JP2022103086A - 樹脂成形体、電池パック - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムイオン2次電池の熱暴走に起因してリチウムイオン2次電池の安全弁や排気孔から高温・高圧のガスが噴出しても、延焼や焼損を抑制する樹脂成形体、及び、これを付設したリチウムイオン2次電池セルを備える電池パックを提供する。【解決手段】安全弁5または排気孔を有する1個以上のリチウムイオン2次電池セル1の外周に、少なくとも前記安全弁または前記排気孔を覆うように付設されるための樹脂成形体6であって、JIS H7903:2008に準じて、一方向熱流定常比較法で測定した前記樹脂成形体の熱伝導度(測定温度:50℃)が1.0W/m・K未満であり、前記樹脂成形体の前記安全弁または前記排気孔を覆う部分の厚さが、0.5mm以上、かつ10.0mm以下であり、JIS K7215に基づいて、タイプDデュロメータで測定した前記樹脂成形体の表面の硬さが、50以上かつ90以下であることを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は、耐火性の樹脂成形体、およびこれを用いた電池パックに関する。
近年、リチウムイオン2次電池(以下、「電池」ということもある)の需要が高まっている。一方、小型化とともに高エネルギー密度化が進む(エネルギー密度が300Wh/kg以上)のにともなって、利用の仕方によっては発熱によって高温になるなどの虞がある。このため、電池や電池パックにおける安全性がより重要となっている。
例えば、リチウムイオン2次電池は、過充電や過放電されたり、あるいは予期せぬ衝撃が加わって内部短絡や外部短絡が生じると熱暴走を起こす虞がある。熱暴走が起こったリチウムイオン2次電池は、ガスが発生して電池の内圧を上昇させる。このような状況が起こると、内圧上昇で外装缶が破裂するなどの可能性があるため、これら電池においては、ガス抜きのための排気孔や安全弁などが設けられている。
また、熱暴走が発生した場合には、過熱した電池などによって発火する虞があり、延焼、焼損防止のために、例えば、特許文献1では、電池の表面を防炎シートで被覆している。
しかしながら、熱暴走を起こしたリチウムイオン2次電池に設けられたガス抜きのための排気孔や安全弁からは高温・高圧のガスが噴出する。その温度は、非特許文献1の記載によれば、一瞬であるが最高温度が999℃を超えるケースもある。
このため、特許文献1の防炎シートは、この高温ガス由来の火炎を防ぐこと(すなわち防炎)を目的として設けられている。
松村英樹、松島和男 交通安全環境研究所フォーラム講演概要/交通安全環境研究所編 135-138, 2012
しかしながら、近年の電池の高エネルギー密度化により、熱暴走時に排出されるガスの圧力が、格段に大きくなった。そのガスの高圧により、特許文献1の防炎シートであっても破損する虞がある。具体的には、例えば特許文献1に記載の繊維で構成されている防炎シートの場合には、そのガスの高圧により繊維の網目が広がり、また樹脂で構成されている防炎シートの場合には、防炎シートが燃焼に至る前である樹脂の軟化状態で、高圧に耐えることが出来ない強度に低下して溶け落ちるため、いずれの場合も、防炎シートに貫通孔が生じ、その貫通孔より噴出した高温・高圧のガスが、防炎シート以外の部材(例えば、電池を収容している外装ケース)に延焼、焼損する虞がある。
また、その貫通孔から空気(酸素)が供給され、電池自体の焼損、延焼が拡大し、隣り合う正常なリチウムイオン2次電池の熱暴走の要因となる虞もある。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、リチウムイオン2次電池の熱暴走に起因してリチウムイオン2次電池の安全弁や排気孔から高温・高圧のガスが噴出しても、延焼や焼損を抑制する樹脂成形体、及び、これを付設したリチウムイオン2次電池セルを備える電池パックを提供することである。
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
(1)本発明に係る樹脂成形体は、安全弁または排気孔を有する1個以上のリチウムイオン2次電池セルの外周に、少なくとも前記安全弁または前記排気孔を覆うように付設されるための樹脂成形体であって、JIS H7903:2008に準じて、一方向熱流定常比較法で測定した前記樹脂成形体の熱伝導度(測定温度:50℃)が1.0W/m・K未満であり、前記樹脂成形体の前記安全弁または前記排気孔を覆う部分の厚さが、0.5mm以上、かつ10.0mm以下であり、JIS K7215に基づいて、タイプDデュロメータで測定した前記樹脂成形体の表面の硬さが、50以上かつ90以下である。
本発明によれば、リチウムイオン2次電池セルの安全弁または排気孔を覆うように、熱伝導度、厚さ、及び、表面硬さが所定範囲にある樹脂成形体を付設するので、リチウムイオン2次電池が熱暴走を起こしても、安全弁や排出孔から噴出する高温・高圧のガスによって、樹脂成形体に貫通孔が生じることがなく、高温・高圧のガスの噴出による延焼、焼損を抑制することができる。
(2)本発明に係る樹脂成形体の他の実施態様では、前記安全弁または前記排気孔を覆う部分の前記樹脂成形体の厚さが1.0mm以上である。
(3)本発明に係る樹脂成形体の他の実施態様では、前記樹脂成形体は、前記熱可塑性樹脂の100質量部に対して、炭素繊維を2質量部以上かつ70質量部以下、シランカップリング剤を0.3質量部以上かつ7.0質量部以下の割合で含有する樹脂組成物を含む。
(4)本発明に係る樹脂成形体の他の実施態様では、前記樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂の100質量部に対して、更にポリテトラフルオロエチレンを50質量部以下の範囲で含有する。
(5)本発明に係る樹脂成形体の他の実施態様では、前記樹脂成形体は、前記熱可塑性樹脂の100質量部に対して、ガラス繊維を9質量部以上かつ80質量部以下、シランカップリング剤を0.3質量部以上かつ7.0質量部以下の割合で含有する。
(6)本発明に係る樹脂成形体の他の実施態様では、前記樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂の100質量部に対して、更に炭素繊維を2質量部以上かつ70質量部以下の範囲で含有する。
(7)本発明に係る樹脂成形体の他の実施態様では、前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタラート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネートのいずれか一種または二種以上の混合物である。
(8)本発明に係る電池パックは、上記(1)から(7)のいずれかの樹脂成形体が外周に付設された1個以上のリチウムイオン2次電池セルを備える。
(9)本発明に係る他の態様の電池パックは、安全弁または排気孔を一端面に備えた1個以上のリチウムイオン2次電池セルと、前記リチウムイオン2次電池セルの前記一端面に沿って配置され前記安全弁または排気孔を覆う樹脂成形体とを有し、前記樹脂成形体が上記(1)~(7)のいずれかに記載された樹脂成形体である。
以上のように本発明によれば、リチウムイオン2次電池セルの安全弁または排気孔を覆うように、樹脂成形体を付設するので、リチウムイオン2次電池が熱暴走を起こしても、安全弁や排出孔から噴出する高温・高圧のガスによって、樹脂成形体に貫通孔が生じることがなく、高温・高圧のガスの噴出による延焼、焼損を抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂成形体が付設されるリチウムイオン2次電池セルの斜視図である。
このリチウムイオン2次電池セル1は、例えば角型の電池セルであり、電池容器である外装缶2の一端面(図1では上面)に、正極端子3及び負極端子4が設けられると共に、その間に安全弁5が設けられている。
安全弁5は、リチウムイオン2次電池セル1が熱暴走して内圧が上昇した場合に作動して、高温・高圧のガスを噴出して外装缶2が破裂するのを防止する。
リチウムイオン2次電池セル1の熱暴走が発生した場合には、過熱によって、発火する虞があり、安全弁5から噴出する高温・高圧ガスが一気に広範囲に広がると、延焼、焼損を防止するのが困難となる。
そこで、この実施形態では、図2、図3、及び、図3のA-A線断面図である図4に示されるように、可撓性を有するシート状の樹脂成形体6を、直接または絶縁シート7を介して(挟んで)リチウムイオン2次電池セル1の外周に、少なくとも安全弁5を覆うように付設している。
絶縁シート7がある場合、絶縁シート7の安全弁5を覆う部分は、安全弁5に当接していることが好ましいが、当接していなくてもよい。絶縁シート7がない場合、樹脂成形体6の安全弁5を覆う部分は、安全弁5に当接していることが好ましいが、当接していなくてもよい。
この実施形態では、絶縁シート7及びシート状の樹脂成形体6は、いずれも矩形の略同じサイズであって、直方体のリチウムイオン2次電池セル1の安全弁5を含む上面を覆うと共に、正面及び背面(図4の左右の面)の上部を覆うように付設される。ただし、樹脂成形体6と絶縁シート7のサイズは同じでなくてもよく、樹脂成形体6が絶縁シート7より大きくても、絶縁シート7が樹脂成形体6より大きくてもよい。両者は、あらかじめ接合されていてもよい。
リチウムイオン2次電池セル1の正極端子3及び負極端子4にそれぞれ接続される図示しないリード線は、絶縁シート7及び樹脂成形体6によって覆われていない側面を利用して引出される。
絶縁シート7及びシート状の樹脂成形体6が付設されたリチウムイオン2次電池セル1は、図示しない外装ケースに収容される。この外装ケース内では、リチウムイオン2次電池セル1の正面及び背面の上部を覆う樹脂成形体6が、外装ケースの内壁面によって押圧されることによって樹脂成形体6が保持される。
この実施形態の樹脂成形体6は、後述の樹脂組成物を成形硬化したものであって、この樹脂成形体6は、JIS H7903:2008に準じて、一方向熱流定常比較法(SCHF)で測定した熱伝導度(測定温度:50℃)が、1.0W/m・K未満である。
この熱伝導度が、1.0W/m・K以上であると、リチウムイオン2次電池が熱暴走を起こした場合、安全弁や排出孔から噴出する高温・高圧のガスによって、樹脂成形体6を介して樹脂成形体6の外周の部材、例えば、シート状の樹脂成形体6によって覆われたリチウムイオン2次電池セル1を収容した外装ケースに熱が伝導し、外装ケースを溶融変形させてしまう懸念がある。
この熱伝導度は、低い程好ましいのであるが、その下限は、例えば、0.1W/m・K、更に望ましくは0.01W/m・Kである。
この実施形態では、樹脂成形体6は、均一な厚さのシート状であり、このシート状の樹脂成形体6の厚さが、0.5mm以上かつ10.0mm以下であればよく、0.7mm以上かつ5mm以下であるのが好ましく、1.0mm以上かつ2mm以下がより好ましい。樹脂成形体6の厚さは均一であることが望ましいが、樹脂成形体6の安全弁5を覆う部分の厚さが上記範囲に入り、他の部分の厚さが上記範囲に入らないものであってもよい。
この厚さが、0.5mm未満であると、安全弁5より噴出する高温・高圧のガスで樹脂成形体6に貫通孔が生じ、貫通孔から高温・高圧のガスが噴出し、絶縁シート7及びシート状の樹脂成形体6によって覆われたリチウムイオン2次電池セル1より外の部材に延焼、焼損させてしまう懸念がある。また、貫通孔が、空気(酸素)の供給口となり、絶縁シート7及びシート状の樹脂成形体6によって覆われたリチウムイオン2次電池セル1自体の延焼・焼損を拡大させてしまう懸念がある。
シート状の樹脂成形体6の厚さが10.0mmを超えると、高温・高圧のガスは遮断できる、すなわち、貫通孔は生じないが、樹脂成形体6が大型化し、成形加工が煩雑になる。また、リチウムイオン2次電池セル1を収容する既存の外装ケースに収容するのが困難となる。
樹脂成形体6の表面の硬さは、JIS K7215に基づいて、タイプDデュロメータで、50以上かつ90以下であるのが好ましい。この表面の硬さが、50未満であると安全弁5より噴出する高温・高圧のガス(特に、圧力(噴出力)の影響)で樹脂成形体6が破損したり、貫通孔が生じる懸念がある。この表面の硬さが90を超えると、シート状の樹脂成形体6は脆くなる。そのため、樹脂成形体6に曲率を与えてリチウムイオン2次電池セル1に付設する場合や、安全弁5より噴出する高温・高圧のガスなどから樹脂成形体6に不所望な衝撃が加わった場合に、樹脂成形体6は破損してしまう懸念がある。
樹脂成形体6は、後述の樹脂組成物に限らず、硬化後に本発明に係る樹脂成形体となる樹脂であれば、その他の樹脂組成物を成形硬化したものでもよい。また、樹脂成形体6は、本発明に係る樹脂成形体ではないその他の樹脂成形体のように、高温・高圧のガスの熱で溶け落ちたり、貫通孔が生じたりすることがないので好適である。
樹脂成形体6の形状としては、特に限定されることはないが、少なくとも安全弁5、排気孔が付設された面(上面)を覆うことができれば、矩形、円形等いかなる形状であってもよい。
この実施形態の樹脂成形体6は、熱可塑性樹脂に対して、炭素繊維とシランカップリング剤とを混合した樹脂組成物を含んでいる。この樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、炭素繊維を2質量部以上かつ70質量部以下、シランカップリング剤を0.3質量部以上かつ7.0質量部以下の割合で含有している。また、この樹脂組成物は、更にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を熱可塑性樹脂の100質量部に対して、3質量部以上50質量部以下の範囲で含有していてもよい。なお、PTFEを含有することにより、樹脂組成物の耐薬品性、防汚性、摺動性等を向上させることができる。
また、別な実施形態の樹脂成形体6は、熱可塑性樹脂に対して、ガラス繊維とシランカップリング剤とを混合した樹脂組成物を含んでいる。この樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、ガラス繊維を9質量部以上かつ80質量部以下、シランカップリング剤を0.3質量部以上かつ7.0質量部以下の割合で含有している。また、この樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、更に炭素繊維を2質量部以上70質量部以下の範囲で含有していてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド、ポリブチレンテレフタラート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネートのいずれか一種または二種以上の混合物が挙げられる。
樹脂組成物に好適な熱可塑性樹脂であるPPSとしては、酸素存在下で熱処理を行い溶融粘度を高めた酸化架橋型PPS、重合系列中に塩化リチウム、有機酸塩、水などを添加して直鎖状のまま分子量を高めた直鎖型PPSのいずれも用いることができる。
樹脂組成物に好適な炭素繊維としては、アクリル繊維を使ったPAN(polyacrylonitrile)系炭素繊維、ピッチを使ったピッチ系炭素繊維のいずれも用いることができる。本実施形態では、炭素繊維としてピッチ系炭素繊維を用いることもできる。
ピッチ系炭素繊維としては、等方性ピッチ系炭素繊維と、メソフェーズピッチ系炭素繊維があるが、いずれのピッチ系炭素繊維も用いることができる。
樹脂組成物に用いる炭素繊維の形状例としては、単繊維の繊維径が1~20μm、平均繊維長が0.01~10mm、アスペクト比が1.5~1300程度であってもよい。
ピッチ系炭素繊維としては、等方性ピッチ系炭素繊維と、メソフェーズピッチ系炭素繊維があるが、いずれのピッチ系炭素繊維も用いることができる。
樹脂組成物に用いる炭素繊維の形状例としては、単繊維の繊維径が1~20μm、平均繊維長が0.01~10mm、アスペクト比が1.5~1300程度であってもよい。
樹脂組成物に含まれるシランカップリング剤は、耐変形性を付与する成分であり、燃焼時の樹脂組成物の溶融落下を抑制し、難燃性をより向上させることができる。
樹脂組成物に含まれるシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましく挙げられる。
樹脂組成物に含まれるシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましく挙げられる。
樹脂組成物に含まれるPTFEは、粉末状態のものを用いることが好ましい。例えば、平均粒子径が10~30μm、BET法による比表面積が0.5~5m2/gのPTFE粉末を用いることができる。
樹脂組成物には、更に着色剤としてカーボンブラック、離型剤としてポリオレフィンワックスやステアリルアルコールなど、および金型腐食防止剤としてハイドロタルサイトや炭酸亜鉛などが含まれていることも好ましい。
樹脂成形体6の作製は、公知の製造方法を適用すればよい。
例えば、二軸押出機に、PPS、炭素繊維、シランカップリング剤、PTFE、カーボンブラック、ポリオレフィンワックス、金型腐食防止剤、離型剤を投入し、例えば、混練加工温度を270℃以上かつ300℃以下、スクリュー回転数を100rpm以上かつ300rpm以下に管理しつつ、混練加工時間を30分以上かつ60分以下として造粒することで、ペレット状の樹脂組成物を形成する。
例えば、二軸押出機に、PPS、炭素繊維、シランカップリング剤、PTFE、カーボンブラック、ポリオレフィンワックス、金型腐食防止剤、離型剤を投入し、例えば、混練加工温度を270℃以上かつ300℃以下、スクリュー回転数を100rpm以上かつ300rpm以下に管理しつつ、混練加工時間を30分以上かつ60分以下として造粒することで、ペレット状の樹脂組成物を形成する。
そして、得られた樹脂組成物を押出機による押出し成形やプレス機によるプレス成形等の公知の成形方法で所望する厚さのシート状に成形することにより、樹脂成形体6を作製できる。
以上のように本実施形態では、リチウムイオン2次電池セル1の安全弁5を覆うように、樹脂成形体6を付設するので、リチウムイオン2次電池が熱暴走を起こしても、安全弁5から噴出する高温・高圧のガスによって、樹脂成形体6に貫通孔が生じることがなく、高温・高圧のガスの噴出による延焼、焼損を抑制することができる。
上記実施形態では、リチウムイオン2次電池セル1の上面を覆うと共に、正面及び背面の上部を覆うように付設された絶縁シート7及び樹脂成形体6は、上記のように、外装ケースに収容される。そのため、リチウムイオン2次電池セル1の正面及び背面を覆う樹脂成形体6が、外装ケースの内壁面に押圧されることによって樹脂成形体6が保持される。
これに対して、本発明の他の実施形態では、上記図3に対応する図5に示されるように、粘着テープ8によって、樹脂成形体6を、リチウムイオン2次電池セル1の外装缶2に固定するようにしてもよい。この図5では、リチウムイオン2次電池セル1を覆うシート状の樹脂成形体6の正面側及び背面側の各端部と、リチウムイオン2次電池セル1の外装缶2とに跨るように、粘着テープ8を巻回させて貼着することによって、樹脂成形体6をリチウムイオン2次電池セル1に固定している。
これによって、リチウムイオン2次電池セル1を覆う絶縁シート7及び樹脂成形体6の位置ずれを抑制することができる。
また、絶縁シート7及び樹脂成形体6を、リチウムイオン2次電池セル1に付設する際に、リチウムイオン2次電池セル1の上面と絶縁シート7との隙間が小さくなるよう張力を加えながら、粘着テープ8で固定することができる。
これによって、絶縁シート7及び樹脂成形体6を、リチウムイオン2次電池セル1の上面の安全弁5に密着させることができ、リチウムイオン2次電池が熱暴走を起こして、安全弁5から噴出する高温・高圧のガスが一気に広がるのを効果的に抑制することができる。
粘着テープ8としては、ポリイミドフィルム上に、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を塗布したものが適用できるが、中でもポリイミドフィルムにシリコーン系粘着剤が塗布された粘着テープが耐熱性に優れているので好適である。
図6は、本発明の他の実施形態の図3に対応する斜視図であり、図7は、図6のB-B線断面図である。
この実施形態では、リチウムイオン2次電池セル1の外周面の全面に、熱伝導性に優れたパテ状組成物9を被覆している。
絶縁シート7及びシート状の樹脂成形体6を、パテ状組成物9を介して、リチウムイオン2次電池セル1の上面、正面の上部、及び、背面の上部を覆うように付設している。
このようにリチウムイオン2次電池セル1の外周面を、熱伝導性に優れたパテ状組成物9で被覆することによって、リチウムイオン2次電池セル1が熱暴走して発熱しても、その熱を効率よくリチウムイオン2次電池セル1外に伝導させて放熱するとともに、全体の熱分布を均一化することができる。
パテ状組成物9は、被覆される部材であるリチウムイオン2次電池セル1に対し、その表面形状に追随するように被覆することができるので、熱源であるリチウムイオン2次電池セル1との接触面積を大きく取ることができ、放熱性を格段に向上させることができる。
被覆するパテ状組成物9の厚さは、2mm以上かつ5mm以下であるのが好ましい。
上記の各実施形態では、本発明の樹脂成形体を、1個のリチウムイオン2次電池セル1に適用したが、本発明の樹脂成形体を複数個のリチウムイオン2次電池セル1に適用できるのは、勿論である。
例えば、上記図2、図3にそれぞれ対応する図8、図9に示されるように、複数個、この例では4個のリチウムイオン2次電池セル1を、図示しないバスバーで接続して構成された組電池に対して、各リチウムイオン2次電池セル1の各上面を覆うと共に、両端に位置するリチウムイオン2次電池セル1の正面上部及び背面上部をそれぞれ覆うように、絶縁シート7及びシート状の樹脂成形体6を付設してもよい。
このように絶縁シート7及び樹脂成形体6が付設された4個のリチウムイオン2次電池セル1を、例えば図10に示されるように、ガス入口10aとガス出口10bを有する樹脂製の外装ケース10に収容して、電池パック11が構成される。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、樹脂成形体は、リチウムイオン2次電池セルの上面を覆うと共に、正面及び背面の上部を覆うように構成したが、リチウムイオン2次電池セルのリード線部分を除いて略全面を覆うように構成してもよい。この場合、外装ケースを省略してもよい。
上記実施形態では、樹脂成形体は、リチウムイオン2次電池セルの上面を覆うと共に、正面及び背面の上部を覆うように構成したが、リチウムイオン2次電池セルのリード線部分を除いて略全面を覆うように構成してもよい。この場合、外装ケースを省略してもよい。
上記各実施形態では、樹脂成形体は、シート状であったが、シート状に限らず、リチウムイオン2次電池セルの少なくとも安全弁を覆うことができる形状であればよく、テープ状であってもよく、あるいは、リチウムイオン2次電池セルの上部に被せることができるようなキャップ状(袋状、コップ状)に成形されたものであってもよい。
キャップ状である場合の樹脂成形体6は、リチウムイオン2次電池セルの全体を覆うものであってもよいが、安全弁または排気孔が配置された上端の一部のみを覆うものであってもよい。キャップ状の樹脂成形体6が、リチウムイオン2次電池セルの上端の一部のみを覆うものである場合、リチウムイオン2次電池セルの側面を覆う部分の上端(上面)からの長さは、2mm以上かつ300mm以下、好ましくは10mm以上かつ250mm以下、さらに好ましくは15mm以上かつ150mm以下程度とすること好ましい。このような形状の樹脂成形体6であれば、リチウムイオン2次電池セルに対し、十分に密着させることができ、取り付けを容易に行うことができる。
樹脂成形体がテープ状である場合には、テープ状の樹脂成形体を、安全弁を覆うようにリチウムイオン2次電池セルに巻回し、テープ状の樹脂成形体の端部を、上記の粘着テープで貼着して固定してもよい。
また、テープ状の樹脂成形体を、リチウムイオン2次電池セルの外周面の略全面を覆うように、例えば、半ピッチ重なるように螺旋状に巻回して、その端部を粘着テープで固定してもよい。
樹脂成形体の片面の少なくとも一部、例えば、片面の周縁部に粘着層を形成し、樹脂成形体を、リチウムイオン2次電池セルに貼着固定してもよい。
上記各実施形態では、樹脂成形体は、絶縁シートを介してリチウムイオン2次電池セルの外周に付設したが、本発明の他の実施形態として、絶縁シートは省略してもよい。
上記各実施形態は、適宜組合せてもよく、例えば、図6のパテ状組成物9を介してリチウムイオン2次電池セル1を覆うシート状の樹脂成形体6を、上記図5に示される粘着テープ8によって、パテ状組成物9に貼着して固定してもよい。
また、図8~図10に示される複数個のリチウムイオン2次電池セル1の外周面の少なくとも一部を、図6,図7に示されるパテ状組成物9で被覆してもよい。この場合、隣接する両リチウムイオン2次電池セル1,1間に、パテ状組成物9を被覆してもよいし、被覆しなくてもよい。
上記各実施形態では、樹脂成形体は、リチウムイオン2次電池セルの安全弁を覆うように付設したが、安全弁に代えて、排気孔を覆うように付設してもよい。リチウムイオン2次電池セルが安全弁と排気孔の両方を備えている場合、樹脂成形体は、安全弁と排気孔の両方を覆うように付設されてもよい。
上記各実施形態では、角型のリチウムイオン2次電池セルに適用して説明したが、本発明は、円筒型のリチウムイオン2次電池セルにも同様に適用できるのは勿論である。また、上記各実施形態の樹脂成形体は、エネルギー密度が大きいリチウムイオン2次電池セルに好適であり、具体的にはエネルギー密度が300Wh/kg以上、より好ましくは、400Wh/kg以上のリチウムイオン2次電池セルに好適である。
以下、実施例として樹脂成形体を製造し、その物性として硬度(表面の硬さ)、および熱伝導度を測定した。
1.樹脂組成物の製造に使用した原料
(1)ポリフェニレンサルファイド(PPS-1):
トレリナ(登録商標)M2588(東レ株式会社製)
(2)ポリフェニレンサルファイド(PPS-2):
SE-730(DIC株式会社製)
(3)ポリフェニレンサルファイド(PPS-3):
トレリナ(登録商標)L2840(東レ株式会社製)
(4)ポリブチレンテレフタラート(PBT-1):
5710N1TX(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)
(5)ポリブチレンテレフタラート(PBT-2):
1494X02(東レ株式会社製)
(6)ポリアミド6(PA6):
CM1014 V0(東レ株式会社製)
(7)変性ポリフェニレンエーテル(mPPE-1):
240Z(旭化成株式会社製)
(8)変性ポリフェニレンエーテル(mPPE-2):
644Z(旭化成株式会社製)
(9)変性ポリフェニレンエーテル(mPPE-3):
GN30(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)
(10)ポリカーボネート(PC-1):
GV-3430R/QG0717VX(帝人株式会社製)
(11)ポリカーボネート(PC-2):
MN4800Z/QM19047Z(帝人株式会社製)
(12)炭素繊維:
ドナカーボ・ミルド(登録商標)S-242(大阪ガスケミカル株式会社製)、ピッチ系炭素繊維、平均繊維長0.36mm、繊維径13μm、アスペクト比28
(13)ガラス繊維
チョップドストランドCS-3J-256(日東紡績株式会社製)、カット長3mm、繊維径11μm、シラン系処理済み、異形比1:1、断面形状:丸形
(14)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE):
フルオン(登録商標)L169E(AGC株式会社製)、粉末状、平均粒子径18μm、BET比表面積2m2/g
(15)シランカップリング剤(耐変形性付与剤):
KBE-903(信越化学工業株式会社製)、引火点98℃、最小被覆面積352m2/g
(16)カーボンブラック(着色剤):
BP880(キャボット株式会社製)
(17)ポリオレフィンワックス(離型剤):
LICOWAX PE520(クラリアントケミカルズ株式会社製)、滴点117℃~123℃、溶融粘度650mPa・s(140℃)
(18)炭酸亜鉛(金型腐食防止剤):
セドアエン(商品名)、ZnCO3(生同化学工業株式会社製)
1.樹脂組成物の製造に使用した原料
(1)ポリフェニレンサルファイド(PPS-1):
トレリナ(登録商標)M2588(東レ株式会社製)
(2)ポリフェニレンサルファイド(PPS-2):
SE-730(DIC株式会社製)
(3)ポリフェニレンサルファイド(PPS-3):
トレリナ(登録商標)L2840(東レ株式会社製)
(4)ポリブチレンテレフタラート(PBT-1):
5710N1TX(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)
(5)ポリブチレンテレフタラート(PBT-2):
1494X02(東レ株式会社製)
(6)ポリアミド6(PA6):
CM1014 V0(東レ株式会社製)
(7)変性ポリフェニレンエーテル(mPPE-1):
240Z(旭化成株式会社製)
(8)変性ポリフェニレンエーテル(mPPE-2):
644Z(旭化成株式会社製)
(9)変性ポリフェニレンエーテル(mPPE-3):
GN30(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製)
(10)ポリカーボネート(PC-1):
GV-3430R/QG0717VX(帝人株式会社製)
(11)ポリカーボネート(PC-2):
MN4800Z/QM19047Z(帝人株式会社製)
(12)炭素繊維:
ドナカーボ・ミルド(登録商標)S-242(大阪ガスケミカル株式会社製)、ピッチ系炭素繊維、平均繊維長0.36mm、繊維径13μm、アスペクト比28
(13)ガラス繊維
チョップドストランドCS-3J-256(日東紡績株式会社製)、カット長3mm、繊維径11μm、シラン系処理済み、異形比1:1、断面形状:丸形
(14)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE):
フルオン(登録商標)L169E(AGC株式会社製)、粉末状、平均粒子径18μm、BET比表面積2m2/g
(15)シランカップリング剤(耐変形性付与剤):
KBE-903(信越化学工業株式会社製)、引火点98℃、最小被覆面積352m2/g
(16)カーボンブラック(着色剤):
BP880(キャボット株式会社製)
(17)ポリオレフィンワックス(離型剤):
LICOWAX PE520(クラリアントケミカルズ株式会社製)、滴点117℃~123℃、溶融粘度650mPa・s(140℃)
(18)炭酸亜鉛(金型腐食防止剤):
セドアエン(商品名)、ZnCO3(生同化学工業株式会社製)
2.樹脂組成物の調製、造粒
熱可塑性樹脂の種類、熱可塑性樹脂100質量割合(質量部)に対するPTFE、炭素繊維、ガラス繊維、シランカップリング剤、離型剤、着色料および金型腐食防止剤の混合量を変えた本発明例1~13の各樹脂組成物を形成した。本発明例1~13の各樹脂組成物の組成を表1に示す。表1に示す各成分を秤取ってドライブレンドし、その後二軸押出機を用いて造粒することにより、本発明例1~13の各樹脂組成物を造粒した。
熱可塑性樹脂の種類、熱可塑性樹脂100質量割合(質量部)に対するPTFE、炭素繊維、ガラス繊維、シランカップリング剤、離型剤、着色料および金型腐食防止剤の混合量を変えた本発明例1~13の各樹脂組成物を形成した。本発明例1~13の各樹脂組成物の組成を表1に示す。表1に示す各成分を秤取ってドライブレンドし、その後二軸押出機を用いて造粒することにより、本発明例1~13の各樹脂組成物を造粒した。
3.樹脂成形体の成形
本発明例1~13の樹脂組成物(造粒物)を用いて、射出成形を行い、表1に記載の厚さのシート状の樹脂成形体を作製した。
成形条件:
シリンダー温度270~310℃
射出ヘッド温度320℃
金型温度140℃
本発明例1~13の樹脂組成物(造粒物)を用いて、射出成形を行い、表1に記載の厚さのシート状の樹脂成形体を作製した。
成形条件:
シリンダー温度270~310℃
射出ヘッド温度320℃
金型温度140℃
4.硬度、熱伝導度の測定
得られた本発明例1~13の樹脂成形体を用いて、硬度および熱伝導度をそれぞれ測定した。
(1)硬度の測定:
JIS K7215に従って硬度を測定した。
(2)熱伝導度の測定:
JIS H7903:2008に準じて、一方向熱流定常比較法によって、測定温度50℃で熱伝導度を測定した。
(3)難燃性評価:
リチウムイオン2次電池の熱暴走に起因してリチウムイオン2次電池の安全弁や排気孔から高温・高圧のガスが噴出することを模擬した難燃性評価試験により、本発明例1~13の樹脂成形体の難燃性を評価した。試験方法は、5580Wのバーナーを垂直下向きに固定し、100mm×120mm×2mmtの樹脂シートを用意し、樹脂シートをバーナーの火口から200mmの位置に床と水平に配置した。
バーナーに点火し、樹脂シートが垂直方向に5mm以上変形する前に炎上したものを難燃性「不可」として、5mm変形した後も炎上せずに変形量の測定が可能であったものを「可」とした。
この測定結果を表1に示す。
得られた本発明例1~13の樹脂成形体を用いて、硬度および熱伝導度をそれぞれ測定した。
(1)硬度の測定:
JIS K7215に従って硬度を測定した。
(2)熱伝導度の測定:
JIS H7903:2008に準じて、一方向熱流定常比較法によって、測定温度50℃で熱伝導度を測定した。
(3)難燃性評価:
リチウムイオン2次電池の熱暴走に起因してリチウムイオン2次電池の安全弁や排気孔から高温・高圧のガスが噴出することを模擬した難燃性評価試験により、本発明例1~13の樹脂成形体の難燃性を評価した。試験方法は、5580Wのバーナーを垂直下向きに固定し、100mm×120mm×2mmtの樹脂シートを用意し、樹脂シートをバーナーの火口から200mmの位置に床と水平に配置した。
バーナーに点火し、樹脂シートが垂直方向に5mm以上変形する前に炎上したものを難燃性「不可」として、5mm変形した後も炎上せずに変形量の測定が可能であったものを「可」とした。
この測定結果を表1に示す。
表1の本発明例1~4に示す結果によれば、ポリフェニレンサルファイド(熱可塑性樹脂)の100質量部に対して、炭素繊維を7.69質量部以上65.00質量部以下、シランカップリング剤を1.39質量部以上4.57質量部以下の割合で含有する樹脂組成物を用いれば、硬度が62~88、熱伝導度が0.41~0.82(W/mK)といった、優れた強度特性と、低い熱伝導度を有する樹脂成形体を得ることができる。
また、表1の本発明例5~8に示す結果によれば、本発明例1のポリフェニレンサルファイドを、ポリアミド6、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタラートに変更し、変更したポリアミド6、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタラートの100質量部のそれぞれに対して、シランカップリング剤を0.77質量部に変更した樹脂組成物を用いれば、硬度が65~69、熱伝導度が0.36~0.53(W/mK)といった、優れた強度特性と、低い熱伝導度を有する樹脂成形体を得ることができる。
また、表1の本発明例9に示す結果によれば、ポリフェニレンサルファイドの100質量部に対して、PTFE46.15質量部、炭素繊維を7.69質量部、シランカップリング剤を0.77質量部の割合で含有する樹脂組成物を用いれば、硬度が67、熱伝導度が0.44(W/mK)といった、優れた強度特性と、低い熱伝導度を有する樹脂成形体を得ることができる。
また、表1の本発明例10~13に示す結果によれば、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、炭素繊維を0質量部以上かつ13.89質量部以下、ガラス繊維を9.92質量部以上かつ79.37質量部以下、シランカップリング剤を0.76質量部以上かつ1.39質量部以下の割合で含有する樹脂組成物を用いれば、硬度が66~76、熱伝導度が0.41~0.56(W/mK)といった、優れた強度特性と、低い熱伝導度を有する樹脂成形体を得ることができる。
さらに、これらの本発明例1~13の各樹脂成形体は難燃性評価試験においても可であった。従って、各樹脂成形体は、安全弁または排気孔を有する1個以上のリチウムイオン2次電池セルの外周に、少なくとも安全弁または排気孔を覆うように付設された際に十分な難燃性を有する。
なお、上述した実施例における本発明例10~13は、それぞれ金型腐食防止剤、離型剤、および着色剤を含んでいるが、本発明の樹脂成形体を構成する樹脂組成物は、これら金型腐食防止剤、離型剤、着色剤は必須な成分ではない。これら金型腐食防止剤、離型剤、着色剤を含まなくても、優れた強度特性と、低い熱伝導度を有する樹脂成形体を得ることができる。
また、上述した実施例の本発明例10~13における金型腐食防止剤、離型剤、および着色剤のそれぞれの含有量は一例であり、金型腐食防止剤、離型剤、着色剤のそれぞれの含有量は、必要に応じて任意の量に増減することができ、含有量が限定されるものではない。
リチウムイオン2次電池の熱暴走に起因してリチウムイオン2次電池の安全弁や排気孔から高温・高圧のガスが噴出することを模擬した難燃性評価を、表2に記載した本発明例20~28の各樹脂成形体に対しても実施した。
これら本発明例20~28の各樹脂成形体はJIS H7903:2008に準じて、一方向熱流定常比較法で測定した熱伝導度(測定温度:50℃)が、1.0W/m・K未満であり、厚さが、0.5mm以上かつ10.0mm以下であり、JIS K7215に基づいて、タイプDデュロメータで測定した表面の硬さが、50以上かつ90以下であるので、前述した本発明例1~13と同様の難燃性評価の結果が可であった。
1…リチウムイオン2次電池セル
2…外装缶
3…正極端子
4…負極端子
5…安全弁
6…樹脂成形体
7…絶縁シート
8…粘着テープ
9…パテ状組成物
10…外装ケース
11…電池パック
2…外装缶
3…正極端子
4…負極端子
5…安全弁
6…樹脂成形体
7…絶縁シート
8…粘着テープ
9…パテ状組成物
10…外装ケース
11…電池パック
Claims (9)
- 安全弁または排気孔を有する1個以上のリチウムイオン2次電池セルの外周に、少なくとも前記安全弁または前記排気孔を覆うように付設されるための樹脂成形体であって、
JIS H7903:2008に準じて、一方向熱流定常比較法で測定した前記樹脂成形体の熱伝導度(測定温度:50℃)が1.0W/m・K未満であり、
前記樹脂成形体の前記安全弁または前記排気孔を覆う部分の厚さが、0.5mm以上、かつ10.0mm以下であり、
JIS K7215に基づいて、タイプDデュロメータで測定した前記樹脂成形体の表面の硬さが、50以上かつ90以下であることを特徴とする樹脂成形体。 - 前記安全弁または前記排気孔を覆う部分の前記樹脂成形体の厚さが1.0mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体は、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、炭素繊維を2質量部以上かつ70質量部以下、シランカップリング剤を0.3質量部以上かつ7.0質量部以下の割合で含有する樹脂組成物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、更にポリテトラフルオロエチレンを50質量部以下の範囲で含有することを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体は、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、ガラス繊維を9質量部以上かつ80質量部以下、シランカップリング剤を0.3質量部以上かつ7.0質量部以下の割合で含有する樹脂組成物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の100質量部に対して、更に炭素繊維を2質量部以上かつ70質量部以下の範囲で含有することを特徴とする請求項5に記載の樹脂成形体。
- 前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリブチレンテレフタラート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネートのいずれか一種または二種以上の混合物であることを特徴とする請求項3から6のいずれか一項に記載の樹脂成形体。
- 請求項1から7のいずれか一項に記載された樹脂成形体が外周に付設された1個以上のリチウムイオン2次電池セルを備えることを特徴とする電池パック。
- 安全弁または排気孔を一端面に備えた1個以上のリチウムイオン2次電池セルと、前記リチウムイオン2次電池セルの前記一端面に沿って配置され前記安全弁または排気孔を覆う樹脂成形体とを有し、前記樹脂成形体が請求項1~7のいずれか一項に記載された樹脂成形体であることを特徴とする電池パック。
Priority Applications (5)
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---|---|---|---|
US18/268,985 US20240047819A1 (en) | 2020-12-25 | 2021-12-16 | Resin molded body, battery pack |
CN202180086819.2A CN116648482A (zh) | 2020-12-25 | 2021-12-16 | 树脂成型体及电池组 |
EP21910578.0A EP4269493A1 (en) | 2020-12-25 | 2021-12-16 | Resin molded body, battery pack |
PCT/JP2021/046473 WO2022138430A1 (ja) | 2020-12-25 | 2021-12-16 | 樹脂成形体、電池パック |
TW110148131A TW202234750A (zh) | 2020-12-25 | 2021-12-22 | 樹脂成形體、電池組 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP2020216366 | 2020-12-25 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2022103086A true JP2022103086A (ja) | 2022-07-07 |
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JP2021201864A Pending JP2022103086A (ja) | 2020-12-25 | 2021-12-13 | 樹脂成形体、電池パック |
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2021
- 2021-12-13 JP JP2021201864A patent/JP2022103086A/ja active Pending
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