JP2022106113A - 窒化ホウ素粉末、熱伝導性樹脂組成物、放熱シート及び電子部品構造体 - Google Patents

窒化ホウ素粉末、熱伝導性樹脂組成物、放熱シート及び電子部品構造体 Download PDF

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Abstract

Figure 2022106113000001
【課題】熱伝導性が優れた放熱シートを得るための窒化ホウ素粉末、熱伝導性が優れた放熱シート及び熱伝導性が優れた放熱シートの製造方法を提供する。
【解決手段】六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子を少なくとも含む窒化ホウ素粉末であって、ビニル基含有シランカップリング剤を含み、ビニル基に由来する赤外線吸収ピーク(3076cm-1±2cm-1)の強度Iaと窒化ホウ素に由来する赤外線吸収ピーク(1377cm-1±2cm-1)の強度Ibの比((Ia/Ib)×100)が0.1~10の範囲である窒化ホウ素粉末である。
【選択図】図1

Description

本発明は、六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子からなる窒化ホウ素粉末、その窒化ホウ素粉末と樹脂とを含む熱伝導性樹脂組成物、該熱伝導性樹脂組成物を成形してなる放熱シート、及び該放熱シートを用いる電子部品構造体に関する。
パワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、CPU等の発熱性電子部品においては、使用時に発生する熱を如何に効率的に放熱するかが重要な課題となっている。従来から、このような放熱対策としては、(1)発熱性電子部品を実装するプリント配線板の絶縁層を高熱伝導化する、(2)発熱性電子部品または発熱性電子部品を実装したプリント配線板を電気絶縁性の熱インターフェース材(Thermal Interface Materials)を介してヒートシンクに取り付ける、ことが一般的に行われてきた。プリント配線板の絶縁層及び熱インターフェース材としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂にセラミックス粉末を充填させたものが使用されている。
セラミックス粉末としては、高熱伝導率、高絶縁性、低比誘電率等の特性を有している窒化ホウ素粉末が注目されている。例えば、特許文献1には、窒化ホウ素の一次粒子が凝集してなる窒化ホウ素粉末であって、体積基準の粒度分布において、5μm以上30μm未満の領域に存在するピークAと、50μm以上100μm未満の領域に存在するピークBとを有する、窒化ホウ素粉末が開示されている。
特開2020-164365号公報
特許文献1に記載の窒化ホウ素粉末を用いて、熱伝導性が優れた放熱シートを得ることができる。しかし、近年の電子機器の小型化、及び発熱性電子部品の発熱量の増加に伴い、熱伝導性がさらに優れた放熱シートが求められている。
そこで、本発明は、熱伝導性が優れた放熱シートを得るための凝集窒化ホウ素粒子、該凝集窒化ホウ素粒子からなる窒化ホウ素粉末、該窒化ホウ素粉末を含む熱伝導性樹脂組成物、及び該熱伝導性樹脂組成物を成形してなる放熱シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を進めたところ、ビニル基を含有するシランカップリング剤を含む窒化ホウ素粉末を用いることで、上記課題を解決し得ることを見出した。
本発明は、上記の知見に基づくものであり、以下を要旨とする。
[1]六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子を少なくとも含む窒化ホウ素粉末であって、ビニル基含有シランカップリング剤を含み、ビニル基に由来する赤外線吸収ピーク(3076cm-1±2cm-1)の強度Iaと窒化ホウ素に由来する赤外線吸収ピーク(1377cm-1±2cm-1)の強度Ibの比((Ia/Ib)×100)が0.1~10の範囲である窒化ホウ素粉末。
[2]前記窒化ホウ素粉末の粒度分布が、第1の極大点、前記第1の極大点よりも粒径が大きい第2の極大点、及び前記第2の極大点よりも粒径が大きい第3の極大点を少なくとも有し、前記第1の極大点の粒径が0.4μm以上10μm未満であり、前記第2の極大点の粒径が10μm以上40μm未満であり、前記第3の極大点の粒径が40μm以上110μm以下である上記[1]に記載の窒化ホウ素粉末。
[3]前記窒化ホウ素粉末の粒度分布における頻度の積算量が10%となる粒径と、前記窒化ホウ素粉末の粒度分布の最も粒径が小さい極大点及び2番目に粒径が小さい極大点の間の極小点の粒径との差の絶対値が3~30μmである上記[2]に記載の窒化ホウ素粉末。
[4]前記第1の極大点に隣接する極大点が前記第2の極大点であり、前記第2の極大点に隣接する極大点が前記第3の極大点であり、前記第1の極大点及び前記第2の極大点の間の第1の極小点の粒径と前記第2の極大点及び前記第3の極大点の間の第2の極小点の粒径との差の絶対値が15~60μmである上記[2]又は[3]に記載の窒化ホウ素粉末。
[5]前記第3の極大点を有するピークの半値幅が20~60μmである上記[2]~[4]のいずれかに記載の窒化ホウ素粉末。
[6]前記凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度が5~18MPaである上記[1]~[5]のいずれかに記載の窒化ホウ素粉末。
[7]上記[1]~[6]のいずれかに記載の窒化ホウ素粉末を含む熱伝導性樹脂組成物。
[8]上記[7]に記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる放熱シート。
[9]上記[8]に記載の放熱シートをグリースを介して電子部品に貼付した電子部品構造体。
本発明によれば、熱伝導性が優れた放熱シートを得るための窒化ホウ素粉末、熱伝導性樹脂組成物及び熱伝導性が優れた放熱シートを提供することができる。
図1は、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布の概念図である。
[窒化ホウ素粉末]
本発明の窒化ホウ素粉末は、六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子を少なくとも含む窒化ホウ素粉末であって、ビニル基含有シランカップリング剤を含むことを特徴とする。
ビニル基含有シランカップリング剤を含む窒化ホウ素粉末については、赤外分光法(以下「IR」と記載する。)により同定することができ、ビニル基に由来する赤外線吸収ピーク(3076cm-1±2cm-1)及び窒化ホウ素に由来する赤外線吸収ピーク(1377cm-1±2cm-1)によって検知することができる。
なお、IRの測定としては、フーリエ変換赤外分光法(以下「FT-IR」と記載する。)を用いた。詳細な測定方法については、実施例にて記載する。
本発明においては、ビニル基に由来する赤外線吸収ピーク(3076cm-1±2cm-1)の強度Iaと窒化ホウ素に由来する赤外線吸収ピーク(1377cm-1±2cm-1)の強度Ibの比((Ia/Ib)×100)が0.1~10の範囲である。当該強度比がこの範囲であると、放熱シートの絶縁性及び熱伝導性が良好となる。以上の観点から、(Ia/Ib)×100は0.5~8の範囲が好ましく、1~7の範囲がより好ましい。
<ビニル基含有シランカップリング剤>
ビニル基含有シランカップリング剤としては、反応性有機基としてビニル基、及び少なくとも1つのアルコキシ基と結合したケイ素原子を有するシランカップリング剤が挙げられ、具体的には、以下の一般式(1)で表される。
Figure 2022106113000002
(式(1)中、Rのうち少なくとも1つはアルコキシ基であり、nは0~12の整数である。)
このような構成のシランカップリング剤を用いることで放熱シートにおけるボイドの発生を効果的に抑制できる。
前記式(1)において、nが0のシランカップリング剤、すなわちケイ素原子とビニル基が直接結合しているシランカップリング剤としては、少なくとも1つのアルコキシ基と結合したケイ素原子は、少なくとも2つのアルコキシ基と結合したケイ素原子であることが好ましい。また、アルコキシ基はメトキシ基及びエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメトキシメチルシラン、ビニルジメトキシエチルシラン、ビニルジエトキシメチルシラン、ビニルジエトキシエチルシラン等が挙げられる。また、Rはエーテル結合を有していてもよく、例えば、ビニルトリス(2-メトキシエトキシシラン)、ビニルトリス(2-エトキシエトキシシラン)、ビニルトリス(2-メトキシメトキシシラン)、ビニルトリス(2-エトキシメトキシシラン)等が挙げられる。これらのうち、絶縁破壊特性を改善するという観点から、2つのアルコキシ基と1つのアルキル基を有することが好ましく、ビニルジメトキシメチルシランが特に好ましい。また、Rがエーテル結合を有する場合は、すべての基がアルコキシ基であることが好ましく、ビニルトリス(2-メトキシエトキシシラン)が特に好ましい。
また、nが0でない場合は、絶縁破壊特性を改善するという観点から、ビニル基とケイ素原子との間に配置されたアルキレン基の炭素数(n)は、好ましくは2~12であり、より好ましくは3~11であり、さらに好ましくは4~10であり、よりさらに好ましくは5~9であり、とくに好ましくは6~8である。また、反応性有機基とケイ素原子との間に配置されたアルキレン基は直鎖であることが好ましい。
前記式(1)において、nが0より大きく、ビニル基とケイ素原子の間にアルキレン基を有する場合のビニル基含有シランカップリング剤の具体例としては、例えば、プロペニルトリメトキシシラン、プロペニルトリエトキシシラン、プロペニルメチルジメトキシシラン、プロペニルメチルジエトキシシラン、ブテニルトリメトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、ブテニルメチルジメトキシシラン、ブテニルメチルジエトキシシラン、ペンテニルトリメトキシシラン、ペンテニルトリエトキシシラン、ペンテニルメチルジメトキシシラン、ペンテニルメチルジエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ヘキセニルトリエトキシシラン、ヘキセニルメチルジメトキシシラン、ヘキセニルメチルジエトキシシラン、ヘプテニルトリメトキシシラン、ヘプテニルトリエトキシシラン、ヘプテニルメチルジメトキシシラン、ヘプテニルメチルジエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、オクテニルメチルジメトキシシラン、オクテニルメチルジエトキシシラン、ノネニルトリメトキシシラン、ノネニルトリエトキシシラン、ノネニルメチルジメトキシシラン、ノネニルメチルジエトキシシラン、デケニルトリメトキシシラン、デケニルトリエトキシシラン、デケニルメチルジメトキシシラン、デケニルメチルジエトキシシラン、ウンデケニルトリメトキシシラン、ウンデケニルトリエトキシシラン、ウンデケニルメチルジメトキシシラン、ウンデケニルメチルジエトキシシラン、ドデケニルトリメトキシシラン、ドデケニルトリエトキシシラン、ドデケニルメチルジメトキシシラン、ドデケニルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
中でも、放熱シートの絶縁破壊特性を改善するという観点から、有機鎖が長いビニル基含有シランカップリング剤がより好ましく、具体的には、オクテニルトリメトキシシラン(7-オクト-1-エニルトリメトキシシラン)、オクテニルトリエトキシシラン、オクテニルメチルジメトキシシラン、オクテニルメチルジエトキシシラン、ノネニルトリメトキシシラン、ノネニルトリエトキシシラン、ノネニルメチルジメトキシシラン、ノネニルメチルジエトキシシラン、デケニルトリメトキシシラン、デケニルトリエトキシシラン、デケニルメチルジメトキシシラン、デケニルメチルジエトキシシランがより好ましく、オクテニルトリメトキシシラン、オクテニルトリエトキシシラン、オクテニルメチルジメトキシシラン、オクテニルメチルジエトキシシランがさらに好ましく、オクテニルトリメトキシシランがとくに好ましい。
これらは、1種を単独で、又は2以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の窒化ホウ素粉末におけるビニル基含有シランカップリング剤の含有量としては、上記(Ia/Ib)×100が0.1~10の範囲となるように、また好ましくは0.5~8の範囲となるように、さらに好ましくは1~7の範囲となるように調整される。
<比表面積>
本発明の窒化ホウ素粉末を構成する凝集窒化ホウ素粒子のBET法により測定した比表面積は、好ましくは2~7m/gである。凝集窒化ホウ素粒子のBET法により測定した比表面積が2m/g以上であると、窒化ホウ素粉末及び樹脂の間の接触面積を大きくすることができ、放熱シートにおけるボイドの発生を抑制できる。また、高熱伝導性を発現させる凝集形態の維持が容易になり、絶縁破壊特性及び放熱シートの熱伝導性を改善することができる。
一方、凝集窒化ホウ素粒子のBET法により測定した比表面積が7m/g以下であると、窒化ホウ素粉末を高充填で樹脂に加えることができ、放熱シートにおけるボイドの発生を抑制できるとともに、絶縁破壊特性を改善することができる。上記観点から、凝集窒化ホウ素粒子のBET法により測定した比表面積は、より好ましくは2~6m/gであり、さらに好ましくは3~6m/gである。なお、凝集窒化ホウ素粒子のBET法により測定した比表面積は、比表面積測定装置(カンターソーブ、ユアサアイオニクス社製)を用いて、BET1点法により測定することができる。
<圧壊強度>
本発明の窒化ホウ素粉末を構成する凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、好ましくは5~18MPaである。凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度が5MPa以上であると、放熱シート製造中に凝集窒化ホウ素粒子が破壊されることを抑制できる。凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度が18MPa以下であると、放熱シート中の凝集窒化ホウ素粒子の中に樹脂を十分侵入させることができ、放熱シート中の凝集窒化ホウ素粒子の中に空気が残留することを抑制できる。このような観点から、本発明の凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、より好ましくは6~15MPaであり、さらに好ましくは7~13MPaである。なお、凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
<六方晶窒化ホウ素一次粒子の厚さに対する長径の比>
本発明の凝集窒化ホウ素粒子における六方晶窒化ホウ素一次粒子の厚さに対する長径の比(長径/厚さ)は、好ましくは7~16である。六方晶窒化ホウ素一次粒子の厚さに対する長径の比(長径/厚さ)が7~16であると、放熱シートの絶縁破壊特性がさらに向上する。上述の観点から、六方晶窒化ホウ素一次粒子の厚さに対する長径の比(長径/厚さ)は、より好ましくは8~15であり、さらに好ましくは8~13である。なお、六方晶窒化ホウ素一次粒子の厚さに対する長径の比(長径/厚さ)は、六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径の平均値を厚さの平均値で割り算した値である。
六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径の平均値及び厚さの平均値は、以下の方法により得られる。
作製した凝集窒化ホウ素粒子に対し、表面状態で長径および短径が確認できる粒子の観察を行い、走査型電子顕微鏡を用いて観察倍率1000~5000倍で観察する。得られた粒子像を画像解析ソフトウェアに取り込み粒子の長径及び厚さを計測し、任意の粒子100個の長径及び厚さを求めその平均値を長径の平均値及び厚さの平均値とする。
<六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径>
本発明の凝集窒化ホウ素粒子における六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径の平均値は、好ましくは2~12μmである。六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径の平均値が2μm以上であると、凝集窒化ホウ素粒子の熱伝導性が良好になる。また、六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径の平均値が2μm以上であると、凝集窒化ホウ素粒子に樹脂が浸透しやすくなり、放熱シートのボイドの発生を抑制できる。一方、六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径の平均値が12μm以下であると、凝集窒化ホウ素粒子の内部が密な構造となり、凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度を高めたり、凝集窒化ホウ素粒子の熱伝導性を改善したりすることができる。上述の観点から、六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径の平均値は、より好ましくは3~11μmであり、さらに好ましくは3~10μmである。
<窒化ホウ素粉末の粒度分布>
図1は、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布を示す概念図である。図1に示す粒度分布の縦軸はリニアであり、横軸は対数である。なお、図1に示す窒化ホウ素粉末の粒度分布は、あくまでも概念図であり、本発明の窒化ホウ素粉末を限定しない。
図1に示すように、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、第1の極大点(MAX1)、第1の極大点(MAX1)よりも粒径が大きい第2の極大点(MAX2)、及び第2の極大点(MAX2)よりも粒径が大きい第3の極大点(MAX3)を少なくとも有することが好ましい。そして、第1の極大点(MAX1)の粒径が0.4μm以上10μm未満であり、第2の極大点(MAX2)の粒径が10μm以上40μm未満であり、第3の極大点(MAX3)の粒径が40μm以上110μm以下であることが好ましい。これにより、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性を高めることができ、放熱シートの熱伝導性を優れたものとすることができる。なお、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、後述の実施例の方法により、測定することができる。
上述したように、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、第1の極大点(MAX1)、第1の極大点(MAX1)よりも粒径が大きい第2の極大点(MAX2)、及び第2の極大点(MAX2)よりも粒径が大きい第3の極大点(MAX3)を少なくとも有する。窒化ホウ素粉末の粒度分布が、第1の極大点(MAX1)、第2の極大点(MAX2)及び第3の極大点(MAX3)の中の少なくとも1つの極大点を有さないと、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性が低下し、放熱シートの熱伝導性が悪くなる。
第1の極大点(MAX1)の粒径は、好ましくは0.4μm以上10μm未満である。第1の極大点(MAX1)の粒径が0.4μm以上10μm未満であると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性が高まり、放熱シートの熱伝導性がさらに改善される。このような観点から、第1の極大点(MAX1)の粒径は、より好ましくは1.0~8.0μmであり、より好ましくは3.0~6.0μmである。
第2の極大点(MAX2)の粒径は、好ましくは10μm以上40μm未満である。第2の極大点(MAX2)の粒径が10μm以上40μm未満であると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性が高まり、放熱シートの熱伝導性がさらに改善される。このような観点から、第2の極大点(MAX2)の粒径は、好ましくは15~35μmであり、より好ましくは18~30μmである。
第3の極大点(MAX3)の粒径は、好ましくは40~110μmである。第3の極大点(MAX3)の粒径が40μm以上110μm以下であると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性が高まり、放熱シートの熱伝導性がさらに改善される。このような観点から、第3の極大点(MAX3)の粒径は、より好ましくは55~95μmであり、より好ましくは65~90μmである。
第1の極大点(MAX1)に隣接する極大点が第2の極大点(MAX2)であり、第2の極大点(MAX2)に隣接する極大点が第3の極大点(MAX3)であり、第1の極大点(MAX1)及び第2の極大点(MAX2)の間の第1の極小点(MIN1)の粒径と第2の極大点(MAX2)及び第3の極大点(MAX3)の間の第2の極小点(MIN2)の粒径との差の絶対値は、好ましくは15~60μmである。第1の極小点(MIN1)の粒径と第2の極小点(MIN2)の粒径との差の絶対値が15~60μmであると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができる。このような観点から、第1の極小点(MIN1)の粒径と第2の極小点(MIN2)の粒径との差の絶対値は、好ましくは21~43μmであり、より好ましくは25~35μmである。
第3の極大点(MAX3)を有するピークの半値幅は、好ましくは20~60μmである。第3の極大点(MAX3)を有するピークの半値幅が20~60μmであると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができる。このような観点から、第3の極大点(MAX3)を有するピークの半値幅は、好ましくは28~53μmであり、より好ましくは40~50μmである。なお、第3の極大点(MAX3)を有するピークの半値幅は、第3の極大点(MAX3)の頻度の半分の頻度におけるピークの幅である。
窒化ホウ素粉末の粒度分布における頻度の積算量が10%となる粒径と、窒化ホウ素粉末の粒度分布の最も粒径が小さい極大点及び2番目に粒径が小さい極大点の間の極小点の粒径との差の絶対値は、好ましくは3~30μmである。例えば、図1に示す窒化ホウ素粉末の粒度分布の場合、符号D10は頻度の積算量が10%となる粒径を示し、窒化ホウ素粉末の粒度分布の最も粒径が小さい極大点は第1の極大点(MAX1)であり、窒化ホウ素粉末の粒度分布の2番目に粒径が小さい極大点は第2の極大点(MAX2)であり、最も粒径が小さい極大点及び2番目に粒径が小さい極大点の間の極小点は、第1の極小点(MIN1)である。上記粒径の差の絶対値が3~30μmであると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができる。このような観点から、上記粒径の差の絶対値は、好ましくは4~17μmであり、より好ましくは6~15μmである。
第1の極大点(MAX1)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量(V1)は好ましくは2~25体積%である。上記積算量(V1)が2~25体積%であると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができる。このような観点から、上記積算量(V1)は、より好ましくは5~20体積%である。なお、第1の極大点(MAX1)を有するピークにおけるピークスタートは、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が小さい側にある極小点である。第1の極大点(MAX1)に対して粒径が小さい側に極小点がない場合は、ピークスタートは粒度分布の粒径が小さい側の端(DS)である。また、第1の極大点(MAX1)を有するピークにおけるピークエンドは、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)である。そして、頻度の積算量(V1)は、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が小さい側にある極小点の粒径もしくは粒度分布の粒径が小さい側の端(DS)の粒径から、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)の粒径までの頻度の積算量から、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)の粒径の頻度を引き算した値である。なお、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)の粒径の頻度を引き算するのは、第1の極大点(MAX1)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量及び第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量の両方で、第1の極大点(MAX1)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN1)の粒径の頻度が加算されるのを防ぐためである。
第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量(V2)は好ましくは15~50体積%である。上記積算量(V2)が15~50体積%であると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができる。このような観点から、上記積算量(V2)は、より好ましくは20~45体積%である。なお、第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークスタートは、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN1)である。また、第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークエンドは、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)である。そして、頻度の積算量(V2)は、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN1)の粒径から、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)の粒径までの頻度の積算量から、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)の粒径の頻度を引き算した値である。なお、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)の粒径の頻度を引き算するのは、第2の極大点(MAX2)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量及び第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量の両方で、第2の極大点(MAX2)に対して粒径が大きい側にある極小点(MIN2)の粒径の頻度が加算されるのを防ぐためである。
第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量(V3)は好ましくは30~80体積%である。上記積算量(V3)が30~80体積%であると、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができる。このような観点から、上記積算量(V3)はより好ましくは45~75体積%である。なお、第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークスタートは、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN2)である。また、第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークエンドは、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点である。第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側に極小点がない場合は、ピークエンドは粒度分布の粒径が大きい側の端(DE)である。そして、頻度の積算量(V3)は、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN2)の粒径から、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点の粒径までの頻度の積算量から、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点の粒径の頻度を引き算した値、または、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が小さい側にある極小点(MIN2)の粒径から、粒度分布の粒径が大きい側の端(PE)の粒径までの頻度の積算量である。なお、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点の粒径の頻度を引き算するのは、第3の極大点(MAX3)を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量、及び第3の極大点(MAX3)に隣接する、第3の極大点に対して粒径が大きい側にある極大点を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドの間の頻度の積算量の両方で、第3の極大点(MAX3)に対して粒径が大きい側にある極小点の粒径の頻度が加算されるのを防ぐためである。
放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性を高めることができる限り、本発明の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、上述の第1~3の極大点に加えて、他の極大点を有していてもよい。
<窒化ホウ素粉末の製造方法>
本発明の窒化ホウ素粉末の製造方法の一例を以下説明する。
本発明の窒化ホウ素粉末は、例えば、粒度分布が上記第1の極大点を有する第1の窒化ホウ素粉末、粒度分布が上記第2の極大点を有する第2の窒化ホウ素粉末、及び粒度分布が上記第3の極大点を有する第3の窒化ホウ素粉末をそれぞれ作製し、作製した第1~3の窒化ホウ素粉末を混合することにより、製造することができる。
第1~3の窒化ホウ素粉末のうち、第2及び3の窒化ホウ素粉末は、それぞれ六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子を少なくとも含む窒化ホウ素粉末であることが好ましい。また、第1の窒化ホウ素粉末は、凝集窒化ホウ素粒子であってもよいが、六方晶窒化ホウ素一次粒子であることが好ましい。第1~3の窒化ホウ素粉末それぞれの極大点は、第1~3の窒化ホウ素粉末それぞれの粒度分布においてピークの頂点を意味する。第1~3の窒化ホウ素粉末の粒度分布は、上述した窒化ホウ素粉末の粒度分布と同様にして測定される。
混合工程では、第3の窒化ホウ素粉末の体積割合が第2の窒化ホウ素粉末の体積割合より多くなるように、そして第2の窒化ホウ素粉末の体積割合が第1の窒化ホウ素粉末の体積割合より多くなるように、第1~3の窒化ホウ素粉末を混合してもよい。これにより、窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができる。第3の窒化ホウ素粉末の体積割合は、放熱シートの熱伝導率を向上させる観点から、第1~3の窒化ホウ素粉末の合計100体積部に対して、好ましくは30~80体積部であり、より好ましくは45~75体積部であり、さらに好ましくは50~70体積部である。第2の窒化ホウ素粉末の体積割合は、放熱シートの熱伝導率を向上させる観点から、第1~3の窒化ホウ素粉末の合計100体積部に対して、好ましくは15~50体積部であり、より好ましくは20~45体積部であり、さらに好ましくは25~35体積部である。第1の窒化ホウ素粉末の体積割合は、放熱シートの熱伝導率を向上させる観点から、第1~3の窒化ホウ素粉末の合計100体積部に対して、好ましくは2~25体積部であり、より好ましくは5~20体積部であり、さらに好ましくは8~15体積部である。
第1~3の窒化ホウ素粉末のそれぞれは、例えば、塊状の炭化ホウ素を粉砕する粉砕工程と、粉砕された炭化ホウ素を窒化して炭窒化ホウ素を得る窒化工程と、炭窒化ホウ素を脱炭させる脱炭工程とを備える製造方法により製造することができる。
粉砕工程では、塊状の炭化ホウ素(炭化ホウ素塊)を一般的な粉砕機または解砕機を用いて粉砕する。このとき、例えば、粉砕時間及び炭化ホウ素塊の仕込み量を調整することにより、所望の極大点を有する炭化ホウ素粉末を得ることができる。なお、炭化ホウ素粉末の極大点は、上述した窒化ホウ素粉末の極大点と同様に測定することができる。このように、炭化ホウ素粉末の極大点を所望の窒化ホウ素粉末の極大点に近づけるよう調整することにより、上述した極大点を有する第1~3の窒化ホウ素粉末が得られる。
続いて、窒化工程では、窒化反応を進行させる雰囲気下かつ加圧条件下で、炭化ホウ素粉末を焼成することにより、炭窒化ホウ素を得る。
窒化工程における雰囲気は、窒化反応を進行させる雰囲気であり、例えば、窒素ガス及びアンモニアガス等であってよく、これらの一種単独または2種以上の組合せであってよい。当該雰囲気は、窒化のしやすさとコストの観点から、好ましくは窒素ガスである。当該雰囲気中の窒素ガスの含有量は、好ましくは95体積%以上、より好ましくは99.9体積%以上である。
窒化工程における圧力は、好ましくは0.6MPa以上、より好ましくは0.7MPa以上であり、好ましくは1.0MPa以下、より好ましくは0.9MPa以下である。当該圧力は、さらに好ましくは0.7~1.0MPaである。窒化工程における焼成温度は、好ましくは1800℃以上、より好ましくは1900℃以上であり、好ましくは2400℃以下、より好ましくは2200℃以下である。焼成温度は、さらに好ましくは1900~2200℃である。圧力条件及び焼成温度は、炭化ホウ素の窒化をさらに好適に進行させ、工業的にも適切な条件であることから、好ましくは、1800℃以上かつ0.7~1.0MPaである。
窒化工程における焼成時間は、窒化が十分に進む範囲で適宜選定され、好ましくは6時間以上、より好ましくは8時間以上であり、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下であってよい。
脱炭工程では、窒化工程にて得られた炭窒化ホウ素を、常圧以上の雰囲気にて、所定の保持温度で一定時間保持する熱処理を行う。これにより、脱炭かつ結晶化された六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子を得ることができる。
脱炭工程における雰囲気は、常圧(大気圧)の雰囲気または加圧された雰囲気である。加圧された雰囲気の場合、圧力は、例えば0.5MPa以下、好ましくは0.3MPa以下であってよい。
脱炭工程では、例えば、まず、所定の温度(脱炭開始可能な温度)まで昇温した後に、所定の昇温速度で保持温度までさらに昇温する。所定の温度(脱炭開始可能な温度)は、系に応じて設定可能であり、例えば、1000℃以上であってよく、1500℃以下であってよく、好ましくは1200℃以下である。所定の温度(脱炭開始可能な温度)から保持温度へ昇温する速度は、例えば5℃/分以下であってよく、好ましくは、4℃/分以下、3℃/分以下、または2℃/分以下であってもよい。
保持温度は、粒成長が良好に起こりやすく、得られる窒化ホウ素粉末の熱伝導率をさらに向上できる観点から、好ましくは1800℃以上、より好ましくは2000℃以上である。保持温度は、好ましくは2200℃以下、より好ましくは2100℃以下であってよい。
保持温度における保持時間は、結晶化が十分に進む範囲で適宜選定され、例えば、0.5時間超えであってよく、粒成長が良好に起こりやすい観点から、好ましくは1時間以上、より好ましくは3時間以上、さらに好ましくは5時間以上、特に好ましくは10時間以上である。保持温度における保持時間は、例えば40時間未満であってよく、粒成長が進みすぎて粒子強度が低下することを低減でき、また、コスト削減の観点から、好ましくは30時間以下、より好ましくは20時間以下である。
脱炭工程においては、原料として、窒化工程で得られた炭窒化ホウ素に加えて、ホウ素源を混合して脱炭及び結晶化を行ってもよい。ホウ素源としては、ホウ酸、酸化ホウ素、またはその混合物が挙げられる。この場合、必要に応じて当該技術分野で用いられるその他の添加物をさらに用いてもよい。
炭窒化ホウ素とホウ素源との混合割合は、適宜選定される。ホウ素源としてホウ酸または酸化ホウ素を用いる場合、ホウ酸または酸化ホウ素の割合は、炭窒化ホウ素100質量部に対して、例えば100質量部以上であってよく、好ましくは150質量部以上であり、また、例えば300質量部以下であってよく、好ましくは250質量部以下である。
以上のようにして得られる窒化ホウ素粉末に対して、篩によって所望の粒度分布を有する窒化ホウ素粉末が得られるように分級する工程(分級工程)を実施してもよい。これにより、所望の極大点を有する第1~3の窒化ホウ素粉末がさらに好適に得られる。
得られた第1~3の窒化ホウ素粉末を混合して、本発明の窒化ホウ素粉末を得ることができる。混合方法は、第1~3の窒化ホウ素粉末を均一に混合することができれば、特に限定されない。例えば、容器回転型混合装置を用いて第1~3の窒化ホウ素粉末を混合してもよいし、容器固定型混合装置を用いて第1~3の窒化ホウ素粉末を混合してもよいし、流体運動型混合装置を用いて第1~3の窒化ホウ素粉末を混合してもよい。
[熱伝導性樹脂組成物]
熱伝導性樹脂組成物は、本発明の窒化ホウ素粉末と樹脂とを混合することにより作製することができる。また、熱伝導性樹脂組成物は、上記第1~3の窒化ホウ素粉末と樹脂とを混合することにより作製してもよい。
(樹脂)
熱伝導性樹脂組成物の樹脂には、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴムを含む)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアミド(例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等)、ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等)、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、全芳香族ポリエステル、ポリスルホン、液晶ポリマー、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、マレイミド変性樹脂、ABS樹脂、AAS(アクリロニトリル-アクリルゴム・スチレン)樹脂、AES(アクリロニトリル・エチレン・プロピレン・ジエンゴム-スチレン)樹脂などが挙げられる。これらの中で、耐熱性、柔軟性及びヒートシンク等への密着性の観点から、シリコーン樹脂が好ましい。シリコーン樹脂は有機過酸化物による加硫して硬化するものが好ましい。また、熱伝導性樹脂組成物の25℃における粘度は、シート状の成形体の柔軟性を改善する観点から、例えば、100,000cp以下である。
熱伝導性樹脂組成物における窒化ホウ素粉末および樹脂の合計100体積%に対する窒化ホウ素粉末の含有量は、30~85体積%が好ましく、40~80体積%がより好ましい。窒化ホウ素粉末の含有量が30体積%以上の場合、熱伝導率が向上し、十分な放熱性能が得られやすい。また、窒化ホウ素粉末の含有量が85体積%以下の場合、成形時に空隙が生じやすくなることを低減でき、絶縁性や機械強度が低下することを抑制できる。また、窒化ホウ素粉末および樹脂の合計100体積%に対する樹脂の含有量は、15~70体積%が好ましく、20~60体積%がより好ましい。
(溶媒)
熱伝導性樹脂組成物の粘度を調節するために、熱伝導性樹脂組成物は溶媒をさらに含んでもよい。溶媒は、樹脂を溶解でき、熱伝導性樹脂組成物を塗布したのち、塗布した熱伝導性樹脂組成物から容易に除去されるものであれば特に限定されない。樹脂がシリコーン樹脂である場合、溶媒には、例えば、トルエン、キシレン、塩素系炭化水素などが挙げられる。除去が容易であるという観点から、これらの溶媒の中でトルエンが好ましい。溶媒の含有量は、熱伝導性樹脂組成物の目的とする粘度により適宜選択することができる。溶媒の含有量は、例えば、熱伝導性樹脂組成物の溶媒以外の成分100質量部に対して40~200質量部である。
なお、熱伝導性樹脂組成物は、窒化ホウ素粉末、樹脂成分および溶媒以外の成分が含まれてもよい。その他の成分は、窒化ホウ素粉末以外の無機フィラー、添加剤、不純物等であり、その他の成分の含有量は、窒化ホウ素粉末および樹脂の合計100質量部に対して、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは3質量部以下であり、さらに好ましくは1質量部以下である。
[放熱シート]
本発明の放熱シートは、上記熱伝導性樹脂組成物を成形してなるものである。
(放熱シートの厚さ)
本発明の放熱シートの厚さは、好ましくは100~1200μmである。放熱シートの厚さが100μm以上であると、放熱シートを発熱性電子部品により確実に密着させることができる。放熱シートの厚さが1200μm以下であると、放熱シートの放熱性をさらに良好にすることができる。そのような観点から、本発明の放熱シートの厚さは、より好ましくは150~800μmであり、さらに好ましくは200~600μmである。
[放熱シートの製造方法]
本発明の放熱シートの製造方法は、本発明の窒化ホウ素粉末と樹脂とを配合して熱伝導性樹脂組成物を作製する工程(A)、熱伝導性樹脂組成物をシート状に成形して、熱伝導性樹脂組成物シートを作製する工程(B)、及び熱伝導性樹脂組成物シートを真空下で加熱及び加圧する工程(C)を含む。
(工程(A))
工程(A)では、本発明の窒化ホウ素粉末と樹脂とを配合して熱伝導性樹脂組成物を作製する。工程(A)で使用する窒化ホウ素粉末及び樹脂については、既に説明したので、説明を省略する。
(工程(B))
工程(B)では、熱伝導性樹脂組成物をシート状に成形して、熱伝導性樹脂組成物シートを作製する。例えば、ドクターブレード法またはカレンダー加工によって熱伝導性樹脂組成物をシート状に成形することができる。しかし、熱伝導性樹脂組成物がカレンダーロールを通過する際、熱伝導性樹脂組成物中の凝集窒化ホウ素粒子が壊れるおそれがある。したがって、ドクターブレード法により熱伝導性樹脂組成物をシート状に成形することが好ましい。
(工程(C))
工程(C)では、熱伝導性樹脂組成物シートを真空下で加熱及び加圧する。これにより、放熱シート中の窒化ホウ素粉末の充填性をさらに高めることができ、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができる。また、これにより、放熱シート中のマイクロボイドも低減できるので、放熱シートの熱伝導性をさらに優れたものとすることができるとともに、放熱シートの絶縁性を改善することができる。窒化ホウ素粉末の充填性の改善の観点及び放熱シート中のマイクロボイドの低減の観点から、熱伝導性樹脂組成物シートを加熱及び加圧する際の真空環境の圧力は、好ましくは0.1~5kPaであり、より好ましくは0.1~3kPaである。また、熱伝導性樹脂組成物シートの加熱温度は、好ましくは120~200℃であり、より好ましくは130~180℃である。さらに、熱伝導性樹脂組成物シートの加圧する際の圧力は、好ましくは80~250kg/cmであり、より好ましくは100~200kg/cmである。
なお、本発明においては、前述のように、窒化ホウ素粉末中にビニル基含有シランカップリング剤を含有しており、該カップリング剤のビニル基がπ電子を有する二重結合の反応性官能基であるため、樹脂と共有結合を生成し、強い結合を有していることから、本工程(C)において、該カップリング剤がフィラー(BN)と樹脂を強固に結合することができ、より効果的にボイドを低減することができると思われる。
[電子部品構造体]
本発明の電子部品構造体は、本発明の放熱シートを、グリースを介して電子部品に貼付してなる。本発明の放熱シートを、グリースを介して電子部品に貼付することで、放熱シートと電子部品の密着性が向上し、放熱効率が向上する。
グリースとしては、放熱シートと電子部品の密着性を向上し得るものであれば特に限定されないが、グリース自体も熱伝導性を有することが好ましい。具体的には、グリースに熱伝導性に優れる無機材料、セラミックフィラー、金属フィラーなどを添加したものが好適に用いられ、グリースとしては、シリコーン系グリース、アクリル系グリース等が挙げられ、特にシリコーン系グリースが好適である。
電子部品としては、特に限定されないが、発熱性のある電子部品に用いることがより効果的である。具体的にはパワーデバイス、トランジスタ、サイリスタ、CPU等の発熱性の高い電子部品が挙げられる。
以下、本発明について、実施例及び比較例により、詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
((Ia/Ib)×100の評価)
各実施例及び比較例で得られた窒化ホウ素粉末について、Bruker社製の「INVENIO S」を用いてFT-IR測定を行った(分解能4cm-1、測定範囲4000~650cm-1)。測定は、1回反射型ATRを用いてバックグラウンド測定を行った後、窒化ホウ素粉末からなるサンプルをセットし、スキャニング回数32回でサンプル表面を測定した。測定結果は、縦軸(Y軸)を吸光度、横軸を波数として出力し、ビニル基に由来する赤外線吸収ピーク(3076cm-1±2cm-1)の強度Iaと窒化ホウ素に由来する赤外線吸収ピーク(1377cm-1±2cm-1)の強度IbとをOPUSの解析ソフトによって算出し、これらの強度比(Ia/Ib)を求めた。
(粒度分布)
窒化ホウ素粉末の粒度分布をベックマン・コールター株式会社製レーザー回折散乱法粒度分布測定装置、(LS-13 320)を用いて測定した。そして、得られた粒度分布から、第1~3の極大点の粒径(第1~3の極大値)、第1~3の極大点を有するピークにおけるピークスタートからピークエンドまでの間の頻度の積算量(第1~3の頻度の積算量)、頻度の積算量が10%となる粒径と、最も粒径が小さい極大点及び2番目に粒径が小さい極大点の間の極小点の粒径との差の絶対値(D10と最初の極小値間距離)、第1の極小点の粒径と第2の極小点の粒径との差の絶対値(極小値間距離)、第3の極大点を有するピークの半値幅(極大値3の半値幅)を求めた。
(圧壊強度)
凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度は、JIS R1639-5:2007に準拠して測定した。具体的には、凝集窒化ホウ素粒子を微小圧縮試験器(「MCT-W500」株式会社島津製作所製)の試料台に散布後、凝集窒化ホウ素粒子を5個選び出し、1粒ずつ圧壊試験を行った。そして、圧壊強度(σ:MPa)は、粒子内の位置によって変化する無次元数(α=2.48)と圧壊試験力(P:N)と粒径(d:μm)からσ=α×P/(π×d)の式を用いて算出した。JIS R1625:2010に準拠して5個の無機フィラー成分の圧壊強度をワイブルプロットし、累積破壊率が63.2%となる圧壊強度を凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度とした。
実施例及び比較例の放熱シートに対して以下の評価を行った。
(絶縁性)
放熱シートの絶縁破壊電圧を、JIS C2110-1:2016に記載の方法に準拠し、短時間破壊試験(室温23℃)にて測定した値に基づき、評価した。
絶縁性の評価基準は以下の通りである。
◎:絶縁破壊電圧が10kV以上
○:絶縁破壊電圧が5kV以上、10kV未満
×:絶縁破壊電圧が5kV未満
(熱伝導性)
放熱シートの熱抵抗を、ASTM D5470:2017に記載の方法に準拠し、測定した値に基づき、評価した。
熱伝導性の評価基準は以下の通りである。
◎:熱伝導率が5W/(m・K)以上
○:熱伝導率が3W/(m・K)以上、5W/(m・K)未満
×:熱伝導率が3W/(m・K)未満
(1つの極大点を有する窒化ホウ素粉末の製造)
以下のようにして、複数の極大点を有する窒化ホウ素粉末の原料となる、1つの極大点を有する窒化ホウ素粉末A~Lを作製した。
(窒化ホウ素粉末A)
以下のように、炭化ホウ素合成、加圧窒化工程、脱炭結晶化工程にて、窒化ホウ素粉末Aを作製した。
(炭化ホウ素合成)
新日本電工株式会社製オルトホウ酸(以下ホウ酸)100質量部と、デンカ株式会社製アセチレンブラック(HS100)35質量部とをヘンシェルミキサーを用いて混合したのち、黒鉛ルツボ中に充填し、アーク炉にて、アルゴン雰囲気で、2200℃にて5時間加熱し炭化ホウ素(BC)を合成した。合成した炭化ホウ素塊をボールミルで1時間粉砕し、篩網を用いて粒径75μm以下に篩分け、さらに硝酸水溶液で洗浄して鉄分等不純物を除去後、濾過・乾燥して平均粒子径4μmの炭化ホウ素粉末を作製した。
(加圧窒化工程)
合成した炭化ホウ素を窒化ホウ素ルツボに充填した後、抵抗加熱炉を用い、窒素ガスの雰囲気で、2000℃、9気圧(0.8MPa)の条件で10時間加熱することにより炭窒化ホウ素(BCN)を得た。
(脱炭結晶化工程)
合成した炭窒化ホウ素100質量部と、ホウ酸90質量部とをヘンシェルミキサーを用いて混合したのち、窒化ホウ素ルツボに充填し、抵抗加熱炉を用い0.2MPaの圧力条件で、窒素ガスの雰囲気で、室温から1000℃までの昇温速度を10℃/min、1000℃からの昇温速度を2℃/minで昇温し、焼成温度2020℃、保持時間10時間で加熱することにより、一次粒子が凝集して塊状になった凝集窒化ホウ素粒子を合成した。合成した凝集窒化ホウ素粒子をヘンシェルミキサーにより15分解砕をおこなった後、篩網を用いて、篩目150μmのナイロン篩にて分級を行った。焼成物を解砕及び分級することより、窒化ホウ素粉末Aを得た。
得られた窒化ホウ素粉末Aのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は4.5μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Aは鱗片状の粒子であった。
(窒化ホウ素粉末B)
平均粒子径6μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Bを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Bのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は8μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Bは鱗片状の粒子であった。
(窒化ホウ素粉末C)
平均粒子径1μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Cを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Cのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は1μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Cは鱗片状の粒子であった。
(窒化ホウ素粉末D)
平均粒子径15μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Dを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Dのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は23μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Dは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。
(窒化ホウ素粉末E)
平均粒子径10μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Eを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Eのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は15μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Eは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。
(窒化ホウ素粉末F)
平均粒子径25μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Fを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Fのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は35μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Fは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。
(窒化ホウ素粉末G)
平均粒子径12μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Gを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Gのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は18μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Gは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。
(窒化ホウ素粉末H)
平均粒子径55μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Hを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Hのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は78μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Hは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。また、窒化ホウ素粉末Hの粒度分布のピークの半値幅は46μmであった。
(窒化ホウ素粉末I)
平均粒子径70μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Iを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Iのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は95μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Iは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。また、窒化ホウ素粉末Iの粒度分布のピークの半値幅は53μmであった。
(窒化ホウ素粉末J)
平均粒子径40μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Jを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Jのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は55μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Jは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。また、窒化ホウ素粉末Jの粒度分布のピークの半値幅は28μmであった。
(窒化ホウ素粉末K)
平均粒子径65μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Jを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Jのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は82μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Kは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。また、窒化ホウ素粉末Kの粒度分布のピークの半値幅は45μmであった。
(窒化ホウ素粉末L)
平均粒子径50μmの炭化ホウ素粉末を用いた点を除いて、窒化ホウ素粉末Aと同様な方法で窒化ホウ素粉末Lを作製した。なお、得られた窒化ホウ素粉末Lのレーザー散乱法により測定した平均粒子径(D50)は73μmであった。SEM観察の結果、得られた窒化ホウ素粉末Lは、一次粒子が凝集してなる凝集粒子であった。また、窒化ホウ素粉末Lの粒度分布のピークの半値幅は48μmであった。
実施例1~8
表1に示すように、窒化ホウ素粉末を配合して、窒化ホウ素混合物を調製し、これに以下の表面処理を施した。次いで、以下に示すように放熱シートを作製し、上記評価を行った。評価結果を表2に示す。
(表面処理)
窒化ホウ素粉末(混合物)100質量部に対して、表1に記載するシランカップリング剤を表1に記載する量添加して、0.5時間乾式混合した後、75μmの篩に通して、表面処理窒化ホウ素粉末を得た。
(放熱シートの作製)
得られた窒化ホウ素粉末及び液状シリコーン樹脂(メチルビニルポリシロキサン、ダウ・東レ株式会社製、商品名「CF-3110」)の合計100体積%に対して、60体積%の窒化ホウ素粉末及び40体積%のシリコーン樹脂1、シリコーン樹脂100質量部に対して1質量部の硬化剤(2,5-ジメチルー2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、化薬ヌーリオン株式会社製、商品名「トリゴノックス101」)、窒化ホウ素粉末の合計100質量部に対して0.5質量部のシランカップリング剤(ジメチルジメトキシシラン、ダウ・東レ株式会社製、商品名「DOWSIL Z-6329 Silane」、25℃における粘度:1cp)、シランカップリング剤100質量部に対して15質量部の水、並びに上述の原料の合計100質量部に対して110質量部のトルエンを攪拌機(HEIDON社製、商品名「スリーワンモーター」)に投入し、タービン型撹拌翼を用いて15時間混合して熱伝導性樹脂組成物のスラリーを作製した。
そして、ドクターブレード法により、上記スラリーを厚さ0.05mmのペットフィルム(キャリアフィルム)上に厚さ1.2mmで塗工し、75℃で5分乾燥させて、ペットフィルム付きのシート状成形体を作製した。ペットフィルム付きのシート状成形体の熱伝導性樹脂組成物面に厚さ0.05mmのペットフィルムを積層し、積層体を作製した。なお、この積層体の層構造はペットフィルム/熱伝導性樹脂組成物/ペットフィルムであった。次いで、得られた積層体に対して、真空下(圧力3.5kPa)、温度150℃、圧力160kg/cmの条件で30分間の加熱プレスを行い、両面のペットフィルムを剥離して厚さ1.0mmのシートとした。次いで、それを常圧、150℃で4時間の2次加熱を行い、放熱シートとした。
比較例1
実施例1において、ビニル基を有するシランカップリング剤での表面処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、窒化ホウ素粉末及び放熱シートを得た。評価結果を表2に示す。
Figure 2022106113000003
ビニル基含有シランカップリング剤A;東京化成工業株式会社製、商品名「T3359」、7-オクト-1-エニルトリメトキシシラン
ビニル基含有シランカップリング剤B;Evonik社製、商品名「Dynasylan VTMOEO」、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン
ビニル基含有シランカップリング剤C;Wacker社製、商品名「GENIOSIL XL 12」、ビニルジメトキシメチルシラン
Figure 2022106113000004
実施例の放熱シートと比較例の放熱シートの評価結果から、ビニル基を有するシランカップリング剤で表面処理を行うことによって、放熱シートの絶縁性及び熱伝導性がともに良好になることがわかった。
また、ビニル基に由来する赤外線吸収ピークの強度と、窒化ホウ素に由来する赤外線吸収ピークの強度との比を特定の範囲とすること、さらには、放熱シートを構成する窒化ホウ素粉末の粒度分布を特定の範囲に制御することによって、放熱シートの絶縁性及び熱伝導性がさらに改善されることがわかった。

Claims (9)

  1. 六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集してなる凝集窒化ホウ素粒子を少なくとも含む窒化ホウ素粉末であって、ビニル基含有シランカップリング剤を含み、ビニル基に由来する赤外線吸収ピーク(3076cm-1±2cm-1)の強度Iaと窒化ホウ素に由来する赤外線吸収ピーク(1377cm-1±2cm-1)の強度Ibの比((Ia/Ib)×100)が0.1~10の範囲である窒化ホウ素粉末。
  2. 前記窒化ホウ素粉末の粒度分布が、第1の極大点、前記第1の極大点よりも粒径が大きい第2の極大点、及び前記第2の極大点よりも粒径が大きい第3の極大点を少なくとも有し、
    前記第1の極大点の粒径が0.4μm以上10μm未満であり、
    前記第2の極大点の粒径が10μm以上40μm未満であり、
    前記第3の極大点の粒径が40μm以上110μm以下である請求項1に記載の窒化ホウ素粉末。
  3. 前記窒化ホウ素粉末の粒度分布における頻度の積算量が10%となる粒径と、前記窒化ホウ素粉末の粒度分布の最も粒径が小さい極大点及び2番目に粒径が小さい極大点の間の極小点の粒径との差の絶対値が3~30μmである請求項2に記載の窒化ホウ素粉末。
  4. 前記第1の極大点に隣接する極大点が前記第2の極大点であり、前記第2の極大点に隣接する極大点が前記第3の極大点であり、前記第1の極大点及び前記第2の極大点の間の第1の極小点の粒径と前記第2の極大点及び前記第3の極大点の間の第2の極小点の粒径との差の絶対値が15~60μmである請求項2又は3に記載の窒化ホウ素粉末。
  5. 前記第3の極大点を有するピークの半値幅が20~60μmである請求項2~4のいずれか1項に記載の窒化ホウ素粉末。
  6. 前記凝集窒化ホウ素粒子の圧壊強度が5~18MPaである請求項1~5のいずれか1項に記載の窒化ホウ素粉末。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の窒化ホウ素粉末を含む熱伝導性樹脂組成物。
  8. 請求項7に記載の熱伝導性樹脂組成物を成形してなる放熱シート。
  9. 請求項8に記載の放熱シートをグリースを介して電子部品に貼付した電子部品構造体。

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WO2024048376A1 (ja) * 2022-08-30 2024-03-07 デンカ株式会社 窒化ホウ素粒子、窒化ホウ素粒子の製造方法、及び樹脂組成物
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