JP2022104327A - 血小板の活性化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体試料を活性化する活性化剤を提供することを目的とする。【解決手段】溶媒と、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩と、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩とを含む血小板の活性化剤、および凍結保存中に生体試料を活性化する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、血小板を活性化することのできる血小板の活性化剤に関する。本発明はまた、凍結保存中に血小板などの生体試料を活性化する方法に関する。
近年の再生医療研究の飛躍的な発展に伴い、ヒトにのみならず獣医分野においても細胞治療などの再生医療が積極的に行われている。生体から採取した骨髄由来間葉系幹細胞や脂肪由来間葉系幹細胞は、採取の後に大量に増やし、上記のような再生医療や再生医療研究に用いられる。この際、余剰に増やした細胞を凍結保存し、適宜使用することが一般的である。また、このような細胞の安定供給に対する需要も高まっている。
細胞の凍結保存メカニズムにおいて、凍結および/または解凍の過程で細胞内に氷結晶が成長すると、細胞膜や細胞内構造が損傷を受けたり、細胞のタンパク質が変性したりして細胞が致命的なダメージを受けてしまうことが知られている。
このような細胞内における凍結を防ぐため、細胞を凍結保存する際には、高濃度の凍害防御剤を用いて氷晶の形成を防ぐガラス化法や、細胞と凍害防御剤とを含む生理液を遅い速度で冷却することにより凍結させる緩慢凍結法が用いられてきた。
凍害防御剤としては、例えば、ジメチルスルホキシドなどが広く用いられている。また、幹細胞の凍結保存に最適化された凍結保存液としては、例えば、緩慢凍結法用のSTEM-CELLBANKER(登録商標)(ゼノアックリソース社製)等が挙げられる。
特許文献1には、溶媒中に、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩と、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩とを含む生体試料用の凍結保存液が記載されている。
血小板は、血液凝固機能を果たす、哺乳類の血液中において循環する、小さな盤状の無核細胞である。脈管傷害が起こると、血小板は、血管傷害の部位に粘着凝集する。凝集した血小板は活性化され、顆粒成分として有していた、血液凝固および組織再生の促進を支援する様々な成長因子およびサイトカインなど数多くの生理活性物質を細胞外へと開口放出する。創傷治癒や組織再生を目的として、血小板を濃縮した多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)を用いた多血小板血漿(PRP)療法が行われている。
国際公開第2020/166711号
成長因子やサイトカイン等が放出されるためには、血小板は活性化される必要がある。
本発明は、凍結保存中に血小板を活性化することができ、かつ、凍結融解後の血小板の生存率が高い血小板の活性化剤、および、凍結保存により血小板などの生体試料を活性化する方法を提供することを目的とする。
以下、本発明について説明する。
先に述べたように、成長因子やサイトカイン等が放出されるためには、血小板は活性化される必要がある。
生体における血小板活性化物質は、コラーゲン、トロンビン、および血小板自身から放出されるアデノシン二リン酸(ADP)、セロトニン、トロンボキサンA2などの血小板アゴニストである。PRP療法においては、血小板は、塩化カルシウムの添加、血小板の凍結融解、トロンビンの添加や機械的刺激などにより活性化されている。
従来の多血小板血漿では、血小板を活性化後、血小板は除去されることなく、成長因子と共に作成直後に使用するか、冷凍保存されて使用される。活性化された血小板から得られた成長因子とサイトカインとを含有する組成物は典型的には、室温では数時間で生物学的活性を失ってしまい、また血小板が存在している状態でも長期間の保存はできない。また、血小板が存在しない状態では、冷凍保存下、成長因子やサイトカインは容易に変性・分解されてしまう。
典型的なPRP療法の治療プロトコールでは、3~9か月間の期間に渡って数回のフォローアップでの注射が必要とされる。しかしながら、PRPは、通常、治療と治療の間の期間に保存しておくことはできず、治療のたび毎に、自己末梢血を採血し、典型的にはキットを用いて遠心・抽出(分離)・活性化により調製されている。
したがって、血小板を活性化し、成長因子やサイトカインを放出させて再生医療に応用するためのより簡便な方法が必要とされている。
特許文献1には、特許文献1の凍結保存液を用いた凍結保存において、従来、凍結保護物質として広く使用されているが細胞毒性や分化誘導性を有することが知られているジメチルスルホキシド等の物質を使わずとも、高い生存率を維持しながら細胞が凍結保存され得ることが記載されている。
本発明は、凍結保存中に血小板を活性化することができ、かつ、凍結融解後の血小板の生存率が高い血小板の活性化剤、および、凍結保存により血小板などの生体試料を活性化する方法を提供するものである。
本発明は、溶媒と、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩と、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩とを含む血小板の活性化剤に関する。高分子または糖類の塩は、金属塩、ハロゲン塩もしくは硫酸塩が望ましい。金属塩としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩が望ましい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属としてはナトリウム、カリウム、カルシウムなどが選択される。ハロゲンとしては、塩素、臭素などを使用できる。
また、本発明の血小板の活性化剤は、本発明の血小板の活性化剤と血小板を含む生体試料を凍結保存することで血小板を活性化するものである。
本発明においては、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩は、血小板の活性化剤中の主成分として、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩は、副成分として含まれていることが望ましい。本明細書において、主成分とは、血小板の活性化剤の成分の中で、重量比の最も高い成分をいう。血小板の活性化剤中の、主成分以外の構成成分は副成分である。
本発明の血小板の活性化剤において、血小板は、血小板の活性化剤と共に凍結保存され、活性化される。すなわち、本発明の血小板の活性化剤は、凍結保存中に、血小板を活性化する。凍結保存状態にある血小板はガラス化されている。本発明の血小板の活性化剤中の高分子、特には高分子中の親水性基が、血小板の凍結時のガラス化、分子量3000以下の糖と血小板細胞周辺の水との置換、血小板細胞の凍結による破裂からの保護に関与していると推定される。したがって、本発明において使用される親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子は、その親水性基が修飾されていないか、修飾されていてもその親水性基の全数の50%以下であることが望ましい。親水性基が修飾されることで、疎水化の程度が上がると、血小板の活性化剤の凍結保護効果が低下するからである。したがって、主成分としてカルボキシポリアミノ酸のような疎水化した高分子は除かれることが望ましい。
本発明の血小板の活性化剤は、分化因子として機能し得る凍結保護物質であるジメチルスルホキシドを含まないことが望ましい。また、本発明の血小板の活性化剤は、エチレングリコールなどの細胞毒性のある凍結保護物質は含まない方が望ましい。これらは、解凍後の血小板および血小板を投与される生体にとって有害だからである。
本発明においては、高分子またはその塩の粘度平均分子量は、400000以下、特に200000以下であることが望ましい。血小板の活性化剤の凍結前の粘度を低く調整でき、取扱いやすいからである。
本発明の血小板の活性化剤により、血小板は活性化される。後述されるように、血小板を、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩と、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩とともに溶媒中で凍結保存することにより、凍結保存中に血小板が活性化される。
親水性基を有するモノマーが、ヒドロキシル基ならびにカルボン酸基およびその塩からなる群より選択される少なくとも一つである親水性基を有するモノマーである血小板の活性化剤が好ましい。
高分子がさらに、置換されていてもよいアミノ基または置換されていてもよいアミド基を有する窒素含有モノマーを繰り返し単位として含む血小板の活性化剤が好ましい。
高分子が、前記親水性基を有するモノマーと前記窒素含有モノマーとの交互共重合体である血小板の活性化剤が好ましい。
親水性基を有するモノマーが、エクアトリアル位に置換したヒドロキシル基を有するモノマーである血小板の活性化剤が好ましい。
5000以上の粘度平均分子量を有する高分子またはその塩を含む血小板の活性化剤が好ましい。
高分子が、複数の糖残基を含む高分子である血小板の活性化剤が好ましい。
糖類が、単糖類、二糖類、またはオリゴ糖である血小板の活性化剤が好ましい。
糖類が、グルコース、フルクトース、ガラクトースまたはそれらのアルコール基が酸化したウロン酸もしくはアルコール基がアミノ基で置換されたアミノ糖、スクロース、グリコサミノグリカンの切断生成物、グリコサミノグリカンの構成単糖、または、それらの重合体もしくは組み合わせである血小板の活性化剤が好ましい。
糖類が、グルコース、グルクロン酸またはN-アセチルグルコサミンである血小板の活性化剤が好ましい。
血小板の活性化剤中の高分子またはその塩が、血小板の活性化剤の0.1w/v%以上、50w/v%以下の範囲の量で存在することが好ましい。
血小板の活性化剤中の糖類またはその塩が、血小板の活性化剤の0.1w/v%以上、10w/v%以下の範囲の量で存在することが好ましい。
本発明はまた、凍結保存中に生体試料を活性化する方法であって、活性化が凍結保存における凍結保護剤によって行われる方法に関する。
生体試料を活性化する方法の凍結保存における凍結保護剤が、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩、および、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩であることが好ましい。
生体試料を活性化する方法において、好ましくは、生体試料は血小板である。
凍結保存が、生体試料と凍結保護剤とを含む試料を、冷却速度10℃/min以下の緩慢凍結法で冷却し、その後、-27℃以下で保存することで行われることが好ましい。
本発明はまた、血小板を活性化するための、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩、および、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩の使用に関する。
前記高分子またはその塩、および前記糖類またはその塩が、凍結保護剤である使用が好ましい。
なお、本発明において使用される高分子または糖類の「粘度平均分子量」とは、以下のような方法と計算式とによって求められる。
極限粘度測定:
(1)所定量のNaClを30℃のイオン交換水に溶解させ、0.2MのNaCl溶液(標準液)を調製する。
(2)高分子または糖類の試料を30℃の標準液に溶解させ、原液を調製する。標準液および原液それぞれの粘度を測定し、標準液に対する原液の相対粘度が2.0~2.4となるように調整する。
(3)30℃の原液を、30℃の標準液を用いて5/4、5/3、5/2倍となるようにそれぞれ希釈する。
(4)30℃の標準液、原液および希釈液の粘度をそれぞれ測定する。粘度測定には、E型粘度計を用いる。
(5)原液および希釈液それぞれの粘度を標準液の粘度で割ったものを相対粘度(ηr)とし、下式に基づき還元粘度を導出する。
Figure 2022104327000001
ここで、ηsp:高分子または糖類の還元粘度[mL/g]、ηr:高分子または糖類の相対粘度[-]、C:高分子または糖類の濃度[g/mL]である。
(6)高分子または糖類の濃度と、高分子または糖類の還元粘度との関係をそれぞれプロットし、近似直線を引く。近似直線の切片(高分子または糖類濃度=0)の値を極限粘度とする。
粘度平均分子量:
粘度平均分子量は、極限粘度から算出する。
Figure 2022104327000002
上記のマークホーイング桜田の式に、測定で導出した極限粘度と、文献等で公開されているKとαの値から粘度平均分子量Mを求める。
Kおよびαは高分子の種類によって変動する数値であり、例えば「高分子材料便覧」(社団法人高分子学会編)など多数の公開文献にKとαの値が開示されており、公表されている値を用いて粘度平均分子量の計算を行うことができる。
例えば、ヒアルロン酸の場合、K=3.6×10-4およびα=0.78、プルランおよびゼラチンの場合、文献値よりK=9×10-4、α=0.5である。例えばデキストランの場合、K=6.3×10-8、α=1.4、コンドロイチン硫酸の場合、K=5.8×10-4、α=0.74を用いることができる。
単糖や二糖、単分子と考えられる化合物の場合は、構造式から分子量が明確に特定されるため、本発明においては、構造式から特定される分子量を粘度平均分子量として擬制して扱う。
本発明の血小板の活性化剤は、溶媒と、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子またはその塩と、3000以下である粘度平均分子量を有する糖類またはその塩とを含む。溶媒としては、水のような水性溶媒であることが望ましい。特に体液や細胞液の浸透圧とほぼ同じになるようにナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン等によって塩濃度や糖濃度等を調整した等張液であることが好ましい。具体的には、例えば、水、生理食塩水、緩衝効果のある生理食塩水であるリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline;PBS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水(Tris Buffered Saline;TBS)、HEPES緩衝生理食塩水等、ハンクス平衡塩溶液などの平衡塩溶液、リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液、または、D-MEM、E-MEM、αMEM、RPMI-1640培地、Ham’s F-12、Ham’s F-10、M-199などの動物細胞培養用基礎培地、他の市販の培地などを挙げることができる。
また、溶媒中に、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、グルコース、塩化ナトリウム、アミノ酸などを含んでいてもよい。アミノ酸としてはプロリンが好適に選択される。
本発明の血小板の活性化剤は、凍結時に際する、粘度平均分子量3000を超え、500000以下の高分子成分による溶媒ガラス化性能の付与、および、粘度平均分子量3000以下の低分子量の糖類による血小板細胞膜近傍での氷晶形成および成長の阻害および細胞の保護効果により、凍結保存中の血小板細胞膜への障害を防止する。したがって血小板は、本発明の血小板の活性化剤による凍結保存後に、高度な細胞医療に適用可能な解凍後の形態維持および活性化を有し得る。すなわち、凍結保存中に、粘度平均分子量3000を超え、500000以下の高分子成分および粘度平均分子量3000以下の低分子量の糖類の作用により血小板の活性化が達成されており、これにより、本発明の血小板の活性化剤による凍結保存中の血小板および解凍後の血小板は、再生医療に好適に適用することのできる活性化血小板である。
また、本発明の血小板の活性化剤は、凍結保存のためのDMSOやエチレングリコールなどの細胞毒性の高い化学物質を含まないため、血小板の活性化剤を用いて凍結保存された、活性化された血小板を含む凍結保存物は、溶解後にそのまま、細胞治療に適用され得る。なお、凍結保存物が、活性化された血小板の機能や細胞治療剤としての効能を損なわない低濃度の化学物質を含むことは可能である。
また、投与する部位によっては、凍結保存物が修復もしくは再生効果を促進することも考えられる。
また、本発明の血小板の活性化剤は、血清および/または血清由来タンパク質を含まないため、本発明の血小板の活性化剤を用いて凍結される血小板が細菌やウィルスに汚染されることもない。なお、細菌やウィルスに汚染されていないようなタンパク質を添加することは可能である。
さらに、本発明では、血小板の凍結保存と同時に凍結保護剤による血小板の活性化が行われるため、凍結融解後の血小板には、血小板の活性化のための血小板活性化物質を添加する必要がない。したがって、生物学的に活性な成長因子などのタンパク質が血小板活性化物質によって分解される可能性が低減されると考えられる。例えば血小板活性化に使用されるトロンビンのウシ動物タンパク質は、病原体の元となったり、または、アレルギー反応をもたらす虞があるが、このような物質は本発明の血小板の活性化において不要である。
また、本発明では、凍結保存は生体試料と凍結保護剤とを含む液体試料を冷却することにより行われるが、この冷却においては、液体試料中の溶媒をガラス化するために通常必要とされる、細胞保護のための大きな冷却速度は必要とされない。凍結された凍結保存物を保存しているあいだも、液体窒素などの使用によって達成されるような低温度は必要とされない。したがって、本発明の血小板の活性化剤は簡便かつコスト効率よく生体試料を良好に凍結保存することができる。本発明の血小板の活性化剤を用いれば、活性化された生体試料を効率よく、必要に応じたタイミングおよび量で、提供することができる。すなわち、例えばPRP療法において、治療の度毎であった採血回数を減らすことができる。凍結保存されていた血小板が、治療の際に融解されて、使用され得る。さらに、本発明の血小板の活性化剤を用いた凍結保存では、凍結保存物中の血小板は活性化されているので、治療の効果の顕著な向上が得られ得る。
また、このような血小板や放出される細胞内小胞を凍結保存/活性化することで医療機関に提供してもよい。この際、提供される血小板や放出される細胞内小胞は、凍結状態であってもよく、凍結状態から溶媒を昇華除去して粉末化した凍結乾燥状態であってもよい。
本発明の血小板の活性化剤による凍結保存後に凍結融解された血小板の活性化を示す図である。
本発明の血小板の活性化剤は、溶媒と、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子またはその塩と、3000以下である粘度平均分子量を有する糖類またはその塩とを含む。本発明の高分子は親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含んでいる。
本発明の高分子またはその塩の粘度平均分子量は、400000以下、特に200000以下であることが望ましい。本発明の血小板の活性化剤の凍結前の粘度を低く調整でき、取扱いやすいからである。
なお、本発明の高分子または糖類の「粘度平均分子量」とは、以下のような方法と計算式とから算出される値を意味する。
以下に極限粘度の測定方法および極限粘度を用いた粘度平均分子量の計算方法を記載する。
極限粘度測定:
(1)所定量のNaClを30℃のイオン交換水に溶解させ、0.2MのNaCl溶液(標準液)を調製する。
(2)高分子または糖類の試料を30℃の標準液に溶解させ、原液を調製する。高分子または糖類の試料が溶液で入手される場合は、溶液から溶媒を除去した固形分を高分子または糖類の試料とする。高分子および糖類の混合試料、複数の高分子を含む混合試料または複数の糖類を含む混合試料の場合は、各物質を分離、分画した後、各物質から溶媒を除去したものを高分子または糖類の試料とする。また、高分子および/または糖類が未知の場合は、高分子および/または糖類についてHPLC、LC-MSやLC-IR等で物質を同定する。未知の高分子および/または糖類を複数含む場合は、各成分を分離、分画し、それぞれの高分子および/または糖類についてHPLC、LC-MSやLC-IR等で物質を同定し、後述するように粘度平均分子量を計算する。なお、高分子や糖類に不純物が混じった混合物であっても、粘度に影響がなければ(例えば、金属塩のような不純物)、混合物を高分子または糖類の試料とする。また、粘度平均分子量の計算に影響がある不純物を含む場合は、不純物を除去するか、高分子や糖類を分画した後測定する。標準液および原液それぞれの粘度を測定し、標準液に対する原液の相対粘度が2.0~2.4となるように調整する。
(3)30℃の原液を、30℃の標準液を用いて5/4、5/3、5/2倍となるようにそれぞれ希釈する。
(4)30℃の標準液、原液および希釈液の粘度をそれぞれ測定する。粘度測定には、E型粘度計を用いる。
(5)原液および希釈液それぞれの粘度を標準液の粘度で割ったものを相対粘度(ηr)とし、下式に基づき還元粘度を導出する。
Figure 2022104327000003
ここで、ηsp:高分子または糖類の還元粘度[mL/g]、ηr:高分子または糖類の相対粘度[-]、C:高分子または糖類の濃度[g/mL]である。
(6)高分子または糖類の濃度と、高分子または糖類の還元粘度との関係をそれぞれプロットし、近似直線を引く。近似直線の切片(高分子または糖類濃度=0)の値を極限粘度とする。
粘度平均分子量:
粘度平均分子量は、極限粘度から算出する。
Figure 2022104327000004
上記のマークホーイング桜田の式に、測定で導出した極限粘度と、文献等で公開されているKとαの値から粘度平均分子量Mを求める。ヒアルロン酸の場合は、K=3.6×10-4およびα=0.78を代入して、粘度平均分子量Mを求める。実施例で用いられているプルランおよびゼラチンには、文献値よりK=9×10-4、α=0.5を、また、デキストランには、K=6.3×10-8、α=1.4を、コンドロイチン硫酸には、K=5.8×10-4、α=0.74、カルボキシポリリジンについては、K=2.78×10-5、α=0.87を用いる。
Kおよびαは高分子の種類によって変動する数値であり、例えば「高分子材料便覧」(社団法人高分子学会編)など多数の公開文献にKとαの値が開示されており、公表されている値を用いて粘度平均分子量の計算を行う。
本発明では、この方法で算定された分子量を粘度平均分子量とする。なお、スクロースやグルクロン酸のような単糖や二糖、単分子と考えられる化合物の場合は、構造式から分子量が明確に特定されるため、構造式から特定される分子量を粘度平均分子量として擬制して扱う。
本発明の血小板の活性化剤に含まれる、所定の分子量および多数の親水性基を有する高分子によって、溶媒の水分子は、凍結保存のための冷却過程において高分子鎖により形成されるマトリックス内にトラップされている。高分子鎖が親水性基を含むため、冷却時に溶媒の水の分子運動が制限され、水が結晶化せずにガラス化状態で固化および/または凍結され得る。すなわち、本発明の血小板の活性化剤を用いた凍結保存状態にある、血小板を含む凍結保存物では、本発明の高分子鎖の作用により血小板の細胞内は脱水されてガラス化されている。したがって、本発明の血小板の活性化剤により凍結保存物を作製するためには、従来のガラス化法での、溶質(凍結保護物質)の濃度を高めることや、冷却速度を大きくすることが行われなくてよい。本発明の血小板の活性化剤を用いて得られる、血小板を含む凍結保存物では、高分子鎖の作用により血小板細胞内での氷晶の形成が抑制されている。凍結保存物の形成時に、細胞内を脱水するために従来のガラス化法で必要とされる細胞内外の浸透圧差は必要ないため、従来のガラス化法での問題である凍結時の細胞における浸透圧ショックが弱められている。また、凍結保存物の溶解時に再結晶化が起こることがないので、凍結保存物に含まれる血小板の、解凍によるダメージも少ないと考えられる。
本発明の高分子の粘度平均分子量は、3000を超え、500000以下である。この程度の粘度平均分子量であると、本発明の血小板の活性化剤を用いて得られる凍結保存物において、凍結状態での非晶質であるガラス状態が安定化され得る。凍結保存物に含まれる血小板細胞が安定的に存在し得る。したがって、凍結保存物を解凍した後の、血小板細胞の生存率が高い。高分子の粘度平均分子量が3000以下であると、ガラス化が良好に起こりにくい場合がある。また、高分子の粘度平均分子量が500000より大きいと、粘度が著しく上昇し、また、溶媒への溶解度が低下したり、凍結保存前の溶液が泡立ってハンドリング性が悪化するという問題が生じ得る。粘度平均分子量は例えば、5000以上が好ましい。また、400000以下、さらには200000以下の粘度平均分子量である高分子が好ましく、150000以下が特に好ましい。血小板の活性化剤の粘度を低く調整でき、取扱いやすいからである。
本発明の高分子は、親水基を有するモノマーを繰り返し単位として含む重合体である。親水性基は、例えば、ヒドロキシル基ならびにカルボン酸基およびその塩である。また、本発明の高分子は、置換されていてもよいアミノ基または置換されていてもよいアミド基を有する窒素含有モノマーを繰り返し単位として含んでいてもよい。さらに、本発明の高分子は、その構造内にエクアトリアル位のヒドロキシル基を有していることが好ましい。これにより、溶媒の水を凍結時により良好に高分子鎖で形成されるマトリックス内にトラップすることができると考えられる。
親水基を有するモノマーは例えば、糖残基である。この場合、本発明の高分子は、糖残基が繰り返し単位としてグリコシド結合により結合したものおよびこれらの誘導体を含む高分子であり得る。糖残基としては、単糖、または、単糖のヒドロキシル基および/またはヒドロキシメチル基が置換された単糖、例えば、ヒドロキシル基および/またはヒドロキシメチル基が、カルボキシル基、アミノ基、N-アセチルアミノ基、スルホオキシ基、メトキシカルボニル基およびカルボキシメチル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の置換基で置換された単糖などが例示されるがこれらに限定はされない。
単糖としては、トリオース、テトロース、ペントース、ヘキソースおよびヘプトース等が挙げられる。例えば、ペントースとしては、リボース、アラビノース、キシロース、リキソース、キシルロース、リブロース、デオキシリボースなどが挙げられる。ヘキソースとしては、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、タガトース、フコース、フクロース、ラムノースなどが挙げられる。
例えば、カルボキシル基で置換された単糖としては、ウロン酸などが挙げられる。ウロン酸としては、例えば、グルクロン酸、イズロン酸、マンヌロン酸およびガラクツロン酸などが挙げられる。アミノ基で置換された単糖としては、アミノ糖などが挙げられる。アミノ糖としては、例えば、グルコサミン、ガラクトサミン、マンノサミンおよびムラミン酸などが挙げられる。N-アセチルアミノ基で置換された単糖としては、例えば、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルマンノサミン、N-アセチルガラクトサミンおよびN-アセチルムラミン酸などが挙げられる。スルホオキシ基で置換された単糖としては、ガラクトース-3-硫酸などが挙げられる。また複数の置換基をもつ単糖としては、例えば、N-アセチルグルコサミン-4-硫酸、イズロン酸-2-硫酸、グルクロン酸-2-硫酸、N-アセチルガラクトサミン-4-硫酸、ノイラミン酸およびN-アセチルノイラミン酸などが挙げられる。
例えば、本発明の高分子は、上述したような単糖類を繰り返し単位として含む高分子である。例えば、本発明の高分子は、置換されていてもよいペントース、ヘキソースもしくはウロン酸またはそれらの組合せを繰り返し単位として含む高分子であり得る。また、本発明の高分子は、親水性基を有するモノマーと窒素含有モノマーとの交互共重合体であってもよい。窒素含有モノマーは例えばアミノ糖であってもよい。この場合、例えば、本発明の高分子は、グリコサミノグリカンであり得る。また、1つ以上のヒドロキシル基がスルホオキシ基で置換された、硫酸化多糖類であってもよい。これらに限定されるわけではないが、本発明の高分子としては、例えば、ヒアルロン酸、デキストラン、プルラン、またはコンドロイチン硫酸などが挙げられる。
本発明において使用される高分子は、天然由来のものであってもよく、また、化学的に合成したものや、市販の高分子であってもよい。分子量がより大きな天然由来の高分子化合物や市販の高分子化合物を用いて、加水分解や酵素処理、亜臨界処理等の処理に付してその切断生成物を得、分子量の調整をして本発明の高分子としてもよい。また、各モノマーも、天然由来のものであってもよく、天然由来のモノマーを修飾・置換して用いてもよく、また、化学合成されたものでもよい。例えば、好ましくは、本発明の高分子に含まれるモノマーは生体構成成分である。細胞毒性が低く、さらに、細胞製剤へ直接的に凍結保存物を適用できるため優位である。
本発明の高分子の親水性基は、修飾されていないか、修飾されていても親水性基の全数の50%以下、すなわち、高分子鎖に置換基が導入されていないか、導入されていても親水性基の全数の50%以下であることが望ましい。高分子の親水性基、特にOH基、NH2基、COOH基が、本発明の血小板の活性化剤を用いて凍結されている細胞の保護および溶媒のガラス化、糖と血小板細胞周辺の水との置換に寄与していると推定されるため、これらの官能基が修飾されていない方が解凍後の血小板細胞の生存率向上に有利であると考えられる。
また、本発明の高分子の親水性基は、低分子量の糖類を水素結合により保持していると考えられ、このような低分子量の糖類を保持した高分子が血小板細胞の周りに存在することで、血小板細胞の細胞膜近傍の水分子と糖類の置換が促進されていると推定される。このため、親水性基が修飾されていると、親水性基の低分子量の糖類の保持効果が低下してしまい、低分子量の糖類が共存していても、血小板の生存率向上には十分寄与し得ない虞がある。したがって、OH基やNH2基をカルボン酸などで修飾することは好ましくない場合がある。
本発明の血小板の活性化剤は、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩を含んでいる。この糖類によって血小板細胞の細胞膜付近の水分子が置換されて、細胞膜付近の氷晶形成および成長が抑制され、その結果、本発明の血小板の活性化剤を用いた凍結保存において凍結される血小板における細胞膜障害が顕著に抑制され得る。すなわち、本発明において使用される糖類またはその塩は、血小板細胞保護のための成分として機能し得る。本発明の糖類は例えば、分子量が3000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下である、単糖類、二糖類、またはオリゴ糖などであり得る。
このような糖類としては、例えば、本発明の高分子を構成するモノマーとして上述された単糖類が挙げられる。例えば、糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトースまたはそれらのアルコール基が酸化したウロン酸もしくはアルコール基がアミノ基で置換されたアミノ糖、スクロース、トレハロース、または、それらの重合体または組み合わせである。また、糖類は、例えば、本発明において使用される高分子、例えばヒアルロン酸、デキストラン、プルラン、またはコンドロイチン硫酸などの断片であってもよい。本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、糖類は、例えば、グリコサミノグリカンの切断生成物(断片)すなわちグリコサミノグリカンを構成している単糖、その二糖、またはそのオリゴ糖であり得る。
好ましくは、糖類は、グルコース、またはヒアルロン酸の切断生成物である。したがって、好ましくは、本発明の糖類は、グルコース、または、グルクロン酸もしくはN-アセチルグルコサミン、または、それらからなる二糖もしくはオリゴ糖である。好ましくは、糖類は、グルクロン酸もしくはその修飾化合物、またはその二糖もしくはオリゴ糖であり得る。
本発明において用いられる「切断生成物」とは、高分子に対して加水分解や酵素処理、亜臨界処理等の処理を行った際に得られると考えられる、元の高分子より小さな分子量をもつ化合物を意味する。すなわち、本発明の高分子は、上述のように、より大きな高分子化合物の処理により得られる、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であってもよく、本発明の糖類は、本発明の高分子の処理により得られる、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類であってもよい。切断生成物は、元の高分子の構成成分であるモノマーおよび/またはモノマーの種々の重合度の重合体および/またはそれらの混合物であり得る。
「亜臨界処理」とは、所定の温度および所定の圧力の条件下で亜臨界状態にした抽出溶媒としての亜臨界流体と、抽出対象の原料とを接触させることを意味する。例えば、水は、圧力22.12MPa以上および温度374.15℃以上まで上げると液体でも気体でもない状態を示す。この点を水の臨界点といい、臨界点より低い近傍の温度および圧力の熱水を亜臨界水という。この亜臨界水の加水分解作用を用いて、抽出対象の原料から所望の成分を得ることができる。本発明において亜臨界処理する場合の条件としては、例えば、150℃以上、350℃以下の温度であり、亜臨界処理圧力は、各温度の飽和蒸気圧以上とすることができるが例えば、0.5MPa以上、25MPa以下とすることができる。亜臨界処理後、所定の分子量以下である成分が分離回収され、本発明における切断生成物として使用され得る。また、加水分解や酵素処理としても、特に限定されず、通常用いられるような試薬および処理方法が問題なく用いられ得る。
本発明の高分子および糖類は、一度の亜臨界処理によって同時に得られるものであってもよい。すなわち、本発明における高分子および糖類は、粘度平均分子量として3000より大きく、500000以下である分子量範囲に第1の分子量分布を有し、粘度平均分子量として3000以下の分子量の範囲に第2の分子量分布を有するような、高分子化合物の亜臨界処理物であってもよい。
本発明の高分子または糖類の塩としては、金属塩、ハロゲン塩または硫酸塩などが挙げられる。金属塩としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩が望ましい。アルカリ金属またはアルカリ土類金属としてはナトリウム、カリウム、カルシウムなどが選択される。ハロゲンとしては、塩素、臭素などを使用できる。
本発明の血小板の活性化剤中の3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩、および、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩は、凍結保存における凍結保護剤である。すなわち、本発明の血小板の活性化剤は、凍結時に、水分子を高分子鎖によりトラップし、溶媒部分に氷晶が生成することを防止してガラス化することにより、氷晶形成による細胞などの生体試料の破裂を抑制し得る高分子と、血小板細胞の、溶媒との境界組織近傍の水分子を置換することで、血小板細胞の細胞膜付近の氷晶形成および成長を阻害して血小板細胞の細胞膜を保護する低分子量の糖類との組み合わせである凍結保護剤を含んでいる。本発明のこの凍結保護剤は、血小板細胞の凍結時の氷晶形成および融解時の再結晶を効果的に抑制することにより、得られる凍結保存物において、従来技術では得ることのできなかった高い凍結保存効果を提供している。そして同時に、本発明の凍結保護剤は、凍結保存物に含有される血小板を凍結保存のあいだに活性化し得る。そして、凍結保存物の解凍後も、血小板の活性化状態は維持され、血小板は、活性化血小板としての生物学的活性および治療効果を保持している。
本発明の血小板の活性化剤において、高分子またはその塩は、血小板の活性化剤中に、血小板の活性化剤の0.1w/v%以上、50w/v%以下程度の範囲の量で存在している。0.1w/v%よりも少ない量であると、凍結された凍結保存物における溶媒部分が良好にガラス化されない場合がある。また、50w/v%より多い量では、高分子またはその塩を溶解した溶液の粘度が高くなりすぎて、ハンドリング性が悪化するおそれがある。例えば、高分子またはその塩は、5w/v%以上の量で存在することが好ましく、10w/v%以上が特に好ましい。また、高分子またはその塩の濃度は、20w/v%以下が好ましい。本発明の血小板の活性化剤中に含まれる高分子またはその塩の量は、5w/v%以上、20w/v%以下であってもよい。
本発明の血小板の活性化剤において、糖類またはその塩の濃度は、血小板の活性化剤中に、血小板の活性化剤の0.1w/v%以上、10w/v%以下程度の範囲の量で存在している。血小板の活性化剤中に糖類またはその塩が0.1w/v%未満の量でしか存在しないと、本発明の効果が十分得られない場合がある。また、糖類またはその塩が、血小板の活性化剤中で、血小板の活性化剤の10w/v%以上の量で存在しても、細胞保護成分としてのさらなる効果は得られにくい。本発明の血小板の活性化剤中の高分子と糖類の含有量の重量比は、高分子:糖類=1:1~500:1が望ましく、高分子:糖類=1:1~50:1が好ましく、高分子:糖類=1:1~20:1であることが最適である。
本発明における血小板の活性化剤による凍結保存では、生体試料と溶媒と凍結保護剤(3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩、および、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩)とを含む液体試料が凍結保存される。本発明の生体試料は、好ましくは血小板である。血小板は、採血された血液や予冷蔵された血液から分離される。血液(全血)から血小板を分離する手段に制限はなく、公知の任意の手段が使用可能である。例えば、血液は遠心分離処理に付され、血球を含む画分と、多血小板血漿(PRP)とに分離される。多血小板血漿(PRP)は遠心分離に付され、血小板と少血小板血漿(PPP)とに分離される。
本発明の血小板の活性化剤に含まれる溶媒としては、例えば、体液や細胞液の浸透圧とほぼ同じになるようにナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン等によって塩濃度や糖濃度等を調整した等張液などであってもよい。具体的には、例えば、水、生理食塩水、緩衝効果のある生理食塩水であるリン酸緩衝生理食塩水(phosphate buffered saline;PBS)、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水(Tris Buffered Saline;TBS)、HEPES緩衝生理食塩水等、ハンクス平衡塩溶液(HBSS)などの平衡塩溶液、リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液、重炭酸リンゲル液などが例示されるがこれらに限定される訳ではない。また、本発明の効果を損なわない限り溶媒は、例えば等張剤やキレート剤、溶解補助剤、pH調整剤や細胞培養用培地への添加物として通常用いられる添加剤などの他の任意成分を含んでいてもよい。
また、本発明の血小板の活性化剤は、他の任意成分として、凍結保護剤の凍結保護作用を補助するような凍結保護サポート物質をさらに含んでいてもよい。なお、該凍結保護サポート物質は、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩とは異なる物質である。このような物質としては、例えば細胞内の水分が凍結するよりも高い温度で溶液中に氷核を形成させる物質であることが知られているアミノ酸などが挙げられる。このようなアミノ酸としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、アスパラギン、イソロイシン、グルタミン、プロリンおよびヒスチジンなどが挙げられる。また、凍結保護サポート物質としては、細胞膜非透過型凍結保護物質が用いられてもよく、例えば、糖類やデキストラン等が挙げられる。糖類としては例えば、デキストロース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ラフィノース、ラクトース、スクロース、マルトース、グルコース、ソルビトール、マンニトール、トレハロースなどが挙げられる。このような凍結保護サポート物質は、例えば、0.1w/v%以上、10w/v%以下程度の濃度で本発明の血小板の活性化剤に含まれ得る。
なお、本明細書において、「任意成分」とは、含んでもよいし含まなくてもよい成分のことを意味している。
例えば、本発明の血小板の活性化剤の溶媒は、5%グルコース水溶液などであってもよい。また、溶媒は、例えば市販の培地やD-MEM、E-MEM、αMEM、RPMI-1640培地、Ham’s F-12、Ham’s F-10、M-199などの基礎培地などの細胞培養用の培地であってもよい。
本発明の血小板の活性化剤を用いた凍結保存では、凍結されている血小板に対する凍結保存による細胞ダメージは少ない。これは、生体試料が、本発明の血小板の活性化剤と共に-27℃以下に、例えば、10℃/min以下程度の冷却速度で、冷却されることで良好に凍結されて凍結保存物を与えるためである。したがって、本発明の血小板の活性化剤を用いて凍結保存物を得るためには、公知のガラス化法で必要とされる凍結保存時の浸透圧ショックを軽減するための大きな冷却速度は不要である。例えば、生体試料と本発明の血小板の活性化剤とは、混合され、凍結処理容器等に移され、-80℃のディープフリーザー中に放置され得る。これにより、生体試料は、生体試料の高い生存率を維持しながら凍結保存される。凍結保存物を得るための特別な手技や器具は必要とされない。活性化された血小板を含む凍結保存物を簡便に得ることができる。なお、凍結保存温度の範囲としては、-27℃以下であれば限定されるものではないが、上限として、望ましくは、-70℃以下、好ましくは-80℃以下である。また下限として、望ましくは、-196℃以上、好ましくは-150℃以上である。
本発明の、生体試料を含む凍結保存状態にある凍結保存物の保存期間は、特に限定されるものではないが、例えば、1週間以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、1年以上、またはそれ以上とされ得る。凍結状態でのこのような長期保存の後にも、血小板は活性化されており、融解後の高い生存率を維持している。
本発明の3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子は、凍結保存において非浸透型の凍結保護試薬であるため、凍結保存される細胞に対する細胞毒性が低いと考えられる。また、本発明において、高分子と共に用いられる糖類は、凍結保存時に細胞膜保護のために機能する。そして、同じ高分子および糖類が、血小板を刺激し、活性化して、活性化血小板が凍結保存される。したがって、本発明によれば、凍結保存中に生体試料を活性化する方法であって、活性化が凍結保存における凍結保護剤によって行われることを特徴とする方法が提供される。この方法において、凍結保存は、緩慢凍結法にて行われ得るため、活性化された生体試料を簡便に作製することを可能にしている。
本発明の3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子としては、例えば、生体構成成分である高分子がより好ましい。このような高分子またはその塩を用いることにより、凍結保存物が解凍された後、活性化血小板はそのまま細胞治療に適用され得る。例えば、本発明の好ましい高分子は、ヒアルロン酸である。特には、400000以下、望ましくは200000以下である粘度平均分子量をもつヒアルロン酸である。より特には、粘度平均分子量が3000より大きく、より望ましくは5000より大きく、そして、60000以下、より望ましくは20000以下であるヒアルロン酸が挙げられる。
本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<凍結保護剤の調製>
容積2Lの耐圧容器に平均分子量100万である高分子ヒアルロン酸(Shanghai Easier Industrial Development社製)と水とを20:100で混合し、処理温度175℃、処理圧力0.89MPa、および処理時間3分で亜臨界処理を行った。その後、亜臨界処理物を凍結乾燥またはスプレードライ法で乾燥した。これにより、極限粘度が0.49dL/gであり、粘度平均分子量が10000の高分子ヒアルロン酸と、極限粘度が0.08dL/gであり、粘度平均分子量が1000の低分子量ヒアルロン酸との混合物、すなわち本発明で凍結保護剤として使用する高分子および低分子量の糖類を得た。
<血小板の調製>
C57BL/6マウス(15週齢、オス)より採取した新鮮血より分離された血小板が用いられた。具体的には、Acid-citrate-dextrose formula A液を含むシリンジを用いて採血し、buffered saline glucose citrate液(pH 7.3)が入った2mLチューブへ移した。採取した血液を、1500 rpm、20℃、5分間の条件で遠心し、血球と多血小板血漿(PRP)に分離した。PRPを回収し、遠心(1000 rpm、20℃、5分間)により、PRPから血球をできる限り除去した。次に、PRPを、3600 rpm、20℃、5分間の条件で遠心し、血小板と少血小板血漿(PPP)に分け、血小板のみを回収した。
<血小板サンプルの準備>
分離回収された血小板は、遠心分離により沈降させたのち、Tyrode buffer(組成:NaCl 8g/L、KCl 0.2g/L、CaCl2 0.2g/L、MgCl2・6H2O 0.1g/L、NaH2PO4・H2O 0.05g/L、グルコース 1g/L、NaHCO3 1g/L)に、2×108個/mLの濃度にて再懸濁することで血小板溶液とした。
<未凍結血小板の活性化および活性化の測定>
・比較例1
上記で得られた血小板溶液を1×107個の血小板となるように採取し、等倍量のTyrode bufferで希釈した。ネガティブコントロールとしてTyrode bufferを20μL添加した。
溶媒を1mM CaCl2を含有するTyrode bufferに置換した後、血小板マーカーおよび活性化指標として、それぞれ、細胞表面マーカーであるCD41/61およびCD62-Pを、フローサイトメトリー(BD FACSCanto II)により評価した。蛍光色素PE標識抗体(抗CD41/61)および蛍光色素FITC標識抗体(抗P-セレクチン/CD62-P)(EMFRET Analytics GmbH & Co. KG、カタログ番号:D200)を使用した。
・比較例2
比較例1と同様に、血小板溶液を1×107個の血小板となるように採取し、等倍量のTyrode bufferで希釈した。1U/mL トロンビン(富士フイルム和光純薬(株)製)を20μL添加することにより、血小板を活性化した。
比較例1と同様に、CD41/61およびCD62-Pを評価した。
<凍結血小板の活性化測定>
・実施例1
上記で調製された、高分子および低分子量の糖類の混合物である凍結保護剤100gを、0.14g/L 塩化カルシウム、0.10g/L 塩化マグネシウム六水和物、0.10g/L 硫酸マグネシウム七水和物、0.40g/L 塩化カリウム、0.06g/L リン酸二水素カリウム、0.35g/L 炭酸水素ナトリウム、0.048g/L リン酸水素二ナトリウム、11g/L D(+)-グルコース、および9g/L 塩化ナトリウムと、10g/L プロリンとを含む注射用水1Lに加えて、血小板の活性化剤を得た(10重量%の高分子および低分子量の糖類の混合物含有。粘度平均分子量10000の高分子ヒアルロン酸:粘度平均分子量が1000の低分子量ヒアルロン酸=10:1である)。
血小板溶液を1×107個の血小板となるように採取し、等倍量の、上記で調製した血小板の活性化剤で希釈した。得られたサンプルを、凍結保存容器(ミスターフロスティー)に入れ、ディープフリーザー庫内で1℃/minの冷却速度で凍結し、使用まで凍結保存した。
約1か月の凍結保存後、凍結血小板を37℃の湯浴中にて速やかに溶解し、比較例1の血小板の活性化の測定と同様に、CD41/61およびCD62pを評価した。
・比較例3
比較例1と同様に、血小板溶液を1×107個の血小板となるように採取し、等倍量のTyrode bufferで希釈した。得られたサンプルを、凍結保存容器(ミスターフロスティー)に入れ、ディープフリーザー庫内で1℃/minの冷却速度で凍結し、使用まで凍結保存した。
約1か月の凍結保存後、凍結血小板を37℃の湯浴中にて速やかに溶解し、比較例1の血小板の活性化の測定と同様に、CD41/61およびCD62pを評価した。
・比較例4
血小板溶液を1×107個の血小板となるように採取し、等倍量の、市販のDMSO含有凍結保存液(STEM-CELLBANKER(登録商標) GMP grade(DMSO含有)、ゼノアックリソース社製、100mLのDMSOと蒸留水750mL中にカルボキシメチルセルロースナトリウム(分子量76万)5gを溶解させた水溶液と150mLの蒸留水にグルコース30.0g、炭酸水素ナトリウム0.8g、4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid 0.36g、およびリン酸緩衝液1.576gを溶解させた水溶液とを混合したものであると推察される保存液)で希釈した。得られたサンプルを、凍結保存容器(ミスターフロスティー)に入れ、ディープフリーザー庫内で1℃/minの冷却速度で凍結し、使用まで凍結保存した。
約1か月の凍結保存後、凍結血小板を37℃の湯浴中にて速やかに溶解し、比較例1の血小板の活性化の測定と同様に、CD41/61およびCD62pを評価した。
比較例1~4および実施例1のフローサイトメトリーによる検出結果を図1に示す。
図1に示されている結果において、比較例1~4および実施例1は、それぞれ、未凍結かつ未活性化の血小板(比較例1)、未凍結の、トロンビンにより活性化された血小板(比較例2)、凍結保護剤の非存在下で凍結保存後、融解させた血小板(比較例3)、本発明の血小板の活性化剤によって、すなわち本発明の凍結保護剤共存下で凍結保存後、融解させた血小板(実施例1)、DMSOを含む市販の凍結保存液を用いた凍結保存後、融解させた血小板(比較例4)を示している。
図1に示されているように、本発明の血小板の活性化剤によって凍結保存した血小板は、CD62-PおよびCD41/61の細胞表面への移行(発現)が増強していた。本発明の血小板の活性化剤を用いて凍結保存したことにより血小板の高い活性化が確認された。この活性化の程度は、未凍結血小板をトロンビンで活性化した結果(比較例2)および本発明の凍結保護剤を含まない条件下で凍結保存した結果(比較例3)よりも高かった。市販の凍結保存液を用いた凍結保存では、このような活性化は確認されなかった。
上記の結果より、本発明の血小板の活性化剤は、高い細胞生存率で生体試料を安定的に凍結保存しつつ高い活性化を得ることができるという顕著な効果を有していることがわかる。本発明の血小板の活性化剤は、DMSOやエチレングリコールなどの細胞毒性のある凍結保護物質、および/または、血清や血清由来のタンパク質等を含まず、また、本発明の血小板の活性化剤による凍結保存においては、生体試料の保存と活性化が同時に行われることから、生物活性および簡便性の観点からも本発明の血小板の活性化剤は再生医療に優位に適用され得る。

Claims (19)

  1. 溶媒と、
    3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩と、
    3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩と
    を含む血小板の活性化剤。
  2. 前記親水性基を有するモノマーの親水性基が、ヒドロキシル基ならびにカルボン酸基およびその塩からなる群より選択される少なくとも一つである請求項1記載の血小板の活性化剤。
  3. 前記高分子がさらに、置換されていてもよいアミノ基または置換されていてもよいアミド基を有する窒素含有モノマーを繰り返し単位として含む請求項1または2記載の血小板の活性化剤。
  4. 前記高分子が、前記親水性基を有するモノマーと前記窒素含有モノマーとの交互共重合体である請求項3記載の血小板の活性化剤。
  5. 前記親水性基を有するモノマーが、エクアトリアル位に置換したヒドロキシル基を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の血小板の活性化剤。
  6. 前記高分子が、5000以上の粘度平均分子量を有する請求項1~5のいずれか1項に記載の血小板の活性化剤。
  7. 前記高分子が、複数の糖残基を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の血小板の活性化剤。
  8. 前記糖類が、単糖類、二糖類、またはオリゴ糖である請求項1~7のいずれか1項に記載の血小板の活性化剤。
  9. 前記糖類が、グルコース、フルクトース、ガラクトースまたはそれらのアルコール基が酸化したウロン酸もしくはアルコール基がアミノ基で置換されたアミノ糖、スクロース、グリコサミノグリカンの切断生成物、グリコサミノグリカンの構成単糖、または、それらの重合体もしくは組み合わせである請求項8記載の血小板の活性化剤。
  10. 前記糖類が、グルコース、グルクロン酸またはN-アセチルグルコサミンである請求項9記載の血小板の活性化剤。
  11. 前記高分子またはその塩が、血小板の活性化剤中に、血小板の活性化剤の0.1w/v%以上、50w/v%以下の範囲の量で存在する請求項1~10のいずれか1項に記載の血小板の活性化剤。
  12. 前記糖類またはその塩が、血小板の活性化剤中に、血小板の活性化剤の0.1w/v%以上、10w/v%以下の範囲の量で存在する請求項1~11のいずれか1項に記載の血小板の活性化剤。
  13. 凍結保存中に血小板を活性化する、請求項1~12のいずれか1項に記載の血小板の活性化剤。
  14. 凍結保存中に生体試料を活性化する方法であって、
    前記活性化が前記凍結保存における凍結保護剤によって行われる方法。
  15. 前記凍結保存における凍結保護剤が、3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩、および、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩である請求項14記載の方法。
  16. 前記生体試料が血小板である請求項14または15記載の方法。
  17. 前記凍結保存が、前記生体試料と前記凍結保護剤とを含む試料を、冷却速度10℃/min以下の緩慢凍結法で冷却し、その後、-27℃以下で保存することで行われる請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 血小板を活性化するための、
    3000より大きく、500000以下である粘度平均分子量を有する高分子であって、親水性基を有するモノマーを繰り返し単位として含む高分子またはその塩、および、3000以下の粘度平均分子量を有する糖類またはその塩の使用。
  19. 前記高分子またはその塩、および前記糖類またはその塩が、凍結保護剤である請求項18記載の使用。
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