JP2022114875A - エンジンのクランクシャフト支持構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】クランクシャフトが曲げ変形される場合においても、クランクシャフト軸受部における潤滑性能を向上させて摩擦抵抗を低減する。【解決手段】エンジンのクランクシャフトをシリンダブロックに回転可能に支持するエンジンのクランクシャフト支持構造は、シリンダブロックの軸受部材20にクランクシャフトのジャーナル部13が支持されたクランクシャフト軸受部8を備え、クランクシャフト軸受部8は、オイルに対する濡れ性がクランクシャフトの軸方向に変化された濡れ性変化部30を有している。【選択図】図4

Description

本発明は、エンジンのクランクシャフト支持構造に関する。
自動車等の車両に搭載されるエンジンにおいて、クランクシャフトは、ピストンの往復運動を回転運動に変換するように、ピン部がピストンにコンロッドを介して連結され、ジャーナル部がシリンダブロックの下部に設けられた軸受部材に回転自在に支持されている。
クランクシャフトのジャーナル部がシリンダブロックの軸受部材に支持されたクランクシャフト軸受部には、オイルパンからオイルポンプによって吸い上げたオイルがシリンダブロックの軸受部材を通じて供給され、ジャーナル部と軸受部材との間が潤滑されるようになっている。
例えば特許文献1には、シリンダブロックの軸受部材を通じてクランクシャフトのジャーナル部と軸受部材との間にオイルを供給すると共にオイルの一部をクランクシャフトのジャーナル部からピン部に供給して、クランクシャフトのジャーナル部とシリンダブロックの軸受部材との間及びクランクシャフトのピン部とコンロッドの大端部に設けられた軸受部材との間を潤滑する潤滑装置が開示されている。
特開2020-33915号公報
自動車等のエンジンでは、気筒内における燃焼による爆発力がピストン及びコンロッドを介してクランクシャフトのピン部に作用してクランクシャフトが曲げ変形されるおそれがある。かかる場合、ピン部に隣接するクランクシャフトのジャーナル部が軸受部材に対して傾斜し、ピン部に隣接するジャーナル部の軸方向一端部側が反ピン部側に下方に傾斜して軸受部材の端部に接触して支持されるおそれがある。
ピン部に隣接するクランクシャフトのジャーナル部の軸方向一端部側が下方に傾斜して軸受部材の端部に接触して支持されるとき、ジャーナル部と軸受部材とで構成されるクランクシャフト軸受部に供給されたオイルは、ジャーナル部の軸方向他端部側から外部に漏れ出てジャーナル部の軸方向一端部側に供給されるオイルが少なくなって潤滑性能が低下し、ジャーナル部と軸受部材との間の摩擦抵抗の増加を引き起こし得る。特に、摩擦抵抗を低下させて燃費性能の向上を図るためなど、オイルの粘度が低い低粘度オイルを使用する場合、このような問題が顕著になり得る。
そこで、本発明は、クランクシャフトが曲げ変形される場合においても、クランクシャフト軸受部における潤滑性能を向上させて摩擦抵抗を低減することができるエンジンのクランクシャフト支持構造を提供することを課題とする。
本発明は、エンジンのクランクシャフトをシリンダブロックに回転可能に支持するエンジンのクランクシャフト支持構造であって、前記シリンダブロックの軸受部材に前記クランクシャフトのジャーナル部が支持されたクランクシャフト軸受部を備え、前記クランクシャフト軸受部は、オイルに対する濡れ性が前記クランクシャフトの軸方向に変化された濡れ性変化部を有しているエンジンのクランクシャフト支持構造を提供する。
本発明によれば、濡れ性変化部によって、クランクシャフト軸受部においてオイルに対する濡れ性をクランクシャフトの軸方向に変化させることができる。親油性がジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性を変化させることで、クランクシャフト軸受部においてジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けてオイルを移動させてジャーナル部の軸方向端部側にオイルを保持することができ、ジャーナル部の軸方向端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部と軸受部材との間の摩擦抵抗を低減することができる。
ピン部に燃焼による爆発力が作用してクランクシャフトが曲げ変形され、ピン部に隣接するジャーナル部の軸方向端部側が軸受部材に接触して支持される場合においても、ジャーナル部の軸方向端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部と軸受部材との間の摩擦抵抗を低減することができる。
したがって、クランクシャフトが曲げ変形される場合においても、クランクシャフト軸受部における潤滑性能を向上させて摩擦抵抗を低減することができる。低粘度オイルを使用する場合においても、クランクシャフト軸受部においてジャーナル部の軸方向端部側にオイルを保持することができ、クランクシャフト軸受部における潤滑性能を向上させて摩擦抵抗を低減することができる。
前記濡れ性変化部は、軸受部材の内周面及びジャーナル部の外周面の少なくとも一方に親油性がジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部を備えている。
本構成により、濡れ性変化部に、軸受部材の内周面及びジャーナル部の外周面の少なくとも一方に複数の溝部が形成されるので、複数の溝部の形成による比較的簡単な構成によって、親油性をジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くしてジャーナル部の軸方向端部側にオイルを保持することができ、ジャーナル部の軸方向端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部と軸受部材との間の摩擦抵抗を低減することができる。
前記複数の溝部は、ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて深さが深く形成され得る。
本構成により、軸受部材の内周面及びジャーナル部の外周面の少なくとも一方にジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて深さが深く形成される複数の溝部によって、親油性をジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くすることができる。
前記複数の溝部は、ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて幅が大きく形成され得る。
本構成により、軸受部材の内周面及びジャーナル部の外周面の少なくとも一方にジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて幅が大きく形成される複数の溝部によって、親油性をジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けてさらに高くすることができる。
前記ジャーナル部の軸方向一端部側にのみクランクシャフトのピン部が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部は、ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて深さが深く形成された複数の溝部を備え、前記ジャーナル部の軸方向両端部側にそれぞれクランクシャフトのピン部が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部は、ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向両端部側に向けてそれぞれ深さが深く形成された複数の溝部を備え得る。
本構成により、ジャーナル部の軸方向一端部側にのみピン部が配置されるクランクシャフト軸受部に、ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて深さが深くなる複数の溝部が備えられるので、ピン部に燃焼による爆発力が作用してピン部に隣接するジャーナル部の軸方向一端部側が軸受部材に接触して支持される場合に、ジャーナル部の軸方向一端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部と軸受部材との間の摩擦抵抗を低減することができる。
また、ジャーナル部の軸方向両端部側にそれぞれピン部が配置されるクランクシャフト軸受部に、ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向両端部側に向けてそれぞれ深さが深くなる複数の溝部が備えられるので、ピン部に燃焼による爆発力が作用してピン部に隣接するジャーナル部の軸方向一端部側及び軸方向他端部側がそれぞれ軸受部材に接触して支持される場合に、ジャーナル部の軸方向一端部側及び軸方向他端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部と軸受部材との間の摩擦抵抗を低減することができる。
前記軸受部材及び前記ジャーナル部は、金属材料によって形成され、ジャーナル部の軸方向一端部側にのみクランクシャフトのピン部が配置されるクランクシャフト軸受部は、軸受部材の内周面及びジャーナル部の外周面の少なくとも一方に親油性がジャーナル部の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて高くなるようにジャーナル部の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて深さが深く形成された複数の溝部として複数の第1溝部を備えると共に、ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側における外周面に設けられたフッ素樹脂からなる層を備える。そして、フッ素樹脂からなる層に、撥油性がジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるようにジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて深さが深く形成された複数の第2溝部が設けられることが好ましい。
本構成により、ジャーナル部の軸方向一端部側にのみピン部が配置されるクランクシャフト軸受部では、親油性がジャーナル部の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて高くなるように複数の第1溝部が設けられるので、ジャーナル部の軸方向一端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部と軸受部材との間の摩擦抵抗を低減することができる。
また、ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側における外周面にフッ素樹脂からなる層が設けられるので、フッ素樹脂からなる層によってクランクシャフト軸受部に供給されたオイルがジャーナル部の軸方向他端部側に向かうことを抑制することができる。さらに、フッ素樹脂からなる層には撥油性がジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるようにジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて深さが深くなる複数の第2溝部が設けられるので、クランクシャフト軸受部に供給されたオイルがジャーナル部の軸方向端部側に向かうことをさらに抑制することができる。ジャーナル部の軸方向一端部側にのみピン部が配置されるクランクシャフト軸受部において、ジャーナル部の軸方向一端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部と軸受部材との間の摩擦抵抗を低減することができる。
前記ジャーナル部の軸方向端部にフッ素樹脂からなる層が設けられることが好ましい。
本構成により、ジャーナル部の軸方向端部に設けられたフッ素樹脂からなる層によって、クランクシャフト軸受部に供給されたオイルがジャーナル部の軸方向端部から外部に漏れることを抑制することができ、クランクシャフト軸受部に供給するオイルの供給量を少なくすることができる。
本発明に係るエンジンのクランクシャフト支持構造によれば、クランクシャフトが曲げ変形される場合においても、クランクシャフト軸受部における潤滑性能を向上させて摩擦抵抗を低減することができる。
本発明の実施形態に係るクランクシャフト支持構造を備えたエンジンの概略図である。 クランシャフト軸受部を示す図である。 クランクシャフトのジャーナル部が傾斜した状態を示す図である。 図2に示すクランクシャフト軸受部の断面図である。 オイルに対する濡れ性を説明するための説明図である。 別のクランシャフト軸受部を示す図である。 図6に示すクランシャフト軸受部の断面図である。 図4に示すクランシャフト軸受部の変形例を示す図である。 図7に示すクランシャフト軸受部の変形例を示す図である。 図7に示すクランシャフト軸受部の別の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るクランクシャフト支持構造を備えたエンジンの概略図である。図1に示す本発明の実施形態に係るクランクシャフト支持構造を備えたエンジン1は、自動車等の車両に搭載されるものであり、これに限定されるものではないが、4つの気筒が直列に配置された直列4気筒型のエンジン1である。
エンジン1は、4つの気筒が形成されたシリンダブロック2と、シリンダブロック2の下部に回転可能に支持されるクランクシャフト10とを備えている。クランクシャフト10は、軸方向一端部側としての前端部側の端部11にタイミングギヤなどが取り付けられ、軸方向他端部側としての後端部側の端部12にフライホイールなどが取り付けられる。
クランクシャフト10は、炭素鋼などの金属材料によって形成され、軸方向に交互に配置された5つのジャーナル部13と4つのピン部14とを有している。クランクシャフト10は、前端部側から順に配置される第1~第5ジャーナル部J1~J5と、隣り合うジャーナル部J1~J5の間に前端部側から順に配置される第1~第4ピン部P1~P4とを有している。
5つのジャーナル部13は、クランクシャフト10の中心軸C1上に配置され、外周面が円筒状若しくは略円筒状に形成されてクランクシャフト10の軸方向に延びている。4つのピン部14は、クランクシャフト10の中心軸C1に対してオフセットして配置され、外周面が円筒状若しくは略円筒状に形成されてクランクシャフト10の軸方向に延びている。第1及び第4ピン部P1,P4と、第2及び第3ピン部P2,P3とは、クランクシャフト10の中心軸C1に対して180度対称位置に配置されている。
クランクシャフト10は、軸方向に隣接するジャーナル部13とピン部14とをそれぞれ接続する8つのクランクアーム部15を有し、クランクアーム部15には、ピン部14に対応してカウンタウェイト部16が設けられている。クランクアーム部15は、前端部側から順に第1~第8クランクアーム部A1~A8を有し、カウンタウェイト部16は、前端部側から順に第1~第8カウンタウェイトB1~B8を有している。
ジャーナル部13は、シリンダブロック2の下部に設けられた軸受部材20に回転可能に支持されている。軸受部材20は、アルミニウム合金などの金属材料によって形成され、ジャーナル部13の外周面に沿って配置される内周面を有して円筒状若しくは略円筒状に形成されている。
シリンダブロック2は、アルミニウム合金などの金属材料によって形成され、エンジン1の上側に配置されるアッパブロック3と、エンジン1の下側に配置されるロアブロック4とを備えている。軸受部材20は、アッパブロック3の下面とロアブロック4の上面との間に配置されてシリンダブロック2の下部に設けられている。
ピン部14は、気筒内に配置されるピストン5にコンロッド6を介して連結されている。コンロッド6の小端部がピストン5に連結され、コンロッド6の大端部がピン部14に連結されている。コンロッド6の大端部とピン部14とは、軸受部材7を介して回転可能に連結されている。軸受部材7は、ピン部14の外周面に沿って配置される内周面を有して円筒状若しくは略円筒状に形成されている。
クランクシャフト10は、ピン部14がピストン5にコンロッド6を介して連結され、ジャーナル部13がシリンダブロック2の下部に設けられた軸受部材20に回転自在に支持され、気筒内における燃焼による爆発力がピストン5及びコンロッド6を介してピン部14に作用してピストン5の往復運動を回転運動に変換するようになっている。
エンジン1では、図示されていないが、シリンダブロック2の下面に取り付けられたオイルパンに貯留されたオイルをオイルポンプによって吸い上げ、シリンダブロック2のアッパブロック3に設けられたオイル通路3aを通じて、ジャーナル部13が軸受部材20に回転自在に支持されたクランクシャフト軸受部8に供給されて潤滑されるようになっている。軸受部材20の軸方向中央側にはオイル通路3aに対応してオイル穴が設けられ、前記オイル穴を通じて軸受部材20とジャーナル部13との間にオイルが供給されるようになっている。
クランクシャフト軸受部8に供給されたオイルの一部は、クランクシャフト10内にジャーナル部13とピン部14とを連通するように設けられたオイル通路を通じてジャーナル部13からピン部14に供給され、クランクシャフト10のピン部14とコンロッド6の大端部に設けられた軸受部材7との間に供給されるようになっている。
図2は、クランシャフト軸受部を示す図である。図2では、ジャーナル部J2が軸受部材20に支持されたクランクシャフト軸受部8及びその近傍を示している。図2に示すクランクシャフト軸受部8では、ジャーナル部J2の軸方向一端部側に、クランクアーム部A2を介してピン部P1が隣接して配置され、ジャーナル部J2の軸方向他端部側には、クランクアーム部A3を介してピン部P2が隣接して配置されている。ジャーナル部J2の軸方向両端部側に配置されるピン部P1及びP2は、クランクシャフト10の周方向に180度対称位置に配置されている。
ジャーナル部J2が支持される軸受部材20は、それぞれ断面半円状に形成された上側軸受部材21及び下側軸受部材22を組み合わせて円筒状に形成されている。上側軸受部材21は、ジャーナル部13のピストン側の外周面に沿って配置されるようにアッパブロック3に取り付けられ、下側軸受部材22は、ジャーナル部13の反ピストン側の外周面に沿って配置されるようにロアブロック4に取り付けられている。上側軸受部材21には、前記オイル穴が設けられている。
図3は、クランクシャフトのジャーナル部が傾斜した状態を示す図である。図3では、気筒内における燃焼による爆発力がピストン5及びコンロッド6を介してクランクシャフト10のピン部14に作用してクランクシャフト10が曲げ変形されるとき、ピン部14に隣接するクランクシャフト10のジャーナル部13が軸受部材20の中心軸C2に対して傾斜した状態を示している。
図3(a)に示すように、燃焼による爆発力がジャーナル部J2の軸方向一端部側にクランクアーム部A2を介して隣接して配置されるピン部P1に作用する場合、ジャーナル部J2の軸方向一端部側が反ピン部側に下方に傾斜して、矢印P1で示すように軸受部材20の端部に接触して支持される。
また、図3(b)に示すように、燃焼による爆発力がジャーナル部J2の軸方向一端部側にクランクアーム部A3を介して隣接して配置されるピン部P2に作用する場合、ジャーナル部J2の軸方向一端部側が反ピン部側に下方に傾斜して、矢印P2で示すように軸受部材20の端部に接触して支持される。
このように、ピン部14に隣接するジャーナル部13の軸方向一端部側が反ピン部側に下方に傾斜して軸受部材20の端部に接触して支持されるとき、オイルは、ジャーナル部J2の軸方向他端部側から外部に漏れ出てジャーナル部13の軸方向一端部側に供給されるオイルが少なくなって潤滑性能が低下し得る。これに対し、本実施形態では、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性をクランクシャフト10の軸方向に変化させることで、ジャーナル部13の軸方向端部側における潤滑性能を向上させる。
図4は、図2に示すクランクシャフト軸受部の断面図である。図4に示すように、クランクシャフト10のジャーナル部13がシリンダブロック2の軸受部材20に回転自在に支持されたクランクシャフト軸受部8には、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性がクランクシャフト10の軸方向に変化された濡れ性変化部30が設けられている。
濡れ性変化部30は、軸受部材20の内周面23に親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部31を備えている。複数の溝部31はそれぞれ、ジャーナル部13の周方向全体に亘ってジャーナル部13の周方向に延びるように形成され、複数の溝部31は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側にそれぞれ離間して形成されている。
複数の溝部31はそれぞれ、所定幅W1を有すると共に所定深さD1を有する断面三角形状、具体的には二等辺三角形状に形成されている。複数の溝部31の幅W1は、同一に設定され、複数の溝部31の深さD1は、軸受部材20の軸方向中心C3より軸方向一方側においてジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向かうに方向に深くなるように設定されている。
このように、複数の溝部31は、深さD1がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向かうに方向に深くなるように形成され、これにより、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて高くなるように形成されている。
クランクシャフト軸受部8には、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側についても、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側と同様に、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性がクランクシャフト10の軸方向に変化された濡れ性変化部30が設けられている。
ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側についても、濡れ性変化部30は、軸受部材20の内周面23に親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部31を備え、複数の溝部31は、深さD1がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向かうに方向に深くなるように形成されている。図4では、図を見やすくするために溝部31を拡大して示しているが、溝部31は、例えば幅が数μm~数十μmの範囲内で形成される微細な溝部である。
クランクシャフト軸受部8には、ジャーナル部13の軸方向端部13bにPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂からなる層40が設けられている。ジャーナル部13の軸方向一端部13bにフッ素樹脂からなる層40が設けられ、ジャーナル部13の軸方向他端部13bにフッ素樹脂からなる層40が設けられている。
ジャーナル部13の軸方向一端部13bに設けられるフッ素樹脂からなる層40は、軸受部材20より軸方向一端部側に設けられている。フッ素樹脂からなる層40は、ジャーナル部13の軸方向一端部13bにおける外周面13aに接続されるクランクアーム部15の軸方向他端部側の端面14aにも形成され、軸受部材20の内周面23より径方向外側まで設けられている。
ジャーナル部13の軸方向他端部13bに設けられるフッ素樹脂からなる層40についても同様に、軸受部材20より軸方向他端部側に設けられ、フッ素樹脂からなる層40は、ジャーナル部13の軸方向他端部13bにおける外周面13aに接続されるクランクアーム部15の軸方向一端部側の端面14aにも形成され、軸受部材20の内周面23より径方向外側まで設けられている。フッ素樹脂からなる層40は、例えば厚さが数百μmで形成される。
フッ素樹脂からなる層40は、撥油性を有している。ジャーナル部13の軸方向一端部13bに設けられるフッ素樹脂からなる層40によって、オイルがジャーナル部13の軸方向一端部13bから外部に漏れることを抑制し、ジャーナル部13の軸方向他端部13bに設けられるフッ素樹脂からなる層40によって、オイルがジャーナル部13の軸方向他端部13bから外部に漏れることを抑制する。
図5は、オイルに対する濡れ性を説明するための説明図である。図5(a)は、オイル100が壁面101に付着した状態を示し、図5(b)は、オイル100が壁面101に設けられた溝部102に侵入した状態を示している。図5では、溝部102の幅をWとし、溝部102の深さをDとし、溝部102の開口面積をa1とし、溝部102の面積をa2として示している。
オイル100が図5(a)に示す状態から図5(b)に示す状態に変形し、オイル100が新しい表面を作るときに必要なエネルギーをE1とすると、エネルギーE1は、次式:E1=Esurf×(a2-a1)によって表すことができる。ここで、Esurfはオイル100の表面自由エネルギーを示している。
また、オイル100が図5(b)に示す状態から図5(a)に示す状態に変形し、オイル100を壁面101、具体的には溝部102の壁面101から引き剥がすときに必要なエネルギーをE2とすると、エネルギーE2は、次式:E2=Einterface×a2によって表すことができる。ここで、Einterfaceはオイル100の界面相互作用エネルギーを示している。
壁面101に対するオイル100の親油性の度合いである親油度は(E2-E1)で表すことができ、E1<E2の場合には図5(b)に示すようにオイル100が壁面101の溝部102に侵入した状態が安定し(親油)、エネルギーE1とエネルギーE2との差(E2-E1)が大きいほど親油度が高くなる。E1>E2の場合には図5(a)に示すようにオイル100が壁面101に付着した状態が安定する(撥油)。
親油度(E2-E1)は、(Einterface-Esurf)×a2+Esurf×a1として表され、溝部102が次式:Einterface>Esurfである金属材料によって形成される場合、溝部102の深さDを大きくすると溝部102の面積a2が大きくなることから、親油度が高くなって親油性が高くなる。
一方、溝部102が、次式:Einterface<Esurfであるフッ素樹脂材料によって形成される場合、溝部102の深さDを大きくすると溝部102の面積a2が大きくなることから、親油度が低くなって親油性が低くなり撥油性が高くなる。
また、溝部102の幅Wを大きくすると溝部102の面積a2と溝部102の開口面積a1との差が小さくなってエネルギーE1が小さくなることから、溝部102が金属材料又はフッ素樹脂材料のいずれの材料によって形成される場合についても、親油度が高くなって親油性が高くなる。
図4に示すクランクシャフト軸受部8では、複数の溝部31は、深さD1がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向かうに方向に深くなるように形成され、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように形成されている。
このように、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性をクランクシャフト10の軸方向に変化させることで、ジャーナル部13の軸方向端部側における潤滑性能を向上させることができる。
クランクシャフト10では、ジャーナル部13の軸方向両端部側にそれぞれピン部14が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部8は、第2ジャーナル部J2のクランクシャフト軸受部8と同様に形成され、第3ジャーナル部J3及び第4ジャーナル部J4のクランクシャフト軸受部8はそれぞれ同様に形成される。第3ジャーナル部J3のクランクシャフト軸受部8は、ジャーナル部13の軸方向両端部側にそれぞれ隣接して配置されるピン部P2,P4がクランクシャフト10の中心軸C1に対して周方向に同一位置に配置され、濡れ性変化部及びフッ素樹脂からなる層を設けないようにすることも可能である。
図6は、別のクランシャフト軸受部を示す図である。図6では、ジャーナル部J1が軸受部材20に支持されたクランクシャフト軸受部8及びその近傍を示している。図6に示すように、ジャーナル部J1が支持されるクランクシャフト軸受部8では、ジャーナル部J1の軸方向他端部側にのみ、クランクアーム部A1を介してピン部P1が隣接して配置されている。
ジャーナル部J1が支持される軸受部材20についても、ジャーナル部J2が支持される軸受部材20と同様に、上側軸受部材21及び下側軸受部材22を組み合わせて円筒状に形成され、上側軸受部材21には、前記オイル穴が設けられている。
図7は、図6に示すクランクシャフト軸受部の断面図である。図7に示すクランクシャフト軸受部8についても、図4に示すクランクシャフト軸受部8と同様に、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性がクランクシャフト10の軸方向に変化された濡れ性変化部30が設けられている。
濡れ性変化部30は、軸受部材20の内周面23に親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部31を備え、複数の溝部31はそれぞれ、ジャーナル部13の周方向全体に亘ってジャーナル部13の周方向に延びるように形成され、複数の溝部31は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側にそれぞれ離間して形成されている。
複数の溝部31はそれぞれ、所定幅W1を有すると共に所定深さD1を有する断面三角形状に形成され、複数の溝部31の幅W1は、同一に設定され、複数の溝部31の深さD1は、軸受部材20の軸方向中心C3より軸方向他方側においてジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向かうに方向に深くなるように設定されている。
このように、複数の溝部31は、深さD1がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向かうに方向に深くなるように形成され、これにより、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるように形成されている。クランクアーム部A1を介してピン部P1が隣接して配置されるジャーナル部J1の軸方向他端部側にのみ濡れ性変化部30が設けられている。
図7に示すクランクシャフト軸受部8についても、図4に示すクランクシャフト軸受部8と同様に、ジャーナル部13の軸方向他端部13bにフッ素樹脂からなる層40が設けられている。フッ素樹脂からなる層40は、軸受部材20より軸方向他端部側に設けられ、クランクアーム部15の軸方向他端部側の端面14aにも形成され、軸受部材20の内周面23より径方向外側まで設けられている。
ジャーナル部13の軸方向一端部13bにもフッ素樹脂からなる層50が設けられている。フッ素樹脂からなる層50は、ジャーナル部13の外周面13aに軸受部材20の軸方向中心C3から軸受部材20より軸方向一端部側に、ジャーナル部13の軸方向他端部13bまで設けられている。
ジャーナル部13の軸方向一端部13bに設けられるフッ素樹脂からなる層50によって、オイルがジャーナル部13の軸方向一端部13bから外部に漏れることを抑制し、ジャーナル部13の軸方向他端部13bに設けられるフッ素樹脂からなる層40によって、オイルがジャーナル部13の軸方向他端部13bから外部に漏れることを抑制する。
クランクシャフト10では、ジャーナル部13の軸方向一端部側にのみピン部14が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部8は、第1ジャーナル部J1のクランクシャフト軸受部8と同様に形成され、第5ジャーナル部J5のクランクシャフト軸受部8は同様に形成される。
図8は、図4に示すクランシャフト軸受部の変形例を示す図である。図8に示すように、ジャーナル部13の軸方向両端部側にそれぞれピン部14が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部8において、ジャーナル部13の外周面13aに親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性がクランクシャフト10の軸方向に変化された濡れ性変化部30を設けるようにしてもよい。
かかる場合についても、濡れ性変化部30は、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部31を備え、複数の溝部31は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて深さが深く形成される。
図9は、図7に示すクランシャフト軸受部の変形例を示す図である。図9に示すように、ジャーナル部13の軸方向一端部側にのみピン部14が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部8において、ジャーナル部13の外周面13aに親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性がクランクシャフト10の軸方向に変化された濡れ性変化部30を設けるようにしてもよい。
かかる場合についても、濡れ性変化部30は、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部31を備え、複数の溝部31は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて深さが深く形成される。
図10は、図7に示すクランシャフト軸受部の別の変形例を示す図である。図10に示すように、ジャーナル部13の軸方向一端部側にのみピン部14が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部8において、ジャーナル部13の外周面13aに軸受部材20の軸方向中心C3から軸受部材20より軸方向端部側に、ジャーナル部13の軸方向端部13bまで設けられるフッ素樹脂からなる層70の外周面71に、撥油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部72を備えるようにしてもよい。
フッ素樹脂からなる層70の外周面71に形成された複数の溝部72はそれぞれ、ジャーナル部13の周方向全体に亘ってジャーナル部13の周方向に延びるように形成され、複数の溝部72は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側にそれぞれ離間して形成されている。
複数の溝部72はそれぞれ、所定幅W2を有すると共に所定深さD2を有する断面三角形状、具体的には二等辺三角形状に形成されている。複数の溝部72の幅W2は、同一に設定され、複数の溝部72の深さD2は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向かうに方向に深くなっている。
複数の溝部72は、深さD2がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向かう方向に深くなるように形成され、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて低くなるように、すなわち撥油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように形成されている。
このように、ジャーナル部13の軸方向端部13bに設けられるフッ素樹脂からなる層70に撥油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように複数の溝部72を形成することで、オイルがジャーナル部13の軸方向端部13bから外部に漏れることをさらに抑制する。
クランクシャフト10のクランクシャフト軸受部8に形成される複数の溝部31は、幅W1が同一に設定されて深さD1がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向かうに方向に深くなるように形成されているが、幅W1がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて大きく形成されてもよい。
クランクシャフト軸受部8において、フッ素樹脂からなる層70の外周面71に形成された複数の溝部72は、幅W1が同一に設定されて深さD1がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向かうに方向に深くなるように形成されているが、幅W2がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて小さく形成されてもよい。
本実施形態では、濡れ性変化部30は、軸受部材20の内周面23又はジャーナル部13の外周面13aに設けられるが、軸受部材20の内周面23及びジャーナル部13の外周面13aに設けるようにしてもよい。また、シリンダブロック2に軸受部材20が取り付けられているが、軸受部材20としてシリンダブロック2を用いるようにしてもよい。
本実施形態では、複数の溝部31,72は、断面三角形状に形成されているが、断面矩形状などの他の断面形状に形成することも可能である。複数の溝部31,72は、ジャーナル部13の周方向全体に亘ってジャーナル部13の周方向に延びるように形成されているが、ジャーナル部13の周方向において上側及び下側にのみジャーナル部13の周方向に延びるように形成するようにしてもよい。
このように、本実施形態に係るエンジンのクランクシャフト支持構造によれば、シリンダブロック2の軸受部材20にクランクシャフト10のジャーナル部13が支持されたクランクシャフト軸受部8は、オイルに対する濡れ性がクランクシャフト10の軸方向に変化された濡れ性変化部30を有している。
これにより、濡れ性変化部30によって、クランクシャフト軸受部8においてオイルに対する濡れ性をクランクシャフト10の軸方向に変化させることができる。親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるようにオイルに対する濡れ性を変化させることで、クランクシャフト軸受部8においてジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けてオイルを移動させてジャーナル部13の軸方向端部側にオイルを保持することができ、ジャーナル部13の軸方向端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部13と軸受部材20との間の摩擦抵抗を低減することができる。
ピン部14に燃焼による爆発力が作用してクランクシャフト10が曲げ変形され、ピン部14に隣接するジャーナル部13の軸方向端部側が軸受部材20に接触して支持される場合においても、ジャーナル部13の軸方向端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部13と軸受部材20との間の摩擦抵抗を低減することができる。
したがって、クランクシャフト10が曲げ変形される場合においても、クランクシャフト軸受部8における潤滑性能を向上させて摩擦抵抗を低減することができる。低粘度オイルを使用する場合においても、クランクシャフト軸受部8においてジャーナル部13の軸方向端部側にオイルを保持することができ、クランクシャフト軸受部8における潤滑性能を向上させて摩擦抵抗を低減することができる。
また、濡れ性変化部30は、軸受部材20の内周面23及びジャーナル部13の外周面13aの少なくとも一方に親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部31を備えている。これにより、濡れ性変化部30に、軸受部材20の内周面23及びジャーナル部13の外周面の少なくとも一方に複数の溝部31が形成されるので、複数の溝部31の形成による比較的簡単な構成によって、親油性をジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くしてジャーナル部13の軸方向端部側にオイルを保持することができ、ジャーナル部13の軸方向端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部13と軸受部材20との間の摩擦抵抗を低減することができる。
また、複数の溝部31は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて深さが深く形成される。これにより、軸受部材20の内周面23及びジャーナル部13の外周面13aの少なくとも一方にジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて深さが深く形成される複数の溝部31によって、親油性をジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くすることができる。
また、複数の溝部31は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて幅が大きく形成される。これにより、軸受部材20の内周面23及びジャーナル部13の外周面13aの少なくとも一方にジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて幅が大きく形成される複数の溝部31によって、親油性をジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向端部側に向けてさらに高くすることができる。
また、ジャーナル部13の軸方向一端部側にのみクランクシャフト10のピン部14が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部8は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて深さが深く形成された複数の溝部31を備え、ジャーナル部13の軸方向両端部側にそれぞれクランクシャフト10のピン部14が隣接して配置されるクランクシャフト軸受部8は、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向両端部側に向けてそれぞれ深さが深く形成された複数の溝部31を備える。
これにより、ジャーナル部13の軸方向一端部側にのみピン部14が配置されるクランクシャフト軸受部8に、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて深さが深くなる複数の溝部31が備えられるので、ピン部14に燃焼による爆発力が作用してピン部14に隣接するジャーナル部13の軸方向一端部側が軸受部材20に接触して支持される場合に、ジャーナル部13の軸方向一端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部13と軸受部材20との間の摩擦抵抗を低減することができる。
また、ジャーナル部13の軸方向両端部側にそれぞれピン部14が配置されるクランクシャフト軸受部8に、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向両端部側に向けてそれぞれ深さが深くなる複数の溝部31が備えられるので、ピン部14に燃焼による爆発力が作用してピン部14に隣接するジャーナル部13の軸方向一端部側及び軸方向他端部側がそれぞれ軸受部材20に接触して支持される場合に、ジャーナル部13の軸方向一端部側及び軸方向他端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部13と軸受部材20との間の摩擦抵抗を低減することができる。
また、軸受部材20及びジャーナル部13は、金属材料によって形成され、ジャーナル部13の軸方向一端部側にのみピン部14が配置されるクランクシャフト軸受部8は、軸受部材20の内周面23及びジャーナル部13の外周面13aの少なくとも一方に親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて高くなるようにジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて深さが深く形成された複数の溝部31として複数の第1溝部31を備えると共に、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側における外周面13aに設けられたフッ素樹脂からなる層70を備える。そして、フッ素樹脂からなる層70に、撥油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるようにジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて深さが深く形成された複数の第2溝部72が設けられる。
これにより、ジャーナル部13の軸方向一端部側にのみピン部14が配置されるクランクシャフト軸受部8では、親油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて高くなるように複数の第1溝部31が設けられるので、ジャーナル部13の軸方向一端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部13と軸受部材20との間の摩擦抵抗を低減することができる。
また、ジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側における外周面13aにフッ素樹脂からなる層70が設けられるので、フッ素樹脂からなる層70によってクランクシャフト軸受部8に供給されたオイルがジャーナル部13の軸方向他端部側に向かうことを抑制することができる。さらに、フッ素樹脂からなる層70には撥油性がジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるようにジャーナル部13の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて深さが深くなる複数の第2溝部72が設けられるので、クランクシャフト軸受部8に供給されたオイルがジャーナル部13の軸方向端部側に向かうことをさらに抑制することができる。ジャーナル部13の軸方向一端部側にのみピン部14が配置されるクランクシャフト軸受部8において、ジャーナル部13の軸方向一端部側における潤滑性能を向上させてジャーナル部13と軸受部材20との間の摩擦抵抗を低減することができる。
また、ジャーナル部13の軸方向端部13bにフッ素樹脂からなる層40が設けられる。これにより、ジャーナル部13の軸方向端部に設けられたフッ素樹脂からなる層40によって、クランクシャフト軸受部8に供給されたオイルがジャーナル部13の軸方向端部から外部に漏れることを抑制することができ、クランクシャフト軸受部8に供給するオイルの供給量を少なくすることができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、クランクシャフトが曲げ変形される場合においても、クランクシャフト軸受部における潤滑性能を向上させて摩擦抵抗を低減することが可能となるから、クランクシャフトをシリンダブロックに回転可能に支持するエンジンないしエンジンが搭載される車両の製造技術分野において好適に利用される可能性がある。
1 エンジン
2 シリンダブロック
8 クランクシャフト軸受部
10 クランクシャフト
13 ジャーナル部
14 ピン部
20 軸受部材
30 濡れ性変化部
31 第1溝部
72 第2溝部

Claims (7)

  1. エンジンのクランクシャフトをシリンダブロックに回転可能に支持するエンジンのクランクシャフト支持構造であって、
    前記シリンダブロックの軸受部材に前記クランクシャフトのジャーナル部が支持されたクランクシャフト軸受部を備え、
    前記クランクシャフト軸受部は、オイルに対する濡れ性が前記クランクシャフトの軸方向に変化された濡れ性変化部を有している
    エンジンのクランクシャフト支持構造。
  2. 前記濡れ性変化部は、前記軸受部材の内周面及び前記ジャーナル部の外周面の少なくとも一方に親油性が前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて高くなるように形成された複数の溝部を備えている
    請求項1に記載のエンジンのクランクシャフト支持構造。
  3. 前記複数の溝部は、前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて深さが深く形成されている
    請求項2に記載のエンジンのクランクシャフト支持構造。
  4. 前記複数の溝部は、前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向端部側に向けて幅が大きく形成されている
    請求項3に記載のエンジンのクランクシャフト支持構造。
  5. 前記ジャーナル部の軸方向一端部側にのみ前記クランクシャフトのピン部が隣接して配置される前記クランクシャフト軸受部は、前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて深さが深く形成された前記複数の溝部を備え、
    前記ジャーナル部の軸方向両端部側にそれぞれ前記クランクシャフトのピン部が隣接して配置される前記クランクシャフト軸受部は、前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向両端部側に向けてそれぞれ深さが深く形成された前記複数の溝部を備えている
    請求項3又は請求項4に記載のエンジンのクランクシャフト支持構造。
  6. 前記軸受部材及び前記ジャーナル部は、金属材料によって形成され、
    前記ジャーナル部の軸方向一端部側にのみ前記クランクシャフトのピン部が隣接して配置される前記クランクシャフト軸受部は、前記軸受部材の内周面又は前記ジャーナル部の外周面に親油性が前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて高くなるように前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向一端部側に向けて深さが深く形成された前記複数の溝部として複数の第1溝部を備えると共に、前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側における外周面に設けられたフッ素樹脂からなる層を備え、
    前記フッ素樹脂からなる層に、撥油性が前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて高くなるように前記ジャーナル部の軸方向中央側から軸方向他端部側に向けて深さが深く形成された複数の第2溝部が設けられている
    請求項3から請求項5の何れか1項に記載のエンジンのクランクシャフト支持構造。
  7. 前記ジャーナル部の軸方向端部にフッ素樹脂からなる層が設けられている
    請求項2から請求項6の何れか1項に記載のエンジンのクランクシャフト支持構造。
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