JP2022111134A - 水性ボールペン - Google Patents

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Abstract

【課題】 マイクロカプセル顔料の凝集や凝集による目詰まりを抑止して、インク流量安定性などに優れる水性ボールペンを提供する。【解決手段】 直径が0.18~2.0mmのボールを備えた水性ボールペン体に、少なくとも顔料と、融点が40℃以上、70℃以下の脂肪酸多価アルコールエステルの媒体を内包したマイクロカプセル顔料を、インク組成物全量中に5~30質量%含有するボールペン用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする水性ボールペン。【選択図】なし

Description

本発明は、酸化チタンなどの比重の大きい顔料や分散性にやや難があるカーボンブラックなどの顔料を内包したマイクロカプセル顔料を用いた筆記具用水性インク組成物に関する。
従来より、酸化チタンなどの比重の大きい顔料や分散性にやや難があるカーボンブラックなどの顔料をマイクロカプセル化して分散性等を向上させたマイクロカプセル顔料を用いた筆記具用水性インク組成物(例えば、特許文献1~3)などが知られている。
しかしながら、これらのマイクロカプセル顔料を用いた筆記具用水性インク組成物において、ボールペンなどに用いた場合に、ボール周りでマイクロカプセル顔料の凝集が生じ、凝集が更に蓄積化して目詰まりが生じ、インクの流量安定性が損なわれるなどの課題がある。
一方、本出願人は、マイクロカプセル顔料の分散性の向上、比重、粒子径を更に、任意にコントロール可能とする筆記具用水性インク組成物として、少なくとも顔料と、20℃における比重が1未満の水難溶性の媒体を内包したマイクロカプセル顔料を含有する筆記具用水性インク組成物(例えば、特許文献4)を提案している。
しかしながら、この筆記具用水性インク組成物には、脂肪酸多価アルコールエステルの開示はなく、また、本発明とは、発明の目的や課題などが相違するものである。
特開2000-265105号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平5-171095号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2010-196035公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2017-122168公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題などに鑑み、これを解消しようとするものであり、酸化チタンなどの比重の大きい顔料や分散性にやや難があるカーボンブラックなどの顔料をマイクロカプセル化したマイクロカプセル顔料を用いた場合のボール周りなどでのマイクロカプセル顔料の凝集や凝集による目詰まりを抑止して、インク流量安定性などに優れる筆記具用水性インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、筆記具用水性インク組成物において、少なくとも酸化チタンやカーボンブラックなどの顔料と、特定成分を内包したマイクロカプセル顔料を含有することにより、上記目的の筆記具用水性インク組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の筆記具用水性インク組成物は、少なくとも顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルを内包したマイクロカプセル顔料を含有することを特徴とする。
脂肪酸多価アルコールエステルの融点は、40℃以上であることが好ましく、また、70℃以下であることが好ましい。
マイクロカプセルを構成するシェル成分は、ウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンであることが好ましい。
本発明によれば、マイクロカプセル顔料の凝集や凝集による目詰まりを抑止して、インク流量安定性などに優れる筆記具用水性インク組成物が提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、少なくとも顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルを内包したマイクロカプセル顔料を含有することを特徴とするものである。
〈マイクロカプセル顔料〉
用いることができる顔料としては、その種類については特に制限はなく、筆記具用水性インク組成物等に慣用されている無機系及び有機系顔料の中から任意のものを使用することができる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラックや、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、群青などが挙げられる。
また、有機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。
好ましくは、マイクロカプセル化により、更に元の原料(顔料)よりも分散性を容易にし、比重、粒子径を任意にコントロールする点から、カーボンブラック、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、並びに、酸化チタン、酸化亜鉛などの比重の大きい顔料が望ましい。
用いる酸化チタンやカーボンブラックなどの顔料は、筆記具用インクに用いられているものであれば、その種類については特に制限はなく、また、これらの市販品があればそれらを使用することができる。
〈脂肪酸多価アルコールエステル〉
本発明において、用いる脂肪酸多価アルコールエステルは、脂肪酸と多価アルコールとから構成されるエステルである。
脂肪酸多価アルコールエステルを構成する脂肪酸としては、炭素数6~30、好ましくは炭素数8~24、特に好ましくは炭素数10~20の直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する脂肪酸が挙げられる。なお、上記炭化水素基におけるアルキル基及びアルケニル基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基における二重結合の位置は任意である。
このような脂肪酸としては、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
多価アルコールエステルを構成する多価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
用いることができる脂肪酸多価アルコールエステルとしては、例えば、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、(ポリ)エチレングリコール脂肪酸エステル、(ポリ)プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
なお、上記「(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル」とは、「グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上」の意味し、「(ポリ)エチレングリコール脂肪酸エステル」、「(ポリ)プロピレングリコール脂肪酸エステル」も同義である。
また、ポリオキシエチレン(POE)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)ソルビトール脂肪酸エステルなどのエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(n)は、本発明の効果の更なる向上の観点から、5~80が好ましく、10~60がより好ましい。
具体的な化合物としては、(ポリ)グリセリン、ソルビタン、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどの上述の脂肪酸のモノ、ジ、トリ、テトラ及びそれ以上のポリエステルが挙げられる。
また、用いる脂肪酸多価アルコールエステルは、合成品、天然品のいずれでもよく、また、種類の異なる脂肪酸或いは多価アルコールのエステル類を組み合わせて使用してもよい。
これらの脂肪酸多価アルコールエステルであれば、単独で、または、2種以上併用することができる。好ましくは、筆記時のインク流量安定性の点から、融点が40℃以上の脂肪酸多価アルコールエステルの使用が望ましい。一方、取り扱い性などの点から、用いる脂肪酸多価アルコールエステルの融点は70℃以下のものが好ましい。
なお、本発明(後述する実施例等を含む)において、融点は示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて測定した際のピークトップの温度である。例えば、示差走査熱量計(DSC8230L:Rigaku社製)を用い、5℃/minで昇温し、得られる融解のピークトップを融点とできる。
用いることできる脂肪酸多価アルコールエステルの市販品(商品名)としては、レオドールMS-50(グリセロールモノステアレート;融点55-65℃)、レオドールMO-60(グリセロールモノオレエート;融点20℃)、レオドールSP-P10(ソルビタンモノパルミテート;融点46℃)、レオドールSP-S30V(ソルビタントリステアレート;融点54.4℃)、レオドールAS-10V(ソルビタンモノステアレート;融点49-59℃)、レオドールTW-S120V〔POE(20)ソルビタンモノステアレート;融点21℃〕、レオドールTW-S106V〔POE(6)ソルビタンモノステアレート;融点38℃〕、レオドールTW-S320V〔POE(20)ソルビタントリステアレート;融点33℃〕、レオドールTW-O106V〔POE(6)ソルビタンモノオレエート;融点7.5℃〕、レオドールTW-O320V〔POE(20)ソルビタントリオレエート;融点-20℃〕、エマノーン1112(ポリエチレングリコールモノラウレート;融点10~13℃)、エマノーン3201M-V(エチレングリコールジステアレート;融点60~65℃)、エマノーン3199V(ポリエチレングリコールモノステアレート;融点56.5~61.5℃)、エマノーン3299V(ポリエチレングリコールジステアレート;融点55~58℃)、エキセパールPE-TP(ペンタエリスリトールテトラパルミテート;融点67~72℃)(以上、花王社製)、リケマールPP-100(プロピレングリコールモノパルミテート;融点30~36℃)、リケマールPS-100(融点プロピレングリコールモノステアレート;42~48℃)、リケマールPB-100(プロピレングリコールモノベヘネート;融点54~60℃)(以上尾、理研ビタミン社製)、エステパール30(ジステアリン酸トリエチレングリコール;融点44-51℃)、エステパール10V(ジステアリン酸エチレングリコール;融点58-65℃)(以上、日光ケミカルズ社製)などが挙げられる。
特に好ましい脂肪酸多価アルコールエステルは、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、プロピレングリコールモノベヘネートなどが挙げられる。
なお、本発明では、上記脂肪酸多価アルコールエステルを用いることにより構成されるマイクロカプセル顔料を筆記具用インク組成に配合した場合に、本発明の効果を発揮できるものであり、これ以外の一価の脂肪酸エステルなど、例えば、ステアリン酸ミリスチル、ミリスチン酸ミリスチルなどを用いたマイクロカプセル顔料では、本発明の効果を発揮できないものとなる(この点については更に後述する実施例等で詳述する)。
本発明に用いるマイクロカプセル顔料は、少なくとも上記顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体を内包したものであり、例えば、少なくとも上記顔料と脂肪酸多価アルコールエステルの媒体などとを含むものを、所定の平均粒子径となるように、マイクロカプセル化、具体的には、壁膜形成物質(壁材)から構成されるシェル層(殻体)に内包することにより製造することができる。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができる。
好ましくは、作製のしやすさの点、品質の点から、マイクロカプセルを構成するシェル成分がエポキシ樹脂、ウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンなどの熱硬化型樹脂が好ましく、特に好ましくは、内包する成分量を多くすることが可能であること、また内包成分の種類の制限が少ない、再分散性に優れるという理由からウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンである。
このシェル層の形成に用いられるウレタン(ポリウレタン樹脂)、ウレア(ポリウレア樹脂)、ウレアウレタン(ポリウレア樹脂/ポリウレタン樹脂)は、イソシアネート成分とアミン成分またはアルコール成分などと反応して形成されるものである。また、シェル層の形成に用いられるエポキシ樹脂は、アミン成分などの硬化剤などと反応して形成されるものである。
用いることができるイソシアネート成分としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートカプロン酸、テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-p-キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、イソシアネートアルキル2,6-ジイソシアネートカプロネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどが挙げられる。
また、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4-ビフェニル-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート等のジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート等のトリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート等のテトライソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、2,4-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。これらのイソシアネート成分は単独で用いてもよく、混合して用いても良い。
用いることができるアミン成分としては、具体的には、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタンミン、イミノビスプロピルアミン、ジアミノエチルエーテル、1,4-ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2-ヒドロキシトリメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジアミノプロピルアミン、ジアミノプロパン、2-メチルペンタメチレンジアミン、キシレンジアミン等の脂肪族系アミン、m-フェニレンジアミン、トリアミノベンゼン、3,5-トリレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノナフタレン、t-ブチルトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノフェノール等が挙げられる。中でもフェニレンジアミン、ジアミノフェノール、トリアミノベンゼンなどの芳香族系アミンが好ましい。
用いることができるアルコール成分としては、具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの水酸基を2つ以上有するポリオール等が挙げられる。これらのアルコール成分は単独で用いてもよく、混合して用いても良い。またアルコール成分とアミン成分とを混合して用いても良い。
これらのウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンによるシェル層の形成としては、例えば、1)ウレタン、ウレア及びウレタンウレアのうち少なくとも1つのモノマ成分と、上記酸化チタンやカーボンブラックなどの顔料と脂肪酸多価アルコーエステルを分散させた媒体中などにて界面重合でシェル層を形成したり、あるいは、2)イソシアネート成分とを含む油状成分(油性相)を、水系溶媒(水性相)中に分散させて乳化液を調整する乳化工程と、乳化液にアミン成分及びアルコール成分のうち少なくとも1つを添加して界面重合を行う界面重合工程とを含む製造方法により形成することができる。
上記2)の製造方法において、乳化液の調整に際しては、低沸点の溶剤が用いることができる。低沸点の溶剤としては、沸点が100℃以下のものが使用でき、例えば、n-ペンタン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、二硫化炭素、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、クロロホルム、メチルアルコール、エチルアルコール、テトラヒドロフラン、n-ヘキサン、四塩化炭素、メチルエチルケトン、ベンゼン、エチルエーテル、石油エーテル等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
一方、上記油性相を乳化させるために使用する水性相には、予め保護コロイドを含有させてもよい。保護コロイドとしては、水溶性高分子が使用でき、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができるが、ポリビニルアルコール、ゼラチンおよびセルロース系高分子化合物を含ませるのが特に好ましい。
また、水性相には、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
上記のようにして作製された油性相を水性相に加え、機械力を用いて乳化した後、必要に応じて系の温度を上昇させることにより油性液滴界面で界面重合を起こし、粒子化することができる。また、同時あるいは界面重合反応終了後、脱溶媒を行うことができる。カプセル粒子は、界面重合反応および脱溶媒を行った後、粒子を水性相から分離、洗浄した後、乾燥することなどにより得られる。
また、シェル層の形成に用いられるエポキシ樹脂は、アミン成分などの硬化剤などと反応して形成されるものであり、上記の各マイクロカプセル化法を用いて、例えば、界面重合法により形成することができる。
用いることができるエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂で、分子量、分子構造等に制限されることなく一般的に用いられているものを用いることができ、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂のようなビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等の芳香族系エポキシ樹脂、ナフタレン型多官能型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、同グリシジルエステル型エポキシ樹脂、および、シクロヘキサンポリエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂のようなシクロヘキサン誘導体等のエポキシ化によって得られる脂環族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の脂環族系エポキシ樹脂が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
本発明では、上記各形成手段でシェル層を形成することにより、少なくとも上記顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体などを内包したマイクロカプセル顔料が得られるものである。
本発明において、少なくとも上記顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体の各含有量は、分散性、比重、粒子径を任意にコントロールとする点、インクの安定性などを高度に両立することなどから変動するものであるが、マイクロカプセル成分全量(顔料+脂肪酸多価アルコールエステル+シェル層を構成するポリマー成分、以下同様)に対して、上記顔料の含有量は5~50質量%、上記脂肪酸多価アルコールエステルの含有量は、
5~70質量%とすることが好ましい。なお、上記各含有量の範囲となるようにするためには、マイクロカプセル化の際に用いる各原料(シェル層構成原料成分、顔料、脂肪酸多価アルコールなど)を好適な範囲で調整して重合することなどにより行うことができる。
用いる脂肪酸多価アルコールエステルの含有量が5質量%未満では、筆記時のインク流量安定性の効果が得られないことがあり、一方、70質量%超過では、相対的にシェル層を構成するポリマー成分が減ってしまい、マイクロカプセルとして不安定化することがあり、好ましくない。
より好ましい上記顔料の含有量は、分散性、比重、粒子径を任意に好ましくコントロールとする点などから、マイクロカプセル成分全量に対して10~35質量%である。また、より好ましい脂肪酸多価アルコールエステルの含有量は、マイクロカプセル顔料全量に対して、10~60質量%、特に好ましくは、20~50質量%である。
また、本発明において、上記顔料、脂肪酸多価アルコールエステルを少なくとも内包したマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセル顔料の用途(ボールペン用、マーキングペン用等)ごとに、平均粒子径0.1~100μmになるように調整することができ、好ましくは、0.5~20μmの範囲が上記各用途の実用性を満たすものとなる。なお、本発明(後述する実施例を含む)において、「平均粒子径」は、粒子径分布解析装置HR9320-X100(日機装株式会社製)を用いて、屈折率1.81、体積基準にて算出されたD50の値である。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
<筆記具用水性インク組成物>
本発明の筆記具用水性インク組成物は、少なくとも上記顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体等とを内包したマイクロカプセル顔料を含有することを特徴とするものであり、例えば、水性のボールペン、マーキングペンなどの筆記具用インク組成物として使用に供される。
本発明において、上記特性のマイクロカプセル顔料の含有量は、筆記具用水性インク組成物中(全量)に対して、好ましくは、5~50質量%、更に好ましくは、5~30質量%とすることが望ましい。
このマイクロカプセル顔料の含有量が5質量%未満では、上記特性のマイクロカプセル顔料特有の効果を発現せず、一方、50質量%を超えると、粘度が高くなるため、インクの流動性が低下することがあるので好ましくない。
本発明の筆記具用水性インク組成物には、上記特性のマイクロカプセル顔料の他、少なくとも上記特性のマイクロカプセル顔料以外の汎用の着色剤、水溶性溶剤が含有される。
用いることができる着色剤としては、水溶性染料、本発明の効果を損なわない範囲で顔料、例えば、無機顔料、有機顔料、プラスチックピグメント、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子は白色顔料として、または、発色性、分散性に優れる塩基性染料で染色した樹脂粒子(擬似顔料)等も適宜量使用できる。
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも本発明の効果を損なわない範囲で適宜量用いることができる。
用いることができる水溶性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3-ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、単独或いは混合して使用することができる。この水溶性溶剤の含有量は、筆記具用水性インク組成物全量中、5~40質量%とすることが望ましい。
本発明の筆記具用水性インク組成物には、上記特性のマイクロカプセル顔料、該マイクロカプセル顔料以外の着色剤、水溶性溶剤の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤、増粘剤などを適宜含有することができる。
用いることができる分散剤としては、ノニオン、アニオン界面活性剤や水溶性樹脂が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用いられる。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、アンモニア、尿素、モノエタノーアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンや、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなとの炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水和物などが挙げられる。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、発酵セルロース、結晶セルロース、多糖類などが挙げられる。用いることができる多糖類としては、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピル化グアーガム、カゼイン、アラビアガム、ゼラチン、アミロース、アガロース、アガロペクチン、アラビナン、カードラン、カロース、カルボキシメチルデンプン、キチン、キトサン、クインスシード、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンドシードガム、デキストラン、ニゲラン、ヒアルロン酸、プスツラン、フノラン、HMペクチン、ポルフィラン、ラミナラン、リケナン、カラギーナン、アルギン酸、トラガカントガム、アルカシーガム、サクシノグリカン、ローカストビーンガム、タラガムなどが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの市販品があればそれを使用することができる。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、上記特性のマイクロカプセル顔料、水溶性溶剤、その他の各成分を筆記具用(ボールペン用、マーキングペン用等)インクの用途に応じて適宜組み合わせて、ホモミキサー、ホモジナイザーもしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することにより、更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去すること等によって筆記具用水性インク組成物を調製することができる。
水性ボールペン用では、該筆記具用水性インク組成物を、直径が0.18~2.0mmのボールを備えた水性ボールペン体に充填することにより作製することができる。
用いる水性ボールペン体として、直径が上記範囲のボールを備えたものであれば、特に限定されず、特に、上記水性インク組成物をポリプロピレン製チューブのインク収容管に充填し、先端のステンレスチップ(ボールは超鋼合金)を有するリフィールの水性ボールペンに仕上げたものが望ましい。
また、本発明の筆記具用水性インク組成物のpH(25℃)は、使用性、安全性、インク自身の安定性、インク収容体とのマッチング性の点からpH調整剤などにより5~10に調整されることが好ましく、更に好ましくは、6~9.5とすることが望ましい。
本発明の筆記具用水性インク組成物は、ボールペンチップ、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップなどのペン先部を備えたボールペン、マーキングペン等に搭載される。
本発明におけるボールペンとしては、上記組成の筆記具用水性インク組成物をボールペン用インク収容体(リフィール)に収容すると共に、該インク収容体内に収容された水性インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインク追従体として収容されるものが挙げられる。
なお、ボールペン、マーキングペンの構造は、特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成の筆記具用水性インク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)を備えた直液式のボールペン、マーキングペンであってもよいものである。
このように構成される本発明の筆記具用水性インク組成物にあっては、用いる上記特性のマイクロカプセル顔料が筆記具用水性インク組成物中に配合されているため、酸化チタン、酸化亜鉛などの比重の大きい顔料や分散性にやや難があるカーボンブラックなどの顔料のみをマイクロカプセル化したマイクロカプセル顔料よりも、分散性を損なうことなく上記脂肪酸多価アルコールエステルの作用により、ボール近傍部での分散安定性が向上してマイクロカプセル顔料の凝集や凝集による目詰まりが抑止され、インク流量安定性などに優れると共に、比重、粒子径を任意にコントロール可能とすることができるマイクロカプセル顔料を含有する筆記具用水性インク組成物が得られることとなる。これにより、本発明では、筆記具用水性インク組成物に用いる色材として好適に用いることができ、ボールペン用、マーキングペン用などの各配合成分を好適に組み合わせ、調製等することにより、目的の筆記具用水性インク組成物を得ることができる。
次に、製造例、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。なお、下記製造例の「部」は「質量部」を意味する。
〔製造例1:粒子1〕
油相溶液として、ジステアリン酸トリエチレングリコール(エステパール30、融点44~51℃、日光ケミカルズ社製)17部を65℃に加温しながら、酸化チタン(CR-93、石原産業社製)4部を加えて十分に分散させた。次いで、メチルエチルケトン4部加えて、更にキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体(D-110N、三井化学社製)7部を加えて65℃で撹拌した。
水相溶液としては、65℃に加温した蒸留水600部に対して、ポリビニルアルコール(PVA-205、クラレ社製)15部を溶解し、これに前記油相溶液を投入し、更にヘキサメチレンジアミン6部を加え、乳化混合して重合を完了した。
得られた分散体を遠心処理することでマイクロカプセルを回収し、マイクロカプセル顔料(粒子1)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.0μmであった。
〔製造例2:粒子2〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のジステアリン酸エチレングリコール(エステパール10V、融点58~65℃、日光ケミカルズ社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、2.8μmであった。
〔製造例3:粒子3〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のグリセロールモノステアレート(レオドールMS-50、融点55~65℃、花王社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.2μmであった。
〔製造例4:粒子4〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のソルビタンモノパルミテート(レオドールSP-P10、融点46℃、花王社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.1μmであった。
〔製造例5:粒子5〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のプロピレングリコールモノベヘネート(リケマールPB-100、融点54~60℃、理研ビタミン社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、2.9μmであった。
〔製造例6:粒子6〕
油相溶液として、ジステアリン酸トリエチレングリコール(エステパール30、融点44~51℃、日光ケミカルズ社製)17部を80℃に加温しながら、カーボンブラック(MA100、三菱ケミカル社製)4部を加えて十分に分散させた。次いで、メチルエチルケトン4部、更にキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体(D-110N、三井化学社製)9部を加えて65℃で攪拌した。
水相溶液としては、65℃に加温した蒸留水600部に対して、ポリビニルアルコール(PVA-205、クラレ社製)15部を溶解し、これに前記油相溶液を投入し、更にヘキサメチレンジアミン6部を加え、乳化混合して重合を完了した。
得られた分散体を遠心処理することでマイクロカプセルを回収し、マイクロカプセル顔料(粒子6)を得た。この製造例6(粒子6)の平均粒子径は、3.1μmであった。
〔製造例7:粒子7〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のソルビタンモノステアレート(レオドールTW-S106V、融点38℃、花王社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.0μmであった。
〔製造例8:粒子8〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のプロピレングリコールモノパルミテート(リケマールPP-100、融点30~36℃、理研ビタミン社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、2.8μmであった。
〔製造例9:粒子9〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のステアリン酸ミリスチルに替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.0μmであった。
〔製造例10:粒子10〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のミリスチン酸ミリスチルに替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.1μmであった。
〔実施例1~8及び比較例1~2〕
上記で得た製造例1~10の各マイクロカプセル顔料(粒子1~10)を用いて、下記表1に示す配合組成により、常法により、各筆記具用水性インク組成物を調製した。各筆記具用水性インク組成物の室温(25℃)下のpHをpH測定計(HORIBA社製)で測定したところ、7.9~8.2の範囲内であった。
上記で得られた各筆記具用水性インク組成物について、下記方法により水性ボールペンを作製して、下記評価方法でインク流量安定性の評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
(水性ボールペンの作製)
上記で得られた各インク組成物を用いて水性ボールペンを作製した。具体的には、ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:シグノUM-151〕の軸を使用し、内径4.0mm、長さ113mmポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.38mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記各水性インクを充填し、インク後端に鉱油を主成分とするインク追従体を装填し、水性ボールペンを作製した。
(インク流量安定性の評価方法)
得られた実施例1~8及び比較例1~2の各筆記具用水性インク組成物を上記構成の水性ボールペンに充填して、JIS S6061(2010)に準拠した筆記性能試験を行い、0-100mのインク流出量(X)及び400-500mのインク流出量(Y)を算出し、下記評価基準に基づいてインク流量安定性を評価した。
評価基準:
A:Y/X=0.9以上1.1以下
B:Y/X=0.8以上0.9未満又は1.1超~1.2以下
C:Y/X=0.8未満又は1.2超
Figure 2022111134000001
上記表1の結果から明らかなように、本発明となる実施例1~8の各マイクロカプセル顔料を用いた筆記具用水性インク組成物は、本発明の範囲外となる比較例1、2のマイクロカプセル顔料を用いた筆記具用水性インク組成物に較べて、インク流量安定性に優れることが判明した。
ボールペン、マーキングペンなどの筆記具用水性インク組成物に好適に用いることができる。
本発明は、酸化チタンなどの比重の大きい顔料や分散性にやや難があるカーボンブラックなどの顔料を内包したマイクロカプセル顔料を用いたボールペン用水性インク組成物を搭載した水性ボールペンに関する。
従来より、酸化チタンなどの比重の大きい顔料や分散性にやや難があるカーボンブラックなどの顔料をマイクロカプセル化して分散性等を向上させたマイクロカプセル顔料を用いた筆記具用水性インク組成物(例えば、特許文献1~3)などが知られている。
しかしながら、これらのマイクロカプセル顔料を用いた筆記具用水性インク組成物において、ボールペンなどに用いた場合に、ボール周りでマイクロカプセル顔料の凝集が生じ、凝集が更に蓄積化して目詰まりが生じ、インクの流量安定性が損なわれるなどの課題がある。
一方、本出願人は、マイクロカプセル顔料の分散性の向上、比重、粒子径を更に、任意にコントロール可能とする筆記具用水性インク組成物として、少なくとも顔料と、20℃における比重が1未満の水難溶性の媒体を内包したマイクロカプセル顔料を含有する筆記具用水性インク組成物(例えば、特許文献4)を提案している。
しかしながら、この筆記具用水性インク組成物には、脂肪酸多価アルコールエステルの開示はなく、また、本発明とは、発明の目的や課題などが相違するものである。
特開2000-265105号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開平5-171095号公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2010-196035公報(特許請求の範囲、実施例等) 特開2017-122168公報(特許請求の範囲、実施例等)
本発明は、上記従来技術の課題などに鑑み、これを解消しようとするものであり、酸化チタンなどの比重の大きい顔料や分散性にやや難があるカーボンブラックなどの顔料をマイクロカプセル化したマイクロカプセル顔料を用いた場合のボール周りなどでのマイクロカプセル顔料の凝集や凝集による目詰まりを抑止して、インク流量安定性などに優れる水性ボールペンを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、直径が0.18~2.0mmのボールを備えた水性ボールペン体にボールペン用水性インク組成物を搭載した水性ボールペンにおいて、ボールペン用水性インク組成物として、少なくとも酸化チタンやカーボンブラックなどの顔料と、特定成分を内包したマイクロカプセル顔料を含有することにより、上記目的の水性ボールペンが得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の水性ボールペンは、直径が0.18~2.0mmのボールを備えた水性ボールペン体に、少なくとも顔料と、融点が40℃以上、70℃以下脂肪酸多価アルコールエステルの媒体を内包したマイクロカプセル顔料を、インク全量中に5~30質量%含有するボールペン用水性インク組成物を搭載したことを特徴とする。
少なくとも顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルを内包したマイクロカプセル顔料を含有することを特徴とする。
前記ボールペン用水性インク組成物は、マイクロカプセルを構成するシェル成分は、ウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンであることが好ましい。
本発明によれば、マイクロカプセル顔料の凝集や凝集による目詰まりを抑止して、インク流量安定性などに優れる水性ボールペンが提供される。
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の水性ボールペンは、直径が0.18~2.0mmのボールを備えた水性ボールペン体に、少なくとも顔料と、融点が40℃以上、70℃以下脂肪酸多価アルコールエステルの媒体を内包したマイクロカプセル顔料を、インク全量中に5~30質量%含有するボールペン用水性インク組成物を搭載したことを特徴とするものである。
〈マイクロカプセル顔料〉
用いることができる顔料としては、その種類については特に制限はなく、筆記具用水性インク組成物等に慣用されている無機系及び有機系顔料の中から任意のものを使用することができる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラックや、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、群青などが挙げられる。
また、有機系顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、染料レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料などが挙げられる。
好ましくは、マイクロカプセル化により、更に元の原料(顔料)よりも分散性を容易にし、比重、粒子径を任意にコントロールする点から、カーボンブラック、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、並びに、酸化チタン、酸化亜鉛などの比重の大きい顔料が望ましい。
用いる酸化チタンやカーボンブラックなどの顔料は、筆記具用インクに用いられているものであれば、その種類については特に制限はなく、また、これらの市販品があればそれらを使用することができる。
〈脂肪酸多価アルコールエステル〉
本発明において、用いる脂肪酸多価アルコールエステルは、脂肪酸と多価アルコールとから構成されるエステルである。
脂肪酸多価アルコールエステルを構成する脂肪酸としては、炭素数6~30、好ましくは炭素数8~24、特に好ましくは炭素数10~20の直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する脂肪酸が挙げられる。なお、上記炭化水素基におけるアルキル基及びアルケニル基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基における二重結合の位置は任意である。
このような脂肪酸としては、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
脂肪酸多価アルコールエステルを構成する多価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ソルビタン、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
用いることができる脂肪酸多価アルコールエステルとしては、例えば、(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル、(ポリ)エチレングリコール脂肪酸エステル、(ポリ)プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
なお、上記「(ポリ)グリセリン脂肪酸エステル」とは、「グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群から選ばれる1種以上」の意味し、「(ポリ)エチレングリコール脂肪酸エステル」、「(ポリ)プロピレングリコール脂肪酸エステル」も同義である。
また、ポリオキシエチレン(POE)グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン(POE)ソルビトール脂肪酸エステルなどのエチレンオキシド(EO)の平均付加モル数(n)は、本発明の効果の更なる向上の観点から、5~80が好ましく、10~60がより好ましい。
具体的な化合物としては、(ポリ)グリセリン、ソルビタン、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどの上述の脂肪酸のモノ、ジ、トリ、テトラ及びそれ以上のポリエステルが挙げられる。
また、用いる脂肪酸多価アルコールエステルは、合成品、天然品のいずれでもよく、また、種類の異なる脂肪酸或いは多価アルコールのエステル類を組み合わせて使用してもよい。
これらの脂肪酸多価アルコールエステルであれば、単独で、または、2種以上併用することができる。好ましくは、筆記時のインク流量安定性の点から、融点が40℃以上の脂肪酸多価アルコールエステルの使用が望ましい。一方、取り扱い性などの点から、用いる脂肪酸多価アルコールエステルの融点は70℃以下のものが好ましい。
なお、本発明(後述する実施例等を含む)において、融点は示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて測定した際のピークトップの温度である。例えば、示差走査熱量計(DSC8230L:Rigaku社製)を用い、5℃/minで昇温し、得られる融解のピークトップを融点とできる。
用いることできる脂肪酸多価アルコールエステルの市販品(商品名)としては、レオドールMS-50(グリセロールモノステアレート;融点55-65℃)、レオドールMO-60(グリセロールモノオレエート;融点20℃)、レオドールSP-P10(ソルビタンモノパルミテート;融点46℃)、レオドールSP-S30V(ソルビタントリステアレート;融点54.4℃)、レオドールAS-10V(ソルビタンモノステアレート;融点49-59℃)、レオドールTW-S120V〔POE(20)ソルビタンモノステアレート;融点21℃〕、レオドールTW-S106V〔POE(6)ソルビタンモノステアレート;融点38℃〕、レオドールTW-S320V〔POE(20)ソルビタントリステアレート;融点33℃〕、レオドールTW-O106V〔POE(6)ソルビタンモノオレエート;融点7.5℃〕、レオドールTW-O320V〔POE(20)ソルビタントリオレエート;融点-20℃〕、エマノーン1112(ポリエチレングリコールモノラウレート;融点10~13℃)、エマノーン3201M-V(エチレングリコールジステアレート;融点60~65℃)、エマノーン3199V(ポリエチレングリコールモノステアレート;融点56.5~61.5℃)、エマノーン3299V(ポリエチレングリコールジステアレート;融点55~58℃)、エキセパールPE-TP(ペンタエリスリトールテトラパルミテート;融点67~72℃)(以上、花王社製)、リケマールPP-100(プロピレングリコールモノパルミテート;融点30~36℃)、リケマールPS-100(融点プロピレングリコールモノステアレート;42~48℃)、リケマールPB-100(プロピレングリコールモノベヘネート;融点54~60℃)(以上尾、理研ビタミン社製)、エステパール30(ジステアリン酸トリエチレングリコール;融点44-51℃)、エステパール10V(ジステアリン酸エチレングリコール;融点58-65℃)(以上、日光ケミカルズ社製)などが挙げられる。
特に好ましい脂肪酸多価アルコールエステルは、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、グリセロールモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、プロピレングリコールモノベヘネートなどが挙げられる。
なお、本発明では、上記脂肪酸多価アルコールエステルを用いることにより構成されるマイクロカプセル顔料をボールペン用インク組成に配合した場合に、本発明の効果を発揮できるものであり、これ以外の一価の脂肪酸エステルなど、例えば、ステアリン酸ミリスチル、ミリスチン酸ミリスチルなどを用いたマイクロカプセル顔料では、本発明の効果を発揮できないものとなる(この点については更に後述する実施例等で詳述する)。
本発明に用いるマイクロカプセル顔料は、少なくとも上記顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体を内包したものであり、例えば、少なくとも上記顔料と脂肪酸多価アルコールエステルの媒体などとを含むものを、所定の平均粒子径となるように、マイクロカプセル化、具体的には、壁膜形成物質(壁材)から構成されるシェル層(殻体)に内包することにより製造することができる。
マイクロカプセル化法としては、例えば、界面重合法、界面重縮合法、insitu重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライニング法などを挙げることができる。
好ましくは、作製のしやすさの点、品質の点から、マイクロカプセルを構成するシェル成分がエポキシ樹脂、ウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンなどの熱硬化型樹脂が好ましく、特に好ましくは、内包する成分量を多くすることが可能であること、また内包成分の種類の制限が少ない、再分散性に優れるという理由からウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンである。
このシェル層の形成に用いられるウレタン(ポリウレタン樹脂)、ウレア(ポリウレア樹脂)、ウレアウレタン(ポリウレア樹脂/ポリウレタン樹脂)は、イソシアネート成分とアミン成分またはアルコール成分などと反応して形成されるものである。また、シェル層の形成に用いられるエポキシ樹脂は、アミン成分などの硬化剤などと反応して形成されるものである。
用いることができるイソシアネート成分としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートカプロン酸、テトラメチル-m-キシリレンジイソシアネート、テトラメチル-p-キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、イソシアネートアルキル2,6-ジイソシアネートカプロネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネートなどが挙げられる。
また、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、ナフタレン-1,4-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4-ビフェニル-ジイソシアネート、3,3’-ジメチルフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、キシリレン-1,4-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン-1,2-ジイソシアネート、ブチレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,2-ジイソシアネート、シクロヘキシレン-1,4-ジイソシアネート等のジイソシアネート、4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン-2,4,6-トリイソシアネート等のトリイソシアネート、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート等のテトライソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、2,4-トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられる。これらのイソシアネート成分は単独で用いてもよく、混合して用いても良い。
用いることができるアミン成分としては、具体的には、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ピペラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタンミン、イミノビスプロピルアミン、ジアミノエチルエーテル、1,4-ジアミノブタン、ペンタメチレンジアミン、2-メチルピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、2-ヒドロキシトリメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジアミノプロピルアミン、ジアミノプロパン、2-メチルペンタメチレンジアミン、キシレンジアミン等の脂肪族系アミン、m-フェニレンジアミン、トリアミノベンゼン、3,5-トリレンジアミン、ジアミノジフェニルアミン、ジアミノナフタレン、t-ブチルトルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジアミノフェノール等が挙げられる。中でもフェニレンジアミン、ジアミノフェノール、トリアミノベンゼンなどの芳香族系アミンが好ましい。
用いることができるアルコール成分としては、具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの水酸基を2つ以上有するポリオール等が挙げられる。これらのアルコール成分は単独で用いてもよく、混合して用いても良い。またアルコール成分とアミン成分とを混合して用いても良い。
これらのウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンによるシェル層の形成としては、例えば、1)ウレタン、ウレア及びウレタンウレアのうち少なくとも1つのモノマ成分と、上記酸化チタンやカーボンブラックなどの顔料と脂肪酸多価アルコーエステルを分散させた媒体中などにて界面重合でシェル層を形成したり、あるいは、2)イソシアネート成分とを含む油状成分(油性相)を、水系溶媒(水性相)中に分散させて乳化液を調整する乳化工程と、乳化液にアミン成分及びアルコール成分のうち少なくとも1つを添加して界面重合を行う界面重合工程とを含む製造方法により形成することができる。
上記2)の製造方法において、乳化液の調整に際しては、低沸点の溶剤が用いることができる。低沸点の溶剤としては、沸点が100℃以下のものが使用でき、例えば、n-ペンタン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、二硫化炭素、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、クロロホルム、メチルアルコール、エチルアルコール、テトラヒドロフラン、n-ヘキサン、四塩化炭素、メチルエチルケトン、ベンゼン、エチルエーテル、石油エーテル等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、混合して使用してもよい。
一方、上記油性相を乳化させるために使用する水性相には、予め保護コロイドを含有させてもよい。保護コロイドとしては、水溶性高分子が使用でき、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができるが、ポリビニルアルコール、ゼラチンおよびセルロース系高分子化合物を含ませるのが特に好ましい。
また、水性相には、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、アニオン性またはノニオン性の界面活性剤の中から、上記保護コロイドと作用して沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。好ましい界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等を挙げることができる。
上記のようにして作製された油性相を水性相に加え、機械力を用いて乳化した後、必要に応じて系の温度を上昇させることにより油性液滴界面で界面重合を起こし、粒子化することができる。また、同時あるいは界面重合反応終了後、脱溶媒を行うことができる。カプセル粒子は、界面重合反応および脱溶媒を行った後、粒子を水性相から分離、洗浄した後、乾燥することなどにより得られる。
また、シェル層の形成に用いられるエポキシ樹脂は、アミン成分などの硬化剤などと反応して形成されるものであり、上記の各マイクロカプセル化法を用いて、例えば、界面重合法により形成することができる。
用いることができるエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂で、分子量、分子構造等に制限されることなく一般的に用いられているものを用いることができ、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂のようなビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等の芳香族系エポキシ樹脂、ナフタレン型多官能型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、同グリシジルエステル型エポキシ樹脂、および、シクロヘキサンポリエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂のようなシクロヘキサン誘導体等のエポキシ化によって得られる脂環族系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等の脂環族系エポキシ樹脂が挙げられ、これらは単独又は2種以上混合して使用することができる。
本発明では、上記各形成手段でシェル層を形成することにより、少なくとも上記顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体などを内包したマイクロカプセル顔料が得られるものである。
本発明において、少なくとも上記顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体の各含有量は、分散性、比重、粒子径を任意にコントロールとする点、インクの安定性などを高度に両立することなどから変動するものであるが、マイクロカプセル成分全量(顔料+脂肪酸多価アルコールエステル+シェル層を構成するポリマー成分、以下同様)に対して、上記顔料の含有量は5~50質量%、上記脂肪酸多価アルコールエステルの含有量は、
5~70質量%とすることが好ましい。なお、上記各含有量の範囲となるようにするためには、マイクロカプセル化の際に用いる各原料(シェル層構成原料成分、顔料、脂肪酸多価アルコールなど)を好適な範囲で調整して重合することなどにより行うことができる。
用いる脂肪酸多価アルコールエステルの含有量が5質量%未満では、筆記時のインク流量安定性の効果が得られないことがあり、一方、70質量%超過では、相対的にシェル層を構成するポリマー成分が減ってしまい、マイクロカプセルとして不安定化することがあり、好ましくない。
より好ましい上記顔料の含有量は、分散性、比重、粒子径を任意に好ましくコントロールとする点などから、マイクロカプセル成分全量に対して10~35質量%である。また、より好ましい脂肪酸多価アルコールエステルの含有量は、マイクロカプセル顔料全量に対して、10~60質量%、特に好ましくは、20~50質量%である。
また、本発明において、上記顔料、脂肪酸多価アルコールエステルを少なくとも内包したマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセル顔料の用途(ボールペン用、マーキングペン用等)ごとに、平均粒子径0.1~100μmになるように調整することができ、好ましくは、0.5~20μmの範囲が上記各用途の実用性を満たすものとなる。なお、本発明(後述する実施例を含む)において、「平均粒子径」は、粒子径分布解析装置HR9320-X100(日機装株式会社製)を用いて、屈折率1.81、体積基準にて算出されたD50の値である。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
ボールペン用水性インク組成物>
本発明のボールペン用水性インク組成物は、少なくとも上記顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体等とを内包したマイクロカプセル顔料を含有することを特徴とするものであり、例えば、水性のボールペン用インク組成物として使用に供される。
本発明において、上記特性のマイクロカプセル顔料の含有量は、ボールペン用水性インク組成物中(全量)に対して、好ましくは、5~50質量%、更に好ましくは、5~30質量%とすることが望ましい。
このマイクロカプセル顔料の含有量が5質量%未満では、上記特性のマイクロカプセル顔料特有の効果を発現せず、一方、50質量%を超えると、粘度が高くなるため、インクの流動性が低下することがあるので好ましくない。
本発明のボールペン用水性インク組成物には、上記特性のマイクロカプセル顔料の他、少なくとも上記特性のマイクロカプセル顔料以外の汎用の着色剤、水溶性溶剤が含有される。
用いることができる着色剤としては、水溶性染料、本発明の効果を損なわない範囲で顔料、例えば、無機顔料、有機顔料、プラスチックピグメント、粒子内部に空隙のある中空樹脂粒子は白色顔料として、または、発色性、分散性に優れる塩基性染料で染色した樹脂粒子(擬似顔料)等も適宜量使用できる。
水溶性染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料のいずれも本発明の効果を損なわない範囲で適宜量用いることができる。
用いることができる水溶性溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、3-ブチレングリコール、チオジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類や、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、単独或いは混合して使用することができる。この水溶性溶剤の含有量は、ボールペン用水性インク組成物全量中、5~40質量%とすることが望ましい。
本発明のボールペン用水性インク組成物には、上記特性のマイクロカプセル顔料、該マイクロカプセル顔料以外の着色剤、水溶性溶剤の他、残部として溶媒である水(水道水、精製水、蒸留水、イオン交換水、純水等)の他、本発明の効果を損なわない範囲で、分散剤、潤滑剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤もしくは防菌剤、増粘剤などを適宜含有することができる。
用いることができる分散剤としては、ノニオン、アニオン界面活性剤や水溶性樹脂が用いられる。好ましくは水溶性高分子が用いられる。
潤滑剤としては、顔料の表面処理剤にも用いられる多価アルコールの脂肪酸エステル、糖の高級脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸エステル、アルキル燐酸エステルなどのノニオン系や、高級脂肪酸アミドのアルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩などのアニオン系、ポリアルキレングリコールの誘導体やフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどが挙げられる。
pH調整剤としては、アンモニア、尿素、モノエタノーアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンや、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなとの炭酸やリン酸のアルカリ金属塩、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水和物などが挙げられる。また、防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロへキシルアンモニウムナイトライト、サポニン類など、防腐剤もしくは防菌剤としては、フェノール、ナトリウムオマジン、安息香酸ナトリウム、ベンズイミダゾール系化合物などが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、発酵セルロース、結晶セルロース、多糖類などが挙げられる。用いることができる多糖類としては、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ヒドロキシプロピル化グアーガム、カゼイン、アラビアガム、ゼラチン、アミロース、アガロース、アガロペクチン、アラビナン、カードラン、カロース、カルボキシメチルデンプン、キチン、キトサン、クインスシード、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンドシードガム、デキストラン、ニゲラン、ヒアルロン酸、プスツラン、フノラン、HMペクチン、ポルフィラン、ラミナラン、リケナン、カラギーナン、アルギン酸、トラガカントガム、アルカシーガム、サクシノグリカン、ローカストビーンガム、タラガムなどが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの市販品があればそれを使用することができる。
本発明のボールペン用水性インク組成物は、上記特性のマイクロカプセル顔料、水溶性溶剤、その他の各成分をボールペン用インクの用途に応じて適宜組み合わせて、ホモミキサー、ホモジナイザーもしくはディスパー等の攪拌機により攪拌混合することにより、更に必要に応じて、ろ過や遠心分離によってインク組成物中の粗大粒子を除去すること等によってボールペン用水性インク組成物を調製することができる。
水性ボールペンでは、該ボールペン用水性インク組成物を、直径が0.18~2.0mmのボールを備えた水性ボールペン体に充填することにより作製することができる。
用いる水性ボールペン体として、直径が上記範囲のボールを備えたものであれば、特に限定されず、特に、上記水性インク組成物をポリプロピレン製チューブのインク収容管に充填し、先端のステンレスチップ(ボールは超鋼合金)を有するリフィールの水性ボールペンに仕上げたものが望ましい。
また、本発明のボールペン用水性インク組成物のpH(25℃)は、使用性、安全性、インク自身の安定性、インク収容体とのマッチング性の点からpH調整剤などにより5~10に調整されることが好ましく、更に好ましくは、6~9.5とすることが望ましい。
本発明のボールペン用水性インク組成物は、ボールペンチップなどのペン先部を備えたボールペンに搭載される。
本発明における水性ボールペンとしては、上記組成のボールペン用水性インク組成物をボールペン用インク収容体(リフィール)に収容すると共に、該インク収容体内に収容された水性インク組成物とは相溶性がなく、かつ、該水性インク組成物に対して比重が小さい物質、例えば、ポリブテン、シリコーンオイル、鉱油等がインク追従体として収容されるものが挙げられる。
なお、ボールペンの構造は、特に限定されず、例えば、軸筒自体をインク収容体として該軸筒内に上記構成のボールペン用水性インク組成物を充填したコレクター構造(インク保持機構)を備えた直液式のボールペンであってもよいものである。
このように構成される本発明に用いる水性ボールペンにあっては、上記特性のマイクロカプセル顔料が水性インク組成物中に配合されているため、酸化チタン、酸化亜鉛などの比重の大きい顔料や分散性にやや難があるカーボンブラックなどの顔料のみをマイクロカプセル化したマイクロカプセル顔料よりも、分散性を損なうことなく上記脂肪酸多価アルコールエステルの作用により、ボール近傍部での分散安定性が向上してマイクロカプセル顔料の凝集や凝集による目詰まりが抑止され、インク流量安定性などに優れる水性ボールペンが得られることとなる。
次に、製造例、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。なお、下記製造例の「部」は「質量部」を意味する。
〔製造例1:粒子1〕
油相溶液として、ジステアリン酸トリエチレングリコール(エステパール30、融点44~51℃、日光ケミカルズ社製)17部を65℃に加温しながら、酸化チタン(CR-93、石原産業社製)4部を加えて十分に分散させた。次いで、メチルエチルケトン4部加えて、更にキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体(D-110N、三井化学社製)7部を加えて65℃で撹拌した。
水相溶液としては、65℃に加温した蒸留水600部に対して、ポリビニルアルコール(PVA-205、クラレ社製)15部を溶解し、これに前記油相溶液を投入し、更にヘキサメチレンジアミン6部を加え、乳化混合して重合を完了した。
得られた分散体を遠心処理することでマイクロカプセルを回収し、マイクロカプセル顔料(粒子1)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.0μmであった。
〔製造例2:粒子2〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のジステアリン酸エチレングリコール(エステパール10V、融点58~65℃、日光ケミカルズ社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、2.8μmであった。
〔製造例3:粒子3〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のグリセロールモノステアレート(レオドールMS-50、融点55~65℃、花王社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.2μmであった。
〔製造例4:粒子4〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のソルビタンモノパルミテート(レオドールSP-P10、融点46℃、花王社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.1μmであった。
〔製造例5:粒子5〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のプロピレングリコールモノベヘネート(リケマールPB-100、融点54~60℃、理研ビタミン社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、2.9μmであった。
〔製造例6:粒子6〕
油相溶液として、ジステアリン酸トリエチレングリコール(エステパール30、融点44~51℃、日光ケミカルズ社製)17部を80℃に加温しながら、カーボンブラック(MA100、三菱ケミカル社製)4部を加えて十分に分散させた。次いで、メチルエチルケトン4部、更にキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン変性体(D-110N、三井化学社製)9部を加えて65℃で攪拌した。
水相溶液としては、65℃に加温した蒸留水600部に対して、ポリビニルアルコール(PVA-205、クラレ社製)15部を溶解し、これに前記油相溶液を投入し、更にヘキサメチレンジアミン6部を加え、乳化混合して重合を完了した。
得られた分散体を遠心処理することでマイクロカプセルを回収し、マイクロカプセル顔料(粒子6)を得た。この製造例6(粒子6)の平均粒子径は、3.1μmであった。
〔製造例7:粒子7〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のソルビタンモノステアレート(レオドールTW-S106V、融点38℃、花王社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.0μmであった。
〔製造例8:粒子8〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のプロピレングリコールモノパルミテート(リケマールPP-100、融点30~36℃、理研ビタミン社製)に替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、2.8μmであった。
〔製造例9:粒子9〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のステアリン酸ミリスチルに替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.0μmであった。
〔製造例10:粒子10〕
製造例1のジステアリン酸トリエチレングリコールを同量のミリスチン酸ミリスチルに替えた以外は、上記製造例1と同様にして、マイクロカプセル顔料(粒子2)を得た。この製造例1(粒子1)の平均粒子径は、3.1μmであった。
〔実施例1~8及び比較例1~2〕
上記で得た製造例1~10の各マイクロカプセル顔料(粒子1~10)を用いて、下記表1に示す配合組成により、常法により、各筆記具用水性インク組成物を調製した。各筆記具用水性インク組成物の室温(25℃)下のpHをpH測定計(HORIBA社製)で測定したところ、7.9~8.2の範囲内であった。
上記で得られた各筆記具用水性インク組成物について、下記方法により水性ボールペンを作製して、下記評価方法でインク流量安定性の評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
(水性ボールペンの作製)
上記で得られた各インク組成物を用いて水性ボールペンを作製した。具体的には、ボールペン〔三菱鉛筆株式会社製、商品名:シグノUM-151〕の軸を使用し、内径4.0mm、長さ113mmポリプロピレン製インク収容管とステンレス製チップ(超硬合金ボール、ボール径0.38mm)及び該収容管と該チップを連結する継手からなるリフィールに上記各水性インクを充填し、インク後端に鉱油を主成分とするインク追従体を装填し、水性ボールペンを作製した。
(インク流量安定性の評価方法)
得られた実施例1~8及び比較例1~2の各筆記具用水性インク組成物を上記構成の水性ボールペンに充填して、JIS S6061(2010)に準拠した筆記性能試験を行い、0-100mのインク流出量(X)及び400-500mのインク流出量(Y)を算出し、下記評価基準に基づいてインク流量安定性を評価した。
評価基準:
A:Y/X=0.9以上1.1以下
B:Y/X=0.8以上0.9未満又は1.1超~1.2以下
C:Y/X=0.8未満又は1.2超
Figure 2022111134000002
上記表1の結果から明らかなように、本発明となる実施例1~8の各マイクロカプセル顔料を用いたボールペン用水性インク組成物は、本発明の範囲外となる比較例1、2のマイクロカプセル顔料を用いたボールペン用水性インク組成物に較べて、インク流量安定性に優れることが判明した。
水性ボールペンに好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも顔料と、脂肪酸多価アルコールエステルの媒体を内包したマイクロカプセル顔料を含有することを特徴とする筆記具用水性インク組成物。
  2. 脂肪酸多価アルコールエステルの融点が40℃以上であることを特徴とする請求項1記載の筆記具用水性インク組成物。
  3. 脂肪酸多価アルコールエステルの融点が70℃以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用水性インク組成物。
  4. マイクロカプセルを構成するシェル成分がウレタン、ウレア、もしくはウレアウレタンであることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の筆記具用水性インク組成物。
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