JP2022096007A - 合わせガラス用中間膜および合わせガラス - Google Patents
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Abstract
【課題】高い遮音特性を有する合わせガラス用中間膜、および、高遮音性と高い耐貫通性を有する合わせガラスを提供すること。【解決手段】B層、A層、B層をこの順に含み、A層は第1熱可塑性樹脂を含有する層であり、A層を構成する樹脂材料はJIS K 7244-10:2005に準じて周波数1Hzの条件で測定されるtanδが最大となるピークを-30℃~10℃に有し、該ピークの高さは1.5以上であり、B層はポリビニルアセタール樹脂を含有する層であり、B層の厚さの総和が600μm超である、合わせガラス用中間膜。【選択図】なし
Description
本発明は、合わせガラス用中間膜および合わせガラスに関する。
窓ガラス等に使用されているガラス板は耐久性および採光性に優れているが、ダンピング性能(屈曲振動に対するtanδ)が非常に小さいことが知られている。このためガラスの振動と入射音波とで起こる共振状態、即ちコインシデンス効果による遮音性の低下は顕著である。
近年、合わせガラスを軽量化することにより、乗物(例えば自動車)を軽量化し、燃費を向上させる取り組みがなされている。一般には、合わせガラスの厚さを薄くすることによって軽量化できるが、その重量減少分に応じた遮音性の低下が生じるため、重量減少の実現には遮音性の低下を補う手段が求められている。
近年、合わせガラスを軽量化することにより、乗物(例えば自動車)を軽量化し、燃費を向上させる取り組みがなされている。一般には、合わせガラスの厚さを薄くすることによって軽量化できるが、その重量減少分に応じた遮音性の低下が生じるため、重量減少の実現には遮音性の低下を補う手段が求められている。
遮音性を高める方法として、ダンピング性能に優れた合わせガラス用中間膜(以下、単に「中間膜」と称することもある)を用いる方法がある。中間膜は、振動エネルギーを熱エネルギーに変換することで振動エネルギーを吸収する能力を有する。そのような中間膜の例として、ポリビニルブチラールからなり、一定の耐衝撃性および遮音性を有する合わせガラス用中間膜(例えば特許文献1参照)、ポリスチレンとゴム系樹脂との共重合体からなる樹脂膜Aを可塑化ポリビニルアセタール系樹脂からなる樹脂膜Bで挟着されてなる中間膜(例えば特許文献2参照)、さらに、ポリスチレンとゴム系樹脂との共重合体からなる樹脂膜Aの遮音特性を向上させた中間膜(例えば特許文献3参照)、およびポリビニルアセタールと可塑剤とを含む第1の層が10層以上積層されている積層体を有する中間膜(例えば特許文献4参照)が提案されている。
また、中間膜を2枚使用し、合わせガラス中にガラスを挟持することによって、遮音性を改善することも提案されている(例えば、特許文献5、6参照)。
また、中間膜を2枚使用し、合わせガラス中にガラスを挟持することによって、遮音性を改善することも提案されている(例えば、特許文献5、6参照)。
しかしながら、上記特許文献1乃至4に記載されるような合わせガラス用中間膜を用いた場合であっても、合わせガラスにおけるその遮音特性は十分に満足のいくものではなく、さらなる車内環境の快適さ、または合わせガラスの軽量化による自動車の燃費改善に対する要求等から、より一層の遮音特性の改善が求められている。また、構成によっては、合わせガラスに求められる、耐衝撃性や耐貫通性についてのさらなる改善も求められていた。
さらに、上記特許文献5乃至6に記載されるような合わせガラス中にガラスを挟持させた構成は、遮音性は極めて高いものの、中心にガラスを配置するプロセスにおいて、中間膜やガラスの位置合わせ等のプロセス上の煩雑さが伴うため、2枚のガラスと1枚の中間膜からなる簡素な構成からなる遮音合わせガラスの方が、作製プロセスの簡便さの観点から望ましい。特許文献6においては、中間膜間に挟持されるガラスに代えて、硬いポリマーを使用することも提案されているものの、硬いポリマーを使用すると、曲率の高い合わせガラス構成においては、合わせガラスの製造プロセス時に中間膜がガラス曲面に追従しにくいという課題や、ガラスの曲率に沿った形状に中間膜をストレッチするプロセスにおいて中間膜がストレッチしにくくなることがあるという課題があった。また、従来から商業的に製造されている3層からなる遮音膜に比べて複雑な構成となるため、製造工程が複雑化してしまう問題があった。
さらに、上記特許文献5乃至6に記載されるような合わせガラス中にガラスを挟持させた構成は、遮音性は極めて高いものの、中心にガラスを配置するプロセスにおいて、中間膜やガラスの位置合わせ等のプロセス上の煩雑さが伴うため、2枚のガラスと1枚の中間膜からなる簡素な構成からなる遮音合わせガラスの方が、作製プロセスの簡便さの観点から望ましい。特許文献6においては、中間膜間に挟持されるガラスに代えて、硬いポリマーを使用することも提案されているものの、硬いポリマーを使用すると、曲率の高い合わせガラス構成においては、合わせガラスの製造プロセス時に中間膜がガラス曲面に追従しにくいという課題や、ガラスの曲率に沿った形状に中間膜をストレッチするプロセスにおいて中間膜がストレッチしにくくなることがあるという課題があった。また、従来から商業的に製造されている3層からなる遮音膜に比べて複雑な構成となるため、製造工程が複雑化してしまう問題があった。
したがって、本発明は、少なくとも3層の構成からなる高い遮音特性を有する合わせガラス用中間膜および高い遮音特性と高い耐貫通性を有する合わせガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の材料で構成されるA層およびB層を含む合わせガラス用中間膜により上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
〔1〕; B層、A層、B層をこの順に含む合わせガラス用中間膜であって、
前記A層は第1の熱可塑性樹脂を含有する層であり、A層を構成する樹脂材料はJIS K 7244-10:2005に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークを-30℃以上10℃以下の範囲に有し、当該tanδピークの高さは1.5以上であり、
前記B層はポリビニルアセタール樹脂を含有する層であり、複数のB層の厚さの総和が600μm超である、合わせガラス用中間膜。
〔2〕; 前記A層は第1の熱可塑性樹脂として、芳香族ビニル単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(a)と共役ジエン単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体の水素添加物を含有し、ブロック共重合体の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量は、ブロック共重合体の水素添加物の総質量に対して25質量%以下である、〔1〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔3〕; 少なくとも2つのB層の厚さが、それぞれ300μm以上である、〔1〕または〔2〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔4〕; 前記B層において、少なくとも1つのB層が、前記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上60質量部以下である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
〔5〕; 前記可塑剤は、融点が30℃以下であるか非結晶性であり、水酸基価が15~450mgKOH/gであり、エステル系可塑剤またはエーテル系可塑剤である、〔4〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔6〕; 前記可塑剤が、安息香酸エステル、芳香族リン酸エステルおよびフタル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つの可塑剤を含有する、〔4〕または〔5〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔7〕; 前記A層において、前記第1の熱可塑性樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が30質量部以下である、請求項1~6のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
〔8〕; A層とB層の総厚さが0.80mm以上2.4mm以下である、〔1〕~〔7〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔9〕; 縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmのフロートガラス2枚を用いて前記合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスにおいて、20℃で中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数が0.56以上である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
〔10〕; 縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmのフロートガラス1枚と縦300mm、横25mm、厚さ1.3mmのフロートガラス1枚を用いて前記合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスにおいて、20℃で中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数が0.56以上である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
〔11〕; 〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラス。
〔12〕; 乗物用フロントガラス、乗物用サイドガラス、乗物用サンルーフ、乗物用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラスである、〔11〕に記載の合わせガラス。
〔1〕; B層、A層、B層をこの順に含む合わせガラス用中間膜であって、
前記A層は第1の熱可塑性樹脂を含有する層であり、A層を構成する樹脂材料はJIS K 7244-10:2005に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークを-30℃以上10℃以下の範囲に有し、当該tanδピークの高さは1.5以上であり、
前記B層はポリビニルアセタール樹脂を含有する層であり、複数のB層の厚さの総和が600μm超である、合わせガラス用中間膜。
〔2〕; 前記A層は第1の熱可塑性樹脂として、芳香族ビニル単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(a)と共役ジエン単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体の水素添加物を含有し、ブロック共重合体の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量は、ブロック共重合体の水素添加物の総質量に対して25質量%以下である、〔1〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔3〕; 少なくとも2つのB層の厚さが、それぞれ300μm以上である、〔1〕または〔2〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔4〕; 前記B層において、少なくとも1つのB層が、前記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上60質量部以下である、〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
〔5〕; 前記可塑剤は、融点が30℃以下であるか非結晶性であり、水酸基価が15~450mgKOH/gであり、エステル系可塑剤またはエーテル系可塑剤である、〔4〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔6〕; 前記可塑剤が、安息香酸エステル、芳香族リン酸エステルおよびフタル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つの可塑剤を含有する、〔4〕または〔5〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔7〕; 前記A層において、前記第1の熱可塑性樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が30質量部以下である、請求項1~6のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
〔8〕; A層とB層の総厚さが0.80mm以上2.4mm以下である、〔1〕~〔7〕に記載の合わせガラス用中間膜。
〔9〕; 縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmのフロートガラス2枚を用いて前記合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスにおいて、20℃で中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数が0.56以上である、〔1〕~〔8〕のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
〔10〕; 縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmのフロートガラス1枚と縦300mm、横25mm、厚さ1.3mmのフロートガラス1枚を用いて前記合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスにおいて、20℃で中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数が0.56以上である、〔1〕~〔9〕のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
〔11〕; 〔1〕~〔10〕のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラス。
〔12〕; 乗物用フロントガラス、乗物用サイドガラス、乗物用サンルーフ、乗物用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラスである、〔11〕に記載の合わせガラス。
本発明によれば、高い遮音特性を有する中間膜および高い遮音特性を有する合わせガラスを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はここで説明する実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも、B層、A層、B層をこの順に含む、3層以上の層からなる中間膜である。A層は第1の熱可塑性樹脂を含有する層であり、A層を構成する樹脂材料はJIS K 7244-10:2005に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークを-30℃以上10℃以下の範囲に有し(以下、この温度を「tanδピーク温度」と称することもある)、当該tanδピークの高さ(以下、「tanδピーク高さ」と称することもある)は1.5以上である。B層はポリビニルアセタール樹脂を含有する層であり、B層の厚さの総和が600μm超である。
<A層>
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも1層のA層を含む。A層は第1の熱可塑性樹脂を含有する層である。後述のB層とともに、A層が合わせガラス用中間膜に含まれることによって、合わせガラス用中間膜に高い遮音性が付与される。A層を構成する樹脂材料は、第1の熱可塑性樹脂からなるか、または第1の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物からなる。A層を構成する樹脂材料が上述のtanδピーク温度およびtanδピーク高さの条件を満たす限り、第1の熱可塑性樹脂は特に制限されない。
好ましくは、A層は第1の熱可塑性樹脂として、芳香族ビニル単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(a)と共役ジエン単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(A)」と称することもある)の水素添加物を含有する。当該ブロック共重合体の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量は、ブロック共重合体の水素添加物の総質量に対して好ましくは25質量%以下である。
本発明の合わせガラス用中間膜は、少なくとも1層のA層を含む。A層は第1の熱可塑性樹脂を含有する層である。後述のB層とともに、A層が合わせガラス用中間膜に含まれることによって、合わせガラス用中間膜に高い遮音性が付与される。A層を構成する樹脂材料は、第1の熱可塑性樹脂からなるか、または第1の熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物からなる。A層を構成する樹脂材料が上述のtanδピーク温度およびtanδピーク高さの条件を満たす限り、第1の熱可塑性樹脂は特に制限されない。
好ましくは、A層は第1の熱可塑性樹脂として、芳香族ビニル単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(a)と共役ジエン単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(A)」と称することもある)の水素添加物を含有する。当該ブロック共重合体の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量は、ブロック共重合体の水素添加物の総質量に対して好ましくは25質量%以下である。
重合体ブロック(a)における芳香族ビニル単量体単位を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、2,6-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、α-メチル-o-メチルスチレン、α-メチル-m-メチルスチレン、α-メチル-p-メチルスチレン、β-メチル-o-メチルスチレン、β-メチル-m-メチルスチレン、β-メチル-p-メチルスチレン、2,4,6-トリメチルスチレン、α-メチル-2,6-ジメチルスチレン、α-メチル-2,4-ジメチルスチレン、β-メチル-2,6-ジメチルスチレン、β-メチル-2,4-ジメチルスチレン、o-クロロスチレン、m-クロロスチレン、p-クロロスチレン、2,6-ジクロロスチレン、2,4-ジクロロスチレン、α-クロロ-o-クロロスチレン、α-クロロ-m-クロロスチレン、α-クロロ-p-クロロスチレン、β-クロロ-o-クロロスチレン、β-クロロ-m-クロロスチレン、β-クロロ-p-クロロスチレン、2,4,6-トリクロロスチレン、α-クロロ-2,6-ジクロロスチレン、α-クロロ-2,4-ジクロロスチレン、β-クロロ-2,6-ジクロロスチレン、β-クロロ-2,4-ジクロロスチレン、o-t-ブチルスチレン、m-t-ブチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-クロロメチルスチレン、m-クロロメチルスチレン、p-クロロメチルスチレン、o-ブロモメチルスチレン、m-ブロモメチルスチレン、p-ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレン誘導体、インデンおよびビニルナフタレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物は1つを単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、製造コストおよび物性バランスの観点から、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレンおよびこれらの混合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
重合体ブロック(a)における芳香族ビニル単量体単位の含有量は、重合体ブロック(a)を構成する全構成単位に対して、好ましくは60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、特に好ましくは95モル%以上であり、実質的に100モル%であってもよい。重合体ブロック(a)における芳香族ビニル単量体単位の含有量が前記下限値以上であると、良好な成形性または機械的強度を得やすい。
重合体ブロック(a)は、本発明の目的および効果の妨げにならない範囲において、芳香族ビニル単量体単位以外の他の不飽和単量体に由来する構成単位を含有していてもよい。他の不飽和単量体としては、例えばブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチルブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、イソブチレン、メタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、N-ビニルカルバゾール、β-ピネン、8,9-p-メンテン、ジペンテン、メチレンノルボルネンおよび2-メチレンテトラヒドロフラン等が挙げられる。
重合体ブロック(a)中の他の不飽和単量体単位の含有量は、重合体ブロック(a)を構成する全構成単位に対して、好ましくは40モル%未満、より好ましくは20モル%未満、より好ましくは15モル%未満、さらに好ましくは10モル%未満、特に好ましくは5モル%未満である。本発明の好適な一実施態様において、重合体ブロック(a)は、上記した他の不飽和単量体単位を実質的に含まない。重合体ブロック(a)が上記した他の不飽和単量体に由来する単位を含有する場合、その結合形態は特に制限されるものではなく、ランダム状またはテーパー状のいずれでもよい。
なお、ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(a)中の芳香族ビニル単量体単位の含有量および他の不飽和単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の1H-NMRスペクトルから求められ、ブロック共重合体(A)の調製において各単量体の仕込み比を調節することにより所望の含有量に調整できる。
ブロック共重合体(A)は、重合体ブロック(a)を少なくとも1つ有していればよい。ブロック共重合体(A)が重合体ブロック(a)を2つ以上有する場合には、それらの重合体ブロック(a)は、互いに同一であっても異なっていてもよい。なお、本明細書において「重合体ブロックが異なる」とは、重合体ブロックを構成する単量体単位、重量平均分子量、立体規則性、並びに複数の単量体単位を有する場合には各単量体単位の比率および共重合の形態(ランダム、グラジェント、ブロック)のうちの少なくとも1つが異なることを意味する。このことは、後述する重合体ブロック(b)においても同じである。
ブロック共重合体(A)に含まれる重合体ブロック(a)の重量平均分子量(Mw)は特に制限されない。ブロック共重合体(A)が含む重合体ブロック(a)のうち少なくとも1つの重合体ブロック(a)の重量平均分子量は、好ましくは3,000~60,000、より好ましくは4,000~50,000である。ブロック共重合体(A)が前記範囲内の重量平均分子量である重合体ブロック(a)を少なくとも1つ有することにより、機械的強度がより向上し、良好な製膜性を得やすい。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下であり、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上である。重合体ブロック(a)のガラス転移温度が前記した下限値と上限値との範囲内であると、A層を構成する樹脂材料のせん断貯蔵弾性率を特定の範囲に制御しやすくなり、得られる中間膜の遮音性の向上につながるとともに、機械的強度を高くできる。重合体ブロック(a)のガラス転移温度は、後述の実施例に記載の方法により測定され、ブロック共重合体(A)の調製において各単量体の仕込み比を調節することにより所望の範囲に調整できる。
ブロック共重合体(A)の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量〔複数の重合体ブロック(a)を有する場合はそれらの合計含有量〕は、ブロック共重合体(A)の水素添加物の総質量に対して好ましくは25質量%以下である。ブロック共重合体(A)のモルフォロジーによってtanδの値も変化し、特にスフィア構造からなるミクロ相分離構造をとる場合にtanδが高くなる傾向にある。スフィア構造の形成のしやすさには、ブロック共重合体(A)の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量が大きく影響するため、ブロック共重合体(A)の水素添加物の総質量に対するブロック重合体(a)の含有量を好ましくは25質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下に調整することが、得られる中間膜の遮音性をより向上させる上で非常に有利である。前記した重合体ブロック(a)の含有量は、より好ましくは14質量%以下、より好ましくは13質量%以下、より好ましくは12.5質量%以下、より好ましくは11質量%以下、特に好ましくは9質量%以下である。遮音性の観点から、前記した重合体ブロック(a)の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは3.5質量%以上である。本発明の一実施態様において、前記した重合体ブロック(a)の含有量は好ましくは3~25質量%である。一方で、A層の取扱性および機械物性を高めやすい観点からは、前記した重合体ブロック(a)の含有量は好ましくは6~25質量%、より好ましくは8~25質量%、特に好ましくは10~25質量%である。また、本発明の一実施態様において、前記した重合体ブロック(a)の含有量は好ましくは3.5~25質量%、より好ましくは4~15質量%であって、重合体ブロック(a)の含有量が前記範囲内であると、高い遮音性を確保しつつ、得られるA層の取扱性および機械物性を高めることができる。
なお、ブロック共重合体(A)の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量は、ブロック共重合体(A)の水素添加物の1H-NMRスペクトルから求められ、ブロック共重合体(A)の調製において各単量体の仕込み比を調節することにより所望の範囲に調整できる。
なお、ブロック共重合体(A)の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量は、ブロック共重合体(A)の水素添加物の1H-NMRスペクトルから求められ、ブロック共重合体(A)の調製において各単量体の仕込み比を調節することにより所望の範囲に調整できる。
重合体ブロック(b)に含まれる共役ジエン単量体単位を構成する共役ジエン化合物としては、例えばイソプレン、ブタジエン、ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエンおよびミルセン等を挙げることができる。共役ジエン化合物は1つを単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、入手しやすさ、汎用性、および後述する結合形態の制御性等の観点から、イソプレン、ブタジエン、およびイソプレンとブタジエンとの混合物が好ましく、イソプレンがより好ましい。
共役ジエン化合物として、ブタジエンとイソプレンとの混合物を用いてもよい。その混合比率[イソプレン/ブタジエン](質量比)に特に制限はないが、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは10/90~90/10、さらに好ましくは40/60~70/30、特に好ましくは45/55~65/35である。なお、前記混合比率[イソプレン/ブタジエン]をモル比で示すと、好ましくは5/95~95/5、より好ましくは10/90~90/10、さらに好ましくは40/60~70/30、特に好ましくは45/55~55/45である。
重合体ブロック(b)における共役ジエン単量体単位の含有量は、重合体ブロック(b)を構成する全構成単位に対して、好ましくは60モル%以上、より好ましくは65モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上である。前記した共役ジエン単量体単位の含有量が前記下限値以上であると、遮音特性を発揮するセグメントの量が十分となり、遮音性に優れた中間膜を得やすい。前記した共役ジエン単量体単位の含有量の上限値は特に限定されない。共役ジエン単量体単位の含有量は100モル%であってもよい。
重合体ブロック(b)は、1種の共役ジエン化合物に由来する構成単位のみを有していてもよく、2種以上の共役ジエン化合物に由来する構成単位を有していてもよい。先に述べた通り本発明では重合体ブロック(b)が共役ジエン単量体単位を60モル%以上含有することが好ましい。重合体ブロック(b)が共役ジエン単量体単位として、イソプレンに由来する構成単位(以下、「イソプレン単位」と略称することがある)、ブタジエンに由来する構成単位(以下、「ブタジエン単位」と略称することがある)、またはイソプレン単位とブタジエン単位との合計量を、それぞれの場合において60モル%以上含有することが好ましい。このことにより、遮音性に優れた中間膜を得やすい。
重合体ブロック(b)が2種以上の共役ジエン単量体単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、完全交互、一部ブロック状、ブロック、またはそれらの2種以上の組み合わせのいずれでもよい。
重合体ブロック(b)が2種以上の共役ジエン単量体単位を有している場合は、それらの結合形態はランダム、テーパー、完全交互、一部ブロック状、ブロック、またはそれらの2種以上の組み合わせのいずれでもよい。
重合体ブロック(b)は、本発明の目的および効果の妨げにならない範囲において、共役ジエン単量体単位以外の他の重合性単量体に由来する構成単位を含有していてもよい。他の重合性単量体としては、例えばスチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、ビニルナフタレンおよびビニルアントラセン等の芳香族ビニル化合物、並びにメタクリル酸メチル、メチルビニルエーテル、N-ビニルカルバゾール、β-ピネン、8,9-p-メンテン、ジペンテン、メチレンノルボルネン、2-メチレンテトラヒドロフラン、1,3-シクロペンタジエン、1,3-シクロヘキサジエン、1,3-シクロヘプタジエンおよび1,3-シクロオクタジエン等が挙げられる。中でも、スチレン、α-メチルスチレンおよびp-メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましい。重合体ブロック(b)が上記した他の重合性単量体単位を含有する場合、その具体的な組み合わせとしては、好ましくは、イソプレンとスチレン、ブタジエンとスチレンであり、より好ましくはイソプレンとスチレンである。重合体ブロック(b)がこのような組み合わせを含む場合、A層を構成する樹脂材料のtanδが高くなることがある。
重合体ブロック(b)における他の重合性単量体単位の含有量は、重合体ブロック(b)を構成する全構成単位に対して、好ましくは40モル%未満、より好ましくは35モル%未満、特に好ましくは20モル%未満である。重合体ブロック(b)が上記した他の重合性単量体単位を含有する場合、その結合形態は特に制限はなく、ランダムまたはテーパー状のいずれでもよい。
なお、ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(b)中の共役ジエン単量体単位の含有量および他の重合性単量体単位の含有量は、ブロック共重合体(A)の1H-NMRスペクトルから求められ、ブロック共重合体(A)の調製において各単量体の仕込み比を調節することにより所望の含有量に調整できる。
重合体ブロック(b)を構成する構成単位が、イソプレン単位またはブタジエン単位を含む場合、イソプレンの結合形態としては1,2-結合、3,4-結合または1,4-結合をとることができ、ブタジエンの結合形態としては1,2-結合または1,4-結合をとることができる。
ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(b)中の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量(以下、「ビニル結合量」と称することがある)の合計は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上である。また、特に制限されるものではないが、上記したビニル結合量の合計は好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下である。ここで、ビニル結合量は、水素添加前のブロック共重合体(A)をCDCl3に溶解して1H-NMRスペクトルを測定して算出される。重合体ブロック(b)を構成する構成単位がイソプレン単位のみからなる場合は、イソプレン単位の全ピーク面積と3,4-結合単位および1,2-結合単位に対応するピーク面積との比からビニル結合量は算出される。重合体ブロック(b)を構成する構成単位がブタジエン単位のみからなる場合は、ブタジエン単位の全ピーク面積と1,2-結合単位に対応するピーク面積との比からビニル結合量は算出される。重合体ブロック(b)を構成する構成単位がイソプレン単位およびブタジエン単位を含む場合は、イソプレン単位およびブタジエン単位の全ピーク面積とイソプレン単位における3,4-結合単位および1,2-結合単位並びにブタジエン単位における1,2-結合単位に対応するピーク面積との比からビニル結合量は算出される。
ブロック共重合体(A)における重合体ブロック(b)中の3,4-結合単位および1,2-結合単位の含有量(以下、「ビニル結合量」と称することがある)の合計は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上である。また、特に制限されるものではないが、上記したビニル結合量の合計は好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下である。ここで、ビニル結合量は、水素添加前のブロック共重合体(A)をCDCl3に溶解して1H-NMRスペクトルを測定して算出される。重合体ブロック(b)を構成する構成単位がイソプレン単位のみからなる場合は、イソプレン単位の全ピーク面積と3,4-結合単位および1,2-結合単位に対応するピーク面積との比からビニル結合量は算出される。重合体ブロック(b)を構成する構成単位がブタジエン単位のみからなる場合は、ブタジエン単位の全ピーク面積と1,2-結合単位に対応するピーク面積との比からビニル結合量は算出される。重合体ブロック(b)を構成する構成単位がイソプレン単位およびブタジエン単位を含む場合は、イソプレン単位およびブタジエン単位の全ピーク面積とイソプレン単位における3,4-結合単位および1,2-結合単位並びにブタジエン単位における1,2-結合単位に対応するピーク面積との比からビニル結合量は算出される。
ビニル結合量が増えるほどA層を構成する樹脂材料のtanδの値が高くなる傾向にあり、このtanδのピークの位置を特定の温度範囲に制御することにより、得られる中間膜の遮音性を向上させることができる。ビニル結合量は、例えばブロック共重合体(A)を製造するためのアニオン重合の際に用いる有機ルイス塩基の添加量を調節することによって所望の範囲に調整できる。
ブロック共重合体(A)に含まれる重合体ブロック(b)の重量平均分子量は、遮音性等の観点から、水素添加前の状態で、好ましくは15,000~800,000、より好ましくは50,000~700,000、さらに好ましくは70,000~600,000、特に好ましくは90,000~500,000、最も好ましくは130,000~450,000である。ここで、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、重合体ブロック(b)の重量平均分子量とは、重合体ブロック(b)を共重合する前後の重量平均分子量の差により算出した値を意味する。
重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下であり、好ましくは-30℃以上、より好ましくは-20℃以上である。重合体ブロック(b)のガラス転移温度が前記した下限値と上限値との範囲内であると、A層を構成する樹脂材料のtanδピーク温度を特定の範囲に制御しやすくなり、得られる中間膜の遮音性の向上につながる。重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、後述の実施例に記載の方法により測定され、ブロック共重合体(A)の調製において各単量体の仕込み比を調節することにより所望の範囲に調整できる。
ブロック共重合体(A)は、上記重合体ブロック(b)を少なくとも1つ有していればよい。ブロック共重合体(A)が重合体ブロック(b)を2つ以上有する場合には、それらの重合体ブロック(b)は、互いに同一であっても異なっていてもよい。
ブロック共重合体(A)の水素添加物における重合体ブロック(b)の含有量〔複数の重合体ブロック(b)を有する場合にはそれらの合計含有量〕は、ブロック共重合体(A)の水素添加物の総質量に対して好ましくは75~97質量%である。重合体ブロック(b)の含有量が上記範囲内にあると、ブロック共重合体(A)の水素添加物が適度な柔軟性または良好な成形性を有しやすい。また、ブロック共重合体(A)の水素添加物のモルフォロジーによってtanδの値も変化し、特にスフィア構造からなるミクロ相分離構造をとる場合にtanδが高くなる傾向にある。スフィア構造の形成のしやすさには、ブロック共重合体(A)の水素添加物における重合体ブロック(b)の含有量が大きく影響するため、ブロック重合体(A)の水素添加物の総質量に対する重合体ブロック(b)の含有量を好ましくは75~97質量%に調整することは、得られる中間膜の遮音性をより向上させる上で非常に有利である。前記した重合体ブロック(b)の含有量は、より好ましくは75~96.5質量%、さらに好ましくは75~96質量%、特に好ましくは90~96質量%である。一方で、A層の取扱性および機械物性を高めやすい観点からは、前記した重合体ブロック(b)の含有量は、好ましくは75~94質量%、より好ましくは75~92質量%、特に好ましくは75~90質量%である。また、本発明の好適な一実施態様において、前記した重合体ブロック(b)の含有量は75~96.5質量%であり、重合体ブロック(b)の含有量がこの範囲内にあると、高い遮音性を確保しつつ、得られるA層の取扱性および機械物性を高めることができる。
なお、ブロック共重合体(A)の水素添加物における重合体ブロック(b)の含有量は、ブロック共重合体(A)の水素添加物の1H-NMRスペクトルから求められ、ブロック共重合体(A)の調製において各単量体の仕込み比を調節することにより所望の範囲に調整できる。
なお、ブロック共重合体(A)の水素添加物における重合体ブロック(b)の含有量は、ブロック共重合体(A)の水素添加物の1H-NMRスペクトルから求められ、ブロック共重合体(A)の調製において各単量体の仕込み比を調節することにより所望の範囲に調整できる。
ブロック共重合体(A)において重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)とが結合している限りは、その結合形態は限定されず、直鎖状、分岐状、放射状、またはこれらの2つ以上を組合せた結合形態のいずれでもよい。中でも、重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)との結合形態は直鎖状であることが好ましく、その例としては重合体ブロック(a)をaで、また重合体ブロック(b)をbで表したときに、a-bで示されるジブロック共重合体、a-b-aで示されるトリブロック共重合体、a-b-a-bで示されるテトラブロック共重合体、a-b-a-b-aで示されるペンタブロック共重合体等を挙げることができる。中でも、直鎖状のトリブロック共重合体またはジブロック共重合体が好ましく、a-b-a型のトリブロック共重合体が柔軟性および製造容易性等の観点から好ましく用いられる。
本発明において、A層は第1の熱可塑性樹脂として、上記ブロック共重合体(A)の水素添加物〔以下、「水添ブロック共重合体(A)と称することもある〕を1種以上含有することが好ましい。
耐熱性、耐候性および遮音性の観点から、重合体ブロック(b)が有する炭素-炭素二重結合の80モル%以上が水素添加(以下、「水添」と略称することがある)されていることが好ましく、85モル%以上が水添されていることがより好ましく、88モル%以上が水添されていることがさらに好ましく、90モル%以上が水添されていることが特に好ましい(以下、この値を「水添率」と称することもある)。水添率の上限値に特に制限はない。水添率は99モル%以下であってよく、98モル%以下であってもよい。なお、水添率は、重合体ブロック(b)中の共役ジエン単量体単位中の炭素-炭素二重結合の含有量を水素添加前後に1H-NMR測定によって求め、それらの含有量から算出した値である。
耐熱性、耐候性および遮音性の観点から、重合体ブロック(b)が有する炭素-炭素二重結合の80モル%以上が水素添加(以下、「水添」と略称することがある)されていることが好ましく、85モル%以上が水添されていることがより好ましく、88モル%以上が水添されていることがさらに好ましく、90モル%以上が水添されていることが特に好ましい(以下、この値を「水添率」と称することもある)。水添率の上限値に特に制限はない。水添率は99モル%以下であってよく、98モル%以下であってもよい。なお、水添率は、重合体ブロック(b)中の共役ジエン単量体単位中の炭素-炭素二重結合の含有量を水素添加前後に1H-NMR測定によって求め、それらの含有量から算出した値である。
水添ブロック共重合体(A)のゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる標準ポリスチレン換算で求めた重量平均分子量は、好ましくは15,000~800,000、より好ましくは50,000~700,000、さらに好ましくは70,000~600,000、特に好ましくは90,000~500,000、最も好ましくは130,000~450,000である。水添ブロック共重合体(A)の重量平均分子量が前記下限値以上であれば耐熱性が高くなりやすく、前記上限値以下であれば成形性が良好になりやすい。
ブロック共重合体(A)の製造方法は特に限定されない。ブロック共重合体(A)は、例えばアニオン重合法、カチオン重合法またはラジカル重合法等により製造できる。アニオン重合法の具体的な例として、下記(i)~(iii)に記載の方法を挙げることができる。
(i)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法;
(ii)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体を逐次重合させ、次いでカップリング剤を加えてカップリングする方法;
(iii)ジリチウム化合物を開始剤として用い、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法。
(i)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法;
(ii)アルキルリチウム化合物を開始剤として用い、芳香族ビニル単量体、共役ジエン単量体を逐次重合させ、次いでカップリング剤を加えてカップリングする方法;
(iii)ジリチウム化合物を開始剤として用い、共役ジエン単量体、次いで芳香族ビニル単量体を逐次重合させる方法。
共役ジエン単量体を用いる場合、アニオン重合の際に有機ルイス塩基を添加することによって第1の熱可塑性樹脂の1,2-結合量および3,4-結合量を増やすことができ、有機ルイス塩基の添加量を調整することによって第1の熱可塑性樹脂の1,2-結合量および3,4-結合量、即ちビニル結合量を容易に制御することができる。ビニル結合量が増えるほどA層を構成する樹脂材料のtanδの値が高くなる傾向にあり、このtanδのピークの位置を特定の温度範囲に制御することにより、得られる中間膜の遮音性を向上させることができる。
前記有機ルイス塩基としては、例えば酢酸エチル等のエステル;トリエチルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、N-メチルモルホリン等のアミン;ピリジン等の含窒素複素環式芳香族化合物;ジメチルアセトアミド等のアミド;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等のエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン等が挙げられる。
ブロック共重合体(A)を水素添加反応に付すことにより、水添ブロック共重合体(A)を得ることができる。未水添のブロック共重合体(A)を水素添加反応に付す方法としては、例えば、生成したブロック共重合体(A)を含む反応液から未水添のブロック共重合体(A)を単離し、それを水素添加触媒に対して不活性な溶媒に溶解したもの、または前記反応液中の未水添のブロック共重合体(A)を、水素添加触媒の存在下で水素と反応させる方法が挙げられる。水添率は、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは88モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
水素添加触媒としては、例えばラネーニッケル;Pt、Pd、Ru、Rh、Ni等の金属をカーボン、アルミナ、珪藻土等の担体に担持させた不均一系触媒;遷移金属化合物とアルキルアルミニウム化合物、アルキルリチウム化合物等との組み合わせからなるチーグラー系触媒;メタロセン系触媒等が挙げられる。水素添加反応は通常、水素圧力0.1MPa以上20MPa以下、反応温度20℃以上250℃以下、反応時間0.1時間以上100時間以下の条件下で行なうことができる。
A層を構成する樹脂材料はJIS K 7244-10:2005に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークを-30℃以上10℃以下の範囲に有する。tanδピーク温度が-30℃より低い範囲にあると、5000Hzから10000Hzの周波数域の遮音性の低下が顕著となる。一方、tanδピーク温度が10℃より高い範囲にあると、2000Hzから5000Hzの中周波数域の遮音性の低下が顕著となる。ここで、tanδとは、損失正接とも称され、せん断損失弾性率をせん断貯蔵弾性率で除したものであり、この値が高いほど高い遮音性が期待される。なおtanδは、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明においてA層を構成する樹脂材料のtanδピーク温度は、好ましくは-25℃以上、より好ましくは-20℃以上であり、好ましくは0℃以下、より好ましくは-5℃以下である。tanδピーク温度が前記した下限値と上限値との範囲内であると、2000Hzから10000Hzまでの周波数域における良好な遮音性がもたらされやすい。
tanδピーク温度を調整する方法としては、ブロック共重合体(A)において、ハードセグメントである重合体ブロック(a)の含有量を調整したり、ハードセグメントである重合体ブロック(a)またはソフトセグメントである重合体ブロック(b)を構成する単量体の種類、結合形態もしくは各セグメント自体のガラス転移温度等を調整したりする方法等が挙げられる。具体的には、例えばブロック共重合体(A)における重合体ブロック(a)の含有量を少なくすること、または重合体ブロック(b)を構成する単量体の種類もしくは組み合わせの変更等によりビニル結合量を多くすることによって、tanδピーク温度を調整する(高くする)ことができる。
本発明において、tanδピーク高さは1.5以上である。tanδピーク高さが1.5未満であると所望の遮音性は得られにくい。tanδピーク高さは好ましくは2.0以上、より好ましくは2.2以上、特に好ましくは2.4以上である。tanδピーク高さの上限値は特に限定されない。tanδピーク高さは通常5.0以下である。
tanδピーク高さを高くする方法としては、ミクロ相分離構造をスフィア構造とすること、重合体ブロック(b)中のビニル結合量を高めること等が挙げられる。
A層を構成する樹脂材料について、JIS K 7244-4:1999に準じて周波数0.3Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定される20℃における引張貯蔵弾性率は、好ましくは1.0GPa未満である。
A層を構成する樹脂材料は、第1の熱可塑性樹脂としての前記水添ブロック共重合体(A)を、樹脂材料の総質量に対して、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上の量で含み、100質量%含むものでもよい。A層を構成する樹脂材料は、前記水添ブロック共重合体(A)に加えて、必要に応じて、また本発明の効果が損なわれない範囲において、他の熱可塑性樹脂(例えば、結晶核剤等の添加剤;水添クマロン・インデン樹脂、水添ロジン系樹脂、水添テルペン樹脂、脂環式系水添石油樹脂等の水添系樹脂;オレフィンおよびジオレフィン重合体からなる脂肪族系樹脂等の粘着付与樹脂;水添ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、ブチルゴム、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリオレフィン系エラストマー、具体的にはエチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブチレン共重合体、プロピレン-ブチレン共重合体、ポリオレフィン系樹脂、オレフィン系重合体、ポリエチレン系樹脂等)を含んでもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜において、A層1層の厚さは好ましくは50μm以上450μm以下である。A層1層の最適な厚さは、中間膜を構成する他の層(例えば後述するB層)の厚さまたは各層の貯蔵弾性率等により異なるが、A層が厚いほど遮音性が高くなる一方で中間膜全体の弾性率が下がる傾向にある。これにより、A層1層の厚さが450μmより厚くなると、合わせガラスのコインシデンス効果の起こる周波数域が6000Hzよりも高くなりやすく、6000Hz以上の周波数域における遮音性の低下が顕著になることがある。高周波数域の遮音性をより高める点から、A層1層の厚さは、より好ましくは350μm以下、特に好ましくは300μm以下である。また、A層の厚さが50μmより薄い場合には、中間膜全体の弾性率が高くなり、コインシデンス効果の起こる周波数域が中周波数域になることがあり、4000~6000Hzの中周波数域における遮音性の低下が顕著になることがある。特にこの周波数域における遮音性は実用上重要であり、また、遮音性の改善効果もA層の厚さの低下に伴って小さくなることから、A層1層の厚さは、より好ましくは70μm以上、特に好ましくは90μm以上、さらに好ましくは110μm以上である。
A層を構成する樹脂材料には、その他の成分として、後述するような酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料または遮熱材料等が必要に応じて添加されてもよい。なお、本発明の合わせガラス用中間膜において、これらの添加剤は、B層、A層、B層からなる群から選択される1層以上の層に含まれていてもよい。前記群から選択される2層以上の層に添加剤が含まれる場合、それらの層に同じ添加剤が含まれていてもよく、異なるものが含まれていてもよい。
酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の例としては、例えば1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-(1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等のアクリレート系化合物、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、オクタデシル-3-(3,5-)ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、3,9-ビス(2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、またはトリエチレングリコールビス(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、または2-オクチルチオ-4,6-ビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の例としては、例えば1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジ-t-アミル-6-(1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート等のアクリレート系化合物、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、オクタデシル-3-(3,5-)ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス(3-シクロヘキシル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、3,9-ビス(2-(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、またはトリエチレングリコールビス(3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート)等のアルキル置換フェノール系化合物、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、6-(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-t-ブチルアニリノ)-2,4-ビス-オクチルチオ-1,3,5-トリアジン、または2-オクチルチオ-4,6-ビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-オキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン基含有フェノール系化合物等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2-t-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、10-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキサイド、または10-デシロキシ-9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン等のモノホスファイト系化合物、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェニル-ジ-トリデシルホスファイト)、4,4’-イソプロピリデン-ビス(フェニル-ジ-アルキル(C12~C15)ホスファイト)4,4’-イソプロピリデン-ビス(ジフェニルモノアルキル(C12~C15)ホスファイト)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ジ-トリデシルホスファイト-5-t-ブチルフェニル)ブタン、またはテトラキス(2,4-ジ-tブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンホスファイト等のジホスファイト系化合物等が挙げられる。これらの中でもモノホスファイト系化合物が好ましい。
硫黄系酸化防止剤としては、例えばジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3-チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリル-チオプロピオネート)、3,9-ビス(2-ドデシルチオエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は、第1の熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。酸化防止剤の量が前記下限値以上であり前記上限値以下であれば、十分な酸化防止効果を付与することができる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、マロン酸エステル系化合物、インドール系化合物、シュウ酸アニリド系化合物等が挙げられる。紫外線吸収剤は、1つを単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一態様では好ましくは、合わせガラス用中間膜における少なくとも1つの層は紫外線吸収剤を含んでなる。この態様において、紫外線吸収剤は好ましくは、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾエート系化合物、マロン酸エステル系化合物、インドール系化合物およびシュウ酸アニリド系化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
本発明の一態様では好ましくは、合わせガラス用中間膜における少なくとも1つの層は紫外線吸収剤を含んでなる。この態様において、紫外線吸収剤は好ましくは、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾエート系化合物、マロン酸エステル系化合物、インドール系化合物およびシュウ酸アニリド系化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
紫外線吸収剤の添加量は、第1の熱可塑性樹脂に対して質量基準で、好ましくは10ppm以上、より好ましくは100ppm以上であり、好ましくは50,000ppm以下、より好ましくは10,000ppm以下である。紫外線吸収剤の添加量が前記した下限値と上限値との範囲内であると、十分な紫外線吸収効果を期待できる。
光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
ブロッキング防止剤としては、無機粒子および有機粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えばIA族、IIA族、IVA族、VIA族、VIIA族、VIIIA族、IB族、IIB族、IIIB族およびIVB族元素の酸化物、水酸化物、硫化物、窒素化物、ハロゲン化物、炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、有機カルボン酸塩、ケイ酸塩、チタン酸塩、硼酸塩およびそれらの含水化合物、並びにそれらを主成分として含む複合化合物および天然鉱物粒子が挙げられる。ここで主成分とは、含有量が最も高い成分である。有機粒子としては、例えばフッ素樹脂、メラミン系樹脂、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、アクリル系レジンシリコーンおよびそれらの架橋体が挙げられる。
遮熱材料を含むことで、合わせガラス用中間膜に遮熱機能を付与し、合わせガラスとしたときに波長約1500nmの近赤外光の透過率を下げることができる。
遮熱材料としては、例えば熱線遮蔽機能を有する熱線遮蔽粒子、または熱線遮蔽機能を有する有機色素化合物を樹脂もしくはガラスに含有させた材料等が挙げられる。熱線遮蔽機能を有する粒子としては、例えば錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、錫ドープ酸化亜鉛、ケイ素ドープ酸化亜鉛等の酸化物の粒子、LaB6(六ホウ化ランタン)粒子等の熱線遮蔽機能を有する無機材料の粒子等が挙げられる。また、熱線遮蔽機能を有する有機色素化合物としては、例えばジイモニウム系色素、アミニウム系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、ポリメチン系色素、ベンゼンジチオール型アンモニウム系化合物、チオ尿素誘導体、チオール金属錯体等が挙げられる。遮熱材料は、1つを単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
遮熱材料としては、例えば熱線遮蔽機能を有する熱線遮蔽粒子、または熱線遮蔽機能を有する有機色素化合物を樹脂もしくはガラスに含有させた材料等が挙げられる。熱線遮蔽機能を有する粒子としては、例えば錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アルミニウムドープ酸化亜鉛、錫ドープ酸化亜鉛、ケイ素ドープ酸化亜鉛等の酸化物の粒子、LaB6(六ホウ化ランタン)粒子等の熱線遮蔽機能を有する無機材料の粒子等が挙げられる。また、熱線遮蔽機能を有する有機色素化合物としては、例えばジイモニウム系色素、アミニウム系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、ポリメチン系色素、ベンゼンジチオール型アンモニウム系化合物、チオ尿素誘導体、チオール金属錯体等が挙げられる。遮熱材料は、1つを単独で用いてもよく、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一態様では好ましくは、合わせガラス用中間膜における少なくとも1つの層は遮熱材料を含んでなる。この態様において、遮熱材料は好ましくは、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫、アンチモン酸亜鉛、金属ドープ酸化タングステン、ジイモニウム系色素、アミニウム系色素、フタロシアニン系色素、アントラキノン系色素、ポリメチン系色素、ベンゼンジチオール型アンモニウム系化合物、チオ尿素誘導体、チオール金属錯体、アルミニウムドープ酸化亜鉛、錫ドープ酸化亜鉛、ケイ素ドープ酸化亜鉛、六ホウ化ランタンおよび酸化バナジウムからなる群から選択される少なくとも1つである。
遮熱材料として熱線遮蔽粒子を用いる場合、その含有量は、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、特に好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である。本発明において遮熱材料は、A層、後述するB層、後述する(第3の熱可塑性樹脂を含有する場合の)C層および存在する場合は後述するD層のいずれに含まれていてもよく、上記した「含有量」とは、A層、B層、(第3の熱可塑性樹脂を含有する場合の)C層および存在する場合はD層を構成する樹脂材料全ての総質量を100質量%とした場合の量を意味する。後述する有機色素化合物の「含有量」も同じ意味を有する。熱線遮蔽粒子の含有量が前記した下限値と上限値との範囲内であると、得られる中間膜を用いた合わせガラスの可視光線の透過率に影響を及ぼすことなく、波長約1500nmの近赤外光の透過率を効果的に下げやすい。中間膜の透明性の観点から、熱線遮蔽粒子の平均粒子径は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。なお、この平均粒子径はレーザー回折装置で測定される平均粒子径である。
遮熱材料として有機色素化合物を用いる場合、その含有量は、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上であり、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。有機色素化合物の含有量が前記した下限値と上限値との範囲内であると、得られる中間膜を用いた合わせガラスの可視光線の透過率に影響を及ぼすことなく、波長約1500nmの近赤外光の透過率を効果的に下げやすい。
A層に含まれる可塑剤は、A層を構成する樹脂材料100質量部に対して、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下、特に好ましくは8質量部以下である。A層の作成時にA層に可塑剤を含有させない場合であっても、後述するB層からA層に可塑剤が移行することでA層が可塑剤を含有する場合がある。B層からA層への可塑剤の移行が抑制できている観点からA層の可塑剤の含有量は上記範囲であることが好ましい。
<B層>
本発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂を含有するB層を少なくとも2層含む。B層は通常、ガラスに対して接着性を持つため、ガラスと接する面にB層を含むことが好ましい。B層がポリビニルアセタール樹脂を含有することにより、本発明の合わせガラス用中間膜を用いて製造した合わせガラスの破損時のガラス飛散性が低くなりやすい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、ポリビニルアセタール樹脂を含有するB層を少なくとも2層含む。B層は通常、ガラスに対して接着性を持つため、ガラスと接する面にB層を含むことが好ましい。B層がポリビニルアセタール樹脂を含有することにより、本発明の合わせガラス用中間膜を用いて製造した合わせガラスの破損時のガラス飛散性が低くなりやすい。
B層に用いられるポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、好ましくは40モル%以上、より好ましくは60モル%以上であり、好ましくは90モル%以下、より好ましくは85モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下である。アセタール化度は、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール系樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位等)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準とした、アセタールを形成する上記単位の量である。アセタール化度が前記した下限値と上限値との範囲内であると、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が良好になりやすく、ポリビニルアセタール樹脂および可塑剤を含有する樹脂材料を容易に得やすいため、プロセス上の観点から好ましい。また、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、耐水性の観点からは65モル%以上であることが好ましい。アセタール化度は、アセタール化反応におけるアルデヒドの使用量を調整することにより調整できる。
ポリビニルアセタール樹脂の酢酸ビニル単位の含有量は好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。酢酸ビニル単位の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール系樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位等)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準とした酢酸ビニル単位の量である。酢酸ビニル単位の含有量が前記上限値以下であると、ポリビニルアセタール樹脂の製造時にブロッキングを起こし難く、製造しやすくなる。酢酸ビニル単位の含有量の下限値は特に限定されない。酢酸ビニル単位の含有量は通常は0.3モル%以上である。酢酸ビニル単位の含有量は、原料のポリビニルアルコール系樹脂のケン化度を適宜調整することにより調整できる。
ポリビニルアセタール樹脂のビニルアルコール単位の含有量は好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上であり、好ましくは35モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは25モル%以下、特に好ましくは20モル%以下である。ビニルアルコール単位の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂の製造原料であるポリビニルアルコール系樹脂中の主鎖の炭素2個からなる単位(例えば、ビニルアルコール単位、酢酸ビニル単位、エチレン単位等)を一繰返し単位とし、その一繰返し単位を基準としたビニルアルコール単位の量である。ビニルアルコール単位の含有量が前記下限値以上であると、可塑剤として後述するような水酸基を有する化合物を用いた場合に、可塑剤が有する水酸基とポリビニルアセタール樹脂との相互作用(水素結合)を十分発現させることができ、その結果、ポリビニルアセタール樹脂と可塑剤との相溶性が良好になり、可塑剤が他の層へ移行し難くなる傾向にある。また、ビニルアルコール単位の含有量が前記上限値以下であると、安全ガラスとして中間膜に要求される耐貫通性または耐衝撃性機能を好適に制御することができる。ビニルアルコール単位の含有量は、アセタール化反応におけるアルデヒドの使用量を調整することにより調整できる。
ポリビニルアセタール樹脂は通常、アセタールを形成する単位、ビニルアルコール単位および酢酸ビニル単位から構成されており、これらの各単位量は、例えばJIS K6728「ポリビニルブチラール試験方法」または核磁気共鳴法(NMR)によって測定される。
ポリビニルアセタール樹脂としては、1種のみを単独で用いてもよく、アセタール化度または粘度平均重合度等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリビニルアセタール樹脂としては、1種のみを単独で用いてもよく、アセタール化度または粘度平均重合度等が異なる2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリビニルアセタール樹脂は従来公知の方法により製造でき、代表的には、ポリビニルアルコール系樹脂(例えばポリビニルアルコール樹脂またはエチレンビニルアルコールコポリマー)をアルデヒドによりアセタール化することによって製造できる。具体的には例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を温水に溶解し、得られた水溶液を所定の温度(例えば0℃以上、好ましくは10℃以上、例えば90℃以下、好ましくは20℃以下)に保持しておいて、所要の酸触媒およびアルデヒドを加え、撹拌しながらアセタール化反応を進行させる。次いで、反応温度を70℃程度に上げて熟成して、反応を完結させ、その後、中和、水洗および乾燥を行って、ポリビニルアセタール樹脂の粉末を得ることができる。
ポリビニルアセタール樹脂の原料となるポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、より好ましくは400以上、さらに好ましくは600以上、特に好ましくは700以上、最も好ましくは750以上である。ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度が低すぎると、耐貫通性、耐クリープ物性、特に85℃、85%RHのような高温高湿条件下での耐クリープ物性が低下することがある。また、ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は、好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、さらに好ましくは2500以下、特に好ましくは2300以下、最も好ましくは2000以下である。ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度が高すぎると、B層の成形が難しくなることがある。
さらに、得られる合わせガラス用中間膜のラミネート適性(例えば積層時の溶融流動性)を向上させ、外観に一層優れた合わせガラスを得るためには、ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度は好ましくは1800以下、より好ましくは1100以下、さらに好ましくは1000以下である。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の好ましい粘度平均重合度の値は、上記したポリビニルアルコール系樹脂の好ましい粘度平均重合度の値と同一である。
得られるポリビニルアセタール樹脂の酢酸ビニル単位を30モル%以下に設定するために、ケン化度が70モル%以上のポリビニルアルコール系樹脂を使用することが好ましい。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度が前記下限値以上であると、樹脂の透明性や耐熱性に優れる傾向にあり、またアルデヒドとの反応性も良好となる。ケン化度は、より好ましくは95モル%以上である。
ポリビニルアルコール系樹脂の粘度平均重合度およびケン化度は、例えば、JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定することができる。
ポリビニルアルコール系樹脂のアセタール化に用いるアルデヒドとしては、炭素数が1以上12以下のアルデヒドが好ましい。アルデヒドの炭素数が前記範囲内であるとアセタール化の反応性が良好であり、反応中に樹脂のブロックが発生し難くなり、ポリビニルアセタール樹脂の合成を容易に行うことができる。
アルデヒドとしては特に限定されず、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、n-ヘプチルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、n-ノニルアルデヒド、n-デシルアルデヒド、ベンズアルデヒドおよびシンナムアルデヒド等の脂肪族、芳香族または脂環式アルデヒドが挙げられる。これらの中でも炭素数が2以上6以下の脂肪族アルデヒドが好ましく、n-ブチルアルデヒドが特に好ましい。また、上記アルデヒドは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらに、多官能性アルデヒドやその他の官能基を有するアルデヒド等を全アルデヒドの20質量%以下の範囲で少量併用してもよい。
ポリビニルアセタール樹脂としてはポリビニルブチラール樹脂が最も好ましい。ポリビニルブチラール樹脂としては、ビニルエステルと他の単量体との共重合体をケン化して得られるポリビニルアルコール系重合体を、ブチルアルデヒドを用いてブチラール化した変性ポリビニルブチラール樹脂を用いることができる。前記した他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレンおよびスチレンが挙げられる。また、前記した他の単量体として、水酸基、カルボキシル基またはカルボキシレート基を有する単量体を用いることができる。
B層は、可塑剤をさらに含有してよい。可塑剤は特に限定されない。可塑剤として、一価カルボン酸エステル系可塑剤もしくは多価カルボン酸エステル系可塑剤等のカルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤もしくは亜リン酸エステル系可塑剤、またはカルボン酸ポリエステル系可塑剤、炭酸ポリエステル系可塑剤もしくはポリアルキレングリコール系可塑剤等の高分子可塑剤、またはひまし油等のヒドロキシカルボン酸と多価アルコールとのエステル化合物、ヒドロキシカルボン酸と一価もしくは多価アルコールとのエステル化合物等のヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤も使用することができる。可塑剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一価カルボン酸エステル系可塑剤としては、ブタン酸、イソブタン酸、へキサン酸、2-エチルブタン酸、へプタン酸、オクチル酸、2-エチルヘキサン酸、ラウリル酸または安息香酸等の一価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはグリセリン等の多価アルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。その具体的な化合物を例示すると、トリエチレングリコールジ2-ジエチルブタノエート、トリエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールジオクタノエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジ2-エチルブタノエート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、テトラエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート、テトラエチレングリコールジオクタノエート、ジエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート、PEG#400ジ2-エチルヘキサノエート、トリエチレングリコールモノ2-エチルヘキサノエート、グリセリンまたはジグリセリンの2-エチルヘキサン酸との完全または部分エステル化物等が挙げられる。ここでPEG#400とは、平均分子量が350~450であるポリエチレングリコールを表す。
多価カルボン酸エステル系可塑剤としては、アジピン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはトリメット酸等の多価カルボン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2-エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノールまたはベンジルアルコール等の炭素数1~12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、アジピン酸ジヘキシル、アジピン酸ジ-2-エチルブチル、アジピン酸ジヘプチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジ(ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブトキシエトキシエチル)、アジピン酸モノ(2-エチルヘキシル)、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジヘキシル、セバシン酸ジ2-エチルブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジ(2-エチルブチル)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)、フタル酸ベンジルブチルおよびフタル酸ジドデシル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤または亜リン酸エステル系可塑剤としては、リン酸または亜リン酸と、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、2-エチルブタノール、ヘプタノール、オクタノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、ドデカノール、ブトキシエタノール、ブトキシエトキシエタノールまたはベンジルアルコール等の炭素数1~12のアルコールとの縮合反応により得られる化合物が挙げられる。具体的な化合物を例示すると、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(2-エチルヘキシル)、リン酸トリ(ブトキシエチル)、亜リン酸トリ(2-エチルヘキシル)、リン酸トリフェニルおよびリン酸トリクレジル等が挙げられる。
カルボン酸ポリエステル系可塑剤の例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸または1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の多価カルボン酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンまたは1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価アルコールとを交互共重合して得られるカルボン酸ポリエステル;脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えばグリコール酸、乳酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、6-ヒドロキシへキサン酸、8-ヒドロキシへキサン酸、10-ヒドロキシデカン酸もしくは12-ヒドロキシドデカン酸)または芳香環含有ヒドロキシカルボン酸〔例えば4-ヒドロキシ安息香酸もしくは4-(2-ヒドロキシエチル)安息香酸〕等のヒドロキシカルボン酸の重合体(ヒドロキシカルボン酸ポリエステル);脂肪族ラクトン化合物(例えばγ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、δ-ヘキサノラクトン、ε-カプロラクトンまたはラクチド)または芳香環含有ラクトン化合物(例えばフタリド)等のラクトン化合物を開環重合して得られるカルボン酸ポリエステル等が挙げられる。カルボン酸ポリエステルの末端構造は特に限定されず、水酸基もしくはカルボキシル基でもよいし、末端水酸基を一価カルボン酸と反応させてエステル結合としたもの、もしくは末端カルボキシル基を一価アルコールと反応させてエステル結合としたものでもよい。
炭酸ポリエステル系可塑剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-ノナンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,10-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンまたは1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等の多価アルコールと、炭酸ジメチルまたは炭酸ジエチル等の炭酸エステルとをエステル交換反応により交互共重合して得られる炭酸ポリエステルが挙げられる。炭酸ポリエステル化合物の末端構造は特に限定されないが、好ましくは炭酸エステル基または水酸基等である。
ポリアルキレングリコール系可塑剤の例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドまたはオキセタン等のアルキレンオキシドを、一価アルコール、多価アルコール、一価カルボン酸または多価カルボン酸を開始剤として開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤の例としては、ヒドロキシカルボン酸の一価アルコールエステル、例えばリシノール酸メチル、リシノール酸エチル、リシノール酸ブチル、6-ヒドロキシヘキサン酸メチル、6-ヒドロキシヘキサン酸エチルまたは6-ヒドロキシヘキサン酸ブチル;ヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステル、例えばエチレングリコールジ(6-ヒドロキシヘキサン酸)エステル、ジエチレングリコールジ(6-ヒドロキシヘキサン酸)エステル、トリエチレングリコールジ(6-ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(6-ヒドロキシヘキサン酸)エステル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(2-ヒドロキシ酪酸)エステル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(3-ヒドロキシ酪酸)エステル、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(4-ヒドロキシ酪酸)エステル、トリエチレングリコールジ(2-ヒドロキシ酪酸)エステル、グリセリントリ(リシノール酸)エステルまたはL-酒石酸ジ(1-(2-エチルヘキシル));ひまし油もしくはヒドロキシカルボン酸の多価アルコールエステルのヒドロキシカルボン酸由来の一部の基を、水酸基を含まないカルボン酸由来の基もしくは水素原子に置き換えた化合物が挙げられる。これらヒドロキシカルボン酸エステルは従来公知の方法で得られるものを使用できる。
前記可塑剤は、ポリビニルブチラール樹脂との相溶性または他の層への低移行性もしくは非移行性を高めやすい観点から、好ましくは、融点が30℃以下であるか非結晶性である。また、前記可塑剤は、好ましくは水酸基価が15~450mgKOH/g以下である。また、前記可塑剤は、好ましくはエステル系可塑剤もしくはエーテル系可塑剤である。ここで非結晶性とは、-20℃以上の温度において融点が観測されないことを指す。融点が観測される場合、前記融点は、好ましくは15℃以下であり、特に好ましくは0℃以下である。前記水酸基価は、融点が観測される場合も観測されない場合も、より好ましくは30mgKOH/g以上、特に好ましくは45mgKOH/g以上であり、より好ましくは360mgKOH/g以下、特に好ましくは280mgKOH/g以下である。前記エステル系可塑剤としては、前記規定を満たすポリエステル(前述したカルボン酸ポリエステル系可塑剤もしくは炭酸ポリエステル系可塑剤等)またはヒドロキシカルボン酸エステル化合物(前述したヒドロキシカルボン酸エステル系可塑剤等)が挙げられ、エーテル系可塑剤としては、前記規定を満たすポリエーテル化合物(前述したポリアルキレングリコール系可塑剤等)が挙げられる。
水酸基を有する化合物はポリビニルアセタール樹脂との相溶性が高くA層への移行性が低いため、得られる中間膜を用いた合わせガラスの遮音性が安定的に発揮される。そのため、前記可塑剤としては水酸基を有する化合物が好ましい。水酸基を有する可塑剤化合物としては、例えば株式会社クラレ製のポリエステルポリオール「クラレポリオールP-510」または「クラレポリオールP-1010」が挙げられる。
前記可塑剤としては、ポリビニルブチラール樹脂との相溶性または他の層への低移行性の観点から、芳香環を有する化合物も好ましい。例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート等の安息香酸エステル系可塑剤、リン酸トリクレジル等の芳香族リン酸エステル系可塑剤、ベンジルブチルフタレート等のフタル酸系可塑剤があげられる。水酸基価が低い可塑剤を使用すると、他の層への移行性は高くなる傾向にはなるが、一方、吸湿性が抑えられ、ガラスとの接着性に対する水の影響を低減することができる。
B層における可塑剤の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して、好ましくは60質量部以下、より好ましくは45質量部以下、特に好ましくは40質量部以下である。可塑剤の含有量が前記上限値以下であると、得られる中間膜を用いた合わせガラスが優れた耐衝撃性を有しやすい。B層における可塑剤の含有量の下限値は、特に限定されないが、ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対して例えば5質量部以上であってもよく、10質量部以上であってもよい。
合わせガラスの遮音性が安定的に発揮されるためには、B層に用いる可塑剤が適切に選択され、A層への移行を抑えることが好ましい。上述の可塑剤は本目的に適う。中間膜を合わせガラスとして積層した後、室温で1か月保管した後であっても、B層に含まれる可塑剤含有量が上記範囲にあり、また、B層からの移行によってA層中に含まれる可塑剤の含有量がA層において上述した所定量以下であることが好ましい。
合わせガラスの遮音性が安定的に発揮されるためには、B層に用いる可塑剤が適切に選択され、A層への移行を抑えることが好ましい。上述の可塑剤は本目的に適う。中間膜を合わせガラスとして積層した後、室温で1か月保管した後であっても、B層に含まれる可塑剤含有量が上記範囲にあり、また、B層からの移行によってA層中に含まれる可塑剤の含有量がA層において上述した所定量以下であることが好ましい。
B層を構成する樹脂材料は、樹脂成分として、ポリビニルアセタール樹脂以外の樹脂を含有することもできる。ガラスとの高い接着性を維持しやすい観点から、B層を構成する樹脂材料におけるポリビニルアセタール樹脂の含有量は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。
B層を構成する樹脂材料は、その他の成分としてさらに、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、機能性無機化合物または遮熱材料等を必要に応じて含有してもよい。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤または遮熱材料に関しては、先のA層の説明内で記述した材料と同様のものを用いることができ、B層における好適な剤もしくは材料または添加量は、A層における好適な剤もしくは材料または添加量と同じであっても異なっていてもよい。
B層は必要に応じて、得られる中間膜のガラス等への接着性を制御する層であってもよい。接着性を制御する方法としては例えば、B層を構成する樹脂材料に合わせガラスの接着性調整剤として使用される添加剤を添加する方法、またはB層を構成する樹脂材料に接着性を調整するための各種添加剤を添加する方法等が挙げられる。このような方法によって、接着性調整剤および/または接着性を調整するための各種添加剤を含む合わせガラス用中間膜が得られる。
接着性調整剤としては、例えば国際公開第03/033583号に開示されているものを使用することができる。好ましくはアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が使用され、その例としてカリウム塩、ナトリウム塩またはマグネシウム塩等が挙げられる。前記塩の例としては、カルボン酸(例えばオクタン酸、ヘキサン酸、酪酸、酢酸または蟻酸等)等の有機酸の塩;塩酸または硝酸等の無機酸の塩が挙げられる。特に、水酸基を有する可塑剤を使用する場合や、製膜装置内の壁上(例えば押出機内の壁上、押出ダイの内壁上および/またはダイリップの内壁上)の白色層の形成を抑制したい場合には、炭素数6~12のカルボン酸からなる塩を使用することが再現性の良い接着コントロール手法として好ましく、例えば、ヘキサン酸、2-エチルブタン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、2-エチルヘキサン酸、2-エチル酪酸、2-プロピルヘプタン酸、2,2-ジメチル酪酸、2,2-ジメチルペンタン酸、2,2-ジメチルヘキサン酸、2,2-ジメチルヘプタン酸、2,2-ジメチルオクタン酸、2,2-ジメチルノナン酸、2,2-ジメチルデカン酸、ネオデカン酸、ネオペンタン酸、などからなるマグネシウム塩があげられる。
接着性調整剤の最適な添加量は使用する接着性調整剤により異なる。前記添加量は、得られる中間膜のガラスへの接着力が、パンメル試験(Pummel Test:国際公開第03/033583号等に記載)において、一般には3以上10以下になるよう調整することが好ましく、特に高い耐貫通性を必要とする場合は3以上6以下になるように調整することが好ましい。また、高いガラス飛散防止性を必要とする場合は7以上10以下になるように調整することが好ましい。高いガラス飛散防止性が求められる場合は、接着性調整剤を添加しないことも有用な方法である。
B層を構成する樹脂材料について、JIS K 7244-4:1999に準じて周波数0.3Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定される20℃における引張貯蔵弾性率は、好ましくは1.2GPa未満である。一般に、板状材料の曲げ剛性は引張貯蔵弾性率および厚さに相関している。20℃における引張貯蔵弾性率が1.2GPa以上であると、高遮音性中間膜の曲げ剛性が高くなることがあり、合わせガラスを作製する際のガラスと中間膜の積層時において中間膜がガラスの曲面に追従せず、上面のガラスの凹部の一部が中間膜から浮いた状態となり、また、中間膜が下面のガラスの凸部から浮いた状態となり、ガラスと中間膜を密着させるためにガラスを強く押し付けると、ガラスの割れが生じたり、その後の接着プロセスにおいて位置ズレが生じたりする問題が生じることがある。また、接着プロセス後、中間膜と上下面のガラスの間に空隙が生じることがある。
本発明の合わせガラス用中間膜において、B層は少なくとも2層含まれる。複数のB層の厚さの総和は600μm超であり、好ましくは2.0mm以下である。一般に、動的粘弾性試験を行うことで測定される損失係数tanδが高いほど制振性が高くなると考えられており、その観点から、主な遮音機能はA層から実現されると考えられる。一方、相対的にtanδの低いB層であっても、厚みを厚くすることで、従来以上の高い遮音性が実現されることが本発明により見出された。その遮音性の向上分は、B層の重量の上昇のみでは説明できず、また、後述の比較例のように、A層を含まず、B層のみからなる中間膜ではB層を厚くしても遮音性向上の効果は限定的であって、本発明からなる構成によって遮音性向上が高次元で達成されるものである。加えて、B層が厚いことに基づいて中間膜の質量が上がることによる遮音性の全周波数域における底上げがなされ、中周波数域に近い周波数域にコインシデンスが存在したとしても、従来の中間膜と比べたときの中周波数域での遮音性を高めた設計を構成しやすくなる。さらに、本発明ではB層の厚みを厚くすることにより、中間膜の剛性が高くなるため、合わせガラスの剛性を高くすることも可能となり、それにより、ガラスの薄肉化も可能となる。加えて、B層の厚みが厚いことにより、耐衝撃性や耐貫通性に優れた合わせガラスを得やすくなる。
複数のB層の厚さの総和は、好ましくは700μm以上、より好ましくは1000μm以上であり、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1800μm以下、特に好ましくは1600μm以下である。B層の厚さの総和が前記下限値未満であると、B層由来の遮音性の向上の効果が小さく、合わせガラスとした際の耐衝撃性や耐貫通性に劣る。また、前記上限値以上であると、合わせガラスを作製する際に、ガラスの曲面への追従性やストレッチ性に問題を生じることがある。複数のB層の厚さの総和が上記範囲に入る限りにおいて、B層の各1層の厚さに特に制限はないが、B層1層の厚さは好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上、特に好ましくは300μm以上であり、好ましくは1900μm以下、より好ましくは1800μm以下である。B層の厚さが前記下限値未満であると、表面に賦形を行う場合、賦形されたエンボスの形状が厚さの薄いB層を介してA層にまで転写され、合わせガラス化した後にもその形状が残存してしまい、光学的なムラを生じることがある。複数のB層の厚さは同じであっても、異なっていてもよいが、B層へ賦形したエンボスの影響を最小化する観点からは、同等の厚みであることが好ましい。一方、中間膜の剛性を高くする観点からは、少なくとも1つのB層が厚い構成とすることが好ましい。厚さは厚み計で測定される。
A層の厚みに対するB層の厚みの総和の比率(B/A)は、好ましくは1.5~30、より好ましくは2~20、さらに好ましくは3~10である。この範囲であると中間膜の遮音性を向上させやすい。なおA層が複数含まれる場合は、A層の厚みとしては、複数のA層の厚みの総和を採用して計算すればよい。
<合わせガラス用中間膜>
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されない。
前記中間膜フィルムは、B層を構成する樹脂材料を均一に混練した後、公知の製膜方法(例えば押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法またはインフレーション法)によりB層を作製し、同様の方法で、A層を構成する樹脂材料からA層を作製し、これらをプレス成形等で積層することにより作製してもよいし、A層およびB層を共押出することにより作製してもよい。なお、本発明の合わせガラス用中間膜を用い、後述する合わせガラスの製造方法にしたがって合わせガラスを製造できる。
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されない。
前記中間膜フィルムは、B層を構成する樹脂材料を均一に混練した後、公知の製膜方法(例えば押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法またはインフレーション法)によりB層を作製し、同様の方法で、A層を構成する樹脂材料からA層を作製し、これらをプレス成形等で積層することにより作製してもよいし、A層およびB層を共押出することにより作製してもよい。なお、本発明の合わせガラス用中間膜を用い、後述する合わせガラスの製造方法にしたがって合わせガラスを製造できる。
公知の製膜方法の中でも、特に押出機を用いて中間膜フィルムまたは合わせガラス用中間膜を製造する方法が好適に採用される。押出時の樹脂温度(樹脂材料温度)は、好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。押出時の樹脂温度が前記した下限値と上限値との範囲内であると、樹脂材料に含まれる樹脂等の分解が起こり難いため樹脂等の劣化が生じ難く、押出機からの吐出が安定しやすい。揮発性物質を効率的に除去するためには、減圧によって押出機のベント口から揮発性物質を除去することが好ましい。
A層およびB層のそれぞれ1層ずつの厚さは、先に述べた通りである。
本発明の合わせガラス用中間膜における積層構成は目的によって適宜決められる。合わせガラス用中間膜は、例えば、図1に示すような構成(B層/A層/B層)のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲で、A層とB層以外の層(C層とする)を1層以上含んでいてもよい。例えば、B層/A層/C層/B層、B層/A層/B層/C層、B層/C層/A層/C層/B層、B層/C層/A層/B層/C層、B層/A層/C層/B層/C層、C層/B層/A層/B層/C層、C層/B層/A層/C層/B層/C層、C層/B層/C層/A層/C層/B層/C層などの積層構成が挙げられる。また、B層/A層/B層/A層、B層/A層/B層/A層/B層、B層/A層/C層/B層/A層/B層などのように、A層が2層以上含まれる態様や、B層が3層以上含まれる態様であってもよい。また上記積層構成において、A層、B層および/またはC層が、それぞれ2層以上含まれる場合、各A層、B層、C層を構成する材料は互いに同じであっても異なっていてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜に含まれ得るC層を構成する材料は、特に制限はなく、紙、樹脂、金属等が挙げられる。C層としては例えば公知の樹脂からなる層が挙げられる。C層を構成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルのうちポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、液晶ポリマーまたはポリイミド等を用いることができる。また、必要に応じて、C層は可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料および遮熱材料等の添加剤を含有してよく、無機多層膜や金属導電層等の層がC層上の少なくとも一部に形成されていてもよい。
本発明の合わせガラス用中間膜の表面には、メルトフラクチャーまたはエンボス加工等の従来公知の方法で凹凸構造を形成することが好ましい。凹凸構造の形状は特に限定されず、従来公知のものを採用できる。
本発明の合わせガラス用中間膜の厚さは、好ましくは0.80mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、特に好ましくは1.3mm以上であり、好ましくは2.4mm以下、より好ましくは2.2mm以下、特に好ましくは2.0mm以下である。前記厚さが前記下限値以上であると、合わせガラスの遮音性に優れた構成を得やすく、前記厚さが前記上限値以下であると、合わせガラス全体の重量軽減や中間膜の曲げ剛性低減につながり、中間膜のコストの削減がはかられ、また、ガラスに対する曲面追従性を得やすいため好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜は、縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmである2枚のフロートガラスを用いて該合わせガラス用中間膜を挟み、温度140℃、圧力1MPa、60分の条件で圧着した合わせガラスにおける、20℃での中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数が、好ましくは0.56以上、より好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65以上である。
本発明の合わせガラス用中間膜は、縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmである1枚のフロートガラスと、縦300mm、横25mm、厚さ1.3mmのフロートガラス1枚とを用いて該合わせガラス用中間膜を挟み、温度140℃、圧力1MPa、60分の条件で圧着した合わせガラスにおける、20℃での中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数が、好ましくは0.56以上、より好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65以上である。
一般に、合わせガラス用中間膜を挟持する最外層の透明基材(例えばガラス)が薄くなると、損失係数は低くなる傾向にある。そのため、合わせガラスとしては同一の厚さであったとしても、最外層の2枚の透明基材の厚さが異なって合わせガラス断面が非対称な構成とすることにより、最外層の2枚の透明基材の厚さが同一であって合わせガラス断面が対称な構成と比べて、損失係数は低下する。一方、自動車フロントガラス用合わせガラスにおいては、飛び石に対するチッピング耐性を付与するため、一般に車外側のガラスは約1.8mm以上の厚さに制限される。そのため、合わせガラスの軽量化を実現するためには車内側のガラスを薄くする必要があるが、その場合には上述のような損失係数の低下が問題となっていた。本発明による合わせガラス用中間膜は高い遮音性を有するため、そのような問題を解決する方法としても有用である。
すなわち、自動車用合わせガラスに用いられる中間膜としては、フロントガラスのみならず、サイドガラスのような合わせガラス断面が対称な構成を持つガラスに対しても、遮音性を高める目的で好適に使用できる。
すなわち、自動車用合わせガラスに用いられる中間膜としては、フロントガラスのみならず、サイドガラスのような合わせガラス断面が対称な構成を持つガラスに対しても、遮音性を高める目的で好適に使用できる。
<合わせガラス>
本発明の合わせガラスは、2つの透明基材の間に本発明の合わせガラス用中間膜が挟持されてなるものである。上述の通り、本発明の合わせガラス用中間膜を用いることにより、遮音性、特に2000Hzから10000Hzまでの周波数域における遮音性に優れる合わせガラスを得ることができる。そのため、本発明の合わせガラス用中間膜は、乗物用(例えば自動車用)フロントガラス、乗物用サイドガラス、乗物用サンルーフ、乗物用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラス等に好適に用いることができる。したがって、本発明の好ましい一態様では、合わせガラスは、乗物用フロントガラス、乗物用サイドガラス、乗物用サンルーフ、乗物用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラスである。ここで、本発明における乗物とは、汽車、電車、自動車、船舶または航空機等を意味する。
本発明の合わせガラスは、2つの透明基材の間に本発明の合わせガラス用中間膜が挟持されてなるものである。上述の通り、本発明の合わせガラス用中間膜を用いることにより、遮音性、特に2000Hzから10000Hzまでの周波数域における遮音性に優れる合わせガラスを得ることができる。そのため、本発明の合わせガラス用中間膜は、乗物用(例えば自動車用)フロントガラス、乗物用サイドガラス、乗物用サンルーフ、乗物用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラス等に好適に用いることができる。したがって、本発明の好ましい一態様では、合わせガラスは、乗物用フロントガラス、乗物用サイドガラス、乗物用サンルーフ、乗物用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラスである。ここで、本発明における乗物とは、汽車、電車、自動車、船舶または航空機等を意味する。
2つの透明基材の間に本発明の合わせガラス用中間膜が挟持されてなる合わせガラスをヘッドアップディスプレイ用ガラスに適用する場合、中間膜の断面形状は、一方の端面側が厚く、他方の端面側が薄い形状であることが好ましい。その場合、断面形状は、一方の端面側から他方の端面側に漸次的に薄くなるような全体が楔形である形状であってもよいし、一方の端面から該端面と他方の端面の間の任意の位置までは同一の厚さで、該任意の位置から他方の端面まで漸次的に薄くなるような断面の一部が楔形のものであってもよいし、製造上問題とならない限り、位置によらず任意の断面形状を有していてもよい。断面厚さが変わる層は、すべての層であってもよいし、一部の層のみが変わってもよい。
本発明の合わせガラスには通常、最も外側に透明基材を2枚使用する。透明基材は特に限定されず、例えば無機ガラス、有機ガラス、またはそれらの組み合わせを使用できる。無機ガラスの例としては、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラスおよび熱線吸収板ガラスが挙げられる。有機ガラスを構成する材料としては、例えばアクリル樹脂(例えばポリメタクリル酸メチル樹脂)およびポリカーボネート樹脂が挙げられる。透明基材は無色、有色、透明または非透明のいずれであってもよい。
透明基材の厚さは特に限定されないが、好ましくは100mm以下である。また、本発明の中間膜は遮音性に優れることから、より薄い透明基材を用いた場合であっても高い遮音性が発揮されるため、合わせガラスの軽量化が実現される。軽量化の観点からは、透明基材の厚さは少なくとも1枚が好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下、特に好ましくは1.8mm以下である。特に、一方の透明基材の厚さを1.8mm以上とし、他方の透明基材の厚さを1.8mm以下として2枚の透明基材の厚さの差を0.2mm以上とすることにより、曲げ強度を損なうことなく薄膜化と軽量化とを実現した合わせガラスを作製することができる。前記した2枚の透明基材の厚さの差は好ましくは0.5mm以上であり、1.0mm以上であってもよい。
自動車用サイドガラスでは、主として、車外側と車内側の透明基材の厚さが同等の構成の合わせガラスが用いられるが、そのような場合においても、本発明による遮音性の高い中間膜が好適に使用される。
透明基材の厚さは特に限定されないが、好ましくは100mm以下である。また、本発明の中間膜は遮音性に優れることから、より薄い透明基材を用いた場合であっても高い遮音性が発揮されるため、合わせガラスの軽量化が実現される。軽量化の観点からは、透明基材の厚さは少なくとも1枚が好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下、特に好ましくは1.8mm以下である。特に、一方の透明基材の厚さを1.8mm以上とし、他方の透明基材の厚さを1.8mm以下として2枚の透明基材の厚さの差を0.2mm以上とすることにより、曲げ強度を損なうことなく薄膜化と軽量化とを実現した合わせガラスを作製することができる。前記した2枚の透明基材の厚さの差は好ましくは0.5mm以上であり、1.0mm以上であってもよい。
自動車用サイドガラスでは、主として、車外側と車内側の透明基材の厚さが同等の構成の合わせガラスが用いられるが、そのような場合においても、本発明による遮音性の高い中間膜が好適に使用される。
合わせガラスの遮音性は、先の合わせガラス用中間膜の説明において記載した通り、中央加振法によるダンピング試験によって得られる損失係数で評価でき、合わせガラスの損失係数が高いほど、合わせガラスの遮音性が高いといえる。
本発明の合わせガラスの、20℃で中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数は、好ましくは0.56以上、より好ましくは0.60以上、特に好ましくは0.65以上である。
<合わせガラスの製造方法>
本発明の合わせガラスは、従来公知の方法で製造することが可能である。そのような方法の例としては、真空ラミネータ装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法およびニップロールを用いる方法等が挙げられる。また、仮圧着後に付加的にオートクレーブ工程に投入する方法を行なうこともできる。
本発明の合わせガラスは、従来公知の方法で製造することが可能である。そのような方法の例としては、真空ラミネータ装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法およびニップロールを用いる方法等が挙げられる。また、仮圧着後に付加的にオートクレーブ工程に投入する方法を行なうこともできる。
真空ラミネータ装置を用いる方法では例えば、太陽電池の製造に用いられる公知の装置を使用し、1×10-6MPa以上3×10-2MPa以下の減圧下、100℃以上200℃以下(特に130℃以上170℃以下)の温度で積層を行う。
真空バッグまたは真空リングを用いる方法は、例えば欧州特許第1235683号明細書に記載されており、例えば約2×10-2MPaの圧力下、130℃以上145℃以下の温度で積層を行う。
ニップロールを用いる方法としては例えば、ポリビニルアセタール樹脂の流動開始温度以下の温度で1回目の仮圧着をした後、さらに流動開始温度に近い条件で圧着または仮圧着する方法が挙げられる。具体的には例えば、赤外線ヒーター等で30℃以上100℃以下に加熱した後ロールで脱気し、それに伴って仮圧着し、さらに50℃以上150℃以下に加熱した後ロールで圧着または仮圧着する方法が挙げられる。
仮圧着後に付加的に行われるオートクレーブ工程は、合わせガラスの厚さや構成にもよるが、例えば、1MPa以上15MPa以下の圧力下、120℃以上160℃以下の温度で0.5時間以上2時間以下の時間実施される。
以下、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の実施例において「%」は特に断りのない限り、「質量%」を意味する。
以下の実施例および比較例において、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂としては、目的とする粘度平均重合度と同じ粘度平均重合度(JIS K 6726「ポリビニルアルコール試験方法」に基づいて測定した粘度平均重合度)を有するポリビニルアルコールを塩酸触媒下でn-ブチルアルデヒドによりアセタール化したものを用いた。
<A層を構成する樹脂材料のtanδピーク温度およびtanδピーク高さ>
A層を構成する樹脂材料(ブロック共重合体の水素添加物、以下において「水添ブロック共重合体」とも称する)を温度230℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚さ1.0mmの単層シートを作製した。この単層シートを円板形状に切り出し、これを試験シートとした。
JIS K7244-10:2005に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで、A層を構成する樹脂材料のtanδが最大となるピークの温度および当該tanδピークの高さを求めた。
A層を構成する樹脂材料(ブロック共重合体の水素添加物、以下において「水添ブロック共重合体」とも称する)を温度230℃、圧力10MPaで3分間加圧することで、厚さ1.0mmの単層シートを作製した。この単層シートを円板形状に切り出し、これを試験シートとした。
JIS K7244-10:2005に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで、A層を構成する樹脂材料のtanδが最大となるピークの温度および当該tanδピークの高さを求めた。
<重合体ブロック(a)の含有量>
A層を構成する樹脂材料(水添ブロック共重合体)をCDCl3に溶解して1H-NMRスペクトルを測定[装置:JNM-Lambda 500(日本電子株式会社製)、測定温度:50℃]し、スチレンに由来するピーク強度から重合体ブロック(a)の含有量を算出した。
A層を構成する樹脂材料(水添ブロック共重合体)をCDCl3に溶解して1H-NMRスペクトルを測定[装置:JNM-Lambda 500(日本電子株式会社製)、測定温度:50℃]し、スチレンに由来するピーク強度から重合体ブロック(a)の含有量を算出した。
<重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)のガラス転移温度>
A層を構成する樹脂材料(水添ブロック共重合体)に含まれる重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)のガラス転移温度を、水添ブロック共重合体の調製に用いた重合体ブロック(a)を構成する単量体と、調製した水添ブロック共重合体について、それぞれ、示差走査熱量測定(DSC、セイコー電子工業社製)を行うことにより求めた。測定においては、10℃/分の昇温速度にて-120℃から100℃まで昇温し、測定曲線の変曲点の温度を読みとり、各ブロックのガラス転移温度とした。
A層を構成する樹脂材料(水添ブロック共重合体)に含まれる重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)のガラス転移温度を、水添ブロック共重合体の調製に用いた重合体ブロック(a)を構成する単量体と、調製した水添ブロック共重合体について、それぞれ、示差走査熱量測定(DSC、セイコー電子工業社製)を行うことにより求めた。測定においては、10℃/分の昇温速度にて-120℃から100℃まで昇温し、測定曲線の変曲点の温度を読みとり、各ブロックのガラス転移温度とした。
<遮音特性評価(合わせガラスの2次共振周波数における損失係数)>
各実施例および比較例の通りに合わせガラスを作製した1か月後、機械インピーダンス装置(株式会社小野測器製;マスキャンセルアンプ:masscancelamplifierMA-5500;チャンネルデータステーション:DS-2100)における加振器(poweramplifier/model371-A)のインピーダンスヘッドに内蔵された加振力検出器の先端部に、上記合わせガラスの厚さ1.9mmのガラスの中央部を固定した。20℃において周波数0~10000Hzの範囲で上記合わせガラスの中央部に振動を与え、この加振点(振動を加えた合わせガラスの中央部)の加振力と加速度波形を検出することで、中央加振法による合わせガラスのダンピング試験を行った。得られた加振力と加速度信号を積分して得られた速度信号とに基づき加振点の機械インピーダンスを求め、横軸を周波数、縦軸を機械インピーダンスとして得られるインピーダンス曲線においてピークを示す周波数と半値幅(±1dB幅)とから合わせガラスの損失係数(2次)を求めた。ここで、2次の損失係数を採用した理由は、損失係数が非常に高いために、インピーダンス曲線の3次以降のピークが平坦となり、ピーク位置が不鮮明であったため、ピーク位置が定まる最大次数である、2次のデータを採用した。インピーダンス曲線のピーク幅形状(ピークの平坦さ)で比較する限りにおいて、2次の損失係数が高い場合、3次以降の損失係数も高くなっていると考えられる。
各実施例および比較例の通りに合わせガラスを作製した1か月後、機械インピーダンス装置(株式会社小野測器製;マスキャンセルアンプ:masscancelamplifierMA-5500;チャンネルデータステーション:DS-2100)における加振器(poweramplifier/model371-A)のインピーダンスヘッドに内蔵された加振力検出器の先端部に、上記合わせガラスの厚さ1.9mmのガラスの中央部を固定した。20℃において周波数0~10000Hzの範囲で上記合わせガラスの中央部に振動を与え、この加振点(振動を加えた合わせガラスの中央部)の加振力と加速度波形を検出することで、中央加振法による合わせガラスのダンピング試験を行った。得られた加振力と加速度信号を積分して得られた速度信号とに基づき加振点の機械インピーダンスを求め、横軸を周波数、縦軸を機械インピーダンスとして得られるインピーダンス曲線においてピークを示す周波数と半値幅(±1dB幅)とから合わせガラスの損失係数(2次)を求めた。ここで、2次の損失係数を採用した理由は、損失係数が非常に高いために、インピーダンス曲線の3次以降のピークが平坦となり、ピーク位置が不鮮明であったため、ピーク位置が定まる最大次数である、2次のデータを採用した。インピーダンス曲線のピーク幅形状(ピークの平坦さ)で比較する限りにおいて、2次の損失係数が高い場合、3次以降の損失係数も高くなっていると考えられる。
<耐貫通性評価>
実施例1~5および比較例1~7において、用いたガラスを縦300mm、横300mm、厚さ1.9mmのガラス2枚に変更した以外は、同様にして耐貫通性評価用の合わせガラスを作製した。
合わせガラス作製から1か月後、得られた300mm×300mmのサイズを有する合わせガラス(供試体)をあらかじめ23℃で6時間調温しておき、その後、供試体の端部を支持枠に固定して水平に保持した状態で、4mの高さから重さ2.26kgの鋼球を供試体の中央部に自由落下させた。合わせガラスへの落球後、5秒以内に貫通するかどうかによって、合格・不合格を判断した。供試体数は6枚とし、B1層側を上面にして3枚、B2層側を上面にして3枚測定をした。その内1枚でも貫通すれば、不合格とした。
実施例1~5および比較例1~7において、用いたガラスを縦300mm、横300mm、厚さ1.9mmのガラス2枚に変更した以外は、同様にして耐貫通性評価用の合わせガラスを作製した。
合わせガラス作製から1か月後、得られた300mm×300mmのサイズを有する合わせガラス(供試体)をあらかじめ23℃で6時間調温しておき、その後、供試体の端部を支持枠に固定して水平に保持した状態で、4mの高さから重さ2.26kgの鋼球を供試体の中央部に自由落下させた。合わせガラスへの落球後、5秒以内に貫通するかどうかによって、合格・不合格を判断した。供試体数は6枚とし、B1層側を上面にして3枚、B2層側を上面にして3枚測定をした。その内1枚でも貫通すれば、不合格とした。
<実施例1>
A層を構成する樹脂材料として、8質量%のスチレン単位および92質量%のイソプレン単位を含有し、-11.8℃のtanδピーク温度および2.5のtanδピーク高さを有する直鎖状水添スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体(水添率93%、重量平均分子量258,000)を用いた。
また、B層を構成する樹脂材料として、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂(アセタール化度70モル%、酢酸ビニル単位含有量0.9モル%、原料としたポリビニルアルコールの粘度平均重合度約1700;PVB樹脂1)100質量部、可塑剤〔株式会社クラレ製ポリエステルポリオール「クラレポリオールP-510」(融点:-77℃、水酸基価:213.0~235.0mgKOH/g)〕38.8質量部を含有し、さらに全系に対して500ppmとなるように酢酸マグネシウム・4水和物を添加した樹脂組成物を用いた。
これらの樹脂材料をそれぞれ熱プレスにて成形し、厚さ250μmのA層1枚と、厚さ250μmと厚さ500μmのB層2枚(後掲の表1中では、2枚のB層を、それぞれ、B1層、B2層と表記した)を作製した。得られたA層および2枚のB層を、B層/A層/B層の順となるように積層し、150℃でプレス成形して3層構成の複合膜である厚さ1000μmの中間膜フィルム1を作製した。なお、A層を構成する樹脂材料について、JIS K 7244-4:1999に準じて周波数0.3Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定される0℃における引張貯蔵弾性率は、1.0GPa未満であった。
得られた中間膜フィルム1を、20℃20%の条件にて1週間調湿し、縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmのフロートガラスを2枚(後掲の表1中における、ガラスG1とガラスG2)用いて積層し、温度140℃、圧力1MPa、60分の条件で圧着して合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスの損失係数を表1に示す。なお、遮音特性評価時には、インピーダンスヘッドに取り付けるガラス面として、B層が250μmの側(ガラスG1側)と500μm(ガラスG2側)の側の2パターンがあるが、どちらの場合も同じ測定結果となった。以後の実施例および比較例では、B1層側(ガラスG1側)をインピーダンスヘッドに取り付けるガラス面として測定を行った。
別途、耐貫通性評価用の合わせガラスを作製した。耐貫通性評価を行ったところ、合格であった。
A層を構成する樹脂材料として、8質量%のスチレン単位および92質量%のイソプレン単位を含有し、-11.8℃のtanδピーク温度および2.5のtanδピーク高さを有する直鎖状水添スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体(水添率93%、重量平均分子量258,000)を用いた。
また、B層を構成する樹脂材料として、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂(アセタール化度70モル%、酢酸ビニル単位含有量0.9モル%、原料としたポリビニルアルコールの粘度平均重合度約1700;PVB樹脂1)100質量部、可塑剤〔株式会社クラレ製ポリエステルポリオール「クラレポリオールP-510」(融点:-77℃、水酸基価:213.0~235.0mgKOH/g)〕38.8質量部を含有し、さらに全系に対して500ppmとなるように酢酸マグネシウム・4水和物を添加した樹脂組成物を用いた。
これらの樹脂材料をそれぞれ熱プレスにて成形し、厚さ250μmのA層1枚と、厚さ250μmと厚さ500μmのB層2枚(後掲の表1中では、2枚のB層を、それぞれ、B1層、B2層と表記した)を作製した。得られたA層および2枚のB層を、B層/A層/B層の順となるように積層し、150℃でプレス成形して3層構成の複合膜である厚さ1000μmの中間膜フィルム1を作製した。なお、A層を構成する樹脂材料について、JIS K 7244-4:1999に準じて周波数0.3Hzの条件で動的粘弾性試験を行うことで測定される0℃における引張貯蔵弾性率は、1.0GPa未満であった。
得られた中間膜フィルム1を、20℃20%の条件にて1週間調湿し、縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmのフロートガラスを2枚(後掲の表1中における、ガラスG1とガラスG2)用いて積層し、温度140℃、圧力1MPa、60分の条件で圧着して合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスの損失係数を表1に示す。なお、遮音特性評価時には、インピーダンスヘッドに取り付けるガラス面として、B層が250μmの側(ガラスG1側)と500μm(ガラスG2側)の側の2パターンがあるが、どちらの場合も同じ測定結果となった。以後の実施例および比較例では、B1層側(ガラスG1側)をインピーダンスヘッドに取り付けるガラス面として測定を行った。
別途、耐貫通性評価用の合わせガラスを作製した。耐貫通性評価を行ったところ、合格であった。
<実施例2~12>
表1に記載の通り、A層の材料と、B層のPVB樹脂については、いずれも実施例1と同一のものを使用し、B層の可塑剤や各層の厚さを変えた中間膜フィルムを作製し、各種のガラス構成を採用した合わせガラス構成としたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。厚さ1.9mmのフロートガラスを2枚用いた構成の実施例2~6については、耐貫通性評価用の合わせガラスも別途作成して評価を実施した。得られた合わせガラスの遮音特性と耐貫通性評価結果を表1中に示す。
ここで、実施例5および10で可塑剤として用いたDPGDBは、ジプロピレングリコールジベンゾエートを表す。
また、実施例の合わせガラスを液体窒素で冷やしてガラスを剥がし、得られた中間膜をA層とB層に分け、A層に含まれる可塑剤量をNMRを用いて分析したところ、P-510を可塑剤に用いた実施例1~12の場合は、樹脂(直鎖状水添スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体)100質量部に対してP-510は1質量部未満であった。一方、DPGDBを可塑剤に用いた実施例5及び10の場合は樹脂100質量部に対してDPGDBは5~7質量部であった。
表1に記載の通り、A層の材料と、B層のPVB樹脂については、いずれも実施例1と同一のものを使用し、B層の可塑剤や各層の厚さを変えた中間膜フィルムを作製し、各種のガラス構成を採用した合わせガラス構成としたこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。厚さ1.9mmのフロートガラスを2枚用いた構成の実施例2~6については、耐貫通性評価用の合わせガラスも別途作成して評価を実施した。得られた合わせガラスの遮音特性と耐貫通性評価結果を表1中に示す。
ここで、実施例5および10で可塑剤として用いたDPGDBは、ジプロピレングリコールジベンゾエートを表す。
また、実施例の合わせガラスを液体窒素で冷やしてガラスを剥がし、得られた中間膜をA層とB層に分け、A層に含まれる可塑剤量をNMRを用いて分析したところ、P-510を可塑剤に用いた実施例1~12の場合は、樹脂(直鎖状水添スチレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体)100質量部に対してP-510は1質量部未満であった。一方、DPGDBを可塑剤に用いた実施例5及び10の場合は樹脂100質量部に対してDPGDBは5~7質量部であった。
<比較例1および2>
表1に記載の通り、A層の材料と、B層のPVB樹脂については、いずれも実施例1と同一のものを使用し、A層とB層の厚さを変えた中間膜フィルムを作製したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスの遮音特性を表1中に示す。また、実施例1と同様にして、耐貫通性評価用の合わせガラスも別途作成して評価を行ったところ、どちらも不合格であった。
表1に記載の通り、A層の材料と、B層のPVB樹脂については、いずれも実施例1と同一のものを使用し、A層とB層の厚さを変えた中間膜フィルムを作製したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスの遮音特性を表1中に示す。また、実施例1と同様にして、耐貫通性評価用の合わせガラスも別途作成して評価を行ったところ、どちらも不合格であった。
<比較例3~8>
A層を構成する樹脂材料として、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂(アセタール化度75モル%、酢酸ビニル単位含有量8モル%、原料としたポリビニルアルコールの粘度平均重合度約2400;PVB樹脂2)100質量部および可塑剤トリエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート(表2中では、“3G8”と示す。)70質量部からなる樹脂組成物を用いた。
また、B層を構成する樹脂材料としては、実施例1で用いたものと同一のPVB樹脂100質量部および可塑剤としてトリエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート(3G8)38.8質量部を含む樹脂組成物を用いた。表2に示すように、各層の材料や各層の厚さを変えた中間膜フィルムを作製し、各厚さのガラスを用いて合わせガラスを構成したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスの遮音特性を行った。比較例3~7については、耐貫通性評価用の合わせガラスも別途作成して評価を行った。結果を表2に示す。
A層を構成する樹脂材料として、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂(アセタール化度75モル%、酢酸ビニル単位含有量8モル%、原料としたポリビニルアルコールの粘度平均重合度約2400;PVB樹脂2)100質量部および可塑剤トリエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート(表2中では、“3G8”と示す。)70質量部からなる樹脂組成物を用いた。
また、B層を構成する樹脂材料としては、実施例1で用いたものと同一のPVB樹脂100質量部および可塑剤としてトリエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエート(3G8)38.8質量部を含む樹脂組成物を用いた。表2に示すように、各層の材料や各層の厚さを変えた中間膜フィルムを作製し、各厚さのガラスを用いて合わせガラスを構成したこと以外は実施例1と同様にして、合わせガラスを作製した。得られた合わせガラスの遮音特性を行った。比較例3~7については、耐貫通性評価用の合わせガラスも別途作成して評価を行った。結果を表2に示す。
表1および表2における遮音特性において、2枚のガラスの厚さが同じ条件である、実施例1~6の合わせガラスと比較例1~7の合わせガラスを比較すると、実施例1~5の合わせガラスは0.58以上の高い損失係数を有していることが分かる。また、実施例7~12の合わせガラスは、1枚のガラスの厚さが1.9mmから1.3mmのガラスに変わったことにより、遮音性の低下が若干見られるものの、依然として0.56以上の高い損失係数を有していることが分かる。さらに、実施例1~6と比較例1~2を比較すると、実施例1~6の合わせガラスは、耐貫通性にも優れていることが分かる。比較例3~8ではB層の厚さを変更しているが、B層を厚くしても、所定のA層を有しないため、2次損失係数の値を十分に大きくすることができなかった。これらの結果は、本発明の合わせガラス用中間膜は高い遮音性を持ち、そのような合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラスは高い遮音性と耐貫通性を備えることを示している。
本発明の合わせガラス用中間膜および合わせガラスは特に、高い遮音性が要求される乗物用ガラス(例えば乗物用窓ガラス)等に好適に使用される。
1a A層
2a B層
2b B層
2a B層
2b B層
Claims (12)
- B層、A層、B層をこの順に含む合わせガラス用中間膜であって、
前記A層は第1の熱可塑性樹脂を含有する層であり、A層を構成する樹脂材料はJIS K 7244-10:2005に準じて周波数1Hzの条件で複素せん断粘度試験を行うことで測定されるtanδが最大となるピークを-30℃以上10℃以下の範囲に有し、当該tanδピークの高さは1.5以上であり、
前記B層はポリビニルアセタール樹脂を含有する層であり、複数のB層の厚さの総和が600μm超である、合わせガラス用中間膜。 - 前記A層は第1の熱可塑性樹脂として、芳香族ビニル単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(a)と共役ジエン単量体単位を60モル%以上含む重合体ブロック(b)とを有するブロック共重合体の水素添加物を含有し、ブロック共重合体の水素添加物における重合体ブロック(a)の含有量は、ブロック共重合体の水素添加物の総質量に対して25質量%以下である、請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
- 少なくとも2つのB層の厚さが、それぞれ300μm以上である、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記B層において、少なくとも1つのB層が、前記ポリビニルアセタール樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が5質量部以上60質量部以下である、請求項1~3のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記可塑剤は、融点が30℃以下であるか非結晶性であり、水酸基価が15~450mgKOH/gであり、エステル系可塑剤またはエーテル系可塑剤である、請求項4に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記可塑剤が、安息香酸エステル、芳香族リン酸エステルおよびフタル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1つの可塑剤を含有する、請求項4または5に記載の合わせガラス用中間膜。
- 前記A層において、前記第1の熱可塑性樹脂100質量部に対する可塑剤の含有量が30質量部以下である、請求項1~6のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
- A層とB層の総厚さが0.80mm以上2.4mm以下である、請求項1~7に記載の合わせガラス用中間膜。
- 縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmのフロートガラス2枚を用いて前記合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスにおいて、20℃で中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数が0.56以上である、請求項1~8のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
- 縦300mm、横25mm、厚さ1.9mmのフロートガラス1枚と縦300mm、横25mm、厚さ1.3mmのフロートガラス1枚を用いて前記合わせガラス用中間膜を挟持した合わせガラスにおいて、20℃で中央加振法による合わせガラスのダンピング試験により測定される2次共振周波数での損失係数が0.56以上である、請求項1~9のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜。
- 請求項1~10のいずれかに記載の合わせガラス用中間膜を用いた合わせガラス。
- 乗物用フロントガラス、乗物用サイドガラス、乗物用サンルーフ、乗物用リアガラスまたはヘッドアップディスプレイ用ガラスである、請求項11に記載の合わせガラス。
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