JP2022112112A - ビードコアの製造装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビードワイヤを所望の曲率に癖付けして、ユニフォミティおよび形状安定性に優れた円環状のビードコアを効率的に製造できる製造装置および方法を提供する。【解決手段】繰り出し部2から繰り出したビードワイヤWrを、癖付けロール5Aに掛け回して癖付けした後に成形ドラム11の外周面に螺旋状に巻き重ねて円環状に形成する際に、繰り出し部2から成形ドラム11に移動しているビードワイヤWrを保持部6により保持して、円錐形状にした癖付けロール5Aの外周面にビードワイヤWrを押圧しながら癖付けロール5Aと保持部6の少なくとも一方を癖付けロール5Aのロール軸方向に相対移動させることにより、或いは、拡縮可能にした癖付けロール5Bの外周面にビードワイヤWrを押圧しながら癖付けロール5Bを拡縮させることにより、ビードワイヤWrを所望の曲率に連続的に癖付けする。【選択図】図1
Description
本発明は、ビードコアの製造装置および方法に関し、さらに詳しくは、ビードワイヤを所望の曲率に癖付けして、ユニフォミティおよび形状安定性に優れた円環状のビードコアを効率的に製造できるビードコアの製造装置および方法に関するものである。
タイヤのビード部材を製造する工程では、ビードワイヤを円環状にして形成されたビードコアの外周面にビードフィラが接合されることによりビード部材が製造される。ビードコアは例えば、ビードワイヤを成形ドラムの外周面に螺旋状に巻き重ねて円環状に形成される。或いは、複数本のビードワイヤを並列させて層状にして、層単位で巻き重ねる、所謂、層巻き方式によって円環状のビードコアが形成される。ビードワイヤを螺旋状に巻き重ねて円環状に形成する場合は、層巻き方式に比して、製造されたビードコアのユニフォミティ(周方向のバランス)を向上させるには有利になる。
円環状に形成されたビードコアでは、ビードワイヤの巻き付け始端部および終端部がばらけ易い。そこで、ビードワイヤの巻き付け始端部側を相対的に大きな曲率半径で癖付けし、終端部側を相対的に小さな曲率半径で癖付けしてビードコアを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。この製造方法によれば、ビードワイヤの巻き付け始端部および終端部がばらけることが抑制されるとともに、ビードワイヤは円環状に形成された束を維持するように癖付けされるため、良好なユニフォミティを安定して確保するには有利になる。
ビードワイヤの曲率半径を変えて癖付けするには、従来、円錐形状の癖付けロールが使用されている。その外周面には周方向全周に延在する周溝が形成されている。その周溝を溝付けロールの軸方向に間隔をあけて複数設けることで、それぞれの周溝でのロール外径を異ならせている。そして、所望のロール外径の周溝にビードワイヤを押圧しつつ通過させることで、ビードワイヤを所望の曲率半径に癖付けしている。この癖付け方法では、曲率半径を変える度に、ビードワイヤの移動を中断してビードワイヤを別の周溝に掛け回す切り換え作業が必要になるため、ビードコアを効率的に製造するには改善の余地がある。
本発明の目的は、ビードワイヤを所望の曲率に癖付けして、ユニフォミティおよび形状安定性に優れた円環状のビードコアを効率的に製造できるビードコアの製造装置および方法を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明のビードコアの製造装置は、ビードワイヤが繰り出される繰り出し部と、前記ビードワイヤが外周面に螺旋状に巻き重ねられる成形ドラムと、前記繰り出し部と前記成形ドラムとの間で、前記ビードワイヤが掛け回される癖付けロールとを備えたビードコアの製造装置において、前記癖付けロールが円錐形状であり、前記繰り出し部から前記成形ドラムに移動している前記ビードワイヤを保持して前記外周面に押圧する保持部と、前記ビードワイヤを前記外周面に押圧しながら前記癖付けロールと前記保持部の少なくとも一方を前記癖付けロールのロール軸方向に相対移動させる移動機構とを有することを特徴とする。
本発明の別のビードコアの製造装置は、ビードワイヤが繰り出される繰り出し部と、前記ビードワイヤが外周面に螺旋状に巻き重ねられる成形ドラムと、前記繰り出し部と前記成形ドラムとの間で、前記ビードワイヤが掛け回される癖付けロールとを備えたビードコアの製造装置において、前記繰り出し部から前記成形ドラムに向かって移動している前記ビードワイヤを保持して前記外周面に押圧する保持部を有し、前記癖付けロールは、前記ビードワイヤが前記外周面に押圧されながら拡縮可能にしたことを特徴とする。
本発明のビードコアの製造方法は、繰り出し部から繰り出したビードワイヤを、癖付けロールに掛け回して癖付けした後に成形ドラムの外周面に螺旋状に巻き重ねて円環状に形成するビードコアの製造方法において、前記癖付けロールを円錐形状にして、前記繰り出し部から前記成形ドラムに移動している前記ビードワイヤを保持部により保持して、前記ビードワイヤを前記外周面に押圧しながら前記癖付けロールと前記保持部の少なくとも一方を前記癖付けロールのロール軸方向に相対移動させて、前記ビードワイヤを所望の曲率に連続的に癖付けすることを特徴とする。
本発明の別のビードコアの製造方法は、繰り出し部から繰り出したビードワイヤを、癖付けロールに掛け回して癖付けした後に成形ドラムの外周面に螺旋状に巻き重ねて円環状に形成するビードコアの製造方法において、前記繰り出し部から前記成形ドラムに向かって移動している前記ビードワイヤを保持部により保持して、前記ビードワイヤを前記外周面に押圧しながら前記癖付けロールを拡縮させて、前記ビードワイヤを所望の曲率に連続的に癖付けすることを特徴とする。
本発明の前者のビードコアの製造装置および製造方法によれば、ビードワイヤを繰り出し部から成形ドラムに移動させつつ、ビードワイヤを癖付けロールの外周面に押圧しながら癖付けロールと保持部の少なくとも一方を癖付けロールのロール軸方向に相対移動させることで、ビードワイヤを所望の曲率に連続的に癖付けする。そのため、ユニフォミティおよび形状安定性に優れた円環状のビードコアを、ビードワイヤの移動を停止させることなく、効率的に製造することが可能になる。
本発明の後者のビードコアの製造装置および製造方法によれば、ビードワイヤを繰り出し部から成形ドラムに移動させつつ、ビードワイヤを癖付けロールの外周面に押圧しながら癖付けロールを拡縮させることで、ビードワイヤを所望の曲率に連続的に癖付けする。そのため、ユニフォミティおよび形状安定性に優れた円環状のビードコアを、ビードワイヤの移動を停止することなく、効率的に製造することが可能になる。
以下、本発明のビードコアの製造装置および方法を、図に示した実施形態に基づいて説明する。
図1、図2に例示する本発明のビードコアの製造装置1(以下、製造装置1という)によって、外周面が未加硫ゴムにより被覆されたビードワイヤWrは、所望の曲率半径に癖付けされる。その後、癖付けされたビードワイヤWrが、円環状に形成されることにより、図3、図4に例示するビードコアBが製造される。癖付けされるとは、塑性変形されることを意味する。
図3、図4に例示する円環状のビードコアBでは、1本のビードワイヤWrが幅方向に繰り返し往復移動しながら内周側から外周側に螺旋状に巻き重ねられた構造になっている。詳述すると、1本のビードワイヤWrを幅方向に移動させながら螺旋状に巻き付けて一層目B1を円環状に形成した後、引き続き一層目B1の外周面にビードワイヤWrを幅方向に移動させながら螺旋状に巻き付けて二層目B2を円環状に形成する。円環状のビードコアBは、1本のビードワイヤWrをこのように一層目B1、二層目B2、三層目B3、四層目B4と内周側から順次、必要な層数だけ巻き重ねた積層構造になっている。即ち、図4の矢印で示す順序でビードワイヤWrが成形ドラム11の外周面に螺旋状に巻き重ねられる。したがって、ビードワイヤWrの巻き付け始端部Wraは、巻き付け終端部WrbよりもビードコアBの内周側に位置している。
この実施形態では、ビードコアBは、幅方向に4列に並列されたビードワイヤWrが4層積層された構造になっている。ビードワイヤWrの幅方向の配列数、積層される層数は適宜設定され、例えば4~6程度の積層構造になる。
この製造装置1の実施形態は、ビードワイヤWrが繰り出される繰り出し部2と、成形ドラム11と、繰り出し部2から成形ドラム11までの経路(ビードワイヤWrの移動経路)の間で、ビードワイヤWrが掛け回される癖付けロール5Aと、ビードワイヤWrを保持する保持部6と、移動機構7と、制御部12とを備えている。この実施形態では製造装置1はさらに、駆動ローラ3、支持ローラ4、変位センサ8、ワイヤガイド9およびカッター10を備えている。尚、図2では、繰り出し部2、駆動ローラ3、支持ローラ4の図示を省略している。
繰り出し部2としては例えば、未加硫ゴムが被覆されていないビードワイヤの外周面に未加硫ゴムを被覆するゴム押出機が用いられる。繰り出し部2によって未加硫ゴムが被覆されたビードワイヤWrが連続的に成形ドラム11に供給される。
成形ドラム11は円筒体であり、ドラム幅方向一方端にガイドフランジ11aを有している。回転駆動される成形ドラム11の外周面には、繰り出されたビードワイヤWrが螺旋状に巻き重ねられる。カッター10は、成形ドラム11の近傍に配置されている。カッター10は成形ドラム11の外周面に対して近接および離反移動し、近接移動することにより成形ドラム11上でビードワイヤWrを必要な長さに切断する。
癖付けロール5Aは、円錐形状になっていて、中心軸5cを中心にして回転可能になっている。癖付けロール5AにはビードワイヤWrが掛け回される。この実施形態では、繰り出し部2から癖付けロール5Aまでの経路の間に、駆動ローラ3と支持ローラ4とが対向配置されている。駆動ローラ3が回転駆動されることで、繰り出し部2からビードワイヤWrが繰り出される。このビードワイヤWrは支持ローラ4と駆動ローラ3との間に掛け回されて通過した後、癖付けロール5Aに掛け回される。
ワイヤガイド9aは、癖付けロール5Aから成形ドラム11までの経路の間に配置されている。ワイヤガイド9aとしては例えば、外周面に周方向に連続する周方向溝を有する回転ローラが用いられる。ワイヤガイド9aは成形ドラム11の幅方向に移動可能に設けられている。癖付けロール5Aを通過したビードワイヤWrは、ワイヤガイド9aの周方向溝に嵌ってガイドされることで、成形ドラム11の外周面の幅方向の所望の位置に供給される。
保持部6は、ローラフレーム6bに回転可能に軸支されて対向配置された一対の保持ローラ6aを有している。対向配置された保持ローラ6aどうしでビードワイヤWrが挟持されて、ローラ幅方向の移動を規制された状態で保持ローラ6aの間を通過する。この実施形態では、対向配置された一対の保持ローラ6aは、経路の癖付けロール5Aの前方位置および後方位置に配置されている。保持部6は、繰り出し部2から成形ドラム11に移動しているビードワイヤWrを保持して癖付けロール5Aの外周面に押圧できればその他の構成を採用することもできる。
移動機構7は、癖付けロール5Aの中心軸5cに接続された油圧シリンダなどのアクチュエータを有している。移動機構7のシリンダロッドが進退することで、癖付けロール5Aが癖付けロール5Aのロール軸方向に移動する。移動機構7は、繰り出し部2かRから成形ドラム11に移動しているビードワイヤWrを、癖付けロール5Aの外周面に押圧しながら癖付けロール5Aと保持部6の少なくとも一方を癖付けロール5Aのロール軸方向に相対移動させることができれば、その他の構成を採用することもできる。
例えば、サーボモータによって進退移動するロッドを癖付けロール5Aの中心軸5cに接続して移動機構7を構成することもできる。また、この実施形態では、移動機構7によって癖付けロール5Aのみを移動させているが、保持部6のみを移動させることも、癖付けロール5Aと保持部6の両方を移動させて、癖付けロール5Aのロール軸方向に相対移動させる構成にしてもよい。
変位センサ8は、癖付けロール5Aの近傍に配置されている。変位センサ8は、癖付けロール5Aの近傍位置でのビードワイヤWrまでの距離(癖付けロール5Aのロール軸方向の距離)を非接触で検知する。変位センサ8としてはレーザセンサなどが用いられる。変位センサ8により検知された検知データは制御部12に入力される。
制御部12は、製造装置1の動作を制御する。即ち、駆動ローラ3、移動機構7、ワイヤガイド9、カッター10、成形ドラム11の動きは制御部12により制御される。制御部12としてはコンピュータが用いられる。制御部12にはビードワイヤWrの移動速度、円錐形状の癖付けロール5Aの形状データ(ロール軸方向位置での外径データ)も入力される。
次に、この製造装置1を用いてビードコアBを製造する手順の一例を説明する。
図1、図2に例示する駆動ローラ3を回転駆動することにより、繰り出し部から1本のビードワイヤWrを繰り出して、支持ローラ4と駆動ローラ3との間に掛け回す。このビードワイヤWrは、支持ローラ4および駆動ローラ3を通過し、引き続き連続的に、癖付けロール5Aに掛け回す。
ビードワイヤWrは、癖付けロール5Aを通過する前の位置および通過した後の位置で、保持ローラ6aに挟持されて通過する。このように保持部6によって保持されたビードワイヤWrは、癖付けロール5Aの外周面に押圧されながら癖付けロール5Aを通過することで癖付けされる。
ビードワイヤWrが押圧されて当接する癖付けロール5Aの外周面の外径に応じて、ビードワイヤWrに対する癖付け具合(曲率半径の大きさ)が異なる。詳述すると、ビードワイヤWrが当接した位置の癖付けロール5Aの外径が大きい程、より大きな曲率半径で癖付けされ、この外径が小さい程、より小さな曲率半径で癖付けされる。癖付けロール5Aは円錐形状なので、ビードワイヤWrが当接する癖付けロール5Aのロール軸方向位置を異ならせることで、ビードワイヤWrに対する癖付け具合を変化させることができる。
そこで、ビードワイヤWrを癖付けロール5Aの外周面に押圧しながらビードワイヤWrを保持している保持部6と癖付けロール5Aの少なくとも一方を、癖付けロール5Aのロール軸方向に相対移動させる。これにより、ビードワイヤWrを所望の曲率に連続的に癖付けする。この実施形態では図5に例示するように、移動機構7により癖付けロール5Aをロール軸方向に移動させている。ビードワイヤWrは繰り出し部2から成形ドラム11に移動しながら、癖付けロール5Aによって曲率半径を無段階に変化させつつ連続的に癖付けされる。癖付けロール5Aの外周面は滑らかな円錐形状なので、ビードワイヤWrは、この外周面に沿って円滑にロール軸方向にスライド移動する。図5では、ロール軸方向に移動させる前の癖付けロール5Aが一点鎖線によって記載されている。
例えば、ビードワイヤWrの巻き付け始端部Wraから巻き付け終端部Wrbになるほど、ビードコアBを構成する層(B1、B2、B3、B4)単位でより小さな曲率半径にビードワイヤWrを癖付けする。ビードワイヤWrの長手方向位置での所望の癖付け具合(曲率半径の大きさ)のデータは制御部12に入力されている。そこで、制御部12は、予め入力されているこのデータと、変位センサ8の検知データと、ビードワイヤWrの移動速度とに基づいて、移動機構7を制御して癖付けロール5Aをロール軸方向に移動させる。
即ち、癖付けロール5Aを通過する1本のビードワイヤWrを、ビードコアBを構成する層(B1、B2、B3、B4)単位で、癖付けロール5Aの外径がより小さくなる側に相対移動させながら癖付けロール5Aの外周面に押圧する。これにより、ビードワイヤWrは巻き付け始端部Wraから巻き付け終端部Wrbになるほど、ビードコアBを構成する層(B1、B2、B3、B4)単位でより小さな曲率半径に癖付けされる。換言すると、ビードコアBを構成している最も内周側の層B1に相当するビードワイヤWrの部分は最も曲率半径が大きく癖付けされ、順次、より外周側の層に相当するビードワイヤWrの部分はより曲率半径が小さく癖付けされて、最も外周側の層B4に相当するビードワイヤWrの部分は最も曲率半径が小さく癖付けされる。
この癖付け具合を、製造された円環状のビードコアBに注目して定義すると、ビードワイヤWrの巻き付け始端部Wraを含む1層目の自由放置時曲率半径R1を、ビードコアBの半径Rよりも大きく、ビードワイヤWrの巻き付け終端部Wrbを含む最外層(4層目)の自由放置時曲率半径R4を、ビードコアBの半径Rよりも小さくする。1層目と最外層の間の各層の自由放置時曲率半径R2、R3は、半径R4よりも大きく半径R1よりも小さく、かつ、内周側に隣り合う層の自由放置時曲率半径よりも小さくする。したがって、ビードワイヤWrを癖付けすることで、R1>半径R>R4、かつ、R1>R2>R3>R4にする。
各層の自由放置時曲率半径とは、円環状に形成したビードコアBの各層からビードワイヤWrを切り出して自由放置した状態で測定したビードワイヤWrの半径である。即ち、特許文献1に定義されている自由放置時曲率半径と同じである。最内層B1の半径R1は例えば半径Rの100%超200%以下、最外層B4の半径R4は例えば半径Rの50%以上95%以下にする。
癖付けロール5Aに掛け回して癖付けされた後のビードワイヤWrは、ワイヤガイド9にガイドされて成形ドラム11の幅方向の所望の位置に供給される。即ち、ビードワイヤWrは、成形ドラム11のガイドフランジ11aを幅方向一方端の位置としてドラム幅方向に繰り返し往復移動しながら成形ドラム1に供給される。これにより、ビードワイヤWrは成形ドラム11の外周面に螺旋状に巻き重ねられて円環状に形成される。その結果、図3、図4に例示する円環状のビードコアBが製造される。
製造されたビードコアBの外周面にビードフィラを環状に接合することでビード部材が製造される。このビード部材を用いて公知の方法でグリーンタイヤが成形され、このグリーンタイヤを公知の方法で加硫することでタイヤが完成する。
このビードコアBは、1本のビードワイヤWrを螺旋状に巻き重ねて円環状に形成されているので、周方向の重量バランスの偏りが抑制されていて、所謂、ユニフォミティに優れている。また、ビードワイヤWrの巻き付け始端部Wraは相対的に大きな曲率半径、巻き付け終端部Wrbは相対的に小さな曲率半径で癖付けして、R1>半径R>R4にすることで、円環状に製造されたビードコアBでは、ビードワイヤWrの巻き付け始端部Wraおよび巻き付け終端部Wrbがばらけ難くなる。これに伴い、ビードコアBの良好なユニフォミティを安定して確保することができ、形状安定性に優れている。
さらには、ビードワイヤWrを繰り出し部2から繰り出して成形ドラム11に巻き付けるまで、ビードワイヤWrの移動を停止させることなく癖付け具合を変化させてビードコアBを製造する。従来技術のように、ビードワイヤWrの癖付け具合を変化させるためにビードワイヤWrの移動を中断する必要がない。そのため、従来の製造方法に比して、効率的にビードコアBを製造するには有利になっている。
このビードワイヤWrを用いてタイヤ製造すると、製造されたタイヤのユニフォミティを向上させることが可能になる。また、このビードワイヤWrを用いることでタイヤの生産性向上にも寄与する。
この実施形態ではさらに、R1>R2>R3>R4になるように、ビードコアBを構成するビードワイヤWrが層単位で癖付けされる。これに伴い、各層のビードワイヤWrは円環状のビードワイヤWrの束を維持するように癖付けされることになるため、良好なユニフォミティを安定して確保する益々有利になっている。
保持部6と癖付けロール5Aの少なくとも一方を、癖付けロール5Aのロール軸方向に平行に相対移動させた場合、繰り出し部2から成形ドラム11までにビードワイヤWrが移動する長さ(パスラインの長さ)が変化する。即ち、ビードワイヤWrと癖付けロール5Aの外周面の当接位置を、癖付けロール5Aの外径がより大きくなる方向に移動させた場合、このパスラインがより長くなり、癖付けロール5Aの外径がより小さくなる方向に移動させた場合、このパスラインがより短くなる。
そこで、このパスラインの長さを一定に維持するために、移動機構7により、癖付けロール5Aを癖付けロール5Aの外周面の傾斜に沿ってロール軸方向に移動させるとよい。詳述すると、癖付けロール5AのビードワイヤWrが当接している側(図5では右側)の外周面の傾斜に沿った方向に、癖付けロール5Aを移動させて、パスラインの長さの変動を抑制する。パスラインの長さを一定に維持すると、製造工程に要する時間を一定に安定させるには有利になり、ビードワイヤWrに作用する張力の変動を抑制するにも有利になる。
円錐形状の癖付けロール5Aは、図1、図2に例示した形態に限定されず、図6、図7に例示する形態にすることもできる。図6、図7に例示する癖付けロール5Aは、中心軸5cの周りに周方向に間隔をあけて配置された複数の棒状体5pを有している。これら複数の棒状体5pが中心軸5cの長手方向に傾斜して延在することで、円錐形状の癖付けロール5Aを構成している。
図8、図9に例示する製造装置1の別の実施形態は、先の実施形態とは異なる形式の癖付けロール5Bを有している。その他の構成は、先の実施形態と同様である。
この癖付けロール5Bは、拡縮可能に構成されていて、外周面の外径が可変になっている。癖付けロール5Bは、中心軸5cの周方向に配列された複数のセグメント5sと、それぞれのセグメント5sを中心軸5cに接続するリンク機構とを有している。
リンク機構は流体シリンダなどを用いて中心軸5cに沿ってスライドするとともにそれぞれのセグメント5sを中心軸5cに対して近接および離反移動させることで、癖付けロール5Bを拡縮させる。この実施形態では、癖付けロール5Bの外径は無段階に変化する。癖付けロール5Bは、移動するビードワイヤWrが癖付けロール5Bの外周面に押圧されながら拡縮可能であれば、その他の構成を採用することもできる。
次に、この製造装置1を用いて円環状のビードコアBを製造する手順の一例を説明する。
ビードコアBを製造する手順は、先の実施形態とは、癖付けロール5Bに関する動きが異なるだけで、その他の手順は実質的に同じである。この製造装置1では、繰り出し部2から成形ドラム11に向かって移動している1本のビードワイヤWrを保持部6(保持ローラ6a)により保持する。そして、ビードワイヤWrを癖付けロール5Bの外周面に押圧しながら癖付けロール5Bを拡縮させる。これにより、ビードワイヤWrを所望の曲率に連続的に癖付けする。
詳述すると、図10、図11に例示するように、繰り出し部2から成形ドラム11に移動しているビードワイヤWrを癖付けロール5Aの外周面に押圧させて通過させながら、癖付けロール5Bを縮径させて癖付けの曲率半径を無段階に変化させつつ連続的に癖付けする。これにより、ビードワイヤWrの巻き付け始端部Wraから巻き付け終端部Wrbになるほど、ビードワイヤWrを層(B1、B2、B3、B4)単位でより小さな曲率半径に癖付けする。尚、図11では、縮径する前の癖付けロール5Bが一点鎖線で記載されている。
ビードワイヤWrの長手方向位置での所望の癖付け具合(曲率半径の大きさ)のデータは制御部12に入力されている。そこで、制御部12は、予め入力されているこのデータとビードワイヤWrの移動速度に基づいて、癖付けロール5Bの拡径具合を制御する。これにより、ビードワイヤWrは巻き付け始端部Wraから巻き付け終端部Wrbになるほど、ビードコアBを構成する層(B1、B2、B3、B4)単位でより小さな曲率半径に癖付けされる。そして、ビードワイヤWrを癖付けすることで、R1>半径R>R4、かつ、R1>R2>R3>R4にする。
この実施形態の製造装置1を用いても、先の実施形態と同様の効果を得ることができる。
1 ビードコアの製造装置
2 繰り出し部
3 駆動ローラ
4 支持ローラ
5A、5B 癖付けロール
5c 中心軸
5p 棒状体
5s セグメント
6 保持部
6a 保持ローラ
6b ローラフレーム
7 移動機構
8 変位センサ
9 ワイヤガイド
10 カッター
11 成形ドラム
11a ガイドフランジ
12 制御部
B ビードコア
B1 一層目
B2 二層目
B3 三層目
B4 四層目
Wr ビードワイヤ
Wra 巻き付け始端部
Wrb 巻き付け終端部
2 繰り出し部
3 駆動ローラ
4 支持ローラ
5A、5B 癖付けロール
5c 中心軸
5p 棒状体
5s セグメント
6 保持部
6a 保持ローラ
6b ローラフレーム
7 移動機構
8 変位センサ
9 ワイヤガイド
10 カッター
11 成形ドラム
11a ガイドフランジ
12 制御部
B ビードコア
B1 一層目
B2 二層目
B3 三層目
B4 四層目
Wr ビードワイヤ
Wra 巻き付け始端部
Wrb 巻き付け終端部
Claims (6)
- ビードワイヤが繰り出される繰り出し部と、前記ビードワイヤが外周面に螺旋状に巻き重ねられる成形ドラムと、前記繰り出し部と前記成形ドラムとの間で、前記ビードワイヤが掛け回される癖付けロールとを備えたビードコアの製造装置において、
前記癖付けロールが円錐形状であり、前記繰り出し部から前記成形ドラムに移動している前記ビードワイヤを保持して前記外周面に押圧する保持部と、前記ビードワイヤを前記外周面に押圧しながら前記癖付けロールと前記保持部の少なくとも一方を前記癖付けロールのロール軸方向に相対移動させる移動機構とを有することを特徴とするビードコアの製造装置。 - 前記移動機構により、前記癖付けロールを前記癖付けロールの外周面の傾斜に沿って前記ロール軸方向に移動させて、前記癖付けロールの移動による前記ビードワイヤのパスラインの長さの変動が抑制される構成にした請求項1に記載のビードコアの製造装置。
- ビードワイヤが繰り出される繰り出し部と、前記ビードワイヤが外周面に螺旋状に巻き重ねられる成形ドラムと、前記繰り出し部と前記成形ドラムとの間で、前記ビードワイヤが掛け回される癖付けロールとを備えたビードコアの製造装置において、
前記繰り出し部から前記成形ドラムに向かって移動している前記ビードワイヤを保持して前記外周面に押圧する保持部を有し、前記癖付けロールは、前記ビードワイヤが前記外周面に押圧されながら拡縮可能にしたことを特徴とするビードコアの製造装置。 - 繰り出し部から繰り出したビードワイヤを、癖付けロールに掛け回して癖付けした後に成形ドラムの外周面に螺旋状に巻き重ねて円環状に形成するビードコアの製造方法において、
前記癖付けロールを円錐形状にして、前記繰り出し部から前記成形ドラムに移動している前記ビードワイヤを保持部により保持して、前記ビードワイヤを前記外周面に押圧しながら前記癖付けロールと前記保持部の少なくとも一方を前記癖付けロールのロール軸方向に相対移動させて、前記ビードワイヤを所望の曲率に連続的に癖付けすることを特徴とするビードコアの製造方法。 - 繰り出し部から繰り出したビードワイヤを、癖付けロールに掛け回して癖付けした後に成形ドラムの外周面に螺旋状に巻き重ねて円環状に形成するビードコアの製造方法において、
前記繰り出し部から前記成形ドラムに向かって移動している前記ビードワイヤを保持部により保持して、前記ビードワイヤを前記外周面に押圧しながら前記癖付けロールを拡縮させて、前記ビードワイヤを所望の曲率に連続的に癖付けすることを特徴とするビードコアの製造方法。 - 前記成形ドラムに対する前記ビードワイヤの巻き付け始端部から終端部になるほど、積層構造の前記ビードコアを構成する前記ビードワイヤの層単位で、より小さな曲率半径に癖付けする請求項4または5に記載のビードコアの製造方法。
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- 2021-01-21 JP JP2021007771A patent/JP2022112112A/ja active Pending
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