JP2022114435A - 歯付ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】歯付ベルトの噛み合い伝動面である歯部の表面を構成する保護層(繊維部材)において、接合部(継ぎ目)がなく、且つ歯部を形成するゴム組成物の露出(滲みだし)を抑制する。【解決手段】歯付ベルト1は、ベルト長手方向に所定の間隔で配設された複数の歯部2を有し、歯部2の表面が、3本以上の組糸71を組み合わせて形成された組物7で構成され、組糸71は、嵩高加工糸と当該嵩高加工糸よりも伸縮性の低い保形糸とを合糸した糸からなる。【選択図】図1

Description

本発明は、ベルト駆動によって動力を伝達する装置において、同期伝動に使用される歯付ベルトに関する。
動力を伝達する伝動ベルトは、摩擦伝動ベルトと噛み合い伝動ベルトとに大別される。摩擦伝動ベルトとしては、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどが挙げられ、噛み合い伝動ベルトとしては、歯付ベルトが挙げられる。歯付ベルトとしては、心線をベルト長手方向と略平行に埋設した背部と、ベルト長手方向に所定間隔で配設された歯部と、歯部の表面を構成する保護層(繊維部材による補強層)とを有するベルトが一般的に用いられている。保護層(繊維部材)としては、通常では織布や編布などの布材(歯布)が用いられる(特許文献1参照)。
保護層(繊維部材)に織布を用いる場合、有端に製織された布を用い、その両端部を溶着や縫製などの方法で接合して環状の状態で歯付ベルトに配置される。そのため、歯付ベルトの周内には織布の接合部(継ぎ目)が存在する。接合部では割れ(亀裂)が生じたり、歯部を構成するゴム組成物の滲み出しが生じやすい欠点がある。また、織布の両端部をオーバーラップさせて接合すると滲み出しを抑えられるが、厚みが大きいオーバーラップ部が歯底部に配置されると、心線の位置(PLD:Pitch Line Differential)が不安定になる。さらに、接合を含む製造工程では、高価な設備や、多大な労力や時間が必要になるので経済性が悪い。
また、編布の場合は、その製法上、接合部(継ぎ目)のない筒状の編布を作製できるので、別途接合工程を必要としないうえに、歯付ベルトの周内に接合部(継ぎ目)は存在しない。
特許第5039838号公報
しかし、一般に、編布は糸をループ状に絡ませながら編まれるため、編布の糸と糸との間には必然的に大きな隙間が存在する。この隙間の存在により、歯付ベルトを製造する際に、歯部を構成するゴム組成物が、編布の糸と糸との隙間を透過して外へ露出しやすくなる。すなわち、歯付ベルトの噛み合い伝動面において、ゴム組成物が編布で覆われていない箇所が発生する。
そこで、本発明の課題は、歯付ベルトの噛み合い伝動面である歯部の表面を構成する保護層(繊維部材)において、接合部(継ぎ目)がなく、且つ歯部を形成するゴム組成物の露出(滲みだし)を抑制することである。
本発明の歯付ベルトは、ベルト長手方向に所定の間隔で配設された複数の歯部を有し、
前記歯部の表面が、3本以上の組糸を組み合わせて形成された組物で構成され、
前記組糸は、嵩高加工糸と前記嵩高加工糸よりも伸縮性の低い保形糸とを合糸した糸からなることを特徴としている。
上記構成によれば、組物においては、複数の組糸が密に配置されるため、糸と糸との隙間は編布と比べて小さくなる。また、組糸が、伸縮性の高い嵩高加工糸と伸縮性の低い保形糸とを合糸した糸からなっている。このため、組物を形成する際に、組糸にかかる張力の大部分を伸縮性の低い保形糸が担うことになる。これによって、嵩高加工糸が伸び切ることを防ぎ、糸と糸との隙間が広がるのを抑制できる。したがって、本発明では、噛み合い伝動面となる歯部の表面を構成する保護層として上記組物が採用されているため、歯部を構成するゴム組成物が組物から露出することを抑制することができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトにおいて、前記保形糸が、熱可塑性であることを特徴としてもよい。
上記構成によれば、熱可塑性の保形糸を含む組糸で組物を組んだ後、熱処理を行うことで保形糸が溶融するため、保形糸を含む組糸で組まれた組物を目的の形状に成形しやすくすることができる。また、組物の成形後、冷却を行うことで保形糸が固化し、組物の形状が安定化する。これにより、歯付ベルトの製造工程において、ベルト成形体に組物を被せる作業を容易に行うことができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトにおいて、前記保形糸は、融点が100℃以上、且つ、180℃以下であることを特徴としてもよい。
上記構成によれば、保形糸の融点は100℃以上である。これによると、歯付ベルト使用時において、保形糸は溶融することがないため、異音や伝動不良が生じるのを回避できる。また、保形糸の融点は180℃以下である。これによると、歯付ベルトの製造工程に係る加硫処理時において、保形糸は溶融するため、組糸の伸張が発現し、歯部の形状を安定して形成することができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトにおいて、前記組物が、シームレスの筒状組物であることを特徴としてもよい。
上記構成によれば、組物にシーム(継ぎ目)が存在しないため、つなぎ目から組物に亀裂が入り、組物が歯部との界面から剥離することを防止することができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトにおいて、前記組物が、前記組糸を30本以上含むことを特徴としてもよい。
上記構成によれば、組物と歯部との界面の保護効果を高めることができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトにおいて、前記組物の交差する組糸が、ベルト幅方向に対して85°以上89°以下の範囲の組角度を有していることを特徴としてもよい。
上記構成によれば、組糸をベルト長手方向に近い角度で配置することにより、組物のベルト長手方向への伸びを確保して、組物を歯部の表面に沿って配置することができる。さらに、歯部とプーリとの接触によって応力(負荷)を受ける方向が主にベルト長手方向となる歯付ベルトの、ベルト長手方向の補強が可能となる。
また、本発明は、上記歯付ベルトにおいて、前記組糸の前記嵩高加工糸と前記保形糸とを合わせた総繊度に対する、前記保形糸の繊度の割合が10%以上50%以下であることを特徴としてもよい。
総繊度に対する保形糸の繊度が10%より少ないと、組物の保形効果が得られず、総繊度に対する保形糸の繊度が50%より多いと、歯付ベルトの製造工程において溶融せず残存する繊維の割合が減って繊維の効果(歯部を保護する効果)が小さくなってしまう。そこで、総繊度に対する保形糸の繊度を10%以上50以下にすることにより組物の保形効果を得つつ、歯部を保護する効果を担保することができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトにおいて、前記嵩高加工糸が、2種類以上の糸を含む複合糸であることを特徴としてもよい。
上記構成によれば、組物に糸の種類に応じた複合的な伸張性を付与することができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトにおいて、前記複合糸が、ポリウレタン弾性糸と、ポリアミド(ナイロン)のウーリー加工糸とを含むことを特徴としてもよい。
上記構成によれば、組物を歯部の表面に沿って配置するのに十分な伸張性が担保され、組物の保形効果を得つつ、歯部を保護する効果を良好に発揮することができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトの製造方法であって、
外周面に歯付ベルトの前記歯部に対応した歯溝が設けられた、円筒状金型の外周に、筒状の前記組物を配置し、さらに径方向外側にベルト成形体を配置し、外周側から前記ベルト成形体を径方向内側に向かって押圧することで、前記歯溝に前記ベルト成形体とともに前記組物を圧入し、前記歯部の形成とともに当該歯部の表面に沿って前記組物を配置させることを特徴としている。
上記方法によれば、歯付ベルトのベルト長手方向に伸びる組物を歯部の形状に沿って安定して配置することができる。
また、本発明は、上記歯付ベルトの製造方法において、
マンドレルの外周上で、熱可塑性の前記保形糸を含む、3本以上の前記組糸を組み合わせることによって、シームレスの筒状の前記組物を形成し、
形成した前記組物に対して、第1所定温度で熱処理を所定時間行った後、第2所定温度となるまで冷却することを特徴としてもよい。
上記方法によれば、第1所定温度で熱処理を行うことで保形糸が溶融又は軟化するため、保形糸を含む組糸で組まれた組物を目的の形状に成形しやすくすることができる。また、組物の成形後、第2所定温度となるまで冷却を行うことで保形糸が固化し、組物の形状が安定化する。これにより、歯付ベルト製造用の金型に組物を被せる作業を容易に行うことができる。すなわち、保形糸は、熱処理によって溶融又は軟化する溶融糸として機能し、組物の形状の保持に寄与する。
また、本発明は、上記歯付ベルトの製造方法において、
前記円筒状金型の外周上で3本以上の前記組糸を組み合わせることによって前記組物を形成することを特徴としてもよい。
上記方法によれば、円筒状金型の外周上で組糸を組み合わせることによって、又は、組糸と軸糸とを組み合わせることによって筒状の組物を形成することができる。この場合、マンドレルの外周上で組糸を互いに組み合わせる作業は行われず、マンドレルから抜き取る脱型作業が不要である。そのため、形成した組物に対して熱処理を行うことも不要である。円筒状金型の外周上で組物を組むとき、伸縮性の低い保形糸が組糸にかかる張力を担うことによって、嵩高加工糸が伸び切るのを防ぎ、組物の糸と糸との間の隙間が広がるのを防ぐことができる。すなわち、保形糸は、組糸にかかる張力を担う張力負担部材として機能し、組物の形状の保持に寄与する。
歯付ベルトの噛み合い伝動面である歯部の表面を構成する保護層(繊維部材)において、接合部(継ぎ目)がなく、且つ歯部を形成するゴム組成物の露出(滲みだし)を抑制する。また、多大な労力と時間を要する布材の製造工程の簡略化により、ベルト製造工程を簡略にする。
本実施形態に係る歯付ベルトの一例を示す断面斜視図である。 本実施形態に係る歯付ベルトのベルト長手方向の断面図(説明図)である。 (a)本実施形態に係る歯付ベルトの保護層として使用される筒状組物の説明図である。(b)組物の比較対象となる編布を示す図である。 (a)本実施形態の組機の概略図である。(b)組機で組物を作製する際の、スピンドルの軌道図である。 歯付ベルトの製造方法の説明図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(歯付ベルト1)
図1は、本実施形態に係る歯付ベルトの一例を示す断面斜視図である。
歯付ベルト1は、図1に示すように、心線3がベルト長手方向に沿って螺旋状に埋設された背部4と、背部4の内周面(背部4の一方の表面に相当)にベルト長手方向に沿って所定間隔で設けられた複数の歯部2とを有する。本実施形態では、複数の歯部2は、背部4の内周面に一体成形されている。また、図1に示すように、歯部2は、ベルト幅方向に対して平行に延びており、歯部2は、ベルト長手方向の縦断面形状が台形状に形成されている。また、歯付ベルト1の内周面、即ち、歯部2の表面および背部4の内周面の一部(歯底部)は、保護層5で構成されている。この保護層5で構成される表面が歯付プーリなどとの接触面(噛み合い伝動面)となる。
なお、歯付ベルト1の形状は、図1に示す構造に限定されず、歯付ベルト1の少なくとも一方の面に、ベルト長手方向に所定の間隔をおいて形成され、かつ、歯付プーリと噛合可能な複数の歯部2又は凸部を有していればよい。歯部2又は凸部の断面形状(ベルト長手方向又はベルト幅方向の断面形状)は、前記台形に限定されず、歯付プーリの形態などに応じて、例えば、半円形、半楕円形、多角形(三角形、四角形(矩形など)など)などであってもよい。また、ベルト長手方向に隣り合う歯部2又は凸部の間隔(歯ピッチP(図2参照))は、歯付プーリの形態などに応じて、例えば1~14mm、好ましくは3~8mm程度であってもよい。また、歯付ベルト1の周長は、例えば、80~400mmである。歯付ベルト1の幅Wは、例えば、4~30mmである。即ち、本実施形態の歯付ベルト1は、比較的、低負荷用途のものである。
(背部4及び歯部2)
背部4及び歯部2は、ゴム組成物で構成され、このゴム組成物のゴム成分としては、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム(HNBR)、エチレン-プロピレン共重合体(EPM)、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)等が用いられる。特に、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)が好適に用いられる。本実施形態では、背部4及び歯部2を構成するゴム組成物は、同じゴム組成物で形成されているが、異なるゴム組成物で形成されていてもよい。
背部4及び歯部2を構成するゴム組成物は、必要に応じて、慣用の各種添加剤(または配合剤)を含んでいてもよい。添加剤としては、加硫剤または架橋剤(例えば、オキシム類(キノンジオキシムなど)、グアニジン類(ジフェニルグアニジンなど)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など))、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、補強剤(カーボンブラック、含水シリカなどの酸化ケイ素など)、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなど)、可塑剤、軟化剤(パラフィンオイル、ナフテン系オイルなどのオイル類など)、加工剤または加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィンなど)、老化防止剤(芳香族アミン系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤など)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤などが例示できる。これらの添加剤は、単独または組み合わせて使用でき、ゴム成分の種類や用途、性能などに応じて選択できる。
(心線3)
心線3は、走行の安定性及びベルト強度などを向上させるために、通常、ベルト長手方向に沿って延びる撚りコードが、ベルト幅方向に所定の間隔を空けて螺旋状に埋設されている。より詳細には、心線3は、図1及び図2に示すように、背部4のベルト幅方向の一方の端から他方の端にかけて、所定の間隔(又はピッチ)をおいて(又は等間隔で)埋設されていてもよい。隣接する心線3の中心間の距離である間隔(スピニングピッチSP)は、心線3の径に応じて、例えば、0.4~2.0mm程度であってもよい。
心線3は、複数のストランドやマルチフィラメント糸を撚り合わせた撚りコードで形成されていてもよい。これらのうち、ストランドの撚りコードが好ましく、1本のストランドは、フィラメント(長繊維)を束ねて形成してもよい。心線3の平均線径(撚りコードの直径)は、例えば0.2~2.5mm程度である。撚りコードを形成するフィラメントの太さ、フィラメントの収束本数、ストランドの本数、及び撚り方の撚り構成については、特に制限されない。
心線3を形成する繊維としては、特に制限されず、例えば、ポリエステル系繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維、ポリパラフェニレンナフタレート系繊維)、ポリベンゾオキサゾール繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維(脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維など)などの合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維(スチール繊維)などの無機繊維などが例示できる。これらの繊維は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。心線3を形成する繊維としては、低伸度高強度の点から、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維などの合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維などが汎用される。
心線3には、背部4との接着性を高めるために、接着処理を施してもよい。接着処理の方法としては、例えば、撚りコードをレゾルシン-ホルマリン-ラテックス処理液(RFL処理液)に浸漬後、加熱乾燥して、撚りコードの表面に均一な接着層を形成する方法であってもよい。RFL処理液は、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物をラテックスに混合した混合物であり、ラテックスは、例えば、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエン-ビニルピリジン三元共重合体(VPラテックス)、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムなどであってもよい。さらに、接着処理の方法は、エポキシ化合物又はイソシアネート化合物で前処理を施した後に、RFL処理液で処理する方法であってもよい。
(保護層5)
本実施形態の歯付ベルト1の歯部2の表面および背部4の内周面の一部(歯底部)、即ち、歯付ベルト1の噛み合い伝動面は、保護層5で構成されている。これにより、歯付プーリとの接触による、歯部2の表面および背部4の内周面の一部の摩耗が抑制され、耐久性が向上する。また、ゴム組成物の噛み合い伝動面への露出が抑えられることから、保護効果が向上する。
(保護層5:組物7)
本実施形態では、上記噛み合い伝動面を構成する保護層5として、特に、組物7が使用されている。組物7とは、3本以上の組糸71を組み合わせてなる布であり、糸をループ状に絡ませながら編み上げる編布や経糸と緯糸を直交させて織り上げる織物とは繊維構造が大きく異なる。組物7の特徴としては、伸縮性の高さと糸密度の高さの2点が挙げられる。まず、組物7は、経糸と緯糸で織成された織布と比べると、組物7の繊維構造から、伸縮性が格段に高い。一方、編布の伸縮性は組物7の伸縮性と同様に高い。しかし、組物7は、組糸71が密に配置される点で編布とは決定的に異なる。
図3(b)に示すように、編布では、糸をループ状に絡ませながら編むという特徴から、糸と糸との間には必然的に大きな隙間が存在する。これに対して、図3(a)に示すように、組物7は、糸が密に配置されているため、編布と比べて糸と糸との隙間が小さい。
また、本実施形態で使用される組物7は、継ぎ目がなく強度に優れるシームレスの筒状組物7である。組物7にシーム(継ぎ目)が存在しないため、継ぎ目から組物7に亀裂が入ることによる、保護層5(組物7)の、ゴム層(歯部2、背部4)と保護層5との界面からの剥離が起きにくい。また、継ぎ目によるオーバーラップ部が歯底部に配置されないため、心線3の位置(PLD:Pitch Line Differential)が安定する。
本実施形態の組物7は、3本以上の組糸71と軸糸72を互いに組み合わせることで形成されている。組糸71は、図3(a)に示すように、組物7の軸線(軸方向(ベルト幅方向))に対して所定の組角度±θを有して交差している。
歯付ベルト1では、歯付プーリとの接触によって応力(負荷)を受ける方向がベルト長手方向(周方向)になる。そのため、耐久性に繋がる耐歯欠け性などを高める観点で、ベルト長手方向を補強することが重要である。そこで、本実施形態では、組物7の交差するそれぞれの組糸71は、組物7の軸線(軸方向(ベルト幅方向))に対して85°以上89°以下の範囲の組角度(85°≦θ≦89°)を有していることが好ましい。この範囲の組角度は、軸線に対して極めて90°に近い角度、即ち、組糸71がほぼベルト長手方向(組物7の周方向:図3(a)参照)を向いて配置される角度であることを意味する。これにより、組物7のベルト長手方向への伸びを確保して、組物7を歯部2の表面に沿って配置することができる。さらに、歯部2と歯付プーリとの接触によって応力(負荷)を受ける方向が主にベルト長手方向となる歯付ベルト1の、ベルト長手方向の補強が可能となる。
組物7は、複数の組糸71のみで形成することが可能であるが、筒状組物7の保形性の向上、後述する歯付ベルト製造工程での取り扱い性向上等の観点から、筒状組物7の軸線(軸方向(ベルト幅方向))に平行な軸糸72を使用してもよい。
(組糸71)
組糸71は、嵩高加工糸と、嵩高加工糸よりも伸縮性の低い保形糸とを合糸した糸からなる。組糸71は、伸縮性の高い嵩高加工糸によって、組物7に伸縮性を持たせることができる。また、組糸71は、伸縮性の低い保形糸が組糸71にかかる張力を担うことで、嵩高加工糸が伸び切るのを防ぎ、組物7の糸と糸との隙間が広がるのを防ぐことができる。すなわち、保形糸は、組糸71に係る張力を担う張力負担部材として機能し、組物7の形状の保持に寄与する。
また、保形糸は、熱可塑性である。組糸71で組物7を組んだ後、熱処理を行うことで保形糸が溶融又は軟化するため、保形糸を含む組糸71で組まれた組物7を目的の形状に成形しやすくなる。また、組物7の成形後、冷却を行うことで保形糸が固化し、組物7の形状が安定化する。これによって、後述する歯付ベルト1の製造工程において、歯付ベルト製造用の円筒状モールド90に組物7を被せる作業を容易に行うことができる。
さらに、保形糸は、融点が100℃以上180℃以下の範囲である。これによると、歯付ベルト1使用時において、保形糸は溶融することがないため、異音や伝動不良が生じるのを回避できる。また、歯付ベルト1の製造工程において、加熱加圧によりゴム組成物と筒状組物7とを円筒状モールド90の溝部91に圧入して、筒状組物7を歯部2の輪郭形状に沿った形態に伸張させて、歯部2の表面に配置させる過程において、保形糸が溶融又は軟化するため、嵩高加工糸の伸張は、保形糸によって阻害されることなく進行する。これによって、組糸71の伸張が発現し、歯部2の輪郭形状に沿った形状を安定して形成することができる。すなわち、保形糸は、熱処理又は加硫処理によって溶融又は軟化する溶融糸として機能し、組物7の形状の保持に寄与する。
嵩高加工糸としては、伸縮性の高い2種類以上の糸を含む複合糸を採用できる。良好な伸縮性を有する伸縮性糸としては、例えば、スパンデックス(登録商標)やロイカ(登録商標)などのポリウレタン弾性糸から採用できる。あるいは、ウーリー加工糸、タスラン加工糸、コンジュゲート糸、カバリング糸などの加工糸から採用できる。
ウーリー加工糸は構造的な面から伸縮性を有する糸であり、例えば、ウーリー加工糸として、繊維を仮撚した後に熱固定し、これを解撚することで得られる縮れを有する糸を使用してもよい。
コンジュゲート糸は、熱収縮率の異なる2種類以上のポリマーを繊維軸方向に貼り合わせた断面構造を持ち、製造時や加工時に熱が加わると、各ポリマーの収縮率(熱収縮率)の違いにより捲縮が生じて嵩高い糸となる。例えば、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)とポリエチレンテレフタレート(PET)をコンジュゲートした複合糸(PTT/PETコンジュゲート糸)や、ポリブチレンテレフタレート(PBT)とポリエチレンテレフタレート(PET)をコンジュゲートした複合糸(PBT/PETコンジュゲート糸)がある。上記のように、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むコンジュゲート糸を使用することができる。
また、カバリング糸は、芯糸の周囲を別の糸で覆う(カバリングする)ことにより、糸全体の断面の嵩を大きくした糸である。例えば、伸縮性に優れたポリウレタン(PU)糸を芯糸として、その表面をポリエチレンテレフタレート(PET)でカバリングした複合糸(PET/PUカバリング糸)や、PUを芯糸としてポリアミド(PA)でカバリングした複合糸(PA/PUカバリング糸)がある。これらの複合糸のうち、伸縮性や耐摩耗性に優れる、PTT/PETコンジュゲート糸又はPET/PUカバリング糸が好ましい。
嵩高加工糸の材質については、例えば、吸水性繊維(例えば、セルロース系繊維)、ポリアミド繊維(例えば、ナイロン繊維やアラミド繊維)、ポリエステル繊維(例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維やポリブチレンテレフタレート繊維)、ポリウレタン弾性糸を含む繊維等の材質の嵩高加工糸を用いることができる。なお、セルロース系繊維は、竹繊維、サトウキビ繊維、種子毛繊維(綿繊維(コットンリンター)、カポックなど)、ジン皮繊維(例えば、麻、コウゾ、ミツマタなど)、葉繊維(例えば、マニラ麻、ニュージーランド麻など)などの天然植物由来のセルロース繊維(パルプ繊維)、羊毛、絹、ホヤセルロースなどの動物由来のセルロース繊維、バクテリアセルロース繊維、藻類のセルロースなどが例示できる。
これらの伸縮性糸の中でも、特に、ポリウレタン弾性糸とポリアミド(ナイロン)のウーリー加工糸とを含む複合糸を使用することが好ましい。これによれば、組物7を歯部2の表面に沿って配置するのに十分な伸張性が担保され、組物7の保形効果を得つつ、歯部2を保護する効果を良好に発揮することができる。
また、保形糸としては、例えば、低融点ナイロン糸、ポリプロピレン糸、低融点PET糸、ポリ乳酸糸などを採用できる。なお、嵩高加工糸と保形糸とを合糸した糸は、嵩高加工糸と保形糸とを単に引き揃えた糸でもよく、嵩高加工糸と保形糸とを引き揃えた後に撚りをかけた撚糸でもよい。さらに、上記の何れかの糸をさらに熱処理して、嵩高加工糸と保形糸とを一体化した糸でもよい。
また、もともと、その繊維構造からして、編布と比べて糸が密に配置される組物7であるが、ゴム層(歯部2、背部4)と保護層5との界面の保護等の効果を高めるには、糸の間隔はできるだけ小さくすることが望ましい。そのため、本実施形態において、組物7を形成する組糸71の本数は30本以上である。また、隣り合う組糸71の、中心線の間の距離である組ピッチdが、30mm以下であり、好ましくは15mm以下である(図3(a)参照)。1本の組糸71の総繊度は、500dtex以上であり、好ましくは800dtex以上である。
また、1本の組糸71の総繊度(嵩高加工糸と保形糸とを合わせた繊度)に対する、保形糸の繊度の割合が10%以上50%以下であるのが好ましい。その割合が少なすぎると保形効果が得られず、多すぎると溶融せず残存する繊維の割合が減って繊維の効果(歯部2を保護する効果)が小さくなる。
(軸糸72)
筒状組物7の保形性の向上、後述する歯付ベルト1の製造工程での取り扱い性向上等の観点から、筒状組物7の軸方向に平行な軸糸72を使用してもよい。軸糸72には、熱処理又は加硫処理によって溶融又は軟化する溶融糸を採用してもよい。溶融糸としては、例えば、組糸71の保形糸として用いられる低融点ナイロン糸やポリプロピレン糸などの熱可塑性の糸が挙げられる。
なお、本実施形態の歯付ベルト1では歯付プーリとの接触によって応力(負荷)を受ける方向がベルト長手方向になることから、筒状組物7における補強が必要な方向は主にベルト長手方向(周方向)になり、ベルト幅方向の補強を省くことが可能である。そのため、筒状組物7の軸方向(ベルト幅方向)に平行な軸糸72を省いた筒状組物7を歯付ベルト1に使用してもよい。
(歯付ベルト1の製造方法:熱処理脱型工法)
(筒状組物7の作製)
図4(a)に示すように、筒状組物7は、組機8を用いて作製される。軸糸72は固定された筒10を通って組機8の下部から供給され、組糸71はスピンドル11に巻き付けられている。組機8の中心には円筒形のマンドレル9が設置されており、マンドレル9の上部の外周上で組糸71及び軸糸72を組み合わせて組物7を形成する(3本以上の組糸71を組み合わせる)。図4(b)に示すように、スピンドル11が軌道12に沿って動くことにより、組糸71及び軸糸72が組み合わされていき、マンドレル9の上部にシームレスの組物7が形成され、組物7は巻き上げ装置13で巻き上げられる。なお、マンドレル9の外周長は、後述する歯付ベルト1の製造用の円筒状モールド90(円筒状金型)の外周長よりも長い。
上記のように、マンドレル9の外周上で組物7を組むとき、伸縮性の低い保形糸が組糸71にかかる張力を担うことによって、嵩高加工糸が伸び切るのを防ぎ、組物7の糸と糸との間の隙間が広がるのを防ぐことができる。すなわち、保形糸は、組糸71にかかる張力を担う張力負担部材として機能し、組物7の形状の保持に寄与する。
上記で述べた組物7の作製方法は、マンドレル9の外周上で組糸71と軸糸72を互いに組み合わせる。これにより、1つの筒状組物7において組糸71と組糸71との間の隙間が均一になる。
また、筒状組物7をマンドレル9から引き抜いた後に筒状組物7が収縮するが、収縮を見越して予め長い周長になるように筒状組物7を形成することにより、後の工程で筒状組物7を歯付ベルト1の製造用の円筒状モールド90に被せる作業が困難になることはない。
また、マンドレル9の外周上で組物7を形成した後、組物7に対して、第1所定温度で熱処理を所定時間行い、その後、第2所定温度となるまで冷却する。組糸71で組物7を組んだ後、熱処理を行うことで保形糸が溶融又は軟化するため、保形糸を含む組糸71で組まれた組物7を目的の形状に成形しやすくなる。また、組物7の成形後、冷却を行うことで保形糸が固化し、組物7の形状が安定化する。これにより、歯付ベルト1の製造用の円筒状モールド90(円筒状金型)に組物7を被せる作業を容易に行うことができる。すなわち、保形糸は、熱処理によって溶融又は軟化する溶融糸として機能し、組物7の形状の保持に寄与する。
なお、熱処理を行う際の第1所定温度とは、保形糸の「融点-20℃」から「融点+50℃」の範囲内の任意の温度である。また、所定時間とは、第1所定温度に応じて決定される。すなわち、第1所定温度が高い場合、所定時間は短くなり、第1所定温度が低い場合、所定時間は長くなる。当該第1所定温度及び所定時間によれば、保形糸が溶融又は軟化するため、組物の成形を容易に行うことができる。また、第2所定温度は、保形糸が固化する温度であれば何れの値でもよい。また、「第2所定温度となるまで冷却」とは、冷却装置などによって行われてもよく、常温で放置することによる自然冷却でもよい。なお、ここで述べた筒状組物7の製造方法を、後述の実施例では熱処理脱型工法と表わす。
(組物7の接着処理)
組物7には、ゴム組成物で形成されるゴム層(歯部2、背部4)と保護層5(組物7)との界面との接着性を向上させる目的で、接着処理を施すことができる。このような組物7の接着処理としては、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物などの樹脂成分を、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、水などの溶媒(分散媒)に溶解(分散)させた樹脂系処理液への浸漬処理、レゾルシン-ホルマリン-ラテックス液(RFL液)への浸漬処理、ゴム組成物を有機溶媒に溶かしたゴム糊への浸漬処理が挙げられる。この他の接着処理の方法として、例えば、組物7とゴム組成物とをカレンダーロールに通して組物7にゴム組成物を刷り込むフリクション処理、組物7にゴム糊を塗布するスプレディング処理、組物7にゴム組成物を積層するコーティング処理等も採用することができる。
このように、組物7に接着処理を施すことにより、ゴム層(歯部2、背部4)と保護層5(組物7)との接着性を向上させて、歯付ベルト1の走行時の保護層5(組物7)の剥離を防止することができる。また、接着処理をすることで、歯部2の耐摩耗性を向上させることもできる。上記接着処理により、保護層5(組物7)にゴム層(歯部2、背部4)を構成するゴム組成物を接着させることで、ゴム層(歯部2、背部4)のゴム組成物が保護層5から露出しにくくなる。
(歯付ベルト1の製造)
本発明の歯付ベルト1は、慣用の方法で製造でき、例えば、図1に示す歯付ベルト1は、以下の手順で製造できる。
まず、歯付ベルト1の歯部2に対応する複数の溝部91(凹条)を有する円筒状モールド90(円筒状金型又は成形型)の外周面に、保護層5を形成する筒状組物7を被せる(図5参照)。続いて、被せた筒状組物7の外周面に、心線3を構成する撚りコードを螺旋状に所定のピッチ(円筒状モールド90の軸方向に対して所定のスピニングピッチSP)で巻き付ける。さらにその外周側に、背部4及び歯部2を形成する未加硫ゴムシート4Aを巻き付けて未加硫のベルト成形体(未加硫積層体)を形成する。
次に、未加硫のベルト成形体が、円筒状モールド90の外周に配置された状態で、更にその外側に、蒸気遮断材であるゴム製のジャケットが被せられる(不図示)。続いて、ジャケットが被せられたベルト成形体および円筒状モールド90は、加硫缶等の加硫装置の内部に収容される。そして、加硫装置の内部でベルト成形体を加熱加圧すると、未加硫ゴムシート4Aのゴム組成物と筒状組物7が円筒状モールド90の溝部91に圧入されて、所望の形状の歯部2が形成されるとともに、未加硫ゴムシート4Aのゴム組成物が加硫されて、ゴム組成物と筒状組物7と心線3とが一体化したスリーブ状の加硫成形体(加硫ベルトスリーブ)が形成される。この時、筒状組物7は歯部2の輪郭形状に沿った形態に伸張して、歯部2の表面に配置された保護層5となっている。そして、円筒状モールド90から脱型した加硫ベルトスリーブを所定の幅に切断することにより、複数の歯付ベルト1が得られる。
あるいは、歯付ベルト1は、予備成形工法によって以下の手順で作製してもよい。
まず、複数の溝部91(凹条)を有する円筒状モールド90に筒状組物7と未加硫ゴムシート4Bとを順次被せて、ゴム組成物が軟化する程度の温度(例えば、70~90℃程度)に加熱加圧し、未加硫ゴムシート4Bのゴム組成物と筒状組物7とを円筒状モールド90の溝部91(凹条)に圧入させて歯部2を形成し、予備成形体を得る。次に、得られた予備成型体の外周面に心線3を螺旋状にスピニングする。さらにその外周面に背部4を構成する未加硫ゴムシート4Cを巻き付けて未加硫のベルト成形体(未加硫積層体)を形成する。
そして、その後は前述の製造方法と同様の手順で、加硫成形体(加硫ベルトスリーブ)が形成される。なお、この予備成形工法においては、加硫前に予め歯部2が形成される為、加硫時に未加硫ゴムを背部側から歯部側へ、所定のピッチ(スピニングピッチSP)で並ぶ心線3の間隙を通して流動又は押出して歯部2を形成する必要がない。そのため、隣接する心線間の距離(ピッチ)を小さくすることが可能となる。
上記の製造方法において、加熱加圧によりゴム組成物と筒状組物7とを円筒状モールド90の溝部91に圧入して、筒状組物7を歯部2の輪郭形状に沿った形態に伸張させて、歯部2の表面に配置させる過程においては、保護層5を構成する筒状組物7の伸縮性が小さいと、ゴム組成物の溝部91への圧入が阻害されて、所望の歯形状が充分に形成されない。よって、噛み合い伝動面である歯部2の表面を構成する保護層5には伸縮性が必要である。そのため、伸縮性に富む組物7が保護層5に適している。
また、上記の製造方法では、筒状組物7の周方向は歯付ベルト1の長手方向(周方向)と一致している。そのため、ゴム組成物が円筒状モールド90の溝部91に流れ込んで歯形状を形成するのに追従して、筒状組物7はその周方向に伸張することで、形成される歯部2の輪郭形状に沿って表面に配置される。そのため、周方向に伸張する組糸71として、良好な伸縮性を有する伸縮性糸である複合糸を採用するのが好ましい。
また、この過程においては、加熱により組物7の保形糸が溶融又は軟化するため、嵩高加工糸の伸張は、保形糸によって阻害されることなく進行する。これによって、組糸71の伸張が発現し、歯部2の輪郭形状に沿った形状を安定して形成することができる。すなわち、保形糸は、加熱処理によって溶融又は軟化する溶融糸として機能し、組物7の形状の保持に寄与する。
なお、この過程では、織布のような接合部(継ぎ目)が存在する布を保護層5として用いた場合には、接合部での割れ(亀裂)やゴム組成物の表面側への露出(滲み出し)や、オーバーラップ部によるPLDの不安定化が生じやすい。編布のように隙間が大きい構造の布を保護層5として用いた場合には、加硫時にゴム組成物が保護層5の糸の間を透過して、表面側に露出しやすい。この点において、組糸71が密に配置される組物7は保護層5に適している。さらに、組ピッチdや、組糸71の本数、組糸71の総繊度を工夫することで、糸間隔を小さくすることが好ましい。
(歯付ベルト1の製造方法:直接成形工法)
筒状組物7の作製は、マンドレル9に替えて、歯付ベルト1の製造用の円筒状モールド90の外周上で組糸71のみを組み合わせる(3本以上の組糸を組み合わせる)ことによって、又は、組糸71と軸糸72とを組み合わせる(3本以上の組糸を組み合わせる)ことによって形成されてもよい。この場合、マンドレル9の外周上で組糸71と軸糸72を互いに組み合わせる作業は行われず、マンドレル9から抜き取る脱型作業が不要である。そのため、形成した組物7に対して熱処理を行うことも不要である。歯付ベルト1の製造用の円筒状モールド90の外周上で組物を組むとき、伸縮性の低い保形糸が組糸71にかかる張力を担うことによって、嵩高加工糸が伸び切るのを防ぎ、組物7の糸と糸との間の隙間が広がるのを防ぐことができる。すなわち、保形糸は、組糸71にかかる張力を担う張力負担部材として機能し、組物7の形状の保持に寄与する。また、歯付ベルト1の製造用の円筒状モールド90の外周上で組物7が組まれたとき、図5(a)に示す状態となっており、その後の円筒状モールド90の溝部91への圧入、加硫処理及び脱型処理は、上述の歯付ベルト1の製造方法と同様である。なお、ここで述べた筒状組物7および歯付ベルト1の製造方法を、後述の実施例では直接成形工法と表わす。
次に、下記に説明する、実施例1~5、比較例1~4及び参考例1~4に係る歯付ベルトを作製し、組物の保形性(形状安定性)、歯部の形成態様、及びゴム組成物の保護層からの露出態様(滲み出し)を評価した。
(使用した材料)
実施例1~5、比較例1~4及び参考例1~4の歯付ベルトに係る組物を構成する組糸の材質を次に挙げる(表1参照)。
複合糸:ポリウレタン弾性糸(芯糸)にナイロンウーリー加工糸でカバリングしたカバリング糸を芯糸として、さらにナイロンウーリー加工糸でカバリングして、総繊度を560dtexとした複合糸((株)島精機製作所製SSUPY(登録商標)、以下「ポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸」と示す)
ナイロン原糸(フィラメント糸):旭化成(株)製ナイロン66のフィラメント繊維束、940dtex
ナイロンウーリー加工糸:FORMOSA CHEMICALS&FIBRE CORPORATION社製ナイロン6のウーリー加工糸、総繊度440dtex
低融点ナイロン糸A:東レ(株)製エルダー(登録商標)、繊度330dtex、融点110℃、軟化点60℃
低融点ナイロン糸B:東レ(株)製エルダー(登録商標)、繊度78dtex、融点110℃、軟化点60℃
低融点ナイロン糸C:低融点ナイロン糸Bを7本合糸して総繊度を546dtexとした低融点ナイロン糸
低融点ナイロン糸D:低融点ナイロン糸Bを10本合糸して総繊度を780dtexとした低融点ナイロン糸
綿糸:10s
(実施例1)
組糸として、嵩高加工糸であるポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸(総繊度560dtex)と、保形糸である低融点ナイロン糸A(繊度330dtex)と、を引き揃えた合糸を用いた。この1本の組糸(合糸)の総繊度に対する保形糸の繊度の割合は37%とした。
また、筒状組物および歯付ベルトの作製は、熱処理脱型工法で行った。筒状組物は、直径36mm、外周長113mmのマンドレルを使用して、組糸32本、組ピッチ(d)4mm、組角度(θ)88°で作製した。具体的には、マンドレルの外周上で筒状に組物を組んだ後、120℃の熱風を1分間当てる熱処理によって、低融点ナイロン糸Aを溶融又は軟化させた。そして、その後、10分間自然冷却してから、筒状組物をマンドレルから引き抜いて、筒状組物を作製した。
そして、作製した筒状組物を、歯付ベルトの製造用の円筒状モールドの外周に被せて、実施形態に記載の歯付ベルトの製造方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(実施例2)
組糸を、嵩高加工糸であるポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸(総繊度560dtex)と、保形糸である低融点ナイロン糸A(繊度330dtex)と、を撚糸した合糸としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(実施例3)
歯付ベルトの製造用の円筒状モールド(直径41mm、外周長129mm)の外周に組物を組む直接成形工法により、実施例1に準じた方法で、組糸32本、組ピッチ(d)9mm、組角度(θ)86°で筒状組物を作製し、歯型S3M、歯数44、周長132mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(実施例4)
組糸を構成する保形糸に低融点ナイロン糸B(繊度78dtex)を用い、1本の組糸(合糸)の総繊度に対する保形糸の繊度の割合を12%としたこと以外は、実施例3と同様の方法で、歯型S3M、歯数44、周長132mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(実施例5)
組糸を構成する保形糸に低融点ナイロン糸C(繊度546dtex)を用い、1本の組糸(合糸)の総繊度に対する保形糸の繊度の割合を49%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数44、周長132mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(比較例1)
組糸を、総繊度940dtexのナイロン原糸(フィラメント糸)としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(比較例2)
組糸を、嵩高加工糸であるポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸(総繊度560dtex)のみとして、保形糸(低融点ナイロン糸)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(比較例3)
組糸を、嵩高加工糸であるポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸(総繊度560dtex)と、綿糸(繊度10s)とを引き揃えた合糸としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(比較例4)
組糸を、嵩高加工糸であるナイロンウーリー加工糸(総繊度440dtex、ポリウレタン弾性糸を含まない)と、保形糸である低融点ナイロン糸A(繊度330dtex)と、を引き揃えた合糸としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(参考例1)
組糸を16本に減らしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(参考例2)
組角度(θ)を80°にしたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(参考例3)
組糸を構成する保形糸に低融点ナイロン糸B(繊度78dtex)を用い、1本の組糸(合糸)の総繊度に対する保形糸の繊度の割合を6.5%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
(参考例4)
組糸を構成する保形糸に低融点ナイロン糸D(繊度780dtex)を用い、1本の組糸(合糸)の総繊度に対する保形糸の繊度の割合を58%としたこと以外は、実施例1と同様の方法で、歯型S3M、歯数34、周長102mmの歯付ベルト(加硫ベルトスリーブ)を作製した。
Figure 2022114435000002
(成形性の評価)
表1に、実施例1~5、比較例1~4及び参考例1~4において、作製した歯付ベルトの、組物の保形性(形状安定性)、歯部の形成、及びゴム組成物の保護層からの露出(滲み出し)の評価結果(成形性の評価)を示した。なお、成形性の評価は、下記指標に基づいて判定した。
(成形性の評価の指標)
・組物の保形性(形状安定性)
筒状組物の作製から歯付ベルトの製造に至って、筒状組物が所望の形態(組糸の配列、組角度など)を保持している場合を良好(○)とし、所望の形態を保持できない場合を不良(×)と判定した。
・歯部の形成
歯付ベルトの製造において、所望の形状の歯部が形成されるとともに、筒状組物が歯部の輪郭形状に沿った形態で、かつ最表面は繊維の質感(起毛感)が残存する状態で、歯部の表面に配置されている場合を良好(○)と判定した。
これに対し、歯部が所望の形状に形成されない場合、所望の形状の歯部が形成されても筒状組物が歯部の表面に配置されない(ゴム層に埋設される)場合、筒状組物が歯部の輪郭形状に沿って歯部の表面に配置されても繊維の質感(起毛感)が残存しない(保形糸の溶融・固化によって、繊維の質感が消失する)場合を不良(×)と判定した。
・ゴム露出(滲み出し)
ゴム組成物が筒状組物(保護層)を浸透して、歯部の最表面に露出した場合を不良(×)とし、目立った露出がない場合を良好(○)と判定した。
(比較例の評価結果)
組糸として嵩高加工糸でないナイロン原糸を用いた比較例1の歯付ベルトは、圧入によって歯部を形成する際に必要とされる伸張性が不十分であったために所望の歯形状が形成されず不良となり、さらにゴム組成物が保護層を浸透して表面側に露出した。
組糸をポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸のみとして、保形糸(低融点ナイロン糸)を用いなかった比較例2の歯付ベルトは、組物の作製時に張力で複合糸が引き延ばされて伸張性が低下したため、所望の歯形状が形成されず不良となり、さらにゴム組成物が保護層を浸透して表面側に露出した。
組糸としてポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸と、綿糸との合糸を用いた比較例3の歯付ベルトは、綿糸が張力負担部材として複合糸の伸張性を保持して組物を作製できたが、歯付ベルトの歯部を圧入成形する工程で綿糸が溶融しないため、組物が歯形状に沿わせて伸張するのを阻害した。そのため、所望の歯形状が形成されず不良となり、さらにゴム組成物が保護層を浸透して表面側に露出した。
組糸としてナイロンウーリー加工糸(ポリウレタン弾性糸を含まない)と、保形糸である低融点ナイロン糸A(繊度330dtex)との合糸を用いた比較例4の歯付ベルトは、圧入によって歯部を形成する際に必要とされる伸張性が不十分であったために所望の歯形状が形成されず不良となり、さらにゴム組成物が保護層を浸透して表面側に露出した。
(実施例の評価結果)
一方、組糸として、ポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸と、保形糸である低融点ナイロン糸Aと、を引き揃えた合糸を用いて、熱処理脱型工法によって作製した実施例1の歯付ベルトは、組物が所望の歯形状に沿って伸張し、良好な歯部が形成され、さらに保護層から表面側へのゴム組成物の浸透による露出もなかった。また、実施例1の歯付ベルトでは、「ゴム露出(滲み出し)」の評価が良好であることから、歯付ベルトの歯部を保護する効果が、比較例1~4に比べて高いことが確認できた。
また、組糸としてポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸と、保形糸である低融点ナイロン糸Aと、を撚糸した合糸(混撚糸)を用いた実施例2の歯付ベルトも、実施例1と同様に良好な歯部が形成された。また、実施例2の歯付ベルトでも、「ゴム露出(滲み出し)」の評価が良好であることから、歯付ベルトの歯部を保護する効果が、比較例1~4に比べて高いことが確認できた。
また、実施例3および実施例4では、ポリウレタン弾性糸とナイロンウーリー加工糸とを含む複合糸と、保形糸である低融点ナイロン糸(実施例3では低融点ナイロン糸A、実施例4では低融点ナイロン糸B)との合糸を用いる場合には、マンドレル上での熱処理や脱型を必要としない直接成形工法によっても、実施例1と同様に良好な歯部が形成される歯付ベルトを製造できることが確認された。また、実施例3および実施例4でも、「ゴム露出(滲み出し)」の評価が良好であることから、歯付ベルトの歯部を保護する効果が、比較例1~4に比べて高いことが確認できた。
また、実施例1の歯付ベルトに対し、1本の組糸(合糸)の総繊度に対する保形糸の繊度の割合を49%に増加させた実施例5の歯付ベルトにおいても、実施例1と同等に良好な歯部が形成された。また、実施例5の歯付ベルトでも、「ゴム露出(滲み出し)」の評価が良好であることから、歯付ベルトの歯部を保護する効果が、比較例1~4に比べて高いことが確認できた。
(参考例の評価結果)
実施例1の歯付ベルトに対し、組糸を16本に減らして糸の間隔が大きくなった参考例1の歯付ベルトでは、圧入によって歯部を形成する際に、組物の保形性や歯部の形成の面では、実施例1と同様に良好であった。しかし、隣接する糸の間隔が大きいため、その隙間から浸透して表面側に露出する(滲み出す)ゴム組成物が見られた。そのため、参考例1は、実施例1に比べ、歯部を保護する効果が小さい結果となった。
実施例1の歯付ベルトに対し、組角度(θ)を80°にした参考例2の歯付ベルトでは、圧入によって歯部を形成する際に、組物の保形性や歯部の形成の面では、実施例1と同様に良好であった。しかし、交差する糸間の隙間が大きくなるためか、隙間から浸透して表面側に露出する(滲み出す)ゴム組成物が見られた。そのため、参考例2は、実施例1に比べ、歯部を保護する効果が小さい結果となった。
実施例1の歯付ベルトに対し、1本の組糸(合糸)の総繊度に対する保形糸の繊度の割合を6.5%と小さくした参考例3の歯付ベルトでは、圧入によって歯部を形成する際に、歯部の形成やゴム露出(滲み出し)の面では、実施例1と同様に良好であった。しかし、組糸中の保形糸の割合が少ないため、筒状組物の所望の形態を保持されない部位が見られた。そのため、参考例3は、実施例1に比べ、組物の保形性(形状安定性)に欠ける結果となった。
実施例1の歯付ベルトに対し、1本の組糸(合糸)の総繊度に対する保形糸の繊度の割合を58%と大きくした参考例4の歯付ベルトでは、圧入によって歯部を形成する際に、組物の保形性やゴム露出(滲み出し)の面では、実施例1と同様に良好であった。しかし、筒状組物が歯部の輪郭形状に沿って歯部の表面に配置されても、組糸中の保形糸の割合が多いため、保形糸の溶融・固化によって、繊維の質感(起毛感)が消失気味であった。そのため、参考例4は、実施例1に比べ、歯部の形成において、繊維質の持つ効果(歯部の保護、表面の摩擦係数、など)に欠ける結果となった。
1 歯付ベルト
2 歯部
3 心線
4 背部
5 保護層
7 組物(筒状組物)
71 組糸
72 軸糸
90 円筒状モールド
91 溝部

Claims (12)

  1. ベルト長手方向に所定の間隔で配設された複数の歯部を有し、
    前記歯部の表面が、3本以上の組糸を組み合わせて形成された組物で構成され、
    前記組糸は、嵩高加工糸と前記嵩高加工糸よりも伸縮性の低い保形糸とを合糸した糸からなることを特徴とする歯付ベルト。
  2. 前記保形糸は、熱可塑性であることを特徴とする請求項1に記載の歯付ベルト。
  3. 前記保形糸は、融点が100℃以上、且つ、180℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の歯付ベルト。
  4. 前記組物は、シームレスの筒状組物であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の歯付ベルト。
  5. 前記組物は、前記組糸を30本以上含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の歯付ベルト。
  6. 前記組物の交差する前記組糸は、ベルト幅方向に対して85°以上89°以下の範囲の組角度を有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の歯付ベルト。
  7. 前記組糸の前記嵩高加工糸と前記保形糸とを合わせた総繊度に対する、前記保形糸の繊度の割合が10%以上50%以下であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の歯付ベルト。
  8. 前記嵩高加工糸は、2種類以上の糸を含む複合糸であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の歯付ベルト。
  9. 前記複合糸は、ポリウレタン弾性糸と、ポリアミド(ナイロン)のウーリー加工糸とを含むことを特徴とする請求項8に記載の歯付ベルト。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の歯付ベルトの製造方法であって、
    外周面に歯付ベルトの前記歯部に対応した歯溝が設けられた、円筒状金型の外周に、筒状の前記組物を配置し、さらに径方向外側にベルト成形体を配置し、外周側から前記ベルト成形体を径方向内側に向かって押圧することで、前記歯溝に前記ベルト成形体とともに前記組物を圧入し、前記歯部の形成とともに当該歯部の表面に沿って前記組物を配置させることを特徴とする、歯付ベルトの製造方法。
  11. マンドレルの外周上で、熱可塑性の前記保形糸を含む、3本以上の前記組糸を組み合わせることによって、シームレスの筒状の前記組物を形成し、
    形成した前記組物に対して、第1所定温度で熱処理を所定時間行った後、第2所定温度となるまで冷却することを特徴とする請求項10に記載の歯付ベルトの製造方法。
  12. 前記円筒状金型の外周上で3本以上の前記組糸を組み合わせることによって前記組物を形成することを特徴とする請求項10に記載の歯付ベルトの製造方法。
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