以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の電源システム(NVDC電源システム1)の構成の一例を示す図である。
NVDC電源システム1は、ACアダプタ11からの電力(a1)と、バッテリパック12からの電力(a2)との両方を適応的に用いて、CPU14を含む負荷向けのシステム電力(a3)を生成して出力する。このNVDC電源システム1は、たとえば、ノートPC、タブレットPC、スマートフォンなど、ACアダプタ11によって電力を入力可能であり、かつ、バッテリパック12を装着可能な電子機器であるならば、どのような電子機器であっても適用し得る。なお、ここでは、このNVDC電源システム1が、たとえばODD(Optical Disc Drive)などを搭載する拡張ユニット(Dock)を着脱自在なノートPCに適用されている場合を想定する。また、ノートPCと拡張ユニットとは、ACアダプタ11を接続するためのコネクタを各々有しており、ノートPCが拡張ユニットを装着しない状態では、ノートPCのコネクタへ本体側ACアダプタ11Aが接続され、ノートPCが拡張ユニットを装着する状態では、拡張ユニットのコネクタへDock側ACアダプタ11Bが接続される。なお、ノートPCが拡張ユニットを装着する状態で、拡張ユニットのコネクタへ本体側ACアダプタ11Aが接続されるようにすることも可能である。ここで、本体側ACアダプタ11Aと、Dock側ACアダプタ11Bとでは、定格(供給定格)が異なるものと想定する。より詳しくは、ODDなどによる電力消費が考慮されるDock側ACアダプタ11Bの定格は、本体側アダプタ11Aの定格よりも大きく設定される。つまり、NVDC電源システム1は、異なる定格の複数のACアダプタ11(11A,11B)から電力が入力される。なお、ACアダプタ11からの電力は、バッテリパック12の充電にも用いられる。
図1に示されるように、NVDC電源システム1は、電源回路(Power Circuit)13、プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)14、組み込みコントローラ(EC:Embedded Controller)15およびCPU14によって実行されるプログラムであるBIOS16が協働することによって実現される。
電源回路13は、システム電力供給制御部131と、チャージャIC(Charger IC)132とを有している。
電源回路13のシステム電力供給制御部131は、チャージャIC132の制御の下、ACアダプタ11からの電力と、バッテリパック12からの電力とを用いて、システム電力を生成して出力する。ACアダプタ11が接続されており、かつ、バッテリパック12が装着されている場合、システム電力の電圧値は、バッテリパック12の満充電電圧値に設定される。システム電力の電圧値は、組み込みコントローラ15によるチャージャIC132に対する設定によって変更され得る。
チャージャIC132は、バッテリパック12の充放電を制御するモジュールであり、負荷が消費する電力がACアダプタ11の定格を超える場合、不足分をバッテリパック12からの電力で補うように制御を行う。チャージャIC132は、ACアダプタ検出部1321と、バッテリパック検出部1322と、電力制御部1323とを有している。
ACアダプタ検出部1321は、ACアダプタ11の接続有無、より詳しくは、ACアダプタ11からの電力の入力有無を検出する。ACアダプタ検出部1321は、たとえば、ACアダプタ11用の電源ラインの電圧値、より詳しくは、印加電圧の有無によって、ACアダプタ11の接続有無を検出する。ACアダプタ検出部1321は、ACアダプタ11の判別は行わない。また、ACアダプタ検出部1321は、ACアダプタ11からの電力の電流値を検出する。チャージャIC132は、この電流値を監視し、負荷による消費電力がACアダプタ11の定格を超えていることを検出すると、バッテリパック12を放電させて不足分を補う。このチャージャIC132による検出は、組み込みコントローラ15によって設定される電流制限値を超えたか否かを監視することによって行われる。チャージャIC132、組み込みコントローラ15およびバッテリパック12は、I2Cバスによって相互に通信することができ、組み込みコントローラ15は、当該I2Cバス経由の通信によって、チャージャIC132に対する電流制限値の設定を行う。
バッテリパック検出部1322は、バッテリパック12の装着有無を検出する。バッテリパック検出部1322は、たとえば、バッテリパック12が装着されるとPC本体からバッテリパック12へと導出され、かつ、バッテリパック12によってプルアップされる信号ラインを監視することによって、バッテリパック12の装着有無を検出する。
電力制御部1323は、システム電力供給制御部131に対する各種設定を行う。この設定の1つに、前述した出力すべきシステム電力の電圧値が含まれている。
CPU14は、NVDC電源システム1に関して、周波数制御部141と、電力制御部142とを有している。
周波数制御部141は、CPU14が備える複数の入出力ピンの中の所定の入出力ピンによる周波数スロットリング信号の入力に応じて、CPU14の動作周波数を最低周波数にし、または、最低周波数から通常に周波数へ復帰させる第1制御を行う。周波数制御部141の第1制御は、CPU14の動作周波数を最低周波数に移行させることによって、CPU14の消費電力を低減することができる。
電力制御部142は、BIOS16によって設定される電力でCPU14を動作させるための第2制御を行う。より詳しくは、CPU14は、通常モードと高負荷モードとの2つの動作モードを有しており、電力制御部142は、CPU14の消費電力をモードごとに制御する。電力制御部142の第2制御は、CPU14の消費電力を制限することによって、CPU14の消費電力を低減することができる。
組み込みコントローラ15は、NVDC電源システム1に関して、ACアダプタA/D変換部151と、バッテリパック検出部152とを有している。
ACアダプタA/D変換部151は、ACアダプタ11からの電力の電圧値をACアダプタA/D変換部151によって数値化する。組み込みコントローラ15は、その値に基づき、ACアダプタ11の接続有無と、たとえば本体側ACアダプタ11AまたはDock側ACアダプタ11Bのいずれであるのか等のACアダプタ11の種類とを判別する。ACアダプタA/D変換部151は、このNVDC電源システム1の組み込みコントローラ15独自のモジュールであり、組み込みコントローラ15が、その値に基づいてACアダプタ11の種類を判別した結果をどのように活用するのかについては、後述する他の実施形態において詳述する。
バッテリパック検出部152は、チャージャIC132のバッテリパック検出部1322と同様、バッテリパック12の装着有無を検出する。バッテリパック12が装着されている場合、組み込みコントローラ15は、I2Cバス経由で、バッテリパック12の残量を取得することができる。
BIOS16は、NVDC電源システム1に関して、電力設定部161を有している。電力設定部161は、CPU14の電力制御部142に対する設定、より詳しくは、前述した通常モードおよび高負荷モードそれぞれでの消費電力を設定する。
次に、以上のような構成を持つ本実施形態のNVDC電源システム1のバッテリパック12抜脱時における一動作例について説明する。
いま、ACアダプタ11からの電力が入力されており、かつ、バッテリパック12が装着されている状況下において、バッテリパック12が抜脱された場合を想定する。この場合、ACアダプタ11の定格を超える電力を負荷が消費するときに、その不足分をバッテリパック12からの電力で補うことはできないので、ACアダプタ11の定格超過でシステムシャットダウンするおそれがある。
通常、この場合は、バッテリパック検出部152によってバッテリパック12が抜脱されたことを検出した組み込みコントローラ15が、BIOS16に対して省電力設定イベントを通知し、この通知を受けたBIOS16の電力設定部161は、CPU14の電力制御部142に対し、CPU14の消費電力がACアダプタ11の定格を超えないようにCPU14を制御させるための設定を行う。
ここで、組み込みコントローラ15からBIOS16に対する通知は、たとえば、組み込みコントローラ15のファームウェア(プログラム)がCPU14に対して割り込み信号を供給することによって行われる。このような組み込みコントローラ15のファームウェアやBIOS16のプログラム等による、CPU14の電力制御部142に対する設定には、所定の時間がかかってしまう。そのため、バッテリパック12が抜脱された場合に、ACアダプタ11の定格を超える電力が負荷によって消費されたり、電力制御部142に対する前記設定が行われる前に、ACアダプタ11の定格を超える電力を負荷が消費した場合には、ACアダプタ11の定格超過でシステムシャットダウンするおそれがある。
そこで、本実施形態のNVDC電源システム1では、組み込みコントローラ15の動作と並行して、電源回路13に設けたバッテリパック検出部1322によってバッテリパック12が抜脱されたことを検出したチャージャIC132が、CPU14の周波数制御部141に対して、CPU14の動作周波数を一時的に最低周波数にすることを指示する(図1:a11)。なお、このチャージャIC132の動作と並行して、従前通り、組み込みコントローラ15のファームウェアやBIOS16などのプログラムによる、CPU14の電力制御部142に対する、CPU14の消費電力がACアダプタ11の定格を超えないようにCPU14を制御させるための設定も行われる(図1:a12,a13)。
CPU14の周波数制御部141は、この指示を受けると、即座に、CPU14の動作周波数を最低周波数にする。これによって、ACアダプタ11の定格超過でシステムシャットダウンするようなことを確実に防止することができる。一方、CPU14が最低周波数で動作し続けることは、たとえばユーザ操作に対するレスポンスの悪化などを招くので、CPU14の電力制御部142に対する、CPU14の消費電力がACアダプタ11の定格を超えないようにCPU14を制御させるための設定が行われたら、CPU14の動作周波数を復帰させることが好ましい。そこで、組み込みコントローラ15は、この設定を完了させた旨の返答をBIOS16から受けると(図1:a14)、チャージャIC132に対して、CPU14の動作周波数を最低周波数に制限する制御を解除することを指示する(図1:a15)。この指示を受けたチャージャIC132は、CPU14の周波数制御部141に対し、CPU14の動作周波数を復帰させることを指示する(図1:a16)。
図2は、ACアダプタ11からの電力が入力されており、かつ、バッテリパック12が装着されている状況下において、バッテリパック12が抜脱された場合の電力に関する状態の遷移例を示す図である。
図2中、(A)は、チャージャIC132によるCPU14の周波数制御部141に対する、CPU14の動作周波数を一時的に最低周波数にする指示が行われない場合の電力に関する状態の遷移例を示す。
図2(A)に示されるように、バッテリパック12が抜脱されたときに、ACアダプタ11の定格を超える電力が負荷によって消費されていると、組み込みコントローラ15のファームウェアやBIOS16などのプログラムによる、CPU14の電力制御部142に対する、消費電力がACアダプタ11の定格を超えないように制御するための設定が間に合わずに、ACアダプタ11の定格超過でシステムシャットダウンするおそれがある。
(B)は、チャージャIC132によるCPU14の周波数制御部141に対する、CPU14の動作周波数を一時的に最低周波数にする指示が行われる場合の電力に関する状態の遷移例を示す。
図2(B)に示されるように、バッテリパック12が抜脱されたときに、ACアダプタ11の定格を超える電力が負荷によって消費されていても、CPU14の周波数制御部141が、チャージャIC132からの指示に応じて、CPU14の動作周波数を即座に最低周波数とすることによって、ACアダプタ11の定格超過は防止される。
図3は、本実施形態のNVDC電源システム1の一動作手順例を示すフローチャートである。
バッテリパック12が抜脱された場合、チャージャIC132は、CPU14に対し、動作周波数を一時的に最低周波数にすることを指示する(ステップA1)。このチャージャIC132の動作と並行して、組み込みコントローラ15は、BIOS16に対し、省電力設定イベントを通知する(ステップA2)。そして、組み込みコントローラ15からの通知を受けたBIOS16は、CPU14に対し、消費電力がACアダプタ11の定格を超えないようにするための設定を行う(ステップA3)。
BIOS16は、CPU14に対する設定を完了させると、組み込みコントローラ15に対し、一時的に設定されたCPU14の動作周波数の制限の解除を指示する(ステップA4)。この指示は、組み込みコントローラ15からチャージャIC132へとI2Cバスを介して伝達される。チャージャIC132は、CPU14に対し、動作周波数を復帰させることを指示する(ステップA5)。
以上のように、本実施形態のNVDC電源システム1は、ACアダプタからの電力とバッテリからの電力との安全かつ効率的な使用を実現する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
本実施形態のNVDC電源システム1の構成は、第1実施形態と同様であるものとする(図1参照)。
第1実施形態では、バッテリパック12が抜脱された場合、チャージャIC132からCPU14に対し、最低周波数で動作することを指示することによって、消費電力がACアダプタ11の定格を超えないようにCPU14の設定が行われるまでの間に、ACアダプタ11の定格超過でシステムシャットダウンすることを防止する。これに対して、本実施形態のNVDC電源システム1は、以下に説明するように、バッテリパック12が抜脱された場合に加えて、バッテリパック12の残量がしきい値を下回った場合においても、ACアダプタ11の定格超過でシステムシャットダウンすることを防止する。なお、第1実施形態で説明した、チャージャIC132によるCPU14の動作周波数の一時的な制限を併せて行うようにしてもよい。
第1実施形態で説明したように、組み込みコントローラ15は、ACアダプタ11の接続有無を、ACアダプタA/D変換部151が数値化するACアダプタ11からの電力の電圧値によって検出することができる。また、組み込みコントローラ15は、バッテリパック12の装着有無を、バッテリパック検出部152によって検出することができる。さらに、組み込みコントローラ15は、バッテリパック12が装着されている場合には、I2Cバス経由で、バッテリパック12の残量を取得することができる。
本実施形態のNVDC電源システム1における組み込みコントローラ15は、バッテリパック12が抜脱された場合またはバッテリの残量がしきい値を下回った場合、BIOS16に対し、省電力設定イベントを通知するとともに、ACアダプタ11が接続されていても、USBデバイス、ODD、キーボードバックライトなどに対する電力供給を遮断する。
組み込みコントローラ15による、USBデバイス、ODD、キーボードバックライトなどに対する電力供給の遮断は、組み込みコントローラ15→BIOS16→CPU14を経て行われる、消費電力がACアダプタ11の定格を超えないようにするためのCPU14に対する設定と比較して、十分短い時間で実行されるので、ACアダプタ11の定格超過でシステムシャットダウンすることを防止することができる。
図4は、組み込みコントローラ15から省電力設定イベントの通知を受けたBIOS16が、電力設定部161によって、CPU14の電力制御部142に対して行う設定の一例を示す図である。
第1実施形態で説明したように、CPU14は、通常モードと高負荷モードとの2つの動作モードを有している。図4中の連続モードは、通常モード時でのCPU14の消費電力を示し、また、Peakモードは、高負荷モード時でのCPU14の消費電力を示す。換言すれば、電力制御部142は、通常モード時には連続モードで示される電力で動作するようにCPU14を制御し、高負荷モード時にはPeakモードで示される電力で動作するようにCPU14を制御する。なお、CPU14が連続して高負荷モードで動作することができる時間には制限が定められている。
図4に示されるように、ACアダプタ11が接続されていて、バッテリパック12が装着されており、かつ、バッテリパック12の残量がしきい値以上である場合、BIOS16、より詳しくは、電力設定部161は、連続モードを通常電力に設定し、PeakモードをPeak電力に設定する。ACアダプタ11からの電力がPeak電力を若干上回る程度の電力であると想定すると、CPU14以外の負荷でも電力は消費されるので、CPU14が高負荷モードで動作する場合、バッテリパック12からの電力が充当される可能性が高い。なお、組み込みコントローラ15は、バッテリパック12が装着され、かつ、その残量がしきい値以上である場合、または、バッテリパック12の残量がしきい値以上に回復した場合、最大電力設定イベントをBIOS16へ通知し、BIOS16は、この通知を受けたことを契機に、これらの設定を行う。
一方、バッテリパック12が抜脱された場合、または、バッテリパック12の残量がしきい値を下回った場合、組み込みコントローラ15から省電力設定イベントの通知を受けたことを契機に、BIOS16は、連続モードをMin電力(Min電力<通常電力)に設定し、また、PeakモードもMin電力に設定する。これによって、CPU14が高負荷モードで動作しても、ACアダプタ11からの電力の範囲に収まるので、ACアダプタ11の定格超過でシステムシャットダウンするようなことはない。
図5は、本実施形態のNVDC電源システム1の一動作手順例を示すフローチャートである。このフローチャートは、ACアダプタ11またはバッテリパック12の接続(装着)状態やバッテリパック12の容量に変化が生じた場合における組み込みコントローラ15およびBIOS16の動作手順を示している。
組み込みコントローラ15は、ACアダプタ11の接続有無を調べる(ステップB1)。ACアダプタ11が接続されている場合(ステップB1:YES)、組み込みコントローラ15は、今度は、バッテリパック12の装着有無を調べる(ステップB2)。バッテリパック12が装着されている場合(ステップB2:YES)、組み込みコントローラ15は、続いて、バッテリパック12の残量がしきい値以上か否かを調べる(ステップB3)。
バッテリパック12の残量がしきい値以上の場合(ステップB3:YES)、組み込みコントローラ15は、BIOS16に対して、最大電力設定イベントを通知する(ステップB4)。また、組み込みコントローラ15は、この時、USBデバイス、ODD、キーボードバックライトなどに対する電力供給が行われるように制御する。組み込みコントローラ15からの最大電力設定イベントの通知を受けたBIOS16は、CPU14、より詳しくは、電源制御部142に対して、各モードでの消費電力を設定する(ステップB5)。
バッテリパック12が抜脱されている場合(ステップB2:NO)またはバッテリパック12の残量がしきい値を下回っている場合(ステップB3:NO)、組み込みコントローラ15は、BIOS16に対して、省電力設定イベントを通知する(ステップB6)。また、組み込みコントローラ15は、この時、USBデバイス、ODD、キーボードバックライトなどに対する電力供給を遮断する。組み込みコントローラ15からの最大電力設定イベントの通知を受けたBIOS16は、CPU14に対して、各モードでの消費電力を設定する(ステップB7)。
ACアダプタ11が接続されていない場合(ステップB1:NO)、組み込みコントローラ15は、バッテリパック12の放電定格がシステム最大負荷を満足するか否かを調べる(ステップB7)。この判定は、たとえば、I2Cバス経由の通信で取得されるバッテリパック12の放電定格が予め定められる値以上か否かによって行われる。バッテリパック12の放電定格がシステム最大負荷を満足しない場合(ステップB7:NO)、組み込みコントローラ15は、BIOS16に対して、省電力設定イベントを通知する(ステップB6)。また、組み込みコントローラ15は、この時、USBデバイス、ODD、キーボードバックライトなどに対する電力供給を遮断する。組み込みコントローラ15からの最大電力設定イベントの通知を受けたBIOS16は、CPU14に対して、各モードでの消費電力を設定する(ステップB7)。バッテリパック12の放電定格がシステム最大負荷を満足する場合(ステップB7:YES)、組み込みコントローラ15は、BIOS16に対して、最大電力設定イベントを通知する(ステップB4)。また、組み込みコントローラ15は、この時、USBデバイス、ODD、キーボードバックライトなどに対する電力供給が行われるように制御する。組み込みコントローラ15からの最大電力設定イベントの通知を受けたBIOS16は、CPU14に対して、各モードでの消費電力を設定する(ステップB5)。
以上のように、本実施形態のNVDC電源システム1は、ACアダプタからの電力とバッテリからの電力との安全かつ効率的な使用を実現する。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。
本実施形態のNVDC電源システム1の構成は、第1実施形態と同様であるものとする(図1参照)。
第1実施形態で説明したように、チャージャIC132は、ACアダプタ検出部1321によってACアダプタ11からの電力の電流値を検出し、組み込みコントローラ15によって設定される電流制限値を超えていないか監視する。電流制限値を超えている場合、つまり、ACアダプタ11の定格を超える電力を負荷が消費している場合、チャージャIC132は、バッテリパック12を放電させて不足分を補う。
ところで、異なる定格の複数のACアダプタ11A,11Bから電力が入力され得るNVDC電源システム1において、たとえば、定格の低いACアダプタ11Aを基準として電流制限値を定めると、定格の高いACアダプタ11Bの接続時、本来であれば不要なバッテリパック12の放電が行われる可能性がある。
また、同じく第1実施形態で説明したように、組み込みコントローラ15は、ACアダプタA/D変換部151によって数値化されるACアダプタ11からの電力の電圧値に基づき、ACアダプタ11の接続有無と、たとえば本体側ACアダプタ11AまたはDock側ACアダプタ11Bのいずれであるのか等のACアダプタ11の種類とを判別する。
そこで、本実施形態のNVDC電源システム1は、ACアダプタ11の種類を判別する組み込みコントローラ15が、ACアダプタ11の種類に応じて、チャージャIC132で用いられる電流制限値を切り替える。
図6は、ACアダプタ11の種類を判別する組み込みコントローラ15が、チャージャIC132に対して行う設定の一例を示す図である。
図6中、符号c1で示されるCurrent Limit 1が、電流制限値であり、たとえば定格45Wの本体側ACアダプタ11Aが接続された場合、組み込みコントローラ15は、45W用の電流制限値を設定する。また、たとえば定格120Wまたは180WのDock側ACアダプタ11Bが接続された場合、組み込みコントローラ15は、120W用または180W用の電流制限値を設定する。
図7は、本実施形態のNVDC電源システム1の一動作手順例を示すフローチャートである。
組み込みコントローラ15は、接続されているACアダプタ11を判別する(ステップC1)。本体側ACアダプタ11Aである場合(ステップC2:YES)、組み込みコントローラ15は、チャージャIC132に対して、本体側ACアダプタ11A用の電流制限値を設定する(ステップC3)。Dock側ACアダプタ11Bである場合、組み込みコントローラ15は、チャージャIC132に対して、Dock側ACアダプタ11B用の電流制限値を設定する(ステップC4)。
なお、ここでは、2つの電流制限値から1つを選択する例を示したが、ACアダプタA/D変換部151によって数値化されるACアダプタ11からの電力の電圧値に基づき、組み込みコントローラ15は、3種類以上のACアダプタ11を判別することができるので、3以上の電流制限値から1つを選択するようにしてもよい。
以上のように、本実施形態のNVDC電源システム1は、ACアダプタからの電力とバッテリからの電力との安全かつ効率的な使用を実現する。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。
図8は、本実施形態のNVDC電源システム1の電源回路13が備えるシステム電力供給制御部131およびチャージャIC132の構成の一例を示す図である。
図8中、(A)は、電源回路13の構成の一例を示し、(B)は、電源回路13内のシステム電力供給制御部131の構成の一例を示す。
図8(A)に示されるように、本実施形態のNVDC電源システム1では、電源回路13内のチャージャIC132が、モード設定部1324をさらに有する。また、図8(B)に示されるように、システム電力供給制御部131内には、チャージャIC132によってオン/オフされる4つのFET(Q1,Q2,Q3,Q4)によって昇圧降圧DDコンバータが構成されている。なお、第1乃至第3実施形態のNVDC電源システム1におけるシステム電力供給制御部131内にも、同様の昇圧降圧DDコンバータが構成されている。
第1実施形態で説明したように、電源回路13のシステム電力供給制御部131は、チャージャIC132の制御の下、ACアダプタ11からの電力と、バッテリパック12からの電力とを用いて、システム電力を生成して出力する。また、ACアダプタ11が接続されており、かつ、バッテリパック12が装着されている場合、システム電力の電圧値は、バッテリパック12の満充電電圧値に設定される。
たとえば、ACアダプタ11からの電力の電圧値は、バッテリパック12の満充電電圧値よりも大きく、システム電力の電圧値がバッテリパック12の満充電電圧値に設定されている場合、チャージャIC132、より詳しくは、電力制御部1323は、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータを、4つのFETがオン/オフを繰り返して常に動作する昇降圧モードで動作させるものとする。昇降圧モードでは、昇圧降圧DDコンバータ、より詳しくは、4つのFETによる電力消費によって電源効率が低下する。
そこで、本実施形態のNVDC電源システム1は、バッテリパック12が装着されていない場合には、システム電力の電圧値をバッテリパック12の満充電電圧値に設定しなくてもよいことに着目して、組み込みコントローラ15の制御の下、チャージャIC132が、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータの動作を、たとえばQ3がオフに固定され、Q4がオンに固定される、4つのFETの中の2つのFETが停止する降圧モードに切り替える。たとえば、システム電圧の電圧値がバッテリパック12の満充電電圧値未満の値に設定されたならば、チャージャIC132は、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータを降圧モードで動作させるものとする。つまり、組み込みコントローラ15が、チャージャIC132に対して、システム電力の電圧値をバッテリパック12の満充電電圧値からバッテリパック12の満充電電圧値未満の値へ切り替えるための指示、つまり、バッテリパック12の満充電電圧値未満の値を設定する指示を通知することによって、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータを昇降圧モードから降圧モードへ切り替えることができる。モード設定部1324は、組み込みコントローラ15から通知されるシステム電圧の電圧値に基づき、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータを昇降圧モードまたは降圧モードのいずれで動作させるかを決定する。電力制御部1323は、モード設定部1324によって決定された、昇降圧モードまたは降圧モードでシステム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータを動作させる。
このように、システム電圧の電圧値をバッテリパック12の満充電電圧値に揃えることを敢えて止め、システム電圧の電圧値をバッテリパック12の満充電電圧値からたとえばバッテリパック12の満充電電圧値未満の値へ意図的にずらし、昇降圧モードから降圧モードへ切り替え、4つのFETの中の2つのFETの動作を停止させることによって、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータによる電力消費を削減し、電源効率を上げることができる。
図9は、組み込みコントローラ15が、システム電力供給制御部131内の昇圧降圧DDコンバータを制御するチャージャIC132に対して行うシステム電力電圧値の設定の一例を示す図である。
図9中のSystem powerは、電源回路13が生成して出力すべきシステム電力を示す。
図9に示されるように、バッテリパック12が装着されている場合、組み込みコントローラ15は、システム電力の電圧値を、バッテリ仕様値、より詳しくは、そのバッテリパック12の満充電電圧値に設定する。一方、バッテリパック12が装着されていない場合、組み込みコントローラ15は、システム電力の電圧値を、バッテリパック12の満充電電圧値から意図的にずらして、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータが降圧モードで動作する電圧値に設定する。
図10は、バッテリパック12が装着されていない状況下において、システム電力の電圧値をバッテリ仕様値、つまりシステム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータが昇降圧モードで動作する値に設定した場合の電源効率と、システム電力の電圧値をバッテリ仕様値から意図的にずらした値、つまりシステム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータが降圧モードで動作する値に設定した場合の電源効率とを示す図である。
図10に示されるように、負荷の消費電力に関わらず、システム電力の電圧値をバッテリパック12の満充電電圧値に設定した場合と比較して、システム電力の電圧値を降圧モードの範囲の電圧値に設定した場合、電源効率は上昇する。
図11は、本実施形態のNVDC電源システム1の一動作手順例を示すフローチャートである。このフローチャートは、ACアダプタ11またはバッテリパック12の接続(装着)状態やバッテリパック12の容量に変化が生じた場合における組み込みコントローラ15およびBIOS16の動作手順を示している。
図11中、ステップB1~ステップB7は、第2実施形態と同様であるので、その説明については省略する(図5参照)。本実施形態のNVDC電源システム1においては、ACアダプタ11が接続されており(ステップB1:YES)、かつ、バッテリパック12が装着されていない場合(ステップB2:NO)、組み込みコントローラ15が、チャージャIC132に対して、高効率モードの設定を行う(ステップB8)。高効率モードの設定とは、前述した、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータが降圧モードで動作する値にシステム電力の電圧値に設定することである。この設定によって、チャージャIC132は、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータを、4つのFETの中の2つのFETが停止する降圧モードで動作させる。
以上のように、本実施形態のNVDC電源システム1は、ACアダプタからの電力とバッテリからの電力との安全かつ効率的な使用を実現する。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。
第4実施形態では、バッテリパック12が抜脱された場合、システム電圧の電圧値をバッテリ仕様値、つまりバッテリパック12の満充電電圧値に揃えるのを敢えて止めて、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータが、4つのFETの中の2つのFETが停止する降圧モードで動作する電圧値に意図的にずらすことによって、電源効率を上昇させる。
抜脱されていたバッテリパック12が再装着されると、システム電圧の電圧値は、バッテリ仕様値、つまりバッテリパック12の満充電電圧値に再設定されることになる。たとえば降圧モードの範囲の電圧値からバッテリパック12の満充電電圧値への電圧値を高める方向の切り替えが行われると、突入電流が流れ、負荷側に過電流によるダメージを与える可能性がある。
そこで、本実施形態のNVDC電源システム1は、バッテリパック12の抜脱時にシステム電圧の電圧値を低下させているという前提においてバッテリパック12が装着された場合、突入電流が流れることを防止する。なお、本実施形態のNVDC電源システム1の電源回路13が備えるシステム電力供給制御部131およびチャージャIC132の構成は、第4実施形態と同様であるものとする(図8参照)。
第1実施形態で説明したように、組み込みコントローラ15は、バッテリパック検出部152によってバッテリパック12の抜脱や装着を検出することができる。組み込みコントローラ15は、バッテリパック12が装着されたことを検出すると、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータを昇圧モードで動作させるために設定されているシステム電圧の電圧値を、バッテリパック12の仕様値つまりバッテリパック12の満充電電圧値に復帰させるように、チャージャIC132に対する設定を行う。この時、組み込みコントローラ15は、システム電圧値を急激に変更するのではなく、たとえば段階的に変更していく。たとえば、組み込みコントローラ15は、バッテリパック12の抜脱時に設定したシステムの所定電圧値(便宜的にV1(V)とする)と、バッテリパック12の仕様値である電圧値(V0(V)とする)との差分の電圧値分(V0-V1(V))を、ある周期タイミングで固定電圧値分で数回に分けて徐々に上げていくようにチャージャIC132を制御する。
図12は、バッテリパック12の装着に伴ってシステム電力の電圧値をバッテリパック12の仕様値に復帰させた場合のシステム電力の電流値の推移を示す図である。
図12中、(A)は、システム電力の電圧値を即時的にバッテリパック12の仕様値に復帰させた場合のシステム電力の電流値(d1)の推移を示し、(B)は、システム電力の電圧値をたとえば段階的にバッテリパック12の仕様値に復帰させた場合のシステム電力の電流値(d2)の推移を示す。
図12(A)に示されるように、システム電力の電圧値を即時的にバッテリパック12の仕様値に復帰させた場合、突入電流が流れる可能性がある。これに対して、図12(B)に示されるように、システム電力の電圧値を段階的にバッテリパック12の仕様値に復帰させた場合には、突入電流を抑えることができる。
また、バッテリパック12装着後、所定時間(T1)かけてV0まで復帰させる点は、前述のように段階的でも良いし、リニアに上昇させてもよい。
図13は、本実施形態のNVDC電源システム1の一動作手順例を示すフローチャートである。このフローチャートは、バッテリパック12が装着された場合における組み込みコントローラ15の動作手順を示している。
組み込みコントローラ15は、まず、カウンタの値を0に初期化する(ステップD1)。カウンタの値を0に初期化したら、組み込みコントローラ15は、電源回路13のCharger IC 131に対し、その時点の電圧値から1ステップ値分アップさせた電圧値をシステム電力の電圧値として設定する(ステップD2)。この設定を行うと、組み込みコントローラ15は、カウンタの値を1だけインクリメントする(ステップD3)。
組み込みコントローラ15は、1だけインクリメントした後のカウンタの値が所定値に達しているか否かを調べ(ステップD4)、達していなければ(ステップD4:NO)、時間的な間隔を確保するためのタイマをセットする(ステップD5)。このタイマがタイムアウトを発生させると(ステップD6:YES)、組み込みコントローラ15は、ステップD2に戻り、システム電力の電圧値をさらに1ステップ値分アップさせる。カウンタの値が所定値に達したら(ステップD4:YES)、組み込みコントローラ15は、バッテリパック12の装着に伴うシステム電力の電圧値の復帰処理を終了する。
以上のように、本実施形態のNVDC電源システム1は、ACアダプタからの電力とバッテリからの電力との安全かつ効率的な使用を実現する。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。
本実施形態のNVDC電源システム1では、前述の第4実施形態のモード設定部1324において、通常モードではシステム電力供給制御部131の昇圧降圧のスイッチングを行うDDコンバータに、スイッチングを行わない固定モードを更に付加するようにする。たとえば、バッテリパック12が装着されていない場合、固定モードとして、Q1,Q4を常時オンに固定し、Q2,Q3はオフに固定することにより、スイッチングを行わないように組み込みコントローラ15が制御を行う。このように、第6実施形態では固定モードへの切り替え(ロードスイッチモード)を可能とするモード設定部1325をチャージャIC132に搭載する。
システム電力供給制御部131のDDコンバータの固定モードへの切り替えは、組み込みコントローラ15からチャージャIC132内の電力制御部1323を介して行われる。この際、組み込みコントローラ15は、チャージャIC132に対する切り替え制御は、切り替え用のモードピン或いは無線通信を用いて行うことが可能である。
以上述べたように、バッテリパック12が装着されていない状態では、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータをロードスイッチモードに移行させ、昇圧降圧DDコンバータの昇圧降圧動作を行わないことでスイッチングロスを無くし、前記第4実施形態に比べて電源効率をさらに向上させることができる。
図14は、組み込みコントローラ15が、システム電力供給制御部131内の昇圧降圧DDコンバータを制御するチャージャIC132に対して行うシステム電力電圧値の設定の一例を示す図である。なお、第4実施形態と同様、図14中のSystem powerは、電源回路13が生成して出力すべきシステム電力の電圧値を示す。
図14に示されるように、バッテリパック12が装着されている場合、組み込みコントローラ15は、システム電力の電圧値を、バッテリ仕様値、より詳しくは、そのバッテリパック12の満充電電圧値に設定する。一方、バッテリパック12が装着されていない場合、組み込みコントローラ15は、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータをロードスイッチモードへ移行させることによって、アダプタ仕様値、より詳しくは、そのACアダプタ11からの電力の電圧値に設定する。
図15は、本実施形態のNVDC電源システム1の一動作手順例を示すフローチャートである。このフローチャートは、ACアダプタ11またはバッテリパック12の接続(装着)状態やバッテリパック12の容量に変化が生じた場合における組み込みコントローラ15およびBIOS16の動作手順を示している。
図15中、ステップB1~ステップB7は、第2実施形態と同様であるので、その説明については省略する(図5参照)。本実施形態のNVDC電源システム1においては、ACアダプタ11が接続されており(ステップB1:YES)、かつ、バッテリパック12が装着されていない場合(ステップB2:NO)、組み込みコントローラ15が、チャージャIC132に対して、第4実施形態の高効率モード(図11:ステップB8)に代えて、ロードスイッチモードの設定を行う(ステップB9)。この設定によって、チャージャIC132は、システム電力供給制御部131の昇圧降圧DDコンバータを、4つのFETすべてが停止するロードスイッチモードへ移行させる。
以上のように、本実施形態のNVDC電源システム1は、ACアダプタからの電力とバッテリからの電力との安全かつ効率的な使用を実現する。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。
図16は、本実施形態のNVDC電源システム1の構成の一例を示す図である。
第1実施形態で説明したように、このNVDC電源システム1は、たとえばODDを搭載する拡張ユニットを着脱自在なノートPCに適用されている場合が想定されている。
図16に示されるように、本実施形態のNVDC電源システム1は、電源回路13が、電力供給ライン分岐部133と、この電力供給ライン分岐部133によって分岐された電力供給ラインの一方のオン(導通)/オフ(遮断)を切り替えるためのスイッチ134とをさらに有している。
ノートPCが拡張ユニットを装着している場合には、Dock側ACアダプタ11Bからの電力が入力される。また、第1実施形態で説明したように、ODDなどによって電力を消費され得ることが考慮されるDock側ACアダプタ11Bの定格は、本体側アダプタ11Aの定格よりも大きく設定される。Dock側ACアダプタ11Bを含むACアダプタ11からの電力を、システム電力供給制御部131を経由させて、負荷の一部である拡張ユニットへ供給する場合、システム電力供給制御部131における、大電流対策によるFETのサイズアップを招き、また、スイッチングロスによる電源効率の低下を招く。
そこで、本実施形態のNVDC電源システム1は、Dock側ACアダプタ11Bから電力が入力されている場合に限り、電力供給ライン分岐部133によって分岐された電力供給ラインの一方を、システム電力供給制御部131を経由させず、拡張ユニット側へ導出する。電力供給ライン分岐部133によって分岐された電力供給ラインの他方は、従前通り、システム電力供給制御部131に導かれ、システム電力供給制御部131によって生成・出力されたシステム電力が、本体側の負荷へ供給される。
電力供給ライン分岐部133によって分岐された電力供給ラインの一方は、組み込みコントローラ15の制御の下、スイッチ134によってオン(導通)/オフ(遮断)が切り替えられる。電力供給ライン分岐部133によって分岐された電力供給ラインの一方と、システム電力供給制御部131によって生成・出力されたシステム電力を負荷へ供給するための電力供給ラインとは、サイリスタを介在させて並列に接続され、いずれか一方の電力が拡張ユニット側の負荷へと供給される。
ACアダプタA/D変換部151によってACアダプタ11の種類を判別することができる組み込みコントローラ15は、Dock側ACアダプタ11Bから電力が入力されている場合、スイッチ134をオンにする。これによって、Dock側ACアダプタ11Bからの電力の一部が、電力供給ライン分岐部133によって分岐した後、システム電力供給制御部131を経由せずに、拡張ユニット側の負荷へ供給される。一方、本体側ACアダプタ11Aから電力が入力されている場合、組み込みコントローラ15は、スイッチ134をオフにする。これによって、電力供給ライン分岐部133による分岐は実質的に無効化され、システム電力供給制御部131によって生成・出力されたシステム電力が、本体側の負荷とともに、拡張ユニット側の負荷へ供給される。
このように、Dock側ACアダプタ11Bからの電力のみを電力供給ライン分岐部133によって分岐する構成と、組み込みコントローラ15の制御とによって、システム電力供給制御部131における大電流対策によるFETのサイズアップやスイッチングロスによる電源効率の低下を防止することができる。
図17は、本実施形態のNVDC電源システム1の一動作手順例を示すフローチャートである。
組み込みコントローラ15は、まず、ACアダプタ11の接続有無を調べる(ステップE1)。ACアダプタ11が接続されている場合(ステップE1:YES)、組み込みコントローラ15は、接続されているACアダプタ11を判別する(ステップE2)。本体側ACアダプタ11Aである場合(ステップE3:YES)、組み込みコントローラ15は、電源回路13のスイッチ134をオフにする(ステップE4)。組み込みコントローラ15は、ACアダプタ11が接続されていない場合も(ステップE1:NO)、電源回路13のスイッチ134をオフにする(ステップE4)。一方、Dock側ACアダプタ11Bである場合(ステップE3:NO)、組み込みコントローラ15は、電源回路13のスイッチ134をオンにする(ステップE4)、
以上のように、本実施形態のNVDC電源システム1は、ACアダプタからの電力とバッテリからの電力との安全かつ効率的な使用を実現する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。