JP2022093847A - 圧着端子 - Google Patents
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本発明は、アルミ電線の絶縁被覆から露出した芯線に芯線圧着部の一対の加締め片を圧着接続する圧着端子に関する。
この種の圧着端子として、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に記載の圧着端子は、アルミ電線の絶縁被覆から露出した芯線を圧着接続する芯線圧着部を備えている。この芯線圧着部は、芯線が載置される底板部と、この底板部の両側から連設されて芯線を加締め圧着する一対の加締め片と、を有している。
そして、芯線圧着部の一対の加締め片は、その各先端部を芯線に差し込んで複数の素線から成る芯線の一部の素線を抱き込んだ状態にて芯線に加締められて圧着されるようになっている。この圧着の際、芯線はアルミニウム製またはアルミニウム合金製であるため、芯線の表面に酸化被膜が介在し、芯線間の導通障害、抵抗上昇が発生する。通常、芯線の表面の酸化被膜は、芯線圧着部の一対の加締め片に接触することで酸化被膜が除去されるようになっている。
しかしながら、前記従来の圧着端子では、芯線に芯線圧着部の一対の加締め片を加締め圧着するだけでは、加締め片に接触しない芯線の内側に位置する複数の素線が表面に付着した酸化被膜の影響で導通がされず、電気抵抗が上昇し、導通不良が発生する虞がある。そこで、この導通不良の問題を解決するために、超音波等で前処理(フォーミング)を施して芯線の各素線間を接続させた後で、芯線圧着部の一対の加締め片で芯線を加締め圧着しているが、超音波等の前処理が必要なため、その分コスト高となる。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、芯線に付着した酸化被膜を低コストで除去することができ、芯線との安定的な電気接続を可能にする圧着端子を提供することにある。
本発明の態様に係る圧着端子は、アルミ電線の絶縁被覆から露出した芯線を圧着接続する芯線圧着部と、前記絶縁被覆を圧着接続する被覆圧着部と、を備え、前記芯線圧着部は、前記芯線が載置される底板部と、前記底板部の両側から連設されて前記芯線を加締め圧着する一対の加締め片と、を有し、前記底板部の前記一対の加締め片間の内側の位置に、前記底板部から起立して前記芯線内に入り込む一対の突起が設けられているものである。
前記芯線に前記一対の加締め片を加締めた際に、前記一対の加締め片の各先端部同士は重なり合いながら前記芯線を成す複数の素線の中央に差し込まれると共に、前記一対の突起も前記一対の加締め片側に位置する前記複数の素線間に差し込まれることが好ましい。
前記一対の突起と前記芯線を加締め圧着した前記一対の加締め片の重ね合わされた各先端部とは互い違いに配置されることが好ましい。
前記一対の突起は、前記底板部から前記一対の加締め片にかけて切り起こし形成されていることが好ましい。
本発明によれば、芯線に付着した酸化被膜を低コストで除去することができ、芯線との安定的な電気接続を可能にする圧着端子を提供することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る圧着端子について詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る圧着端子にアルミ電線を圧着接続する前の一例を示す斜視図である。図2は圧着端子の芯線圧着部の周辺部分の拡大斜視図である。図3はアルミ電線を圧着接続した圧着端子の側面図である。図4(a)~図4(e)は芯線圧着部にアルミ電線の芯線を圧着接続する工程を順に示す概略断面図である。図5(a)は図3中V-V線に沿う断面図である。図5(b)は第1比較例の図3中V-V線に沿う断面図である。図5(c)は第2比較例の図3中V-V線に沿う断面図である。
図1、図3に示すように、圧着端子10は、先端部に相手側端子(図示せず)を電気的に接続する接続部11と、アルミ電線1の端末部の絶縁被覆3から露出した芯線2を圧着接続する芯線圧着部12と、絶縁被覆3を圧着接続する被覆圧着部17と、を備えている。
図1に示すように、アルミ電線1は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の複数の素線2aが撚り合わされて成る導体部としての芯線2を有し、この芯線2の外周は絶縁材料で形成された絶縁被覆3で覆われている。すなわち、アルミ電線1は、その端末部において、所定の長さで絶縁被覆3が除去されて芯線2が露出している。このアルミ電線1に圧着接続される圧着端子10は、アルミ電線1の上記端末部に加締め圧着されるようになっている。
図1に示すように、圧着端子10の芯線圧着部12は、アルミ電線1の芯線2が載置される底板部13と、この底板部13の両側から連設されて芯線2を加締め圧着する一対の芯線加締め片(加締め片)14,14と、を有して、断面略U字状に形成されている。また、図2、図4(a)に示すように、底板部13の一対の芯線加締め片14,14間の内側の位置に、底板部13から垂直に起立して芯線2の複数の素線2a内に入り込む一対の突起15,15が設けられている。この一対の突起15,15は、底板部13から一対の芯線加締め片14,14にかけて切り起こしにより矩形板状に形成されている。この切り起こし部分の切り欠きを図中符号15aで示す。なお、芯線加締め片14の内面には、丸穴形状のセレーション16が複数設けられている。
そして、図5(a)に示すように、アルミ電線1の芯線2に芯線圧着部12の一対の芯線加締め片14,14を加締めた際に、一対の芯線加締め片14,14の各先端部14a,14a同士は重なり合いながら芯線2の複数の素線2aの中央に差し込まれている。さらに、一対の突起15,15も一対の芯線加締め片14,14側に位置する芯線2の複数の素線2a間に差し込まれている。これらの差し込みにより、一対の突起15,15と、芯線2を加締め圧着した一対の芯線加締め片14,14の重ね合わされた各先端部14a,14aとは、各縦断面形状部分で互い違い(千鳥状)に配置されるようになっている。
図1に示すように、圧着端子10の被覆圧着部17は、アルミ電線1の端末部の絶縁被覆3が載置される底板部18と、この底板部18の両側から連設されて絶縁被覆3を加締め圧着する一対の被覆加締め片19,19と、を有して断面略U字状に形成されている。
以上実施形態の圧着端子10によれば、加締め治具(図示せず)で一対の芯線加締め片14,14を芯線2に加締め圧着する際に、図4(c)に示すように、一対の芯線加締め片14,14が曲げられ、その各先端部14aが芯線2の中央に重なりながら食い込む。この重なり合った一対の芯線加締め片14,14の各先端部14aの干渉しない左右の位置に一対の突起15,15があり、芯線加締め片14の先端部14aと接触しない部分の芯線2の素線2aに突起15が擦れながら接触する。図5(b)に示す第1比較例のような通常の圧着では接触しない内部の芯線2の複数の素線2aに芯線加締め片14の先端部14aと突起15が接触することで、素線2aの表面に付着した酸化被膜が除去され、導通に有効な素線2aが増える。すなわち、図5(a)に示すように、酸化被膜が除去されて導通に有効な素線2aが増えるため、接触信頼性を向上させることができる。
また、図5(c)に示す第2比較例のように、一対の芯線加締め片14,14の各中途部から横方向に突起15’が出ている場合に比べても、本実施形態のように、突起15が底板部13から起立している方が、酸化被膜の除去に有利である。すなわち、突起15が芯線加締め片14の横方向よりも底板部13から縦方向に出ている方が、芯線2のより多くの素線2aに擦れながら加締め圧着されるため、より多くの素線2aの酸化被膜が除去され、導通に有効な素線2aが増えて接触信頼性がより向上する。さらに、縦方向から下へ移動してくる一対の加締め片14,14の重なり合う各先端部14aと、底板部13から突出した一対の突起15,15とが千鳥状に設定されていることで、圧着の際に複数の素線2a同士の擦れも誘発されるため、酸化被膜が除去され易い。
このように、導通不良を解決するために、従来行っていた超音波等の前処理が不要となることで、加工費の削減が可能となる。すなわち、超音波等の設備費の削減や加工時間が短縮されることで、加工費を削減することができる。したがって、芯線2の複数の素線2aに付着した酸化被膜を低コストで除去することができ、安価で芯線2との安定的な電気接続が可能となる。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
すなわち、前記実施形態によれば、圧着端子が圧着する芯線はアルミ製であるが、アルミ製以外の芯線、例えば、銅合金製等の芯線を圧着端子で加締め圧着しても良い。
また、前記実施形態によれば、セレーションを凹状の丸穴に形成したが、セレーションを凸状や溝状等に形成しても良い。
1 アルミ電線
2 芯線
2a 素線
3 絶縁被覆
10 圧着端子
12 芯線圧着部
13 底板部
14,14 一対の芯線加締め片(一対の加締め片)
14a 先端部
15 一対の突起
17 被覆圧着部
2 芯線
2a 素線
3 絶縁被覆
10 圧着端子
12 芯線圧着部
13 底板部
14,14 一対の芯線加締め片(一対の加締め片)
14a 先端部
15 一対の突起
17 被覆圧着部
Claims (4)
- アルミ電線の絶縁被覆から露出した芯線を圧着接続する芯線圧着部と、
前記絶縁被覆を圧着接続する被覆圧着部と、
を備え、
前記芯線圧着部は、前記芯線が載置される底板部と、前記底板部の両側から連設されて前記芯線を加締め圧着する一対の加締め片と、を有し、
前記底板部の前記一対の加締め片間の内側の位置に、前記底板部から起立して前記芯線内に入り込む一対の突起が設けられている圧着端子。 - 前記芯線に前記一対の加締め片を加締めた際に、前記一対の加締め片の各先端部同士は重なり合いながら前記芯線を成す複数の素線の中央に差し込まれると共に、前記一対の突起も前記一対の加締め片側に位置する前記複数の素線間に差し込まれる、請求項1に記載の圧着端子。
- 前記一対の突起と前記芯線を加締め圧着した前記一対の加締め片の重ね合わされた各先端部とは互い違いに配置される、請求項2に記載の圧着端子。
- 前記一対の突起は、前記底板部から前記一対の加締め片にかけて切り起こし形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧着端子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020206556A JP2022093847A (ja) | 2020-12-14 | 2020-12-14 | 圧着端子 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2022093847A (ja) |
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2020
- 2020-12-14 JP JP2020206556A patent/JP2022093847A/ja active Pending
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