JP2022096499A - オルガノシロキサン化合物の製造方法 - Google Patents

オルガノシロキサン化合物の製造方法 Download PDF

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大輔 野田
Daisuke Noda
浩幸 森谷
Hiroyuki Moriya
龍ノ介 秦
Ryunosuke Hata
晃司 作田
Koji Sakuta
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【課題】分岐鎖アルキル基を含むオルガノシロキサン化合物の製造方法を提供する。【解決手段】(A)式(3)TIFF2022096499000020.tif2699(R2はアルキル基等を表し、R6は水素原子等を表し、nは0~7、mは0~8、n+mは0~8の整数である。)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン化合物と、特定のアルケニル基含有化合物とを(C)ロジウム系触媒の存在下でヒドロシリル化反応させる、オルガノシロキサン化合物の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、オルガノシロキサン化合物の製造方法に関し、さらに詳しくは、分岐鎖アルキル基を含むオルガノシロキサン化合物の製造方法に関する。
オルガノシロキサン化合物は、粘度特性、耐熱性、化学安定性、表面張力特性などの特異的な特性から、シリコーン油剤や化粧料の揮発性油剤をはじめ、多様な分野で幅広く用いられている。
これらのオルガノシロキサン化合物の製造方法の一つとして、触媒存在下で、ケイ素-水素結合を有するシロキサン化合物と、不飽和結合を有する化合物とを反応させて製造する、ヒドロシリル化反応が工業的にも用いられる。このヒドロシリル化反応の触媒としては、Karstedt触媒やSpeier触媒に代表される白金系触媒が主に用いられている。
これらの白金系触媒は、非常に活性が高く、有用であるが、反応基質となる不飽和結合を有する化合物によっては、しばしば課題を有することが知られている。
例えば、特許文献1には、ジシロキサン化合物とアルケン等の不飽和結合を有する化合物とのヒドロシリル化反応が開示されている。具体的には、実施形態の1つとして、テトラメチルジシロキサン化合物の一方のケイ素-水素結合にアルケンを付加反応させてアルキル基を導入し、もう一方のケイ素-水素結合にアリルポリエーテルを反応させてオキシアルキレン基を導入し、アルキル基およびオキシアルキレン基含有ジシロキサン化合物を製造する方法が提案されている。
このアルキル基の導入の際に用いられる白金系触媒の使用量は、直鎖状アルキル基を導入する場合に比べて、分岐鎖アルキル基を導入する場合の方が非常に多い。
特許文献2には、油性インクジェットインクについて記載されているが、実施形態の1つとして記載されている分岐鎖アルキル基を導入した化合物について、製造する際の白金系触媒の使用量や、製造の際の課題については記載がない。
特表2015-536333号公報 特開2018-141123号公報
特許文献1に報告されているように、白金触媒存在下での分岐鎖オレフィンの反応性は十分ではなく、分岐鎖アルキル基を含むオルガノシロキサン化合物の製造方法には、白金系触媒の使用量の低減や、残存触媒の除去など多くの課題がある。一方で、分岐鎖アルキル基を含むオルガノシロキサン化合物は、特許文献に示されるような化粧品用途やシリコーン油剤としての用途の他、さらなる用途開発が期待されるため、その製造方法の効率化は重要な課題である。
このように、分岐鎖アルキル基を導入したオルガノシロキサン化合物の例は公知ではあるが、これらを製造する際の課題については潜在的に認識されているものの、解決策については報告されてはいなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、分岐鎖アルキル基を有するオルガノシロキサン化合物の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、オルガノハイドロジェンシロキサン化合物と分岐状アルケニル化合物とを付加反応させて分岐鎖アルキル基を含むオルガノシロキサン化合物を製造する方法において、金属触媒という点から鋭意検討を行った結果、ヒドロシリル化反応において主に使用される白金系触媒ではなく、ロジウム系触媒を用いることで効率的に反応が進行することを見出すとともに、ロジウム系触媒を用いた場合、アルケニル化合物について不飽和結合の内部異性化物が混在した化合物を用いても、白金系触媒では反応が見られなかった異性化物が反応するという予想外の反応が進行することを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明は、
1. (A)下記式(3)
Figure 2022096499000001
[式(3)中、R2は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数7~10のアラルキル基を表し、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数7~10のアラルキル基を表し、R6のうち少なくとも1個が水素原子である。nは、0~7の整数、mは、0~8の整数であり、n+mは、0~8の整数である。]
で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン化合物と、
(B)下記式(4)
Figure 2022096499000002
[式(4)中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表し、R4およびR5は、水素原子、または炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表す。]
で表されるアルケニル基含有化合物とを、
(C)ロジウム系触媒の存在下でヒドロシリル化反応させる、下記式(1)
Figure 2022096499000003
[式(1)中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~10のアラルキル基、または下記式(2)
Figure 2022096499000004
(式(2)中、R3、R4、およびR5は、上記式(4)と同じ意味を表す。破線は、式(1)との結合手を示す。)
で示される基を表し、R1のうち少なくとも1個は、上記式(2)で表される基である。R2、n、m、およびn+mは、上記式(3)と同じ意味を表す。]
で表されるオルガノシロキサン化合物の製造方法、
2. 上記式(2)において、R4が、水素原子であり、R5が、メチル基である1記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法、
3. 上記式(1)において、R1が、メチル基または上記式(2)で表される基であり、R2が、メチル基である1または2記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法、
4. 上記式(1)において、nおよびmが、それぞれ0~3の整数であり、n+mが、0~3の整数である1~3のいずれかに記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法、
5. 上記式(1)において、nが、0であり、mが、0または1であり、かつn+mが、0または1である1~4のいずれかに記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法、
6. 上記(C)成分が、酢酸ロジウムおよびそのダイマー、オクタン酸ロジウムおよびそのダイマー、[(シクロオクタジエニル)ロジウムクロリド]ダイマー、ならびにトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムクロリドからなる群より選ばれる1種以上である1~5のいずれかに記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法
を提供する。
本発明の製造方法によれば、分岐鎖アルキル基を含むオルガノシロキサン化合物を効率的に製造することができ、さらに不飽和結合の内部異性化物についても反応の進行が見られるため、不飽和結合の内部異性化物が混在した化合物を用いても白金系触媒より効率的に目的物が得られる。これにより、化粧品用途やシリコーン油剤としての用途の他、さらなる用途開発が期待されるため、有用性が高いものである。
実施例1で得られた生成物の1H-NMR測定結果を示す図である。 実施例3で得られた生成物の1H-NMR測定結果を示す図である。
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明のオルガノシロキサン化合物の製造方法は、(A)下記式(3)で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン化合物と、(B)下記式(4)で表されるアルケニル基含有化合物とを、(C)ロジウム系触媒の存在下で反応させるものである。
以下、上記(A)~(C)成分について詳述する。
[(A)オルガノハイドロジェンシロキサン化合物]
本発明で用いられるオルガノハイドロジェンシロキサン化合物は、下記式(3)で表される。
Figure 2022096499000005
上記式(3)において、R2は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数7~10のアラルキル基を表す。
上記R2の炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル基等が挙げられ、炭素数6~10のアリール基の具体例としては、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル基等が挙げられ、炭素数7~10のアラルキル基の具体例としては、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル基等が挙げられる。
これらの中でも、R2は、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
また、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数7~10のアラルキル基を表す。
6の炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、および炭素数7~10のアラルキル基の具体例としては、上記R2で挙げた基と同様のものが挙げられるが、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。ただし、R6のうち少なくとも1個、好ましくは1~10個は水素原子である。
上記nは、0~7の整数であり、好ましくは0~3の整数であり、さらに好ましくは0である。
上記mは、0~8の整数であり、好ましくは0~3の整数であり、さらに好ましくは0または1である。
また、n+mは、0~8の整数であり、好ましくは0~3の整数であり、さらに好ましくは0または1である。
本発明で用いられる(A)オルガノハイドロジェンシロキサン化合物の例としては、具体的に以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2022096499000006
(式中、n1は、1~7の整数であり、n2は、1~7の整数であり、m2は、1~7の整数であり、n2+m2は、2~8の整数である。)
これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
[(B)アルケニル基含有化合物]
本発明で用いられるアルケニル基含有化合物は、下記式(4)で表される。
Figure 2022096499000007
上記式(4)において、R3は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表し、その具体例としては、R2で例示したものが挙げられるが、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
上記R4およびR5は、水素原子、または炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表し、炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基の具体例としては、R2で例示した基と同様のものが挙げられるが、好ましくは、R4は、水素原子であり、好ましくは、R5は、炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。
なお、(B)成分は、上記式(4)で表される化合物以外にこの化合物の構造異性体などの有機化合物を含んでいてもよい。
上記構造異性体としては、上記式(4)で表されるアルケニル基含有化合物の製造時に生ずる副生成物が挙げられ、例えば、下記式(4’)で表されるような構造異性体が挙げられる。
Figure 2022096499000008
上記式中、R3、R4およびR5はそれぞれ上記と同じである。
上記有機化合物の含有量は、上記式(4)のアルケニル化合物1モルに対して、上記有機化合物が1モル未満が好ましく、0.5モル未満がより好ましい。
式(4)で表されるアルケニル基含有化合物の具体例としては、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、式(4’)で表される化合物としては、2,4,4-トリメチル-2-ペンテン等が挙げられる。2,4,4-トリメチル-1-ペンテンと、2,4,4-トリメチル-2-ペンテンの混合物(以下、ジイソブチレンという。)を主成分として含む混合物は、各種石油化学メーカーより入手が可能である。例えば、2,4,4-トリメチル-1-ペンテンを74mol%、2,4,4-トリメチル-2-ペンテンを22mol%の割合で含む混合物(出光興産(株)製)等が挙げられる。
なお、本発明において、上記式(4)の末端オレフィン化合物と上記式(4’)の内部オレフィン異性体成分との混合物における混合比は、後述するガスクロマトグラフィー(GC)測定によって求められるピーク面積比から求めたモル比を指すものとする。
本発明の製造方法における、(A)成分と(B)成分の使用比率は、特に限定されるものではないが、(B)成分中のC=C結合/(A)成分中のSi-H結合のモル比が、好ましくは1/10~10/1、より好ましくは1/5~5/1、より一層好ましくは1/3~3/1となるような割合である。
[(C)ロジウム系触媒]
本発明で用いられるロジウム系触媒としては、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド((PPh33RhCl)、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマー([(COD)RhCl]2)、塩化ロジウム(III)等のハロゲン化ロジウム、ロジウム(III)アセチルアセトナート、酢酸ロジウム(ロジウム(II)アセタート)、2-エチルヘキサン酸ロジウム(ロジウム(II)2-エチルヘキサノアート)、オクタン酸ロジウム(ロジウム(II)オクタノアート)等のカルボン酸ロジウム、これらのダイマー等のロジウム系触媒や、ロジウム系触媒を担持させた固体触媒などが挙げられる。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらのうち、価格と触媒活性の点で、好ましくは酢酸ロジウム、2-エチルヘキサン酸ロジウム、オクタン酸ロジウム等のカルボン酸ロジウムおよびこれらのダイマー、トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド、クロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)ダイマーが好ましい。
触媒の使用量としては、特に制限されるわけではないが、経済性と反応性の観点から、(A)成分のケイ素-水素結合を有するシロキサン化合物の合計100質量部に対して、触媒中の金属量として0.1~100,000ppmが好ましく、1~100ppmがより好ましい。
上記の反応は、有機溶媒の非存在下で行うこともできるが、必要に応じて有機溶媒を使用してもよい。有機溶媒としては、反応を阻害しないものであれば任意であり、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素化合物;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物などが挙げられる。
有機溶媒を用いる場合、上記(A)オルガノハイドロジェンシロキサン化合物100質量部に対して、200質量部以下が好ましく、100質量部以下がより好ましい。この範囲内であれば、触媒活性が著しく低下することもなく、経済的にも影響が少ないため好ましい。
また、上記の反応において、反応を阻害しない範囲で、配位子を添加してもよい。配位子を添加する場合、例えば、ノルボルネン、ノルボルナジエン、1,5-シクロオクタジエン等の環状オレフィン類;トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;トリエチルアミン等のアミン類などが挙げられるが、臭気の発生や触媒の反応性の低下、配位子の除去が必要となる点から、添加せずに反応させることが好ましい。
本発明の上記製造方法における(A)成分、(B)成分、(C)成分および必要により用いられるその他の成分は、全ての成分を一括して添加しても、いくつかの成分に分けて添加してもよい。
上記の反応における反応条件は、特に限定されるものではないが、通常、反応温度は、室温(20±5℃)~200℃、より好ましくは50~150℃であり、反応時間は0.5~48時間である。
反応後、得られた反応物をそのまま使用してもよいが、減圧ストリッピングによる有機溶媒、揮発分の除去を行ってもよく、蒸留可能であれば蒸留精製を行ってもよい。また、活性炭などにより残存触媒を吸着させて、ろ過により精製してもよい。
上記アルケニル基含有化合物は、白金触媒を用いた場合には、その立体的な嵩高さと場合により上記構造異性体が存在するために反応性が低いが、ロジウム触媒を用いた場合には、十分な反応性を有する。これは反応機構の違いが起因すると考えられる。
また、式(4’)で表される構造異性体は、ロジウム触媒を用いると、式(4)で表される化合物から得られる生成物と同様の生成物が得られる。これは、触媒反応中に上記構造異性体が再度異性化し、反応しているためである。
これにより本発明の製造方法によって効率的に目的物が得られる。
本発明の製造方法によって得られるオルガノシロキサン化合物は、下記式(1)で表される。
Figure 2022096499000009
(式中、R2、n、m、およびn+mは、上記式(3)と同じ意味を表す。)
上記式(1)において、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~10のアラルキル基、または下記式(2)で示される基を表す。
1の炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、および炭素数7~10のアラルキル基の具体例としては、R2で挙げた基と同様のものが挙げられるが、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基または下記式(2)で示される基であり、ただし、式(1)中のR1のうち1個以上、好ましくは1~10個は式(2)で表される基である。
Figure 2022096499000010
(式中、R3、R4、およびR5は、上記式(4)と同じ意味を表し、破線は、式(1)との結合手を表す。)
なお、上記式(1)のR1において、式(2)で表される基である部分は、式(3)におけるR6に対応する部分であり、そのR6は水素原子である。
式(1)で表されるオルガノシロキサン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2022096499000011
(式中、n1、n2およびm2は、上記と同じ意味を表す。)
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記の実施例に制限されるものではない。
また、実施例および比較例において、特に記載のない限り、反応および生成物の保管は窒素雰囲気下にて行った。
生成物のNMR測定は、AvanceIII400(Bruker社製)を用いて行った。
生成物のGC収率(生成物モル量/Si-H化合物モル量)、内部異性体反応率(反応後残存内部異性体モル量/反応前内部異性体モル量)は、テトラデカンを内部標準として下記条件でのGC測定によるピーク面積比から検量線を作成し、算出した。
<ガスクロマトグラフィー(GC)測定条件>
ガスクロマトグラフ:装置名:7890B、Agilent社製
検出器:FID(Flame Ionization Detector)、温度300℃
キャピラリーカラム:Agilent J&W GC カラム HP-5(0.25mm×30m×0.25μm)、Agilent Technologies社製
昇温プログラム:80℃→10℃/分→250℃(保持)
注入口温度:250℃
キャリアガス:ヘリウム(1.5ml/分)
スプリット比:50:1
注入量:1μL
Si-H反応率は、サンプルを採取してアルコールで希釈し、水酸化ナトリウム水溶液を加えて水素ガスを発生させてガスビュレットにより水素ガス発生量を定量し、反応前後の水素ガス発生量比からSi-H反応率を求めた。
[実施例1] ロジウム系触媒による1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとジイソブチレンとの反応
マグネティックスターラーチップを入れた100mLセパラブルフラスコに、酢酸ロジウム(II)ダイマー(Aldrich社製、以下同じ。)0.7mg(シロキサン量に対してRh換算で10ppm)を加えて、窒素置換した後に、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン33.28g(247.73mmol)、ジイソブチレン(純度:末端オレフィン成分74mol%、内部オレフィン異性体成分22mol%、末端オレフィン成分:内部オレフィン異性体成分=74:22(モル比)、出光興産(株)製、以下同じ。)66.72g(594.56mmol、C=C結合/Si-Hモル比1.2)を加えた。その後、100℃で6時間熟成させた。溶液の色は、淡黄色へと変化した。
反応後、サンプルを採取し、内部標準を添加したアセトンに溶解させてGC測定を行い、GC反応率、GC収率および内部異性体反応率を求めた。また、サンプルを採取して水素ガス発生量の測定を行い、Si-H反応率を求めた。結果を表1に示す。
また、蒸留精製(131℃、0.27kPa)を行い、無色透明液体37.50gを得た(収率42%、GCピーク面積比によるGC純度91%)。次いで、得られた生成物のNMR測定を行った。1H-NMRスペクトルの測定結果を図1に示す。
ジイソブチレンの2重結合の1Hに由来するシグナルが末端オレフィン成分および内部オレフィン異性体成分ともに減少し、新たに0.67ppmおよび0.49ppmにおいて、特徴的なABパターンのシグナルが確認された。
1H-NMR(CDCl3,400MHz)δ:1.80-1.70(m,2H),1.26(dd,J=13.9Hz,4.3Hz,2H),1.13(dd,J=13.9Hz,6.4Hz,2H),0.96(d,J=6.4,6H),0.90(s,18H),0.67(dd,J=14.8Hz,4.6Hz,2H),0.49(dd,J=14.8Hz,8.9Hz,2H),0.07(s,12H).
13C-NMR(CDCl3,100MHz)δ:55.0,31.2,30.2,25.6,1.7.
[比較例1] Karstedt触媒による1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとジイソブチレンとの反応
マグネティックスターラーチップを入れた100mLセパラブルフラスコに、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体溶液(Pt:0.5質量%トルエン溶液)66.6mg(シロキサン量に対してPt換算で10ppm)を加えて、窒素置換した後に、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン33.28g(247.73mmol)、ジイソブチレン66.72g(594.56mmol、C=C結合/Si-Hモル比1.2)を加えた。その後、100℃で6時間熟成させた。溶液の色は、淡黄色へと変化した。
反応後、サンプルを採取し、内部標準を添加したアセトンに溶解させてGC測定を行い、GC収率および内部異性体反応率を求めた。また、サンプルを採取して水素ガス発生量の測定を行い、Si-H反応率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2022096499000012
[実施例2] 酢酸ロジウムによる1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンとジイソブチレンとの反応
マグネティックスターラーチップを入れ、冷却器を取り付けた100mLセパラブルフラスコに、酢酸ロジウム(II)ダイマー1.3mg(シロキサン量に対してRh換算で10ppm)を加え、事前に調製した1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(311.48g、1.40mmol)とジイソブチレン188.52g(1.68mmol、C=C結合/Si-Hモル比=1.2)の混合溶液を100.00g加えた。窒素通気後、窒素雰囲気下で100℃まで昇温し、6時間熟成させた。溶液の色は淡黄色へと変化した。
熟成後、サンプルを採取し、内部標準を添加したアセトンに溶解させてGC測定を行い、GC収率および内部異性体反応率を求めた。また、サンプルを採取して水素ガス発生量の測定を行い、Si-H反応率を求めた。結果を表2に示す。
[比較例2] Karstedt触媒による1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンとジイソブチレンとの反応
マグネティックスターラーチップを入れ、冷却器を取り付けた100mLセパラブルフラスコに、白金(0)-1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体溶液(Pt:0.5質量%トルエン溶液)124.6mg(シロキサン量に対してPt換算で10ppm)を加え、事前に調製した1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(311.48g、1.40mmol)とジイソブチレン(188.52g、1.68mmol、C=C結合/Si-Hモル比=1.2)の混合溶液を100.00g加えた。窒素通気後、窒素雰囲気下で100℃まで昇温し、6時間熟成させた。溶液の色は淡黄色へと変化した。
熟成後、サンプルを採取し、内部標準を添加したアセトンに溶解させてGC測定を行い、GC収率および内部異性体反応率を求めた。また、サンプルを採取して水素ガス発生量の測定を行い、Si-H反応率を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2022096499000013
[実施例3]酢酸ロジウムによる1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンとジイソブチレンとの反応
ジムロート冷却管を取り付けた1Lセパラブルフラスコに、酢酸ロジウム(II)ダイマー8.0mg(0.04mmol、Rh換算で11ppm)、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン350.0g(1.57mol)、ジイソブチレン176.8g(1.57mol、C=C結合/Si-Hモル比1.0)を加え、窒素を通気して窒素雰囲気下にした後に、120℃まで昇温し、6時間熟成した。
これを4回繰り返し、得られた生成物1576gを蒸留精製(100℃、0.8kPa)することで、無色透明液体1226gを得た(収率58%、GCピーク面積比によるGC純度96.2%)。次いで、得られた生成物のNMR測定を行った。1H-NMRスペクトルの測定結果を図2に示す。解析の結果、下記化合物であることが示唆された。
1H-NMR(CDCl3,400MHz)δ:1.81-1.69(m,1H),1.27(dd,J=14.0Hz,4.8Hz,1H),1.11(dd,J=14.0Hz,6.4Hz,1H),0.96(d,J=6.6,3H),0.89(s,9H),0.60(dd,J=14.9Hz,4.8Hz,1H),0.42(dd,J=14.8Hz,8.8Hz,1H),0.09(s,18H),0.02(s,3H).
13C-NMR(CDCl3,100MHz)δ:54.7,31.2,30.2,29.3,25.5,25.3,1.9,1.1.
Figure 2022096499000014
[実施例4~6]各種ロジウム系触媒を用いた1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサンとジイソブチレンとの反応
マグネティックスターラーチップを入れ、冷却器を取り付けた100mLセパラブルフラスコに、表3に記載の各種ロジウム系触媒(Rh換算で10ppm)を加え、事前に調製した1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン(311.48g、1.40mmol)とジイソブチレン(188.52g、1.68mmol、C=C結合/Si-Hモル比=1.2)の混合溶液を100.00gずつ加えた。窒素通気後、窒素雰囲気下で120℃まで昇温し、6時間熟成させた。溶液の色はすべて淡黄色へと変化した。
熟成後、サンプルを採取し、内部標準を添加したアセトンに溶解させてGC測定を行い、GC収率および内部異性体反応率を求めた。また、サンプルを採取して水素ガス発生量の測定を行い、Si-H反応率を求めた。結果を表3に示す。
Figure 2022096499000015
上記実施例および比較例では、反応基質としてジイソブチレン(末端オレフィン成分74mol%、内部オレフィン異性体成分22mol%)を用いているが、ロジウム系触媒と比較して白金系触媒では、十分な反応性を示していない。また、白金系触媒では、内部オレフィン異性体成分はほとんど反応が進んでいないことがわかる。このことから、白金系触媒では、反応性が十分ではないうえ、上記ジイソブチレンを用いる場合、大過剰量用いる必要があり、製造効率はよいとはいえない。
一方で、ロジウム系触媒を用いた場合、実施例1,2,4~6に示すようなC=C結合/Si-H比が1.2の条件では、末端オレフィン成分74mol%であることをふまえると、末端C=C結合/Si-H比は0.89であるが、十分な反応性と収率で目的物が得られていることがわかる。このことから、本発明の有用性が示された。

Claims (6)

  1. (A)下記式(3)
    Figure 2022096499000016
    [式(3)中、R2は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数7~10のアラルキル基を表し、R6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、または炭素数7~10のアラルキル基を表し、R6のうち少なくとも1個が水素原子である。nは、0~7の整数、mは、0~8の整数であり、n+mは、0~8の整数である。]
    で表されるオルガノハイドロジェンシロキサン化合物と、
    (B)下記式(4)
    Figure 2022096499000017
    [式(4)中、R3は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表し、R4およびR5は、水素原子、または炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を表す。]
    で表されるアルケニル基含有化合物とを、
    (C)ロジウム系触媒の存在下でヒドロシリル化反応させる、下記式(1)
    Figure 2022096499000018
    [式(1)中、R1は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~10のアラルキル基、または下記式(2)
    Figure 2022096499000019
    (式(2)中、R3、R4、およびR5は、上記式(4)と同じ意味を表す。破線は、式(1)との結合手を示す。)
    で示される基を表し、R1のうち少なくとも1個は、上記式(2)で表される基である。R2、n、m、およびn+mは、上記式(3)と同じ意味を表す。]
    で表されるオルガノシロキサン化合物の製造方法。
  2. 上記式(2)において、R4が、水素原子であり、R5が、メチル基である請求項1記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法。
  3. 上記式(1)において、R1が、メチル基または上記式(2)で表される基であり、R2が、メチル基である請求項1または2記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法。
  4. 上記式(1)において、nおよびmが、それぞれ0~3の整数であり、n+mが、0~3の整数である請求項1~3のいずれか1項記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法。
  5. 上記式(1)において、nが、0であり、mが、0または1であり、かつn+mが、0または1である請求項1~4のいずれか1項記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法。
  6. 上記(C)成分が、酢酸ロジウムおよびそのダイマー、オクタン酸ロジウムおよびそのダイマー、[(シクロオクタジエニル)ロジウムクロリド]ダイマー、ならびにトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムクロリドからなる群より選ばれる1種以上である請求項1~5のいずれか1項記載のオルガノシロキサン化合物の製造方法。
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