JP2022092576A - 抗ウイルス剤 - Google Patents

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和広 森下
Kazuhiro Morishita
朝永 市川
Tomonaga Ichikawa
久登 國武
Hisato Kunitake
環樹 岡林
Tamaki Okabayashi
和寛 菅本
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Abstract

【課題】本発明は、新型コロナウイルス性感染症を引き起こし得るウイルスに対して抗ウイルス作用を有する薬剤を提供する。【解決手段】本発明の一態様は、ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗ウイルス剤に関する。本発明の別の一態様は、ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症を有する対象における症状又は障害を予防又は治療するための食品に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、抗ウイルス剤に関する。特に、本発明の一態様は、ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス剤に関する。
2020年初頭から、世界的に新型コロナウイルス(以下、「SARS-CoV-2」とも記載する)による感染症(以下、「COVID-19」とも記載する)が蔓延している。COVID-19は、一定の割合の患者が重症化するとも言われている。このため、COVID-19患者の治療において、重症患者の救命が非常に重要な課題となっている。COVID-19においては、肺炎が重症化した患者の死亡率は高い。
日本においては、これまでに、レムデシベル及びファビピラビルがCOVID-19に対する抗ウイルス薬として認可された。しかしながら、これら認可された医薬では対処できない状況も生じている。
また、近年、SARS-CoV-2以外にも、インフルエンザウイルス及び重症急性呼吸器症候群(以下、「SARS」とも記載する)コロナウイルス等の種々のウイルスがパンデミックを引き起こしている。或いは、ヒトT細胞白血病ウイルス(以下、「HTLV」とも記載する)及びC型肝炎ウイルス(以下、「HCV」とも記載する)等のウイルス感染により、成人T細胞白血病及び肝癌のような癌が発症することも知られている。
様々なウイルス性感染症及び癌を引き起こすウイルスに対する抗ウイルス剤を開発するため、様々な手段で有効成分の探索が進められた。
例えば、特許文献1は、ブルーベリー葉の加工処理物を有効成分とする、HTLV-1の感染が関与する疾患の発症予防、または成人T細胞白血病の改善若しくは発症予防のために用いる、HTLV-1感染細胞又は成人T細胞白血病細胞に対する細胞増殖抑制剤を記載する。
特許文献2は、プロアントシアニジンからなる組成物を有効成分とするC型肝炎ウイルス産生抑制剤を記載する。
特許第4617418号公報 特許第4892690号公報
日本においては、これまでに、レムデシベル及びファビピラビルがCOVID-19に対する抗ウイルス薬として認可された。これら認可された医薬によるCOVID-19の治療方法について、日本救急医学会及び日本集中治療医学会が提唱するガイドライン(日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)特別編)では、ファビピラビルは軽症患者への投与が「弱く推奨」される一方で、中等症及び重症患者への投与は現時点で「推奨」を提示されなかった。また、レムデシベルは、軽症患者への投与は現時点で「推奨」を提示されなかったが、中等症及び重症患者への投与は「弱く推奨」された。このように、これらの医薬は病状の程度によってやや有効であるがその有効性は限定的であって、COVID-19に対する特効薬とはなり得ない。それ故、COVID-19に対する新たな予防又は治療手段が求められていた。
レムデシベル及びファビピラビルのような抗ウイルス作用を示す合成医薬だけでなく、特許文献1又は2に記載の薬剤のような抗ウイルス作用を示す天然生理活性物質も知られている。しかしながら、SARS-CoV-2は新規なウイルスであることから、SARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を有する薬剤は知られていなかった。
それ故、本発明は、COVID-19を引き起こし得るSARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を有する薬剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を種々検討した。本発明者らは、ブルーベリーの処理物がSARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を有することを見出した。本発明者らは、前記知見に基づき本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(1) ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗ウイルス剤。
(2) 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に起因する、ウイルス性肺炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス性脳炎、ウイルス性血管炎及びウイルス性結膜炎からなる群より選択される1種以上のウイルス性感染症を予防又は治療するための、前記実施形態(1)に記載の抗ウイルス剤。
(3) ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの茎又は葉の処理物である、前記実施形態(1)又は(2)に記載の抗ウイルス剤。
(4) ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの粉砕物、搾汁液及び溶媒抽出物、並びにそれらの分離画分からなる群より選択される1種以上の生成物又は画分である、前記実施形態(1)~(3)のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
(5) ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用が、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれかに起因する、前記実施形態(1)~(4)のいずれかに記載の抗ウイルス剤。
(6) ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に起因するウイルス性感染症を有する対象における症状又は障害を予防又は治療するための食品。
(7) ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの茎又は葉の処理物である、前記実施形態(6)に記載の食品。
(8) ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの粉砕物、搾汁液及び溶媒抽出物、並びにそれらの分離画分からなる群より選択される1種以上の生成物又は画分である、前記実施形態(6)又は(7)に記載の食品。
(9) ブルーベリーの処理物が、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれかに起因する抗ウイルス作用を介してウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療する、前記実施形態(6)~(8)のいずれかに記載の食品。
本発明により、COVID-19を引き起こし得るSARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を有する薬剤を提供することが可能となる。
図1は、試験II-1において、染色後のプラーク形成した宿主細胞プレートの写真である。図中、「対照」は、検体に替えて同量のDMSOを添加した試験結果であり、「茎抽出物」は、試験I-1で得られたブルーベリーの茎抽出物のFr. 7を添加した試験結果であり、「葉抽出物」は、試験I-2で得られたブルーベリーの葉抽出物のFr. 7を添加した試験結果である。 図2は、試験II-2において、ブルーベリーの茎又は葉抽出物濃度とプラーク減少率との関係を示すグラフである。図中、(a)は、ブルーベリーの茎抽出物を添加した試験結果であり、(b)は、ブルーベリーの葉抽出物を添加した試験結果である。 図3は、試験III-1において、ブルーベリーの茎又は葉抽出物濃度と3CLプロテアーゼ活性との関係を示すグラフである。図中、Aは、ブルーベリーの茎抽出物及び葉抽出物のFr. 7を添加した試験結果であり、Bは、ブルーベリーの茎抽出物及び葉抽出物のFr. 1を添加した試験結果である。A及びBにおいて、(a)は、ブルーベリーの茎抽出物を添加した試験結果であり、(b)は、ブルーベリーの葉抽出物を添加した試験結果である。横軸は、抽出物濃度の対数(log(μg/mL))であり、縦軸は、プロテアーゼ活性(%)である。 図4は、試験III-2において、ブルーベリーの茎又は葉抽出物の添加時期とウイルス力価との関係を示すグラフである。図中、横軸は、ブルーベリーの茎又は葉抽出物の添加時期であり、縦軸は、ウイルス力価の対数(log(PFU/mL))である。 図5は、試験III-2において、ブルーベリーの茎又は葉抽出物の添加時期とプラーク減少率との関係を示すグラフである。図中、横軸は、ブルーベリーの茎又は葉抽出物の添加時期であり、縦軸は、プラーク減少率(%)である。
本発明者らは、ブルーベリーの処理物がSARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を有することを見出した。それ故、本発明の一態様は、ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、SARS-CoV-2に対する抗ウイルス剤に関する。
本発明の各態様において、抗ウイルス剤の適用対象となるウイルスは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)である。SARS-CoV-2に起因するCOVID-19には、有効な治療薬が未だ確立されていない。本態様の抗ウイルス剤の有効成分であるブルーベリーの処理物は、SARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を有する。それ故、SARS-CoV-2に本態様の抗ウイルス剤を適用することにより、該ウイルスに対してin vitro又はin vivoで増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を発現することができる。また、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者に本態様の抗ウイルス剤を投与することにより、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して該ウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
本態様の抗ウイルス剤の有効成分であるブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用は、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれか(すなわち、これらのいずれか又は両方)に起因することが判明した。ブルーベリーの処理物は、例えば、ウイルスRNAから翻訳されるポリタンパク質のプロセシングに関与する3CLプロテアーゼ活性の阻害を介してウイルス増殖を抑制し得る。また、ブルーベリーの処理物は、例えば、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者の宿主細胞へのウイルスの感染前若しくは感染中、又はその両方の時期に該対象に投与されることにより、宿主細胞へのウイルスの侵入を強く抑制し得る。
本発明の各態様において、前記で例示したウイルスに起因するウイルス性感染症としては、限定するものではないが、例えば、ウイルス性肺炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス性脳炎、ウイルス性血管炎及びウイルス性結膜炎を挙げることができ、特にウイルス性肺炎である。ウイルス性肺炎を有する対象、例えばウイルス性肺炎を有するヒト患者におけるウイルス性肺炎は、通常はSARS-CoV-2性の重症肺炎であり、特に機械換気を必要とするSARS-CoV-2性の重症肺炎である。本明細書において、「重症肺炎」は、呼吸不全等の症状が確認される肺炎を意味する。また、本明細書において、「機械換気」は、人工呼吸器を用いて機械的に呼吸を確保することを意味する。本発明の各態様において、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者に本態様の抗ウイルス剤を投与することにより、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して該ウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
ウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者におけるウイルス性感染症の症状又は障害としては、限定するものではないが、例えば、ウイルス性肺炎の場合、臓器障害、呼吸器障害(例えば咳又は呼吸困難等)、発熱、筋肉痛、全身倦怠感、敗血症、敗血症性ショック、及び多臓器不全(例えば肺、腎臓、肝臓、心臓、血管又は脳神経の臓器不全)を;ウイルス性心筋炎の場合、心筋炎を;ウイルス性脳炎の場合、脳炎を;ウイルス性血管炎の場合、血管炎を;及びウイルス性結膜炎の場合、結膜炎を、それぞれ挙げることができる。本発明の各態様において、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者に本態様の抗ウイルス剤を投与することにより、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して該ウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療効果を得ることができる。
本発明の各態様において、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用は、例えば、ブルーベリーの処理物の存在下でウイルス及びその宿主細胞を培養して、該ウイルスに対する増殖抑制(例えば、プラーク形成抑制)、不活性化及び/又は死滅を評価することにより、決定することができる。或いは、ウイルスに感染した対象、例えばヒト患者にブルーベリーの処理物を投与して、該対象の体内におけるウイルス濃度を測定することにより、決定することができる。
本発明の各態様において、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者におけるウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療効果は、例えば、ウイルス性感染症を有する対象に本態様の抗ウイルス剤を投与して、該対象におけるウイルス性感染症の症状又は障害を、例えば、治療期間(例えば、機械換気を必要とした期間)、臨床状態、臨床検査(例えば、血液学検査及び血液生化学検査)、バイタルサイン(例えば、血圧及び心拍数)、及び炎症性サイトカイン等(例えば、IL-1β、IL-6、IL-8、IL-10、TNF-α、IFN-γ、オートタキシン、FDP、D-ダイマー、tPA、PIC及びPTX3)の変化を指標に用いて評価することにより、決定することができる。加えて、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者におけるウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療効果は、例えば、PCR等の遺伝子検出手段又は免疫学的手段を用いるウイルスの定量結果を指標に用いて評価することにより、決定することもできる。また、本発明の各態様において、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者に対して本態様の抗ウイルス剤を投与した際の望ましくない重篤な副作用(例えば、過度の血圧低下による循環不全(ショック)等)の発生は、例えば、血圧等の循環動態の観察により、決定することができる。
本明細書において、「予防」は、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者において、症状又は障害の発生(発症又は発現)を実質的に防止することを意味する。また、本明細書において、「治療」は、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者において、発生(発症又は発現)した症状又は障害を抑制(例えば進行の抑制)、軽快、修復及び/又は治癒することを意味する。
ブルーベリーは、ツツジ科(Ericaceae)スノキ属(Vaccinium)サイアノココス節(Cyanococcus)に分類される、アメリカ原産の落葉性又は常緑性の、低木性又は半高木性の果樹である(Vander Kloet, 1988年;玉田、1996年)。ブルーベリーは、約6種類の種からなるが、果樹園芸上重要な種は、(1)ハイブッシュブルーベリー(Highbush blueberry, Vaccinium corymbosum. L)、(2)ラビットアイブルーベリー(Rabbiteye blueberry, V. virgatum Aiton)、及び(3)ローブッシュブルーベリー(Lowbush blueberry, V. angustifolium Michaux及びV. myrtilloides Aition)の3種である。これらのブルーベリー種は、20世紀の初頭から米国農務省又は州立大学によって野生種から改良された。品種改良の方向は、栽培が容易であること、果実が大きくて甘い良質の果実を生産できること等を目標として進められた。今日では、ブルーベリーは世界各国で栽培されている。また、近年、ブルーベリーの葉の茶葉としての使用のような、果実以外の部分の用途(例えば、食品用途)も開発されている。
本発明の各態様において、有効成分として使用されるブルーベリーの種類、由来及び原産地等は特に限定されない。前記で例示した種を含む任意の種類、由来及び原産地のブルーベリーを有効成分として使用することができる。
本発明の各態様において、有効成分として使用されるブルーベリーの処理物は、植物体の任意の部分の処理物であってよいが、通常は、果実以外の任意の部分の処理物であり、例えば、茎、葉、花又は根の処理物であり、特に、茎又は葉の処理物である。前記で例示したブルーベリー植物体の部分は、単独で使用してもよく、1種以上の組み合わせで使用してもよい。以下の実施例において示すように、ブルーベリーの処理物は、SARS-CoV-2に対して高い抗ウイルス作用を有する。それ故、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者に本態様の抗ウイルス剤を投与することにより、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して該ウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療効果を得ることができる。
本発明の各態様において、有効成分として使用されるブルーベリーは、そのままの形態で使用してもよいが、通常は、処理物の形態で使用される。本発明の各態様において、「処理物」は、物理的又は化学的な手段によって加工又は分離処理を行った生成物又は画分を意味する。処理物を得るための手段としては、限定するものではないが、例えば、粉砕、搾汁、乾燥、溶媒抽出、濾過、遠心分離、吸着、再結晶、蒸留、及び各種クロマトグラフィー等を挙げることができる。前記各手段は、所望により同一又は異なる条件下で複数回組み合わせ及び/又は繰り返してもよい。
粉砕は、当該技術分野で通常使用されるミル又はブレンダーのような粉砕機を用いて実施することができる。例えば、ブルーベリーの粉砕物は、ブルーベリーの部分、好ましくは茎又は葉を、そのまま又は乾燥処理後に粉砕することにより得ることができる。粉砕物は、所望により乾燥処理してもよい。
乾燥は、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を損なわない範囲であれば任意の手段及び条件で実施することができる。乾燥は、例えば、真空凍結乾燥、熱風乾燥、遠赤外線乾燥、減圧乾燥、マイクロ波減圧乾燥又は過熱蒸気乾燥等の手段によって実施することができる。処理物の成分変化が少ないことから、真空凍結乾燥によってブルーベリー又はその処理物(例えば粉砕物)を乾燥処理することが好ましい。
溶媒抽出は、限定するものではないが、例えば、水、或いは、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール若しくは2-プロパノール(イソプロピルアルコール)のような1~6の炭素原子数を有するアルコール)、高級アルコール(例えば、1-ヘプタノール若しくは1-オクタノールのような7以上の炭素原子数を有するアルコール)、アセトン、アセトニトリル、ジエチルエーテル、又は酢酸エチルのような有機溶媒を用いて実施することができる。ブルーベリー又はその処理物(例えば粉砕物又は搾汁液)の溶媒抽出に使用する溶媒は、水又は低級アルコールが好ましく、水がより好ましい。また、溶媒抽出は、室温又は加熱条件下のいずれの条件下で実施してもよい。特に好ましくは、ブルーベリーの溶媒抽出物は、ブルーベリー又はその処理物(例えば粉砕物又は搾汁液)を熱水抽出することによって得ることができる。溶媒抽出物は、所望により乾燥処理してもよい。
クロマトグラフィーは、当該技術分野で通常使用される吸着、順相若しくは逆相分配、又はゲル濾過等の各種クロマトグラフィー担体を用いて実施することができる。
ブルーベリーの処理物は、前記で例示したブルーベリー植物体の部分(例えば茎又は葉)の粉砕物、搾汁液及び溶媒抽出物、並びにそれらの分離画分からなる群より選択される1種以上の生成物又は画分であることが好ましく、粉砕物の溶媒抽出物又は該溶媒抽出物の分離画分であることがより好ましく、粉砕物の熱水抽出物、又は該熱水抽出物のクロマトグラフィー分離画分であることがさらに好ましい。特に好ましくは、ブルーベリーの処理物は、前記で例示したブルーベリー植物体の部分(例えば茎又は葉)の粉砕物の熱水抽出物をSephadex LH-20カラムクロマトグラフィーに添加し、蒸留水:アセトン=3:2の溶出液で溶出される画分である。SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者に、前記で例示したブルーベリーの処理物を有効成分として含有する本態様の抗ウイルス剤を投与することにより、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して該ウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療効果を得ることができる。
前記特徴を有することにより、ブルーベリーの処理物は、ウイルスの増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を発現することができる。また、ブルーベリーの処理物は、抗ウイルス作用を介して、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者におけるウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
前記で説明したように、ブルーベリーの処理物は、ウイルスの増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を発現することができる。それ故、本発明の別の一態様は、ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、ウイルス性感染症を有する対象における症状又は障害を予防又は治療するための医薬に関する。本態様の医薬は、ウイルスの増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を介してウイルス性感染症を有する対象における症状又は障害を予防又は治療することができる。
前記で説明したように、本態様の医薬の有効成分であるブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用は、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれか(すなわち、これらのいずれか又は両方)に起因する。それ故、本態様の医薬の有効成分であるブルーベリーの処理物は、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれか(すなわち、これらのいずれか又は両方)に起因する抗ウイルス作用を介して、ウイルス性感染症を有する対象におけるウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
本態様の抗ウイルス剤及び医薬において、有効成分として使用されるブルーベリーの処理物を単独で使用してもよく、1種以上の薬学的に許容し得る成分と組み合わせて使用してもよい。本態様の抗ウイルス剤及び医薬は、所望の投与方法に応じて、当該技術分野で通常使用される様々な剤形に製剤されることができる。それ故、本態様の抗ウイルス剤及び医薬はまた、ブルーベリーの処理物と、1種以上の薬学的に許容し得る担体とを含有する医薬組成物の形態で提供されることもできる。本実施形態の場合、医薬組成物は、前記成分に加えて、薬学的に許容し得る1種以上の媒体(例えば、滅菌水のような溶媒又は生理食塩水のような溶液)、賦形剤、結合剤、ビヒクル、溶解補助剤、防腐剤、安定剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、膨化剤、潤滑剤、界面活性剤、乳化剤、油性液(例えば、植物油)、懸濁剤、緩衝剤、無痛化剤、酸化防止剤、甘味剤及び香味剤等の添加剤を含んでもよい。
本態様の抗ウイルス剤及び医薬の剤形は、特に限定されず、非経口投与に使用するための製剤であってもよく、経粘膜(例えば、経鼻、舌下又は経口腔粘膜等)、経皮、経肛門(注腸)、又は経膣等の投与に使用するための製剤であってもよく、或いは経口投与に使用するための製剤であってもよい。また、本態様の抗ウイルス剤及び医薬の剤形は、単位用量形態の製剤であってもよく、複数投与形態の製剤であってもよい。非経口投与に使用するための製剤としては、例えば、水若しくはそれ以外の薬学的に許容し得る液体との無菌性溶液又は懸濁液等の注射剤を挙げることができる。注射剤に混和することができる添加剤としては、限定するものではないが、例えば、生理食塩水、ブドウ糖若しくはその他の補助薬(例えば、D-ソルビトール、D-マンニトール若しくは塩化ナトリウム)を含む等張液のようなビヒクル、アルコール(例えばエタノール若しくはベンジルアルコール)、エステル(例えば安息香酸ベンジル)、ポリアルコール(例えばプロピレングリコール若しくはポリエチレングリコール)のような溶解補助剤、ポリソルベート80又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油のような非イオン性界面活性剤、ゴマ油又は大豆油のような油性液、リン酸塩緩衝液又は酢酸ナトリウム緩衝液のような緩衝剤、塩化ベンザルコニウム又は塩酸プロカインのような無痛化剤、ヒト血清アルブミン又はポリエチレングリコールのような安定剤、保存剤、並びに酸化防止剤等を挙げることができる。調製された注射剤は、通常、適当な容器(例えば、バイアル又はアンプル)に充填され、使用時まで適切な環境下で保存される。
経口投与に使用するための製剤としては、限定するものではないが、例えば、錠剤、丸薬、散剤、カプセル剤、軟カプセル剤、マイクロカプセル剤、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁液等を挙げることができる。錠剤は、所望により、糖衣又は溶解性被膜を施した糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、口腔内崩壊錠(OD錠)又はフィルムコーティング錠の剤形として製剤してもよく、或いは二重錠又は多層錠の剤形として製剤してもよい。
錠剤又はカプセル剤等に混和することができる成分としては、限定するものではないが、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース液、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム又はアラビアゴムのような結合剤;結晶性セルロース、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン又はケイ酸のような賦形剤;乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、寒天末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉又は乳糖のような崩壊剤;白糖、ステアリンカカオバター又は水素添加油のような崩壊抑制剤;第四級アンモニウム塩又はラウリル硫酸ナトリウムのような吸収促進剤;グリセリン又はデンプンのような保湿剤;澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト又はコロイド状ケイ酸のような吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩(例えばステアリン酸マグネシウム)、ホウ酸末又はポリエチレングリコールのような潤滑剤;ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤;及びペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤等を挙げることができる。製剤がカプセル剤の場合、さらに油脂のような液状担体を含有してもよい。
本態様の抗ウイルス剤及び医薬は、医薬として有用な1種以上の他の薬剤と併用することもできる。この場合、本態様の抗ウイルス剤及び医薬は、ブルーベリーの処理物と1種以上の他の薬剤とを含む単一の医薬の形態で提供されてもよく、ブルーベリーの処理物と1種以上の他の薬剤とが別々に製剤化された複数の製剤を含む医薬組み合わせ又はキットの形態で提供されてもよい。医薬組み合わせ又はキットの形態の場合、それぞれの製剤を同時又は別々に(例えば連続的に)投与することができる。
本態様の医薬は、前記で説明した本発明の一態様の抗ウイルス剤と同様に、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者におけるウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療するために使用することができる。本態様の医薬において、ウイルス性感染症は、例えば、ウイルス性肺炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス性脳炎、ウイルス性血管炎又はウイルス性結膜炎である。一実施形態において、ウイルス性肺炎を有する対象、例えばウイルス性肺炎を有するヒト患者に本態様の医薬を適用する場合、本態様の医薬は、該対象又はヒト患者における臓器障害、呼吸器障害(例えば咳又は呼吸困難等)、発熱、筋肉痛、全身倦怠感、敗血症、敗血症性ショック、又は多臓器不全(例えば肺、腎臓、肝臓、心臓、血管又は脳神経の臓器不全)を予防又は治療するために使用することが好ましく、該対象又はヒト患者における臓器障害を予防又は治療するために使用することがより好ましい。別の一実施形態において、ウイルス性心筋炎を有する対象、例えばウイルス性心筋炎を有するヒト患者に本態様の医薬を適用する場合、本態様の医薬は、該対象又はヒト患者における心筋炎を予防又は治療するために使用することが好ましい。別の一実施形態において、ウイルス性脳炎を有する対象、例えばウイルス性脳炎を有するヒト患者に本態様の医薬を適用する場合、本態様の医薬は、該対象又はヒト患者における脳炎を予防又は治療するために使用することが好ましい。別の一実施形態において、ウイルス性血管炎を有する対象、例えばウイルス性血管炎を有するヒト患者に本態様の医薬を適用する場合、本態様の医薬は、該対象又はヒト患者における血管炎を予防又は治療するために使用することが好ましい。別の一実施形態において、ウイルス性結膜炎を有する対象、例えばウイルス性結膜炎を有するヒト患者に本態様の医薬を適用する場合、本態様の医薬は、該対象又はヒト患者における結膜炎を予防又は治療するために使用することが好ましい。ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者における前記で例示したウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療に本態様の医薬を使用することにより、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して、該ウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
本態様の抗ウイルス剤及び医薬の有効成分として使用されるブルーベリーの処理物は、ブルーベリー植物体に由来する。このため、ブルーベリーの処理物は、安全で低毒性である。それ故、本態様の抗ウイルス剤及び医薬は、ウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療を必要とする様々な対象に適用することができる。前記対象は、ヒト又は非ヒト哺乳動物(例えば、ブタ、イヌ、ウシ、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ニワトリ、ヒツジ、ネコ、サル、マントヒヒ若しくはチンパンジー等の温血動物)の被験体又は患者であることが好ましく、ヒトの患者であることがより好ましい。前記対象に本態様の抗ウイルス剤及び医薬を投与することにより、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して、該対象におけるウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
本態様の抗ウイルス剤及び医薬を、対象、特にヒト患者に投与する場合、正確な用法及び用量は、対象の年齢、性別、予防又は治療されるべき症状、疾患及び/又は障害の正確な状態(例えば重症度)、並びに投与経路等の多くの要因を鑑みて、担当医が治療上有効な用法及び用量を最終的に決定すべきである。それ故、本態様の抗ウイルス剤及び医薬において、有効成分であるブルーベリーの処理物は、治療上有効な用法及び用量(例えば、投与量及び投与経路)で、対象に投与される。例えば、本態様の抗ウイルス剤及び医薬を対象、特にヒト患者に投与する場合、有効成分として使用されるブルーベリーの処理物の投与量は、通常は、1~1000 mg/kg体重/日の範囲であり、例えば、10~100 mg/kg体重/日の範囲である。
本態様の抗ウイルス剤及び医薬は、任意の投与経路で投与されてよい。例えば、本態様の抗ウイルス剤及び医薬は、静脈投与、注腸投与、皮下投与、筋肉内投与、経口投与又は腹腔内投与のような経路で投与されることが好ましく、経口投与されることがより好ましい。
前記で説明したように、本態様の抗ウイルス剤及び医薬の有効成分であるブルーベリーの処理物は、例えば、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者の宿主細胞へのウイルスの感染前若しくは感染中、又はその両方の時期に該対象に投与されることにより、宿主細胞へのウイルスの侵入を強く抑制し得る。それ故、本態様の抗ウイルス剤及び医薬は、ウイルスの感染前若しくは感染中、又はその両方の時期に対象に投与されることが好ましい。前記で例示した時期に本態様の抗ウイルス剤及び医薬を投与することにより、対象におけるウイルス性感染症の症状又は障害をより効果的に予防又は治療することができる。
ブルーベリーの処理物は、ウイルスの増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を介して、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者におけるウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療に使用することができる。それ故、本発明の別の一態様は、ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、ウイルス性感染症の予防又は治療剤に関する。本態様の予防又は治療剤は、前記で説明した本態様の抗ウイルス剤及び医薬と同様の特徴を有する。また、本態様の予防又は治療剤は、前記で説明した本態様の抗ウイルス剤及び医薬と同様の用法及び用量で使用することができる。本態様の予防又は治療剤は、ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用を介して、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者におけるウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療するために使用することができる。本態様の予防又は治療剤において、ウイルス性感染症は、例えば、ウイルス性肺炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス性脳炎、ウイルス性血管炎又はウイルス性結膜炎である。本態様の予防又は治療剤において、ウイルス性感染症の症状又は障害は、例えば、ウイルス性肺炎の場合、臓器障害、呼吸器障害(例えば咳又は呼吸困難等)、発熱、筋肉痛、全身倦怠感、敗血症、敗血症性ショック、又は多臓器不全(例えば肺、腎臓、肝臓、心臓、血管又は脳神経の臓器不全)であり、特に、臓器障害であり;ウイルス性心筋炎の場合、心筋炎であり;ウイルス性脳炎の場合、脳炎であり;ウイルス性血管炎の場合、血管炎であり;且つウイルス性結膜炎の場合、結膜炎である。ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者に、有効量のブルーベリーの処理物を投与することにより、抗ウイルス作用を介して前記で例示したウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の別の一態様は、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者に、有効量のブルーベリーの処理物を投与して、該ウイルスに対して増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を発現することを含む、前記ウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療方法である。本態様の方法において投与されるブルーベリーの処理物は、前記で説明した本態様の抗ウイルス剤及び医薬の有効成分と同様の特徴を有する。また、本態様の方法は、前記で説明した本態様の抗ウイルス剤及び医薬と同様の用法及び用量で実施することができる。本態様の方法において、ウイルス性感染症は、例えば、ウイルス性肺炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス性脳炎、ウイルス性血管炎又はウイルス性結膜炎である。本態様の方法において、ウイルス性感染症の症状又は障害は、例えば、ウイルス性肺炎の場合、臓器障害、呼吸器障害(例えば咳又は呼吸困難等)、発熱、筋肉痛、全身倦怠感、敗血症、敗血症性ショック、又は多臓器不全(例えば肺、腎臓、肝臓、心臓、血管又は脳神経の臓器不全)であり、特に、臓器障害であり;ウイルス性心筋炎の場合、心筋炎であり;ウイルス性脳炎の場合、脳炎であり;ウイルス性血管炎の場合、血管炎であり;且つウイルス性結膜炎の場合、結膜炎である。ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者に、有効量のブルーベリーの処理物を投与することにより、抗ウイルス作用を介して前記で例示したウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
本発明の別の一態様は、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者において、該ウイルスに対する増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を介してウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療に使用するための、ブルーベリーの処理物である。本発明のさらに別の一態様は、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者における、該ウイルスに対する増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を介するウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療のための医薬の製造における、ブルーベリーの処理物の使用である。本発明のさらに別の一態様は、ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者における、該ウイルスに対する増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を介するウイルス性感染症の症状又は障害の予防又は治療のための、ブルーベリーの処理物の使用である。本態様の化合物等は、前記で説明した本態様の抗ウイルス剤及び医薬の有効成分と同様の特徴を有する。また、本態様の化合物等は、前記で説明した本態様の抗ウイルス剤及び医薬と同様の用法及び用量で使用することができる。本態様の化合物等又は使用において、ウイルス性感染症は、例えば、ウイルス性肺炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス性脳炎、ウイルス性血管炎又はウイルス性結膜炎である。本態様の化合物等又は使用において、ウイルス性感染症の症状又は障害は、例えば、ウイルス性肺炎の場合、臓器障害、呼吸器障害(例えば咳又は呼吸困難等)、発熱、筋肉痛、全身倦怠感、敗血症、敗血症性ショック、又は多臓器不全(例えば肺、腎臓、肝臓、心臓、血管又は脳神経の臓器不全)であり、特に、臓器障害であり;ウイルス性心筋炎の場合、心筋炎であり;ウイルス性脳炎の場合、脳炎であり;ウイルス性血管炎の場合、血管炎であり;且つウイルス性結膜炎の場合、結膜炎である。ウイルス性感染症を有する対象、例えばウイルス性感染症を有するヒト患者に、有効量のブルーベリーの処理物を投与することにより、抗ウイルス作用を介して前記で例示したウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
ブルーベリーの処理物は、これまでに食品用途に使用されていることから、安全で低毒性であることが確立されている。それ故、本発明の別の一態様は、ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、前記で例示したウイルス性感染症、特にSARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症を有する対象における症状又は障害を予防又は治療するための食品に関する。本態様の食品は、該食品を摂取する対象の健康に実質的な影響を与えることなく、ウイルスの増殖抑制、不活性化及び/又は死滅のような抗ウイルス作用を介して前記で例示したウイルス性感染症を有する対象における症状又は障害を予防又は治療することができる。
前記で説明したように、本態様の食品の有効成分であるブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用は、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれか(すなわち、これらのいずれか又は両方)に起因する。それ故、本態様の食品の有効成分であるブルーベリーの処理物は、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれか(すなわち、これらのいずれか又は両方)に起因する抗ウイルス作用を介して、ウイルス性感染症を有する対象におけるウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療することができる。
本態様の食品において、有効成分として使用されるブルーベリーの処理物を単独で使用してもよく、1種以上の食品的に許容し得る成分と組み合わせて使用してもよい。本態様の食品は、所望の摂取方法に応じて、当該技術分野で通常使用される様々な剤形に製剤されることができる。それ故、本態様の食品はまた、ブルーベリーの処理物と、1種以上の食品的に許容し得る成分とを含有する食品組成物の形態で提供されることもできる。本実施形態の場合、1種以上の食品的に許容し得る成分としては、防腐剤、安定剤、分散剤、膨化剤、界面活性剤、油性液、緩衝剤、酸化防止剤、甘味剤、香味剤、色素及び顔料等を挙げることができる。
本態様の食品は、そのままの状態で食品として使用してもよく、他の食品若しくは食品成分と混合して、すなわち食品原料として使用してもよい。
本態様の食品は、例えば、栄養補助食品、機能性食品又は特定保健用食品として使用することができる。本態様の食品の形態としては、例えば、通常の食品若しくは飲料品の他、サプリメントのような栄養補助食品の形態であってもよい。栄養補助食品の形態としては、例えば、錠剤、丸薬、散剤、カプセル剤、軟カプセル剤、マイクロカプセル剤、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、スラリー剤及び懸濁液等を挙げることができる。錠剤は、所望により、糖衣又は溶解性被膜を施した糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、口腔内崩壊錠(OD錠)又はフィルムコーティング錠の剤形として製剤してもよく、或いは二重錠又は多層錠の剤形として製剤してもよい。本態様の食品は、前記で説明した本発明の一態様の医薬と同様の成分を用いて製剤することができる。
本態様の食品を、対象、特にヒトが摂取する場合、有効成分であるブルーベリーの処理物は、食品的に有効かつ安全な用法及び用量(例えば、摂取量及び摂取経路)で、対象に摂取される。例えば、本態様の食品を、対象、特にヒトが摂取する場合、有効成分として使用されるブルーベリーの処理物の摂取量は、通常は、1~1000 mg/kg体重/日の範囲であり、例えば、10~100 mg/kg体重/日の範囲である。
前記で説明したように、本態様の食品の有効成分であるブルーベリーの処理物は、例えば、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症であるCOVID-19を有する対象、例えば該ウイルス性感染症を有するヒト患者の宿主細胞へのウイルスの感染前若しくは感染中、又はその両方の時期に該対象に摂取されることにより、宿主細胞へのウイルスの侵入を強く抑制し得る。それ故、本態様の食品は、ウイルスの感染前若しくは感染中、又はその両方の時期に対象に摂取されることが好ましい。前記で例示した時期に本態様の食品を摂取することにより、対象におけるウイルス性感染症の症状又は障害をより効果的に予防又は治療することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
<試験I:ブルーベリーの処理物の調製>
[I-1:ブルーベリーの茎抽出物の分画]
ブルーベリー(ラビットアイブルーベリー種)の茎に対して、重量に基づき適当量の水を加え、90~95℃で熱水抽出した。熱水抽出物を凍結乾燥した。凍結乾燥した熱水抽出物50.00 gを、5000 cm3三角フラスコにはかり取り、蒸留水 3000 cm3を加えて50℃で30分間ソニケーションして溶解させた。その後、室温に戻し、アスピレーターを用いて抽出液を吸引濾過した。濾液を、Sephadex LH-20 550 cm3を詰めたバイオカラム(内径50 mm、長さ500 mm)に通液し、得られたフラクションをFr. 0(素通り)とした。次いで、蒸留水1500 cm3、蒸留水:メタノール=4:1 1000 cm3、蒸留水:メタノール=3:2 1000 cm3、蒸留水:メタノール=2:3 1000 cm3、蒸留水:メタノール=1:4 1000 cm3、メタノール1000 cm3、蒸留水:アセトン=3:2 1000 cm3、蒸留水:アセトン=2:3 1000 cm3、及びアセトン1000 cm3の順に溶出液をバイオカラムに通液し、フラクションFr. 1~9を得た。得られた各フラクションは、溶出液が水だけの場合はそのままで、溶出液が有機溶媒を含むフラクションはエバポレーターにより有機溶媒を留去した後で、それぞれ凍結乾燥した。凍結乾燥後、各フラクションの収量を求めた。結果を下記の表1に示す。
Figure 2022092576000002
[I-2:ブルーベリーの葉の抽出物の分画]
ブルーベリー(ラビットアイブルーベリー種)の葉に対して、重量に基づき適当量の水を加え、90~95℃で熱水抽出した。熱水抽出物を凍結乾燥した。凍結乾燥した熱水抽出物20.41 gを、3000 cm3三角フラスコにはかり取り、蒸留水 1200 cm3を加えて50℃で30分間ソニケーションして溶解させた。その後、室温に戻し、アスピレーターを用いて抽出液を吸引濾過した。濾液を、Sephadex LH-20 220 cm3を詰めたバイオカラム(内径50 mm、長さ500 mm)に通液し、得られたフラクションをFr. 0(素通り)とした。次いで、蒸留水600 cm3、蒸留水:メタノール=4:1 500 cm3、蒸留水:メタノール=3:2 500 cm3、蒸留水:メタノール=2:3 500 cm3、蒸留水:メタノール=1:4 500 cm3、メタノール500 cm3、蒸留水:アセトン=3:2 500 cm3、蒸留水:アセトン=2:3 500 cm3、及びアセトン500 cm3の順に溶出液をバイオカラムに通液し、フラクションFr. 1~9を得た。得られた各フラクションは、溶出液が水だけの場合はそのままで、溶出液が有機溶媒を含むフラクションはエバポレーターにより有機溶媒を留去した後で、それぞれ凍結乾燥した。凍結乾燥後、各フラクションの収量を求めた。結果を下記の表2に示す。
Figure 2022092576000003
<試験II:ブルーベリーの処理物の抗ウイルス効果>
[II-1:プラーク形成抑制試験(1)]
接種ウイルスとして新型コロナウイルス(SARS-CoV-2/Hu/DP/Kng/19-027、LC528233、神奈川県衛生研究所より分与)を、宿主細胞としてVero細胞(Vero-TMPRSS2)を、それぞれ使用した。宿主細胞を、MEM培地を分注した12ウェルプレートに播種し、培養した。培養した12ウェルプレートの培養液を取り除き、50 μg/mLの検体DMSO溶液を含む新鮮培地500 μLを加えた。宿主細胞を、炭酸ガス培養装置で5%CO2、37℃の条件下で5時間培養した。培養液を取り除き、1×104PFUのウイルスストック液を10倍又は100倍に希釈した接種ウイルス液を1ウェルに500 μLずつ添加した。非処理対照群には、接種ウイルス液の代わりに同量の新鮮培地を添加した。宿主細胞にウイルスを2時間吸着させた。その後、接種ウイルス液を除去した。50 μg/mLの検体DMSO溶液及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む新鮮培地を、1ウェルに1 mLずつ添加して宿主細胞に重層した。さらに、炭酸ガス培養装置で5%CO2、37℃の条件下で宿主細胞を3日間培養した。培養液を除去し、メタノールを加えて5分間静置して、宿主細胞を固定した。次いで、クリスタルバイオレット溶液(2.5%クリスタルバイオレットを含む30%エタノール水溶液)を添加して、20分間宿主細胞を染色した。その後、光学顕微鏡で宿主細胞を観察して、プラーク数を測定した。対照におけるプラーク形成数に対する検体添加におけるプラーク形成数の百分率をプラーク減少率(%)として算出した。染色後のプラーク形成した宿主細胞プレートの写真を図1に示す。図中、「対照」は、検体に替えて同量のDMSOを添加した試験結果であり、「茎抽出物」は、試験I-1で得られた茎抽出物のFr. 7を添加した試験結果であり、「葉抽出物」は、試験I-2で得られた葉抽出物のFr. 7を添加した試験結果である。
図1に示すように、ブルーベリーの茎抽出物のFr. 7又は葉抽出物のFr. 7を添加することにより、SARS-CoV-2によるプラーク形成が顕著に抑制された。例えば、100倍希釈接種ウイルス液(1×102PFU)による試験の場合、対照におけるプラーク形成数は66個超(スメア)であったのに対し、茎抽出物のFr. 7添加におけるプラーク形成数は1個未満(プラーク減少率98.5%超)であり、葉抽出物のFr. 7添加におけるプラーク形成数は1個(プラーク減少率98.5%超)であった。
[II-2:プラーク形成抑制試験(2)]
試験II-2と同様の手順で、所定の濃度(0.08、0.4、2、10又は50 μg/mL)に調製した検体溶液を添加するプラーク形成抑制試験を実施した。ブルーベリーの茎又は葉抽出物濃度とプラーク減少率との関係を図2に示す。図中、(a)は、ブルーベリーの茎抽出物を添加した試験結果であり、(b)は、ブルーベリーの葉抽出物を添加した試験結果である。
図2に示すように、ブルーベリーの茎抽出物のFr. 7及び葉抽出物のFr. 7は、濃度依存的にSARS-CoV-2によるプラーク形成を抑制した。SARS-CoV-2に対する50%感染阻害濃度(IC50)は、ブルーベリーの茎抽出物のFr. 7が4.78 μg/mLであり、葉抽出物のFr. 7が3.46 μg/mLであった。また、生物学的安全濃度である50 μg/mLにおけるウイルス感染価減少率は、ブルーベリーの茎抽出物のFr. 7が99.89%であり、葉抽出物のFr. 7が99.96%超であった。
<試験III:ブルーベリーの処理物の抗ウイルス効果の発現メカニズム>
[III-1:プロテアーゼ阻害活性試験]
コロナウイルス(CoV)は、主にヒト及び動物における複数の呼吸器系及び消化器系感染を引き起こす。3CLプロテアーゼは、メインプロテアーゼ(Mpro)としても知られており、ウイルスRNAから翻訳されるポリタンパク質のプロセシングに重要な役割を果たしている。ウイルス複製を防止できる3CLプロテアーゼ阻害剤は、SARS-CoV-2に起因するウイルス性感染症を患う患者を治療するために使用し得る薬剤の有望な候補となり得る。そこで、本試験では、3CLプロテアーゼアッセイキットを用いて、ブルーベリーの処理物の3CLプロテアーゼ阻害活性を評価した。
3CLプロテアーゼアッセイキット(BPSバイオサイエンス社)のプロトコールにしたがい、3CLプロテアーゼアッセイ緩衝液、組換え3CLプロテアーゼ(MBP-タグ)溶液、プロテアーゼ基質溶液及びGC376(公知のプロテアーゼ阻害剤)溶液を準備した。ブルーベリーの茎抽出物のFr. 1及びFr. 7、並びにブルーベリーの葉抽出物のFr. 1及びFr. 7をDMSOに溶解して、検体の100倍濃度溶液を調製した。検体の100倍濃度溶液を3CLプロテアーゼアッセイ緩衝液で希釈して、検体溶液を調製した。アッセイ用マイクロプレートの各ウェルに、30 μLの組換え3CLプロテアーゼ(MBP-タグ)溶液を分注した。酵素を含まないブランクのウェルには、30 μLの3CLプロテアーゼアッセイ緩衝液を分注した。公知のプロテアーゼ阻害剤対照のウェルに、10 μLのGC376溶液を分注した。検体のウェルに、10 μLの検体溶液を分注した。阻害剤及び検体を含まない陽性対照のウェルに、10 μLの3CLプロテアーゼアッセイ緩衝液を分注した。室温で30分間、マイクロプレートをゆっくりと振盪しながらプレインキュベートした。その後、各ウェルに、10 μLのプロテアーゼ基質溶液を分注した。マイクロプレートを密封し、室温で終夜(16~20時間)インキュベートした。その後、マイクロプレートリーダーを用いて、各ウェルの蛍光強度(励起波長:360 nm、放出波長:460 nm)を測定した。酵素を含まないブランクの測定結果をプロテアーゼ活性0%とし、阻害剤及び検体を含まない陽性対照の測定結果をプロテアーゼ活性100%として、検体添加のプロテアーゼ活性を算出した。ブルーベリーの茎又は葉抽出物濃度と3CLプロテアーゼ活性との関係を図3に示す。図中、Aは、ブルーベリーの茎抽出物及び葉抽出物のFr. 7を添加した試験結果であり、Bは、ブルーベリーの茎抽出物及び葉抽出物のFr. 1を添加した試験結果である。A及びBにおいて、(a)は、ブルーベリーの茎抽出物を添加した試験結果であり、(b)は、ブルーベリーの葉抽出物を添加した試験結果である。横軸は、抽出物濃度の対数(log(μg/mL))であり、縦軸は、プロテアーゼ活性(%)である。
図3Aに示すように、ブルーベリーの茎抽出物のFr. 7及び葉抽出物のFr. 7は、濃度依存的に3CLプロテアーゼ活性を阻害した。3CLプロテアーゼ活性に対する50%阻害濃度(IC50)は、ブルーベリーの茎抽出物のFr. 7が15.2 μg/mLであり、葉抽出物のFr. 7が14.4 μg/mLであった。これに対し、図3Bに示すように、ブルーベリーの茎抽出物のFr. 1は、3CLプロテアーゼ活性を僅かに阻害したが、ブルーベリーの葉抽出物のFr. 1は、3CLプロテアーゼ活性を阻害しなかった。この結果から、ブルーベリーの処理物は、ウイルスRNAから翻訳されるポリタンパク質のプロセシングに関与する3CLプロテアーゼ活性の阻害を介してウイルス増殖を抑制し得ると推測される。
[III-2:プラーク形成抑制試験(3)]
ブルーベリーの処理物による抗ウイルス効果の発現時期を調査するため、試験II-1のプラーク形成抑制試験の手順において、検体溶液の添加時期を変化させた。接種ウイルス及び宿主細胞は、試験II-1と同様とした。宿主細胞を、MEM培地を分注した12ウェルプレートに1×105 細胞/mLの細胞密度で播種し、24時間培養した。その後、培養液を取り除き、1×104PFUのウイルスストック液を10倍又は100倍に希釈した接種ウイルス液を1ウェルに500 μLずつ添加した。非処理対照群には、接種ウイルス液の代わりに同量の新鮮培地を添加した。検体の添加は、(i)ウイルス感染5時間前(以下、「Pre」処理区とも記載する)、(ii)ウイルス感染(吸着)時2時間(以下、「On」処理区とも記載する)、(iii)ウイルス感染後3日間(以下、「Post」処理区とも記載する)、又は(iv)期間(i)~(iii)の全ての期間(以下、「All」処理区とも記載する)の開始時期に、各ウェルの培養液を取り除いた上で50 μg/mLの検体DMSO溶液を含む新鮮培地500 μLを加えることで行った。期間(i)~(iv)の終了時期に、各ウェルの培養液を取り除き、PBSで細胞表面を洗浄した後で、新鮮培地を添加して培養及びウイルス感染を継続した。その後、試験II-1と同様の手順でプラーク数を測定し、ウイルス力価(PFU/mL)を算出した。また、検体に替えて同量のDMSOを添加した対照のウイルス力価に対する検体添加におけるウイルス力価の百分率をプラーク減少率(%)として算出した。ブルーベリーの茎又は葉抽出物の添加時期とウイルス力価との関係を図4に、ブルーベリーの茎又は葉抽出物の添加時期とプラーク減少率との関係を図5に、それぞれ示す。図4中、横軸は、ブルーベリーの茎又は葉抽出物の添加時期であり、縦軸は、ウイルス力価の対数(log(PFU/mL))である。図5中、横軸は、ブルーベリーの茎又は葉抽出物の添加時期であり、縦軸は、プラーク減少率(%)である。
図4及び5に示すように、Pre処理又はOn処理でブルーベリーの茎又は葉抽出物を添加した場合、ウイルス力価は顕著に低下し、高いプラーク減少率を示した。これに対し、Post処理でブルーベリーの茎又は葉抽出物を添加した場合、ウイルス力価はあまり低下せず、低いプラーク減少率を示した。この結果から、ブルーベリーの処理物は、宿主細胞へのウイルスの侵入を強く抑制し得ると推測される。
なお、本発明は、前記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加、削除及び/又は置換をすることが可能である。

Claims (9)

  1. ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗ウイルス剤。
  2. 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に起因する、ウイルス性肺炎、ウイルス性心筋炎、ウイルス性脳炎、ウイルス性血管炎及びウイルス性結膜炎からなる群より選択される1種以上のウイルス性感染症を予防又は治療するための、請求項1に記載の抗ウイルス剤。
  3. ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの茎又は葉の処理物である、請求項1又は2に記載の抗ウイルス剤。
  4. ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの粉砕物、搾汁液及び溶媒抽出物、並びにそれらの分離画分からなる群より選択される1種以上の生成物又は画分である、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗ウイルス剤。
  5. ブルーベリーの処理物の抗ウイルス作用が、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれかに起因する、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗ウイルス剤。
  6. ブルーベリーの処理物を有効成分として含有する、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に起因するウイルス性感染症を有する対象における症状又は障害を予防又は治療するための食品。
  7. ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの茎又は葉の処理物である、請求項6に記載の食品。
  8. ブルーベリーの処理物が、ブルーベリーの粉砕物、搾汁液及び溶媒抽出物、並びにそれらの分離画分からなる群より選択される1種以上の生成物又は画分である、請求項6又は7に記載の食品。
  9. ブルーベリーの処理物が、ウイルス増殖の抑制及び宿主細胞へのウイルスの侵入の抑制の少なくともいずれかに起因する抗ウイルス作用を介してウイルス性感染症の症状又は障害を予防又は治療する、請求項6~8のいずれか一項に記載の食品。
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