以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
<全体構成の説明>
実施例に係るX線透視撮影装置1は、図1および図2に示すように、仰臥姿勢の被検体Mを載置させる天板3を挟んで、X線管5とX線検出器7が対向配置されている。X線管5は被検体Mに対してX線を照射する。X線検出器7はX線管5から被検体Mに照射されて透過したX線を検出して電気信号に変換させ、X線検出信号として出力させる。X線検出器7の一例として、FPD(Flat Panel Detector)が挙げられる。
X線管5とX線検出器7は、Cアーム9にそれぞれ設けられている。Cアーム9は湾曲した略C字状となっている。X線管5はCアーム9の一端側に設けられており、X線検出器7はCアーム9の他端側に設けられている。Cアーム9はアーム保持部材11に保持されており、符号RAで示されるCアーム9の円弧経路に沿ってスライド移動するように構成される。符号RAで示す方向にスライド移動することによって、Cアーム9は被検体Mの体軸に直交する軸周り(以下、「体軸方向」ともいう)に回動する。
アーム保持部材11は支柱13の側面部に配設されており、x方向(天板3の長手方向)に平行な水平軸RBの軸周り(以下、「体軸周り」ともいう)に回転可能となるように構成される。アーム保持部材11に保持されているCアーム9は、アーム保持部材11の回転に従って被検体Mの体軸周りに回動する。
以上のように実施例において、Cアーム9は、直交する二軸周り(例えば、被検体Mの体軸方向および体軸周り)に各々独立して回動する。なお、被検体Mの体軸方向および体軸周りとなる方向を以下、「回動方向」と称する。Cアーム9が円弧経路RAおよび円弧経路RBの各々に沿って、直交する二軸の周りにそれぞれ回動自在に構成されることにより、被検体Mに対して任意の方向からX線を照射できる。Cアーム9は本発明における支持機構に相当する。
なお、図1および図2に示すように、X線管5およびX線検出器7が被検体Mに対して鉛直方向に位置している状態をCアーム9の初期状態とする。そして当該初期状態におけるCアーム9の回動位置を、Cアーム9の初期位置とする。Cアーム9の初期位置について、Cアームの回動角度は体軸方向および体軸周りの各々について0°とする。
支柱13は床面に配設された支持基台15に支持されており、y方向(天板3の短手方向)に水平移動が可能となるように構成される。支柱13に支持されているアーム支持部材11およびCアーム9は、支柱13の水平移動に従ってy方向へ移動する。コリメータ17はX線管5の下方に設けられており、X線管5から照射されるX線を所定の形状に制限する。X線を制限する形状の一例として、角錐となっているコーン状が挙げられる。
次に、Cアーム9の回動機構について説明する。Cアーム9の被検体Mの体軸方向の回動は、アーム保持部材11の内部の駆動機構によって実現される。アーム保持部材11の内部には、Cアーム9に両端部を固定しているベルト19の一部が収納されており、ベルト19はガイドローラ21を介して駆動ローラ23に架け渡されている。
アーム保持部材11の内部には駆動モータM1とロータリーエンコーダR1が付設されている。駆動モータM1は駆動ローラ23を回動させる。ロータリーエンコーダR1は駆動モータM1の回転方向および回転量を検出する。回動モータM1の回転により、ベルト
19を介してCアーム9は被検体Mの体軸方向に回動するように構成される。なお説明の便宜上、図1において駆動モータM1とロータリーエンコーダR1はアーム保持部材11の外部に示されている。
Cアーム9の被検体Mの体軸周りの回動は、アーム支持部材11を水平軸RBの軸周り、すなわち被検体Mの体軸周りに回動させることで実現される。アーム保持部材11の基部、すなわちCアーム9を保持している側と反対側の端部は、支柱13の側面部に回動可能に支持されており、その支持面付近にはギヤ25が固定されている。
ギヤ25はピニオンギヤ27と噛合され、ピニオンギヤ27は支柱13の内部に設けられている駆動モータM2の出力軸に取り付けられている。Cアーム9は駆動モータM2の回転によって、アーム保持部材11とともに被検体Mの体軸周りに回動する。駆動モータM2の回転方向および回転量はロータリーエンコーダR2によって検出される。
X線透視撮影装置1は図3に示すように、さらにX線照射制御部29、画像生成部30、画像表示部31、モータ制御部MD1、モータ制御部MD2、回転位置検出部33、主制御部35、記憶部37、および操作卓39を備えている。X線照射制御部29はX線管5に高電圧を出力するように構成されている。そして、X線照射制御部29が与えた高電圧出力に基づいて、X線管5が照射するX線量、およびX線を照射するタイミングが制御される。
画像生成部30はX線検出器7の後段に設けられており、X線検出器7から出力されたX線検出信号に基づいてX線画像を生成する。画像表示部31は画像生成部30の後段に設けられ、画像生成部30が生成するX線画像を表示する。画像表示部31の一例として、液晶モニタなどが挙げられる。画像表示部31を配設する構成の例として、天井に懸垂配設されている構成、または移動台車に搭載させる構成などが挙げられる。
モータ制御部MD1は駆動モータM1の上流に設けられており、駆動モータM1の回転方向および回転量を制御する。モータ制御部MD2は駆動モータM2の上流に設けられており、駆動モータM2の回転方向および回転量を制御する。
回動位置検出部33はロータリーエンコーダR1が検出する駆動モータM1の回転方向および回転量と、ロータリーエンコーダR2が検出する駆動モータM2の回転方向および回転量に基づいてCアーム9の回動位置を検出する。Cアーム9の回動位置は、Cアーム9の回動方向および回動角度によって特定される。
Cアーム9の回動方向は次のように表されている。図4に示すように、被検体Mの体軸方向のうち、頭部側の方向を以下「CRA」(Cranial)と表し、足部側の方向を以下「CAU」(Caudal)と表す。そして被検体Mの体軸周り方向のうち、頭部側から見て左側への回転方向を以下「LAO」(Left Anterior Oblique)と表し、頭部側から見て右側への回転方向を以下「RAO」(Right Anterior Oblique)と表す。
Cアーム9の回動方向は、被検体Mの体軸方向のうちCアーム9が回動している方向(CRAまたはCAU)と、被検体Mの体軸周り方向のうちCアーム9が回動している方向(LAOまたはRAO)の組み合わせによって表される。そしてCアーム9の回動角度は、被検体Mの体軸方向にCアーム9が回動する角度と、被検体Mの体軸周り方向にCアーム9が回動する角度の組み合わせによって表される。
回動位置検出部33はロータリーエンコーダR1が送信する、駆動モータM1の回転方向および回転量の情報に基づいて、被検体Mの体軸方向にCアーム9が回動する方向および回動する角度の情報を算出する。そして回動位置検出部33はロータリーエンコーダR2が送信する、駆動モータM2の回転方向および回転量の情報に基づいて、被検体Mの体軸周りにCアーム9が回動する方向および回動する角度の情報を検出する。そしてこれらの情報に基づいて、Cアーム9の回動方向および回動角度が算出される。
主制御部35は、一例として中央処理演算装置(CPU:Central Processing Unit)などの情報処理手段を備えている。主制御部35は、モータ制御部MD1、モータ制御部MD2、X線照射制御部29、画像生成部30、画像表示部31を例とするX線透視撮影装置1の各種構成を統括制御する。
記憶部37は、管電圧および管電流などのX線撮影条件に関する情報、画像生成部30が生成する各種X線画像、画像生成部30による画像処理に関する情報、およびCアーム9の回動位置に関する情報を例とする各種情報を記憶する。
操作卓39はX線透視撮影装置1の操作に関する操作者の指示を入力するものであり、術者が操作卓39に入力する指示に従って主制御部35は統括制御を行う。操作卓39の例として、キーボード入力式のパネル、タッチ入力式のパネル、マウス、ダイヤル、切り換え式スイッチ、押しボタン式スイッチなどが挙げられる。
本実施例において、操作卓39は図1に示すように天板3の側部に添設されているものとする。この場合、操作者は天板3の近傍に立った状態で操作卓39を操作する。天板3に操作卓39を添設することにより、操作者は被検体Mに対してカテーテル手技等の術式または検査などを行いつつ、X線透視撮影装置1に対する各種操作を行うことができる。
なお、操作卓39は天板3の側部に添設する構成に限ることはなく、移動可能な台車の上面に操作卓39を配設する構成としてもよい。また、操作卓39は天板3の長辺の側部に配置させる構成に限ることはなく、天板3の短辺の側部に操作卓39を添設してもよい。
次に、操作卓39に設けられている主要な操作デバイスについて説明する。操作卓39は図5に示すように、アーム操作レバー41と、タッチパネル43と、回動指示スイッチ45と、終了指示スイッチ47とを備えている。
アーム操作レバー41は、前後左右に傾倒可能に構成されており、Cアーム9の回動位置の調整を行うものである。一例として、操作者はアーム操作レバー41を把持して前方へ傾倒させることにより、Cアーム9はLAO方向へ回動する。Cアーム9の回動角度は、アーム操作レバー41を傾倒させる角度または傾倒させる時間に応じて変化する。また、操作者はアーム操作レバー41を把持して左方向へ傾倒させることにより、Cアーム9はCRA方向へ回動する。アーム操作レバー41を用いることによって、操作者は手動でCアーム9の回動位置を微調整することができる。
タッチパネル43は、Cアーム9の回動位置を記憶させる操作を行うものであり、アイコン式のスイッチを多数表示する。また、初期モード、登録モード、編集モードなどの複数のモードを適宜切り換えることにより、表示されるアイコン式スイッチが変更される。タッチパネル43の構成および各種モードについては後述する。タッチパネル43は本発明における回動位置情報表示部に相当する。
回動指示スイッチ45は押しボタン式のスイッチであり、Cアーム9を所定の回動位置へ移動させる。すなわち、タッチパネル43を用いて記憶された特定の回動位置を選択した状態で回動指示スイッチ45を押下することにより、Cアーム9は当該特定の回動位置へ向かって回動する。回動指示スイッチ45は本発明における回動指示部に相当する。
終了指示スイッチ47は押しボタン式のスイッチであり、被検体Mに対する所定の術式が終了した際に操作される。操作者が終了指示スイッチ47を押下することにより、X線透視撮影装置1は、次の術式に関する操作または動作の終了に関する操作が可能となる。なお、本実施例では操作者が終了指示スイッチ47を押下することにより、後述する第2メモリスイッチ群M2を構成するメモリスイッチ57の各々に対応付けて記憶されている回動位置の情報が消去される。
なお、ここではCアーム9の回動位置の調整に関係する4つの操作デバイスに限定して説明したが、操作卓39に配設される操作デバイスはこれら4つのデバイスに限ることはない。すなわち、主電源のオン/オフを切り換えるスイッチ、X線撮影条件を設定するスイッチ、天板3の位置を調節するスイッチ、または緊急停止用スイッチなど、X線透視撮影装置1の操作に関する操作デバイスをさらに適宜設けることができる。
次に、タッチパネル43の構成について詳細に説明する。図6は初期モードにおけるタッチパネル43を示す図である。初期モードとは初期状態におけるタッチパネル43のモードであり、Cアーム9を所定の回動位置へと自動的に回動させるオートポジショニング操作を実行させるモードである。
<初期モードの構成>
タッチパネル43は初期モードにおいて、第1メモリスイッチ群M1と、第2メモリスイッチ群M2と、登録移行スイッチ49と、編集移行スイッチ51とを備えている。本実施例において、各々のスイッチはタッチパネル43に表示されているアイコンである。
第1メモリスイッチ群M1は、センタースイッチ53と複数のメモリスイッチ55とを備えている。センタースイッチ53は第1メモリスイッチ群M1の中央に配置されており、仰臥姿勢をとる被検体Mを見立てた人型のシンボルが表示されている。メモリスイッチ55の各々は、センタースイッチ53の周囲に配設されている。本実施例では図6に示すように、第1メモリスイッチ群M1は8つのメモリスイッチ55a~55hを備えているものとする。メモリスイッチ55の数は8つに限ることはなく適宜変更してよい。
第1メモリスイッチ群M1は、各々のスイッチが複数の回動位置の情報と対応付けがされるように構成される。本実施例では、メモリスイッチ55の各々は3つの回動位置情報と対応付けできるように構成されている。具体的には図7に示すように、記憶部37は回動位置記憶部61を備えている。回動位置記憶部61は、所定の回動位置情報をメモリスイッチ55と対応付けて記憶する。
回動位置記憶部61は、メモリスイッチ55の各々に対応するように複数の第1メモリ63と第2メモリ64と第3メモリ65とを備えている。以降、第1メモリ63と第2メモリ64と第3メモリ65とを総称する場合、メモリ63~65と称することとする。メモリ63~65の各々は、Cアーム9の回動位置情報を1つ記憶することができる。
具体的には図7に示すように、メモリスイッチ55の各々は合計で3つのメモリ63~65と対応付けられている。そのため、回動位置記憶部61はメモリスイッチ55の各々に対して3種類の回動位置情報を対応付けて記憶させることができる。
なお図8に示すように、メモリスイッチ55aに対応するメモリ63~65は、符号aを付けてメモリ63a~65aとすることで他のメモリ63~65と区別する。同様に、メモリスイッチ55nに対応するメモリ63~65は符号nを付することで他のメモリ63~65と区別する。
メモリスイッチ55a~55hの各々について、対応付けて予め記憶されている回動位置の情報は図9に示す通りである。すなわち、メモリスイッチ55aには図1で示す初期位置からCRA方向およびLAO方向へCアーム9が回動するような回動位置が対応付けて記憶される。
まず、Cアーム9が初期位置からLAO方向へ30°回動するとともにCRA方向へ30°回動した位置の情報(回動位置F1の情報)が、予め第1メモリ63aに対応付けて記憶されている。第2メモリ64aには、Cアーム9が初期位置からLAO方向へ20°回動するとともにCRA方向へ40°回動した位置が回動位置F2として対応付けて記憶されている。第3メモリ65aには、Cアーム9が初期位置からLAO方向へ50°回動するとともにCRA方向へ10°回動した位置が回動位置F2として対応付けて記憶されている。
メモリスイッチ55bに対応付けられた情報として、回動位置F4~F6の情報が、第1メモリ63bないし第3メモリ65bの各々に記憶されている。回動位置F4~F6は、初期位置からLAO方向へCアーム9が回動した場合の回動位置である。メモリスイッチ55cに対応付けられた情報として、回動位置F7~F9の情報が第1メモリ63cないし第3メモリ65cの各々に記憶されている。初期位置からLAO方向およびCAU方向へCアーム9が回動した場合の回動位置である。
同様に、メモリスイッチ55d~55hに対応付けた情報として、回動位置F10~F21の情報が予め記憶されている。なお図8に示すように、メモリスイッチ55gに対応する第3メモリ65g、並びにメモリスイッチ55hに対応する第2メモリ64hおよび第3メモリ65hには回動位置情報が未登録であるものとする。
なお、回動位置記憶部61はさらにメモリ66を備えている。メモリ66はセンタースイッチ53と対応付けられており、メモリ66には回動位置F0としてCアーム9の初期位置の情報が予め記憶されている。すなわちセンタースイッチ53はCアーム9を初期位置へと復帰させる場合に用いられる。
センタースイッチ53を基準としてメモリスイッチ55の各々が配設される位置は、当該メモリスイッチ55に対応付けて記憶されている回動位置に応じて定められる。一例として、メモリスイッチ55aには初期位置からCRA方向およびLAO方向へCアーム9が回動するような回動位置が対応付けて記憶される。
図4に示すように、被検体Mの位置を基準として、CRA方向は左側の方向でありLAO方向は上側の方向である。よって、CRA方向およびLAO方向の回動位置情報が記憶されるメモリスイッチ55aは、センタースイッチ53を基準として左上側に配設される。同様に、メモリスイッチ55b~55hについても、対応付けられて記憶されている回動位置の方向に応じて、メモリスイッチ55b~55hが配設される位置は定められる。センタースイッチ53が配設される位置は、本発明における基準領域に相当する。
第2メモリスイッチ群M2は、複数のメモリスイッチ57を備えている。本実施例では図6に示すように、第2メモリスイッチ群M2は3つのメモリスイッチ57a~57cを備えているものとする。メモリスイッチ57の数は3つに限ることはなく適宜変更してよい。第1メモリスイッチ群M1はCアーム9の回動位置の情報を長期的に記憶させる場合に用いられる一方、第2メモリスイッチ群M2はCアーム9の回動位置の情報を一時的に記憶させる場合に用いられる。
メモリスイッチ57の各々には、それぞれ1つの回動位置の情報と対応付けがなされるように構成される。すなわち、回動位置記憶部61はメモリスイッチ57と同数の短期メモリ67を備えている。本実施例ではメモリスイッチ57の数は3つであるので、図7に示すように、回動位置記憶部61は3つの短期メモリ67a~67cを備えている。短期メモリ67aはメモリスイッチ57aと対応付けられており、短期メモリ67bはメモリスイッチ57bと対応付けられる。短期メモリ67cはメモリスイッチ57cと対応付けられる。
図6および図8に示すように、短期メモリ67aにはCアーム9が初期位置からLAO方向へ40°回動するとともにCAU方向へ30°回動した位置が回動位置F22として予め記憶されている。短期メモリ67bおよび短期メモリ67cには回動位置情報が未登録であるものとする。
登録移行スイッチ49は、タッチパネル43に表示される画面を初期モードから登録モードへと移行させる指示を入力するものである。操作者が登録移行スイッチ49を押下することにより、タッチパネル43の表示画面はオートポジショニングを行う初期モードから、登録モードへと移行する。登録モードに移行することにより、第1メモリスイッチ群M1に所定の回動位置情報を対応付けて記憶させる操作が可能となる。
編集移行スイッチ51は、タッチパネル43に表示される画面を初期モードから編集モードへと移行させる指示を入力するものである。操作者が編集移行スイッチ51を押下することにより、タッチパネル43の表示画面はオートポジショニングを行う初期モードから、編集モードへと移行する。編集モードに移行することにより、第2メモリスイッチ群M2に所定の回動位置情報を対応付けて記憶させる操作が可能となる。登録モードまたは編集モードは、本発明における記憶モードに相当する。登録移行スイッチ49または編集移行スイッチ51は、本発明における記憶モード移行指示部に相当する。
主制御部35は図7に示すように、読み出し部69と、表示制御部71と、記憶制御部73と、位置情報消去部75とを備えている。読み出し部69は、編集移行スイッチ51、メモリスイッチ55などに対する操作に応じて、メモリ63~66または短期メモリ67に記憶されている回動位置の情報を選択して読み出す。
表示制御部71は、読み出し部69が読み出した回動位置の情報、および当該読み出された回動位置情報に関する付加的な情報などをタッチパネル43に表示させる。付加的な情報の一例として、読み出された回動位置情報が記憶されているメモリを特定する情報、メモリ63~65に記憶されている回動位置情報の有無を特定する情報などが挙げられる。表示制御部71は、本発明における選択メモリスイッチ表示機構に相当する。
記憶制御部73は、後述する登録指示スイッチ83の操作をトリガとして、回動位置記憶部61にCアーム9の回動位置情報を記憶させる。位置情報消去部75は、X線透視撮影装置1に対する所定の操作を行うことをトリガとして、メモリスイッチ57の各々に対応付けて記憶されている回動位置情報を消去する。回動位置情報の消去を行うトリガとなる操作として、本実施例では終了指示スイッチ51の押下する操作を適用するものとする。位置情報消去部75は、本発明における回動位置情報消去部に相当する。
<オートポジショニング操作>
次に、本発明に係るX線透視撮影装置1を用いてオートポジショニングを行う動作について説明する。図9(a)は、オートポジショニング操作のフローチャートを示している。ここでは、初期位置からLAO方向へ45°、CAU方向へ20°回動させた位置である回動位置F8へとCアーム9を自動的に回動させる場合を例として説明する。
まず、操作者は操作卓39のタッチパネル43を起動させて初期モードに設定する(ステップS1)。タッチパネル43が初期モードに移行することにより、表示制御部71は図6に示すようなオートポジショニング用の画面をタッチパネル43に表示させる。
次に、操作者は目的となる回動位置の情報と対応付けられているメモリスイッチ55またはメモリスイッチ57を選択する(ステップS2)。複数の回動位置情報と対応付けられているメモリスイッチ55を選択する場合、メモリスイッチ55a~55hが配設されている位置に基づいて操作者は直感的に適切なメモリスイッチ55を選択できる。一例として、Cアーム9を初期位置からLAO方向およびCAU方向へ回動させる場合、センタースイッチ53に表示されている人型のシンボルを基準としてLAO方向は上側、CAU方向は右側である。すなわち、LAO方向およびCAU方向へ回動させるには、センタースイッチ53を基準として右上側に配設されているメモリスイッチ55cを選択することが適切であることを操作者は直感的に判定できる。
なお、メモリスイッチ57の各々は1つの回動位置情報と対応付けられているので、表示制御部71は当該回動位置情報を初期モードのタッチパネルに表示できる。すなわち、図6に示すように、メモリスイッチ57aには対応付けられて登録されている回動位置F22の情報が表示されている。よって、メモリスイッチ57に対応付けられている回動位置情報を用いてオートポジショニングを行う場合、操作者は初期モードとなっているタッチパネル43の画面を見ることによって、目的の回動位置と対応付けられているメモリスイッチ57の有無を判断できる。ここでは図6に示すように、第2メモリスイッチ群M2の表示を視認することによって、メモリスイッチ57a~57cの各々は回動位置F8の情報と対応付けられていないことが判断できる。よって操作者はメモリスイッチ57ではなくメモリスイッチ55cを選択する。
操作者はメモリスイッチ55を選択した場合、選択したメモリスイッチ55をそれぞれ異なる態様で操作することによって、メモリ63~65から目的となる回動位置情報を読み出させる(ステップS3)。本実施例では、メモリスイッチ55を押下する回数によって、読み出しの対象となるメモリ63~65を区別するものとする。
すなわち、操作者がメモリスイッチ55を1回押すという態様(第1の態様)でメモリスイッチ55を操作することによって、読み出し部69は第1メモリ63に記憶されている回動位置情報を読み出す。メモリスイッチ55を2回押す操作(第2の態様)によって、読み出し部69は第2メモリ64に記憶されている回動位置情報を読み出す。メモリスイッチ55を3回押す操作(第3の態様)によって、読み出し部69は第3メモリ65に記憶されている回動位置情報を読み出す。なお、メモリスイッチ55を4回押した場合は読み出し部69による読み出しの対象は第1メモリ63に戻り、さらにメモリスイッチ55を押すたびに読み出し対象となるメモリが切り換えられる。
回動位置F8の情報は図8に示すように、メモリスイッチ55cに対応付けられている第2メモリ64cに記憶されている。そのため、操作者はメモリスイッチ55cを2回押下することによって回動位置F8の情報を選択できる。メモリスイッチ55cを2回押下する操作をトリガとして、読み出し部69は読み出し対象が第2メモリ64cであることを判別する。そして図11に示すように、第2メモリ64cから回動位置情報を読み出して表示制御部71へと当該回動位置F8の情報を送信する。
表示制御部71は、読み出された回動位置F8の情報をタッチパネル43に表示させる。このとき、表示制御部71は回動位置F8の情報のみならず、直近に操作されたメモリスイッチ55がメモリスイッチ55cであることを示す情報(付加情報Sp)と、読み出し部69による読み出し処理の対象が第1メモリ63ないし第3メモリ65のうち第2メモリ64であることを示す情報(付加情報Qt)をタッチパネル43に表示させる。表示制御部71が行う制御によって、タッチパネル43の表示画面は図6に示される状態から図10に示される状態へと変化する。なお本発明において「直近に操作されたメモリスイッチ55」とは、オートポジショニング操作の対象として選択する操作を直近に受けたメモリスイッチ55、すなわち、現時点においてオートポジショニング操作の選択対象となっているメモリスイッチ55を意味する。
付加情報Spの例としては選択されたメモリスイッチ55を点灯、点滅、変色させる情報などが挙げられる。本実施例では図10に示すように、現時点において選択されているメモリスイッチ55cの輪郭を太く表示することによって付加情報Spを示すものとする。付加情報Spがタッチパネル43に表示されることにより、操作者は第1メモリスイッチ群M1のうちメモリスイッチ55cが選択されていることを直感的に把握できる。
本実施例において、付加情報Qtはメモリスイッチ55に登録されている回動位置の数を特定する情報と、現在読み出し対象となっているメモリ63~65を特定する情報との2つを含んでいる。付加情報Qtは図10に示すように、左右に並列する3つの丸いシンボルである。丸いシンボルの数は、当該メモリスイッチ55に登録されている回動位置の数を示している。メモリスイッチ55cに付加されている付加情報Qtは3つのシンボルを示している。そのため、操作者は付加情報Qtを視認することによって、現時点においてメモリスイッチ55cに登録済となっている回動位置の情報の数は3であることを確認できる。
また、付加情報Qtを構成する3つの丸いシンボルのうち、黒い丸のシンボルが配置される位置によって、現在読み出し対象となっているメモリ63~65が特定される。一例として、読み出し対象が第1メモリ63である場合、付加情報Qtは●○○となる。すなわち左から1番目のシンボルが黒い丸で示され、残り2つのシンボルが白い丸で示される。読み出し対象が第2メモリ64である場合、付加情報Qtは○●○となる。すなわち左から2番目のシンボルが黒い丸で示される。読み出し対象が第2メモリ64である場合、付加情報Qtは○○●となる。すなわち左から3番目のシンボルが黒い丸で示される。
表示制御部71は、読み出されてメモリスイッチ55に表示されている回動位置と現時点におけるCアーム9の回動位置とが一致している場合、追加情報をメモリスイッチ55に表示する。追加情報は付加情報Spとは異なる態様で表示される情報であり、現在選択対象となっているメモリスイッチ55の全体または一部を点滅、変色させる情報などが挙げられる。操作者は追加情報を視認することにより、選択対象のメモリスイッチ55に表示されている回動位置へCアーム9が到達したことを確認できる。本実施例では、現時点において選択されているメモリスイッチ55の全体を点滅表示させることによって、追加情報を表示するものとする。
操作者はメモリスイッチ55cを押下する度に、メモリスイッチ55cに表示される回動位置情報および付加情報Qtを視認する。回動位置情報および付加情報Qtを視認することによって、操作者は読み出し対象となっているメモリ63c~65cを特定するとともに、読み出されている回動位置情報の内容を確認する。
メモリスイッチ55cを2回押下する操作を行うことにより、図10に示すように、○●○となっている付加情報Qtがメモリスイッチ55cに表示される。そのため、操作者は当該付加情報Qtを視認することにより、第1メモリ63cと第2メモリ64cと第3メモリ65cとのうち、第2メモリ64cに記憶されている回動位置F8の情報が読み出されていることを直感的に把握できる。
操作者は読み出されてタッチパネル43に表示されている回動位置の情報が目的となる回動位置F8の情報であることを確認した後、回動指示スイッチ49を押下することによってCアーム9を目的となる回動位置へと回動させる(ステップS4)。すなわちメモリスイッチ55cに回動位置F8の情報と付加情報Spと付加情報Qtとが表示されている状態で回動指示スイッチ49を押下すると、回動指示スイッチ49を押下している間、Cアーム9は回動位置F8へと回動する動作を行う。Cアーム9が回動し、目的となる回動位置である回動位置F8に到達すると、Cアーム9の現在位置が回動位置F8に一致していることを示唆する追加情報がメモリスイッチ55cに表示される。操作者は当該追加情報を視認することによって、Cアーム9が目的とする回動位置F8へ回動したことを確認する。Cアーム9が目的となる回動位置へ回動したこと確認した後、操作者はX線管5から被検体MへX線を照射させてX線透視またはX線撮影を行う。
<登録モードの構成>
なお本実施例において、付加情報Qtを構成する丸いシンボルの数は3である。そのため、操作者が3回メモリスイッチ55を押下してもタッチパネル43に目的となる回動位置情報が表示されない場合、メモリスイッチ55には目的となる回動位置情報が記憶されていないことを操作者は容易かつ迅速に把握できる。
登録モードを用いる場合の一例として、目的となる回動位置の情報がメモリスイッチ55のいずれにも記憶されていない場合などが挙げられる。このような場合、操作者はタッチパネル43を登録モードに移行させ、目的となる回動位置の情報を新たに記憶させる操作を行う。ここで、登録モードにおいてメモリスイッチ55に対応付けて新たな回動位置情報を上書き記憶させる構成について説明する。
メモリスイッチ55に対応付けて新たな回動位置情報を上書き記憶させる場合、まずは登録移行スイッチ49を押下してタッチパネル43を初期モードから登録モードへ移行させる。登録モードに移行することにより表示制御部71はタッチパネル43の表示画面を図6に示される状態から図12に示される状態へと変更させる。
登録モードに移行したタッチパネル43は図12に示すように、第1メモリスイッチ群M1と、メモリ選択スイッチ77と、現在位置表示部79と、登録設定選択スイッチ81と、登録指示スイッチ83と、モード復帰スイッチ85とを備えている。表示制御部71は、登録モードに移行することにより、第1メモリスイッチ群M1のうち複数のメモリ63~65と対応付けられているメモリスイッチ55の各々について、記憶されている回動位置情報の有無を示唆する付加情報Stを表示する。
付加情報Stは付加情報Qtと同様、左右に並列する3つの丸いシンボルである。左端のシンボルは第1メモリ63に記憶されている回動位置情報の有無を示唆する。中央のシンボルは第2メモリ64に記憶されている回動位置情報の有無を示唆する。右端のシンボルは第3メモリ65に記憶されている回動位置情報の有無を示唆する。シンボルが黒い丸で示される場合、当該シンボルに対応するメモリ63~65には回動位置情報が既に登録されていることを示唆する。シンボルが白い丸で示される場合、当該シンボルに対応するメモリ63~65には回動位置情報が未だ登録されていないことを示唆する。
一例として図8に示されるように、メモリスイッチ55a~55fは第1メモリ63ないし第3メモリ65のいずれにも回動位置情報が既に登録されている。よって、メモリスイッチ55a~55fに表示されている付加情報Stは、3つとも黒い丸のシンボル(●●●)で示されている。メモリスイッチ55gは、第3メモリ65gのみ回動位置情報が未登録である。よって、メモリスイッチ55gに表示されている付加情報Stは、右端のみが白くなっている3つの丸いシンボル(●●○)で示される。メモリスイッチ55hは、第1メモリ65hのみ回動位置情報が登録されている。よって、メモリスイッチ55hに表示されている付加情報Stは、左端のみが黒くなっている3つの丸いシンボル(●○○)で示される。
操作者は付加情報Stを視認することより、メモリスイッチ55a~55hに対応するメモリ63~65の各々について、記憶されている回動位置情報の有無を直感的かつ包括的に把握できる。
メモリ選択スイッチ77は、回動位置情報を新たに記憶させる対象となるメモリ63~65を選択するものである。メモリ選択スイッチ77は、第1メモリ63に対応するメモリ選択スイッチ77a、第2メモリ64に対応するメモリ選択スイッチ77b、第3メモリ65に対応するメモリ選択スイッチ77cによって構成される。メモリ選択スイッチ77の数は、メモリスイッチ55に対応して記憶される回動位置情報の数に応じて定められる。
現在位置表示部79は、回動位置検出部33が随時検出する、現時点におけるCアーム9の回動位置の情報を表示する。登録設定選択スイッチ81は、現時点におけるCアーム9の回動位置の情報を登録させる状態(ダイレクト登録モード)に移行させる第1スイッチ81aと、操作者が任意に設定した回動位置の情報を登録させる状態(マニュアル登録モード)に移行させる第2スイッチ81bとを備えている。初期状態の登録モードでは、第1スイッチ81aによるダイレクト登録モードが選択された状態となっている。
<登録モードの操作>
ここで、登録モードにおいてメモリスイッチ55に新たな回動位置情報を登録する操作について説明する。図9(b)は、メモリスイッチ55に新たな回動位置情報を登録する操作のフローチャートを示している。ここではメモリスイッチ55aに対応する第3メモリ65aに対して、Cアーム9の現在位置である回動位置FAの情報を新たに登録する場合を例として説明する。回動位置FAは、初期位置からCアーム9をLAO方向へ25°、CRA方向へ15°回動させた位置とする。
まず、操作者は登録移行スイッチ49を押下することによってタッチパネル43を初期モードから登録モードに移行させる(ステップP1)。タッチパネル43が登録モードに移行することにより、表示制御部71は図12に示すような登録モード用の画面をタッチパネル43に表示させる。
次に、操作者は新たな回動位置情報を登録させる対象となるメモリスイッチ55を選択する(ステップP2)。ここでは登録対象がメモリスイッチ55aであるので、操作者はメモリスイッチ55aを押下する。メモリスイッチ55が選択されて押下されることをトリガとして、表示制御部71は選択されたメモリスイッチ55を特定させる付加情報をタッチパネル43に表示させる。本実施例では図13に示すように、選択されたメモリスイッチ55(ここではメモリスイッチ55a)の輪郭を太く表示することで当該付加情報を示している。
また登録対象となるメモリスイッチ55が選択されると、図13に示すように、読み出し部69は選択されたメモリスイッチ55に対応付けられているメモリ63~65の各々に記憶されている回動位置情報を読み出して表示制御部71へ送信する。表示制御部71は、読み出された回動位置情報の各々をメモリ選択スイッチ77に表示させる。その結果、図14に示すように、回動位置F1の情報がメモリ選択スイッチ77aに表示される。同様に、回動位置F2およびF3の情報が、メモリ選択スイッチ77bおよび77cに表示される。
メモリスイッチ55が選択されると、操作者はメモリ選択スイッチ77の各々に表示される回動位置情報を確認し、上書きする対象となるメモリを選択する(ステップP3)。上書き登録の対象となるメモリは第3メモリ65aであるので、第3メモリ65aに対応するメモリ選択スイッチ77cを選択して押下する。メモリスイッチ77が選択されることをトリガとして、表示制御部71は図15に示すように、選択されたメモリ選択スイッチ77cに対して、選択対象となっていることを示唆する付加情報を表示する。図15では付加情報Spと同様に、メモリスイッチ77cの輪郭を太線とすることで当該付加情報を示している。
メモリスイッチ77が選択されると、操作者は登録設定選択スイッチ81を用いて、ダイレクト登録モードまたはマニュアル登録モードのいずれかを選択する(ステップP4)。ここでは現時点におけるCアーム9の回動位置を登録するダイレクト登録モードが既に選択されているので、操作者は登録設定選択スイッチ81を操作することなく登録指示スイッチ83を押下する(ステップP5)。
登録指示スイッチ83が押下されると、図15に示すように、当該押下が行われたことを示唆する情報が表示制御部71によって登録指示スイッチ83に表示されるとともに、確認キー87が表示される。操作者が確認キー87のうち登録を続行するキー(ここでは「Yes」が表示されているキー)を操作することにより、図16に示すように、回動位置F3の情報が記憶されていた第3メモリ65aに対して、記憶制御部73は回動位置FAの情報を上書き記憶させる。タッチパネル43を初期モードに復帰させる場合、モード復帰スイッチ85を押下することによってタッチパネル43は登録モードから初期モードへと移行する。
ダイレクト登録モードでは、現時点におけるCアーム9の回動位置をメモリスイッチ55と対応付けて登録できる。すなわち、現時点におけるCアーム9の正確な回動位置を確認する操作を省略しつつ、迅速に回動位置の情報を登録できる。
マニュアル登録モードによって回動位置情報を登録させる場合、ステップP4において第2スイッチ81bを押下する。第2スイッチ81bを押下することにより、タッチパネル43の表示画面は図17に示される画面に切り換えられる。すなわち現在位置表示部79の代わりに設定位置表示部80および調節キー86がタッチパネル43に表示される。操作者は調節キー86などを適宜操作することにより、設定位置表示部80に表示される回動位置情報が回動位置FAになるよう調節する。
具体的な調節操作の例として、設定位置表示部80のうち右側に配設されている体軸方向調節部80aを押下することにより、体軸方向(CRA/CAU方向)の角度を調節可能となる。体軸方向調節部80aを押下した後に調節キー86を構成する上方向キーまたは下方向キーを適宜操作することにより、体軸方向における角度の大きさを任意に調節できる。また、設定位置表示部80のうち左側に配設されている体軸周り調節部80bを押下することにより、体軸周りの方向(LAO/RAO方向)の角度を調節可能となる。
設定位置表示部80に回動位置FAの情報が表示されるように調節された後、ステップP5の操作を行う。すなわち、操作者は登録指示スイッチ83および確認キー87を押下する。確認キー87のうち登録を続行するキーを操作することにより、記憶制御部73は設定位置表示部80に表示される回動位置FAの情報を第3メモリ65aに上書き記憶させる。
マニュアル登録モードではCアーム9を実際に目的となる回動位置へ予め移動させる必要がない。そのため、予め登録する回動位置の情報が分かっている場合、より迅速に回動位置の情報をメモリスイッチ55と対応付けて登録できる。
<編集モードの構成>
被検体Mに対して術式を進行する際に、同一の関心部位に対して異なる複数の方向からX線画像を取得する行為を繰り返す操作を行うことがある。一例として、被検体Mまたは術式の種類ごとに定められる第1の回動位置Fpと第2の回動位置Fsとの間について、Cアーム9を往復移動させる操作を繰り返しながら術式を進行させる。
所定の回動位置の間でCアーム9を往復させる操作を行う場合、往復操作に要する時間を短縮すべく回動位置Fpおよび回動位置Fsの情報を一時的に登録させてオートポジショニング操作を行うことが望ましい。第1の回動位置Fpおよび第2の回動位置Fsは、関心部位に対してCアーム9を様々な回動位置に移動させながらX線透視を行うことによって、好適なX線透視画像を得られる回動位置として決定されることが一般的である。
術式の進行中に回動位置を短期的に登録させる必要が発生した場合、操作者はタッチパネル43を編集モードに移行させ、第2メモリスイッチ群M2に対応付けて回動位置Fpと回動位置Fsの情報を登録させる。ここで、編集モードにおいてメモリスイッチ57に対応付けて新たな回動位置情報を一時的に記憶させる構成について説明する。
メモリスイッチ57に対応付けて新たな回動位置情報を上書き記憶させる場合、まずは編集移行スイッチ51を押下してタッチパネル43を初期モードから編集モードへ移行させる。編集モードに移行することにより表示制御部71はタッチパネル43の表示画面を図6に示される状態から図18に示される状態へと変更させる。
編集モードに移行したタッチパネル43は、第2メモリスイッチ群M2を構成する複数のメモリスイッチ57a~57cと、現在位置表示部89と、モード復帰スイッチ91とを備えている。
編集モードに移行することによって読み出し部69はメモリスイッチ57a~57cの各々に対応付けられている短期メモリ67a~67cに記憶されている回動位置情報を読み出す。表示制御部71は、短期メモリ67a~67cから読み出された回動位置の情報を、対応付けられているメモリスイッチ57a~57cの各々に表示する。すなわち、メモリスイッチ57aには回動位置F21の情報が表示される。
対応する短期メモリ67に回動位置の情報が記憶されていない場合、表示制御部71は回動位置情報が未登録であることを示唆する付加情報Rpを該当するメモリスイッチ57に表示させる。本実施例において、付加情報Rpとして十文字と当該十文字を囲繞する円とを組み合わせた図形を用いるものとする。
図8に示すように、短期メモリ67bおよび短期メモリ67cには回動位置情報が登録されていない。そのため、表示制御部71はメモリスイッチ57bおよび57cに付加情報Rpを表示する。操作者はメモリスイッチ57a~57cに表示される情報を視認することによって、登録されている回動位置情報の有無を直感的に把握できる。
現在位置表示部89は、回動位置検出部33が随時検出する現時点におけるCアーム9の回動位置の情報を表示する。図18に示すように、現在位置表示部89には第1の回動位置Fp(LAO40°、CAU40°)が表示されている。モード復帰スイッチ91は、タッチパネル43を編集モードから初期モードに復帰させる指示を入力するスイッチである。
<編集モードの操作>
ここで、編集モードにおいてメモリスイッチ57に新たな回動位置情報を登録する操作について説明する。図9(c)は、メモリスイッチ57に新たな回動位置情報を登録する操作のフローチャートを示している。ここではメモリスイッチ57に対して回動位置Fpの情報と、回動位置Fs(RAO40°、CAU40°)の情報とを一時的に登録させる場合を例として説明する。本実施例ではメモリスイッチ57bおよび57cには回動位置情報が登録されていないので、回動位置Fpの情報をメモリスイッチ57bに対応付けて登録し、回動位置Fpの情報をメモリスイッチ57cに対応付けて登録するものとする。
まず、操作者は編集移行スイッチ51を押下することによってタッチパネル43を初期モードから編集モードに移行させる(ステップT1)。タッチパネル43が編集モードに移行することにより、表示制御部71は図18などに示すような編集モード用の画面をタッチパネル43に表示させる。
次に、操作者は新たな回動位置情報を登録させる対象となるメモリスイッチ57を選択する(ステップT2)。現在位置表示部89に表示されている回動位置Fpを登録する対象は、メモリスイッチ57bに対応する短期メモリ67bであるので、操作者はメモリスイッチ57bを選択する。
メモリスイッチ57を選択した後、操作者は選択されたメモリスイッチ57を押下する(ステップT3)。メモリスイッチ57が押下されることにより、図19に示すように回動位置検出部33が検出しているCアーム9の回動位置の情報が記憶制御部73に対して送信される。また、押下されたメモリスイッチ57と対応付けられる短期メモリ67を特定する情報も記憶制御部73に送信される。
記憶制御部73は受信した情報に基づいて、押下されたメモリスイッチ57に対応する短期メモリ67に対して、現時点におけるCアーム9の回動位置の情報を登録する。すなわち操作者がメモリスイッチ57bを押下することにより、短期メモリ67bに回動位置Fpの情報が記憶される。回動位置Fpの情報が登録されると、メモリスイッチ57bには付加情報Rpの代わりに回動位置Fpの情報が表示される。
さらにメモリスイッチ57cに対応付けて回動位置Fsの情報を登録する場合、操作者はCアーム9を回動位置Fsへ回動させた後にメモリスイッチ57cを押下する。Cアーム9を回動位置Fsへ回動させることにより、図20に示すように、回動位置Fsの情報が現在位置表示部89に表示される。編集モードの状態でメモリスイッチ57cが押下されることにより、現時点におけるCアーム9の回動位置である回動位置Fsの情報が短期メモリ67cに記憶される。登録対象となる回動位置Fpおよび回動位置Fsの情報が記憶されることにより、編集モードによる操作は終了する。操作者がモード復帰スイッチ91を押下することにより、タッチパネル43は編集モードから初期モードへ復帰する。
初期モードに復帰した後、操作者はオートポジショニング操作によって回動位置Fpおよび回動位置FsへとCアーム9を交互に移動させる。すなわち、タッチパネル43が初期モードである状態で操作者はメモリスイッチ57bを押下する(ステップS1、S2)。メモリスイッチ57bを押下することによって、メモリスイッチ57bに付加情報Spが表示され、メモリスイッチ57bが選択されている状態であることが示唆される(ステップS3)。付加情報Spがメモリスイッチ57bに表示された状態で回動指示スイッチ45を押下することにより、Cアーム9は回動位置Fpへと回動する(ステップS4)。
回動位置Fpから回動位置FsへCアーム9を回動させる場合、操作者はメモリスイッチ57cを押下する。そして付加情報Spがメモリスイッチ57cに表示されている状態で回動指示スイッチ45を押下することにより、Cアーム9は回動位置Fsへと回動する。操作者はX線透視を行いつつオートポジショニング操作によって回動位置Fpおよび回動位置FsへとCアーム9を交互に回動させることより、X線透視によって得られるX線画像を参照して迅速かつ的確に術式を進行させることができる。
被検体Mに対する術式または検査が終了した場合、操作者は操作卓39に配設されている終了指示スイッチ47を押下する。図21に示すように、終了指示スイッチ47が押下される操作をトリガとして位置情報消去部75が作動する。位置情報消去部75は、メモリスイッチ57の各々に対応付けて記憶されている回動位置の情報を全て消去する。すなわち、位置情報消去部75は短期メモリ67a~67cに記憶されている回動位置情報の各々を消去する。
このように編集モードを用いることにより、回動位置Fpおよび回動位置Fsの情報は被検体Mに対する術式を実行する間に限り、一時的に短期メモリ67に記憶される。また登録モードと異なり編集モードにおいては登録指示スイッチ83および確認キー87を操作する必要がない。すなわち、一時的に回動位置情報を記憶させる短期メモリ67に対応するメモリスイッチ57を押下するという単純な操作によって現在位置表示部89に表示されている回動位置の情報が短期メモリ67に記憶される。そのため、第2メモリスイッチ群M2に登録する編集モードを用いることにより、回動位置情報を登録させるために必要な工程を短縮できる。
終了指示スイッチ47は被検体Mに対する術式を終了させるために操作をすることが必須なものである。そのため、被検体Mに対する術式を終了させるために必要な一連の操作を行うことによって、終了指示スイッチ47の操作をトリガとして短期メモリ67a~67cの情報を消去する制御が確実に行われる。従って、被検体Mに対する術式においてのみ重要であった回動位置Fpおよび回動位置Fsの情報を消去し忘れるという事態を回避できる。
被検体Mに対する術式が終了すると自動的に回動位置Fpおよび回動位置Fsの情報は消去されるので、次に別の被検体Nに対してX線透視撮影装置1を用いる場合、メモリスイッチ57の各々に対応づけられる短期メモリ67の各々は確実に回動位置情報が未登録の状態となる。よって、以前に登録された回動位置の情報が短期メモリ67に残っていることに起因して、操作者が回動位置の情報を当該短期メモリ67に上書き登録することを躊躇してしまい、新たな被検体Nに対する術式の進行に支障をきたすという問題を回避できる。
<実施形態の構成による効果>
(第1項)本実施形態の一の態様に係るX線透視撮影装置は、被検体MにX線を照射するX線管5と、X線管5と対向して配置され,被検体Mを透過したX線を検出するX線検出器7と、X線管5とX線検出器7とを対向させて支持し、直交する2軸それぞれの軸周りに回動可能なCアーム9と、Cアーム9の各軸周りにおける回動方向および回動角度の情報を回動位置情報として検出する回動位置検出部33と、複数個のメモリスイッチ55と、回動位置情報をメモリスイッチ55のいずれかに対応付けて記憶させる回動位置記憶部61と、メモリスイッチ55のいずれかを選択することにより、当該選択されたメモリスイッチ55に対応付けられて記憶されている回動位置情報を表示するタッチパネル43と、タッチパネル43に表示されている回動位置情報に対応する回動方向および前記回動角度へとCアーム9を回動させる回動指示スイッチ45と、を備え、回動位置記憶部61はメモリスイッチ55の各々に対して複数の回動位置情報を記憶させるように構成されており、タッチパネル43は、メモリスイッチ55が所定の操作態様で操作されることにより、当該メモリスイッチ55に対応付けて記憶されている複数の回動位置情報のいずれかを所定の表示態様で表示するように構成されている。
第1項に記載のX線透視撮影装置1に係る効果について、図22ないし図23を用いて説明する。図22は、従来のX線透視撮影装置において用いられるオートポジショニング用の操作卓101を示している。
操作卓101は、人型のシンボルが表示されたセンタースイッチ103と、センタースイッチ103の周囲に配設された8つのメモリスイッチ105とを備えている。メモリスイッチ105の各々についてはメモリスイッチ105a~105hとして区別する。また操作卓101は、予備のメモリスイッチである予備スイッチ107を備えている。予備スイッチ107はセンタースイッチ103から離れた場所に配設されている。
メモリスイッチ105a~105hとセンタースイッチ103との位置関係は、Cアームの回動位置と天板に載置されている被検体との位置関係に一致するように定められる。すなわち、被検体に対してLAO方向およびCRA方向に向かう回動位置についてはセンタースイッチ103の左上側に配置されているメモリスイッチ105aと対応付けて記憶させる。
被検体に対する回動位置の位置関係に合わせて、当該回動位置を対応付けて記憶させる対象となるメモリスイッチ105を決定することにより、オートポジショニング操作を行う際に選択すべきメモリスイッチ105を直感的に把握できる。つまり、RAO方向およびCRA方向へ向かう回動位置をメモリスイッチ105fに記憶させた後、時間をおいて当該回動位置へCアーム9をオートポジショニングさせることがある。この場合、センタースイッチ103の左下に配置されるメモリスイッチ105fに当該回動位置の情報が予め登録されていることを直感的に把握できる。
ここで、従来のX線透視撮影装置ではオートポジショニング操作を行う場合、1つのメモリスイッチに対して1つの回動位置情報が対応付けて記憶させる。そのため、同じ方向へ向かう2以上の回動位置を予め登録させる場合、各々の回動位置を直感的に把握できるようにメモリスイッチ105と対応付けて記憶させることが困難となる。
一例として、LAO方向およびCRA方向へ回動させる回動位置M1の情報が既にメモリスイッチ105aに対応付けて記憶されていると仮定する。この場合、LAO方向およびCRA方向へ回動させる新たな回動位置M2の情報をメモリスイッチ105aに対応付けて記憶させることができない。強制的に回動位置M2の情報をメモリスイッチ105aに対応付けて記憶させる場合、少なくとも既に記憶されている回動位置M1の情報が失われることとなる。
また従来の構成において回動位置M1の情報に回動位置M2の情報を上書きする操作を行う場合、回動位置情報が未登録のメモリスイッチ105に対して新規に回動位置情報を登録する操作と比べて、当該上書き登録の操作は異なる操作を行う必要がある。一例として、新規に回動位置を登録する操作はメモリスイッチ105を短時間押下する操作である一方、上書き登録する操作はメモリスイッチ105を長時間押下し続ける操作またはメモリスイッチ105と別のスイッチとを同時に押下する操作を例とする複雑な操作を行う必要がある。その結果、上書き登録を行う場合、操作の長期化または誤操作の発生という問題が懸念される。
従来の構成において、回動位置M1の情報を記憶させつつ回動位置M2の情報を登録する場合、回動位置M2の情報を予備スイッチ107に対応付けて記憶させる操作を行うことが一般的である。しかし予備スイッチ107とセンタースイッチ103との位置関係は被検体と回動位置M2との位置関係を反映していない。
そのため、回動位置M2の情報を登録した後、オートポジショニング操作によってCアーム9を再び回動位置M2へと回動させる場合、操作者はどのスイッチを選択すれば回動位置M2の情報を読み出せるか迷うこととなる。その結果、オートポジショニング操作に要する時間が長期化するので迅速な術式の進行に支障をきたすという問題が懸念される。
このような問題は、多数の被検体に対してオートポジショニング操作による術式を行う場合に特に顕著となる。すなわち被検体に対して行われる術式ごとに、所定の回動位置を登録する事態が発生しうる。従って、多数の被検体に対して術式を行うと、所定のメモリスイッチ105に回動位置の情報が既に登録されており新たな回動位置の情報を登録できないという事態が早急に発生する。
メモリスイッチ105に対して回動位置の情報を登録できない事態が早急に発生するという問題に対する解決策として、メモリスイッチ105a~105hを複数セット配設するという構成が考えられる。すなわち、メモリスイッチ105aを複数配設するとともに、メモリスイッチ105b~105hの各々についても複数配設する。
しかし、複数セットのメモリスイッチ105a~105hをセンタースイッチ103との位置関係を保ちつつ配設するには、図23のようにメモリスイッチ105a~105hを配置する必要がある。すなわちセンタースイッチ103を中心として放射状に広がるように複数セットのメモリスイッチ105a~105hが配設されるので、メモリスイッチ105の全てを配設させるために操作卓101を大型化させる必要がある。その結果、操作卓101の配置スペースの確保が困難になるという問題が懸念される。
このような従来の構成に対し、第1項に記載のX線透視撮影装置1によれば、タッチパネル43と、複数個のメモリスイッチ55と、回動位置記憶部61と、回動指示スイッチ45とを備えている。タッチパネル43は、メモリスイッチ55のいずれかを選択することにより、当該選択されたメモリスイッチ55に対応付けられて記憶されている回動位置情報を表示する。回動位置記憶部61はCアーム9の回動位置情報をメモリスイッチ55のいずれかに対応付けて記憶させるものであり、メモリスイッチ55の各々に対して複数の回動位置情報を記憶させるように構成されている。タッチパネル43は、メモリスイッチ55が所定の操作態様で操作されることにより、当該メモリスイッチ55に対応付けて記憶されている複数の回動位置情報のいずれかを所定の表示態様で表示するように構成されている。
すなわちX線透視撮影装置1では、1つのメモリスイッチ55ごとに、複数の回動位置を対応付けて記憶させることができるように構成されている。そのため、メモリスイッチ55の数を低減させつつ、より多くの回動位置情報をメモリスイッチ55に対応付けて長期的に記憶させることができる。
1つのメモリスイッチ55に対応付けて記憶されている複数の回動位置情報の各々は、タッチパネル43に配置されているメモリスイッチ55を所定の操作態様で操作することによって、所定の表示態様で表示される。すなわち、1つのメモリスイッチ55に対応付けて複数の回動位置を記憶させていても、メモリスイッチ55の操作態様に応じて各々の回動位置の情報を選択的に読み出して表示できる。
そして回動指示スイッチ45を操作することにより、タッチパネル43に表示されている回動位置情報に対応する回動方向および回動角度へとCアーム9を回動させることができる。よって、1つのメモリスイッチ55に対応付けて複数の回動位置を記憶させる構成において、記憶されている複数の回動位置のうち1つの回動位置を選択して当該回動位置へとCアーム9を回動させる操作が可能となる。
特に、メモリスイッチ55の操作態様がメモリスイッチ55を押下する回数である場合、メモリスイッチ55を押下する回数に応じて、当該メモリスイッチ55に対応付けて記憶されている複数の回動位置情報のうち1つが順番にタッチパネル43へ表示される。操作者は所望の回動位置情報がタッチパネル43に表示されると、回動指示スイッチ45を操作して当該回動位置へとCアーム9を回動させることができる。この場合、各々のスイッチを押下するという単純な操作のみで所望の回動位置へとCアーム9を回動させるオートポジショニング操作が実現できる。すなわち、スイッチを長時間押下する操作または複数のスイッチを同時に押下する操作を例とする複雑な操作を必要としないので、オートポジショニング操作を短時間で正確に実行することができる。
(第2項)また第1項に記載のX線透視撮影装置において、メモリスイッチ55の各々は、被検体Mの位置を示す基準領域を基準として、メモリスイッチ55に対応付けて記憶されている回動方向に対応する位置に配設される。
第2項に記載のX線透視撮影装置によれば、メモリスイッチ55の各々がセンタースイッチ53を基準として配設される位置は、センタースイッチ53に対応付けて記憶されている回動位置F0を基準として、メモリスイッチ55に対応付けて記憶されている回動位置の方向に対応するように定められる。
このような構成により、センタースイッチ53が配設されている位置を基準としてメモリスイッチ55が配設されている方向に基づいて、当該メモリスイッチ55に対応付けて記憶されている回動位置がセンタースイッチ53に対応付けられる初期の回動位置F0を基準としてどの方向にあるかを操作者は直感的に把握できる。そのため、オートポジショニング操作の所要時間を短縮できるとともに、オートポジショニング操作における誤操作の発生を確実に回避できる。
一例として、メモリスイッチ55hはセンタースイッチ53の右下に配置されている。そのため、メモリスイッチ55hには初期の回動位置F0を基準として右下方向すなわちRAO方向およびCAU方向に回動する回動位置の情報が対応付けて記憶されていることを操作者は直感的に把握できる。従って、操作者は複数のメモリスイッチ55a~55hの中から、目的となる回動位置の情報が対応付けて記憶されているスイッチを迅速に選択できる。また、新たに回動位置の情報を登録する場合において、操作者は当該回動位置の情報を対応付けて記憶させる対象とすべきメモリスイッチ55を迅速に選択できる。
(第3項)本実施形態の第二の態様に係るX線透視撮影装置は、被検体MにX線を照射するX線管5と、X線管5と対向して配置され,被検体Mを透過したX線を検出するX線検出器7と、X線管5とX線検出器7とを対向させて支持し、直交する2軸それぞれの軸周りに回動可能なCアーム9と、Cアーム9の各軸周りにおける回動方向および回動角度の情報を回動位置情報として検出する回動位置検出部33と、複数個のメモリスイッチ57と、当該回動位置情報をメモリスイッチ57のいずれかに対応付けて記憶させる回動位置記憶部61と、メモリスイッチ57のいずれかを選択することにより、当該選択されたメモリスイッチ57に対応付けられて記憶されている回動位置情報を表示するタッチパネル43と、タッチパネル43に表示されている回動位置情報に対応する回動方向および回動角度へとCアーム9を回動させる回動指示スイッチ45と、被検体Mに対する一連の検査過程のうち予め定められた特定の過程を指示する操作をトリガとして、メモリスイッチ57の各々に対応付けて記憶されている回動位置情報を消去する位置情報消去部75と、を備える。
第3項に記載のX線透視撮影装置によれば、タッチパネル43と、複数個のメモリスイッチ57と、回動位置記憶部61と、回動指示スイッチ45と、位置情報消去部75とを備えている。タッチパネル43は、メモリスイッチ57のいずれかを選択することにより、当該選択されたメモリスイッチ57に対応付けられて記憶されている回動位置情報を表示する。回動位置記憶部61はCアーム9の回動位置情報をメモリスイッチ57のいずれかに対応付けて記憶させる。
操作者は、メモリスイッチ57を選択し、当該メモリスイッチ57に対応付けて記憶されている所望の回動位置情報がタッチパネル43に表示されると、回動指示スイッチ45を操作して当該回動位置へとCアーム9を回動させる。この場合、各々のスイッチを押下するという単純な操作のみで所望の回動位置へとCアーム9を回動させるオートポジショニング操作が実現できる。すなわち、スイッチを長時間押下する操作または複数のスイッチを同時に押下する操作を例とする複雑な操作を必要としないので、オートポジショニング操作を短時間で正確に実行することができる。
そして被検体Mに対する一連の検査過程のうち予め定められた特定の過程を指示する操作を行うと、当該操作をトリガとして位置情報消去部75はメモリスイッチ57の各々に対応付けて記憶されている回動位置情報を消去する。このような構成により、被検体Mに対する一連の検査過程が完了すると、メモリスイッチ57の各々に対応付けて記憶されている回動位置情報は自動的に消去されることとなる。言い換えると、メモリスイッチ57に対応付けた回動位置情報の記憶は、一時的かつ短期的に記憶させるものである。具体的に、被検体に対する検査を行う際にメモリスイッチ57と対応付けて記憶される回動位置の情報は、当該被検体に対する検査の間に限り記憶されている。
そのため、新たな被検体に対する検査を開始する時点において、前の被検体に対する検査を行う際に記憶された回動位置の情報はメモリスイッチ57に残っていない。従って、過去に行われた検査において記憶された回動位置の情報がメモリスイッチ57に残っていることに起因して、当該メモリスイッチ57に対応付けて新たな回動位置情報を記憶させる操作ができなくなる事態または記憶させる操作を躊躇するという事態を回避できる。
このように、多数の被検体に対して検査を行うことによって多くの回動位置を記憶させる必要が生じる場合であっても、被検体に対する検査が終了するごとに回動位置の情報は消去される。よって、全ての被検体に関する回動位置の情報をそれぞれ別々のメモリスイッチ57に対応付けて記憶させ続ける必要はない。すなわち、メモリスイッチ57の数は一人の被検体に対する検査において記憶させる必要がある回動位置の数に限定される。よって、X線透視撮影装置1に配設するメモリスイッチ57の数を低減させつつ、多数の被検体に対してオートポジショニング操作を用いた検査を適切に実行できる。
(第4項)また第3項に記載のX線透視撮影装置において、回動位置記憶部61によってメモリスイッチ57に回動位置情報を記憶させる編集モードへと移行させる編集移行スイッチ51を備え、回動位置記憶部61は、編集モードに移行した状態においてメモリスイッチ57のいずれかを操作することにより、当該操作を行った時点におけるCアーム9の回動方向および回動角度を回動位置情報としてメモリスイッチ57に対応付けて記憶させるように構成される。
第4項に記載のX線透視撮影装置によれば、回動位置記憶部61はメモリスイッチ57のいずれかを操作することにより、当該操作を行った時点におけるCアーム9の回動方向および回動角度を回動位置情報としてメモリスイッチ57に対応付けて記憶させる。そのため、X線透視撮影において好適なX線画像が取得されたと判断した時点でメモリスイッチ57を操作することにより、当該X線画像の取得時におけるCアーム9の回動位置の情報が自動的に記憶される。すなわち、X線画像の撮影条件に応じた回動位置の情報を迅速かつ正確に記憶できるので、後に当該X線画像を取得するために必要なCアーム9の回動位置を容易かつ精密に再現できる。
(第5項)また第1項ないし第4項のいずれか1項に記載のX線透視撮影装置において、複数のメモリスイッチのうち、操作者が直近に操作したメモリスイッチを他のメモリスイッチと異なる態様で表示させる表示制御部71を備える。
第5項に記載のX線透視撮影装置によれば、表示制御部71によって、操作者が直近に操作したメモリスイッチ55(またはメモリスイッチ57)は、他のメモリスイッチ55(またはメモリスイッチ57)と異なる態様で表示される。このような構成により、操作者は複数のメモリスイッチのうち直近に操作したメモリスイッチを確実に特定できる。よって、オートポジショニング操作における誤操作を回避できるとともに、操作に要する時間をより短縮できる。
<他の実施形態>
なお、今回開示された実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲、並びに、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。例として、本発明は下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例において、操作卓39は第1メモリスイッチ群M1と第2メモリスイッチ群M2とを備えている構成を例示したが、これに限られない。すなわち第1メモリスイッチ群M1および第2メモリスイッチ群M2のうち、操作卓39は第1メモリスイッチ群M1のみを備えている構成であってよいし、第2メモリスイッチ群M2のみを備えている構成であってもよい。
(2)上述した実施例または変形例において、第1メモリスイッチ群M1を用いる登録モードではダイレクト登録モードとマニュアル登録モードとを選択的に用いる構成を例示したが、いずれか一方のモードのみを用いる構成であってもよい。また、第2メモリスイッチ群M2を用いる編集モードでは、メモリスイッチ57を押下することによって現時点におけるCアーム9の回動位置情報を記憶させる、いわゆるダイレクト登録モードのみを用いる構成を例示したがこれに限られない。すなわち編集モードにおいてもマニュアル登録モードを選択できる構成としてよい。
(3)上述した実施例または変形例において、操作卓39に配設される各種スイッチの構成は適宜変更してよく、タッチパネルに表示されるアイコン、ダイヤル式スイッチ、切り換え式スイッチ、押しボタン式スイッチなどに適宜変更してよい。
図24は、変形例に係る操作卓39の一例を説明する図である。変形例に係る操作卓39において、センタースイッチ53、メモリスイッチ55、およびメモリスイッチ57はいずれも押しボタン式スイッチである。すなわち変形例に係る操作卓39はタッチパネル43を有していない。
また変形例に係る操作卓39は、回動位置表示モニタ93を備えている。回動位置表示モニタ93はメモリスイッチ55またはメモリスイッチ57が押下されることにより、読み出し部69によって読み出された回動位置の情報、および表示制御部71によって付加された各種付加情報など表示する。変形例に係る操作卓39において、登録移行スイッチ49、編集移行スイッチ51、登録指示スイッチ83、モード復帰スイッチ85などの各種スイッチも押しボタン式のスイッチである。
変形例に係る操作卓39を用いる操作について説明する。一例として初期モードにおいて回動位置F12へオートポジショニング操作を行う場合、操作者はメモリスイッチ55dを3回押下する。当該押下の操作により、読み出し部69は第3メモリ65dから回動位置F12の情報を読み出し、表示制御部71は当該回動位置情報を付加情報Qtとともに回動位置表示モニタ93に表示させる。また表示制御部71は、メモリスイッチ55dに対して付加情報Spを表示させる。
変形例において、付加情報Spは、直近に選択されたメモリスイッチ55dを他のメモリスイッチ55とは異なる色に表示させる情報とする。操作者は回動位置表示モニタ93に表示される回動位置F12の情報を確認し、回動指示スイッチ45を押下する。回動指示スイッチ45を押下する操作により、Cアーム9は回動位置F12へと回動する。
このように、タッチパネル43を有しない操作卓39であっても、各種スイッチと回動位置表示モニタ93とを用いて各モードに係る操作を実行できる。
(4)上述した実施例または変形例において、センタースイッチ53は1つの回動位置のみを対応付けて記憶できる構成としたが、メモリスイッチ55と同様に複数の回動位置を対応付けて記憶できる構成としてもよい。
(5)上述した実施例または変形例において、位置情報消去部75が作動するトリガとなる操作は被検体Mに対する術式を終了させる終了指示スイッチ51の押下である場合を例示したがこれに限られない。他の例として、X線透視撮影装置1の主電源をオンまたはオフにする操作、被検体Mに対する術式を開始させる操作をトリガとして位置情報消去部75を作動させてもよい。すなわち、被検体Mに対する術式を完了させるための一連の操作において、必須となる操作であれば当該トリガとして適宜適用できる。
(6)上述した実施例または変形例において、メモリスイッチ55a~55hの各々には3つのメモリ63~65が対応付けられており、最大3つの回動位置の情報を登録できるように構成されている。しかし、メモリスイッチ55a~55hの各々に登録可能な回動位置の最大数は3に限ることはなく適宜変更してよい。すなわち、メモリスイッチ55に対応付けられるメモリの数を適宜変更することによって、登録可能な回動位置の数を任意に調整できる。また、登録可能な回動位置の最大数はメモリスイッチ55a~55hの全てにおいて同じである構成に限られない。一例としてメモリスイッチ55aは最大2つの回動位置情報を登録可能に構成させる一方で、メモリスイッチ55gは最大4つの回動位置情報を登録可能に構成させてもよい。
(7)上述した実施例または変形例において、メモリスイッチ57にCアーム9の回動位置の情報を登録する方法として、図10に示す初期モードから図18に示す編集モードに切り換えた後、登録操作の対象となるメモリスイッチ57を押下する操作を例示したがこれに限られない。一例として、図10に初期モードの状態でメモリスイッチ57を押下することによって回動位置情報を登録する構成を採用してもよい。
具体例として、初期モードの状態において、付加情報Rpが付加されているメモリスイッチ57bを押下することにより、当該押下操作を実行した時点におけるCアーム9の回動位置の情報がメモリスイッチ57bと対応付けて記憶される。初期モードの状態においてメモリスイッチ57に回動位置情報を登録可能とすることにより、メモリスイッチ57に回動位置を登録させる操作をより簡略化させることできる。
(8)上述した実施例または変形例において、付加情報Qtはメモリスイッチ55に登録されている回動位置の数を特定する情報を含む構成を例示したが、メモリスイッチ55に対応付けられているメモリ63~65の数を示唆する情報を含んでもよい。すなわち実施例において、付加情報Qtを構成する丸いシンボルの数によって、現時点においてメモリスイッチ55に登録されている回動位置の数を示唆している。これに代えて、付加情報Qtを構成する丸いシンボルの数によって、メモリスイッチ55に対応付けられているメモリ63~65の数(メモリスイッチ55に登録可能な回動位置の上限数)を示唆してもよい。