JP2022110276A - セルロース微小球形粒の製造方法 - Google Patents

セルロース微小球形粒の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】不定形のセルロースが析出しにくく、真球性の高いセルロース微小球形粒を製造すること、また、粒度分布が狭いセルロース微小球形粒を製造すること、更には、粒子径が小さく、真球性が高く、且つ、粒度分布が狭いセルロース微小球形粒を製造することを課題とする。【解決手段】下記(A)、(B)、および(C)の処理によりセルロース微小球形粒を製造する。(A)セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた溶液と多価アニオン性高分子塩又はその水溶液とを混合したセルロース溶解混合液を、セルロースに対する銅の重量割合が51~500重量%になるように用意する。(B)前記セルロース溶解混合液中で、前記セルロースを含む液滴を乳化させて、前記セルロースを含む微小液滴を生成する。(C)前記微小液滴を固化する。【選択図】図1

Description

本発明は、微小球形粒の製造方法に関し、詳しくはセルロースを主成分とする微小球形粒の製造方法に関する。
セルロースで形成された微小球形粒は、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、ろ過助剤、充填剤、塗料・接着剤用添加剤等として、食品、医薬、化粧品、建材、窯業、ゴム、プラスチック等の幅広い分野で利用されている。セルロースは、木材に豊富に含まれる主要成分であり、植林により再生可能な資源である。また、セルロースは生分解性を有する。近年、持続可能な開発に関する意識、特に環境問題に対する意識の高まりから、プラスチック製品を他の生分解性製品で代替することニーズが高まっており、微小プラスチックビーズの代替品として、セルロースで形成された微小球形粒の利用が今まで以上に期待されている。
セルロースから微小球形粒を製造する方法の一種として、セルロースを溶解させて、微小な液滴を形成させた後、液滴を固化させる方法がある。例えば、特許文献1には、セルロースの溶解液を用意し、これを気流中に噴霧して供給し、凝固液に接触させて、再生セルロース球状粒子を形成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、銅アンモニアセルロース溶解液を、ポリアクリル酸塩水溶液と混合して微粒子分散液を生成させ、凝固及び酸による再生を行って微小セルロース粒子を製造する方法が開示されている。
特開2013-13355号公報 特公平7-17682号公報
上記の文献以外にも、セルロースを溶解させてから液滴を形成し、これを固化させて微小球形粒を得る技術についてはいくつか報告があるが、一般的に言って、粒子径を小さくすることが困難である場合が多かった。例えば、特許文献1では、噴霧圧の調整などを施しても、粒子径80~300μmとかなり大きな粒子で粒度分布の広い製品しか得られていない。
特許文献2では、粒子径10μmの微小な微小セルロース粒子を得たことが報告されている。しかし、銅アンモニアセルロース溶解液とポリアクリル酸水溶液を混合した際にセルロースの溶解バランスが崩れてしまい、不定形のセルロース塊が析出してしまう。これらの影響で、真球性の高い粒子を安定的には得にくく、また粒度分布が広くなるといった問題があった。
以上のような状況に鑑み、解決しようとする課題の1つは、不定形のセルロースが析出しにくく、真球性の高いセルロース微小球形粒を製造することができる方法を提供することにある。
解決しようとする更なる課題の1つは、粒度分布が狭いセルロース微小球形粒を製造することができる方法を提供することにある。
また、解決しようとする更なる課題の1つは、粒子径が小さく、真球性が高く、且つ、粒度分布が狭いセルロース微小球形粒を製造することができる方法を提供することにある。
本開示中に提示される発明は、多面的に把握しうるところ、課題を解決するための手段として、例えば、下記のものを含む。
〔1〕 下記(A)、(B)、および(C):
(A)セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた溶液と多価アニオン性高分子塩又はその水溶液とを混合したセルロース溶解混合液を、セルロースに対する銅の重量割合が51~500重量%になるように用意することと、
(B)前記セルロース溶解混合液中で、前記セルロースを含む液滴を乳化させて、前記セルロースを含む微小液滴を生成することと、
(C)前記微小液滴を固化することと、
を含む、セルロース微小球形粒の製造方法。
〔2〕 前記(A)における前記セルロース溶解混合液の用意は、
(a1)セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた第一のセルロース溶解液を用意することと、
(a2)前記第一のセルロース溶解液に対して、順序任意に、(i)多価アニオン性高分子塩又はその水溶液を混合することと、(ii)前記セルロースに対する銅の重量割合が51~500重量%となるように調整することと、
を含む、上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕 前記(B)において、前記セルロース溶解混合液に、攪拌子により遠心力および剪断力を加えて攪拌し、前記微小液滴を生成することを含む、上記〔1〕または〔2〕のいずれか一項に記載の方法。
〔4〕 前記攪拌を、薄膜旋回型攪拌機を用いて行う、上記〔3〕に記載の方法。
〔5〕 前記微小液滴を、アンモニアの除去および酸の添加のいずれか一方または双方により固化する、上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕 前記セルロース溶解混合液を加熱し、アンモニアを除去することを含む、上記〔5〕に記載の方法。
〔7〕 前記多価アニオン性高分子塩又はその水溶液は、ポリアクリル酸ナトリウム塩又はその水溶液である、上記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の方法。
〔8〕 前記セルロース微小球形粒の平均粒子径が1~20μmである、上記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の方法。
〔9〕 前記セルロース微小球形粒の、粒度分布における粒子径1~15μmの存在比が70%以上である、上記〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の方法。
本発明の一態様によれば、不定形のセルロースが析出しにくく、真球性の高いセルロース微小球形粒を製造することができる。
また、本発明の一態様によれば、粒度分布が狭いセルロース微小球形粒を製造することができる。
また、本発明の一態様によれば、粒子径が小さく、真球性が高く、且つ、粒度分布が狭いセルロース微小球形粒を製造することができる。
図1は、実施例1で得たセルロースビーズの光学電子顕微鏡写真を示す図である。 図2は、比較例1で得たセルロースビーズの光学電子顕微鏡写真を示す図である。 図3は、実施例1および比較例1で得たそれぞれのセルロースビーズの粒度分布を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本開示において、特に断らない限り、数値範囲に関し、「AA~BB」という記載は、「AA以上BB以下」を示すこととする(ここで、「AA」および「BB」は任意の数値を示す)。また、下限および上限の単位は、特に断りない限り、後者(すなわち、ここでは「BB」)の直後に付された単位と同じである。
本開示において、「セルロース微小球形粒」とは、セルロースを主成分とする微小球形粒のことをいう。「セルロースを主成分とする」とは、微小球形粒を構成する成分のうち最も多い成分がセルロースであることを意味し、好ましくは全体の50重量%以上、より好ましくは60重量%以上、更に好ましくは70、80、90、95、98、又は99重量%でありうる。
本発明のセルロース微小球形の製造方法の一実施形態では、以下の(A)、(B)、および(C)処理が行われる。
(A)セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた溶液と多価アニオン性高分子塩又はその水溶液とを混合したセルロース溶解混合液を、セルロースに対する銅の重量割合が51~500重量%になるように用意すること。
(B)前記セルロース溶解混合液中で、前記セルロースを含む液滴を乳化させて、前記セルロースを含む微小液滴を生成すること。
(C)前記微小液滴を固化すること。
<処理(A):セルロース溶解混合液の用意>
(A)の処理においては、セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた溶液が用いられる。
本開示において、「セルロース」とは、D-グルコピラノース(単に「グルコース残基」、「無水グルコース」ともいう。)がβ-1,4結合で連なった構造の多糖を意味する。セルロースは、一般に起源、製法等から、天然セルロース、再生セルロース、微細セルロース、非結晶領域を除いた微結晶セルロース等に分類される。
天然セルロースとしては、例えば、晒パルプまたは未晒パルプ(晒木材パルプまたは未晒木材パルプ);リンター、精製リンター;酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等が上げられる。晒パルプ又は未晒パルプの原料は特に限定されず、例えば、木材、木綿、わら、竹、麻、ジュート、ケナフ等が挙げられる。また、晒パルプ又は未晒パルプの製造方法も特に限定されず、機械的方法、化学的方法、あるいはその中間で二つを組み合せた方法でもよい。製造方法により分類される晒パルプ又は未晒パルプとしては、例えば、メカニカルパルプ(サーモメカニカルパルプ(TMP)、砕木パルプ)、ケミカルパルプ(針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)等の亜硫酸パルプ、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)等のクラフトパルプ)等が挙げられる。さらに、製紙用パルプの他に溶解パルプを用いてもよい。溶解パルプとは、化学的に精製されたパルプであり、主として薬品に溶解して使用され、人造繊維、セロハンなどの主原料となる。
本発明の実施形態としては、これらのセルロースのいずれも、銅アンモニア溶液に溶解させて、セルロース銅アンモニア溶解液として用いうる。セルロースの純度が低いと微小球形粒の純度も下がり、球形を維持することが難しくなるため、セルロースの純度を示すαセルロースの含有量が高いセルロースを原料とすることが好ましい。原料となるセルロースのαセルロースの含有量は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。このような原料として、例えば、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)等の亜硫酸パルプやリンターが挙げられる。なお、αセルロースの含有量は、17.5重量%水酸化ナトリウム水溶液に対する不溶解度で表することができる。
銅アンモニア溶液は、セルロースを溶解するための溶媒として用いられる。銅アンモニア溶液は、銅アンモニアレーヨンの製造において汎用されているものを用いうる。銅アンモニア溶液は、シュバイツァー溶液(またはシュバイツァー試薬)ともいわれる。結晶構造を有するセルロースは、セルロースが有する水酸基間で水素結合を形成している。銅アンモニア溶液に含まれる銅錯体が、セルロース分子間の水素結合の間に入り込み、セルロース分子が溶媒に溶解する。
銅アンモニア溶液に含まれる銅成分は、水中で銅イオンを生じる化合物を添加することにより供給することができ、そのような化合物として、例えば、水酸化銅および硫酸五水和物などを用いうる。
(A)の処理においては、上記のようにセルロースを溶解させた銅アンモニア溶液と、多価アニオン性高分子塩又はその水溶液とを混合して得られるセルロース溶解混合液を調製する。
多価アニオン性高分子塩又はその水溶液は、(B)の処理においてセルロースを含む液滴を生成する際に当該液滴の分散媒となる。多価アニオン高分子塩としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシルメチルセルロース、ポリヒドロキシカルボン酸ナトリウムなどが挙げられ、好ましくはポリアクリル酸ナトリウムを用いうる。ポリアクリル酸ナトリウムを用いる場合、その分子量は、好ましくは5,000~3,000,000、より好ましくは10,000~1,000,000、更に好ましくは50,000~500,000でありうる。
セルロース溶解混合液中の多価アニオン性高分子塩の含有量は、好ましくは1~20重合部、より好ましくは5~15重合部である。多価アニオン性高分子塩の含有量が少なすぎると乳化できず、多すぎると多価アニオン性高分子塩が銅アンモニアセルロースから銅イオンを奪ってセルロースが凝集する。
セルロース溶解混合液中のアンモニアの含有量は、好ましくは1~20重量部、より好ましくは2~20重量部、更に好ましくは4~10重量部である。アンモニアの含有量が少なすぎるとセルロースが十分に溶解しない。また、アンモニアの含有量が多すぎると加熱によりアンモニアを揮発させる工程でエネルギーと時間がかかり経済的でない。
セルロース溶解混合液は、(B)の処理を行う前の段階において、セルロースに対する銅の重量割合が所定の割合となるように調製される。
セルロースに対する銅の重量割合の下限は、好ましくは51重量%以上、より好ましくは100重量%以上、更に好ましくは130重量%以上でありうる。セルロースに対する銅の重量割合をこのように調整することにより、セルロースを十分に溶解させることができる。
セルロースに対する銅の重量割合は、セルロースを十分に溶解させる観点からは多いことが好ましいが、その上限は、500重量%以下、400重量%以下、または300重量%以下としてもよい。セルロースに対する銅の重量割合を500重量%以上としても、銅の重量割合の増加程度に応じた効果を得にくくなるため、上記のような上限としておくことにより、銅原料の使用量を節約することができる。
セルロースに対する銅の重量割合は、セルロース銅アンモニア溶液中にセルロースを十分に溶解させるだけであれば、上記よりも少ない量であっても足りるであろう。しかし、本発明の一実施形態においては、それよりも余剰になるように銅成分を投入する。これにより、セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた溶液と多価アニオン性高分子塩又はその水溶液とを混合したセルロース溶解混合液中でも、セルロースが十分に溶解した状態を安定的に保つことができると考えられる。
その作用機序は必ずしも定かではないところもあるが、概ね次のように推定できる。セルロース銅アンモニア溶液と多価アニオン性高分子塩またはその水溶液を混合すると、銅錯体が多価アニオン性高分子にも結合してしまい、セルロースを溶解させる役割を果たす銅錯体の量が相対的に減少してしまうことが考えられる。そこで、セルロースの溶解に働く銅錯体の量が相対的に不足することを防ぐために、セルロースに対する銅の重量割合を上記のように調整して銅イオンリッチな状態を作り出すことにより、溶解セルロースが析出することを抑制し、不定形なセルロース粒子の生成を抑制することができると推定される。また、多価アニオン性高分子塩を添加した溶液中であっても、セルロースが十分に溶解している状態を保つことができるため、真球状の液滴を安定的に形成しやすく、真球状のセルロース微小球形粒を安定的に得ることができると推定される。さらに、セルロースが十分に溶解している状態を保つことは、均質な液滴を生成し、粒度分布の幅が狭いセルロース微小球形粒を生成することにも寄与するものと推定される。
本発明の好ましい一実施形態としては、最初からセルロースに対する銅の重量割合が上記の好ましい範囲になるように、水酸化銅および硫酸五水和物などの銅成分を加えて、セルロース溶解混合液を用意してもよい。このようにすることにより、工程数を減らすことができる。
また、他の好ましい一実施形態として、例えば、セルロース溶解混合液を次の(a1)および(a2)工程を経て用意してもよい。
(a1)セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた第一のセルロース溶解液を用意する。
(a2)前記第一のセルロース溶解液に対して、順序任意に、(i)多価アニオン性高分子塩又はその水溶液を混合することと、(ii)前記セルロースに対する銅の重量割合が51~500重量%となるように調整することとを実施する。
上記(a1)及び(a2)を含む実施形態では、(a1)の段階で、溶液中には銅イオンが含まれているので、(a2)(ii)では、銅成分を追加で供給するということになる。上記のように、(a1)と(a2)に分けて調製することにより、まずセルロースが十分に溶解したことを確認した上で、多価アニオン性高分子塩を混合し、これに対応する銅成分を追加することができるため、銅成分の不足を防止しやすい。
(a2)における(i)および(ii)の処理は、順序任意に行いうる。ここで「順序任意」とは、どちらを先に実施してもよく、また双方を同時に若しくは平行して行ってもよいことを意味する。例えば、(i)と(ii)を同時に実施する形態として、多価アニオン性高分子塩および追加の銅成分を含む水溶液を用意し、当該追加の銅成分と、(a1)第一のセルロース溶解液中の銅成分とを合わせると、セルロースに対する銅の重量割合が51~500重量%となるように調整してもよい。
<処理(B):微小液滴の生成>
(B)の処理においては、上記のようにして用意されたセルロース溶解混合液中で、セルロースを含む液滴を乳化させて、セルロースを含む微小液滴を生成させる。多価アニオン性高分子塩を含む溶液が分散媒となり、セルロースを含む溶液の方が分散質となる。
乳化させる方法としては、一般に乳化物を生成する方法を用いてよく、例えば、物理的対流を生じさせる機械乳化装置を用いうる。機械乳化装置としては、例えば、ビーズミル、高圧ジェットミル、ホモジナイザー、および薄膜旋回型攪拌機などの粉砕機または攪拌機が挙げられる。本発明の一実施形態として好ましくは、攪拌子の回転により遠心力および剪断力を加えながら攪拌する装置を用いうる。より具体的には、本発明の一実施形態として好ましくは、薄膜旋回型攪拌機を用いうる。薄膜旋回型攪拌機は、攪拌子を回転させて、被攪拌対象の液体を旋回させながら攪拌機容器の内壁に沿って薄膜を形成し、攪拌機容器の内壁と攪拌子との狭い隙間に生じる遠心力と剪断力で微小な液滴を均一に形成する。なお、薄膜旋回攪拌機は、一般に市販入手可能な装置である。
上記のように(A)の処理で準備したセルロース溶解混合液を、薄膜旋回型攪拌機を用いて乳化することにより、真球性が高く、粒径が小さく、且つ、粒度分布の狭いセルロース微小球形粒を得ることができる。
<処理(C):微小液滴の固化>
(C)の処理では、(B)の処理にて生成する微小液滴を固化する。セルロースを含む微小液滴の固化は、アンモニアの除去による凝固および酸添加による中和のいずれか一方または双方により行いうる。アンモニアの除去および酸添加は、同時に実施してもよいし、逐次的に実施してもよい。本発明の好ましい一実施形態としては、アンモニア除去を先に開始し、ある程度セルロースを凝固させた後、酸添加により中和して完全に固化させる形態がありうる。また、微小液滴を真球状のまま固化するために、上記(B)の攪拌を継続しながら、または上記(B)よりも緩やかな条件で攪拌を継続しながら、アンモニア除去や酸添加を行ってもよい。
本発明の好ましい一実施形態として、アンモニアの除去は、セルロース溶解混合液を加熱することによって行いうる。アンモニアを加熱除去する際は、徐々に昇温し、セルロースが凝集しないようにすることが望ましい。例えば、室温下にあったセルロース溶解混合液を、好ましくは10~60分、より好ましくは15~50分、更に好ましくは、20~40分または30分程度かけて昇温しうる。昇温後、十分にアンモニアが除去されるまで加熱温度を保つ。加熱により、好ましくは50~100℃、より好ましくは、70~90℃に昇温しうる。このような温度範囲に加熱保持することにより、セルロースを痛めることなく、アンモニアを除去していくことができる。アンモニアを加熱除去することにより、溶液のpHは、およそ7~9程度となりうる。
酸添加する場合に用いられる酸(中和剤)の好ましい例としては、硫酸、塩酸などが挙げられる。酸は、セルロースを含む微小液滴の固化を十分に行うことができる程度の量を添加すればよい。
セルロースを含む微小液滴を固化するために、他の凝固剤を添加してもよい。他の凝固剤としては、無機酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、有機酸、低級アルコールなどが挙げられる。
固化したセルロース微小球形粒は、母液から分離して回収できる。母液からの分離は、通常の固液分離の方法により行うことができ、例えば、濾過、遠心分離などの方法が挙げられる。母液から回収されたセルロース微小球形粒は、更に、水洗、乾燥、漂白などの処理が施されてもよい。
本発明の好ましい一実施形態としては、セルロース微小球形粒の平均粒子径が1~20μmでありうる。本発明のセルロース微小球形粒の製造方法は、このように粒子径の小さいセルロース微小球形粒の製造方法として好適である。
また好ましい他の一実施形態としては、セルロース微小球形粒の、粒度分布における粒径1~15μmの存在比が70%以上でありうる。ここに開示された技術を用いれば、粒度分布の狭いセルロース微小球形粒を製造できるので、粒度分布における粒径1~15μmの存在比が70%以上であるセルロース微小球形粒の製造方法として好適である。
本開示によれば、真球性が高く、粒径が小さく、しかも粒度分布が狭いセルロース微小球形粒製品が得ることができ、このような製品は、化粧料、洗浄剤、マッサージ組成物、樹脂添加物、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、ろ過助剤、充填剤、塗料・接着剤用添加剤などの用途において好適に用いうる。
以下に実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明の技術的範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
(1)セルロース溶解工程
水16.73gに水酸化銅2.13g、アンモニア水(濃度28質量%)8.95gを加え、マグネットスターラーで撹拌し溶解させた。アンモニア水ははじめ白濁しているが、透明になるまで混ぜた。この銅アンモニア水溶液に、粉砕したパルプ2.69gを加え、手で撹拌した。4日以上静置し、セルロースを完全に溶解させた。
セルロースが完全に溶解した溶液に、水104gを加え、セルロース濃度を2重量%に調整し、2%セルロース-銅アンモニア溶液を調製した。
(2)ビーズ製造前準備
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(濃度35質量%)19.36g、アンモニア水(濃度28質量%)12.86g、水酸化銅0.78gを混合して、アンモニアと水酸化銅を含むポリアクリル酸ナトリウム水溶液(S1)を用意した。
上記ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(S1)に、上記(1)で用意した2%セルロース-銅アンモニア溶液を27g加え、マグネットスターラーで撹拌し、ポリアクリル酸ナトリウムを含むセルロース溶解混合液(S2)を得た。ポリアクリル酸ナトリウムを含むセルロース溶解混合液(S2)中の、セルロースに対する銅の重量割合は145重量%である。
(3)ビーズ製造工程
上記のポリアクリル酸ナトリウムを含むセルロース溶解混合液(S2)を10g分取し、薄膜旋回型高速ミキサー(フィルミックス30-L型、プライミクス(株)製)に入れ、予備分散として3000rpm、15分間撹拌した。次に15000rpmで1分間本分散を行い、10μmの溶解セルロースの液滴を得た。
乳化した液滴は粘度が高く、表面張力により球状化するまでに時間がかかる。液滴同士の合一(凝集)を防ぐために3000rpmで攪拌を行いながら液滴を球状化させた。
3000rpmのまま、ウォーターバスに漬けて加温を開始した。80℃で30分間加熱する。急に加熱すると凝集しやすいので徐々に昇温した。
薄膜旋回型高速ミキサーから取り出し、10%硫酸20gを加え、更にマグネットスターラーで撹拌した。
さらに、硫酸を添加し、セルロースが再生すると、溶液の色が黒~薄い青~透明(ビーズは白)に変化し始めた。色が変化しきったところで撹拌を止めた。1μmナイロンメッシュでろ過し、水で洗浄してセルロースビーズ(セルロース微小球形粒)を得た。光学電子顕微鏡(デジタルマイクロスコープVHX-2000、キーエンス社製)を用いて得られた、セルロースビーズの写真を図1に示す。
<比較例1>
ポリアクリル酸ナトリウム(濃度35質量%)9.99g、アンモニア水(濃度28質量%)6.21gを混合して、アンモニアを含み、水酸化銅は含まない、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(CS1)を用意した。
上記ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(CS1)に、上記実施例1の(1)で用意した2%セルロース-銅アンモニア溶液を13.8g加え、マグネットスターラーで撹拌し、ポリアクリル酸ナトリウムを含むセルロース溶解混合液(CS2)を得た。
実施例1におけるポリアクリル酸ナトリウムを含むセルロース溶解混合液(S2)の代わりに、ポリアクリル酸ナトリウムを含むセルロース溶解混合液(CS2)を用いたこと以外は、上記実施例1の(3)と同じ操作を行い、セルロースビーズを得た。光学電子顕微鏡(デジタルマイクロスコープVHX-2000、キーエンス社製)を用いて得られた、セルロースビーズの写真を図2に示す。
図1から、実施例1によれば、真球性が高い微小球形粒が多数生成できていることが確認できた。他方、図2から、比較例1の場合には、不定形の凝集塊が生成していることが確認された。
<粒度分布および平均粒子径の測定>
上記実施例1および比較例1にてそれぞれ得られたセルロースビーズの粒度分布および平均粒子径を以下のようにして測定した。
レーザ回折式粒度分布測定装置(マスターサイザー2000、Malvern社製)を使用した。測定に用いる分散媒は水とし、試料0.1gを加え、測定を実施し、粒度分布と、堆積累計50%粒子径(平均粒子径)を求めた。平均粒子径D[4,3]は、実施例1において10.4μm、比較例1において50.9μmであった。
粒度分布の測定結果を図3に示す。
図3から、比較例1の場合に比べ、実施例1の場合の方が、粒子径が小さく、粒度分布も狭い、セルロース微小球形粒が生成していることが確認できた。

Claims (9)

  1. 下記(A)、(B)、および(C):
    (A)セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた溶液と多価アニオン性高分子塩又はその水溶液とを混合したセルロース溶解混合液を、セルロースに対する銅の重量割合が51~500重量%になるように用意することと、
    (B)前記セルロース溶解混合液中で、前記セルロースを含む液滴を乳化させて、前記セルロースを含む微小液滴を生成することと、
    (C)前記微小液滴を固化することと、
    を含む、セルロース微小球形粒の製造方法。
  2. 前記(A)における前記セルロース溶解混合液の用意は、
    (a1)セルロースを銅アンモニウム溶液に溶解させた第一のセルロース溶解液を用意することと、
    (a2)前記第一のセルロース溶解液に対して、順序任意に、(i)多価アニオン性高分子塩又はその水溶液を混合することと、(ii)前記セルロースに対する銅の重量割合が51~500重量%となるように調整することと、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記(B)において、前記セルロース溶解混合液に、攪拌子により遠心力および剪断力を加えて攪拌し、前記微小液滴を生成することを含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
  4. 前記攪拌を、薄膜旋回型攪拌機を用いて行う、請求項3に記載の方法。
  5. 前記微小液滴を、アンモニアの除去および酸の添加のいずれか一方または双方により固化する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記セルロース溶解混合液を加熱し、アンモニアを除去することを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記多価アニオン性高分子塩又はその水溶液は、ポリアクリル酸ナトリウム塩又はその水溶液である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記セルロース微小球形粒の平均粒子径が1~20μmである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記セルロース微小球形粒の、粒度分布における粒子径1~15μmの存在比が70%以上である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
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