JP2022100263A - トナー、樹脂微粒子、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、トナーの製造方法、及び画像形成方法 - Google Patents

トナー、樹脂微粒子、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、トナーの製造方法、及び画像形成方法 Download PDF

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朋美 原島
Tomomi Harashima
純一 渡邊
Junichi Watanabe
裕士 山下
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慎也 中山
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Abstract

【課題】帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性、並びに定着後の耐ブロッキング性に優れたトナー及び樹脂微粒子を提供する。【解決手段】本発明に係るトナーは、架橋成分を含み、前記架橋成分は、3つ以上に分岐し、かつ末端を金属架橋した非線状ポリマーを含み、前記非線状ポリマーの、ガラス転移温度Tgが-60℃以上0℃未満である。【選択図】なし

Description

本発明は、トナー、樹脂微粒子、現像剤、トナー収容ユニット、画像形成装置、トナーの製造方法、及び画像形成方法に関する。
トナーを利用した複合機(MFP)及びプリンタ等の画像形成装置は、オフィスなど様々な場所で広く利用されている。トナーには、出力画像の高品質化と、定着時の消費電力を抑えて省エネルギー化とを図るために、耐高温オフセット性及び低温定着性が要求されている。
耐高温オフセット性及び低温定着性の改善を図ったトナーとして、例えば、所定の結着樹脂、ワックス及び着色剤を含有するトナー母粒子と、所定の窒化ホウ素粒子とを混合したトナー母粒子を熱風により表面処理して得られるトナー粒子を含むトナーが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明の一態様は、帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性、並びに定着後の耐ブロッキング性に優れたトナー及び樹脂微粒子を提供することを目的とする。
本発明に係るトナーの一態様は、架橋成分を含み、前記架橋成分は、3つ以上に分岐し、かつ末端を金属架橋した非線状ポリマーを含み、前記非線状ポリマーの、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが-60℃以上0℃未満であることを特徴とする。
本発明によれば、帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性、並びに定着後の耐ブロッキング性に優れたトナー及び樹脂微粒子を提供することができる。
一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 一実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 図3の画像形成装置の部分拡大図である。 一実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、実施形態は以下の記述によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本明細書において数値範囲を示すチルダ「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
(トナー)
本発明に係るトナーの一態様は、架橋成分を含み、前記架橋成分は、3つ以上に分岐し、かつ末端を金属架橋した非線状ポリマーを含み、前記非線状ポリマーの、示差走査熱量測定(DSC)のガラス転移温度Tgが-60℃以上0℃未満である。
本発明に係るトナーの一態様は、架橋成分を含み、前記架橋成分は、結着樹脂として、THF(テトラヒドロフラン)不溶分を少なくとも含み、前記THF不溶分は、3つ以上に分岐した非線状ポリマーと、金属イオンとを含み、前記THF不溶分の、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが-60℃以上0℃未満である。
従来技術である前記特許文献1のトナーでは、帯電性及び耐ブロッキング性の改善については検討されていない。一般的に、トナーの帯電性が低下すると、地汚れやトナーの飛散を生じる可能性があり、また、優れた低温定着性を得ようとすると、トナーを構成する結着樹脂の熱特性を下げる必要があるため、低温定着性と耐ブロッキング性とを両立することは困難であることが知られている。
本発明者らは、結着樹脂や架橋成分を含むトナーについて鋭意検討した結果、架橋成分の分岐構造、末端構造、及びガラス転移温度Tgと、架橋成分の性質との関係に着目した。そこで、架橋成分が3つ以上に分岐し、かつ末端を金属架橋した非線状ポリマーを含み、前記非線状ポリマーのDSCのガラス転移温度Tg、特に昇温2回目におけるガラス転移温度Tg2ndを、-60℃以上0℃未満とすることで、前記架橋成分は、低温で変形するが流動しないというゴム状の性質を発揮することができる。そのため、本発明のトナーは、結着樹脂の他に、上記のような構成を有する架橋成分を含むことで、低温定着性を維持しつつ、帯電性、耐高温オフセット性、及び定着後の耐ブロッキング性を高めることができることを見出した。
<結着樹脂>
本発明に係るトナーの一態様は、結着樹脂として、非晶性ポリエステル樹脂を含み、必要に応じて、結晶性ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。前記非晶性ポリエステル樹脂は、線状であることが好ましい。また、前記非晶性ポリエステル樹脂は、未変性ポリエステル樹脂であることが好ましい。
本発明に係るトナーの一態様は、結着樹脂として、THF(テトラヒドロフラン)不溶分を少なくとも含み、必要に応じて、結晶性樹脂を含んでいてもよい。
<<未変性ポリエステル樹脂>>
前記未変性ポリエステル樹脂とは、多価アルコールと、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステル等の多価カルボン酸又はその誘導体と、を用いて得られるポリエステル樹脂であって、イソシアネート化合物等により変性されていないポリエステル樹脂のことを示す。
前記未変性ポリエステル樹脂における多価アルコールとしては、例えば、ジオールなどが挙げられる。
前記未変性ポリエステル樹脂におけるジオールとしては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレン(炭素数2~3)オキサイド(平均付加モル数1~10)付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAのアルキレン(炭素数2~3)オキサイド(平均付加モル数1~10)付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価カルボン酸としては、例えば、ジカルボン酸などが挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、マレイン酸;ドデセニルコハク酸、オクチルコハク酸等の炭素数1~20のアルキル基又は炭素数2~20のアルケニル基で置換されたコハク酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
酸価及び水酸基価を調整する目的で、前記結着樹脂は、その樹脂鎖の末端に3価以上のカルボン酸及び3価以上のアルコールの少なくともいずれかを含んでいてもよい。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、又はそれらの酸無水物などが挙げられる。
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
前記結着樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mgKOH/g~50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g~30mgKOH/gがより好ましい。
前記結着樹脂の酸価が、1mgKOH/g以上であることにより、トナーが負帯電性となりやすく、更には、紙への定着時に、紙とトナーとの親和性が良くなり、低温定着性を向上させることができ、好適である。
前記結着樹脂の酸価が、50mgKOH/g以下であれば、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性の低下を抑制することができ、好適である。
前記結着樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5mgKOH/g以上であることが好ましい。
前記結着樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂の分子量が低すぎる場合、トナーの耐熱保存性、現像機内での攪拌等のストレスに対する耐久性が劣る場合があり、前記結着樹脂の分子量が高すぎる場合、トナーの溶融時の粘弾性が高くなり低温定着性が劣る場合があることから、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定において、前記結着樹脂の重量平均分子量Mwは、3000~10000であることが好ましく、4000~7000がより好ましい。また、前記結着樹脂の数平均分子量Mnは、1000~4000であることが好ましく、1500~3000がより好ましい。
また、前記結着樹脂におけるMw/Mnは、1.0~4.0が好ましく、1.0~3.5がより好ましい。
前記結着樹脂におけるガラス転移温度Tgは、40℃~70℃が好ましく、50℃~60℃がより好ましい。
前記結着樹脂におけるガラス転移温度Tgが、40℃以上であると、トナーの耐熱保存性及び現像機内での攪拌等のストレスに対する耐久性や、耐フィルミング性を維持することができ、好適である。
前記結着樹脂におけるガラス転移温度Tgが、70℃以下であると、トナーの定着時における加熱及び加圧による変形が十分であり、十分な低温定着性を得ることができ、好適である。
前記結着樹脂の分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができる。簡便には、赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm‐1及び990±10cm‐1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有しないものを結着樹脂として検出する方法などが挙げられる。
前記結着樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、50質量部~90質量部が好ましく、60質量部~80質量部がより好ましい。
前記結着樹脂の含有量が50質量部以上であると、トナー中の顔料及び離型剤の分散性を維持することができ、画像のかぶり及び乱れが生じ難くなるため好適である。
前記結着樹脂の含有量が90質量部以下であると、後述する非線状ポリマーの含有量の減少を抑えることができ、低温定着性を維持することができるため好適である。
また、前記結着樹脂の含有量が上記のより好ましい範囲であると、高画質及び低温定着性の全てに優れるため好適である。
<<結晶性樹脂>>
前記結晶性樹脂は、定着温度付近において、融解するものが好ましい。このような結晶性樹脂をトナー中に含有させておくことによって、定着温度では、結晶性樹脂の融解に伴って結着樹脂と相溶化し、トナーのシャープメルト性を向上させ、低温定着性に優れた効果を発揮する。
前記結晶性樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃~100℃が好ましい。
前記結晶性樹脂の融点が60℃以上であると、結晶性樹脂が低温で融解し難いため、トナーの耐熱保存性を維持することができるため好適である。
前記結晶性樹脂の融点が100℃以下であると、トナーは十分な低温定着性を発揮することができるため好適である。
前記結晶性樹脂としては、結晶性を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ビニル系樹脂、変性結晶性樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明における結着樹脂が、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有する場合、前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、3質量部~20質量部が好ましく、5質量部~15質量部がより好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が3質量部以上であると、結晶性ポリエステル樹脂によるシャープメルト化が十分に得られるため、十分な低温定着性を発揮することができ好適である。
前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が20質量部以下であると、耐熱保存性を維持できると共に、画像のかぶりが生じ難くなるため好適である。
また、前記結晶性ポリエステル樹脂の含有量が、上記のより好ましい範囲内であると、高画質、及び低温定着性の全てに優れるため好適である。
<架橋成分>
本発明に係るトナーの一態様は、架橋成分を含み、前記架橋成分は、3つ以上に分岐し、かつ末端を金属架橋した非線状ポリマーを含み、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
本発明に係るトナーの一態様は、架橋成分を含み、前記架橋成分は、結着樹脂として、THF不溶分を少なくとも含有し、前記THF不溶分は、3つ以上に分岐した非線状ポリマーと、金属イオンとを含み、必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
<<非線状ポリマー>>
本発明おける非線状ポリマーは、非線状の反応性前駆体と金属イオンとの反応により得られる。
前記非線状ポリマーの金属架橋は、金属塩による金属イオンからなり、ウレタン、ウレア基を含まないため、帯電性が優れる。
<<<非線状の反応性前駆体>>>
前記非線状の反応性前駆体としては、後述する金属イオンと反応可能な基を有するポリエステル(以下、プレポリマーと称することがある。)であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記プレポリマーにおける金属イオンと反応可能な基としては、例えば、カルボン酸などが挙げられる。
前記プレポリマーは、非線状である。なお、本明細書における非線状とは、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかによって付与される分岐構造を有することを意味する。
前記3価以上のアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記3価以上の脂肪族アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどが挙げられる。
前記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキシド付加物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上のポリフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したものなどが挙げられる。
前記3価以上のカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、3価以上の芳香族カルボン酸などが挙げられる。また、これらの無水物を用いてもよいし、低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物を用いてもよいし、ハロゲン化物を用いてもよい。
前記3価以上の芳香族カルボン酸としては、炭素数9~20の3価以上の芳香族カルボン酸が好ましい。
前記炭素数9~20の3価以上の芳香族カルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸などが挙げられる。
前記プレポリマーの具体例としては、イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂などが挙げられる。
<<<<イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂>>>>
前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基を有するポリエステル樹脂と、ポリイソシアネートとの反応生成物などが挙げられる。前記反応生成物は、後述する硬化剤との反応に使用することができる。
-活性水素基を有するポリエステル樹脂-
前記活性水素基を有するポリエステル樹脂は、例えば、ジオールと、ジカルボン酸と、3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸の少なくともいずれかと、を重縮合することにより得られる。前記3価以上のアルコール及び3価以上のカルボン酸は、前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂に分岐構造を付与する。
--ジオール--
前記活性水素基を有するポリエステル樹脂におけるジオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール等の脂肪族ジオール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のオキシアルキレン基を有するジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等の脂環式ジオール;脂環式ジオールに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;ビスフェノール類に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したもの等のビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4以上12以下の脂肪族ジオールが好ましい。これらのジオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--ジカルボン酸--
前記活性水素基を有するポリエステル樹脂におけるジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、これらの無水物を用いてもよいし、低級(炭素数1~3)アルキルエステル化物を用いてもよいし、ハロゲン化物を用いてもよい。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
前記炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
前記活性水素基を有するポリエステル樹脂におけるジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等の中でも、炭素数4~12の脂肪族ジカルボン酸が好ましい。これらのジカルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--3価以上のアルコール--
前記活性水素基を有するポリエステル樹脂における3価以上のアルコールは、上述の前記プレポリマーにおけるものと同様であるため、詳細は省略する。
--3価以上のカルボン酸--
前記活性水素基を有するポリエステル樹脂における3価以上のカルボン酸は、上述の前記プレポリマーにおけるものと同様であるため、詳細は省略する。
-ポリイソシアネート-
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジイソシアネート、3価以上のイソシアネートなどが挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。
前記脂肪族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトカプロン酸メチル、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記脂環式ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記芳香族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリレンジイソシアネート、ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジイソシアナトジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジメチルジフェニル、4,4'-ジイソシアナト-3-メチルジフェニルメタン、4,4'-ジイソシアナト-ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
前記芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α,α,α',α'-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
前記イソシアヌレート類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリス(イソシアナトシクロアルキル)イソシアヌレートなどが挙げられる。
これらのポリイソシアネートは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-硬化剤-
前記硬化剤としては、前記プレポリマーと反応するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性水素基含有化合物などが挙げられる。
--活性水素基含有化合物--
前記活性水素基含有化合物における活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記活性水素基含有化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ウレア結合を形成可能な点で、アミン類が好ましい。
前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアミン、3価以上のアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のアミンとの混合物が好ましい。
前記ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミンなどが挙げられる。
前記芳香族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
前記脂環式ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどが挙げられる。
前記脂肪族ジアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
前記3価以上のアミンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記アミノ基をブロックしたものとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ基を、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類でブロックすることにより得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂等の非線状ポリマーの分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができる。簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1及び990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有しないものを、前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂等の非線状ポリマーとして検出する方法などが挙げられる。
前記非線状ポリマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、50質量部~90質量部が好ましく、70質量部~85質量部がより好ましい。
前記非線状ポリマーの含有量が、50質量部以上であれば、低温定着性、及び耐高温オフセット性を維持することができ好適である。
前記非線状ポリマーの含有量が、90質量部以下であれば、耐熱保存性と、定着後に得られる画像の光沢度及び着色度を維持することができ好適である。
前記非線状ポリマーの含有量が、上記のより好ましい範囲内であれば、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐熱保存性の全てに優れるため好適である。
<<金属イオン>>
前記金属イオンは、上述の通り、前記非線状の反応性前駆体の端部を架橋させる架橋剤として機能する。前記金属イオンは、優れた定着性を発揮するために、2種類以上であり、かつ2価以上であることが好ましい。
前記反応性前駆体の端部を前記金属イオンで架橋させる手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属塩を添加することで、反応性前駆体の端部とイオン架橋させる方法などが挙げられる。前記金属塩は、反応性前駆体を溶解した溶液中に添加混合して架橋してもよいし、水系媒体中に分散させた反応性前駆体を含む溶液のエマルションを作製し、前記水系媒体中に金属塩を添加混合して架橋してもよい。
前記金属イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価の金属イオン、3価の金属イオン、4価の金属イオンなどが挙げられる。
前記2価の金属イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオンなどが挙げられる。これらの中でも、ストロンチウムイオンが好ましい。
前記3価の金属イオンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、インジウムイオン、タリウムイオンなどが挙げられる。これらの中でも、アルミニウムイオンが好ましい。
前記金属イオンが2種類以上含まれる場合、反応速度差を出す点から、前記金属イオンは、それぞれが異なる価数を有することが好ましい。
前記金属イオンが2種類以上含まれる場合、それぞれの前記金属イオン半径の差は、50pm以上が好ましく、55pm~120pmがより好ましく、60pm~65pmがさらに好ましい。
前記金属イオンのイオン半径の差が50pm以上であれば、反応性が上がり、ホットオフセットと低温定着とを両立することができる。即ち、前記イソシアネート基を含有するポリエステル樹脂を架橋していくと、金属イオンと反応させるカルボキシル基(-COOH)同士の距離が離れていくが、そこに大きいイオン半径の金属イオンがあれば反応しやすくなり、より架橋が進み易くなる。一方、架橋により反応物が大きくなると、立体障害も大きくなるが、そこにイオン半径の小さな金属イオンがいれば、立体の隙間に入り込むことができ、架橋反応が更に進み易くなる。また、反応性が上がることで、非晶性樹脂とも反応することができ、前記非晶性ポリエステル樹脂と反応すれば、一実施形態に係るトナーのホットオフセット及び定着性を高めることができる。
本発明における非線状ポリマー中の金属イオンは、トナー中のTHF不溶分を蛍光X線分析法で分析することで、定性的に金属イオン種を確認することができる。本発明においては、例えば、蛍光X線装置ZSX PrimusIV((株)リガク社製)を用いて、金属イオンの定性分析を行うことができる。
測定するTHF不溶分試料の形態は、特に限定されるものではないが、一般的な加圧成型器などでペレット状またはシート状に成型すると取り扱いしやすい。例えば、直径15mmの錠剤成型ダイスに試料を投入し、錠剤成型ダイスごと、ガラス転移温度以上に保った高温槽で1時間程度置き、その後直ちに、6MPaの荷重で1分間加圧することで得られる、厚さ約2mmのTHF不溶分のペレット錠剤を、蛍光X線装置の試料ホルダーに設置し、定性分析測定を実施することで、試料中に含有する金属元素を検出することが出来る。
本発明における前記非線状ポリマーは、DSCのガラス転移温度Tgが-60℃以上0℃未満である。前記非線状ポリマーの、DSCのガラス転移温度Tgは、DSCの昇温2回目におけるガラス転移温度Tg2ndであることが好ましい。
前記非線状ポリマーは非晶性ポリエステルであるため、DSCの昇温1回目におけるガラス転移温度Tg1st及び昇温2回目におけるガラス転移温度Tg2ndのいずれにおいても、ガラス転移温度Tgの値に大きな変化は生じない。しかし、非線状ポリマーのガラス転移温度Tgは、一般にバルク状態で加熱されて測定されるため、DSCの昇温1回目におけるガラス転移温度Tg1stの時は、非線状ポリマー中に空気等を含み、ノイズが多くなることが考えられる。DSCの昇温2回目におけるガラス転移温度Tg2ndのときは、非線状ポリマー中に空気等は殆ど含まれず、ノイズが少ないため、安定して測定することができる。
前記非線状ポリマーの、DSCの昇温2回目におけるガラス転移温度Tg2ndは、上述の通り、-60℃以上0℃未満であり、-50℃~-10℃がより好ましく、-40℃~-20℃がさらに好ましい。
前記非線状ポリマーの、DSCのガラス転移温度Tg2ndが、-60℃以上であると、低温でのトナーの流動が抑制できずに、耐熱保存性が悪化すると共に、耐フィルミング性が悪化するという問題を解消することができ、好適である。
前記非線状ポリマーにおけるDSCのガラス転移温度Tg2ndが、0℃未満であると、定着時の加熱及び加圧によるトナーが十分に変形できず、低温定着性が不十分であるという問題を解消することができ、好適である。
本発明におけるトナー中の架橋成分は、上述のように非線状ポリマーを有しており、前記非線状ポリマーは、金属イオンにより金属架橋しているため、THF(テトラヒドロフラン)には不溶なゲル状ポリマーとなっている。従って、本発明における非線状ポリマーのガラス転移温度は、トナーのTHF不溶分のガラス転移温度を測定することで確認することができる。
本発明におけるトナーのTHF不溶分を得る方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択でき、例えば、溶解濾過法やソックスレー抽出法を用いて、抽出残渣を得る方法などが挙げられる。
本発明においては、例えば、以下に記した溶解濾過法を用いてTHF不溶分を得ることができる。
まず、トナー1gを秤量し、100mLのTHF中に投入し、25℃の環境下にて撹拌子を用いて6時間撹拌し、トナーの可溶分が溶解した溶解液を得た。次いで、前記溶解液を目開き0.2μmのメンブランフィルターにて濾過し、濾過物を再び50mLのTHF中に投入し、撹拌子を用いて10分間撹拌した。この作業を2、3回繰り返し、得られた濾過物を、120℃、10kPa以下の環境下で乾燥させ、THF不溶分を得た。
なお、ソックスレー抽出法を用いる場合は、トナー1部に対してTHF100部にて、6時間以上還流を行い、THF不溶分と可溶分とに分取することが望ましい。
前記非線状ポリマーの重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPC測定において、20000~1000000が好ましい。なお、前記非線状ポリマーの重量平均分子量は、非線状の反応性前駆体と金属イオンとを反応させた反応生成物の分子量である。
前記非線状ポリマーの重量平均分子量が20000以上であれば、トナーは低温でも流動せず、耐熱保存性を維持でき、また、溶融時の粘性を維持でき、耐高温オフセット性を維持することができ、好適である。
前記非線状ポリマーの分子構造は、溶液又は固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定等により確認することができる。簡便には、赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1及び990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有しないものを非線状ポリマーとして検出する方法などが挙げられる。
<<他の成分>>
前記他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、離型剤、着色剤、帯電制御剤、外添剤、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料などが挙げられる。
<<<離型剤>>>
前記離型剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができる。ロウ類及びワックス類の離型剤としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;等の天然ワックスなどが挙げられる。
また、これら天然ワックスの他、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックスなどが挙げられる。
更に、12-ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド系化合物;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ-n-ステアリルメタクリレート、ポリ-n-ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体又は共重合体(例えば、n-ステアリルアクリレート-エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子などを用いてもよい。
前記離型剤として上記に例示したワックスの中でも、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の炭化水素系ワックスが好ましい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃~80℃が好ましい。
前記離型剤の融点が60℃以上であると、低温で離型剤が溶融し難くなり、耐熱保存性を維持することができるため好適である。
前記離型剤の融点が80℃以下であると、樹脂が溶融して定着温度領域にある場合でも、前記離型剤が充分溶融して定着オフセットが生じ難く、画像の欠損を生じ難くなるため好適である。
前記離型剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、2質量部~10質量部が好ましく、3質量部~8質量部がより好ましい。
前記離型剤の含有量が2質量部以上であると、定着時の耐高温オフセット性、及び低温定着性を維持することができるため好適である。
前記離型剤の含有量が10質量部以下であると、耐熱保存性が低下すると共に、画像のかぶり等を生じ難くすることができるため好適である。
前記離型剤の含有量が、上記より好ましい範囲内であると、高画質化、及び定着安定性を向上させることができ、好適である。
<<<着色剤>>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン系染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボンなどが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、1質量部~15質量部が好ましく、3質量部~10質量部がより好ましい。
前記着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造に用いられる樹脂(マスターバッチ用樹脂)、又はマスターバッチとともに混練される樹脂としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp-クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の重合体;スチレン-p-クロロスチレン共重合体、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸ブチル共重合体、スチレン-アクリル酸オクチル共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記マスターバッチは、前記マスターバッチ用樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合し、混練して得ることができる。この際、前記着色剤と前記樹脂との相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練を行い、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分とを除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
<<<帯電制御剤>>>
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。
具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP-51、含金属アゾ染料のボントロンS-34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE-82、サリチル酸系金属錯体のE-84、フェノール系縮合物のE-89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP-302、TP-415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、LRA-901、ホウ素錯体であるLR-147(以上、日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー100質量部に対して、0.1質量部~10質量部が好ましく、0.2質量部~5質量部がより好ましい。
前記帯電制御剤の含有量が、10質量部以下であると、トナーの帯電性が大きくなり過ぎず、帯電制御剤の効果を維持することができるため、現像ローラとの静電的吸引力が増大し過ぎず、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を抑制することができ好適である。これらの帯電制御剤はマスターバッチを、樹脂と共に溶融混練した後、溶解分散させることもできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えてもよいし、トナー表面にトナー粒子作製後固定化させてもよい。
<<<外添剤>>>
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、金属酸化物(例えば、チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、フルオロポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、無機微粒子が好ましく、疎水化処理された無機微粒子がより好ましい。
前記無機微粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸パリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。これらの中でも、シリカ、二酸化チタンが好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100nm以下が好ましく、3nm以上70nm以下がより好ましい。
前記無機微粒子の一次粒子の平均粒径が、上記範囲内であれば、無機微粒子がトナー中に埋没することが抑えられ、無機微粒子の機能が有効に発揮でき、また、感光体の表面を不均一に傷つけることを抑えることができる。
前記疎水化された無機微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択できるが、例えば、疎水化処理されたシリカ微粒子、疎水化処理されたチタニア微粒子、疎水化処理された酸化チタン微粒子、疎水化処理されたアルミナ微粒子が好ましい。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記シリカ微粒子としては、例えば、R972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(いずれも、日本アエロジル社製)などが挙げられる。
前記チタニア微粒子としては、例えば、P-25(日本アエロジル社製)、STT-30、STT-65C-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-140(富士チタン工業株式会社製)、MT-150W、MT-500B、MT-600B、MT-150A(いずれも、テイカ株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、例えば、T-805(日本アエロジル株式会社製)、STT-30A、STT-65S-S(いずれも、チタン工業株式会社製)、TAF-500T、TAF-1500T(いずれも、富士チタン工業株式会社製)、MT-100S、MT-100T(いずれも、テイカ株式会社製)、IT-S(石原産業株式会社製)などが挙げられる。
前記疎水化処理は、例えば、親水性の微粒子を、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。
また、シリコーンオイルを無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、シリコーンオイル処理無機微粒子も好適である。
前記シリコーンオイルを用いる場合、必要ならば熱を加えて処理してもよい。
前記シリコーンオイルとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー100質量部に対して、0.1質量部~5質量部が好ましく、0.3質量部~3質量部がより好ましい。
前記外添剤は、酸化物微粒子の他に、無機微粒子や疎水化処理された無機微粒子を併用することができる。
前記疎水化処理された無機微粒子の中でも、疎水化処理された無機微粒子の一次粒子の平均粒径は1nm~100nmが好ましく、5nm~70nmの無機微粒子がより好ましい。
前記外添剤としては、前記疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも1種類以上含み、かつ30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類含むことが好ましい。
前記外添剤のBET法による比表面積は、20m/g~500m/gが好ましい。
<<<流動性向上剤>>>
前記流動性向上剤としては、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。
前記シリカ及び前記酸化チタンは、このような流動性向上剤により表面処理を行い、疎水性シリカ、疎水性酸化チタンとして使用するのが特に好ましい。
<<<クリーニング性向上剤>>>
前記クリーニング性向上剤は、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加されるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。
前記ポリマー微粒子は、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、体積平均粒径が0.01μm~1μmのものが好適である。
<<<磁性材料>>>
前記磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
本実施形態に係るトナーにおけるDSCの昇温1回目におけるガラス転移温度Tg1stは、20℃~40℃としてよい。従来のトナーでは、一般に、ガラス転移温度Tgが40℃を超えており、比較的高いガラス転移温度Tgを有する。そのため、例えば、ガラス転移温度Tgが50℃以下になると、夏場や熱帯地方のような高温でのトナーの輸送時及び保管環境での温度変化により、トナーの凝集が発生し易くなる。その結果、トナーボトル中での固化、及び現像機内でのトナーの固着が発生し易い。また、トナーボトル内でのトナー詰りによる補給不良及び現像機内でのトナー固着による画像異常が発生し易くなる。
本実施形態に係るトナーは、ガラス転移温度Tg1stを20℃~40℃とし、従来のトナーのガラス転移温度Tgより低くても、トナーに含まれるポリマーは非線状であるため、ガラス転移温度Tg1stを低くする機能を有しつつ耐熱保存性を保持することができる。
本実施形態に係るトナーでは、ガラス転移温度Tg1stが20℃以上であれば、トナーの耐熱保存性を維持し、現像機内でのブロッキング及び感光体へのフィルミングを抑制することができ好適である。
本実施形態に係るトナーでは、ガラス転移温度Tg1stが40℃以下であれば、トナーは低温定着性を発揮することができ好適である。
また、本実施形態に係るトナーの、ガラス転移温度Tg1stと、DSCの昇温2回目のガラス転移温度Tg2ndとの差(Tg1st-Tg2nd)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10℃以上であることが好ましい。前記差(Tg1st-Tg2nd)の上限は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以下が好ましい。
前記差(Tg1st-Tg2nd)が10℃以上であれば、より低温定着性に優れるため好適である。前記差(Tg1st-Tg2nd)が10℃以上であることは、加熱前(昇温1回目の前)には、非相溶状態で存在していた結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂が、加熱後(昇温1回目の後)には相溶状態になることを意味する。なお、加熱後の相溶状態は、完全な相溶状態である必要はない。
本実施形態に係るトナーの融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃~80℃が好ましい。
本実施形態に係るトナーの、テトラヒドロフラン(THF)不溶分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15質量%~35質量%が好ましく、20質量%~30質量%がより好ましい。
前記THF不溶分の含有量が、15質量%以上であれば、定温定着性を維持することができ、35質量%以下であれば、耐熱保存性を維持することができるため、好適である。
本発明におけるトナー中のTHF不溶分の含有量は、トナーのソックスレー抽出法から得られるTHF不溶分量を電子天秤で秤量することで測定でき、以下(1)式により求めることができる。
(THF不溶分量(g)/抽出前のトナー量(g))×100・・・(1)式
前記THF不溶分は、非線状の非晶性ポリエステル樹脂に該当する。本実施形態に係るトナーは、従来のトナーよりガラス転移温度Tgが低いが、前記THF不溶分を特定量含有することにより、十分な耐熱保存性を保持することができる。
本発明のトナーの体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3μm~7μmが好ましい。
本発明のトナーにおける個数平均粒径に対する体積平均粒径の比は、1.2以下が好ましい。
本発明のトナーにおいて、体積平均粒径が2μm以下である成分を1個数%以上10個数%以下含有することが好ましい。
<トナー及びトナー構成成分の各種特性の算出方法及び分析方法>
非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、及び離型剤のガラス転移温度Tg、酸価、水酸基価、分子量、並びに融点は、それぞれ、それ自体について測定してもよいし、トナーからGPC等により分離を行い、その分離した各成分を、後述の分析手法を用いて、構成モノマー比率、融点、及びガラス転移温度Tgを算出してもよい。
GPCによる各成分の分離は、例えば、以下の方法により行うことができる。
(1)テトラヒドロフラン(THF)を移動相としたGPC測定において、溶出液についてフラクションコレクター等により分取を行い、溶出曲線の全面積分のうちの所望の分子量部分に相当するフラクションをまとめる。
(2)このまとめた溶出液をエバポレーター等により濃縮及び乾燥した後、固形分を重クロロホルム又は重THF等の重溶媒に溶解させ、H-NMR測定を行い、各元素の積分比率から、溶出成分における樹脂の構成モノマー比率を算出する。
(3)また、他の手法としては、溶出液を濃縮後、水酸化ナトリウム等により加水分解を行い、分解生成物を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等により定性定量分析することで構成モノマー比率を算出する。
<<トナー構成成分の分離方法>>
一実施形態に係るトナーを分析する際の各成分の分離方法の一例を詳細に示す。
まず、トナー1gを100mLのTHF中に投入し、25℃の条件下、30分間攪拌しながらTHF可溶分が溶解した溶解液を得る。次いで、溶解液を目開き0.2μmのメンブランフィルターにてろ過し、トナー中のTHF可溶分を得る。次いで、これをTHFに溶解してGPC測定用の試料とし、前述の各樹脂の分子量測定に用いるGPCに注入する。
一方、GPCの溶出液排出口にフラクションコレクターを配置して、所定のカウント毎に溶出液を分取しておき、溶出曲線の溶出開始(曲線の立ち上がり)から面積率で5%毎に溶出液を得る。
次いで、各溶出分について、1mLの重クロロホルムに30mgのサンプルを溶解させ、基準物質として0.05体積%のテトラメチルシラン(TMS)を添加する。溶液を5mm径のNMR測定用ガラス管に充填し、核磁気共鳴装置(JNM-AL400、日本電子株式会社製)を用い、23℃~25℃の温度下、128回の積算を行い、スペクトルを得る。トナーに含まれる非晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂等のモノマー組成及び構成比率は、得られたスペクトルのピーク積分比率から求める。例えば、以下のようにピークの帰属を行い、それぞれの積分比から構成モノマーの成分比率を求める。
―ピークの帰属―
8.25ppm付近:トリメリット酸のベンゼン環由来(水素1個分)
8.07ppm~8.10ppm付近:テレフタル酸のベンゼン環由来(水素4個分)
7.1ppm~7.25ppm付近:ビスフェノールAのベンゼン環由来(水素4個分)
6.8ppm付近:ビスフェノールAのベンゼン環由来(水素4個分)及びフマル酸の二重結合由来(水素2個分)
5.2ppm~5.4ppm付近:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のメチン由来(水素1個分)
3.7ppm~4.7ppm付近:ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のメチレン由来(水素2個分)及びビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のメチレン由来(水素4個分)
1.6ppm付近:ビスフェノールAのメチル基由来(水素6個分)
これらの結果から、例えば、非晶性ポリエステル樹脂が90%以上を占めるフラクションに回収された抽出物を非晶性ポリエステル樹脂として扱うことができる。同様に、結晶性ポリエステル樹脂が90%以上を占めるフラクションに回収された抽出物を結晶性ポリエステル樹脂として扱うことができる。
<<融点及びガラス転移温度Tgの測定方法>>
分離した各成分の融点及びガラス転移温度Tgは、例えば、DSCシステム(示差走査熱量計)(「Q-200」、TAインスツルメント社製)を用いて測定することができる。具体的には、対象試料の融点、ガラス転移温度は、下記手順により測定できる。
まず、対象試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、-80℃から昇温速度10℃/分にて150℃まで加熱する(昇温1回目)。その後、150℃から降温速度10℃/分にて-80℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱(昇温2回目)する。この昇温1回目、及び昇温2回目のそれぞれにおいて、示差走査熱量計(「Q-200」、TAインスツルメント社製)を用いてDSC曲線を計測する。
得られるDSC曲線から、Q-200システム中の解析プログラムを用いて、1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温1回目におけるガラス転移温度Tg1stを求める。同様に、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温2回目におけるガラス転移温度Tg2ndを求める。
得られるDSC曲線から、Q-200システム中の解析プログラムを用いて、1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温1回目における吸熱ピークトップ温度を融点として求めることができる。同様に、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、対象試料の昇温2回目における吸熱ピークトップ温度を融点として求めることができる。
本明細書では、対象試料としてトナーを用いた際の、1回目の昇温時におけるガラス転移温度をガラス転移温度Tg1st、2回目の昇温時におけるガラス転移温度をガラス転移温度Tg2ndとする。
また、本明細書では、非線状ポリマー、結着樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、離型剤等のその他の構成成分の、融点及びガラス転移温度Tgについては、特に断りが無い場合、2回目昇温時における、吸熱ピークトップ温度、ガラス転移温度Tg2ndを、各対象試料の融点、ガラス転移温度Tgとする。
このように、本発明に係るトナーの一態様は、架橋成分を含み、前記架橋成分は、3つ以上に分岐し、かつ末端を金属架橋した非線状ポリマーを含み、前記非線状ポリマーのガラス転移温度Tgを-60℃以上0℃未満とする。また、本発明に係るトナーの一態様は、架橋成分を含み、前記架橋成分は、結着樹脂として、THF(テトラヒドロフラン)不溶分を少なくとも含み、前記THF不溶分は、3つ以上に分岐した非線状ポリマーと、金属イオンとを含み、前記非線状ポリマーの、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが-60℃以上0℃未満である。
本発明における非線状ポリマーは、非常に低いガラス転移温度Tgを有するため、低温で変形する性質を有する。そのため、前記非線状ポリマーは、定着時の加熱及び加圧に対して容易に変形し、より低温で紙等の記録媒体に対して接触し易くなる。また、前記非線状ポリマーは、非線状である反応性前駆体で形成され、分子骨格中に分岐構造を有し、分子鎖が三次元的な網目構造を有する。そのため、前記非線状ポリマーは、低温で変形しても流動しないゴム状の性質を有すると共に、帯電量を高めることができる。
さらに、本発明における架橋成分は、末端に金属イオンと金属架橋を形成することで、定着性を維持することができる。また、本実施形態に係るトナーは、帯電量を高めることで、紙等の記録媒体及び現像機内の部材に対する密着性を低く抑えることができる。そのため、トナーが紙面上に定着して排紙トレイにスタッキングされた際に、記録媒体の重みによる圧力及び定着時の余熱によって、トナーが記録媒体に接着するブロッキングを生じ難くすることができる。また、クリーニングブレードによるトナーの除去を容易に行うことができる。
よって、本実施形態に係るトナーは、帯電性に優れ、付着力を下げると共に、低温定着性とホットオフセットとの両立を図ることができる。したがって、本実施形態に係るトナーは、優れた、帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び定着後の耐ブロッキング性を有することができる。
本実施形態に係るトナーは、非線状ポリマーの金属架橋に2価以上の金属イオンを2種類含むことができる。これにより、架橋成分は記録媒体に対してより接触し易くなるため、本実施形態に係るトナーは、定着性をより高めることができる。
本実施形態に係るトナーでは、非線状ポリマーの金属架橋に含まれる、2種類の2価以上の金属イオンとして、それぞれ価数が異なるものを用いることができる。これにより、架橋成分の末端に金属架橋する金属イオンの耐電量を大きくすることができるため、本実施形態に係るトナーは、より優れた帯電性を発揮することができる。
本実施形態に係るトナーは、非線状ポリマーの金属架橋に含まれる、2種類の2価以上の金属イオンのイオン半径の差を50pm以上とすることができる。架橋成分の末端に金属架橋する2種類の金属イオンの大きさの差を大きくすることで、架橋成分の網目構造をより複雑な三次元構造にし易くなる。そのため、本実施形態に係るトナーは、より優れた、帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び耐ブロッキング性を有することができる。
(樹脂微粒子)
本発明における樹脂微粒子は、架橋成分を含み、前記架橋成分は、結着樹脂として、THF(テトラヒドロフラン)不溶分を少なくとも含み、前記THF不溶分は、3つ以上に分岐した非線状ポリマーと、金属イオンとを含み、前記THF不溶分の、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが、-60℃以上0℃未満であることを特徴とする。
前記樹脂微粒子における、各構成、各測定方法等については、上述したトナーのものと同様のため、記載を省略する。
(トナーの製造方法)
一実施形態に係るトナーの製造方法は、非線状ポリマー及び結晶性ポリエステル樹脂を含み、更に必要に応じて、離型剤、着色剤等を含む油相を水系媒体中に分散させて造粒することにより、トナー母体粒子を形成する造粒工程を含むことが好ましい。
一実施形態に係るトナーの製造方法は、上記の造粒工程において、非線状ポリマーに代えて非線状の反応性前駆体であるプレポリマーを用い、さらに硬化剤等を含む油相を用いてもよい。プレポリマーを含む油相と水系媒体とを混合して、プレポリマーと硬化剤との伸長反応及び架橋反応の少なくとも一方の反応により、非線状ポリマーを生成しながらトナー母体粒子を形成すると共に、非晶性ポリエステル樹脂を形成する。
また、一実施形態に係るトナーの製造方法は、上記の造粒工程において、非線状ポリマーに代えて非線状の反応性前駆体であるプレポリマーを用い、さらに活性水素基含有化合物及び硬化剤等を含む油相を用いてもよい。非線状の反応性前駆体であるプレポリマーと、活性水素基含有化合物とを含む油相と、水系媒体とを混合して、プレポリマーと硬化剤との伸長反応及び架橋反応の少なくとも一方の反応により、非線状ポリマーを生成しながらトナー母体粒子を形成する。
さらに、一実施形態に係るトナーの製造方法は、上記の造粒工程において、非線状ポリマーに代えて非線状の反応性前駆体であるプレポリマーを用い、ポリエステル樹脂とプレポリマーとを有機溶媒に溶解又は分散させた油相を転相乳化してもよい。油相を転相乳化して、有機溶媒を除去した後、結晶性ポリエステル樹脂を含む分散液を混合して混合液を作製し、混合液中の結晶性ポリエステル樹脂を凝集させることで、トナー母体粒子を形成する。
前記トナーの製造方法としては、例えば、溶解懸濁法、乳化凝集法などを用いることができる。
前記溶解懸濁法を用いてトナーを製造する方法としては、例えば、非線状の反応性前駆体であるプレポリマーと金属イオンとの伸長反応及び架橋反応の少なくとも一方の反応により、非線状ポリマーを伸張しながらトナー母体粒子を製造する方法などが挙げられる。
前記溶解懸濁法を用いてトナー母体粒子を製造する方法は、結晶性ポリエステル樹脂の水分散液(結晶性ポリエステル樹脂分散液)を調製する工程(結晶性ポリエステル樹脂分散液の調製工程)と、水系媒体を調整する工程(水系媒体の調製工程)と、トナー材料を含有する油相を調整する工程(油相の調製工程)と、トナー材料の乳化乃至分散を行う工程(乳化乃至分散工程)と、有機溶媒の除去を行う工程(有機溶媒の除去工程)とを含み、必要に応じて、その他の工程を含んでいてもよい。
<結晶性ポリエステル樹脂分散液の調製工程>
前記結晶性ポリエステル樹脂分散液は、転相乳化法によって調製することが好ましい。転相乳化法は、樹脂に、必要に応じて有機溶剤や中和剤や界面活性剤を添加して、撹拌下にて、水系媒体を滴下して、乳化粒子を得た後、樹脂分散液中の有機溶剤を除去して、乳化液を得る方法である。また必要に応じて、加熱することも可能である。
前記転相乳化法における有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、IPA、ブタノール、酢酸エチル、MEK及びその組み合わせを含む。これらの中でも、除去が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶媒が好ましい。
前記中和剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、硝酸、塩酸、水酸化ナトリウム、アンモニア等一般の酸、アルカリなどを用いることができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂分散液の調製工程における界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、イオン系界面活性剤、及び非イオン系界面活性剤から選択されてもよい。前記イオン系界面活性剤には、アニオン系界面活性剤及びカチオン系界面活性剤が包含される。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して油滴中の有機溶媒を除去する方法などが挙げられる。
<水系媒体の調製工程>
前記水系媒体(水相)は、例えば、樹脂粒子を水系媒体に分散させることにより調製することができる。
前記樹脂粒子の水系媒体中の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水系媒体100質量部に対して、0.5質量部~10質量部が好ましい。
前記水系媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶媒、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。
前記水と混和可能な溶媒としては、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコール、低級ケトン類、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セロソルブ類などが挙げられる。
前記アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどが挙げられる。
前記低級ケトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
<油相の調製工程>
前記トナー材料を含有する油相は、非線状の反応性前駆体と、非晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂とを少なくとも含み、更に必要に応じて、硬化剤、離型剤、着色剤等を含むトナー材料を、有機溶媒中に溶解乃至分散させることにより、調製することができる。
前記油相の調製工程における有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、除去が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶媒が好ましい。
前記沸点が150℃未満の有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素が好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
<乳化乃至分散工程>
前記トナー材料を含有する油相を、水系媒体中に分散させることにより、トナー材料を乳化乃至分散させることができる。そして、トナー材料を乳化乃至分散させる際に、金属イオンと非線状の反応性前駆体とを伸長反応及び架橋反応の少なくとも一方を行うことにより、非線状ポリマーが生成する。
前記非線状ポリマーは、例えば、以下の(1)及び(2)の方法により生成できる。
(1)非線状の反応性前駆体と金属イオンとを含む油相を、水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で金属イオンと非線状の反応性前駆体とを伸長反応及び/又は架橋反応させることにより、非線状ポリマーを生成する。
(2)非線状の反応性前駆体を含む油相を、予め金属イオンを添加した水系媒体中で乳化又は分散させ、水系媒体中で硬化剤と非線状の反応性前駆体とを伸長反応及び架橋反応のいずれかの反応をさせることにより、非線状ポリマーを生成する。
前記非線状ポリマーの生成における反応時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10分間~40時間が好ましく、2時間~24時間がより好ましい。
前記非線状ポリマーの生成における反応温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0℃~150℃が好ましく、40℃~98℃がより好ましい。
前記水系媒体中において、非線状の反応性前駆体を含有する分散液を安定に形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水系媒体中に、トナー材料を溶媒に溶解乃至分散させて調製した油相を添加し、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
前記分散のための分散機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。
これらの中でも、分散体(油滴)の粒子径を2μm~20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。
前記高速せん断式分散機における回転数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000rpm~30,000rpmが好ましく、5,000rpm~20,000rpmがより好ましい。
前記高速せん断式分散機における分散時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合は、0.1分間~5分間が好ましい。
前記高速せん断式分散機における分散温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加圧下において、0℃~150℃が好ましく、40℃~98℃がより好ましい。なお、一般に、分散温度が高温である方が分散は容易である。
トナー材料を乳化乃至分散させる際の、前記水系媒体の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー材料100質量部に対して、50質量部~2000質量部が好ましく、100質量部~1000質量部がより好ましい。
前記水系媒体の使用量が50質量部以上であれば、トナー材料は安定して分散でき、所定の粒子径のトナー母体粒子が得られるため好適である。
前記水系媒体の使用量が2000質量部以下であれば、生産コストを抑えることができ、好適である。
トナー材料を含有する油相を乳化乃至分散する際には、油滴等の分散体を安定化させ、所望の形状にすると共に粒度分布をシャープにする観点から、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記分散剤における界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。
前記陰イオン界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル基を有するものが好ましい。
<有機溶媒の除去工程>
乳化スラリー等の分散液から有機溶媒を除去することにより、トナー母体粒子を得ることができる。
前記分散液から有機溶媒を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶媒を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、油滴中の有機溶媒を除去する方法などが挙げられる。
有機溶媒が除去されると、トナー母体粒子が形成される。
前記トナー母体粒子に対しては、洗浄、乾燥等を行うことができ、さらに分級等を行うことができる。
前記分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことにより行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。
<外添工程>
また、得られたトナー母体粒子に、外添剤、帯電制御剤等を混合してもよい。このとき、機械的衝撃力を印加することにより、トナー母体粒子の表面から外添剤等の粒子が脱離するのを抑制することができる。
次いで、250メッシュ以上の篩を通過させて、粗大粒子、凝集粒子を除去することにより、一実施形態に係るトナーが得られる。
前記機械的衝撃力を印加する方法は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入して加速させ、粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。
前記機械的衝撃力を印加する方法に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
(現像剤)
一実施形態に係る現像剤は、一実施形態に係るトナーを含み、必要に応じて、キャリア等の適宜選択されるその他の成分を含むことができる。これにより、一実施形態に係る現像剤は、帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び定着後の耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
前記現像剤は、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンタ等に使用する場合には、寿命向上の点から、二成分現像剤であることが好ましい。
一実施形態に係るトナーを一成分現像剤に用いる場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するブレード等の部材へのトナーの融着が少なく、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
一実施形態に係るトナーを二成分現像剤に用いる場合には、キャリアと混合して現像剤として用いることができる。
前記現像剤を二成分現像剤として用いる場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像装置における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。
前記二成分現像剤中のキャリアの含有量は、目的に応じて適宜選択することができるが、二成分現像剤100質量部に対して、90質量部~98質量部が好ましく、93質量部~97質量部がより好ましい。
一実施形態に係る現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができる。
<キャリア>
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、芯材を被覆する樹脂層(被覆層)とを有するものであることが好ましい。
<<芯材>>
前記芯材の材料は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50emu/g~90emu/gのマンガン-ストロンチウム系材料、50emu/g~90emu/gのマンガン-マグネシウム系材料などが挙げられる。また、画像濃度を確保するためには、100emu/g以上の鉄粉、75emu/g~120emu/gのマグネタイト等の高磁化材料を用いることが好ましい。また、穂立ち状態となっている現像剤の感光体に対する衝撃を緩和でき、高画質化に有利であることから、30emu/g~80emu/gの銅-亜鉛系等の低磁化材料を用いることが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記芯材の体積平均粒径は、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、10μm~150μmが好ましく、40μm~100μmがより好ましい。
前記芯材の体積平均粒径が10μm以上であれば、キャリア中に微粉が多くなり、一粒子当たりの磁化が低下してキャリアの飛散が生じることがあるという問題を有効に防止することができ好適である。
一方、前記芯材の体積平均粒径が150μm以下であれば、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがあるという問題を有効に防止することができ好適である。
<<樹脂層>>
前記樹脂層は、樹脂を含有し、必要に応じてその他の成分を含有することができる。
前記樹脂層に用いられる樹脂としては、必要な帯電性を付与できる公知の材料を使用でき、具体的には、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、またはこれらを併用して使用することが好ましい。また前記樹脂層を形成するための組成物は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
前記樹脂層の平均膜厚は、0.05μm~0.50μmであることが好ましい。
(トナー収容ユニット)
一実施形態に係るトナー収容ユニットは、一実施形態に係るトナーを収容することができる。一実施形態に係るトナー収容ユニットとは、トナーを収容する機能を有するユニットに、トナーを収容したものをいう。ここで、前記トナー収容ユニットの態様としては、例えば、トナー収容容器、現像器、プロセスカートリッジが挙げられる。
前記トナー収容容器とは、トナーを収容した容器をいう。
前記現像器は、トナーを収容し現像する手段を有するものをいう。
前記プロセスカートリッジとは、少なくとも静電潜像担持体(像担持体ともいう)と現像手段とを一体とし、トナーを収容し、画像形成装置に対して着脱可能であるものをいう。前記プロセスカートリッジは、更に帯電手段、露光手段、クリーニング手段等から選ばれる少なくとも一つを備えてもよい。
一実施形態に係るトナー収容ユニットには、一実施形態に係るトナーが収容される。一実施形態に係るトナー収容ユニットを、画像形成装置に装着して画像形成することで、一実施形態に係るトナーを用いて画像形成が行われるため、一実施形態に係るトナー収容ユニットは、帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び定着後の耐ブロッキング性に優れた画像を形成することができる。
(画像形成装置)
一実施形態に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像部とを有し、必要に応じて、その他の部を有することができる。
一実施形態に係る画像形成装置は、より好ましくは、上記の静電潜像担持体、静電潜像形成部、及び現像部の他に、前記可視像を記録媒体に転写する転写部と、前記記録媒体の表面に転写された転写像を定着させる定着部とを備える。
前記現像部において、一実施形態に係るトナーが使用される。好ましくは、一実施形態に係るトナーを含有し、更に必要に応じて、キャリア等のその他の成分が含有された現像剤を用いることにより、トナー像を形成してもよい。
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)の構造、大きさ等としては、特に制限されず、公知のものの中から適宜選択することができる。
前記静電潜像担持体の材質としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体(OPC)などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点で、アモルファスシリコンが好ましい。
アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50℃~400℃に加熱し、支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa-Siからなる光導電層を有する感光体を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa-Si堆積膜を形成する方法が好適である。
前記静電潜像担持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、円筒状が好ましい。円筒状の静電潜像担持体の外径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mm~100mmが好ましく、5mm~50mmがより好ましく、10mm~30mmが特に好ましい。
<静電潜像形成部>
前記静電潜像形成部としては、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
前記静電潜像形成部は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電部材(帯電器)と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材(露光器)とを備える。
前記帯電器としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えた接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
前記帯電器の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等のどのような形態をとってもよく、画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択することができる。
前記帯電器としては、静電潜像担持体に接触乃至非接触状態で配置され、直流及び交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。また、帯電器が、静電潜像担持体にギャップテープを介して非接触に近接配置された帯電ローラであり、帯電ローラに直流並びに交流電圧を重畳印加することによって静電潜像担持体表面を帯電するものが好ましい。
前記帯電器としては、接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られる点から、接触式の帯電部材を用いることが好ましい。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光器などが挙げられる。
前記露光器に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般などが挙げられる。
また、前記露光器に用いられる光源において、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
なお、静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像部>
前記現像部は、静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成できれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
前記現像部は、例えば、トナーを収容し、静電潜像にトナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を備えるものを好適に用いることができ、トナー入り容器を備えた現像器などが好ましい。
前記現像器は、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよい。
前記現像器として、例えば、トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、内部に固定された磁界発生部とを有し、表面にトナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置が好ましい。
<転写部>
前記転写部としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写部と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写部とを有する態様が好ましい。
前記中間転写体としては、特に制限されず、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
前記転写部(第一次転写手段及び第二次転写部)は、静電潜像担持体(感光体)上に形成された可視像を、記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有することが好ましい。前記転写部は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
前記記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベースなども用いることができる。
<定着部>
前記定着部としては、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧部が好適である。
前記加熱加圧部としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
前記定着部は、発熱体を具備する加熱体と、加熱体と接触するフィルムと、フィルムを介して加熱体と圧接する加圧部材とを有し、フィルムと加圧部材との間に未定着画像を形成させた記録媒体を通過させて加熱定着できる加熱加圧部であることが好ましい。
前記加熱加圧部における加熱は、通常、80℃~200℃が好ましい。
前記加熱加圧部における面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10N/cm~80N/cmであることが好ましい。
なお、本実施形態においては、目的に応じて、定着部と共に又はこれに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
<その他の部>
前記その他の部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電部、リサイクル部、制御部などを備えることができる。
<<除電部>>
前記除電部としては、特に制限されず、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが好適に挙げられる。
<<クリーニング部>>
前記クリーニング部は、静電潜像担持体上に残留するトナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができる。
前記クリーニング部として、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。
一次形態に係る画像形成装置は、クリーニング部を有することにより、クリーニング性を向上させることができる。即ち、トナー間付着力を制御することにより、トナーの流動性が制御され、クリーニング性を向上させることができる。また、劣化後のトナーの特性を制御することにより、高寿命化や高温多湿等の過酷な条件下においても、優れたクリーニング品質を維持することができる。さらに、感光体上におけるトナーから外添剤を十分に遊離させることができるため、クリーニングブレードニップ部における外添剤の堆積層(ダム層)を形成することにより、高いクリーニング性を達成することができる。
<<リサイクル部>>
前記リサイクル部としては、特に制限されず、公知の搬送手段などが挙げられる。
<<制御部>>
前記制御部は、上記の各部の動きを制御することができる。
前記制御部としては、上記の各部の動きを制御できれば、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の制御機器などが挙げられる。
一実施形態に係る画像形成装置は、一実施形態に係るトナーを用いて画像形成を行うことができるため、帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性、及び定着後の耐ブロッキング性に優れた画像を提供することができる。
(画像形成方法)
一実施形態に係る画像形成方法は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程とを含み、更に必要に応じて、その他の工程を含むことができる。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成部により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像部により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の部により好適に行うことができる。
また、一実施形態に係る画像形成方法は、より好ましくは、上記の静電潜像形成工程及び現像工程の他に、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体の表面に転写された転写像を定着する定着工程とを含む。
<静電潜像形成工程>
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であり、静電潜像担持体表面を帯電させる帯電工程と、帯電された静電潜像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光工程とを含む。
前記帯電は、例えば、帯電器を用いて静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、静電潜像形成部により行うことができる。
<現像工程>
前記現像工程は、静電潜像を複数色のトナーにより順次現像して可視像を形成する工程である。可視像の形成は、例えば、静電潜像を、前記トナーを用いて現像することにより行うことができ、前記現像器により行うことができる。
前記現像工程において、一実施形態に係るトナーが使用される。好ましくは、一実施形態に係るトナーを含有し、更に必要に応じて、キャリア等のその他の成分が含有された現像剤を用いることにより、トナー像を形成してもよい。
前記現像器内では、例えば、トナーとキャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体(感光体)の表面にトナーによる可視像が形成される。
<転写工程>
前記転写工程は、可視像を記録媒体に転写する工程である。
前記転写工程は、中間転写体を用い、中間転写体上に可視像を一次転写した後、可視像を記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。
前記転写工程は、二色以上のトナー、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、可視像を、転写帯電器を用いて静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写部により行うことができる。
<定着工程>
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を、定着装置を用いて定着させる工程であり、各色の現像剤に対し記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色の現像剤に対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
<その他の工程>
一次形態に係る画像形成方法は、必要に応じて、適宜選択したその他の工程を含んでいてもよい。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程などが挙げられる。
<<除電工程>>
前記除電工程は、静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、前記除電部により好適に行うことができる。
<<クリーニング工程>>
前記クリーニング工程は、静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、前記クリーニング部により好適に行うことができる。
<<リサイクル工程>>
前記リサイクル工程は、クリーニング工程により除去したトナーを現像部にリサイクルさせる工程であり、前記リサイクル部により好適に行うことができる。
一実施形態に係る画像形成方法は、一実施形態に係るトナーを用いて画像形成を行うことができるため、帯電性、低温定着性、耐高温オフセット性及び定着後の耐ブロッキング性に優れた画像を提供することができる。
[画像形成装置の一態様]
次に、一実施形態に係る画像形成装置の一の態様について、図1を参照しながら説明する。図1は、一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1に示すように、画像形成装置1Aは、静電潜像担持体である感光体ドラム10と、帯電部である帯電ローラ20と、露光部である露光装置30と、現像部である現像装置40と、中間転写体(中間転写ベルト)50と、クリーニング部であるクリーニング装置60と、転写部である転写ローラ70と、除電部である除電ランプ80と、中間転写体クリーニング装置90とを備える。
中間転写体50は、内側に配置されている3個のローラ51で張架されている無端ベルトであり、3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50の近傍には、中間転写体クリーニング装置90が配置されている。さらに、中間転写体50の近傍に、転写ローラ70が中間転写体50に対向して配置され、記録媒体としての転写紙Pに現像像(トナー画像)を転写(二次転写)するための転写バイアス(二次転写バイアス)を印加することができる。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器52が、中間転写体50の回転方向に対して、感光体ドラム10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙Pとの接触部との間に配置されている。
現像装置40は、現像剤担持体である現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック(Bk)現像ユニット42K、イエロー(Y)現像ユニット42Y、マゼンタ(M)現像ユニット42M、及びシアン(C)現像ユニット42Cとから構成されている。
現像ベルト41は、複数のベルトローラで張架されている無端ベルトであり、図中、矢印方向に移動することができる。さらに、現像ベルト41の一部が感光体ドラム10と接触している。
ブラック現像ユニット42Kは、現像剤収容部421Kと現像剤供給ローラ422Kと現像ローラ(現像剤担持体)423Kとを備えている。
イエロー現像ユニット42Yは、現像剤収容部421Yと現像剤供給ローラ422Yと現像ローラ423Yとを備えている。
マゼンタ現像ユニット42Mは、現像剤収容部421Mと現像剤供給ローラ422Mと現像ローラ423Mとを備えている。
シアン現像ユニット42Cは、現像剤収容部421Cと現像剤供給ローラ422Cと現像ローラ423Cとを備えている。
次に、画像形成装置1Aを用いて画像を形成する方法について説明する。まず、帯電ローラ20を用いて、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させた後、露光装置30を用いて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、静電潜像を形成する。次に、感光体ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40から供給されたトナーで現像してトナー像を形成する。さらに、感光体ドラム10上に形成されたトナー像が、ローラ51から印加された転写バイアスにより、中間転写体50上に転写(一次転写)された後、転写ローラ70から印加された転写バイアスにより、不図示の給紙部によって給紙された転写紙P上に転写(二次転写)される。一方、トナー像が中間転写体50に転写された感光体ドラム10は、表面に残留したトナーがクリーニング装置60により除去された後、除電ランプ80により除電される。画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置90によって除去される。
転写工程終了後、転写紙Pは定着ユニットに搬送されて、この定着ユニットで、上記転写されたトナー像は転写紙Pに定着される。
図2は、一実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図2に示すように、画像形成装置1Bは、図1に示す画像形成装置1Aにおいて、現像ベルト41を設けずに、感光体ドラム10の周囲に、ブラック現像ユニット42K、イエロー現像ユニット42Y、マゼンタ現像ユニット42M及びシアン現像ユニット42Cが直接対向して配置されている以外は、画像形成装置1Aと同様の構成を有する。
図3は、一実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図3に示すように、画像形成装置1Cは、タンデム型カラー画像形成装置であり、複写装置本体110と、給紙テーブル120と、スキャナ130と、原稿自動搬送装置(ADF)140と、二次転写装置150と、定着部である定着装置160と、シート反転装置170を備えている。
複写装置本体110の中央部には、無端ベルト状の中間転写体50が設けられている。中間転写体50は、3個のローラ53A、53B及び53Cに張架されている無端ベルトであり、図3中、矢印方向に移動することができる。ローラ53Bの近傍には、トナー像が記録紙に転写された中間転写体50上に残留したトナーを除去するための中間転写体クリーニング装置90が配置されている。ローラ53A及び53Bにより張架された中間転写体50に対向すると共に、搬送方向に沿って、画像形成ユニット(イエロー(Y)現像ユニット42Y、シアン(C)現像ユニット42C、マゼンタ(M)現像ユニット42M及びブラック(Bk)現像ユニット42K)が配置されている。
また、前記画像形成ユニットの近傍には、露光装置30が配置されている。さらに、中間転写体50の前記画像形成ユニットが配置された側とは反対側には、二次転写装置150が配置されている。二次転写装置150は、二次転写ベルト151を備える。なお、二次転写ベルト151は、一対のローラ152に張架されている無端ベルトであり、二次転写ベルト151上を搬送される記録紙と中間転写体50は、ローラ53Cとローラ152との間で接触することができる。
また、二次転写ベルト151の近傍には、定着装置160が配置されている。定着装置160は、一対のローラに張架されている無端ベルトである定着ベルト161と、定着ベルト161に押圧されて配置された加圧ローラ162とを備えている。
また、二次転写ベルト151及び定着装置160の近傍に、記録紙の両面に画像を形成する場合に、記録紙を反転させるためのシート反転装置170が配置されている。
次に、画像形成装置1Cを用いて、フルカラー画像を形成する方法について説明する。ます、原稿自動搬送装置(ADF)140の原稿台141上にカラー原稿をセットするか、原稿自動搬送装置140を開いてスキャナ130のコンタクトガラス131上にカラー原稿をセットし、原稿自動搬送装置140を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置140にカラー原稿をセットした時は、カラー原稿が搬送されてコンタクトガラス131上へと移動された後で、スキャナ130が駆動し、光源を備える第1走行体132及び第2走行体133が走行する。一方、コンタクトガラス131上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ130が駆動して、光源を備える第1走行体132及び第2走行体133が走行する。このとき、第1走行体132から照射された光の原稿面からの反射光を第2走行体133のミラーで反射した後、結像レンズ135を通して読取りセンサ136で受光することにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報が得られる。
各色の画像情報は、各色の現像ユニット(イエロー現像ユニット42Y、シアン現像ユニット42C、マゼンタ現像ユニット42M及びブラック現像ユニット42K)にそれぞれ伝達され、各色のトナー像が形成される。
図4は、図3の画像形成装置の部分拡大図である。図4に示すように、各現像ユニット(イエロー現像ユニット42Y、シアン現像ユニット42C、マゼンタ現像ユニット42M及びブラック現像ユニット42K)は、それぞれ、感光体ドラム10(ブラック用感光体ドラム10K、イエロー用感光体ドラム10Y、マゼンタ用感光体ドラム10M、及びシアン用感光体ドラム10C)と、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電部である帯電ローラ20と、各色の画像情報に基づいて、感光体ドラム10に露光光Lを露光し、感光体ドラム10上に各色の静電潜像を形成する露光装置30(不図示)と、静電潜像を各色の現像剤で現像して各色のトナー像を形成する現像部である現像装置40と、トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62(不図示)と、クリーニング装置60と、除電ランプ80とを備える。
図3において、各色の現像ユニット(イエロー現像ユニット42Y、シアン現像ユニット42C、マゼンタ現像ユニット42M及びブラック現像ユニット42K)で形成された各色のトナー像は、ローラ53A、53B及び53Cに張架されて移動する中間転写体50上に順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に各色のトナー像が重ね合わされて、複合トナー像が形成される。
一方、給紙テーブル120においては、給紙ローラ121の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク122に多段に備える給紙カセット123の1つから記録紙を繰り出す。
記録紙は、分離ローラ124で1枚ずつ分離されて給紙路125に送出され、搬送ローラ126で搬送されて複写装置本体110内の給紙路111に導かれ、レジストローラ112に突き当てて止められる。または、手差しローラ113を回転して手差しトレイ114上の記録紙を繰り出し、手差しローラ113で1枚ずつ分離して手差し給紙路115に導き、レジストローラ112に突き当てて止める。
なお、レジストローラ112は、一般には接地されて使用されるが、記録紙の紙粉を除去するためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。
次に、中間転写体50上に形成された複合トナー像にタイミングを合わせてレジストローラ112を回転させ、中間転写体50と二次転写ベルト151との間に記録紙を送出させ、複合トナー像を記録紙上に転写(二次転写)する。なお、複合トナー像を転写した中間転写体50上に残留したトナーは、中間転写体クリーニング装置90により除去される。
複合トナー像が転写された記録紙は、二次転写ベルト151により搬送された後、定着装置160により複合トナー像が記録紙上に定着される。
その後、記録紙は、切換爪116により搬送経路が切り換えられ、排出ローラ117により排紙トレイ118上に排出される。または、記録紙は、切換爪116により搬送経路が切り換えられ、シート反転装置170により反転され、再度、二次転写ベルト151にと導かれ、裏面にも同様にして画像が形成された後、排出ローラ117により排紙トレイ118上に排出される。
<プロセスカートリッジ>
一実施形態に係るプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に成型されており、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、静電潜像担持体上に担持された静電潜像を上記の一実施形態に係る現像剤で現像してトナー像を形成する現像部とを有し、必要に応じて、その他の構成を有してもよい。
前記静電潜像担持体は、上記の画像形成装置の静電潜像担持体と同様であるため、詳細は省略する。
前記現像部は、一実施形態に係る現像剤を収容する現像剤収容容器と、現像剤収容容器内に収容された現像剤を担持すると共に搬送する現像剤担持体とを有する。なお、現像部は、担持する現像剤の厚さを規制するため、規制部材等をさらに有してもよい。
図5に、一実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す。図5に示すように、画像形成装置プロセスカートリッジ200は、感光体ドラム10、帯電部であるコロナ帯電器22、現像装置40、クリーニング装置60、及び転写ローラ70(不図示)を有する。
以下、実施例及び比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
<製造例A-1:プレポリマーA-1の合成>
加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、イソフタル酸及びアジピン酸を、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して、1000ppm)と共に投入した。このとき、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.1となり、ジオール成分の構成が3-メチル-1,5-ペンタンジオール110mol%となり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸40mol%及びアジピン酸60mol%となるようにした。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、更に、10mmHg~15mmHgの減圧下で5時間反応し、中間体ポリエステルA-1を得た。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、中間体ポリエステルA-1と、ヘキサメチレンイソシアネート誘導体(HDIイソシアヌレート)とを、HDIイソシアヌレートのイソシアネート基と中間体ポリエステルA-1の水酸基とのモル比(NCO/OH)が2.0となるように入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて、80℃まで昇温して5時間反応させ、水酸基を末端に有するプレポリマー(OH基末端含有プレポリマーA-1)の酢酸エチル溶液を得た。その後、OH基末端含有プレポリマーA-1の酢酸エチル溶液中の残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで減圧した。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、OH基末端含有プレポリマーA-1とモノメチルエステルコハク酸とを、モノメチルエステルコハク酸のメチル基とOH基末端含有プレポリマーA-1の水酸基とのモル比(CH/OH)が2.0となるように入れ、150℃で6時間反応させた。これにより、非線状ポリマーである、カルボン酸末端のプレポリマー(プレポリマーA-1)を得た。
<製造例A-2:プレポリマーA-2の合成>
加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、イソフタル酸、アジピン酸、無水トリメリット酸を、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)と共に投入した。このとき、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1となり、ジオール成分の構成が3-メチル-1,5-ペンタンジオール110mol%となり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸40mol%及びアジピン酸60mol%となり、全モノマー中における無水トリメリット酸の量が1mol%となるようにした。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、更に、10mmHg~15mmHgの減圧下で5時間反応し、中間体ポリエステルA-2を得た。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、中間体ポリエステルA-2と、ヘキサメチレンイソシアネート誘導体(HDIイソシアヌレート)とを、HDIイソシアヌレートのイソシアネート基と中間体ポリエステルA-2の水酸基とのモル比(NCO/OH)が2.0となるように入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて、80℃まで昇温して5時間反応させ、水酸基末端のプレポリマー(OH基末端含有プレポリマーA-2)の酢酸エチル溶液を得た。その後、OH基末端含有プレポリマーA-2の酢酸エチル溶液中の残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで減圧した。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、OH基末端含有プレポリマーA-2とモノメチルエステルコハク酸とを、OH基末端含有プレポリマーA-2の水酸基とモノメチルエステルコハク酸のメチル基のモル比(CH/OH)が2.0となる量を入れ、150℃で6時間反応させた。これにより、非線状ポリマーである、カルボン酸末端のプレポリマー(プレポリマーA-2)を得た。
<製造例A-3:プレポリマーA-3の合成>
加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、アジピン酸、及びチタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)と共に投入した。このとき、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1となり、ジオール成分の構成が3-メチル-1,5-ペンタンジオール110mol%となり、ジカルボン酸成分の構成がアジピン酸100mol%となるようにした。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、更に、10mmHg~15mmHgの減圧下で5時間反応し、中間体ポリエステルA-3を得た。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、中間体ポリエステルA-3と、ヘキサメチレンイソシアネート誘導体(HDIイソシアヌレート)とを、HDIイソシアヌレートのイソシアネート基と中間体ポリエステルA-3の水酸基とのモル比(NCO/OH)が2.0となるように入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて、80℃まで昇温して5時間反応させ、水酸基末端のプレポリマー(OH基末端含有プレポリマーA-3)の酢酸エチル溶液を得た。その後、OH基末端含有プレポリマーA-3の酢酸エチル溶液中の残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで減圧した。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、OH基末端含有プレポリマーA-3とモノメチルエステルコハク酸とを、OH基末端含有プレポリマーA-3の水酸基とモノメチルエステルコハク酸のメチル基のモル比(CH/OH)が2.0となる量を入れ、150℃で6時間反応させた。これにより、非線状ポリマーである、カルボン酸末端のプレポリマー(プレポリマーA-3)を得た。
<製造例A-4:プレポリマーA-4の合成>
加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、イソフタル酸を、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)と共に投入した。このとき、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1となり、ジオール成分の構成が3-メチル-1,5-ペンタンジオール110mol%となり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸100mol%となるようにした。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、更に、10mmHg~15mmHgの減圧下で5時間反応し、中間体ポリエステルA-4を得た。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、中間体ポリエステルA-4と、ヘキサメチレンイソシアネート誘導体(HDIイソシアヌレート)とを、HDIイソシアヌレートのイソシアネート基と中間体ポリエステルA-4の水酸基とのモル比(NCO/OH)が2.0となるように入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて、80℃まで昇温して5時間反応させ、水酸基末端のプレポリマー(OH基末端含有プレポリマーA-4)の酢酸エチル溶液を得た。その後、OH基末端含有プレポリマーA-4の酢酸エチル溶液中の残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで減圧した。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、OH基末端含有プレポリマーA-4とモノメチルエステルコハク酸とを、OH基末端含有プレポリマーA-4の水酸基とモノメチルエステルコハク酸のメチル基のモル比(CH/OH)が2.0となる量を入れ、150℃で6時間反応させた。これにより、非線状ポリマーである、カルボン酸末端のプレポリマー(プレポリマーA-4)を得た。
<製造例a-1:プレポリマーa-1の合成>
加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、イソフタル酸、アジピン酸及び無水トリメリット酸を、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)とともに投入した。このとき、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1となり、ジオール成分の構成が3-メチル-1,5-ペンタンジオール110mol%となり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸40mol%及びアジピン酸60mol%となり、全モノマー中における無水トリメリット酸の量が1mol%となるようにした。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、更に、10mmHg~15mmHgの減圧下で5時間反応し、中間体ポリエステルa-1を得た。
次に、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、中間体ポリエステルa-1とイソホロンジイソシアネート(IPDI)とを、中間体ポリエステルa-1の水酸基とIPDAのイソシアネート基とのモル比(NCO/OH)が2.0となるように投入し、酢酸エチルで50%酢酸エチル溶液となるように希釈した後、100℃で5時間反応させた。これにより、非線状ポリマーである、プレポリマーa-1を得た。
<製造例a-2:プレポリマーa-2の合成>
加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、イソフタル酸及びアジピン酸を、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)と共に投入した。このとき、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1となり、ジオール成分の構成が3-メチル-1,5-ペンタンジオール100mol%となり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸50mol%及びアジピン酸60mol%となるようにした。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、更に、10mmHg~15mmHgの減圧下で5時間反応し、線状のプレポリマー(プレポリマーa-2)を得た。
<製造例a-3:プレポリマーa-3の合成>
加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物、イソフタル酸を、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)と共に投入した。このとき、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1となり、ジオール成分の構成が3-メチル-1,5-ペンタンジオール80mol%、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2mol付加物30mol%となり、ジカルボン酸成分の構成がイソフタル酸100mol%となるようにした。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、更に、10mmHg~15mmHgの減圧下で5時間反応し、中間体ポリエステルa-3を得た。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、中間体ポリエステルa-3と、ヘキサメチレンイソシアネート誘導体(HDIイソシアヌレート)とを、HDIイソシアヌレートのイソシアネート基と中間体ポリエステルa-3の水酸基とのモル比(NCO/OH)が2.0となるように入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて、80℃まで昇温して5時間反応させ、水酸基末端のプレポリマー(OH基末端含有プレポリマーa-3)の酢酸エチル溶液を得た。その後、OH基末端含有プレポリマーa-3の酢酸エチル溶液中の残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで減圧した。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、OH基末端含有プレポリマーa-3とモノメチルエステルコハク酸とを、OH基末端含有プレポリマーa-3の水酸基とモノメチルエステルコハク酸のメチル基のモル比(CH/OH)が2.0となる量を入れ、150℃で6時間反応させた。これにより、非線状ポリマーである、カルボン酸末端のプレポリマー(プレポリマーa-3)を得た。
<製造例a-4:プレポリマーa-4の合成>
加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,10-ドデカン二酸を、チタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して1,000ppm)と共に投入した。このとき、水酸基とカルボキシル基のモル比であるOH/COOHが1.1となり、ジオール成分の構成が3-メチル-1,5-ペンタンジオール110mol%となり、ジカルボン酸成分の構成が1,10-ドデカン二酸100mol%となるようにした。その後、4時間程度で200℃まで昇温し、次いで、2時間かけて230℃に昇温し、流出水がなくなるまで反応を行った。その後、更に、10mmHg~15mmHgの減圧下で5時間反応し、中間体ポリエステルa-4を得た。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、中間体ポリエステルa-4と、ヘキサメチレンイソシアネート誘導体(HDIイソシアヌレート)とを、HDIイソシアヌレートのイソシアネート基と中間体ポリエステルa-4の水酸基とのモル比(NCO/OH)が2.0となるように入れ、50%酢酸エチル溶液となるように酢酸エチルを加えて溶解した。その後、窒素気流下にて、80℃まで昇温して5時間反応させ、水酸基末端のプレポリマー(OH基末端含有プレポリマーa-4)の酢酸エチル溶液を得た。その後、OH基末端含有プレポリマーa-4の酢酸エチル溶液中の残酢酸エチル量が100ppm以下になるまで減圧した。
次いで、加熱装置、冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装備した反応槽中に、OH基末端含有プレポリマーa-4とモノメチルエステルコハク酸とを、OH基末端含有プレポリマーa-4の水酸基とモノメチルエステルコハク酸のメチル基のモル比(CH/OH)が2.0となる量を入れ、150℃で6時間反応させた。これにより、非線状ポリマーである、カルボン酸末端のプレポリマー(プレポリマーa-4)を得た。
<製造例B:非晶性ポリエステル樹脂Bの合成>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物、イソフタル酸及びアジピン酸を、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物とビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物とがモル比(ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物)で85/15であり、イソフタル酸とアジピン酸とがモル比(イソフタル酸/アジピン酸)で80/20であり、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.3となるように仕込んだ。そして、この混合物にチタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に常圧で230℃、8時間反応し、更に10mmHg~15mmHgの減圧で4時間反応後、反応容器に無水トリメリット酸を全樹脂成分に対して1mol%になるよう入れた。その後、180℃、常圧で3時間反応した。これにより、非晶性ポリエステル樹脂Bを得た。
<製造例C-1:結晶性ポリエステル樹脂C-1の合成>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、ドデカン二酸及び1,6-ヘキサンジオールを、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが0.9となるように仕込んだ。その後、この混合物をチタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に、180℃で10時間反応させた後、200℃に昇温して3時間反応させ、更に8.3kPaの圧力にて2時間反応させた。これにより、結晶性ポリエステル樹脂C-1を得た。
<製造例C-2:結晶性ポリエステル樹脂C-2の合成>
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5Lの四つ口フラスコに、1,6-ヘキサンジオールとセバシン酸とを、水酸基とカルボキシル基とのモル比であるOH/COOHが1.1となるように仕込んだ。この混合物をチタンテトライソプロポキシド(樹脂成分に対して500ppm)と共に水を流出させながら反応させ、235℃に昇温して1時間反応させた。その後、10mmHg以下の減圧下で6時間反応させた。その後、185℃に設定し、無水トリメリット酸をCOOH基とのモル比が0.053となるように添加し、攪拌しながら2時間反応させた。これにより、結晶性ポリエステル樹脂C-2を得た。
<トナーの作製>
[実施例1]
本実施例では、溶解懸濁法を用いて、トナーを作製した。
(マスターバッチ(MB)の合成)
水1200質量部、カーボンブラック(Printex35、デクサ製、DBP吸油量=42mL/100mg、pH=9.5)500質量部、及び非晶性ポリエステル樹脂B500質量部をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)に加えて混合した。その混合物を、2本ロールを用いて150℃で30分間混練した後、圧延冷却してパルペライザーで粉砕した。これにより、マスターバッチ1を得た。
(ワックス分散液の作製)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に離型剤1としてパラフィンワックス50質量部(HNP-9、日本精鑞社製、炭化水素系ワックス、融点75℃、SP値8.8)、及び酢酸エチル450部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した。その後、混合物を1時問で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、分散を行なった。これにより、ワックス分散液1を得た。
(結晶性ポリエステル樹脂分散液の作製)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に結晶性ポリエステル樹脂C-1を50質量部、及び酢酸エチル450質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した。その後、混合物を1時間で30℃に冷却し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填し、3パスの条件で、分散を行なった。これにより、結晶性ポリエステル樹脂分散液1を得た。
(油相の調製)
ワックス分散液1を500質量部、プレポリマーA-1を300質量部、結晶性ポリエステル樹脂分散液1を500質量部、非晶性ポリエステル樹脂Bを650質量部、マスターバッチ1を100質量部容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)を用いて5000rpmで60分間混合し、油相1を得た。
(有機微粒子エマルション(微粒子分散液)の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS-30:三洋化成工業社製)11質量部、スチレン138質量部、メタクリル酸138質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込んだ。この混合物を、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン-メタクリル酸-メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(微粒子分散液1)を得た。得られた微粒子分散液1中に含まれる微粒子の体積平均粒径をLA-920(HORIBA社製)で測定した。体積平均粒径は、0.14μmであった。
(水相の調製)
水を690質量部、微粒子分散液1を83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON-7、三洋化成工業社製)を37質量部、酢酸エチルを90質量部、5%塩化マグネシウム溶液を150質量部、及び5%塩化カルシウム溶液を150質量部混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを、水相1とした。本実施例では、金属塩の水溶液として、塩化マグネシウム溶液及び5%塩化カルシウム溶液を用い、塩化マグネシウム溶液に含まれるマグネシウムイオン(Mg2+)と、5%塩化カルシウム溶液に含まれるカルシウムイオン(Ca2+)とが、架橋剤として機能する。
(乳化及び脱溶)
油相1が800質量部入った容器に、水相1を1200質量部加えて、TKホモミキサーで、回転数13000rpmで20分間混合し、乳化スラリー1を得た。得られた乳化スラリー1を、撹拌機及び温度計をセットした容器に投入し、30℃で8時間、脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、分散スラリー1を得た。本実施例では、分散スラリー1には、プレポリマーA-1の末端にマグネシウムイオン及びカルシウムイオンが金属架橋して、架橋成分である非線状ポリマーが生成される。
(洗浄及び乾燥)
分散スラリー1100質量部を減圧ろ過した後、以下の(1)~(4)の操作を2回行い、ろ過ケーキ1を得た。
(1):ろ過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、ろ過した。
(2):(1)のろ過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで30分間)した後、減圧ろ過した。
(3):(2)のろ過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後、ろ過した。
(4):(3)のろ過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで10分間)した後、ろ過した。
得られたろ過ケーキ1を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、トナー母体1を得た。
(外添処理)
トナー母体1に、トナー母体1の100質量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0質量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体0.8質量部とを加え、ヘンシェルミキサーにて混合した。これにより、トナー1を得た。
(架橋成分の分岐の数)
プレポリマーA-1は、中間体ポリエステルA-1の水酸基にHDIイソシアヌレートのイソシアネート基を反応させたものであるため、得られたトナー1に含まれる架橋成分の分岐の数は、3個以上であると考えられる。
(プレポリマーのDSCのガラス転移温度Tg)
得られたトナー1に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-35.4℃であった。
トナー1の、ガラス転移温度Tgの測定方法を以下に示す。
分離方法としてソックスレー抽出法を用いて、プレポリマーA-1を分離して、対象試料であるプレポリマーA-1を5.0mg、アルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットする。次いで、窒素雰囲気下、-80℃から昇温速度10℃/分にて150℃まで加熱した(昇温1回目)。その後、150℃から降温速度10℃/分にて-80℃まで冷却させた。さらに、昇温1回目と同様の条件で、プレポリマーA-1を加熱した(昇温2回目)。この昇温2回目において、示差走査熱量計(「Q-200」、TAインスツルメント社製)を用いてDSC曲線を計測した。得られるDSC曲線から、Q-200システム中の解析プログラムを用いて、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、プレポリマーA-1の昇温2回目におけるガラス転移温度Tg2ndをプレポリマーのDSCのTgとして求めた。
(THF不溶分の含有量)
得られたトナー1中のTHF不溶分の含有量は、13.8質量%であった。
トナー1の、THF不溶分の含有量の測定方法を以下に示す。
トナー1を、1gを秤量し、100mLのTHF中に投入し、25℃の環境下にて撹拌子を用いて6時間撹拌し、トナー1の可溶分が溶解した溶解液を得た。次いで、前記溶解液を目開き0.2μmのメンブランフィルターにて濾過し、濾過物を再び50mLのTHF中に投入し、撹拌子を用いて10分間撹拌した。この作業を2、3回繰り返し、得られた濾過物を、120℃、10kPa以下の環境下で乾燥させ、THF不溶分を得た。得られたTHF不溶分を電子天秤で秤量し、以下(2)式により、トナー1におけるTHF不溶分の含有量を求めた。
(THF不溶分量(g)/抽出前のトナー量(g))×100・・・(2)式
[実施例2]
実施例1において、(水相の調製)で用いた5%塩化カルシウム溶液を、5%塩化アルミニウム溶液に変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、トナー2を得た。
得られたトナー2に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー2に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-37.6℃であった。
また、得られたトナー2中のTHF不溶分の含有量は、13.9質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例3]
実施例2において、(水相の調製)で用いた5%塩化マグネシウム溶液を、5%塩化ガリウム溶液に変更したこと以外は、実施例2と同様にして行い、トナー3を得た。
得られたトナー3に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー3に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-37.9℃であった。
また、得られたトナー3中のTHF不溶分の含有量は、14.2質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例4]
実施例2において、(水相の調製)で用いた5%塩化マグネシウム溶液を、5%水酸化ストロンチウム溶液に変更したこと以外は、実施例2と同様にして行い、トナー4を得た。
得られたトナー4に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー4に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-37.5℃であった。
また、得られたトナー4中のTHF不溶分の含有量は、14.0質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例5]
実施例1において、(油相の調製)で用いたプレポリマーA-1を、プレポリマーA-2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、トナー5を得た。
プレポリマーA-2は、中間体ポリエステルA-2の水酸基にHDIイソシアヌレートのイソシアネート基を反応させ、さらに無水トリメリット酸を加えたものであるため、得られたトナー5に含まれる架橋成分の分岐の数は、3個以上であると考えられる。
得られたトナー5に含まれるプレポリマーA-2のガラス転移温度Tgは、-37.7℃であった。
また、得られたトナー5中のTHF不溶分の含有量は、14.1質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例6]
実施例4において、(油相の調製)で用いたプレポリマーA-1を、プレポリマーA-2に変更したこと以外は、実施例4と同様にして行い、トナー6を得た。
得られたトナー6に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例5と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー6に含まれるプレポリマーA-2のガラス転移温度Tgは、-37.6℃であった。
また、得られたトナー6中のTHF不溶分の含有量は、14.2質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例7]
本実施例では、乳化凝集法を用いて、トナーを作製した。
(ワックスエマルジョン1の製造)
イオン交換水100質量部に、ワックス(HNP-9、日本精蝋製)28質量部、界面活性剤としてサニゾールB50を添加した。これを90℃に加熱しながらホモジナイザーで分散処理し、ワックスエマルジョン1を得た。固形分濃度は、30%であった。
[結晶性ポリエステル樹脂分散液2の作製]
四つ口フラスコに、結晶性ポリエステル樹脂C-2(55質量部)、メチルエチルケトン(35質量部)、及び2-プロピルアルコール(10質量部)を加えた。その後、結晶性ポリエステル樹脂C-2の融点温度で加熱しながら撹拌し、結晶性ポリエステル樹脂C-2を溶解させた。その後、28質量%アンモニア水溶液を、中和率200%になるように添加した。中和率は、結晶性ポリエステル樹脂の酸価から計算した。さらに、イオン交換水130質量部を徐々に加えて、転相乳化を行った後、脱溶媒を行った。その後、イオン交換水を加えて、固形分濃度(結晶性ポリエステル樹脂の濃度)を25質量%に調整し、トナー用結着樹脂分散物である結晶性ポリエステル樹脂分散液2を得た。結晶性ポリエステル樹脂分散液2の結晶性ポリエステル樹脂の粒径は、250nmであった。
(油相の調製)
四つ口フラスコに、非晶性ポリエステル樹脂Bを71質量部、プレポリマーA-2を30質量部、カーボンブラックを5質量部添加した後、酢酸エチル100質量部を加えて、混合液を撹拌し、溶解及び分散させた。その後、28質量%アンモニア水溶液5質量部を添加して中和率400%になるようにした。これにより、油相7を得た。
(乳化及び脱溶)
上記の油相7に2%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液300質量部を徐々に加えて転相乳化を行った。その後、脱溶媒を行い、乳化スラリー7を得た。乳化スラリー7の粒径を測定したところ、0.50μmであった。また、固形分濃度を測定したところ、23.0%であった。
(凝集及び融着工程)
乳化スラリー7を117.5質量部、結晶性ポリエステル樹脂分散液2を6.0質量部、ワックスエマルジョン1を5.0質量部、イオン交換水を300質量部容器に入れて、1分間攪拌した。次に、混合液に、5%塩化マグネシウム溶液を100質量部、5%塩化カルシウム溶液を50質量部滴下して、更に5分間攪拌した後、60℃に昇温した。その後、粒径が5.0μmになったところで塩化ナトリウムを50質量部添加して、凝集工程を終了し、凝集スラリー7を得た。そのまま凝集スラリー7を攪拌しながら70℃に加熱して、所望の円形度である0.960になったところで冷却し、分散スラリー7を得た。
(アニーリング、洗浄及び乾燥)
分散スラリー7を、45℃で10時間保管した後に減圧ろ過し、以下のように洗浄と乾燥を行った。リスラリー液の電気伝導度が10μC/cm以下となるようにこの操作を繰り返した後、ろ過して、ろ過ケーキ7を得た。
(1):ろ過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12000rpm、混合時間10分)した後、ろ過した。
(2):(1)のろ過ケーキにイオン交換水900質量部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12000rpmで30分間)した後、減圧ろ過した。
ろ過ケーキ7を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体7を得た。
(外添処理)
トナー母体7に、トナー母体7の100質量部に対して、平均粒径100nmの疎水性シリカ0.6質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン1.0質量部と、平均粒径15nmの疎水性シリカ微粉体0.8質量部とをヘンシェルミキサーにて混合し、トナー7を得た。
得られたトナー7に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例5と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー7に含まれるプレポリマーA-2のガラス転移温度Tgは、-36.8℃であった。
また、得られたトナー7中のTHF不溶分の含有量は、14.1質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例8]
実施例7において、(凝集及び融着工程)で用いた5%塩化カルシウム溶液を、5%塩化アルミニウム溶液及び5%水酸化ストロンチウム溶液に変更したこと以外は、実施例7と同様にして行い、トナー8を得た。
得られたトナー8に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例5と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー8に含まれるプレポリマーA-2のガラス転移温度Tgは、-38.2℃であった。
また、得られたトナー8中のTHF不溶分の含有量は、14.3質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例9]
実施例1において、(水相の調製)で用いた5%塩化カルシウム溶液及び5%塩化マグネシウム溶液を、5%塩化カルシウム溶液のみに変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、トナー11を得た。
得られたトナー11に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー11に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-37.2℃であった。
また、得られたトナー11中のTHF不溶分の含有量は、13.6質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例10]
実施例1において、(水相の調製)で用いた5%塩化カルシウム溶液及び5%塩化マグネシウム溶液を、5%塩化アルミニウム溶液のみに変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、トナー12を得た。
得られたトナー12に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー12に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-36.9℃であった。
また、得られたトナー12中のTHF不溶分の含有量は、14.0質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例11]
実施例1における(油相の調製)において、プレポリマーA-1を300質量部に代えて340質量部、非晶性ポリエステル樹脂Bを650質量部に代えて630質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー13を得た。
得られたトナー13に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー13に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-35.4℃であった。
また、得られたトナー13中のTHF不溶分の含有量は、15.0質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例12]
実施例1における油相の調製において、プレポリマーA-1を300質量部に代えて740質量部、非晶性ポリエステル樹脂Bを650質量部に代えて430質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー14を得た。得られたトナー14に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー14に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-35.2℃であった。
また、得られたトナー14中のTHF不溶分の含有量は、34.8質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例13]
実施例1において、プレポリマーA-1に代えてプレポリマーA-3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー15を得た。
得られたトナー15に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー15に含まれるプレポリマーA-3のガラス転移温度Tgは、-60.0℃であった。
また、得られたトナー15中のTHF不溶分の含有量は、13.6質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例14]
実施例1において、プレポリマーA-1に代えてプレポリマーA-4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー16を得た。
得られたトナー16に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー16に含まれるプレポリマーA-4のガラス転移温度Tgは、-0.1℃であった。
また、得られたトナー16中のTHF不溶分の含有量は、13.6質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例15]
実施例1における(油相の調製)において、プレポリマーA-1を300質量部に代えて560質量部、非晶性ポリエステル樹脂Bを650質量部に代えて240質量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー19を得た。
得られたトナー19に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー19に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-35.4℃であった。
また、得られたトナー19中のTHF不溶分の含有量は、24.9質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[実施例16]
実施例1における(油相の調製)において、プレポリマーA-1を300質量部に代えて560質量部、非晶性ポリエステル樹脂Bを650質量部に代えて240質量部を使用し、(水相の調製)で用いた5%塩化カルシウム溶液に代えて5%塩化アルミニウム溶液、5%塩化マグネシウム溶液に代えて5%水酸化ストロンチウム溶液に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー20を得た。
得られたトナー20に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー20に含まれるプレポリマーA-1のガラス転移温度Tgは、-34.8℃であった。
また、得られたトナー20中のTHF不溶分の含有量は、25.3質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[比較例1]
実施例1において、(油相の調製)及び(水相の調製)を以下のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、トナー9を得た。
(油相の調製)
ワックス分散液1を500質量部、プレポリマーa-1を300質量部、結晶性ポリエステル樹脂分散液1を500質量部、非晶性ポリエステル樹脂Bを700質量部、マスターバッチ1を100質量部、及びIPDAの20%酢酸エチル溶液2質量部を容器に入れた。その後、混合液をTKホモミキサー(特殊機化製)を用いて、5000rpmで60分間混合し、油相9を得た。
(水相の調製)
水を990質量部、微粒子分散液1を83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON-7、三洋化成工業社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを、水相9とした。
得られたトナー9に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー9に含まれるプレポリマーa-1のガラス転移温度Tgは、-38.5℃であった。
また、得られたトナー9中のTHF不溶分の含有量は、14.6質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[比較例2]
実施例1において、プレポリマーA-1をプレポリマーa-2に変更したこと以外は、実施例1と同様にして行い、トナー10を得た。
プレポリマーa-2は線状ポリマーであるため、得られたトナー10に含まれる架橋成分の分岐の数は、2個以下である。
得られたトナー10に含まれるプレポリマーa-2のガラス転移温度Tgは、-38.8℃であった。
また、得られたトナー10中のTHF不溶分の含有量は、8.5質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[比較例3]
実施例1において、プレポリマーA-1に代えてプレポリマーa-3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー17を得た。
得られたトナー17に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー17に含まれるプレポリマーa-3のガラス転移温度Tgは、5.2℃であった。
また、得られたトナー中のTHF不溶分の含有量は、13.8質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
[比較例4]
実施例1において、プレポリマーA-1に代えてプレポリマーa-4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、トナー18を得た。
得られたトナー18に含まれる架橋成分の分岐の数は、実施例1と同様、3個以上であると考えられる。
得られたトナー18に含まれるプレポリマーa-4のガラス転移温度Tgは、-67.6℃であった。
また、得られたトナー18中のTHF不溶分の含有量は、13.9質量%であった。
なお、ガラス転移温度TgとTHF不溶分の含有量とは、実施例1と同様に測定した。
<評価>
得られた各実施例及び比較例のトナーの、帯電性、低温定着性、ホットオフセット性、及び耐ブロッキング性を評価した。
[帯電性]
トナーの帯電性は、トナーの帯電量を算出して評価した。23℃、湿度53±3%の環境下にて、トナー0.35g、キャリア5gをSUS製の円筒状容器(内径25mm、高さ30mm)に入れて12時間以上調湿した後、容器を密閉し、回転数300rpmにて5分間容器を回転させた。容器からトナーとキャリアとの混合物をサンプリングし、400メッシュのブローオフゲージに入れ、エア圧5KPaにて3分間エアブローした後、Q/Mメーター(EPPING社製)を用いて測定した。Q/Mメーターの設定としては、メッシュサイズが400メッシュ(ステンレス製)であり、ソフトブロー圧を1050V、吸引時間を90秒とした。帯電量は、以下の式(3)より算出した。帯電量が26μC/g以上である場合には、トナーの帯電性は、良好であると評価した。
帯電量(μC/g)=90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)・・・式(3)
[低温定着性]
トナーの低温定着性は、トナーの定着下限温度を測定して評価した。imageo MP C5002(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー製)に複写テストを行った。具体的には、定着温度を変化させてコールドオフセットが発生する温度(定着下限温度)を測定した。定着下限温度の評価条件は、紙送りの線速度を200mm/秒、面圧を1.0kgf/cm、ニップ幅を7mmとした。定着下限温度は、140℃未満であれば、本実施形態で得られるトナーは、十分な低温定着性を有するものと評価した。
(評価基準)
◎:120℃未満
○:120℃以上130℃未満
△:130℃以上140℃未満
×:140℃以上
[ホットオフセット性]
トナーのホットオフセット性は、トナーの定着上限温度を測定して評価した。imageo MP C5002(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー製)に複写テストを行った。具体的には、定着温度を変化させてホットオフセットが発生する温度(定着上限温度)を測定した。定着上限温度の評価条件は、紙送りの線速度を100mm/秒間、面圧を1.0kgf/cm、ニップ幅を7mmとした。定着上限温度は、170℃以上であれば、本実施形態で得られるトナーは、十分なホットオフセット性を有するものと評価した。
[耐ブロッキング性]
PPC用紙タイプ6000<70W>A4 T目(株式会社リコー製)に3cm×15cmの長方形のベタ画像をトナーの付着量が0.85mg/cmとなるように形成し、片面、連続200枚出力した。なお、定着温度は、コールドオフセット温度+20℃が中心となるように制御した。200枚の出力画像をスタックしたまま1時間放置し、その後、画像同士の貼り付けを、下記評価基準に基づき、評価した。耐ブロッキング性は、「◎」又は「〇」であれば、本実施形態で得られるトナーは、十分な耐ブロッキング性を有するものと評価した。
(評価基準)
◎:用紙同士の貼り付きがまったくない
○:用紙同士の貼り付きが少しあるが、用紙同士を離した際に画像に問題がない
△:用紙同士の貼り付きが少しあり、用紙同士を離した際に画像の光沢に変化がある
×:用紙同士の貼り付きがあり、用紙同士を離した際に画像や紙が破損する
[総合評価]
総合評価は、下記評価基準により評価した。
全ての評価項目が「○」又は「◎」であり、帯電量が30μC/g以上であり、定着上限温度が180℃以上であるものを「◎」と判定した。
全ての評価項目が「○」又は「◎」であり、帯電量が26μC/g以上であり、定着上限温度が170℃以上であるものを「○」と判定した。
全ての評価項目が「○」又は「◎」であり、帯電量が20μC/g以上26μC/g以下であり、定着上限温度が160℃以上170℃未満であるものを「△」と判定した。
全ての評価項目に「△」又は「×」が1つ以上あるか、帯電量が20μC/g未満であるか、定着上限温度が160℃未満であるものを「×」と判定した。
(評価基準)
◎:非常に優れている
○:優れている
△:やや優れている
×:従来と同じ、または実用に耐えない
得られた各実施例及び各比較例のトナーの、耐電量、定着下限温度、定着上限温度、及び耐ブロッキング性の評価結果を表2に示す。
また、金属イオンのイオン半径(pm)は次の数値を用いた。
・塩化カルシウムの2価カルシウムイオン;100pm
・塩化マグネシウムの2価マグネシウムイオン;72pm
・塩化アルミニウムの3価アルミニウムイオン;54pm
・塩化ガリウムの3価ガリウムイオン;47pm
・水酸化ストロンチウムの3価ストロンチウムイオン;118pm
Figure 2022100263000001
Figure 2022100263000002
表1及び表2より、実施例1~16のトナーは、帯電性、低温定着性、ホットオフセット及び耐ブロッキング性をいずれも使用上の条件を満たしていたことが確認された。これに対して、比較例1~4で得られたトナーは、帯電性、低温定着性、ホットオフセット及び耐ブロッキング性の少なくともいずれかが使用上の条件を満たしておらず、実用上問題を有することが確認された。
よって、実施例1~16のトナーは、比較例1~4のトナーと異なり、架橋成分を含み、架橋成分は3つに分岐する非線状ポリマーで、末端を金属架橋しており、非線状ポリマーのガラス転移温度Tgを-60℃以上0℃未満とすることで、帯電性、低温定着性、ホットオフセット及び定着後の耐ブロッキング性に優れ、高品質なトナーであるといえる。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1>架橋成分を含み、前記架橋成分は、3つ以上に分岐し、かつ末端を金属架橋した非線状ポリマーを含み、前記非線状ポリマーの、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが、-60℃以上0℃未満であることを特徴とするトナーである。
<2>架橋成分を含み、前記架橋成分は、結着樹脂として、THF(テトラヒドロフラン)不溶分を少なくとも含み、前記THF不溶分は、3つ以上に分岐した非線状ポリマーと、金属イオンとを含み、前記THF不溶分の、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが、-60℃以上0℃未満であることを特徴とするトナーである。
<3>前記THF不溶分の含有量が、15~35質量%である前記<2>に記載のトナーである。
<4>前記非線状ポリマーの金属架橋は、2価以上の金属イオンを2種類含む、前記<1>から前記<3>のいずれかに記載のトナーである。
<5>2種類の前記2価以上の金属イオンは、価数がそれぞれ異なる前記<4>に記載のトナーである。
<6>2種類の前記2価以上の金属イオンのイオン半径の差が、50pm以上である前記<4>から前記<5>のいずれかに記載のトナーである。
<7>前記<1>から前記<6>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<8>前記<1>から前記<6>のいずれかに記載のトナーを収容することを特徴とするトナー収容ユニットである。
<9>非線状の反応性前駆体であるプレポリマーを含む油相と水系媒体とを混合して、前記プレポリマーと硬化剤との伸長反応及び架橋反応の少なくとも一方の反応により、非線状ポリマーを生成しながらトナー母体粒子を形成し、前記<1>から前記<6>のいずれかに記載のトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法である。
<10>非線状の反応性前駆体であるプレポリマーと、活性水素基含有化合物とを含む油相と、水系媒体とを混合して、前記プレポリマーと硬化剤との伸長反応及び架橋反応の少なくとも一方の反応により、非線状ポリマーを生成しながらトナー母体粒子を形成し、前記<1>から前記<6>のいずれかに記載のトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法である。
<11>ポリエステル樹脂と、非線状の反応性前駆体であるプレポリマーとを有機溶媒に溶解又は分散させた油相を転相乳化して、前記有機溶媒を除去した後、結晶性ポリエステル樹脂を含む分散液を混合して混合液を作製し、前記混合液中の前記結晶性ポリエステル樹脂を凝集させて、トナー母体粒子を形成し、前記<1>から前記<6>のいずれかに記載のトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法である。
<12>静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像部と、前記可視像を記録媒体に転写する転写部と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着部と、を備え、前記トナーが、前記<1>から前記<6>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
<13>静電潜像担持体の上に静電潜像を形成し、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成し、前記可視像を記録媒体に転写し、前記記録媒体に転写された転写像を定着し、前記トナーが、前記<1>から前記<6>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法である。
<14>架橋成分を含み、前記架橋成分は、結着樹脂として、THF(テトラヒドロフラン)不溶分を少なくとも含み、前記THF不溶分は、3つ以上に分岐した非線状ポリマーと、金属イオンとを含み、前記THF不溶分の、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが、-60℃以上0℃未満であることを特徴とする樹脂微粒子である。
前記<1>から前記<6>のトナー、前記<7>の現像剤、前記<8>のトナー収容ユニット、前記<9>から前記<11>のトナーの製造方法、前記<12>の画像形成装置、前記<13>の画像形成方法、前記<14>の樹脂微粒子によれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1A 画像形成装置
1B 画像形成装置
1C 画像形成装置
10 静電潜像担持体(感光体ドラム)
10K ブラック(Bk)用感光体ドラム
10Y イエロー(Y)用感光体ドラム
10M マゼンタ(M)用感光体ドラム
10C シアン(C)用感光体ドラム
20 帯電ローラ(帯電部)
30 露光装置(露光部)
40 現像装置(現像部)
41 現像ベルト
42K ブラック(Bk)現像ユニット
421K 現像剤収容部
422K 現像剤供給ローラ
423K 現像ローラ(現像剤担持体)
42Y イエロー(Y)現像ユニット
421Y 現像剤収容部
422Y 現像剤供給ローラ
423Y 現像ローラ(現像剤担持体)
42M マゼンタ(M)現像ユニット
421M 現像剤収容部
422M 現像剤供給ローラ
423M 現像ローラ(現像剤担持体)
42C シアン(C)現像ユニット
421C 現像剤収容部
422C 現像剤供給ローラ
423C 現像ローラ(現像剤担持体)
50 中間転写体(中間転写ベルト)
51 ローラ
52 コロナ帯電器
53A ローラ
53B ローラ
53C ローラ
60 クリーニング装置(クリーニング部)
62 転写帯電器
70 転写ローラ(転写部)
80 除電ランプ(除電部)
90 中間転写クリーニング装置
95 転写紙
110 複写装置本体
111 給紙路
112 レジストローラ
113 手差しローラ
114 トレイ
115 手差し給紙路
116 切換爪
117 排出ローラ
118 排紙トレイ
120 給紙テーブル
121 給紙ローラ
122 ペーパーバンク
123 給紙カセット
124 分離ローラ
125 給紙路
126 搬送ローラ
130 スキャナ
131 コンタクトガラス
132 第1走行体
133 第2走行体
135 結像レンズ
136 読取りセンサ
140 原稿自動搬送装置(ADF)
141 原稿台
150 二次転写装置
151 二次転写ベルト
152 ローラ
160 定着装置
161 定着ベルト
162 加圧ローラ
170 シート反転装置
200 画像形成装置プロセスカートリッジ
L 露光光
P 転写紙
特開2015-125413号公報

Claims (14)

  1. 架橋成分を含み、
    前記架橋成分は、3つ以上に分岐し、かつ末端を金属架橋した非線状ポリマーを含み、
    前記非線状ポリマーの、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが、-60℃以上0℃未満であることを特徴とするトナー。
  2. 架橋成分を含み、
    前記架橋成分は、結着樹脂として、THF(テトラヒドロフラン)不溶分を少なくとも含み、
    前記THF不溶分は、3つ以上に分岐した非線状ポリマーと、金属イオンとを含み、
    前記THF不溶分の、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが、-60℃以上0℃未満であることを特徴とするトナー。
  3. 前記THF不溶分の含有量が、15~35質量%である請求項2に記載のトナー。
  4. 前記非線状ポリマーの金属架橋は、2価以上の金属イオンを2種類含む、請求項1から3のいずれかに記載のトナー。
  5. 2種類の前記2価以上の金属イオンは、価数がそれぞれ異なる請求項4に記載のトナー。
  6. 2種類の前記2価以上の金属イオンのイオン半径の差が、50pm以上である請求項4から5のいずれかに記載のトナー。
  7. 請求項1から6のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
  8. 請求項1から6のいずれかに記載のトナーを収容することを特徴とするトナー収容ユニット。
  9. 非線状の反応性前駆体であるプレポリマーを含む油相と水系媒体とを混合して、前記プレポリマーと硬化剤との伸長反応及び架橋反応の少なくとも一方の反応により、非線状ポリマーを生成しながらトナー母体粒子を形成し、請求項1から6のいずれかに記載のトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法。
  10. 非線状の反応性前駆体であるプレポリマーと、活性水素基含有化合物とを含む油相と、水系媒体とを混合して、前記プレポリマーと硬化剤との伸長反応及び架橋反応の少なくとも一方の反応により、非線状ポリマーを生成しながらトナー母体粒子を形成し、請求項1から6のいずれかに記載のトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法。
  11. ポリエステル樹脂と、非線状の反応性前駆体であるプレポリマーとを有機溶媒に溶解又は分散させた油相を転相乳化して、前記有機溶媒を除去した後、結晶性ポリエステル樹脂を含む分散液を混合して混合液を作製し、前記混合液中の前記結晶性ポリエステル樹脂を凝集させて、トナー母体粒子を形成し、請求項1から6のいずれかに記載のトナーを製造することを特徴とするトナーの製造方法。
  12. 静電潜像担持体と、
    前記静電潜像担持体の上に静電潜像を形成する静電潜像形成部と、
    前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する現像部と、
    前記可視像を記録媒体に転写する転写部と、
    前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着部と、を備え、
    前記トナーが、請求項1から6のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
  13. 静電潜像担持体の上に静電潜像を形成し、前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成し、前記可視像を記録媒体に転写し、前記記録媒体に転写された転写像を定着し、
    前記トナーが、請求項1から6のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成方法。
  14. 架橋成分を含み、
    前記架橋成分は、結着樹脂として、THF(テトラヒドロフラン)不溶分を少なくとも含み、
    前記THF不溶分は、3つ以上に分岐した非線状ポリマーと、金属イオンとを含み、
    前記THF不溶分の、示差走査熱量測定のガラス転移温度Tgが、-60℃以上0℃未満であることを特徴とする樹脂微粒子。

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