JP2022113920A - 荷電粒子線照射設備 - Google Patents
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Abstract
【課題】照射装置付近における放射線の量を抑制すると共に、設備のフットプリントを小さくすることができる荷電粒子線照射設備を提供する。【解決手段】荷電粒子線照射設備1は、照射装置3の外側の輸送経路4に、選択部50が配置される。これにより、照射装置3から遠い位置に選択部50を配置することができる。第1の直線部41は、第1の方向D1に対して傾斜すると共に、第1の方向D1において、加速器2から照射装置3側の位置へ直線状に延びる。また、第2の直線部42は、第1の方向D1に対して傾斜すると共に、第1の方向D1において、照射装置3から加速器2側の位置へ直線状に延びる。このような輸送経路4は、加速器2から照射装置3へ向かって徐々に近づくような態様にて、直線部41,42同士が曲部43で屈曲するような経路となる。輸送経路は、設備のフットプリントを小さくすることができる。【選択図】図1
Description
本発明は、荷電粒子線照射設備に関する。
荷電粒子線照射設備として、例えば特許文献1に示すものが知られている。荷電粒子線照射設備は、荷電粒子を加速して荷電粒子線を生成する加速器と、回転軸周りに回転可能な回転部を有すると共に加速器で生成された荷電粒子線を照射する照射装置と、加速器から照射装置へ荷電粒子線を輸送する輸送経路と、を備える。特許文献1の図2に示す荷電粒子線照射設備は、平面視において、一つの加速器に対して複数の照射装置が設けられている。加速器が、各照射装置に対して荷電粒子線を分配できるように、輸送経路は、加速器からU字状に大きく回り込むようにして、照射装置に接続される。また、特許文献1の図4に示す荷電粒子線照射装置は、照射装置の上部に、荷電粒子線のエネルギーを選択する選択部(ESS:Energy Selection System)を備えている。これにより、加速器からの輸送経路を短くして、直線状に照射装置に接続している。
ここで、特許文献1の図2に示す構成では、輸送経路が大きく回り込んでいることによって、加速器、照射装置、及び輸送経路を配置するための設備のフットプリントが大きくなるという問題がある。また、特許文献2の図4に示す構成では、照射装置の上部にESSを配置しているため、照射装置に設置された患者に対する放射線の量が多くなる可能性がある。従って、照射装置付近における放射線の量を抑制すると共に、設備のフットプリントを小さくすることが求められていた。
そこで、本発明は、照射装置付近における放射線の量を抑制すると共に、設備のフットプリントを小さくすることができる荷電粒子線照射設備を提供することを目的とする。
本発明に係る荷電粒子線照射設備は、荷電粒子線を照射する荷電粒子線照射設備において、 荷電粒子を加速して荷電粒子線を生成する加速器と、回転軸線周りに回転可能な回転部を有すると共に加速器で生成された荷電粒子線を照射する照射装置と、加速器から照射装置へ荷電粒子線を輸送する輸送経路と、を備え、加速器と照射装置とは、平面視において第1の方向に互いに離間した位置に配置され、照射装置の外側の輸送経路に、荷電粒子線の所定の範囲のエネルギーの中から特定の範囲のエネルギーを選択する選択部が配置され、輸送経路は、第1の方向に対して傾斜すると共に、第1の方向において、加速器から照射装置側の位置へ直線状に延びる第1の直線部と、第1の方向に対して傾斜すると共に、第1の方向において、照射装置から加速器側の位置へ直線状に延びる第2の直線部と、第1の直線部と第2の直線部との間で経路を曲げる曲部と、を備える。
本発明に係る荷電粒子線照射設備は、照射装置の外側の輸送経路に、荷電粒子線の所定の範囲のエネルギーの中から特定の範囲のエネルギーを選択する選択部が配置される。これにより、照射装置から遠い位置に選択部を配置することができる。従って、照射装置付近における放射線の量を抑制することができる。また、輸送経路は、第1の直線部と、第2の直線部と、第1の直線部と第2の直線部との間で経路を曲げる曲部と、を備える。ここで、第1の直線部は、第1の方向に対して傾斜すると共に、第1の方向において、加速器から照射装置側の位置へ直線状に延びる。また、第2の直線部は、第1の方向に対して傾斜すると共に、第1の方向において、照射装置から加速器側の位置へ直線状に延びる。このような輸送経路は、加速器から照射装置へ向かって徐々に近づくような態様にて、直線部同士が曲部で屈曲するような経路となる。このような、輸送経路は、例えば図6に示すように、加速器から大きくU字状に回り込んで照射装置へ向かうような輸送経路とは異なり、フットプリントを小さくすることができる。以上より、照射装置付近における放射線の量を抑制すると共に、設備のフットプリントを小さくすることができる。
本発明に係る荷電粒子線照射設備において、加速器、照射装置、及び輸送経路を配置する設備配置室は、照射装置が配置される照射装置配置空間と、加速器及び輸送経路が配置される加速器配置空間と、を有し、照射装置配置空間と加速器配置空間との間には、室内で放射線を遮蔽する室内遮蔽壁が設けられると共に、照射装置配置空間と加速器配置空間とを連通する連通部が形成され、連通部は、曲部の曲げ方向とは反対側に配置されてよい。この場合、一つの部屋の中に加速器、照射装置、及び輸送経路を配置した場合であっても、加速器配置空間で発生する放射線は、室内遮蔽壁で遮蔽される。また、連通部は、曲部の曲げ方向とは反対側に配置されるため、加速器配置空間の放射線が、連通部を介して照射装置配置空間へ漏れることが抑制される。
本発明に係る荷電粒子線照射設備において、加速器配置空間には、連通部と対向する位置に、当該連通部と交差する方向に延びる通路形成壁部が形成される。この場合、通路形成壁部が、連通部を介して照射装置配置空間へ向かう放射線を遮蔽することができる。
本発明によれば、照射装置付近における放射線の量を抑制すると共に、設備のフットプリントを小さくすることができる荷電粒子線照射設備を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら本発明による成膜装置の一実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
以下、本発明に係る荷電粒子線照射設備の好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。本実施形態では、荷電粒子線照射設備を荷電粒子線治療設備とした場合について説明する。荷電粒子線治療設備は、例えばがん治療に適用されるものであり、患者の体内の腫瘍(照射目標物)に対して、陽子ビームなどの荷電粒子線を照射する設備である。
図1に示されるように、荷電粒子線照射設備1は、荷電粒子線を生成する加速器2、患者に対して任意の方向から荷電粒子線を照射する回転自在の照射装置3、加速器2で生成された荷電粒子線を照射装置3まで誘導する輸送経路4を備えている。また、荷電粒子線照射設備1の各機器は、一階建ての建屋6の一つの部屋の中に設置されている。
加速器2は、荷電粒子を加速することによって荷電粒子線を生成する装置である。加速器2として、例えばサイクロトロン等が採用される。加速器2で生成された荷電粒子線は、輸送経路4によって形成された軌道を通り、照射装置3まで誘導される。なお、輸送経路4の詳細な構成については後述する。
加速器2は、内部でイオン(荷電粒子)を加速平面上で周回させながら加速させる真空容器21、真空容器21内にイオンを供給するイオン源(不図示)を備えている。真空容器21は輸送経路4に連絡している。真空容器21内で周回する荷電粒子線は、デフレクタ22で周回軌道から取り出されて輸送経路4に供給される。なお、加速器2の加速平面は水平方向へ広がる。加速平面の中心を中心点CP2とする(図1及び図2参照)。真空容器21の上下方向に延びる中心線は中心点CP2を通過する。
図2~図4に示されるように、照射装置3は、いわゆる回転ガントリによって構成されており、患者が横たわる治療台31(図3参照)、治療台31を囲むように設けられた回転部30、回転部30の内側に配置され、治療台31上の患者に向けて荷電粒子線を照射する照射部32、輸送経路4によって誘導された荷電粒子線を照射部32へ導入する導入ライン33を備えている。照射装置3は、図示されていないモーターによって回転駆動され、図示されていないブレーキ装置によって回転が停止される。なお、以下の説明において、照射装置3の正面とは、治療台31が設置されて患者の出入りが可能になるように回転部30が開放されている側の側面を意味し、背面とは、その裏側の側面を意味する。
回転部30は、回転自在とされ、正面側から順に、第1円筒部34、コーン部35、第2円筒部36を備える。第1円筒部34、コーン部35、及び第2円筒部36は、同軸に配置され互いに固定されている。照射部32は、第1円筒部34の内面に配置され、第1円筒部34の軸心方向に向けられている。第1円筒部34の回転軸線CL1近傍には、治療台31が配置される。第2円筒部36は、第1円筒部34より小径とされ、コーン部35は、第1円筒部34及び第2円筒部36を連結するように円錐状に形成されている。なお、回転軸線CL1と荷電粒子線の照射軸との交点をアイソセンターCP1(図4参照)と称する。荷電粒子線の照射軸は、照射部32がどの角度から荷電粒子線を照射する場合であっても、アイソセンターCP1を通過する。なお、照射軸とは、荷電粒子線をスキャニングマグネットなどで走査しない場合の荷電粒子線の中心軸線である。
第1円筒部34の前端外周部には前リング39aが設置され、第1円筒部34の後端外周部には後リング39bが設置されている。第1円筒部34は、第1円筒部34の下方に配置されたローラ装置40(図2参照)によって、回転可能に支持されている。前リング39a及び後リング39bの外周面は、ローラ装置40と当接し、ローラ装置40によって回転力が付与される。
導入ライン33は、照射装置3の背面側で輸送経路4に連結されている。導入ライン33は、45度の偏向電磁石を2セット備えると共に、135度の偏向電磁石を2セット備えている。導入ライン33は、輸送経路4に連絡して径方向に延在する径方向導入ライン33aと、この径方向導入ライン33aの後段に連続し、周方向に延在する周方向導入ライン33bを有する。なお、導入ライン33には、荷電粒子線の軌道に沿ってビーム輸送管(図示省略)が設けられている。
径方向導入ライン33aは、第2円筒部36内の回転軸線CL1上で輸送経路4に連絡する始端部から回転軸線CL1に対して90度(45度×2回)湾曲して径方向に延在し、終端部が第1円筒部34の外部に張り出している経路部分である。また、周方向導入ライン33bは、径方向導入ライン33aの終端部に連絡する始端部から回転部30の周方向に135度湾曲して延在し、さらに、径方向の内側へ向けて135度湾曲して終端部が照射部32に連絡する経路部分である。
周方向導入ライン33bは、第1円筒部34の外周面から外方に離間した位置で周方向に沿って配置されており、架台37によって支持されている。架台37は、第1円筒部34の外周面から径方向の外側に張り出すように形成されている。
カウンタウェイト38は、回転軸線CL1を挟んで周方向導入ライン33b及び架台37に対して対向配置されている。カウンタウェイト38は、第1円筒部34の外周面に固定され、径方向の外側に張り出すように設置されている。カウンタウェイト38を設置することで、導入ライン33及び架台37との間での重量バランスが確保されている。また、回転軸線CL1からカウンタウェイト38の外縁までの長さは、回転軸線CL1から導入ライン33の外縁までの長さより短いと建屋6Aを小型化することができる。
また、本実施形態の照射装置3は、回転軸線CL1に沿った前後方向の長さL1が、回転部30の最大外径(最大幅)よりも短い薄型に形成されている。前後方向の長さL1とは、例えば、第1円筒部34の前端から、第2円筒部36の後端までの長さL1である。回転部30の最大外径とは、回転軸線CL1に直交する方向の最大外径であり、回転軸線CL1から周方向導入ライン33bの外縁までの長さr1に対応する部分(最大外径=半径r1×2)である。なお、回転軸線CL1からカウンタウェイト38の外縁までの長さに対応する部分が、最大外径となる構成でもよい。
次に、荷電粒子線照射設備1を構成する建屋6について説明する。建屋6は、図1及び図2に示すように、設備配置室7と、コントロール室8と、を備える。建屋6は、例えば、鉄筋コンクリート造、鉄骨コンクリート造の建築物である。本実施形態の建屋6は、平面視において矩形状に形成されている。なお、図1及び図2に対して、XY座標を設定して説明を行う場合がある。コントロール室8が設けられる箇所を前側として、当該コントロール室8から見たときの前後方向をY軸方向とし、当該Y軸方向と直交する水平方向をX軸方向とする。また、コントロール室8を前側とした場合、当該前側をY軸方向の正側とし、後側をY軸方向の負側とする。X軸方向の一方側を正側とし、他方側を負側とする。
設備配置室7は、加速器2、照射装置3、及び輸送経路4を配置する部屋である。設備配置室7は、平面視において、Y軸方向に長手方向を有し、X軸方向に短手方向を有する略長方形状をなしている。設備配置室7は、放射線を遮蔽する放射線遮蔽壁を備えて構成されている。なお、以降の説明において「遮蔽壁」と称する壁は、放射線を遮蔽できる材料で構成され、且つ放射線を遮蔽するのに十分な厚みを有する壁の事であるものとする。放射線を遮蔽できる材料としてコンクリートが挙げられる。設備配置室7は、四方を室外遮蔽壁11A,11B,11C,11Dによって室内空間を室外から遮蔽している。
室外遮蔽壁11Aは、X軸方向の正側の位置においてY軸方向に平行に延びる。室外遮蔽壁11Bは、室外遮蔽壁11AからX軸方向の負側へ離間すると共に当該室外遮蔽壁11Aと平行をなすように、Y軸方向に平行に延びる。なお、室外遮蔽壁11Bは、Y軸方向の正側の端部付近に、X軸方向の正側へシフトして段差を形成する前側領域11Baを有する。室外遮蔽壁11Cは、室外遮蔽壁11A,11BのY軸方向の正側の端部同士を連結するように、X軸方向に平行に延びる。室外遮蔽壁11Dは、室外遮蔽壁11A,11BのY軸方向の負側の端部同士を連結するように、X軸方向に平行に延びる。
設備配置室7は、照射装置3が配置される照射装置配置空間SP1と、加速器2及び輸送経路4が配置される加速器配置空間SP2と、を有する。照射装置配置空間SP1は設備配置室7におけるY軸方向の正側に配置され、加速器配置空間SP2は設備配置室7におけるY軸方向の負側に配置される。照射装置配置空間SP1と加速器配置空間SP2との間には、室内で放射線を遮蔽する室内遮蔽壁12が設けられる。また、照射装置配置空間SP1と加速器配置空間SP2との間には、照射装置配置空間SP1と加速器配置空間SP2とを連通する連通部13が形成される。
室内遮蔽壁12は、室外遮蔽壁11BのY軸方向の正側の端部付近、具体的には前側領域11BaのY軸方向の負側の端部から、室内へ向かって延びる。室内遮蔽壁12は、室外遮蔽壁11BからX軸方向に対して傾斜した状態で延びる傾斜部12aと、傾斜部12aの先端からX軸方向と平行に延びる平行部12bと、を有する。傾斜部12aは、X軸方向の正側へ向かうに従って、Y軸方向の負側へ向かうように傾斜する。平行部12bは、傾斜部12aの先端部からX軸方向の正側へ向かって延びる。平行部12bの先端部と室外遮蔽壁11Aとの間には隙間が形成されており、当該隙間が連通部13となる。なお、連通部13付近の詳細な構成については後述する。
また、図2に示すように、照射装置配置空間SP1及び加速器配置空間SP2の底部は床遮蔽壁11Eで遮蔽され、上部は天井遮蔽壁11Fで遮蔽される。なお天井遮蔽壁11Fには、照射装置3及び加速器2をそれぞれ搬出搬入するときに用いられる開口部を封鎖する遮蔽部材による蓋が設けられる。
コントロール室8は、設備配置室7に対して、前側、すなわちY軸方向の正側の位置に設けられる。コントロール室8は、室外遮蔽壁11Cの室外側に設けられる。室外遮蔽壁11Cには、設備配置室7とコントロール室8とを連通する入口部14が形成される。入口部14付近の詳細な構成については後述する。
照射装置配置空間SP1では、照射装置3は、前端側の開口部3a(回転部30の開口部)がY軸方向の正側へ開口するように配置される。照射装置3は、回転軸線CL1がY軸方向に対して傾斜するように配置される。本実施形態では、照射装置3は、回転軸線CL1がY軸方向における正側へ向かうに従って、X軸方向の正側へ向かうように傾斜している。図1においては、回転軸線CL1は、Y軸方向に対して略45°に傾斜しているが、傾斜角度は特に限定されない。照射装置3の後端側の開口部3b(第2円筒部36の開口部)は、室内遮蔽壁12の傾斜部12aの側面に接続される。従って、傾斜部12aの傾斜角度は、照射装置3の回転軸線CL1と直交する角度に設定される。なお、照射装置配置空間SP1のうち、開口部3bの手前側のスペースは、患者を照射装置3内の治療位置にセットするための準備等を行うためのスペースである。当該スペースと照射装置3の開口部3aよりも背面側のスペースとは、仕切板16で仕切られている。
加速器配置空間SP2では、加速器2は、Y軸方向において、室内遮蔽壁12の平行部12bよりも室外遮蔽壁11D寄りの位置(すなわちY軸方向の負側の位置)に配置されている。また、加速器2は、X軸方向において、室外遮蔽壁11Bよりも室外遮蔽壁11A寄りの位置(すなわちX軸方向の正側の位置)に配置されている。また、加速器2は、照射装置3と室内遮蔽壁12を挟んで、Y軸方向に対向するように配置されている。すなわち、加速器2は、照射装置3からY軸方向の負側へ離間した位置に配置されている。なお、照射装置3のアイソセンターCP1と加速器2の中心点CP2とを結ぶ仮想線を基準線SLと称する場合がある。アイソセンターCP1と中心点CP2は同じ高さ位置に配置されることで、基準線SLは水平方向に延びる(図2参照)。
本実施形態では、建屋6のX軸方向におけるフットプリントを小さくするために、加速器2と照射装置3との間のX軸方向におけるずれ量が小さくなるように配置されている。本実施形態では、Y軸方向から見たときに、中心点CP2とアイソセンターCP1とが略同じ位置に配置されている。従って、基準線SLがY軸方向と略平行となるように延びている。ただし、加速器2の配置は、当該配置に限定されない。例えば、Y軸方向から見たときに、加速器2の中心点CP2が照射装置3の回転部30の大きさの範囲内に収まるように配置されていればよい。あるいは、加速器2の中心点CP2と照射装置3のアイソセンターCP1との間のX軸方向におけるずれ量が、加速器2の真空容器21の半径より小さくなるように配置されていればよい。あるいは、Y軸方向から見たときに、少なくとも照射装置3の一部と加速器2の一部とが重なるように配置されていればよい。ただし、建屋6のX軸方向におけるフットプリントを過度に広げない範囲で、Y軸方向から見たときに、照射装置3と加速器2とが重ならないように配置されてもよい。
輸送経路4は、第1の直線部41と、第2の直線部42と、曲部43と、を備える。第1の直線部41は、加速器2から直線状に延びる部分である。第1の直線部41は、加速器2から出射された荷電粒子線の照射軸ELに沿って延びる。第2の直線部42は、室内遮蔽壁12を介して照射装置3から直線状に延びる部分である。第2の直線部42は、照射装置3の回転軸線CL1に沿って延びる。曲部43は、第1の直線部41と第2の直線部42との間で経路を曲げる部分である。
ここで、平面視において、加速器2と照射装置3とが離間する方向を「第1の方向D1」とする。ここでは、基準線SLが延びる方向を第1の方向D1とする。このとき、第1の直線部41は、第1の方向D1において、加速器2から照射装置3側の位置へ直線状に延びる。第1の直線部41は、第1の方向D1に対して傾斜した状態で、加速器2から遠ざかるに従って、順次、アイソセンターCP1へ近づくように、すなわち、Y軸方向の正側へ向かうように延びる。第2の直線部42は、第1の方向D1において、照射装置3から加速器2側の位置へ直線状に延びる。第2の直線部42は、第1の方向D1に対して傾斜した状態で、照射装置3から遠ざかるに従って、順次、中心点CP2へ近づくように、すなわち、Y軸方向の負側へ向かうように延びる。本実施形態では、第1の直線部41と第2の直線部42とは90°をなしているが、角度は特に限定されず、例えば90°よりも大きい角度及び小さい角度に設定されてよい。
輸送経路4は、加速器2から遠回りすることなく、照射装置3へ近づくように延びる。例えば、照射装置3の後端側の開口部3bと輸送経路4との接続部分の中心点CP3を基準とした場合、加速器2から延びた輸送経路4は、順次、中心点CP3に近づくように延びる。従って、輸送経路4のうち、加速器2との接続部が、中心点CP3に対して最も離れた部分となる。また、アイソセンターCP1を基準とした場合、加速器2から延びた輸送経路4は、順次、アイソセンターCP1に近づくように延びる。従って、輸送経路4のうち、加速器2との接続部が、アイソセンターCP1に対して最も離れた部分となる。
以上のような構成により、輸送経路4は、直線部41,42を一つの曲部43にて屈曲させたような形状となる。輸送経路4は、加速器配置空間SP2のうち、基準線SLよりもX軸方向の負側の領域に配置され、X軸方向における負側へ凸となるように、屈曲する。すなわち、輸送経路4は、X軸方向の負側を曲げ方向として曲がる。
なお、デフレクタ22は、照射装置3に対して中心点CP2を挟んで反対側、すなわちY軸方向の負側に配置されている。また、デフレクタ22は、基準線SLよりもX軸方向の負側に配置されている。また、荷電粒子線は、図1において時計回りに周回して、デフレクタ22で取り出される。この場合、デフレクタ22を照射装置3側に配置して、反時計回りに荷電粒子線を周回させた場合に比して、第1の直線部41を基準線SLに対して鋭角にすることができる。
ここで、照射装置3の外側の輸送経路4に、荷電粒子線の所定の範囲のエネルギーの中から特定の範囲のエネルギーを選択する選択部50が配置される。選択部50は、ESS(Energy Selection System)と称される機構である。例えば、照射装置3の上側にESSの一部が搭載されるような構成とは異なり、選択部50の全構成要素が、室内遮蔽壁12を隔てて、加速器配置空間SP2に配置されている。選択部50の構成要素は、照射装置配置空間SP2には配置されていない。
次に、図5を参照して、輸送経路4に設けられた選択部50の詳細な構成について説明する。なお、輸送経路4を構成する輸送管45に対して、選択部50の各構成要素が設けられる。第1の直線部41に設けられる選択部50は、上流側から順に、四極電磁石51と、ステアリング電磁石52と、ディグレーダ53と、四極電磁石51と、ビームストッパ54と、を備える。四極電磁石51は、荷電粒子線を収束させて荷電粒子線の形状を整えるための電磁石である。ステアリング電磁石52は、荷電粒子線の軌道を修正するための電磁石である。ディグレーダ53は、荷電粒子線のエネルギーを全体的に減少させて飛程を調整する機構である。ビームストッパ54は、荷電粒子線の出射と停止を切り替える機構である。なお、ディグレーダ53からの中性子線は、照射軸ELに沿って進行するため、当該中性子線は、照射装置配置空間SP1を避けるように進行する。また、中性子線は、室外遮蔽壁11Bに対して、傾斜するように入る。この場合、中性子線が通過する室外遮蔽壁11Bの実質的な厚みは、X軸方向に真っ直ぐに中性子線が室外遮蔽壁11Bに入る場合に比して、厚くなる。これにより、中性子線に対する遮蔽性を向上できる。
曲部43に設けられた選択部50は、上流側から順に、偏向電磁石56Aと、四極電磁石51と、スリット57と、四極電磁石51と、偏向電磁石56Bと、を備える。偏向電磁石56Aは、第1の直線部41から輸送された荷電粒子線の軌道を曲げる電磁石である。荷電粒子線は、エネルギーによってどの程度曲がるかが異なっている。従って、偏向電磁石56Aで荷電粒子線を曲げてスリット57を通すことで、所望のエネルギーの荷電粒子線を選択することができる。そして、偏向電磁石56Bは、選択したエネルギーの荷電粒子線を第2の直線部42へ向かうように軌道を曲げる。曲部43は、二セットの偏向電磁石56A,56Bのみを有し、偏向電磁石56A,56B間には、他のセットの偏向電磁石を有していない。なお、偏向電磁石が連続して配置される場合は、一セットの偏向電磁石とみなす。すなわち、偏向電磁石56Aが、連続する複数の偏向電磁石に分割されている場合は、一セットの偏向電磁石と見なす。曲部43のうち、偏向電磁石56A,56B間の領域は、直線状に延びる直線部となるが、当該直線部は、第1の直線部41よりも短い。
第2の直線部42に設けられた選択部50は、上流側から順に、四極電磁石51と、ステアリング電磁石52と、を備える。なお、第2の直線部42のうち、室内遮蔽壁12に埋設される部分には、選択部50の構成要素は設けられていない。
次に、図1を参照し、入口部14と連通部13周辺の構造について詳細に説明する。図1に示すように、入口部14は、室外遮蔽壁11Cのうち、X軸方向における正側の端部の位置に形成される。入口部14は、室外遮蔽壁11CをY軸方向に延びるように貫通させることで構成される。入口部14は、基準線SLよりもX軸方向における正側に配置される。アイソセンターCP1へ照射される荷電粒子線の影響による放射線は、当該アイソセンターCP1を通過すると共に、回転軸線CL1と直交する平面F内において強くなる。これに対し、入口部14は、回転軸線CL1の延長線上に、または回転軸線CL1の延長線と近接する位置に形成される。従って、入口部14は、放射線が強くなる平面Fから極力距離が遠い位置に配置される。
連通部13は、室内遮蔽壁12のX軸方向における正側の端部の位置において、Y軸方向に延びるように貫通するように形成される。連通部13は、曲部43の曲げ方向とは反対側であるX軸方向における正側に配置される。すなわち、連通部13は、基準線SLよりもX軸方向における正側に配置される。また、加速器配置空間SP2には、連通部13と対向する位置に、当該連通部13と交差する方向に延びる通路形成壁部19が形成される。通路形成壁部19は、加速器2からの放射線を遮蔽できる室内遮蔽壁として形成される。通路形成壁部19は、連通部13に対して、Y軸方向の負側に対向するように配置される。また、通路形成壁部19は、連通部13が延びる方向と直交するX軸方向に延びるように形成される。通路形成壁部19は、室外遮蔽壁11AからX軸方向の負側へ延びる。このように、連通部13と通路18によってL字状の通路が形成される。通路形成壁部19と室内遮蔽壁12の平行部12bとの間には、通路18が形成される。通路18の加速器配置空間SP2に対する開口部18aは、X軸方向における負側へ開口する。開口部18aは、基準線SLよりもX軸方向の正側に配置される。通路形成壁部19は、加速器2のどの位置からみても、連通部13を覆うように配置される。これにより、加速器2からの放射線が、連通部13に直接入り込むことが抑制される。
このように、照射装置配置空間SP1と加速器配置空間SP2とは、連通部13及び通路18で床が連続することで、ワンフロアとして構成され、且つ一つの部屋として構成される。図2に示すように、照射装置配置空間SP1の床面H1と、加速器配置空間SP2の床面H2とは、同じ高さ位置に設けられる。なお、照射装置3の下端部は、床面H1よりも低い位置の床面H3上に設置される。
次に、本実施形態に係る荷電粒子線照射設備1の作用・効果について説明する。
まず、図6を参照して、比較例に係る荷電粒子線照射設備100について説明する。この荷電粒子線照射設備100は、コントロール室108と、照射装置3を配置するための照射装置配置室110と、加速器2を配置するための加速器配置室120と、を備える。照射装置配置室110と、加速器配置室120とは、それぞれ独立した入口部111,121をそれぞれ有しており、互いに連通する部分を有していない。従って、照射装置配置室110は一つの部屋として構成され、加速器配置室120は一つの部屋として構成される。照射装置配置室110と加速器配置室120は、X軸方向に並ぶように設けられる。加速器配置室120には、加速器2から照射装置3へ延びる輸送経路140が設けられる。輸送経路140は、第1の直線部141と、第2の直線部142と、直線部141,142間で大きく回り込む旋回部143と、を備える。第1の直線部141は、第1の方向D1において、加速器2から照射装置3から遠ざかる位置へ直線状に延びている。旋回部143は、四セットの偏向電磁石56によって、第1の直線部141から大きく旋回して、第2の直線部142に接続される。なお、各偏向電磁石56間には、四極電磁石等が配置される。このような荷電粒子線照射設備100は、輸送経路140が大きく旋回してU字状の経路を描くため、設備のフットプリントが大きくなるという問題がある。
これに対し、本実施形態に係る荷電粒子線照射設備1は、照射装置3の外側の輸送経路4に、荷電粒子線の所定の範囲のエネルギーの中から特定の範囲のエネルギーを選択する選択部50が配置される。これにより、照射装置3から遠い位置に選択部50を配置することができる。従って、照射装置3付近における放射線の量を抑制することができる。また、輸送経路4は、第1の直線部41と、第2の直線部42と、第1の直線部41と第2の直線部42との間で経路を曲げる曲部43と、を備える。ここで、第1の直線部41は、第1の方向D1に対して傾斜すると共に、第1の方向D1において、加速器2から照射装置3側の位置へ直線状に延びる。また、第2の直線部42は、第1の方向D1に対して傾斜すると共に、第1の方向D1において、照射装置3から加速器2側の位置へ直線状に延びる。このような輸送経路4は、加速器2から照射装置3へ向かって徐々に近づくような態様にて、直線部41,42同士が曲部43で屈曲するような経路となる。このような、輸送経路は、例えば図6に示すように、加速器2から大きくU字状に回り込んで照射装置3へ向かうような輸送経路とは異なり、設備のフットプリントを小さくすることができる。以上より、照射装置3付近における放射線の量を抑制すると共に、設備のフットプリントを小さくすることができる。
特に、本実施形態では、照射装置3の回転軸線CL1がY軸方向に対して傾斜している。また、照射装置3は回転軸線CL1の軸方向における軸長が短いタイプの回転ガントリである。従って、設備のフットプリントを特に小さくすることができる。このような構成は、一つの加速器2に対して一つの照射装置3を設けるシングルタイプの設備に特に有効である。本実施形態では、特に、X軸方向におけるフットプリントを有効に小さくすることができる。土地の利用態様の観点から、面積が同じであれば、正方形に近い形状よりも、X軸方向のフットプリントを小さくする方が有効である場合がある。本実施形態は、そのような場合に特に有利になる。
本実施形態に係る荷電粒子線照射設備1において、加速器2、照射装置3、及び輸送経路4を配置する設備配置室7は、照射装置3が配置される照射装置配置空間SP1と、加速器2及び輸送経路4が配置される加速器配置空間SP2と、を有し、照射装置配置空間SP1と加速器配置空間SP2との間には、室内で放射線を遮蔽する室内遮蔽壁12が設けられると共に、照射装置配置空間SP1と加速器配置空間SP2とを連通する連通部13が形成され、連通部13は、曲部43の曲げ方向とは反対側に配置される。この場合、一つの部屋の中に加速器2、照射装置3、及び輸送経路4を配置した場合であっても、加速器配置空間SP2で発生する放射線は、室内遮蔽壁12で遮蔽される。また、連通部13は、曲部43の曲げ方向とは反対側に配置されるため、且つ、輸送経路4に対する加速器2の後側(X軸方向の正側)に配置されるため、加速器配置空間SP2の放射線が、連通部13を介して照射装置配置空間SP1へ漏れることが抑制される。
本実施形態に係る荷電粒子線照射設備1において、加速器配置空間SP2には、連通部13と対向する位置に、当該連通部13と交差する方向に延びる通路形成壁部19が形成される。この場合、通路形成壁部19が、連通部13を介して照射装置配置空間SP1へ向かう放射線を遮蔽することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
例えば、照射装置配置空間SP1と加速器配置空間SP2とを連通部13で連通することに代えて、またはそれに加えて、地下通路を設けて両者を連通してもよい。
また、建物の遮蔽壁の構造や、各構成要素のレイアウトは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更してもよい。
1…荷電粒子線照射設備、2…加速器、3…照射装置、4…輸送経路、12…室内遮蔽壁、13…連通部、19…通路形成壁部、41…第1の直線部、42…第2の直線部、43…曲部、SP1…照射装置配置空間、SP2…加速器配置空間。
Claims (3)
- 荷電粒子線を照射する荷電粒子線照射設備において、
荷電粒子を加速して荷電粒子線を生成する加速器と、
回転軸線周りに回転可能な回転部を有すると共に前記加速器で生成された前記荷電粒子線を照射する照射装置と、
前記加速器から前記照射装置へ前記荷電粒子線を輸送する輸送経路と、を備え、
前記加速器と前記照射装置とは、平面視において第1の方向に互いに離間した位置に配置され、
前記照射装置の外側の前記輸送経路に、前記荷電粒子線の所定の範囲のエネルギーの中から特定の範囲のエネルギーを選択する選択部が配置され、
前記輸送経路は、
前記第1の方向に対して傾斜すると共に、前記第1の方向において、前記加速器から前記照射装置側の位置へ直線状に延びる第1の直線部と、
前記第1の方向に対して傾斜すると共に、前記第1の方向において、前記照射装置から前記加速器側の位置へ直線状に延びる第2の直線部と、
前記第1の直線部と前記第2の直線部との間で経路を曲げる曲部と、を備える、荷電粒子線照射設備。 - 前記加速器、前記照射装置、及び前記輸送経路を配置する設備配置室は、前記照射装置が配置される照射装置配置空間と、前記加速器及び前記輸送経路が配置される加速器配置空間と、を有し、
前記照射装置配置空間と前記加速器配置空間との間には、室内で放射線を遮蔽する室内遮蔽壁が設けられると共に、前記照射装置配置空間と前記加速器配置空間とを連通する連通部が形成され、
前記連通部は、前記曲部の曲げ方向とは反対側に配置される、請求項1に記載の荷電粒子線照射設備。 - 前記加速器配置空間には、前記連通部と対向する位置に、当該連通部と交差する方向に延びる通路形成壁部が形成される、請求項2に記載の荷電粒子線照射設備。
Priority Applications (2)
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JP2019106008A JP2022113920A (ja) | 2019-06-06 | 2019-06-06 | 荷電粒子線照射設備 |
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