JP2022102774A - 椅子及びその背もたれ - Google Patents
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Abstract
【課題】背板を柔軟なエラストマー製として高いクッション性・フィット性を確保しつつ、保形性を保持して身体の安定性も確保する。【解決手段】背板2は多数の抜き穴21を備えて柔軟性に富んでおり、使用者の動きに追従して変形する。背板2の後面上端部には上補強部材13が固着されて、背板2の後面下端部には下補強部材16が固着されている。上補強部材13はバックフレーム3のアッパサポート11に連結されて、下補強部材16はバックフレーム3のロアサポート12に固定されている。アッパサポート11は、弾性に抗して水平旋回可能である。背板2は全体の形態を保形しつつ、使用者の動きに追従して変形する。従って、身体の安定性を確保しつつ高いフィット性・クッション性を確保できる。【選択図】図6
Description
本願発明は、椅子及びその背もたれに関するものである。
椅子は様々な形態があり、オフィスで多用されている回転椅子は、キャスタを備えた脚装置、座、背もたれを主要要素としており、オプション品として肘掛け装置やヘッドレスト、ハンガーなどが取付けられている。
また、回転椅子では、背もたれが後傾可能なリクライニング機能を備えていることが多い。このようなリクライニング機能により、着座者は身体をリラックスさせて長時間の使用を継続することができる。
椅子において快適性を保持する重要な要素は、背もたれのフィット性やクッション性、当たりの柔らかさであり、そこで、背もたれの前面をクッション材で構成したり、メッシュ材で身体を支持したりしている。メッシュ材は、通気性に優れているため蒸れを防止できる利点もある。
さて、着座者が背もたれにもたれる場合、上半身の中心線を背もたれの中心線に揃えているとは限らず、上半身を右又は左に倒した状態でもたれたり、背もたれにもたれつつ身体を捩じって後ろを向いたりすることがあるが、これらの場合、着座者のもたれ掛かりによる押圧力(体圧)は、背もたれの左側部又は右側部に偏って強く作用する。
そして、椅子の背もたれは、基本的には、着座者の押圧力によっては殆ど変形しない剛性を有していることが多いが、背もたれが剛性構造であると、着座者の身体の一部が背もたれの一部に強く当たることになって、快適性が損なわれてしまう。
そこで、背もたれが着座者の押圧力によって曲がり変形(捩じれ変形)することを許容する椅子が提案されており、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1は本願出願人の先願に係るもので、背支柱の上端に、左右長手のアッパーサポートがばねに抗して水平旋回するように取付けられて、アッパーサポートの左右両端に背もたれの左右両端部が連結されており、使用者の荷重が左右いずれかに偏って作用すると、アッパーサポートが水平旋回することによって背もたれが捩れ変形する。
特許文献1では、背もたれは着座者の押圧力によって曲がり変形(捩じれ変形)するため、上半身を右又は左にずらして背もたれにもたれ掛かった場合に、背もたれが追従して変形する。従って、着座者の身体の動きを許容できると共に、身体に対する背もたれの当たりを柔らかくすることができる。その結果、快適性を向上できると云える。
ここで、背もたれのクッション性・フィット性を高めるためには、背板をエラストマーのような軟質材で構成することが有益であるが、エラストマーのような軟質材は腰が弱いため、特許文献1の背もたれを単にエラストマーに置き換えただけでは、背もたれの保形性を担保できないおそれがある。
本願発明はこのような現状に鑑み成されたもので、特許文献1を好適に展開せんとするものである。
本願発明は多くの構成を備えており、典型例を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は、
「着座者の押圧力で撓み変形する軟質材製の背板と、
前記背板が取り付く背フレームと、
を備え、
前記背板は、相対向した上辺部と下辺部である上下2辺部と、相対向した左側辺部と右側辺部である左右2辺部と、を含み、
前記上下2辺部および前記左右2辺部のうち、一方が前記背フレームに取り付く保持辺部であり、他方が着座者の押圧力によって伸び変形し得る自由変形部であり、
前記保持辺部には後側から左右長手の補強部材が重なっている」
という構成になっている。
「着座者の押圧力で撓み変形する軟質材製の背板と、
前記背板が取り付く背フレームと、
を備え、
前記背板は、相対向した上辺部と下辺部である上下2辺部と、相対向した左側辺部と右側辺部である左右2辺部と、を含み、
前記上下2辺部および前記左右2辺部のうち、一方が前記背フレームに取り付く保持辺部であり、他方が着座者の押圧力によって伸び変形し得る自由変形部であり、
前記保持辺部には後側から左右長手の補強部材が重なっている」
という構成になっている。
請求項2の発明は請求項1を具体化したものであり、
「前記上下2辺部が前記保持辺部であり、
前記上辺部には上補強部材が後側から重なって、
前記下辺部には下補強部材が後側から重なっており、
前記下辺部と前記下補強部材とは、その全長にわたって変形しない状態で前記背フレームに固定され、
前記上辺部と前記上補強部材とは、後ろ向きの撓み変形が許容されるように前記背フレームに両端支持の状態で取付けられている」
という構成になっている。
「前記上下2辺部が前記保持辺部であり、
前記上辺部には上補強部材が後側から重なって、
前記下辺部には下補強部材が後側から重なっており、
前記下辺部と前記下補強部材とは、その全長にわたって変形しない状態で前記背フレームに固定され、
前記上辺部と前記上補強部材とは、後ろ向きの撓み変形が許容されるように前記背フレームに両端支持の状態で取付けられている」
という構成になっている。
請求項3の発明は、請求項2において、
「前記背フレームは、左右中間部に位置した背支柱と、その上端から左右に張り出したアーム部と、を有し、
前記アーム部の左右両端に前記背板の前記上辺部が連結されており、
前記アーム部は、弾性に抗して水平旋回可能な状態で前記背支柱に取り付いている」
という構成になっている。
「前記背フレームは、左右中間部に位置した背支柱と、その上端から左右に張り出したアーム部と、を有し、
前記アーム部の左右両端に前記背板の前記上辺部が連結されており、
前記アーム部は、弾性に抗して水平旋回可能な状態で前記背支柱に取り付いている」
という構成になっている。
請求項4の発明は請求項2又は3を展開したもので、
「前記上補強部材の左右両端部には下向き突出部を設け、
前記下補強部材の左右両端には上向き突出部を設けている」
という構成になっている。
「前記上補強部材の左右両端部には下向き突出部を設け、
前記下補強部材の左右両端には上向き突出部を設けている」
という構成になっている。
請求項5の発明は、請求項2~4のいずれかの発明を展開したもので、
「前記背板には、上下長手で前後に開口したスリットの群が左右方向と上下方向とに多列、多段に形成されており、
前記上補強部材が重なる前記背板の上部では、前記スリットに連続した凹溝が形成され、前記凹溝の箇所において前記背板は薄くなっている」
という構成になっている。
「前記背板には、上下長手で前後に開口したスリットの群が左右方向と上下方向とに多列、多段に形成されており、
前記上補強部材が重なる前記背板の上部では、前記スリットに連続した凹溝が形成され、前記凹溝の箇所において前記背板は薄くなっている」
という構成になっている。
請求項6の発明は椅子に係るもので、椅子は、
「着座者に着座される座と、
前記座を支持する脚と、
請求項1~5のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれ」
とを備える。
「着座者に着座される座と、
前記座を支持する脚と、
請求項1~5のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれ」
とを備える。
本願発明では、背板をエラストマーのような軟質材で構成しても、背板は補強部材によって保形されるため、背板の形態を安定させつつ着座者の体圧による変形を許容できる。従って、背板に抜き穴の群が形成されていても、抜き穴の形態やパターンなどの設計の自由性を向上して、背板のフィット性やクッション性を向上できる。
請求項2の構成を採用すると、着座した人の体圧(押圧力)による背板の延び変形が許容されるため、使用者の身体の動きに追従させて背板を変形させることができるため、フィット性・クッション性を更に向上できる。
請求項3の構成を採用すると、背板の保形性は確保しつつ、使用者の身体の捩れに追従して背板を変形させることができる。すなわち、背板が過剰に変形し過ぎることを上補強部材で防止しつつ、身体を適度に保持しつつ、背板を身体の動きに追従させることができる。従って、特許文献1の特徴を向上させて椅子の価値を向上できる。
請求項4の構成を採用すると、上補強部材と背板との一体性、及び、下補強部材と背板との一体性を向上させて、背板の保形機能を向上できる。
請求項5のように背板に多数の抜き穴を形成すると、背板を適度に変形するように構成できる。そして、背板の上端部には補強部材が重ね配置されているため、補強部材が重なっている部分には抜き穴を形成できないが、凹溝によって抜き穴の群が背板の上端縁まで広がっているように見えるため、背板の上端部に余白部が出ることを防止して美観を向上できる。
また、請求項5では、凹溝の箇所は薄いため、背板の上端部が上補強部材と一緒に撓み変形することが許容される。従って、クッション性に優れている。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下では、方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、これの方向は、普通に着座した人から見た状態として特定している。正面視方向は、着座者と対向した方向である。
(1).椅子の概要
まず、椅子の概要を説明する。本実施形態の椅子は、オフィス等で多用されている回転椅子に適用している。図1,2に示すように、椅子は、主要部材として、座1と背板2、背板2が取り付けられたバックフレーム3、及び脚装置4を備えている。背板2は、エラストマーのような樹脂系の軟質材からなっている。なお、本実施形態では、背板2は背もたれと同義になる。
まず、椅子の概要を説明する。本実施形態の椅子は、オフィス等で多用されている回転椅子に適用している。図1,2に示すように、椅子は、主要部材として、座1と背板2、背板2が取り付けられたバックフレーム3、及び脚装置4を備えている。背板2は、エラストマーのような樹脂系の軟質材からなっている。なお、本実施形態では、背板2は背もたれと同義になる。
脚装置4は、キャスタを備えた枝足の群を有している(図1(A)(D)において、キャスタは一部しか表示していない。)。また、図2に示すように、中央部に配置した脚支柱(ガスシリンダ)5にベース体6を固定し、ベース体6に、バックフレーム3がジョイント部材7を介して後傾動自在に連結されている。正確に述べると、バックフレーム3の下端には前向き部3aが一体に設けられており、前向き部3aがジョイント部材7に固定されて、ジョイント部材7は、ベース体6に左右長手の支軸8を介して後傾動自在に連結されている。
支軸8は、ばね手段の一例としてのトーションバーを介してベース体6に回転自在に保持されている。従って、本実施形態の椅子は、背板2が弾性手段に抗して後傾動するリクライニングタイプである。なお、座1は、図示しないインナーシェルにクッション材を重ね保持して表皮材で覆った構造であり、インナーシェルは、図1(B)に示すアウターシェル9に取付けられている。アウターシェル9は、ベース体6とジョイント部材7とに相対回動自在に連結されている。従って、背板2が後傾すると、座1は背板2に連動して後傾する(シンクロする)。
図4に示すように、バックフレーム3は、左右中間部に位置した上下長手の背支柱10と、その上端に水平旋回可能に取付けた左右長手のアッパサポート11と、背支柱10の下端に一体に設けた左右のロアサポート12とを有している。アッパサポート11は、背支柱10に内蔵したばねに抗して水平旋回する。なお、背支柱10及びアッパサポート11は合成樹脂製であるが、アルミダイキャスト品や板金加工品も採用できる。
例えば図4のとおり、アッパサポート11は、背支柱10の軸心から左に向いた部分と右に向いた部分とを有していて両者は一体に繋がっており、左右両端は自由端になっている。そして、アッパサポート11は、手前に向けて凹むように(後ろに向けて膨らむように)、平面視で弓なりに反った形態になっており、その左右両端部に、背板2の左右両端部が連結されている。従って、アッパサポート11と背板2との間には大きな空間が空いている。この空間の存在により、背板2の上端部は、着座者の押圧力(体圧)によって後ろ向きに伸び変形する(凹み変形する)ことが許容されている。
背板2の上端部の後面には、左右長手で板部状の上補強部材13がインサート成形や二色成形法によって一体に固着されており、上補強部材13の左右端部が、クリップ体14を介してアッパサポート11に連結されている。上補強部材13の左右両端部には、アッパサポート11に重なる上ボス部15が後ろ向きに突設されている。
他方、図4に明示するように、ロアサポート12は、背面視において上面と下面とが先端に向けて高くなるように湾曲しており、かつ、左右ロアサポート12の下面と背支柱10の下面等で構成される下面(すなわち,バックフレーム3の下面)も、下向きに膨れた湾曲面になっている。従って、バックフレーム3は、全体として錨に似た形態になっている。
ロアサポート12は、例えば図1(D)に示すように、平面視では、座の後部を抱くような状態で前向きに延びており、その先端部に肘掛け装置6が取付けられている。ロアサポート12は、平面視及び背面視で先端に向けて幅が小さくなっている。
背板2の下端の後面には左右長手の下補強部材16がインサート成形法や二色成形法によって一体に固着されており、下補強部材16の左右端部がロアサポート12の先端部にビス17(図3,5参照)で固定されている。そして、下補強部材16の左右端部には、ロアサポート12に嵌まり込む下ボス部18が後ろ向き突設されている。上下の補強部材13,16は、ポリプロピレンやナイロン樹脂、ポリカーボネイト等の合成樹脂製である。
図4から理解できるように、バックフレーム3の背面は、センターカバー19とサイドカバー20とで覆われている。すなわち、センターカバー19は、背支柱10の全体とロアサポート12の一部とを覆っており、サイドカバー20は、ロアサポート12の前半部の背面を覆っている。サイドカバー20を取り外すと、ロアサポート12に肘掛け装置を取付けできる。
背板2は、着座者がもたれ掛かることによる押圧力によって容易に撓み変形する強度になっている。そして、背板2には、その変形を容易化するために、抜き穴21の列が多段に形成されている。背板2の下端部はロアサポート12に変形不能に固定されているが、背板2の上端部は、水平旋回可能なアッパサポート11の左右両端に取付けられている。従って、椅子に腰掛けた人が上半身を捩じると、ロアサポート12が水平旋回することにより、身体のねじれに追従して背板2が、曲がったり後ろ向きに凹んだりと弾性変形する。従って、上補強部材13は、使用者の押圧力によって弾性変形(曲がり変形)し得る。
なお、ロアサポート12は座1よりも高い位置にせり上がっている。そこで、図1(A)(B)に示すように、座1の後部に、左右のせり上がり部1aを構成している。従って、座1による使用者の腰部(臀部)に対するホールド性が高くなっている。
(2).背板とロアサポートとの固定構造
図5(A)に示すように、下補強部材16はロアサポート12に沿うように湾曲しつつ前向きに開口したシェル形状になっており、内部には多数の補強リブが設けられている。従って、ロアサポート12は、着座者の押圧力が作用しても変形しない剛体構造になっており、従って、背板2の下端縁は下補強部材16を介してロアサポート12に強固に固定されている。
図5(A)に示すように、下補強部材16はロアサポート12に沿うように湾曲しつつ前向きに開口したシェル形状になっており、内部には多数の補強リブが設けられている。従って、ロアサポート12は、着座者の押圧力が作用しても変形しない剛体構造になっており、従って、背板2の下端縁は下補強部材16を介してロアサポート12に強固に固定されている。
そして、下補強部材16の左右両端部に、截頭角錐状の下ボス部18が設けられている一方、左右ロアサポート12の先端部には、下ボス部18が嵌入する凹部23が設けられており、凹部23に対して外側から挿通したビス17を下補強部材16の下ボス部18にねじ込んでいる。図示は省略しているが、下補強部材16の下ボス部18には、ビス17が螺合するナット23aを装着している。
なお、図示していないが、下補強部材16に左右複数個の位置決め突起を設けている一方、ロアサポート12には位置決め突起が嵌合する位置決め穴が空いており、位置決め突起と位置決め穴との嵌め合わせにより、左右2本のビス17による固定であっても、下補強部材18をロアサポート12に強固に固定できる。
図4(A)や図5に示すように、下補強部材16の左右両端部にヘラ状の上向き突出部24を一体に構成している一方、背板2の左右両端部には、下補強部材16の上向き突出部24が嵌合する凹所25を設けられている。下補強部材16はインサート成形法又は二色成形法によって背板2に一体成形されているが、上向き突出部24の存在によって接着面積が増大しているため、下補強部材16を背板2に強固に固着できる。
(3).背板とアッパサポートとの固定構造
図6(A)(C)に示すように、上ボス部15は上補強部材13の後方と下方とに突出しており、従って、上ボス部15は請求項に記載した下向き突出部を構成している。そして、上ボス部15の後面がアッパサポート11の前面と重なっている。他方、アッパサポート11の左右両端には、上ボス部15と重なるように下向き突出部26が設けられている。上ボス部15は上補強部材13の2倍以上の上下幅があって広い面積になっているため、背板2に対して強固に固着されている。
図6(A)(C)に示すように、上ボス部15は上補強部材13の後方と下方とに突出しており、従って、上ボス部15は請求項に記載した下向き突出部を構成している。そして、上ボス部15の後面がアッパサポート11の前面と重なっている。他方、アッパサポート11の左右両端には、上ボス部15と重なるように下向き突出部26が設けられている。上ボス部15は上補強部材13の2倍以上の上下幅があって広い面積になっているため、背板2に対して強固に固着されている。
そして、上ボス部15の後面に下向き鉤状の係合爪27を構成している一方、アッパサポート11の左右両端部には係合爪27が嵌まり込む袋状部28を構成して、袋状部28の底部28aに係合爪27が上から嵌入する係合穴29を形成することにより、上ボス部15とアッパサポート11とを前後左右に離反不能に保持している。
更に、袋状部28を構成する隔壁30に前向き開口の切り開き溝31を形成し、切り開き溝31に左右方向の内側からクリップ体14の爪部14aを挿入している。クリップ体14は、隔壁30の内側に位置する基部14bを備えており、基部14bを指先で左右外向き方向に押すことにより、爪部14aを切り開き溝31に挿入できる。
クリップ体14の爪部14aは横向きU形に曲がっており、いったん弾性変形してから切り開き溝31に入り込み、切り開き溝31に入り込みきると、U形に曲がった先端面14cが切り開き溝31から外れて隔壁30の外側面に当たり、これにより、クリップ体14は切り開き溝31から抜けない状態なる。
そして、クリップ体14を切り開き溝31に装着した状態で、クリップ体14の爪部14aは、上補強部材13の係合爪27の上面に重なっている。従って、上補強部材13の係合爪27は、クリップ体14の爪部14aによって上向き動不能に保持されている。また、アッパサポート11における隔壁30の前端面は上補強部材13の上ボス部15に重なっており、切り開き溝31は上補強部材13の上ボス部15で塞がれているため、クリップ体14の前向き移動は上補強部材13の上ボス部15で阻止されている。
図6(B)から理解できるように、上補強部材13の上ボス部15には、クリップ体14の爪部14aに前から当接又は密接するストッパー32が設けられている。なお、図6から理解できるように、アッパサポート11は前向きに開口した樋状構造になっており、内部には補強リブを設けている。図6(C)に示すように、アッパサポート11の左右中間部に、背支柱10に水平旋回自在に取り付くセンターボス部33が構成されている。
(4).まとめ
本実施形態において、背板2の下端は、剛体構造の下補強部材16を介してロアサポート12に固定されているため、背板2の下端は使用者の体圧が作用しても弾性変形はしない。従って、使用者の腰部(臀部)は常にしっかりと支えられ、腰部は常に安定した状態に保持される。
本実施形態において、背板2の下端は、剛体構造の下補強部材16を介してロアサポート12に固定されているため、背板2の下端は使用者の体圧が作用しても弾性変形はしない。従って、使用者の腰部(臀部)は常にしっかりと支えられ、腰部は常に安定した状態に保持される。
他方、背板2はエラストマー製であって柔軟性に富んでおり、使用者の押圧力に追従して曲がり変形するが、上端に腰の強い上補強部材13が固定されているため、背板2としの形態は保持しつつ、後ろ向きに伸びたり平面視で捩じれたり変形する。従って、使用者の身体を安定的に保持しつつ、その動きに追従して変形し、高いフィット性とクッション性とを確保できる。
更に、本実施形態では上補強部材13も多少は曲がり変形するため、使用者の押圧力によって曲がり変形して高いクッション性を確保できる。また、本実施形態のように背板2に多数の抜き穴21を形成すると、背板2の柔軟性を高めてフィット性とクッション性とを更に向上できるが、抜き穴21の形状や配置パターンなどを種々選択することにより、フィット性とクッション性とを確保しつつデザインの幅を拡大できる。
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、実施形態のようにアッパサポートが水平旋回する場合、上補強部材も剛体構造に構成できる。更に、実施形態では上下に補強部材を配置したが、左右側縁に補強部材を固着して、左右補強部材の上下両端をバックフレームに連結するといったことも可能である。
上下の補強部材は必ずしもインサート成形等で背板に一体成形する必要はないのであり、ビス等のファスナによって背板に固定してもよい。また、また、上補強部材もバックフレームにビス等のファスナで固定可能である。
本願発明は、椅子に具体化できる。従って、産業上利用できる。
2 背板
3 バックフレーム
10 背支柱
11 アッパサポート
12 ロアサポート
13 上補強部材
14 クリップ体
15 上ボス部
16 下補強部材
18 下ボス部
24 上向き突出部
27 係合爪
29 係合穴
30 隔壁
31 切り開き穴
3 バックフレーム
10 背支柱
11 アッパサポート
12 ロアサポート
13 上補強部材
14 クリップ体
15 上ボス部
16 下補強部材
18 下ボス部
24 上向き突出部
27 係合爪
29 係合穴
30 隔壁
31 切り開き穴
Claims (6)
- 着座者の押圧力で撓み変形する軟質材製の背板と、
前記背板が取り付く背フレームと、
を備え、
前記背板は、相対向した上辺部と下辺部である上下2辺部と、相対向した左側辺部と右側辺部である左右2辺部と、を含み、
前記上下2辺部および前記左右2辺部のうち、一方が前記背フレームに取り付く保持辺部であり、他方が着座者の押圧力によって伸び変形し得る自由変形部であり、
前記保持辺部には後側から左右長手の補強部材が重なっている、
椅子の背もたれ。 - 前記上下2辺部が前記保持辺部であり、
前記上辺部には上補強部材が後側から重なって、
前記下辺部には下補強部材が後側から重なっており、
前記下辺部と前記下補強部材とは、その全長にわたって変形しない状態で前記背フレームに固定され、
前記上辺部と前記上補強部材とは、後ろ向きの撓み変形が許容されるように前記背フレームに両端支持の状態で取付けられている、
請求項1に記載した椅子の背もたれ。 - 前記背フレームは、左右中間部に位置した背支柱と、その上端から左右に張り出したアーム部と、を有し、
前記アーム部の左右両端に前記背板の前記上辺部が連結されており、
前記アーム部は、弾性に抗して水平旋回可能な状態で前記背支柱に取り付いている、
請求項2に記載した椅子の背もたれ。 - 前記上補強部材の左右両端部には下向き突出部を設け、
前記下補強部材の左右両端には上向き突出部を設けている、
請求項2又は3に記載した椅子の背もたれ。 - 前記背板には、上下長手で前後に開口したスリットの群が左右方向と上下方向とに多列、多段に形成されており、
前記上補強部材が重なる前記背板の上部では、前記スリットに連続した凹溝が形成され、前記凹溝の箇所において前記背板は薄くなっている、
請求項2~4のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれ。 - 着座者に着座される座と、
前記座を支持する脚と、
請求項1~5のうちのいずれかに記載した椅子の背もたれと、
を備える椅子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020217721A JP2022102774A (ja) | 2020-12-25 | 2020-12-25 | 椅子及びその背もたれ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020217721A JP2022102774A (ja) | 2020-12-25 | 2020-12-25 | 椅子及びその背もたれ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022102774A true JP2022102774A (ja) | 2022-07-07 |
Family
ID=82273332
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020217721A Pending JP2022102774A (ja) | 2020-12-25 | 2020-12-25 | 椅子及びその背もたれ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022102774A (ja) |
-
2020
- 2020-12-25 JP JP2020217721A patent/JP2022102774A/ja active Pending
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