JP2022092458A - イムノクロマトグラフィー装置の読み取り方法、及び読み取り装置 - Google Patents

イムノクロマトグラフィー装置の読み取り方法、及び読み取り装置 Download PDF

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Abstract

【課題】イムノクロマトグラフィー装置における試薬固定領域の位置特定方法の提供。【解決手段】本発明は、イムノクロマトグラフィー装置を撮影した画像から試薬固定領域と試薬非固定領域の境界であるエッジを抽出し、該エッジの情報に基づき、該試薬固定領域の位置を特定する方法、該試薬固定領域の位置特定方法を実行するリーダ、及び特定された試薬固定領域の位置情報に基づき、イムノクロマトグラフィー装置のハウジングに試薬固定の位置を示すコード又は目印を付加したイムノクロマトグラフィー装置の製造方法に関する。【選択図】図5

Description

本発明は、イムノクロマトグラフィー装置の読み取り方法、及び読み取り装置に関する。より詳しくは、本発明は、イムノクロマトグラフィー装置を撮影した画像から試薬固定領域と試薬非固定領域の境界であるエッジを抽出し、該エッジの情報に基づき、該試薬固定領域の位置を特定する方法、及びこれを実行する読み取り装置、並びにイムノクロマトグラフィー装置の製造方法に関する。
近年、臨床検査技師などの専門家に頼らずに簡便に検査を行えるユーザーフレンドリーなPOCT(Point of Care Testing)診断用デバイスによる免疫法による検出のニーズは高く、短時間にしかも高感度に測定が可能なイムノクロマトグラフィー装置(テストプレート、検査キット、テストデバイス、試験片、イムノクロマト試験片、ラテラルフローデバイスともいう。)は利用価値が高い。
イムノクロマトグラフィー装置を読み取るための光学的測定装置であるリーダは知られている。例えば、以下の特許文献1には、呈色したイムノクロマトグラフィー装置を、イメージセンサを用いて撮像し、該イメージセンサの各画素の明度に対応した階調画像を求め、これに明度歪の補正処理とノイズ除去処理を行なった後、特徴抽出処理を行って呈色指標を求めて、試料中の特定物資値の濃度を定量的又は定性的に測定する分析方法が記載されている。しかしながら、特許文献1には、イムノクロマトグラフィー装置上に固定された抗体の位置を、呈色前に特定する方法についは記載されていない。イムノクロマトグラフィー装置やリーダには、個体差(クロマト展開用媒体上の試薬固定位置の誤差、ハウジングとの組み立て誤差など)があり、かかる個体差によってリーダの撮影画像中の発色位置が変わることがある。そのため、リーダでは一般に、イムノクロマトグラフィー装置を撮影した画像内で発色が強い箇所を特定してその箇所の発色強度を読み取る。しかしながら、テストラインの発色強度が弱いと発色位置の特定が困難となる場合がある。
以下の特許文献2には、抗体固定化部は無色であるため、目視や光学的読み取り方法によって識別することは不可能であることを前提として、抗体固定位置を目視的に又は光学的に識別可能にする色素をクロマト展開用媒体上に固定化したイムノクロマトグラフィー装置が提案されている。かかる色素固定により、試験片を作製する際に判定窓の位置ずれや、反応層の位置ずれがおきてしまう結果、測定が不可能になったり、反応不足になったりするなどにより判定が十分に行われないという問題を回避できるとされる。特許文献2に記載された技術では、添加する色素がタンパク質の活性などに影響することが避けられず、また、色素固定位置と抗体固定位置の位置関係に誤差が生じるという問題があるため、測定系に影響しない形で発色位置を正確に特定することは困難である。
また、発色位置の特定精度を高めるために、イムノクロマトグラフィー装置やリーダの個体差を抑制する方法も考えられるが、測定システムを構成する各要素の様々な箇所に極めて高い製作精度が必要となる。高い製作精度が必要となる箇所としては、例えば、イムノクロマトグラフィー装置のハウジングの成型、イムノクロマトグラフィー装置上の試薬の固定(塗布)位置、イムノクロマトグラフィー装置の組み立て、リーダへのイムノクロマトグラフィー装置の挿入機構、リーダ内の発光素子、撮像素子の設置位置や角度等が挙げられる。
以上のように、従来のイムノクロマトグラフィー装置やリーダでは、測定系に影響しない形で発色位置を正確に特定することは困難であった。
特開平8-334511号公報 特開2001-4613号公報
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、目視可能な色素添加などの加工をせずに、イムノクロマトグラフィー装置の発色位置を正確に特定する方法、該方法を実行するリーダ、イムノクロマトグラフィー装置の製造方法を提供することである。
本発明者らは、かかる課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、イムノクロマトグラフィー装置の画像を撮影し、エッジ抽出処理により試薬固定部位の位置情報を得ることにより、前記課題を解決できることを予想外に見出した。
さらに、エッジ抽出処理を、該画像の場所によって適切な係数に自動で調整するエッジ抽出処理とすることにより、撮像系に由来する照明の不均一性や試薬固定領域の境界形状のばらつきに対応して試薬固定領域の位置が特定できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]以下の工程:
イムノクロマトグラフィー装置が備えるクロマト展開用媒体を撮影する工程;
前記撮影した画像から、前記クロマト展開用媒体上に設けられた試薬固定部位と試薬非固定部位の境界である境界エッジを抽出する工程;及び
前記境界エッジの情報に基づき前記画像上の前記試薬固定部位の位置を特定する工程;
を含む、試薬固定領域の位置特定方法。
[2]前記境界エッジを抽出する工程は、以下の:
前記撮影した画像を一次元信号に変換する変換処理と、
前記一次元信号を区間に分割する分割処理と、
前記区間ごとに特徴量を算出する特徴量算出処理と、
前記区間ごとにエッジを抽出する窓関数を適用する窓関数適用処理と、
を含み、
前記窓関数適用処理では、前記特徴量によって、前記一次元信号の前記区間ごとに適用する前記窓関数を変更する、前記[1]に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[3]前記境界エッジは、前記抽出されたエッジのエッジ間の距離と予め記憶している試薬固定部位の幅情報若しくは間隔情報とを比較することによって、又は、前記抽出されたエッジから立ち下がりエッジと立ち上がりエッジとの対を特定することによって抽出される、前記[2]に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[4]前記窓関数適用処理では、前記エッジが抽出されない、前記エッジ間の距離が前記予め記憶している前記試薬固定部位の幅情報若しくは間隔情報に適合しない、又は、前記エッジの対が特定されないときに、前記クロマト展開用媒体を不良と判定する、前記[2]又は[3]に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[5]前記分割処理は、前記区間を前記一次元信号上の極値点、停留点、又は変曲点で分割する、前記[2]~[4]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[6]前記特徴量は、前記区間の幅又は前記一次元信号の周波数情報の少なくとも一方である、前記[2]~[5]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[7]前記一次元信号は、前記撮影した画像のRGB、輝度、彩度、明度又は色相の少なくとも1つ以上である、前記[2]~[6]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[8]前記特定された試薬固定部位と、予め記憶している基準位置情報とを照合し、前記特定された試薬固定部位での検査対象を特定する、検査対象特定処理を更に有する、前記[1]~[7]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[9]前記検査対象特定処理は、前記特定された試薬固定部位が前記基準位置情報の所定条件を満たさない場合に、前記クロマト展開用媒体を不良と判定する、前記[8]に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[10]前記画像上の試薬固定部位の位置に基づき、前記クロマト展開用媒体における試薬固定部位の位置を求める、前記[1]~[9]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[11]前記試薬固定部が、分析対象物に対して特異的に結合する成分と緩衝剤とを試薬成分として含む、前記[1]~[10]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[12]前記試薬固定部は、長方形形状で、前記クロマト展開用媒体上に複数備えられており、
前記長方形の長辺は、前記クロマト展開方向に対して垂直であり、
前記長方形の短辺の長さは、0.5mm以上3mm以下であり、そして
前記複数の試薬固定部位間の距離は、0.3mm以上である、
前記[1]~[11]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法。
[13]その上に試薬固定部が設けられているクロマト展開用媒体の少なくとも一部を撮影する撮影部と、
前記撮影して得られた画像に基づきデータを処理する情報処理部と、
を備え、
前記情報処理部で、前記[1]~[12]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法を実行する、
ことを特徴とするイムノクロマトリーダ。
[14]前記[1]~[12]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法により特定された試薬固定領域の位置情報に基づき、イムノクロマトグラフィー装置のハウジングに試薬固定の位置を示すコード又は目印を付加する工程;
を含む、イムノクロマトグラフィー装置の製造方法。
[15]少なくとも分析対象物質として、インフルエンザ菌及び肺炎球菌の各々を捕捉する標識試薬を固定可能な、試薬固定部を含むクロマト展開用媒体を備えたイムノクロマトグラフィー装置を用い、前記クロマト展開用媒体上に検体を展開させ、前記複数の試薬固定部に前記標識試薬を固定させる第一の工程;
前記複数の試薬固定部のそれぞれの発色強度を、前記[8]~[12]のいずれかに記載の試薬固定領域の位置特定方法を用いて、算出する第二の工程;
前記複数の試薬固定部のそれぞれの発色強度に基づき、測定結果を算出する第三の工程を含む、インフルエンザ菌及び肺炎球菌のインビトロ測定方法。
[16]前記標準試薬が、インフルエンザ菌のリボゾームL7/L12蛋白質に特異的に結合する抗体であり、かつ、肺炎球菌のリボゾームL7/L12蛋白質に特異的に結合する抗体である、前記[15]に記載の測定方法。
[17]前記検体に含まれる反応液が、脂肪族アミン系の両性界面活性剤とポリオキシエチレンアルキルエーテル系の非イオン性界面活性剤とを含有する、前記[15]又は[16]に記載の測定方法。
[18]前記検体は、耳漏、中耳貯留液又は鼻汁(鼻腔)ぬぐい液である、前記[15]~[17]のいずれかに記載の測定方法。
イムノクロマトリーダにおいて、本発明に係る試薬固定領域の特定方法を用いれば、イムノクロマトグラフィー装置のクロマト展開用媒体の上に試薬が固定(塗布)された領域を確定し、該領域内での発色位置を容易に確定できるため、測定精度が向上する。本発明に係る方法によれば、例えば、照明が不均一な安価なリーダを用いた場合においても測定精度が向上する。
また、本発明に係る試薬固定領域の特定工程を含む製造方法により得られる試薬固定領域の位置が特定されたイムノクロマトグラフィー装置において、試薬固定領域の位置情報に基づき、該イムノクロマトグラフィー装置のハウジング22に該試薬固定領域の位置を示すコード又は目印を付加すれば、リーダにおいて、イムノクロマトグラフィー装置のクロマト展開用媒体の上に試薬が固定(塗布)された領域を確定できるため、測定精度が向上する。
さらに、イムノクロマトグラフィー装置の製造の際に本発明に係る試薬固定領域の位置特定方法を用いれば、イムノクロマトグラフィー装置間の個体差情報が得られるため、イムノクロマトグラフィー装置の製造不良が低下する。
イムノクロマトグラフィー装置21の一例を示す模式図である。 イムノクロマトリーダ26の作業手順、処理内容の概要説明図である。イムノクロマトグラフィー装置をイムノクロマトリーダにセットし、検体を検体滴下部23に滴下した後、クロマト展開媒体上のテストライン(TL1~3)とコントロールライン(CL)が発色した場合の一例である。 イムノクロマトリーダの一例のハードウェア構成の説明図である。 試薬固定部位特定方法のフロー図である。 撮影画像から試薬固定領域の位置を特定する方法の概要説明図である。(A)の平面図は、イムノクロマトグラフィー装置の撮像領域の一例である。(B)は、クロマト展開用媒体部分の画素値(G値)をイムノクロマトグラフィー装置の検体液流れ方向にプロットしたグラフである
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の1の実施形態は、以下の工程:
イムノクロマトグラフィー装置が備えるクロマト展開用媒体を撮影する工程;
前記撮影した画像から、前記クロマト展開用媒体上に設けられた試薬固定部位と試薬非固定部位の境界である境界エッジを抽出する工程;及び
前記境界エッジの情報に基づき前記画像上の前記試薬固定部位の位置を特定する工程;
を含む、試薬固定領域の位置特定方法である。
[イムノクロマトグラフィー装置]
図1は、イムノクロマトグラフィー装置の一例を示す斜視図である。イムノクロマトグラフィー装置21は、サンプルパッド1、標識物質で標識された二次抗体が保持されたコンジュゲートパッド2、クロマト展開用媒体3、検出用一次抗体が固定されたテストライン(TL1~3)及びコントロールライン(CL)4、吸収パッド5、基材6(バッキング材)を有している。また、図2に示すように、イムノクロマトグラフィー装置21は、ハウジング22を有した形態であることができる。コンジュゲートパッド2に固定された標識された二次抗体は、分析対象物と特異的に結合し、これがクロマト展開用媒体3中を流れ、一次抗体が固定されたテストラインの位置に集合する結果、検体中の分析対象物の濃度に依存してテストラインが発色することになる。
サンプルパッド1は、イムノクロマトグラフィーを行えるものであれば特に制限はないが、セルロース誘導体等の繊維マトリックス、濾紙、ガラス繊維、布、綿等が好ましい。
標識物質は、イムノクロマトグラフィーを行えるものであれば制限はないが、金ナノ粒子、白金ナノ粒子、パラジウムナノ粒子などの金属ナノ粒子、又は色素を含有するセルロースナノビーズ、などの非金属ナノ粒子、酸化還元酵素などの生体高分子、蛍光色素等が好ましい。
一次抗体、二次抗体は、検体中の分析対象物に特異的に結合する成分であれば制限はないが、抗体、半抗体やFABなどのイムノグロブリン断片や、アプタマーなどの核酸等が好ましい。
コンジュゲートパッド2は、イムノクロマトグラフィーを行えるものであれば制限はないが、セルロース誘導体等の繊維マトリックス、濾紙、ガラス繊維、布、綿等が好ましい。
クロマト展開用媒体3は、イムノクロマトグラフィーを行えるものであれば特に制限はないが、ニトロセルロース、混合ニトロセルロースエステル、ポリビニリデンフロライド、ナイロン等が好ましい。
吸収パッド5は、イムノクロマトグラフィーを行えるものであれば特に制限はないが、セルロース誘導体等の繊維マトリックス、濾紙、ガラス繊維、布、綿等が好ましい。
基材6は、入手のしやすさや安定性、安全性、成形性及び滅菌性に優れるという観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン等の合成高分子、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、キチン、キトサン、アルギン酸塩等の天然高分子自体、それを架橋した構造体や改質した構造体、ヒドロキシアパタイト、ガラス、アルミナ、チタニア等の無機材料、ステンレス、チタン、アルミニウム等の金属を用いることができる。中でも合成高分子や天然高分子誘導体が好ましい。
図2に例示するように、ハウジング22は、例えば、白色の樹脂でベースと上蓋の2つのパーツとして成形される。上蓋は、例えば、検体滴下部23と、クロマト展開用媒体3の撮像領域を露出するクロマト展開用媒体窓25とが設けられている。
クロマト展開用媒体3、例えば、ニトロセルロース基材への各一次抗体、及びコントロール抗体の固定方法としては、媒体(膜担体)表面への抗体分子の直接結合でもよいし、活性基を介しての間接結合でもよい。結合力としては、化学的又は物理的な結合、例えば、共有結合、イオン結合、ファンデルワールス結合、水素結合、疎水結合の単独によるもの又はこれらの合力が挙げられる。特に、抗体溶液(検体抽出液)と膜担体表面との単純な接触による物理的な吸着による固定は、簡便であるため好ましい。抗体の吸着後に膜担体表面を洗浄や乾燥させる方法、膜担体表面に抗体溶液を塗布後に水分を蒸発せしめて膜担体表面に抗体を固定化する方法が挙げられる。コントロールラインと各テストラインの形状は特に限定されず、例えば、1以上の円形、楕円形、長方形のスポットの集合体を取りうるが、イムノクロマトグラフィー装置の検体液流れ方向に対し垂直な線状であることが好ましい。
検査実施者は、イムノクロマトグラフィー装置21をイムノクロマトリーダ26に設置する。検査実施者はイムノクロマトリーダ26を用いてイムノクロマトグラフィー装置21を撮影する操作を行う。イムノクロマトリーダ26において、撮影画像データに対して、イムノクロマトグラフィー装置のクロマト展開用媒体の上に試薬が固定(塗布)された領域の位置を特定する処理が実行され試薬固定領域の位置情報が出力される。さらに、この試薬固定領域情報を用いて、該領域内で発色の有無を判定する。検査実施者は、イムノクロマトグラフィー装置21やイムノクロマトリーダ26の製造誤差による発色位置のずれを校正することなく、例えば、組立誤差の大きい安価な構造のイムノクロマトリーダを用いても高精度な測定結果を得ることが可能となる。以下、高精度な判定結果を得ることを可能とするための、試薬固定領域の位置情報を取得するイムノクロマトリーダの構成を、詳細に説明する。
[イムノクロマトリーダ]
本発明の他の実施形態は、その上に試薬固定部が設けられているクロマト展開用媒体の少なくとも一部を撮影する撮影部と、
前記撮影して得られた画像に基づきデータを処理する情報処理部と、
を備え、
前記情報処理部で、以下に説明する試薬固定領域の位置特定方法を実行する、
ことを特徴とするイムノクロマトリーダである。
本実施形態のイムノクロマトリーダ26は、図3に例示するように、以下のハードウェア要素:
筐体29;
撮影部31;
情報処理部34;
情報表示部25;及び
入力部35;
を具備するもの、また、必要により、イムノクロマトグラフィー装置21をセットするトレイ部28、スピーカ37、ランプ38、情報端末への情報送信部39、イムノクロマトグラフィー装置21の位置や温度や湿度を検出する各種センサ36等を具備するものであることができる。
筐体29は、例えば、樹脂からなり、イムノクロマトリーダ26のハードウェア構成要素である、撮影部31、情報処理部34等を収容することができるものであれば、その形態に特に制限はない。筐体29は、必要により、トレイ部28を備える。トレイ部28は、イムノクロマトグラフィー装置21をセットするための機構を有し、これを保持することができる。トレイ部28は、図2、3に例示するように、イムノクロマトグラフィー装置21がセットされた状態で検体滴下部23に検体を滴下することができる構造を有している。クロマト展開用媒体窓25を通じて、撮影部31における発光素子32及び撮像素子33により、クロマト展開用媒体3の撮像領域24の画像を撮影することができる。
撮影部31は、発光素子32として、例えば、白色LEDを用い、例えば、金コロイドの吸収波長を含む白色光を、クロマト展開用媒体3を含む撮像領域24に照射し、CCD,CMOS等の複数のフォトダイオードが配列された構成、又はエリアセンサといった光学センサ(撮像素子33)により、光の強度を電気信号に変換することができる。尚、発光素子32としては、標識の吸収特性に応じた波長の光を照射する発光素子を用いればよい。
情報処理部34は、例えば、プロセッサー、メモリー、及びインターフェースを備えており、インターフェースを介して、例えば、情報表示部25、入力部35、センサ36、スピーカ37、ランプ38、情報送信部39と情報の入出力を行う。
情報処理部34では、撮影部31で得られた画像データを用いて、試薬固定領域の位置特定処理、及び定性判定処理を実行する。撮影画像は、限定しないが8bit以上のRGBカラー画像を使用することが好ましい。メモリーには、試薬固定領域の位置特定処理、定性判定処理を実行する測定アプリプログラム、及びプロセッサーが該アプリにもとづく処理を実行する際に参照する情報が記憶されている。情報処理部34は、例えば、試薬固定領域の位置特定処理の結果、定性判定処理結果、並びに前記処理を実行する際に参照した情報、処理途中の情報をメモリーに記憶することができ、また、出力することができる。情報処理部34は、画像データを用いて、ユーザー作業を検出する機能を有していてもよい。また、情報処理部34は、画像データを用いて、セットされたイムノクロマトグラフィー装置の状態を検出する機能を有していてもよい。
情報表示部27は、図3に示すように、情報処理部34からの出力に基づき、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)、検査結果管理(DB)、各種データの校正処理、電源管理等の各種処理を実行した結果を表示することができる。
入力部35は、例えば、タッチパネルディスプレイとすることができ、情報表示部27と兼ねることができる。入力部35を介してユーザーから本実施形態のイムノクロマトリーダへの情報入力が行われる。
図3では、ユーザーにより実施された作業の作業検知手段をタッチパネルとして例示しているが、作業検知手段はタッチパネルに限らず、光学式センサ、機械式センサ、磁気センサ、温度センサ、湿度センサ、イメージセンサであってもよい。また、作業検知手段はリーダの筐体とは別の筐体に収容されてもよい。
本実施形態のイムノクロマトリーダは、必要によりセンサ36、スピーカ37、ランプ38、情報端末への情報送信部39、等を有し、測定終了を知らせたり、使用環境から外れる場合に通知音を発したりすることもできる。センサ36は、例えば、温度センサ、湿度センサ、イムノクロマグラフィー装置のセットを検出する光センサや物理センサであるが、これらに限定するものではない。情報端末とは、例えば、PC、タブレット、携帯情報端末を指し、リーダとの接続方式は有線でも無線でも構わない。
このように構成されるイムノクロマトリーダでは、検査実施者の操作に従って、測定アプリプログラムを起動し、設置されたイムノクロマトグラフィー装置を撮影し、撮影画像データに対して、以下に説明する試薬固定領域の位置特定処理を実行する。
[試薬固定領域の特定方法]
前記したように、本発明の1の実施形態は、以下の工程:
イムノクロマトグラフィー装置が備えるクロマト展開用媒体を撮影する工程;
前記撮影した画像から、前記クロマト展開用媒体上に設けられた試薬固定部位と試薬非固定部位の境界である境界エッジを抽出する工程;及び
前記境界エッジの情報に基づき前記画像上の前記試薬固定部位の位置を特定する工程;
を含む、試薬固定領域の位置特定方法である。
図4に例示するように、試薬固定領域の位置特定処理は、イムノクロマトグラフィー装置が備えるクロマト展開用媒体を撮影した画像から、前記クロマト展開用媒体上に設けられた試薬固定部位と試薬非固定部位の境界である境界エッジを抽出し、前記境界エッジの情報に基づき、前記画像上の前記試薬固定領域の位置を特定する処理である。
本明細書中、用語「エッジ」とは、イムノクロマト装置を撮影した画像における明るさ(例えば、反射光や透過光の強度、イメージセンサの画素値)が急激に変化する領域を意味する。本明細書中、用語「立ち下がりエッジ」とは、例えば、明るさが急激に低下する領域を指し、用語「立ち上がりエッジ」とは、明るさが急激に上昇する領域を指す。
前記境界エッジを抽出する工程は、以下の:
前記撮影した画像を一次元信号に変換する変換処理と、
前記一次元信号を区間に分割する分割処理と、
前記区間ごとに特徴量を算出する特徴量算出処理と、
前記区間ごとにエッジを抽出する窓関数を適用する窓関数適用処理と、
を含み、
前記窓関数適用処理では、前記特徴量によって、前記一次元信号の前記区間ごとに適用する前記窓関数を変更するものであることが好ましい。
撮影した画像を一次元信号に変換する変換処理では、前記画像を画素ごとにRGB色成分、輝度、彩度、明度又は色相の内のいずれか、又はこれら2以上の組み合わせデータに変換し、液流れ方向に対し垂直方向に平均、積算、又は、最頻値、中央値などの統計処理により一次元信号(図5(B)参照)を得る。より好ましくは、前記一次元信号に、例えば、移動平均、IIR、FIRなどのデジタルフィルタを適用する。
一次元信号を区間に分割する分割処理では、前記一次元信号上で、液流れ方向に差分をとり、極値点、停留点、又は変極点で区切られた区間に分割する。あるいは、一定間隔で区切られた区間に分割してもよい。
区間ごとに特徴量を算出する特徴量算出処理では、前記区間ごとに区間の幅又は区間内の周波数情報を特徴量として算出する。
区間ごとにエッジの有無を判別する窓関数を適用する窓関数適用処理では、前記区間ごとに、窓幅を前記特徴量に基づいて決定して窓関数を一次元信号に適用する処理である。例えば、前記特徴量が区間の幅の場合、窓幅は区間の幅とする。立ち下がりエッジと立ち上がりエッジは、前記窓関数内の窓の内部にある一次元信号の値の重み付き和を算出し、メモリーに予め記憶された閾値を参照し、前記重み付き和が閾値に対して以上、より大きい、以下、未満のいずれかに該当する場合に、当該区間をエッジとして判別する。前記重みは窓の両端では絶対値が同じで符号が反転しており、それ以外では0となることが好ましい。
前記検出された全ての立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジから境界エッジを特定する方法は、例えば、前記全てのエッジ内の一次元信号の最大値と最小値の差の絶対値を算出し、前記差の絶対値が最も大きい立ち下がりエッジと、前記差の絶対値が最も大きい立ち上がりエッジを試薬固定部位と非固定部位の境界となる境界エッジとすることができる(一番深いものを境界エッジとする)。
また、前記検出された全ての立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジから境界エッジを特定する他の方法は、メモリーに予め記憶されたエッジの深さ情報を参照し、前記深さ情報を閾値とし、前記差の絶対値を閾値処理することで抽出された、立ち下がりエッジと立ち上がりエッジを境界エッジとすることができる(閾値処理で境界エッジを抽出する)。
より好ましくは、例えば、前記抽出された立ち下がりエッジと立ち上がりエッジは、境界エッジ候補とし、さらに、前記抽出された立ち下がりエッジと立ち上がりエッジ間の距離を求め、メモリーに予め記憶された試薬固定領域の幅情報を参照し、前記エッジ間の距離と、参照した前記幅情報とを突合せ、該否判定を行うことで、立ち下りエッジと立ち上がりエッジの対を境界エッジとして決定することができる(閾値処理+幅情報)。
また、例えば、前記抽出された境界エッジの候補である、立ち下がりエッジ同士、又は、立ち上がりエッジ同士の距離を求め、メモリーに予め記憶された複数の試薬固定領域間の距離・間隔、又は距離範囲情報を呼び出し、前記エッジ同士の距離と、参照した前記試薬固定領域間の距離・間隔、又は範囲情報とを突き合わせ、該否判定を行うことで、試薬固定部位と非固定部位の境界である境界エッジとして決定することができる(閾値処理+間隔情報)。
図5(B)に例示するように、こうして決定した境界エッジである立ち下がりエッジと立ち上がりエッジの対に挟まれた領域を試薬固定領域とし、各エッジ内の任意の点を試薬固定領域の端と定義することで、前記画像上の試薬固定領域の位置情報を出力できる。
さらに、試薬固定領域が複数ある場合には、試薬固定領域を特定する識別子を用意し、メモリーに予め記憶された識別子と位置の対応、又は識別子の並び順を試薬特定情報として参照し、前記参照した試薬特定情報と前記出力された試薬固定領域の位置情報を照合することで、前記出力された試薬固定領域の位置情報と識別子が対応付けされる。この対応付けにより、後段の処理において、当該試薬固定領域の発色と検査対象の紐づけや、複数の試薬固定領域の発色定量値を用いた演算を適切に行うことができる。前記試薬特定情報における、識別子と位置の対応で用いられる位置情報は、試薬固定位置の設計情報である位置の目標値と公差から算出した範囲であることが好ましい。
前記試薬固定領域の特定において、エッジが抽出されない、エッジの対が特定されない、エッジ間の距離が所定条件を満たさない、又は特定された試薬固定領域が所定基準位置の範囲内にない場合、該イムノクロマトグラフィー装置を不良とし、試薬固定領域の位置は特定できないと判定する。
[イムノクロマトグラフィー装置の製造方法]
本発明のさらに他の実施形態は、前記した試薬固定領域の位置特定方法により特定された試薬固定領域の位置情報に基づき、イムノクロマトグラフィー装置のハウジングに試薬固定の位置を示すコード又は目印を付加する工程;
を含む、イムノクロマトグラフィー装置の製造方法、及び該方法により製造されたイムノクロマトグラフィー装置である。より詳しくは、かかるイムノクロマトグラフィー装置は、試薬が固定されたクロマト展開用媒体を含むイムノクロマトグラフィー装置の仕掛品を撮影する工程、前記撮影画像から試薬固定領域と試薬非固定領域の境界であるエッジを抽出し、該エッジの情報に基づき、該試薬固定領域の位置を特定する工程、前記特定された試薬固定領域の位置に関する情報を前記イムノクロマトグラフィー装置に付与する工程を経て作製された、個別の試薬固定位置情報を有するイムノクロマトグラフィー装置である。
[イムノクロマトグラフィー装置の製造方法]
前記したように、本実施形態の特定方法は、イムノクロマトグラフィー装置を撮影した画像から試薬固定部位と試薬非固定部位の境界であるエッジを抽出し、該エッジの情報に基づき、該試薬固定領域の前記イムノクロマトグラフィー装置における位置を特定する方法である。かかる特定方法は、前記したイムノクロマトリーダにより実行されることは必ずしも必要ではなく、例えば、イムノクロマトグラフィー装置の製造装置において実行されることができる。
本発明のさらに他の実施形態は、少なくとも分析対象物質として、インフルエンザ菌及び肺炎球菌の各々を捕捉する標識試薬を固定可能な、試薬固定部を含むクロマト展開用媒体を備えたイムノクロマトグラフィー装置を用い、前記クロマト展開用媒体上に検体を展開させ、前記複数の試薬固定部に前記標識試薬を固定させる第一の工程;
前記複数の試薬固定部のそれぞれの発色強度を、前記した試薬固定領域の位置特定方法を用いて、算出する第二の工程;
前記複数の試薬固定部のそれぞれの発色強度に基づき、測定結果を算出する第三の工程を含む、インフルエンザ菌及び肺炎球菌のインビトロ測定方法である。
本実施形態の、個別の試薬固定位置情報を有するイムノクロマトグラフィー装置を測定するイムノクロマトリーダでは、これから測定するイムノクロマトグラフィー装置に付与された、個別の試薬固定領域の位置を示すコード又は目印に基づき、該イムノクロマトグラフィー装置の試薬固定領域の位置を特定することが可能となる。
以下、イムノクロマトグラフィー装置を準備し、クロマト展開用媒体上の試薬固定領域の位置情報を、イムノクロマトリーダを用いて特定する具体例を以下に述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[イムノクロマトグラフィー装置]
(1)一次抗体固定化クロマト展開用媒体の作製
1次抗体等を固定化するためのクロマト展開用媒体には、ニトロセルロースからなるシート(Sartorius社製、商品名:Unisart CN95、300mm×25mm)を用いた。TAPS(N-Tris(hydroxymethyl)methyl-3-aminopropane sufonic acid)緩衝液(pH8.5)にて、HI2-50A1一次抗体を2.5mg/mLの濃度に希釈した。この溶液30μLをメンブレン上に1mmの幅で塗布した(図1、テストライン1(TL1))。TAPS緩衝液(pH8.5)にて一次抗体nSP1-22A1を2.5mg/mLの濃度に希釈した。この溶液30μLをメンブレン上に1mmの幅で塗布した(図1、テストライン2(TL2))。TAPS緩衝液(pH8.5)にて一次抗体nSP1-57C1を3.2mg/mLの濃度に希釈した。この溶液30μLをメンブレン上に1mmの幅で塗布した(図1、テストライン3(TL3))。そしてリン酸緩衝液(pH7.4)にて抗-ラビットIgGヤギ抗体を1mg/mlの濃度に希釈した。この溶液30μLをメンブレン上に1mmの幅で塗布した(図1、コントロールライン(CL))。これを60℃で12時間乾燥し、一次抗体、コントロール抗体に結合する抗体が固定化されたクロマト展開用媒体(図1)を作製した。
(2)二次抗体標識金コロイド含浸パッド(コンジュゲートパッド)の作製
金コロイド分散液(田中貴金属社製:粒径60nm)18mLにHEPES酸緩衝液(pH7.5)で希釈した2次抗体nSP1-73A2の40μg/mLの溶液を1mL加え撹拌後、室温で30分間静置した。次いで0.001%のSH-PEG SUBBRIGHT ME-050SH (SUNBRIGHT社製)1.1mLを加え撹拌後、30分間静置した。次いで、5% Casein Naを2.2mL加え、8000×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後に、0.25(w/v)%のcasein Na、3(w/v)%のトレハロースを含むトリス緩衝液(pH8.2)5mLを添加し十分に撹拌し懸濁した後、540nmの吸光度が2.0~4.0(光路長1cm)になるように同トリス緩衝液で調整し、金コロイド標識2次抗体nSP1-73A2分散液を得た。
金コロイド分散液(田中貴金属社製:粒径60nm)18mLにHEPES酸緩衝液(pH7.5)で希釈した二次抗体HI2-52C1の100μg/mLの溶液を1mL加え撹拌後、室温で30分間静置した。次いで0.001%のSH-PEG SUBBRIGHT ME-050SH (SUNBRIGHT社製)を1.1mL加え撹拌後、30分間静置した。次いで、5% Casein Naを2.2mL加え、8000×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後に、0.25(w/v)%のcasein Na、3(w/v)%のトレハロースを含むトリス緩衝液(pH8.2)5mLを添加し十分に撹拌し懸濁した後、540nmの吸光度が2.0~4.0(光路長1cm)になるように同トリス緩衝液で調整し、金コロイド標識二次抗体HI2-52C1分散液を得た。
金コロイド分散液(田中貴金属社製:粒径60nm)900μLにHEPES酸緩衝液(pH8.5)にて希釈したラビットIgG抗体 100μg/mLの溶液を100μL加え撹拌後、室温で10分間静置した。次いで0.001%のSH-PEG SUBBRIGHT ME-050SH (SUNBRIGHT社製)を55μL加え撹拌後、30分間静置した。次いで、5%Casein Naを110μL加え、15000rpmで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後に、0.25(w/v)%のcasein Na、3(w/v)%のトレハロースを含むトリス緩衝液(pH8.2)5mLを添加し十分に撹拌し懸濁した後、540nmの吸光度が2.0~4.0(光路長1cm)になるように同トリス緩衝液で調整し、金コロイド標識ラビットIgGコントロール抗体分散液を得た。
こうして得た金コロイド標識二次抗体nSP1-73A2分散液と、金コロイド標識二次抗体HI2-52C1分散液と、金コロイド標識ラビットIgGコントロール抗体分散液とを、9:9:1で混合し、得られた混合溶液を10mm×150mmのグラスファイバー(ミリポア社製)に均一になるように添加し、真空乾燥機にて乾燥させ、抗体標識金コロイド含浸パッド(図1、コンジュゲートパッド2)を作製した。
(3)イムノクロマトグラフィー装置の作製
接着層を持つバッキングシート(リーセンテック社製)からなる基材(図1、バッキング材6)に、上記のように作製した抗体固定化クロマト展開用媒体3、二次抗体標識金コロイド含浸パッド(コンジュゲートパッド2)、試料(検体抽出液)を滴下するサンプルパッド1(旭化成株式会社製、NE107)、展開した試料や余剰抗体固定化金コロイドを吸収するための吸収パッド5を貼り合せた。そして、裁断機を用いて4mmの幅になるように裁断し、ハウジング22(図2、3参照)に収容してイムノクロマトグラフィー装置21を作製した。
[イムノクロマトグラフィー装置の撮影と試薬固定位置の特定方法]
イムノクロマトリーダとして、イムノクロマトグラフィー装置をセットするトレイを備えた樹脂製の筐体に、市販のスマートフォンを取り付けた装置を用いた。該スマートフォンのCMOSカメラとLED照明を撮影部として用い、該スマートフォンのプロセッサー、フラッシュメモリーを情報処理部として用い、該スマートフォンのタッチパネルディスプレイを情報表示部、及び入力部として用いた。該情報処理部は、メモリーに記憶されている本発明に係る試薬固定領域の位置特定処理を実行するソフトウェアアプリケーションを読みだして実行することにより、該装置をイムノクロマトリーダとして機能させた。
メモリーには、前記ソフトウェアアプリケーションと共に、プロセッサーがソフトウェアアプリケーションに基づく処理を実行するに際して参照する情報が記憶される。例えば、試薬固定領域の幅情報、試薬固定領域の間隔の基準情報、試薬固定領域の基準位置情報又は並び順などである。尚、プロセッサーがソフトウェアアプリケーションに基づく処理を実行する際に参照する情報は、スマートフォンの無線・有線インターフェースを介して外部装置(例えば、サーバ)から取得されるものであってもよい。
前記イムノクロマトリーダに前記イムノクロマトグラフィー装置をセットし、検体を滴下する前にイムノクロマトグラフィー装置の撮影を行った。
情報処理部は、撮影部から撮影画像データを取得した。情報処理部は取得した画像データのうち、イムノクロマトグラフィー装置のクロマト展開用媒体が写っている領域を抽出した。この抽出処理は、情報処理部がメモリーから予め記憶されたピクセル範囲情報を呼び出して実行した。
撮影した画像を一次元信号に変換する変換処理は、情報処理部が前記画像を画素ごとにRGB色成分に変換し、液流れ方向に対し垂直方向にG値平均処理を行い、IIRフィルタを適用して、取得するエッジ以外の周波数成分を低減して一次元信号(図5(B))を得た。
図5(A)に示すように、本実施形態のイムノクロマトグラフィー装置の撮影画像のRGB値において、試薬固定領域でG値の明るさが変化していることが確認することができた。
一次元信号を区間に分割する分割処理は、前記一次元信号上で、液流れ方向に差分をとり、極大点と極小点で区切られた区間に分割した。
区間ごとに特徴量を算出する特徴量算出処理は、前記区間ごとに区間の幅を特徴量として算出した。
区間ごとにエッジの有無を判別する窓関数を適用する窓関数適用処理では、前記区間ごとに、窓幅を前記特徴量に基づいて区間の幅とし、窓の両端では絶対値が同じで符号が反転しており、それ以外では0となる窓関数を一次元信号に適用した。立ち下がりエッジと立ち上がりエッジは、前記窓関数内の窓の内部にある一次元信号の値の重み付き和の絶対値を求め、メモリーに予め記憶された閾値を呼び出し、閾値以上の場合に、当該区間をエッジとして判別した。
前記検出された全ての立ち下がりエッジ及び立ち上がりエッジに対し、メモリーに予め記憶されたエッジの深さ情報を閾値として参照し、前記差の絶対値が前記深さ情報以上である、立ち下がりエッジと立ち上がりエッジを境界エッジ候補とした。
また、前記抽出された立ち下がりエッジと立ち上がりエッジは、境界エッジ候補とし、さらに、前記抽出された立ち下がりエッジと立ち上がりエッジ間の距離を求め、メモリーに予め記憶された試薬固定領域の幅情報を参照し、前記エッジ間の距離と、参照した前記幅情報とを突合せ、該否判定を行うことで、立ち下りエッジと立ち上がりエッジの対を境界エッジとして決定した。
こうして決定した境界エッジである立ち下がりエッジと立ち上がりエッジの対に挟まれた領域を試薬固定領域とし、各エッジ内の中心点を試薬固定領域の端と定義することで、前記画像上の試薬固定領域の位置情報を出力した。
さらに、前記特定された試薬固定領域と、メモリーに予め記憶されたテストライン1、テストライン2、テストライン3を特定する識別子を用意し、メモリーに予め記憶された識別子と位置の対応を試薬特定情報として参照し、前記参照した試薬特定情報と前記出力された試薬固定領域の位置情報を照合することで、前記出力された試薬固定領域の位置情報と識別子を対応付けした。この対応付けにより、後段の処理において、当該試薬固定領域の発色と検査対象の紐づけや、複数の試薬固定領域の発色定量値を用いた演算を適切に行うことができた。前記試薬特定情報における、識別子と位置の対応で用いられる位置情報としては、試薬固定位置の設計情報である位置の目標値と公差から算出した範囲を用いた。
前記試薬固定領域の特定において、エッジが抽出されない、エッジの対が特定されない、エッジ間の距離が所定条件を満たさない、又は特定された試薬固定領域が所定基準位置の範囲内にない場合、該イムノクロマトグラフィー装置を不良とし、試薬固定領域の位置は特定できないと判定した。
[試薬固定領域の位置情報を用いたイムノクロマトグラフィー装置の発色強度定量方法]
続いて、各種濃度(1E3~1E7 cfu/mL)の肺炎球菌及びインフルエンザ菌懸濁液を試料として調製し、前記イムノクロマトリーダに設置したイムノクロマトグラフィー装置に適用して15分間静置し、テストライン、及びコントロールラインを発色させた。前記イムノクロマトリーダで、この発色したイムノクロマトグラフィー装置のクロマト展開用媒体、テストライン、及びコントロールラインを含む画像を撮影した。前記画像の画素値をRGB値に変換し、液流れ方向に対し垂直方向にG値の平均処理を行い、得られたG値の波形にIIRフィルタを適用することでノイズフィルタリングし、発色強度算出用G値波形を得た。前記、発色強度算出用G値波形上で、前記テストライン1、テストライン2、テストライン3の各々の試薬固定領域の位置の範囲内でG値が最も低下する位置を探索し、当該位置のG値と試薬非固定位置のG値の比の対数値を1000倍し、発色強度の指標として算出した。該指標値は、肺炎球菌の菌濃度に比例して高まり、肺炎球菌を迅速に検出することができた。
イムノクロマトリーダにおいて、本発明に係る試薬固定領域の位置特定方法を用いれば、イムノクロマトグラフィー装置のクロマト展開用媒体の上に試薬が固定(塗布)された領域を確定し、該領域内での発色位置を容易に確定できるため、測定精度が向上する。
また、本発明に係る試薬固定領域の位置特定方法を用いて得られる試薬固定領域の位置情報に基づき、該イムノクロマトグラフィー装置のハウジング22に該試薬固定領域の位置を示すコード又は目印を付加すれば、リーダにおいて、イムノクロマトグラフィー装置のクロマト展開用媒体の上に固定(塗布)された領域を確定できるため、測定精度が向上する。
さらに、本発明に係る試薬固定領域の特定方法を用いれば、イムノクロマトグラフィー装置間の個体差情報が得られるため、イムノクロマトグラフィー装置の製造不良が低下する。
1 サンプルパッド
2 標識された二次抗体、及びコントロール抗体が保持されたコンジュゲートパッド
3 各一次抗体が固定されたテストライン、及びコントロール抗体に結合する抗体が固定されたコントロールラインを有するクロマト展開用媒体
4 テストライン(TL1~3)又はコントロールライン(CL)
5 吸収パッド
6 基材(バッキング材)
21 イムノクロマトグラフィー装置
22 ハウジング
23 検体滴下部
24 撮像領域
25 クロマト展開媒体窓
26 イムノクロマトリーダ
27 情報表示部
28 トレイ部
29 筐体
31 撮影部
32 発光素子
33 撮像素子
34 情報処理部
35 入力部
36 センサ
37 スピーカ
38 ランプ
39 情報送信部

Claims (18)

  1. 以下の工程:
    イムノクロマトグラフィー装置が備えるクロマト展開用媒体を撮影する工程;
    前記撮影した画像から、前記クロマト展開用媒体上に設けられた試薬固定部位と試薬非固定部位の境界である境界エッジを抽出する工程;及び
    前記境界エッジの情報に基づき前記画像上の前記試薬固定部位の位置を特定する工程;
    を含む、試薬固定領域の位置特定方法。
  2. 前記境界エッジを抽出する工程は、以下の:
    前記撮影した画像を一次元信号に変換する変換処理と、
    前記一次元信号を区間に分割する分割処理と、
    前記区間ごとに特徴量を算出する特徴量算出処理と、
    前記区間ごとにエッジを抽出する窓関数を適用する窓関数適用処理と、
    を含み、
    前記窓関数適用処理では、前記特徴量によって、前記一次元信号の前記区間ごとに適用する前記窓関数を変更する、請求項1に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  3. 前記境界エッジは、前記抽出されたエッジのエッジ間の距離と予め記憶している試薬固定部位の幅情報若しくは間隔情報とを比較することによって、又は、前記抽出されたエッジから立ち下がりエッジと立ち上がりエッジとの対を特定することによって抽出される、請求項2に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  4. 前記窓関数適用処理では、前記エッジが抽出されない、前記エッジ間の距離が前記予め記憶している前記試薬固定部位の幅情報若しくは間隔情報に適合しない、又は、前記エッジの対が特定されないときに、前記クロマト展開用媒体を不良と判定する、請求項2又は3に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  5. 前記分割処理は、前記区間を前記一次元信号上の極値点、停留点、又は変曲点で分割する、請求項2~4のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  6. 前記特徴量は、前記区間の幅又は前記一次元信号の周波数情報の少なくとも一方である、請求項2~5のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  7. 前記一次元信号は、前記撮影した画像のRGB、輝度、彩度、明度又は色相の少なくとも1つ以上である、請求項2~6のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  8. 前記特定された試薬固定部位と、予め記憶している基準位置情報とを照合し、前記特定された試薬固定部位での検査対象を特定する、検査対象特定処理を更に有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  9. 前記検査対象特定処理は、前記特定された試薬固定部位が前記基準位置情報の所定条件を満たさない場合に、前記クロマト展開用媒体を不良と判定する、請求項8に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  10. 前記画像上の試薬固定部位の位置に基づき、前記クロマト展開用媒体における試薬固定部位の位置を求める、請求項1~9のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  11. 前記試薬固定部が、分析対象物に対して特異的に結合する成分と緩衝剤とを試薬成分として含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の試薬固領域の位置特定方法。
  12. 前記試薬固定部は、長方形形状で、前記クロマト展開用媒体上に複数備えられており、
    前記長方形の長辺は、前記クロマト展開方向に対して垂直であり、
    前記長方形の短辺の長さは、0.5mm以上3mm以下であり、そして
    前記複数の試薬固定部位間の距離は、0.3mm以上である、
    請求項1~11のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法。
  13. その上に試薬固定部が設けられているクロマト展開用媒体の少なくとも一部を撮影する撮影部と、
    前記撮影して得られた画像に基づきデータを処理する情報処理部と、
    を備え、
    前記情報処理部で、請求項1~12のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法を実行する、
    ことを特徴とするイムノクロマトリーダ。
  14. 請求項1~12のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法により特定された試薬固定領域の位置情報に基づき、イムノクロマトグラフィー装置のハウジングに試薬固定の位置を示すコード又は目印を付加する工程;
    を含む、イムノクロマトグラフィー装置の製造方法。
  15. 少なくとも分析対象物質として、インフルエンザ菌及び肺炎球菌の各々を捕捉する標識試薬を固定可能な、試薬固定部を含むクロマト展開用媒体を備えたイムノクロマトグラフィー装置を用い、前記クロマト展開用媒体上に検体を展開させ、前記複数の試薬固定部に前記標識試薬を固定させる第一の工程;
    前記複数の試薬固定部のそれぞれの発色強度を、請求項8~12のいずれか1項に記載の試薬固定領域の位置特定方法を用いて、算出する第二の工程;
    前記複数の試薬固定部のそれぞれの発色強度に基づき、測定結果を算出する第三の工程を含む、インフルエンザ菌及び肺炎球菌のインビトロ測定方法。
  16. 前記標準試薬が、インフルエンザ菌のリボゾームL7/L12蛋白質に特異的に結合する抗体であり、かつ、肺炎球菌のリボゾームL7/L12蛋白質に特異的に結合する抗体である、請求項15に記載の測定方法。
  17. 前記検体に含まれる反応液が、脂肪族アミン系の両性界面活性剤とポリオキシエチレンアルキルエーテル系の非イオン性界面活性剤とを含有する、請求項15又は16に記載の測定方法。
  18. 前記検体は、耳漏、中耳貯留液又は鼻汁(鼻腔)ぬぐい液である、請求項15~17のいずれか1項に記載の測定方法。
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