以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
(実施の形態)
[全館空調システムの構成]
以下、本実施の形態に係る全館空調システム10の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係る全館空調システム10の概略構成を示す図である。図2は、本実施の形態に係る全館空調システム10の機能構成を示すブロック図である。
図1及び図2が示すように、全館空調システム10は、1台の空調装置21を用いて、施設90内の複数の部屋90a~90cの温度を調整することができるシステムである。複数の部屋の数は特に限定されない。全館空調システム10は、全館空調装置20と、外気取入ファン30と、内気取入ファン40と、加湿装置50と、複数の温度センサ60と、制御装置80とを備える。全館空調装置20、外気取入ファン30、内気取入ファン40、加湿装置50、及び、複数の温度センサ60のそれぞれは、制御装置80と通信する機能を有する。
全館空調装置20は、施設90の外から取り入れた空気(外気)、又は、施設90の中から取り入れた空気(内気)の温度を調整して複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送することにより、複数の部屋90a~90cの温度を制御する。全館空調装置20は、空調装置21と、エアフィルタ22と、搬送装置23とを備える。
空調装置21は、いわゆるエアーコンディショナである。空調装置21は、制御装置80の制御に基づいて、空気を吸引して、この吸引した空気の温度を調整する。さらに、空調装置21は、制御装置80の制御に基づいて、温度が調整された空気を吹出す。なお、空調装置21が吸引する空気は、施設90の外から取り入れた空気、又は、施設90の中から取り入れた空気である。また、空調装置21は、センサなどにより、空調装置21が吸引した空気の温度である吸気温度を計測する。
エアフィルタ22は、全館空調装置20内に取り入れられた空気(外気又は内気)を濾過する。エアフィルタ22としては、例えば、HEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどが例示される。
搬送装置23は、制御装置80の制御に基づいて、空調装置21によって温度が調整され吹出された空気であってエアフィルタ22を通過した空気を複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送する。搬送装置23は、搬送ファン23aと、分岐チャンバ23bと、複数のVAV(Variable Air Volume)ダンパ23cと、複数の送風口23dとを備える。搬送装置23は、1つの部屋に対して、VAVダンパ23c、及び、送風口23dを1組備える。
搬送装置23において、分岐チャンバ23bは、複数の部屋90a~90cのそれぞれに向けて分岐された複数の空気の搬送路を含む。VAVダンパ23cは、分岐チャンバ23bに含まれる複数の空気の搬送路のそれぞれに設けられる。
外気取入ファン30は、制御装置80の制御に基づいて、施設90の外の空気を施設90内に取り入れて全館空調装置20に搬送する。
内気取入ファン40は、制御装置80の制御に基づいて、施設90の内の空気(より詳細には、施設90内の部屋90a~90cを含む施設90内を循環した空気)を内気取入ファン40が有する内気取入れ口から取入れ、全館空調装置20に搬送する。内気取入ファン40によって全館空調装置20に搬送される空気は、加湿装置50によって湿度が調整されていてもよい。
なお、図1及び図2では、内気取入ファン40を用いて、全館空調装置20に取り入れる構成を記載しているが、本構成例は一例である。全館空調システム10は、内気取入ファン40を備えず、搬送ファン23aにより発生する気圧差で施設90内の空気を取入れる構成としても良い。
加湿装置50は、施設90の内の空気(より詳細には、施設90内の部屋90a~90cを含む施設90内を循環した空気)の湿度を上昇させる。
また、図1及び図2では、加湿装置50は、空調装置21の吸込み側に設置される例が記載されているが、エアフィルタ22の下部など、空調装置21の吹出口より下側に設置される構成でもよい。このように構成することで、加湿を使用する暖房時に、温められた空気を加湿することが可能となり、効率的な加湿を実行できる。
温度センサ60は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに1つずつ配置され、当該温度センサ60が配置された部屋の中の温度である部屋温度を計測する。温度センサ60は通信機能を有し、計測された部屋温度を示す温度データを制御装置80に送信することができる。
制御装置80は、全館空調装置20(つまりは、空調装置21、エアフィルタ22及び搬送装置23)と、外気取入ファン30と、内気取入ファン40と、加湿装置50とを制御する制御装置である。制御装置80は、操作受付部81と、制御部82と、記憶部83と、通信部84とを備える。
操作受付部81は、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェース部である。操作受付部81は、例えば、タッチパネルによって実現されるが、タッチパネル以外に、ハードウェアボタンを含んでもよい。なお、図示されないが、制御装置80は、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルによって実現される表示部を備え、操作受付部81及び表示部はGUI(Graphical User Interface)を構成してもよい。
制御装置80は、操作受付部81を通じて、複数の部屋90a~90cのそれぞれの設定温度(言い換えれば、目標温度)である第1設定温度を設定可能と構成してもよい。
制御部82は、通信部84に制御信号を送信させることにより、全館空調装置20、外気取入ファン30、内気取入ファン40、及び、加湿装置50を制御する。また、制御部82は、空調装置21の設定温度である第2設定温度を決定する。制御部82は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサによって実現されてもよい。
記憶部83は、制御部82が実行する制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部83は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
通信部84は、制御装置80が局所通信ネットワークを介して、外気取入ファン30、内気取入ファン40、加湿装置50、及び、温度センサ60のそれぞれと通信を行うための通信モジュール(通信回路)である。通信部84によって行われる通信は、例えば、無線通信であるが、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても、例えば、ECHONET Lite(登録商標)などの規格であってもよいが、特に限定されない。
[動作例1]
次に、全館空調システム10の動作例1について説明する。
図3は、全館空調システム10の動作例1のフローチャートである。
まず、制御装置80の操作受付部81は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの設定温度である第1設定温度を指示する操作を受付ける(S10)。第1設定温度は、記憶部83に記憶される。例えば、操作受付部81は、ユーザから上記操作を受付ける。第1設定温度は、このユーザにとって快適な温度の一例である。
次に、通信部84は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに配置された温度センサ60から、当該部屋の現在における部屋温度を示す温度データを取得する(S20)。取得された温度データは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの現在の部屋温度を示す温度情報として記憶部83に記憶される。
次に、制御部82は、記憶部83に記憶されている複数の部屋90a~90cのそれぞれの第1設定温度と部屋温度とに基づいて、空調強度を決定する(S30)。
ステップS30では、まず、制御部82は、第1設定温度と部屋温度とに基づいて、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける不足空調温度T1を決定する。不足空調温度T1は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおいて不足している温度を示す。換言すると、不足空調温度T1は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの温度が第1設定温度となるために必要な温度を示す。不足空調温度T1は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおいて、決定される。つまり一例として、1つの部屋における不足空調温度T1は、当該1つの部屋における第1設定温度と、当該1つの部屋における部屋温度とに基づいて決定される。
ここでは、不足空調温度T1は、第1設定温度と部屋温度との差である。より具体的には、不足空調温度T1は、空調装置21が暖房運転する場合には下記の式(1)を、空調装置21が冷房運転する場合には下記の式(2)を満たす。
(1) 不足空調温度T1 = 第1設定温度 - 部屋温度
(2) 不足空調温度T1 = 部屋温度 - 第1設定温度
なお、ここでは、不足空調温度T1は、第1設定温度と部屋温度との差であるが、これに限られない。例えば、不足空調温度T1は、第1設定温度と部屋温度との差のべき乗、又は、第1設定温度のべき乗と部屋温度のべき乗との差などであってもよい。また、不足空調温度T1は、第1設定温度と部屋温度とを用いた算術演算によって求められる値ではなく、第1設定温度と部屋温度とを用いて、予め設けられた数値テーブルから得られる値でもよい。
さらに、本実施の形態においては、不足空調温度T1は、負荷点Sと対応付けられている。表1は、不足空調温度T1と負荷点Sとの対応を示す表である。
この表は、予め記憶部83に記憶されている。制御部82は、表1を参照して、負荷点Sを決定する。また、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける不足空調温度T1が決定されているため、これに対応して、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける負荷点Sが定まる。なお、表1では負荷点Sは5段階であるが、これに限られない。
ステップS30では、次に、制御部82は、負荷点Sに基づいて空調強度を決定する。なお、空調強度は第2設定温度の決定に用いられるため、ここでは、空調強度の単位は℃である。制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける負荷点Sを平均した値(負荷点Sの平均値)又は合計した値(負荷点Sの合計値)に基づいて空調強度を決定するとよい。例えば、部屋90aにおける負荷点Sと、部屋90bにおける負荷点Sと、部屋90cにおける負荷点Sとの平均値又は合計値が用いられる。ここでは、負荷点Sの平均値が用いられる。
例えば、負荷点Sの平均値が1以上1.5未満である場合に、空調強度が0℃となる。同様に、負荷点Sの平均値が1.5以上2未満である場合に、空調強度が1℃となる。負荷点Sの平均値が2以上3未満である場合に、空調強度が2℃となる。負荷点Sの平均値が3以上4未満である場合に、空調強度が3℃となる。負荷点Sの平均値が4以上4.5未満である場合に、空調強度が4℃となる。負荷点Sの平均値が4.5以上5以下である場合に、空調強度が5℃となる。
なお、1つの温度センサ60と複数の送風口23dとが設けられた大きな部屋が存在する場合、送風口23d毎に仮想的な複数の部屋が存在するとして、負荷点Sの平均値又は合計値が計算されてもよい。例えば、1個の部屋に3個の送風口23dが設けられ、その部屋の負荷点Sが2の場合、負荷点Sの平均値又は合計値が計算されるときに、仮想的に負荷点Sが2の部屋が3部屋あったものとして計算が行われる。このことによって、部屋の大きさに差異がある場合でも、制御部82は、適切な空調強度を決定することができる。
つまり、空調強度は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの第1設定温度と部屋温度とに基づいて決定され、換言すると、不足している温度を示す不足空調温度T1に基づいて決定される。また、空調強度は、不足空調温度T1に対応した温度であるともいえる。
なお、ステップS30では、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送される空気量と、空調装置21の風量と、搬送ファン23aの出力と、複数のVAVダンパ23cの開度とを決定するとよい。
ステップS30で、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送される空気量を決定する。具体的には、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれについて、当該部屋における第1設定温度と部屋温度との差、及び、当該部屋の大きさに基づいて、当該部屋に対する空気量を決定する。空気量は、部屋の大きさが同一であれば、第1設定温度と部屋温度との差が大きい部屋ほど多くなる。また、空気量は、第1設定温度と部屋温度との差が等しければ、大きい部屋ほど多くなる。空気量の決定には、例えば、既存の全館空調システムで用いられるアルゴリズムなどが用いられる。なお、複数の部屋90a~90cの大きさを示す情報は、予め記憶部83に記憶されている。
また、部屋の大きさに応じて、部屋に設置される送風口23dの数を変更し、当該部屋に対する空気量は、送風口23dの数に応じて決定されるように構成してもよい。
ステップS30で、制御部82は、空調装置21の風量を決定する。ここで、空調装置21が吹出す風量は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送される空気量の合計と等しいか、又は、当該空気量の合計を下回る値となるように決定される。空調装置21が吹出す風量が当該空気量の合計を下回る場合、足りない分は気圧差により内気取入れ口を通じて全館空調装置20内に取り入れられ、搬送装置23によって複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送される。
ステップS30で、制御部82は、負荷点Sに基づいて、搬送ファン23aの出力、及び、複数のVAVダンパ23cの開き度合いを示す開度を決定する。
制御部82は、負荷点Sの平均値に基づいて搬送ファン23aの出力を決定する。例えば、負荷点Sの平均値が1以上1.5未満である場合に、搬送ファン23aの出力が20%となる。なお、搬送ファン23aの出力が最も高い状態を100%とする。同様に、負荷点Sの平均値が1.5以上2未満である場合に、搬送ファン23aの出力が40%となる。負荷点Sの平均値が2以上3未満である場合に、搬送ファン23aの出力が60%となる。負荷点Sの平均値が3以上4未満である場合に、搬送ファン23aの出力が80%となる。負荷点Sの平均値が4以上5以下である場合に、搬送ファン23aの出力が100%となる。なお、制御部82は、負荷点Sの合計値に基づいて搬送ファン23aの出力を決定してもよい。
さらに、制御部82は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおける負荷点Sに基づいて複数のVAVダンパ23cのそれぞれの開度を決定する。ここでは、制御部82は、1つの部屋における負荷点Sに基づいて、当該1つの部屋におけるVAVダンパ23cの開度を決定する。例えば、負荷点Sが1である場合に、VAVダンパ23cの開度が4%となる。なお、VAVダンパ23cが全開の状態を開度100%とする。同様に、負荷点Sが2である場合に、VAVダンパ23cの開度が30%となる。負荷点Sが3である場合に、VAVダンパ23cの開度が60%となる。負荷点Sが4である場合に、VAVダンパ23cの開度が80%となる。負荷点Sが5である場合に、VAVダンパ23cの開度が100%となる。なお、制御部82は、負荷点S及び複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送される空気量に基づいて、搬送ファン23aの出力及び複数のVAVダンパ23cの開度を決定してもよい。
そして、通信部84は、空調装置21から、空調装置21が吸引した空気の温度である吸気温度を取得する(S40)。取得された吸気温度は、記憶部83に記憶される。
さらに、制御部82は、ステップS30で決定された空調強度と、記憶部83に記憶されている吸気温度とに基づいて、空調装置21の第2設定温度を決定する(S50)。なお、空調強度は第1設定温度と部屋温度とに基づいて決定されるため、制御部82は、第1設定温度と部屋温度と吸気温度とに基づいて第2設定温度を決定するとも言える。このステップS50が決定ステップに相当する。
ここでは、制御部82は、以下のように、第2設定温度を決定する。空調装置21が暖房運転する場合は、制御部82は、吸気温度及び空調強度の和を第2設定温度として決定する。また、空調装置21が冷房運転する場合は、制御部82は、吸気温度及び空調強度の差を第2設定温度として決定する。
つまり、第2設定温度は、空調装置21が暖房運転する場合は下記の式(3)を、空調装置21が冷房運転する場合は下記の式(4)を満たす。
(3) 第2設定温度 = 吸気温度 + 空調強度
(4) 第2設定温度 = 吸気温度 - 空調強度
上記の通り、空調強度は、第1設定温度と部屋温度とに基づいて決定され、つまりは、不足空調温度T1に基づいて決定されている。
よって、暖房運転においては、第2設定温度は、吸気温度に、不足空調温度T1に基づく空調強度が加えられた温度である。また、冷房運転においては、第2設定温度は、吸気温度から、不足空調温度T1に基づく空調強度が差し引かれた温度である。
そして、制御部82は、ステップS50で決定された第2設定温度に基づいて、空調装置21を制御する(S60)。具体的には、制御部82は、空調装置21の設定温度として、第2設定温度を設定する。ここでは、制御部82は、通信部84に空調装置21へ制御信号を送信させる。このステップS60が制御ステップに相当する。
また、ステップS60ではさらに、制御部82は、ステップS30で決定された空調装置21の風量と搬送ファン23aの出力と複数のVAVダンパ23cの開度とに基づいて、空調装置21と搬送ファン23aと複数のVAVダンパ23cを制御する。制御部82は、決定された風量となるように、通信部84に空調装置21へ制御信号を送信させる。制御部82は、決定された出力となるように、通信部84に搬送ファン23aへ制御信号を送信させる。制御部82は、決定された開度となるように、通信部84に複数のVAVダンパ23cへ制御信号を送信させる。
さらに、制御部82は、ステップS60の処理が行われてから所定時間が経過したか否かを判断する(S70)。所定時間(例えば10分間)が経過していなければ(ステップS70でno)、ステップS70の処理が繰り返される。また、所定時間が経過していれば(ステップS70でyes)、ステップS10から処理が繰り返される。
図3が示す処理が行われた結果、空調装置21から吹出す空気の温度は、第2設定温度と風量とに基づき空調装置21が動作することで決定される。なお、第2設定温度は、上記の式(3)又は式(4)のように決定されている。つまり、本実施の形態に係る暖房運転では、空調装置21が吸引した空気は、空調強度に対応して加熱され、つまりは不足空調温度T1に対応して加熱されて、空調装置21から吹出す空気となる。また、本実施の形態に係る冷房運転では、空調装置21が吸引した空気は、空調強度に対応して冷却され、つまりは不足空調温度T1に対応して冷却されて、空調装置21から吹出す空気となる。さらに、加熱され又は冷却され、かつ、吹出された空気が、複数の部屋90a~90cに搬送される。
再度、従来の全館空調システムの課題について詳細を説明する。ここでは、従来の全館空調システムの空調装置が暖房運転する例で説明する。
従来の全館空調システムにおいては、第1設定温度と部屋温度とから、空調装置に設定する(目標)温度である第2設定温度が決定される。例えば、ある部屋の第1設定温度が部屋温度よりも高く、かつ、内気取入れ口付近の温度が高く、空調装置の吸気温度と第2設定温度とが同じ温度である場合がある。この場合、部屋温度が第1設定温度に達していないにもかかわらず、吸気温度と第2設定温度とが同じ温度であるため、空調装置が吸引した空気は、加熱されない。さらに、この加熱されない空気が空調装置から吹出され、複数の部屋に搬送される。このため、第1設定温度に達していない部屋の空気は十分に暖められず、当該部屋の部屋温度は、第1設定温度に到達しない。つまり、複数の部屋90a~90cにおける部屋温度は、ユーザにとって快適な温度とならない。
しかしながら、本実施の形態においては、設定温度と部屋温度と吸気温度とから、吹出す空気の温度である第2設定温度が決定される。そのため、空調装置21が暖房運転する場合には、空調装置21が吸引した空気は、第1設定温度と部屋温度とに基づく不足空調温度T1(より具体的には、空調強度)に対応して加熱されて、空調装置21から吹出す空気となる。したがって、不足空調温度T1に対応して加熱された空気、つまりは、複数の部屋90a~90cのそれぞれに必要な温度の空気が搬送される。これにより、複数の部屋90a~90cにおける部屋温度は、第1設定温度に到達し、ユーザにとって快適な温度となる。
なお、本実施の形態においては、空調装置21が冷房運転する例でも同様に、複数の部屋90a~90cにおける部屋温度は、ユーザにとって快適な温度となる。空調装置21が吸引した空気は、不足空調温度T1(より具体的には、空調強度)に対応して冷却されて、空調装置21から吹出す空気となる。したがって、不足空調温度T1に対応して冷却された空気、つまりは、複数の部屋90a~90cのそれぞれに必要な温度の空気が搬送される。これにより、複数の部屋90a~90cにおける部屋温度は、第1設定温度に到達し、ユーザにとって快適な温度となる。
[動作例2]
次に、全館空調システム10の動作例2について説明する。動作例2では、上記の空調強度を補正する補正温度が用いられる。
図4は、全館空調システム10の動作例2のフローチャートである。動作例2においては、主に、動作例1と相違する点について説明する。また、動作例1においてステップS70からステップS10へ戻り処理が繰り返されるのと同じく、動作例2においても、処理が繰り返される。
まず、制御装置80の操作受付部81は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの現在における第1設定温度を指示する操作を受付ける(S11)。現在における第1設定温度は、記憶部83に記憶される。なお、動作例2における「現在」とは、第2時刻の一例である。
次に、通信部84は、複数の部屋90a~90cのそれぞれに設置された温度センサ60から、当該部屋の現在における部屋温度を示す温度データを取得する(S21)。取得された温度データは、複数の部屋90a~90cのそれぞれの現在の部屋温度を示す温度情報として記憶部83に記憶される。
次に、制御部82は、記憶部83に記憶されている第1設定温度と部屋温度とに基づいて、現在における空調強度を決定する(S31)。ステップS31においては、ステップS30と同様の処理が行われるとよい。
ここで、上記の通り、動作例2は処理が繰り返されているので、記憶部83には、過去における第1設定温度及び過去における部屋温度も記憶されている。ここで、過去とは、第1時刻の一例である。上記の通り、現在とは、第1時刻より後の時刻である第2時刻の一例である。ここでは、第2時刻(現在)は、例えば、第1時刻(過去)より10分後の時刻であるがこれに限られない。
さらに、制御部82は、過去における部屋温度及び現在における部屋温度の差と、現在における部屋温度及び現在における第1設定温度の差とに基づいて、現在における補正温度を決定する(S80)。
現在における部屋温度及び現在における第1設定温度の差とは、動作例1で示した不足空調温度T1である。上記の通り、不足空調温度T1は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおいて、決定される。複数の部屋90a~90cにおける不足空調温度T1のうち、最も値が大きい不足空調温度T1を、不足空調温度T1MAXとする。
ここで、過去における部屋温度及び現在における部屋温度の差を、部屋変化温度T2とする。より具体的には、部屋変化温度T2は、現在における部屋温度から、過去における部屋温度を差し引いた値である。部屋変化温度T2は、複数の部屋90a~90cのそれぞれにおいて、決定される。つまり、1つの部屋での現在における部屋温度から、当該1つの部屋での過去における部屋温度を差し引いた値が、当該1つの部屋での部屋変化温度T2である。
ステップS80では、制御部82は、不足空調温度T1MAXと、不足空調温度T1MAXを示した1つの部屋の部屋温度変化T2(以下、当該部屋の部屋温度変化T2と記載)とに基づいて、補正温度を決定する。
補正温度は、不足空調温度T1MAX及び当該部屋の部屋温度変化T2に対応付けられている。表2は、空調装置21が暖房運転する場合の、補正温度と、不足空調温度T1MAX及び当該部屋の部屋温度変化T2との対応を示す表である。表3は、空調装置21が冷房運転する場合の、補正温度と、不足空調温度T1MAX及び当該部屋の部屋温度変化T2との対応を示す表である。表2及び表3が示す表は、予め記憶部83に記憶されている。制御部82は、表2及び表3を参照して、補正温度を決定する。
一例として、第1所定値は0.3℃であり、第2所定値は0℃であり、第3所定値は0.1℃であり、第4所定値は0.1℃であるがこれに限られない。
さらに、空調装置21が暖房運転するときの条件である条件1及び条件2について説明する。
条件1では、不足空調温度T1MAXが第1所定値(例えば、0.3℃)よりも大きいため、当該部屋の部屋温度が第1設定温度に到達していない。また、当該部屋の部屋温度変化T2が第2所定値(例えば0℃)よりも小さいため、現在の部屋温度が、過去の部屋温度から第2所定値(例えば0℃)を超える温度上昇していない(例えば現在の部屋温度が過去の部屋温度よりも低くなっている)ことを示している。つまり、条件1とは、不足空調温度T1MAXを示した1つの部屋が十分に暖められていない場合である。
条件2では、不足空調温度T1MAXが第3所定値(例えば、0.1℃)よりも小さいため、当該部屋の部屋温度が第1設定温度に十分近づいている。また、当該部屋の部屋温度変化T2が第4所定値(例えば、0.1℃)よりも大きいため、現在の部屋温度が過去の部屋温度よりも、第4所定値(例えば、0.1℃)を超えて高くなっている。つまり、条件2とは、不足空調温度T1MAXを示した1つの部屋が十分に暖められている場合である。
また、空調装置21が冷房運転するときの条件である条件3及び条件4について説明する。
条件3では、不足空調温度T1MAXが第1所定値(例えば、0.3℃)よりも大きいため、当該部屋の部屋温度が第1設定温度に到達していない。また、当該部屋の部屋温度変化T2が第2所定値(例えば0℃)よりも大きいため、現在の部屋温度が、過去の部屋温度から第2所定値(例えば0℃)を超える温度下降していない。つまり、条件3とは、不足空調温度T1MAXを示した1つの部屋が十分に冷やされていない場合である。
条件4では、不足空調温度T1MAXが第3所定値(例えば、0.1℃)よりも小さいため、当該部屋の部屋温度が第1設定温度に十分近づいている。また、当該部屋の部屋温度変化T2が第4所定値(例えば、0.1℃)よりも小さいため、現在の部屋温度が過去の部屋温度より、第4所定値(例えば、0.1℃)を超えて低くなっている。つまり、条件4とは、不足空調温度T1MAXを示した1つの部屋が十分に冷やされている場合である。
上記の通り、動作例2は処理が繰り返されているので、記憶部83には、過去における補正温度も記憶されている。つまり、ステップS80では、制御部82は、例えば条件1においては、過去における補正温度に1℃加えた温度を、現在における補正温度として決定する。同様に、条件2においては過去における補正温度から1℃差し引いた温度を、条件3においては過去における補正温度から1℃加えた温度を、条件4においては過去における補正温度から1℃差し引いた温度を、それぞれ現在における補正温度として決定する。
そして、通信部84は、空調装置21から、現在における吸気温度を取得する(S41)。取得された第1時刻における吸気温度は、記憶部83に記憶される。
さらに、制御部82は、補正温度によって補正された空調強度と、吸気温度とに基づいて、第2設定温度を決定する(S51)。つまり、制御部82は、ステップS80で決定された現在における補正温度と、ステップS31で決定された現在における空調強度と、記憶部83に記憶されている現在における吸気温度とに基づいて、現在における第2設定温度を決定する。
ここでは、第2設定温度は、空調装置21が暖房運転する場合は下記の式(5)を、空調装置21が冷房運転する場合は下記の式(6)を満たす。
(5) 第2設定温度 = 吸気温度 + (空調強度+補正温度)
(6) 第2設定温度 = 吸気温度 - (空調強度+補正温度)
ここで、一例として、不足空調温度T1MAXを示した1つの部屋が十分に暖められていない場合(条件1に該当)について説明する。条件1においては、過去における補正温度に1℃加えた温度が、現在における補正温度として用いられる。つまり、条件1においては、式(5)が示す第2設定温度が上昇するように、ステップS80で現在における補正温度が決定される。
そして、制御部82は、ステップS51で決定された第2設定温度に基づいて、空調装置21を制御する(S61)。ステップS61においては、ステップS60と同様の処理が行われるとよい。
さらに、制御部82は、ステップS61の処理が行われてから所定時間が経過したか否かを判断する(S71)。所定時間(例えば10分間)が経過していなければ(ステップS71でno)、ステップS71の処理が繰り返される。
また、所定時間が経過していれば(ステップS71でyes)、ステップS11から処理が繰り返される。ステップS11から処理が繰り返された場合には、繰り返されたステップS11が開始される時刻を新たな「現在」とし、処理が繰り返される度にステップS80で補正温度が更新される。なお、補正温度は、一例として、-1℃以上+2℃以下の範囲となるように、更新されるとよいがこれに限られない。
動作例2が示す補正温度が用いられる効果について説明する。
動作例1においては、空調強度は、不足空調温度T1に基づいて決定される。そのため、不足空調温度T1が小さくなるほど、空調強度が弱くなるように、つまりは空調強度の値が小さくなるように、空調強度が決定される。例えば、空調装置21が暖房運転する場合に、空調強度の値が小さくなると、第2設定温度が低くなる。この結果、複数の部屋90a~90cの部屋温度が第1設定温度に到達し難くなることがある。
しかし、動作例2が示す補正温度が用いられることで、不足空調温度T1が小さくなり、つまりは、空調強度が弱くなってしまっても、補正温度によって空調強度が補正される。これにより、第2設定温度が低くなることが防がれ、この結果、複数の部屋90a~90cの部屋温度が第1設定温度に到達しやすくなる。
[変形例1]
以下、変形例1に係る全館空調システム10aの構成について説明する。
図5は、変形例1に係る全館空調システム10aの概略構成を示す図である。
図5が示すように、全館空調システム10aは、全館空調装置20に代えて全館空調装置20aを備える。全館空調装置20aは、空調装置21と、エアフィルタ22と、搬送装置24とを備える。
搬送装置24は、制御装置80の制御に基づいて、空調装置21によって温度が調整された空気であってエアフィルタ22を通過した空気を複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送する。搬送装置24は、複数の搬送ファン24aと、複数のダクト24bと、複数の送風口24cとを備える。搬送装置24は、1つの部屋に対して、搬送ファン24a、ダクト24b、及び、送風口24cを1組備える。
このような全館空調システム10aは、全館空調システム10と同様に、上記の動作例1及び動作例2の動作を行うことができる。具体的には、全館空調システム10aの制御装置80は、上記動作例1のステップS60及び動作例2のステップS61において、搬送ファン24aを制御することで、決定された量の空気を複数の部屋90a~90cのそれぞれへ搬送することができる。
[変形例2]
以下、変形例2に係る全館空調システム10bの構成について説明する。
全館空調システム10bは、クライアントサーバシステムとして実現されてもよい。
図6は、変形例2に係る全館空調システム10bの機能構成を示すブロック図である。
全館空調システム10bは、空調装置21及び搬送装置23(つまり、全館空調装置20)と、外気取入ファン30と、内気取入ファン40と、加湿装置50と、複数の温度センサ60と、制御装置80と、ルータ100と、サーバ装置110とを備える。
ここでは、空調装置21、搬送装置23、外気取入ファン30、内気取入ファン40、加湿装置50、複数の温度センサ60、及び、制御装置80のそれぞれは、ルータ100を介してインターネットなどの広域通信ネットワーク120に接続可能である。空調装置21、搬送装置23、外気取入ファン30、内気取入ファン40、加湿装置50、複数の温度センサ60、及び、制御装置80のそれぞれは、具体的には、ルータ100を介してサーバ装置110と通信が可能である。サーバ装置110は、施設90外に設置されるクラウドサーバである。
このような全館空調システム10bにおいては、動作例1及び動作例2において制御装置80が行うと説明された処理の一部又は全部をサーバ装置110が実行することができる。なお、全館空調システム10bは、全館空調システム10にサーバ装置110が追加された構成であるが、本発明は、変形例1に係る全館空調システム10aにサーバ装置110が追加された構成のクライアントサーバシステムとして実現されてもよい。
[効果など]
以上説明したように、本実施の形態に係る全館空調システム10は、吸引した空気の温度を調整して吹出す空調装置21と、空調装置21を制御する制御装置80と、を備える。吹出された空気は、施設90内の複数の部屋90a~90cのそれぞれに搬送される。制御装置80は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度と、複数の部屋90a~90cのそれぞれの第1設定温度と、空調装置21が吸引した空気の温度である吸気温度とに基づいて、空調装置21の第2設定温度を決定する。制御装置80は、決定された第2設定温度に基づいて空調装置21を制御する。
また、本実施の形態においては、制御方法は、全館空調システム10の制御方法である。制御方法は、複数の部屋90a~90cのそれぞれの部屋温度と、複数の部屋90a~90cのそれぞれの第1設定温度と、吸引した空気の温度である吸気温度とに基づいて、空調装置21の第2設定温度を決定する決定ステップS50を含む。また、制御方法は、決定された第2設定温度に基づいて空調装置21を制御する制御ステップS60を含む。
上記のように、第1設定温度及び部屋温度に基づいて、不足空調温度T1が定まる。つまり、吹出す空気の温度である第2設定温度は、吸気温度と、第1設定温度及び部屋温度に基づく不足空調温度T1とに基づいて、決定される。これにより、空調装置21が吸引した空気は、不足空調温度T1に対応して温度が調整されて、空調装置21から吹出す空気となる。その結果、不足空調温度T1に対応して温度が調整された空気、つまりは、複数の部屋90a~90cのそれぞれに必要な温度の空気が搬送される。これにより、複数の部屋90a~90cにおける部屋温度は、第1設定温度に到達し、ユーザにとって快適な温度となる。つまりは、本実施の形態に係る全館空調システム10及び制御方法によれば、複数の部屋90a~90cの第1設定温度に則して、複数の部屋90a~90cの部屋温度を制御することができる。
また、本実施の形態においては、制御装置80は、複数の部屋90a~90cの部屋温度及び第1設定温度の差に基づく空調強度と、吸気温度とに基づいて、第2設定温度を決定する。
これにより、不足空調温度T1に対応した温度である空調強度が簡便に決定される。また、第2設定温度は吸気温度と空調強度とに基づいて決定されるため、第2設定温度も簡便に決定される。
また、本実施の形態においては、制御装置80は、空調装置21が暖房運転する場合は吸気温度及び空調強度の和を第2設定温度として決定し、空調装置21が冷房運転する場合は吸気温度及び空調強度の差を第2設定温度として決定する。
このように、第2設定温度は、吸気温度と不足空調温度T1に対応した温度である空調強度とによって決定される。さらに、暖房運転の場合は、空調装置21が吸引した空気は、空調強度に対応して加熱されて、空調装置21から吹出す空気となる。また、冷房運転の場合は、空調装置21が吸引した空気は、空調強度に対応して冷却されて、空調装置21から吹出す空気となる。つまり、空調装置21が暖房運転する場合及び冷房運転する場合において、吹出す空気が第2設定温度に応じて冷暖房された空気となることで、複数の部屋90a~90cのそれぞれに必要な温度の空気が搬送される。これにより、複数の部屋90a~90cにおける部屋温度は、第1設定温度に到達し、ユーザにとって快適な温度となる。つまりは、本実施の形態に係る全館空調システム10によれば、空調装置21が吸引する空気の温度(吸気温度)が変動しても、複数の部屋90a~90cの第1設定温度に則して、複数の部屋90a~90cの部屋温度に制御することが可能となる。よって、本実施の形態に係る全館空調システム10によれば、ユーザにとってより快適な温度となるように調整することができる。
また、複数の部屋90a~90cの第1設定温度と部屋温度との差(不足空調温度T1)が小さくなるほど、第2設定温度は、吸気温度に近づき、空調装置21の冷暖房運転は、緩やかになっていく。この動作により、不足空調温度T1が小さい、すなわち、複数の部屋90a~90cの第1設定温度に近い快適な温度状況が継続するように、空調装置21が制御される。
また、本実施の形態においては、制御装置80は、以下のように、空調強度を補正する補正温度を決定する。つまり、制御装置80は、第1時刻(過去)における部屋温度及び第1時刻よりも後の時刻である第2時刻(現在)における部屋温度の差と、第2時刻における部屋温度及び第2時刻における第1設定温度の差とに基づいて、空調強度を補正する補正温度を決定する。さらに、制御装置80は、補正温度によって補正された空調強度と、吸気温度とに基づいて、第2設定温度を決定する。
これにより、空調強度が補正温度によって補正され、つまりは、第2設定温度が補正温度によって補正される。例えば、空調装置21が暖房運転し、かつ、外気温が通常より低いなどの状況のため、複数の部屋90a~90cの部屋温度が十分に暖められていない場合(つまりは、条件1の場合)は、第2設定温度が高くなるように、補正温度が決定される。また、条件2の場合は、第2設定温度が低くなるように、補正温度が決定される。また、空調装置21が冷房運転し、条件3の場合は第2設定温度が低くなるように、条件4の場合は第2設定温度が高くなるように、補正温度が決定される。これにより、複数の部屋90a~90cにおける部屋温度は、第1設定温度近傍の温度(例えば第1設定温度と同じ温度以上第1設定温度+0.5℃以下)で安定し、ユーザにとって快適な温度となる。つまりは、本実施の形態に係る全館空調システム10によれば、全館空調システム10の外部環境の温度が変動したりしても、ユーザにとってより快適な温度となるように調整することができる。
なお、本実施の形態では、補正温度は、第1時刻と第2時刻との部屋温度の差を用いるとしたが、その本質は、補正温度の値として、現時刻と過去との部屋温度から温度変化状況を示す値を得ることである。よって、補正温度は、より多くの過去の部屋温度を用いて算出された値が用いられてもよい。
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
また、上記実施の形態及び変形例において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。
また、上記実施の形態及び変形例における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。装置間では、無線通信が行われてもよいし、有線通信が行われてもよい。また、装置間では、無線通信及び有線通信が組み合わされてもよい。また、上記実施の形態において2つの装置が通信を行う場合、2つの装置間には図示されない中継装置が介在してもよい。
また、上記実施の形態及び変形例のフローチャートで説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
例えば、本発明は、コンピュータによって実行される全館空調システムの制御方法として実現されてもよいし、このような制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
また、上記実施の形態では、全館空調システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。全館空調システムは、例えば、制御装置に相当する単一の装置として実現されてもよいし、サーバ装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。全館空調システムが複数の装置によって実現される場合、全館空調システムが備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
また、ここで空調装置21の空調負荷について説明する。空調負荷とは、例えば、空調装置21が暖房運転する又は冷房運転する際に吸引した空気を加熱する又は冷却するための仕事量を意味する。なお、上記の通り、空調装置21は、吸引した空気の温度を調整して、つまりは、吸引した空気を加熱する又は冷却して、この空気を吹出す。このため、本実施の形態においては、空調負荷とは、吸引した空気の温度と吹出した空気の温度との差分及び吹出し空気量に応じた値であり、換言すると、空調強度に対応した値である。また、一例として、「空調負荷が高い」とは、空調装置21における圧縮機用のモータの回転数が大きいこと意味する。「吸引した空気の温度及び吹出した空気の温度の差分」と、「吹出空気量」との積が大きいほど、空調負荷が高くなるように制御される。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。