JP2022095035A - 前処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】焼却灰から鉄を分離回収して灰溶融原料における鉄の濃度を低下させるとともに、回収する鉄粉の品位を向上可能な技術を提供する。【解決手段】焼却灰を灰溶融する前に処理する前処理システムは、焼却灰から磁性物を磁力選別するプーリー式磁選機と、プーリー式磁選機によって磁力選別された磁性物を破砕するロッドミルと、ロッドミルによって破砕された破砕物から500ガウス以上の強磁性物を磁力選別するドラム式磁選機と、を備える。【選択図】図1
Description
本開示は、焼却灰を灰溶融する前に処理する前処理システムに関する。
従来から、一般ゴミや産業廃棄物等を焼却施設にて焼却し、焼却残渣を灰溶融することが行われている(例えば、特許文献1)。一般に、灰溶融においては、溶融原料に鉄等の金属が含まれる場合に溶融電力量が大きくなるため、焼却残渣から予め鉄が分離除去されることが望ましい。また、一般に、再資源化の観点から、分離除去される鉄は高品位であることが望ましい。特許文献1には、焼却灰を含む焼却残さを磁選機に導入して鉄分を選別した後に、鉄分に固着する焼却灰を乾式処理によって分離することが開示されている。
特許文献1に記載の方法では、焼却灰から鉄を十分に除去できるとは言い難く、灰溶融の際に溶融電力量が大きくなるおそれがあることを、本願発明者らは見出した。加えて、特許文献1に記載の方法では、焼却灰から鉄を分離して再資源化するにあたり、品位の高い鉄を回収できるとは言い難く、改善の余地があることを本願発明者らは見出した。このため、焼却灰から鉄を分離回収して灰溶融原料における鉄の濃度を低下させるとともに、回収する鉄粉の品位を向上可能な技術が望まれる。
本開示は、以下の形態として実現することができる。
(1)本開示の一形態によれば、焼却灰を灰溶融する前に処理する前処理システムが提供される。この前処理システムは、前記焼却灰から磁性物を磁力選別するプーリー式磁選機と、前記プーリー式磁選機によって磁力選別された磁性物を、破砕するロッドミルと、前記ロッドミルによって破砕された破砕物から、500ガウス以上の強磁性物を磁力選別するドラム式磁選機と、を備える。この形態の前処理システムによれば、プーリー式磁選機で磁力選別された磁性物をロッドミルで破砕するので、磁性物に付着した灰を効率的に引き剥がすことができる。そして、ドラム式磁選機によって500ガウス以上の強磁性物を磁力選別するので、高濃度の鉄を含む強磁性物を効率的に分離回収できる。したがって、焼却灰から鉄を回収して灰溶融原料における鉄の濃度を低下させるとともに、回収する鉄粉の品位を向上できる。
(2)上記形態の前処理システムにおいて、さらに、前記ドラム式磁選機によって磁力選別された前記強磁性物を、気流分級する気流分級機を備えていてもよい。この形態の前処理システムによれば、ドラム式磁選機によって磁力選別された強磁性物を気流分級機によって気流分級するので、より高濃度の鉄粉を分離回収できる。したがって、焼却灰から回収する鉄粉の品位をより向上できる。
(3)上記形態の前処理システムにおいて、さらに、前記プーリー式磁選機に供給する前の前記焼却灰から、磁性物を除去する第一磁選機を備えていてもよい。この形態の前処理システムによれば、プーリー式磁選機に供給する前の焼却灰を第一磁選機によって磁力選別するので、プーリー式磁選機における磁力選別の効率が低下することを抑制できる。
(4)上記形態の前処理システムにおいて、さらに、前記第一磁選機によって磁性物が除去された前記焼却灰から、磁性物を除去する第二磁選機を備えていてもよい。この形態の前処理システムによれば、プーリー式磁選機に供給する前の焼却灰を、第一磁選機および第二磁選機によってそれぞれ磁力選別するので、プーリー式磁選機における磁力選別の効率が低下することをより抑制できる。
(5)上記形態の前処理システムにおいて、さらに、前記第一磁選機によって磁性物が除去された前記焼却灰を、予め定められた粒径以上の粗粒灰と、前記粒径未満の細粒灰とに選別する振動篩機と、前記振動篩機によって選別された前記細粒灰を、乾燥させる乾燥機と、を備え、前記第二磁選機は、前記乾燥機によって乾燥された乾燥物を磁力選別してもよい。この形態の前処理システムによれば、第二磁選機に供給する前に乾燥機によって乾燥させるので、第二磁選機における分離効率を向上させることができる。また、振動篩機によって粗粒灰を除去した後に乾燥機に供給するので、乾燥機が詰まることを抑制でき、この結果、乾燥機の操業性が低下することを抑制できる。
(6)本開示の他の形態によれば、焼却灰を灰溶融する前に処理する前処理方法が提供される。この前処理方法は、前記焼却灰から磁性物をプーリー式磁選機にて磁力選別するプーリー式磁選工程と、前記プーリー式磁選工程によって磁力選別された磁性物を、ロッドミルにて破砕する破砕工程と、前記破砕工程によって破砕された破砕物から、ドラム式磁選機にて500ガウス以上の強磁性物を磁力選別するドラム式磁選工程と、を含む。
なお、本開示は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、焼却灰を灰溶融する前に処理する前処理装置等の形態で実現することができる。
A.実施形態:
A-1.システム構成
図1は、本開示の一実施形態としての前処理システム100を示すブロック図である。前処理システム100は、焼却施設にて一般ゴミや産業廃棄物等を焼却して得られる焼却灰を、図示しない灰溶融炉において灰溶融する前に処理するためのシステムである。本実施形態の前処理システム100を用いて前処理を行うことにより、焼却灰から鉄を回収して灰溶融原料における鉄の濃度を低下させることができるとともに、回収する鉄の品位を向上させることができる。
A-1.システム構成
図1は、本開示の一実施形態としての前処理システム100を示すブロック図である。前処理システム100は、焼却施設にて一般ゴミや産業廃棄物等を焼却して得られる焼却灰を、図示しない灰溶融炉において灰溶融する前に処理するためのシステムである。本実施形態の前処理システム100を用いて前処理を行うことにより、焼却灰から鉄を回収して灰溶融原料における鉄の濃度を低下させることができるとともに、回収する鉄の品位を向上させることができる。
本実施形態の前処理システム100は、第一磁選機10と、振動篩機20と、乾燥機30と、第二磁選機40と、プーリー式磁選機50と、スクリューフィーダ60と、ロッドミル70と、ドラム式磁選機80と、気流分級機90とを備える。
第一磁選機10は、焼却施設にて焼却されて切り出された焼却灰を磁力選別して、かかる焼却灰から磁性物を除去する。本実施形態において、第一磁選機10は、吊下磁選機により構成されているが、吊下磁選機に限らず任意の磁選機により構成されていてもよい。第一磁選機10の磁力は、原料中の大きな鉄類を磁選する観点から、1500ガウス以上に設定されることが好ましく、1800ガウス以上に設定されることがより好ましい。また、第一磁選機10の磁力は、経済性の観点から、2400ガウス以下に設定されることが好ましく、2000ガウス以下に設定されることがより好ましい。第一磁選機10は、供給された焼却灰において、比較的大きな塊状の鉄類と、比較的小さな鉄類やクリンカ等とを選別する。第一磁選機10によって選別された比較的大きな塊状の鉄類は、磁性物として除去される。第一磁選機10によって除去された磁性物を、「第一磁選鉄」とも呼ぶ。他方、第一磁選機10によって選別された比較的小さな鉄類やクリンカ等は、振動篩機20に供給される。
振動篩機20は、第一磁選機10によって選別された比較的小さな鉄類やクリンカ等、すなわち第一磁選機10によって磁性物が除去された焼却灰を、予め定められた粒径以上の粗粒灰と、かかる粒径未満の細粒灰とに選別する。振動篩機20の篩目は、振動篩機20が詰まることを抑制して操業性の低下を抑制する観点から、60mm以上であることが好ましく、70mm以上であることがより好ましい。また、振動篩機20の篩目は、次工程の設備保護の観点から、100mm以下であることが好ましく、80mm以下であることがより好ましい。振動篩機20によって選別された粗粒灰、すなわち篩上品は、除去される。他方、振動篩機20によって選別された細粒灰、すなわち篩下品は、乾燥機30に供給される。
乾燥機30は、振動篩機20によって選別された細粒灰を乾燥させる。本実施形態において、乾燥機30は、ドラム式乾燥機により構成されているが、ドラム式乾燥機に限らず任意の乾燥機により構成されていてもよい。
第二磁選機40は、乾燥機30によって乾燥された乾燥物を磁力選別して、磁性物を除去する。本実施形態において、第二磁選機40は、吊下磁選機により構成されているが、吊下磁選機に限らず任意の磁選機により構成されていてもよい。第二磁選機40の磁力は、第一磁選機10では磁選できない鉄類を磁選する観点から、170ガウス以上に設定されることが好ましく、190ガウス以上に設定されることがより好ましい。また、第二磁選機40の磁力は、灰分巻き込み防止の観点から、250ガウス以下に設定されることが好ましく、230ガウス以下に設定されることがより好ましい。第二磁選機40は、供給された乾燥物において、塊状の鉄類と、鉄粉やクリンカ等とを選別する。第二磁選機40によって選別された塊状の鉄類は、磁性物として除去される。第二磁選機40によって除去された磁性物を、「第二磁選鉄」とも呼ぶ。他方、第二磁選機40によって選別された鉄粉やクリンカ等を含む焼却灰は、プーリー式磁選機50に供給される。
プーリー式磁選機50は、第二磁選機40によって選別された鉄粉やクリンカ等を含む焼却灰から磁性物を磁力選別する。プーリー式磁選機50の磁力は、磁性の強い鉄粉を選択的に回収する観点から、500ガウス以上に設定されることが好ましく、600ガウス以上に設定されることがより好ましく、900ガウス以上に設定されることがさらに好ましい。また、プーリー式磁選機50の磁力は、灰分巻き込み防止を排除する観点から、2000ガウス以下に設定されることが好ましく、1600ガウス以下に設定されることがより好ましい。なお、かかる磁力は、プーリー式磁選機50のベルト上において密着測定した値を意味している。また、プーリー式磁選機50のベルト送り速度は、特に限定されないが、処理量能力の観点から、25m/min以上に設定されることが好ましく、30m/min以上に設定されることがより好ましい。また、プーリー式磁選機50のベルト送り速度は、磁選の精度の観点から、50m/min以下に設定されることが好ましく、45m/min以下に設定されることがより好ましい。プーリー式磁選機50によって磁力選別された磁性物は、スクリューフィーダ60に供給される。
スクリューフィーダ60は、プーリー式磁選機50によって磁力選別された磁性物を、ロッドミル70に供給する。なお、スクリューフィーダ60は、省略されてもよい。
ロッドミル70は、プーリー式磁選機50によって磁力選別された磁性物を破砕する。ロッドミル70では、破砕対象物である磁性物に複数回の打撃を加えつつ、ロッドを収納している機械室自体が振動する。このため、ロッドミル70とは異なる他の破砕機を用いた場合と比較して、鉄粉に付着した灰が効率的に引き剥がされる。この結果、後段のドラム磁選機80における選別精度を向上できる。ここで、プーリー式磁選機50によって磁力選別された磁性物には、針状物や塊状物が含まれることが多い。しかしながら、装置の内部に金網を有さないロッドミル70は、装置の内部に金網を有するハンマークラッシャー等の破砕機と比較して、針状物や塊状物が供給された場合においても破砕物を滞りなく排出でき、滞留時間のコントロールがしやすい。加えて、ロッドミル70は、装置の内部に金網を有さないため、金網の詰まりが発生することがなく、装置の内部に金網を有する破砕機と比較して、メンテナンス性に優れている。また、ロッドミル70は、プーリー式磁選機50によって磁力選別された磁性物の大きさに適しており、かかる磁性物を効率的に破砕できる。ロッドミル70によって破砕された破砕物は、ドラム式磁選機80に供給される。
ドラム式磁選機80は、ロッドミル70によって破砕された破砕物から、強磁性物を磁力選別する。ドラム式磁選機80の磁力は、回収される粒子の全鉄濃度を高めて鉄粉の品位を向上させる観点から、500ガウス以上に設定されることが好ましく、800ガウス以上に設定されることがより好ましい。また、ドラム式磁選機80の磁力は、全鉄濃度の高い粒子の収量を増加させる観点から、1700ガウス以下に設定されることが好ましく、1500ガウス以下に設定されることがより好ましく、1150ガウス以下に設定されることがさらに好ましい。また、ドラム式磁選機80の回転数は、特に限定されないが、粒子中の全鉄濃度濃縮促進の観点から、20Hz以上に設定されることが好ましく、30Hz以上に設定されることがより好ましい。また、ドラム式磁選機80の回転数は、粒子中の全鉄濃度希釈防止の観点から、50Hz以下に設定されることが好ましく、40Hz以下に設定されることがより好ましい。
ここで、ロッドミル70によって破砕された破砕物においても、鉄粉と灰とが互いに付着したままとなっていることがある。しかしながら、本実施形態の前処理システム100では、ドラム式磁選機80によって磁力選別を行うので、破砕物のうち全鉄濃度(Total-Fe)が高い粒子と全鉄濃度が低い粒子とを効率的に分別することができる。本実施形態の前処理システム100では、ドラム式磁選機80を用いた磁力選別により、全鉄濃度が40質量%以上である鉄粉を回収することができる。
全鉄濃度は、JIS M 8212 2005に準拠して測定でき、測定試料の採取および調整は、JIS M 8202-5 2015に準拠して行うことができる。なお、全鉄濃度が30質量%未満の試料については、ICP発光分光分析法によって全鉄濃度を測定できる。
ドラム式磁選機80によって選別された500ガウス以上の強磁性物は、気流分級機90に供給される。他方、ドラム式磁選機80によって選別された500ガウス未満の弱磁性物は、図示しない灰溶融炉に供給される。なお、ロッドミル70によって破砕された破砕物は、ドラム式磁選機80によって上記強磁性物と上記弱磁性物とに二段階に分別されることに限らず、例えば、上記強磁性物と、中磁性物と、弱磁性物との三段階等に分別されてもよい。
気流分級機90は、ドラム式磁選機80によって磁力選別された強磁性物を、気流分級する。気流分級機90の回転数は、全鉄濃度の高い粒子の収量を増加させる観点から、500RPM以上に設定されることが好ましく、900RPM以上に設定されることがより好ましい。また、気流分級機90の回転数は、回収される粒子の全鉄濃度を高めて鉄粉の品位を向上させる観点から、2000RPM以下に設定されることが好ましく、1500RPM以下に設定されることがより好ましい。気流分級機90における供給風量/供給原料(m3/kg)は、特に限定されないが、回収される粒子の全鉄濃度を高めて鉄粉の品位を向上させる観点から、5m3/kg以上に設定されることが好ましく、7m3/kg以上に設定されることがより好ましい。また、気流分級機90における供給風量/供給原料(m3/kg)は、全鉄濃度の高い粒子の収量を増加させる観点から、10m3/kg以下に設定されることが好ましく、7m3/kg以下に設定されることがより好ましい。気流分級機90によって気流分級された粒子のうち、全鉄濃度の低い粒子は、図示しない灰溶融炉に供給される。本実施形態の前処理システム100では、気流分級機90を用いた気流分級により、全鉄濃度が約50質量%以上である鉄粉を回収することができる。なお、回収される鉄粉の全鉄濃度は、100質量%以下である。
A-2.前処理方法
図2は、前処理システム100を用いた前処理方法を示すフローチャートである。まず、焼却灰を用意する(工程P200)。工程P200で用意された焼却灰を第一磁選機10に供給し、比較的大きな塊状の鉄類を磁性物として除去する(工程P210)。磁性物が除去された焼却灰を振動篩機20に供給し、予め定められた粒径以上の粗粒灰と、かかる粒径未満の細粒灰とを選別する(工程P220)。細粒灰を乾燥機30に供給し、細粒灰を乾燥する(工程P230)。乾燥機30によって乾燥された乾燥物を第二磁選機40に供給し、塊状の鉄類を磁性物として除去する(工程P240)。
図2は、前処理システム100を用いた前処理方法を示すフローチャートである。まず、焼却灰を用意する(工程P200)。工程P200で用意された焼却灰を第一磁選機10に供給し、比較的大きな塊状の鉄類を磁性物として除去する(工程P210)。磁性物が除去された焼却灰を振動篩機20に供給し、予め定められた粒径以上の粗粒灰と、かかる粒径未満の細粒灰とを選別する(工程P220)。細粒灰を乾燥機30に供給し、細粒灰を乾燥する(工程P230)。乾燥機30によって乾燥された乾燥物を第二磁選機40に供給し、塊状の鉄類を磁性物として除去する(工程P240)。
磁性物が除去された焼却灰をプーリー式磁選機50に供給し、鉄粉やクリンカ等を含む焼却灰から磁性物を磁力選別する(工程P250)。工程P250を、プーリー式磁選工程とも呼ぶ。プーリー式磁選工程によって磁力選別された磁性物をロッドミル70に供給し、破砕する(工程P270)。工程P270において、磁性物は、スクリューフィーダ60を用いてロッドミル70に供給されてもよい。工程P270を、破砕工程とも呼ぶ。破砕工程によって破砕された破砕物を、ドラム式磁選機80に供給し、500ガウス以上の強磁性物を磁力選別する(工程P280)。工程P280を、ドラム式磁選工程とも呼ぶ。ドラム式磁選工程によって選別された500ガウス以上の強磁性物を、気流分級機90に供給し、強磁性物に含まれる鉄粉を気流分級する(工程P290)。工程P290を、気流分級工程とも呼ぶ。気流分級工程によって、全鉄濃度の高い鉄粉を回収できる。気流分級工程により、本実施形態の前処理方法は終了する。なお、ドラム式磁選工程によって選別された弱磁性物や気流分級工程によって気流分級された全鉄濃度の低い粒子は、灰溶融炉に供給される。
以上説明した本実施形態の前処理システム100によれば、プーリー式磁選機50で磁力選別された磁性物をロッドミル70で破砕するので、磁性物に付着した灰を効率的に引き剥がすことができる。そして、ドラム式磁選機80によって500ガウス以上の強磁性物を磁力選別するので、全鉄濃度の高い鉄粉を効率的に分離回収できる。したがって、焼却灰から鉄を回収して灰溶融原料における鉄の濃度を低下させることができ、この結果、灰溶融の際に溶融電力量が大きくなることを抑制できる。また、全鉄濃度の高い鉄粉を効率的に分離回収できる結果、焼却灰から回収する鉄粉の品位を向上できる。
また、ドラム式磁選機80によって磁力選別された強磁性物を気流分級する気流分級機90を備えるので、より高濃度の鉄粉を分離回収できる。したがって、焼却灰から回収する鉄粉の品位をより向上できる。
また、プーリー式磁選機50に供給する前の焼却灰を第一磁選機10によって磁力選別するので、プーリー式磁選機50における磁力選別の効率が低下することを抑制できる。また、プーリー式磁選機50に供給する前の焼却灰を、第一磁選機10および第二磁選機40によってそれぞれ磁力選別するので、プーリー式磁選機50における磁力選別の効率が低下することをより抑制できる。また、第二磁選機40に供給する前に乾燥機30によって乾燥させるので、第二磁選機40における分離効率を向上させることができる。また、振動篩機20によって粗粒灰を除去した後に乾燥機30に供給するので、乾燥機30が詰まることを抑制でき、この結果、乾燥機30の操業性が低下することを抑制できる。
B.実施例:
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の表1に示すように、実施例1~4は、上記実施形態の前処理システム100を用いて処理を行った例を示している。実施例1は、上記前処理方法において、工程P200~工程P280を行った。換言すると、実施例1では、気流分級工程(工程P290)を行わなかった。実施例2~4は、上記前処理方法において、工程P200~工程P290を行った。表1に示すように、実施例2~4では、気流分級工程(工程P290)における回転数を互いに異ならせた。
比較例1では、上記実施形態の前処理システム100を用いた前処理方法のうち、上記工程P200~工程P250を行った。換言すると、比較例1では、破砕工程(P270)、ドラム式磁選工程(P280)および気流分級工程(工程P290)を行わなかった。比較例2では、上記実施形態の前処理システム100を用いた前処理方法のうち、工程P200~工程P270を行った。換言すると、比較例2では、ドラム式磁選工程(P280)および気流分級工程(工程P290)を行わなかった。なお、表1において、「〇」は、該当する工程を行ったことを示しており、「-」は、該当する工程を行わなかったことを示している。
表1では、実施例1~4および比較例1、2における粗粒収量(%)と全鉄濃度(質量%)とを示している。全鉄濃度(質量%)は、JIS M 8212 2005に準拠して測定し、測定試料の採取および調整は、JIS M 8202-5 2015に準拠して行った。なお、実施例2~4における粗粒収量(%)は、ドラム式磁選工程後の収量、すなわち実施例1における収量を100%とした場合の収量を示しており、比較例1、2における粗粒収量(%)は、それぞれプーリー式磁選工程後および破砕工程後の収量を示している。
表1に示す結果から、以下のことがわかった。すなわち、ドラム式磁選工程(工程P280)を行った実施例1~4は、いずれも全鉄濃度(Total-Fe)が40質量%以上であり、ドラム式磁選工程(工程P280)を行わなかった比較例1、2と比較して、全鉄濃度が高かった。また、気流分級工程(工程P290)を行った実施例2~4は、いずれも全鉄濃度が約50質量%以上であり、気流分級工程(工程P290)を行わなかった実施例1と比較して、全鉄濃度がさらに高かった。また、実施例2~4を比較することにより、気流分級工程において、回転数を上げると全鉄濃度の高い粒子の収量を多くでき、回転数を下げると回収される鉄粉の品位を向上できることがわかった。
C.他の実施形態:
上記実施形態における前処理システム100の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、気流分級機90が省略されていてもよい。また、例えば、振動篩機20や乾燥機30が省略されていてもよく、第二磁選機40が省略されていてもよく、第一磁選機10が省略されていてもよい。また、上記前処理システム100を用いた前処理方法の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、気流分級工程(工程P290)が省略されていてもよい。また、例えば、工程P220や工程P230が省略されていてもよく、工程P240が省略されていてもよく、工程P210が省略されていてもよい。
上記実施形態における前処理システム100の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、気流分級機90が省略されていてもよい。また、例えば、振動篩機20や乾燥機30が省略されていてもよく、第二磁選機40が省略されていてもよく、第一磁選機10が省略されていてもよい。また、上記前処理システム100を用いた前処理方法の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、気流分級工程(工程P290)が省略されていてもよい。また、例えば、工程P220や工程P230が省略されていてもよく、工程P240が省略されていてもよく、工程P210が省略されていてもよい。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…第一磁選機、20…振動篩機、30…乾燥機、40…第二磁選機、50…プーリー式磁選機、60…スクリューフィーダ、70…ロッドミル、80…ドラム式磁選機、90…気流分級機、100…前処理システム
Claims (6)
- 焼却灰を灰溶融する前に処理する前処理システムであって、
前記焼却灰から磁性物を磁力選別するプーリー式磁選機と、
前記プーリー式磁選機によって磁力選別された磁性物を、破砕するロッドミルと、
前記ロッドミルによって破砕された破砕物から、500ガウス以上の強磁性物を磁力選別するドラム式磁選機と、
を備える、前処理システム。 - 請求項1に記載の前処理システムにおいて、さらに、
前記ドラム式磁選機によって磁力選別された前記強磁性物を、気流分級する気流分級機を備える、前処理システム。 - 請求項1または請求項2に記載の前処理システムにおいて、さらに、
前記プーリー式磁選機に供給する前の前記焼却灰から、磁性物を除去する第一磁選機を備える、前処理システム。 - 請求項3に記載の前処理システムにおいて、さらに、
前記第一磁選機によって磁性物が除去された前記焼却灰から、磁性物を除去する第二磁選機を備える、前処理システム。 - 請求項4に記載の前処理システムにおいて、さらに、
前記第一磁選機によって磁性物が除去された前記焼却灰を、予め定められた粒径以上の粗粒灰と、前記粒径未満の細粒灰とに選別する振動篩機と、
前記振動篩機によって選別された前記細粒灰を、乾燥させる乾燥機と、
を備え、
前記第二磁選機は、前記乾燥機によって乾燥された乾燥物を磁力選別する、前処理システム。 - 焼却灰を灰溶融する前に処理する前処理方法において、
前記焼却灰から磁性物をプーリー式磁選機にて磁力選別するプーリー式磁選工程と、
前記プーリー式磁選工程によって磁力選別された磁性物を、ロッドミルにて破砕する破砕工程と、
前記破砕工程によって破砕された破砕物から、ドラム式磁選機にて500ガウス以上の強磁性物を磁力選別するドラム式磁選工程と、
を含む、前処理方法。
Priority Applications (1)
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JP2020208119A JP2022095035A (ja) | 2020-12-16 | 2020-12-16 | 前処理システム |
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-
2020
- 2020-12-16 JP JP2020208119A patent/JP2022095035A/ja active Pending
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