以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の移植機の一例として苗を移植する移植機10を示す左側面図であり、図2は右側面図、図3は背面図、図4は正面図であると共に、図5は平面図である。
なお、以下の説明では、操縦ハンドル404を配置した側を後とし、その反対側、すなわちエンジン41を配置した側を前とする。そして、機体前側に向かって右手側を右とし、左手側を左とする。
本実施の形態の移植機10は、図1から図5に示すとおり、機体を前進走行可能とする走行車体40と、走行車体40の後部に設けた歩行操縦用の操縦ハンドル404と、圃場に苗を植え付ける植付装置42と、植付装置42に苗を供給する苗供給装置43を備えている。
走行車体40は、機体前部にミッションケース39を設け、該ミッションケース39の前側に駆動装置であるエンジン41を設ける。前記ミッションケース39の左右両側の機体後側下部には、後輪となる走行輪44の左右位置を変更するトレッド調節が可能な車軸を覆う車軸カバー101が各々連結され、該車軸カバー101の機体外側端部には、機体後側に設ける走行輪44に駆動力を伝動する走行伝動ケース38を各々上下回動可能に装着する。
なお、左右の走行輪44は、走行伝動ケース38と、後述する前後フレーム103の左右間に各々配置することで、機体の左右幅を抑える構成としている。但し、苗の植付作業を行う畝幅等の条件に対応させるべく、左右の走行輪44を走行伝動ケース38の機体外側に装着できる構成としておくと、対応可能な作業条件を増やすことができる。
より正確には、左右の車軸カバー101が内部の車軸(図示省略)を支点として回転可能に装着され、これらの車軸カバー101に走行伝動ケース38を各々装着し、後述する昇降用油圧シリンダ300やローリングシリンダの伸縮により車軸カバー101が回転することで、走行伝動ケース38が上下回動する構成である。
そして、図1から図5、及び図10に示すとおり、前記ミッションケース39から伝動されて植付装置42及び苗供給装置43に駆動力を分岐供給する伝動ケース26に、少なくとも該伝動ケース26の左右側面と背面を覆うベースプレート400を設け、該ベースプレート400の後部にフレームステー401をボルト等の固定部材を介して着脱可能に設ける。そして、該フレームステー401に、機体後側上方に向かって円弧を描く形状で突出するハンドルフレーム402を設け、該ハンドルフレーム402の後部には、車高の上下調節や走行及び植付作業の伝動の入切等を操作する操縦部ユニット403を設けると共に、苗の植付を行わない移動時等に作業者が機体を操作する際に把持する操縦ハンドル404を設ける。該操縦ハンドル404はハンドルフレーム402を中心として機体左右方向で且つ機体後方に向かって屈曲する形状であり、左右の後部側には、前記走行輪44への伝動を入切するサイドクラッチ操作レバー405を各々設けている。また、操縦ハンドル404のうち、左右どちらか一側には、エンジン41の出力を増減操作する第1スロットルレバー406を設ける。
そして、前記ハンドル404の左右間には、操縦パネル47aを設け、該操縦パネル47aに、昇降用油圧シリンダ300を伸縮操作して走行車体40の車高を調節する車高調節レバー123と、左右の走行伝動ケース38及び伝動ケース26への駆動力の伝動を入切する主クラッチレバー125と、エンジン41の始動の可否を切り替えると共に停止操作を行う第1エンジンスイッチ407と、走行車体40の走行伝動を移動速、植付作業速、走行中立及び後進のいずれかに切り替える主変速レバー150を設ける。
エンジン41の始動を許可するときは、作業者は該第1エンジンスイッチ407を押し込んで回転させて入位置に操作する。これにより、エンジン41の始動操作が行われると、エンジン41が始動する。なお、エンジン41の始動は、セルスタータを用いるものでも、リコイルスタータを用いるものでもよい。また、エンジン41以外の駆動装置、例えば電動モータで作動するものであるときでも、第1エンジンスイッチ407が入位置にあるときに電動モータへの通電が行われて始動する構成とする。
エンジン41を停止させるときは、作業者が前記第1エンジンスイッチ407を軽く押し込むと、内装されたトルクバネ(図示省略)の力で切位置に切り替わり、これによりエンジン41が停止状態になる。
切操作時は第1エンジンスイッチ407を軽く押し込むだけでよいので、走行及び植付を即座に止めることができる。これにより、畝端に到達したときにすぐに走行と植付が停止するので、畝でない箇所での苗の植付動作が防止され、余分に消費される苗が減少する。また、次の植付作業を行う畝に機体を移動させる際、余分な移動が生じないので、燃料消費や作業時間が軽減される。
前記操縦ハンドル404の機体前側で、且つ伝動ケース26の上部には、後述する、作業者が投入する苗を左右の植付ホッパ20a,20bに搬送する苗供給装置43が設けられている。該苗供給装置43の後部と、ハンドルフレーム402の後側上部で且つ操縦パネル47aの前側に設ける補強連結ステー151に亘って、操縦ハンドル404及び苗供給装置43付近の強度を向上させると共に振動を低減させる、前後方向の補強フレーム152を設ける。
前記走行車体40は、一つの畝での苗の植付作業が終わると、作業者は機体の進行方向後側に移動し、旋回内側の操縦ハンドル404及びサイドクラッチ操作レバー405を把持して旋回内側の走行輪44への伝動を遮断して走行車体40を旋回操作し、次の植付作業条の始端側に移動する。このとき、作業者は操縦ハンドル404を把持したまま下方に向かって体重をかけて、走行車体40の機体前側を圃場面から上方に離間させることで、旋回走行を行いやすくする。
前記走行輪44の車軸よりも機体前側には、苗箱を積載する予備苗枠50、作業座席46、エンジン41、ミッションケース39等の重量物が配置されており、走行車体40の前側を上方に浮き上がらせる際には、上記の部材、ならびに他の構成部材の重量に抗する力を加える必要がある。
このとき、足を使って体重をかけることができれば作業に要する力を容易に捻出できるが、走行車体40の後部には足を掛ける部分が無く、作業者は腕力や背筋力等の上半身の力を主として作業する必要がある。
旋回作業時に足を介して体重を加えるべく、図12から図14に示すとおり、左右の操縦ハンドル404の前側端部を連結し、且つ機体左右方向に伸びる連結フレーム410から下方に向けてステップフレーム411を左右各々配置し、該左右のステップフレーム411,411の左右間に、作業者が旋回時や移動時に必要に応じて足を載せる後部補助ステップ412を設ける。
なお、前記左右のステップフレーム411,411は、走行車体40が斜度0度の地面にある際に地面と略垂直姿勢、乃至機体後側に僅かに傾斜させた姿勢で配置し、機体後方に左右のステップフレーム411,411が突出しない構成とする。
また、前記後部補助ステップ412は、左右のステップフレーム411,411の下端部を繋ぐ構成以外に、下端部の近傍を繋ぐ構成としてもよい。あるいは、下端部の近傍よりも機体上方で、且つ操縦パネル47a等に作業者の足が接触しない、あるいは作業者が無理に足を上げることなく後部補助ステップ412に足を届かせることが可能な上下位置で繋ぐ構成としてもよい。
さらに言えば、後部補助ステップ412を上下方向に所定間隔を空けて複数個所で左右のステップフレーム411,411を連結し、作業者が自身の体格に合わせて足を届かせやすい後部補助ステップ412…を選択しやすく、且つ強度を高めて破損しにくい構成としてもよい。
前記後部補助ステップ412は、作業者が体重をかけて踏み込むことが前提であるので、後部補助ステップ412だけでなく、左右のステップフレーム411,411も負荷に強い構造とする必要がある。この強度を確保すべく、図 に示すとおり、後部補助ステップ412の取付位置とは異なる位置に左右のステップフレーム411,411を連結するステップ補強フレーム413を設けると共に、該ステップ補強フレーム413と前記ベースプレート400の後部、より具体的には前記フレームステー401の前後間に補強ロッド414を設ける構成とするとよい。
なお、前記フレームステー401に補強ロッド414の取付スペースが足りない場合は、ハンドルフレーム402を回避する凹部を形成すると共に補強ロッド414の機体前端側の取付位置を形成した延設ステー401aを設けるものとする。
前記後部補助ステップ412は、旋回操作を行う位置や作業者の体格等の条件次第で、上下位置だけでなく前後位置が変化可能であると、作業者自身がより踏みやすい姿勢で踏むことができ、より軽い力で走行車体40の前側を浮き上がらせることが可能になる。
図16に示すとおり、前記補強ロッド414を前後に分割し、前側補強ロッド414aと後側補強ロッド414bのどちらか一方に他方を差し込み前後方向に摺動可能な構成とすると共に、前記左右のステップフレーム411,411を操縦ハンドル404に前後回動可能に装着し、補強ロッド414の前後長さを変更して左右のステップフレーム411,411の傾斜角度を変更ことにより、前記後部補助ステップ412の前後位置を変更可能に構成する。
なお、前側補強ロッド414aと後側補強ロッド414bは、ボルト等の締結部材で長さを固定可能に構成するとよいが、油圧シリンダ等を用いて、作業者が伸縮操作したときのみ長さが変更される構成としてもよい。
これにより、作業者は旋回走行を開始する際により軽い力で走行車体40の機体前側を浮き上がらせることができるので、旋回走行時に前輪45等が圃場面に接触して旋回走行を妨げ、作業能率を低下させることや、圃場面を荒らすことが防止される。
左右のステップフレーム411,411の左右間にステップ補強フレーム413を設ける構成では、ステップ補強フレーム413が後部補助ステップ412の取付位置の一か所を占有する構成であるので、後部補助ステップ412の上下高さの選択肢が減ることになる。したがって、ステップ補強フレーム413の上部を平坦に構成し、後部補助ステップ412を上部に配置可能に構成してもよい。
あるいは、前記ステップ補強フレーム413の取付位置を最上位とし、後部補助ステップ412はステップ補強フレーム413よりも機体下側にのみ配置するものとする。このとき、後部補助ステップ412の取付可能な範囲を上下方向に十分確保すべく、図14に示すとおり、後部補助ステップ412の左右両側に延長ステップフレーム416,416を機体上側に向けて装着し、該延長ステップフレーム416,416には一または複数の取付孔(図示省略)を形成する。また、左右のステップフレーム411,411のうち、ステップ補強フレーム413の取付位置よりも機体下側に複数の調節孔417…を各々形成し、任意の上下位置の調節孔417…と延長ステップフレーム416,416の取付孔にボルト等の締結部材418を設ける構成とする。
あるいは、前記調節孔417…と取付孔には取付ピンを差し込み、割りピンにより取付ピンを固定する構成としてもよい。この構成では、作業者は割りピンを手で抜き差しすることができるので、レンチ等の工具を持っていなくても後部補助ステップ412の上下位置を調節することが可能になる。
なお、図15に示すとおり、上下方向に複数形成される前記調節孔417…と取付孔を各々連通させて長孔とし、前記締結部材を緩めると延長ステップフレーム416,416が上下方向に移動可能になると共に、締めると延長ステップフレーム416,416の上下移動が規制されて後部補助ステップ412の上下位置が固定される構成としてもよい。
図14から図16では、前記左右の延長ステップフレーム416,416は左右のステップフレーム411,411に機体外側から接触しているが、左右のステップフレーム411,411に機体内側から接触する構成としてもよい。
上記後部補助ステップ412は、作業者が踏み込みやすい上下位置に調節して用いるものであるが、上下位置によっては植付作業を行う際に畝に接触するので、旋回終了後に後部補助ステップ412を畝面よりも高い位置に移動させる必要があり、作業能率を低下させることになる。
これを防止すべく、図17に示すとおり、左右の延長ステップフレーム416,416を左右のステップフレーム411,411に沿って上下方向に移動可能に設け、左右の延長ステップフレーム416,416のどちらか一方、あるいは両方にステップケーブル416aの一側端部を連結する。そして、回動することにより走行車体40の車高を変更させる前記走行伝動ケース38の機体前側上部に設けるアーム13の後部側に、ステップケーブル416aの他側端部を連結する。
なお、走行伝動ケース38を下方回動、即ち走行車体40の車高が高くなる方向に回動させたときは、ステップケーブル416aが緩んで後部補助ステップ412が踏み込みやすい上下高さに下降し、走行伝動ケース38を上方回動、即ち走行車体40の車高が低くなる方向に回動させたときは、ステップケーブル416aが引っ張られて後部補助ステップ412が畝面に接触しない上下高さに上昇する構成とする。
上記構成により、走行車体40の車高を旋回走行時の高さにすると自動的に後部補助ステップ412が踏み込みやすい高さに移動し、植付作業を行う高さにすると自動的に補助ステップ412が畝面に接しない高さに移動するので、旋回走行の前後で後部補助ステップ412の上下高さを変更する作業に要する時間と労力の軽減が図られる。
あるいは、図18に示すとおり、左右の延長ステップフレーム416,416を左右のステップフレーム411,411に上下回動可能に装着し、左右の延長ステップフレーム416,416の機体前側上部には、所定の回動量で左右のステップフレーム411,411に接触してそれ以上の回動を規制する回動規制ピン418,418を各々設ける。あるいは、一本の回動規制ピン418を左右の延長ステップフレーム416,416に亘って設けてもよい。そして、左右のステップフレーム411,411の機体後部側に亘ってロックバネ419,419を各々設け、左右の延長ステップフレーム416,416の上下回動量が支点越えをする回動量になることで、後部補助ステップ412が旋回時用の踏み込み位置と、畝面よりも上方に位置する収納位置のどちらかに切り替わる構成とする。
上記構成により、工具を用いることなく後部補助ステップ412を踏み込み位置と収納位置に切り替えることができる。特に、ロックバネ419,419の張力により、踏み込み位置と収納位置の間となる位置で回動が止まらないので、植付作業中に左右の延長ステップフレーム416,416が下方回動して後部補助ステップ412が畝面に接触して荒らすことや、踏み込もうとしたときに上方に回動して再度踏み込み位置に移動させる作業が発生することが防止される。
なお、収納位置から踏み込み位置への回動は、作業者が後部補助ステップ412を踏んで行うことができるので、手で後部補助ステップ412に触れる必要が無く、作業者の手が土等で汚れることが防止されると共に、操作時にしゃがむ必要が無く、作業者の労力が軽減される。
前記ミッションケース39の機体前側で且つ左右両側には、正面断面視でコの字形状のバンパー支持フレーム108を機体前側に突出させて設ける。そして、該左右のバンパー支持フレーム108の前方には、機体前側に突出するバンパー109を設ける。
なお、図6から図8に示すとおり、バンパー109は、板体の機体前側と左右両側を下方に折り曲げたバンパープレート109aと、該バンパープレート109aの上面に着脱可能なフロントウエイト109bと、バンパープレート109aから左右方向に延びるバンパーロッド109cで構成している。該フロントウエイト109bは、鉄等の比較的重量があり且つ硬度の高い素材の塊で構成し、バンパープレート109aよりも機体前側に突出する形状とする。
これにより、重量と硬度を有する塊であるフロントウエイト109bが最も機体前方に突出するので、障害物に接触したときにバンパープレート109aまで損傷が及ぶことを防止できる。
前記左右のバンパー支持フレーム108の機体前側で、且つ機体下部側には機体下側が開口部となる凹部(図示省略)を形成し、これらの凹部に、機体左右方向を長手方向とする前部梁フレーム110を差し込んで固定する。
該前部梁フレーム110を設けることにより、左右のバンパー支持フレーム108とミッションケース39とで機体前側にも四角形にフレームが組み上げられるので、機体前側の強度が向上する。特に、バンパー109が障害物に接触した際、前部梁フレーム110に左右のバンパー支持フレーム108を差し込んで固定しているので、左右のバンパー支持フレーム108の後部側に破損や衝撃が伝播しにくくなる。
また、ミッションケース39を機体に組み付ける際、左右のバンパー支持フレーム108の凹部を前部梁フレーム110に差し込んでから左右方向に移動させることにより、ミッションケース39の前後位置を固定したうえで左右位置を調節できるので、ミッションケース39の取付位置のずれにより組立作業が滞ることが防止される。
なお、前記ミッションケース39の前側で且つ左右一側に前記エンジン41の後部を積載し、エンジン41の前部は、前部梁フレーム110の左右中央部付近に配置するエンジンマウントに積載する構成とするが、エンジン41が配置される側のバンパー支持フレーム108とエンジン41は、上下方向に間隔を空けて配置する構成とする。即ち、バンパー支持フレーム108は、エンジン41を下方から受ける部材ではない。
上記構成により、バンパー109が障害物に接触したときの衝撃が、バンパー支持フレーム108からエンジン41に伝播することを防止できるので、エンジン41が破損することや、衝撃により作動不良を起こすことを防止できる。
また、バンパー支持フレーム108が衝撃で変形しても、エンジン41の積載状態に影響を及ぼしにくい構成となり、バンパー109が破損してもエンジン41の動力で作業や移動を行うことができる。
そして、前記バンパープレート109aの左右両側には、バンパーロッド109cを装着する左右方向の凹部を有するステップ支持プレート111を各々装着する。該左右のステップ支持プレート111は、前記前部梁フレーム110の機体後側で且つ左右両側に各々設ける補強アーム112を介して支持する構成とする。
該左右のステップ支持プレート111の上面は平坦であり、走行車体40の機体左右一側、即ち機体左側においては、作業者が機体前側から乗り降りする際に足を乗せる前側搭乗ステップ113の機体前側部分を装着する。一方、機体左右他側、即ち機体右側には、植付ホッパ20a,20bが植え付ける苗同士の前後間隔、所謂株間を設定する、株間主変速レバー801と株間副変速レバー802、及び主変速レバー150が植付速に操作されているときに、第1植付速または第2植付速を選択する植付変速レバー803を支持する、株間切替カバー114を形成する。
該前側搭乗ステップ113は、機体前側で且つ上下方向下側に位置する下部足載せ部113aと、下部足載せ部113aよりも機体後側で且つ上下方向上側に位置する上側足載せ部113bと、下部足載せ部113aと上側足載せ部113bの上下間に位置し、機体外側方向に向かって捻れて傾斜する中間傾斜部113cで構成される。下部足載せ部113aの表面には、滑り止め突起113dを複数形成するものとし、中間傾斜部113cは、乗り降りの際に作業者が足を心理的に乗せにくい傾斜角度で、且つ下部足載せ部113aと上側足載せ部113bの間で移動するときに跨いで通過される前後長さとする。
一方、該株間切替カバー114は、機体前側で且つ上下方向下側に位置する下側台部114aと、下側台部114aよりも機体後側で且つ上下方向上側に位置する上側台部114bと、下側台部114aと上側台部114bの上下間に位置し、機体外側方向に向かって捻れて傾斜すると共に、株間主変速レバー801と株間副変速レバー802、及び主変速レバー150が各々移動する移動溝を形成したレバー装着部114cで構成される。
なお、前記前側搭乗ステップ113と株間切替カバー114は左右対称な形状であり、機体左右一側に設けるものを株間切替カバー114とし、機体左右他側に設けるものを前側搭乗ステップ113としてもよい。
そして、前記上側足載せ部113b及び上側台部114bの機体後側には、機体側方から作業者が乗り降りすると共に、作業時の足場となる側部ステップ118を各々設ける。該側部ステップ118は、枠内に縦横に板体を配置して複数の空間部を形成しており、作業者の靴底に付着した土を下方に落下させる構成とする。また、前記左右の側部ステップ118の左右間には、搭乗する作業者の足場となる中央ステップ119を着脱可能に設ける。
以上により、フロアステップ122が構成される。
前側搭乗ステップ113、株間切替カバー114、左右の側部ステップ118及び中央ステップ119の取付は、各々独立して行う、即ち、一つの取付部材(ボルト等)で共締めしないものとする。これにより、部分的なメンテナンス作業時に各ステップ構成体を取り外す際、別のステップ構成体を取り外す必要が無く、メンテナンス作業の能率が向上する。
前記前側搭乗ステップ113の前側下部には、前側搭乗ステップ113への乗り降りの際に作業者が足を乗せる、乗降補助機構170を装着する。該乗降補助機構170は、機体外側に位置する、側面視でL字形状であり、屈曲部分より機体下側に機体前方に突出する第1突出部171aを有する外側支持アーム171と、機体内側に位置する、正面視でL字形状であり、屈曲部分より機体下側に機体外側に突出する第2突出部172aを有する内側支持アーム172と、第1突出部171aと第2突出部172aに亘って設ける乗降補助ステップ173で構成する。
前記外側支持アーム171は、ステップ支持プレート111と共に、共締めボルト174…で共締めして走行車体40に装着する。また、前記内側支持アーム172は、バンパープレート109aと共に、共締めボルト174…で共締めして走行車体40に装着する。
これにより、共締めボルト174…で複数の部材を締め込む構成となるので、走行車体40の機体前側付近の強度の向上が図られ、作業者の乗り降りの際に係る荷重による耐久性の低下が軽減される。
また、乗降補助ステップ173を設けたことにより、畝の高さ等に合わせて走行車体40の車高を高くしていても、作業者は乗降補助ステップ173に足を乗せ、前側搭乗ステップ113の下側足載せ部113aに足を段階的に載せて乗り込むと共に、逆の動作により降りることができるので、乗り降りの際に足を高く上げる必要や、多少なりとも飛び降りる必要が無く、作業者の身体への負担が軽減される。
そして、乗降補助ステップ173を、第1突出部171aと第2突出部172aに亘って設けたことにより、乗降補助ステップ173の左右幅内に外側支持アーム171と内側支持アーム172が位置しないので、作業者の足が外側支持アーム171と内側支持アーム172に接触することが防止される。
一方、走行車体40の車高を下降させたときや植付作業中は、前記乗降補助機構170は不要になるだけでなく、車高によっては畝面や畝の法面に接触して畝を崩し、苗の植付精度を低下させるおそれがある。
これを防止すべく、外側支持アーム171と内側支持アーム172の基部をダブルナット(図示省略)で装着し、共締めボルト174…を回動支点として外側支持アーム171と内側支持アーム172を回動可能に装着して、乗降補助機構170を上下回動可能に構成するとよい。
上記構成により、不要な時には乗降補助機構170を畝面から離間する上方に回動させることができるので、乗降補助機構170が畝を崩すことが防止され、苗の植付精度が維持される。
図1から図8に示すとおり、前記株間切替カバー114の下部には、自重により下方回動して畝面に接触し、走行車体40が畝の端に到達して接地しなくなるとさらに下方回動し、圃場端に到達したことを作業者に知らせる報知装置181を作動させる、畝端センサ182を支持する、畝端センサステー182aを設ける。該報知装置181は、走行車体40の各部に装着するブザーやランプ、あるいは、作業者の情報端末(タブレット、スマートフォン等)に通知する通信装置とする。
該畝端センサ182は、センサアーム183を回動可能に設け、該センサアーム183の下部に畝面接地ローラ184を回転可能に装着し、センサアーム183を下方に付勢する接地付勢スプリング185を設けると共に、センサアーム183の基部には、所定角度以上になると入(あるいは切)になる畝端検知スイッチ186を設けて構成する。該接地付勢スプリング185は、長孔に沿って角度調節可能な検知調節プレート187に上端部側を装着し、畝高さに合わせて作動する角度を変更可能に構成する。
この畝端センサ182は、苗の植付作業走行の開始時、走行車体40の車高調整により畝面に接地させる。回転自在な畝面接地ローラ184を接地させていることにより、畝面を崩しにくく、且つ微細な凹凸を均すことができ、苗の植付精度の向上が図られる。
そして、走行車体40が前進を続けて畝の端部に到達し、畝面接地ローラ184が畝面に接触しなくなると、接地付勢スプリング185の付勢力と、センサアーム183と畝面接地ローラ184の自重により、センサアーム183が下方回動して、畝端検知スイッチ186が押されない状態となる。畝端検知スイッチ186が押されなくなると、報知装置181に通電されることにより、報知装置181が作動し、作業者に走行車体40の機体前端付近が畝端に到達したことを報知する。
なお、畝端センサ182が畝端を検知した時点では、畝にはまだ数株分の植付スペースが残っているので、作業者は機体を即座に停止させるのではなく、残りの植付スペースに植え付けられる数の苗を苗供給装置43に投入しつつ、停止操作を準備する。
これにより、作業者は背後を振り返ることなく畝端への接近を知ることができるので、苗を畝上に植え付け終えるタイミングで機体を停止させることができ、余分な走行による燃料の消費や、次の作業条への移動距離が長くなることが防止される。
また、畝端が近付いた際、苗供給装置43に投入する苗の数を調整できるので、植付作業走行の停止操作が遅れて植付ホッパ20a,20bが植付動作を行っても、畝でない箇所に苗が放出されることが防止される。
なお、図4、図6及び図7に示すとおり、前記センサアーム183を左右一対のセンサアーム183a,183aとし、畝面接地ローラ184を左右の畝面接地ローラ184a,184aを各々回転可能に装着し、左右の畝端検知スイッチ186,186を各々設ける構成としてもよい。
これにより、左右のセンサアーム183,183のどちらか一方が下方回動して対応する畝端検知スイッチ186,186の一方が押されない状態になると、報知装置181が作動することにより、畝・BR>[が風雨により崩れて形状が乱れていても畝端が検知されやすく、作業者による植付作業走行停止操作がタイミングよく行える。
また、走行車体40の機体前側の左右両側で、且つ走行輪44よりも機体前側には、前部梁フレーム110の下部側に設けられて機体左右方向に突出する横フレーム16を介して、転動自在に支持した前輪45を設ける。
そして、前記走行伝動ケース38の前部の回動軸心位置には、ミッションケース39から左右両外側方に延出させた車輪駆動軸の先端が入り込んで、ミッションケース39内の走行部系変速伝動部を経た走行用の動力が走行伝動ケース38内の伝動機構に伝達している。そして、走行用の動力は走行伝動ケース38内の伝動機構を介して、走行伝動ケース38の伝動車軸に伝動し、走行輪44が駆動回転する構成としている。
また、前記走行伝動ケース38には、走行伝動ケース38の前部側を回動支点として走行輪44を上下させる、上下回動する駆動手段が連結している。具体的には、走行伝動ケース38のミッションケース39への取付部には、上方に延びるアーム13が一体的に取り付けられており、アーム13がミッションケース39に固定された昇降用油圧シリンダ300のピストンロッド先端に取り付けた連結体の左右両側部と連結している。左右一方側(右側)は、連結ロッドで連結し、他方側(左側)は、機体の傾斜に対応して伸縮作動可能な左右制御用油圧シリンダで連結している。
昇降用油圧シリンダ300が作動してそのピストンロッドが機体後方に突出すると、左右のアーム13は後方に回動し、これに伴い走行伝動ケース38が下方に回動して、機体が上昇する。反対に、昇降用油圧シリンダ300のピストンロッドが機体前方に移動してシリンダ内に引っ込むと、左右のアーム13は前方に回動し、これに伴い走行伝動ケース38が上方に回動して、機体が下降する。
この昇降用油圧シリンダ300は、畝面に接地して機体と畝面との上下間隔の変動に伴って動作する畝面センサ14によって作動する。畝面センサ14の動作は機体の位置を基準とした畝上面高さを検出する動作となり、その畝面センサ14の検出動作に基づいて機体を畝上面高さに対応して設定高さになる構成で昇降用油圧シリンダ300が作動する構成としている。
また、左右水平制御用油圧シリンダが伸縮作動すると、その左右水平制御用油圧シリンダと連結する左側のアーム13が回動して、左側の走行輪44のみを上下動させ、機体を左右に傾斜させる。この左右水平制御用油圧シリンダは、左右水平を基準として機体の左右傾斜を検出するセンサの検出結果に基づいて作動して、機体を左右水平にする構成としている。
図1、図2及び図5に示すとおり、前記横フレーム16は、前部梁フレーム110に前後方向の軸中心にローリング回動可能に装着されており、該横フレーム16の左右両側部には、上下に長い縦フレーム17を装着する。そして、左右前輪45は、縦フレーム17の下端部側方に固着した前輪車軸18に回転自在に取り付けられている。従って、左右前輪45は、機体の左右中央の前後方向の軸心回りにローリング回動自在となっている。また、横フレーム16の左右両側部を基準として、縦フレーム17が上下調節可能に設けられており、前輪45の高さ調節をすることが出来る構成としている。
前記操縦ハンドル404は、機体後部に設けられており、走行輪44の伝動車軸より機体後側に位置している。具体的には、ミッションケース39に前端部を固定した機体フレーム19の後端部に取り付けられている。
機体フレーム19は、機体の左右中央で後方に延び、また、前後中間部から斜め後上方に延びている。
操縦ハンドル404は、機体フレーム19の後端部から左右に後方に延びてその各後端部を操縦ハンドル404のグリップ部としている。
なお、図2では、グリップ部を左右に分かれた構成としているが、操縦ハンドル404の左右の後端部を互いに左右に連結してその連結部分をグリップ部としても良い。
植付装置42は、先端が下方に向かう嘴状の複数の植付具と、植付具の下端部が圃場面より上方となる位置と圃場面より下方となる位置とに植付具を上下動させる上下動機構21と、嘴状の植付具の下端部が閉じて上方から苗を受け入れて内側に苗を収容可能する閉状態と植付具の下端部が左右に開いて内側に収容した苗を下方に放出可能とする開状態とに植付具を開閉する開閉機構とを備える。
図1から図5に示すとおり、本実施の形態の植付装置42は、第1植付ホッパ20aと第2植付ホッパ20bを左右に並べて配備した、二条植の構成としている。これらの第1植付ホッパ20a及び第2植付ホッパ20bは、ミッションケース39から伝動される伝動ケース26の左右両側部に設けられた上下動機構21に各々装着されている。
各苗収容体22は、上下に開口する筒状体と、その筒状体の下側の開口部を開閉する底蓋とを有し、互いにループ状に連結している。
移動機構23は、連結した各苗収容体22が左右の植付ホッパ20a,20bの上方近傍を通過する状態で、機体平面視で左右に長い長円形状のループ状の軌跡で、連結した苗収容体22を左回りに周回動させる。
苗落下機構は、苗収容体22の底蓋を、その苗収容体22に対応する、植付ホッパ20a,20bの上方位置で開放する。
本実施の形態では、苗収容体22の外周に円筒外周部を形成し、その円筒外周部に外側から回動自在に接続する係合部(丸孔)を設けて、2つの苗収容体22を連結する連結体を複数形成した。そして、その連結体の係合部を苗収容体22の円筒外周部に回動自在に接続し、その円筒外周部を回動軸として隣の苗収容体22が回動自在に連結する状態として、複数の苗収容体22を互いに連結した構成としている。すなわち、苗収容体22と連結体とで無端チェーンの如く連結した構成である。
これにより、苗収容体22は、直線的に移動する直線状部分28でも円弧状に移動する円弧状部分29でも隣接する苗収容体22との間隔が変わらないので、苗収容体22から左右の植付ホッパ20a,20bに苗を供給する個所で、苗収容体22の左右の植付ホッパ20a,20bを基準とした位置ズレが生じ難くなり、苗供給が適正に行われて適確な苗の植え付けが出来る。
苗供給装置43の移動機構23は、無端チェーンの如く互いに連結する苗収容体22を、左右に設けたスプロケットの外周の円弧状切欠部に巻き掛け、この左右のスプロケットを伝動ケース26内から取り出した動力で駆動回転することにより、各苗収容体22を周回動させる構成としている。
苗収容体22が周回する周回移動経路は、平面視で左右方向に延びる直線状部分28と、スプロケットにより直線状部分28から前側または後側に円弧状に曲がる円弧状部分29とを備えた長円状であり、左右の走行輪44より機体内側に配置されている。
前記苗供給装置43の苗収容体22は、直線状部分28では比較的安定して所定方向に移動するが、左右両側部の円弧状部分29では、苗収容体22同士の間隔が狭まったり広くなったりして、苗供給装置43の駆動に負荷を与えて破損させたり、苗の落下供給タイミングが不安定になったりするおそれがある。これを防止すべく、複数の苗収容体22の内周縁部で、且つ苗供給装置43の左右両外側部には、駆動回転するスターホイル240,240を各々設けており、該スターホイル240,240の外周縁部には等間隔に突起部が形成されている。これらの突起部を苗収容体22の間隔部に入り込ませることで、苗供給装置43の左右両側の円弧状部分29を通過するときの各苗収容体22の位置を各々保つことにより、過負荷の発生や、苗の落下供給タイミングのズレの発生を防止している。
作業者は、作業座席46に着座、あるいはフロアステップ122上に立って苗供給装置43に苗の供給作業を行うが、補充用の苗が無くなったときや何らかの問題、例えば苗の植付姿勢が連続して異常、苗が植え付けられない等、が生じたときは、走行車体40の走行の停止や、植付ホッパ20a,20bの駆動を止める必要がある。また、作業者のペースよりも走行速度や植付ホッパ20a,20bの昇降ペースが速いときは、エンジン41の出力を低下させ、作業を行いやすい速度に変化させる必要がある。
上記の操作を、図4及び図5に示すとおり、作業座席46に着座したまま、あるいはフロアステップ122上から降りることなく行うべく、前記苗供給装置43の機体前側で、且つ左右一側端部、即ち、作業座席46に着座した作業者の右手側には、エンジン41の始動の可否を切り替えると共に停止操作を行う第2エンジンスイッチ408を設けると共に、該第2エンジンスイッチ408よりも機体内側(機体左右他側)寄りとなる位置には、エンジン41の出力を増減操作する第2スロットルレバー409を機体左右方向に回動操作可能に設ける。
なお、前記第2エンジンスイッチ408は、第1エンジンスイッチ407と同じ操作方法であるが、エンジン41は、これら第1エンジンスイッチ407と第2エンジンスイッチ408の両方が入位置に操作されていなければ始動しないものとする。
これにより、移動時等作業者が機体の後方で操縦ハンドル404を握って操縦するときは第1エンジンスイッチ407で停止操作ができると共に、苗の植付作業時等走行車体40に搭乗しているときは第2エンジンスイッチ408を切操作してエンジン41を停止させることができるので、搭乗中に走行車体40から降りて第1エンジンスイッチ407を切操作しに行く必要が無く、植付あるいは機体に問題を生じさせる動作を中断することができる。
また、第2スロットルレバー409を走行車体40上から操作できるので、エンジン41の出力を増減操作する際に走行車体40を乗り降りする必要が無く、作業能率や作業精度が向上する。
また、左右の植付ホッパ20a,20bは、伝動車軸の位置よりも後側に配置している。
苗供給装置43は、左右の植付ホッパ20a,20bに合わせて苗収容体22が一回りで周回移動して苗を供給する構成としている。
植付ホッパ20a,20bは、それぞれ第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bで、苗収容体22から苗が落下供給される。
そして、左右の植付ホッパ20a,20bに対応して落下供給する苗を収容する苗収容体22を各別に設けており、苗収容体22が対応する左右の植付ホッパ20a,20bの上方にきたときのみ底蓋が開き、対応しない左右の植付ホッパ20a,20bの上方では底蓋が開かない構成としている。
すなわち、植付ホッパ20aに対応する苗収容体22は第1落下供給位置31aにきたときのみ、植付ホッパ20bに対応する苗収容体22は第2落下供給位置31bにきたときのみ、それぞれの底蓋が開いて対応する植付ホッパ20a,20bに苗が供給される構成となっている。
なお、第1落下供給位置31a及び第2落下供給位置31bは、左右の植付ホッパ20a,20bの条間を調節した際、対応する位置に移動可能な構成とする。
移動機構23の作動周期は、上下動機構21の作動周期に同期する設定にされており、左右の植付ホッパ20a,20bに対応する苗収容体22を合わせて1つの苗収容体ユニットとして、その苗収容体ユニットを複数連結した構成とすることにより、苗収容体22が左右の落下供給位置31a、31bを直列的に通過しながら、左右の植付ホッパ20a,20bに対応して苗供給漏れが生じることなく苗を供給でき、且つ左右の落下供給位置31a、31bを通過した後に苗が供給されなかった苗収容体22が生じなくすべく、余すことなく左右の植付ホッパ20a,20bに対応して苗を供給出来る構成としている。
本実施の形態の移植機10は、左右の植付ホッパ20a,20bが植え付けた苗に合わせて覆土鎮圧することに利用される覆土鎮圧輪37を左右の植付ホッパ20a,20bの苗植え付け個所の各後方左右両側近傍位置に設けている。該左右の覆土鎮圧輪37は、一本の棒材を平面視J形状に屈曲させて構成した、各々別個に上下回動自在な鎮圧アーム370,370と、該左右の鎮圧アーム370,370の後部側に、各々左右一対回転自在に設けられる鎮圧回転体371,371で構成する。
なお、鎮圧アーム370は、機体内側に位置する一側端部が走行車体40の後部側に上下回動自在に装着され、後方に向かって突出する直線部分の後部を上方に屈曲させた後、機体外側に屈曲させ、さらに下方に屈曲させて機体内側の直線部分と同じ上下位置で機体前側に屈曲させている。そして、左右の鎮圧回転体371,371のうち、機体外側の鎮圧回転体371は機体前側に屈曲する機体外側の直線部分に設けられ、機体内側の鎮圧回転体371は機体内側の直線部分に装着される。
上記構成により、鎮圧アーム370の後部に、機体上方に向かって突出する回避部分372が形成され、左右の鎮圧回転体371,371は左右間隔を空けて配置される。これにより、植付ホッパ20a,20bが植え付けた苗は、左右の鎮圧回転体371,371の左右間隔部を通過しつつ周辺の土を均されると共に、回避部分372の下方を通過するので、覆土鎮圧輪37,37に押し倒され、植付姿勢が乱れることが防止される。
なお、左右の鎮圧アーム370,370は各々機体左右位置を調節可能に装着し、植付ホッパ20a,20bの条間設定に合わせて鎮圧する位置を変更可能に構成する。また、左右の鎮圧回転体371,371についても、各々左右位置を調節可能に構成すると、植付後の苗の周囲の土を確実に固められ、苗が倒伏や低温により生育不良を起こすことが防止される。
本件の移植機には、苗供給装置43に苗を補給する作業者が乗車して苗補給作業を行うべく、作業者が座る作業座席46を設けている。具体的には、苗供給装置43の前側となる機体左右中央位置に後向きに作業座席46を配置している。作業座席46に座る作業者は、苗供給装置43の前側部に向って後側向き姿勢で着座して、苗供給装置43の前側部、特に苗収容体22の周回移動経路における前側の直線状部分28に対応して苗補給作業を行う。
また、前記操縦パネル47aの左右他側には、ミッションケース39に内装され、左右の走行伝動ケース38及び伝動ケース26への駆動力の伝動を入切する主クラッチレバー125を設ける。
本発明の移植機において、機体後部の操縦ハンドル404による作業者の操作は、圃場への移動、輸送手段からの積み下ろし、倉庫への収納や、圃場端での旋回のときに行われるものである。一方、苗の植付作業時には、作業者は走行車体40の作業座席46に搭乗しており、操縦ハンドル404の操縦パネル47aでの操作を行うことは困難である。
従って、走行車体40上には、作業座席46に搭乗した作業者用の、車体上操縦部126を設ける。
図4及び図11に示すとおり、前記苗供給装置43の下部には、機体後側に上方傾斜する後部ステップ127を設け、該後部ステップ127の左右どちらか一側、本件では機体右側(作業座席46に着座した作業者を基準とすると左側)の端部に、図4、図5及び図11に示すとおり、車体上操縦部126を設ける。
該車体上操縦部126は、最も機体外側に、走行車体40の車高を調節して植付ホッパ20a,20bの植付深さを調節する第2車高調節レバー128を配置し、該第2車高調節レバー128よりも機体内側に、第2主クラッチレバー129を配置する。
なお、苗の植付作業時は、基本的に車高を固定する必要が無いので、第2車高調節レバー128は「高」ポジションと「低」ポジションのみを有する構成とする。
そして、前記後部ステップ127の外側端部には、第2車高調節レバー128を枠内に収めると共に車高の目安を示す表示目盛りを形成した車高調節レバーガイド130を機体前側に向かう上方傾斜姿勢で設け、該車高調節レバーガイド130の機体内側方には、第2主クラッチレバー129を枠内に収める主クラッチレバーガイド131を機体前側に向かう上方傾斜姿勢で設ける。
なお、第2車高調節レバー128は、第2主クラッチレバー129よりも機体前側への突出量を大きくする。
また、前記第2車高調節レバー128と第2主クラッチレバー129は、機体左右一側(機体右側)の前記取付支持プレート105、及び前後の梁フレーム106f,106rに基部側を回動可能に装着するものとすると、別途取付部材を設ける必要が無く、部品点数の削減が図られる。
さらに、前記車体上操縦部126よりも機体左右他側、即ち機体左側には、左右のサイドクラッチを入切操作するサイドクラッチペダル132L,132Rを、後部ステップ127の上面に露出させて設ける。
前記車高調節レバーガイド130と主クラッチレバーガイド131は、側部ステップ118の上面との間に一定の上下間隔Sを空けて配置するものとする。上記の上下間隔Sは、作業者の足を入り込ませても空間が確保される程度(例:15~20cm程度)とする。
上記構成により、フロアステップ122上、及び作業座席46に搭乗した作業者は、走行車体40から降りることなく植付深さの手動操作や、植付作業の入切を手動操作することができるので、作業能率が向上すると共に、苗の植付精度が向上する。
また、第2主クラッチレバー129を第2車高調節レバー128よりも作業座席46に近付く機体内側に配置したことにより、苗の補充や植付状態の修正、休憩等の際に使用する第2主クラッチレバー129に作業者の手が届きやすく、労力の軽減が図られる。
特に、問題の発生時に速やかに苗の植付作業を中断でき、苗の植え直し作業が不要になると共に、生育に適さず破棄される苗の数が減少する。
また、第2車高調節レバー128を第2主クラッチレバー129よりも機体前側に突出させたことにより、作業座席46から遠い側の第2車高調節レバー128を操作する際に腕を大きく伸ばす必要が無く、作業者の労力が軽減される。
そして、後部ステップ127に左右のサイドクラッチペダル132L,132Rを設けたことにより、走行車体40の進行方向が畝を基準とする直進方向から外れかけているときに前記サイドクラッチペダル132L,132Rのどちらかを操作して対応するサイドクラッチを一時的に切状態とすることで、走行車体40の進路を修正でき、苗の植付位置が左右方向に蛇行することが防止される。
また、車高調節レバーガイド130と主クラッチレバーガイド131、即ち車体上操縦部126と側部ステップ118の上下間に上下間隔Sが形成される構成としたことにより、作業座席46に搭乗する作業者の足の動きが妨げられず、作業者は楽な姿勢で操縦座席46に搭乗でき、労力の軽減が図られる。
作業座席46の左右両側で機体側面視で走行輪44の伝動車軸の上方位置に、苗供給装置43に補給する苗を収容可能な予備苗枠50を設けている。
前記予備苗枠50は、走行車体40の機体外側に突出する苗載支柱51の上部に支持ステー52を設け、該支持ステー52に回動状態と非回動状態を切替可能な苗載回動アーム53を設け、該苗載回動アーム53には上下方向の苗枠フレーム54,54を間隔を開けて配置すると共に、該苗枠フレーム54,54の同じ面に、補充用の苗を収容する苗箱や苗トレイ等の容器を載置する載置台55の一側端部を装着して構成する。
該載置台55は、上下方向に一つだけ設けてもよいが、容器の取り出しに支障の無い上下方向の間隔を空けて複数配置してもよい。
上記構成の予備苗枠50は、走行車体40の左右両側に各々設け、状況に合わせて支持ステー52上で苗載回動アーム53を回動させる。
例えば、苗の植付作業時には、載置台55の長手方向を機体前後方向に向けることで、載置台55から苗の容器を取り出したり、空になった容器を戻しやすくすることで、作業能率を向上させることができる。
また、この位置では載置台55が走行車体40の左右両側に位置するので、作業者が走行車体40の搭乗可能な部分の端部を把握しやすくなり、走行車体40上から足がはみ出し、姿勢を崩すことが防止される。
また、走行車体40に作業者が乗り降りするときには、苗載回動アーム53を約90度回動させる。
これにより、走行車体40の左右両側に乗り降りの空間部が形成される。
また、作業者は走行車体40の機体前側からも乗り降りすることができるが、苗載回動アーム53を回動させて苗枠フレーム54,54が機体前側に位置し、載置台55が機体後側に位置する状態とすると、作業者は苗枠フレーム54,54を手摺りとして用いることができるので、走行車体40の乗り降りを円滑に行うことができる。
また、載置台55に苗の容器を積載、あるいは取り出す際、機体後側からであれば容器の積載、取り出しを妨げる部材が無いので、作業能率が向上する。
前記作業座席46の走行車体40への取付は、正面視または背面視においてコの字形状であり、エンジン41等の上方を覆う機体カバー48を跨ぐ座席フレーム49のうち、機体左右方向となる部分の上部に装着する。該座席フレーム49の上部には、機体前側に向かう左右のシートステー49aの基部が装着されており、作業座席46は左右のシートステー49aの基部側の左右方向の回動支点を中心に、機体前後方向に回動可能に装着される。
これにより、作業座席46を苗供給装置43の機体前側端部付近に接触する姿勢で載置できるので、作業中断時に作業者の着座部分に砂や雨水が付着することを防止できる。
圃場に苗を移植する際、圃場の土質や周辺の水環境、あるいは作業前の天候等の条件を考慮して、植え付けた苗の付近に水を供給する、所謂灌水作業を行うことがある。
本件の移植機には、図1から図4に示すとおり、左右の走行伝動ケース38,38に、水タンク600を積載する水タンクホルダ601を各々設けている。
この水タンク600に貯留された灌水用の水は、走行車体40の底部で、且つ機体前後中央付近に設けられる灌水ポンプ700の動作によって汲み上げられると共に、植付ホッパ20a,20bが苗を植え付ける位置に排出される。該灌水ポンプ700は、植付ホッパ20a,20bの数に合わせて配置し、走行車体40の左右中央部を基準として、間隔を空けて左右に配置する。
前記灌水ポンプ700にホースを装着し、水タンク600から灌水ポンプ700を経由して散水ノズル710から水を排出する構成とすることもできるが、灌水ポンプ700のギアポンプ800の動作により、排出方向に送り出された水の一部が水タンク600側に戻されることがある。これにより、圃場に供給される1回当たりの灌水量が減少し、水不足により苗の生育が遅れたり、生育不良により収穫物の品質を低下させるおそれがある。
これを防止すべく、前記左右の側部ステップ118の機体外側の下部に、送水方向を一方に制限するチェックバルブ720を各々設け、水タンク600とチェックバルブ720の給水側を吸水ホース721で連結すると共に、チェックバルブ720の排水側と排水ノズル710を排水ホース722で連結する。また、チェックバルブ720と灌水ポンプ700を、中継ホース723で連結する。
より具体的には、図9で示すとおり、まず、機体前側から後側への送水を許容する方向に向けた吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725を上下に並べて側部ステップ118の機体外側端部の下部に装着する。そして、前記吸水ホース721の一側を水タンク600内に入り込ませ、他側を吸水チェックバルブ724の入口、即ち機体前側と連結し、前記排水ホース722の一側を排水チェックバルブ725の出口、即ち機体後側と連結し、他側を前記排水ノズル710に連結する。
前記灌水ポンプ700には、機体左右方向の第1中継ホース723aの基部側を装着し、端部側には、三又形状の分岐ジョイント723dの収束ポートを装着する。そして、該分岐ジョイント723dの吸水ポートと吸水チェックバルブ724の出口(機体後側)の間には、第2中継ホース723bを設け、分岐ジョイント723dの排水ポートと排水チェックバルブ725の入口(機体前側)の間には、第3中継ホース723cを設ける。
なお、排水ノズル710は、圃場に直接水を供給してもよいが、植付ホッパ20a,20bの上側開口部から内部に灌水をある程度の水勢で投入し、植付ホッパ20a,20b内に付着した泥土の除去に利用する構成としてもよい。
これにより、植付ホッパ20a,20bが開いている間に内部に入り込み、泥土を除去するスクレーパが不要になるので、部品点数の削減が図られる。
上記スクレーパが、植付ホッパ20a,20bの昇降に連動して所定の軌跡を描くものであれば、所定の軌跡で昇降させる機構の部品を削減できるので、部品点数の大幅な削減と、機体構成の簡略化が図られる。
さらに、泥土を灌水で圃場に戻すことができるので、圃場外を泥土で汚染することを防止できると共に、圃場内の養分の流出が軽減される。
上記構成により、チェックバルブ720が機体左右外側の空間部に配置されるので、詰まり等の問題が生じた際に原因の調査やメンテナンス作業が行いやすく、労力の軽減や作業時間の短縮が図られる。
また、吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725の送水方向が同じになる配置としたことにより、分解後の組付作業時に取付方向を間違えにくくなり、作業能率が向上する。
また、チェックバルブ720が水タンク600の後側で、植付ホッパ20a,20bの前側で、且つ灌水ポンプ700の機体外側に配置されることにより、吸水ホース721、排水ホース722、第1中継ホース723a、第2中継ホース723b及び第3中継ホース723cの屈曲を最低限に抑え、且つ重複しにくい配置とすることができる。
なお、吸水チェックバルブ724と排水チェックバルブ725は透明な筒とし、内部のスプリングや逆流防止用のボールを外部から確認できるものとすると、送水方向が視認でき、取付間違いがより生じにくくなる。
上記の灌水ポンプ700による送水は、苗の植付直前に植付ホッパ20a,20b内に水を供給するものであり、生育後の水分不足による生育不良を防止するものであるが、一般的に本件の移植機を用いた植付作業時には、苗の補充作業による植付作業の中断時間を短くすべく、予備苗枠50に複数の苗トレイや苗箱を積載して行われるので、晴天時や乾燥時などには、予備苗枠50に積載した苗マットや苗箱の苗が、時間経過と共に乾燥して水分不足に陥ることがある。
水分不足の苗の植付時に灌水を行うことで、その時点では水分不足を解消することができるが、本来であれば移植後に時間をかけて吸収する水分を用いることになるので、移植後に水分不足となり、生育不良や立ち枯れの原因となるおそれがある。
苗の乾燥を防止するには、予備苗枠50に積載している苗に水を供給することであるが、この作業を行うべく植付作業を中断すると、その分作業能率が低下することになる。また、夏場など気温の高い作業環境では、茎葉部に付着した水滴が熱せられることで苗が熱の影響を受け、いっそう弱ってしまうおそれがある。
上記の問題を防止すべく、予備苗灌水装置200を設けるとよい。この予備苗灌水装置200について、以下に置いて説明する。なお、予備苗枠50は走行車体40の左右両側に各々設けられているが、どちらも同じ構造であるので、左右に分けての記載は省略する。
図19から図22に示すとおり、予備苗枠50の載置台55の左右中央部に、前後方向に亘ってメイン灌水パイプ201を設けると共に、機体左右一側(外側)と左右他側(内側)に、各々サブ灌水パイプ202,203を設ける。これらメイン灌水パイプ201及び左右のサブ灌水パイプ202,203は、積載する苗トレイや苗箱の姿勢を保つべく、載置台55の載置面よりも機体下側に配置する。これにより、作業中の振動や機体の傾斜により苗トレイや苗箱が落下しにくい配置となるので、落下した苗トレイや苗箱を拾う作業が不要であると共に、落下時に苗が傷付いて植え付けに適さなくなることが防止される。
また、メイン灌水パイプ201及び左右のサブ灌水パイプ202,203は、載置台55の肉抜きをしていない部分において、ジョイントパイプ204で各々連結し、各パイプ間で水を移動可能に構成する。なお、ジョイントパイプ204の内部には、オリフィス(図示省略)等を設け、水を機体前側から後側に確実に送ると共に、逆流を防止する構成としてもよい。
そして、メイン灌水パイプ201の機体前端部側には、灌水ポンプ700にから水が送られる送水ホース205を接続する、吸水カップリング206を設ける。この吸水カップリング206の内部にもオリフィス(図示省略)等を設け、水勢を弱めず機体前側から後側に確実に送ると共に、逆流を防止する構成としてもよい。
なお、灌水ポンプ700から予備苗枠50への送水は、必然的に上方に送る必要があるので、灌水ポンプ700はバルブモータ730等を用いて駆動させ、高い送水圧力を確保して安定した水の供給が行われる構成とする。
上記のメイン灌水パイプ201及び左右のサブ灌水パイプ202,203のうち、苗供給装置43や植付ホッパ20a,20bに近い側、図19や図20では機体後側から前後方向中央部よりも機体前側寄りとなる位置には、到達した水を放出する排水バルブ207を、互いに間隔を空けて配置する。一方、排水バルブ207の配置範囲より機体前側には、水を細かい霧状にして放出する噴霧ノズル208を設ける。
上記の排水バルブ207は、放水孔部(図示省略)を複数形成し、水の吹き上がる高さや勢いを抑える構成として、苗トレイや苗箱の底部に形成された複数の径の小さな孔部から少量の水が浸透する構成とする。
これにより、苗の根部と培土からなる根鉢が水勢で崩され、移植に適さない苗になることが防止されると共に、苗の茎葉部に付着した水が熱されることで苗が弱ってしまうことが防止される。また、吹き上がった水が作業座席46に搭乗する作業者に降りかかることが防止される。
また、上記の噴霧ノズル208は、機体上方に真っすぐ噴霧してもよいが、僅かに作業座席46に向かう姿勢で配置すると、作業座席46の周囲に霧のカーテンを形成でき、作業者の体感温度を低下させることができるので、気温の高い作業環境であっても作業者の疲労を軽減できる。
なお、水を細かい霧状(例:粒径16ナノメートル)とすることにより、非常に蒸発しやすくなるので、作業者の衣服に接しても不快感を覚えることがないだけでなく気化熱で身体を冷却でき、作業による疲労を軽減できる。
また、苗に付着しても熱される前に蒸発するので苗を傷めにくく、また、根鉢内に水分が浸透しやすくなるので、水分不足が生じにくくなる。
上記構成では、噴霧ノズル208を載置台55に設けているので、常時、あるいは長時間に亘って霧のカーテンを形成すると、苗に水が供給され過ぎることになる。
したがって、作業座席46の下方周囲にも噴霧ノズル208を設け、こちらの噴霧ノズル208に送水する噴霧ホース(図示省略)を設けると共に、噴霧ノズル208への水の供給を切り替える噴霧バルブモータ208aを設け、一定時間連続して、あるいはシート噴霧スイッチ208bの入切操作が行われるまで連続して霧のカーテンを形成する構成を用いてもよい。
予備苗枠50に積載した苗に灌水することにより、植付前に苗が水分不足になることを防止できるが、このとき多少多めに水を与えておくと、根鉢に含まれる水が、従来の植付ホッパ20a,20bへ供給する水と同じく、植付後にゆっくりと吸収されるものとなる。
従来の灌水と同じく、上下動機構21の動作の度に水を供給していると、過剰な量の水が苗に供給されることになり、根腐れの原因になると共に、根鉢が脆くなり移植機による移植に適さなくなるおそれがある。したがって、バルブモータ730の作動は、上下動機構21の往復上下動の回数が所定回数に到達したときに行うものとするか、あるいは完全に独立させる必要がある。
但し、予備苗灌水装置200による水の供給を、苗の乾燥防止程度の量に留め、上下動機構21が一回上下動する度に植付ホッパ20a,20bに水を供給する構成とするときは、従来どおり上下動機構21と灌水ポンプ700をケーブル等で連結し、灌水が行われる構成とすることが望ましい。
過剰な水の供給を避けるべく、図23に示すとおり、バルブモータ730の入切操作を行うバルブスイッチ731を、作業座席46の周辺や、タブレット等の操作端末の表示画面に配置し、作業者によるバルブスイッチ731の操作により一定時間、あるいは一定回数対応するバルブモータ730が作動し、水を供給する構成とすることが考えられる。
これにより、苗の乾燥が進行していると作業者が判断したときや、予備苗枠50から苗トレイや苗箱を取り出す前に、任意に水を供給することができるので、植付作業に用いる苗が水分不足になり、生育不良や立ち枯れを起こすことが防止される。
あるいは、図24に示すとおり、作業者を苗供給装置43への苗の投入作業に集中させるべく、走行車体40に温度計209を設け、この温度計209が所定値以上の気温を検出すると共に、制御装置210に内装するタイマー211が所定時間を計測する間に亘って所定値以上の気温が検出され続けると、バルブモータ730を作動させる構成としてもよい。
これにより、作業環境の気温が高くなると、苗への水の供給や作業座席46付近の冷却を自動で行わせることができるので、作業者の労力が軽減されると共に、苗供給装置43への苗投入ミスが抑えられ、手作業による植付作業が不要になる。
気温が所定値を超えない状況でも、晴天により日照が強いと、乾燥が生じやすくなることがある。したがって、図24に示すとおり、走行車体40に照度計212を設け、この照度計212が所定値以上の照度を検出すると共に、制御装置210に内装するタイマー211が所定時間を計測する間に亘って所定値以上の照度が検出され続けると、バルブモータ730を作動させる構成としてもよい。
これにより、作業環境の照度が高くなると、苗への水の供給や作業座席46付近の冷却を自動で行わせることができるので、作業者の労力が軽減されると共に、苗供給装置43への苗投入ミスが抑えられ、手作業による植付作業が不要になる。
なお、温度計209と照度計212のどちらを使用する例においても、水の過剰供給を防止すべく、バルブモータ730の作動はタイマー211により時間制限を設けておき、高温または高照度が続いても連続的に水が供給されない構成とする。
さらには、バルブモータ730の作動が停止してからタイマー211が一定の作動牽制時間をカウントし終えるまでは、温度または照度が一定以上に到達しても、バルブモータ730の作動信号を発信させない構成とすることで、水が短時間に何度も供給され、過剰供給となることを防止する。
このとき、バルブスイッチ731が操作されたときは、タイマー211のカウントを無視してバルブモータ730の作動の入切を行う構成とし、作業者の判断したタイミングで水の供給を可能としてもよい。
これにより、予備苗枠50から苗トレイや苗箱を取り出す際に、バルブモータ730の操作ができず待たねばならなくなることが防止され、作業能率の低下が生じなくなる。
なお、温度計209と照度計212を併用し、高温で且つ高照度が検出されたときのみ、バルブモータ730が操作されて水の供給が行われ、苗の乾燥が防止される構成としてもよい。
苗の種類によっては、多くの水を必要とせず、また、根鉢を形成する培土の構成材料によっては保水力が高いことにより、高温で且つ高照度な環境下で作業を継続してはじめて水分不足に陥る可能性が生じるので、本当に必要なときに水の供給が行え、生育不良や立ち枯れが防止される。
上記の排水バルブ207及び噴霧ノズル208は、個々に水の放出を切替可能に構成し、水の供給量や供給位置を変更可能に構成する。これらのバルブ207,208を一定以上閉じる、あるいは苗トレイや苗箱との接触により放水が行われにくくなると、メイン灌水パイプ201及びサブ灌水パイプ202,203の内圧が高くなると共に、送水ホース205への逆流が生じ、水漏れ等の破損が生じる原因となり得る。
これを防止すべく、図19、図20、図22に示すとおり、載置台55の後部で且つ左右中央部に、メイン灌水パイプ201の機体後側端部に接続されるリターンバルブ213を設ける。このリターンバルブ213には還流ホース214を設け、水が流入する際には還流ホース214を介して水タンク600に水を戻す構成とする。
このリターンバルブ213は、内圧が一定未満であるときは水をメイン灌水パイプ201に押し戻す壁となり、内圧が一定値を超えると圧力に比例して開き、還流ホース214への水路を確保する構成とする。
これにより、内圧の上昇により放水バルブ207や噴霧ノズル208から水が漏れ出すことや、逆流の圧で送水ホース205が外れることを防止できるので、余分な水の供給が防止されると共に、予備苗灌水装置200の破損が防止される。
図20から図22に示すとおり、予備苗枠50が上下方向に複数の載置台55を有するものにおいては、最上段の載置台55に予備苗灌水装置200を設ける。これは、最上段の載置台55に載置される苗トレイや苗箱は日照の影響を特に受けやすく、最も水分が早く失われる一方で、中段や下段の載置台55に載置される苗トレイや苗箱は上段の載置台55が日除けになり、水分を失いにくいことによる。
さらには、図・BR>P9に示すとおり、載置台55には苗トレイや苗箱を取り出す際に手を通したり、苗トレイや苗箱から落ちた土や夾雑物を下方に落下させたりする、複数の切欠孔が形成されているので、予備苗灌水装置200が供給した水の一部はこれらの切欠孔から下方の苗トレイや苗箱に落ちていくので、中段や下段に予備苗灌水装置200を設ける必要性に乏しい、というのも理由である。
この構成では、メイン灌水パイプ201、サブ灌水パイプ202,203及びジョイントパイプ204、複数の放水ノズル207及び散布ノズル208の数が限られると共に、送水ホース205や還流ホース214に分岐を設ける必要が無く、コストの過度の増大が防止される効果がある。
一方、上下複数段の載置台55に、各々水の供給が必要となる作業環境も存在し得る。したがって、図25及び図26に示すとおり、各載置台55にメイン灌水パイプ201、サブ灌水パイプ202,203及びジョイントパイプ204、吸水カップリング206,複数の放水ノズル207及び噴霧ノズル208、そしてリターンバルブ213を設けると共に、複数の送水ホース205を送水分岐ジョイント215を介して連結し、各載置台55の吸水カップリング206に装着させる。
また、還流ホース214も複数に分割し、還流分岐ジョイント216を介して連結し、各載置台55のリターンバルブ213に装着させる。
これにより、全ての載置台55に水を供給することができるので、高温、高照度の作業環境下で長時間植付作業を行う際、苗が水分不足で弱ることが防止され、生育不良や立ち枯れの発生が防止される。
なお、水の消費量が増加するので、可能であれば水タンク600の容量をより大容量なものとすると共に、灌水ポンプ700及びバルブモータ730はより多くの水を一度に持ち上げ可能な揚水力を有するものとすることが望ましい。
移植機の植付作業速度は、確実な植付を行うべく、設定によっては時速1kmを割り込むこともある。低速走行であるので、特に夏場は虫が飛来しやすく、作業者の作業を妨害する要因になり得る。
虫による妨害を阻止すべく、防虫成分を含む薬液を水タンク600に適量投入し、特に噴霧ノズル208で霧状に散布することで、作業者の周囲に虫が寄りつきにくくすることが考えられる。なお、防虫用の薬液は、人体や苗に付着しても問題が無く、むしろ苗に一時的に防虫効果を与え得る、ハッカ等から抽出する、植物由来のものを用いることが望ましい。
容量の大きい水タンク600に少量の薬液を投入した際、混ざりが悪いと防虫効果が偏る可能性があるので、図27及び図28に示すとおり、予備苗枠50に薬液混合ボックス217を設け、ここに薬液ボトル218を、内容物を放出可能な状態でセットする。薬液混合ボックス217には、送水ホース205を分割して装着し、薬液を含んだ状態の水が送られる構成とする。
上記の薬液ボトル218は、水が満たされた状態でも内容物が流出する構造とすることが望ましい。
上記により、作業者の周囲に虫が近寄りにくく、作業に集中することが可能になると共に、植え付けた苗にも虫が近寄りにくく、食害や病害により枯れることが防止される。
上記のバルブモータ730の作動には、当然のことながら電気が必要であるが、従来構成にバルブモータ730を追加すると、その分電気の消費量が多くなり、バッテリを大容量にするか、電力をどこかから調達する必要がある。
バッテリの変更、発電装置の搭載のいずれもコストの増加に繋がるが、その分機体の電動化に繋がり、燃料消費の軽減が図られる可能性がある。
発電装置220の一例として、図29に示すとおり、移動する流体に接触する水車翼221を回転軸222の下端部に装着し、この回転軸222の上部には円柱状のマグネット223が装着される。そして、マグネット223を内装するケーシング224の内周面にはコイル225が円周状に配置され、マグネット223の回転により発電され、送電ケーブル226を介して送電される。
なお、水車翼221は、第2中継ホース723bまたは第3中継ホース723c内、あるいは両方に差し込まれ、差込部分には回転軸222を回転自在に支持しつつ漏水を防止するシーリング材227を装着する。
上記の発電装置220は、水の流れによる回転により発電するので、効率的に水勢を得られる箇所に配置することが考えられる。
図30に示すとおり、発電装置200は、灌水ポンプ700の吸込口の直前、または吐出口の直後のどちらか、あるいは両方に配置する。灌水ポンプ700の吸込口付近及び吐出口付近は、機械的な吸い込み、吐き出しの力により水の流速が速いので、マグネット223を高速で確実に回転させ、発電させることが可能になる。
一方、水車翼221の形状や回転軸222の支持が適切であれば、過度な水の流速は不要であり、キャビテーションによる水車翼221や回転軸222の摩耗や破損の原因となる。
したがって、図31に示すとおり、発電装置200は、第2中継ホース723bまたは第3中継ホース723c内、あるいは両方の内部で、且つ灌水ポンプ700の吸込口または吐出口、あるいは両方から離間した位置に配置する。この離間した位置とは、吸込口側は吸水チェックバルブ724の流水方向下手側位置であり、吐出口側は排水チェックバルブ725の流水方向上手側位置である。
これにより、水車翼221が接触する水を、吸い込みの影響で加速される前の水、吐出口から離れて減速された水、あるいは両方の水とすることができるので、強力なキャビテーションの発生が無く、発電装置220の破損が防止される。
また、水車翼221との接触で水が減速されるので、送水経路内のキャビテーションを軽減でき、送水経路の耐久性の低下が防止される。
発電装置220で発電した電気は、図32に示すとおり、補助バッテリ230を充電し、通電可能な容量を超えるとバルブモータ730を駆動させる構成とする。しかしながら、一定量以上の電気が補助バッテリ230が充電されていないと、バルブモータ730を作動させられず、必要な時に灌水ポンプ700が作動しない可能性がある。
この問題に対応すべく、補助バッテリ230とメインバッテリ231に各々通電コネクタ232,233を接続し、メインバッテリ231側にエンジン41等を始動した後も余力があれば、補助バッテリ230に電気を融通する構成としてもよい。また、上記の通電コネクタ232,233の接続時に、メインバッテリ231の充電量が低下し、補助バッテリ230に余力があるときは、逆に補助バッテリ230からメインバッテリ231に電気を融通するものとする。
なお、通電コネクタ232,233の接続を解除すると、上記の電気の融通は行われない構成とする。
移植機の作業環境は野外、あるいはビニルハウス内であることが多く、どちらも日照を得られる環境である。したがって、図32及び図33に示すとおり、ソーラーパネル234を移植機に搭載し、圃場への移動中及び作業中に太陽光を利用して発電を行い、この電気を補助バッテリ230に充電することが考えられる。
なお、図33では、苗供給装置43の空きスペースにソーラーパネル234を配置しているが、エンジン41のカバーの上部など、太陽光を受けやすい位置に配置してもよく、また、複数個所に各々配置してもよい。また、このソーラーパネル234は固定せず、着脱可能なものとすると、雨天や曇天などの発電が見込めない状況では取り外すことで機体重量を軽減できると共に、雨水等を受けて劣化することを防止できる。
あるいは、手回しクランク235を装着したダイナモ236を補助バッテリ230に接続可能とし、作業者が手回しで発電して充電させる方法を用いることも考えられる。
この構成では、天候等の条件に左右されず、作業者が可能な限り発電を行うことができるので、充電不足により植付作業が継続できなくなることを防止できる。
上記の発電は、現在のメインバッテリ231及び補助バッテリ230の充電状況がわからなければ、無駄になる可能性がある。したがって、図33に示すとおり、作業者の目につきやすい場所、例えば苗供給装置43の作業座席46に向かう面に、バッテリインジケータ237を設け、視覚的に充電状況を把握できる構成とするとよい。
これにより、不要な発電作業、特に手回しクランク235を回す作業が不要になるので、作業者の労力が過度に増大することが防止される。また、根本的にメインバッテリ231の充電量が不足しているときなどは、メインバッテリ231そのものを交換する等の対応を考えやすくなるので、作業の中断が生じにくくなる。
なお、バッテリは充電中に発熱するが、夏場等の高温状況では外気の影響でさらに高温化しやすく、充電に適さない状態になることがある。メインバッテリ231及び補助バッテリ230の高温化を防止すべく、図34に示すとおり、ペルチェ素子238をメインバッテリ231及び補助バッテリ230の側面に配置する。
このペルチェ素子238は吸熱面238aがメインバッテリ231及び補助バッテリ230に臨み、発熱面238bが反対側を向く通電方向とし、メインバッテリ231及び補助バッテリ230の熱を吸収して離間する側に放出するものとする。発熱面238bの外側には、通気用のスリット付きカバー239を設け、発熱面238bに作業者が誤って触れることを防止しつつ、通気による発熱面238bの過熱を抑制する。
これにより、メインバッテリ231及び補助バッテリ230の熱を吸熱面n238aで吸収して発熱面238bから排熱できるので、過熱により充電が停止することが防止される。
なお、ペルチェ素子238の吸熱面238aと発熱面238bの温度差が大きくなると、ゼーベック効果により僅かでも発電するので、この電気を補助バッテリ230に送電するケーブル(図示省略)を接続してもよい。これにより、消費した電気を補えるので、電気不足が生じにくくなる。
あるいは、図35に示すとおり、メインバッテリ231及び補助バッテリ230の側方に電動モータ241により回転する冷却ファン240を設け、連続的、あるいは間欠的に回転させてメインバッテリ231及び補助バッテリ230を冷却する構成としてもよい。なお、冷却ファン240への作業者の接触防止、及び防塵用に、スリット付きカバー239を装着するものとする。
これにより、冷却風でメインバッテリ231及び補助バッテリ230の冷却ができるので、過熱により充電が停止することが防止される。
なお、ペルチェ素子238または冷却ファン240への通電は、補助バッテリ231から行うものとし、充電量に余力があるとき(例:50%以上)のみ通電するものとする。あるいは、メインバッテリ231及び補助バッテリ230に温度センサ(図示省略)を設け、要冷却と判定する温度が検出されると一定時間通電する構成とすると、必要なときだけ電気が消費されることになり、充電不足が生じにくくなる。