以下、図面を参照して、本発明の打込み工具の一例である釘打込み機の実施の形態について説明する。
<本実施の形態の釘打込み機の構成例>
図1は、本実施の形態のガス燃焼式の釘打込み機の一例を示す縦断面図、図2は、本実施の形態の釘打込み機の一例を示すモータ保持機構の部分拡大断面図、図3は、本実施の形態の釘打込み機の一例を示すモータ保持機構の分解斜視図である。また、図4Aは、本実施の形態のモータマウントの一例を示す斜視図、図4Bは、本実施の形態のモータマウントの一例を示す縦断面図である。更に、図5Aは、本実施の形態のカバー部材の一例を示す斜視図、図5Bは、本実施の形態のカバー部材の一例を示す縦断面図である。
本実施の形態のガス燃焼式の釘打込み機1は、グリップ2を一体に有するハウジング3内に打撃シリンダ4を備える。釘打込み機1は、打撃シリンダ4の内部に、釘を打撃するドライバ5を備えた打撃ピストン6が、一の方向である上下方向に、打撃ピストン6が打撃シリンダ4の内側面に摺動した状態で移動可能に収納される。
また、釘打込み機1は、ハウジング3の下部に、射出口7を有するノーズ部8を備え、ノーズ部8の後方側に、図示しない連結釘を装填したマガジン10を備える。釘打込み機1は、マガジン10内の釘が順次射出口7に供給され、ドライバ5に打撃されて射出口7から被打込み材に打ち出されるように構成される。
釘打込み機1は、打撃シリンダ4の上方に、可燃性ガスと空気との混合ガスが生成されると共にこの混合ガスを燃焼させるための燃焼室11を備える。燃焼室11は、打撃ピストン6の上端面と、上部ハウジング12の内部で、打撃ピストン6の移動方向に沿った打撃シリンダ4の一方の端部に設けたシリンダヘッド13との間の空間で形成される。釘打込み機1は、燃焼室11内で可燃性ガスと空気との混合ガスを生成して爆発的に燃焼させることによって生じる燃焼ガスの圧力を打撃ピストン6に作用させることで、打撃ピストン6を、打撃シリンダ4内の下死点位置に配置されているバンパ15まで駆動させるように構成される。
シリンダヘッド13は、ガスタンクマガジン16に取り付けられる図示しないガスボンベ等のガス容器に連通する噴射ノズル9と、混合ガスに添加して燃焼させるための図示しない点火プラグを備える。点火プラグは、トリガ17の操作により作動するスイッチに基づいて混合ガスに点火する。
また、シリンダヘッド13は、燃焼室11内に噴射された可燃性ガスを燃焼室11内の空気と撹拌させて、燃焼室11内で所定の空燃比の混合ガスを生成するためのファン18を備える。
ファン18は、図2等に示すように、モータ保持機構30(30A)で保持されたモータ20のシャフト21の先端に固定される。図2、図3に示すように、モータ保持機構30Aは、シリンダヘッド13に形成された有底円筒状の収納部22内に、上部モータマウント25、下部モータマウント26及びモータスリーブ27と、カバー部材28を介してモータ20が収納される。
モータ20は、シャフト21を支持する図示しない軸受けが取り付けられ、シャフト21が通る軸受け部21aが、モータケース20aの下面中央から下方に向けて突出し、軸受け部21aからシャフト21が突出する。
シャフト21は、収納部22の底部19に形成されたシャフト孔24を貫通して、シリンダヘッド13から燃焼室11内に突出する。これにより、収納部22は、ファン18を燃焼室11内に露出させてモータ20を収納する。また、モータ20は、エンドベル20bの上面中央にハーネス23が接続される。
収納部22は、モータ20のモータケース20aの直径(外径)より大きく、モータスリーブ27が挿入可能な直径(内径)を有した略円筒状の空間で構成される。収納部22は、底部19の近傍において、円筒形状の内面を、径方向の内側に向けて凸状として段差が設けられる。これにより、収納部22に収納されたモータスリーブ27は、モータ20のシャフト21の軸方向に沿った上下方向の位置が規定される。
モータスリーブ27は、収納部22内でモータ20を移動可能に支持する緩衝体の一例で、収納部22に嵌る形状、かつ、内側にモータ20のモータケース20aが嵌る形状を有した多角形の断面形状の筒形状、または、円筒形状であり、ポリアセタール樹脂(POM)等の合成樹脂で構成される。モータスリーブ27は、図3に示すように、断面形状が多角形である場合、多角形の各頂部27aに接する外接円が、収納部22の内径と同等に構成され、各頂部27aで収納部22に支持される。なお、頂部27aは、角を有する形状で構成されても良いし、曲面で構成されても良い。また、各頂部27a間の各面部27bに接する内接円が、モータ20のモータケース20aの外径と同等に構成され、各面部27bでモータケース20aを支持する。更に、モータスリーブ27は、円筒形状である場合、円筒形状の径方向に沿って内側に向けて突出し、軸方向に延伸するリブが、周方向に複数箇所に設けられる。モータスリーブ27は、複数のリブの頂部を結ぶ仮想円の直径(内径)が、モータ20のモータケース20aの外径と同等に構成される。
上部モータマウント25は、収納部22内でモータ20を移動可能に支持する緩衝体の一例で、モータ20のモータケース20aの直径より若干小さい直径(外径)であって、モータスリーブ27の内側に挿入可能な円筒形状であり、耐熱性に優れるシリコン系のゴム等の弾性体等で構成される。また、上部モータマウント25は、円筒形状の内面が、ハーネス23が通ることが可能な直径(内径)である。
上部モータマウント25は、円筒形状の軸方向に沿った一方の端部、本例では、モータ20のエンドベル20bと対向する部位に流入抑制部25aを備える。流入抑制部25aは、上部モータマウント25の周方向に連続した形状で、上部モータマウント25の円筒形状の軸方向に沿って、半円形状の断面で下方へ突出する。
モータ20及び上部モータマウント25は、収納部22に収容されると、上部モータマウント25の円筒形状の軸方向が、モータ20のシャフト21の軸方向と平行となる。これにより、モータ20及び上部モータマウント25が収納部22に収容されると、流入抑制部25aは、モータ20のシャフト21の軸方向に沿って、モータ20のエンドベル20bに向けて突出する。
流入抑制部25aは、円周方向の全域にわたり、モータ20のエンドベル20bと接する形状であり、上部モータマウント25の流入抑制部25aとモータ20のエンドベル20bが接する部位において、上部モータマウント25の内周側の空間と外周側の空間の間を封止する。これにより、流入抑制部25aは、収納部22内でモータ20の周囲への空気の流入を抑制する。
また、上部モータマウント25は、円筒形状の軸方向に沿った上下方向に延伸する複数の溝穴25bを備える。溝穴25bは、円筒形状の周方向に沿って一定の間隔をおいて形成されている。溝穴25bは、上部モータマウント25を貫通せず、流入抑制部25aが設けられた面と反対側の面が開口している。
更に、上部モータマウント25は、流入抑制部25aが設けられた面と反対側の下端に、モータスリーブ27の各面部27bに接する内接円と略同じ外径のフランジ25cが形成されている。これにより、モータスリーブ27の内側面と上部モータマウント25の外周面との間には隙間が形成される。
下部モータマウント26は、収納部22内でモータ20を移動可能に支持する緩衝体の一例で、上部モータマウント25と同様の形状で、モータ20のモータケース20aの直径より若干小さい直径(外径)であって、モータスリーブ27の内側に挿入可能な円筒形状であり、耐熱性に優れるシリコン系のゴム等の弾性体等で構成される。また、下部モータマウント26は、円筒形状の内面が、軸受け部21aが通ることが可能な直径(内径)である。
下部モータマウント26は、円筒形状の軸方向に沿った一方の端部、本例では、モータ20のモータケース20aの下面と対向する部位に流入抑制部26aを備える。流入抑制部26aは、下部モータマウント26の周方向に連続した形状で、下部モータマウント26の円筒形状の軸方向に沿って、半円形状の断面で上方へ突出する。
モータ20及び下部モータマウント26は、収納部22に収容されると、下部モータマウント26の円筒形状の軸方向が、モータ20のシャフト21の軸方向と平行となる。これにより、モータ20及び下部モータマウント26が収納部22に収容されると、流入抑制部26aは、モータ20のシャフト21の軸方向に沿って、モータ20のモータケース20aに向けて突出する。
流入抑制部26aは、円周方向の全域にわたり、カバー部材28を介してモータ20のモータケース20aと接する形状であり、下部モータマウント26の流入抑制部26aとカバー部材28を介してモータ20のモータケース20aが接する部位において、下部モータマウント26の内周側の空間と外周側の空間の間を封止する。これにより、流入抑制部26aは、収納部22内でモータ20の周囲への空気の流入を抑制する。
また、下部モータマウント26は、円筒形状の軸方向に沿った上下方向に延伸する複数の溝穴26bを備える。溝穴26bは、円筒形状の周方向に沿って一定の間隔をおいて形成されている。溝穴26bは、下部モータマウント26を貫通せず、流入抑制部26aが設けられた面と反対側の面が開口している。
更に、下部モータマウント26は、流入抑制部26aが設けられた面と反対側の下端に、モータスリーブ27の各面部27bに接する内接円と略同じ外径のフランジ26cが形成されている。これにより、モータスリーブ27の内側面と下部モータマウント26の外周面との間には隙間が形成される。
カバー部材28は、モータ20の軸受け部21aが入る凸部28aと、凸部28aの周囲に形成されたフランジ部28bを有した円板形状で、凸部28aの中央に、シャフト21が通るシャフト孔28cが形成される。フランジ部28bは、上面が円周方向の全域にわたり、モータ20のモータケース20aの下面と接する形状、下面が円周方向の全域にわたり、下部モータマウント26の流入抑制部26aと接する形状である。
釘打込み機1は、収納部22に、流入抑制部26aを上向きとして下部モータマウント26が入れられ、下部モータマウント26の上に、凸部28aを下向きとし、フランジ部28bを流入抑制部26aと対向させて、カバー部材28が入れられる。
また、釘打込み機1は、収納部22にモータスリーブ27が入れられ、モータスリーブ27に、シャフト21を下向きとしてモータ20が入れられる。モータ20は、軸受け部21aがカバー部材28の凸部28aに入れられ、シャフト21がカバー部材28の凸部28aに設けたシャフト孔28c及び収納部22の底部19に設けたシャフト孔24を貫通する。
更に、釘打込み機1は、モータ22の上側に、流入抑制部25aを下向きとして上部モータマウント25が入れられ、上部モータマウント25が、収納部22に嵌められる止めリング29により、ワッシャ29aを介してシリンダヘッド13に固定される。
収納部22において、上部モータマウント25と下部モータマウント26との間にモータ20が入れられ、上部モータマウント25が止めリング29によりシリンダヘッド13に固定された状態では、上部モータマウントの流入抑制部25aと、下部モータマウント26の流入抑制部26aが圧縮されて、軸方向に潰れた形態となる。
これにより、モータ20は、シャフト21の軸方向に沿った上下が、上部モータマウント25と下部モータマウント26で挟持される。上部モータマウント25は、流入抑制部25aが、円周方向の全域にわたり、モータ20のエンドベル20bと接する。これにより、上部モータマウント25の流入抑制部25aとモータ20のエンドベル20bが接する部位において、上部モータマウント25の内周側の空間と外周側の空間の間が封止される。
また、下部モータマウント26は、流入抑制部26aが、円周方向の全域にわたり、カバー部材28のフランジ部28bの下面と接し、カバー部材28のフランジ部28bの上面が、モータ20のモータケース20aと接する。これにより、下部モータマウント26の流入抑制部26aとモータ20のモータケース20aがカバー部材28を介して接する部位において、下部モータマウント26の内周側の空間と外周側の空間の間が封止される。
更に、下部モータマウント26の流入抑制部26aとモータ20のモータケース20aの下面の間に挟持されるカバー部材28により、下部モータマウント26の内周側の空間とモータ20の軸受け部21aの間が封止される。
上部モータマウント25と下部モータマウント26は、モータ20がシャフト21の軸方向に移動する力が加わると、弾性変形可能である。これにより、モータ20は、上部モータマウント25及び下部モータマウント26が弾性変形し得る範囲で、上下方向に移動可能である。上部モータマウント25が弾性変形し得る範囲は、上部モータマウント25の流入抑制部25aが、モータ20のエンドベル20bから離れず、接した状態が維持される範囲である。また、下部モータマウント26が弾性変形し得る範囲は、下部モータマウント26の流入抑制部26aが、カバー部材28のフランジ部28bの下面から離れず、接した状態が維持され、カバー部材28のフランジ部28bの上面が、モータ20のモータケース20aから離れず、接した状態が維持される範囲である。
なお、図2において、上部モータマウント25の流入抑制部25aと、モータ20のエンドベル20bが重なって表記されている箇所は、上部モータマウント25及び流入抑制部25aが弾性変形することで、流入抑制部25aが、円周方向の全域にわたり、モータ20のエンドベル20bと接した状態を示している。
また、図2において、下部モータマウント26の流入抑制部26aと、カバー部材28のフランジ部28bが重なって表記されている箇所は、下部モータマウント26及び流入抑制部26aが弾性変形することで、流入抑制部26aが、円周方向の全域にわたり、カバー部材28のフランジ部28bの下面と接した状態を示している。
また、モータ20は、モータケース20aの外周面が、モータスリーブ27の各面部27bで支持されることで、径方向の位置が規定される。更に、モータ20は、モータケース20aとモータスリーブ27が接する箇所が、モータスリーブ20の内側面の全面ではなく、平面状の面部27bと、円筒形状のモータケース20aとの接点、すなわち、モータ20のシャフト21の軸方向に沿った平面と円の接点であるので、両者の摩擦抵抗は小さく抑えられ、モータ20の上下方向への移動を阻害することが抑制される。また、モータ20と収納部22の公差のばらつきを、モータスリーブ27の変形で吸収できる。これにより、モータスリーブ27の各面部27bによりモータ20のモータケース20aを押圧して支持すると共に、面部27bによる押圧が緩むことなく、モータ20のモータケース20aと収納部22とのクリアランスを確保できる。
このようなガス燃焼式の釘打込み機1は、可燃性ガスを充填したガスボンベ等の容器を工具内のガスタンクマガジン16に装着するとともに、可燃性ガスに着火するための電力源かつファン21を駆動するモータ20の電力源であるバッテリ19を工具に装着することによって、携帯が可能な工具として形成されている。
<本実施の形態の釘打込み機の動作例>
釘打ち機1は、燃焼室11内の混合ガスに点火して爆発的に燃焼させると、その燃焼圧により、打撃ピストン6は下方に駆動される。釘打込み機1は、マガジン10内の釘が順次射出口7に供給され、打撃ピストン6に設けたドライバ5に打撃されて射出口7から被打込み材に打ち出される。
釘の打ち込み動作で、燃焼室11内の混合ガスに点火して爆発的に燃焼させると、その燃焼圧により、打撃ピストン6は下方に駆動されるので、その反動でシリンダヘッド13が急激に上方に移動しようとする力が掛かる。また、下方に駆動された打撃ピストン6が打撃シリンダ4の下部のバンパ15に衝突すると、ハウジング3と共にシリンダヘッド13が急激に下方に移動しようとする力が掛かる。更に、釘を被打込み材に対して打ち込んだときの衝撃等が加わる。
釘の打ち込み動作で、これらの衝撃によりモータ20を上下方向に振動させるような力が掛かる。これに対し、モータ20は、上下方向に加えられた衝撃に応じてモータスリーブ27内で上下に摺動し、上部モータマウント25及び下部モータマウント26の弾性変形により衝撃を吸収する。
上方への振動による衝撃に対して、上部モータマウント25は、円筒形状の軸方向に沿った上下方向に圧縮される。この際、上部モータマウント25は、周方向に沿って設けた複数の溝穴28が、径方向に伸縮して弾性変形することが可能であり、また、上部モータマウント25とモータスリーブ27の間には隙間が形成されているので、上部モータマウント25は、上下方向の圧縮により、径方向の外側へ膨らむように弾性変形して、衝撃を吸収する。
下方への振動による衝撃に対して、下部モータマウント26は、円筒形状の軸方向に沿った上下方向に圧縮される。この際、下部モータマウント26は、周方向に沿って設けた複数の溝穴28が、径方向に伸縮して弾性変形することが可能であり、また、下部モータマウント26とモータスリーブ27の間には隙間が形成されているので、下部モータマウント26は、上下方向の圧縮により、径方向の外側へ膨らむように弾性変形して、衝撃を吸収する。
これにより、モータ20に対して上下方向に加えられたいずれの衝撃も緩和される。また、上部モータマウント25及び下部モータマウント26は、耐熱性に優れるシリコン系のゴムで構成されることで、高温時に融解したり、低温時に柔軟性を損なったりすることがなく、安定した性能を維持することができる。
また、燃焼室11内で爆発的な燃焼が行なわれると、燃焼室11内に高温高圧の熱風が発生するので、様々な方向から熱風がファン18に当たり、ファン18にはシャフト21の軸方向と直交する横方向からも圧力を受ける。これに対し、モータ20は、モータスリーブ27を介して収納部22に収納され、また、モータスリーブ27の面部27bがモータ20のモータケース20aに接している。これにより、シャフト21を介してモータ20が横方向からの圧力を受けると、モータスリーブ27が撓み変形し、その弾性により横方向の圧力を吸収することができる。従って、モータ20と収納部22の内側面やシャフト21とシャフト孔24とが強く接触することがなく、故障が防止される。また、モータスリーブ27が耐熱性に優れるポリアセタール樹脂(POM)から構成されることで、高温高圧でも塑性変形することがなく、安定した性能を維持することができる。
さて、下方に駆動された打撃ピストン6がバンパ15に衝突する下死点位置まで移動すると、燃焼室11内が負圧となることで、打撃ピストン6が下死点位置から上死点位置に復帰する。
釘打ち機1は、シリンダヘッド13において、燃焼室11と外気が、収納部22を通り、シャフト孔24を通り、収納部22を介して連通する。これにより、収納部22において、上部モータマウント25の内外周間及び下部モータマウント26の内外周間で空気が流れる流路が形成される構成では、燃焼室11内が負圧になると、外気が収納部22に入る可能性がある。
外気に含まれる粉塵が、モータスリーブ27とモータ20の間に入ると、モータ20の上下方向への移動を阻害する要因となる。モータ20の上下方向への移動が阻害されると、上部モータマウント25及び下部モータマウント26の弾性変形による緩衝が機能しない可能性がある。
そこで、上部モータマウント25は、円筒形状の周方向に連続した形状の流入抑制部25aを備える。また、下部モータマウント26は、円筒形状の周方向に連続した形状の流入抑制部26aを備える。
上部モータマウント25は、流入抑制部25aが、円周方向の全域にわたり、モータ20のエンドベル20bと接する。これにより、上部モータマウント25の流入抑制部25aとモータ20のエンドベル20bが接する部位において、上部モータマウント25の内周側の空間と外周側の空間の間が封止される。
また、下部モータマウント26は、流入抑制部26aが、円周方向の全域にわたり、カバー部材28のフランジ部28bの下面と接し、カバー部材28のフランジ部28bの上面が、モータ20のモータケース20aと接する。これにより、下部モータマウント26の流入抑制部26aとモータ20のモータケース20aがカバー部材28を介して接する部位において、下部モータマウント26の内周側の空間と外周側の空間の間が封止される。
従って、燃焼室11内が負圧になっても、上部モータマウント25の内周側から外周側へ空気が流入することが抑制され、また、下部モータマウント26の外周側から内周側へ空気が流入することが抑制される。よって、外気に含まれる粉塵が、モータスリーブ27とモータ20の間に入ることが抑制され、モータ20の上下方向への移動を阻害する要因を排除できる。これにより、衝撃が加わった際にモータ20が上下方向に移動し、上部モータマウント25及び下部モータマウント26の弾性変形による緩衝を十分に機能させることができる。
また、下部モータマウント26の流入抑制部26aとモータ20のモータケース20aの下面の間に挟持されるカバー部材28により、下部モータマウント26の内周側の空間とモータ20の軸受け部21aの間が封止される。これにより、流入抑制部25a、26aで流入を抑制できなかった粉塵についても、軸受け部21aに付着することを抑制できる。
図6は、モータ保持機構の変形例を示す部分拡大断面図である。変形例のモータ保持機構30Bにおいて、図2等に示すモータ保持機構30Aと同じ構成については、同じ番号を付して詳細な説明は省略する。
モータ保持機構30Bは、円筒形状の上部モータマウント25の内側面に沿って流入抑制部材31を備え、円筒形状の下部モータマウント26の内側面に沿って流入抑制部材32を備える。
流入抑制部材31は流入抑制部の一例で、上部モータマウント25の内径と略同等または若干小さい直径(外径)であって、上部モータマウント25の内側面に沿って挿入可能な円筒形状であり、耐熱性に優れるシリコン系のゴム等の弾性体等で構成される。また、流入抑制部材31は、円筒形状の内面が、ハーネス23が通ることが可能な直径(内径)である。
更に、流入抑制部材31は、円周方向の全域にわたり、モータ20のエンドベル20bと接する形状であり、上部モータマウント25の流入抑制部25a及び流入抑制部材31と、モータ20のエンドベル20bが接する部位において、上部モータマウント25の内周側の空間と外周側の空間の間を封止する。これにより、流入抑制部材31は、流入抑制部25aと共に、収納部22内でモータ20の周囲への空気の流入を抑制する。
流入抑制部材32は流入抑制部の一例で、下部モータマウント26の内径と略同等または若干小さい直径(外径)であって、下部モータマウント26の内側面に沿って挿入可能な円筒形状であり、耐熱性に優れるシリコン系のゴム等の弾性体等で構成される。また、流入抑制部材32は、円筒形状の内面が、モータ20の軸受け部21aが通ることが可能な直径(内径)である。
更に、流入抑制部材32は、円周方向の全域にわたり、カバー部材28を介してモータ20のモータケース20aと接する形状であり、下部モータマウント26の流入抑制部26a及び流入抑制部材32と、カバー部材28を介してモータ20のモータケース20aが接する部位において、下部モータマウント26の内周側の空間と外周側の空間の間を封止する。これにより、流入抑制部材32は、流入抑制部26aと共に、収納部22内でモータ20の周囲への空気の流入を抑制する。
従って、燃焼室11内が負圧になっても、上部モータマウント25の内周側から外周側へ空気が流入することが抑制され、また、下部モータマウント26の外周側から内周側へ空気が流入することが抑制される。よって、外気に含まれる粉塵が、モータスリーブ27とモータ20の間に入ることが抑制され、モータ20の上下方向への移動を阻害する要因を排除できる。これにより、衝撃が加わった際にモータ20が上下方向に移動し、上部モータマウント25及び下部モータマウント26の弾性変形による緩衝を十分に機能させることができる。
図7は、モータ保持機構の他の変形例を示す部分拡大断面図である。他の変形例のモータ保持機構30Cにおいて、図2等に示すモータ保持機構30Aと同じ構成については、同じ番号を付して詳細な説明は省略する。
モータ保持機構30Cは、モータ20のモータケース20aの外周とモータスリーブ27の内周の間に流入抑制部材33を備える。流入抑制部材33は流入抑制部の一例で、モータ20のモータケース20aの周方向に沿ったリング形状であり、耐熱性に優れるシリコン系のゴム等の弾性体等で構成される。流入抑制部材33は、例えば、モータ20のモータケース20aの外周に、周方向に沿って形成された溝部33aに嵌められ、モータ20がモータスリーブ27に挿入されると、流入抑制部材33が径方向に弾性変形し、周方向の全域にわたり、モータスリーブ27の内周面と接する。また、流入抑制部材33は、モータ20の軸方向に沿った1箇所以上、本例では、所定の間隔を開けた2箇所に設けられる。これにより、流入抑制部材33は、収納部22内でモータ20の周囲、特に、モータ20とモータスリーブ27との間への空気の流入を抑制する。
従って、燃焼室11内が負圧になっても、外気に含まれる粉塵が、モータスリーブ27とモータ20の間に入ることが抑制され、モータ20の上下方向への移動を阻害する要因を排除できる。これにより、衝撃が加わった際にモータ20が上下方向に移動し、上部モータマウント25及び下部モータマウント26の弾性変形による緩衝を十分に機能させることができる。
図8は、モータ保持機構の更に他の変形例を示す部分拡大断面図である。変形例のモータ保持機構30Dにおいて、図2等に示すモータ保持機構30Aと同じ構成については、同じ番号を付して詳細な説明は省略する。
モータ保持機構30Dは、収納部22の底部19に設けたシャフト孔24に流入抑制部材34を備える。
流入抑制部材34は流入抑制部の一例で、モータ20のシャフト21の直径(外径)と略同等の直径(内径)であって、シャフト孔24に設けた溝部に嵌る円筒形状であり、耐熱性に優れるシリコン系のゴム等の弾性体等で構成される。
流入抑制部材34は、円周方向の全域にわたり、モータ20のシャフト21と接する形状であり、下部モータマウント26の内周側の空間と燃焼室11の間を封止する。これにより、流入抑制部材34は、収納部22内でモータ20の周囲への空気の流入を抑制する。
従って、燃焼室11内が負圧になっても、収納部22側からシャフト孔24を通り、燃焼室11へ流れる空気が抑制される。また、燃焼室11内の空気が、シャフト孔24を通り下部モータマウント26の内周側の空間に入ることが抑制される。これにより、粉塵が下部モータマウント26の内周側の空間に入ることが抑制され、軸受け部21aに付着することを抑制できる。
図9は、モータ保持機構の更に他の変形例を示す部分拡大断面図である。更に他の変形例のモータ保持機構30Eにおいて、図2等に示すモータ保持機構30Aと同じ構成については、同じ番号を付して詳細な説明は省略する。
モータ保持機構30Eは、モータ20のモータケース20aの外周とモータスリーブ27の内周の間に流入抑制部材35を備える。流入抑制部材35は流入抑制部の一例で、モータ20のモータケース20aの周方向に沿ったリング形状であり、空気の流入を抑制すると共に、粉塵を捕獲するフィルタで構成される。流入抑制部材35は、例えば、モータ20のモータケース20aの外周に、周方向に沿って形成された溝部35aに嵌められ、モータ20がモータスリーブ27に挿入されると、周方向の全域にわたり、モータスリーブ27の内周面と接する。また、流入抑制部材35は、モータ20の軸方向に沿った1箇所以上、本例では、所定の間隔を開けた2箇所に設けられる。これにより、流入抑制部材35は、収納部22内でモータ20の周囲、特に、モータ20とモータスリーブ27との間への空気及び粉塵の流入を抑制する。
従って、燃焼室11内が負圧になっても、外気に含まれる粉塵が、モータスリーブ27とモータ20の間に入ることが抑制され、モータ20の上下方向への移動を阻害する要因を排除できる。これにより、衝撃が加わった際にモータ20が上下方向に移動し、上部モータマウント25及び下部モータマウント26の弾性変形による緩衝を十分に機能させることができる。
図10は、モータ保持機構の更に他の変形例を示す部分拡大断面図、図11Aは、本実施の形態のモータマウントの変形例を示す斜視図、図11Bは、本実施の形態のモータマウントの変形例を示す縦断面図である。更に他の変形例のモータ保持機構30Fにおいて、図2等に示すモータ保持機構30Aと同じ構成については、同じ番号を付して詳細な説明は省略する。
モータ保持機構30Fは、シリンダヘッド13に形成された有底円筒状の収納部22内に、上部モータマウント25、下部モータマウント26及びモータスリーブ27と、カバー部材28を介してモータ22が収納される。
上部モータマウント25は、円筒形状の軸方向に沿った一方の端部、本例では、モータ20のエンドベル20bと対向する部位に流入抑制部25dを備える。流入抑制部25dは、上部モータマウント25の周方向に連続した形状で、上部モータマウント25の円筒形状の軸方向に沿って、上部モータマウント25と同様に、モータ20のモータケース20aの直径より若干小さい直径(外径)、かつ、ハーネス23が通ることが可能な直径(内径)で下方へ突出する。
流入抑制部25dは、円周方向の全域にわたり、モータ20のエンドベル20bと接する形状であり、上部モータマウント25の流入抑制部25dとモータ20のエンドベル20bが接する部位において、上部モータマウント25の内周側の空間と外周側の空間の間を封止する。これにより、流入抑制部25dは、収納部22内でモータ20の周囲への空気の流入を抑制する。
下部モータマウント26は、上部モータマウント25と同様の形状で、円筒形状の軸方向に沿った一方の端部、本例では、モータ20のモータケース20aの下面と対向する部位に流入抑制部26dを備える。流入抑制部26dは、下部モータマウント26の周方向に連続した形状で、下部モータマウント26の円筒形状の軸方向に沿って、下部モータマウント26と同様に、モータ20のモータケース20aの直径より若干小さい直径(外径)、かつ、軸受け部21aが通ることが可能な直径(内径)で上方へ突出する。
流入抑制部26dは、円周方向の全域にわたり、カバー部材28を介してモータ20のモータケース20aと接する形状であり、下部モータマウント26の流入抑制部26dとカバー部材28を介してモータ20のモータケース20aが接する部位において、下部モータマウント26の内周側の空間と外周側の空間の間を封止する。これにより、流入抑制部26dは、収納部22内でモータ20の周囲への空気の流入を抑制する。
従って、燃焼室11内が負圧になっても、上部モータマウント25の内周側から外周側へ空気が流入することが抑制され、また、下部モータマウント26の外周側から内周側へ空気が流入することが抑制される。よって、外気に含まれる粉塵が、モータスリーブ27とモータ20の間に入ることが抑制され、モータ20の上下方向への移動を阻害する要因を排除できる。これにより、衝撃が加わった際にモータ20が上下方向に移動し、上部モータマウント25及び下部モータマウント26の弾性変形による緩衝を十分に機能させることができる。