JP2022115349A - イリドイド配糖体の製造方法および新規イリドイド配糖体 - Google Patents

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Abstract

【課題】イリドイド配糖体の製造方法および新規イリドイド配糖体を提供する。【解決手段】式(I)で表される化合物;JPEG2022115349000025.jpg61170(R1:水酸基の保護基。R2:置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基)【選択図】なし

Description

本発明は、イリドイド配糖体の製造方法および新規イリドイド配糖体に関する。
生薬に含有されるイリドイド配糖体は、薬理活性の活性本体として古くから注目されている。イリドイド配糖体の一種であるロガニンは、日本薬局方にも掲載される山茱萸(サンシュユ)の主成分として知られており、抗アルツハイマー活性、抗がん活性、抗炎症活性、抗糖尿病活性、抗肥満活性などが報告されている。
非特許文献1においては、ツルニチニチソウの葉から単離された、ロガニンの7位炭素に結合する水酸基にp-クマロイル基が導入された構造を有する化合物が、ロガニンよりも高いチロシナーゼ阻害活性を有していることが報告されている。非特許文献1ではさらに、上記のC7位のp-クマロイル基が、チロシナーゼの活性部位のキャビティを効率的に塞いでいることを示す分子モデリング結果が開示されている。この結果から、ロガニンのC7位誘導体など、種々の構造のイリドイド配糖体の研究による新規薬剤の開発が期待される。
ロガニンの化学合成については非特許文献2に報告例がある。また、ロガニンをセコロガニンシンセターゼにより酸化して得られる化合物であるセコロガニンについては、本発明者らが、立体選択的な化学合成をすでに実現している(非特許文献3,非特許文献4)。
Bioorganic Chemistry, 92(2019)103259 Journal of the American Chemical Society 1973, 95, 2, 540-545 Angewandte Chemie International Edition, 2020, 59, 13414-13422 Chemistry A European Journal, 2019, 25, 8996-9000
現在、イリドイド配糖体は植物から単離して入手しており、純粋な化合物を大量に入手するのは困難である。誘導体研究のため、また、製品としての安定供給のためにも化学合成による製造方法の開発が望まれる。しかし、例えばロガニンの化学合成については非特許文献2に一例の報告があるのみであり、また、この方法も収量や立体選択性の観点から実用的なものではない。また、ロガニンの位置選択的な修飾を可能とする技術は知られておらず、例えば、アグリコンにあるC7位の水酸基が修飾または保護されておらず、かつ糖部分の水酸基が保護された構造を有する化合物は得られていなかった。
本発明は新規イリドイド配糖体を提供することを課題とする。本発明はまた、ロガニン等のイリドイド配糖体の化学合成による製造方法を提供することを課題とする。
上記課題の下、本発明者らは鋭意検討し、すでにグラムスケールでの化学合成を実現しているセコロガニンからロガニンを合成することに成功した。そしてその合成の検討の過程において得られる新規誘導体が、ロガニンC7位に該当する部位での選択的な修飾を可能とする構造を有することを見出した。本発明者らは、上記知見に基づきさらに検討を重ね、本発明の完成に至った。
具体的には、本発明は以下のとおりである。
[1]式(I)で表される化合物;
Figure 2022115349000001
式中、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
[2]Rがいずれもアセチル基である[1]に記載の化合物。
[3]Rがメチル基である[1]または[2]に記載の化合物。
[4]式(II)で表される化合物をカルボニル基に反応する一電子還元剤と反応させることを含む、[1]~[3]のいずれかに記載の化合物の製造方法;
Figure 2022115349000002
式中、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
[5]上記一電子還元剤がヨウ化サマリウムである[4]に記載の製造方法。
[6][1]~[3]のいずれかに記載の化合物のRで保護された水酸基を脱保護することを含む式(III)で表される化合物の製造方法;
Figure 2022115349000003
式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
[7][1]~[3]のいずれかに記載の化合物の水酸基を誘導体基で修飾することを含む式(IV-1)で表される化合物の製造方法;
Figure 2022115349000004
式中、Rは誘導体基を表し、RはRと異なる基であり、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
[8]Rがアシル基(アセチル基を除く)であり、Rがいずれもアセチル基である[7]に記載の製造方法。
[9][1]に記載の化合物の水酸基を誘導体基で修飾し-ORとすること、および
得られた誘導体中のRで保護された水酸基を脱保護することを含む式(IV-2)で表される化合物の製造方法;
Figure 2022115349000005
式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
[10]Rがアシル基である[9]に記載の製造方法。
[11]Rがメチル基である[9]または[10]に記載の製造方法。
本発明により、新規化合物として式(I)で表される化合物が提供される。式(I)で表される化合物はロガニン等のイリドイド配糖体の化学合成に用いることができる。また、式(I)で表される化合物を利用して位置選択的に置換基を導入した新規イリドイド配糖体を提供することができる。
10μMロガニンおよび10μMロガニンテトラアセテートのHeLa細胞の増殖抑制効果の試験結果を示す図である。 100μMロガニンおよび100μMロガニンテトラアセテートのHeLa細胞の増殖抑制効果の試験結果を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は「~」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書中の化学式において、Meはメチル基、Etはエチル基、Acはアセチル基、D-Glc(O-Ac)はテトラアセチルグルコシル基、Phはフェニル基、TMSはトリメチルシリル基を示す。
式(I)で表される化合物
本発明により、式(I)で表される化合物が提供される。
Figure 2022115349000006
式(I)中、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
本明細書において「水酸基の保護基」は、水酸基(-OH)のHと置換することが可能な基であり、置換した基(-OR)が後述する式(I)で表される化合物の合成における反応や式(I)で表される化合物の修飾の際の反応で水酸基(-OH)とならず、かつ有機合成化学で一般的に用いられる化学反応(例えば、加水素分解、加水分解、電気分解、光分解)により水酸基(-OH)となる基を意味する。Rで表される水酸基の保護基としては、特に制限されず、公知の保護基から目的に応じて適宜選択することができる。水酸基の保護基の例としては、2-テトラヒドロピラニル基、アシル基(例えば、アセチル基、クロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基等)、シリル系保護基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基等)等が挙げられる。Rとしては、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、2-テトラヒドロピラニル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基が好ましく、アセチル基またはベンゾイル基がより好ましく、アセチル基がさらに好ましい。
はいずれも同じ基であっても、いずれか一つ以上が異なっていてもよいが、式(I)で表される化合物の合成および式(I)で表される化合物を用いた反応を容易とするためにいずれも同じ基であることが好ましい。
で表される置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基における炭素数1~6のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状、またはそれらの組み合わせのいずれでもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。「置換基を有していてもよい」というときの置換基としては、アリール基(フェニル基など)、ヘテロアリール基、アルコキシ基(メトキシ基など)、アルコキシアリール基(メトキシフェニル基など)等が挙げられる。Rとしては、メチル基、エチル基、またはベンジル基が好ましく、メチル基またはベンジル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
式(I)で表される化合物の製造方法
式(I)で表される化合物は、式(II)で表される化合物をカルボニル基に反応する一電子還元剤と反応させることにより製造することができる。
Figure 2022115349000007
式(II)中、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。式(II)中のRおよびRについては式(I)における各基の説明を参照することができる。
式(II)において、Rがアセチル基であり、かつRがメチル基である構造で表される化合物は、セコロガニンテトラアセテートである。
式(II)で表される化合物は先行文献(非特許文献3および非特許文献4)に記載されるセコロガニンテトラアセテートの製造方法を参照して製造することができる。先行文献に記載のセコロガニンテトラアセテートの製造方法の概要を以下に示す。
Figure 2022115349000008
例えば、上記のセコロガニンテトラアセテートの製造方法において、化合物12の代わりに化合物12におけるメチル基(Me)が所望の置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基(R)である化合物を用いて、所望のRを有する式(II)で表される化合物を得ることができる。同様に、糖を導入する反応で用いられている化合物13の代わりに化合物13におけるアセチル基(Ac)が所望の水酸基の保護基(R)である化合物を用いて、所望のRを有する式(II)で表される化合物を得ることができる。例えば、上記のセコロガニンテトラアセテートの製造方法において、化合物13においてAcがいずれもAcと同様にアシル基である化合物を用いることにより式(II)で表される化合物の立体選択的な製造が可能である。また、上記のセコロガニンテトラアセテートの製造方法で得られた化合物16の糖部分の水酸基を脱保護し(-OAcを-OHとし)、その後得られた化合物におけるフリーの水酸基を修飾することにより、所望の水酸基の保護基(R)を有する式(II)で表される化合物の立体選択的な製造が可能である。
一電子還元剤としては、カルボニル基に反応し、式(II)で表される化合物から還元的な閉環反応により式(I)で表される化合物とすることができるものであれば、特に限定されず、例えば、ヨウ化サマリウム、塩化チタン、金属マグネシウム、水素化トリブチルスズなどを用いることができる。特に、ヨウ化サマリウムを用いることにより、式(II)で表される化合物におけるカルボニル炭素とビニル炭素との間で分子内結合を立体選択的に(例えば、エピマーに対して2倍以上)形成させることができる。
式(II)で表される化合物と一電子還元剤との反応において、使用される溶剤は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、テトラヒドロフラン(THF)およびジエチルエーテルなどのエーテル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、N-メチルピロリドン(NMP)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)等のアミドなどが挙げられる。ヨウ化サマリウムは特にテトラヒドロフラン溶液で用いることが好ましく、式(II)で表される化合物との混合の際さらに溶媒としてHMPAおよび水を組み合わせて用いることが好ましい。
反応温度は特に限定されず、例えば、0℃~60℃、好ましくは10℃~45℃で行なうことができる。また、反応時間は10秒~24時間であり、好適には20秒~2時間である。
反応終了後の処理は、例えば、酢酸エチルのような水と混和しない有機溶媒で抽出し、無水硫酸マグネシウム等で乾燥後、溶剤を留去する処理を行なう。得られた化合物は必要に応じて、常法(例えば再結晶、またはシリカゲルカラムクロマトグラフィー等)によってさらに精製してもよい。
生成物が、式(I)で表される化合物とその立体異性体との混合物(例えばエピマーとのシアステレオマー混合物)として得られる場合は、キラルカラムクロマトグラフィー、光学分晶またはジアステレオマー誘導化等の公知の手段により、光学分割を行なうことができる。
式(I)で表される化合物の用途
式(I)で表される化合物は、ロガニンの構造の7位の炭素原子に結合する水酸基のみがフリーである構造(ロガニンの構造の7位の炭素原子に結合する水酸基以外の糖鎖の水酸基が保護基で保護された構造)を有する。この構造を有する化合物は、自然界から得られるロガニン等のイリドイド配糖体からは合成できない。式(I)で表される化合物を利用して、後述するように、7位の炭素原子に様々な置換基が結合した誘導体(式(IV-1)または式(IV-2)で表される化合物)を製造することができる。したがって、式(I)で表される化合物は、ロガニン等のイリドイド配糖体の構造活性相関の研究に利用することができる。上述の非特許文献1で報告されているように、ロガニンの7位の炭素原子に結合する置換基はロガニンの生理活性に大きく関わっていると考えられ、式(I)で表される化合物は高い薬理活性を有する化合物の開発に寄与すると考えられる。
式(I)で表される化合物を利用した公知のイリドイド配糖体または新規のイリドイド配糖体の製造
式(I)で表される化合物における保護された水酸基を脱保護することにより、すなわち、-ORをいずれも水酸基(-OH)とする脱保護を行なうことにより、式(III)で表される化合物を製造することができる。
Figure 2022115349000009
式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。式(III)中のRについては式(I)におけるRの説明を参照することができる。
式(III)において、Rがメチル基である構造で表される化合物は、ロガニンに該当する。Rがメチル基である式(I)で表される化合物における保護された水酸基を脱保護することによりロガニンを得ることができる。
脱保護の方法としては、例えば、Protective Groups in Organic Synthesis (T.W.Greene et.al, John Wiley & Sons, inc.,2007)に記載の方法を参照することができる。例えば、式(I)で表される化合物1モルに対し酸または塩基を触媒量から過剰量使用し、0~100℃程度の温度で1~24時間反応させることにより、脱保護を行なうことができる。または、含水溶媒もしくはアルコール溶媒を用いるなどの条件で、脱保護を行ってもよい。
脱保護のための酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸などの鉱酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。脱保護のための塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属炭酸水素塩、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム-t-ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。
例えば、水酸基の保護基としてアセチル基が用いられているとき、メタノール中で炭酸カリウムを用いて脱保護を行なうことが好ましい。
さらに、式(I)で表される化合物を利用して、7位の炭素原子に結合する水酸基のみが、糖構造部分に含まれる保護基で保護された水酸基とは異なる修飾水酸基となっている化合物を製造することができる。すなわち、式(I)で表される化合物の水酸基を修飾することにより式(IV-1)で表される化合物を製造することができる。
Figure 2022115349000010
式(IV-1)中、Rは誘導体基を表し、RはRと異なる基であり、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。式(IV-1)中のRおよびRについては式(I)における各基の説明を参照することができる。
Rで示される誘導体基の例としては、アシル基、アルキル基、アリール基、アルケニル基、スルホニル基、シリル基、リン酸基等が挙げられる。これらの基はいずれも置換基を有していてもよい。
Rにおける「アシル基」としては、p-クマロイル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基などのほか、任意のR’基を有するR’-C(=O)-を挙げることができる。
Rにおける「アルキル基」としては、直鎖状、分岐鎖状、環状、またはそれらの組み合わせのいずれでもよく、環状アルキル基にはビシクロアルキル基などの多環性アルキル基を含む。アルキル部分を含む他の置換基(アルコキシ基など)のアルキル部分についても同様である。R中の「アルキル基」としては炭素数1~12のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、例えば、Rはベンジル基であってもよい。
Rにおける「アリール基」としては、6から10個の炭素原子を有する基が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、インダニル基、インデニル基、テトラヒドロナフチル基などが挙げられる。環上の結合位置は制限されない。
Rにおける「アルケニル基」としては、2から6個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、へキセニル基などが挙げられる。
Rにおける「スルホニル基」としては、任意のR’基を有するR’-S(=O)-を挙げることができる。
Rにおける「シリル基」は、トリアルキルシリル基、トリシクロアルキルシリル基、ジアルキルシクロアルキルシリル基、アルキルジシクロアルキルシリル基、トリアリールシリル基、ジアルキルアリールシリル基、またはアルキルジアリールシリル基であればよく、が挙げられ、例えば、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、またはトリフェニルシリル基などが挙げられる。
式(I)で表される化合物の水酸基を誘導体基で修飾する方法の具体的な例としては、アシル化(エステル化)、アルキル化、アリール化、アルケニル化、スルホニル化、シリル化などを好ましく挙げることができる。さらに、これらの反応に用いることができる反応剤の例として、カルボン酸、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アルケニル、スルホン酸、各種シリル化剤、ホスホン酸および/またはそれらの誘導体等を挙げることができる。
例えば、実施例で示すように、エステルを加水分解して得られるカルボン酸化合物と式(I)で表される化合物とで脱水縮合反応を行い、Rとしてアシル基を有する式(IV-1)で表される化合物を得ることができる。
式(IV-1)中、RはRと異なる基である。これにより、-ORを選択的に-OHとすることが可能であり、糖構造部分に含まれる水酸基のみを選択的に脱保護し、7位の炭素原子に結合する水酸基のみが修飾された式(IV-2)で表される化合物を得ることができる。
Figure 2022115349000011
式(IV-2)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。式(IV-2)中のRについては式(I)におけるRの説明を参照することができる。
例えば、Rがメチル基である式(I)で表される化合物をp-クマル酸でアシル化して、Rがp-クマロイル基である式(IV-1)で表される化合物を製造し、-ORを-OHとせず、かつ-ORを-OHとする選択的な脱保護を行なうことにより、非特許文献1に記載の7-O-p-クマロイルロガニンを製造することができる。また、実施例に、カントレヨシド(cantleyoside)の製造手順を示すように、式(I)で表される化合物を利用して、種々の公知の7-O-誘導体(式(IV-1)または式(IV-2)で表される化合物)を製造することができる。同様に、任意の置換基を導入した新規7-O-誘導体を製造することができる。
医薬組成物
式(III)において、Rがメチル基である構造で表される化合物は、ロガニンに該当する。実施例でロガニンがHela細胞の増殖を抑制する効果を示したように、ロガニン等のイリドイド配糖体は、各種薬理活性が知られている。また、式(I)で表される糖部分の水酸基が保護基で保護された化合物は、代謝によってロガニン等を生じるプロドラッグに該当すると考えられる。さらに7位の炭素の水酸基を修飾した式(IV-1)または式(IV-2)で表される各種化合物は、公知のイリドイド配糖体と比較してさらに高い薬理活性を有する可能性がある。
薬理活性を有する本発明の化合物は、医薬の有効成分として使用することができる。医薬の有効成分としては、上記いずれかの式で表される化合物のほか、生理学的に許容されるその塩、並びにそれらの溶媒和物およびそれらの水和物からなる群より選ばれる物質を用いることができる。医薬としては、該物質自体を投与してもよいが、有効成分として上記の物質と1または2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態の医薬を投与することが望ましい。医薬の有効成分としては、上記の物質の2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記医薬組成物には、他の医薬の有効成分を配合することも可能である。
医薬組成物の種類は特に限定されず、経口または非経口投与用の任意の製剤形態として提供することができる。例えば、医薬組成物は、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤、液剤等の経口投与用医薬組成物の形態として、または、静脈内投与用、筋肉内投与用、若しくは皮下投与用の注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤等の非経口投与用医薬組成物の形態として調製することができる。注射剤や点滴剤は、凍結乾燥形態などの粉末状の製剤として調製し、使用直前に生理食塩水などの適宜の水性媒体に溶解して用いてもよい。
医薬組成物の製造に用いられる製剤用添加物の種類、有効成分に対する製剤用添加物の含量比、および医薬組成物の製造方法は、当業者が適宜選択することが可能である。製剤用添加物としては無機または有機物質、あるいは固体または液体の物質を用いることができる。一般的には、製剤用添加物は有効成分質量に対して1質量%から90質量%の範囲の割合で配合することができる。
固体の医薬組成物の製造に用いられる賦形剤の例としては、例えば、乳糖、蔗糖、デンプン、タルク、セルロース、デキストリン、カオリン、炭酸カルシウム等が挙げられる。経口投与のための液体組成物の製造には、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば水または植物油等を用いることができる。この液体組成物には、不活性な希釈剤以外に、補助剤、例えば湿潤剤、懸濁補助剤、甘味剤、芳香剤、着色剤または保存剤等を配合してもよい。液体組成物をゼラチンのような吸収されうる物質のカプセル中に充填してもよい。非経口投与用の組成物、例えば注射剤や坐剤の製造に用いられる溶剤または懸濁剤の例としては、水、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ベンジルアルコール、オレイン酸エチル、レシチン等が挙げられる。坐剤に用いられる基剤の例としては、例えばカカオ脂、乳化カカオ脂、ラウリン脂、ウィテップゾールが挙げられる。
医薬の投与量および投与回数は特に限定されず、予防および/または治療の目的、疾患の種類、患者の体重や年齢、疾患の重篤度などの条件に応じて、適宜選択することが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
ロガニンテトラアセテート(2)の合成
Figure 2022115349000012
溶媒のテトラヒドロフラン(THF,29.7mL)とヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA,1.17mL,6.75mmol)と水(485μL,27mmol)との混合溶液を30分間脱気した。グローブボックスで、脱気した上記混合溶液に、ヨウ化サマリウム(SmI,0.1M THF溶液,21.6mL,2.16mmol)を添加して撹拌すると、紫色の溶液になった。得られた溶液に、テトラヒドロフランに溶解したセコロガニンテトラアセテート(1)(150mg,0.270mmol)を撹拌しながら添加すると、30秒以内に反応が終了し、紫色が消失して黄色の溶液になった。得られた反応溶液に飽和ロッシェル塩を添加して撹拌した。濁りが消えたところで、酢酸エチルで3回抽出し、水で6回洗浄した後に飽和食塩水で有機層を洗浄した。硫酸マグネシウムを有機層に加えた後、濾過をした。濾液を濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,55%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、ロガニンテトラアセテート(2)のシアステレオマー混合物を白色のアモルファスパウダーとして得た(140mg,93%,2:epi-2=3:1)。得られた混合物は、中圧液体クロマトグラフィー(バイオタージ社製、Sfar silica HCD)を用いてロガニンテトラアセテート2とエピマー(epi-2)を分離した(55% 酢酸エチル/ヘキサン)。
ロガニンテトラアセテート(2)
1H NMR (500MHz, CDCl3)δ7.28 (s, 1H), 5.21 (t, J = 9.5 Hz, 1H), 5.18 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 5.10 (t, J = 9.8 Hz, 1H), 4.98 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 4.85 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.28 (dd, J = 12.5, 5.0 Hz, 1H), 4.14 (dd, J = 12.0, 2.0 Hz, 1H), 4.10 (t, J = 4.3 Hz, 1H), 3.74-3.71 (m, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.03 (br q, J = 7.7 Hz, 1H), 2.23-2.18 (m, 2H), 2.09 (s, 3H), 2.02 (s, 3H), 1.99 (s, 3H), 1.91 (s, 3H), 1.81-1.75 (m, 1H), 1.73-1.68 (m, 2H), 1.08 (d, J = 7.0 Hz, 3H); 13C NMR (125MHz, CDCl3)δ170.8, 170.4, 169.5, 169.3, 167.5, 149.2, 114.1, 96.0, 95.4, 74.6, 72.7, 72.2, 70.8, 68.4, 61.8, 51.4, 44,7, 41.6, 40.4, 30.1, 20.9, 20.7 (2C), 20.3, 12.4.
ロガニン(2’)の合成
Figure 2022115349000013
ロガニンテトラアセテート(2)(10mg,0.0179mmol)をメタノール(358μL)に溶解し、得られた溶液を0℃にした。炭酸カリウム(KCO,7.4mg,0.0537mmol)を反応溶液に添加し、0℃で30分撹拌した。得られた反応溶液を陽イオン交換樹脂のAmberlite120を充填したカラムを通し反応を停止させ、溶出液を濃縮しロガニン(2’)を白色のアモルファスパウダーとして得た(7.0mg,定量的)。合成したロガニン(2’)の各種スペクトルデータは文献値と良い一致を示した。
ロガニン(2’)
1H NMR (500MHz, CD3OD)δ7.39 (s, 1H), 5.28 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 4.65 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.04 (t, J = 4.5 Hz, 1H), 3.90 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 3.69-3.64 (m, H), 3.38-3.25 (m, H), 3.19 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 3.11 (q, J = 7.8 Hz, 1H), 2.25-2.21 (m, 1H), 2.07 (m, 1H), 1.93-1.85 (m, 1H), 1.65-1.60 (m, 1H), 1.10 (d, J = 7.0 Hz, 3H).
ロガニンC7位水酸基誘導体(カントレヨシド(6’))の合成
Figure 2022115349000014
セコロガニンテトラアセテートのカルボン酸誘導体(4)の合成
セコロガニンテトラアセテート(1)のアルデヒドのアセタール保護
Figure 2022115349000015
セコロガニンテトラアセテート(1)(200mg,0.359mmol)をジクロロメタン(CHCl,3.6mL)に溶解し、p-トルエンスルホン酸(p-TsOH,61.8mg,0.359mmol)とエチレングリコール(200μL,3.59mmol)を添加して、室温で30分撹拌した。過剰量の炭酸水素ナトリウム(NaHCO)を反応溶液に加え、塩基性とすることで反応を停止し、得られた溶液をクロロホルムで3回抽出した。飽和食塩水で溶液を洗浄して、得られた有機層に硫酸マグネシウムを加え、溶液をろ過する。得られた濾液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,50%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、中間体3を白色のアモルファスパウダーとして得た(216mg,定量的)。
中間体3
1H NMR (500MHz, CDCl3)δ7.33 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 5.61 (dt, J = 17.5, 8.8 Hz, 1H), 5.30-5.27 (m, 3H), 5.21 (t, J = 9.8 Hz, 1H), 5.10 (t, J = 9.8 Hz, 1H), 5.01 (t, J = 8.5 Hz, 1H), 4.95 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 4.89 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.28 (dd, J = 13.0, 5.0 Hz, 1H), 4.13 (dd, J = 13.0, 2.5 Hz, 1H), 3.99-3.89 (m, 2H), 3.84-3.79 (m, 2H), 3.74-3.71 (m, 1H), 3.69 (s, 3H), 2.92 (dt, J = 8.5, 4.4 Hz, 1H), 2.82 (dt, J = 9.0, 4.8 Hz, 1H), 2.17-2.11 (m, 1H), 2.10 (s, 3H), 2.02 (s, 3H), 2.00 (s, 3H), 1.93 (s, 3H), 1.79-1.69 (m, 1H).
中間体3のメトキシカルボニルの加水分解
Figure 2022115349000016
中間体3(202mg,0.336mmol)をテトラヒドロフラン(THF,6.72mL)に溶解し、得られた溶液に1M水酸化ナトリウム水溶液(6.72mL)を加えて60℃で1.5時間撹拌した。反応溶液を濃縮してTHFと水を減圧留去した後、残渣にピリジン(6.72mL)と、無水酢酸(3.81mL,40.3mmol)を加えて、更に60℃で15時間撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、得られた溶液を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で洗浄し、更に硫酸マグネシウムを加えてろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,60%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、中間体4を白色のアモルファスパウダーとして得た(184mg,2段階93%)。
中間体4
1H NMR (500MHz, CDCl3)δ7.48 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 5.59 (dt, J = 19.2, 8.5 Hz, 1H), 5.31-5.27 (m, 3H), 5.21 (t, J = 9.5 Hz, 1H), 5.09 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 5.00 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 4.94 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 4.89 (d, J = 8.0 Hz, 1H) 4.27 (dd, J = 13.0, 4.5 Hz, 1H), 4.13 (dd, J = 12.5, 2.5 Hz, 1H), 3.98-3.89 (m, 2H), 3.83-3.78 (m, 2H), 3.74-3.70 (m, 1H), 2.90 (dt, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 2.82 (dt, J = 9.5, 4.8 Hz, 1H), 2.25-2.20 (m, 1H), 2.09 (s, 3H), 2.01 (s, 3H), 1,99 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.76-1.70 (m, 1H); 13C NMR (125MHz, CDCl3)δ172.1, 170.8, 170.3, 169.5, 169.1, 152.9, 133.1, 120.6, 110,4, 103.2, 96.6, 96.1, 72.6, 72.2, 70.6, 68.2, 64.8, 64.7, 61.8, 43.1, 32.3, 26.8, 20.8, 20.7 (2C), 20.3.
中間体4とロガニンテトラアセテート(2)の脱水縮合
Figure 2022115349000017
中間体4(72mg,0.123mmol)とロガニンテトラアセテート(2)(46mg,0.0824mmol)をトルエン(830μL)に溶解し、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl,15.9mg,0.0824mmol)と、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP,10.1mg,0.0824mmol)を添加して100℃で1.5日間撹拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を過剰量添加し反応を停止し、得られた溶液をクロロホルムで3回抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄し、更に硫酸マグネシウムを加えてろ過した。ろ液を減圧下濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,65%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、ロガニンテトラアセテート(2)と脱水縮合体(5)の混合物を得た。その後、サイズ排除カラムクロマトグラフィー(カラム:Asahipak GS-310 20G,溶媒:CHCl)で精製し、脱水縮合体(5)を白色のアモルファスパウダーとして得た(31.1mg,67%)。
脱水縮合体(5)
1H NMR (500MHz, CDCl3)δ7.30 (d, J = 1.5, 1H), 7.26 (s, 1H)(overlapped CHCl3), 5.60 (dt, J = 17.5, 8.8 Hz, 1H), 5.29-5.24 (m, 4H), 5.22-5.15 (m, 3H), 5.10-5.05 (m, 2H), 4.99 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 4.95-4.83 (m, 3H), 4.83 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.28 (td, J = 8.4, 4.7 Hz, 2H), 4.12 (d, J = 12.0 Hz, 2H), 3.96 (q, J = 6.0 Hz, 1H), 3.90 (q, J = 6.5 Hz, 1H), 3.83-3.75 (m, 2H), 3.74-3.70 (m, 2H), 3.66 (s, 3H), 2.96 (q, J = 7.5 Hz, 1H), 2.89 (dt, J = 8.0, 4.5 Hz, 1H), 2.76 (dt, J = 9.5, 5.0 Hz, 1H), 2.31-2.20 (m, 2H), 2.08 (s, 6H), 2.01 (s, 6H), 1.98 (s, 6H), 1.93 (s, 3H), 1.87 (s, 3H), 1.82-1.71 (m, 4H), 1.02 (d, J = 7.0 Hz, 3H) ;13C NMR (125MHz, CDCl3)δ170.8, 170.7, 170.3 (2C), 169.5 (2C), 169.1 (2C), 167.1, 166.2, 150.8, 149.0, 133.4, 120.4, 114.0, 111.5, 103.0, 96.6, 96.3, 95.9, 94.5, 72.7, 72.5 (2C), 72.2 (2C), 70.7, 70.6, 68.2 (2C), 65.0, 64.8, 61.8 (2C), 51.4, 45.5, 43.4 (2C), 39.0, 33.4, 29.6, 27.4, 20.9 (2C), 20.7 (4C), 20.5, 20.2, 12.5.
脱水縮合体(5)のアセタールの脱保護
Figure 2022115349000018
脱水縮合体(5)(30mg,0.0266mmol)をアセトン:水=9:1の混合溶媒に溶解し、p-トルエンスルホン酸ピリジニウム塩(PPTS,6.6mg,0.0266mmol)を添加して65℃で21時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え反応系内を塩基性として反応を停止し、得られた溶液を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を減圧下濃縮し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO,65%酢酸エチル/ヘキサン)により精製し、カントレヨシドオクタアセテート(6)を白色のアモルファスパウダーとして得た(26.4mg,92%)。
カントレヨシドオクタアセテート(6)
1H NMR (500MHz, CDCl3)δ9.69 (s, 1H), 7.38 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.29 (s, 1H), 5.49 (dt, J = 17.0, 8.3 Hz, 1H), 5.29 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 5.25-5.20 (m, 7H), 5.13-5.08 (m, 2H), 5.03 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 4.98 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 4.90 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 4.85 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.32-4.27 (m, 2H), 4.17-4.13 (m, 2H), 3.76-3.72 (m, 2H), 3.68 (s, 3H), 3.28 (q, J = 5.7 Hz, 1H), 2.98 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 2.86 (dd, J = 18.0, 4.0 Hz, 1H), 2.80-2.77 (m, 1H), 2.41 (dd, J = 18.0, 7.5 Hz, 1H), 2.20-2.16 (m, 2H), 2.10 (s, 6H), 2.03 (s, 6H), 2.00 (s, 6H), 1.94 (s, 3H), 1.90 (s, 3H), 1.87-1.80 (m, 1H), 1.01 (d, J = 6.0 Hz, 3H).
カントレヨシド(6’)の合成
Figure 2022115349000019
カントレヨシドオクタアセテート(6)(19mg,0.0175mmol)をメタノールとテトラヒドロフランの等量混合溶媒(350μL)で溶解し、反応液を0℃にした。炭酸カリウム(KCO,7.3mg,0.0525mmol)を反応液に添加し、0℃で40分撹拌した。得られた反応溶液を陽イオン交換樹脂のAmberlite 120を充填したカラムに通し、カントレヨシド(6’)を白色のアモルファスパウダーとして得た(6.9mg,定量的)。
カントレヨシド(6’)
1H NMR (500MHz, (CD3)2SO+DCl)δ9.61 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 5.54 (dt, J = 18.0, 10.0 Hz, 1H), 5.41 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 5.25 (d, J = 18.0 Hz, 1H), 5.19 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 5.06 (t, J = 5.0 Hz, 1H), 4.52 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 4.47 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 3.65 (dd, J = 11.0, 3.5 Hz, 2H), 3.60 (s, 3H), 3.42 (dd, J = 12.0, 6.0 Hz, 2H), 3.32-3.28 (m, 1H), 3.17-3.11 (m, 4H), 3.02 (t, J = 8.0 Hz, 2H), 2.98-2.94 (m, 3H), 2.67-2.64 (m, 1H), 2.56-2,46 (m, 2H)(overlapped DMSO), 2.11 (dd, J = 14.0, 7.5 Hz, 1H), 2.00-1.92 (m, 2H), 1.70-1.65 (m, 1H), 0.93 (d, J = 6.0 Hz, 3H); 13C NMR (125MHz, (CD3)2SO+DCl)δ201.7, 166.9, 165.9, 152.6, 151.1, 133.9, 120.0, 111.3, 108.6, 98.7 (2C), 95.6, 95.5, 77.4, 77.3, 76.7, 76.6, 76.3, 73.1 (2C), 70.1, 70.0, 61.1 (2C), 51.2, 45.2, 44.1, 43.5, 39.4 (2C) (overlapped (CH3)2SO), 31.1, 26.7, 13.4.
試験例
上記で製造したロガニンおよびロガニンテトラアセテートについて、HeLa細胞への薬剤感受性のテストを行なった。
HeLa細胞(ヒト子宮頸癌由来培養細胞)に対し、ロガニンおよびロガニンテトラアセテートをそれぞれ10μMまたは100μMの濃度で投与し、0,24,48時間後(100μMに関しては24時間まで)の生存細胞活性を比較した。コントロールには、1μg/mlのアクチノマイシンD(Actinomycin D)(転写阻害剤)並びに溶媒のDMSOを添加したものを使用した。測定には、DOJINDO Cell Counting Kit-8 (https://www.dojindo.co.jp/products/CK04/) を使用した。10μMの結果を図1、100μMの結果を図2に示す。図1および図2から分かるように、ロガニンについて10μMおよび100μM共にHeLa細胞の増殖抑制効果が認められた。

Claims (11)

  1. 式(I)で表される化合物;
    Figure 2022115349000020
    式中、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
  2. がいずれもアセチル基である請求項1に記載の化合物。
  3. がメチル基である請求項1または2に記載の化合物。
  4. 式(II)で表される化合物をカルボニル基に反応する一電子還元剤と反応させることを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物の製造方法;
    Figure 2022115349000021
    式中、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
  5. 前記一電子還元剤がヨウ化サマリウムである請求項4に記載の製造方法。
  6. 請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物のRで保護された水酸基を脱保護することを含む式(III)で表される化合物の製造方法;
    Figure 2022115349000022
    式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
  7. 請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物の水酸基を誘導体基で修飾することを含む式(IV-1)で表される化合物の製造方法;
    Figure 2022115349000023
    式中、Rは誘導体基を表し、RはRと異なる基であり、Rはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
  8. Rがアシル基(アセチル基を除く)であり、Rがいずれもアセチル基である請求項7に記載の製造方法。
  9. 請求項1に記載の化合物の水酸基を誘導体基で修飾し-ORとすること、および
    得られた誘導体中のRで保護された水酸基を脱保護することを含む式(IV-2)で表される化合物の製造方法;
    Figure 2022115349000024
    式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~6のアルキル基を表す。
  10. Rがアシル基である請求項9に記載の製造方法。
  11. がメチル基である請求項9または10に記載の製造方法。
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