JP2022099861A - ビスマレイミド系樹脂組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械特性の低下を抑制しつつ、優れた難燃性を有するビスマレイミド系樹脂組成物及びその成形体を提供する。【解決手段】ビスマレイミド化合物、硬化剤、2,2’-ビフェノール付加シクロトリホスファゼン及び下記式(2)で表される化合物を含む、ビスマレイミド系樹脂組成物。TIFF2022099861000018.tif37170式(2)中、R2は下記の基を示す。TIFF2022099861000019.tif20170【選択図】なし
Description
本発明は、ビスマレイミド系樹脂組成物及びその成形体に関する。
ビスマレイミド系樹脂は、種類によっては300℃以上の高温に耐えることができるような優れた耐熱性を有しており、また、低分子量で低粘性のモノマー又は前駆体から合成され、加工が容易であることから、電気、電子又は通信機器分野、自動車分野、宇宙航空分野等、様々な分野での実用化が進められている。
特に電気、電子又は通信機器分野においては、フレキシブルプリント配線板、フィルム基板、プリプレグ等、多くの電子部品でビスマレイミド系樹脂が用いられている。
ビスマレイミド系樹脂は、通常、加工性の向上や、柔軟性、靭性等を付与する等の様々な目的に応じて、ビニル化合物、アリル化合物、アリルフェノール、イソシアネート、芳香族アミン等の反応性コモノマー(硬化剤)をビスマレイミド化合物と反応させて形成させるが、硬化剤の割合が高くなるにつれ、本来有する難燃効果が低下してしまう。そのため、ビスマレイミド系樹脂に対しては新たに難燃性を付与することが必要であった。
ビスマレイミド系樹脂に難燃性を付与する方法としては、ビスマレイミド化合物を硬化剤により硬化させる前に、難燃剤を添加する方法が考えられた。しかしながら、硬化剤が配合されているため、一般に知られる難燃剤では、ビスマレイミド系樹脂に対して十分な難燃効果を得ることが困難であった。そのような中、フェニル基上に不飽和基を有するフェノキシホスファゼン化合物が樹脂の難燃剤として知られており(例えば、特許文献1参照)、ビスマレイミドと反応して耐熱性に優れた熱硬化性ポリマーを生成することが知られている(例えば、特許文献2参照)。
上記のような背景技術を有する中、本発明者は、トリス(2,2’-ジオキシビフェニル)シクロトリホスファゼンが、ビスマレイミド系樹脂等の熱硬化性ポリイミド樹脂に対しても優れた難燃効果を発現することを見出した(特許文献1)。
しかしながら、硬化剤が配合されたビスマレイミド系樹脂においては、上記のとおり、硬化剤の配合により加工性、柔軟性、靱性等の機械特性を向上させているが、トリス(2,2’-ジオキシビフェニル)シクロトリホスファゼンを添加することで、成型体の機械特性を著しく低下させることが避けられないうえに、配合組成によっては難燃性も十分とは言えない場合があった。
一方、フェニル基上に不飽和基を有するフェノキシホスファゼン化合物では、硬化剤が配合されたビスマレイミド系樹脂においては、予想に反して難燃効果は不十分か、全く発現されないものであった。
本発明は、機械特性の低下を抑制しつつ、優れた難燃性を有するビスマレイミド系樹脂組成物及びその成形体を提供することを課題とする。
本発明者は、種々検討した結果、ビスマレイミド化合物と硬化剤と式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを含むビスマレイミド系樹脂組成物から作製した成形体は、難燃性に優れ、かつ十分な機械特性を有するため、本発明の課題を解決できることを見出した。本発明者は、このような知見に基づき鋭意研究を重ね、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の項1~9に示すビスマレイミド系樹脂組成物、成形体等を包含する。
項1 ビスマレイミド化合物、硬化剤、式(1)で表される化合物、及び式(2)で表される化合物を含む、ビスマレイミド系樹脂組成物。
[式中、R1は、同一又は異なって、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、炭素数2~7のアルケニルオキシ基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数3~8のシクロアルコキシ基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個又は2個以上置換していてもよいフェニル基を示す。
R2は、同一又は異なって、次の基:
R2は、同一又は異なって、次の基:
を示す。
ここで、R3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
R4は、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。
lは0~4の整数を示す。
なお、lが2以上の整数を示す場合、l個のR4は、同一又は異なっていてもよい。]
ここで、R3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
R4は、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。
lは0~4の整数を示す。
なお、lが2以上の整数を示す場合、l個のR4は、同一又は異なっていてもよい。]
項2 前記ビスマレイミド化合物及び前記硬化剤の合計100質量%中における、前記硬化剤の割合が10~90質量%である、項1に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
項3 前記ビスマレイミド化合物及び前記硬化剤の合計100質量部に対して、前記式(1)で表される化合物を0.5質量部以上含む、項1又は2に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
項4 前記ビスマレイミド化合物及び前記硬化剤の合計100質量部に対して、前記式(2)で表される化合物を0.1質量部以上含む、項1~3のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
項5 前記式(1)で表される化合物100質量部に対して、前記式(2)で表される化合物を10~100質量部含む、項1~4のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
項5-1 硬化剤がシアネート化合物である、項1~5のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
項5-2 前記ビスマレイミド化合物及び前記硬化剤の合計100質量部に対して、前記式(1)で表される化合物を10質量部以上含む、項5-1に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
項5-3 前記ビスマレイミド化合物及び前記硬化剤の合計100質量部に対して、前記式(2)で表される化合物を5質量部以上含む、項5-1又は5-2に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
項6 項1~5-3のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物を用いて作製された成形体。
項7 項1~5-3のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物を用いて作製された電気又は電子部品。
項8 項1~5-3のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物を含む半導体素子用封止材。
項9 項1~5-3のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物を用いて作製された基板材料。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物を有していることから、優れた難燃性能を発揮できるとともに、式(1)で表される化合物の添加による機械特性の低下を抑制することができる。更に、高温下での樹脂成形品の信頼性(耐熱性、及び熱安定性)に優れることから、本発明の成形体は、電気、電子又は通信機器に好適に使用することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「含有」は、「含む(comprise)」、「実質的にのみからなる(consist essentially of)」、及び「のみからなる(consist of)」のいずれも包含する概念である。また、本明細書において、数値範囲を「A~B」で示す場合、特に制限のない限りA以上B以下を意味する。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、ビスマレイミド化合物、硬化剤、式(1)で表される化合物、及び式(2)で表される化合物を含む。
[式中、R1は、同一又は異なって、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数2~7のアルケニル基、炭素数2~7のアルケニルオキシ基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数3~8のシクロアルコキシ基、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれた少なくとも1種の置換基が1個又は2個以上置換していてもよいフェニル基を示す。
R2は、同一又は異なって、次の基:
R2は、同一又は異なって、次の基:
を示す。
ここで、R3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
R4は、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。
lは0~4の整数を示す。
なお、lが2以上の整数を示す場合、l個のR4は、同一又は異なっていてもよい。]
ここで、R3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
R4は、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。
lは0~4の整数を示す。
なお、lが2以上の整数を示す場合、l個のR4は、同一又は異なっていてもよい。]
ビスマレイミド化合物
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物で用いられるビスマレイミド化合物は、分子主鎖中にイミド結合を有する樹脂を形成できるものであり、公知のものを広く使用することができ、従来公知の方法によって得られるもの、又は市販品を用いることができる。例えば、4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビスフェノール A ジフェニルエーテルビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、1,2-ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,12-ビスマレイミドドデカン、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、1,3-ビスマレイミドベンゼン、1,4-ビスマレイミドベンゼン、3,3’-ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、3,3’-ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルスルホン、3,3’-ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’-ビスマレイミドジフェニルエーテル、2,4-ビスマレイミドトルエン、2,6-ビスマレイミドトルエン、3,4’-ビスマレイミドトルエン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4’-ビスマレイミドジシクロヘキシルメタン、4,4’-ビスマレイミドジシクロヘキシルヘキサン、N,N’-m-キシリレンビスマレイミド、N,N’-p-キシリレンビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビス-シトラコンイミド、N,N’-4,4’-ジフェニレンビス-シトラコンイミド、2,2’-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3’-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3’-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、N,N’-[1,3-フェニレン-ジ-(2,2-プロピリデン)-ジ-p-フェニレン]ビスマレイミド等が挙げられる。これらの中でも4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド等が好適に用いられる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物で用いられるビスマレイミド化合物は、分子主鎖中にイミド結合を有する樹脂を形成できるものであり、公知のものを広く使用することができ、従来公知の方法によって得られるもの、又は市販品を用いることができる。例えば、4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、ビスフェノール A ジフェニルエーテルビスマレイミド、フェニルメタンマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、3,3’-ジメチル-5,5’-ジエチル-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、1,2-ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,12-ビスマレイミドドデカン、1,6-ビスマレイミド-(2,2,4-トリメチル)ヘキサン、1,3-ビスマレイミドベンゼン、1,4-ビスマレイミドベンゼン、3,3’-ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、3,3’-ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルスルホン、3,3’-ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’-ビスマレイミドジフェニルエーテル、2,4-ビスマレイミドトルエン、2,6-ビスマレイミドトルエン、3,4’-ビスマレイミドトルエン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルスルフィド、4,4’-ビスマレイミドジシクロヘキシルメタン、4,4’-ビスマレイミドジシクロヘキシルヘキサン、N,N’-m-キシリレンビスマレイミド、N,N’-p-キシリレンビスマレイミド、N,N’-m-フェニレンビス-シトラコンイミド、N,N’-4,4’-ジフェニレンビス-シトラコンイミド、2,2’-ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、1,3’-ビス(4-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3’-ビス(3-マレイミドフェノキシ)ベンゼン、N,N’-[1,3-フェニレン-ジ-(2,2-プロピリデン)-ジ-p-フェニレン]ビスマレイミド等が挙げられる。これらの中でも4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、m-フェニレンビスマレイミド、4-メチル-1,3-フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド等が好適に用いられる。
また、本発明のビスマレイミド系樹脂組成物においては、上記したビスマレイミド化合物以外に、マレイミド基を3個以上有するポリフェニルメタンマレイミド等のポリマレイミド化合物を併用してもよい。
硬化剤
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物で用いられる硬化剤としては、ビスマレイミド化合物と反応して、分子間結合を形成できるものであればよく、ビスマレイミド系樹脂を形成するために一般に使用されるもの、例えば、オレフィン系化合物、ジアミン化合物、エポキシ化合物、シアネート化合物等を挙げることができる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物で用いられる硬化剤としては、ビスマレイミド化合物と反応して、分子間結合を形成できるものであればよく、ビスマレイミド系樹脂を形成するために一般に使用されるもの、例えば、オレフィン系化合物、ジアミン化合物、エポキシ化合物、シアネート化合物等を挙げることができる。
オレフィン系化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン;ビス(プロペニルフェノキシ)化合物;2,2’-ジアリルビスフェノールA等のジアリルフェニル又はジアリルフェノキシ化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用することができ、又は2種以上を併用することもできる。
ジアミン化合物としては、例えば、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用することができ、又は2種以上を併用することもできる。
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、オルトクレゾールノボラック型エポキシ化合物、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、トリアジン核を有する3官能エポキシ化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用することができ、又は2種以上を併用することもできる。
シアネート化合物としては、例えば、ノボラック型シアネート化合物、ビスフェノールA型シアネート化合物、ビスフェノールE型シアネート化合物、ビスフェノールF型シアネート化合物およびこれらが一部トリアジン化したプレポリマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用することができ、又は2種以上を併用することもできる。
硬化剤の使用量は、使用者の目的に応じて設定されればよく、特に制限されないが、ビスマレイミド化合物及び硬化剤の合計100質量%中における、硬化剤の割合が10~90質量%、好ましくは20~80質量%の範囲で適宜設定されればよい。また、本願発明の効果が顕著に発現される使用量としては、例えば、硬化剤としてオレフィン系化合物を使用する場合は、ビスマレイミド化合物中のマレイミド基1当量に対して、オレフィン系化合物に含まれる二重結合が0.5~1当量になるよう調整すればよく、ジアミン化合物を使用する場合は、ビスマレイミド化合物中のマレイミド基1当量に対して、アミン系化合物に含まれるアミノ基が0.5~2当量になるよう調整すればよく、エポキシ化合物を使用する場合は、ビスマレイミド化合物中のマレイミド基1当量に対して、エポキシ化合物に含まれるエポキシ基が0.5~2当量になるように調整すればよく、シアネート化合物を使用する場合は、ビスマレイミド化合物中のマレイミド基1当量に対して、シアネート化合物に含まれるシアナト基が0.5当量以上になるよう調整すればよい。なお、本発明では、上記のとおり、ビスマレイミド化合物及び硬化剤の合計100質量%中における、硬化剤の割合が10~90質量%であることが好ましいため、シアネート化合物を使用する場合の含有量の上限値は、必然的に、硬化剤の割合が90質量%である場合の含有量である。
これらの硬化剤の中でも、シアネート化合物の使用が、本発明のビスマレイミド系樹脂組成物の機械特性の向上、維持の観点において好ましい。
式(1)で表される化合物
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、組成物内に式(1)で表される化合物を含有する。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、組成物内に式(1)で表される化合物を含有する。
式(1)で表される化合物は、ハロゲン化銀写真感光材料(日本国特開2002-169243号公報)、ポリエステル用の難燃剤(米国特許3865783号公報)等としての使用が報告されている公知の物質である。
式(1)で表される化合物は、公知の製造方法を用いて製造することができる。例えば、次の反応式-1に示されるように、米国特許3356769号公報に記載の方法等により、式(1)で表される化合物を製造することができる。
反応式-1において、原料であるヘキサクロロシクロトリホスファゼンは、公知の方法、すなわち五塩化リンと塩化アンモニウムとの反応に基づく製造方法により製造することができる。また、市販のものを用いることもできる。
反応式-1中の塩基として、アルカリ金属塩、アミン化合物等が挙げられ、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。
式(1)で表される化合物は、例えば、ヘキサクロロシクロトリホスファゼンと2,2’-ビフェノールとを、モノクロロベンゼン等の溶媒中において反応させることにより得ることができる。2,2’-ビフェノールは、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン1molに対して3mol程度使用することが好ましい。反応温度は、20~140℃程度が好ましく、反応時間は0.5~20時間程度が好ましい。
本発明のビスマレイミド樹脂組成物には、式(1)で表される化合物が含まれていればよい。本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、式(1)で表される化合物を含む、下記式(3)で表される混合物が配合される態様を包含する。つまり、当該混合物は、下記式(3)において、mが3である化合物(式(1)で表される化合物)と、mが4以上(4~15の整数)である化合物とを含有することができる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物が、下記式(3)で表される混合物を含む場合、式(3)で表される混合物は当該混合物100質量%中に、例えば、式(3)においてmが3である化合物(式(1)で表される化合物)を50~90質量%、式(3)においてmが4である化合物を5~40質量%、式(4)においてmが5である化合物を0~30質量%、及び式(3)においてmが6~15である化合物を0~20質量%含んでいることが好ましい。
式(3)で表される混合物は、上記式(1)で表される化合物の製造方法においてヘキサクロロシクロトリホスファゼンを使用する替わりに、例えば、式(4)で表される混合物と2,2’-ビフェノールとを塩基存在下で反応させることで製造することができる。当該混合物は、下記式(4)において、nが3である化合物(式(1)で表される化合物)と、nが3以外(4~15の整数)である化合物とを含有する。なお、式(4)で表される混合物は、式(4)においてnが3である化合物(式(1)で表される化合物)を50~90質量%、式(4)においてnが4である化合物を5~40質量%、式(4)においてnが5である化合物を0~30質量%、及び式(4)においてnが6~15である化合物を0~20質量%含むことが好ましい。式(4)で表される混合物は、公知の方法により製造することができ、例えば、日本国特開昭57-87427号公報、日本国特公昭58-19604号公報、日本国特公昭61-1363号公報、日本国特公昭62-20124号公報等に記載の方法に従って製造することができる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物における、式(1)で表される化合物の含有量は、難燃性能、高温下での樹脂成形品の信頼性(耐熱性、及び熱安定性)等の観点から、ビスマレイミド化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常、0.5質量部以上であり、例えば0.5~20質量部の範囲でビスマレイミド化合物と硬化剤の種類、配合割合、更には後述する式(2)で表される化合物との配合割合等を勘案して、適宜設定されればよく、好ましくは、1~20質量部、更に好ましくは、5~18質量部とすればよい。なお、20質量部以上使用してもよいが、配合量に対する期待する効果の向上の観点から20質量部以下とすることが好ましい。
また、硬化剤として、シアネート化合物を使用する場合は、ビスマレイミド化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常、式(1)で表される化合物は10質量部以上を使用するのがよく、好ましくは12質量部以上(例えば、12~20質量部、12~18質量部、12~16質量部)であり、更に好ましくは14質量部以上(例えば、14~20質量部、14~18質量部、14~16質量部)であり、特に好ましいのは15質量部以上(例えば、15~20質量部、15~18質量部、15~16質量)とすればよい。なお、20質量部以上使用してもよいが、配合量に対する期待する効果の向上の観点から20質量部以下とすることが好ましい。
式(2)で表される化合物
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、組成物内に式(1)で表される化合物に加えて、式(2)で表される化合物を含有する。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、組成物内に式(1)で表される化合物に加えて、式(2)で表される化合物を含有する。
[式中、R1及びR2は、前記と同じである。]
R1、R2、R3及びR4で示される各基は、次のとおりである。
炭素数1~4のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。
炭素数1~4のアルコキシ基としては、特に制限はなく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基等の炭素数1~4の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基が挙げられる。
炭素数2~7のアルケニル基としては、特に制限はなく、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1,3-ブタジエニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1,1-ジメチル-2-プロペニル基、1-エチル-2-プロペニル基、1-メチル-2-ブテニル基、1-メチル-3-ブテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、5-ヘキセニル基、1,1-ジメチル-2-ブテニル基、1,1-ジメチル-3-ブテニル基等の任意の位置に少なくとも1つの二重結合を有する炭素数2~7の直鎖状又は分岐鎖状アルケニル基が挙げられる。
炭素数2~7のアルケニルオキシ基としては、特に制限はなく、例えば、ビニルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、アリルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、1-メチル-2-プロペニルオキシ基、1,3-ブタジエニルオキシ基、1-ペンテニルオキシ基、2-ペンテニルオキシ基、3-ペンテニルオキシ基、4-ペンテニルオキシ基、1,1-ジメチル-2-プロペニルオキシ基、1-エチル-2-プロペニルオキシ基、1-メチル-2-ブテニルオキシ基、1-メチル-3-ブテニルオキシ基、1-ヘキセニルオキシ基、2-ヘキセニルオキシ基、3-ヘキセニルオキシ基、4-ヘキセニルオキシ基、5-ヘキセニルオキシ基、1,1-ジメチル-2-ブテニルオキシ基、1,1-ジメチル-3-ブテニルオキシ基等の任意の位置に少なくとも1つの二重結合を有する炭素数2~7の直鎖状又は分岐鎖状アルケニルオキシ基が挙げられる。
炭素数3~8のシクロアルキル基としては、特に制限はなく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数3~8の環状アルキル基が挙げられる。
炭素数3~8のシクロアルコキシ基としては、特に制限はなく、例えば、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等の炭素数3~8の環状アルコキシ基が挙げられる。
式(2)で表される化合物において、R1は置換基を有さないフェニル基が特に好ましいが、置換基を有する場合、フェニル基上の置換基としては、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基等が好ましく、その場合の置換基数としては、1又は2が好ましい。
式(2)で表される化合物において、R2は、置換又は非置換アリル基がオルト位及び/又はパラ位に有しているものが好ましく、オルト位に有しているものが特に好ましい。また、置換又は非置換アリル基のα炭素に置換するR3は、水素原子又はメチル基が好ましい。R4は、無置換(l=0)又はアルコキシ基が好ましく、無置換が特に好ましい。
式(2)で表される化合物の具体例としては、2,4,6-トリオイゲノキシ-2,4,6-トリフェノキシシクロホスファゼン、2,4,6-トリイソオイゲノキシ-2,4,6-トリフェノキシシクロホスファゼン、2,4,6-トリス(2-アリルフェノキシ)-2,4,6-トリフェノキシシクロホスファゼン、2,4,6-トリス(4-アリルフェノキシ)-2,4,6-トリフェノキシシクロホスファゼン等を挙げることができる。これらの中でも2,4,6-トリス(2-アリルフェノキシ)-2,4,6-トリフェノキシシクロホスファゼンが特に好ましい。
本発明のビスマレイミド樹脂組成物には、式(2)で表される化合物が含まれていればよい。本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、式(2)で表される化合物を含む、下記式(5)で表される混合物が配合される態様を包含する。つまり、当該混合物は、下記式(5)において、kが3である化合物(式(2)で表される化合物)と、kが4以上(4~15の整数)である化合物とを含有することができる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物が、下記式(5)で表される混合物を含む場合、式(5)で表される混合物は当該混合物100質量%中に、例えば、式(5)においてkが3である化合物(式(2)で表される化合物)を50~90質量%、式(5)においてkが4である化合物を5~40質量%、式(5)においてkが5である化合物を0~30質量%、及び式(5)においてkが6~15である化合物を0~20質量%含んでいることが好ましい。このような混合体としては、国際公開第2016/190338号に開示された混合体を好適に使用することができる。
[式中、R1及びR2は、前記と同じである。kは3~15の整数を示す。]
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物における、式(2)で表される化合物の含有量は、ビスマレイミド化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常、0.1質量部以上であり、例えば0.1~20質量部の範囲でビスマレイミド化合物と硬化剤の種類、配合割合、式(1)で表される化合物との配合割合等を勘案して、適宜設定されればよく、好ましくは0.5~20質量部、更に好ましくは1~18質量部とすればよい。なお、20質量部以上使用してもよいが、機械特性の観点から20質量部以下とすることが好ましい。
また、硬化剤としてシアネート化合物を使用する場合は、発明のビスマレイミド系樹脂組成物における、式(2)で表される化合物の含有量は、ビスマレイミド化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常、5質量部以上であり、好ましくは7質量部以上(例えば、7~20質量部、7~16質量部、7~14質量部)であり、更に好ましくは8質量部以上(例えば、8~20質量部、8~16質量部、8~14質量部)とすればよい。なお、20質量部以上使用してもよいが、機械特性の観点から20質量部以下とすることが好ましい。
式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物との配合割合は、式(1)で表される化合物100質量部に対して、通常10~100質量部の間で、適宜設定されればよく、好ましくは20~80質量部、より好ましくは30~70質量部とすればよい。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物においては、式(1)で表される化合物と式(2)で表される化合物とを併用することによって、優れた難燃性を示し、更に機械特性の低下を抑制する効果が得られるが、驚くべきことに、難燃効果の乏しい式(2)で表される化合物を併用することによって、式(1)で表される化合物の難燃効果が向上することができる。
その他の添加剤
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物には、その好ましい特性を損なわない範囲で、一般的な樹脂添加剤を配合することができる。該樹脂添加剤としては、特に制限はなく、例えば、無機充填材、難燃剤、ドリッピング(燃焼時の滴下による延焼)防止剤(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)(CTFE)、ポリフルオロビニリデン(PVdF)等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系等)、光安定剤(ヒンダードアミン系等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、有機リン系過酸化物分解剤、有機硫黄系過酸化物分解剤等)、遮光剤(ルチル型酸化チタン、酸化クロム、酸化セリウム等)、金属不活性剤(ベンゾトリアゾール系等)、消光剤(有機ニッケル等)、天然ワックス類、合成ワックス類、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、防曇剤、防黴剤、抗菌剤、防臭剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、重合禁止剤、架橋剤、顔料(べんがら等)、染料、着色剤(カーボンブラック等)、増感剤、硬化促進剤、希釈剤、流動性調整剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、接着剤、粘着剤、粘着性付与剤、滑剤、離型剤、潤滑剤、核剤、強化剤、相溶化剤、導電材、アンチブロッキング剤、アンチトラッキング剤、畜光剤、各種安定剤等が挙げられる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物には、その好ましい特性を損なわない範囲で、一般的な樹脂添加剤を配合することができる。該樹脂添加剤としては、特に制限はなく、例えば、無機充填材、難燃剤、ドリッピング(燃焼時の滴下による延焼)防止剤(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、ポリ(トリフルオロクロロエチレン)(CTFE)、ポリフルオロビニリデン(PVdF)等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、トリアジン系等)、光安定剤(ヒンダードアミン系等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、有機リン系過酸化物分解剤、有機硫黄系過酸化物分解剤等)、遮光剤(ルチル型酸化チタン、酸化クロム、酸化セリウム等)、金属不活性剤(ベンゾトリアゾール系等)、消光剤(有機ニッケル等)、天然ワックス類、合成ワックス類、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、防曇剤、防黴剤、抗菌剤、防臭剤、可塑剤、帯電防止剤、界面活性剤、重合禁止剤、架橋剤、顔料(べんがら等)、染料、着色剤(カーボンブラック等)、増感剤、硬化促進剤、希釈剤、流動性調整剤、消泡剤、発泡剤、レベリング剤、接着剤、粘着剤、粘着性付与剤、滑剤、離型剤、潤滑剤、核剤、強化剤、相溶化剤、導電材、アンチブロッキング剤、アンチトラッキング剤、畜光剤、各種安定剤等が挙げられる。
無機充填材としては、特に制限はなく、公知の無機充填材を使用することができる。無機充填材として、例えば、マイカ、カオリン、タルク、シリカ(溶融シリカ、結晶シリカ等)、アルミナ、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、繊維状物(ガラスファイバー、繊維状チタン酸アルカリ金属塩(チタン酸カリウム繊維、チタン酸ナトリウム繊維等)、繊維状ホウ酸塩(ホウ酸アルミニウム繊維、ホウ酸マグネシウム繊維、ホウ酸亜鉛繊維等)、酸化亜鉛繊維、酸化チタン繊維、酸化マグネシウム繊維、石膏繊維、珪酸アルミニウム繊維、珪酸カルシウム繊維、炭化珪素繊維、炭化チタン繊維、窒化珪素繊維、窒化チタン繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、アルミナ-シリカ繊維、ジルコニア繊維、石英繊維等)、薄片状(又は板状)チタン酸塩、薄片状酸化チタン等が挙げられる。
これらの中でも、機械的強度を向上させるための無機充填材としては、例えば、繊維状物、マイカ、薄片状(又は板状)チタン酸塩、薄片状酸化チタン等の形状異方性を有するものが好ましく、繊維状チタン酸アルカリ金属塩、繊維状ホウ酸塩、酸化亜鉛繊維、珪酸カルシウム繊維、薄片状チタン酸塩、薄片状酸化チタン等が特に好ましい。また、電気的性能、熱的性能、作業性又は成形性等を向上させるための無機充填材としては、例えば、黒鉛、炭素繊維、金属粉、金属繊維、金属箔、磁性酸化鉄、シリカ(溶融シリカ、結晶シリカ等)、アルミナ、タルク、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、酸化チタン、硫酸バリウム等の球状物又は粉末状物が好ましく、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム等の球状物又は粉末状物が特に好ましい。
これらの無機充填材は、1種を単独で使用することができ、又は2種以上を併用することができる。
また、ビスマレイミド系樹脂の劣化を抑える目的で、無機充填材の表面を表面処理用のシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を用いて被覆したものを用いてもよい。
無機充填材の含有量は、難燃性能、高温下での樹脂成形品の信頼性(耐熱性、及び熱安定性)等の観点からはビスマレイミド化合物及び硬化剤の合計100質量部に対し、通常0.01~90質量部程度、好ましくは1~80質量部程度である。
また、本発明の樹脂組成物には、その他の樹脂を含んでもよい。その他の樹脂として、例えば、PMR(in-situ Polymerization of Monomer Reactants)ポリイミド、アセチレン末端ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル-アクリルゴム-スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリアミド(脂肪族系及び/又は芳香族系)、ポリフェニレンスルフィド、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリカルボジイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、液晶ポリマー、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、ポリ乳酸等が挙げられる。これらは、1種を単独で使用することができ、又は2種以上を併用することもできる。ただし、成形体にふくれ等の変形が発生しにくい観点からは、併用成分としての樹脂も、分解温度が250℃以上(特に300~500℃)であることが好ましい。樹脂としてビスマレイミド系樹脂以外の樹脂を含む場合、その配合量は、ビスマレイミド化合物及び硬化剤の合計100質量部に対して、通常0.01~100質量部程度、好ましくは0.1~50質量部である。
(本発明のビスマレイミド系樹脂組成物の製造)
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、どのような方法を用いて製造してもよい。例えば、ペイントシェイカー、ビーズミル、プラネタリミキサ、撹拌型分散機、自公転撹拌混合機、三本ロール等を用いて混合することができる。また、混合順序は、特に制限はなく、一部の成分を混合してから残りの成分を混合してもよく、又は全ての成分を一括して混合してもよい。また、硬化方法も特に制限されず、ビスマレイミド系樹脂の製造に通常採用される条件とすることができる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、各種原材料を均一に分散混合できるのであれば、どのような方法を用いて製造してもよい。例えば、ペイントシェイカー、ビーズミル、プラネタリミキサ、撹拌型分散機、自公転撹拌混合機、三本ロール等を用いて混合することができる。また、混合順序は、特に制限はなく、一部の成分を混合してから残りの成分を混合してもよく、又は全ての成分を一括して混合してもよい。また、硬化方法も特に制限されず、ビスマレイミド系樹脂の製造に通常採用される条件とすることができる。
(本発明の成形体)
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、例えば、注型、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形等の公知の成形方法により、単一層又は複数層の樹脂板、シート、フィルム、球状、方状、異形品等の任意の形状の成形体とすることができる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、例えば、注型、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形等の公知の成形方法により、単一層又は複数層の樹脂板、シート、フィルム、球状、方状、異形品等の任意の形状の成形体とすることができる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物は、ビスマレイミド系樹脂が使用可能なあらゆる分野で適用することができる。使用可能な分野として、例えば、電気、電子又は通信機器、精密機器、自動車等の輸送機器、繊維製品、各種製造機械類、食品包装フィルム、容器、農林水産分野、建設用資材、医療用品、家具類の構成部品等が挙げられる。
特に、本発明のビスマレイミド系樹脂組成物から作製される成形体は、難燃性能を発揮できるとともに、高温下での樹脂成形品の信頼性(耐熱性、及び熱安定性)に優れるため、電気、電子又は通信機器での使用が好ましい。電気、電子又は通信機器としては、例えば、プリンタ、コンピュータ、ワードプロセッサー、キーボード、小型情報端末機(PDA)、電話機、携帯端末(携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末等)、ファクシミリ、複写機、電子式金銭登録機(ECR)、電卓、電子手帳、電子辞書等のOA機器、洗濯機、冷蔵庫、炊飯器、掃除機、電子レンジ、照明器具、エアコン、アイロン、こたつ等の家電製品、テレビ、チューナー、VTR、ビデオカメラ、カムコーダー、デジタルスチルカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、MDプレーヤー、CDプレーヤー、DVDプレーヤー、LDプレーヤー、HDD(ハードディスクドライブ)、スピーカー、カーナビゲーション、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のAV製品等のハウジング、機構部品又は構造部品の一部又は全部を構成する材料、電線、ケーブル等の被覆抵抗、サーモスタット、温度ヒューズ等の電気素子を収納するためのケース、モーター用ベアリング、スペーサー、ドットプリンター用ワイヤーガイド等の摺動部品の一部又は全部を構成する材料等が挙げられる。
電気、電子又は通信機器の中でも、本発明の成形体は、これらに使用される電気又は電子部品、例えば、各種半導体素子の封止材、配線板の基板材料等への使用が特に好ましい。半導体素子等を封止するに当たっては、従来公知の方法を広く採用することができる。
例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード(LED)、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子等の半導体素子を実装し、予め形成されている回路パターンに接続し、必要な部分を本発明の樹脂組成物の溶液又はペーストで封止することにより、電子部品を製造することができる。
実装方法としては特に制限はなく、例えば、リードフレームパッケージ、面実装パッケージ〔SOP(small outline package)、SOJ(small outline j-leaded package)、QFP(quad flat package)、BGA(ball grid array)等〕、CSP(chip size/scale package)等の方法を採用することができる。
回路パターンとの接続方法も特に制限されず、例えば、ワイヤボンディング、TAB(tape automated bonding)接続、フリップチップ接続等の公知の方法を採用することができる。
封止方法としては低圧トランスファー成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形法、圧縮成形法、注型法等を用いてもよい。この際、素子を実装する支持部材の種類、実装する素子の種類、実装方法、接続方法、封止方法等の各種の条件に応じて、本発明のビスマレイミド系樹脂組成物の組成を適宜変更することができる。また、支持部材に半導体素子、ハンダボール、リードフレーム、ヒートスプレッダー、スティフナ等の部品を実装するために、本発明の樹脂組成物を接着剤として用いてもよい。
更に本発明のビスマレイミド系樹脂組成物を予めフィルム状に成形し、このフィルムを、例えば二次実装用封止材として用いることもできる。このような方法で製造される電子部品としては、例えば、テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本発明のビスマレイミド系樹脂組成物で封止したTCP(tape carrier package)を挙げることができる。また、配線板又はガラス上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本発明の樹脂組成物で封止したCOBモジュール、ハイブリッド集積回路、マルチチップモジュール等を挙げることができる。
本発明のビスマレイミド系樹脂組成物を配線板用の基板材料として用いる場合も、従来の方法と同様に実施することができる。例えば、本発明の樹脂組成物を、紙、ガラス繊維布、アラミド繊維布等の基材に含浸させて、90~220℃程度の温度で1~5分間程度乾燥させる方法等で半硬化させることによりプリプレグを製造し、このプリプレグを配線板用の基板材料とすることができる。また、本発明のビスマレイミド系樹脂組成物をフィルム状に成形し、このフィルムを配線板用の基板材料として用いることもできる。この時、導電性物質又は誘電性物質を配合すれば、導電性層、異方導電性層、導電率制御層、誘電性層、異方誘電性層、誘電率制御層等の機能性膜とすることもできる。
更に、樹脂製バンプ又はスルーホール内側に形成する導電性層として用いることもできる。プリプレグ又はフィルムを積層して配線板を製造する際に、本発明のビスマレイミド系樹脂組成物を接着剤として用いることもできる。この時にも、フィルム化する場合と同様に、導電性無機物質、誘電性無機物質等が含まれていてもよい。
本発明では、本発明のビスマレイミド系樹脂組成物を基材に含浸させてなるプリプレグ及び/又は本発明のビスマレイミド系樹脂組成物を成形してなるフィルムのみで配線板を製造してもよいし、これらと共に従来の配線板用プリプレグ及び/又はフィルムを併用してもよい。配線板としては特に制限されず、例えば、リジットタイプ又はフレキシブルタイプのものであってもよいし、形状もシート状又はフィルム状から板状のものまで適宜選択することができる。例えば、金属箔張積層板、プリント配線板、ボンディングシート、キャリア付き樹脂フィルム等を挙げることができる。
金属箔張積層板として、より具体的には、銅張積層板、コンポジット銅張積層板、フレキシブル銅張積層板等が挙げられる。これらの金属箔張積層板は、従来の方法と同様に作製することができる。例えば、上述したプリプレグを1枚で又は複数枚重ね、その片面又は両面に厚み2~70μm程度の金属(銅、アルミニウム等)箔を配置し、多段プレス機、連続成形機等を用いて、温度180~350℃程度、加熱時間100~300分間程度、及び面圧20~100kg/cm2程度で積層成形することにより、金属箔張積層板を作製することができる。
プリント配線板として、より具体的には、ビルドアップ型多層プリント配線板、フレキシブルプリント配線板等が挙げられる。これらのプリント配線板は、従来の方法と同様に作製することができる。例えば、金属箔張積層板の表面にエッチング処理を施し、内層回路を形成することにより内装基板を作製し、内層回路の表面にプリプレグを数枚重ね、その外側に外装回路用の金属箔を積層し、加熱及び加圧することで一体成形して多層の積層体を得ることができる。得られた多層の積層体に穴をあけ、この穴の壁面に内層回路と外層回路用の金属箔とを導通させるめっき金属皮膜を形成することができる。さらに、外層回路用の金属箔にエッチング処理を施し、外層回路を形成することにより、プリント配線板を作製することができる。
ボンディングシートは、従来の方法と同様に作製することができる。例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、ロールコーター、コンマコーター等を用いて、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の剥離可能なプラスチックフィルムの支持材に塗布し、これを40~160℃程度で1~20分間程度加熱処理し、ロール等で圧着することによりボンディングシートを作製することができる。
キャリア付き樹脂フィルムは、従来の方法と同様に作製することができる。例えば、本発明の樹脂組成物を溶剤に溶解させた溶液を、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等の剥離可能なプラスチックフィルムの支持材に、バーコーダー、ドクターブレード等で塗布し、80~200℃程度の温度で1~180分間程度乾燥することによりキャリア付き樹脂フィルムを作製することができる。
その他の用途としては、精密機器、輸送機器、製造機器、家庭用品、土木建設資材等が挙げられる。精密機器の具体例としては、時計、顕微鏡、カメラ等のハウジング、機構部品又は構造部品の一部又は全部を構成する材料が挙げられる。輸送機器の具体例としては、ヨット、ボート等の船舶、電車、自動車、自転車、オートバイ、航空機等の車体、機構部品又は構造部品(フレーム、パイプ、シャフト、コンバーチブルトップ、ドアトリム、サンバイザー、ホイールカバー、吊り手、吊り手帯等)の一部又は全部を構成する材料、各種輸送機器の内装部品(アームレスト、パッケージトレイ、サンバイザー、マットレスカバー等)の一部又は全部を構成する材料が挙げられる。製造機器の具体例としては、ロボットアーム、ロール、ロール軸、スペーサー、インシュレータ、ガスケット、スラストワッシャー、ギヤ、ボビン、ピストン部材、シリンダ部材、プーリー、ポンプ部材、軸受け、軸部材、板バネ、ハニカム構造材、マスキング治具、分電盤、防水パン等の機構部品又は構造部品の一部又は全部を構成する材料、水槽、浄化槽、ロータンク等の工業用タンク類又はパイプ類、樹脂型、ヘルメット等の一部又は全部を構成する材料が挙げられる。家庭用品の具体例としては、バトミントン又はテニスのラケットフレーム、ゴルフクラブのシャフト又はヘッド、ホッケーのスティック、スキーのポール又は板、スノーボード板、スケートボード板、釣竿ロッド、バット、テントの支柱等のスポーツ又はレジャー用品、浴槽、洗面器、便器、これらの付属品等の衛生機器、シート、バケツ、ホース等の一部又は全部を構成する材料、家具の天板又はテーブル等の表面に設けられる耐熱積層体材料、家具、キャビネット等の化粧材等が挙げられる。土木建築資材の具体例としては、各種建造物の内外装材、屋根材、床材、壁紙、窓ガラス、窓ガラスのシーリング材、コンクリート構造建築物(コンクリート製橋脚、コンクリート製支柱等)又はコンクリート構造物(コンクリート製柱、壁面、道路等)の補強材、下水管等の管路補修材等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
製造例1:ヘキサクロロシクロトリホスファゼンの製造
還流冷却装置を取り付けた1Lフラスコに、モノクロロベンゼン500mL、五塩化リン873.6g及び塩化アンモニウム224.3gを入れ、5時間還流させた。還流終了後、加熱を止め、濾過し、蒸留することで、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン483gを得て、以下の製造例で用いた。
還流冷却装置を取り付けた1Lフラスコに、モノクロロベンゼン500mL、五塩化リン873.6g及び塩化アンモニウム224.3gを入れ、5時間還流させた。還流終了後、加熱を止め、濾過し、蒸留することで、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン483gを得て、以下の製造例で用いた。
製造例2:式(1)で表される化合物(化合物1)の製造
ディーンスターク装置を取り付けた5Lフラスコに、2,2’-ビフェノール(491.1g,2.6mol)とヘキサクロロシクロトリホスファゼンを26.8質量%含むモノクロロベンゼン溶液(1064.7g,2.5mol)と、48%水酸化ナトリウム水溶液(441.6g,5.3mol)と、モノクロロベンゼン(2.3L)とを入れ、窒素ガスを流し、12時間加熱還流させた。還流終了後、加熱を止め、残った反応混合物に脱イオン水(1.2L)を加え、2時間撹拌した。反応器内に析出している結晶を分取し、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、乾燥させることで、式(1)で表される化合物を白色固体として得た(413.88g)。
ディーンスターク装置を取り付けた5Lフラスコに、2,2’-ビフェノール(491.1g,2.6mol)とヘキサクロロシクロトリホスファゼンを26.8質量%含むモノクロロベンゼン溶液(1064.7g,2.5mol)と、48%水酸化ナトリウム水溶液(441.6g,5.3mol)と、モノクロロベンゼン(2.3L)とを入れ、窒素ガスを流し、12時間加熱還流させた。還流終了後、加熱を止め、残った反応混合物に脱イオン水(1.2L)を加え、2時間撹拌した。反応器内に析出している結晶を分取し、脱イオン水及びメタノールで洗浄し、乾燥させることで、式(1)で表される化合物を白色固体として得た(413.88g)。
製造例3:式(2)で表される化合物(R 1 =フェニル基、R 2 =o-アリルフェニル基:化合物2)の製造
(第1工程)
ディーンスターク装置を取り付けた2Lフラスコに、2-アリルフェノール(381g、2.8mol)、及びモノクロロベンゼン(1L)を仕込み、 窒素気流下で加熱した。 そこへ水酸化ナ卜リウム水溶液(107g/水110mL)を滴下して加え、6時間加熱還流した。 この間、 反応系中の水はモノクロロベンゼンとの共沸により系外へ除去し、モノクロ口ベンゼンのみを系内へ戻した。 脱水完了後、反応液を40℃以下に冷却し、 結晶を析出させてスラリー状態とした。
(第1工程)
ディーンスターク装置を取り付けた2Lフラスコに、2-アリルフェノール(381g、2.8mol)、及びモノクロロベンゼン(1L)を仕込み、 窒素気流下で加熱した。 そこへ水酸化ナ卜リウム水溶液(107g/水110mL)を滴下して加え、6時間加熱還流した。 この間、 反応系中の水はモノクロロベンゼンとの共沸により系外へ除去し、モノクロ口ベンゼンのみを系内へ戻した。 脱水完了後、反応液を40℃以下に冷却し、 結晶を析出させてスラリー状態とした。
このスラリーに、上記製造例1で得たヘキサクロロシク口ホスファゼンをモノクロロベンゼンに溶解させた約30%の溶液1000gを30分以内に投入し、 窒素雰囲気下で90℃を超えないよう冷却して撹拌した。1時間撹拌した後、40℃付近で一定したのを確認し、フラスコに蒸留塔を取り付け、 溶媒の沸点温度まで徐々に加熱して、モノクロロベンゼン約300mLを反応系外へ除去した。
(第2工程)
ディーンスターク装置を取り付けた3Lフラスコに、フェノ一ル314g及びモノクロロベンゼン2000mLを仕込み、 窒素気流下で加熱した。 そこへ水酸化ナトリウム130g、水酸化カリウム5g及び水135mLの溶液を滴下して加え、15時間加熱還流した。 この間、反応系中の水はモノクロロベンゼンとの共沸により系外へ除去し、モノクロロベンゼンのみを系内へ戻した。
ディーンスターク装置を取り付けた3Lフラスコに、フェノ一ル314g及びモノクロロベンゼン2000mLを仕込み、 窒素気流下で加熱した。 そこへ水酸化ナトリウム130g、水酸化カリウム5g及び水135mLの溶液を滴下して加え、15時間加熱還流した。 この間、反応系中の水はモノクロロベンゼンとの共沸により系外へ除去し、モノクロロベンゼンのみを系内へ戻した。
フラスコに蒸留塔を取り付け、 反応液を加熱して、モノクロロベンゼンを系外に除去しながら、 第1エ程で得られた反応物を3回に分けて投入した。加熱を継続してモノクロロベンゼン1500mLを系外に除去した後、窒素気流下で170~180℃(内温130~150℃) で15時闇加熱した。
生成物にモ丿クロロベンゼン800mLを加えて再溶解させた。得られた溶液を70℃まで冷却し、水840mLを加えて分液した。得られた有機相を48%水酸化ナトリウム水溶液45mL、水840mL、48%水酸化ナトリウム水溶液45mL、水600mL及び48%水酸化ナトリウム水溶液30mLで順次洗浄した。有機相にイオン交換水400mLを加えて振り、その後水相のpHを3~5になるよう濃硝酸を加えた。 水相を除き、有機相にイオン交換水400mL加えて洗浄した。得られた有機相を無水硫酸マグネシウム上で乾燥させた後、13.3~40hPaの減圧下にて60℃で濃縮した。 得られた濃縮残渣を更に1.3hPaの減圧下150℃でモノクロロベンゼンを除去し、黄色~褐色の油状の目的物680gを得た。
実施例1~3及び比較例1~12:ビスマレイミド系樹脂成形体の作製
表2及び3に記載の各成分の量を測りとり、180℃で温めながら均一になるように混合した。その後、200℃で2時間、250℃で3時間加熱し、硬化させ、得られた硬化物を室温まで冷却させてビスマレイミド系樹脂成形体を作製した。
表2及び3に記載の各成分の量を測りとり、180℃で温めながら均一になるように混合した。その後、200℃で2時間、250℃で3時間加熱し、硬化させ、得られた硬化物を室温まで冷却させてビスマレイミド系樹脂成形体を作製した。
(難燃性評価:UL試験)
実施例1~3及び比較例1~12で作成したポリイミド樹脂成形体を用いてUL-94の試験法に準じて評価し、判断基準を表1に示し、結果を表2又は3に示した。
実施例1~3及び比較例1~12で作成したポリイミド樹脂成形体を用いてUL-94の試験法に準じて評価し、判断基準を表1に示し、結果を表2又は3に示した。
(曲げ強度試験)
実施例1及び2並びに比較例1、2、6及び7で作成したポリイミド樹脂成形体を用いて、JIS K7171の試験法に準じて曲げ強度を測定し、比較例1のポリイミド樹脂成形体での曲げ強度を100としたときの、比較例2又は実施例1のポリイミド樹脂成形体での曲げ強度を求めた。同様に、比較例6のポリイミド樹脂成形体での曲げ強度を100としたときの、比較例7又は実施例2のポリイミド樹脂成形体での曲げ強度を求め、それぞれ表4及び5に示した。なお、曲げ強度については、数値が大きいほど破壊しにくい材料である。
実施例1及び2並びに比較例1、2、6及び7で作成したポリイミド樹脂成形体を用いて、JIS K7171の試験法に準じて曲げ強度を測定し、比較例1のポリイミド樹脂成形体での曲げ強度を100としたときの、比較例2又は実施例1のポリイミド樹脂成形体での曲げ強度を求めた。同様に、比較例6のポリイミド樹脂成形体での曲げ強度を100としたときの、比較例7又は実施例2のポリイミド樹脂成形体での曲げ強度を求め、それぞれ表4及び5に示した。なお、曲げ強度については、数値が大きいほど破壊しにくい材料である。
本発明は、優れた難燃性を有し、かつ機械特性の低下が抑制されたビスマレイミド系樹脂組成物及びその成形体を提供することができる。
Claims (9)
- ビスマレイミド化合物、硬化剤、式(1)で表される化合物、及び式(2)で表される化合物を含む、ビスマレイミド系樹脂組成物。
R2は、次の基:
ここで、R3は、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を示す。
R4は、炭素数1~4のアルキル基又は炭素数1~4のアルコキシ基を示す。
lは0~4の整数を示す。
なお、lが2以上の整数を示す場合、l個のR4は、同一又は異なっていてもよい。] - 前記ビスマレイミド化合物及び前記硬化剤の合計100質量%中における、前記硬化剤の割合が10~90質量%である、請求項1に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
- 前記ビスマレイミド化合物及び前記硬化剤の合計100質量部に対して、前記式(1)で表される化合物を0.5質量部以上含む、項1又は2に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
- 前記ビスマレイミド化合物及び前記硬化剤の合計100質量部に対して、前記式(2)で表される化合物を0.1質量部以上含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
- 前記式(1)で表される化合物100質量部に対して、前記式(2)で表される化合物を10~100質量部含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物を用いて作製された成形体。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物を用いて作製された電気又は電子部品。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物を含む半導体素子用封止材。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載のビスマレイミド系樹脂組成物を用いて作製された基板材料。
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