JP2022114259A - 熱交換器および媒体システム - Google Patents

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Yusuke Takagi
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憲志郎 村松
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Abstract

【課題】高い熱交換能力を発揮する熱交換器および媒体システムを提供する。【解決手段】熱交換器30は、平行通路50に流れ制御要素を備える。流れ制御要素は、平行通路50の終端部に配置されている。流れ制御要素は、ドーム面54、斜面56、突出面64、または、ブレード69のいずれかひとつを含む。流れ制御要素は、ドーム面54、斜面56、突出面64、または、ブレード69の2つ以上を含む場合がある。流れ制御要素は、平行通路50において、第1媒体の流れに、垂直流れ成分FVを付与する。この結果、第1分配通路31bへの流入直後から、第1分配通路31bの終端にわたる広い範囲において、第1媒体は、複数の第1熱交換通路31aへ、分布の大きな偏りなく分配される。この結果、熱交換器30の広い範囲が熱交換に貢献する。【選択図】図7

Description

この明細書における開示は、熱交換器および媒体システムに関する。
特許文献1は、熱交換器および媒体システムを開示する。先行技術文献の記載内容は、この明細書における技術的要素の説明として、参照により援用される。
特開2019-190799号公報
熱交換の能力は、熱交換器および媒体システムの性能を評価するひとつの指標である。熱交換の能力は、複数の熱交換流路における媒体流量の差によって変動する場合がある。媒体は、気相媒体と液相媒体とが混在する気液二相媒体である場合がある。この場合、複数の熱交換流路の間における、気相媒体と液相媒体との気液比率の差が、熱交換の能力を変動させる場合がある。上述の観点において、または言及されていない他の観点において、熱交換器および媒体システムにはさらなる改良が求められている。
開示されるひとつの目的は、高い熱交換能力を発揮する熱交換器および媒体システムを提供することである。
開示される他のひとつの目的は、複数の熱交換流路への媒体の分配を改善した熱交換器および媒体システムを提供することである。
ここに開示された熱交換器は、第1媒体と第2媒体との間における熱交換を提供する熱交換器(30)であって、第1媒体のための複数の第1熱交換通路(31a)と、第2媒体のための複数の第2熱交換通路(32a)と、複数の第1熱交換通路に対して交差するように延びる分配通路軸(XD)を有し、分配通路軸に沿って第1媒体を流すことにより、第1媒体を複数の第1熱交換通路に分配する分配通路(31b)と、第1熱交換通路に対して平行に延びる平行通路軸(XP)を有し、分配通路と交差するように配置されており、第1媒体を分配通路に供給する平行通路(50)とを区画形成する複数の部材(40)を備え、平行通路に配置され、分配通路軸の方向に沿った垂直流れ成分(FV)を、平行通路において第1媒体の流れに付与する流れ制御要素(54、56、64、69)を備える。
開示される熱交換器によると、平行通路に流れ制御装置が配置される。流れ制御要素は、分配通路の軸方向に沿った垂直流れ成分を第1媒体の流れに付与する。よって、第1媒体は、分配通路に流入する前に、垂直流れ成分を獲得する。この結果、分配通路と交差する平行通路を備える場合であっても、平行流れ成分に起因する分布の偏りが抑制される。熱交換器は、高い熱交換能力を発揮することができる。
ここに開示された媒体システムは、第1媒体により熱を輸送する第1系統(10)と、第2媒体により熱を輸送する第2系統(20)と、上記熱交換器(30)とを備える。
この明細書において開示された複数の形態は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
第1実施形態に係る媒体システムのブロック図である。 熱交換器の部分破断側面図である。 熱交換器の平面図である。 図3のIV-IV線における断面図である。 図3のV-V線における断面図である。 図3のVI-VI線における断面図である。 図3のVII-VII線における部分拡大断面図である。 第2実施形態に係る熱交換器の部分拡大断面図である。 第3実施形態に係る熱交換器の部分拡大断面図である。 第4実施形態に係る熱交換器の部分拡大断面図である。 第5実施形態に係る熱交換器の部分拡大断面図である。 第6実施形態に係る熱交換器の部分拡大断面図である。 第7実施形態に係る熱交換器の部分拡大断面図である。 第8実施形態に係る熱交換器の部分拡大平面図である。 第9実施形態に係る熱交換器の部分拡大平面図である。 第10実施形態に係る熱交換器の部分拡大平面図である。 第11実施形態に係る熱交換器の部分拡大平面図である。 第12実施形態に係る熱交換器の部分拡大平面図である。 第13実施形態に係る熱交換器の部分拡大断面図である。 第14実施形態に係る熱交換器の部分拡大断面図である。 第15実施形態に係る媒体システムのブロック図である。 第16実施形態に係る媒体システムのブロック図である。 第17実施形態に係る媒体システムのブロック図である。 第18実施形態に係る媒体システムのブロック図である。
複数の実施形態が、図面を参照しながら説明される。複数の実施形態において、機能的におよび/または構造的に、対応する部分および/または関連付けられる部分には、同一の参照符号、または百以上の位が異なる参照符号が付される場合がある。対応する部分および/または関連付けられる部分については、他の実施形態の説明を参照することができる。
第1実施形態
図1において、媒体システム1は、熱的な負荷2の温度を調節するように構成されている。媒体システム1は、負荷2から熱を受け取り、輸送することにより、負荷2を冷却するように構成されている。代替的に、または、追加的に、媒体システム1は、熱源からの熱を輸送し、負荷2に与えることにより、負荷2を加熱するように構成されている。媒体システム1は、第1媒体と第2媒体との両方を利用して熱を輸送する熱輸送システムを提供する。負荷2の温度調節は、負荷2の冷却だけ、負荷2の冷却と加熱との両方、または、負荷2の加熱だけのいずれかを含む。媒体システム1は、熱的な負荷3の温度を調節するように構成されている。ただし、負荷3の温度調節は、選択的に採用されるオプションである。
媒体システム1は、第1系統10と、第2系統20とを備える。第1系統10は、第1媒体が循環する通路11を備える。第1系統10は、第1媒体によって熱を輸送する熱輸送系統でもある。第2系統は、第2媒体が循環する通路21を備える。第2系統20は、第2媒体によって熱を輸送する熱輸送系統でもある。第1媒体と第2媒体とは、異なる材料によって提供されている。代替的な実施形態では、第1媒体と第2媒体とは、同じ材料によって提供される場合がある。第1系統10と、第2系統20とは、熱交換器30によって熱的に結合されている。熱交換器30は、第1系統10と第2系統20との間において熱交換を提供する。
第1系統10は、熱プラントによって提供されている。第1系統10は、蒸気圧縮型の熱サイクルとも呼ばれる。第1系統10は、放熱過程における第1媒体と、吸熱過程における第1媒体との間に相変化を伴う熱サイクルである。相変化は、気相と液相との間の変化である。第1媒体は、冷媒と呼ばれる特性を備えている。第1媒体は、クロロフルオロカーボン、または、ハイドロフルオロガーボンなどの合成冷媒によって提供することができる。代替的に、第1冷媒は、アンモニア、二酸化炭素などの自然冷媒によって提供される場合がある。
第1系統10は、通路11に配置された複数の構成要素を備える。通路11は、第1通路11aと、第2通路11bと、第3通路11cとを有する。第2通路11bと、第3通路11cとは、共通の第1通路11aから分岐している少なくとも2つの分岐通路の関係にある。複数の構成要素は、圧縮機12、および、非利用側熱交換器13を備える。圧縮機12、および、非利用側熱交換器13は、第1通路11aに配置されている。圧縮機12は、第1媒体を圧縮し、加圧された冷媒を吐出する。非利用側熱交換器13は、第1媒体から放熱する放熱器として機能する。
複数の構成要素は、減圧器14、および、第1熱交換器15を備える。減圧器14、および、第1熱交換器15は、第2通路11bに配置されている。複数の構成要素は、第1媒体が、圧縮機12、非利用側熱交換器13、減圧器14、第1熱交換器15の順で循環的に流れるように配置されている。第1熱交換器15は、熱交換器30の一部によって提供されている。第1熱交換器15は、吸熱器として機能する。第1熱交換器15は、蒸発器とも呼ばれる。第1熱交換器15は、第2媒体と熱交換する熱交換器である。減圧器14は、第1減圧器、または、主減圧器とも呼ばれる。第1媒体は、非利用側熱交換器13において放熱し、減圧器14において減圧膨張し、第1熱交換器15において吸熱する。第1媒体は、第1熱交換器15において吸熱し、非利用側熱交換器13において放熱する。第1系統10は、第1熱交換器15(熱交換器30)から非利用側熱交換器13へ熱を輸送する。この結果、第1系統10は、負荷2の温度を調節するための冷凍サイクルとして機能する。
減圧器14は、感温式膨張弁によって提供されている。減圧器14は、第1熱交換器15の出口における第1媒体の状態に応答して、第1熱交換器15の入口の開度を調節する。減圧器14は、第1熱交換器15の出口における第1媒体の状態を感知するために、出口近傍に配置されている。減圧器14は、いわゆるボックス型の感温式膨張弁によって提供されている。
複数の構成要素は、さらに、減圧器16、および、利用側熱交換器17を備える。減圧器16、および、利用側熱交換器17は、第3通路11cに配置されている。複数の構成要素は、第1媒体が、圧縮機12、非利用側熱交換器13、減圧器16、利用側熱交換器17の順で循環的に流れるように配置されている。利用側熱交換器17は、吸熱器として機能する。利用側熱交換器17は、蒸発器とも呼ばれる。利用側熱交換器17は、追加的な負荷3の温度を調節する。負荷3は、空気である。利用側熱交換器17は、負荷3と熱交換する空気熱交換器である。空気は、冷房のみ、暖房のみ、若しくは、冷暖房の両方のために利用される。空気は、冷蔵、温蔵、冷凍、解凍、若しくは、それらの複数機能のために利用される。例えば、利用側熱交換器17は、乗り物の室内を冷暖房するための空気である。この場合、媒体システム1、および、熱交換器30は、乗り物の空調装置に利用される。減圧器16は、第2減圧器、または、空調減圧器とも呼ばれる。第1媒体は、非利用側熱交換器13において放熱し、減圧器16において減圧膨張し、利用側熱交換器17において吸熱する。この結果、第1系統10は、いわゆる空調用の冷凍サイクルとして機能する。この実施形態では、第1系統10は、空調、および、温度調節の両方に利用可能な冷凍サイクルとして機能する。
代替的に、複数の構成要素は、第1媒体が、圧縮機12、第1熱交換器15、減圧器14、非利用側熱交換器13の順で循環的に流れるように配置される場合がある。第1媒体は、第1熱交換器15において放熱し、減圧器14において減圧膨張し、非利用側熱交換器13において吸熱する。複数の構成要素は、第1媒体が、圧縮機12、利用側熱交換器17、減圧器16、非利用側熱交換器13の順で循環的に流れるように配置される。この場合、第1媒体は、利用側熱交換器17において放熱し、減圧器16において減圧膨張し、非利用側熱交換器13において吸熱する。この場合、第1系統10は、ヒートポンプサイクルとも呼ばれる。この明細書において、熱サイクルの語は、低温を利用する冷凍サイクルと、高温を利用するヒートポンプサイクルとの両方を包含する。
第2系統20は、熱プラントによって提供されている。第2系統20は、第2媒体によって熱を輸送する熱輸送サイクルである。第2媒体は、水など取り扱いが比較的容易な流体によって提供されている。第2媒体は、水、不凍液、オイル、ガスなどによって提供することができる。例えば、媒体は、ジエチレングリコール、または、ジエチレングリコールの水溶液によって提供することができる。第2系統20は、通路21に配置された複数の構成要素を備える。複数の構成要素は、ポンプ22、負荷熱交換器23、および、第2熱交換器24を備える。負荷熱交換器23は、直接的に、または、間接的に、負荷2と熱的に結合されている。第2系統20は、負荷2の温度を調節する。第2系統20は、負荷2を冷却するように構成され、運転される場合がある。複数の構成要素は、負荷2を含むように解される場合がある。
この実施形態では、負荷2は、乗り物に搭載された電池である。電池は、所定の温度帯において利用されることが望ましい。媒体システム1は、電池を冷却、または、加熱するために、電池のための熱を輸送する。例えば、電池は、乗り物に電力を提供する。典型的な例では、電池は、乗り物の移動のための電力を提供する。電池は、電気的な発熱部品のひとつである。代替的に、または、追加的に、負荷2は、インバータ回路、CPUなどの電気回路部品を含む場合がある。代替的に、または、追加的に、負荷2は、空気、水、オイルなどの流体を含む場合がある。
複数の構成要素は、第2媒体が、ポンプ22、負荷熱交換器23、第2熱交換器24の順で循環的に流れるように配置されている。負荷熱交換器23は、吸熱器として機能する。第2熱交換器24は、熱交換器30の一部によって提供されている。第2熱交換器24は、放熱器として機能する。第2媒体は、負荷熱交換器23において吸熱し、第2熱交換器24において放熱する。この結果、第2系統20は、負荷熱交換器23から第2熱交換器24(熱交換器30)へ熱を輸送する。
熱交換器30は、第1熱交換器15と第2熱交換器24とを熱的に結合している。この結果、熱は、第2系統20から第1系統10へ向けて、または、第1系統10から第2系統20へ向けて流れる。この結果、負荷2の温度が調節される。
媒体システム1は、乗り物に搭載されている。媒体システム1は、乗り物における熱を輸送する。媒体システム1は、冷房のみ、暖房のみ、若しくは、冷暖房の両方のための熱を輸送する。または、媒体システム1は、冷蔵、温蔵、冷凍、解凍、若しくは、これらの複数機能のための熱を輸送する。この実施形態において、媒体システム1は、電気的な部品を熱的な負荷2として、この負荷2のための熱を輸送する。
この明細書において、乗り物の語は、二輪、四輪などを含む地上を走行する車両、水上を航行する船舶、および、空中を飛行する航空機を含む。さらに、乗り物の語は、利用者に移動体験を模擬的に提供するシミュレーション装置、および、アミューズメント装置を含む。
図2において、熱交換器30の模式的な断面が図示されている。熱交換器30は、ドロンカップ型熱交換器である。熱交換器30は、積層型熱交換器とも呼ばれる。熱交換器30は、ブロック状の外形を有する。
熱交換器30は、内部に、第1媒体のための第1通路31を備える。第1通路31は、熱交換のための複数の第1熱交換通路31aを含む。第1通路31は、複数の第1熱交換通路31aに第1媒体を分配するための第1分配通路31bを含む。第1分配通路31bは、複数の第1熱交換通路31aに対して交差するように延びる分配通路軸XDを有する。第1分配通路31bは、分配通路軸XDに沿って第1媒体を流す。これにより、第1分配通路31bは、第1媒体を複数の第1熱交換通路31aに分配する。例えば、第1媒体は、第1分配通路31bから、開口31dを経由して、第1熱交換通路31aに流入する。さらに、第1通路31は、複数の第1熱交換通路31aから第1媒体を集める第1集合通路31cを含む。
熱交換器30は、内部に、第2媒体のための第2通路32を備える。第2通路32は、熱交換のための複数の第2熱交換通路32aを含む。第2通路32は、複数の第2熱交換通路32aに第2媒体を分配するための第2分配通路32bを含む。さらに、第2通路32は、複数の第2熱交換通路32aから第2媒体を集める第2集合通路32cを含む。第1通路31に第1媒体が供給され、第2通路32に第2媒体が供給されることにより、熱交換器30は、第1媒体と第2媒体との間における熱交換を実施する。
熱交換器30は、第1媒体のための入口33および出口34を備える。入口33および出口34は、熱交換器30の一方の端面に配置されている。代替的に、入口33および出口34は、熱交換器30の一方の端面と、他方の端面とに分散的に配置される場合がある。熱交換器30は、第2媒体のための入口35および出口36を備える。入口35および出口36は、熱交換器30の他方の端面に配置されている。代替的に、入口35および出口36は、熱交換器30の一方の端面と、他方の端面とに分散的に配置される場合がある。
熱交換器30は、熱交換器30自身を形づくり、第1媒体のための第1通路31と、第2媒体のための第2通路32とを区画形成する複数の部材を備える。複数の部材は、複数のプレート40を含む。熱交換器30は、複数のプレート40を積層方向SDに積層的に配置し、接合することにより構成されている。プレート40は、金属、樹脂など媒体による腐食に耐える材料製である。接合は、例えば、ロウ付け、接着などによって実行されている。
熱交換器30は、複数のプレート40の間に、複数の第1熱交換通路31aと、複数の第2熱交換通路32aとを区画形成している。よって、複数の第1熱交換通路31aと複数の第2熱交換通路32aとは、積層方向SDに沿って交互に配置されている。複数の第1熱交換通路31aと、複数の第2熱交換通路32aとは、プレート40に平行な平行方向PDに沿って媒体が流れるように広がっている。平行方向PDは、プレート40の主要な面と平行であって、プレート40が全体として広がっている広がり方向とも呼ばれる。
第1分配通路31bは、積層方向SDに沿って延びる長手方向を有する通路である。第1分配通路31bは、分配通路軸XDによって代表的に示すことができる。第1集合通路31c、第2分配通路32b、および、第2集合通路32cも、分配通路軸XDに沿って延びている。第1分配通路31b、第1集合通路31c、第2分配通路32b、および、第2集合通路32cは、平行方向PDに対して垂直であるから、垂直通路とも呼ばれる。
さらに、熱交換器30は、平行通路50を備える。平行通路50は、第1熱交換通路31aに対して平行に延びる平行通路軸XPを有する。平行通路50は、第1分配通路31bと交差するように配置されている。平行通路50は、第1媒体を第1分配通路31bに供給する。平行通路50は、入口33と第1分配通路31bとを連通している。入口33と第1分配通路31bとは、熱交換器30の一方の端面において、平行方向PDに関して、互いに実質的に離れている。平行通路50は、積層方向SDに関して扁平な通路である。平行通路50は、平行方向PDに沿って延びる長手方向を有する通路である。平行通路50は、平行通路軸XPによって代表的に示すことができる。平行通路50は、複数の第1熱交換通路31aと平行である。平行通路50は、第1分配通路31bに対して実質的に直角である。
第1媒体は、入口33から、平行通路50を通って、第1分配通路31bに導かれる。平行通路50における第1媒体の流れは、矢印で示される平行流れ成分FPを多く含む。第1分配通路31bにおける第1媒体の流れは、矢印で示される垂直流れ成分FVを多く含む。
複数のプレート40は、接合のための接合部分と、複数の第1熱交換通路31aと、複数の第2熱交換通路32aとを提供するための溝部分とを備える。複数のプレート40は、第1分配通路31bを区画形成している貫通穴、および、第1集合通路31cを区画形成している貫通穴を有する。複数のプレート40は、第2分配通路32bを区画形成している貫通穴、および、第2集合通路32cを区画形成している貫通穴を有する。
複数のプレート40は、少なくとも、複数の第1コアプレート41と、複数の第2コアプレート42とを備える。複数の第1コアプレート41と、複数の第2コアプレート42とは、複数の第1熱交換通路31aと、複数の第2熱交換通路32aとを区画形成している。複数の第1コアプレート41と、複数の第2コアプレート42とは、熱交換器30のコア37を提供している。
複数のプレート40は、図示されないフィンプレートを備える場合がある。フィンプレートは、複数の第1熱交換通路31aの中、および、複数の第2熱交換通路32aの中に配置されている。フィンプレートは、媒体とプレート40との間の熱伝達を促進する。
複数のプレート40は、さらに、熱交換器30の両方の端部に配置された複数のエンドプレート43を含む。エンドプレート43は、第1コアプレート41および第2コアプレート42より厚い場合がある。エンドプレート43は、少なくとも平行通路50を区画形成している。エンドプレート43は、第1エンドプレート44と、第2エンドプレート45とを備える。第1エンドプレート44と、第2エンドプレート45とは、積層方向SDに沿って積層されている。第1エンドプレート44と第2エンドプレート45とは、それらの間に、平行通路50を区画形成している。
第1エンドプレート44は、熱交換器30の最も端に位置づけられている。第1エンドプレート44は、他のプレート40、例えば、第2エンドプレート45との接合のための接合面を提供する接合部分46を備える。第1エンドプレート44は、溝状の内面51を備える。内面51は、接合部分46に対して溝状である。内面51は、平行通路50を区画形成している。内面51は、入口33の部分から、第1分配通路31bとの対向部分まで連続的に延びている。
内面51は、入口33から延びている初期内面52を備える。初期内面52は、比較的浅い溝状の内面である。初期内面52が区画形成する通路53は、所定の通路断面積を有している。初期内面52は、入口33の部分から、平行通路50の部分的な長さに渡って延びている。
内面51は、ドーム状のドーム面54を備える。ドーム面54は、第1分配通路31bとの対向部分に位置づけられている。ドーム面54は、初期内面52より分配通路軸XDの方向へ深い内面によって提供されている。ドーム面54が区画形成する通路55は、通路53より大きい通路断面積を有している。ドーム面54は、第1分配通路31bの入口に対向するように配置されている。ドーム面54は、初期内面52が区画形成する通路53より大きい通路55を区画形成する。ドーム面54は、第1媒体が、平行通路軸XPの方向から、分配通路軸XDの方向へ方向転換するための準備的な流れを可能とする。ドーム面54は、平行通路50の中に位置づけられている。ドーム面54は、その形状が平行通路50を拡大するからドーム面と呼ばれている。ドーム面54は、第1分配通路31bと対向する対向面と呼ばれてもよい。ドーム面54は、平行通路50の通路断面積を拡大することから、拡大内面、または、膨出内面と呼ばれてもよい。
内面51は、初期内面52と、ドーム面54との間に、斜面56を備える。斜面56は、初期内面52とドーム面54との間に配置されている。斜面56は、平行通路軸XPに沿って、初期内面52から、ドーム面54への滑らかな推移を可能としている。斜面56は、平行通路50を第1分配通路31bから離れる方向へ推移させる。斜面56が区画形成する通路57は、通路53より大きい通路断面積を有している。斜面56が区画形成する通路57は、通路55より小さい通路断面積を有している。斜面56は、第1分配通路31bから離れる方向へ第1媒体の流れを案内する。斜面56は、第1媒体が、平行通路軸XPの方向から、分配通路軸XDの方向へ方向転換するための準備的な流れを可能とする。斜面56は、平行通路50の中に位置づけられている。
第2エンドプレート45は、第1エンドプレート44と第2コアプレート42との間に配置されている。第2エンドプレート45は、第2コアプレート42と積層されることにより、第1熱交換通路31aまたは第2熱交換通路32aを区画形成している。第2エンドプレート45は、第1エンドプレート44と積層されることにより、平行通路50を区画している。第2エンドプレート45は、第1分配通路31bへの連通を提供する貫通穴を備える。第2エンドプレート45は、平行通路50に面する内面61を備える。内面61は、入口33との対向部分から、第1分配通路31bとの連通部分にまで延びている。内面61は、後述の突出面を除いて平面である。代替的に、内面61は、溝状の面によって提供される場合がある。
内面61は、初期内面62を備える。初期内面62は、積層方向SDに関して、初期内面52と対向している。初期内面62は、初期内面52より長い範囲にわたって延びている。初期内面62は、初期内面52と対向することにより、通路53を区画形成している。初期内面62は、所定の通路断面を区画形成している。初期内面62の終端部分は、積層方向SDに関して、斜面56の一部と対向している。これにより、初期内面62の終端部分は、通路57の一部を区画している。
内面61は、貫通穴の縁63を有する。平行通路50は、貫通穴から第1分配通路31bに連通している。縁63は、第1分配通路31bの入口を区画している。よって、ドーム面54は、縁63が区画する入口に対向するように広がっている。ドーム面54は、縁63が区画する円形範囲よりも広く広がっている。
内面61は、縁63と、初期内面62との間に、突出面64を備える。突出面64は、平行通路50に面する内面である。突出面64は、第1分配通路31bから離れる方向へ向けて、平行通路へ突出している。突出面64は、円筒表面によって提供されている。突出面64は、第1媒体の流れ方向に沿って、初期内面62から徐々に離れる前斜面65と、初期内面62に徐々に戻る後斜面66とを有している。
突出面64の一部は、積層方向SDに関して、斜面56と対向している。斜面56と突出面64とは、通路53と通路55との間における、平行通路50の断面積の過大な増加と、過大な減少とを抑制している。具体的には、前斜面65の一部が、積層方向SDに関して、斜面56と対向している。初期内面62と突出面64との間の境界線は、積層方向SDに関して、斜面56と対向している。ドーム面54と斜面56との境界線は、積層方向SDに関して、突出面64と対向している。具体的には、ドーム面54と斜面56との境界線は、積層方向SDに関して、前斜面65と対向している。よって、後斜面66は、積層方向SDに関して、ドーム面54とだけ対向している。ドーム面54は、縁63が区画する入口と対向し、かつ、突出面64の一部と対向する範囲にわたって広がっている。突出面64(前斜面65)は、第1分配通路31bから離れる方向へ第1媒体の流れを案内する。突出面64(前斜面65)は、第1媒体が、平行通路軸XPの方向から、分配通路軸XDの方向へ方向転換するための準備的な流れを可能とする。突出面64(前斜面65)は、平行通路50の中に位置づけられている。
第2エンドプレート45は、少なくともひとつのブレード69を備える。ブレード69が提供する面は、内面61から連続している内面である。ブレード69は、平行通路50へ向けて突出している。ブレード69は、平行通路50に配置されている。ブレード69は、第1分配通路31bの入口端に向かう第1媒体の流れを、平行通路50において偏向させる。ブレード69は、貫通穴の範囲内に位置づけられている。ブレード69は、分配通路軸XDに対して旋回するように傾けられた傾斜面を提供している。ブレード69は、複数の傾斜面を提供する場合がある。ブレード69は、第1媒体の流れ方向を偏向させる偏向板、または、固定タービンとも呼ばれる。ブレード69は、通路55から、第1分配通路31bへ向かう方向へ第1媒体の流れを案内する。ブレード69は、第1媒体が、平行通路軸XPの方向から、分配通路軸XDの方向へ方向転換するための準備的な流れを可能とする。ブレード69は、平行通路50の中に位置づけられている。ブレード69に関して、特願2020-134484号の説明、および、図示の全体を参照により導入することができる。
図3において、熱交換器30の平面図が図示されている。入口33と出口34とは、ボックス型の感温式膨張弁の使用を可能にするために、熱交換器30の一方の端面におけるひとつの角部に集中的に配置されている。第1分配通路31bと第1集合通路31cとは、熱交換器30の対角的に位置する角部に分散的に配置されている。入口33と第1分配通路31bとの間には、平行通路50が延びている。出口34の直下に、第1集合通路31cが配置されている。入口35と出口36とは、熱交換器30の他方の端面に対角的に位置する角部に分散的に配置されている。熱交換器30の内部では、第1媒体と第2媒体との対向流による熱交換が提供される。
平面図において、突出面64は、長手方向を有する長円形状を有している。突出面64の長手方向は、平行通路軸XPと交差するように配置されている。長手方向と平行通路軸XPとの交差角は、実質的に直角(90度)である。長手方向と平行通路軸XPとの交差角は、90度から、+45度、および、-45度の範囲において調節可能である。
ドーム面54、斜面56、および、突出面64は、平行通路50の後端部に配置されている。ドーム面54、斜面56、および、突出面64は、平行通路軸XPの長さ方向に関して、入口33よりも、第1分配通路31bの近くに配置されている。ドーム面54は、第1分配通路31bの軸方向端部と対向するように配置されている。ブレード69は、第1分配通路31bの軸方向端部に配置されている。ドーム面54、斜面56、突出面64、および、ブレード69は、入口33よりも、第1分配通路31bの近くに位置づけられている。ドーム面54、斜面56、突出面64、および、ブレード69は、流れ制御要素を提供している。流れ制御要素は、平行通路50に配置されている。流れ制御要素は、分配通路軸XDの方向に沿った垂直流れ成分FVを、平行通路50において第1媒体の流れに付与する。流れ制御要素は、直接的に、または、間接的に、平行流れ成分FPを垂直流れ成分FVに変換している。
図4、図5、および、図6は、図3の複数の断面線における断面を示している。これらの図は、第1エンドプレート44と、第2エンドプレート45との詳細を拡大して示している。
図4において、初期内面52と初期内面62とは、扁平な通路53を区画している。通路53は、コア37に沿って、コア37に隣接して配置されている。
図5において、通路57は、流れ方向に沿って、通路53から、図示の上方向へ徐々に推移している。言い換えると、平行通路50は、流れ方向に沿って、通路57において、コア37から離れるように徐々に推移している。この結果、第1媒体の流れは、コア37から離れるように偏向される。
突出面64は、隆起部分、または、リブ部分とも呼ばれる。突出面64は、第2エンドプレート45を部分的に隆起させることによって形成されている。突出面64は、円柱表面によって提供されている。
突出面64は、扁平な平行通路50の中の実質的に中央に配置されている。突出面64は、円柱表面の軸方向における両端に1/4球状に湾曲した端部突出面67、68を有している。端部突出面67、68と、第1エンドプレート44との間には、隙間が区画されている。よって、突出面64の軸方向両端において、通路53は、通路57を経由することなく、真っ直ぐに延びている。よって、突出面64の周囲においては、突出面64を図示の上方向に迂回する通路57と、突出面64の軸方向両端を真っ直ぐに延びる通路53の両端部分53a、53bとが区画形成されている。通路57と、両端部分53a、53bは、平行通路50の終端部における、第1媒体の複雑な流れを提供する。
図6において、第1分配通路31bの端部とドーム面54との間には、通路53と通路57とを加算した、比較的大きい通路55が区画形成されている。通路57を経由した第1媒体の流れは、通路55において、分配通路軸XDに沿った垂直流れ成分FVを獲得した後に、第1分配通路31bに流入する。
ブレード69は、第1分配通路31bから、平行通路50に向けて突出している。この結果、第1媒体の流れは、第1分配通路31bに流入する前に、平行通路50の中において、ブレード69によって偏向される。第1媒体の流れは、平行通路50の中において、分配通路軸XDに沿った垂直流れ成分FVを与えられた後に、第1分配通路31bに流入する。
図7において、平行通路50の終端部分の詳細が拡大して示されている。図中には、複数のブレード69が図示されている。複数のブレード69は、第1媒体の流れに旋回成分を付与するように、螺旋状に配置されている。この実施形態では、熱交換器30は、3つのブレード69を備える。
通路53における平行流れ成分FPは、通路57において、第1分配通路31bから離れる方向へ偏向される。通路57における斜め流れ成分FLは、後続の通路55において、徐々に垂直流れ成分FVを獲得する。加えて、複数のブレード69は、通路55において、第1媒体の流れに垂直流れ成分FVを与える。通路55における第1媒体の流れFDは、平行通路50の中において流れ方向を徐々に変化させる。この結果、第1媒体の流れは、第1分配通路31bに流入した直後から、十分な垂直流れ成分FVを有している。
第1媒体は、気体成分と液体成分との混合媒体である。この場合、液体成分は、重量に起因して、平行流れ成分FPの影響を受けやすい。この結果、液体成分は、比較例として示された比較流れFCのように、平行通路50から、第1分配通路31bに向けて、斜めに流入する場合がある。この場合、第1分配通路31bの入口近傍に位置する開口31dに比較的多くの液体成分が流入する。結果的に、第1分配通路31bの入口から遠く離れた開口31dには、気体成分が比較的多く流入する。この結果、第1分配通路31bから、複数の第1熱交換通路31aへの第1媒体の分配量の分布は、偏った分布となる。分布の偏りは、熱交換器30の一部分における熱交換を妨げる。例えば、液体成分が過多となる一部分では、熱交換に貢献しないまま、出口34に到達する液体成分を生じるから、熱交換能力を低下させる。例えば、気体成分が過多となる一部分では、もはや熱交換に貢献しない乾き蒸気領域の生成により、熱交換能力を低下させる。熱交換器30の全体を熱交換に利用するために、第1媒体の分配は、均一な分布を実現することが望ましい。
これに対して、この実施形態において、第1媒体は、第1分配通路31bに流入する前に、平行通路50において垂直流れ成分FVを付与される。平行通路50における垂直流れ成分FVの付与は、平行通路50に配置された流れ制御要素によって実行される。流れ制御要素は、複数の要素のうちの少なくともひとつを備える。流れ制御要素は、熱交換器30が平行通路50を備える場合であっても、第1分配通路31bにおける第1媒体の分布の偏りを抑制する。しかも、流れ制御要素は、平行通路50の終端部において垂直流れ成分FVを付与する。このため、第1分配通路31bの全体における分布の偏りを抑制する。
流れ制御要素は、ドーム面54、斜面56、突出面64、および、ブレード69を含む。ドーム面54、斜面56、および、突出面64は、比較的大きい曲がり半径をもつ流れFDを提供する。流れFDは、圧力損失を抑制しながら、平行流れ成分FPを垂直流れ成分FVへ変換する。ブレード69は、平行流れ成分FPを垂直流れ成分FVへ変換する。この結果、第1分配通路31bへの流入直後から、第1分配通路31bの終端にわたる広い範囲において、第1媒体は、複数の第1熱交換通路31aへ、分布の大きな偏りなく分配される。言い換えると、第1分配通路31bの全長にわたって、第1媒体は、分布の大きな偏りなく分配される。望ましい状態では、分布の偏りは、許容範囲内に抑制される。この結果、熱交換器30の広い範囲が熱交換に貢献する。望ましい状態では、熱交換器30の全体が熱交換に貢献する。
第2実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、ドーム面54、斜面56、および、突出面64を含む。流れ制御要素は、ブレード69を備えない。
図8において、熱交換器30は、第1エンドプレート44を備える。よって、熱交換器30は、ドーム面54、および、斜面56を備える。熱交換器30は、第2エンドプレート245を備える。第2エンドプレート245は、突出面64を備える。しかし、第2エンドプレート245は、ブレード69を備えない。
この実施形態でも、流れ制御要素としてのドーム面54、斜面56、および、突出面64は、平行通路50に配置されている。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第3実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、突出面64を含む。流れ制御要素は、ドーム面54、斜面56、および、ブレード69を備えない。
図9において、熱交換器30は、第1エンドプレート344を備える。第1エンドプレート344は、平行通路50を提供するための初期内面52を備える。初期内面52は、入口33が設けられた部位から第1分配通路31bの入口端に対向する部位にまで連続的に配置されている。よって、第1エンドプレート344は、ドーム面54と斜面56とを備えない。熱交換器30は、第2エンドプレート245を備える。第2エンドプレート245は、突出面64を備える。
この実施形態でも、流れ制御要素としての突出面64は、平行通路50に配置されている。突出面64は、第1媒体の流れに、斜め流れ成分FLを付与する。この結果、第1媒体は、通路55において、比較的大きい曲がり半径をもつ流れFEを生じる。流れFEは、比較流れFCに比べて、多くの垂直流れ成分FVを第1媒体の流れに付与する。突出面64は、熱交換器30が平行通路50を備える場合であっても、第1分配通路31bにおける第1媒体の分布の偏りを抑制する。しかも、突出面64は、平行通路50の終端部において垂直流れ成分FVを付与する。このため、第1分配通路31bの全体における分布の偏りを抑制する。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第4実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、突出面64とブレード69とを備える。流れ制御要素は、ドーム面54と斜面56とを備えない。
図10において、熱交換器30は、第1エンドプレート344を備える。熱交換器30は、第2エンドプレート45を備える。第2エンドプレート45は、突出面64とブレード69とを備える。
この実施形態でも、流れ制御要素としての突出面64とブレード69とは、平行通路50に配置されている。突出面64は、第1媒体の流れに、斜め流れ成分FLを付与し、通路55において、比較的大きい曲がり半径をもつ流れFEを生じる。ブレード69は、第1媒体の流れにおける平行流れ成分FPを垂直流れ成分FVに変換する。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第5実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、ドーム面54と斜面56とを備える。流れ制御要素は、突出面64とブレード69とを備えない。
図11において、熱交換器30は、第1エンドプレート44を備える。第1エンドプレート44は、初期内面52と、ドーム面54と、斜面56とを備える。熱交換器30は、第2エンドプレート545を備える。第2エンドプレート545は、突出面64とブレード69とを備えない。第2エンドプレート545は、初期内面62と、縁63とを備える。
この実施形態でも、流れ制御要素としてのドーム面54と斜面56とは、平行通路50に配置されている。斜面56は、第1媒体の流れに斜め流れ成分FLを付与する。ドーム面54は、通路55において、比較的大きい曲がり半径をもつ流れFDを許容する。流れFDは、比較流れFCを抑制し、第1媒体の流れに多くの垂直流れ成分FVを付与する。ドーム面54と斜面56とは、熱交換器30が平行通路50を備える場合であっても、第1分配通路31bにおける第1媒体の分布の偏りを抑制する。しかも、ドーム面54と斜面56とは、平行通路50の終端部において垂直流れ成分FVを付与する。このため、第1分配通路31bの全体における分布の偏りを抑制する。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第6実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、ドーム面54、斜面56、および、ブレード69を備える。流れ制御要素は、突出面64とブレード69とを備えない。
図12において、熱交換器30は、第1エンドプレート44を備える。第1エンドプレート44は、初期内面52と、ドーム面54と、斜面56とを備える。熱交換器30は、第2エンドプレート645を備える。第2エンドプレート645は、初期内面62、縁63、および、ブレード69を備える。第2エンドプレート645は、突出面を備えない。
この実施形態でも、流れ制御要素としてのドーム面54と斜面56とブレード69とは、平行通路50に配置されている。斜面56は、第1媒体の流れに斜め流れ成分FLを付与する。ドーム面54は、通路55において、比較的大きい曲がり半径をもつ流れFDを許容する。ブレード69は、第1媒体の流れに多くの垂直流れ成分FVを付与する。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第7実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、ブレード69を備える。流れ制御要素は、ドーム面54と、斜面56と、突出面64とを備えない。
図13において、熱交換器30は、第1エンドプレート344を備える。熱交換器30は、第2エンドプレート645を備える。
この実施形態でも、流れ制御要素としてのブレード69は、平行通路50に配置されている。ブレード69は、第1媒体の流れに多くの垂直流れ成分FVを付与する。ブレード69は、熱交換器30が平行通路50を備える場合であっても、第1分配通路31bにおける第1媒体の分布の偏りを抑制する。しかも、ブレード69は、平行通路50の終端部において垂直流れ成分FVを付与する。このため、第1分配通路31bの全体における分布の偏りを抑制する。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第8実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、複数の突出面64を備える。この実施形態の複数の突出面64は、この明細書に開示された実施形態に適用可能である。
図14において、突出面64は、複数の突出面864a、864bを備える。第1媒体の流れ方向において、突出面864aは、突出面864bの下流側に配置されている。第1媒体の流れ方向と直角な幅方向において、突出面864bは、突出面864aより短い。突出面864bは、斜面56の範囲内に位置している。突出面864aの一部は、斜面56と重複するように位置づけられている。複数の突出面864a、864bは、第1媒体の流れに、徐々に斜め流れ成分FLを付与する。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第9実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、複数の突出面64を備える。この実施形態の複数の突出面64は、この明細書に開示された実施形態に適用可能である。
図15において、突出面64は、複数の突出面964a、964bを備える。突出面964a、964bは、第2エンドプレート45に楕円形の隆起部分として形成されている。第1媒体の流れ方向と直角な幅方向において、突出面964aと突出面964bとは幅方向に並んで配置されている。幅方向において、突出面964bと突出面964aとは、同じ幅を有している。突出面964aと突出面964bとの間には、隙間が形成されている。突出面964aと突出面964bの一部は、斜面56と重複するように位置づけられている。複数の突出面964a、964bは、第1媒体の流れに、斜め流れ成分FLを付与する。さらに、複数の突出面964a、964bの間の隙間は、まっすぐの中間部の流れを供給する。この結果、複雑な流れが供給される。中間部の流れは、垂直流れ成分FVの付与に貢献する場合がある。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第10実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、第1媒体の流れに対して斜めに配置された突出面64を備える。この実施形態の突出面64は、この明細書に開示された実施形態に適用可能である。
図16において、斜面56は、第1媒体の流れ方向に対して傾斜している。斜面56は、流れ方向の幅方向にも面するように傾斜している。斜面56に対応して、突出面64も、平行通路50において、傾斜して配置されている。突出面64は、2つの突出面A64a、A64bを備える。突出面A64aと突出面A64bとは、幅方向に関して並べて配置されている。さらに、第1媒体の流れ方向において、突出面A64aは、突出面A64bより下流に配置されている。斜面56、および、突出面A64a、A64bは、第1媒体の流れに、幅方向流れ成分FWを付与する。幅方向流れ成分FWは、垂直流れ成分FVの付与に貢献する場合がある。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第11実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における流れ制御要素は、縁63に沿って湾曲した突出面64を備える。この実施形態の突出面64は、この明細書に開示された実施形態に適用可能である。
図17において、斜面56は、縁63に沿って湾曲して広がっている。同様に、突出面64は、縁63に沿って湾曲して延びている突出面B64を備える。言い換えると、突出面B64は、第1媒体の流れ方向の上流に向けて凸状に湾曲している。斜面56、および、突出面B64は、第1分配通路31bに向けて集中する流れ成分を第1媒体の流れに付与する。集中する流れ成分は、垂直流れ成分FVの付与に貢献する場合がある。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第12実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における平行通路50は、複数の通路を備える。この実施形態の平行通路50は、この明細書に開示された実施形態に適用可能である。
図18において、平行通路50は、第1平行通路C50aと、第2平行通路C50bとを備える。第1平行通路C50aと、第2平行通路C50bとは、入口33と、第1分配通路31bとの間において、並列に位置づけられている。突出面64は、第1突出面C64aと、第2突出面C64bとを備える。第1突出面C64aは、第1平行通路C50aに配置されている。第2突出面C64bは、第2平行通路C50bに配置されている。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第13実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における突出面64は、多角柱表面によって形成されている。この実施形態の突出面64は、この明細書に開示された実施形態に適用可能である。
図19において、突出面64は、四角柱表面を有している。突出面64は、第1媒体の流れ方向と垂直な前面D65と、後面D66とを備える。この実施形態でも、突出面64は、突出面64の一部が斜面56と重複するように配置されている。斜面56と突出面64とは、通路53と通路55との間における、平行通路50の断面積の過大な増加と過大な減少とを抑制している。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第14実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態に代えて、この実施形態における突出面64は、三角柱表面によって形成されている。この実施形態の突出面64は、この明細書に開示された実施形態に適用可能である。
図20において、突出面64は、三角柱表面を有している。突出面64は、前斜面E65と、後斜面E66とを有する。前斜面E65は、第1媒体の流れ方向に沿って平行通路50への突出量が増加するように傾斜している。平行通路軸XPに対する前斜面E65の傾斜角は所定の第1角度R1である。第1角度R1は、直角より大きい。後面D66は、突出面64の頂点から、第1媒体の流れ方向に沿って平行通路50への突出量が減少するように傾斜している。平行通路軸XPに対する後斜面E66の傾斜角は所定の第2角度R2である。第2角度R2は、直角より小さい。第1角度R1は、第2角度R2おり大きい。この実施形態でも、突出面64は、突出面64の一部が斜面56と重複するように配置されている。この実施形態でも、先行する実施形態に類似の改善が提供される。
第15実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態では、第1系統10は、冷凍サイクルのみとして運転可能な熱サイクルである。これに代えて、この実施形態では、第1系統10は、冷凍サイクルと、ヒートポンプサイクルとに切換運転可能な熱サイクルによって提供されている。
図21において、第1系統10は、通路11における第1媒体の流れ方向を切換可能な切換弁F18を備える。切換弁F18は、図示されるような四方弁、または、複数の弁によって提供される。図示される実線のように第1媒体が流れる場合、第1系統10は、ヒートポンプサイクルとして機能する。このとき、媒体システム1は、負荷2を加熱する。図示される破線のように第1媒体が流れる場合、第1系統10は、冷凍サイクルとして機能する。このとき、媒体システム1は、負荷2を冷却する。媒体システム1は、切換弁F18を切り換えることにより、負荷2の温度を調節することができる。
この実施形態でも、熱交換器30は、平行通路50に起因する偏りを抑制する。この結果、熱交換器30は、高い熱交換能力を発揮する。媒体システム1は、負荷2の温度調節を、効率的に実行することができる。
第16実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態では、第1系統10は、媒体の相変化を利用する熱プラントである。これに代えて、この実施形態では、第1系統10は、相変化を利用しない熱プラントによって提供されている。
図22において、第1系統10は、圧縮機12に代えて、ポンプなどの複数の構成要素G19を備える。この実施形態でも、媒体システム1は、負荷2の温度調節を、効率的に実行することができる。
第17実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態では、対象物25は、電池である。これに代えて、または、加えて、この実施形態では、負荷2は、空気である。
図23において、負荷熱交換器23は、空気と熱交換する空気熱交換器である。空気は、例示的に図示されるファンH26などによって送風される。この実施形態でも、媒体システム1は、負荷2の温度調節を、効率的に実行することができる。
第18実施形態
この実施形態は、先行する実施形態を基礎的形態とする変形例である。先行する実施形態では、第2系統20は、媒体の相変化を利用しない熱プラントである。これに代えて、この実施形態では、第2系統20は、媒体の相変化を利用する熱プラントによって提供されている。
図24において、第2系統20は、ポンプ22に代えて、圧縮機などの複数の構成要素I29を備える。第1系統10と第2系統20との両方が熱サイクルによって提供される。この実施形態でも、媒体システム1は、負荷2の温度調節を、効率的に実行することができる。
他の実施形態
この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形形態を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
上記実施形態では、突出面64は、円柱表面を有している。これに代えて、突出面64は、角柱表面を有していてもよい。また、斜面56に代えて、階段面が設けられてもよい。この場合、端部突出面67、68も、立方体または直方体の一部の表面を有することができる。
上記実施形態では、流れ制御要素は、平行通路50に配置されている。これに代えて、流れ制御要素は、平行通路50に加えて、第1分配通路31bにも設けられてもよい。さらに、流れ制御要素は、平行通路50から第1分配通路31bにわたって配置されていてもよい。上記実施形態では、平行通路50は、熱交換器30の一方の端部に配置されている。これに代えて、平行通路50は、熱交換器30の中間部分に配置されていてもよい。例えば、熱交換器30は、中央部分に配置された平行通路50と、中央部分から両側へ延びる2つの第1分配通路31bとを備える場合がある。
上記実施形態では、熱交換器30を形づくる部材は、複数のプレート40である。これに代えて、または、加えて、熱交換器30の一部、または、すべては、チューブ、成形体、ダイカスト体などによって提供されてもよい。例えば、平行通路50は、エンドプレート43に代えて、扁平なチューブによって区画形成されてもよい。また、第2通路32は、第2分配通路32b、および、第2集合通路32cを備えることなく形成されてもよい。例えば、第2通路32は、熱交換器30の外部に開口するように形成された開放通路によって提供することができる。開放通路は、例えば、第2媒体が空気などの媒体である場合に、利用可能である。
当業者は、ここに開示された複数の代替的な実施形態は、この明細書における開示の範囲内に属するものとして当然に理解するべきである。
1 媒体システム、 2 負荷、 3 負荷、
10 第1系統、 20 第2系統、
30 熱交換器、 31 第1通路、 32 第2通路、
40 プレート、 50 平行通路、
52 初期平面、 54 ドーム内面、 56 斜面、
64 突出面、 69 ブレード、
FP 平行流れ成分、 FV 垂直流れ成分、
PD 平行方向、 SD 積層方向、
XP 平行通路軸、 XD 垂直通路軸。

Claims (10)

  1. 第1媒体と第2媒体との間における熱交換を提供する熱交換器(30)であって、
    前記第1媒体のための複数の第1熱交換通路(31a)と、
    前記第2媒体のための複数の第2熱交換通路(32a)と、
    複数の前記第1熱交換通路に対して交差するように延びる分配通路軸(XD)を有し、前記分配通路軸に沿って前記第1媒体を流すことにより、前記第1媒体を複数の前記第1熱交換通路に分配する分配通路(31b)と、
    前記第1熱交換通路に対して平行に延びる平行通路軸(XP)を有し、前記分配通路と交差するように配置されており、前記第1媒体を前記分配通路に供給する平行通路(50)とを区画形成する複数の部材(40)を備え、
    前記平行通路に配置され、前記分配通路軸の方向に沿った垂直流れ成分(FV)を、前記平行通路において前記第1媒体の流れに付与する流れ制御要素(54、56、64、69)を備える熱交換器。
  2. 複数の前記部材は、複数のプレート(40)であり、
    複数の前記プレートは、
    前記第1熱交換通路と、前記第2熱交換通路と、前記分配通路とを区画形成するコアプレート(41、42)、および、
    前記平行通路を区画形成するエンドプレート(43、44、45)を備える請求項1に記載の熱交換器。
  3. 前記流れ制御要素は、
    前記分配通路から離れる方向へ向けて、前記平行通路へ突出する突出面(64)を含む請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
  4. 前記平行通路は、所定の通路断面を区画形成する内面(62)を備え、
    前記流れ制御要素は、
    前記分配通路の入口端(63)に対向するように配置されており、前記内面が区画形成する通路(53)より大きい通路(55)を区画形成するドーム面(54)、および
    前記内面と前記ドーム面との間に配置され、前記平行通路を前記分配通路から離れる方向へ推移させる斜面(56)を含む請求項1から請求項3のいずれかに記載の熱交換器。
  5. 前記流れ制御要素は、
    前記平行通路に配置され、前記分配通路の入口端(63)に向かう前記第1媒体の流れを前記平行通路において偏向させるブレード(69)を含む請求項1から請求項4のいずれかに記載の熱交換器。
  6. 前記平行通路は、所定の通路断面を区画形成する内面(62)を備え、
    前記流れ制御要素は、
    前記分配通路から離れる方向へ向けて、前記平行通路へ突出する突出面(64)、
    前記分配通路の入口端(63)に対向するように配置されており、前記内面が区画形成する通路(53)より大きい通路(55)を区画形成するドーム面(54)、
    前記内面と前記ドーム面との間に配置され、前記平行通路を前記分配通路から離れる方向へ推移させる斜面(56)、および、
    前記平行通路に配置され、前記分配通路の入口端(63)に向かう前記第1媒体の流れを前記平行通路において偏向させるブレード(69)を含む請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
  7. 前記第1媒体により熱を輸送する第1系統(10)と、
    前記第2媒体により熱を輸送する第2系統(20)と、
    請求項1から請求項6のいずれかに記載の熱交換器(30)とを備える媒体システム。
  8. 前記媒体システムは、電気的な部品(2)のための熱を輸送する請求項7に記載の媒体システム。
  9. 前記媒体システムは、冷房のみ、暖房のみ、若しくは、冷暖房の両方、または、冷蔵、温蔵、冷凍、解凍、若しくは、これらの複数機能のための熱を輸送する請求項7または請求項8に記載の媒体システム。
  10. 前記媒体システムは、乗り物に搭載され、前記乗り物における熱を輸送する請求項7から請求項9のいずれかに記載の媒体システム。
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