JP2022108037A - 建築用積層体及び装飾フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽光に暴露された場合であっても、良好な耐候性を示して装飾外観を維持することのできる建築用積層体を提供する。【解決手段】建築積層体は、透明基材層12と、粘着剤層14と、着色樹脂層16とをこの順で含み、粘着剤層が、アクリル系粘着性ポリマー及びアクリル系ポリマー添加剤を含み、アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度が-70℃~-20℃であり、アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度が20℃~120℃であり、粘着剤層中のアクリル系ポリマー添加剤の含有量が、アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として11質量部~40質量部である。【選択図】図1

Description

本開示は、建築用積層体及び装飾フィルムに関する。
車両、建築物、交通標識、看板、包装材料などにおいて、フィルム基材に粘着剤層が設けられた装飾フィルム又はシートが広く使用されている。例えば、透明装飾フィルムは、屋外及び屋内のマーキング用途、例えばガラス装飾、バックライト看板、プラスチック着色などにおける塗装代替手段として有用である。装飾フィルムの粘着剤として、冬場から夏場まで幅広い温度域で優れた粘着特性を有するものが望まれている。そのような粘着剤として、耐候性に優れたアクリル系粘着性ポリマーが広く使用されている。
特許文献1(特開平10-310754号公報)は、「アルキル基の炭素数が1~12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これにカルボキシル基を含有し、共重合可能な不飽和モノマーを0.5~10重量%共重合させて得た重量平均分子量80万以上の樹脂組成物(1)と、アルキル基の炭素数が1~20のメタアクリル酸アルキルエステルもしくはメタアクリル酸シクロアルキルエステル、メタアクリル酸ベンジルまたはスチレンから選ばれる1種または2種以上のモノマーを主成分とし、これにアミノ基を含有し、共重合可能な不飽和モノマーを0.5~10重量%共重合させて得た、ガラス転移温度(Tg)が40℃以上で重量平均分子量10万以下の樹脂組成物(2)とを含有し、樹脂組成物(1)100重量部に対し、樹脂組成物(2)を1~40重量%添加してなる粘着剤組成物」を記載している。
特許文献2(特開2012-021142号公報)は、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーを主成分として含有するモノマー成分(a)を、60℃における酢酸ビニルの有機溶剤への連鎖移動定数が250以上となる有機溶剤(b)の存在下で重合して得られるアクリル系樹脂(A)を含有するアクリル系樹脂溶液であり、アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が5万~30万で、かつ樹脂溶液の固形分濃度が60%以上であることを特徴とするアクリル系樹脂溶液」を記載している。
特許文献3(特開2014-108968号公報)は、「(A)アクリル系共重合体と、(B)粘着賦与樹脂と(C)イソシアネート系架橋剤とを含む粘着剤組成物であって、該アクリル系共重合体(A)は、分子量3万以下のポリマーの含有率が30重量%未満の重量平均分子量(Mw)が30万未満のアクリル系共重合体であり、該アクリル系共重合体は、(a-1)アルキル(メタ)アクリレート:50~95.9重量%、(a-2)水酸基含有(メタ)アクリレート:0.1~5重量%、を含む単量体の共重合体であり該粘着賦与樹脂(B)は(b-1)重合ロジンエステルと、(b-2)石油樹脂とからなり、アクリル系共重合体(A)からGPCにより分離した分子量3万以下のポリマーのイソシアネート系架橋剤(C)との反応性が、GPCにより分離した分子量15万以上のポリマーのイソシアネート系架橋剤(C)との反応性より大きいことを特徴とする粘着剤組成物」を記載している。
特許文献4(特開2014-196442号公報)は、「アクリル系粘着剤と、架橋剤としてイソシアネート化合物と、を少なくとも含んでなり、前記アクリル系粘着剤が、質量平均分子量が5~30万の範囲にあるアクリル系樹脂からなり、前記イソシアネート化合物が、前記アクリル系粘着剤100質量部に対して固形比で0.3~0.8質量部含まれてなることを特徴とする、粘着剤組成物」を記載している。
特許文献5(特開2013-010837号公報)は、「重量平均分子量が50万~300万の第1の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、重量平均分子量が8000~30万の第2の(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)と、架橋剤(C)とを含有する粘着性組成物であって、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)および前記第2の(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)は、それぞれ、酸性基を実質的に含有せず、かつ当該重合体を構成するモノマー単位として水酸基含有モノマーを含有し、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が含有する水酸基含有モノマーと、前記第2の(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)が含有する水酸基含有モノマーとは同一種であり、前記第1の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)に含まれる水酸基に対する前記第2の(メタ)アクリル酸エステル重合体(B)に含まれる水酸基のモル比は、1.0~40であることを特徴とする粘着性組成物」を記載している。
特許文献6(特開2009-035602号公報)は、「重量平均分子量が80万未満で、ガラス転移温度が-100℃~-30℃のカルボキシル基含有(メタ)アクリル系粘着ポリマー(1)、及び重量平均分子量が3万~10万で、ガラス転移温度が20℃~90℃のアミノ基含有(メタ)アクリル系非粘着ポリマー(2)を含有し、ポリマー(1)100質量部に対し、ポリマー(2)を1質量部以上20質量部未満含む粘着剤組成物」を記載している。
特開平10-310754号公報 特開2012-021142号公報 特開2014-108968号公報 特開2014-196442号公報 特開2013-010837号公報 特開2009-035602号公報
透明装飾フィルムを建築物の窓などのガラス基材の屋内側に施工(内貼り)すると、透明装飾フィルムに含まれる粘着剤が劣化する場合がある。粘着剤の劣化は、具体的には粘着剤の主成分である粘着性ポリマー、例えばアクリル系粘着性ポリマーの分解であり、ガラス基材を透過する太陽光への暴露(特に紫外線への暴露)、及び比較的厚いガラス基材に蓄積される熱によって作り出される継続的な高温環境が主な要因であると考えられる。透明装飾フィルムのフィルム基材に紫外線吸収剤を含めて透明装飾フィルムの耐候性を高めることは一般的に知られている。しかし、内貼りの場合、太陽光に対してフィルム基材が粘着剤層の背面に位置するため、フィルム基材に含まれる紫外線吸収剤は粘着剤層に入射する紫外線量を低減することには直接的に寄与しない。このように、透明装飾フィルムにおける粘着剤の劣化は、外貼り(透明装飾フィルムをガラス基材の屋外側に施工)よりもむしろ内貼りにおいて問題となる。粘着剤が劣化すると、粘着剤の凝集力が低下し、施工時に生じたフィルム基材の内部応力が粘着剤の凝集力に打ち克って透明装飾フィルムが収縮する、あるいは透明装飾フィルムとガラス基材との間に気泡が発生する場合がある。そのため、粘着剤層を含めて透明装飾フィルムの耐候性を高めることが望まれている。
本開示は、太陽光に暴露された場合であっても、良好な耐候性を示して装飾外観を維持することのできる建築用積層体を提供する。また、本開示は、そのような建築用積層体に使用することのできる装飾フィルムを提供する。
本発明者は、ガラス転移温度が特定の範囲であるアクリル系ポリマーを大量に粘着剤に添加することで、太陽光に暴露されたときの粘着剤の凝集力低下を抑制し、装飾フィルムの耐候性が改善されることを見出した。
一実施態様によれば、透明基材層と、粘着剤層と、着色樹脂層とをこの順で含む建築用積層体であって、前記粘着剤層が、アクリル系粘着性ポリマー及びアクリル系ポリマー添加剤を含み、前記アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度が-70℃~-20℃であり、前記アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度が20℃~120℃であり、前記粘着剤層中の前記アクリル系ポリマー添加剤の含有量が、前記アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として11質量部~40質量部である、建築用積層体が提供される。
別の実施態様によれば、粘着剤層と着色樹脂層とを含む、建築用積層体用装飾フィルムであって、前記粘着剤層が、アクリル系粘着性ポリマー及びアクリル系ポリマー添加剤を含み、前記アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度が-70℃~-20℃であり、前記アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度が20℃~120℃であり、前記粘着剤層中の前記アクリル系ポリマー添加剤の含有量が、前記アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として11質量部~40質量部である、装飾フィルムが提供される。
本開示によれば、太陽光に暴露された場合であっても、良好な耐候性を示して装飾外観を維持することのできる建築用積層体、及びそのような建築用積層体に使用することのできる装飾フィルムが提供される。
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
一実施態様の建築用積層体の概略断面図である。 例1~例4及び比較例1~比較例4の耐候性試験2の結果を示す写真である。
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。
本開示において「(メタ)アクリル」とはアクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
本開示において「フィルム」には「シート」と呼ばれる物品も包含される。
本開示において「感圧接着(性)」とは、使用温度範囲で、例えば0℃以上、50℃以下の範囲において、短時間わずかな圧力を加えただけで様々な表面に接着し、相変化(液体から固体へ)を呈さない材料又は組成物の特性を意味する。本開示において「粘着(性)」は「感圧接着(性)」と相互に交換可能に使用される。
本開示において「上に配置される」とは、直接的に上に配置される場合のみならず、間接的に、すなわち他の材料又は層を介して上に配置される場合も含む。
一実施態様の建築用積層体は、透明基材層と、粘着剤層と、着色樹脂層とをこの順で含む。建築用積層体の一部である粘着剤層と着色樹脂層とを含む積層体は、装飾フィルムとみなすことができる。
透明基材層としては、例えば、ガラス、石英、シリカなどの無機材料、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどの有機材料、又はこれらの組み合わせを含むものが挙げられる。一実施態様では透明基材層は無機材料を含み、好適にはガラスである。
透明基材層の厚さは様々であってよく、例えば、約10μm以上、約50μm以上、又は約100μm以上、約20mm以下、約15mm以下、又は約10mm以下とすることができる。
一実施態様では、透明基材層の可視光線透過率は50~100%、70~100%、又は90~100%である。本開示において「可視光線透過率」とは、JIS A 5759:2008に準拠して測定された波長380nm~780nmにおける平均可視光線透過率を意味する。
粘着剤層は、アクリル系粘着性ポリマー及びアクリル系ポリマー添加剤を含む。アクリル系粘着性ポリマーは、室温よりも低い-70℃~-20℃のガラス転移温度を有することから、使用温度(例えば5℃~35℃)で粘着剤層に感圧接着性を付与する。アクリル系粘着性ポリマーは、一般にアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む(メタ)アクリレート重合体又は共重合体である。このような粘着性ポリマーが太陽光に暴露されると、粘着性ポリマー主鎖が分解(解重合)してその凝集力が低下する。太陽光への暴露に伴って粘着性ポリマー側鎖のエステル部分の加水分解が引き起こされ、その結果生成したアルコールが可塑剤として作用することで、粘着性ポリマーの凝集力が低下する場合もある。いかなる理論に拘束される訳ではないが、20℃~120℃と高いガラス転移温度を有するアクリル系ポリマー添加剤を比較的大量にアクリル系粘着性ポリマーに添加することで、太陽光の暴露によって引き起こされるアクリル系粘着性ポリマーの凝集力の低下を抑制し、接着力を所望のレベルに維持することができると考えられる。
アクリル系粘着性ポリマーは、(メタ)アクリル系モノマー及び必要に応じてその他のモノエチレン性不飽和基を有するモノマーを含む重合性組成物を重合又は共重合することにより得ることができる。本開示において、(メタ)アクリル系モノマー及びその他のモノエチレン性不飽和基を有するモノマーを合わせて重合性成分という。(メタ)アクリル系モノマー及びその他のモノエチレン性不飽和基を有するモノマーは、それぞれ単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル系モノマーは、一般にアルキル(メタ)アクリレートを含む。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素原子数は1~12であってよい。アルキル(メタ)アクリレートとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-メチルブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレートなどの直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート;及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは、n-ブチルアクリレート、2-メチルブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、又はそれらの組み合わせを含むことが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートは、アクリル系粘着性ポリマーの主成分を構成する。一実施態様では、アクリル系粘着性ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートを、重合性成分の質量を基準として、約50質量%以上、約70質量%以上、又は約80質量%以上、約99.5質量%以下、約99質量%以下、又は約98質量%以下の量で含む重合性組成物を共重合して得られたものであり、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を上記質量比で含む。
(メタ)アクリル系モノマーは、フェニル(メタ)アクリレート、p-トリル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレート;フェノキシエチル(メタ)アクリレートなどのフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;又はグリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの環状エーテル含有(メタ)アクリレートを含んでもよい。
(メタ)アクリル系モノマー又はその他のモノエチレン性不飽和基を有するモノマーは、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な極性モノマーを含んでもよい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、マレイン酸などのカルボキシ基含有モノマー;アミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノアルキル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのモノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)などのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)、N,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルビニルエーテル、N,N-ジエチルアミノエチルビニルエーテルなどのジアルキルアミノアルキルビニルエーテルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタムなどのアミド基含有モノマー;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー;及び(メタ)アクリロニトリルなどの不飽和ニトリルが挙げられる。これらの極性モノマーは粘着剤層の凝集力を高めて接着力を向上させることができる。
その他のモノエチレン性不飽和基を有するモノマーとして、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;及び酢酸ビニルなどのビニルエステルも挙げられる。
アクリル系粘着性ポリマーは、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、カルボキシ基含有モノマーを重合性成分として含む重合性組成物を共重合することにより得ることができる。カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、カルボキシ基の存在により凝集力を高めて接着力を向上させることができる。カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、透明基材層及び/又は着色樹脂層と粘着剤層との密着性を高めることができる場合もある。カルボキシ基含有モノマーとしては(メタ)アクリル酸が好ましい。
一実施態様では、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、カルボキシ基含有モノマーを、重合性成分の質量を基準として、約0.5質量%以上、約1質量%以上、又は約2質量%以上、約15質量%以下、約10質量%以下、又は約8質量%以下の量で含む重合性組成物を共重合して得られたものであり、カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位を上記質量比で含む。
アクリル系粘着性ポリマーの重合又は共重合は、ラジカル重合により行なうことができる。ラジカル重合として、溶液重合、懸濁重合、乳化重合、塊状重合などの公知の重合方法を用いることができる。高分子量のポリマーを容易に合成することができる溶液重合を用いることが有利である。重合開始剤として、例えば、過酸化ベンゾイル、ラウロイルペルオキシド、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートなどの有機過酸化物;又は2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル-2,2-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリアン酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)(AVN)などのアゾ系重合開始剤を用いることができる。重合開始剤の使用量は、重合性成分100質量部に対して、一般に約0.01質量部以上、又は約0.05質量部以上、約5質量部以下、又は約3質量部以下である。
アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、約-70℃~約-20℃である。一実施態様では、アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度は、約-65℃以上、又は約-60℃以上、約-25℃以下、又は約-30℃以下である。アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度を約-70℃以上とすることにより、接着力及び保持力を粘着剤層に付与することができる。アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度を約-20℃以下とすることにより、アクリル系ポリマー添加剤と組み合わせたときに、初期接着性(タック)を粘着剤層に付与することができる。
アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、各ポリマーがn種類のモノマーから共重合されているとして、下記のFOXの式(Fox, T. G., Bull. Am. Phys. Soc., 1 (1956), p. 123)
Figure 2022108037000002
を用いて計算ガラス転移温度として求めることができる。式中、Tgは成分iのホモポリマーのガラス転移温度(℃)、Xは重合の際に添加した成分iのモノマーの質量分率をそれぞれ示し、iは1~nの自然数であり、
Figure 2022108037000003
である。
一実施態様において、アクリル系粘着性ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、約150,000以上、約200,000以上、又は約250,000以上、約2,000,000以下、約1,500,000以下、又は約1,000,000以下である。本開示において「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による標準ポリスチレンで換算した分子量を意味する。
アクリル系ポリマー添加剤は、上述のとおり、太陽光への暴露によるアクリル系粘着性ポリマーの凝集力の低下を抑制して、粘着剤層の接着力を維持する成分であり、そのガラス転移温度(Tg)は約20℃~約120℃である。一実施態様では、アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度は、約30℃以上、又は約45℃以上、約100℃以下、又は約80℃以下である。アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度を約20℃以上とすることにより、夏場などの高温環境下における粘着剤層の凝集性を担保することができる。アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度を約100℃以下とすることにより、常温域での接着性を担保することができる。アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度は、アクリル系粘着性ポリマーと同様にFOXの式を用いて決定することができる。
粘着剤層中のアクリル系ポリマー添加剤の含有量は、アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として、約11質量部~約40質量部である。一実施態様では、アクリル系ポリマー添加剤の含有量は、アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として、約12質量部以上、又は約15質量部以上、約30質量部以下、又は約25質量部以下である。アクリル系ポリマー添加剤の含有量を、アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として、約11質量部以上とすることにより、太陽光への暴露によるアクリル系粘着性ポリマーの凝集力の低下を抑制して粘着剤層の接着力を維持することができる。アクリル系ポリマー添加剤の含有量を、アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として、約40質量部以下とすることにより、低温接着性を担保することができる。
一実施態様では、粘着剤層中のアクリル系ポリマー添加剤の含有量は、粘着剤層の質量を基準として、約9質量%以上、約10質量%以上、又は約11質量%以上、約29質量%以下、約25質量%以下、又は約20質量%以下である。アクリル系ポリマー添加剤の含有量を、粘着剤層の質量を基準として、約9質量%以上とすることにより、太陽光への暴露によるアクリル系粘着性ポリマーの凝集力の低下を抑制して粘着剤層の接着力を維持することができる。アクリル系ポリマー添加剤の含有量を、粘着剤層の質量を基準として、約29質量%以下とすることにより、低温接着性を担保することができる。
アクリル系ポリマー添加剤は、アクリル系粘着性ポリマーと同様に、(メタ)アクリル系モノマー及び必要に応じてその他のモノエチレン性不飽和基を有するモノマーを含む重合性組成物を重合又は共重合することにより得ることができる。重合性組成物に含まれるモノマーの種類及び含有量は、アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度が約20℃~約120℃となるように、上記のFOX式を用いて決定することができる。
一実施態様において、アクリル系ポリマー添加剤の重量平均分子量(Mw)は、約1,000以上、約5,000以上、又は約10,000以上、約200,000以下、約100,000以下、又は約80,000以下である。
アクリル系ポリマー添加剤は、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、アミノ基含有モノマーを重合性成分として含む重合性組成物を共重合することにより得ることができる。アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、例えば透明基材層がガラスなどの無機材料を含む場合、その無機材料に含まれる微量の金属イオン、例えば鉄イオンをアミノ基で捕捉することができる。これにより、高温環境下、太陽光に含まれる紫外線により活性化された金属イオンによって触媒され得るアクリル系粘着性ポリマーの解重合反応を抑制することができる。アミノ基含有モノマーとしては、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)などのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
アクリル系粘着性ポリマーが、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーである場合、アクリル系ポリマー添加剤は、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましく、芳香族ビニルモノマーに由来するモノマー単位を含まないアミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマー(以下、本開示において「アミノ基含有非芳香族(メタ)アクリル系ポリマー」ともいう。)であることがより好ましい。アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーとの相互作用により、粘着剤層の凝集力を高めて、粘着剤層の接着特性を向上させることができる。アミノ基含有非芳香族(メタ)アクリル系ポリマーは、カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーとの相溶性に優れていることから、カルボキシ含有(メタ)アクリル系ポリマーとの上記相互作用をより効果的なものにすることができる。
アミノ基含有非芳香族(メタ)アクリル系ポリマーは、芳香族ビニルモノマーに由来する構成単位を含まない。芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルアントラキノン、芳香族アミンの(メタ)アクリルアミド、及び水酸基含有芳香族化合物の(メタ)アクリレートが挙げられる。芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、ナフチルアミン、アミノアントラセン、アミノアントラキノン、及びこれらの誘導体が挙げられる。水酸基含有芳香族化合物としては、例えば、上記芳香族アミンに対応する水酸基含有化合物が挙げられる。
一実施態様では、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーは、アミノ基含有モノマーを、重合性成分の質量を基準として、約0.5質量%以上、約1質量%以上、又は約3質量%以上、約20質量%以下、約15質量%以下、又は約10質量%以下の量で含む重合性組成物を共重合して得られたものであり、アミノ基含有モノマーに由来する構成単位を上記質量比で含む。
粘着剤層は、アクリル系粘着性ポリマー及びアクリル系ポリマー添加剤、並びに必要に応じて架橋剤、溶剤、及び/又はその他の添加剤を含む粘着剤組成物を用いて、着色樹脂層、透明基材層、又はライナーの上に形成することができる。
架橋剤としては、アクリル系粘着性ポリマーのポリマー鎖間に架橋を形成することができるものであれば特に限定されない。例えば、アクリル系粘着性ポリマーがカルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーである場合、架橋剤として、エポキシ系架橋剤、ビスアミド系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、イソシアネート系架橋剤などを使用することができる。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)(商品名として、TETRAD-X(三菱ガス化学株式会社、日本国東京都千代田区)、E-AX及びE-5XM(いずれも綜研化学株式会社、日本国東京都豊島区))、及びN,N’-(シクロヘキサン-1,3-ジイルビスメチレン)ビス(ジグリシジルアミン)(商品名として、TETRAD-C(三菱ガス化学株式会社、日本国東京都千代田区)、及びE-5C(綜研化学株式会社、日本国東京都豊島区))が挙げられる。
ビスアミド系架橋剤としては、例えば、1,1’-(1,3-フェニレンジカルボニル)ビス(2-メチルアジリジン)、1,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ベンゼン、4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン、及び1,8-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)オクタンが挙げられる。
アジリジン系架橋剤としては、例えば、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート(商品名として、ケミタイト(登録商標)PZ-33(株式会社日本触媒(日本国大阪府大阪市))、及びCrosslinker CX-100(DSM Coating Resins B.V.(オランダ王国ズヴォレ))が挙げられる。
カルボジイミド系架橋剤としては、例えば、カルボジライトV-03、V-05、及びV-07(いずれも日清紡ケミカル株式会社(日本国東京都中央区))が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、コロネートL、及びコロネートHK(いずれも東ソー株式会社(日本国東京都港区))が挙げられる。
架橋剤は、アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として、約0.01質量部以上、約0.02質量部以上、又は約0.05質量部以上、約0.5質量部以下、約0.4質量部以下、又は約0.3質量部以下の量で使用することができる。
溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなど又はこれらの混合溶剤が挙げられる。
その他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、熱安定剤、充填材、粘着付与剤などが挙げられる。
粘着剤層の厚さは様々であってよく、例えば、約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上、約200μm以下、約100μm以下、又は約50μm以下とすることができる。
一実施態様では、粘着剤層の可視光線透過率は約50%~約100%、約70%~約100%、又は約90%~約100%である。
着色樹脂層は、透明材料であってもよく、不透明材料であってもよい。着色樹脂層として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、又はポリアミドを含むフィルムを使用することができる。着色樹脂層は、顔料、染料などの着色剤で着色されていてもよい。着色樹脂層は、その上に印刷層を有してもよい。
一実施態様では着色樹脂層はポリ塩化ビニル及び着色剤を含む。ポリ塩化ビニルを含む着色樹脂層は耐候性に優れている。
着色樹脂層の厚さは様々であってよく、例えば、約5μm以上、約10μm以上、又は約20μm以上、約500μm以下、約300μm以下、又は約200μm以下とすることができる。
一実施態様では、着色樹脂層の可視光線透過率は、約10%以上、約30%以上、又は約50%以上、約99%以下、約97%以下、又は約95%以下である。
建築用積層体は、粘着剤層と着色樹脂層とを含む装飾フィルムを、透明基材層の上に貼り付けることにより製造することができる。一実施態様の装飾フィルムは、着色樹脂層と、着色樹脂層の上に配置された粘着剤層とを含み、粘着剤層は、粘着剤組成物の固形分、又は粘着剤組成物の反応物の固形分を含む。
図1に一実施態様の建築用積層体の概略断面図を示す。建築用積層体10は、透明基材層12と、粘着剤層14と、着色樹脂層16とをこの順で含む。建築用積層体10は、粘着剤層14及び着色樹脂層16を含む装飾フィルム20を透明基材層12に貼り付けることにより製造される。建築用積層体10は、着色樹脂層16及び粘着剤層14が屋外に位置するように使用される、すなわち装飾フィルム20が透明基材層12の屋外面に貼り付けられてもよい。建築用積層体10は、着色樹脂層16及び粘着剤層14が屋内に位置するように使用される、すなわち装飾フィルム20が透明基材層12の屋内面に貼り付けられてもよい。
装飾フィルムは公知の方法によって製造することができる。例えば、粘着剤組成物を、ナイフコート、バーコートなどによりライナー上に塗布し乾燥して、粘着剤層を形成する。任意成分の架橋剤を反応させるために、乾燥時に熱風、オーブンなどを用いて粘着剤層を加熱してもよい。得られた粘着剤層の上に着色樹脂層をドライラミネートなどの方法により積層して、装飾フィルムを製造することができる。着色樹脂層の上に直接粘着剤組成物を塗布し乾燥して、装飾フィルムを製造することもできる。
着色樹脂層と粘着剤層は直接接触していてもよく、これらの層の間に他の層、例えば、印刷層、金属層、プライマー層などが介在してもよい。粘着剤層とは反対側の着色樹脂層の表面の上に他の層、例えば、印刷層、金属層、表面保護層、クリア層などが積層されていてもよい。着色樹脂層の粘着剤層と接触する表面に、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理が施されていてもよい。
装飾フィルムは、着色樹脂層とは反対側の粘着剤層の表面にライナーを有していてもよい。任意の構成要素であるライナーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、酢酸セルロースなどのプラスチック材料、紙、及び前記プラスチック材料のラミネート紙などを挙げることができる。これらのライナーは、シリコーンなどにより剥離処理した表面を有してもよい。ライナーの厚さは、通常約10μm以上、又は約25μm以上、約500μm以下、又は約200μm以下とすることができる。
粘着剤層は中実であってもよく、多孔質又は発泡体であってもよい。粘着剤層の接着面は平坦であってもよく、凹凸を有してもよい。凹凸接着面には、粘着剤層の接着面に、粘着剤組成物の固形分又は反応物の固形分を含む凸部と、その凸部の周りを取り囲んだ凹部とが形成され、透明基材層に接着された状態で透明基材層の表面と接着面との間に凹部が画する外部と連通した連通路が形成される接着面を含む。凹凸接着面を形成する方法の一例を以下説明する。
所定の凹凸構造を有する剥離面を持つライナーを用意する。このライナーの剥離面に、粘着剤組成物を塗布し、必要に応じて加熱して、粘着剤層を形成する。これにより、粘着剤層のライナーと接する面(これが装飾フィルムにおける接着面となる。)に、ライナーの凹凸構造(ネガ構造)を転写し、接着面に所定の構造(ポジ構造)を有する凹凸接着面を形成する。接着面の凹凸は、前述したように、透明基材層に凸部が接着した際に連通路が形成可能な溝を含むように予め設計される。
粘着剤層の溝は、一定形状の溝を規則的パターンに沿って接着面に配置することにより規則的パターンの溝を形成してもよく、不定形の溝を配置することにより不規則なパターンの溝を形成してもよい。複数の溝が互いに略平行に配置されるように形成される場合、溝の配置間隔は約10μm以上、又は約100μm以上、約2000μm以下、又は約1000μm以下であることが好ましい。溝の深さ(接着面から着色樹脂層の方向に向かって測定した溝の底までの距離)は、通常約10μm以上、約100μm以下である。溝の形状も、本発明の効果を損なわない限り特に限定されない。例えば、溝の形状を、接着面に垂直な方向の溝の断面において、略矩形(台形を含む)、略半円形、又は略半楕円形とすることができる。
一実施態様では、ライナーを除く装飾フィルムの可視光線透過率は、約10%以上、約30%以上、又は約50%以上、約99%以下、約97%以下、又は約95%以下である。
建築用積層体は、着色樹脂層の代わりに透明基材層の上に粘着剤層を形成し、粘着剤層の上に着色樹脂層を積層することによっても製造することができる。
一実施態様の建築用積層体では、透明基材層が建築物の壁又は窓の少なくとも一部を構成し、第1面及び第1面の反対側の第2面を有し、粘着剤層が透明基材層の第2面の上に配置され、着色樹脂層が透明基材層の第1面を通して視認される。この実施態様の建築用積層体は、装飾フィルムを、透明基材層からみて屋内側に配置(内貼り)することにより製造することができる。
一実施態様では、建築用積層体の可視光線透過率は、約10%以上、約30%以上、又は約50%以上、約99%以下、約97%以下、又は約95%以下である。
本開示の建築用積層体及び装飾フィルムは、建築物の壁及び窓の装飾目的に使用することができ、特に内貼り用途に好適である。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。
装飾フィルム及び建築用積層体の作製に使用した材料を表1に示す。
Figure 2022108037000004
例1
粘着性ポリマー1(ADH1)、アミノ基含有アクリル系ポリマー(AAP1)、及び架橋剤1(CL1)を含む粘着剤組成物を調製した。ADH1とAAP1とCL1の質量比は不揮発分基準で100:15:0.15であった。粘着剤組成物をフィルム1(FL1)の上にナイフコーターで塗工した。粘着剤層を95℃で5分間乾燥した。乾燥後に厚さ30μmの粘着剤層が得られた。粘着剤層と剥離ライナー1(RL1)とを貼り合わせて例1の装飾フィルムを得た。
例2~例18、比較例1~10
粘着性ポリマーの種類、AAP1の配合量、架橋剤の種類及び配合量、又はフィルムの種類を表2に示すとおり変更した以外は、例1と同様の手順で装飾フィルムを得た。
熱収縮性
装飾フィルムを幅50mm×長さ100mmに切断して試験片を作製した。23℃の環境下で試験片をアルミニウムパネルの上にローラーで貼り付けて、23℃の環境下、24時間放置した。試験片にカッターで十字に切り込みを入れた。その後、試験片を65℃で48時間加熱した。加熱エージング後、顕微鏡でフィルムの収縮量(mm)を測定し、最大値を記録した。
耐候性試験1
装飾フィルムを65mm角の正方形に切断して試験片を作製した。試験片を厚さ3mmのフロートガラスパネル(AGC株式会社(日本国東京都千代田区))に室温でスキージを用いて貼り付けて積層体を作製した。キセノン耐候性試験装置Ci5000 Weather-Ometer(株式会社東洋精機製作所(日本国東京都北区))を用いて積層体をキセノン光に暴露した。試験条件はJIS K 5600-7-7:2008に準拠した。キセノン光はガラスパネル側から500時間照射した。試験片の収縮及び気泡が観察されなかった場合を「A」、試験片の収縮が観察されたが気泡は観察されなかった場合を「B」、試験片の収縮及び気泡の両方が観察された場合を「C」と評価した。
耐候性試験2
装飾フィルムを65mm角の正方形に切断して試験片を作製した。試験片をフロートガラスパネル(AGC株式会社(日本国東京都千代田区))に室温でスキージを用いて貼り付けて積層体を作製した。キセノン耐候性試験装置Ci5000 Weather-Ometer(株式会社東洋精機製作所(日本国東京都北区))を用いて積層体をキセノン光に暴露した。試験条件はJIS K 5600-7-7:2008に準拠した。キセノン光はガラスパネル側から2500時間照射した。試験片の収縮及び気泡が観察されなかった場合を「A」、試験片の収縮及び気泡が観察されたが気泡は観察されなかった場合を「B」、試験片の収縮及び気泡の両方が観察された場合を「C」と評価した。
例1~例18及び比較例1~10の装飾フィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 2022108037000005
例1~例4及び比較例1~比較例4の耐候性試験2の結果を図2に写真で示す。図2において、上段左から順に例1、例2、例3及び例4、下段左から順に比較例1、比較例2、比較例3及び比較例4である。
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることも当業者には明らかである。
10 建築用積層体
12 透明基材層
14 粘着剤層
16 着色樹脂層
20 装飾フィルム

Claims (11)

  1. 透明基材層と、粘着剤層と、着色樹脂層とをこの順で含む建築用積層体であって、
    前記粘着剤層が、アクリル系粘着性ポリマー及びアクリル系ポリマー添加剤を含み、
    前記アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度が-70℃~-20℃であり、
    前記アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度が20℃~120℃であり、
    前記粘着剤層中の前記アクリル系ポリマー添加剤の含有量が、前記アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として11質量部~40質量部である、建築用積層体。
  2. 前記アクリル系粘着性ポリマーが、カルボキシ基含有(メタ)アクリル系ポリマーである、請求項1に記載の建築用積層体。
  3. 前記アクリル系ポリマー添加剤が、アミノ基含有(メタ)アクリル系ポリマーである、請求項1又は2のいずれかに記載の建築用積層体。
  4. 前記粘着剤層中の前記アクリル系ポリマー添加剤の含有量が、前記粘着剤層の質量を基準として9質量%~29質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の建築用積層体。
  5. 前記透明基材層の可視光線透過率が50~100%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の建築用積層体。
  6. 前記透明基材層が無機材料を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の建築用積層体。
  7. 前記透明基材層がガラスである、請求項6に記載の建築用積層体。
  8. 前記粘着剤層の可視光線透過率が50~100%である、請求項1~7のいずれか一項に記載の建築用積層体。
  9. 前記透明基材層が建築物の壁又は窓の少なくとも一部を構成し、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有し、
    前記粘着剤層が前記透明基材層の前記第2面の上に配置され、
    前記着色樹脂層が前記透明基材層の前記第1面を通して視認される、請求項1~8のいずれか一項に記載の建築用積層体。
  10. 前記着色樹脂層がポリ塩化ビニル及び着色剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の建築用積層体。
  11. 粘着剤層と着色樹脂層とを含む、建築用積層体用装飾フィルムであって、
    前記粘着剤層が、アクリル系粘着性ポリマー及びアクリル系ポリマー添加剤を含み、
    前記アクリル系粘着性ポリマーのガラス転移温度が-70℃~-20℃であり、
    前記アクリル系ポリマー添加剤のガラス転移温度が20℃~120℃であり、
    前記粘着剤層中の前記アクリル系ポリマー添加剤の含有量が、前記アクリル系粘着性ポリマー100質量部を基準として11質量部~40質量部である、装飾フィルム。
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