JP2022110538A - ナノファイバーフィルター積層体、該積層体を用いたマスク - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノファイバーフィルター積層体であって、浮遊する微粒子やウイルス等の捕集効率の良く、安全で空気通気性がよく、息苦しくないナノファイバーフィルター積層体及びそれを使用したマスクを提供する。【解決手段】長分子配列を有する高分子材料を溶解液に溶解し、該溶解液にカーボンブラック微粒子を混入してナノファイバー紡糸液とし、該紡糸液を加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記高分子材料を延伸し、出来たナノファイバー積層体を水又はメタノール又はイソプロピルアルコールで所定時間洗浄したナノファイバーフィルター積層、及びそれを使用したマスク。【選択図】図1

Description

本発明は、ナノファイバーフィルター積層体、該積層体を用いたマスクであって、空気中の花粉や微小粒子状物質PM2.5等の塵やウイルスを捕集することが出来るナノファイバーフィルター積層体、及び、それを用いたマスクを提供する。詳しくは、長分子配列を有する高分子材料を溶解液に溶解し、該溶解液にカーボンブラック微粒子又はマンガン酸化物微粒子を混入したナノファイバー紡糸液を作り、該紡糸液を使用してナノファイバーフィルター積層体にし、また、そのナノファイバーフィルター積層体を用いたマスクに関する。
近時、一般的に直径が1ミクロン(=1,000nm)以下の太さの繊維で定義されるナノファイバーが開発され、ナノファイバーの製造法としては、ESD(Electro-Spray Deposition)法、或いは、エレクトロ・スピニング法と呼ばれる技法が最も注目され、その技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、エレクトロ・スピニング法は10kv単位の高圧の電圧が必要となることから、特に、ポリビニルアルコール(PVA)等の電導性のある高分子材料を使用することは危険であり、取り扱いが厄介であった。
また、使用するカーボン微粒子は浮遊微粒子を吸着除去、静電付加して除去することに有効であるが、高分子材料の溶融液にカーボン微粒子を混入させて紡糸するとなると、カーボンブラック微粒子が電導性であることから、高圧電圧を用いるESD法でナノファイバーを紡糸することは困難である。
ところで、高電圧電極を使用しない従来の合成繊維であるマイクロオーダーの製造法として、非特許文献1には、前掲のエレクトロ・スピニング法の他に、現在、海島複合紡糸法、低粘度の溶解ポリマーを吹き飛ばすメルトブロー紡糸法、ポリマー溶液を急激に膨脹させてポリマーを吹き飛ばしながら固化・繊維化させるフラッシュ紡糸法が開発されて、開示されている。この溶解だけの極細繊維の製造方法として、上記の非特許文献1には、溶液に溶かして紡糸する方法としてポリマーブレンド紡糸法があり、これは2種のポリマーをブレンドしておき、これを繊維化した後に、海ポリマーを溶出する極細紡糸法がるが、繊維の太さがμmオーダーであることが限界とされている。
そこで、本発明者らは、特許文献2及び特許文献3に示すように高分子を溶剤に溶かして低粘度にし、さらに極細径のノズルから噴射空気とともに吹き出して延伸し、ナノファイバーを製造することに成功した。これを利用して、呼吸器系に沈着して健康に影響を及ぼす大気中に浮遊する微小粒子状物質PM2.5を捕捉する薄膜防臭遮蔽部材を製造している。なお、特許文献2の素材は微小粒子状物質PM2.5を捕捉以外にウイルス等の飛沫を捕集することも判ってきた。
ところで、低圧損で通気性を保ちつつ、微小ダストを捕捉するナノファイバー積層体を使用したエアフィルター又はマスク用不織布基材は特許文献4として提供されている。
しかしながら、特許文献3のエアフィルター又はマスク用不織布基材は、従来のナノファイバーの製造がエレクトロスピンニング法によるナノファイバー紡糸装置を使用しており、前述の不都合な問題点が存在し、さらに、不織布面上に、繊維状又はパウダー状の接着剤を散布して不織布を積層しているので、これらの接着剤がナノファイバーで形成し通気する隙間を埋めてしまい、通気の効率を低下させてしまうという問題点もあった。
特開2011-127234号公報 特開2014-144579号公報 特開2019-37963号公報 特開2014-114521号公報
SEN'I GAKKAISHI(繊維と工業)Vol.63,No.12(2007)423~425P[溶解紡糸型ナノファイバーの開発]越智隆志
上述したように、これらの特許文献1、4は、従来のエレクトロ・スピニング法によってナノファイバーを製造したもので、高圧の電圧が必要で、このため危険であり、特に、本発明のように水溶性高分子材料にカーボンブラック微粒子を混合した紡糸液からナノファイバー積層体にするには、取り扱いが厄介であり、製造コストが嵩むという問題点があり、紡糸液に導電性のカーボンブラック微粉末を使用するには問題があった。
本発明の課題は、このような問題点に鑑みてなされたもので、空気中に浮遊する微粒子を捕集するナノファイバーフィルター積層体、及び、それを使用したマスクである。
更に、ナノファイバーフィルター積層体を用いて、一般の生活用マスク、医療用マスク、産業防塵用マスク等のファイルターとして用いたナノファイバーフィルター積層体であって、捕集効率の良く、安全で空気通気性がよく、息苦しくないナノファイバーフィルター積層体及びそれを使用したマスクを提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明のナノファイバーフィルター積層体及びそれを用いたマスクは、長分子配列を有する高分子材料を溶解液に溶解し、溶解液にカーボンブラック微粒子を混入した紡糸液を加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記高分子材料を延伸するとともに溶剤を気化するようにしたナノファイバーフィルター積層体であって、更に、水又はメタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間洗浄した積層体で、これに不織布、布、モノフィラメントを平織りにしたメッシュ等で支持したナノファイバーフィルター積層体、及びそれを使用したマスクである。
また、前記紡糸液としての高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(登録商標;ナイロン)等から選択させる高分子材料が良く、実施例1での製造されたナノファイバー積層体は縁に別途不織布を配して、網戸等の建材、換気扇、農業ハウスの換気窓等に使用可能であり、マスクとして使用する場合はナノファイバー積層体の裏表端の両面に不織布を配し、その厚さは、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ナイロン不織布から選択される不織布で、該不織布の厚みは0.1から0.7mmで、目付重量が10gから60g/mとしたナノファイバーフィルター積層体が良く、一般生活用マスク、医療用マスク、及び、産業防塵用マスクとして最適である。
また、実施例2のように、表面基材に平織でモノフィラメントのメッシュを用い、これにナノファイバーを吹き付けるようにすれば、実施例1のような不織布の補強は必要なく、立体形状が維持出来るマスクが容易に制作できる。
また、ナノファイバーフィルター積層体は、その製造工程がエレクトロ・スピニング法ではなく、高速噴射による紡糸法を用いたので、実施例1では高分子素材の結束部のないモノフィラメントを平織した粗い目を形成するエンドレスの巡回する捕集基材とし、該捕集基材に向けて、長分子配列を有する高分子材料を溶剤に溶解して加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記高分子材料を延伸するとともに溶剤を気化するようにしてナノファイバー状の繊維を前記捕集基材で積層捕集し、該捕集基材に貼り付いたナノファイバー層を簡単に剥がして、巻き取る工程が採用される。更に、実施例1及び実施例2であるナノファイバー積層体の製造過程で余分なカーボンブラック微粒子等を洗い流すために水又はメタノール又はイソプロピルアルコールに洗浄するのが良い。
本発明のナノファイバーフィルター積層体、該積層体を用いたマスク、特にマスク用フィルター基材としてマスクに用いた場合には、捕集効率が良いにも拘わらず、空気損圧が少なく息苦しさもないという特徴がある。特に、ナノファイバーフィルターの補強として表面基材のモノフィラメントのメッシュ素材にすれば、例えば、マスクのナノファイバーフィルター積層体の支持に20メッシュ程度のポリプロピレンのモノフィラメントの素材にすれば、立体マスクの形状空間形状が強固に維持できる。
また、製造工程でも、実施例1及び実施例2は必要に応じてナノファイバー層を容易に厚くすることができ、ナノファイバー層を厚くして、捕集効率を特に高くすれば微小粒子状物質PM2.5やウイルス等の飛沫を捕集することができ網戸、換気扇等の産業用のフィルターとして使用することができる。
さらに、製造工程において、ナノファイバーのスプレーのノズルから噴射する紡糸法であるので、紡糸液にカーボンブラック微粒子を混入することができ、ノズルをステンレスやセラミックにすれば中心吐出口は耐熱性、及び耐久性があり変形も少なく、高温加熱した高分子繊維を長時間紡糸してもナノファイバーにも変形がなく、均一のナノファイバーの直径が維持できる。さらに、ナノファイバー層は通気性も十分よく、十分に強度があり、安価に大量に製造できる。
また、本発明で製造するマスク用ナノファイバーフィルター積層体は、ナノファイバーの素材をポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルプチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVA) 、ポリウレタン(PU)、ポリアミドポリアミド(登録商標;ナイロン)等の長分子配列を有する高分子材料のナノファイバー積層体を安全に製造でき、特に、ナノファイバーの素材をポリフッ化ビニリデン(PVDF)とすれば、耐侯性にも優れており、放射線にも強い樹脂であるので、戸外と接する網戸や換気扇のフィルターや農事ハウス等のフィルターとしても適しており、洗浄も簡単に行える。
さらに、マスク等では消臭剤を添付すれば消臭作用が得られ、細菌等の殺菌作用も期待できる。
実施例1のナノファイバー積層体の製造装置の全体を示す説明図、 図1におけるナノファイバー積層体をナノファイバーフィルターに形成する装置の全体を示す説明図、 加熱加圧する一対の溶着ローラの正面の拡大図、 図1におけるナノファイバー生成部の概略の説明図、 図4のノズル及びその先端部分の噴射空気吹出ノズルの拡大図、 図6(a)は、図2の高分子供給管の側面図、図6(b)はその断面図、 最終製品を加工して制作した使用例1のマスクの平面図、 最終製品を加工して制作した使用例2のマスクのフィルターの挿入例の図、 マスクの装着の使用例1を装着した斜視図、 図10(a)は、実施例1のポリフッ化ビニリデン(PVDF)に直径24nmのカーボンブラックの微粒子を混入した200倍の電子顕微鏡の写真、図10(b)は、その1000倍の電子顕微鏡の写真、 図11(a)は、図10のカーボンブラック入りのポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーをメタノールの洗浄槽に5分洗浄した後の200倍の電子顕微鏡の写真、図11(b)は、その1000倍の電子顕微鏡の写真、 実施例2のナノファイバー積層体の製造装置の全体を示す説明図、 図12におけるナノファイバー積層体をナノファイバーフィルターに形成する装置の全体を示す説明図、 図12における第1及び第2高分子接着材の吹付部の概略の説明図、 図14のノズル及びその先端部分の噴射空気吹出ノズルの断面拡大図、 図12における第1高分子接着材吹付部と冷却装置の断面拡大図、 図16のペルチェディバイスの説明図、 実施例2のナノファイバーフィルター積層体の断面図、 実施例2の最終製品を加工して制作した使用例3のマスク装着の斜視図、 実施例2の表面基材J1に第1及び第2高分子接着材がファイバー状に絡まった状態の200倍の電子顕微鏡の写真である。
(実施例1)
本発明の実施例1の全体構成は、概略、図1に示すようなもので、先ず、図面左からナノファイバーを生成するナノファイバー生成工程Aで、このナノファイバー生成工程Aは材料液供給部1、紡糸部2、吹付部3から構成され、材料液供給部1にはナノファイバー紡糸液N1が貯蔵され、紡糸部2、吹付部3でナノファイバー繊維N2が生成され、次に、吹き付けられたナノファイバー繊維N2を受け取りナノファイバー積層体N3として積層する捕集積層形成工程Bが設けられ、この捕集積層形成工程Bは捕集部3からなる。
次に、捕集されたナノファイバー積層体N3を捕集部3の捕集帯31から剥がす積層体離脱工程Cで、この積層体離脱工程Cは積層体離脱部38の上側の空気吹出装置381と下側の空気吸引装置382とからなり、捕集帯31から上側の空気吹出装置381の吹出ノズル3811から吹出空気と、下側の空気吸引装置382の吸引ノズル3821とによって、捕集帯31に吸着したナノファイバー積層体N3を離脱する。
脱離したナノファイバー積層体N3は一対のピンチローラ41によって一端圧縮してナノファイバー積層体N4とし、洗浄装置4でメタノール(実施例1)(又はイソプロピルアルコール))に洗浄し、左右に往復するローラ群44(実施例1)(又は、上下に往復するローラ群)によって、所定時間洗浄した後のナノファイバー積層体N5として案内ローラ45からピンチローラ46を経て巻取装置5によって、中間製品のナノファイバー積層体N5として巻き取られる。
中間製品のナノファイバー積層体N5として巻き取られた積層体N5のロット5Aは、図2、図3に示される、ナノファイバーフィルター積層体N6の製造装置を説明する。
図2において、図1の巻取装置5の中間製品であるナノファイバー積層体N5のロット5Aは、図2の供給装置61にセットされ、この供給装置61にセットされたロット51(5A)のナノファイバー積層体N5に対して、上面と下面に薄いネット或いは薄いマイクロファイバーの不織布等を供給装置71,72によって供給し、ナノファイバー積層体N5の上面及び下面を一対のフィードローラ73によってサンドイッチ状に挟み、次に、図3に示す一対の加熱加圧ローラ74でナノファイバー積層体N5の所定箇所を加熱溶着して半完成品のナノファイバーフィルター積層体N6に成型し、出来たナノファイバーフィルター積層体N6を巻取装置8に巻き取りロット81(8A)とする。その後、半完成品のナノファイバーフィルター積層体N6は、必要に応じて裁断し、マスク等に加工する。
[材料液供給部1]
次に前述した各加工工程を詳細に説明する。
先ず、原材料は実施例1ではポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用したが、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の他に、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)等の高分子材料を使用しても良い。
[ナノファイバー生成工程A]
以下に、前記各工程を順次具体的に説明する。
先ず、ナノファイバー生成工程Aは、材料液供給部1、紡糸部2、吹付部3から構成される。以下、この順に詳細を説明する。
[材料液供給部1]
図1で、左側には材料液供給部1と紡糸部2であるが、これの拡大図が図4であるが、図示されるように、複数の紡糸のノズル部22が設けられ、実施例1では、材料液タンク11にはポリフッ化ビニリデン(PVDF)紡糸液N1を投入する。ここで実施例1に使用したポリフッ化ビニリデン(PVDF)紡糸液N1の組成は次のとおりである。
実施例1
[表1]
:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)紡糸液N1の組成
ポリフッ化ビニリデン(PVDF) ・・・・13.00重量%
N-メチル-2-ピロリドン(NMP) ・・85.15重量%
トルエン ・・・・ 1.00重量%.
カーボンブラック微粒子 ・・・・ 0.85重量%
合計 ・・・・・・100.00重量%
本実施例では、PVDFを延伸するために先ずN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解する。この際、前記のようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)85.15重量%に対してPVDFのペレット13.00重量%を混合して溶解液を作るが、この数値よりもN-メチル-2-ピロリドン(NMP)があまり多すぎるとナノファイバーを形成せず、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の濃度が高すぎても太い繊維した形成しなかったり、ノズル部が詰まったりする不都合が生じる。
また、浮遊微粒子の捕捉性能を高めるために、溶液に直径が30nm以下(本実施例1では24nm)のカーボンブラック微粒子(三菱ケミカル社製)を混入してナノファイバー紡糸するが、図5のノズル部2の吹出口2212の最小中心軸孔2211の内径の0.13mmよりも更に小さい直径でなければならず、本実施例では、三菱ケミカル社のMA110の粒子径が20nmのカーボンブラック微粒子を使用した。後述するが、出来上がったポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー積層体をイソプロピルアルコールに40分から70分の所定時間洗浄して、微粒子捕捉用ナノファイバーのフィルターとして仕上げる。 なお、溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)の代わりに、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いてもよい。また、溶解方式ではなく溶融方式でもナノファイバーを製造することは可能であるが、この場合には基剤としてポリプロピレン(PP)が使用でき、他に高熱で溶融する溶融方式でのナノファイバーを使用する。
なお、この明細書では詳細は触れないが、本発明者が開発した高熱でポリプロピレン(PP)で溶融するナノファイバー製造装置を転用すればよい。
このようなポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶かし、カーボンブラック微粒子を混入した紡糸液N1は、材料液タンク11から送給ポンプ12から移送管13の順で紡糸部2に供給される。
この移送管13には、温水保温部14からの温水は、各移送管13に設けられた温水分配器141が供給され、この温水分配器141はノズル部22のナノファイバー材料(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶かした紡糸液N1を40℃から60℃に維持するような構成で、各ノズル部22も所定の温度を維持するようにしている。この配置は図4に示すように、温水出口144から配管145で直列に繋ぎ温水戻り口146に戻るように循環している。
この分配器141で各移送管13中のナノファイバー紡糸液N1を40℃から60℃程度に温めるのは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を延伸するには常温の40℃から60℃が適温であるからである。
このように、本実施例では、温水保温部14は温水器142から各分配器141に必要な温水を40℃から60℃程度にして貯留し、ポンプ143によって各分配器141に送給し循環するようにしたので、各紡糸部2へ送給するナノファイバー紡糸液N1も所定の40℃から60℃程度に温められる。なお、温度維持に温水を用いたのは、ヒータ等とは異なり、温度管理が比較的容易に空間環境が乾燥状態にならないからである。
[紡糸部2,吹付部3]
次に、移送管13からナノファイバー紡糸液N1が送り込まれる紡糸部2と吹付部3について説明するが、この紡糸部2は図4から図6に示すようなもので、紡糸部2は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解し、カーボンブラック微粒子を混入して、この溶液をナノファイバー吹付部21のノズル部22から外部に吹き出し延伸するものである。図4の部分拡大図に示すように、先ず、材料液供給部1の移送管13はノズル部22の高分子供給部24の高分子供給管241に連結し、図4に示すように、高分子供給管241の中心に設けられた貫通孔234は、ノズル部22のノズル本体221に連通し、その先端からナノファイバー繊維N2を噴射する。このノズル部22はセラミックで、特にルビーのノズル本体221はその中心に先端の吐出口2212に続く中心軸孔2211が設けられている。
また、本実施例で、図1に示すように、上下方向に6段のノズル部22群が設けられ、水平方向にも6列(1段につき)のノズル部22群が設けられ、計36個のノズル部22が配置されている。各段の水平方向の6個のノズル部22は15cm間隔で水平棒等に固定され、このノズル部22と材料液供給部1とは一体で水平に幅方向15cm程度左右に移動するように稼働する。したがって、出来上がるナノファイバー繊維N2は90cmの幅で左右に振り分けられてナノファイバー積層体N3として形成される。
上下方向に設けられる各段ノズル22群において、上下に近接するノズル部22の位置は、ナノファイバー積層体N2での継ぎ目が重ならないように、ずらして配置して、ナノファイバー積層体Nの厚さが均一になるようにしている。
また、ノズル部22から積層体捕集部3の捕集帯31までの距離は165cm程度とし、高分子材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の延伸が十分行われ、溶媒の気化が十分に行われる距離にしてノズル部22から積層体捕集部3に向けて飛散するようにしている。
また、吐出口2212の内径は0.1mmから0.2mmとし、本実施例では0.15mmとしているが、0.2mm以上だと延伸してもナノオーダーの細さが得にくく、細い方が良いが0.1mm以下だと詰まって紡糸速度が遅くなってしまう。
[高速風吹出部26]
高速風吹出部26の高速風吹き出しノズル部261は、図5に示すように、ノズル本体221は、中心軸孔2211の周りには、中心軸孔2211を包むように同軸状にリング状の高速風吹出通路262が形成され、高速風吹出通路262の先端には所定の吹出角度を有したリング状の高速風吹出口263が設けられ、この高速風吹出口263は前記吹出口263より僅かにX=5mm程度(5~7mm)突出して、整流が生じるようにするのと、含まれる水分の気化が促進されるように、従来よりも高速風吹出口263の口径も幾分広い。
また、ナノファイバー吹付部21の中間部には、高速風吹出通路262の他端に連通する空気供給部28が設けられ、この空気供給部28には、常温の20℃、或いは多少暖かい20~40℃程度の空気(気流)がエアポンプ281により供給され、吐出口2212から紡糸されるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー繊維を高速風吹出口263の高速気流で包むようにして下流に引っ張るように延伸する。この所定の吹出角度を有する高速風吹出口263が延伸気流手段を構成している。
また、延伸気流手段のノズル部22は主にノズル本体221とノズル支持体222とからなり、図3における吐出口2212の近傍の拡大図に示すように、ノズル本体221には長手方向に溶解高分子であるPVDFが噴出する中心軸孔2211が設けられるが、この中心軸孔2211の下流側の先端部には吐出口2212が設けられる。本発明のノズル部22におけるノズル本体221の材質はステンレス、セラミック、ルビー等が最適で、実施例1ではルビーである。
この吐出口2212であるノズル内径は0.10mmから0.18mmとしたが、0.18mm以上だとナノ単位の繊維状のナノファイバーが生成しづらく、0.10mm以下だとノズル内径に溶解した高分子が詰まってしまうので、本実施例では0.15mm程度とした。また、従来はノズル内径を0.15mmとしたが、材質を金属のステンレスとしたため、すぐに太いファイバーに変質してしまうことが判明した。これは繰り返し加重や圧力の為にステンレスのノズル内径が拡がってしまうことに起因することが判った。このため、耐熱性や対摩耗性に優れ高温下でも変形しないルビー(セラミック)を使用すると、長時間連続稼働させても、高品質の高分子ナノファイバー積層体N3を生成することができた。
しかし、セラミックやルビーは加工が難しく、ネジ等を設けた金属のノズル支持体222にノズル吐出口2212をネジ等で固着することが困難であった。そのため、図3に示すように、ノズル本体221の上流の末端に外側に突出した肉厚の鍔部2213を設け、対応するノズル支持体222の内孔2221の下流の末端に内側に突出する係止部2222を設けて、ノズル本体221をノズル支持体222の内孔2221の上流の開口2223から挿入して、鍔部2213を係止部2222に密着嵌合させて固着する。このような構造なので、下流側に高い圧力で溶解高分子が挿入されてもノズル本体221がノズル支持体222から離脱することがない。この場合、内孔2221の内径はノズル本体221の外径および鍔部2213の外径よりも大きく、ノズル支持体222の先端係止部2222の内径はノズル本体221の外径よりも小さく、鍔部2213の外径よりも小さくする必要がある。
中心軸孔2211の外周部231及び吐出口2212側の外周部2224と高速風吹出通路262の内周壁との間には通路隙間を維持するスペーサー部が適所に設けられて間隔を維持して高速風吹出通路262を形成している。
なお、高分子導入管23は、図4に示すようなもので、高速風吹出通路262は、空気導入部枠体272と高分子導入管23との外周部231の隙間に噴射空気導入溝232が形成され、この溝を通じて高速風が通過する。
この延伸気流手段を更に説明すると、高速気流でポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維を更に延伸するのでリング状の高速風吹出口263の吹出角度(中心軸孔2211の軸を中心としての左右の合算角度)が重要であるが、実験の結果、角度30°~60°程度、すなわち、高速風吹出口263の高速気流の吹出方向は、前記中心軸の吐出口2212の中心軸線に対して15°~30°の角度の範囲が好ましく、角度30°(中心軸と角度15°)以下だとポリフッ化ビニリデン(PVDF)との接触力が小さく延伸作用が小さく、角度60°(中心軸と角度30°)以上だと接触しての負圧が生じないのでやはり延伸作用が少なく、本実施例1では角度38°(中心軸と角度19°)とすることで延伸作用が効率的に作用した。
このように、高速風吹出口263からの気流が適正に紡糸したポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維に当たらないと、μオーダーの極細繊維で終わってしまいナノファイバーにはならない。
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維を効率よくナノ単位に延伸するのは、溶媒により溶解して低粘度にすることが重要であるが、延伸気流手段は、吐出口2212から紡糸後も高速噴射空気で延伸させる必要があり、更に重要なのは、延伸するとともにポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維内に含まれる溶剤のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を気化して飛ばして除去する必要があり、そのために、高速風吹出口263は紡糸ノズル部22の吐出口2212より僅かにX1=5mm(5~7mm)程度突出させ、吐出口2212から紡糸されるポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維の溶媒の気化を促進するように構成している。
この高速風吹出口263と吐出口2212との流れ方向での所定距離X1は、5から7mm程度の突出にすると、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維の高速風による延伸作用が適度に作用し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維の延伸と溶剤の速やかな除去を両立させることが出来ることが実験によって判明した。
[吹付部3]
そして、ノズル部2からナノファイバー紡糸液N1が噴射され、積層体捕集部3の捕集帯31まで空間環境を飛行する。
この際に、ノズル部22からナノファイバーの積層捕集部3の捕集帯31までの空間距離は165cm程度としたが、高分子素材であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の延伸が十分行われ、溶剤が飛散し気化が促進する距離であると考えられるが、ノズル部2の噴射力だけでは、ナノファイバー繊維N2は、積層体捕集部3までは到達しないが、次の捕集積層形成工程Bで強力な吸引機構を設けて、下流側への強力な気流を生じされてナノファイバー繊維N2を積層捕集部3まで到達するようにしている。
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維内に含まれる溶剤の気化を促進させるために、ノズル部2から捕集積層形成工程Bまでの生成されるナノファイバーが飛行する間の空間に、例えば、空間の両側に赤外線加熱装置29を設けて照射し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の分子を励起し、環境の温度を上げるのではなく、分子自体の温度を上げるようにしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)N1の材料液内の溶剤で気化を促進している。
ここで、ナノファイバーフィルター積層体の製造工程において、前記高分子材料を延伸する空間環境は、温度が30℃から40℃で湿度を80%以下にする必要がある。また、前記水溶性高分子材料を延伸する空間環境には、紡糸する高分子材料の溶剤の気化を促進するために赤外線等加熱器29と赤外線等の反射板を設けている。
[ナノファイバーの捕集積層形成工程B]
次に、ナノファイバー生成工程Aで生成されたナノファイバーを、その下流でナノファイバーを積層する[ナノファイバーの捕集積層形成工程B]の積層体捕集部3を図1で参照して説明する。
ナノファイバー積層体Nの積層体捕集部3は、図1に示すように、エンドレスで移動する網状で捕集帯31であり、材質は非電導体の合成樹脂で形状はネット或いは網であり、大量に空気が通過できることができるものであればよい。
本実施例1では、積層体捕集部3が合成樹脂であるポリプロピレン(PP)のモノフィラメントの網で、合成樹脂の繊維径は直径0.24mm、開口部サイズは、1.03mmで、高分子素材の結束部のない平織で交点はフリーの網(以下、メッシュ)であるが、交点は溶着固定したメッシュでも良い。
この積層体捕集部3は、以上のような構成なので(密度15~20本/inch)、貫通する空気の空気抵抗は十分に少なく、捕集帯31はナノファイバー積層体N3を軽く保持するだけで、結束部がないことで捕集帯31はナノファイバー積層体N3が絡みつくことがなく、後の工程で直ぐに離脱することができる。場合によっては、予め、離型材としてフッ素系樹脂かシリコン系樹脂で正面処理を施しておいてもよい。
なお、捕集帯31の材質はポリプロピレン(PP)樹脂以外でもポリエチレン樹脂、及び結束部のない金属コンベアネットでも良く、要はコンベアネットからナノファイバー積層体N3の離脱が極めて容易であれば良い。
また、メッシュのサイズも下記の[表2]のようなものが使用可能である。
[表2]
(1) 18メッシュ:繊維径 0.26mm 開口部サイズ 1.15mm
(2) 20メッシュ:繊維径 0.24mm 開口部サイズ 1.03mm
(3) 24メッシュ:繊維径 0.22mm 開口部サイズ 0.84mm
(4) 26メッシュ:繊維径 0.19mm 開口部サイズ 0.78mm
(5) 30メッシュ:繊維径 0.18mm 開口部サイズ 0.67mm

この捕集帯31は、駆動ローラ32によって図1で反時計回りに移動し、従動支持ローラ33a~cによって所定位置で支持され反時計回りに移動する。なお、実施例1のメッシュは前記[表2]での(2)の20メッシュである。
なお、駆動ローラ32の駆動は、仕上がるナノファイバー積層体N3の厚さを調節するが、ナノファイバーの厚みが5から100μmになるように制御する。
図1において、ナノファイバー生成工程Aのノズル部22に対向した位置に、従動支持ローラ33b,33cによってほぼ垂直平面の捕集面34を形成しており、この捕集面34でナノファイバー積層体N3を連続的に捕集し、後述する積層体離脱工程Cに移動してナノファイバー積層体N3を捕集帯31から離脱して駆動ローラ32によって上方に方向転換し、更に従動支持ローラ33aによって方向転換し、従動支持ローラ33eに案内され循環する。
捕集面34の裏側には、吸引室361と上下方向に複数(本実施例1では上段・中段・下段の3個)の吸引ダクト362とこれらに連なる空気の吸引機構36が設けられ、該吸引ダクト362にはそれぞれ風量を調整する風量調整シャッター363が付随して設けられ、ナノファイバー生成工程Aで生成されたナノファイバー繊維N2及びナノファイバー積層体N3を捕集帯31に吸い寄せている。
捕集帯31を平面に保つためにその裏面に合成樹脂等の平面保持部材341が間隔を隔てて設けられている。なお、捕集面34の表側には、効率よくナノファイバー繊維N2を捕集面34に誘導するために捕集面34に収束するようにラッパ状の案内部材291が設けられている。
吸引ダクト362にはそれぞれ風量を調整する風量調整シャッター363が付随して設けられているが、捕集面34でのナノファイバー積層体Nの吸い付き量は、吸引ダクト362の開口面積によって調整される。吸い付き量が大きいと離脱工程Cで捕集帯31からナノファイバー積層体N3が離れずらくなるので簡単に離れるように調整する。
こうして、捕集帯31上に垂直で連続的に形成したナノファイバー積層体N3は、捕集帯31の下方への移動に伴って、移動し右方向に水平に移動し積層体離脱部38でナノファイバー積層体N3を離脱して、駆動ローラ32から循環案内させる。
[ナノファイバー積層体N3の離脱工程C]
このように、捕集帯31に積層したナノファイバー積層体N3は、捕集帯31の従動支持ローラ33cと駆動ローラ42との間に配置された積層体離脱部38で離脱されるが、積層体離脱部38は駆動ローラ384と案内ローラ385に掛け渡された網状のエンドエスベルト383上で、捕集帯31から離脱して脱離工程Cのベルト383上に移る。この積層体離脱部38は、上側の空気吹出装置381と下側の空気吸引装置382とからなり、捕集帯31から上側の空気吹出装置381の吹出ノズル3811から吹出空気と、下側の空気吸引装置382の吸引ノズル3821とによって、捕集帯31に吸着したナノファイバー積層体N3を離脱する。
これを更に詳しく説明すると、積層されたナノファイバー積層体N3には上方から空気吹出装置381の吹出ノズル3811からの空気の噴射によって離脱(脱離工程C)させるとともに、吸引ノズル3821からの吸引力によってナノファイバー積層体N4の中に僅かに付着しているN-メチル-2-ピロリドン(NMP)やトルエン等の溶剤や、捕集面34に付着したゴミも一緒に吸引除去する。この場合、積層捕集部3が合成樹脂であるポリプロピレン(PP)のモノフィラメントの網であると、ナノファイバー積層体N3が上方の吹出ノズル3811からの空気と、下方の吸引ノズル3821からの吸引力によって簡単に離脱可能である。
このように、吸引ノズル3821はゴミ除去も兼ねており、捕集帯31に残ったナノファイバー片やゴミを除去し、綺麗な状態の捕集帯31を送り出す。なお、必要に応じて、離型材付与装置等を設けて、ナノファイバーが離脱しやすいようにしても良い。なお、この時のナノファイバー積層体N3は、目付重量が3から20g/mであった。
[洗浄工程D]
捕集帯31から脱離したナノファイバー積層体N4は、次の洗浄工程Dの洗浄装置4に移送されるが、ナノファイバー積層体N4は、先ず、ピンチローラ41で圧縮されて、次いで案内ローラ42で洗浄槽43に送られる。
洗浄装置4の洗浄槽43は、実施例1ではメタノール液(又はイソプロピルアルコール)が入った槽であり、このメタノール液の洗浄は、余分なカーボンブラック微粒子を除去するもので、空気中に浮遊する微粒子をカーボンブラック微粒子が吸着して除去するものの、目詰まりも生じるので、空気の通気性の良好にするためである。
メタノールへの洗浄時間は余分なカーボンブラック微粒子を除去するために所定時間が必要であるが、実際は、3分から30分程度が必要であり、実施例1では5分間である。この洗浄装置4の洗浄槽43のメタノール液(実施例1)(又はイソプロピルアルコール)で浸漬(又洗浄)するが、洗浄槽43に案内され、左右に往復するローラ群44(実施例1)によってメタノール液で洗浄し、往復の数を調節して所定時間洗浄するようにし、ナノファイバー積層体N5として案内ローラ45からピンチローラ46に送られ、必要に応じて乾燥装置47等で洗浄液のメタノールを除去し巻取工程Eによって中間製品のナノファイバー積層体N5として巻き取られる。
[中間製品の巻取工程E]
ナノファイバー積層体N5である中間製品の巻き取り工程Eは、ピンチローラ46から送風機等の乾燥装置47を経て、フィードローラ48によって移送され、製品巻取部5でロット5Aとして巻き取られる。
製品巻取部5の製品巻き取りロール51の回転軸52は、パウダークラッチ53を介して、巻き取り駆動モータ54によって巻き取られる。この中間製品の巻取部5は、巻取り径検出超音波センサー55を設け、巻取り径の変化により巻取張力が変化するので、この張力を一定にするように駆動源の巻き取り駆動モータ54と回転軸52の間にパウダークラッチ53を設けたので、パウダークラッチ53の滑りを制御して、製品ナノファイバー積層体N5を一定の張力で巻き取ることができる。
[ナノファイバーフィルター積層体の形成工程F]
図2において、図1の巻取装置5の中間製品であるナノファイバー積層体N5のロット5Aは、図2の供給装置6にセットされ、この供給装置6にセットされたロット5Aはパウダークラッチ付きの駆動装置61とフィードローラ62により移送され、次に、不織布添付装置7において、ナノファイバー積層体N5に対して、上面と下面に薄いネット或いは薄いマイクロファイバーの不織布等を供給装置71,72の駆動装置711、721によって駆動され供給される。ナノファイバー積層体N5の上面及び下面を一対のフィードローラ73によってサンドイッチ状に挟み、次に、図3に示す一対の加熱加圧ローラ74でナノファイバー積層体N5の所定箇所を加熱溶着してナノファイバーフィルター積層体N6に成型する。
図3に示す加熱加圧ローラ74は、ナノファイバー積層体N5を上下のローラ74の加熱部741で加圧すると同時に、部分的に所定部分を加熱して圧着溶着する。
ここで、ナノファイバーフィルター積層体N5の裏表の両面に不織布(実施例1)を用いる場合は、不織布の厚さは、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ナイロン不織布から選択される不織布で、該不織布の厚みは0.1から0.7mmで、目付重量が10gから60g/mである。さらに、マスク用ナノファイバー積層体のマスクは、通常使用のマスク、医療用マスク、または産業用防塵マスクのフィルターとして最適である。
[最終製品(ナノファイバーフィルター積層体)の巻取工程G]
最終製品の巻取工程Gでナノファイバーフィルター積層体N6を巻取装置8は駆動装置82により巻き取られ最終製品である巻取ロット81(8A)となる。巻取装置8はナノファイバー積層体N5である中間製品の巻き取り工程Eの巻取部6とほぼ同じ構成である。
こうして、最終製品であるナノファイバーフィルター積層体N6のロット8Aは、巻き戻して必要に応じて裁断し、マスク等に加工する。
[マスク製品例への使用例]
これらの半完成品は、網戸や農業ハウス等の外に、ナノファイバーフィルター積層体(最終製品)N6を加工してマスクの基材や、マスクのポケット部に装着する場合のフィルターとして用いればよく、例えば、図7の使用例1に示すように、最終製品であるN6をマスク使用状態に合わせて長方形の端部を加圧加熱して溶着部87aから切断しマスク基板85とし、これの両側にゴム紐あるいは弾性体87を加圧溶着して使用例1のN8のマスクとする。
また、別の使用例2の図8に示すように、最終製品N6をマスク使用状態に合わせてやや小さめの長方形の端部を加圧加熱してから切断してマスク用フィルター基板85bとし、マスクのポケット部88に挿入する形式のポケット形式のマスクとしてもよい。
図7、図8に示すマスクは、図9に示すように、ノーズフィットワイヤ86で鼻の形状にフィットさせ装着すれば顔とマスクにとの隙間が小さくなり飛沫が漏れ出る量が少なくなる。
本実施例は、カーボンブラック微粒子を使用しているため、全体に黒色或いは灰色となるが、全体を薄いフィルム状のメッシュで覆えば、自由な色にでき、これに印刷を施すことができる。
ここで、実施例1の図1での製造したナノファイバー積層体N3でのカーボンブラック微粒子が混在したナノファイバー積層体の200倍の電子顕微鏡の写真を図10(a)として、同じく、1000倍の電子顕微鏡の写真を図10(b)として示す。
次に、ナノファイバー積層体N3を洗浄装置53で余分なカーボンブラック微粒子を洗い流した状態のナノファイバーフィルター積層体N4の200倍の電子顕微鏡の写真を図11(a)として、同じく、1000倍の電子顕微鏡の写真を図11(b)として示す。
これらの写真から判るように、図10からナノファイバーにカーボンブラックが強固に纏わり付き、且つ、図11より洗浄により余分なカーボンブラックが除去されていることが判る。
[試験結果]
ここで、先ず、捕集効率についての実験結果を説明する。
(1)[表3] [微粒子捕集率]
(1-1)ここで、図2のナノファイバーフィルター積層体N6とカーボンブラック微粒子を混入させない従来のナノファイバーフィルター積層体とを比較して微粒子捕集効率と補足率の効果を示す。
試験方法
ASTM F2299 ただし、粒子の中和を行わない(静電除去)。
試験条件
試験面積:49.0cm
試験流量:28.9L/min
粒子径: 0.1μm(0.100±0.0003μm)
粒子の種類:JSR SIZE STANDARD PARITECLES SC-0100-D(JSR ライフサイエンス(株)製)真球状状ポリスチレン系標準粒子
試験対象:
A:カーボンブラック微粒子のない従来のナノファイバーフィルター積層体
A1:従来のナノファイバーフィルター積層体の厚さ10μmの捕集率:
90.7%(平均捕集効率)
A2:従来のナノファイバーフィルター積層体の厚さ50μmの捕集率:
93.7%(平均捕集効率)
B:実施例1カーボンブラック微粒子を含むナノファイバーフィルター積層体
B1:実施例1のナノファイバーフィルター積層体の厚さ10μmの捕集率:
98.0%(平均捕集効率)
B2:実施例1のナノファイバーフィルター積層体の厚さ50μmの捕集率:
99.5%(平均捕集効率)

上記の捕集効率の試験結果から、カーボンブラック微粒子を含有させたノファイバーフィルター積層体の捕集率が向上することが判る。また、実施例1のナノファイバーフィルター積層体(N6)の厚さによる浮遊微粒子も、[表3]の浮遊微粒子捕集効率は、実施例1B1の厚さが10μmのナノファイバーフィルター積層体では捕集率が98.0%前後であるが、厚さが50μmである実施例1のB2のナノファイバーフィルター積層体では微粒子捕集効率が99.5%であることから、十分に微粒子を捕集できることが判る。
次に、マスク等での口で呼吸する場合の息苦しさに関係する圧力損失についての実験について説明する。
(2)[圧力損失]
口で呼吸する場合の息苦しさに関係する圧力損失について実験する。
ナノファイバーフィルター積層体N6の圧力損失測定試験の結果
試験方法1
実施例1のナノファイバーフィルター積層体N6の厚さ50μmでの(1)換気扇、(2)マスク、(3)空調用フィルターとして使用した場合の標準風量でのそれぞれの圧力損失(単位:Paパスカル)及び、市販A社のマスクについて測定した。

[表4]
1.測定対象:実施例1のナノファイバーフィルター積層体N6
試験時の対象フィルター 風量条件 圧力損失の測定結果
換気扇 350CMH=264.6L/min 87Pa
マスク 85L/min=170.5L/min 55Pa
フィルター 5.33/min=65.675L/min 22Pa
2.測定対象:市販A社のナノファイバーを使用したマスク
マスク 85L/min=150a

上記[表4]の圧力損失の試験結果から、カーボンブラック微粒子が含有させたノファイバーフィルター積層体の使用する各対象物での圧力損失(単位:Pa・パスカル)は、市販A社製のマスクより小さいことが判る。
なお、実施例1のナノファイバー出来上がった製造工程の適宜の箇所で、次の実施例2で用いたような消臭剤添付工程を付加してもよい。
以上詳述したように、本発明の実施例1によれば、本発明のナノファイバーフィルター積層体及びそれを用いたマスクは、長分子配列を有する高分子材料を溶解し、これにカーボンブラック微粉末を混入した紡糸液を加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記高分子材料を延伸するとともに溶剤を気化するようにし、ナノファイバーフィルター積層体であって、更に、水又はメタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間洗浄した積層体で、この積層体は前記ナノファイバー積層体の厚みが5から100μmで、目付重量が3から20g/mである。このナノファイバー積層体の裏表の両面を、不織布で挟んだ状態で所定箇所を加圧溶着したナノファイバーフィルター積層体、及びそれを使用したマスクであるので、カーボンブラック微粉末が強固に混入し、洗っても離脱することがない。
また、前記紡糸する高分子材料としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(登録商標;ナイロン)等から選択させる高分子材料が良く、製造されたナノファイバー積層体の裏表の両面を不織布の厚さは、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ナイロン不織布から選択される不織布で、該不織布の厚みは0.1から0.7mmで、目付重量が10から60g/mとしたナノファイバーフィルター積層体とし、更に、このナノファイバーフィルター積層体を使用したマスクは、一般生活用マスク、医療用マスク、及び、産業用防塵用マスクとして最適である。
また、本発明のナノファイバーフィルター積層体は、その製造工程がエレクトロ・スピニング法ではなく、高速噴射のよる紡糸法で、高分子素材の結束部のないモノフィラメントを平織した粗い目を形成するエンドレスの巡回する捕集基材とし、該捕集基材に向けて、長分子配列を有する高分子材料を溶剤に溶解して加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記高分子材料を延伸するとともに溶剤を気化するようにしてナノファイバー状の繊維を前記捕集基材で積層捕集し、該捕集基材に貼り付いたナノファイバー層を簡単に剥がして、巻き取る工程が採用されるので、無理なくナノファイバー層をメタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間洗浄することができる。
また、紡糸する高分子材料として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)ポリウレタン(PU)、ポリアミド(登録商標;ナイロン)から選択される高分子材料を使用することができるナノファイバーフィルター積層体で、その積層体を用いたマスクであるので、大量で安価に製造することができる。
これらのナノファイバーフィルター積層体が、一般生活用マスク、医療用マスク、産業防塵用マスクのフィルターとして用いると、花粉や微小粒子状物質PM2.5等の塵やウイルス等の捕集が出来ると共に、空気圧力損失が少なく息苦しさも少なく最適である。また、換気扇のフィルター、網戸、農業用ハウスの外気に接する箇所にフィルターとして用いれば、ナノファイバーの素材をポリフッ化ビニリデン(PVDF)とすれば、耐侯性にも優れており、放射線にも強い樹脂であるので、戸外に配備する網戸や農事ハウス等の建材としても適しており、洗浄も簡単に行え、さらに、ナノファイバー層は通気性も十分有し、十分に強度があり、安価に大量に製造できる。
また、実施例1のフィルター積層体の製造工程によれば、ナノファイバー層を容易に厚くすることができ、高分子素材の結束部のないモノフィラメントを平織した粗い目を形成するエンドレスの巡回する捕集基材としたので、ナノファイバー層を容易に厚くすることができ、ナノファイバー層が厚いことから捕集効率を高くし微小粒子状物質PM2.5やウイルス等の飛沫を捕集することができる。
[実施例2]
次に、実施例2を図12から19に沿って説明するが、実施例1と異なるのは、先ず表面基材J1として平織りのモノフィラメントの網(メッシュ)を用いて繰り出し、これにポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーを吹き付けて接着し、このメッシュとナノファイバーを一体化したものを一旦巻き取り、このロット95Aのナノファイバー積層体J5の2個をメッシュ側を外側に露出させて、ナノファイバーフィルター積層体J6を完成させるものである。
以下、詳細に実施例2を説明する。
図12、図13は、実施例2の製造方法全体の概略を示した概念説明図であるが、 図12に示すように、エアフィルター又はマスク用フィルター基材のナノファイバー積層における製造装置の概略は、次の工程順である。
先ず第1工程は高分子素材であるポリプロピレンを平織りした20メッシュの網で、表面基材J1を繰り出す工程[表面基材繰出工程H]であり、次工程は網状補強繊維形成工程であるが、この工程は概略、3工程であり、先ず繰り出された表面基材J1に第1高分子接着剤J2を吹き付け接着剤ファイバーで蜘蛛の巣状或いはジグザグ状の網部を形成する[第1高分子接着材吹付工程I]であり、2番目がこのファイバー状の第1高分子接着材の硬化させるための[冷却固定K]であり、3番目が[第2高分子接着材吹付工程L]である。
第1高分子接着材は表面基材J1との接着性が良好なものであり、第2高分子接着材は第1高分子接着材J2とナノファイバーJ4のポリフッ化ビニリデン(PVDF)との接着性が良好なもので、結果として、表面基材J1とナノファイバーJ4との接着が良好になるので、その後、[ナノファイバー生成工程M]でポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーJ4が表面基材J1に吹き付けられる。
ナノファイバー積層体J4が形成され、[消臭剤添付工程N]で酸化チタンを添付し、一旦[巻取工程O]で中間製品を巻取る。
図13に示すように、[ナノファイバーフィルター積層体の形成工程P]では、中間製品のロット971(95A)の2個を上下の繰出装置にセットし、表面基材J1を外側に露出するように合体する合体ローラで合体し、ナノファイバー面を対向させて重ね合わせて積層してエアフィルター又はマスク用フィルターを完成さえ、製品のナノファイバーフィルター積層体J6として[巻取工程R]で巻取らせる。
概略、実施例2の製造工程は以上のような構成であるが更に詳しく説明する。
[表面基材繰出工程H]
実施例2の表面基材J1の単体は、矩形の空間を有するモノフィラメントで、通常の0.24mm径のPP(ポリプロピレン)の20メッシュであり、厚さは125μm、目付30g/m2であって十分に通気性があり、この表面基材J1は網戸等の建材や送風機のエアフィルターやマスクのフィルターとして使用するには十分に強度がある。なお、表面基材J1としては、上記のPP(ポリプロピレン)以外として、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエステル(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等を用いてもよい。
この表面基材J1は、図12に示すように、表面基材J1の繰出し部91では、巻取径検出超音波センサー916を設け、巻取り径の変化により巻取張力が変化するので、この張力を一定にするように駆動源の巻き取り駆動モータ953と回転軸の間にパウダークラッチ954を設けたので、パウダークラッチ954の滑りを制御して、表面基材J1に一定の張力を加えたるみを防いでおり、複数の案内ローラ913と送出機構914とを経て次工程の[網状補強繊維形成工程]に送られる。
[網状補強繊維形成工程]
網状補強繊維形成工程は、前述したように、[第1高分子接着材吹付工程I]と第1高分子接着材の硬化させるための[冷却工程K]と[第2高分子接着材吹付工程L]から構成される。
[第1高分子接着材吹付工程I]
[第1高分子接着材吹付工程I]は、送り出される表面基材J1に第1高分子接着材(樹脂)吹付部921で第1高分子接着剤J2を吹き付けた状態の第1初期中間製品(J2)を形成し、これは蜘蛛の巣状或いはジグザグ状のファイバーで架橋して網目を形成し、表面基材J1の織り成した網目がずれるのを防止するとともに、更に、表面基材J1の網目の空間にさらに細かい網目を形成して、後工程での積層する薄いナノファイバー層の強度を補強して、ナノファイバー層が破れることを防止する。
この表面基材J1に空間部分を第1ナノファイバー状高分子接着剤が平均で太い10~100μmで、ナノファイバーJ4よりは太い繊維で、蜘蛛の巣状或いはジグザグ状のファイバーを架橋し張り巡らせてより細かい網目を形成し(J2)、この細かい網目に後工程でのナノファイバー層J4をナノファイバー状の第2高分子接着剤J3により接着してナノファイバー積層体J4の強度を向上させている。
このファイバー状にする第1高分子接着剤J2は、架橋及び補強用接着剤(株式会社製;クライベリットPUR反応性ホットメルト(品番:No.703.5)で、蜘蛛の巣状に糸を引くように延びる性質があり、細かい架橋した網目を形成するには好都合である。また、この第1高分子接着剤は加熱する必要がなく、室温で徐々に硬化(数秒)するので、表面基材J1やナノファイバーJ4(N4)を変質させることがない。
ただし、第1高分子接着剤J2は、速乾性であっても硬化が完全ではないと、つまり、表面基材J1と後工程で第2高分子接着剤J3やナノファイバーJ4との固着が十分でなく剥離することが多かった。
このため、第1高分子接着剤N2は、速乾性であっても次工程に移行するまでにより固化(硬化)を完全に終了することが必要であり、このために次工程で詳細に説明するこのファイバー状の第1高分子接着剤J2を吹き付けた後に冷却するファイバー状の第1高分子接着剤の冷却工程Kを設けている。
また、この第1高分子接着剤J2で表面基材J1における正方形の網目(20メッシュ)の空間部に蜘蛛の巣状或いはジグザグ状の網目を形成する理由は、ナノファイバーJ4が形成する空間を塞ぐことを少なくするためで、表面基材J1のモノフィラメント自体で網の目の空間を小さくすると、遮蔽部材の重量も増すことは勿論のこと、遮光率が大きくなってしまう不都合が生じるからである。
この蜘蛛の巣状或いはジグザグ状のファイバーを張り巡らせる網状補強繊維形成部92を図12、図14から図17に沿って説明する。
図12に示すように、網状補強繊維形成部92は、[表面基材繰出工程H]と[ナノファイバー生成工程M]との間に位置し、ポリプロピレン(或いはポリプロエチレン)の表面基材J1のメッシュの表面に、第1高分子接着剤J2を吹き付けて表面基材J1の正方形の空間に細かい網目を形成するものであるので、ナノファイバーJ4や第2高分子接着剤J3が表面基材J1に吹き付けられる直前に、図14、図15に示すように、ノズル部922からナノファイバーJ4よりも若干太く強度もある繊維状にして表面基材J1に吹き付ける。
このファイバー状となる第1高分子接着剤J2は、株式会社クライベリットジャパン製のポリウレタンホットメルト接着剤(湿気硬化型)(PUR反応性ホットメルト(品番)No.703.5)であり物性は以下の[表5]ようなものである。
[表5]
(A)第1高分子接着剤の主成分 ポリウレタン
粘度
120℃:11,000 mPas
140℃: 6,000 mPas
オープンタイム(溶剤を蒸発させる所用(硬化)時間)φ3mmビード:30sec オープンタイム90μm:30sec
特徴:耐熱、耐水、耐寒性、低温塗工、弾性タイプ・糸引き性
このファイバー状にする第1高分子接着剤J2を吹き付けるに際しては、ナノファイバーJ4の隙間を埋めてしまうと、折角のナノファイバーJ4の良好な通気性が阻害されてしまうので、第1高分子接着剤J2はできるだけ細く、蜘蛛の巣状或いはジグザグ状の網を形成するように、ナノファイバーJ4の隙間を埋めることがないように形成することが重要である。
付言すれば、第1高分子接着剤J2はPUR反応性ホットメルト((品番)No.703.5)としたが、その選定条件は、
(1)表面基材J1の網目空間(メッシュ間)の補強、及び、後述する第2高分子接着剤J3の接着剤塗布面の拡大(接着面積の拡大)が計れること、(2)ファイバー状になり糸引き性が強く、架橋性に優れていること、(3)第1高分子接着剤の吹付工程から、第2高分子接着剤J3の吹き付け工程までの距離が短いので、接着剤塗布後、直ちに表面が硬化することが必要である。なお、他の第1高分子接着剤J2としては、株式会社クライベリットジャパン製の無黄色変色タイプ(透明又は白色)の品番VP9484/10のポリウレタンホットメルト接着剤(湿気硬化型)でも同様の結果が得られた。
図12において、網状補強繊維形成部92の第1高分子接着剤J2の吹き付け部21は、上案内ローラ913aから下案内ローラ913bに表面基材J1が移動する上方に配置され、ノズル部922が一緒に移動する表面基材J1の面に対して平行な距離110cm(ナノファイバー生成幅)を往復移動させている。これは、第1高分子接着剤J2はナノファイバー積層体J4のように積層させる必要がなく、ナノファイバーJ4の強度が補強されればよく、むしろ少ないほうが良いからである。
上記の第1高分子接着剤J2は高温の方が粘度が低くなり、140℃での粘度は6000(mPa・s)であるので、この状態で使用できるようにするため、図14に示すようにノズル部922には加熱器(ヒータ)9264を設けてある。なお、第1ファイバー状高分子接着剤J2は後述するファイバー状の第2高分子接着剤J3と全体が溶けて融合しないよう速乾性(数秒)のものを用いる必要がある。
ここで、第1高分子接着剤J2の第1高分子接着材吹付部921とノズル部922の詳細を、図12、図14及び図15に沿って説明するが、140℃程度に加熱した第1高分子接着剤J2の供給部924から供給ポンプ9242によって、第1高分子接着剤J2の供給管9241から先端ノズル直径が0.15mmの中心ノズル9221に供給される。この中心ノズル9221の先端の外筒の外周部9231包むように筒状の熱風吹出部926を設け、この熱風吹出部926の熱風吹出ノズル部9261から高速加熱空気Hを噴射して中心ノズル9221から溶融した接着剤を引き抜くように第2高分子接着剤J2にして表面基材J1に向かって噴射する。このとき熱風吹出ノズル部9261に供給する高速加熱空気Hを送風するエアポンプ928で50リットル/分で加熱空気発生器9281、加熱空気供給管9282、加熱空気導入部枠体9272を介して加熱空気路形成キャップ927と溶融樹脂導入管923の間に形成される高速風吹出通路に導入され、高温高速の吹出通路に連なる加熱された高速風吹出口9263先端の熱風吹出ノズル部9261から高速加熱空気Hが噴出される。
この空気吹出ノズル部9261の噴出面積1mm2程度とし、ノズル部922全体を約140℃にヒータ9264で高温に調整しつつ、噴出空気も140℃程度に加熱して噴出し、接着剤がノズル部922先端でも140℃を維持するようにしている。
また、前述したように接着剤のノズル部922に連なる溶融樹脂導入路9234を中心に有する、溶融樹脂導入管923の下流側の外周部9231には、ノズル部922に連なる熱風導入溝9232が設けられ、この熱風導入溝9232には他端には熱風発生器9281に連通している。
この熱風導入溝9232は、実施例1の図6の溶融樹脂導入管234と同じ構造であるので説明は省略する。
このような構成により、特にESD法を用いなくても、この方法より多少太くはなるが、接着剤が繊維径500nm~500μmのファイバー状で大量に生成されることが判明し、この内10μmから100μmのファイバー状に溶融した第1高分子接着剤J2がポリプロピレンの表面基材J1に蜘蛛の巣状、或いはジグザグ状に貼り付くよう吹き付けられ、全体に均一に塗布される。
図15に示すように、ノズル本体9221は中心軸孔92211の周りには、中心軸孔92211を包むように同軸状にリング状の高速熱風の吹出通路9262が設けられ、高速熱風の吹出通路9262の先端には所定の吹出角度を有したリング状の高速風吹出口9263が設けられ、ノズル本体9221の吐出口92212は高速風吹出口9263より僅かにX=3mm程度(2~4mm)突出して、整流が生じるようにしている。
この吐出口92212の高速風吹出口9263からの突出量Xは、図14に示されるように、加熱空気路形成キャップ927の高速熱風の吹出通路9262が斜行しており、中心のノズル本体9221の外周も斜行しているので、加熱空気路形成キャップ927と加熱空気導入部枠体9272の間に熱風吹出口の微調整用ワッシャー9273を介在させ、この微調整用ワッシャー9273の異なった厚さのものを選択するか、枚数を調整することによって、前記突出量Xを調整することができる。これは、突出量Xを調整すると同時に、高速熱風の吹出通路9262の熱風吹出通路の内壁とノズル本体9221の外周と間、すなわち、熱風吹出ノズル部9261の開口面積も微調整することができる。
このように、熱風吹出ノズル部9261の熱風吹出量を微調整することができるので、図12に示すように、複数のノズル部922の熱風吹出量を同じにすることができ、より均一な接着剤及び分子材料のナノファイバーの積層体を製造することができる。
また、ノズル部922は主にノズル本体9221とノズル支持体9222とからなり、図15における吐出口92212の近傍の拡大図に示すように、ノズル本体9221には長手方向に溶融高分子が噴出する中心軸孔92211が設けられるが、この中心軸孔92211の下流側の先端部には吐出口92212が設けられる。ここで重要なのはノズル本体9221の材質であるが、本発明の紡糸ノズル部922におけるノズル本体9221の材質はステンレス、セラミック又はルビーが良い。
なお、表面基材J1は目が粗く強度があるので、第1高分子接着剤J2(第2高分子接着剤J3も同じ)が表面基材J1を通過するので、背後に接着剤捕集部925で塵等を捕集する。
しかし、ネジ等を設けた金属のノズル支持体9222にノズル吐出口92212をネジ等で固着することが困難であるので、図15に示すように、ノズル本体9221の上流の末端に外側に突出した肉厚の鍔部92213を設け、対応するノズル支持体9222の内孔92221の下流の末端に内側に突出する係止部92222を設けて、ノズル本体9221をノズル支持体9222の内孔92221の上流の開口92223から挿入して、前記鍔部92213を係止部92222に密着嵌合させて固着する。このような構造なので、下流側に高い圧力で溶融高分子が挿入されてもノズル本体9221がノズル支持体9222から離脱することがない。この場合、内孔92221の内径はノズル本体9221の外径および鍔部92213の外径よりも大きく、ノズル支持体9222の先端係止部92222の内径はノズル本体9221の外径よりも小さく、鍔部92213の外径よりも小さくする必要がある。
また、ノズル部922に連通する溶融樹脂導入管923には、適宜の手段により溶融樹脂が供給されるが、例えば、図14に示されるように、接着剤供給部924から供給ポンプ9242及び接着剤供給管9241により接続され供給される。このノズル本体9221は、必要に応じて表面基材J1に対して水平方向に同じ距離を保って移動するようにすれば、ノズル本体9221の数を少なくすることが可能となる。
次に、ファイバー状になる第1高分子接着J2を冷却するための[冷却工程K]に移行する。
[冷却工程K]
本実施例で第1高分子接着剤の[冷却工程K]での冷却装置93は、ペルチェ素子を使用したものである。
アルミ板の冷却板931は、図16に示すように、表面温度を-10℃~-20℃に冷却し、冷却板931に対向して断熱板932を配置してその間隔区を5mm以下とし、前工程で表面基材J1に第1高分子接着剤J2を塗布した網状補強繊維と冷却板931との間隔は1.5mm以下にすることが、第1高分子接着剤J2の硬化の促進や省エネの観点からも好ましい。
冷却板931の背後にはペルチェ素子の冷却機構933が組み込まれているが、ペルチェ素子の原理は図17に示すように、ペルチェディバイス934は、例えば、複数のペルチェ素子から構成され、複数のN型熱電半導体(n)9341とP型熱電半導体(p)9342とが交互に並べられ、それらを金属電極9343で千鳥状に接続して両端に直流電源9345からの電流を供給する構成となっている。この接続状態では、図17で右向きの矢印に示すように、半導体中の電子やホールが熱を下側に運ぶので、左側の金属電極9343uが冷え、右側の金属電極9343dが加熱される。
この左側金属電極9343uの複数の上面を連ねて薄板状の絶縁材9344で覆われ、その絶縁材9344を介して冷暖房する冷却板931に熱が効率よく伝導するように密接接触するように重ねられている。また、同様に右側金属電極9343dの複数の上面を連ねて薄い絶縁材9344で覆われ、その絶縁材9344を介して冷却(吸熱)(発熱)する冷却板931へ熱が効率よく伝導するように密接接触するように重ねられている。
この第1高分子接着剤の[冷却工程K]は非常に重要であって、この[冷却工程K]を通過させた場合は第2高分子接着剤J3がファイバー状で綺麗に蜘蛛の巣状の網目で補強されているのに対して、第2高分子接着剤J3が縮れて蜘蛛の巣状にはなっていないことから、強固な補強にはなっていない。
網状補強された表面基材J1は接着剤の固化(硬化)が促進されて、次の第2高分子接着剤J3がファイバー状に接着する第2高分子接着剤J3を吹き付ける工程の[第2高分子接着材吹付工程L]に移行する。
[第2高分子接着剤吹付工程L]
次に、[網状補強繊維形成工程]では、図12で第2高分子接着剤吹付部921bで第1ファイバー状高分子接着剤J2で補強された表面基材に、次工程で主にナノファイバーJ4を接着する第2高分子接着剤J3を吹き付ける[第2高分子接着剤吹付工程L]について初期中間製品(J3)について説明する。
この状態は顕微鏡写真の図20(表面基材J1+第1高分子接着剤J2+第2高分子接着剤J3)に示すようなもので、第1高分子接着剤J2のファイバー状よりも更に細めの500nmから10μm(好ましくは100nm~10μm実施例2)の繊維径としたファイバー状の第2高分子接着剤J3を網に薄く吹き付けて蜘蛛の巣状に隙間を塞がないように収縮させてある。このように、高分子接着剤J2が表面基材N1にまとわり付いた状態に、第2高分子接着剤J3が付着収縮する。
したがって、第1高分子接着剤J2(表面基材N1+第1高分子接着剤J2)の状態に比べて、図20の顕微鏡写真は、第2高分子接着剤J3が、網目の隙間を塞がないように薄く吹き付けられている。なお、蜘蛛の巣状の第2高分子接着剤J3自体も比較的大径の花粉やP2.5の捕捉するフィルター機能を有している。
図12に示すように、[第2高分子接着剤吹付工程L]の装置構成は、第1高分子接着剤の[冷却工程K]と[ナノファイバー生成工程M]との間に位置し、ノズルも基本的には[網状補強繊維形成工程]と同じで、ポリプロピレン(或いはポリプロエチレン)の表面基材J1と第1高分子接着剤J2との網目となる表面に、第2高分子接着剤J3を吹き付ける。
この第2ファイバー状高分子接着剤J3は、株式会社クライベリットジャパン製のポリウレタンホットメルト接着剤(湿気硬化型)(PUR反応性ホットメルト(品番)No.701.1又は701.2)であり、物性は以下の[表6]のようなものである。なお、本実施例ではUR反応性ホットメルト(品番)No.701.2を使用した。また、他の第2高分子接着剤J3としては、株式会社ヘンケル製の無黄色変色タイプ(透明又は白色)の品番LA7575UVのポリウレタンホットメルト接着剤(湿気硬化型)でも同様の結果が得られた。
[表6]
(B)PUR反応性ホットメルト(品番)No.701.1 主成分 ポリウレタン
粘度
80℃:12,000 mPas
100℃:4,000 mPas
120℃:2,000 mPas
オープンタイム:>1hour
グリーン強度:強
特徴:低温塗工・糸引き無・工耐加水分解性
(C)PUR反応性ホットメルト(品番)No.701.2 主成分 ポリウレタン
粘度(製造時)
brookfield HBTD 10rpm 100℃ 約5,000±1,500mPas
120℃:約3,000±1,000mPas
第2高分子接着剤N3はPUR反応性ホットメルト(品番:No.701.1又は701.2)としたがその選定条件は、
(1)表面基材J1の不織布表面と第1高分子接着剤J2の架橋で作った補強網目の表面基材J1との接着性が良好なこと、(2)不織布の通気空間を塞ぐことがなく、糸引き性のような変形が少ないこと、(3)第2高分子接着剤N3を塗布後の表面が硬化するまでの時間が長く、表面が硬化するまでの比較的長時間(3分~1時間)を利用してナノファイバーを塗布して表面基材J1とナノファイバーJ4が接着硬化する時間を長く保っていること、(4)硬化する前は粘着性が強く、消臭剤の酸化チタンと散布されたナノファイバーJ4及び表面基剤J1とが接着されやすいことが必要である。
したがって、これらの条件を満たし、500nmから10μmの繊維径としたファイバーを形成することができる接着剤であれば他の高分子接着剤でも良い。
これを使用するノズル装置は、[網状補強繊維形成工程]と同様であり、供給する高分子接着剤が異なるだけである。
この第2高分子接着剤J3は、表面基材J1に第1高分子接着剤J2とナノファイバーJ4とを接着固定する接着剤(第2高分子接着剤J3)で、接着機能がより強い性質があり、ナノファイバー積層体J4を表面基材J1に固着するには好都合である。また、この第2高分子接着剤J3も加熱する必要がなく室温で徐々に硬化するのでナノファイバー積層体J4に変質を与えることがない。
また、この第2高分子接着剤J3のファイバー状で表面基材J1等の網目の空間部に蜘蛛の巣状、或いはジグザグ状の網目を形成する理由は、ナノファイバー積層体J4が形成する空間を塞ぐことを少なくするためで、表面基材J1の不織布表面の空間を小さくするのとは異なり、遮蔽部材の重量も増すことは勿論のこと、遮光率が大きくなってしまう不都合が生じるからである。
このように、第2ファイバー状高分子接着剤J3の接着剤の形成は、ナノファイバーJ4が形成する空間をなるべく塞ぐことがないように十分細くファイバー状にすることが重要であり、広がってフィルム状になる接着剤を使用したのではナノファイバーJ4を用いる意味が無くなるのであって、なるべく細いファイバーであることが好ましい。実施例2では第2高分子接着剤J3を500nmから10μmの繊維径としたファイバーで、補強した表面基材に隙間を塞がないように薄く吹き付け収縮しやすくすることが重要である。
要は、第1高分子接着剤J2及び第2状高分子接着剤J3は細いファイバーを形成することが絶対要件であるが、とりわけ、第1高分子接着剤J2は、メッシュの空間の補給で、接着機能を有しつつファイバー(繊維)状の形状を保った即座に硬化するものが望ましく、逆に、第2高分子接着剤J3は表面基材J1や第1高分子接着剤J2とナノファイバー積層体J4を接着する機能を高め、十分な接着時間を維持し、比較的ゆっくり硬化するものが望ましい。実施例2も図12に示すように、巻き取るまでに十分に長い距離を移行する構成になっている。
すなわち、実施例2において、網状補強繊維形成部92からナノファイバー積層体巻取部95までの距離は10から20mとしており、表面基材J1の移動速度90mm/120secから90mm/60secであるが、実施例2においては接着剤供給部24からナノファイバー積層体巻取部7までの距離は15mで、表面基材J1の移動速度90mm/90secとし、第2ファイバー状高分子接着剤J3がゆっくりと硬化するのに十分な時間を保つようにしている。
上記数値の90mm/90secの意味は、表面基材J1が上下距離「90mm」を、90sec」かけて移動することを意味し、ノズル先端も巾1mをトラバースする。
上述したように、供給する第1高分子接着剤J2を第2高分子接着剤J3としただけで、第1高分子接着剤J2のノズル自体の構造、及び設定条件は図15に示すようなものであるが、構造自体は図14及び図15のノズル部922及び空気吹出ノズル部9261と、第1高分子接着材の吹付部921は同じであるので説明は省略する。
なお、第1高分子接着剤J2のファイバーと、第2高分子接着剤J3のファイバーの厚さについては、第1高分子接着剤J1は速乾性ですぐに固化するので厚さの測定は可能であるが、実施例2では、第1高分子接着剤J2+第2高分子接着剤J3の厚さは、80μmで、目付は47g/m2 であった。第2高分子接着剤J3は粘性が低く、これらの第1高分子接着剤J2と第2高分子接着剤J3との合体した厚さは互いに浸み込んでいるので正確な厚さの測定は難しが、図20に示すように全体として極めて薄い層である。なお、図20は、表面基材J1に第1及び第2高分子接着剤(J2+J3)を吹き付けた状態の50倍の顕微鏡写真図である。
[ナノファイバー生成工程M]
ナノファイバー生成工程Mは主に、ナノファイバー発生工程M1とナノファイバー捕集工程M2からなる。
[ナノファイバー発生工程M1]
[第2高分子接着剤吹付工程L]が完了し、表面基材J1+第1高分子接着剤J2+第2高分子接着剤J3の状態が、顕微鏡写真の図20である。
[ナノファイバー生成部M1]では生成したポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーJ4を吹き付け積層する。この工程は実施例1の図1の[ナノファイバー生成工程Aの、材料液供給部1、紡糸部2、吹付部3の構成と同じであるから、
[材料液供給部1]、[紡糸部2,吹付部3]の説明は省略する。
なお、実施例2の紡糸液の組成は下記の[表7]に示すようなもので、実施例1の[表1]と同じ組成である。
[表7]
:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)紡糸液N1の組成
ポリフッ化ビニリデン(PVDF) ・・・・13.00重量%
N-メチル-2-ピロリドン(NMP) ・・85.15重量%
トルエン ・・・・ 1.00重量%.
カーボンブラック微粒子 ・・・・ 0.85重量%
合計 ・・・・・・100.00重量%
ここでも、カーボンブラック微粒子の直径は20nmのものを用いた。
[ナノファイバー捕集工程M2]
また、ナノファイバー捕集工程M2は、実施例1の図1の[ナノファイバー生成工程A]の積層体捕集部3に該当するが、実施例2ではナノファイバー積層体J4は表面基材J1で補強されているから、図12に示すように、基本的には平面保持用グリッド(或いは金網)37とナノファイバーJ4が吹き付けられる裏側には吸引ダクト362を設けてあればよく、機能は実施例1と同じである。
[消臭剤添付工程N]
前記ナノファイバー捕集工程M2で、生成されたナノファイバー積層体の第2ファイバー状高分子接着剤J3が完全に硬化しないうち、酸化チタンをナノファイバー積層体に添付する。従来は酸化亜鉛をポリフッ化ビニリデン(PVDF)に練り込んでいたが、繊維の表面近くに付着しているので、消臭効果にもなる。また、ナノファイバー表面近くの酸化チタンに光を照射すると、OHラジカルなどの活性酸素ができ、このOHラジカルは塩素や次亜塩素酸、過酸化水素、オゾンなどよりはるかに強力な酸化力を持ち、その酸化力によって分解されにくい化学物質を安全に分解することができると理解でき、従来の酸化亜鉛よりも消臭効果が期待でき、かつ、積層体J4の表裏面に酸化チタンが付着固定されるので、さらに消臭効果が高まる。
この消臭剤添付部96を図12に沿って説明するが、酸化チタンの1~5%を水に溶解した消臭剤液を貯蔵した加圧タンク963に圧縮空気965を送り込み、この加圧タンク963からスプレー剤供給管964を介して消臭剤スプレー961からナノファイバー積層体J4に酸化チタン溶液を散布する。
この消臭液は、具体的に以下のような組成比である。
消臭剤(異臭吸収剤):酸化チタン4.4 wt/%(総重量に対する%:w/w%)
純水:95.6wt/%
この消臭剤スプレー961は、スプレー駆動装置962によってナノファイバー積層体J4の表裏面に対して酸化チタン溶液を満遍なく散布し、次工程のナノファイバー巻取工程Oに移送する。
ここで、消臭剤添付工程Nが終了したナノファイバー積層体J5での消臭性能を測定したのが、次の[表8]である。
まず、アンモニアガスの除去性能評価試験は、SEKマーク繊維製品認証基準で定める方法((一社)繊維評価技術協議会)を準用し、一般財団法人カケンテストセンターに依頼して実施した。ただし、試料量は「10cm×10cmを90枚+10cm×3cmを10枚」として、使用バッグの種類はスマートバックPA(ジーエルサイエンス社製)であり、アンモニアガスの除去性能評価試験の試験条件 同じアンモニアガスの初発濃度100ppmの所定容量(200ml)の雰囲気中に、本実施例の前記試料量を存在させた状態と、従来例及び比較例(空試験)として何もない状態を2時間放置して、そのガス濃度を比較したのが次の[表8]である。
[表8]
アンモニアガスの除去性能評価試験
試験対象試料 初発濃度(ppm) 2時間後のガス濃度(ppm) 減少率(%)
実施例1 100 1.0 ≧99
従来例(酸化亜鉛を練込み)
100 15 81
比較例(ブランク) 100 80 ---
以上のように、何もない空の状態に対して、アンモニアガスの濃度は99%も減少し、従来の酸化亜鉛を練込んだナノファイバー積層の81%の減少に比べても顕著な効果があることが判る。
次に、硫化水素ガスの除去性能評価試験を実施したが、SEKマーク繊維製品認証基準で定める方法((一社)繊維評価技術協議会)を準用し、一般財団法人カケンテストセンターに依頼して実施した。ただし、試料量は「10cm×10cmを90枚+10cm×3cmを10枚」として、使用バッグの種類はスマートバックPA(ジーエルサイエンス社製)であり、硫化水素ガスの除去性能評価試験の試験条件 同じ硫化水素ガスの初発濃度4.0ppmの所定容量(200ml)の雰囲気中に、本実施例の前記試料量を存在させた状態と、比較例(空試験)として何もない状態を2時間放置して、そのガス濃度を比較したのが次の[表9]である。
[表9]
アンモニアガスの除去性能評価試験
試験対象試料 初発濃度(ppm) 2時間後のガス濃度(ppm) 減少率(%)
実施例1 4.0 ≦0.05 ≧99
比較例(ブランク) 4.0 4.0 ---
以上のように、何もない空の状態に対して、硫化水素ガスの濃度は99%も減少し、顕著な効果があることが判る。
[中間製品の巻取工程O]
消臭剤添付工程Nを通過したナノファイバー積層体J5の中間製品の巻取工程Oは、必要であれば送風機等の乾燥装置等を経て、フィードローラ等よって移送され、中間製品巻取部95でロット951(95A)として巻き取られる。このとき、中間製品巻取部5の製品巻取ロール951の回転軸は、パウダークラッチ等を介して、一定の張力で巻き取り駆動モータ953によって一旦、中間製品として巻き取られる。
[最終製品のナノファイバーフィルター積層体の形成工程]
ナノファイバーフィルター積層体の形成工程は、図13に示すように、[中間製品繰出工程P]、2枚重ねる[合体工程Q]、 [洗浄工程R]、[最終製品巻取工程]から構成される。
[中間製品繰出工程P]
図13において、図12の巻取装置5の中間製品であるナノファイバー積層体J5の2個のロット971(95A)は、図13の上下の繰出工程Pの供給装置971にセットされ、供給装置971にセットされたロット95Aはパウダークラッチ付きの駆動装置972とフィードローラ983により移送されるが、その際、表面基材J1が露出している面が外側になるように加圧ローラ984で合体するが、次の2枚重ねる合体工程Qに送られる。
[合体工程Q]
この合体工程Qでは、表面基材J1のモノフィラメントの20メッシュの網が外側の面に露出するように加熱加圧ローラ984で合体して強度を増して、次の洗浄工程Rに移送する。
[洗浄工程R]
実施例2では合体したナノファイバーフィラメントを洗浄する[洗浄工程]に送り、この洗浄工程では実施例2では余分なカーボンブラック微粒子や塵を洗浄液の水で洗い流して除去する。
この[洗浄工程]具体的工程の洗浄装置4は、実施例1とほぼ同じであるの詳細な説明は省略する。
この[洗浄工程]を通過した洗浄後のナノファイバーJ7は必要に応じて乾燥装置等で洗浄液を除去して、この最終製品としてを[最終製品巻取工程S]に送り巻き取る。
[最終製品巻取工程S]
最終製品であるナノファイバーフィルター積層体を最終製品巻取工程Sで巻き取るが、ナノファイバーフィルター積層体J7を巻取装置98は駆動装置982により巻き取り巻取ロット981(98A)となる。
このJ7の断面を図18に示すが、表裏の表面基材J1はモノフィラメントの平織りの網(メッシュ)であり、両表面の中には第1高分子接着材J2と第2高分子接着材J3を介してナノファイバー積層体J5が接着されている。
なお、巻取装置98は実施例1のナノファイバー積層体N5である中間製品の巻き取り工程Eの巻取部5や、実施例2の中間製品の巻取工程Oとほぼ同じ構成であるので、詳細な説明は省略する。
こうして、最終製品のナノファイバーフィルター積層体J7のロット981(98A)は、巻き戻して必要に応じて裁断し、マスク等に加工する。
[マスク製品例への使用例]
実施例2のナノファイバーフィルター積層体J5は、網戸等の建材等に用いることも可能であるが、マスクへの使用について説明すれば、実施例1での使用例のほかに、図18に示すように、使用例3が考えられる。
これは、実施例2の20メッシュが形状維持機能にすぐれ、立体成型のマスクとすることが可能であることに着目したもので、メッシュ表面基材J7(98A)としてマスク用に用い、鼻筋に沿うように裁断し溶接し、両側にゴム紐あるいは弾性体87を加圧溶着し、鼻の両側には隙間が生じるので、この隙間を埋めるために柔らかな布を添付して隙間閉鎖部材89を設けたものである。
ここで、実施例2の図12での製造したナノファイバー積層体J3での50倍の電子顕微鏡の写真を図20として示すが、メッシュの表面基材J1に第1高分子接着材J2や第2高分子接着材J3がファイバー状になって絡まっている様子が判る。
次に、性能について試験に沿って説明するが、マスクに使用する20メッシュの1枚と、実施例2の20メッシュの2枚をメッシュ側を外側にして重ね合わせたナノファイバーフィルター積層体の[微粒子捕集率]と[圧力損失]について試験結果を示して説明する。
[試験結果]
(1)[微粒子捕集率]
(1-1)ここで、実施例2の図18のカーボンブラック微粒子を練り込ましたナノファイバーフィルター積層体J7と従来の市販のナノファイバーフィルター積層体とを比較して微粒子捕集効率と補足率の効果を示す。
[表10]
実施例2のナノファイバーフィルター積層体J7のスペック
マスク面積:縦13cm×20cm
厚さ 0.5mm
最小捕集粒子 0.3μm
粒子捕集効率 99.9%以上
圧力損失(85L/min) 4Pa

比較例1
市販A社のナノファイバーフィルター積層体のマスク
圧力損失(85L/min) 150Pa

以上に示すように、マスクとして求められる粒子捕集効率において、圧力損失は桁違いに低く、息苦しさは非常に少ない。
実施例3
実施例3は、実施例2の紡糸液の吸着剤としてカーボンブラック微粒子の代わりに、マンガン酸化物を使用したもので、これはカーボンブラック微粒子を混入した場合はどうしても出来上がったナノファイバー積層体が黒或いは灰色になるので、捕集率を高めた状態で、白色のナノファイバー積層体及びナノファイバーフィルター積層体を得るためである。
次に、実施例3の紡糸液の組成を[表11]に示す。
[表11]
:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)紡糸液N1の組成
ポリフッ化ビニリデン(PVDF) ・・・・13.00重量%
N-メチル-2-ピロリドン(NMP) ・・85.30重量%
トルエン ・・・・ 1.00重量%.
四三酸化マンガン微粒子 ・・・・ 0.70重量%
合計 ・・・・・・100.00重量%

ここで、上記の四三酸化マンガン微粒子は、東ソー株式会社製のブラウノックスX(四三酸化マンガン、Mn)で粒径が0.5μmから10μmのものを使用した。
装置は実施例2とほぼ同じであるが、実施例2のカーボンブラック微粒子を含んだナノファイバー積層体と上記実施例3のマンガン化合物を含んだナノファイバー積層体とにかぜを送って静電気の帯電を同じ条件で測定すると、実施例2のナノファイバー積層体の帯電は8.4KVであるのに対して、実施例3のナノファイバー積層体の帯電は9.3~9.5KVであった。したがって、実施例3の帯電圧も高く、高い集塵能力が期待できる。
以上詳述したように、本発明の実施例1によれば、捕集効率が良いにも拘わらず、空気損圧が少なく息苦しさもないという特徴があり、必要に応じてナノファイバー層を容易に厚くすることができ、ナノファイバー層を厚くして、捕集効率を特に高くすれば微小粒子状物質PM2.5やウイルス等の飛沫を捕集することができ網戸、換気扇等の産業用のフィルターとして使用することができる。
また、、製造工程において、ナノファイバーのスプレーのノズルから噴射する紡糸法であるので、紡糸液にカーボンブラック微粒子をや、マンガン酸化物微粒子を混入することができ、ノズルをステンレスやセラミックにすれば中心吐出口は耐熱性、及び耐久性があり変形も少なく、高温加熱した高分子繊維を長時間紡糸してもナノファイバーにも変形がなく、均一のナノファイバーの直径が維持できる。さらに、ナノファイバー層は通気性も十分よく、十分に強度があり、安価に大量に製造できる。
また、本発明で製造するマスク用ナノファイバーフィルター積層体は、ナノファイバーの素材をポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルプチラール(PVB)、ポリビニルアルコール(PVA) 、ポリウレタン(PU)、ポリアミドポリアミド(登録商標;ナイロン)等の長分子配列を有する高分子材料のナノファイバー積層体を安全に製造でき、特に、ナノファイバーの素材をポリフッ化ビニリデン(PVDF)とすれば、耐侯性にも優れており、放射線にも強い樹脂であるので、戸外と接する網戸や換気扇のフィルターや農事ハウス等のフィルターとしても適しており、洗浄も簡単に行える。
さらに、マスク等では消臭剤を添付すれば消臭作用がられ、細菌等の殺菌作用も期待できる。
特に、実施例2及び3によれば、表面基材にモノフィラメントのメッシュを用いたナノファイバーフィルター積層体及びそれを用いたマスクは、ナノファイバーの紡糸液にカーボンブラック微粉末又はマンガン化合物が強固に混入したので、洗っても離脱することがない。また、実施例3によれば、集塵効率が高く白色のナノファイバーフィルター積層体に仕上げることができる。
また、実施例2及び3は表面基材にモノフィラメントのメッシュを用いたので、モノフィラメントをメッシュでらうので形状保持機能があり、ナノファイバーフィルター積層体が自立するほど形状保持力があるので、実施例2では2枚合わせてあるので、より立体マスクとして成形が容易であり、裁断の容易でマスクの加工が容易であり、捕集効率を高くなり、微小粒子状物質PM2.5やウイルス等の飛沫を捕集することができる。
これらのナノファイバーフィルター積層体が、一般生活用マスク、医療用マスク、産業防塵用マスクのフィルターとして用いると、花粉や微小粒子状物質PM2.5等の塵やウイルス等の捕集が出来ると共に、空気圧力損失が少なく息苦しさも少なく最適である。また、換気扇のフィルター、網戸、農業用ハウスの外気に接する箇所にフィルターとして用いれば、ナノファイバーの素材をポリフッ化ビニリデン(PVDF)とすれば、耐侯性にも優れており、放射線にも強い樹脂であるので、戸外に配備する網戸や農事ハウス等の建材としても適しており、洗浄も簡単に行え、さらに、ナノファイバー層は通気性も十分有し、十分に強度があり、安価に大量に製造できる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
A・・ナノファイバー生成工程、B・・捕集積層形成工程、
C・・積層体離脱工程、D・・洗浄工程、E・・中間製品の巻取工程、
F・・フィルター積層体の形成工程、G・・最終製品の巻取工程、
H1・・上側不織布、H2・・下側不織布、
H3・・上側メッシュ表面基板、H4・・下側メッシュ表面基板、
N1・・ナノファイバー材料液、N2・・ナノファイバー繊維、
N3・・ナノファイバー積層体、N4・・脱離したナノファイバー積層体
N5・・洗浄後のナノファイバーフィルター積層体、
N6・・上下面に不織布(ネット)を配置したナノファイバーフィルター積層体
N8・・マスクの製品例1、N8b・・マスクの製品例2、
H・・表面基材繰出工程、I・・第1高分子接着材吹付工程、K・・冷却工程、
L・・第2高分子接着材吹付工程、M・・ナノファイバー生成工程、
M1・・ナノファイバー発生工程、M2・・ナノファイバー捕集工程、
N・・消臭剤添付工程、O・・中間製品の巻取工程、
Q・・ナノファイバーフィルター積層体の形成工程、S・・最終製品の巻取工程、
J1・・表面基板、J2・・第1高分子接着材、J3・・第2高分子接着材、
J4・・ナノファイバー積層体、J5・・ナノファイバー積層体、
J6・・2枚を合体した最終製品のナノファイバー積層体、
J8・・マスクの製品例3
1・・材料液供給部、11・・材料液タンク、12・・送給ポンプ、
13・・移送管、14・・温水保温部、141・・温水分配器、
142・・温水器、143・・ポンプ、144・・温水出口、
145・・配管、146・・繋ぎ温水戻り口、
2・・紡糸部、21・・ナノファイバー吹付部、
22・・ノズル部、221・・ノズル本体、2211・・中心軸孔、
2212・・吐出口、2213・・鍔部、
222・・ノズル支持体、2221・・内孔、2222・・先端係止部、
2223・・開口、2224・・外周部、
23・・高分子導入管、送給口、231・・外周部、232・・噴射空気導入溝、
234・・貫通孔、24・・高分子供給部、241・・高分子供給管、
26・・高速風吹出部、261・・高速風吹き出しノズル部、
262・・高速風吹出通路、263・・高速風吹出口、
27・・噴射空気路形成キャップ、272・・空気導入部枠体、
28・・空気供給部、281・・エアポンプ、
29・・赤外線加熱装置、291・・フード
3・・積層体捕集部、31・・捕集帯、32・・駆動ローラ、
33a,b,c・・従動支持ローラ、34・・捕集面、
36・・吸引機構、361・・吸引室、362,362a,b,c・・吸引ダクト、
363a,b,c・・風量調整シャッター、
37・・平面保持用グリッド(或いは金網)
38・・積層体離脱部、381・・吹出装置、3811・・吹出ノズル、
382・・吸引装置、3821・・吸引ノズル、
383・・エンドレスベルト、384・・駆動ローラ、385・・案内ローラ、
4・・洗浄装置、41・・ピンチローラ41、42・・案内ローラ、
43・・洗浄槽、44・・ローラ群、45・・案内ローラ、
46・・ピンチローラ、47・・乾燥装置、48・・フィードローラ、
5・・製品巻き取り部、51(5A)・・巻取ロール5、
52・・回転軸、53・・パウダークラッチ、54・・巻取り駆動モータ、
55・・巻取り径検出超音波センサー
6・・供給装置、61・・駆動装置、62・・フィードローラ、
7・・不織布添付装置、71,72・・不織布供給装置、
73・・フィードローラ、74・・加熱加圧ローラ、741・・加熱部、
8・・巻取装置、81(8A)・・巻取ロット、82・・駆動装置、
85・・マスク基材、86・・ノーズワイヤー、87・・ゴム紐(弾性体)、
87b,87c・・溶着部、87・・ゴム紐(弾性体)、88・・ポケット部、
89・・隙間密閉部材、
91・・表面基材の供給部、911・・巻取ロッド、912・・フィードローラ、
913・・案内ローラ、914・・張力調整機構、
92・・網状補強繊維形成部、921・・第1高分子接着材吹付部、
922・・ノズル部、9221・・ノズル本体(中心ノズル)、
92211・・中心軸孔、92212・・吐出口、92213・・鍔部、
9222・・ノズル支持体、92221・・内孔、92222・・先端係止部、
92224・・外周部、
923・・溶融樹脂導入管、9231・・外周部、9232・・熱風導入溝、
924・・供給部、9241・・供給管、9242・・供給ポンプ、
926・・熱風吹出部、9261・・熱風吹出ノズル部、9262・・吹出通路、
9263・・高速風吹出口、9264・・加熱器(ヒータ)、
927・・加熱空気路形成キャップ、9272・・加熱空気導入部枠体、
9273・・微調整用ワッシャー、928・・エアポンプ、
9281・・加熱空気発生器、9282・・加熱空気供給管、
93・・冷却装置、931・・冷却板、932・・断熱板、933・・冷却機構、
934・・ペルチェディバイス、9341・・N型熱電半導体、
9342・・P型熱電半導体、9343・・金属電極、9344・・絶縁材、
9345・・直流電源、
95・・中間製品巻取部、951(95A)・・ロット、953・・駆動モータ、
96・・消臭剤添付部、961・・消臭剤スプレー、962・・スプレー駆動装置、
963・・加圧タンク、964・・スプレー剤供給管、965・・圧縮空気、
971(95A)・・供給装置、983・・ファイードローラ、
984・・合体ローラ、981・・最終製品ロット、982・・駆動装置、

Claims (6)

  1. 長分子配列を有する高分子材料を溶解液に溶解し、該溶解液にカーボンブラック微粒子又はマンガン酸化物の微粒子を混入してナノファイバー紡糸液とし、該紡糸液を加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記高分子材料を延伸するとともに溶剤を気化するようにしたナノファイバー積層体を形成し、該ナノファイバー積層体を洗浄したことを特徴とするナノファイバーフィルター積層体。
  2. 前記長分子配列を有する高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)に溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれかを選択することを特徴とする請求項1に記載のナノファイバーフィルター積層体。
  3. 前記カーボンブラック微粒子は直径が24nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノファイバーフィルター積層体。
  4. 前記洗浄する洗浄液は、水又はメタノール又はイソプロピルアルコールであることを特徴とする請求項1から3に記載から選択されるナノファイバーフィルター積層体。
  5. 前記ナノファイバー積層体を形成した後の適宜の箇所に、消臭剤を添付する消臭剤添付工程を配置したことを特徴とする請求項1から4に記載から選択されるナノファイバーフィルター積層体。
  6. ナノファイバーフィルター積層体は、生活用マスク、医療用マスク、及び産業防塵用マスクに使用され、ナノファイバー積層体の裏表の両面を、不織布、布、又は平織りのメッシュ状の網で支持されることを特徴とする請求項1から5に記載のナノファイバーフィルター積層体を用いたマスク。
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