JP2022111579A - 床構造、床構造の設計方法、及び床構造の施工方法 - Google Patents

床構造、床構造の設計方法、及び床構造の施工方法 Download PDF

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誠明 中安
Masaaki Nakayasu
聡 北岡
Satoshi Kitaoka
圭一 佐藤
Keiichi Sato
知季 小橋
Tomoki KOBASHI
天志郎 後藤
Tenshiro Goto
航希 宮林
Koki Miyabayashi
慧 木村
Kei Kimura
政樹 有田
Masaki Arita
哲 廣嶋
Satoru Hiroshima
涼平 桑田
Ryohei Kuwata
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Abstract

【課題】小梁の質量に対する断面性能の比が高く、居住性を確保した床構造を提供する。【解決手段】複数の柱部材10と、複数の柱部材に架設される複数の大梁15と、複数の大梁で取り囲まれ、複数の大梁に架設される小梁25と、複数の大梁及び小梁の上方に設けられる床スラブ35とを備える床構造2において、小梁は溶接組立H形鋼であり、複数の大梁、小梁、及び床スラブの1次振動モードの振動数をffloor,1st、小梁においてウェブ26の上端部を中心として下フランジ28が振動するモードの1次振動モードの振動数をfbeam,1stと規定し、小梁に対応する、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比が1以下で最も高い、JIS G 3192による圧延H形鋼を、基準梁としたときに、(1)式を満たし、基準梁に対して、小梁は、質量に対する断面二次モーメントの比が大きい。ffloor,1st≦fbeam,1st・・(1)【選択図】図1

Description

本発明は、床構造、床構造の設計方法、及び床構造の施工方法に関する。
従来、一般的に、床構造における小梁は、大梁と異なり、地震時に建物に生じる水平方向の荷重に抵抗する要素としては設計されない。このため、小梁には、フランジやウェブの幅厚比が大きな圧延H形鋼が使われる。特に、軽量で高剛性な小梁にするため、ウェブの幅厚比は大きく設定されることが多い。これは、一般的に、小梁はたわみ制限が設計クライテリアとなって断面が規定されることを踏まえ、質量を軽くしつつ、断面二次モーメント等の断面性能を高めることが望まれていることによる。
近年、小梁のスパン(長さ)が増大している。これに伴い、質量比剛性が大きく断面効率の良いH形鋼として、ウェブの幅厚比を70程度まで大きく(ウェブを薄く)設定したものが小梁に使用されている。ウェブの幅厚比が70程度のH形鋼は、圧延H形鋼の製造限界に近い。
さらに断面効率を高める方法として、製造制約の少ない溶接組立H形鋼を用いて、ウェブの幅厚比を大きくする方法が考えられる。
一方、H形鋼を小梁に用いて床構造を構成する場合、小梁においてウェブの上端部を中心としてと下フランジが回動して振動し、床構造の居住性が低下することが懸念される。ウェブの幅厚比が大きい(ウェブが薄い)小梁では、この懸念がさらに顕著となる。この対策として、特許文献1では、振止材を用いて下フランジの振動を抑制する方法が提示されている。
特許第5589565号公報
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、小梁の質量に対する断面性能の比が高く、居住性を確保した床構造、床構造の設計方法、及び床構造の施工方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の床構造は、複数の柱部材と、前記複数の柱部材に架設される複数の大梁と、前記複数の大梁で取り囲んだ内側に設けられ、前記複数の大梁に架設される小梁と、前記複数の大梁及び前記小梁の上方に設けられる床スラブと、を備える床構造において、前記小梁は、溶接組立H形鋼であり、前記複数の大梁、前記小梁、及び前記床スラブの1次振動モードの振動数をffloor,1st、前記小梁においてウェブの上端部を中心として下フランジが回動して振動するモードの振動数をfbeam,1stと規定し、前記小梁に対応する、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比が1以下で最も高い、JIS G 3192の規格による圧延H形鋼を、基準梁と規定したときに、(1)式を満たし、前記基準梁に対して、前記小梁は、質量に対する断面二次モーメントの比が大きいことを特徴としている。
floor,1st≦fbeam,1st ・・(1)
また、本発明の床構造の設計方法は、複数の柱部材と、前記複数の柱部材に架設される複数の大梁と、前記複数の大梁で取り囲んだ内側に設けられ、前記複数の大梁に架設される小梁と、前記複数の大梁及び前記小梁の上方に設けられる床スラブと、を備える床構造を設計する床構造の設計方法において、前記小梁は、溶接組立H形鋼であり、前記複数の大梁、前記小梁、及び前記床スラブの1次振動モードの振動数をffloor,1st、前記小梁においてウェブの上端部を中心として下フランジが回動して振動するモードの1次振動モードの振動数をfbeam,1stと規定し、前記小梁に対応する、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比が1以下で最も高い、あるJIS G 3192の規格による圧延H形鋼を、基準梁と規定したときに、(2)式を満たし、前記基準梁に対して、前記小梁は、質量に対する断面二次モーメントの比が大きくなるように設計することを特徴としている。
floor,1st≦fbeam,1st ・・(2)
また、本発明の床構造の施工方法は、複数の柱部材と、前記複数の柱部材に架設される複数の大梁と、前記複数の大梁で取り囲んだ内側に設けられ、前記複数の大梁に架設される小梁と、前記複数の大梁及び前記小梁の上方に設けられる床スラブと、を備える床構造を施工する床構造の施工方法において、前記小梁は、溶接組立H形鋼であり、前記複数の大梁、前記小梁、及び前記床スラブの1次振動モードの振動数をffloor,1st、前記小梁においてウェブの上端部を中心として下フランジが回動して振動するモードの1次振動モードの振動数をfbeam,1stと規定し、前記小梁に対応する、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比が1以下で最も高い、あるJIS G 3192の規格による圧延H形鋼を、基準梁と規定したときに、(3)式を満たし、前記基準梁に対して、前記小梁は、質量に対する断面二次モーメントの比が大きくなるように施工することを特徴としている。
floor,1st≦fbeam,1st ・・(3)
なお、(1)式から(3)式は、互いに同一の式である。
一般的に、床構造の居住性の観点から問題となるのは、床構造上を人が歩行する際に生じる振動である。通常、人の歩行が加振源となる場合の振動数は、2Hz程度の低い振動数が卓越するような特性を持つ。通常、振動数ffloor,1st及び振動数fbeam,1stは、加振源となる人の振動数より大きい。(1)式を満たすことにより、人の歩行による振動数と振動数ffloor,1stとの差よりも、人の歩行による振動数と振動数fbeam,1stとの差が大きくなる。従って、人の歩行による加振を受けても、複数の大梁、小梁、及び床スラブ全体に比べて、小梁の下フランジがウェブの上端部を中心として振動し難くなる。下フランジが振動し易いと、ウェブを厚くしたり、振止材を用いたりして、下フランジの振動を抑制する必要が生じるが、本発明では、その必要が生じないため、小梁や床構造全体として質量が大きくなり過ぎるのが抑制される。小梁の下フランジが振動し難くなることにより、床構造の居住性を確保することができる。
また、小梁に対応して、所定の外力に対する応答値が許容値以下であるJIS G 3192の規格による圧延H形鋼が、基準梁と規定される。この基準梁に対して本発明の小梁は、断面性能を表す指標の1つとして、質量に対する断面二次モーメントの比が大きい。これにより、小梁の質量に対する断面性能の比を大きくすることができる。
また、前記床構造において、前記応答値は、前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じる曲げモーメントに対する曲げ応答値と、前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じるせん断力に対するせん断応答値と、前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じるたわみ応答値と、を有し、前記許容値は、前記基準梁に作用する曲げモーメントに対する曲げ許容値と、前記基準梁に作用するせん断力に対するせん断許容値と、前記基準梁に許容されるたわみ許容値と、を有し、前記所定の外力を受けたときの、前記許容値に対する前記応答値の比が1以下で最も高いとは、前記曲げ許容値に対する前記曲げ応答値の比である曲げ許容値比が1以下であり、前記せん断許容値に対する前記せん断応答値の比であるせん断許容値比が1以下であり、前記たわみ許容値に対する前記たわみ応答値の比であるたわみ許容値比が1以下であり、前記曲げ許容値比、前記せん断許容値比、及び前記たわみ許容値比の最大値が最も高いことを意味してもよい。
また、前記床構造の設計方法において、前記応答値は、前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じる曲げモーメントに対する曲げ応答値と、前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じるせん断力に対するせん断応答値と、前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じるたわみ応答値と、を有し、前記許容値は、前記基準梁に作用する曲げモーメントに対する曲げ許容値と、前記基準梁に作用するせん断力に対するせん断許容値と、前記基準梁に許容されるたわみ許容値と、を有し、前記所定の外力を受けたときの、前記許容値に対する前記応答値の比が1以下で最も高いとは、前記曲げ許容値に対する前記曲げ応答値の比である曲げ許容値比が1以下であり、前記せん断許容値に対する前記せん断応答値の比であるせん断許容値比が1以下であり、前記たわみ許容値に対する前記たわみ応答値の比であるたわみ許容値比が1以下であり、前記曲げ許容値比、前記せん断許容値比、及び前記たわみ許容値比の最大値が最も高いことを意味してもよい。
一般的に、小梁に対応する基準梁の使用時には、軸力に比べて、曲げモーメント及びせん断力が作用しやすい。これらの発明によれば、基準梁に作用しやすい曲げモーメント及びせん断力、そして基準梁に生じるたわみを指標とした曲げ応答値、せん断応答値、たわみ応答値、曲げ許容値、せん断許容値、及びたわみ許容値を用いて、基準梁をより正確に選ぶことができる。
また、前記床構造において、前記曲げ許容値は、前記基準梁の降伏強度、及び前記基準梁に曲げモーメントが作用するときの前記基準梁のウェブと一対のフランジとの連成座屈を考慮した弾性座屈耐力のうち、小さい値を安全率で割った値であり、前記せん断許容値は、前記基準梁の降伏強度を√3で割った値、及び前記基準梁にせん断力が作用するときの前記基準梁のウェブと一対のフランジとの連成座屈を考慮した弾性座屈耐力のうち、小さい値を安全率で割った値であり、前記たわみ許容値は、前記基準梁の長さを300で割った値であってもよい。
また、前記床構造の設計方法において、前記曲げ許容値は、前記基準梁の降伏強度、及び前記基準梁に曲げモーメントが作用するときの前記基準梁のウェブと一対のフランジとの連成座屈を考慮した弾性座屈耐力のうち、小さい値を安全率で割った値であり、前記せん断許容値は、前記基準梁の降伏強度を√3で割った値、及び前記基準梁にせん断力が作用するときの前記基準梁のウェブと一対のフランジとの連成座屈を考慮した弾性座屈耐力のうち、小さい値を安全率で割った値であり、前記たわみ許容値は、前記基準梁の長さを300で割った値であってもよい。
これらの発明によれば、降伏強度、連成座屈を考慮した弾性座屈耐力、及び安全率を考慮して、曲げ許容値及びせん断許容値を好ましい値に設定することができる。また、たわみ許容値を好ましい値に設定することができる。
また、前記床構造において、前記基準梁に対して、前記小梁は、前記小梁の材軸方向の長さに対する質量の比が小さくてもよい。
また、前記床構造の設計方法において、前記基準梁に対して、前記小梁は、前記小梁の材軸方向の長さに対する質量の比が小さくてもよい。
これらの発明によれば、基準梁に対して小梁を、質量に対する断面二次モーメントの比を大きくすることに加えて、材軸方向の長さに対する質量の比を小さくすることができる。従って、小梁を、より断面性能の高い梁とすることができる。
また、前記床構造において、前記所定の外力は、前記小梁の負担幅に対応する前記床スラブの質量と、前記小梁の前記負担幅に対応する積載荷重と、前記小梁の自重との和であってもよい。
また、前記床構造の設計方法において、前記所定の外力は、前記小梁の負担幅に対応する前記床スラブの質量と、前記小梁の前記負担幅に対応する積載荷重と、前記小梁の自重との和であってもよい。
これらの発明によれば、所定の外力を、負担幅、床スラブの質量、積載荷重、及び小梁の質量(自重)を用いて具体的に規定することができる。
また、前記床構造の設計方法において、前記弾性座屈耐力を、前記ウェブにおける面外変位及び前記一対のフランジにおける面外変位からエネルギー法に基づいて求めてもよい。
この発明によれば、エネルギー法に基づいて、ウェブにおける面外変位及び一対のフランジにおける面外変位から弾性座屈耐力を効率的に求めることができる。
本発明の床構造、床構造の設計方法、及び床構造の施工方法によれば、小梁の質量に対する断面性能の比を高くし、居住性を確保することができる。
本発明の一実施形態の床構造を備える建築物の斜視図である。 図1中の切断線A1-A1の断面図である。 同梁がx軸に沿う方向に十分長い場合に、せん断力が作用した梁が座屈している状態を模式的に示す斜視図である。 同梁の長手方向に直交する断面図である。 図3の梁におけるx軸に沿う方向の半波長分を拡大した斜視図である。 図5中の切断線A3-A3の断面図である。 同梁がx軸に沿う方向に十分長い場合に、曲げモーメントが作用した梁が座屈している状態を模式的に示す斜視図である。 同梁の長手方向に直交する断面図である。 図7の梁におけるx軸に沿う方向の半波長分を拡大した斜視図である。 図9中の切断線A4-A4の断面図である。 検討に用いた床構造の概要を示す平面図である。 同床構造の断面を示す図である。 同床構造をモデル化した断面を示す図である。 同床構造の大梁と小梁とが接合された部分の断面図である。 同床構造の解析モデルの斜視図である。 同床構造の解析モデルにおける一部を透過させた斜視図である。 梁ケース2における解析結果の一例を示す斜視図である。 図17中の切断線A6-A6の断面図である。 梁ケース4における床構造の振動の解析結果の一例を、斜め上方から見た斜視図である。 梁ケース4における床構造の振動の解析結果の一例を、斜め下方から見た斜視図である。 梁ケース4における梁の第2下フランジの振動の解析結果の一例を、斜め下方から見た斜視図である。
以下、本発明に係る床構造、床構造の設計方法(以下、単に設計方法と言う)、床構造の施工方法(以下、単に施工方法と言う)の一実施形態を、図1から図21を参照しながら説明する。
〔1.床構造の構成〕
図1に示すように、床構造2は建築物1に用いられる。なお、図1では、後述する床スラブ35を二点鎖線で示している。
図1及び図2に示すように、床構造2は、複数の柱部材10と、複数の大梁15と、複数の小梁25と、床スラブ35と、を備える。なお、複数の大梁15、複数の小梁25、及び床スラブ35で、合成梁構造3を構成する。床構造2が備える小梁25の数は、1つでもよい。
複数の柱部材10は、鉄骨製、RC(Reinforced Concrete)製、SRC(Steel Reinforced Concrete)製、CFT(Concrete Filled steel Tube)製等である。例えば、複数の柱部材10は、上下方向に沿って延びている。複数の柱部材10は、平面視で格子を形成する複数の直線の交点上(格子状)に配置される。
例えば、大梁15及び小梁25は、それぞれ鉄骨製である。大梁15及び小梁25には、それぞれH形鋼が用いられる。大梁15及び小梁25は、例えば水平面に沿う方向に延びる。大梁15は、第1ウェブ16と、第1上フランジ17と、第1下フランジ18と、を有する。複数の大梁15は、複数の柱部材10に架設される。複数の大梁15は、平面視で額縁状に配置され、所定の領域を取り囲んでいる。
大梁15の第1ウェブ16等には、ガセットプレート19が溶接等により接合される(図2参照)。
小梁25は、溶接組立H形鋼である。小梁25は、第2ウェブ26と、第2上フランジ27と、第2下フランジ(下フランジ)28と、を有する。
第2ウェブ26は、第2ウェブ26の厚さ方向に見たときに矩形を呈する平板状に形成される。第2ウェブ26は、第2ウェブ26の厚さ方向が水平面に沿うように配置される。
フランジ27,28は、平板状に形成され、フランジ27,28の厚さ方向が上下方向に沿うようにそれぞれ配置される。第2下フランジ28は、第2上フランジ27よりも下方に配置される。フランジ27,28は、第2ウェブ26を上下方向に挟む。第2ウェブ26は、第2上フランジ27の下面における幅方向の中心と、第2下フランジ28の上面における幅方向の中心とを連結する。
小梁25は、予め個別に製造された第2ウェブ26及びフランジ27,28を、互いに溶接接合することで製造される。
小梁25が有する第2ウェブ26及びフランジ27,28は、弾性要素である鋼板で形成される。弾性要素は、材料非線形を考慮しない要素である。
複数の小梁25は、複数の大梁15で取り囲んだ内側(複数の大梁15で取り囲んだ領域内)に設けられる。複数の小梁25は、互いに間隔を空けて並べて配置される。
複数の小梁25は、複数の大梁15に架設される。複数の小梁25は、複数の大梁15にピン接合される。具体的には、図2に示すように、小梁25の第2ウェブ26とガセットプレート19とが、高力ボルト等を含む締結部材29により互いに接合される。
床スラブ35は、複数の大梁15及び複数の小梁25の上方に設けられる。床スラブ35は、複数の大梁15及び複数の小梁25により、床スラブ35の下方から支持される。本実施形態では、床スラブ35はデッキ合成スラブである。床スラブ35は、デッキプレート36と、コンクリート37と、補強鉄筋38と、シアコネクタ39と、を備える。
デッキプレート36は、鋼板を折り曲げること等により形成される。デッキプレート36は、大梁15の第1上フランジ17及び小梁25の第2上フランジ27上にそれぞれ配置される。
コンクリート37は、厚さ方向が上下方向に沿う平板状に形成される。コンクリート37は、デッキプレート36上に配置される。
床スラブ35は、補強鉄筋38を複数備えている。複数の補強鉄筋38の一部である第1鉄筋38aは、複数の小梁25のうちのある小梁25に沿って延びる。複数の補強鉄筋38の残部である第2鉄筋38bは、第1鉄筋38aに直交する方向に延びる。第1鉄筋38a及び第2鉄筋38bは、コンクリート37内に埋設される。
例えば、シアコネクタ39は、頭付きスタッドである。床スラブ35は、シアコネクタ39を複数備えている。複数のシアコネクタ39の下端部は、大梁15の第1上フランジ17及び小梁25の第2上フランジ27の上面に、互いに間隔を空けて固定される。シアコネクタ39は、デッキプレート36を通して、コンクリート37内に埋設される。
以下では、小梁25にせん断力及び曲げモーメントが作用する場合に弾性座屈耐力(座屈応力度)を求める算出方法ついて説明する。
以下では、小梁25を梁25と言う場合がある。同様に、第2ウェブ26をウェブ26と言い、第2上フランジ27を上フランジ27と言い、第2下フランジ28を下フランジ28と言う場合がある。
〔2.梁にせん断力が作用する場合の弾性座屈耐力〕
梁25にせん断力が作用する場合の算出方法では、図3に示すように、梁25の位置座標を、x軸、y軸、及びz軸で構成する右手系の直交座標系に基づいて認識する。なお、図3及び後述する図5では、ウェブ26等の面外変位を推定値よりも大きく示している。図3では、梁25が座屈している状態を示している。
梁25の材軸(梁25が延びる方向に延びる軸)を、x軸と規定する。フランジ27,28がウェブ26を挟む方向に延びる軸を、y軸と規定する。ウェブ26の板厚方向に延びる軸を、z軸と規定する。x軸、y軸、及びz軸は、互いに直交する。z軸に沿う方向(以下、z軸方向と言う)に見て、ウェブ26は、x軸に沿う方向(以下、x軸方向と言う)に延びる辺、及びy軸に沿う方向(以下、y軸方向と言う)に延びる辺をそれぞれ有する。ウェブ26の面外変位は、ウェブ26のz軸方向に向けた変位である。
フランジ27,28の面外変位は、y軸方向に向けた変位である。
梁25は、x軸方向に十分長いとする。ここで言う梁25がx軸方向に十分長いとは、梁25のx軸方向の各端に配置されy軸方向に延びる表面(以下、x軸方向の端面と言う)25aの境界条件が、座屈変形に与える影響を無視できる程度の長さを梁25が有していることを意味する。
梁25のx軸方向の端面25aにそれぞれy軸方向にせん断力F1が作用すると、梁25が座屈する場合がある。なお、せん断力F1は、梁25のx軸方向の全長さにわたって伝達される。
梁25のx軸方向の各端面25aに作用するせん断力F1は、互い等しい大きさの、向きが反対となる外力である。例えば、x軸方向の負の向き側の端面25aにy軸方向の正の向きのせん断力F1が作用し、x軸方向の正の向き側の端面25aにy軸方向の負の向きのせん断力F1が作用する。なお、x軸方向の負の向き側の端面25aにy軸方向の負の向きのせん断力F1が作用し、x軸方向の正の向き側の端面25aにy軸方向の正の向きのせん断力F1が作用してもよい。
この場合、ウェブ26のx軸方向の第1端(x軸方向の端面25aの一方)に向かうに従い、ウェブ26がz軸方向のz軸の正の向き及びz軸の負の向きに交互に変位して、ウェブ26が全体として複数の波長分の波状(以下、x軸方向に波状と言う)に変位する。ウェブ26に対応して、フランジ27,28が波状に変位する。
x軸に沿って変位したウェブ26の1波長分において、x軸方向の第1端とは反対の第2端をx軸の原点とし、この第2端からx軸方向の第1端に向かう向きをx軸の正の向きとする。
図3及び図4に示すように、ウェブ26におけるy軸方向の中心の位置を、y軸の原点と規定する。y軸の原点から、上フランジ27(フランジ27,28のうちの片側)に向かう向きを、y軸の正の向きと規定する。
z軸の原点を、ウェブ26のz軸方向の中心(厚さ方向の中心)とする。z軸の正の向きを、x軸の正の向き及びy軸の正の向きに対して、右手系の直交座標系を構成する向きとする。
ここで図4に示すように、梁25の長手方向に直交する断面における寸法を規定する。なお、以下に説明する長さ等の単位には、長さに対しては「m」といった、SI単位が好ましく用いられる。
ウェブ26の厚さ(z軸方向の長さ)を、tと規定する。y軸方向における上フランジ27及び下フランジ28の板厚中心間の距離を、bと規定する。梁25のせいを、Hと規定する。
上フランジ27の幅(z軸方向の長さ)及び下フランジ28の幅は互いに等しく、上フランジ27及び下フランジ28それぞれの幅の半分の値を、bと規定する。なお、上フランジ27及び下フランジ28それぞれの幅を、Wとする。
上フランジ27の厚さ及び下フランジ28の厚さは互いに等しく、上フランジ27及び下フランジ28それぞれの厚さを、tとする。
梁25(ウェブ26及びフランジ27,28)のヤング係数をEと規定し、梁25のポアソン比をνと規定する。
この算出方法では、梁25にせん断力F1が作用して座屈したときの、梁25の弾性座屈耐力を推定する。算出方法では、梁25の弾性座屈耐力を推定する際に、以下の1から6の仮定を行っている。
1.ウェブ26の厚さは薄く、ウェブ26の厚さはウェブ26のx軸方向の長さ及びy軸方向の長さに比べて短い。
2.ウェブ26のたわみ(座屈による面外変位)は小さく、ウェブ26の厚さよりも小さい。
3.ウェブ26の厚さ方向の中央面は、ウェブ26の曲げによって伸縮することなく、中立面を保つ。
4.梁25の断面では、曲げに対して平面保持の仮定が成立する。
5.梁25の材料は、均質であり、等方性を有する。
6.梁25に外力が作用したときの変位は、フックの法則に従う。
図3に示すように、梁25にせん断力F1が作用すると、梁25のウェブ26等がx軸方向に波状に変位する場合がある。x軸方向に波状に変位したウェブ26における、y軸の座標がある値であったとき、x軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位がsin(π(x+λsin(πy/b))/a)の式で表されると仮定する。このとき、ウェブ26のx軸方向に波状に変位したウェブ26のx軸方向の波長は、2aになる。ウェブ26のx軸方向の半波長(波長の半分の長さ)は、aになる。
図5は、梁25のx軸方向の長さが半波長aである部分の梁25の全領域における面外変位Wを示す図である。
図6に、梁25にせん断力F1が作用したときの状態を実線で示す。図6中に点線で示すのは、梁25にせん断力F1が作用していないときの状態である。
ウェブ26にせん断力F1が作用している場合、従来はフーリエ級数を用いてウェブ26の面外変位を推定していた。
発明者らは、三角関数を用いつつも、フーリエ級数よりも少ない項数で、x軸の座標がある値であったとき、y軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位(第1面外変位)wを推定できる関数を複数検討した。なお、面外変位wは、y軸の座標の関数であり、x軸の座標の関数ではない(x軸上のある座標における関数である)。
その結果、梁25にせん断力F1が作用する場合、x軸の座標がある値であったとき、y軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位wは(10)式により、フーリエ級数よりも少ない項数で推定されることを見出した。ただし、Nは2以上の自然数であり、a,a,bは未定係数である。
(10)式は、y軸の座標の累乗関数を用いた三角関数による項を含む。cosπ(2y/b及びcos(π/2)(2y/bは、基底となる。(10)式は、ウェブ26等の板要素の面外変位の推定に好ましく用いることができる。
Figure 2022111579000002
一方で、x軸の座標が任意の値であったとき、y軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位(第2面外変位)Wは、(11)式により推定される。(11)式は、前述のように、ウェブ26における、y軸の座標がある値であったとき、x軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位がsin(π(x+λsin(πy/b))/a)の式で表される、という仮定に基づく。ただし、(11)式における未定係数λは、y軸方向の位相のずれを表す実数である。
なお、図3の面外変位Wは、図5の面外変位Wをx軸方向に繰り返したものである。面外変位Wは、y軸の座標及びx軸の座標それぞれの関数であり、ウェブ26の弾性座屈耐力を推定する際に用いられる。
なお、(11)式に(10)式を代入すると、(12)式が得られる。
Figure 2022111579000003
また、前記仮定から、上フランジ27のz軸の所定の座標における面外変位Wf1は(14)式により推定され、下フランジ28のz軸の所定の座標における面外変位Wf2は(15)式により推定される。
(14)式及び(15)式は、y軸の座標の累乗関数を用いた三角関数による項を含む。
Figure 2022111579000004
算出方法では、梁25にせん断力F1が作用する場合において、ウェブ26の面外変位Wを(12)式により推定し、上フランジ27の面外変位Wf1を(14)式により推定し、下フランジ28の面外変位Wf2を(15)式により推定する。
ここで、エネルギー法に基づいて、座屈変形によりウェブ26内で生じる歪エネルギーUは(17)式のように表され、フランジ27,28の歪エネルギーUは(18)式のように表される。
Figure 2022111579000005
ただし、ウェブ26の板剛性Dは(19)式のように表される。フランジ27,28の板剛性Dは(20)式のように表される。梁25の弾性座屈耐力を、τcrとする。
関数δは、座屈が発生した時のウェブ26のx軸方向の変形を表現した関数であり、下フランジ28の中心に対する上フランジ27の中心に生じるx軸方向変位をδとして(21)式のように表される。
Figure 2022111579000006
また、ウェブ26の外力ポテンシャルエネルギーVは(28)式のように表され、フランジ27,28の外力ポテンシャルエネルギーVは(29)式のように表される。
Figure 2022111579000007
梁25の全ポテンシャルエネルギーΠは、ひずみエネルギー及び外力ポテンシャルエネルギーの和として、(30)式のように表される。
Figure 2022111579000008
算出方法では、梁25の弾性座屈耐力τcrを、ウェブ26の面外変位W及びフランジ27,28の面外変位Wf1、Wf2からエネルギー法に基づいて求める。すなわち、算出方法では、(31)式から(33)式を用いて、(34)式による弾性座屈耐力τcrに最小の正の値を与える実数であるa,b,λ及び半波長aに基づいて、弾性座屈耐力τcrを求める。
Figure 2022111579000009
具体的には、半波長a及び未定係数λを定数として扱った状態で、前記全ポテンシャルエネルギーΠを未定係数a,bで偏微分した関数が0に等しいことを表す方程式を連立させて、実数であるa,bを求める。連立方程式の解となるa,bの組が複数ある場合には、a,bの複数の組のうち、(34)式による弾性座屈耐力τcrに最小の正の値を与えるa,bの組に基づいて(a,bの組を(34)式に代入して)弾性座屈耐力τcrを求める。次に、半波長a及び未定係数λを変数として扱い、前記a,bの組が求められた全ポテンシャルエネルギーΠを半波長a、未定係数λで偏微分した関数が0に等しいことを表す方程式から、半波長a及び未定係数λを求める。以上のように求められた前記a,bの組及び半波長a及び未定係数λに基づいて求められた弾性座屈耐力τcrが、求める弾性座屈耐力τcrとなる。
連立方程式の解となる未定係数a,bの組が1つのみの場合には、a,bの組が(34)式による弾性座屈耐力τcrに最小の正の値を与える場合に、a,bの組に基づいて弾性座屈耐力τcrを求める。次に、半波長a及び未定係数λを変数として扱い、前述のように弾性座屈耐力τcrを求める。
弾性座屈耐力τcrは、梁25のウェブ26と一対のフランジ27,28との連成座屈を考慮した耐力である。
〔3.梁に曲げモーメントが作用する場合の弾性座屈耐力〕
次に、梁25に曲げモーメントが作用する場合の弾性座屈耐力の算出方法について、梁25にせん断力が作用する場合の弾性座屈耐力の算出方法とは異なる点について説明する。この場合の算出方法では、図7に示すように、梁25の位置座標を、x軸、y軸、及びz軸で構成する右手系の直交座標系に基づいて認識する。
この場合、図7及び図8に示すように、下フランジ28(一対のフランジのうちの一方)におけるy軸方向の中心の位置を、y軸の原点と規定する。y軸の原点から上フランジ27(一対のフランジのうちの他方)に向かう向きを、y軸の正の向きと規定する。
図7に示すように、梁25のx軸方向の端面25aにそれぞれz軸回りの曲げモーメントF2が作用すると、梁25が座屈する場合がある。なお、曲げモーメントF2は、梁25のx軸方向の全長さにわたって伝達される。伝達された曲げモーメントF2は、梁25の中立軸を通りz軸に平行な軸線(以下、曲げモーメントF2の回転軸と言う)回りに作用する。
梁25のx軸方向の各端面25aに作用する曲げモーメントF2は、互い等しい大きさの外力である。
この例では、下フランジ28が曲げモーメントF2により引張力を受け、上フランジ27が曲げモーメントF2により圧縮力を受け、梁25が下方に向かって凸となって曲がるように、梁25に曲げモーメントF2が作用している。
この場合、ウェブ26のx軸方向の第1端(x軸方向の端面25aの一方)に向かうに従い、ウェブ26がz軸の正の向き及びz軸の負の向きに交互に変位して、ウェブ26が全体としてx軸方向に波状に変位する。ウェブ26に対応して、圧縮力を受ける上フランジ27が波状に変位するが、引張力を受ける下フランジ28はほとんど変位しない。
この算出方法では、梁25に曲げモーメントが作用する場合の弾性座屈耐力を推定する際に、前記1から6の仮定を行っている。
図7に示すように、梁25に曲げモーメントF2が作用すると、梁25のウェブ26等がx軸方向に波状に変位する場合がある。x軸方向に波状に変位したウェブ26における、y軸の座標がある値であったとき、x軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位がsin(πx/a)の式で表されると仮定する。このとき、ウェブ26のx軸方向に波状に変位したウェブ26のx軸方向の波長は、2aになる。ウェブ26のx軸方向の半波長(波長の半分の長さ)は、aになる。
図9は、梁25のx軸方向の長さが半波長aである部分の梁25の全領域における面外変位Wを示す図である。
図10に、梁25に曲げモーメントF2が作用したときの状態を実線で示す。図10中に点線で示すのは、梁25に曲げモーメントF2が作用していないときの状態である。
ウェブ26に曲げモーメントF2が作用している場合、従来はフーリエ級数を用いてウェブ26の面外変位を推定していた。
発明者らは、三角関数を用いつつも、フーリエ級数よりも少ない項数で、x軸の座標がある値であったとき、y軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位(第1面外変位)wを推定できる関数を複数検討した。
その結果、梁25に曲げモーメントF2が作用する場合、x軸の座標がある値であったとき、y軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位wは(40)式により、フーリエ級数よりも少ない項数で推定されることを見出した。ただし、Nは2以上の自然数であり、a,a,bは未定係数である。
(40)式は、y軸の座標の累乗関数を用いた三角関数による項を含む。cos(2πy/b )及びsin(πy/b )は、基底となる。(40)式は、ウェブ26等の板要素の面外変位の推定に好ましく用いることができる。
Figure 2022111579000010
一方で、x軸の座標が任意の値であったとき、y軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位(第2面外変位)Wは、(41)式により推定される。(41)式は、前述のように、ウェブ26における、y軸の座標がある値であったとき、x軸のある座標におけるz軸方向に向けたウェブ26の面外変位がsin(πx/a)の式で表される、という仮定に基づく。
なお、図7の面外変位Wは、図9の面外変位Wをx軸方向に繰り返したものである。面外変位Wは、y軸の座標及びx軸の座標それぞれの関数であり、ウェブ26の弾性座屈耐力を推定する際に用いられる。
なお、(41)式に(40)式を代入すると、(42)式が得られる。
Figure 2022111579000011
また、前記仮定から、上フランジ27のz軸の所定の座標における面外変位Wf1は(44)式により推定され、下フランジ28のz軸の所定の座標における面外変位Wf2は(45)式により推定される。
(44)式及び(45)式は、y軸の座標の累乗関数を用いた三角関数による項を含む。
Figure 2022111579000012
算出方法では、梁25に曲げモーメントが作用する場合において、ウェブ26の面外変位Wを(42)式により推定し、上フランジ27の面外変位Wf1を(44)式により推定し、下フランジ28の面外変位Wf2を(45)式により推定する。
ここで、エネルギー法に基づいて、座屈変形によりウェブ26内で生じる歪エネルギーUは(47)式のように表され、フランジ27,28の歪エネルギーUは(48)式のように表される。
Figure 2022111579000013
ただし、ウェブ26の板剛性Dは(49)式のように表される。フランジ27,28の板剛性Dは(50)式のように表される。曲げモーメントF2が作用するウェブ26の応力関数σは、梁25の弾性座屈耐力をσcrとして(51)式のように表される。ただし、応力関数σは圧縮を正とする。
関数δは、座屈が発生した時のウェブ26のy軸のある座標におけるx軸方向の変位であり、下フランジ28の中心に生じるx軸方向変位をδとして(52)式のように表される。
Figure 2022111579000014
応力関数σf1,σf2は、曲げモーメントF2が作用するフランジ27,28それぞれの応力関数である。応力関数σf1は-σcrに等しく、応力関数σf2はσcrに等しい。ただし、応力関数σf1,σf2は圧縮を正とする。
関数δf1,δf2は、座屈が発生した時のフランジ27,28のx軸方向の変位を表現した関数である。関数δf1は-δに等しく、関数δf2はδに等しい。
また、ウェブ26の外力ポテンシャルエネルギーVは(58)式のように表され、フランジ27,28の外力ポテンシャルエネルギーVは(59)式のように表される。
Figure 2022111579000015
梁25の全ポテンシャルエネルギーΠは、ひずみエネルギー及び外力ポテンシャルエネルギーの和として、(60)式のように表される。
Figure 2022111579000016
算出方法では、梁25の弾性座屈耐力σcrを、ウェブ26の面外変位W及びフランジ27,28の面外変位Wf1、Wf2からエネルギー法に基づいて求める。すなわち、算出方法では、(61)式から(64)式を用いて、(65)式による弾性座屈耐力σcrに最小の正の値を与える実数であるa,b及び半波長aに基づいて、弾性座屈耐力σcrを求める。
Figure 2022111579000017
具体的には、半波長aを定数として扱った状態で、前記全ポテンシャルエネルギーΠを未定係数a,bで偏微分した関数が0に等しいことを表す方程式を連立させて、実数であるa,bを求める。連立方程式の解となるa,bの組が複数ある場合には、a,bの複数の組のうち、(65)式による弾性座屈耐力σcrに最小の正の値を与えるa,bの組に基づいて(a,bの組を(65)式に代入して)弾性座屈耐力σcrを求める。次に、半波長aを変数として扱い、前記a,bの組が求められた全ポテンシャルエネルギーΠを半波長aで偏微分した関数が0に等しいことを表す方程式から、半波長aを求める。以上のように求められた前記a,bの組及び半波長aに基づいて求められた弾性座屈耐力σcrが、求める弾性座屈耐力σcrとなる。
連立方程式の解となる未定係数a,bの組が1つのみの場合には、a,bの組が(65)式による弾性座屈耐力σcrに最小の正の値を与える場合に、a,bの組に基づいて弾性座屈耐力σcrを求める。次に、半波長aを変数として扱い、前述のように弾性座屈耐力σcrを求める。
弾性座屈耐力σcrは、梁25のウェブ26と一対のフランジ27,28との連成座屈を考慮した耐力である。
〔4.床構造の断面性能及び居住性の検討〕
次に、床構造の断面性能及び居住性を高める検討を行った結果について説明する。
〔4.1.解析条件〕
図11に示す床構造2を用いて検討を行った。床構造2が備える複数の大梁15の一部(以下、大梁15Aとも言う)に沿う軸をX軸と規定する。床構造2が備える、複数の大梁15の残部(以下、大梁15Bとも言う)、及び複数の小梁25に沿う軸をY軸と規定する。X軸及びY軸にそれぞれ直交する軸を、Z軸と規定する。
床構造2の構成及び境界条件を、以下のように設定した。
(構成)
・柱部材10は、CFT製(800×800×28)である。柱部材10を、大梁15の上下端から上下に±500mmの範囲で、剛棒としてモデル化した。
・柱部材10のX軸方向のピッチL1は、19,200mmである。
・柱部材10のY軸方向のピッチは、L2(変数)である。
・大梁15Aとして、断面寸法が900×400×19×32の溶接組立H形鋼を用いた。
・大梁15Bとして、断面寸法が900×350×22×40の溶接組立H形鋼を用いた。
・大梁15は、柱部材10に剛接合されている。
・複数の小梁25は、ピッチL3で配置されている。
・床スラブ35は、デッキ合成スラブである。
・デッキプレートとして、複数の山が形成されたEZ75(日鉄建材株式会社製)を用いる。
・デッキプレートでは、厚さtが1.2mm、高さが75mm(図12参照)である。デッキプレートによる単位面積当たりの荷重は、142.1N/mである。
・X軸方向の幅が3,200mmである図示しないデッキプレートを、X軸方向に6枚並べた。
・コンクリートは、軽量コンクリートである。コンクリートの設計基準強度は18N/mm、比重は2.0、コンクリートによる単位面積当たりの荷重は2,420N/mである。コンクリートのヤング係数Eは、鋼のヤング係数Eの(1/15)であり、205,000/15=13,667N/mmである。
・山上コンクリート厚さは、85mm(図12参照)である。
・図12に示す床スラブ35を、例えば下記の引用文献を参考にモデル化した。図13に示すように、デッキプレート36Aを山の無い平坦形状で、コンクリート37Aの厚さを122.5mmの等価な床スラブ35Aに簡略化した。
・引用文献:會田他、「デッキプレートスラブの固有振動解析と平板への換算に関する検討」、日本建築学会技術報告集、第21巻、第47号、p.171-176、2015年2月
・図14に示すように、小梁25は、大梁15にガセットプレート19を介して接合される。
・小梁25の第2ウェブ26とガセットプレート19が重なる部分について、両者の変位が共有されるようにモデル化した。
(境界条件)
・大梁15の中心軸(通り芯)上に、対称条件の境界条件を与えた。
大梁15Bについては、X軸方向の変位を拘束し、Y軸及びZ軸方向の変位を自由とした。大梁15Bについては、Y軸回りの回転を自由とし、X軸及びZ軸回りの回転を拘束した。
大梁15Aについては、Y軸方向の変位を拘束し、X軸及びZ軸方向の変位を自由とした。大梁15Aについては、Y軸回りの回転を自由とし、X軸及びZ軸回りの回転を拘束した。
・積載荷重として、長期Plongを4,900N/mとし、床振動評価Pvibを(Plong/3)とした。
床構造2の解析モデルの斜視図を、図15に示す。図16には、床スラブ35Aを透過させた斜視図を示す。
FEM解析により、床構造2の振動解析を行った。そして、合成梁構造3の1次振動モードの振動数(固有振動数)ffloor,1stを求めた。さらに、小梁25において第2ウェブ26の上端部を中心として第2下フランジ28が回動して振動するモードの1次振動モードの振動数fbeam,1stを求めた。
小梁25としては、表1に示す梁ケース1から梁ケース10の仕様で解析を行った。
Figure 2022111579000018
例えば、梁ケース1は、溶接組立H形鋼である小梁25である。小梁25の断面寸法は、400×150×4.5×4.5である。小梁25のスパン(長さ)lは、4.8mである。小梁25のスパンは、前記ピッチL2に相当する。すなわち、小梁25のスパンlを、4.8m、6.4m、7.2m、9.6m、10.8mと変化させた。
〔4.2.小梁に対応する基準梁の選定方法〕
基準梁を選定するに当たり、表2に示すように、床スラブ35の単位面積当たりの質量Wを、2,562N/mとした。積載荷重Wは、床構造2を備える建築物が事務室に用いられるとして、建築基準法に基づいて4,900N/mとした。なお、積載荷重Wを2,900N/mとしてもよい。なお、建築物が住宅、自動車車庫等に用いられるとして、積載荷重Wを設定してもよい。
小梁25に対応する、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比が1以下で最も高いJIS G 3192:2014 「熱間圧延形鋼の形状,寸法,質量及びその許容差」の規格(以下、単にJIS規格と言う)による圧延H形鋼を、基準梁と規定した。
所定の外力は、小梁25の負担幅bに対応する床スラブ35の質量と、小梁25の負担幅bに対応する積載荷重Wと、小梁25の自重(質量)との和である。負担幅bは、床構造2が、複数の大梁15で取り囲まれた領域に複数の小梁25を有する場合には、小梁25のピッチL3である。床構造2が、複数の大梁15で取り囲まれた領域に1本の小梁25を有する場合には、L1/2である。
本検討では、負担幅bを、3.2mとした。
この場合、床構造2に作用する等分布荷重wは、(70)式により得られる。
(W+W)×b ・・(70)
小梁25に作用する曲げモーメントMは、(71)式により得られる。
(w/1000)×l/8 ・・(71)
小梁25に作用するせん断力Qは、(72)式により得られる。
(w/1000)×l/2 ・・(72)
表2に、梁ケース1から梁ケース10で断面性能等を求めた結果を示す。
Figure 2022111579000019
表2に示すように、例えば、梁ケース1の断面性能等として、全断面の断面積Aは3,110mmと求められる。ウェブ26の断面積Aは、1,760mmと求められる。小梁25の断面二次モーメントIは、7.52×10mmと求められる。なお、例えば、7.52E+7は、7.52×10を意味する。小梁25の断面係数Zは、3.76×10mmと求められる。
小梁25の単位長さ当たりの質量は、24.4kg/mと求められる。
前記応答値は、表3に示す曲げ応答値σb1(N/mm)と、せん断応答値τs1(N/mm2)と、たわみ応答値δ(mm)と、を有する。
Figure 2022111579000020
曲げ応答値σb1は、小梁25、基準梁に所定の外力が作用することにより生じる曲げモーメントによる(曲げモーメントに対する)応答値である。曲げ応答値σb1は、(74)式により得られる。
σb1=M/Z×10 ・・(74)
せん断応答値τs1は、小梁25、基準梁に所定の外力が作用することにより生じるせん断力による(せん断力に対する)応答値である。せん断応答値τs1は、(75)式により得られる。
τs1=Q×10/A ・・(75)
たわみ応答値δは、小梁25、基準梁に所定の外力が作用することにより生じるたわみ(たわみの最大値)による(基準梁に所定の外力が作用することにより生じる)応答値である。たわみ応答値δは、(76)式により得られる。
δ=5w(l×10/(384×205000×I×10) ・・(76)
前記許容値は、曲げ許容値σb2(N/mm)と、せん断許容値τs2(N/mm)と、たわみ許容値δ(mm)と、を有する。
曲げ許容値σb2は、小梁25、基準梁に作用する曲げモーメントに対する長期許容応力度(基準梁に作用する曲げモーメントに対する許容値)である。言い換えれば、曲げ許容値σb2は、小梁25、基準梁の降伏強度σby、及び小梁25、基準梁に曲げモーメントが作用するときの弾性座屈耐力σcrのうち、小さい値を安全率で割った値である。小梁25、基準梁の降伏強度σbyは、小梁25、基準梁の設計基準強度Fに等しい。本発明における小梁25は、熱間圧延鋼帯で形成される。従来の熱間圧延鋼帯で形成される建築用鋼材と同様に、製造段階においてコイル状への巻取り、及び平板状への巻戻し加工が発生することを踏まえ、本発明における小梁25の降伏強度σbyは、295N/mmとなる。一方、基準梁の降伏強度σbyは、基準梁が従来の熱間圧延形鋼であり、製造段階において巻取りや巻戻し加工が発生しないことを踏まえ、例えば235N/mmである。
小梁25、基準梁の弾性座屈耐力σcrは、〔3.〕で述べた算出方法から求められる。例えば、安全率は1.5である。
せん断許容値τs2は、小梁25、基準梁に作用するせん断力に対する長期許容応力度(小梁25、基準梁に作用するせん断力に対する許容値)である。言い換えれば、せん断許容値τs2は、小梁25、基準梁の降伏強度σbyを√3で割った値、及び小梁25、基準梁にせん断力が作用するときの小梁25、基準梁の弾性座屈耐力τcrのうち、小さい値を安全率で割った値である。小梁25、基準梁の弾性座屈耐力τcrは、〔2.〕で述べた算出方法から求められる。
たわみ許容値δは、小梁25、基準梁に許容されるたわみ(小梁25、基準梁に許容される許容値)である。例えば、たわみ許容値δは、小梁25、基準梁の長さを300で割った値である。
そして、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比(以下、応答値比と言う)とは、以下の3つの比のことを意味する。
1つ目の比は、曲げ許容値σb2に対する曲げ応答値σb1の比である曲げ許容値比C(σb1/σb2)である。2つ目の比は、せん断許容値τs2に対するせん断応答値τs1の比であるせん断許容値比C(τs1/τs2)である。3つ目の比は、たわみ許容値δに対するたわみ応答値δの比であるたわみ許容値比C(δ/δ)である。
応答値比が1以下で最も高いJIS規格による圧延H形鋼が、基準梁として選定される。
梁ケース2は、小梁25である梁ケース1に対する基準梁の候補である。同様に、梁ケース4は梁ケース3に対する基準梁の候補であり、梁ケース6は梁ケース5に対する基準梁の候補であり、梁ケース8は梁ケース7に対する基準梁の候補であり、梁ケース10は梁ケース9に対する基準梁の候補である。
表4に、梁ケース2,4,6,8,10における許容値比C,C,C等を示す。
Figure 2022111579000021
なお、許容値比C,C,Cの最大値を、許容値Cと規定する。
梁ケース2の許容値Cが、0.91である。梁ケース2は、梁ケース1に対する基準梁として選ばれ得る基準梁が複数存在する場合には、複数の基準梁の中で、許容値Cが最も高い。梁ケース2は、梁ケース1に対する基準梁として選ばれ得る基準梁が1つのみ存在する場合には、その1つの基準梁である。これらのことから、梁ケース2は、小梁25である梁ケース1に対する基準梁となることが分かる。同様に、梁ケース4,6,8,10は、梁ケース3,5,7,9に対する基準梁となることが分かる。
〔4.3.1次振動モードの振動数の比較結果〕
表4に、小梁25である梁ケース1,3,5,7,9について、合成梁構造3の1次振動モードの振動数ffloor,1st及び小梁25の下フランジ28の1次振動モードの振動数fbeam,1stを求めた結果を示す。このとき、梁ケース1,3,5,7,9では、(80)式を満たす。
floor,1st≦fbeam,1st ・・(80)
例えば、梁ケース1では、合成梁構造3の振動数ffloor,1stである8.7Hzは、小梁25の下フランジ28の振動数fbeam,1stである18.0Hz以下であり、(80)式を満たす。
〔4.4.質量に対する断面二次モーメントの比の比較結果〕
以下では、質量に対する断面二次モーメントの比を、断面二次モーメント比と言う。なお、断面二次モーメント比は、小梁25の材軸方向の単位長さ当たりの、質量に対する断面二次モーメントの比であってもよい。
表4に示すように、小梁25である梁ケース1の断面二次モーメント比は、6.42×10mm/kgであり、基準梁である梁ケース2の断面二次モーメント比は、4.09×10mm/kgである。従って、基準梁である梁ケース2の断面二次モーメント比に対して、小梁25である梁ケース1の断面二次モーメント比が大きい。梁ケース2の断面二次モーメント比に対する、梁ケース1の断面二次モーメント比の割合は、157%である。
梁ケース4に対する梁ケース3の断面二次モーメント比の関係、梁ケース6に対する梁ケース5の断面二次モーメント比の関係、梁ケース8に対する梁ケース7の断面二次モーメント比の関係、梁ケース10に対する梁ケース9の断面二次モーメント比の関係も、それぞれ同様である。
なお、本実施形態の床構造2を設計する設計方法では、(80)式を満たし、基準梁の断面二次モーメント比に対して、小梁25の断面二次モーメント比が大きくなるように設計する。
また、本実施形態の床構造2を施工する施工方法では、(80)式を満たし、基準梁の断面二次モーメント比に対して、小梁25の断面二次モーメント比が大きくなるように施工する。
図17及び図18に、梁ケース2における解析結果の一例を示す。図18では、梁25の第2下フランジ28が振動していることが分かる。
図19から図21に、梁ケース4における解析結果の一例を示す。図19及び図20に示すように、床構造2全体の振動モードにおいては、床スラブ35Aの中心の変位が大きいことが分かる。図21示すように、梁25の第2下フランジ28の振動モードにおいては、梁25の第2下フランジ28の振動の変位が大きいことが分かる。
以上説明したように、一般的に、床構造の居住性の観点から問題となるのは、床構造上を人が歩行する際に生じる振動である。通常、人の歩行が加振源となる場合の振動数は、2Hz程度の低い振動数が卓越するような特性を持つ。通常、振動数ffloor,1st及び振動数fbeam,1stは、加振源となる人の振動数より大きい。
本実施形態の床構造2、設計方法、及び施工方法では、(80)式を満たすことにより、人の歩行による振動数と振動数ffloor,1stとの差よりも、人の歩行による振動数と振動数fbeam,1stとの差が大きくなる。従って、人の歩行による加振を受けても、複数の大梁15、複数の小梁25、及び床スラブ35全体に比べて、小梁25の第2下フランジ28が第2ウェブ26の上端部を中心として振動し難くなる。下フランジ28が振動し易いと、第2ウェブ26を厚くしたり、振止材を用いたりして、下フランジ28の振動を抑制する必要が生じるが、本発明ではその必要が生じないため、小梁25や床構造2全体としての質量が大きくなり過ぎるのが抑制される。小梁25の第2下フランジ28が振動し難くなることにより、床構造2の居住性を確保することができる。
また、小梁25に対応して、所定の外力に対する応答値が許容値以下であるJIS規格による圧延H形鋼が、基準梁と規定される。この基準梁に対して本実施形態の小梁25は、断面性能を表す指標の1つとして、断面二次モーメント比が大きい。これにより、小梁25の質量に対する断面性能の比を大きくすることができる。
所定の外力に対する応答値が許容値以下であるとは、曲げ応答値σb1が曲げ許容値σb2以下であり、せん断応答値τs1がせん断許容値τs2以下であり、たわみ応答値δがたわみ許容値δ以下であることを意味する。
一般的に、小梁25に対応する基準梁の使用時には、軸力に比べて、曲げモーメント及びせん断力が作用しやすい。従って、基準梁に作用しやすい曲げモーメント及びせん断力、そして基準梁に生じるたわみを指標とした曲げ応答値σb1、せん断応答値τs1、たわみ応答値δ、曲げ許容値σb2、せん断許容値τs2、及びたわみ許容値δを用いて、基準梁をより正確に選ぶことができる。
曲げ許容値σb2は、基準梁の降伏強度σby及び弾性座屈耐力σcrのうち、小さい値を安全率で割った値であり、せん断許容値τs2は、基準梁の降伏強度σbyを√3で割った値及び弾性座屈耐力τcrのうち、小さい値を安全率で割った値であり、たわみ許容値δは、基準梁の長さを300で割った値である。これにより、降伏強度、連成座屈を考慮した弾性座屈耐力τcr,σcr、及び安全率を考慮して、曲げ許容値σb2及びせん断許容値τs2を好ましい値に設定することができる。また、たわみ許容値δを好ましい値に設定することができる。
所定の外力は、小梁25の負担幅bに対応する床スラブ35の質量と、小梁25の負担幅bに対応する積載荷重Wと、小梁25の自重との和である。このため、所定の外力を、負担幅b、床スラブ35の質量、積載荷重、及び小梁25の自重を用いて具体的に規定することができる。
弾性座屈耐力τcr,σcrを、ウェブ26における面外変位W及びフランジ27,28における面外変位Wf1、Wf2からエネルギー法に基づいて求める。従って、エネルギー法に基づいて、ウェブ26における面外変位W及びフランジ27,28における面外変位Wf1、Wf2から弾性座屈耐力τcr,σcrを効率的に求めることができる。
なお、基準梁に対して、小梁25は、材軸方向の長さに対する質量の比が小さくてもよい。このように構成することにより、基準梁に対して小梁25を、断面二次モーメント比を大きくすることに加えて、材軸方向の長さに対する質量の比を小さくすることができる。従って、小梁25を、より断面性能の高い梁とすることができる。
なお、基準梁に対する、小梁25の材軸方向の長さに対する質量の比は、30%以上小さいことが好ましい。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
2 床構造
10 柱部材
15 大梁
25 小梁
26 第2ウェブ(ウェブ)
28 第2下フランジ(下フランジ)
35 床スラブ

Claims (12)

  1. 複数の柱部材と、
    前記複数の柱部材に架設される複数の大梁と、
    前記複数の大梁で取り囲んだ内側に設けられ、前記複数の大梁に架設される小梁と、
    前記複数の大梁及び前記小梁の上方に設けられる床スラブと、
    を備える床構造において、
    前記小梁は、溶接組立H形鋼であり、
    前記複数の大梁、前記小梁、及び前記床スラブの1次振動モードの振動数をffloor,1st、前記小梁においてウェブの上端部を中心として下フランジが回動して振動するモードの振動数をfbeam,1stと規定し、
    前記小梁に対応する、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比が1以下で最も高い、JIS G 3192の規格による圧延H形鋼を、基準梁と規定したときに、
    (1)式を満たし、
    前記基準梁に対して、前記小梁は、質量に対する断面二次モーメントの比が大きい、床構造。
    floor,1st≦fbeam,1st ・・(1)
  2. 前記応答値は、
    前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じる曲げモーメントに対する曲げ応答値と、
    前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じるせん断力に対するせん断応答値と、
    前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じるたわみ応答値と、
    を有し、
    前記許容値は、
    前記基準梁に作用する曲げモーメントに対する曲げ許容値と、
    前記基準梁に作用するせん断力に対するせん断許容値と、
    前記基準梁に許容されるたわみ許容値と、
    を有し、
    前記所定の外力を受けたときの、前記許容値に対する前記応答値の比が1以下で最も高いとは、前記曲げ許容値に対する前記曲げ応答値の比である曲げ許容値比が1以下であり、前記せん断許容値に対する前記せん断応答値の比であるせん断許容値比が1以下であり、前記たわみ許容値に対する前記たわみ応答値の比であるたわみ許容値比が1以下であり、前記曲げ許容値比、前記せん断許容値比、及び前記たわみ許容値比の最大値が最も高いことを意味する、請求項1に記載の床構造。
  3. 前記曲げ許容値は、前記基準梁の降伏強度、及び前記基準梁に曲げモーメントが作用するときの前記基準梁のウェブと一対のフランジとの連成座屈を考慮した弾性座屈耐力のうち、小さい値を安全率で割った値であり、
    前記せん断許容値は、前記基準梁の降伏強度を√3で割った値、及び前記基準梁にせん断力が作用するときの前記基準梁のウェブと一対のフランジとの連成座屈を考慮した弾性座屈耐力のうち、小さい値を安全率で割った値であり、
    前記たわみ許容値は、前記基準梁の長さを300で割った値である、請求項2に記載の床構造。
  4. 前記基準梁に対して、前記小梁は、前記小梁の材軸方向の長さに対する質量の比が小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の床構造。
  5. 前記所定の外力は、前記小梁の負担幅に対応する前記床スラブの質量と、前記小梁の前記負担幅に対応する積載荷重と、前記小梁の自重との和である、請求項1から4のいずれか一項に記載の床構造。
  6. 複数の柱部材と、
    前記複数の柱部材に架設される複数の大梁と、
    前記複数の大梁で取り囲んだ内側に設けられ、前記複数の大梁に架設される小梁と、
    前記複数の大梁及び前記小梁の上方に設けられる床スラブと、
    を備える床構造を設計する床構造の設計方法において、
    前記小梁は、溶接組立H形鋼であり、
    前記複数の大梁、前記小梁、及び前記床スラブの1次振動モードの振動数をffloor,1st、前記小梁においてウェブの上端部を中心として下フランジが回動して振動するモードの1次振動モードの振動数をfbeam,1stと規定し、
    前記小梁に対応する、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比が1以下で最も高い、あるJIS G 3192の規格による圧延H形鋼を、基準梁と規定したときに、
    (2)式を満たし、
    前記基準梁に対して、前記小梁は、質量に対する断面二次モーメントの比が大きくなるように設計する、床構造の設計方法。
    floor,1st≦fbeam,1st ・・(2)
  7. 前記応答値は、
    前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じる曲げモーメントに対する曲げ応答値と、
    前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じるせん断力に対するせん断応答値と、
    前記基準梁に前記所定の外力が作用することにより生じるたわみ応答値と、
    を有し、
    前記許容値は、
    前記基準梁に作用する曲げモーメントに対する曲げ許容値と、
    前記基準梁に作用するせん断力に対するせん断許容値と、
    前記基準梁に許容されるたわみ許容値と、
    を有し、
    前記所定の外力を受けたときの、前記許容値に対する前記応答値の比が1以下で最も高いとは、前記曲げ許容値に対する前記曲げ応答値の比である曲げ許容値比が1以下であり、前記せん断許容値に対する前記せん断応答値の比であるせん断許容値比が1以下であり、前記たわみ許容値に対する前記たわみ応答値の比であるたわみ許容値比が1以下であり、前記曲げ許容値比、前記せん断許容値比、及び前記たわみ許容値比の最大値が最も高いことを意味する、請求項6に記載の床構造の設計方法。
  8. 前記曲げ許容値は、前記基準梁の降伏強度、及び前記基準梁に曲げモーメントが作用するときの前記基準梁のウェブと一対のフランジとの連成座屈を考慮した弾性座屈耐力のうち、小さい値を安全率で割った値であり、
    前記せん断許容値は、前記基準梁の降伏強度を√3で割った値、及び前記基準梁にせん断力が作用するときの前記基準梁のウェブと一対のフランジとの連成座屈を考慮した弾性座屈耐力のうち、小さい値を安全率で割った値であり、
    前記たわみ許容値は、前記基準梁の長さを300で割った値である、請求項7に記載の床構造の設計方法。
  9. 前記基準梁に対して、前記小梁は、前記小梁の材軸方向の長さに対する質量の比が小さい、請求項6から8のいずれか一項に記載の床構造の設計方法。
  10. 前記所定の外力は、前記小梁の負担幅に対応する前記床スラブの質量と、前記小梁の前記負担幅に対応する積載荷重と、前記小梁の自重との和である、請求項6から9のいずれか一項に記載の床構造の設計方法。
  11. 前記弾性座屈耐力を、前記ウェブにおける面外変位及び前記一対のフランジにおける面外変位からエネルギー法に基づいて求める、請求項8に記載の床構造の設計方法。
  12. 複数の柱部材と、
    前記複数の柱部材に架設される複数の大梁と、
    前記複数の大梁で取り囲んだ内側に設けられ、前記複数の大梁に架設される小梁と、
    前記複数の大梁及び前記小梁の上方に設けられる床スラブと、
    を備える床構造を施工する床構造の施工方法において、
    前記小梁は、溶接組立H形鋼であり、
    前記複数の大梁、前記小梁、及び前記床スラブの1次振動モードの振動数をffloor,1st、前記小梁においてウェブの上端部を中心として下フランジが回動して振動するモードの1次振動モードの振動数をfbeam,1stと規定し、
    前記小梁に対応する、所定の外力を受けたときの、許容値に対する応答値の比が1以下で最も高い、あるJIS G 3192の規格による圧延H形鋼を、基準梁と規定したときに、
    (3)式を満たし、
    前記基準梁に対して、前記小梁は、質量に対する断面二次モーメントの比が大きくなるように施工する、床構造の施工方法。
    floor,1st≦fbeam,1st ・・(3)
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