JP2022096411A - 抗ウイルス剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】SARS-CoV-2感染症の予防又は改善を可能とする、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤を提供する。【解決手段】テアフラビンジガレート、テアフラビンモノガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2に対する抗ウイルス剤。【選択図】なし
Description
本発明は、抗ウイルス剤、詳細にはSARSコロナウイルス-2に対する抗ウイルス剤に関する。
SARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2;SARS-CoV-2)は、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)やMERSコロナウイルス(MERS-CoV)と同様ベータコロナウイルス属に属し、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。2019年に中国湖北省武漢市付近で発生が初めて確認され、その後、COVID-19の世界的流行(パンデミック)を引き起こしている。現在、SARS-CoV-2に対するワクチンや治療薬の開発が世界各国で進められている。SARS-CoV-2は、その構成タンパク質であるスパイクタンパク質と宿主細胞上のACE2との結合を介して感染することが報告されている(非特許文献1)。
エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビンモノガレート、テアフラビンジガレートは、茶ポリフェノールとして知られており、アンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害作用があることが報告されている(特許文献1)。また、カテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、テアフラビンモノガレート、テアフラビンジガレートとSARS-CoV-2のスパイクタンパク質との相互作用をin silicoで検討した結果が報告されている(非特許文献2)。しかしながら、検証は行われておらず、これらの物質のスパイクタンパク質に対する実際の作用は明らかになっていない。
Alexanda C. Walls et al., Cell 2020;181(2):281-292.e6
Smarajit Maiti and Amrita Banerjee, Drug Dev Res. 2020;1-11
本発明は、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善を可能とする、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤を提供することに関する。
本発明者らは、安全性の高い天然素材の中から、テアフラビンジガレート(TFDG)、テアフラビンモノガレート(TFMG)、エピカテキンガレート(ECg)及びカテキンガレート(Cg)に、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)との結合を阻害する効果があり、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の1)~6)に係るものである。
1)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤。
2)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤。
3)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤。
4)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARS-CoV-2に対する抗ウイルス用食品。
5)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARS-CoV-2感染症の予防又は改善用食品。
6)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害用食品。
1)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤。
2)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤。
3)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤。
4)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARS-CoV-2に対する抗ウイルス用食品。
5)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARS-CoV-2感染症の予防又は改善用食品。
6)TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害用食品。
本発明のSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤によれば、重症急性呼吸器症候群等のSARS-CoV-2感染症を予防又は改善することが可能となる。
本明細書において、SARSコロナウイルス-2(Severe acute respiratory syndrome coronavirus 2;SARS-CoV-2)は、急性呼吸器疾患(COVID-19)の原因となるSARS関連コロナウイルスである。
SARS-CoV-2は、そのウイルスゲノムは29,903塩基程度で、一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。一般的なコロナウイルスと同様に、スパイクタンパク質、ヌクレオタンパク質、内在性膜タンパク質、エンベロープタンパク質として知られる4つのタンパク質と、RNAより構成されている。このうちヌクレオタンパク質がRNAと結合してヌクレオカプシドを形成し、脂質と結合したスパイクタンパク質、内在性膜タンパク質、エンベロープタンパク質がその周りを取り囲んでエンベロープを形成する(A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin. Nature. 2020 Mar;579(7798):270-273.、A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature. 2020 Mar;579(7798):265-269.)。
SARS-CoV-2は、そのウイルスゲノムは29,903塩基程度で、一本鎖プラス鎖RNAウイルスである。一般的なコロナウイルスと同様に、スパイクタンパク質、ヌクレオタンパク質、内在性膜タンパク質、エンベロープタンパク質として知られる4つのタンパク質と、RNAより構成されている。このうちヌクレオタンパク質がRNAと結合してヌクレオカプシドを形成し、脂質と結合したスパイクタンパク質、内在性膜タンパク質、エンベロープタンパク質がその周りを取り囲んでエンベロープを形成する(A pneumonia outbreak associated with a new coronavirus of probable bat origin. Nature. 2020 Mar;579(7798):270-273.、A new coronavirus associated with human respiratory disease in China. Nature. 2020 Mar;579(7798):265-269.)。
スパイクタンパク質は、2つのサブユニット、S1及びS2からなる大きなI型膜貫通型タンパク質で、S1には主に細胞表面の受容体を認識する受容体結合ドメイン(RBD)が、S2には膜融合に必要な要素が含まれている。S1に結合する既知の受容体には、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)、アミノペプチダーゼN(APN)、癌胎児性抗原関連細胞接着分子1(CEACAM)、O-アセチル化シアル酸(O-ac Sia)があり、SARS-CoV-2は、ヒトACE2を介してヒト呼吸上皮細胞に感染することが報告されている(前記非特許文献1参照)。
本発明のSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤における、抗ウイルス作用には、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質と宿主細胞のACE2との結合を阻害し、SARS-CoV-2の宿主細胞への感染力を低減又は消失させる作用が包含される。すなわち、本発明のSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤には、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤が包含される。
なお、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害作用は、例えば、試験物質存在下で、スパイクタンパク質のRBDとACE2との結合親和性を化学発光法、比色法等で測定することにより、確認することができる。また、SARS-CoV-2 Spike:ACE2 Inhibitor Screening Assay Kit(BPS bioscience)、ACE2:SARS-CoV-2 Spike Inhibitor Screening Assay Kit(BPS bioscience)、SARS-CoV-2 Spike-ACE2 Interaction Inhibitor Screening Assay Kit(Cayman社)等の市販のキットを用いて測定してもよい。
なお、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害作用は、例えば、試験物質存在下で、スパイクタンパク質のRBDとACE2との結合親和性を化学発光法、比色法等で測定することにより、確認することができる。また、SARS-CoV-2 Spike:ACE2 Inhibitor Screening Assay Kit(BPS bioscience)、ACE2:SARS-CoV-2 Spike Inhibitor Screening Assay Kit(BPS bioscience)、SARS-CoV-2 Spike-ACE2 Interaction Inhibitor Screening Assay Kit(Cayman社)等の市販のキットを用いて測定してもよい。
本発明において、テアフラビンジガレート(TFDG)及びテアフラビンモノガレート(TFMG)は、茶葉の発酵過程でカテキン類から生成する赤色色素成分の一種である、テアフラビン 3,3’-ジ-O-ガレート(Theaflavin 3,3’-di-O-gallate)及びテアフラビン 3’-O-ガレート(Theaflavin 3’-O-gallate)を意味する。TFDG及びTFMGは市販されており、市販品としては、Theaflavin 3,3’-di-O-gallate(富士フイルム和光純薬株式会社)、Theaflavin 3,3’-di-O-gallate(長良サイエンス株式会社)、Theaflavin 3’-O-gallate(長良サイエンス株式会社)等が挙げられる。或いは、TFDGは公知の化学合成法若しくは酵素反応を用いた方法(例えば、特開2010-35548号公報)により得るか、又は茶葉由来の原料から調製してもよい。
本発明において、エピカテキンガレート(ECg)及びカテキンガレート(Cg)は、茶カテキンの成分として知られている。ECg及びCgは市販されており、市販品としては、(-)-Epicatechin gallate(東京化成工業株式会社)、(-)-Epicatechin gallate(長良サイエンス株式会社)、(-)-Catechin gallate(富士フイルム和光純薬株式会社)、(-)-Catechin gallate(長良サイエンス株式会社)等が挙げられる。或いは、ECg及びCgは公知の方法により化学合成するか、又は茶葉由来の原料から調製してもよい。
茶葉由来の原料から調製する場合、例えば、茶葉抽出物又はそれらの濃縮物から精製すればよい。当該茶抽出は、Camellia属、例えばC.sinensis、C.assamica、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉に、水若しくは熱水、又は必要に応じてこれらにさらに抽出助剤を添加し、攪拌抽出等をすることにより行うことができる。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。抽出助剤としては、アスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又はその塩等が挙げられる。当該製茶された茶葉には、煎茶、番茶、玉露、てん茶、釜煎り茶等の緑茶類;総称して烏龍茶と呼ばれる鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の半発酵茶;紅茶と呼ばれるダージリン、ウバ、キーマン等の発酵茶が含まれる。
当該茶抽出物の濃縮は、上記抽出物を濃縮することにより行うことができ、当該茶抽出物の精製は、溶剤やカラムを用いることにより行うことができる。茶抽出物の濃縮物や精製物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状等種々のものが挙げられる。例えば、当該茶抽出物は、特開昭59-219384号、特開平4-20589号、特開平5-260907号、特開平5-306279号等に詳細に例示されている方法で調製することができる。また、市販品を用いることもでき、斯かる市販の茶抽出物としては、(株)伊藤園「テアフラン」、三井農林(株)「ポリフェノン」、太陽化学(株)「サンフェノン」、サントリー(株)「サンウーロン」等が挙げられる。
これらの茶抽出物又はその濃縮物を、溶剤や吸着剤を用いて処理することにより、TFDG、TFMG、ECg又はCgを精製することができる。また、TFDG、TFMG、ECg又はCgの含有量は、通常知られている測定法のうち測定試料の状況に適した分析法により測定することが可能であり、例えば、液体クロマトグラフィーで分析することが可能である。なお、測定の際には装置の検出域に適合させるため、試料を凍結乾燥したり、装置の分離能に適合させるため試料中の夾雑物を除去したりする等、必要に応じて適宜処理を施してもよい。
後述する実施例に示すように、TFDG、TFMG、ECg及びCgは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合を阻害することができる。
したがって、TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害作用を有するSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤となり得る。或いは、TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種は、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤を製造するために使用することができる。
また、TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害のため、又はSARS-CoV-2感染症の予防又は改善のために使用することができる。例えば、対象にTFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を投与又は摂取させることにより、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合を阻害し、SARS-CoV-2感染症を予防又は改善することができる。
本発明において、斯かる化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ここで、使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
したがって、TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害作用を有するSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤となり得る。或いは、TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種は、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤を製造するために使用することができる。
また、TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害のため、又はSARS-CoV-2感染症の予防又は改善のために使用することができる。例えば、対象にTFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を投与又は摂取させることにより、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合を阻害し、SARS-CoV-2感染症を予防又は改善することができる。
本発明において、斯かる化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ここで、使用は、治療的使用であっても非治療的使用であってもよい。「非治療的」とは、医療行為を含まない概念、すなわち人間を手術、治療又は診断する方法を含まない概念、より具体的には医師又は医師の指示を受けた者が人間に対して手術、治療又は診断を実施する方法を含まない概念である。
ここで、SARS-CoV-2感染症とは、SARS-CoV-2に感染することによって発症する急性呼吸器疾患(COVID-19)を指す。その症状は特異的ではなく、症状のないもの(無症候性)から重症の肺炎まで幅広い。典型的な症状・徴候としては発熱、空咳、疲労、喀痰、息切れ、咽頭痛、頭痛、下痢等があるが、本発明においては、斯かる症状に限定されるものではない。
本発明において、「予防」とは、個体におけるSARS-CoV-2感染の防止、抑制又は遅延、或いは発症の危険性を低下させることをいう。また「改善」とは、SARS-CoV-2の感染又は症状の好転、症状の悪化の防止又は遅延、或いは症状の進行の逆転、防止又は遅延を意味し、「治療」を含む意である。
本発明のSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤は、TFDG、TFMG、ECg及びCgからなる群より選択される少なくとも1種を単独で使用する形態であってもよく、またこれを有効成分として含む組成物(例えば、医薬品組成物、食品組成物等)の形態であってもよい。すなわち、本発明のSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤は、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善効果又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害効果を発揮する医薬品、医薬部外品、食品(すなわちSARS-CoV-2に対する抗ウイルス用食品、SARS-COV-2感染症の予防又は改善用食品、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害用食品)となり、或いはこれらへ配合するための素材又は製剤となり得る。
なお、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス用食品、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善用食品、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害用食品には、一般飲食品のほか、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメントが包含される。
なお、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス用食品、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善用食品、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害用食品には、一般飲食品のほか、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品、機能性表示食品、サプリメントが包含される。
上記医薬品(医薬部外品を含む)は、任意の形態で投与することができ、経口投与でも非経口投与でもよい。当該医薬品は、投与形態に応じて、本発明の有効成分に、各種投与形態に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体、例えば、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤等の慣用の添加剤を適宜添加し、製剤上の常套手段により調製することができる。製剤組成物の形態としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤、舌下錠、トローチ等の口腔用製剤、点鼻薬、噴霧剤、散布剤、凍結乾燥剤等が挙げられる。
上記食品は、食用又は飲用に適した各種製剤形態、例えば細粒剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、ペースト剤等として調製できる。食品の種類は限定さないが、例えばパン類、麺類、パスタ、ゼリー状食品、各種スナック類、ケーキ類、菓子類、アイスクリーム類、スープ類、乳製品、冷凍食品、インスタント食品、その他加工食品、調味料、サプリメント、各種飲料(果汁飲料、炭酸飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、乳飲料、アルコール飲料、清涼飲料等)等が挙げられるが、飲料形態、キャンディー、トローチ、チューインガム等のように口腔内で長く留まる形態、サプリメントのように消化管内で長くとどまる形態の食品が好ましい。
斯かる医薬品、医薬部外品、食品には、本発明の効果を阻害しない範囲で、殺菌剤、抗炎症剤、水溶性ビタミン、植物抽出物、その他薬効成分等を適宜配合してもよい。
本発明のSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤を組成物として使用する態様における前記有効成分の含有量は、組成物の形態に応じて適宜決定できる。例えば、組成物の総量に対する前記有効成分の含有量はTFDG、TFMG、ECg又はCg換算で0.002質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましい。また、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。さらに、前記有効成分の含有量の数値範囲は、0.002~20質量%が好ましく、0.01~10質量%がより好ましく、0.05~5質量%がさらに好ましい。
本発明のSARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤、SARS-CoV-2感染症の予防又は改善剤、又はSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害剤を医薬品、医薬部外品又は食品として使用する場合の投与又は接種の対象は、好ましくは哺乳動物であり非ヒト哺乳動物を含むが、好ましくはヒトである。また、投与又は接種の対象は、好ましくは、SARS-CoV-2感染の予防を所望するヒト、SARS-CoV-2感染症の症状(発熱、空咳、疲労、喀痰、息切れ、咽頭痛、頭痛、下痢等)の改善を所望するヒトが挙げられる。
この場合の投与又は接種量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、投与経路、投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。例えば、成人(体重60kg)1人当たり、TFDG、TFMG、ECg又はCg換算で20mg/日以上が好ましく、100mg/日以上がより好ましい。また、3000mg/日以下が好ましく、1000mg/日以下がより好ましく、800mg/日がより好ましい。さらに、前記有効成分の投与量の数値範囲は、20~3000mg/日が好ましく、100~1000mg/日がより好ましい。
なお前記有効成分は、1日1回~数回に分け、又は任意の期間及び間隔で摂取・投与され得る。
この場合の投与又は接種量は、個体の状態、体重、性別、年齢、素材の活性、投与経路、投与スケジュール、製剤形態又はその他の要因により適宜決定することができる。例えば、成人(体重60kg)1人当たり、TFDG、TFMG、ECg又はCg換算で20mg/日以上が好ましく、100mg/日以上がより好ましい。また、3000mg/日以下が好ましく、1000mg/日以下がより好ましく、800mg/日がより好ましい。さらに、前記有効成分の投与量の数値範囲は、20~3000mg/日が好ましく、100~1000mg/日がより好ましい。
なお前記有効成分は、1日1回~数回に分け、又は任意の期間及び間隔で摂取・投与され得る。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
試験例1 SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合阻害試験
テアフラビンジガレート(Theaflavin 3,3’-di-O-gallate(TFDG)、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード:ASB-00020254-005、終濃度100、200又は400μM)、テアフラビンモノガレート(Theaflavin 3’-O-gallate(TFMG)、長良サイエンス株式会社製、製品コード:NH030301、終濃度100、200または400μM)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate(ECg)、東京化成工業株式会社製、製品コード:E0890、終濃度400又は800μM)、及びカテキンガレート(Catechin gallate(Cg)、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード:032-18471、終濃度400又は800μM)をそれぞれ実施例1~4として、また、エピカテキン(Epicatechin(EC)、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード:054-08881、終濃度800μM)、カテキン(Catechin(C)、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード:038-23461、終濃度800μM)、及びACE2阻害剤であるMLN-4760(メルク製、製品コード:530616、終濃度0.5μM)をそれぞれ比較例1~3として、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合に対する阻害効果を、SARS-CoV-2 Spike:ACE2 inhibitor Screening Assay Kit(BPS bioscience製、Catalog No.79931)を用いて、キットのプロトコールに準じて評価した。なお、MLN-4760のACE2に対するIC50は0.44nMであり、本評価濃度である0.5μMは十分ACE2を阻害する濃度であるといえる。
マイクロプレート(NUNC MaxiSorp、96well plate)にキット付属のSpike Protein(1μg/mL)を50μLずつ添加し、4℃で終夜静置した。上清を除去し、キット付属のImmuno buffer(100μL)で3回洗浄後、Blocking buffer(100μL)を添加し25℃で1時間ゆっくり振とうした。上清を除去してImmuno buffer(100μL)で3回洗浄後、全ウェルにImmuno buffer (20μL)を添加した。さらに試験サンプルウェルにはサンプル液(10μL)を添加し、ポジコンウェルとブランクウェルには試験サンプル溶解に用いた溶媒を10μL添加した。25℃で1時間振とう後、試験サンプルウェルとポジコンウェルにACE2-His(2.5μg/mL、20μL)を添加し、ブランクウェルにはImmuno buffer(20μL)を添加し25℃で1時間振とうした。上清を除去し、Immuno buffer(100μL)で3回洗浄後、Blocking buffer(100μL)を添加し25℃で10分間振とうした。上清を除去し、Immuno buffer(100μL)で3回洗浄後、Anti-His-HRP(キット付属の抗体を1000倍希釈したもの)を100μL添加した。25℃で1時間振とうしたのち、上清を除去し、Immuno buffer(100μL)で3回洗浄後、Blocking buffer(100μL)を添加して25℃で10分間振とうした。上清除去し、Immuno buffer(100μL)で3回洗浄後、TMB液(ThermoFischer製、製品番号34028)100μLを添加した。約1分静置した後、2M H2SO4水溶液(100μL)で反応を停止した。最後に450/650nmで吸光度測定し、結合阻害率を算出した。算出式は次の通りである。結果を表1に示す。
テアフラビンジガレート(Theaflavin 3,3’-di-O-gallate(TFDG)、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード:ASB-00020254-005、終濃度100、200又は400μM)、テアフラビンモノガレート(Theaflavin 3’-O-gallate(TFMG)、長良サイエンス株式会社製、製品コード:NH030301、終濃度100、200または400μM)、エピカテキンガレート(Epicatechin gallate(ECg)、東京化成工業株式会社製、製品コード:E0890、終濃度400又は800μM)、及びカテキンガレート(Catechin gallate(Cg)、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード:032-18471、終濃度400又は800μM)をそれぞれ実施例1~4として、また、エピカテキン(Epicatechin(EC)、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード:054-08881、終濃度800μM)、カテキン(Catechin(C)、富士フイルム和光純薬株式会社製、製品コード:038-23461、終濃度800μM)、及びACE2阻害剤であるMLN-4760(メルク製、製品コード:530616、終濃度0.5μM)をそれぞれ比較例1~3として、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合に対する阻害効果を、SARS-CoV-2 Spike:ACE2 inhibitor Screening Assay Kit(BPS bioscience製、Catalog No.79931)を用いて、キットのプロトコールに準じて評価した。なお、MLN-4760のACE2に対するIC50は0.44nMであり、本評価濃度である0.5μMは十分ACE2を阻害する濃度であるといえる。
マイクロプレート(NUNC MaxiSorp、96well plate)にキット付属のSpike Protein(1μg/mL)を50μLずつ添加し、4℃で終夜静置した。上清を除去し、キット付属のImmuno buffer(100μL)で3回洗浄後、Blocking buffer(100μL)を添加し25℃で1時間ゆっくり振とうした。上清を除去してImmuno buffer(100μL)で3回洗浄後、全ウェルにImmuno buffer (20μL)を添加した。さらに試験サンプルウェルにはサンプル液(10μL)を添加し、ポジコンウェルとブランクウェルには試験サンプル溶解に用いた溶媒を10μL添加した。25℃で1時間振とう後、試験サンプルウェルとポジコンウェルにACE2-His(2.5μg/mL、20μL)を添加し、ブランクウェルにはImmuno buffer(20μL)を添加し25℃で1時間振とうした。上清を除去し、Immuno buffer(100μL)で3回洗浄後、Blocking buffer(100μL)を添加し25℃で10分間振とうした。上清を除去し、Immuno buffer(100μL)で3回洗浄後、Anti-His-HRP(キット付属の抗体を1000倍希釈したもの)を100μL添加した。25℃で1時間振とうしたのち、上清を除去し、Immuno buffer(100μL)で3回洗浄後、Blocking buffer(100μL)を添加して25℃で10分間振とうした。上清除去し、Immuno buffer(100μL)で3回洗浄後、TMB液(ThermoFischer製、製品番号34028)100μLを添加した。約1分静置した後、2M H2SO4水溶液(100μL)で反応を停止した。最後に450/650nmで吸光度測定し、結合阻害率を算出した。算出式は次の通りである。結果を表1に示す。
表1に示すとおり、TFDG、TFMG、ECg及びCgには、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合を阻害する作用が認められた。一方、EC及びCにはそのような作用はほぼ認められなかった。よって、同じカテキン類であっても、化合物によって効果が異なることが明らかとなった。また、強力なACE2阻害剤として公知のMLN-4760にSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合を阻害する作用が認められなかったことから、ACE2阻害効果があるからといって必ずしもSARS-CoV-2のスパイクタンパク質とACE2との結合を阻害するわけではないことが示唆された。
Claims (6)
- テアフラビンジガレート、テアフラビンモノガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2に対する抗ウイルス剤。
- テアフラビンジガレート、テアフラビンモノガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2感染症の予防又は改善剤。
- テアフラビンジガレート、テアフラビンモノガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2のスパイクタンパク質とアンジオテンシン変換酵素2との結合阻害剤。
- テアフラビンジガレート、テアフラビンモノガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2に対する抗ウイルス用食品。
- テアフラビンジガレート、テアフラビンモノガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2感染症の予防又は改善用食品。
- テアフラビンジガレート、テアフラビンモノガレート、エピカテキンガレート及びカテキンガレートからなる群より選択される少なくとも1種を有効成分とするSARSコロナウイルス-2のスパイクタンパク質とアンジオテンシン変換酵素2との結合阻害用食品。
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- 2020-12-17 JP JP2020209506A patent/JP2022096411A/ja active Pending
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