JP2022118776A - 光酸発生剤及びフォトリソグラフィー用樹脂組成物 - Google Patents

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智幸 柴垣
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Abstract

【課題】EUV、EB、X線などに対して高い光感応性を有する新たな光酸発生剤;及び上記光酸発生剤を含んでなるフォトリソグラフィー用樹脂組成物を提供する。【解決手段】一般式(1)で表されるセレノニウム塩を含有することを特徴とする光酸発生剤、及び上記光酸発生剤を含んでなるフォトリソグラフィー用樹脂組成物。TIFF2022118776000012.tif50153【選択図】なし

Description

本発明は、光酸発生剤及びフォトリソグラフィー用樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、極端紫外線(EUV)又は電子線(EB)を作用させて強酸を発生させるのに適するセレノニウム塩を含有する光酸発生剤、及びそれを含有するフォトリソグラフィー用樹脂組成物に関する。
光酸発生剤とは、光、電子線又はX線等の活性エネルギー線を照射することにより分解して酸を発生する化合物の総称であり、活性エネルギー線照射により発生した酸を活性種として、重合、架橋、脱保護反応等様々な反応に使用されている。具体的には、カチオン重合性化合物の重合やフェノール樹脂と架橋剤存在下での架橋反応、さらにはアルカリ可溶性樹脂に保護基を導入したポリマーの酸触媒脱保護反応などが挙げられる。
フォトリソグラフィー技術を駆使して電子部品の製造や半導体素子形成が盛んに行われており、光酸発生剤から発生する酸を利用した化学増幅型レジストが広く用いられている。露光光源としてKrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が行われているが、近年では、さらなるパターンの微細化に伴い、短波長(高エネルギー)のEUV(極紫外線)、EB(電子線)やX線などについても検討が行われている。
光源の短波長化に伴い、単位エネルギー当たりの光子数が減少するため、限られた光子を有効活用できる高感度な光酸発生剤が依然として求められている。
しかしながら、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザー用の化学増幅レジストで一般的に用いられている、トリフェニルスルホニウム塩などの光酸発生剤をEUV、EBリソグラフィーで用いた場合には、光感応性が不十分でありEUV、EB、X線などに特化した高感度な光酸発生剤が開発されている。
EUVレジスト用光酸発生剤として、アニオンに特徴を持たせた光酸発生剤(特許文献1)、及びカチオン構造を調整した光酸発生剤(特許文献2、3、4)が提案されているが、いずれもEUVに対しての感度は不十分である。
特開2009-237176号公報 特許5678747号 特開2014-234348号公報 特開2019-201404号公報
上記の背景において、本発明の第1の目的は、EUV、EB、X線などに対して高い光感応性を有する新たな光酸発生剤を提供することである。
本発明の第2の目的は、上記光酸発生剤を含んでなるフォトリソグラフィー用樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表されるセレノニウム塩を含有することを特徴とする光酸発生剤(P);及び該光酸発生剤(P)を含むフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)である。
Figure 2022118776000001
[式(1)中、X1、X2及びX3はそれぞれ独立にハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数6~14のアリール基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数6~14のアリールチオ基、又は炭素数6~14のアリールセレノ基(これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアリールセレノ基の水素原子は一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)であり、y1、y2及びy3は互いに独立に0~5であり、Aは一価のアニオンである。]
本発明の光酸発生剤(P)は、オニウム骨格の中心元素をセレンにすることで高いEUV吸収と炭素-セレン結合の解離し易さに基づく易分解性を有する。これによりEUV又はEBを照射することで該光酸発生剤(P)は容易に分解し、スルホン酸等の強酸を含む各種酸を発生することができる。また、X1~X3に置換基を導入することで、感度、溶解性、及び貯蔵安定性をコントロールすることができる。
本発明の光酸発生剤(P)は下記一般式(1)で表されるセレノニウム塩を含有する。
Figure 2022118776000002
[式(1)中、X1、X2及びX3はそれぞれ独立にハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数6~14のアリール基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数6~14のアリールチオ基、又は炭素数6~14のアリールセレノ基(これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアリールセレノ基の水素原子は一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)であり、y1、y2及びy3は互いに独立に0~5であり、Aは一価のアニオンである。]
式(1)中、X1、X2及びX3はそれぞれ独立にハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数6~14のアリール基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数6~14のアリールチオ基、又は炭素数6~14のアリールセレノ基(これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアリールセレノ基の水素原子は一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
炭素数1~18のアルキル基としては、直鎖、分枝、又は環状のアルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1-メチルブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクチル、デカニル、デカリニル、ノルボルナニル、アダマンチル等)等が挙げられる。また、これらの基の水素は一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。
炭素数1~18のアルコキシ基としては、炭素数1~18の直鎖又は分枝アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。また、これらの基の水素は一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。
炭素数6~14のアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、1-アズレニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基等のアリール基が挙げられる。また、これらの基の水素は一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。
炭素数6~14のアリールオキシ基としては、フェノキシ、ナフチルオキシ及びアントラセニルオキシ基等が挙げられる。
また、これらの基の水素は一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。
炭素数6~14のアリールチオ基としては、フェニルチオ、2-メチルフェニルチオ、3-メチルフェニルチオ、4-メチルフェニルチオ、2-エチルフェニルチオ、ナフチルチオ及びアントラセニルセレノ基等が挙げられる。
また、これらの基の水素は一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。
炭素数6~14のアリールセレノ基としては、フェニルセレノ、ナフチルセレノ及びアントラセニルセレノ基等が挙げられる。
また、これらの基の水素は一部又は全部がフッ素で置換されていてもよい。
式(1)中、X1、X2及びX3としては感度、安定性、入手の容易さの観点から、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~10のアリール基(これらのアルキル基及びアリール基の水素原子は一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)が好ましく、F、CF,C、C、C、又はCが更に好ましい。
式(1)中、y1、y2、y3は互いに独立に0~5である。好ましくは0~2である。
式(1)中、A-は一価のアニオンを表す。
一価のアニオンとしては、Cl、Br、SbF 、PF 、BF 、(CFCFPF 、(CFCFPF 、(CFCF)PF 、(C、{(CF、(CGa、{(CFGa、(CFSO、(CFSO、(CSO 及びRSO 等が挙げられる。
SO で表されるスルホン酸アニオンとしては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン(トリフラート)、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン(ノナフラート)、ペンタフルオロフェニルスルホン酸アニオン、p-トルエンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン,エタンスルホン酸アニオン、プロパンスルホン酸アニオン、ブタンスルホン酸アニオン及び下記一般式(2)で表されるスルホン酸アニオンなどが挙げられる。
Figure 2022118776000003
[式(2)中、Rは炭素数1~18の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基であり(その水素の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよく、そのメチレン鎖の一部が-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-S-、-SO-、-SO-基で置換されていてもよく、ビシクロ構造又はスピロ構造を形成していてもよい)、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、フッ素原子又は炭素数1~4のフルオロアルキル基であり、Zは単結合又は、炭素数1~8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である(その水素の一部又は全部がフッ素で置換されていてもよく、そのメチレン鎖の一部が-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-S-、-SO-、-SO-基で置換されていてもよい)。]
としては感度、ラフネス低減、及び入手の容易さの観点から、RSO で表されるスルホン酸アニオンが好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン(トリフラート)、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン(ノナフラート)、又は式(2)で表されるものの内、R及びRがフッ素原子又は炭素数1~4のフルオロアルキル基であるものが更に好ましい。
本発明のセレノニウム塩の合成方法は目的物を合成できれば特に限定はされないが、例えば、以下に述べる製造方法で製造できる。
Figure 2022118776000004
上記の反応式中のX1~X3、y1~y3は、一般式(1)で表される光酸発生剤(P)中のX1~X3、y1~y3と同様のものを表す。
第1段目の反応は、アリールセレノールとアリールブロマイドと塩基とを有機溶剤(DMAc等)中、反応温度60~140℃で6~48時間反応させる。
塩基としてはアリールセレノール中のSeHからプロトンを引き抜くことができるものであれば特に限定はされないが、アルカリ金属の水酸化物(KOH、NaOH等)炭酸アニオンのアルカリ金属塩(KCO、NaCO等)や、有機塩基(ジアザビシクロウンデセン、トリエチルアミン、ピリジン等)、アルカリ金属の水素化物(LiH、NaH等)等が挙げられる。
第2段目の反応は、第1段目の反応に引き続いて行ってもよいし、前駆体セレニド を単離(必要に応じて精製)してから行ってもよい。前駆体セレニドと有機溶剤(アセトニトリル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、DMF等)とを混合・攪拌し、この混合物をジアリールヨードニウムトリフラートと反応させる。反応時間は、1~50時間、反応温度は、80~120℃である。反応完了後、反応液を冷却し、水とジクロロメタン等の有機溶剤を加えることで分液、精製する。
第3段目の反応は、生成物(P1)、強酸の金属塩(NaSbF、KPF、NaB(C、RSONBu等)、を有機溶剤(アセトニトリル、クロロホルム、ジクロロメタン、DMF等)と水の混合系中にて塩交換する。反応温度は0~30℃、反応時間は10分~2時間である。反応完了後、水洗することで(P2)が得られる。
本発明の光酸発生剤(P)は、レジスト材料への溶解を容易にするため、あらかじめ反応を阻害しない溶剤に溶かしておいてもよい。
溶剤としては、カーボネート類(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2-ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等)、エステル類(酢酸エチル、乳酸エチル、β-プロピオラクトン、β―ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン及びε-カプロラクトン等)、エーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテル等)、及びエーテルエステル類(エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル、プロピレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル等)等が挙げられる。
溶剤を使用する場合、溶剤の使用割合は、本発明の光酸発生剤(P)100重量部に対して、15~1000重量部が好ましく、30~500重量部がさらに好ましい。
本発明のフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)は、式(1)で示されるセレノニウム塩を必須成分として含むため、紫外線等の活性光線照射及び露光後加熱(PEB)を行うことで、露光部と未露光部の現像液に対する溶解性に差がつく。該セレノニウム塩は1種単独、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
フォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)としては、ネガ型化学増幅樹脂(QN)と光酸発生剤(P)との混合物;及びポジ型化学増幅樹脂(QP)と光酸発生剤(P)との混合物が挙げられる。
ネガ型化学増幅樹脂(QN)としては、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)と架橋剤(QN2)から構成される。
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)としてはフェノール性水酸基を含有している樹脂であれば特に制限はなく、例えば、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール-キシリレングリコール縮合樹脂、クレゾール-キシリレングリコール縮合樹脂、フェノール-性水酸基を含有するポリイミド、フェノール性水酸基を含有するポリアミック酸、フェノール-ジシクロペンタジエン縮合樹脂が用いられる。これらのなかでも、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレンとスチレンの共重合体、ヒドロキシスチレン、スチレン及び(メタ)アクリル酸誘導体の共重合体、フェノール-キシリレングリコール縮合樹脂が好ましい。尚、これらのフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
上記ノボラック樹脂は、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを触媒の存在下で縮合させることにより得ることができる。
上記フェノール類としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール、2,3,5-トリメチルフェノール、3,4,5-トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、1-ナフトール、2-ナフトールが挙げられる。
また、上記アルデヒド類としてはホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
具体的なノボラック樹脂としては、例えば、フェノール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、クレゾール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂、フェノール-ナフトール/ホルムアルデヒド縮合ノボラック樹脂が挙げられる。
また、上記フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)には、成分の一部としてフェノール性低分子化合物が含有されていてもよい。
上記フェノール性低分子化合物としては、例えば、4,4’-ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,3-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]ベンゼン、4,6-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル]-1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-[4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル]エタン、1,1,2,2-テトラ(4-ヒドロキシフェニル)エタン、4,4’-{1-[4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノールが挙げられる。これらのフェノール性低分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
このフェノール性低分子化合物のフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中における含有割合は、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を100重量%とした場合、40重量%以下であることが好ましく、1~30重量%がさらに好ましい。
フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の重量平均分子量は、得られる絶縁膜の解像性、熱衝撃性、耐熱性、残膜率等の観点から、2000以上であることが好ましく、2000~20000がさらに好ましい。
また、ネガ型化学増幅樹脂(QN)中におけるフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合は、溶剤を除いた組成物の全体を100重量%とした場合に、30~90重量%であることが好ましく、40~80重量%がさらに好ましい。このフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)の含有割合が30~90重量%である場合には、感光性絶縁樹脂組成物を用いて形成された膜がアルカリ水溶液による十分な現像性を有しているため好ましい。
架橋剤(QN2)としては、該光酸発生剤(P)から発生した強酸によりフェノール性水酸基含有樹脂(QN1)を架橋し得る化合物であれば特に限定されない。
架橋剤(QN2)としては、例えば、ビスフェノールA系エポキシ化合物、ビスフェノールF系エポキシ化合物、ビスフェノールS系エポキシ化合物、ノボラック樹脂系エポキシ化合物、レゾール樹脂系エポキシ化合物、ポリ(ヒドロキシスチレン)系エポキシ化合物、オキセタン化合物、メチロール基含有メラミン化合物、メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物、メチロール基含有尿素化合物、メチロール基含有フェノール化合物、アルコキシアルキル基含有メラミン化合物、アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物、アルコキシアルキル基含有尿素化合物、アルコキシアルキル基含有フェノール化合物、カルボキシメチル基含有メラミン樹脂、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン樹脂、カルボキシメチル基含有尿素樹脂、カルボキシメチル基含有フェノール樹脂、カルボキシメチル基含有メラミン化合物、カルボキシメチル基含有ベンゾグアナミン化合物、カルボキシメチル基含有尿素化合物及びカルボキシメチル基含有フェノール化合物が挙げられる。
これら架橋剤(QN2)のうち、メチロール基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有メラミン化合物、メトキシメチル基含有フェノール化合物、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物、メトキシメチル基含有ウレア化合物及びアセトキシメチル基含有フェノール化合物が好ましく、メトキシメチル基含有メラミン化合物(例えばヘキサメトキシメチルメラミン)、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物及びメトキシメチル基含有ウレア化合物等がさらに好ましい。メトキシメチル基含有メラミン化合物は、CYMEL300、CYMEL301、CYMEL303、CYMEL305(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、メトキシメチル基含有グリコールウリル化合物はCYMEL1174(三井サイアナミッド(株)製)等の商品名で、またメトキシメチル基含有ウレア化合物は、MX290(三和ケミカル(株)製)等の商品名で市販されている。
架橋剤(QN2)の含有量は、残膜率の低下、パターンの蛇行や膨潤及び現像性の観点から、フェノール性水酸基含有樹脂(QN1)中の全酸性官能基に対して、通常、5~60モル%であり、10~50モル%が好ましく、15~40モル%がさらに好ましい。
ポジ型化学増幅樹脂(QP)としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基、又はスルホニル基等の1種以上の酸性官能基を含有するアルカリ可溶性樹脂(QP1)中の酸性官能基の水素原子の一部あるいは全部を、酸解離性基で置換した保護基導入樹脂(QP2)が挙げられる。
なお、酸解離性基は該光酸発生剤(P)から発生した強酸の存在下で解離することができる基である。
保護基導入樹脂(QP2)は、それ自体としてはアルカリ不溶性又はアルカリ難溶性である。
アルカリ可溶性樹脂(QP1)としては、例えば、フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)、カルボキシル基含有樹脂(QP12)、及びスルホン酸基含有樹脂(QP13)等が挙げられる。
フェノール性水酸基含有樹脂(QP11)としては、上記水酸基含有樹脂(QN1)と同じものが使用できる。
カルボキシル基含有樹脂(QP12)としては、カルボキシル基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、カルボキシル基含有ビニルモノマー(Ba)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Bb)とをビニル重合することで得られる。
カルボキシル基含有ビニルモノマー(Ba)としては、例えば、不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸及び桂皮酸等]、不飽和多価(2~4価)カルボン酸[(無水)マレイン酸、イタコン酸、フマル酸及びシトラコン酸等]、不飽和多価カルボン酸アルキル(炭素数1~10のアルキル基)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル及びシトラコン酸モノアルキルエステル等]、並びにこれらの塩[アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アミン塩及びアンモニウム塩等]が挙げられる。
これらのうち重合性、及び入手のしやすさの観点から不飽和モノカルボン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がさらに好ましい。
疎水基含有ビニルモノマー(Bb)としては、(メタ)アクリル酸エステル(Bb1)、及び芳香族炭化水素モノマー(Bb2)等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル(Bb1)としては、アルキル基の炭素数1~20のアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等]及び脂環基含有(メタ)アクリレート[ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シジクロペンテニル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
芳香族炭化水素モノマー(Bb2)としては、例えば、スチレン骨格を有する炭化水素モノマー[スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン及びベンジルスチレン等]及びビニルナフタレンが挙げられる。
カルボキシル基含有樹脂(QP12)における、(Ba)/(Bb)の仕込みモノマーモル比は、通常10~100/0~90であり、現像性の観点から10~80/20~90が好ましく、25~85/15~75がさらに好ましい。
スルホン酸基含有樹脂(QP13)としては、スルホン酸基を有するポリマーであれば特に制限はなく、例えば、スルホン酸基含有ビニルモノマー(Bc)と、必要により疎水基含有ビニルモノマー(Bb)とをビニル重合することで得られる。
疎水基含有ビニルモノマー(Bb)としては、上記と同じものが使用できる。
スルホン酸基含有ビニルモノマー(Bc)としては、例えば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、α-メチルスチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及びこれらの塩が挙げられる。塩としてはアルカリ金属(ナトリウム及びカリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウム及びマグネシウム等)塩、第1~3級アミン塩、アンモニウム塩及び第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
スルホン酸基含有樹脂(QP13)における、(Bc)/(Bb)の仕込みモノマーモル比は、通常10~100/0~90であり、現像性の観点から10~80/20~90が好ましく、25~85/15~75がさらに好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(QP1)のHLB値は、アルカリ可溶性樹脂(QP1)の樹脂骨格によって好ましい範囲が異なるが、4~19が好ましく、5~18がさらに好ましく、6~17が特に好ましい。
HLB値が4以上であれば現像を行う際に、現像性がさらに良好であり、19以下であれば硬化物の耐水性がさらに良好である。
なお、本発明におけるHLB値は、小田法によるHLB値であり、親水性-疎水性バランス値のことであり、有機化合物の有機性の値と無機性の値との比率から計算することができる。
<HLBの評価方法>
HLB≒10×無機性/有機性
また、無機性の値及び有機性の値は、文献「界面活性剤の合成とその応用」(槇書店発行、小田、寺村著)の501頁;又は、「新・界面活性剤入門」(藤本武彦著、三洋化成工業株式会社発行)の198頁に詳しく記載されている。
保護基導入樹脂(QP2)中の酸解離性基としては、置換メチル基、1-置換エチル基、1-分枝アルキル基、シリル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基、アシル基及び環式酸解離性基等を挙げることができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
置換メチル基としては、例えば、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、エトキシメチル基、エチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルチオメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、メチルチオフェナシル基、α-メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、メチルチオベンジル基、エトキシベンジル基、エチルチオベンジル基、ピペロニル基、メトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルメチル基、n-プロポキシカルボニルメチル基、i-プロポキシカルボニルメチル基、n-ブトキシカルボニルメチル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基が挙げられる。
1-置換エチル基としては、例えば、1-メトキシエチル基、1-メチルチオエチル基、1,1-ジメトキシエチル基、1-エトキシエチル基、1-エチルチオエチル基、1,1-ジエトキシエチル基、1-エトキシプロピル基、1-プロポキシエチル基、1-シクロヘキシルオキシエチル基、1-フェノキシエチル基、1-フェニルチオエチル基、1,1-ジフェノキシエチル基、1-ベンジルオキシエチル基、1-ベンジルチオエチル基、1-シクロプロピルエチル基、1-フェニルエチル基、1,1-ジフェニルエチル基、1-メトキシカルボニルエチル基、1-エトキシカルボニルエチル基、1-n-プロポキシカルボニルエチル基、1-イソプロポキシカルボニルエチル基、1-n-ブトキシカルボニルエチル基、1-tert-ブトキシカルボニルエチル基が挙げられる。
1-分枝アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1-メチルブチル基、1,1-ジメチルブチル基が挙げられる。
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、ジエチルメチルシリル基、トリエチルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、ジイソプロピルメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、ジ-tert-ブチルメチルシリル基、トリ-tert-ブチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基等のトリカルビルシリル基が挙げられる。
ゲルミル基としては、例えば、トリメチルゲルミル基、エチルジメチルゲルミル基、メチルジエチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、イソプロピルジメチルゲルミル基、メチルジイソプロピルゲルミル基、トリイソプロピルゲルミル基、tert-ブチルジメチルゲルミル基、ジ-tert-ブチルメチルゲルミル基、トリ-tert-ブチルゲルミル基、ジメチルフェニルゲルミル基、メチルジフェニルゲルミル基、トリフェニルゲルミル基等のトリカルビルゲルミル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基が挙げられる。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p-トルエンスルホニル基、メシル基が挙げられる。
環式酸解離性基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、4-メトキシシクロヘキシル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、3-ブロモテトラヒドロピラニル基、4-メトキシテトラヒドロピラニル基、4-メトキシテトラヒドロチオピラニル基、3-テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド基が挙げられる。
これらの酸解離性基のうち、tert-ブチル基、ベンジル基、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、トリメチルシリル基、tert-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基及びテトラヒドロチオフラニル基が好ましい。
保護基導入樹脂(QP2)における酸解離性基の導入率{保護基導入樹脂(QP2)中の保護されていない酸性官能基と酸解離性基との合計数に対する酸解離性基の数の割合}は、酸解離性基や該基が導入されるアルカリ可溶性樹脂の種類により一概には規定できないが10~100%が好ましく、15~100%がさらに好ましい。
保護基導入樹脂(QP2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は1,000~150,000が好ましく、3,000~100,000がさらに好ましい。
また、保護基導入樹脂(QP2)のMwとゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比(Mw/Mn)は、通常1~10であり、1~5が好ましい。
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づく光酸発生剤(P)の含有量は、0.001~20重量%が好ましく、0.01~15重量%がさらに好ましく、0.05~7重量%が特に好ましい。
0.001重量%以上であれば紫外線に対する感度がさらに良好に発揮でき、20重量%以下であればアルカリ現像液に対し不溶部分の物性がさらに良好に発揮できる。
本発明のフォトグラフィー用樹脂組成物(Q)を用いたレジストは、例えば、所定の有機溶剤に溶解(無機微粒子を含んだ場合は溶解と分散)した樹脂溶液を、スピンコート、カーテンコート、ロールコート、スプレーコート、スクリーン印刷等公知の方法を用いて基板に塗布後、加熱又は熱風吹き付けにより溶剤を乾燥させることで形成することができる。
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)を溶解させる有機溶剤としては、樹脂組成物を溶解させることができ、樹脂溶液をスピンコート等に適用できる物性(粘度等)に調整できるものであれば特に限定されない。例えば、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン等の公知の溶媒が使用できる。
これらの溶剤のうち、乾燥温度等の観点から、沸点が200℃以下のもの(トルエン、エタノール、シクロヘキサノン、メタノール、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン及びキシレン)が好ましく、単独又は2種類以上組み合わせで使用することもできる。
有機溶剤を使用する場合、溶剤の配合量は、特に限定されないが、フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の固形分の重量に基づいて、通常30~1,000重量%が好ましく、40~900重量%がさらに好ましく、50~800重量%が特に好ましい。
塗布後の樹脂溶液の乾燥条件は、使用する溶剤により異なるが好ましくは50~200℃で2~30分の範囲で実施され、乾燥後のフォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の残留溶剤量(重量%)等で適宜決定する。
基板にレジストを形成した後、配線パターン形状の光照射を行う。その後、露光後加熱(PEB)を行った後に、アルカリ現像を行い、配線パターンを形成する。
光照射する方法として、配線パターンを有するフォトマスクを介して活性光線により、レジストの露光を行う方法が挙げられる。光照射に用いる活性光線としては、本発明の
フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)中の該光酸発生剤(P)を分解させることができれば特に制限はない。
活性光線としては、極端紫外線(EUV)、電子線(EB)、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハロゲンランプ、電子線照射装置、X線照射装置、レーザー(アルゴンレーザー、色素レーザー、窒素レーザー、LED、ヘリウムカドミウムレーザー等)等がある。これらのうち、本発明の効果を発揮する上で最も好ましいのは極端紫外線(EUV)及び電子線(EB)である。
露光後加熱(PEB)の温度としては、通常40~200℃であって、50~190℃が好ましく、60~180℃がさらに好ましい。40℃未満では脱保護反応、又は架橋反応が十分にできないため、紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差が不足しパターンが形成できず、200℃より高いと生産性が低下する問題がある。
加熱時間としては、通常0.5~120分であり、0.5分未満では時間と温度の制御が困難で、120分より大きいと生産性が低下する問題がある。
アルカリ現像する方法としては、アルカリ現像液を用いて配線パターン形状に溶解除去する方法が挙げられる。アルカリ現像液としては、フォトグラフィー用樹脂組成物(Q)の紫外線照射部と紫外線未照射部の溶解性に差ができる条件であれば特に制限はない。
アルカリ現像液としては水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウム塩水溶液等がある。
これらアルカリ現像液は水溶性の有機溶剤を加えてもよい。水溶性の有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、N-メチルピロリドン等がある。
現像方法としては、アルカリ現像液を用いたディップ方式、シャワー方式、及びスプレー方式があるが、スプレー方式が好ましい。
現像液の温度は、好ましくは25~40℃で使用される。現像時間は、レジストの厚さに応じて適宜決定される。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
<製造例1>
<(2-メチルフェニル)フェニルセレニドの合成>
2-メチルフェニルブロミド1.0部、フェニルセレノール1.1部、水酸化カリウム0.5部をジメチルアセトアミド10部に分散させ、120℃で5時間攪拌した。ついで室温に冷却後、水30部とジクロロメタン30部を加え、有機層を回収した後、溶剤を減圧除去することで粗生成物を得た。この粗精製物を、シクロヘキサン20部で再結晶することで、(2-メチルフェニル)フェニルセレニド 0.6部を得た。
<製造例2>
<(3、5-ジメチルフェニル)フェニルセレニドの合成>
2-メチルフェニルブロミド1.0部を3、5-ジメチルフェニルブロミド1.0部に変えた以外は製造例1と同様の手法で(3、5-ジメチルフェニル)フェニルセレニド0.5部を得た。
<製造例3>
<(4-メチルフェニル)フェニルセレニドの合成>
2-メチルフェニルブロミド1.0部を4-メチルフェニルブロミド1.0部に変えた以外は製造例1と同様の手法で(4-メチルフェニル)フェニルセレニド0.6部を得た。
<製造例4>
<(3-トリフルオロメチルフェニル)フェニルセレニドの合成>
2-メチルフェニルブロミド1.0部を3-トリフルオロメチルフェニルブロミド1.2部に変えた以外は製造例1と同様の手法で(4-メチルフェニル)フェニルセレニド0.5部を得た。
<製造例5>
<(3-トリフルオロメチルフェニル)フェニルセレノキシドの合成>
製造例4で得られた(3-トリフルオロメチルフェニル)フェニルセレニド1.0部をアセトニトリル18.0部に溶解させ、次亜塩素酸ナトリウム5水和物0.8部、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩0.1部を加えて室温で2時間攪拌した。反応液を水に投入し析出物を濾別して白色固体を得た。この白色固体を水洗し乾燥することで(3-トリフルオロメチルフェニル)フェニルセレノキシド0.8部を得た。
<実施例1>
<トリフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-1)の合成>
ジフェニルセレニド1.0部をクロロベンゼン20部に分散させ、ジフェニルヨードニウムトリフラート1.3部を加えて120℃で17時間攪拌した。反応液を水20部に投入し、冷却後にメタノール20部を加えて水層を抽出回収した。ついで水層にジクロロメタン10部を加えて有機層を抽出回収した後、溶剤を減圧乾燥することでトリフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-1)0.5部を得た。
<実施例2>
<(4-ブロモフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-2)の合成>
ジフェニルヨードニウムトリフラート1.3部をビス(4-ブロモフェニル)ヨードニウムトリフラート1.7部に変え、反応時間を48時間にした以外は実施例1と同様の手法で(4-ブロモフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-2)0.4部を得た。
<実施例3>
<(4-tert-ブチルフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-3)の合成>
ジフェニルヨードニウムトリフラート1.3部をビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフラート1.5部に変えた以外は実施例1と同様の手法で(4-tert-ブチルフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-3)0.5部を得た。
<実施例4>
<(4-フルオロフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-4)の合成>
ジフェニルヨードニウムトリフラート1.3部をビス(4-フルオロフェニル)ヨードニウムトリフラート1.4部に変え、反応時間を48時間にし、反応溶媒をN、N-ジメチルアセトアミドにした以外は実施例1と同様の手法で(4-フルオロフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-4)0.3部を得た。
<実施例5>
<(4-メトキシフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-5)の合成>
ジフェニルヨードニウムトリフラート1.3部をビス(4-メトキシフェニル)ヨードニウムトリフラート1.5部に変えた以外は実施例1と同様の手法で(4-メトキシフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-5)0.5部を得た。
<実施例6>
<(3-トリフルオロメチルフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-6)の合成>
製造例5で得られた(3-トリフルオロメチルフェニル)フェニルセレノキシド1.0部をジクロロメタン20部とベンゼン20部の混合溶媒に溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物1.2部を0℃以下で滴下した。
反応液を水50部に投入してクエンチし、メタノール30部を加えて抽出を行った。
更に水30部とメタノール20部で3回抽出した。抽出した水メタノール層をトルエン20部で2回洗浄し、ジクロロメタン20部で3回抽出した。
ジクロロメタン層をTBME(tert-ブチルメチルエーテル)200部に投入し、析出した粘調物を減圧乾燥することで(3-トリフルオロメチルフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-6)0.2部を得た。
<実施例7>
<(2-メチルフェニル)ジフェニルセレノニウムノナフラート(P-2-1)の合成>
ジフェニルセレニド1.0部を製造例1で得られた(2-メチルフェニル)フェニルセレニド1.0部に変えた以外は実施例1と同様の手法で生成物0.5部を得た。
得られた(2-メチルフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート0.5部をジクロロメタン10部に溶解し水10部とノナフルオロブタンスルホン酸カリウム0.4部を加え30分撹拌した。水層を除去し、水10部を加えて水洗を3回行った。ジクロロメタン層を減圧乾燥することで(2-メチルフェニル)ジフェニルセレノニウムノナフラート(P-2-1)0.6部を得た。
<実施例8>
<(3、5-メチルフェニル)ジフェニルセレノニウムノナフラート(P-2-2)の合成>
ジフェニルセレニド1.0部を製造例2で得られた(3、5-メチルフェニル)フェニルセレニド1.0部に変えた以外は実施例1と同様の手法で(3、5-メチルフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート0.6部を得た。
得られた(3、5-メチルフェニル)ジフェニルセレノニウムトリフラート0.6部をジクロロメタン12部に溶解し水10部とノナフルオロブタンスルホン酸カリウム0.5部を加え30分撹拌した。水層を除去し、水10部を加えて水洗を3回行った。ジクロロメタン層を減圧乾燥することで(3、5-メチルフェニル)ジフェニルセレノニウムノナフラート(P-2-2)0.7部を得た。
<実施例9>
<(4-tert-ブチルフェニル)(4-メチルフェニル)フェニルセレノニウムノナフラート(P-2-3)の合成>
ジフェニルセレニド1.0部を製造例3で得られた(4-メチルフェニル)フェニルセレニド1.0部にジフェニルヨードニウムトリフラート1.3部をビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフラート1.5部に変えた以外は実施例1と同様の手法で(4-tert-ブチルフェニル)(4-メチルフェニル)フェニルセレノニウムトリフラート0.5部を得た。
得られた(4-tert-ブチルフェニル)(4-メチルフェニル)フェニルセレノニウムトリフラート0.5部をジクロロメタン12部に溶解し水10部とノナフルオロブタンスルホン酸カリウム0.4部を加え30分撹拌した。水層を除去し、水10部を加えて水洗を3回行った。ジクロロメタン層を減圧乾燥することで(4-tert-ブチルフェニル)(4-メチルフェニル)フェニルセレノニウムノナフラート(P-2-3)0.6部を得た。
<実施例10>
<トリフェニルセレノニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(P-2-4)の合成>
実施例1で得られたトリフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-1)1.0部をジクロロメタン20部に溶解し、リチウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート-エチルエーテルコンプレックス(TCI(株)製)2.2部と水10部を加えて1時間撹拌した。水層を除去した後、水10部とメタノール5部を加えて水洗を3回行った。ジクロロメタン層を減圧濃縮しメタノール20部を加えて再度濃縮した。濃縮後のメタノール層を水50部へ投入することで沈殿物が得られ、これをろ過、減圧乾燥することでトリフェニルセレノニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート(P-2-4)1.8部を得た。
<実施例11>
<トリフェニルセレノニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド(P-2-5)の合成>
実施例1で得られたトリフェニルセレノニウムトリフラート(P-1-1)1.0部をジクロロメタン20部に溶解し、カリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド(TCI(株)製)1.1部と水20部を加えて1時間撹拌した。水層を取り除き、水20部を加えて水洗を行った。ジクロロメタン層を減圧濃縮し、TBME150部へ投入することで沈殿物が得られ、これをろ過、減圧乾燥することでトリフェニルセレノニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド(P-2-5)1.3部を得た。
実施例1~11で得られた光酸発生剤(P-1-1)~(P-2-5)の構造を以下に記載した。
Figure 2022118776000005
<比較例1>
<イオン系光酸発生剤(P’-1)の合成>
トリフェニルスルホニウムトリフラート(富士フィルムワコーケミカル(株)製)をそのまま使用した。
<比較例2>
<イオン系光酸発生剤(P’-2)の合成>
特許番号4934306の実施例1にしたがって、(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフラート(P’-2)を得た。
Figure 2022118776000006
<比較例3>
<イオン系光酸発生剤(P’-3)の合成>
特開2014-234348の実施例6にしたがって、(3-トリフルオロメチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフラート(P’-3)を得た。
Figure 2022118776000007
<比較例4>
特開2014-234348の実施例1と同様の手法で4-クロロブロモベンゼンとジフェニルスルホキシドを反応、精製し4-クロロフェニルジフェニルスルホニウムトリフラートを得た。
得られた4-クロロフェニルジフェニルスルホニウムトリフラート5部をアセトニトリル40部に溶解しフェニルセレノール2部、50%水酸化カリウム水溶液2.6部を加えて50℃で10時間加熱した。
反応液にジクロロメタン50部及び水50部を加え、析出物をろ過により除去した。
ろ液にクロロホルム120部、トルエン50部を加えて分液洗浄し、クロロホルム層を減圧濃縮することで(4-フェニルセレノフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフラート(P‘-4)を得た。
Figure 2022118776000008
<比較例5>
比較例1で使用したトリフェニルスルホニウムトリフラート5部をジクロロメタン50部に溶解し、カリウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド(TCI(株)製)6部と水50部を加えて1時間撹拌した。水層を取り除き、水30部を加えて水洗を行った。ジクロロメタン層を減圧濃縮し、TBME150部へ投入することで沈殿物が得られ、これをろ過、減圧乾燥することでトリフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド(P‘-5)を得た。
Figure 2022118776000009
<感度評価>
以下に示す方法で、感度を測定・評価した。
(試料溶液の調整)
本発明の光酸発生剤(P)を重量比で20倍の感光性樹脂(ポリヒドロキシスチレンとt-ブトキシアクリレートの共重合物)と混合し、光酸発生剤のモル濃度が2.0mMとなるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解した。
(製膜)
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を行った基盤上にスピンコーターを用いて試料溶液を展開し、130℃、60秒間の加熱により溶剤を除去することで約50nmの膜厚に製膜した。
(露光)
製膜したサンプルを兵庫県立大学ニュースバル放射光施設のBL-3に投入し、13.5nmの放射光を照射した。
(現像)
露光後のサンプルを110℃で90秒間加熱し、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38%水溶液を用いて60秒間現像、流水にて30秒間リンスを行った。
(感度)
露光後のサンプルを顕微鏡で測定し、レジスト膜が完全に除去されるための最低露光量を確認した(膜抜け感度)。
放射光の日差による影響を排除するため、以下同日に測定した比較例P‘-1の感度を1としたときの相対感度を、以下の基準で評価した。

比較例P‘-1の感度を1としたとき感度1以上:×
比較例P‘-1の感度を1としたとき感度1未満0.75以上:△
比較例P‘-1の感度を1としたとき感度0.75未満0.5以上:〇
比較例P‘-1の感度を1としたとき感度0.5未満:◎
実施例1~11で作成した光酸発生剤(P-1-1)~(P-2-5)、及び比較例1~5で作成した光酸発生剤(P‘-1)~(P‘-5)の感度を前述した方法で測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2022118776000010
表1に示すように本発明のセレノニウム塩の光酸発生剤(P)は従来のスルホニウム塩のものよりもEUVに対して高感度を示すことがわかる。
本発明の光酸発生剤(P)はEUV又はEBに対する高い感度を有しているため、半導体の製造に代表される微細加工用のフォトリソグラフィー材料として有用である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるセレノニウム塩を含有することを特徴とする光酸発生剤(P)。
    Figure 2022118776000011
    [式(1)中、X1、X2及びX3はそれぞれ独立にハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1~18のアルキル基、炭素数1~18のアルコキシ基、炭素数6~14のアリール基、炭素数6~14のアリールオキシ基、炭素数6~14のアリールチオ基、又は炭素数6~14のアリールセレノ基(これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基及びアリールセレノ基の水素原子は一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)であり、y1、y2及びy3は互いに独立に0~5であり、Aは一価のアニオンである。]
  2. 一般式(1)において、X1、X2及びX3がハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、又は炭素数6~10のアリール基(これらのアルキル基及びアリール基の水素原子は一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい)である請求項1に記載の光酸発生剤(P)。
  3. 一般式(1)において、X1、X2及びX3がF、CF,C、C、C、又はCである請求項1に記載の光酸発生剤(P)。
  4. 極端紫外線(EUV)又は電子線(EB)向けである請求項1~3のいずれかに記載の光酸発生剤(P)。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の光酸発生剤(P)を含むフォトリソグラフィー用樹脂組成物(Q)。
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