウ及びジャガイモシロシストセンチュウへの効果に関して、本出願人は、特許文献4を提案している。この技術は、ジャガイモ植え付け前の土壌にメチオニンのみを施用することによって、低用量でもジャガイモに着生するシスト数の減少が可能であることを明らかにしている。
ここで、シストセンチュウ類の一連の生活環を説明する。シストセンチュウ類は、生活環の中で固い外皮に覆われた耐久体(シスト)の形態をとる。シストは、土壌中の主たる存在形態として、外部環境(物理的・化学的)に耐性を有し、10年以上も土壌中で生存することが知られている。シストセンチュウ類は、このシスト内の卵が植物からの刺激を受けて、シスト内部で孵化し、その幼虫がシストから出ていわゆる二期幼虫(卵の中で脱皮してから孵化し、土壌中を移動して植物の根に進入する幼虫)として活動する。二期幼虫は、シスト外で活動した結果として根に侵入し、根の内部でいわゆる三期幼虫・四期幼虫(植物の根に進入した後、根に寄生・定着した幼虫)を経て成虫になり、メス成虫が死亡するとその死体は最終的にシストとなる。シストセンチュウ類は、土壌中においてこのような一連の生活環を有する。
シストセンチュウ類の一連の生活環における特徴的な活動として、非特許文献5では、シストセンチュウ類の水分等の取り込みのタイミングが論じられている。非特許文献5によれば、シストセンチュウ類が生活環の中で積極的に水分を取り込むタイミングは、(1)卵内における孵化に向けた代謝活動の変化に伴う取り込み、(2)孵化後の水和促進のための取り込みであり、水分も含めて外部環境因子が幼虫の体内に影響を与えると考えられるタイミングは、(3)孵化時に幼虫が卵殻を破る際に口針を出したときの取り込み、(4)幼虫(二期幼虫)が植物の根に侵入する際に口針を出したときの取り込みであることがわかっている。
このようなシストセンチュウ類の生活環を考慮すると、非特許文献2では、植物の外でメチオニンを幼虫に接触させたあとに植物から出てくる成虫の数が計測されているに過ぎないため、一連の生活環におけるメチオニンの作用機序、すなわちメチオニンがシストセンチュウ類の一連の生活環(特に、卵から孵化して幼虫になり、植物への寄生に至るまでの過程)おけるどの段階でどのように作用することによってシストセンチュウ類に影響を与えているのかという点については、不明である。また、非特許文献2の施用量では、作物の生長が阻害されるおそれがある。
特開2000-7506号公報 特許第3557454号公報 特許第4670254号公報 国際公開2019/004252号明細書
皆川ら、「メチオニンの土壌施用によるネコブセンチュウ等土壌線虫密度およびトマト幼苗に対する影響」、中央農業総合研究センター研究報告、2004年1月、第4号、p.35-40 K.EVANS and D.L.TRUDGILL, "EFFECTS OF AMINO ACIDS ON THE REPRODUCTION OF HETERODERA ROSTOCHIENSIS", Nematologica, 1971, 17, p.495-500 D.L.TRUDGILL, "THE EFFECT OF ENVIRONMENT ON SEX DETERMINATION IN HETERODERA ROSTOCHIENSIS", Nematologica, 1967, 13, p.263-272 D.L.TRUDGILL, J.M.WEBSTER AND D.M.PARROTT, "THE EFFECT OF RESISTANT SOLANACEOUS PLANTS ON THE SEX RATIO OF HETERODERA ROSTOCHIENSIS AND TH E USE OF THE SEX RATIO TO ASSESS THE FREQUENCY AND GENETIC CONSTITUTION OF PATHOTYPES", ANN.APPL.BIOL, 1967, 60, p.421-428 "Potato Cyst Nematodes: Biology, Distribution and control" Edited by R.J.Marks and B.B.Brodie, 1998, p27-43
本発明は、シストセンチュウ類の生活環における特定の形態、すなわち卵及び幼虫を選択的に不活化させることができる、アミノ酸及び/又はアミノ酸派生物質を含む不活化用の剤を提供することを目的とする。
本発明は、アミノ酸及びアミノ酸派生物質の一方若しくは両方をシストセンチュウ類の卵及び幼虫に直接的若しくは間接的に接触させるか、又は、アミノ酸及びアミノ酸派生物質の一方若しくは両方の水溶液をシストセンチュウ類のシスト内外の卵及び幼虫に直接的若しくは間接的に接触させ、アミノ酸及びアミノ酸派生物質の一方又は両方を体内に取り込ませることによって、卵及び幼虫を選択的に不活化させることを特徴とする。
本発明に係る不活化用の剤が、シストセンチュウ類の卵及び幼虫を選択的に不活化させる作用機序について、本発明の発明者らは次のように推測している。
シストセンチュウ類は、上述のとおり土壌中において一連の生活環を有する。すなわち、シストセンチュウ類は、メス成虫が卵を内部に保持したまま死亡することでシストを形成し、シスト内の卵が孵化して幼虫となり、幼虫がシストを出ていわゆる二期幼虫として活動し、二期幼虫がその活動の結果として根に侵入し、根の内部で成虫になり、メス成虫が再びシストを形成する。非特許文献5によれば、卵の孵化反応が始まると、卵は卵殻の外部から水分を吸収し、次に卵の内部で幼虫が成長し、成長した幼虫が口針を突出させることによって卵殻を破って出現することがわかっている。このような卵殻内への水分の吸収や口針の突出の際に、卵内の幼虫が、アミノ酸又はその派生物質の一方若しくは両方又はそれらの水溶液を含む不活化用の剤を水分とともに体内に取り込み、その結果、幼虫が孵化することなく卵内で死亡するか、卵から孵化したとしてもその直後に死亡するものと考えられる。さらに、幼虫(二期幼虫)は、植物の根に侵入するときに口針を根に突き立てることもわかっており、孵化時に幼虫がアミノ酸又はその派生物質等を取り込まなかった場合でも、根への侵入時における口針の作用の際にこれらの物質を体内に取り込み、その結果、幼虫が根に進入することなく死亡するものと考えられる。
本明細書においては、このように、卵が孵化しないこと、孵化したとしても孵化直後に幼虫が死亡すること、幼虫が根に進入することなく死亡すること、及び幼虫が根に進入した直後に死亡することを、「卵及び幼虫の不活化」という。
本発明の一態様においては、シストセンチュウ類の卵及び幼虫を不活化させる不活化用の剤を提供する。この不活化用の剤は、アミノ酸及びアミノ酸派生物質の一方若しくは両方、又はそれらの水溶液を含むものである。本発明に係る不活化用の剤が効果を発揮するシストセンチュウ類は、特に、ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモシロシストセンチュウ、ダイズシストセンチュウからなる群より選択される少なくとも1種である。
本発明の不活化用の剤に含まれるアミノ酸は、メチオニン、2ヒドロキシ4メチルチオ酪酸、エチオニン、シスタチオニン、トレオニン、バリン、フェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、本発明の不活化用の剤に含まれるアミノ酸派生物質は、酪酸の炭素骨格を有する物質であることが好ましく、酪酸の炭素骨格を有する飽和脂肪酸であることがより好ましく、2-オキソ酪酸、2-ヒドロキシ酪酸、2-アミノ酪酸、ケト酸、ケトグルタル酸、アセト酢酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、及びイソ吉草酸からなる群から選択される少なくとも1種であることがさらに好ましい。本発明の不活化用の剤に含まれるアミノ酸及びアミノ酸派生物質の一方若しくは両方の濃度は、少なくとも5ppm以上であることが好ましい。
本発明の別の態様においては、上記の不活化用の剤を含む、シストセンチュウ類の卵及び幼虫を不活化させる不活化用の農業資材を提供する。
本発明のさらに別の態様においては、上記の不活化用の剤をシストセンチュウ類の卵及び/又は幼虫に接触させる工程を含む、卵及び幼虫の不活化方法を提供する。一実施形態においては、不活化用の剤をシストセンチュウ類の卵及び/又は幼虫に接触させる工程が、不活化用の剤を土壌に存在させることによって、不活化用の剤を卵及び/又は幼虫に接触させる工程を含むことが好ましく、別の実施形態においては、不活化用の剤をシストセンチュウ類の卵及び/又は幼虫に接触させる工程が、不活化用の剤を対象植物に吸収させ、不活化用の剤を吸収した対象植物の根を、幼虫に接触させる工程を含むことが好ましい。
本発明に係る不活化用の剤は、シストセンチュウ類の生活環における特定の形態、すなわち卵及び幼虫を選択的に不活化させることができる。したがって、本発明に係る不活化用の剤を用いることによって、環境負荷を低減させながらシストセンチュウ類の対象植物へのシスト形成を効果的に阻害することができる。
幼虫に対するメチオニンの直接的影響を評価するための予備実験の結果を示す。 本発明の一実施形態に係る不活化用の剤であるメチオニンによる卵及び幼虫の不活化効果を評価する実験において得られたデータであり、各試料の幼虫回収率及び補正不活化率を示す。 本発明の一実施形態に係る不活化用の剤であるメチオニンの存在下における孵化反応と孵化幼虫の不活化効果とを評価する実験において得られたデータであり、各試料の未孵化率及び幼虫生存率を示す。 本発明の一実施形態に係る不活化用の剤であるメチオニン派生物質による卵及び幼虫の不活化効果を評価する実験において得られたデータであり、各試料における卵及び幼虫の個体数を示す。 本発明の一実施形態に係る不活化用の剤であるメチオニン派生物質による卵及び幼虫の不活化効果を評価する実験において得られたデータであり、各試料の補正孵化阻害率を示す。 本発明の一実施形態に係る不活化用の剤であるメチオニン派生物質による卵及び幼虫の不活化効果を評価する実験において得られたデータであり、各試料の補正不活化率を示す。 本発明の一実施形態に係る不活化用の剤であるメチオニンとの間接的な接触による卵及び幼虫の不活化効果を評価する実験において得られたデータであり、各試料について根に着生したシスト数を示す。 本発明の一実施形態に係る不活化用の剤であるアミノ酸及びアミノ酸派生物質を卵に直接的に接触させた場合のジャガイモの根へのシスト着生阻害効果を評価する実験において得られたデータであり、各試料について根に着生したシスト数の平均値を示す。
以下、本発明の詳細について説明する。本発明は、シストセンチュウ類の卵及び幼虫を不活化させるための不活化用の剤に関するものである。この不活化用の剤の適用対象となるシストセンチュウ類は、植物寄生性線虫の一種であり、土壌中に生息し、植物の根に寄生して生長を阻害する。シストセンチュウ類は、上述のとおり、生活環の中で耐久体であるシストを形成するため、一旦発生すると根絶することが困難である。このシストの植物への着生個数をできる限り少なくすることによって、土壌中のシストセンチュウ類の防除が可能となる。
本発明に係る不活化用の剤を用いて不活化させることができるシストセンチュウ類として、ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモシロシストセンチュウ、ダイズシストセンチュウを挙げることができる。
例えば、ジャガイモに寄生するジャガイモシストセンチュウ及びジャガイモシロシストセンチュウは、ともにGlobodera属に分類され、形態及び生態的な特徴は類似していることが知られている。これらのシストセンチュウの寄主範囲は比較的狭く、ナス科の植物に限定されており、被害が問題となる主要な農作物は馬鈴薯である。ジャガイモシストセンチュウとジャガイモシロシストセンチュウは対応する抵抗性品種が異なるものの、従来の防除対策、例えば、土壌移動の防止、作付け前の土壌診断、馬鈴薯の連作の自粛、土壌消毒などの方法や効果については共通しており、本発明に係る不活化用の剤の適用範囲についても同じように考えることができる。
また、ダイズシストセンチュウ(Heterodera glycines)は、中国、ロシア、朝鮮半島、南北アメリカ大陸などに広く分布し、各地のダイズ生産に重大な被害をもたらして おり、日本においても北海道を中心に恒常的な被害を与え続けている。ダイズシストセンチュウの宿主範囲は、ネコブセンチュウやネグサレセンチュウ等に比べて極めて狭く、畑作物に限った場合、有意な密度増加が認められる作物は、ダイズ、アズキ、インゲンにほぼ限られる。ダイズシストセンチュウの従来の防除対策としては、化学防除や耕種的防除法が知られている。しかし、化学防除で用いられる薬剤は、高コストであるため、ダイズやアズキの栽培で用いるのは収益性の面から難しく、収益性が高いエダマメ栽培で用いられているのみである。また、耕種的防除法として、輪作や捕獲植物によってセンチュウ密度を下げる対策と、抵抗性品種によって被害を回避する方法とが知られている。しかし、ダイズシストセンチュウの密度コントロールは難しい。
ダイズシストセンチュウの従来の対策である土壌消毒、薬剤散布などといった方法やそれらの効果については、ジャガイモシストセンチュウ等と共通しており、本発明に係る不活化用の剤の適用範囲と同じように考えることができる。
本発明に係る不活化用の剤は、アミノ酸、アミノ酸の水溶液、アミノ酸派生物質、アミノ酸派生物質の水溶液、アミノ酸とアミノ酸派生物質との混合物、及びその混合物の水溶液を、有効成分として含むことを特徴とする。
本発明に係る不活化用の剤として用いることができるアミノ酸は、その代謝や分解反応から酪酸の炭素骨格Cを有する物質が派生するアミノ酸であれば、限定されるものではない。このようなアミノ酸として、メチオニンC11NOS、2ヒドロキシ4メチルチオ酪酸C、エチオニンC13NOS、トレオニンCNO、シスタチオニンC14S、バリンC11NO、フェニルアラニンC11NOを挙げることができる。
アミノ酸を不活化用の剤として用いる際の形態は、特に限定されるものではなく、必要に応じて、例えば粉体状アミノ酸やアミノ酸水溶液の形態で用いることができる。さらに他の形態として、ゼリー状、カプセル状、フィルム状に加工したものを用いることもできる。
本発明に係る不活化用の剤として、アミノ酸そのものだけではなく、アミノ酸の派生物質を用いることもできる。不活化用の剤として用いることができるアミノ酸の派生物質は、酪酸の炭素骨格を有する物質であり、例えば、2-オキソ酪酸C、2-ヒドロキシ酪酸C、2-アミノ酪酸CNO、ケト酸C、ケトグルタル酸C、アセト酢酸C、酪酸C、イソ酪酸C、吉草酸C10、イソ吉草酸C10などを挙げることができる。酪酸の炭素骨格を有する複数種類の物質の混合物もまた、本発明に係る不活化用の剤として用いることができる。
アミノ酸派生物質は、固相、液相又は気相環境などの自然環境条件下におけるアミノ酸の生化学反応の結果として得ることができる。例えば、本発明に係る不活化用の剤として、アミノ酸と水とを混合したアミノ酸水溶液を所定日数以上にわたって静置することによって得られる経時水溶液を用いることができる。アミノ酸は、水溶液の状態で静置すると、可視光や紫外光の影響によって不安定になり全部又はその一部の化学構造が変化又は分解することが知られている。例えば、メチオニンは、可視光の影響により、光増感分解から脱アミノ化、脱炭酸してメチオナールとアンモニアが生成し、その後メタンチオール、アクロレインへ、アクロレインからはグリオキザールが生ずる場合や、メチオニンからメチオニンスルホオキシドやメチオニンスルホンが生ずる場合が知られている。
また、本発明に係る不活化用の剤として、アミノ酸水溶液にアミノ酸の分解を促進するための微生物や微生物酵素を混合することによって得られる反応液を用いることができる。アミノ酸は、水溶液中に他の物質や細菌等の微生物が少量でも混在していれば、当該他の物質との化学作用によって派生物質が生成されたり、微生物による分解によって派生物質が生成される。例えば、メチオニンは、メチオニンγリアーゼによって、メタンチオール、アンモニア、オキソ酪酸を派生させることができ、シスタチオニンは、シスタチオニンγリアーゼによって、システイン、オキソ酪酸を派生させることができ、トレオニンは、デヒドロゲナーゼやデアミナーゼによって、アンモニアやオキソ酪酸をはじめとして酪酸の炭素骨格を有する有機酸を派生させることができる。さらに、アミノ酸をこれらの酵素を保有するバクテリアと作用させることによっても、同様の派生物質を得ることができる。
アミノ酸派生物質を不活化用の剤として用いる際の形態は、特に限定されるものではなく、必要に応じて、例えばアミノ酸派生物質を粉体状の形態や水溶液の形態で用いることができる。さらに他の形態として、ゼリー状、カプセル状、フィルム状に加工したものを用いることもできる。
なお、本出願の発明者は、酪酸の炭素骨格を有する物質以外に、アミノ酸から生じる他の分解産物もシストセンチュウ類の不活化効果を増強させる場合があると考えており、メタンチオールやアンモニアの発生から、そうした分解産物との相乗効果も不活化効果の強度に影響を与えるものと考えられる。
アミノ酸、アミノ酸の水溶液、アミノ酸派生物質、アミノ酸派生物質の水溶液、アミノ酸とアミノ酸派生物質との混合物、及びその混合物の水溶液を不活化用の剤として用いる場合において、アミノ酸濃度は、1ppm以上であることが好ましく、5ppm以上であることがより好ましい。また、アミノ酸濃度は、シストセンチュウ類の不活化の観点からは上限がないが、植物の生長阻害を防止する観点から150ppm以下であることが好ましく、100ppm以下であることがより好ましい。不活化用の剤として用いる場合の温度は、通常の生体反応が可能な温度域であれば限定されるものではなく、例えば10℃から40℃程度であることが好ましい。
本発明に係る不活化用の剤は、単独で用いることができるが、他の物質と併用してシストセンチュウ類の卵及び幼虫を不活化させる農業資材とすることもできる。併用可能な他の物質として、土壌改良材、有機肥料、堆肥、コンポスト、微生物資材、栄養資材等を用いることができる。本発明に係る不活化用の剤を他の物質と同時に使用する場合には、例えば、不活化用の剤と他の物質とを予め混合して用いたり、不活化用の剤を施用した後にさらに他の物質を散布したり、他の物質等を散布した後にさらに不活化用の剤を施用したりすることができる。本発明に係る不活化用の剤をこれらの物質と併用することによって、対象植物の生育に良好な影響を与えながらシストセンチュウ類の不活化作用を発揮させることが可能であり、さらに、土壌中の微生物を活性化させることによって、アミノ酸派生物質の発生効果を増強させることが可能である。
本発明に係る不活化用の剤は、シスト内の卵及び幼虫を不活化する(以下、単にシストの不活化という)目的でも使用することができる。シストの不活化に対して有効なアミノ酸として、メチオニン、2ヒドロキシ4メチルチオ酪酸、エチオニン、シスタチオニン及びトレオニンを挙げることができる。また、シストの不活化に対して有効なアミノ酸派生物質として、2-オキソ酪酸、2-ヒドロキシ酪酸及び2-アミノ酪酸並びにこれらの塩化物を挙げることができる。さらに、これらのアミノ酸及びアミノ酸派生物質の混合物、これらのアミノ酸及びアミノ酸派生物質の水溶液、これらのアミノ酸及びアミノ酸派生物質の混合物の水溶液も、シストの不活化に対して有効である。これらのアミノ酸及びアミノ酸派生物質は、汚染土中のシストの生態反応の妨害に有効な作用を示し、宿主となる作物の根へのシスト着生を著しく阻害する。これらの物質をシストの不活化用の剤として用いる場合には、宿主となる作物の植え付け後の寄生を防止するために、作物の植え付け前の汚染土壌に所定濃度の水溶液状又は粉体状の形態の資材を混入させておくことが好ましい。
本発明に係る不活化用の剤を卵及び幼虫に接触させる方法として、例えば、植物が植えられた土壌又は植えられる前の土壌に、不活化用の剤を混和したり表面に散布したりする方法を用いることができる。この方法では、植物が植えられる土壌に不活化用の剤が存在し、それが土壌中の卵及び幼虫に接触することになる。
本発明に係る不活化用の剤は、卵及び幼虫に間接的に接触させる方法で用いることもできる。間接的に接触させる方法として、例えば、対象植物を予め本発明に係る不活化用の剤(水溶液)で培養するなどの方法によって、対象植物に不活化用の剤を予め吸収させておき、卵及び幼虫が不活化用の剤を吸収した対象植物の根に触れることによって、卵及び幼虫が不活化用の剤に間接的に接触するようにする方法を用いることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、課題を解決することができる限り、種々の態様を取り得る。
まず、本発明の発明者らが、シストセンチュウ類に対するメチオニンの直接的な影響を評価する目的で行った予備実験及びその結果を示す。これらの予備実験の結果と非特許文献5とを総合的に考慮し、発明者らは、本発明に係る不活化用の剤が、上述の作用機序に基づいてシストセンチュウ類の卵及び幼虫に選択的に作用すると推測している。
[予備実験1:幼虫に対するメチオニンの直接的影響の評価]
(実験方法)
メチオニン(和光純薬製)の希釈液を9種類準備した。9種類の希釈液のメチオニン濃度(ppm)は、0.8、4、6.25、20、62.5、100、500、2500、10000であった。それぞれの濃度の希釈液に、ジャガイモシストセンチュウの幼虫を浸漬した。浸漬処理の時間は24時間であった。ついで、幼虫を2時間水洗し、その後22時間静置した。ベールマン法を用いて幼虫を24時間かけてフィルタ処理し、フィルタを通過した幼虫を活性のある個体として計数した。なお、コントロールとして、メチオニン希釈液に替えて、蒸留水及び農薬(ホスチアゼート、石原バイオサイエンス社製)を用いた実験も行った。致死率50%及び90%の致死濃度(それぞれLC50、LC90)を算定し、ジャガイモシストセンチュウの幼虫及び卵に対するメチオニンの影響を調べた。
(結果)
図1は、実験の結果を示す。図1の横軸は各物質(メチオニン及び農薬)の濃度(ppm)であり、縦軸は補正死亡率(%)である。補正死亡率は、蒸留水を用いた場合における生存率Xと各物質を用いた場合の生存率Yとから、以下のAbbottの補正式を用いて算出した。なお、本明細書の以下の記載において用いられる「補正不活化率」及び「補正孵化阻害率」も同様であり、コントロールの生存率Xと各試料の生存率Yとから、以下の式を用いて算出した。
補正死亡率、補正不活化率又は補正孵化阻害率=(X-Y)/X
図1に示されるとおり、メチオニンはすべての濃度域で幼虫を死亡させる効果が低く、死亡率は最大でも15%程度であった。これに対して、農薬については、低濃度でも大きな効果があった。メチオニンを用いた場合の半数致死濃度(LC50)は、約2800万ppmという非現実的な数値となった(農薬の場合は、LC50が276ppm、LC90が801ppmであった)。したがって、シストセンチュウ類の幼虫に対するメチオニンの直接的な影響は極めて小さいと考えられる。
[予備実験2:メチオニンによる根への寄生阻害とシスト形成の評価]
(実験方法)
215mLのカップにジャガイモシストセンチュウのシストに汚染された汚染土150g(80卵/g乾土)を入れ、そこに男爵薯から切り出した芽の部分を植え付けて、室温で30日栽培した。芽の植え付けと同時にメチオニン(和光純薬製)を汚染土に添加した場合と、添加しなかった場合とについて、根の内部におけるジャガイモシストセンチュウの寄生数と、カップ壁面のシスト着生数とを調べた。メチオニンの濃度は500ppmであった。根の内部におけるジャガイモシストセンチュウの寄生数は、酸性グリセリン法を利用して調べた。具体的には、根を酸性グリセリン法で染色し、根内部のジャガイモシストセンチュウ数を検鏡によって確認した。この実験を3回繰り返した。
Figure 2022118806000002
(結果)
表1は、観察結果を示す。メチオニンを土壌に添加した場合には、添加しなかった場合と比較して根内の幼虫も着生したシスト数も大幅に減少し、成虫は観察されなかった。この結果から、メチオニンを土壌に添加することによって、根の内部への幼虫の寄生が阻害されるとともに、寄生したわずかな幼虫もほとんどが成虫に成長しないことがわかる。結果としてシストの着生も阻害された。本実験の結果は、予備実験1の結果及び非特許文献5を考慮すると、根に侵入するときの口針の作用の際に体内に取り込まれたメチオニンが幼虫に作用したことによるものと推測できる。
実施例1:メチオニンによる卵及び幼虫の不活化効果
(実験方法)
この実施例では、メチオニンによる卵及び幼虫に対する影響(不活化効果)を確認した。チャック付きポリ袋(ユニパックE-4;140×100×0.04mm)内にメチオニン(和光純薬製)の水溶液によりメチオニン濃度を調整した滅菌土(20g)を入れ、そこにジャガイモシストセンチュウの卵を接種し、ユニパックをチャックして、密閉容器に入れた。メチオニン濃度は、25ppm、100ppm及び500ppmとした。これらを恒温器内で7日間保管し、その後、ソラノエクレピンAを成分とする孵化液を人工的に添加した。孵化液添加から7日後に土壌をベールマン漏斗にかけ、孵化液添加から10日後に分離を終了して、孵化した幼虫を回収した。分離した幼虫を顕微鏡で計数し、得られた幼虫数と摂取卵数から幼虫回収率及び補正不活化率を計算した。さらに、メチオニンを加えた試料の一部については、ベールマン分離後の土壌(ベールマン残土という)から二層遠心浮遊法で残存する幼虫を分離し、顕微鏡下で観察を行った。なお、メチオニン水溶液に代えて蒸留水を入れた滅菌土を用いたものをコントロールとした。また、孵化液を添加しないものも作成して比較した。
(結果)
図2は、それぞれの試料について、孵化液添加から17日後の幼虫回収率(上図)及び補正不活化率(下図)を示す。メチオニン濃度が100ppmの場合には約80%の卵の不活化が確認され、メチオニン濃度が500ppmの場合には100%の卵の不活化が確認された。濃度500ppmの試料について、ベールマン法では全く幼虫が検出されなかったが、土壌からは11±4頭の幼虫が検出された。
実施例2:メチオニン存在下における孵化反応と幼虫の不活化効果
(実験方法)
この実施例では、メチオニンが存在するときにおける卵の孵化反応の発生状態と、孵化した幼虫の不活化効果とを確認した。10mLの蓋付ガラス遠沈管に、ジャガイモシストセンチュウの卵液0.9mL、100ppm及び500ppmのメチオニン(和光純薬製)の水溶液を1mL、ソラノエクレピンAを成分とする孵化液0.1mLを入れて混合した。各メチオニン濃度の試料をそれぞれ5つ準備した。各試料を恒温器(21℃)で11日間静置し、その後の遠沈管内の卵及び幼虫を顕微鏡で観察して計測した。メチオニン水溶液に代えて蒸留水を用いたものをコントロールとした。
(結果)
図3は、各試料における卵の未孵化率及び幼虫の生存率を示す。図3から、メチオニンが存在していても孵化反応は生じている一方、コントロールと比較して幼虫の生存率が著しく低下することが確認された。この結果と、メチオニンが幼虫には直接的な影響を及ぼさないとの予備実験1の結果とから、孵化反応時の周囲に存在するメチオニンが、孵化後の幼虫に影響を及ぼし、幼虫の不活化を引き起こしているものと考えられる。
実施例3:メチオニン派生物質による卵及び幼虫の不活化効果
(実施方法)
この実施例では、メチオニン水溶液を長時間静置することによって発生する派生物質による卵及び幼虫の不活化効果を確認した。メチオニン(和光純薬製)の水溶液1mLを遠沈管に入れ、21℃で所定日数静置した。メチオニン水溶液のメチオニン濃度として、100ppm及び500ppmの2種類を準備した。静置日数は、0日、3日、6日及び9日とした。各濃度及び静置日数の水溶液をそれぞれ5個ずつ調整した。調製した水溶液に、ジャガイモシストセンチュウの卵150個が懸濁された水溶液0.9mLと、ソラノエクレピンAを含む孵化液0.1mLとを混合した。卵及び孵化液を混合した後、11日経過した各遠沈管内の卵及び幼虫の状態を顕微鏡で観察した。なお、蒸留水(DW)にジャガイモシストセンチュウの卵150個が懸濁された水溶液0.9mLと、孵化液とを混合したものをコントロールとした。
(結果)
図4は各試料における卵及び幼虫の個体数を示し、図5は補正孵化阻害率を示し、図6は補正不活化率を示す。各図の横軸は、メチオニン水溶液のメチオニン濃度(ppm)と静置日数を示す(「day0 Met」「day3 Met」「day6 Met」「day9 Met」は、それぞれ、静置日数0日、3日、6日及び9日を示す)。
図4及び図5の結果から、静置日数が長く濃度が高いほど未孵化の卵が多くなり、いずれの試料も静置日数にかかわらず孵化後の幼虫はほぼ死亡しており、生存幼虫はほとんど観察されなかった。このことは、メチオニン水溶液を静置する日数が長いほど水溶液中におけるメチオニン派生物質の濃度が高くなり、派生物質の濃度が高くなるほど未孵化の卵が多くなったことを示す。また、派生物質の濃度が高くなるほど未孵化の卵が多く観察されたことから、派生物質が孵化阻害効果を有するか、又は、卵内の幼虫が卵殻から脱出しきる前に派生物質が幼虫に致死性の影響を与えていることが考えられる。なお、静置日数が9日の試料において特に未孵化の卵が多くなっていることから、日数が長いほどメチオニン派生物質の量が多くなり、これらの派生物質が、孵化前に卵を不活化させるなどの影響を卵に対して直接的に与えているものと考えられる。
孵化液を添加した後に生存幼虫として観察されたもの以外を卵の不活化個体数すると、図6に示されるように、メチオニンを添加した試料では全て高い不活化率を示した。さらに、各静置日数のメチオニン水溶液の影響により観察された未孵化の卵を蒸留水で洗浄した後、再度、孵化液を添加しても、静置日数の長いメチオニン水溶液ほど孵化反応は正常に観察されなかった。したがって、メチオニン派生物質が卵の不活化効果を有することがわかる。
実施例4:メチオニン及びその派生物質よる卵の不活化効果
(実施方法)
この実施例では、メチオニン分解酵素を用いてメチオニンを分解することによって生成される分解生成物(メチオニン派生物質)による卵の不活化の効果を実証した。まず、酵素溶解緩衝液(A液)、酵素液(B液)、及び基質液(C液)を調製した。A液は、100mMのリン酸カリウム、1mMのエチレンジアミン四酢酸、0.01体積%のメチルメルカプトエタノール及び0.02mMのピリドキサール5リン酸水和物(PLP)緩衝液からなる緩衝液とした。B液は、A液3mLにLメチオニンγリアーゼ(MGL、BioVision Incorporated社製)500μgを加えた酵素液とした。C液は、濃度1000ppmのL-メチオニン(Met)(和光純薬製)の水溶液及びピリドキサール5リン酸水和物0.02mMからなる基質液とした。
C液1mLを遠沈管に入れ、その遠沈管内に、ジャガイモシストセンチュウの卵が200卵程度となるように卵液1mLを入れ、B液60μLを加え、さらにソラノエクレピンAを成分とする孵化液(PRD)を0.1mL加えた試料を調製した。この試料を「Met+MGL+PRD」とした。次に、C液0.94mLを遠沈管に入れ、その遠沈管内に、ジャガイモシストセンチュウの卵が200卵程度となるように卵液0.9mLを入れ、A液60μLを加え、さらに0.1mLの孵化液(PRD)を加えた試料を調製した。これを試料「Met+PRD」とした。さらに、ジャガイモシストセンチュウの卵が200卵程度となる卵液0.9mLを蒸留水(DW)に入れ、0.1mLの孵化液(PRD)を加えた試料を調製した。これを試料「DW+PRD」とした。各試料をそれぞれ10個ずつ用意した。なお、ジャガイモシストセンチュウの卵が200卵程度となる卵液0.9mLを蒸留水(DW)に入れたものをコントロールとした。遠沈管を21℃に設定された恒温機内で10日間培養した後、試料の半量の顕微鏡観察を行った。残りの試料については、蒸留水で置換した後、再度、孵化液(PRD)を添加し、さらに9日間同条件で培養した(表2の「洗浄9日後」)。これによって、未孵化卵か不活化卵かを区分することができる。
Figure 2022118806000003
(結果)
表2は、それぞれの試料について、10日間培養した後及び洗浄後9日間培養した後に観察された卵、生存幼虫及び死亡幼虫の割合を示す。表2から、メチオニン分解酵素MGLによってメチオニンを予め任意に分解した試料(Met+MGL+PRD)でも、メチオニン(Met+PRD)と同様に、生存幼虫が観察されず、卵及び幼虫ともに不活化したことがわかる。また、メチオニン分解酵素MGLによって分解した試料の方が、メチオニンのみの試料より未孵化卵が多く観察され、その未孵化卵は、洗浄後にも正常に孵化しないことから、不活化卵になったと考えられる。一方、コントロール(DW+PRD)では正常に孵化したことが確認され、蒸留水のみの試料(DW)では、洗浄後に孵化液を添加することによって正常に孵化し、生存幼虫が観察された。
この結果から、メチオニン派生物質もメチオニンと同程度の卵の不活化効果を示すことがわかる。メチオニンが分解されても効果が低下しないことから、卵の不活化を生じさせる主要要因はメチオニンそのものではなく、卵によるメチオニンの取込又は卵の周囲での分解作用によってメチオニン派生物質が生成され、その派生物質が、卵及び幼虫に影響を与えるものと考えられる。なお、予め3日前にメチオニン水溶液にメチオニン分解酵素MGLを添加してメチオニンを分解させた状態で同様の試験を行った場合でも、本実施例と同様の結果となった。
実施例5:メチオニン派生物質による卵の不活化効果
(実施方法)
実施例4では、メチオニンの分解が進行している水溶液中に卵を入れることによって、メチオニン及びその派生物質による卵の不活化への効果を確認した。しかし、この実験では、メチオニンの分解と卵の孵化反応とが系内で同時に行われていたため、系内に存在するメチオニンそのものが孵化反応に影響した可能性がある。そこで、実施例5では、孵化反応の開始前に予めメチオニン分解酵素MGLによってメチオニンを分解させてメチオニン派生物質を多く存在させた系において、卵の不活化への効果を確認した。実施例5では、実施例4と同様のA液、B液及びC液を調製して用いた。
C液0.94mLを遠沈管に入れ、その遠沈管内にB液60μLを加え、21℃に設定された恒温機の中で3日間静置して反応させ、メチオニンをほぼ分解させた。その後、遠沈管内にジャガイモシストセンチュウの卵が150卵程度となるように卵液0.9mLを入れ、さらに0.1mLのソラノエクレピンを成分とする孵化液(PRD)を加えた試料を調製した。この試料を「Met+MGL+PRD」とした。次に、C液0.94mLを遠沈管に入れ、その遠沈管内に、ジャガイモシストセンチュウの卵が150卵程度となるように卵液0.9mLを入れ、A液60μLを加え、さらに0.1mLのソラノエクレピンを孵化液PRDとして加えた試料を調製した。これを試料「Met+PRD」とした。さらに、ジャガイモシストセンチュウの卵が150卵程度となる卵液0.9mLを蒸留水(DW)に入れ、0.1mLのソラノエクレピンを成分とする孵化液(PRD)を加えた試料を調製した。これを試料「DW+PRD」とした。各試料をそれぞれ10個ずつ用意した。なお、卵が150個程度となる卵液0.9mLを蒸留水(DW)に入れたものをコントロールとした。本実験では、最初に用いたPRDの活性が低かったため、7日後に同量のPRDを再度添加し、その後7日後に各遠沈管内の卵の状態を顕微鏡下で観察した。
Figure 2022118806000004
(結果)
表3は、それぞれの試料について観察された卵、生存幼虫及び死亡幼虫の割合、並びに卵の不活化率を示す。不活化率は、図6で求めた補正孵化率と同様の方法で求めた。なお、蒸留水のみの試料(DW)の未孵化卵は、蒸留水に孵化液を加えた試料(DW+PRD)の結果と実施例4の結果とを考慮すると、正常な孵化前の卵であることが判断できるため、不活化率は算出しなかった。
表3の結果は表2と同様の傾向を示しており、メチオニンの分解が進みほぼ派生物質のみと考えられる試料(Met+MGL+PRD)は卵の不活化率が100%であった。この結果から、メチオニンが分解することによって生成される派生物質が卵の不活化に関与していることがわかる。また、メチオニンの分解が進んでいないと考えられる試料(Met+PRD)では、ほぼ派生物質のみと考えられる試料(Met+MGL+PRD)と比較して未孵化卵が減少したことから、メチオニンを予め分解させた場合の方がシストセンチュウ類の生活環のより早い段階で、卵及び卵内の幼虫に影響を及ぼすことがわかる。
実施例6:メチオニン以外のアミノ酸による卵の不活化効果
(実施方法)
表4に示される11種のアミノ酸について、卵の不活化効果を実証した。それぞれのアミノ酸水溶液1mLを遠沈管に入れ、21℃で所定日数静置した。それぞれのアミノ酸水溶液の濃度は500ppmとした。各試料はそれぞれ5個ずつ調整した。調製した水溶液に、ジャガイモシストセンチュウの卵100個が懸濁された水溶液0.9mLと、卵を孵化させるための孵化液0.1mLとを混合した。孵化液として、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構の種苗管理センター北海道中央農場で採取したジャガイモの水耕栽培液を用いた。卵及び孵化液を混合した後、21℃の暗所で静置し、14日経過した各遠沈管内の卵の状態を顕微鏡で観察した。
Figure 2022118806000005
(結果)
表4は、11種のアミノ酸の試料について、補正不活化率及び補正孵化阻害率と、卵の不活化効果の程度とを示す。孵化阻害率並びに不活化率の求め方は、実施例3と同様である。なお、薬剤の添加によって弱体化した苦悶虫は、死亡虫として算出した。
表4から、アミノ酸の種類によって不活化率及び孵化阻害率が異なることがわかる。L-メチオニン、L-2ヒドロキシ4メチルチオ酪酸、L-シスタチオニン、DL-エチオニン、L-トレオニンは、卵の不活化効果が高いアミノ酸であった。なお、DL-エチオニンについては、効果が他のものより1週間遅延して作用したため、その不活化率を記載した。L-アラニン、L-バリン、L-フェニルアラニンの卵不活化効果は、中程度であった。また、L-システイン、L-ホモシステイン、タウリンの卵不活化効果は低かった。
以上の結果から、オキソ酪酸などの酪酸の炭素骨格を有する派生物質が生成されるアミノ酸について、卵の不活化効果が高いことがわかる。
実施例7:メチオニンの間接的な接触による不活化効果
本発明に係る不活化用の剤を、卵及び幼虫に間接的に接触させることによる効果を検証した。具体的には、ジャガイモの芽を予めメチオニン水溶液で培養し、メチオニンがない水溶液で培養した芽とともに、ジャガイモシストセンチュウに汚染された汚染土に植え替えて栽培することによって、予め根に吸収されたメチオニンによる防除効果の有無を検証した。
(実験方法)
215mLのクリアカップ6個のそれぞれに半分程度、Mars Gmbh社製のセラミス(人工培土)を入れ、そこに円形に切り出した男爵薯の芽を差し込んだ。まんべんなく液肥(アミノ酸フリー)をかけ、インキュベータで6日間遮光培養を行った。根が張り始めた時点で、6個の試料のうち3個にメチオニン(和光純薬製)の水溶液(100mg/200g(カップ重量))を添加し、男爵薯に吸収させた。さらに6日間培養した後、ジャガイモの根を水道水で洗浄し、2時間程度水に置換した後に、汚染土に植え替えた。その後、50日間培養し、コントロール3個と、メチオニンを吸収させた試料3個について、シスト着生の有無を観察した。
(結果)
図7は、各試料において根に着生したシスト数を示す。予め男爵薯の根にメチオニンを吸収させておくことによって、着生するシスト数が約45%減少した。このことから、事前に根に吸収された一部のメチオニンが幼虫を不活化させたことがわかる。非特許文献5を考慮すると、この作用機序として、幼虫が根に侵入する際に口針を出し、その際に体内にメチオニンが取り込まれ、その結果として幼虫の不活化が生じたことが考えられる。メチオニンによる試料の場合の着生数が、コントロールと比較して半減程度でとどまった理由は、メチオニンが根に保持されている期間に比例して、根内のメチオニン濃度が低下していったことが原因であると考えられる。
実施例8:アミノ酸及びアミノ酸派生物質によるシスト着生阻害効果
上記各実施例において卵及び幼虫の不活化効果を有するとの結果が得られたアミノ酸及びアミノ酸派生物質について、これらの物質を卵と直接的に接触させた場合のシスト着生阻害効果を確認した。より具体的には、これらの物質の水溶液中に卵を入れて各物質と卵とをあらかじめ直接的に接触させ、そこに孵化液を添加して卵を孵化させ、この水溶液を培養土及びジャガイモを用いたカップ試験に供することによって、シスト着生能力を評価した。
(実験方法)
実験においては、アミノ酸として、メチオニン、2ヒドロキシ4メチルチオ酪酸、及びトレオニンを用い、アミノ酸派生物質として、オキソ酪酸、オキソ酪酸ナトリウム、及びヒドロキシ酪酸ナトリウムを用いた。なお、ヒドロキシ酪酸ナトリウムは、ヒドロキシ酪酸の類似物質として効果を確認する目的で使用した。濃度500ppmに調製した水溶液1mLを遠沈管に入れ、ジャガイモシストセンチュウの卵2000個が懸濁された水溶液0.9mLと、卵を孵化させるための孵化液とを混合した。孵化液として0.1mLのソラノエクレピンAを用いた。卵と孵化液とを混合した後、21℃で3週間静置し、その後、培養土及び種イモが入ったカップに全量を注入し、21℃で3か月程度、暗所で栽培して、ジャガイモの根へのシスト着生状況を観察した。なお、蒸留水(DW)にジャガイモシストセンチュウの卵液が懸濁された水溶液0.9mLと孵化液とを混合したものをコントロールとした。
(結果)
図8は、各試料において根に着生したシスト数の平均値を示す。試料D(アミノ酪酸)を除くすべての試料で、コントロールと比べてシスト着生が阻害されたことを確認した。この結果から、実験に用いた物質はすべて、ジャガイモの根にシストが着生することを阻害する効果を有するものと判断することができる。

Claims (10)

  1. アミノ酸及びアミノ酸派生物質の一方若しくは両方、又はそれらの水溶液を含む、シストセンチュウ類の卵及び幼虫を不活化させる不活化用の剤。
  2. 前記アミノ酸は、メチオニン、2ヒドロキシ4メチルチオ酪酸、エチオニン、シスタチオニン、トレオニン、バリン、フェニルアラニンからなる群より選択される少なくとも1種である、
    請求項1に記載の不活化用の剤。
  3. 前記アミノ酸派生物質は、酪酸の炭素骨格を有する物質である、請求項1又は請求項2に記載の不活化用の剤。
  4. 前記アミノ酸派生物質は、2-オキソ酪酸、2-ヒドロキシ酪酸、2-アミノ酪酸、ケト酸、ケトグルタル酸、アセト酢酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、及びイソ吉草酸からなる郡より選択される少なくとも1種である、
    請求項3に記載の不活化用の剤。
  5. 前記シストセンチュウ類は、ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモシロシストセンチュウ、ダイズシストセンチュウからなる群より選択される少なくとも1種である、
    請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の不活化用の剤。
  6. 前記アミノ酸及び前記アミノ酸派生物質の一方若しくは両方を少なくとも5ppm以上の濃度で含む、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の不活化用の剤。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の不活化用の剤を含む、シストセンチュウ類の卵及び幼虫を不活化させる不活化用の農業資材。
  8. 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の不活化用の剤をシストセンチュウ類の卵及び/又は幼虫に接触させる工程を含む、卵及び幼虫の不活化方法。
  9. 前記不活化用の剤をシストセンチュウ類の卵及び/又は幼虫に接触させる前記工程は、
    前記不活化用の剤を土壌に存在させることによって、前記不活化用の剤を卵及び/又は幼虫に接触させる工程を含む、
    請求項8に記載の不活化方法。
  10. 前記不活化用の剤をシストセンチュウ類の卵及び/又は幼虫に接触させる前記工程は、
    前記不活化用の剤を対象植物に吸収させ、前記不活化用の剤を吸収した前記対象植物の根を、幼虫に接触させる工程を含む、
    請求項8に記載の不活化方法。

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